JP2004313999A - ハロゲン化物の分解方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決課題】難分解性ハロゲン化物の分解効率を低下させず、窒素酸化物の生成を抑制し、総合的な環境負荷低減に資することができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】難分解性ハロゲン化物及び窒素を含む被処理対象物と添加剤を所定の量で混合し、得られた混合ガスをプラズマ化する。このとき、添加剤を、混合ガス中での炭素原子数と酸素原子数とがほぼ同数になり且つハロゲン元素の原子数に対し水素原子数が同数以上になるような組成及び量で供給する。
【選択図】 図1
【解決手段】難分解性ハロゲン化物及び窒素を含む被処理対象物と添加剤を所定の量で混合し、得られた混合ガスをプラズマ化する。このとき、添加剤を、混合ガス中での炭素原子数と酸素原子数とがほぼ同数になり且つハロゲン元素の原子数に対し水素原子数が同数以上になるような組成及び量で供給する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化物の分解方法及び装置に関し、特に、窒素源が共存するハロゲン化物のプラズマ分解において、窒素酸化物を生成せずにハロゲン化物を効果的に分解することができる分解方法及び装置に関する。本発明のハロゲン化物のプラズマ分解方法及び装置は、特に、半導体製造装置などから排出される難分解性のパーフルオロカーボン、NF3及びSF6などのフッ素化合物(以下、総称して「パーフルオロ化合物(PFC:perfluoro compound)」という)などのハロゲン化物と、窒素源とが共存する被処理分解物の分解に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】
分子内にフッ素、塩素、臭素等のハロゲン元素を含むクロロフルオロカーボン(フロン)、ハロン、パーフルオロメタン及びパーフロオロエタンなどのパーフルオロカーボン、三フッ化窒素(NF3)及び六フッ化硫黄(SF6)などのフッ素化合物などに代表されるハロゲン化物は、冷媒、溶剤など幅広い産業用途を有し、特に半導体製造プロセスにおける薄膜形成のための化学蒸着(CVD)装置などのドライクリーニングや、ドライエッチング処理に多用されている。
【0003】
しかし、これらハロゲン化物は、難分解性であり、ひとたび自然環境中に放出されると、長期間にわたり安定に存在し、発ガン性物質の生成、オゾン層の破壊、地球温暖化物質の生成など、自然環境に悪影響を与えることが知られている。特に、パーフルオロカーボンは、非常に安定した物質で、大気中の寿命は2600〜50000年と非常に長く、地球温暖化防止京都会議(COP3:1997年12月)において、HFC、SF6とともに排出抑制対象とされた。パーフルオロカーボンは、二酸化炭素を基準(1)として地球に及ぼす地球温暖化の効果を相対的に示す数値である地球温暖化係数(Global Warming Potential)が6500〜9200(地球温暖化対策の推進に関する法律施行令第2条)と非常に大きく、排出削減が強く求められている。
【0004】
これまで、半導体製造プロセスで発生するパーフルオロ化合物(PFC)などの排ガス処理方法として、乾式吸着吸収、湿式吸収、加熱分解、触媒による接触転化、触媒酸化燃焼、直接燃焼、プラズマ分解などの処理方法が開発されている。このうち、プラズマ分解法がパーフルオロ化合物に対して最も効果的であると考えられている。プラズマ分解法としては、プラズマ中でハロゲン化物を水蒸気と反応させて、二酸化炭素及びハロゲン化水素に分解するものと、酸素と反応させて二酸化炭素とハロゲンに分解する方法が一般的に利用されている。しかし、半導体製造プロセスではドライポンプに大量の窒素を使用することから、半導体製造プロセスで発生する排ガス中には窒素を含むことが多い。窒素は、高温条件下では、酸素と反応して多量の窒素酸化物(NOx)を生成する。パーフルオロ化合物のプラズマ分解、特に大気圧平衡プラズマ分解処理では、超高温条件(3000℃〜6000℃程度)が用いられるので、非常に多量の窒素酸化物(NOx)が形成されてしまう、という問題がある。
【0005】
例えば、CF4と水との反応は、下記式(1)
【0006】
【化1】
【0007】
で示される。しかし、プラズマ反応のような超高温条件下では、下記式(2)
【0008】
【化2】
【0009】
の平衡反応が右側に偏るため、酸素が消費されずに残る。この残った酸素が、反応雰囲気中に窒素が存在する場合には、窒素と反応して窒素酸化物(NOx)を生成させると考えられる。したがって、例えばパーフルオロ化合物などハロゲン化物に水又は水蒸気のみを添加してプラズマ分解する方法では、ハロゲン元素をすべてハロゲン化水素に転化させようとすると、酸素が過剰になり、窒素酸化物(NOx)の生成を避けることができない、という問題が残る。
【0010】
窒素酸化物(NOx)の生成を抑制するためには、一般的に、燃焼室の温度を下げる方法が採用されている。しかし、パーフルオロ化合物などの難分解性物質のプラズマ分解方法において、プラズマ反応部の温度を下げると、パーフルオロ化合物などの分解率が著しく低下してしまうので実用的ではない。
【0011】
また、自動車排ガスからの窒素酸化物(NOx)の生成抑制法として、三元触媒などの触媒を利用する方法が開発されている。しかし、半導体製造プロセスで発生するハロゲン元素を多量に含む排ガスの処理に応用するには、耐ハロゲン性の高い触媒系が必要となり、このような触媒系を構成することは非常に困難である。
【0012】
近年、自動車排ガス中の窒素酸化物の排出低減技術が著しく改良されている一方で、パーフルオロ化合物などの難分解性ハロゲン化物の分解装置からの窒素酸化物の排出低減技術は提案されていない。そのため、地球温暖化ガスを分解できたとしても総合的な環境負荷低減は達成されていないのが実状である。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−232181号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、難分解性であるパーフルオロ化合物などのハロゲン化物の分解効率を低下させず、窒素酸化物の生成を抑制し、総合的な環境負荷低減に資することができる技術を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、被処理対象物に対して適切な量の酸素及び水素を含有する雰囲気中でプラズマを作用させることにより、窒素酸化物の生成を抑制しながらパーフルオロ化合物などのハロゲン化物を分解する方法及び装置が提供される。
【0016】
本発明者らは、鋭意研究した結果、パーフルオロ化合物などのハロゲン化物及び窒素源を含む被処理対象物に対して、酸素原子、水素原子及び炭素原子を所定比率で存在させて、プラズマを作用させることにより、ハロゲン化物を一酸化炭素、二酸化炭素及びハロゲン化水素に効率よく分解すると共に、窒素酸化物の生成を抑制できることを知見した。
【0017】
本発明者らは、CF4に対して酸素と水素とを添加して、フッ素をすべてHFに転化させ、炭素をCOにとどめることが可能であるとの仮定の下、水素の添加量をCF4のフッ素がすべてHFとなる量以上に加えた上で、酸素の添加量を変化させて、CF4の分解率と一酸化窒素(NO)の発生量を調べた。酸素原子数を炭素原子数に対して過剰に加えた場合には、酸素の過剰率にほぼ比例する一酸化窒素(NO)の発生が確認された。さらに酸素を過剰に加えた場合には、一酸化窒素(NO)ばかりでなく二酸化窒素(NO2)も発生することが確認された。この場合の主反応は、下記式(3)
【0018】
【化3】
【0019】
で表すことができ、酸素原子と炭素原子との反応により二酸化炭素が発生する。二酸化炭素が存在する状態で混合ガスにプラズマを作用させると、プラズマ作用による超高温(3000℃〜6000℃)のため、下記式(4)
【0020】
【化4】
【0021】
に示す平衡が右側に偏り、二酸化炭素が一酸化炭素に分解され、過剰の酸素が発生する。混合ガス中に窒素が存在する場合には、過剰の酸素と窒素とが下記式(5)
【0022】
【化5】
【0023】
に示すように反応して、窒素酸化物(NO)を生成させてしまうので、好ましくない。
一方、酸素原子を炭素原子数に対して過少に加えた場合には、CF4の分解率は低下し、煤を発生することが確認された。この場合の反応は、下記式(6)
【0024】
【化6】
【0025】
で表すことができ、煤(C)が発生する。この場合、プラズマ反応管壁及びプラズマ反応管よりも下流に位置する配管に煤が堆積してしまい、プラズマ反応管及び下流に位置する配管の狭窄によって装置の安定な運転が妨げられるので、好ましくない。
【0026】
また、水素原子がハロゲン元素原子と同数以上存在しない場合には、ハロゲン化物の分解効率が低下するので、好ましくない。
以上のことから、本発明者らは、フッ素原子数に対して化学量論的に過剰な数の水素原子が存在する雰囲気で、酸素原子数と炭素原子数とがほぼ同数となる場合に、フッ素がすべてフッ化水素(HF)に転化し、炭素がすべて一酸化炭素(CO)に転化することを知見して、本発明をなしたものである。また、本知見に基づいて、本発明者らは、例えばNF3など、炭素原子を含まないハロゲン化物の場合には、添加剤として炭素原子、水素原子及び酸素原子を供給することにより、フッ素原子数以上の数の水素原子が存在し且つ同数の酸素原子と炭素原子が存在する雰囲気を形成させて、NF3を良好に分子状窒素及びフッ化水素に分解することができると考えた。NF3の場合には、原理的には、水素原子のみを添加して、フッ素原子数以上の数の水素原子が存在する雰囲気を形成させることができるが、添加剤として水素ガスを用いる場合には十分な安全管理を要する。また、実際の被処理対象物にはNF3と共に酸素が含まれる場合があるため、水素原子のみの添加では酸素原子が過剰になってしまうことから、炭素原子、水素原子及び酸素原子を含む添加剤が好ましいと考えた。
【0027】
具体的には、本発明によれば、ハロゲン化物及び窒素源を含む被処理対象物に、酸素原子、水素原子及び炭素原子の少なくとも1種を含む添加剤を混合して混合ガスを形成する工程と、
該混合ガスをプラズマ化させることにより該ハロゲン化物を一酸化炭素及びハロゲン化水素に分解させる工程と、を含み、
該添加剤は、該混合ガス中における酸素原子数と炭素原子数とがほぼ等しくなり且つ該混合ガス中における水素原子数がフッ素原子数と同数以上になるような組成及び量で混合されることを特徴とするハロゲン化物の分解方法が提供される。
【0028】
本発明において処理することができるハロゲン化物及び窒素源を含む被処理対象物としては、半導体製造プロセスにおけるドライエッチングや化学蒸着(CVD)工程でのドライクリーニングなどで使用されて、窒素源と一緒に排出される難分解性のハロゲン化物を好ましく挙げることができる。具体的には、テトラフルオロメタン(CF4)、ヘキサフルオロエタン(C2F6)、オクタフルオロプロパン(C3F8)、オクタフルオロシクロブタン(C4F8)などのパーフルオロカーボン類、トリフルオロメタン(CHF3)などのハイドロフルオロカーボン類、三フッ化窒素(NF3)、六フッ化硫黄(SF6)などを好ましく挙げることができる。本発明により処理することができるその他のハロゲン化物としては、パーフルオロシクロペンタン(C5F10)、パーフルオロシクロヘキサン(C6F12)などのパーフルオロカーボン(PFC);1,1,1−トリフルオロエタン(C2H3F3)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(C3H2F6)、ジフルオロメタン(CH2F2)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(CHF2CF3)、1,2,2,2−ペンタフルオロエタン(CH2FCF3)、1,1−ジフルオロエタン(CH3CHF2)などのハイドロフルオロカーボン(HFC);トリクロロフルオロメタン(CCl3F)、ジクロロジフルオロメタン(CCl2F2)、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(CCl2FCClF2)、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(CClF2CClF2)、1−クロロ−1,1,2,2,2−ペンタフルオロエタン(CClF2CF3)などのクロロフルオロカーボン(CFC);クロロジフルオロメタン(CHClF2)、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン(CHCl2CF3)、1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン(CHClFCF3)、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(CH3CCl2F)、1−ジクロロ−1,1−ジフルオロエタン(CH3CClF2)、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(CF3CF2CHCl2)、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CClF2CF2CHClF)などのハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC);トリクロロメタン;ブロモクロロジフルオロメタン(CBrClF2)、ブロモトリフルオロメタン(CBrF3)、ジブロモテトラフルオロエタン(C2Br2F4)などのハロンなどを挙げることができる。
【0029】
本発明における被処理対象物は、難分解性ハロゲン化物と多量の窒素ガスが共存する形態であることが特に好ましい。しかし、多量の窒素ガスが共存しなくとも、有意の窒素源が共存する形態であればよく、例えばNF3のようなハロゲン化窒素化合物が共存するものでも本発明の被処理対象物となる。
【0030】
また、本発明における被処理対象物は、常温(20〜25℃)且つ大気圧下で気体あるいは加熱により容易に気化可能な液体であることが好ましい。被処理対象物が液体である場合には、プラズマを作用させる前に、予め気化させておく。例えば、慣用の気化器などを用いて気化させたハロゲン化物を結露させずにプラズマ反応器に導入することが好ましい。
【0031】
本発明において用いる添加剤は、酸素原子、水素原子及び炭素原子の少なくとも1種を含み、被処理対象物と混合して得られる混合ガス中において、酸素原子数と炭素原子数がほぼ同数となり且つ水素原子数がハロゲン元素の原子数よりも多くなるように混合されるものであればよい。「酸素原子、水素原子及び炭素原子の少なくとも1種を含む添加剤」は、添加剤中での酸素原子、水素原子及び炭素原子の組成がわかるものであれば、分子状酸素、分子状水素、あるいは酸素原子、水素原子及び炭素原子のいずれか1種又はこれらの組み合わせを含む単一の化合物、及びこれらの化合物の2種以上を含む混合物でもよい。ただし、本発明の実施の容易さから、常温(20〜25℃)且つ大気圧下で気体あるいは液体であることが好ましく、液体の場合は沸点が150℃以下で、加熱気化工程で重合等の反応により粘凋物、ゲル状物質あるいは固体を生じさせず、気化による濃縮によって残渣を生じないものであることが望ましい。
【0032】
好ましくは、本発明において用いる添加剤は、酸素、空気、水、水素、アンモニア、炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、カルボン酸、アミン又はこれらの混合物から選択される。水としては、水の硬度成分の蓄積を防止するために軟水が好ましく、純水又は脱イオン水が特に好ましい。炭化水素としては、炭素数1〜8の直鎖、分枝、環状又は芳香族炭化水素をより好ましく挙げることができ、メタン、プロパンなどがさらに好ましい。アルコールとしては、炭素数1〜5のアルコールをより好ましく挙げることができ、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどがさらに好ましい。エーテルとしては、炭素数2〜8のエーテルをより好ましく挙げることができ、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、プロピルメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどがさらに好ましい。ケトンとしては、炭素数3〜7のケトンをより好ましく挙げることができ、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、2−ペンタノンなどがさらに好ましい。カルボン酸としては、炭素数2〜5のカルボン酸をより好ましく挙げることができ、酢酸、プロピオン酸、酪酸などがさらに好ましい。アミンとしては、炭素数1〜6の第一級、第二級、第三級アミン又はハロゲン化物塩ではない第四級アンモニウム塩をより好ましく挙げることができ、プロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルメチルアミン、プロピルエチルアミン、N,N−ジメチル−1−プロパンアミンなどがさらに好ましい。なお、第四級アンモニウムのハロゲン化物塩は、ハロゲン化水素の排出を増加させるので好ましくない。
【0033】
本発明の方法を実施するに際して、安全性、沸点(気化過程での沸点は150℃以下であることが望ましい)などの物理的性質、取り扱いの容易さ、設置場所での供給状況などを考慮すると、都市ガスなどから供給可能なメタン、プロパンなどの炭化水素、もしくは水溶性で且つ毒性の低いメタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコールが特に好ましい。また、添加剤として混合物を用いる場合には、親和性の点から、水(特に純水又は脱イオン水)とメタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン等との組み合わせが特に好ましい。なお、炭素数の大きなアルコールやエーテル類、炭化水素類なども、炭素数に対応する酸素原子を供給し得る水その他の酸素源と一緒に用いることで、本発明における添加剤として使用できるが、沸点が高くなるので、気化時の凝縮を考慮することが必要になる。
【0034】
本発明において用いる添加剤は、被処理対象物と混合して得られる混合ガス中において、酸素原子数と炭素原子数がほぼ同数となり且つ水素原子数がハロゲン元素の原子数よりも多くなるように混合されることが必要であるから、添加剤の組成は被処理対象物の組成に応じて変わり得る。
【0035】
例えば、被処理対象物が水素を含む有機ハロゲン化物、例えば、CH3Fを含む場合には、添加剤として水素原子及び酸素原子を含む化合物、例えば水のみを用いることができる。この場合の反応は、下記式(7)
【0036】
【化7】
【0037】
で表わすことができ、二酸化炭素を発生させずに、一酸化炭素とフッ化水素とに分解することができる。
また例えば、被処理対象物が水素を含まない有機ハロゲン化物、例えば、テトラフルオロメタンCF4を含む場合には、添加剤として水素原子及び酸素原子を含む混合物、例えば、分子状水素及び分子状酸素の組み合わせを用いることができる。この場合の反応は、下記式(8)
【0038】
【化8】
【0039】
で表わすことができ、二酸化炭素を発生させずに、一酸化炭素(CO)及びフッ化水素に分解することができる。あるいは、添加剤として水とメタノールとの等モル混合液を用いることができる。この場合の反応は、下記式(9)
【0040】
【化9】
【0041】
で表わすことができ、二酸化炭素を発生させずに、一酸化炭素(CO)及びフッ化水素に分解することができる。
また、例えば、被処理対象物が炭素を含まないハロゲン化物、例えば、三フッ化窒素NF3を含む場合には、添加剤としてアンモニアやメタノールを用いることができる。メタノールは炭素原子と酸素原子の比が同じであるため、メタノール中の酸素が窒素と反応して窒素酸化物(NOx)を発生させることはなく、水素のみがフッ素(F)と反応するので、メタノールは純水素と同じ効果を奏する。このときの反応は、例えば下記式(10)
【0042】
【化10】
【0043】
で表すことができる。
なお、本発明において、添加剤が液体である場合には、予めこれら液体を気化して、その後、ハロゲン化物及び窒素源を含む被処理対象物と混合することが好ましい。また、液体の気化に要するエネルギー消費や追加の工程を省略したい場合には、酸素や空気などの気体を用いることもできる。また、爆発危険を回避するために、可燃性ガスと酸素及び空気の組み合わせに代えて、可燃性ガスと二酸化炭素及び空気の組み合わせを用いることもできる。
【0044】
本発明によるハロゲン化物のプラズマ分解法によれば、窒素酸化物を生成させることなく、一酸化炭素とハロゲン化水素に分解することができる。しかし、一酸化炭素は、大気汚染防止法で有害物質として定められており、そのまま自然環境中へ排出させることは好ましくない。そこで、本発明のハロゲン化物のプラズマ分解法においては、得られた一酸化炭素を酸化させる工程をさらに含むことが好ましい。この酸化工程は、窒素酸化物が生成しない温度、好ましくは650〜900℃の温度範囲で行うことが好ましく、例えば、プラズマ処理したガスを自然冷却又は強制冷却して、650〜900℃となる時点で、酸素又は空気を加えて燃焼させることで容易に行うことができる。また、水素源を過剰に添加してプラズマ処理した場合に発生することがあるホルムアルデヒド(HCHO)などの有機化合物も650℃以上の酸素存在下での燃焼により分解除去される。
【0045】
また、本発明によれば、ハロゲン化物及び窒素源を含む被処理対象物を所定量で供給する被処理対象物供給機構と、
酸素原子、水素原子及び炭素原子の少なくとも1種を含む添加剤を所定量で供給する添加剤供給機構と、
所定量で供給された該被処理対象物と該添加剤とを混合して、混合ガスを形成する混合ガス調製機構と、
調製された該混合ガスをプラズマ化させて、該ハロゲン化物を一酸化炭素及びハロゲン化水素に分解させるプラズマ処理部と、
を含み、
該添加剤供給機構は、該混合ガス中における酸素原子数と炭素原子数とがほぼ等しくなり且つ該混合ガス中における水素原子数がハロゲン元素の原子数と同数以上になるような組成及び量で該添加剤を供給する、
ことを特徴とするハロゲン化物の分解装置が提供される。
【0046】
図1及び図2に、本発明のハロゲン化物分解装置の好ましい一実施形態を示す。この分解装置は、被処理対象物供給機構10と、添加剤供給機構20と、第2添加剤供給機構30と、被処理対象物と添加剤を混合する混合ガス調製機構40と、プラズマ処理部50と、排気ガス処理機構90と、を含む。なお、第2添加剤供給機構は、添加剤の選択により必要に応じて使用されるもので、多くの場合、添加剤供給機構は一つで処理が可能である。
【0047】
被処理対象物供給機構10、添加剤供給機構20及び第2添加剤供給機構30は、供給流量を制御する流量調整手段を含む。流量調整手段としては、圧力調整弁(PC)、マスフローコントローラ(MFC)及び定量ポンプなど、公知の流量調整用器具を適宜用いることができる。また、被処理対象物及び添加剤として液体を用いる場合には、これらを混合ガス調製機構40に導入する前に気化することが好ましく、各供給機構10、20及び30の流量調整手段と混合ガス調製機構40との間に気化器(図示せず)を設けることが好ましい。この気化器及び気化器と混合ガス調製機構40との間の供給ラインは、ヒーター又は保温材を具備していることが好ましく、気化して得られた気体が結露しないようにする。
【0048】
混合ガス調製機構40は、各供給機構10、20及び30から所定量で供給された気体を均一に混合することができれば、その形状や寸法は制限されない。例えば、各供給機構10、20及び30と接続している導管あるいはタンクなどでもよい。
【0049】
プラズマ処理部50は、プラズマ反応管60と、マイクロ波供給部70と、プラズマ点火機構80と、を含む。
プラズマ処理部50は、混合ガス調製機構40からの被処理対象物及び添加剤を含む混合ガスを導入する混合ガス導入部62を有し、マイクロ波供給部70から延びる導波管72のマイクロ波電界強度が最も高い部分と交差するプラズマ発生部64を含む。このプラズマ発生部64は、プラズマ反応管60の一部であり、信頼性、加工性及びメンテナンス性を考慮すると、円筒形又はほぼ円筒形の管状形態であり、多重管ではなく単管であることが好ましい。プラズマ反応管60の寸法は、プラズマの安定性を確保する上で設定する処理能力に応じて異なるが、内径10〜30mmの範囲、長さ100〜400mmの範囲で調整することが好ましい。
【0050】
プラズマ反応管60、特にプラズマ発生部64は、耐食耐熱性材料から構成されていることが好ましく、特に被処理対象物であるハロゲンによる腐食を防止するためにハロゲン耐食性であることが好ましい。また、プラズマ中心部は超高温となるので、1200℃以上の耐熱性を有することが好ましい。さらに、プラズマによる加熱が均一ではないことから、熱膨張率と熱伝導率を考慮して、熱衝撃に強い材料から構成されていることが好ましい。以上の点を勘案すると、プラズマ反応管60を構成する材料としては、サファイア(酸化アルミニウムAl2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、酸化ベリリウム(BeO)などの耐食性耐熱性セラミックスを好ましく挙げることができ、その中でもサファイア及び窒化アルミニウムがより好ましい。また、耐熱衝撃性を改善した多孔質体耐食性アルミナ(酸化アルミニウムAl2O3)も用いることができる。
【0051】
混合ガス導入部62には、混合ガスを導入するノズル(図示せず)が、混合ガスをプラズマ反応管60の内壁に沿うような渦巻き状の流れ(旋回流)として噴射するように設けられている。こうして、プラズマが安定して、プラズマ反応管60の管材の局所的な過熱を防止することができる。また、旋回流により中心部の軸方向の流れが逆流になる現象を利用して、反応管内壁部付近と中心部にある被処理対象物との適切な混合を引き起こし得るので、プラズマを生成させ分解効率を高めることができる。ノズルの本数は特に制限されるものではないが、旋回流をより均一化するために、複数本設けられていることが好ましく、2〜4本設けられていることがさらに好ましい。なお、混合ガス導入部62の構成材料としては、耐食性は重要な因子ではないので、金属を用いることができる。
【0052】
マイクロ波供給部70は、方形導波管72及び73、マイクロ波出力0.5〜5kWのマグネトロン74、マグネトロン用電源76を含む。方形導波管73は、扁平方形導波管であり、その一端を閉じて定在波としたマイクロ波の電界強度が高くなる部分にプラズマ反応管60が交差するように配置する。こうして、H01モードによるマイクロ波共振器を有するマイクロ波放電を利用する。本分解装置においては、混合ガス導入部62にノズルを設けて旋回流を発生させるようにしているので、H01モードによるマイクロ波プラズマを安定化させることができる。このため、本分解装置においては、マイクロ波のモード変換が不要になり、単管でマイクロ波放電を得ることができ、従来の大気圧プラズマ放電で通常用いられている円形モード共振器と多重管との組み合わせによるものと比較して構造が簡単であるという優位性を有する。
【0053】
プラズマ点火機構80は、プラズマ点火用放電電源82(3kV程度)と、放電電極84と、を有するプラズマ点火用放電装置であることが好ましい。このプラズマ点火用放電装置は、点火時には、放電電極がプラズマ発生部64内部に挿入されて放電によってプラズマを点火させ、点火後には、放電電極がプラズマ反応管60外部に戻される可動式の同軸二極型放電電極84であることが好ましい。同軸二極型放電電極84の外側電極は、方形導波管73と電気的に接続されていて、マイクロ波に対してスタブの作用を有する。
【0054】
排気ガス処理機構90は、プラズマ処理部50の下流に設けられていて、プラズマ反応管60で形成された一酸化炭素を含む排気を適温(約650〜900℃)にまで冷却してから、酸素又は空気による酸化でCOなどの有害成分を除害するように作用する。さらに、排気ガス処理機構90には、ハロゲン化水素を除去するための湿式又は乾式捕捉装置、触媒反応装置など、通常用いられる排気ガス処理装置を接続させてもよい。
【0055】
本発明のハロゲン化物分解装置を用いることで、特に半導体製造装置から排出される窒素含有排ガス中の難分解性のハロゲン化物を効率よく分解でき、有害な窒素酸化物排出を著しく減少又は排除することができる。
【0056】
本発明のハロゲン化物分解装置は、図示した実施形態に制限されず、例えば、プラズマ反応管60の管壁を保護するために、冷却ガスなどの供給機構(図示せず)を設けたり、方形導波管72に、必要に応じて、スリースタブチューナーなどのインピーダンス整合器、マイクロ波メーター、反射波分離器、無反射終端などを設けてもよい。
【0057】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0058】
実施例1
被処理対象物として、半導体製造用ドライエッチング装置からの排出ガスを模して、18SLM(標準状態気体として1分間当たりの流量体積dm3)の純窒素ガスに100SCCM(標準状態気体として1分間あたりの流量体積cm3)のCF4を混合して調製した混合ガスを用いた。酸素源として純酸素ガスを用い、水素源として純水素ガスを用いた。
【0059】
図1に示す装置を用いて、純窒素ガスとCF4との混合ガス100SCCMを被処理対象ガスとして供給し、この被処理対象ガス中フッ素原子数に対して1.5倍モル量となるように純水素ガス300SCCMを供給し、純酸素ガスの供給量を変化させた。純水素ガス及び純酸素ガスの供給量調整は、各ガスボンベに設けたマスフローコントローラを用いて制御した。調製した混合ガスをプラズマ処理部に導入し、1.5kW出力のマイクロ波プラズマで超高温下(平均温度約3000℃)で分解処理した。分解されたガスの一部をFT−IR(堀場製作所製、FT−730)に導入し、光路長1cmのガスセル及び光路長10mの多重反射式ガスセルを用いて成分分析を行い、CF4の未分解量(残留濃度)とNOの発生量(濃度)とを測定した。結果を図3に示す。
【0060】
CF4の分解率は、水素も酸素も添加しない場合には、ほとんど分解しないが、図3にみられるように、水素のみを添加した場合には、98%程度の高い分解率でCF4が分解された。しかし、この場合には、炭素がすべて単体の炭素に転化するため多量の煤の発生が観察された。図3から、酸素添加量が増加するにつれ、CF4の分解率が高くなるが、酸素添加量が50SCCM(図3中、Eで示す)を越えるとCF4の分解率の増加は小さくなることがわかる。
【0061】
一方、NOの発生は、酸素添加量が50SCCMを越えると急激に増加し、酸素量の増加と共に直線的に増加し、酸素添加量が100SCCMの時点でNO濃度は1000ppm近くに達する。100SCCMのCF4に対して、酸素50SCCMは化学量論的に炭素がすべてCOに転化する量であり、酸素100SCCMは炭素がすべてCO2に転化する量である。しかし、実際には、100SCCMの酸素を供給しても、COは高濃度で検出され、酸素供給量をさらに増加させてもかなりのCO濃度が計測された。このことから、プラズマを作用させる超高温(3000℃以上)では、下記式(11)
【0062】
【化11】
【0063】
の平衡が大きく右側に偏り、プラズマを急冷することで反応が左側にシフトできず、COが残ると考えられる。
また、図3からCF4の分解率とNOの発生率を考慮すれば、酸素を過剰に添加してもCF4の分解率が著しく増加することがなく、却ってNOの発生を増加させてしまい、COに転化する化学量論量を越えて酸素を過剰に添加することが好ましくないことがわかる。
【0064】
よって、酸素と水素との添加によりCF4をプラズマ分解させるときには、被処理対象ガス中に含まれる炭素がすべてCOに転化する量の酸素(化学量論量の酸素)と、フッ素がすべてHFに転化する量あるいはそれよりもやや過剰な量の水素(化学量論量もしくは化学量論量をわずかに超える量の水素)と、を添加することが好ましいといえる。
【0065】
実施例2
実施例1で得られたプラズマ分解処理後のガス約18SLMをアルミナ管(内径40mm×長さ400mm)に導入して、空冷により800℃まで冷却し、冷却後のガスに酸素2SLMを添加してCOをCO2に酸化させ、FT−IR(堀場製作所製ガス用FT−IR装置;FT−730)を用いて処理後のガスの成分を分析した。比較のため、酸化処理を行わないガスについても成分を分析した。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
FT−IRによる吸収スペクトルによれば、酸化処理を行わなかったガスでは、COの他に、ホルムアルデヒド(HCHO)及びその重合物などの有機化合物が残留していたが、さらに酸化処理を行ったガスでは、HF、CO2、H2、H2O以外の成分は痕跡量であり、環境基準を達成した。
【0068】
よって、プラズマ分解処理後に窒素酸化物が生成しない温度(900〜650℃)まで冷却して、さらに酸化処理することにより、ハロゲン化物の良好な分解ばかりでなく、窒素酸化物やホルムアルデヒドなどの環境負荷化合物を十分に低減させることができ、総合的な環境負荷低減を達成することができることがわかる。
【0069】
実施例3
被処理対象ガスとして実施例1と同じガスを用い、添加剤として純水(アクアス製純水製造装置CIM−05Xで製造した脱イオン水)とメタノール(和光純薬製一級試薬)の等モル混合液を用いた。
【0070】
まず、水とメタノールとを等モル混合させた溶液を用意し、これをプランジャーポンプで定量的に気化器まで送液し、気化器により気化させてから、被処理対象ガスに混合させた。得られた混合ガスを実施例1と同様にプラズマ処理し、プラズマ処理後のガスの一部をFT−IRにより分析し、水とメタノールの等モル混合液の添加量を変化させた場合のCF4の分解率とNOの生成率との関係を図4に示す。なお、図4中、水とメタノールの混合溶液の添加量は、気化器によって気化したガスを標準状態に換算したときの流量(SCCM)で示す。
【0071】
CF41モルに対し、水とメタノールの等モル混合液1モルを添加した場合の反応は、下記式(12)
【0072】
【化12】
【0073】
で表される。すなわち、酸素原子は炭素原子と同数となるように供給され、水素原子はフッ素原子の1.5倍数となるように供給される。
図4において、Eで示した点では、炭素原子と酸素原子とが同数となり、水素原子がフッ素原子の1.5倍となっている。この関係は、図3に示すE点と全く同じ関係にあり、両者のE点でのCF4の分解率はほとんど同じである(図3において約98.9%、図4において約98.85%)ことがわかる。また、このE点よりも酸素添加量が増えると、NOの発生が急激に増加することがわかる。このことから、CF4の分解率とNO発生の関係が添加剤の種類によらず、混合ガス中のフッ素、炭素、酸素、水素の比率によってのみ決まることがわかる。
【0074】
一方、図4では、水・メタノールの添加量をE点から減少させると、図3に示すよりもCF4の分解率が急激に低下することがわかる。これは、図3すなわち実施例1においては、酸素の添加量を減少させても水素の添加量を常にフッ素の1.5倍モルとしているのに対して、実施例3では水・メタノールの添加量を減少させると、水素の添加量も減少するためである。なお、水・メタノールの添加量をE点から増加させた場合のNOの発生量は、図3に示す場合と比較して増加率が低い。これは、酸素添加量の増加と共に水素添加量も増加しているため、ある程度、酸化的雰囲気形成が抑制されるためと考える。
【0075】
【発明の効果】
本発明のプラズマ分解方法によれば、難分解性であるパーフルオロ化合物などのハロゲン化物の分解効率を低下させず、窒素酸化物の生成を抑制し、後処理の容易な一酸化炭素及びハロゲン化水素に分解することができ、総合的な環境負荷低減に資することができる。特に、半導体製造プロセスから排出される窒素成分を含むハロゲン化物のプラズマ分解において、有害な窒素酸化物を生成することなく、ハロゲン化物を良好に分解することができる。
【0076】
また、本発明において、添加剤として水及びアルコールの混合液を用い、被処理対象物の組成が一定である場合には、親和性のある水とアルコールを予め所望濃度の混合液として調製しておき、必要時に添加することができるので、安全性が高く取り扱いも容易で安価な添加剤を用いて、窒素酸化物を生成させずに非常に良好にハロゲン化物を分解することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1を実施するためのハロゲン化物分解装置の概略構成図である。
【図2】図2は、実施例3を実施するためのハロゲン化物分解装置の概略構成図である。
【図3】図3は、実施例1において酸素供給量を変化させた場合のCF4の残留濃度(分解率)とNOの発生量(濃度)との関係を示すグラフである。
【図4】図4は、実施例3において水とメタノールの等モル混合液の添加量を変化させた場合のCF4の残留濃度(分解率)とNOの生成量(濃度)との関係を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化物の分解方法及び装置に関し、特に、窒素源が共存するハロゲン化物のプラズマ分解において、窒素酸化物を生成せずにハロゲン化物を効果的に分解することができる分解方法及び装置に関する。本発明のハロゲン化物のプラズマ分解方法及び装置は、特に、半導体製造装置などから排出される難分解性のパーフルオロカーボン、NF3及びSF6などのフッ素化合物(以下、総称して「パーフルオロ化合物(PFC:perfluoro compound)」という)などのハロゲン化物と、窒素源とが共存する被処理分解物の分解に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】
分子内にフッ素、塩素、臭素等のハロゲン元素を含むクロロフルオロカーボン(フロン)、ハロン、パーフルオロメタン及びパーフロオロエタンなどのパーフルオロカーボン、三フッ化窒素(NF3)及び六フッ化硫黄(SF6)などのフッ素化合物などに代表されるハロゲン化物は、冷媒、溶剤など幅広い産業用途を有し、特に半導体製造プロセスにおける薄膜形成のための化学蒸着(CVD)装置などのドライクリーニングや、ドライエッチング処理に多用されている。
【0003】
しかし、これらハロゲン化物は、難分解性であり、ひとたび自然環境中に放出されると、長期間にわたり安定に存在し、発ガン性物質の生成、オゾン層の破壊、地球温暖化物質の生成など、自然環境に悪影響を与えることが知られている。特に、パーフルオロカーボンは、非常に安定した物質で、大気中の寿命は2600〜50000年と非常に長く、地球温暖化防止京都会議(COP3:1997年12月)において、HFC、SF6とともに排出抑制対象とされた。パーフルオロカーボンは、二酸化炭素を基準(1)として地球に及ぼす地球温暖化の効果を相対的に示す数値である地球温暖化係数(Global Warming Potential)が6500〜9200(地球温暖化対策の推進に関する法律施行令第2条)と非常に大きく、排出削減が強く求められている。
【0004】
これまで、半導体製造プロセスで発生するパーフルオロ化合物(PFC)などの排ガス処理方法として、乾式吸着吸収、湿式吸収、加熱分解、触媒による接触転化、触媒酸化燃焼、直接燃焼、プラズマ分解などの処理方法が開発されている。このうち、プラズマ分解法がパーフルオロ化合物に対して最も効果的であると考えられている。プラズマ分解法としては、プラズマ中でハロゲン化物を水蒸気と反応させて、二酸化炭素及びハロゲン化水素に分解するものと、酸素と反応させて二酸化炭素とハロゲンに分解する方法が一般的に利用されている。しかし、半導体製造プロセスではドライポンプに大量の窒素を使用することから、半導体製造プロセスで発生する排ガス中には窒素を含むことが多い。窒素は、高温条件下では、酸素と反応して多量の窒素酸化物(NOx)を生成する。パーフルオロ化合物のプラズマ分解、特に大気圧平衡プラズマ分解処理では、超高温条件(3000℃〜6000℃程度)が用いられるので、非常に多量の窒素酸化物(NOx)が形成されてしまう、という問題がある。
【0005】
例えば、CF4と水との反応は、下記式(1)
【0006】
【化1】
【0007】
で示される。しかし、プラズマ反応のような超高温条件下では、下記式(2)
【0008】
【化2】
【0009】
の平衡反応が右側に偏るため、酸素が消費されずに残る。この残った酸素が、反応雰囲気中に窒素が存在する場合には、窒素と反応して窒素酸化物(NOx)を生成させると考えられる。したがって、例えばパーフルオロ化合物などハロゲン化物に水又は水蒸気のみを添加してプラズマ分解する方法では、ハロゲン元素をすべてハロゲン化水素に転化させようとすると、酸素が過剰になり、窒素酸化物(NOx)の生成を避けることができない、という問題が残る。
【0010】
窒素酸化物(NOx)の生成を抑制するためには、一般的に、燃焼室の温度を下げる方法が採用されている。しかし、パーフルオロ化合物などの難分解性物質のプラズマ分解方法において、プラズマ反応部の温度を下げると、パーフルオロ化合物などの分解率が著しく低下してしまうので実用的ではない。
【0011】
また、自動車排ガスからの窒素酸化物(NOx)の生成抑制法として、三元触媒などの触媒を利用する方法が開発されている。しかし、半導体製造プロセスで発生するハロゲン元素を多量に含む排ガスの処理に応用するには、耐ハロゲン性の高い触媒系が必要となり、このような触媒系を構成することは非常に困難である。
【0012】
近年、自動車排ガス中の窒素酸化物の排出低減技術が著しく改良されている一方で、パーフルオロ化合物などの難分解性ハロゲン化物の分解装置からの窒素酸化物の排出低減技術は提案されていない。そのため、地球温暖化ガスを分解できたとしても総合的な環境負荷低減は達成されていないのが実状である。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−232181号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、難分解性であるパーフルオロ化合物などのハロゲン化物の分解効率を低下させず、窒素酸化物の生成を抑制し、総合的な環境負荷低減に資することができる技術を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、被処理対象物に対して適切な量の酸素及び水素を含有する雰囲気中でプラズマを作用させることにより、窒素酸化物の生成を抑制しながらパーフルオロ化合物などのハロゲン化物を分解する方法及び装置が提供される。
【0016】
本発明者らは、鋭意研究した結果、パーフルオロ化合物などのハロゲン化物及び窒素源を含む被処理対象物に対して、酸素原子、水素原子及び炭素原子を所定比率で存在させて、プラズマを作用させることにより、ハロゲン化物を一酸化炭素、二酸化炭素及びハロゲン化水素に効率よく分解すると共に、窒素酸化物の生成を抑制できることを知見した。
【0017】
本発明者らは、CF4に対して酸素と水素とを添加して、フッ素をすべてHFに転化させ、炭素をCOにとどめることが可能であるとの仮定の下、水素の添加量をCF4のフッ素がすべてHFとなる量以上に加えた上で、酸素の添加量を変化させて、CF4の分解率と一酸化窒素(NO)の発生量を調べた。酸素原子数を炭素原子数に対して過剰に加えた場合には、酸素の過剰率にほぼ比例する一酸化窒素(NO)の発生が確認された。さらに酸素を過剰に加えた場合には、一酸化窒素(NO)ばかりでなく二酸化窒素(NO2)も発生することが確認された。この場合の主反応は、下記式(3)
【0018】
【化3】
【0019】
で表すことができ、酸素原子と炭素原子との反応により二酸化炭素が発生する。二酸化炭素が存在する状態で混合ガスにプラズマを作用させると、プラズマ作用による超高温(3000℃〜6000℃)のため、下記式(4)
【0020】
【化4】
【0021】
に示す平衡が右側に偏り、二酸化炭素が一酸化炭素に分解され、過剰の酸素が発生する。混合ガス中に窒素が存在する場合には、過剰の酸素と窒素とが下記式(5)
【0022】
【化5】
【0023】
に示すように反応して、窒素酸化物(NO)を生成させてしまうので、好ましくない。
一方、酸素原子を炭素原子数に対して過少に加えた場合には、CF4の分解率は低下し、煤を発生することが確認された。この場合の反応は、下記式(6)
【0024】
【化6】
【0025】
で表すことができ、煤(C)が発生する。この場合、プラズマ反応管壁及びプラズマ反応管よりも下流に位置する配管に煤が堆積してしまい、プラズマ反応管及び下流に位置する配管の狭窄によって装置の安定な運転が妨げられるので、好ましくない。
【0026】
また、水素原子がハロゲン元素原子と同数以上存在しない場合には、ハロゲン化物の分解効率が低下するので、好ましくない。
以上のことから、本発明者らは、フッ素原子数に対して化学量論的に過剰な数の水素原子が存在する雰囲気で、酸素原子数と炭素原子数とがほぼ同数となる場合に、フッ素がすべてフッ化水素(HF)に転化し、炭素がすべて一酸化炭素(CO)に転化することを知見して、本発明をなしたものである。また、本知見に基づいて、本発明者らは、例えばNF3など、炭素原子を含まないハロゲン化物の場合には、添加剤として炭素原子、水素原子及び酸素原子を供給することにより、フッ素原子数以上の数の水素原子が存在し且つ同数の酸素原子と炭素原子が存在する雰囲気を形成させて、NF3を良好に分子状窒素及びフッ化水素に分解することができると考えた。NF3の場合には、原理的には、水素原子のみを添加して、フッ素原子数以上の数の水素原子が存在する雰囲気を形成させることができるが、添加剤として水素ガスを用いる場合には十分な安全管理を要する。また、実際の被処理対象物にはNF3と共に酸素が含まれる場合があるため、水素原子のみの添加では酸素原子が過剰になってしまうことから、炭素原子、水素原子及び酸素原子を含む添加剤が好ましいと考えた。
【0027】
具体的には、本発明によれば、ハロゲン化物及び窒素源を含む被処理対象物に、酸素原子、水素原子及び炭素原子の少なくとも1種を含む添加剤を混合して混合ガスを形成する工程と、
該混合ガスをプラズマ化させることにより該ハロゲン化物を一酸化炭素及びハロゲン化水素に分解させる工程と、を含み、
該添加剤は、該混合ガス中における酸素原子数と炭素原子数とがほぼ等しくなり且つ該混合ガス中における水素原子数がフッ素原子数と同数以上になるような組成及び量で混合されることを特徴とするハロゲン化物の分解方法が提供される。
【0028】
本発明において処理することができるハロゲン化物及び窒素源を含む被処理対象物としては、半導体製造プロセスにおけるドライエッチングや化学蒸着(CVD)工程でのドライクリーニングなどで使用されて、窒素源と一緒に排出される難分解性のハロゲン化物を好ましく挙げることができる。具体的には、テトラフルオロメタン(CF4)、ヘキサフルオロエタン(C2F6)、オクタフルオロプロパン(C3F8)、オクタフルオロシクロブタン(C4F8)などのパーフルオロカーボン類、トリフルオロメタン(CHF3)などのハイドロフルオロカーボン類、三フッ化窒素(NF3)、六フッ化硫黄(SF6)などを好ましく挙げることができる。本発明により処理することができるその他のハロゲン化物としては、パーフルオロシクロペンタン(C5F10)、パーフルオロシクロヘキサン(C6F12)などのパーフルオロカーボン(PFC);1,1,1−トリフルオロエタン(C2H3F3)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(C3H2F6)、ジフルオロメタン(CH2F2)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(CHF2CF3)、1,2,2,2−ペンタフルオロエタン(CH2FCF3)、1,1−ジフルオロエタン(CH3CHF2)などのハイドロフルオロカーボン(HFC);トリクロロフルオロメタン(CCl3F)、ジクロロジフルオロメタン(CCl2F2)、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(CCl2FCClF2)、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(CClF2CClF2)、1−クロロ−1,1,2,2,2−ペンタフルオロエタン(CClF2CF3)などのクロロフルオロカーボン(CFC);クロロジフルオロメタン(CHClF2)、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン(CHCl2CF3)、1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン(CHClFCF3)、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(CH3CCl2F)、1−ジクロロ−1,1−ジフルオロエタン(CH3CClF2)、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(CF3CF2CHCl2)、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(CClF2CF2CHClF)などのハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC);トリクロロメタン;ブロモクロロジフルオロメタン(CBrClF2)、ブロモトリフルオロメタン(CBrF3)、ジブロモテトラフルオロエタン(C2Br2F4)などのハロンなどを挙げることができる。
【0029】
本発明における被処理対象物は、難分解性ハロゲン化物と多量の窒素ガスが共存する形態であることが特に好ましい。しかし、多量の窒素ガスが共存しなくとも、有意の窒素源が共存する形態であればよく、例えばNF3のようなハロゲン化窒素化合物が共存するものでも本発明の被処理対象物となる。
【0030】
また、本発明における被処理対象物は、常温(20〜25℃)且つ大気圧下で気体あるいは加熱により容易に気化可能な液体であることが好ましい。被処理対象物が液体である場合には、プラズマを作用させる前に、予め気化させておく。例えば、慣用の気化器などを用いて気化させたハロゲン化物を結露させずにプラズマ反応器に導入することが好ましい。
【0031】
本発明において用いる添加剤は、酸素原子、水素原子及び炭素原子の少なくとも1種を含み、被処理対象物と混合して得られる混合ガス中において、酸素原子数と炭素原子数がほぼ同数となり且つ水素原子数がハロゲン元素の原子数よりも多くなるように混合されるものであればよい。「酸素原子、水素原子及び炭素原子の少なくとも1種を含む添加剤」は、添加剤中での酸素原子、水素原子及び炭素原子の組成がわかるものであれば、分子状酸素、分子状水素、あるいは酸素原子、水素原子及び炭素原子のいずれか1種又はこれらの組み合わせを含む単一の化合物、及びこれらの化合物の2種以上を含む混合物でもよい。ただし、本発明の実施の容易さから、常温(20〜25℃)且つ大気圧下で気体あるいは液体であることが好ましく、液体の場合は沸点が150℃以下で、加熱気化工程で重合等の反応により粘凋物、ゲル状物質あるいは固体を生じさせず、気化による濃縮によって残渣を生じないものであることが望ましい。
【0032】
好ましくは、本発明において用いる添加剤は、酸素、空気、水、水素、アンモニア、炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、カルボン酸、アミン又はこれらの混合物から選択される。水としては、水の硬度成分の蓄積を防止するために軟水が好ましく、純水又は脱イオン水が特に好ましい。炭化水素としては、炭素数1〜8の直鎖、分枝、環状又は芳香族炭化水素をより好ましく挙げることができ、メタン、プロパンなどがさらに好ましい。アルコールとしては、炭素数1〜5のアルコールをより好ましく挙げることができ、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどがさらに好ましい。エーテルとしては、炭素数2〜8のエーテルをより好ましく挙げることができ、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、プロピルメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどがさらに好ましい。ケトンとしては、炭素数3〜7のケトンをより好ましく挙げることができ、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、2−ペンタノンなどがさらに好ましい。カルボン酸としては、炭素数2〜5のカルボン酸をより好ましく挙げることができ、酢酸、プロピオン酸、酪酸などがさらに好ましい。アミンとしては、炭素数1〜6の第一級、第二級、第三級アミン又はハロゲン化物塩ではない第四級アンモニウム塩をより好ましく挙げることができ、プロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルメチルアミン、プロピルエチルアミン、N,N−ジメチル−1−プロパンアミンなどがさらに好ましい。なお、第四級アンモニウムのハロゲン化物塩は、ハロゲン化水素の排出を増加させるので好ましくない。
【0033】
本発明の方法を実施するに際して、安全性、沸点(気化過程での沸点は150℃以下であることが望ましい)などの物理的性質、取り扱いの容易さ、設置場所での供給状況などを考慮すると、都市ガスなどから供給可能なメタン、プロパンなどの炭化水素、もしくは水溶性で且つ毒性の低いメタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコールが特に好ましい。また、添加剤として混合物を用いる場合には、親和性の点から、水(特に純水又は脱イオン水)とメタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン等との組み合わせが特に好ましい。なお、炭素数の大きなアルコールやエーテル類、炭化水素類なども、炭素数に対応する酸素原子を供給し得る水その他の酸素源と一緒に用いることで、本発明における添加剤として使用できるが、沸点が高くなるので、気化時の凝縮を考慮することが必要になる。
【0034】
本発明において用いる添加剤は、被処理対象物と混合して得られる混合ガス中において、酸素原子数と炭素原子数がほぼ同数となり且つ水素原子数がハロゲン元素の原子数よりも多くなるように混合されることが必要であるから、添加剤の組成は被処理対象物の組成に応じて変わり得る。
【0035】
例えば、被処理対象物が水素を含む有機ハロゲン化物、例えば、CH3Fを含む場合には、添加剤として水素原子及び酸素原子を含む化合物、例えば水のみを用いることができる。この場合の反応は、下記式(7)
【0036】
【化7】
【0037】
で表わすことができ、二酸化炭素を発生させずに、一酸化炭素とフッ化水素とに分解することができる。
また例えば、被処理対象物が水素を含まない有機ハロゲン化物、例えば、テトラフルオロメタンCF4を含む場合には、添加剤として水素原子及び酸素原子を含む混合物、例えば、分子状水素及び分子状酸素の組み合わせを用いることができる。この場合の反応は、下記式(8)
【0038】
【化8】
【0039】
で表わすことができ、二酸化炭素を発生させずに、一酸化炭素(CO)及びフッ化水素に分解することができる。あるいは、添加剤として水とメタノールとの等モル混合液を用いることができる。この場合の反応は、下記式(9)
【0040】
【化9】
【0041】
で表わすことができ、二酸化炭素を発生させずに、一酸化炭素(CO)及びフッ化水素に分解することができる。
また、例えば、被処理対象物が炭素を含まないハロゲン化物、例えば、三フッ化窒素NF3を含む場合には、添加剤としてアンモニアやメタノールを用いることができる。メタノールは炭素原子と酸素原子の比が同じであるため、メタノール中の酸素が窒素と反応して窒素酸化物(NOx)を発生させることはなく、水素のみがフッ素(F)と反応するので、メタノールは純水素と同じ効果を奏する。このときの反応は、例えば下記式(10)
【0042】
【化10】
【0043】
で表すことができる。
なお、本発明において、添加剤が液体である場合には、予めこれら液体を気化して、その後、ハロゲン化物及び窒素源を含む被処理対象物と混合することが好ましい。また、液体の気化に要するエネルギー消費や追加の工程を省略したい場合には、酸素や空気などの気体を用いることもできる。また、爆発危険を回避するために、可燃性ガスと酸素及び空気の組み合わせに代えて、可燃性ガスと二酸化炭素及び空気の組み合わせを用いることもできる。
【0044】
本発明によるハロゲン化物のプラズマ分解法によれば、窒素酸化物を生成させることなく、一酸化炭素とハロゲン化水素に分解することができる。しかし、一酸化炭素は、大気汚染防止法で有害物質として定められており、そのまま自然環境中へ排出させることは好ましくない。そこで、本発明のハロゲン化物のプラズマ分解法においては、得られた一酸化炭素を酸化させる工程をさらに含むことが好ましい。この酸化工程は、窒素酸化物が生成しない温度、好ましくは650〜900℃の温度範囲で行うことが好ましく、例えば、プラズマ処理したガスを自然冷却又は強制冷却して、650〜900℃となる時点で、酸素又は空気を加えて燃焼させることで容易に行うことができる。また、水素源を過剰に添加してプラズマ処理した場合に発生することがあるホルムアルデヒド(HCHO)などの有機化合物も650℃以上の酸素存在下での燃焼により分解除去される。
【0045】
また、本発明によれば、ハロゲン化物及び窒素源を含む被処理対象物を所定量で供給する被処理対象物供給機構と、
酸素原子、水素原子及び炭素原子の少なくとも1種を含む添加剤を所定量で供給する添加剤供給機構と、
所定量で供給された該被処理対象物と該添加剤とを混合して、混合ガスを形成する混合ガス調製機構と、
調製された該混合ガスをプラズマ化させて、該ハロゲン化物を一酸化炭素及びハロゲン化水素に分解させるプラズマ処理部と、
を含み、
該添加剤供給機構は、該混合ガス中における酸素原子数と炭素原子数とがほぼ等しくなり且つ該混合ガス中における水素原子数がハロゲン元素の原子数と同数以上になるような組成及び量で該添加剤を供給する、
ことを特徴とするハロゲン化物の分解装置が提供される。
【0046】
図1及び図2に、本発明のハロゲン化物分解装置の好ましい一実施形態を示す。この分解装置は、被処理対象物供給機構10と、添加剤供給機構20と、第2添加剤供給機構30と、被処理対象物と添加剤を混合する混合ガス調製機構40と、プラズマ処理部50と、排気ガス処理機構90と、を含む。なお、第2添加剤供給機構は、添加剤の選択により必要に応じて使用されるもので、多くの場合、添加剤供給機構は一つで処理が可能である。
【0047】
被処理対象物供給機構10、添加剤供給機構20及び第2添加剤供給機構30は、供給流量を制御する流量調整手段を含む。流量調整手段としては、圧力調整弁(PC)、マスフローコントローラ(MFC)及び定量ポンプなど、公知の流量調整用器具を適宜用いることができる。また、被処理対象物及び添加剤として液体を用いる場合には、これらを混合ガス調製機構40に導入する前に気化することが好ましく、各供給機構10、20及び30の流量調整手段と混合ガス調製機構40との間に気化器(図示せず)を設けることが好ましい。この気化器及び気化器と混合ガス調製機構40との間の供給ラインは、ヒーター又は保温材を具備していることが好ましく、気化して得られた気体が結露しないようにする。
【0048】
混合ガス調製機構40は、各供給機構10、20及び30から所定量で供給された気体を均一に混合することができれば、その形状や寸法は制限されない。例えば、各供給機構10、20及び30と接続している導管あるいはタンクなどでもよい。
【0049】
プラズマ処理部50は、プラズマ反応管60と、マイクロ波供給部70と、プラズマ点火機構80と、を含む。
プラズマ処理部50は、混合ガス調製機構40からの被処理対象物及び添加剤を含む混合ガスを導入する混合ガス導入部62を有し、マイクロ波供給部70から延びる導波管72のマイクロ波電界強度が最も高い部分と交差するプラズマ発生部64を含む。このプラズマ発生部64は、プラズマ反応管60の一部であり、信頼性、加工性及びメンテナンス性を考慮すると、円筒形又はほぼ円筒形の管状形態であり、多重管ではなく単管であることが好ましい。プラズマ反応管60の寸法は、プラズマの安定性を確保する上で設定する処理能力に応じて異なるが、内径10〜30mmの範囲、長さ100〜400mmの範囲で調整することが好ましい。
【0050】
プラズマ反応管60、特にプラズマ発生部64は、耐食耐熱性材料から構成されていることが好ましく、特に被処理対象物であるハロゲンによる腐食を防止するためにハロゲン耐食性であることが好ましい。また、プラズマ中心部は超高温となるので、1200℃以上の耐熱性を有することが好ましい。さらに、プラズマによる加熱が均一ではないことから、熱膨張率と熱伝導率を考慮して、熱衝撃に強い材料から構成されていることが好ましい。以上の点を勘案すると、プラズマ反応管60を構成する材料としては、サファイア(酸化アルミニウムAl2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、酸化ベリリウム(BeO)などの耐食性耐熱性セラミックスを好ましく挙げることができ、その中でもサファイア及び窒化アルミニウムがより好ましい。また、耐熱衝撃性を改善した多孔質体耐食性アルミナ(酸化アルミニウムAl2O3)も用いることができる。
【0051】
混合ガス導入部62には、混合ガスを導入するノズル(図示せず)が、混合ガスをプラズマ反応管60の内壁に沿うような渦巻き状の流れ(旋回流)として噴射するように設けられている。こうして、プラズマが安定して、プラズマ反応管60の管材の局所的な過熱を防止することができる。また、旋回流により中心部の軸方向の流れが逆流になる現象を利用して、反応管内壁部付近と中心部にある被処理対象物との適切な混合を引き起こし得るので、プラズマを生成させ分解効率を高めることができる。ノズルの本数は特に制限されるものではないが、旋回流をより均一化するために、複数本設けられていることが好ましく、2〜4本設けられていることがさらに好ましい。なお、混合ガス導入部62の構成材料としては、耐食性は重要な因子ではないので、金属を用いることができる。
【0052】
マイクロ波供給部70は、方形導波管72及び73、マイクロ波出力0.5〜5kWのマグネトロン74、マグネトロン用電源76を含む。方形導波管73は、扁平方形導波管であり、その一端を閉じて定在波としたマイクロ波の電界強度が高くなる部分にプラズマ反応管60が交差するように配置する。こうして、H01モードによるマイクロ波共振器を有するマイクロ波放電を利用する。本分解装置においては、混合ガス導入部62にノズルを設けて旋回流を発生させるようにしているので、H01モードによるマイクロ波プラズマを安定化させることができる。このため、本分解装置においては、マイクロ波のモード変換が不要になり、単管でマイクロ波放電を得ることができ、従来の大気圧プラズマ放電で通常用いられている円形モード共振器と多重管との組み合わせによるものと比較して構造が簡単であるという優位性を有する。
【0053】
プラズマ点火機構80は、プラズマ点火用放電電源82(3kV程度)と、放電電極84と、を有するプラズマ点火用放電装置であることが好ましい。このプラズマ点火用放電装置は、点火時には、放電電極がプラズマ発生部64内部に挿入されて放電によってプラズマを点火させ、点火後には、放電電極がプラズマ反応管60外部に戻される可動式の同軸二極型放電電極84であることが好ましい。同軸二極型放電電極84の外側電極は、方形導波管73と電気的に接続されていて、マイクロ波に対してスタブの作用を有する。
【0054】
排気ガス処理機構90は、プラズマ処理部50の下流に設けられていて、プラズマ反応管60で形成された一酸化炭素を含む排気を適温(約650〜900℃)にまで冷却してから、酸素又は空気による酸化でCOなどの有害成分を除害するように作用する。さらに、排気ガス処理機構90には、ハロゲン化水素を除去するための湿式又は乾式捕捉装置、触媒反応装置など、通常用いられる排気ガス処理装置を接続させてもよい。
【0055】
本発明のハロゲン化物分解装置を用いることで、特に半導体製造装置から排出される窒素含有排ガス中の難分解性のハロゲン化物を効率よく分解でき、有害な窒素酸化物排出を著しく減少又は排除することができる。
【0056】
本発明のハロゲン化物分解装置は、図示した実施形態に制限されず、例えば、プラズマ反応管60の管壁を保護するために、冷却ガスなどの供給機構(図示せず)を設けたり、方形導波管72に、必要に応じて、スリースタブチューナーなどのインピーダンス整合器、マイクロ波メーター、反射波分離器、無反射終端などを設けてもよい。
【0057】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0058】
実施例1
被処理対象物として、半導体製造用ドライエッチング装置からの排出ガスを模して、18SLM(標準状態気体として1分間当たりの流量体積dm3)の純窒素ガスに100SCCM(標準状態気体として1分間あたりの流量体積cm3)のCF4を混合して調製した混合ガスを用いた。酸素源として純酸素ガスを用い、水素源として純水素ガスを用いた。
【0059】
図1に示す装置を用いて、純窒素ガスとCF4との混合ガス100SCCMを被処理対象ガスとして供給し、この被処理対象ガス中フッ素原子数に対して1.5倍モル量となるように純水素ガス300SCCMを供給し、純酸素ガスの供給量を変化させた。純水素ガス及び純酸素ガスの供給量調整は、各ガスボンベに設けたマスフローコントローラを用いて制御した。調製した混合ガスをプラズマ処理部に導入し、1.5kW出力のマイクロ波プラズマで超高温下(平均温度約3000℃)で分解処理した。分解されたガスの一部をFT−IR(堀場製作所製、FT−730)に導入し、光路長1cmのガスセル及び光路長10mの多重反射式ガスセルを用いて成分分析を行い、CF4の未分解量(残留濃度)とNOの発生量(濃度)とを測定した。結果を図3に示す。
【0060】
CF4の分解率は、水素も酸素も添加しない場合には、ほとんど分解しないが、図3にみられるように、水素のみを添加した場合には、98%程度の高い分解率でCF4が分解された。しかし、この場合には、炭素がすべて単体の炭素に転化するため多量の煤の発生が観察された。図3から、酸素添加量が増加するにつれ、CF4の分解率が高くなるが、酸素添加量が50SCCM(図3中、Eで示す)を越えるとCF4の分解率の増加は小さくなることがわかる。
【0061】
一方、NOの発生は、酸素添加量が50SCCMを越えると急激に増加し、酸素量の増加と共に直線的に増加し、酸素添加量が100SCCMの時点でNO濃度は1000ppm近くに達する。100SCCMのCF4に対して、酸素50SCCMは化学量論的に炭素がすべてCOに転化する量であり、酸素100SCCMは炭素がすべてCO2に転化する量である。しかし、実際には、100SCCMの酸素を供給しても、COは高濃度で検出され、酸素供給量をさらに増加させてもかなりのCO濃度が計測された。このことから、プラズマを作用させる超高温(3000℃以上)では、下記式(11)
【0062】
【化11】
【0063】
の平衡が大きく右側に偏り、プラズマを急冷することで反応が左側にシフトできず、COが残ると考えられる。
また、図3からCF4の分解率とNOの発生率を考慮すれば、酸素を過剰に添加してもCF4の分解率が著しく増加することがなく、却ってNOの発生を増加させてしまい、COに転化する化学量論量を越えて酸素を過剰に添加することが好ましくないことがわかる。
【0064】
よって、酸素と水素との添加によりCF4をプラズマ分解させるときには、被処理対象ガス中に含まれる炭素がすべてCOに転化する量の酸素(化学量論量の酸素)と、フッ素がすべてHFに転化する量あるいはそれよりもやや過剰な量の水素(化学量論量もしくは化学量論量をわずかに超える量の水素)と、を添加することが好ましいといえる。
【0065】
実施例2
実施例1で得られたプラズマ分解処理後のガス約18SLMをアルミナ管(内径40mm×長さ400mm)に導入して、空冷により800℃まで冷却し、冷却後のガスに酸素2SLMを添加してCOをCO2に酸化させ、FT−IR(堀場製作所製ガス用FT−IR装置;FT−730)を用いて処理後のガスの成分を分析した。比較のため、酸化処理を行わないガスについても成分を分析した。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
FT−IRによる吸収スペクトルによれば、酸化処理を行わなかったガスでは、COの他に、ホルムアルデヒド(HCHO)及びその重合物などの有機化合物が残留していたが、さらに酸化処理を行ったガスでは、HF、CO2、H2、H2O以外の成分は痕跡量であり、環境基準を達成した。
【0068】
よって、プラズマ分解処理後に窒素酸化物が生成しない温度(900〜650℃)まで冷却して、さらに酸化処理することにより、ハロゲン化物の良好な分解ばかりでなく、窒素酸化物やホルムアルデヒドなどの環境負荷化合物を十分に低減させることができ、総合的な環境負荷低減を達成することができることがわかる。
【0069】
実施例3
被処理対象ガスとして実施例1と同じガスを用い、添加剤として純水(アクアス製純水製造装置CIM−05Xで製造した脱イオン水)とメタノール(和光純薬製一級試薬)の等モル混合液を用いた。
【0070】
まず、水とメタノールとを等モル混合させた溶液を用意し、これをプランジャーポンプで定量的に気化器まで送液し、気化器により気化させてから、被処理対象ガスに混合させた。得られた混合ガスを実施例1と同様にプラズマ処理し、プラズマ処理後のガスの一部をFT−IRにより分析し、水とメタノールの等モル混合液の添加量を変化させた場合のCF4の分解率とNOの生成率との関係を図4に示す。なお、図4中、水とメタノールの混合溶液の添加量は、気化器によって気化したガスを標準状態に換算したときの流量(SCCM)で示す。
【0071】
CF41モルに対し、水とメタノールの等モル混合液1モルを添加した場合の反応は、下記式(12)
【0072】
【化12】
【0073】
で表される。すなわち、酸素原子は炭素原子と同数となるように供給され、水素原子はフッ素原子の1.5倍数となるように供給される。
図4において、Eで示した点では、炭素原子と酸素原子とが同数となり、水素原子がフッ素原子の1.5倍となっている。この関係は、図3に示すE点と全く同じ関係にあり、両者のE点でのCF4の分解率はほとんど同じである(図3において約98.9%、図4において約98.85%)ことがわかる。また、このE点よりも酸素添加量が増えると、NOの発生が急激に増加することがわかる。このことから、CF4の分解率とNO発生の関係が添加剤の種類によらず、混合ガス中のフッ素、炭素、酸素、水素の比率によってのみ決まることがわかる。
【0074】
一方、図4では、水・メタノールの添加量をE点から減少させると、図3に示すよりもCF4の分解率が急激に低下することがわかる。これは、図3すなわち実施例1においては、酸素の添加量を減少させても水素の添加量を常にフッ素の1.5倍モルとしているのに対して、実施例3では水・メタノールの添加量を減少させると、水素の添加量も減少するためである。なお、水・メタノールの添加量をE点から増加させた場合のNOの発生量は、図3に示す場合と比較して増加率が低い。これは、酸素添加量の増加と共に水素添加量も増加しているため、ある程度、酸化的雰囲気形成が抑制されるためと考える。
【0075】
【発明の効果】
本発明のプラズマ分解方法によれば、難分解性であるパーフルオロ化合物などのハロゲン化物の分解効率を低下させず、窒素酸化物の生成を抑制し、後処理の容易な一酸化炭素及びハロゲン化水素に分解することができ、総合的な環境負荷低減に資することができる。特に、半導体製造プロセスから排出される窒素成分を含むハロゲン化物のプラズマ分解において、有害な窒素酸化物を生成することなく、ハロゲン化物を良好に分解することができる。
【0076】
また、本発明において、添加剤として水及びアルコールの混合液を用い、被処理対象物の組成が一定である場合には、親和性のある水とアルコールを予め所望濃度の混合液として調製しておき、必要時に添加することができるので、安全性が高く取り扱いも容易で安価な添加剤を用いて、窒素酸化物を生成させずに非常に良好にハロゲン化物を分解することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1を実施するためのハロゲン化物分解装置の概略構成図である。
【図2】図2は、実施例3を実施するためのハロゲン化物分解装置の概略構成図である。
【図3】図3は、実施例1において酸素供給量を変化させた場合のCF4の残留濃度(分解率)とNOの発生量(濃度)との関係を示すグラフである。
【図4】図4は、実施例3において水とメタノールの等モル混合液の添加量を変化させた場合のCF4の残留濃度(分解率)とNOの生成量(濃度)との関係を示すグラフである。
Claims (4)
- ハロゲン化物及び窒素源を含む被処理対象物に、酸素原子、水素原子及び炭素原子の少なくとも1種を含む添加剤を混合して混合ガスを形成する工程と、
該混合ガスをプラズマ化させることにより該ハロゲン化物を一酸化炭素及びハロゲン化水素に分解させる工程と、を含み、
該添加剤は、該混合ガス中における酸素原子数と炭素原子数とがほぼ等しくなり且つ該混合ガス中における水素原子数がハロゲン元素の原子数と同数以上になるような組成及び量で混合されることを特徴とするハロゲン化物の分解方法。 - 前記一酸化炭素を、窒素酸化物が生成しない温度で酸化させる工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
- ハロゲン化物及び窒素源を含む被処理対象物を所定量で供給する被処理対象物供給機構と、
酸素原子、水素原子及び炭素原子の少なくとも1種を含む添加剤を所定量で供給する添加剤供給機構と、
所定量で供給された該被処理対象物と該添加剤とを混合して、混合ガスを形成する混合ガス調製機構と、
調製された該混合ガスをプラズマ化させて、該ハロゲン化物を一酸化炭素及びハロゲン化水素に分解させるプラズマ処理部と、
を含み、
該添加剤供給機構は、該混合ガス中における酸素原子数と炭素原子数とがほぼ等しくなり且つ該混合ガス中における水素原子数がハロゲン元素の原子数と同数以上になるような組成及び量で該添加剤を供給する、
ことを特徴とするハロゲン化物の分解装置。 - さらに、プラズマ処理部において得られた一酸化炭素を含む排気ガスを処理する排気ガス処理機構を具備する請求項3に記載の装置。
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