JPH1182977A - フロンの分解方法及びそれに用いる分解処理装置 - Google Patents

フロンの分解方法及びそれに用いる分解処理装置

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JPH1182977A
JPH1182977A JP9257507A JP25750797A JPH1182977A JP H1182977 A JPH1182977 A JP H1182977A JP 9257507 A JP9257507 A JP 9257507A JP 25750797 A JP25750797 A JP 25750797A JP H1182977 A JPH1182977 A JP H1182977A
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gas
freon
combustion
chlorofluorocarbon
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JP9257507A
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Kishun Kin
▲煕▼濬 金
Hiroharu Fujii
宏東 藤井
Masao Kobayashi
征夫 小林
Katsuo Mori
勝男 森
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KYOUEISHA KK
Original Assignee
KYOUEISHA KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フロン又は混合物に含有されるフロンの全量
を完全に分解する方法及びれそに用いる分解処理装置を
提供する。 【解決手段】 フロン−12、フロン−11等のフロ
ン、メタン、プロパン等の直鎖炭化水素などの助燃剤及
び空気等の酸素を含む気体を予め混合し、これを燃焼さ
せる。この燃焼によって直鎖炭化水素は分解し、分子の
解離が進み、各種のラジカルが生成する。また、この燃
焼ガスをニクロム線等からなる通電発熱体と接触させる
ことにより、更に各種のラジカルが生成し、これらのラ
ジカル等と昇温効果とにより、フロンの燃焼、分解がを
促進され、フロンの全量が完全に分解処理される。尚、
排ガスを水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアル
カリ水溶液と接触させ、処理することにより、塩化水
素、フッ化水素等の有害な化合物を塩化ナトリウム、フ
ッ化ナトリウム等の無害な化合物とすることもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フロン又はフロン
を含有する気体、助燃剤及び酸素を含む気体を予め混合
し、この混合ガス、特に助燃剤を燃焼させ、その燃焼熱
及び生成するラジカルによって、フロンの燃焼、分解を
促進する方法であって、燃焼ガスを特定の通電発熱体と
接触させることにより、フロンをより確実に燃焼、分解
させる方法に関する。また、本発明は、簡易な構造であ
って、小型、計量であり、処理を必要とするフロン又は
フロンを含有する気体のある場所に容易に搬送すること
ができ、現地にてフロンを燃焼、分解し、処理すること
ができる分解処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】フロンは極めて安定な化合物であり、冷
媒、発泡剤、洗浄剤等、広範な用途において使用されて
いる。しかし、このフロンは、地球規模の深刻な環境問
題となっている成層圏におけるオゾン層の破壊をもたら
す物質であり、1995年以降、生産が中止されてい
る。しかし、これまでに生産され、使用されている大量
のフロンはこれを回収し、再利用或いは分解処理する必
要がある。
【0003】しかし、フロンは不燃性であり、たとえ酸
素と反応したとしても吸熱反応であり、燃焼によって分
解し、処理することは、通常、困難である。還元法或い
は加水分解法によれば原理的には分解可能であるが、こ
れらの方法は水素又は水との反応であって、外部から相
当に加熱しないと反応は進まず、実用的ではない。ま
た、フロンの生産中止にともなって生産が開始された代
替フロンは、フロンに比べればオゾン破壊の作用は小さ
いが、まったくオゾンを破壊しないというわけではな
い。更に、代替フロンは対流圏で分解され、酸性雨の原
因物質を生成するとの問題もあり、フロン同様に回収
し、分解処理する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決するものであり、燃焼容器内に配設される通電発熱
体と燃焼ガスとを接触させることにより、燃焼しつつあ
る助燃剤の分解及び分子の解離を引き起こし、燃焼熱と
生成する各種のラジカルによってフロンの分解を促進
し、フロンを完全に燃焼させ、分解させることができる
フロンの分解方法を提供することを課題とする。本発明
の分解方法によれば、不完全燃焼等による副生物の生成
もまったくない。また、本発明は、小型、軽量であっ
て、処理現場へ容易に搬送することができ、且つ効率よ
く、完全にフロンを燃焼、分解させることができるフロ
ンの分解処理装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1発明のフロンの分解
方法は、フロン又はフロンを含有する気体、助燃剤及び
酸素を含む気体を混合した後、得られる混合ガスを燃焼
させ、燃焼しつつある該混合ガスを通電発熱体と接触さ
せ、上記フロンを燃焼させつつ分解することを特徴とす
る。
【0006】上記「フロン」としては、CCl22(フ
ロン−12)、CCl3F(フロン−11)、CCl2
CCl22(フロン−113)、CClF2CClF
2(フロン−114)、CClF2CF3(フロン−11
5)及びCClF2(フロン−22)等が挙げられる。
また、上記「フロンを含有する気体」としては、フロン
に塩素系或いは非塩素系の有機化合物又は空気等が混在
する気体が挙げられる。このフロンを含有する気体で
は、フロンの含有量が1モル%以上、特に5モル%以
上、更には10モル%以上であることが好ましい。この
ようにフロンの量比が高い気体であれば、より効率よく
フロンを燃焼、分解させることができる。また、液体が
混在している場合は、この液体を予め加熱して気化させ
た後、他の成分と混合することができる。
【0007】上記「助燃剤」としては、水素又はメタ
ン、プロパン、エチレン及び天然ガス等の炭化水素を使
用することができる。また、液化プパンガス、液化天然
ガス等の液化ガスを用いることもできる。更に、メタノ
ール、エタノール等の低級アルコール類の他、各種のケ
トン、エーテル等の有機溶剤、或いは軽油、灯油、重油
等の燃料などを使用することもできる。助燃剤が常温で
液体である場合は、加熱によって気化させた後、他の成
分と混合して混合ガスを調製する。
【0008】上記「酸素を含む気体」としては、空気、
空気の酸素の濃度を高めた気体或いは酸素を用いること
ができる。フロンの燃焼、分解を促進するためには、よ
り酸素の濃度の高い気体を使用することが好ましく、処
理効率の観点のみからは酸素を使用することが好まし
い。しかし、酸素は危険性が高いため、実用性と安全性
のうえからは空気の酸素の濃度を高めた気体の使用が好
ましいといえる。この空気の酸素の濃度を高めた気体と
しては、通常、酸素の濃度が21体積%を越え、60体
積%程度までのものが提供されており、これをそのまま
用いることができる。また、本発明においては、空気を
使用した場合であっても、フロンを十分に燃焼、分解す
ることができる。
【0009】上記の3種類の成分を予め十分に混合し、
上記「混合ガス」を調製し、これを燃焼させる。点火の
方法は限定されず、火花放電或いはニクロム線への通電
等によって行うことができる。また、本発明は、この混
合ガスを燃焼させつつ、上記「通電発熱体」に接触させ
ることを最も大きな特徴とする。この通電発熱体は特に
限定はされず、燃焼しつつある混合ガスが接触した場合
に、助燃剤の分解及び分子の解離が迅速に、且つ十分に
行われる程度に高い表面温度を有するものが好ましい。
【0010】通電発熱体の表面の温度は助燃剤の分子の
80モル%以上、特に90モル%が分解し、解離する程
度に高いことがより好ましい。この通電発熱体として
は、通電により発熱、昇温する抵抗体、特にニクロム線
の使用が好ましい。ニクロム線は耐食性に優れ、安価で
あって、入手が容易であり、本発明における通電発熱体
の用途に好適である。このニクロム線としては市販のコ
イル状のものをそのまま用いることができる。また、そ
れ自体の発熱による表面の最高温度は、組成によって異
なるが900〜1200℃程度であり、このような通電
発熱体によって助燃剤の分解、解離は十分に促進され
る。
【0011】通電発熱体との接触によって分解及び分子
の解離が進み易い助燃剤としては、第2発明のように
「混合時に気体状の直鎖炭化水素」が挙げられる。この
直鎖炭化水素は、燃焼しつつ通電発熱体に接触し、この
発熱体から放射される電子及び温度の作用によって、そ
の分子の90モル%以上が分解し、解離して、Hラジカ
ル、OHラジカル、CHxラジカル等が生成する。これ
らのラジカルが、特に通電発熱体の表面近傍において、
混在するフロンの分解反応を促進し、フロンの分解率が
大きく上昇して、フロンは完全に燃焼し、分解され、且
つ不完全燃焼等による副生物の生成もまったくない。
【0012】また、助燃剤として直鎖炭化水素を使用し
た場合、直鎖炭化水素1モルに対するフロンのモル比を
0.4〜1.8、特に第3発明のように「1.0〜1.
8」の量比で混合し、処理することができる。本発明に
おいては、このようにフロンを高い量比で混合しても、
フロンの全量を完全に燃焼、分解させ、処理することが
できる。一方、混合ガスを燃焼させただけで、通電発熱
体と接触させなかった場合は、その量比にかかわらず、
フロンの全量を完全に燃焼、分解することはできない。
このように、本発明においては、燃焼しつつある混合ガ
スを通電発熱体と接触させることにより、一時に多量の
フロンを完全に処理することができ、フロンを非常に効
率よく燃焼、分解させ、処理することができる。
【0013】尚、本発明においては、上記のように混合
ガスを燃焼させ、通電発熱体と接触させることにより、
フロンを容易に燃焼、分解させ、処理することができる
が、第4発明のように、混合ガスに更に酸素を含むガス
を供給し、混合した後、燃焼させることもできる。この
ように酸素を含むガスを追加供給する場合、この追加供
給量は、酸素量を基準として、混合ガスに混合させた酸
素を含むガスの量を1とした場合に、0.3〜0.5、
特に0.35〜0.45程度とすることができる。
【0014】第4発明のフロンの分解処理装置は、フロ
ン又はフロンを含有する気体、助燃剤及び酸素を含む気
体を混合し、混合ガスを調製する混合容器と、該混合ガ
スを燃焼させるための燃焼容器とにより構成され、上記
混合容器には、上記フロン又はフロンを含有する気体、
上記助燃剤及び上記酸素を含む気体を供給するための供
給管が取り付けられており、上記燃焼容器の一端部近傍
には、上記混合ガスを燃焼させるためのバーナーが取り
付けられ、他端部近傍には、燃焼、分解した後の排ガス
を上記燃焼容器から排出するための排出管が取り付けら
れ、且つ上記バーナーと上記排出管との間には、燃焼ガ
スを接触させることにより、該燃焼ガスに含まれるフロ
ンの燃焼、分解を促進するための通電発熱体が配設され
ていることを特徴とする。
【0015】混合ガスの調製は、上記「混合容器」にフ
ロン又はフロンを含有する気体、助燃剤及び酸素を含む
気体を供給し、これらを攪拌翼等によって十分に攪拌
し、混合することによって行うことができる。これら3
種類の成分は均一に分散、混合することが好ましく、分
散が不十分であるとフロンの分解率が低下することがあ
る。各成分の混合容器への供給は、1本の上記「供給
管」から順次行ってもよいし、3本の供給管を設け、そ
れぞれの供給管から同時に供給してもよい。また、1本
の供給管から順次供給する場合、3種類の成分の供給の
順序は特に問わない。
【0016】各成分を混合容器へ順次供給する場合は、
所定量比で混合容器に供給された3成分を攪拌、混合し
た後、バーナー等に供給して燃焼させる。従って、この
方法ではフロンの燃焼、分解は間欠的となり、処理効率
のうえからは好ましくない。一方、3成分をそれぞれの
供給管から同時に供給する場合は、所定量比の各成分の
供給、混合容器における混合及び燃焼、分解を連続的に
行うことができ、処理効率の面からは好ましい。但し、
混合容器において十分に均一に分散、混合させる点に留
意する必要がある。
【0017】尚、フロン又はフロンを含有する気体は、
その原料には液体又は固体が含まれていてもよく、予め
加熱して気化し得る成分をフロン又はフロンを含有する
気体として混合容器に供給すればよい。また、助燃剤も
常温で液体である場合は、予め加熱して気化させた後、
混合容器へ供給することができる。各成分はコンプレー
サー等により適宜加圧することによって容易に混合容器
に供給することができる。また、各成分の流量は流路の
中間に流量計を取り付ける等の手段によって、容易に調
整することができる。
【0018】この分解処理装置は大気に開放状態とする
こともできるが、フロン又はフロンを含有する気体、助
燃剤及び酸素を含む気体は、いずれも気体状であるた
め、密閉状態の装置とすることが好ましい。また、フロ
ンの燃焼、分解は、常温、常圧で行うこともできるし、
密閉状態の装置とし、2〜10気圧、特に5〜10気圧
程度の加圧状態で燃焼、分解させることもできる。ま
た、バーナーから通電発熱体を含む全反応領域を800
℃程度の高温にすれば、より効率的に処理することがで
きる。しかし、装置は耐圧性を要し、操作にも注意を要
するため、処理効率と、装置のコスト、安全性等とを併
せ考え、適宜の温度、圧力に設定することが好ましい。
【0019】上記「燃焼容器」は、その材質、形状及び
寸法等は特に限定はされない。材質としては、フロン、
助燃剤等の燃焼、分解時の高温に耐えられだけの耐熱性
があればよく、耐熱性セラミックス、ステンレス鋼等の
金属などが好適である。また、容器の壁厚はフロンの燃
焼、分解時の圧力によって、この圧力に耐えられるだけ
の適宜の厚さとすればよい。形状は任意断面形状の中空
の長尺体が好ましく、通常、断面円形の円筒状の容器を
用いる。寸法は処理を要するフロンの量によって適宜設
定すればよいが、本発明では非常にフロンの処理効率が
高いため、内径が数cmから数十cmであって、長さが
数十cmから1〜2m程度のものであっても、十分に実
用に供することができる。
【0020】この燃焼容器の一端部近傍、通常、下端部
近傍には、混合ガスを燃焼させるための上記「バーナ
ー」が取り付けられている。このバーナーとしては、特
に助燃剤を所定の燃焼速度で燃焼することができるもの
であれば、その構造、性能等は限定されない。このバー
ナーにおいて、連通する混合容器から送られてくる混合
ガスに点火され、助燃剤の燃焼が始まる。
【0021】このフロンを含む燃焼ガスは、燃焼容器内
を移動し、通常は上昇して、通電発熱体と接触し、燃焼
熱と生成するラジカルによってフロンの燃焼、分解が引
き起こされ、促進される。また、通電発熱体は、燃焼容
器内のバーナーと、燃焼容器の他端部近傍、通常、上端
部近傍に取り付けられている排ガスを排出するための上
記「排出管」との中間に配設されるが、燃焼容器の壁面
には接触させず、図6のように容器上部から吊設して、
配設することが好ましい。このようにすれば、通電発熱
体の全表面に燃焼ガス等が接触することになり、フロン
がより効率的に燃焼、分解される。
【0022】この通電発熱体としては、高温でも酸化さ
れ難く、耐食性に優れるニクロム線が好ましいことは前
記の通りであるが、このニクロム線は酸化性、酸性の高
温雰囲気においては脆化する傾向にある。そのため、助
燃剤等の分解、解離の作用が低下するほどに脆化しない
うちに取り替えることが好ましい。また、ニクロム線は
コイル状のものをそのまま使用することができ、図6の
ように、ニクロム線のみを吊設してもよいし、棒状等の
適宜の形状の電気絶縁体にニクロム線を巻回したもの吊
設するようにしてもよい。尚、通電発熱体としては線状
等のタンタル、タングステンテンなどを用いることもで
きる。
【0023】フロンは有機ハロゲン化合物であり、燃焼
させた場合に塩化水素及びフッ化水素が発生することは
避けられない。そのため、燃焼、分解後の排ガスをその
まま大気中に放出することはできず、これらを排ガスか
ら除去する必要がある。この排ガスの除去は、第6発明
のように、燃焼容器の他端部、通常は上端部に設けられ
た排出管に接続された上記「排ガス処理装置」によって
行うことができる。この排ガス処理装置の処理能力は、
フロンの分解処理装置の処理能力によって適宜に設計す
ることができる。
【0024】排ガス処理装置においては、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カルシウム等を含むアルカリ性の水溶液
と、排ガスとを接触させることにより、排ガスの浄化を
行う。この水溶液の濃度は0.01〜10N、特に0.
5〜2N程度とすることができる。水溶液をこの範囲の
濃度とすれば、効率よく反応が進み、塩化水素等を無害
な化合物に変化させることができる。アルカリとして水
酸化ナトリウムの水溶液を使用した場合は、塩化水素は
塩化ナトリウムに、フッ化水素はフッ化ナトリウムにそ
れぞれ変化し、いずれも無害な化合物となる。また、水
酸化カルシウムの水溶液を用いた場合は、塩化水素は塩
化カルシウムとなり、これは肥料としても使用されてい
る安全な化合物である。一方、フッ化水素はフッ化カル
シウムとなるが、これは蛍石ともいわれ、宝石の一種と
して知られており、安全なものである。
【0025】本発明のフロンの分解処理装置は、構造が
簡易であり、且つ小型、軽量である。また、コンプレッ
サー、ボンベ或いは排ガス処理装置等、付属する機器等
を含めても、小型のトラック等で容易に搬送することが
できる。そのため、従来のように処理すべきフロン等を
全国にも数少ない処理工場に運び込んで処理する必要は
なく、処理装置自体を所定地に搬送して処理することが
でき、この点において本発明のフロンの分解処理装置は
極めて有用である。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明、特に通電発熱体の
作用を実施例、比較例によって詳しく説明する。(1)
図6に示す通電発熱体が配設された燃焼装置を用いた実
験例 直径20mm、長さ70cmの耐熱セラミックス製の燃
焼容器を用い、この容器の底部に設けられた混合容器
に、フロン−12、プロパンガス及び空気を同時に、且
つ連続的に供給した。フロン−12の量比は、プロパン
ガス1モルに対して0.4〜1.9モルの範囲で変化さ
せた。また、フロン−12及びプロパンガスに含まれる
可燃性の元素、即ち、炭素と水素を燃焼させるのに必要
な理論量の酸素を含む空気を供給した。尚、この可燃性
の元素と酸素との量比は必ずしも理論量とする必要はな
く、0.8〜1.3程度の範囲とすることもできる。
【0027】バーナーは先端開口部の直径が6.25m
mのものを用い、混合ガスの点火はバーナーの直上に配
設されたニクロム線に通電、昇温させることによって行
った。通電発熱体としては市販のコイル状のニクロム線
を使用し、図6のように燃焼容器の中間部に吊設した。
このニクロム線は、フロン−12とプロパンガスとのモ
ル比を変えた実験毎に電力が500〜750W程度の新
しいものと取り替えた。また、排ガスは図6に示す分解
処理装置の排出部に接続された排ガス処理装置に移送
し、処理した。
【0028】フロン−12の分解率を図1に示す。ま
た、プロパンガスに対するフロン−12のモル比が1.
0である場合の、浄化処理した後の排ガスの質量分析計
(GCMS)による分析結果を図2に示す。尚、プロパ
ンガスに対するフロン−12のモル比が異なる他の実験
例の場合も、モル比が1.0以下であれば、この非常に
感度の高いGCMSによる分析であっても結果は同様で
あった。
【0029】図1の結果によれば、プロパンガスに対す
るフロン−12のモル比が0.4〜1.8の全範囲にお
いて、フロン−12は完全に分解していることが分か
る。また、プロパンガスに対するフロン−12のモル比
が1.9と高くなった場合は、分解率が低下する。更
に、図2の結果によれば、OH、H2O、HF、N2、
O2及びCO2は検出されているが、フロン−12はま
ったく検出されておらず、フロン−12が完全に燃焼、
分解し、処理されていることが分かる。また、アセチレ
ン、ベンゼン、煤等の不完全燃焼により生成する不安定
な物質の生成もまったくみられなかった。
【0030】(2)通電発熱体が配設されていない燃焼
装置を用いた実験例 ニクロム線からなる通電発熱体を配設しなかった以外は
同様の分解処理装置を用い、フロン−12とプロパンガ
スとのモル比を変えてフロン−12の燃焼、分解処理を
行った。フロン−12の分解率を図3に示す。また、プ
ロパンガスに対するフロン−12のモル比が1.0であ
る場合の、浄化処理した後の排ガスのGCMSによる分
析結果を図4に示す。尚、プロパンガスに対するフロン
−12のモル比が異なる他の実験例の場合も、このGC
MSによる分析結果は同様であった。
【0031】図3の結果によれば、プロパンガスに対す
るフロン−12のモル比が0.4〜1.8の範囲におい
て、フロン−12の分解率は97〜98%となってお
り、完全には分解されていないことが分かる。また、プ
ロパンガスに対するフロン−12のモル比が1.9と高
くなった場合は、(1)の場合と同様に分解率がより低
下する。更に、図4の結果によれば、OH、H2O、H
F、N2、O2及びCO2も検出されているが、フロン
−12も明らかに検出されており、フロン−12が完全
に燃焼、分解し、処理されていないことが分かる。ま
た、不完全燃焼によるアセチレン、ベンゼン、煤等の
他、同定のできない多くの副生物の生成が観察された。
【0032】(3)フロン−12、プロパンガス及び空
気を予め混合しない実験例 通電発熱体としてのニクロム線は用いたものの、フロン
−12とプロパンガスのみを予め混合し、この混合ガス
がバーナーに供給される直前において空気を混合した他
は(1)と同様にしてフロン−12の分解、処理を行っ
た。その結果、図5に示すように、フロン−12が完全
に分解されるのは、プロパンガスに対するフロン−12
の量比が0.7モル程度までであり、その後、分解率は
急激に低下していることが分かる。このように、3種類
の成分を予め混合しない場合は、処理効率が低下するこ
とが分かる。
【0033】(4)予め混合し、この混合ガスに更に空
気を追加供給した実験例 通電発熱体としてのニクロム線を用い、フロン−12、
プロパンガス及び空気を予め混合し、この混合ガスがバ
ーナーに供給される直前において、予め混合した空気量
の2/3(体積比)の空気を追加して混合した他は
(1)と同様にしてフロン−12の分解、処理を行っ
た。その結果、図5に示すように、プロパンガスに対す
るフロン−12の量比が1.7モル程度まで、フロン−
12は完全に分解され、その後、分解率は急激に低下し
ていることが分かる。このように、(1)の場合とほぼ
同様の結果となっており、空気を追加して供給すること
による相乗効果はないようである。
【0034】
【発明の効果】第1発明のフロンの分解方法によれば、
フロン又はフロンを含有する気体と、炭化水素等の助燃
剤と、空気等の酸素を含む気体とを、予め混合した後、
燃焼させ、且つ燃焼ガスをニクロム線等からなる通電発
熱体と接触させることにより、フロンの全量を完全に分
解し、処理することができる。また、フロンが完全に分
解、処理されるとともに、不完全燃焼等による副生物の
生成もまったくない。
【0035】更に、第4発明のフロンの分解処理装置
は、簡易な構造であって、小型、軽量であり、且つ効率
よくフロンを分解、処理することができる。この分解処
理装置は、処理を要するフロンが存在する現場に装置自
体を運び込んで処理することができ、この点においても
非常に有用な装置である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフロンの分解方法において、プロパン
に対するフロン−12の量比を変化させた場合のフロン
−12の分解率を示すグラフである。
【図2】図1において、プロパンに対するフロン−12
の量比が1.0である場合のGCMSによる分析結果を
示すチャートである。
【図3】高温体との接触によるフロン−12の分解の促
進をせず、プロパンに対するフロン−12の量比を変化
させた場合のフロン−12の分解率を示すグラフであ
る。
【図4】図3において、プロパンに対するフロン−12
の量比が1.0である場合のGCMSによる分析結果を
示すチャートである。
【図5】本発明のフロンの分解方法、混合ガスに更に空
気を追加供給した本発明のフロンの分解方法及び3種類
の成分を予め混合しなかった分解方法における、プロパ
ンに対するフロン−12の量比を変化させた場合のフロ
ン−12の分解率を比較して示すグラフである。
【図6】本発明のフロンの分解処理装置の断面を示す模
式図である。
【符号の説明】
1;混合容器、11;フロン又はフロンを含有する気体
等の供給管、2;燃焼容器、21;バーナー、22;排
出管、23;酸素を含む気体の追加供給管、3;ニクロ
ム線からなる高温体、31;碍子、32;リード線。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 征夫 愛知県豊川市美幸町1丁目26番地 株式会 社共栄社内 (72)発明者 森 勝男 愛知県豊川市美幸町1丁目26番地 株式会 社共栄社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フロン又はフロンを含有する気体、助燃
    剤及び酸素を含む気体を混合した後、得られる混合ガス
    を燃焼させ、燃焼しつつある該混合ガスを通電発熱体と
    接触させ、上記フロンを燃焼させつつ分解することを特
    徴とするフロンの分解方法。
  2. 【請求項2】 上記助燃剤が混合時に気体状の直鎖炭化
    水素である請求項1記載のフロンの分解方法。
  3. 【請求項3】 上記フロンの上記気体状の直鎖炭化水素
    に対するモル比が1.0〜1.8である請求項1又は2
    記載のフロンの分解方法。
  4. 【請求項4】 上記混合ガスに酸素を含むガスを更に供
    給する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフロンの
    分解方法。
  5. 【請求項5】 フロン又はフロンを含有する気体、助燃
    剤及び酸素を含む気体を混合し、混合ガスを調製する混
    合容器と、該混合ガスを燃焼させるための燃焼容器とに
    より構成され、上記混合容器には、上記フロン又はフロ
    ンを含有する気体、上記助燃剤及び上記酸素を含む気体
    を供給するための供給管が取り付けられており、上記燃
    焼容器の一端部近傍には、上記混合ガスを燃焼させるた
    めのバーナーが取り付けられ、他端部近傍には、燃焼、
    分解した後の排ガスを上記燃焼容器から排出するための
    排出管が取り付けられ、且つ上記バーナーと上記排出管
    との間には、燃焼ガスを接触させることにより、該燃焼
    ガスに含まれるフロンの燃焼、分解を促進するための通
    電発熱体が配設されていることを特徴とするフロンの分
    解処理装置。
  6. 【請求項6】 上記排出管が、排ガス処理装置に接続さ
    れている請求項5記載のフロンの分解処理装置。
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