JPH1183661A - 電離真空計の制御装置 - Google Patents

電離真空計の制御装置

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JPH1183661A
JPH1183661A JP25144397A JP25144397A JPH1183661A JP H1183661 A JPH1183661 A JP H1183661A JP 25144397 A JP25144397 A JP 25144397A JP 25144397 A JP25144397 A JP 25144397A JP H1183661 A JPH1183661 A JP H1183661A
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Noriyuki Saito
典行 斉藤
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Anelva Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧力または検出イオン電流に応じて基準エミ
ッション電流を連続的に変化させることで、基準エミッ
ション電流がステップ状に切り替わることに起因する圧
力測定の不安定性をなくす。 【解決手段】 圧力が上限圧力Pa(=2×10-4Tor
r)以上では、基準エミッション電流Ierは圧力に依存
せずに一定の下限エミッション電流Iea(=10μA)
となる。また、圧力が下限圧力Pb(=5×10-7Tor
r)以下では、基準エミッション電流Ierは圧力に依存
せずに一定の上限エミッション電流Ieb(=1mA)と
なる。上限圧力Paと下限圧力Pbの間では、基準エミッ
ション電流Ierは圧力Pに応じて連続的に変化する。す
なわち、圧力Pが低下するにつれて基準エミッション電
流Ierは増加していく。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、エミッション電
流の制御方法に特徴のある電離真空計の制御装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】図7は電離真空計の代表例であるB−A
ゲージについての従来の構成図である。このB−Aゲー
ジは、真空チャンバー10に取り付けられる測定球12
と、この測定球12に接続される制御装置14とからな
る。測定球12は、フィラメント16と、コイル状のグ
リッド18と、グリッド18の中心線上に配置されたイ
オンコレクタ20とを備えている。
【0003】制御装置14は、フィラメント加熱電源2
2と、フィラメント16を所定の電位に保つためのフィ
ラメントバイアス電源28と、グリッド18を通電加熱
するための脱ガス用のグリッド加熱電源24と、グリッ
ド18を所定の電位に保つためのグリッドバイアス電源
26と、イオンコレクタ20に流入するイオン電流を検
出するイオン電流検出回路30と、フィラメント16と
グリッド18の間に流れるエミッション電流を検出する
エミッション電流検出回路34とを備えている。
【0004】エミッション電流検出回路34の出力信号
35(検出エミッション電流Ie)と、基準信号発生回
路36の出力信号37(基準エミッション電流Ier)
は、差動増幅回路38に入り、ここで両者の差分が増幅
されて、その出力信号39がフィラメント加熱電源22
への指令信号となる。この指令信号39は、上記差分が
減少する方向にフィラメント電流を増減する性質のもの
である。これにより、検出エミッション電流Ieは、常
に、所定の基準エミッション電流Ierに一致するように
フィードバック制御される。
【0005】エミッション電流検出回路34の出力信号
35とイオン電流検出回路30の出力信号31(検出イ
オン電流Ii)は、圧力演算回路32に送られて、ここ
で圧力が求められる。圧力Pは、検出エミッション電流
Ieと、検出イオン電流Iiと、測定球12の感度Sとを
用いて、次の(1)式で求めることができる。
【数1】P=(1/S)・(Ii/Ie) … (1)
【0006】圧力演算回路32の出力信号33は圧力表
示装置に送られる。また、この出力信号32は基準信号
発生回路36にも送られる。基準信号発生回路36で
は、後述するように、測定圧力Pに応じて基準エミッシ
ョン電流Ierを切り換えている。
【0007】従来のB−Aゲージ制御装置では、基準エ
ミッション電流Ierの値は、測定圧力Pに応じて何段階
かに切り換えている。図8は、従来のBーAゲージの特
性例を示すグラフである。図8(A)は横軸に圧力P
を、縦軸に基準エミッション電流Ierをとったグラフで
ある。図8(B)は横軸に圧力Pを、縦軸に検出イオン
電流Iiをとったグラフであり、図8(C)は横軸に検
出イオン電流Iiを、縦軸に基準エミッション電流Ier
をとったグラフである。いずれのグラフにおいても、横
軸と縦軸は対数目盛になっている。
【0008】圧力Pが高い方から徐々に下がっていく場
合を考えると、図8(A)に示すように、圧力が10-4
Torrまでは基準エミッション電流は10μAで一定であ
る。圧力が10-4Torrまで下がると、基準エミッション
電流は10μAから100μAに切り替わる。さらに圧
力が下がっていくと10-6Torrまでは基準エミッション
電流は100μAで一定である。圧力が10-6Torrまで
下がると、基準エミッション電流は100μAから1m
Aに切り替わる。
【0009】イオン電流Iiは図8(B)のように変化
する。圧力Pが下がるにつれて、イオン電流Iiも下が
ってくる。圧力が10-4Torrまで下がると、イオン電流
Iiは6nAまで下がる。これよりも圧力が下がると、
基準エミッション電流が10倍になり(10μAから1
00μAに切り替わり)、イオン電流も10倍の60n
Aになる。さらに圧力が2桁下がって、圧力が10-6To
rrになると、イオン電流も2桁下がって0.6nAにな
る。圧力が10-6Torrよりも下がると、基準エミッショ
ン電流が再び10倍になり(100μAから1mAに切
り替わり)、イオン電流も10倍の6nAになる。
【0010】図8(C)はイオン電流Iiと基準エミッ
ション電流Ierとの関係を示している。
【0011】以上のように、従来のB−Aゲージでは、
圧力の高いところでは小さな基準エミッション電流に
し、逆に、圧力の低いところでは大きな基準エミッショ
ン電流にしている。これにより、イオン電流が十分大き
く取れるところ(圧力の高いところ)では、エミッショ
ン電流を小さくしてフィラメントの消耗を少なくし、一
方、イオン電流があまり大きく取れないところ(圧力の
低いところ)では、エミッション電流を大きくして、測
定に支障がないだけの十分なイオン電流を確保してい
る。
【0012】なお、エミッション電流のフィードバック
制御が忠実に実行されている限り、検出エミッション電
流Ieは基準エミッション電流Ierに等しくなる。
【0013】図10は、図8に示すような特性を有する
従来のB−Aゲージについて、その圧力降下時におけ
る、圧力P、基準エミッション電流Ier、イオン電流I
iの概略的な時間的変化を示すグラフである。横軸は時
間tであり、等間隔目盛である。なお、後述する不安定
な変動(図9に示すもの)については省略してある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の電離真
空計の制御装置は、基準エミッション電流がステップ状
に切り替わるので、次のような問題が生じている。図9
(A)は圧力が下がっていく場合における、基準エミッ
ション電流の切り換え点付近の、圧力とエミッション電
流との関係を拡大して示したグラフである。圧力が10
-4Torrまで下がると、基準エミッション電流Ierが10
μAから100μAに切り替わる。すると、検出エミッ
ション電流Ieは、100μAに切り替わった基準エミ
ッション電流Ierに追従するように急激に増加する。し
かし、この切り換え点付近でのフィードバック制御で
は、検出エミッション電流Ieが、基準エミッション電
流Ierのステップ状の変化に完全には追従できずに、オ
ーバーシュートなどの過渡的な変動(ふらつき)を生じ
る。この不安定期間は0.5〜1秒程度である。
【0015】図9(B)は、圧力が下がっていく場合に
おける、エミッション電流の切り換え点付近の、圧力と
イオン電流との関係を拡大して示したグラフである。圧
力が10-4Torrになって基準エミッション電流が10μ
Aから100μAに切り替わると、検出イオン電流Ii
に大きなピーク50が観測される。このピーク50は、
主として、フィラメントのガス放出によるものである。
すなわち、エミッション電流を10倍にしたことでフィ
ラメント温度が上昇し、このフィラメントからのガス放
出とグリッドからのガス放出が一時的に増加するためで
ある。これにより、本来の圧力よりも大きな圧力(本来
の圧力の3倍程度に達することもある。)が観測されて
しまい、圧力降下時の連続的な圧力測定が妨げられてい
た。このガス放出の増加の影響は、上述の基準エミッシ
ョン電流の過渡的な変動による影響よりも長く続く。
【0016】圧力が上昇していく場合には、エミッショ
ン電流は大きな値から小さな値に切り替わるので、上述
のようなガス放出の増加は生じないが、基準エミッショ
ン電流がステップ的に変化することに伴う検出エミッシ
ョン電流の過渡的な変動は避けられない。したがって、
やはり、エミッション電流の切り換え直後の圧力測定は
不正確にならざるを得ない。
【0017】この発明は上述の問題点を解決するために
なされたものであり、その目的は、基準エミッション電
流のステップ状の切り換えをなくして、そのようなステ
ップ状の切り換えに起因する圧力測定の不安定性をなく
すことのできる電離真空計の制御装置を提供することに
ある。
【0018】
【課題を解決するための手段】この発明の電離真空計の
制御装置は、基準エミッション電流を変更する場合にお
いて、基準エミッション電流が不連続にならないように
している点に特徴がある。すなわち、本発明では、測定
可能なすべての圧力範囲において、基準エミッション電
流は、圧力の「連続関数」となっている。
【0019】本発明のひとつの態様は、測定球のエミッ
ション電流とイオン電流とを検出して、検出エミッショ
ン電流が基準エミッション電流に一致するようにフィラ
メント加熱電源を制御し、検出エミッション電流に対す
る検出イオン電流の比に基づいて圧力を求める電離真空
計の制御装置において、前記基準エミッション電流が、
測定圧力に応じて、次の(イ)〜(ニ)のように制御さ
れることを特徴としている。(イ)測定圧力が所定の上
限圧力より高いときは、基準エミッション電流は圧力に
依存せずに一定の下限エミッション電流となる。(ロ)
測定圧力が前記上限圧力よりも低い所定の下限圧力より
低いときは、基準エミッション電流は圧力に依存せずに
一定の上限エミッション電流となる。(ハ)測定圧力が
前記上限圧力から前記下限圧力までの範囲内にあるとき
は、基準エミッション電流は、前記下限エミッション電
流から前記上限エミッション電流までの範囲内で、圧力
が小さくなるにつれて連続的に大きくなるように変化す
る。
【0020】本発明の別の態様は、前記基準エミッショ
ン電流が、検出イオン電流の値に応じて、次の(イ)〜
(ニ)のように制御されることを特徴としている。
(イ)検出イオン電流が所定の第1イオン電流より大き
いときは、基準エミッション電流は検出イオン電流に依
存せずに一定の下限エミッション電流となる。(ロ)検
出イオン電流が前記第1イオン電流よりも小さい所定の
第2イオン電流より小さいときは、基準エミッション電
流は検出イオン電流に依存せずに一定の上限エミッショ
ン電流となる。(ハ)検出イオン電流が前記第1イオン
電流から前記第2イオン電流までの範囲内にあるとき
は、基準エミッション電流は、前記下限エミッション電
流から前記上限エミッション電流までの範囲内で、検出
イオン電流が小さくなるにつれて連続的に大きくなるよ
うに変化する。(ニ)前記(ハ)の特性において、検出
イオン電流が前記上限圧力に一致するときは基準エミッ
ション電流は前記下限エミッション電流に一致し、検出
イオン電流が前記下限圧力に一致するときは基準エミッ
ション電流は前記上限エミッション電流に一致する。
【0021】本発明のさらに別の態様は、前記基準エミ
ッション電流が、次の(イ)〜(ニ)のように制御され
ることを特徴としている。(イ)第1の圧力範囲では、
基準エミッション電流は圧力に依存せずに一定となる。
(ロ)第2の圧力範囲では、基準エミッション電流は圧
力が小さくなるにつれて連続的に大きくなるように変化
する。(ハ)測定可能な圧力範囲は、前記第1の圧力範
囲と前記第2の圧力範囲とからなる。(ニ)前記第1の
圧力範囲と前記第2の圧力範囲の境界では、第1の圧力
範囲における一定の基準エミッション電流と、第2の圧
力範囲における可変の基準エミッション電流とが等しく
なる。
【0022】これらのいずれの発明においても、基準エ
ミッション電流はステップ状に切り替わることがなくな
り、そのような切り換え点で生じていたエミッション電
流の不安定性(ふらつき)が解消した。また、圧力降下
時においては、フィラメントの急激な温度上昇によるガ
ス放出の増加がなくなり、エミッション電流切り換え時
の、圧力表示の一時的な急上昇もなくなる。
【0023】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1の実施形態の
構成図であり、その構成は図7に示した従来例と基本的
に同じである。したがって、図7における構成要素と同
じ部分には同じ符号を付けて、説明を省略する。図7と
違っている点は、基準エミッション電流Ierを発生する
ための基準信号発生回路40の機能にある。
【0024】図2は基準信号発生回路40の特性を示す
グラフである。いずれのグラフも、横軸と縦軸は対数目
盛になっている。図2(A)は横軸に圧力Pを、縦軸に
基準エミッション電流Ierをとったグラフである。圧力
が上限圧力Pa(=2×10-4Torr)以上では、基準エ
ミッション電流Ierは圧力に依存せずに一定の下限エミ
ッション電流Iea(=10μA)となる。また、圧力が
下限圧力Pb(=5×10-7Torr)以下では、基準エミ
ッション電流Ierは圧力に依存せずに一定の上限エミッ
ション電流Ieb(=1mA)となる。上限圧力Paと下
限圧力Pbの間では、基準エミッション電流Ierは圧力
Pに応じて連続的に変化する。すなわち、圧力Pが低下
するにつれて基準エミッション電流Ierは増加してい
く。
【0025】基準エミッション電流Ierが圧力Pに応じ
て連続的に変化する圧力範囲(PaからPbまでの圧力範
囲)では、圧力がPaに一致するときは基準エミッショ
ン電流Ierは上述の下限エミッション電流Ieaに一致す
る。また、この圧力範囲において、圧力がPbに一致す
るときは基準エミッション電流Ierは上述の上限エミッ
ション電流Iebに一致する。これにより、基準エミッシ
ョン電流Ierが一定となる圧力領域と、基準エミッショ
ン電流Ierが圧力に応じて変化する圧力領域との境界に
おいても、基準エミッション電流Ierがステップ状に切
り替わることはない。
【0026】なお、「上限圧力」及び「下限圧力」とい
う表現における「上限」及び「下限」の意味は、「基準
エミッション電流が圧力に応じて変化する圧力範囲」の
上限と下限を意味している。したがって、上限圧力より
も高い圧力や、下限圧力よりも低い圧力についても、こ
の真空計の測定範囲である。
【0027】また、「下限エミッション電流」及び「上
限エミッション電流」という表現における「下限」及び
「上限」の意味は、「基準エミッション電流が圧力に応
じて変化する圧力範囲」における基準エミッション電流
の上限と下限を意味している。ところで、「基準エミッ
ション電流が圧力に応じて変化する圧力範囲」よりも高
い圧力では、基準エミッション電流は圧力に依存せずに
下限エミッション電流に等しくなる。また、「基準エミ
ッション電流が圧力に応じて変化する圧力範囲」よりも
低い圧力では、基準エミッション電流は圧力に依存せず
に上限エミッション電流に等しくなる。したがって、こ
の実施形態では、基準エミッション電流は上限エミッシ
ョン電流から下限エミッション電流までの範囲内にあ
る。
【0028】図2(A)のグラフを見ると分かるよう
に、基準エミッション電流Ierは圧力Pの「連続関数」
となっている。すなわち、図8(A)に示すような基準
エミッション電流の切り換えポイント(基準エミッショ
ン電流がステップ状に切り替わるような特定の圧力)が
存在しない。
【0029】図2(B)は横軸に圧力Pを、縦軸にイオ
ン電流Iiをとったグラフである。圧力Pが下がってい
く場合を例にして説明すると、上限圧力Paより圧力が
高い領域では、圧力Pが下がるにつれて、圧力Pに比例
してイオン電流Iiも低下する。この領域ではエミッシ
ョン電流が一定(下限エミッション電流)に制御されて
いるから、イオン電流Iiは圧力Pに比例する。上限圧
力Paから下限圧力Pbまでの圧力範囲では、圧力Pが下
がるにつれてイオン電流Iiも低下しているが、その低
下の度合はゆるやかである。その理由は、この圧力範囲
では、圧力Pが下がるにつれてエミッション電流Ieが
増加していくからである。イオン電流Iiの変化する度
合は、圧力低下に伴うイオン電流Iiの減少傾向と、エ
ミッション電流Ieの増加に伴うイオン電流Iiの増加傾
向とが重なり合ったものになる。その結果、この実施形
態では、圧力Pが下がるにつれてイオン電流Iiはゆる
やかに減少している。
【0030】上限圧力Paにおけるイオン電流を第1イ
オン電流Iiaと呼ぶことにし、下限圧力Pbにおけるイ
オン電流を第2イオン電流Iibと呼ぶことにする。この
実施形態では、第1イオン電流Iia=12nA、第2イ
オン電流Iib=3nAである。
【0031】なお、図2のグラフの特性によっては、
「基準エミッション電流が圧力に応じて変化する圧力範
囲」において、圧力Pが下がるにつれてイオン電流Ii
がほぼ一定に保たれたり、むしろ、イオン電流Iiがゆ
るやかに増加したりするようにもできる。
【0032】図2(C)は横軸にイオン電流Iiを、縦
軸には基準エミッション電流Ierをとったグラフであ
る。イオン電流Iiが第1イオン電流Iiaより大きいと
きは基準エミッション電流Ierは一定の下限エミッショ
ン電流Ieaとなる。イオン電流Iiが第2イオン電流Ii
bより小さいときは基準エミッション電流Ierは一定の
上限エミッション電流Iebとなる。イオン電流Iiが第
1イオン電流Iiaから第2イオン電流Iibまでの範囲内
にあるときは、基準エミッション電流Ierは圧力に応じ
て変化し、その結果として、イオン電流Iiの変化につ
れて基準エミッション電流Ierが変化している。
【0033】図3はこの真空計の圧力降下時における、
圧力P、基準エミッション電流Ier、イオン電流Iiの
時間的変化を示すグラフである。横軸は時間tであり、
等間隔目盛である。
【0034】ところで、図2(C)のグラフでは、イオ
ン電流Iiのすべての数値範囲にわたって、イオン電流
Iiがひとつ決まると基準エミッション電流Ierが必ず
ひとつだけ定まるようになっている。すなわち、基準エ
ミッション電流Ierは、イオン電流Iiの1価関数とな
っている。イオン電流Iiと基準エミッション電流Ier
の関係がこのようになっている場合には、基準エミッシ
ョン電流Ierを、圧力に応じて変化させる(図1の圧力
演算回路32の出力信号33を基準信号発生回路40に
送る)代わりに、イオン電流Iiに応じて変化させる
(イオン電流検出回路30の出力信号31を基準信号発
生回路40に送る)ことができる。
【0035】図4は、このようにした第2の実施形態の
構成図である。この実施形態では、圧力演算回路32の
出力信号33は基準信号発生回路40に送られない。そ
の代わりに、イオン電流検出回路30の出力信号31が
基準信号発生回路40に送られる。そして、基準信号発
生回路40では、図2(C)に示すような特性となるよ
うに、イオン電流Iiに応じてエミッション電流Ierを
制御する。
【0036】図5は、図1に示す構成において、第1の
基準信号発生回路40の特性を変更したグラフである。
図5(A)は横軸に圧力Pを、縦軸に基準エミッション
電流Ierをとったグラフである。ここでは、上限圧力P
aを10-4Torrに設定し、下限圧力Pbを10-6Torrに設
定している。その他の点は、図2(A)と同じである。
この特性では、基準エミッション電流Ierの変化する圧
力範囲が図2(A)の場合よりも狭くなっているので、
圧力Pに応じてエミッション電流Ierが変化する度合が
大きくなっている。
【0037】図5(B)は横軸に圧力Pを、縦軸にイオ
ン電流Iiをとったグラフである。上限圧力Paのときの
イオン電流(第1イオン電流Iia)は6nAであり、一
方、下限圧力Pbのときのイオン電流(第2イオン電流
Iib)も6nAになっている。したがって、上限圧力P
aから下限圧力Pbまでの圧力範囲においてイオン電流I
iはほぼ一定である。ただし、基準エミッション電流Ie
rは図5(A)に示すように圧力Pに応じて変化するか
ら、基準エミッション電流Ierに対するイオン電流Ii
の比を求めれば、この値は、圧力に比例することにな
る。
【0038】図5(C)は横軸に検出イオン電流Ii
を、縦軸に基準エミッション電流Ierをとったグラフで
ある。下限エミッション電流Ieaから上限エミッション
電流Iebまで基準エミッション電流Ierが変化する間、
イオン電流Iiは6nAでほぼ一定である。このような
特性の場合には、イオン電流がIiが6nA付近のとこ
ろでは、イオン電流Iiが決まっても基準エミッション
電流Ierが一義的に定まらない。したがって、このよう
な特性を採用した場合には、図1の制御方法(圧力演算
回路32の出力信号33を基準信号発生回路40に入力
するような制御方法)は採用できても、図4の制御方法
(イオン電流検出回路30の出力信号31を基準信号発
生回路40に入力するような制御方法)はそのままでは
採用できない。そこで、図4の回路を利用するには、イ
オン電流検出回路30の出力信号31が一定になるよう
に基準エミッション電流をフィードバック制御すればよ
い。
【0039】図6は、図1に示す構成において、基準信
号発生回路40の特性をさらに別のものにしたグラフで
ある。図6(A)は圧力Pと基準エミッション電流Ier
の関係を示すグラフである。ここでは、上限圧力Paを
5×10-5Torrに設定し、下限圧力Pbを2×10-6Tor
rに設定している。その他の点は、図2(A)と同じで
ある。基準エミッション電流Ierが変化する圧力範囲が
図5(A)の場合よりもさらに狭くなっているので、圧
力に応じてエミッション電流が変化する度合がさらに大
きくなっている。
【0040】図6(B)は圧力Pとイオン電流Iiの関
係を示すグラフである。上限圧力Paのときのイオン電
流(第1イオン電流Iia)は3nAであり、一方、下限
圧力Pbのときのイオン電流(第2イオン電流Iib)は
12nAになっている。したがって、上限圧力Paから
下限圧力Pbまで圧力が低下していくと、イオン電流Ii
はむしろ増加していく。その理由は、圧力低下に応じて
基準エミッション電流Ierが大きく増加していくからで
ある。この場合でも、基準エミッション電流Ierに対す
るイオン電流Iiの比を求めれば、この値は、圧力Pに
比例して低下していくことになる。
【0041】図6(C)は検出イオン電流Iiと基準エ
ミッション電流Ierの関係を示すグラフである。下限エ
ミッション電流(10μA)から上限エミッション電流
(1mA)まで基準エミッション電流Ierが変化する間
に、イオン電流Iiは3nAから12nAまで増加して
いくことになる。一見すると、このグラフは、従来技術
における図8(C)のグラフに似ているように見える
が、両者は本質的には全く異なる。図8(C)のグラフ
では、例えば、基準エミッション電流が10μAから1
00μAに変化する現象は、同じ圧力(すなわち切り換
え圧力)において瞬間的に生じる。これを破線で示して
いる。すなわち、基準エミッション電流Ierは不連続に
切り替わる。これに対して、図6(C)のグラフでは、
圧力がPaからPbまで変化する間に(イオン電流がIia
からIibに変化する間に)、基準エミッション電流Ier
は連続的に変化していく。
【0042】この図6(C)のグラフは、図5(C)と
同様に、イオン電流が決まっても基準エミッション電流
は一義的に定まらない。この図6の特性を採用する場合
には、図1の制御方法(圧力演算回路32の出力信号3
3を基準信号発生回路40に入力するような制御方法)
だけを採用することになる。
【0043】
【発明の効果】この発明の電離真空計の制御装置は、基
準エミッション電流を変更する場合において、圧力に応
じて基準エミッション電流を連続的に変化させている。
これにより、基準エミッション電流がステップ状に切り
替わることがなくなり、そのような切り換え点で生じて
いたエミッション電流の不安定性(ふらつき)がなくな
った。また、圧力降下時においては、基準エミッション
電流の切り換えに起因するフィラメント温度の急激な上
昇がなくなり、大きなガス放出もなくなった。これらの
理由により、連続的な圧力測定が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成図である。
【図2】基準信号発生回路の特性を示すグラフである。
【図3】図2の特性を有する真空計の圧力降下時におけ
る、圧力と基準エミッション電流とイオン電流の時間的
変化を示すグラフである。
【図4】本発明の第2の実施形態の構成図である。
【図5】基準信号発生回路の特性を変更したグラフであ
る。
【図6】基準信号発生回路の特性をさらに別のものにし
たグラフである。
【図7】従来のB−Aゲージの構成図である。
【図8】従来のBーAゲージの特性を示すグラフであ
る。
【図9】従来のB−Aゲージにおけるエミッション電流
切り換え点付近の特性を拡大したグラフである。
【図10】従来のB−Aゲージの圧力降下時の時間的変
化を示すグラフである。
【符号の説明】
10 真空チャンバー 12 測定球 14 制御装置 16 フィラメント 18 グリッド 20 イオンコレクタ 22 フィラメント加熱電源 30 イオン電流検出回路 31 検出イオン電流 32 圧力演算回路 34 エミッション電流検出回路 35 検出エミッション電流 37 基準エミッション電流 38 差動増幅回路 39 指令信号 40 基準信号発生回路

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定球のエミッション電流とイオン電流
    とを検出して、検出エミッション電流が基準エミッショ
    ン電流に一致するようにフィラメント加熱電源を制御
    し、検出エミッション電流に対する検出イオン電流の比
    に基づいて圧力を求める電離真空計の制御装置におい
    て、 前記基準エミッション電流が、測定圧力に応じて、次の
    (イ)〜(ニ)のように制御されることを特徴とする電
    離真空計の制御装置。 (イ)測定圧力が所定の上限圧力より高いときは、基準
    エミッション電流は圧力に依存せずに一定の下限エミッ
    ション電流となる。 (ロ)測定圧力が前記上限圧力よりも低い所定の下限圧
    力より低いときは、基準エミッション電流は圧力に依存
    せずに一定の上限エミッション電流となる。 (ハ)測定圧力が前記上限圧力から前記下限圧力までの
    範囲内にあるときは、基準エミッション電流は、前記下
    限エミッション電流から前記上限エミッション電流まで
    の範囲内で、圧力が小さくなるにつれて連続的に大きく
    なるように変化する。 (ニ)前記(ハ)の特性において、測定圧力が前記上限
    圧力に一致するときは基準エミッション電流は前記下限
    エミッション電流に一致し、測定圧力が前記下限圧力に
    一致するときは基準エミッション電流は前記上限エミッ
    ション電流に一致する。
  2. 【請求項2】 測定球のエミッション電流とイオン電流
    とを検出して、検出エミッション電流が基準エミッショ
    ン電流に一致するようにフィラメント加熱電源を制御
    し、検出エミッション電流に対する検出イオン電流の比
    に基づいて圧力を求める電離真空計の制御装置におい
    て、 前記基準エミッション電流が、検出イオン電流の値に応
    じて、次の(イ)〜(ニ)のように制御されることを特
    徴とする電離真空計の制御装置。 (イ)検出イオン電流が所定の第1イオン電流より大き
    いときは、基準エミッション電流は検出イオン電流に依
    存せずに一定の下限エミッション電流となる。 (ロ)検出イオン電流が前記第1イオン電流よりも小さ
    い所定の第2イオン電流より小さいときは、基準エミッ
    ション電流は検出イオン電流に依存せずに一定の上限エ
    ミッション電流となる。 (ハ)検出イオン電流が前記第1イオン電流から前記第
    2イオン電流までの範囲内にあるときは、基準エミッシ
    ョン電流は、前記下限エミッション電流から前記上限エ
    ミッション電流までの範囲内で、検出イオン電流が小さ
    くなるにつれて連続的に大きくなるように変化する。 (ニ)前記(ハ)の特性において、検出イオン電流が前
    記上限圧力に一致するときは基準エミッション電流は前
    記下限エミッション電流に一致し、検出イオン電流が前
    記下限圧力に一致するときは基準エミッション電流は前
    記上限エミッション電流に一致する。
  3. 【請求項3】 測定球のエミッション電流とイオン電流
    とを検出して、検出エミッション電流が基準エミッショ
    ン電流に一致するようにフィラメント加熱電源を制御
    し、検出エミッション電流に対する検出イオン電流の比
    に基づいて圧力を求める電離真空計の制御装置におい
    て、前記基準エミッション電流が、次の(イ)〜(ニ)
    のように制御されることを特徴とする電離真空計の制御
    装置。 (イ)第1の圧力範囲では、基準エミッション電流は圧
    力に依存せずに一定となる。 (ロ)第2の圧力範囲では、基準エミッション電流は圧
    力が小さくなるにつれて連続的に大きくなるように変化
    する。 (ハ)測定可能な圧力範囲は、前記第1の圧力範囲と前
    記第2の圧力範囲とからなる。 (ニ)前記第1の圧力範囲と前記第2の圧力範囲の境界
    では、第1の圧力範囲における一定の基準エミッション
    電流と、第2の圧力範囲における可変の基準エミッショ
    ン電流とが等しくなる。
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