JPH1181117A - 塩害防止用繊維成形体 - Google Patents

塩害防止用繊維成形体

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JPH1181117A
JPH1181117A JP9249938A JP24993897A JPH1181117A JP H1181117 A JPH1181117 A JP H1181117A JP 9249938 A JP9249938 A JP 9249938A JP 24993897 A JP24993897 A JP 24993897A JP H1181117 A JPH1181117 A JP H1181117A
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fiber
fineness
salt damage
fibers
sand
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JP9249938A
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Teruaki Sekiguchi
輝明 関口
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JNC Corp
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Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 土壌中の塩分の上昇阻止効果を有し、濾過性
能、耐圧性能に優れ、且つ目詰まりのしない塩害防止用
繊維成形体を開発すること。 【解決手段】 捲縮がありかつ繊度が100〜5000
d/fの太繊度熱融着性繊維60〜95重量%と、繊度
が2〜99d/fの細繊度熱融着性繊維40〜5重量%
が混合され、かつ繊維の交点が熱融着された空隙率が9
0〜98%かつ砂充填時の1kg/cm2荷重後の嵩維
持率が70%以上である塩害防止用繊維成形体による。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地下地層中に含ま
れる、塩の上昇により発生する塩害の防止用に用いられ
る繊維成形体に関する。更に詳しくは、塩害の多い土壌
に不連続層を設けたり、或いは滞留水域層等を設けるこ
と等により、塩の表土への上昇を阻止する塩害防止用繊
維成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】塩害を防止する方法としては、例えば撥
水性メンブレンを用いた土壌改良方法(特開平6−10
1224号公報)や、透水防塩シートを用いる方法(特
開平7−322777号公報)等が提案されている。し
かし、メンブレンを土壌改質材の一部に用いた場合、時
として土壌が乾燥した場合に、メンブレンが収縮し、破
れ、もしくは損傷が起きやすい。また、防塩シートを用
いる工法では、直接土壌とシートが接するため、土圧に
よりシート材の損傷が発生し、その効果を十分に発揮で
きにくいという特徴がある。
【0003】さらに、不織布をクッションとして、ある
いは防塩資材の一部に組み込む工法も知られているが、
不織布の存在がシルトやクレイと言われる砂以下の粒径
をもつ粒子によって容易に目詰まりするといった課題が
ある。また、プラスチック製有孔管等で暗渠を設けた場
合、止めておくべき砂までが流出する問題が生じてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を解決するためになされたものであり、土壌の
塩の上昇阻止効果、濾過性能、耐圧性能等に優れ、シル
ト以下の粒径(約0.08mm)の粒子によって引き起
こされる目詰まりの防止機能、砂(粒径約0.08mm
以上)の流出防止機能等に優れ、かつ長期間使用可能な
塩害防止用繊維成形体の提供を目的とする。更には土壌
に不連続層を設け、かつ滞留水域層を形成し、塩の上昇
阻止効果のある塩害防止用繊維成形体を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために以下の構成をとる。 (1) 捲縮がありかつ繊度が100〜5000d/f
の太繊度熱融着性繊維60〜95重量%と、繊度が2〜
99d/fの細繊度熱融着性繊維40〜5重量%が混合
され、かつ繊維の交点が熱融着された空隙率が90〜9
8%かつ砂充填時の1kg/cm2荷重後の嵩維持率が
70%以上である塩害防止用繊維成形体。 (2) 太繊度熱融着性繊維及び細繊度熱融着性繊維の
うちの少なくとも一方が、低融点樹脂と高融点樹脂から
なりかつ低融点樹脂が繊維表面の少なくとも一部を形成
する熱融着性複合繊維である、(1)項に記載の塩害防
止用繊維成形体。 (3) 厚みが少なくとも5mmである(1)若しくは
(2)項に記載の塩害防止用繊維成形体。 (4) 太繊度熱融着性繊維と細繊度熱融着性繊維との
繊度の比(太繊度(d/f)/細繊度(d/f))が2
以上である(1)〜(3)の何れかに記載の塩害防止用
繊維成形体。 (5) シルトの通過率が80重量%以上である(1)
〜(4)の何れかに記載の塩害防止用繊維成形体。 (6)砂の流出阻止率が95%以上である(1)〜
(5)の何れかに記載の塩害防止用繊維成形体。
【0006】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明において、塩害防止用繊維成形体は熱可塑性樹脂か
らなる単一繊維や複合繊維等の熱融着性繊維で構成され
る。繊維同士の接点接着固定の効果を考慮したとき複合
繊維が好ましく用いられる。ここで熱融着性複合繊維と
は、繊維表面の少なくとも一部に、低融点成分が形成す
る二成分系以上の複合繊維である。熱融着性繊維の原料
となる熱可塑性樹脂として、各種のポリエチレン、ポリ
プロピレン、熱可塑性ポリエステル、ポリアミドを例示
でき、とりわけ好ましくはポリオレフィンである。複合
繊維の組み合わせの例として、高密度ポリエチレン/ポ
リプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン/ポリプロピ
レン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、プロピレ
ンと他のαオレフィンとの結晶性共重合体/ポリプロピ
レン、直鎖状低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、各種の
ポリエチレン/熱可塑性ポリエステル、ポリプロピレン
/熱可塑性ポリエステル、プロピレンと他のαオレフィ
ンとの結晶性重合体/熱可塑性ポリエステル、低融点熱
可塑性ポリエステル/熱可塑性ポリエステル、各種のポ
リエチレン/ナイロン6、ポリプロピレン/ナイロン
6、プロピレンと他のαオレフィンとの結晶性/ナイロ
ン6、ナイロン6/ナイロン66、ナイロン6/熱可塑
性ポリエステルなどを挙げることができる。
【0007】これらの中ではポリオレフィン同士若しく
はポリオレフィンとポリエステルからなる組み合わせが
好ましく、その具体例としては高密度ポリエチレン/ポ
リプロピレン、エチレン・プロピレン・ブテン−1結晶
性三元共重合体/ポリプロピレンあるいは高密度ポリエ
チレン/ポリエチレンテレフタレート等を挙げることが
できる。更に、これらの中ではポリオレフィン同士、例
えば高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、エチレン・
プロピレン・ブテン−1結晶性三元共重合体/ポリプロ
ピレン等が耐薬品性の面から特に好ましい。
【0008】該複合成分は融点差、または軟化点差が1
5℃以上あればよい。また該複合繊維は、鞘芯型、偏心
鞘芯型、並列型、海島型の複合繊維が使用できる。また
用途により、着色剤、耐光剤、難燃剤、抗菌剤などが添
加されていてもよい。
【0009】太繊度繊維としては、捲縮があり、且つ繊
度が100〜5000d/fの物が使用できる。好まし
くは200〜5000d/fであり、さらに好ましくは
500〜1000d/fである。細繊度繊維としては、
繊度が2〜99d/fの物が使用できる。好ましくは2
〜50d/fであり、さらに好ましくは2〜18d/f
である。又、捲縮は約1〜25山/25mmのものが好
ましい。
【0010】太繊度繊維の繊度が100d/f未満では
繊維が柔軟にすぎるため、嵩高性、形状保持性に問題が
ある。また5000d/fを越えると、繊維が剛直すぎ
るため細繊度繊維との混合が均一になりにくい。また、
細繊度繊維が2d/f未満では細繊度繊維同士が絡み合
って太繊度繊維との混合が均一になりにくい。また、9
9d/fを越えると塩害防止用繊維成形体中に保持でき
る砂の量が少なくなり、耐圧性能が悪くなる。太繊度繊
維の捲縮は二次元又は三次元捲縮で、捲縮数約1〜12
山/25mmのものが使用できる。
【0011】細繊度繊維は、前記 太繊度繊維同様の熱
可塑性樹脂からなる単一繊維や複合繊維等の熱融着性繊
維が使用できる。又、この繊維は捲縮があっても良く、
無くても良い。太繊度繊維は、繊維長が38〜128m
mの物が使用できる。細繊度繊維は38〜128mmの
物が使用できる。
【0012】混合する異繊度繊維の比率は、太繊度繊維
60〜95重量%、好ましくは80〜90重量%であ
り、細繊度繊維40〜5重量%、好ましくは20〜10
重量%であることが望ましい。また、太繊度繊維と細繊
度繊維の繊度比((太繊度d/f)/(細繊度d/
f))は2以上である。この繊度比は、好ましくは30
〜150である。施工すべき土壌の砂質により適宜選定
する。
【0013】本発明の塩害防止用繊維成形体の構造につ
いて説明する。本発明の塩害防止用繊維成形体は、異繊
度繊維混合ウエブが交絡し、繊維の交点が熱融着してい
る。
【0014】本発明の塩害防止用繊維成形体の製造方法
は、異繊度繊維をある程度混ぜ合わせた後、カード機や
ランダムウエバー等を用いウェブとした後、該ウェブを
熱接着処理することにより得られる。ランダムウェバー
を用いる場合、このランダムウェバーで繊維を分断飛散
させ、空中に飛散している繊維を移動コンベア裏面より
コンベア上に強制的に吸引し堆積させ、熱接着処理する
ことで得られる。
【0015】コンベア上に堆積されたウェブは、熱融着
性繊維の熱融着温度以上の温度で、複合繊維の場合低融
点成分の融点以上、高融点成分の融点以下の温度で熱接
着処理を行う。この熱接着処理により、繊維同士の接点
が接着固定される。また未捲縮の異繊度繊維を使用した
場合は捲縮が発現する。かかる繊維同士の接点の接着固
定により耐圧性能、クッション性、形状保持性が付与さ
れる。
【0016】熱処理には、非加圧型、加圧型などいずれ
の装置を用いても行うことができる。例えば熱風エアス
ル−型、遠赤外加熱型、熱風循環型、あるいは、加熱
後、ロ−ル押圧型とを組み合わせた装置、型枠充填型な
どの装置が使用できる。なかでも加熱とウェブの厚み調
節機能を備えた装置を使用し、適度の加圧をしながら加
熱するか、加熱後冷却以前にわずかに加圧することなど
により厚みの均一な塩害防止用繊維成形体が得られる。
【0017】本発明の効果を十分に発揮するには、塩害
防止用繊維成形体の厚みは5mm以上あれば良いが、経
済性や施工性などの点で厚みの上限は約1000mmで
ある。しかし、好ましくは約5〜500mm、更に好ま
しくは5〜250mmである。効果と経済性を考慮し
て、その厚みを選択することが出来る。得られた塩害防
止用繊維成形体は、特に太繊度繊維により外力に対して
優れた耐圧性能に優れる。
【0018】本発明の塩害防止用繊維成形体は空隙率9
0〜98%で、かつ砂を投入した物の1kg/cm2
重後の嵩維持率が70%以上の物である。該空隙率は、
好ましくは93〜96%である。90%以下ではシルト
を通過することが出来ず目詰まりを起こす。また、98
%以上では砂の流出を防ぐことができず、暗渠等の目詰
まりを起こす。
【0019】また、本発明塩害防止用繊維成形体の、砂
を投入した物の1kg/cm2荷重後の嵩維持率が70
%未満では、土圧による圧縮あるいは施工時の土の投入
による衝撃やパワーショベル等による踏圧等で塩害防止
用繊維成形体に圧縮や変形などが起きるので、シルトの
通過性が阻害されたり、短期間で排水性が悪化するなど
の問題が起こる。
【0020】本発明の塩害防止用繊維成形体の砂の流出
阻止率は95%以上である。この値は、該塩害防止用繊
維成形体の単位面積に載荷する土砂の総重量に対して、
降雨等の浸透による土砂の、該総重量から該塩害防止用
繊維成形体からの流出量を除いた重量の割合を表す。砂
の流出阻止率が95%未満では、砂の流出する孔、すな
わち砂路が容易に発生する資材と判断され、その結果暗
渠等の目詰まりや、それに伴う表土の崩壊・欠落が引き
起こされる。
【0021】本発明の塩害防止用繊維成形体を土中に施
工すると、この繊維成形体が土壌の不連続層を形成し、
この繊維成形体の周囲、特にその上部に水分が滞留する
いわゆる滞留水域層を形成することになる。植物はこの
滞留水をその生育に使用することが出来る。
【0022】土壌の空隙率と比べて、塩害防止用繊維成
形体の空隙率が非常に大きいため、毛細管現象によって
上昇してくる塩を、塩害防止用繊維成形体施工面で断ち
切ることが出来る。
【0023】本発明の施工方法は、施工すべき土壌を掘
り、前記塩害防止用繊維成形体を置き、更に土壌を埋め
戻すことにより達成できる。埋め戻す土壌は、掘り起こ
した土壌などが使用できる。施工深度は、農耕機器等が
掘り起こしうる深度より深ければ良く、土壌・農作物等
の条件によって適宜選定する。
【0024】
【実施例】以下、実施例で本発明をさらに詳細に説明す
る。なお、以下に示す測定方法及び評価方法を述べると
きは、今後単に測定という言葉をもって表現する。
【0025】尚、ここで言う空隙率とは以下の式で計算
された値である。
【0026】本例における捲縮数の測定は、JIS L
1015(化学繊維ステープル試験方法)に準拠する。
【0027】本例における1kg/cm2圧縮時の嵩維
持率は、以下の方法により測定した。サイズが80mm
×80mm、深さ350mmの直方体の容器中に、厚さ
30mmである、粒径5mmのガラスビーズによる層を
形成させ、この上に80mm×80mm、厚さ10mm
の試料片を挿入した。 この上に砂を300mmの厚さ
となるように投入した。なお、この時試料片中に砂が入
っていることを確認した。定速圧縮試験機で1.0kg
/cm2の荷重をかけ、30秒静置させた後の試料片の
厚みの変化を測定した。
【0028】シルト通過率は、次のように測定した。直
径100mm、深さ500mmの円筒中に直径100m
m、厚さ10mmの試料片を固定し、清水2.5リット
ルを加えて初期水位を試料片よりも高いところにとっ
た。次いでシルトを含む赤土の3.5%懸濁水1リット
ルを注入し、24時間静置後の試料片中のシルトの乾燥
重量(a)と試料片を通過したシルトの乾燥重量(b)
を測定した。これより、以下の式を用いてシルトの通過
率を算出した。
【0029】シルトの通過率=100×b/(a+b)
【0030】砂止性能は、次のように測定し、評価し
た。
【0031】直径100mm、深さ350mmの円筒
中に直径100mm、厚さ10mmの試料片を固定し、
砂を300mmの厚さに投入した。これに200mmの
距離を毎分40往復させる横方向の振動を1分間与え、
試料片から流出する砂の乾燥重量を測定した。この操作
を、砂の含水率0%〜18%の範囲で順次行った。
【0032】直径100mm、深さ350mmの円筒
中に直径100mm、厚さ10mmの試料片を固定し、
砂を300mmの厚さに投入した。これに10分間かけ
て50mmの散水を与え、試料片より流出する砂の乾燥
重量を測定した。この操作を、散水量100mm、20
0mmと変えて行った。
【0033】との結果から、非常に砂止効果の高い
ものを◎、砂止効果のあるものを○、砂止効果があまり
認められないものを×と表記し、評価した。
【0034】塩害防止効果については、次のように測定
した。乾燥させた山砂90重量%に対し、食塩10重量
%を混ぜあわせ、さらに水分を含ませて良く練り合わせ
た土を塩層土とした。この塩層土を、空隙率が50%で
厚み300mmとなるように、サイズが100mm×1
00mmの容器に詰め、この上に試料片を敷いた。さら
に塩を含まない山砂を、空隙率が50%で厚み100mm
となるように、試料片上に充填し、試験装置とした。
【0035】試験装置には、毎日500ml/hrの散
水(50mm/hrの降水量に相当)を与え、これを1カ
月間繰り返した。1カ月後、塩を含まない山砂を取り出
し、純水で洗浄してその洗浄水を濃縮させ、塩の析出の
有無を検査した。このとき、塩の析出がない場合を、塩
害防止効果ありと判断した。
【0036】
【表1】
【0037】(実施例1)複合繊維の鞘成分が融点13
5℃のポリエチレン、芯成分が融点166℃のポリプロ
ピレンからなる、三次元捲縮の付与された500d/
f、繊維長128mmの太繊度繊維70重量%と鞘成分
が融点135℃の高密度ポリエチレン、芯成分が融点1
66℃のポリプロピレンからなる、二次元捲縮の付与さ
れた18d/f、繊維長64mmの細繊度繊維30%を
混合し、ランダムウェバーを用いてウェブを作製した。
このウェブをネットコンベア狭持型の熱風エアスルー型
の加熱機で、温度148℃、時間5分間加熱処理し、冷
却前に適度に加圧して、厚み10mmの繊維の交点が接
着した塩害防止用繊維成形体を作成した。この塩害防止
用繊維成形体の物性や、塩害防止効果等の測定結果を表
1に示す。この塩害防止用繊維成形体は、圧縮時嵩高維
持率やシルト通過率が優れ、かつ塩害防止効果が優れた
ものであった。
【0038】(実施例2〜3)複合繊維の鞘成分が融点
131℃のエチレン−ブテン−プロピレン共重合体、芯
成分が融点166℃のポリプロピレンからなる、三次元
捲縮の付与された1000d/f、繊維長128mmの
太繊度繊維を80(実施例2)〜70(実施例3)重量
%と鞘成分が135℃の高密度ポリエチレン、芯成分が
融点166℃のポリプロピレンからなる、二次元捲縮の
付与された32d/f、繊維長64mmの細繊度繊維2
0〜30重量%をそれぞれ混合し、ランダムウェバーを
用いて種々のウェブを得た。このウェブをネットコンベ
ア狭持型の熱風エアスルー型の加熱機で、温度148
℃、時間5分間加熱処理し、冷却前に適度に加圧条件を
変え加圧して、厚み10mmの繊維の交点が接着した塩
害防止用繊維成形体2種を作成した。この塩害防止用繊
維成形体の物性や、塩害防止効果等の測定結果を表1に
示す。実施例2及び実施例3の塩害防止用繊維成形体
は、いずれも圧縮時嵩高維持率やシルト通過率等が優
れ、かつ塩害防止効果が優れたものであった。
【0039】(比較例1)複合繊維の鞘成分が融点13
5℃のポリエチレン、芯成分が融点166℃のポリプロ
ピレンからなる、三次元捲縮の付与された1000d/
f、繊維長128mmの太繊度繊維100%で構成し、
ランダムウェバーを用いてウェブを得た。このウェブを
ネットコンベア狭持型の熱風エアスルー型の加熱機で、
温度148℃、時間5分間加熱処理し、冷却前に適度に
加圧して、厚み10mmの繊維の交点が接着した繊維成
形体を作成した。この繊維成形体は、表1に示したよう
にシルトの通過率や塩害防止効果に優れたものであっ
た。しかし、砂止効果が非常に劣り、多くの含水率及び
全ての散水量で砂の流出がみられた。この繊維成形体は
砂の流出が短期間で起こるので、塩害防止用繊維成形体
として使用不可能であった。
【0040】(比較例2)複合繊維の鞘成分が融点13
5℃のポリエチレン、芯成分が融点166℃のポリプロ
ピレンからなる、三次元捲縮の付与された1000d/
f、繊維長128mmの太繊度繊維50重量%と鞘成分
が融点135℃の高密度ポリエチレン、芯成分が融点1
66℃のポリプロピレンからなる、二次元捲縮の付与さ
れた32d/f、繊維長64mmの細繊度繊維50重量
%を混合し、ランダムウェバーを用いてウェブを得た。
このウェブをネットコンベア狭持型の熱風エアスルー型
の加熱機で、温度148℃、時間5分間加熱処理し、冷
却前に適度に加圧して、厚み10mmの繊維の交点が接
着した繊維成形体を作成した。この繊維成形体は、表1
に示したように砂止め効果や塩害防止効果があるが、シ
ルト全体の60%程度しか排出できなかった。この繊維
成形体は、シルトによる目詰まりが短期間で起こるの
で、塩害防止用繊維成形体として使用不可能であった。
【0041】(比較例3)複合繊維の鞘成分が融点13
5℃のポリエチレン、芯成分が融点166℃のポリプロ
ピレンからなる、三次元捲縮の付与された1000d/
f、繊維長128mmの太繊度繊維100%で構成し、
ランダムウェバーを用いてウェブを得た。このウェブを
ネットコンベア狭持型の熱風エアスルー型の加熱機で、
温度148℃、時間5分間加熱処理し、冷却前に適度に
加圧して、厚み10mmの繊維の交点が接着した、空隙
率50%の繊維成形体を作成した。この繊維成形体は、
表1に示すようにシルトの通過率が非常に劣り、しかも
塩害防止効果のないものであった。
【0042】(実施例4)本発明の塩害防止用繊維成形
体の目詰まり性能を調査するため、以下の実験を行っ
た。なお、試料は実施例2で得たものを用いた。直径1
00mm、深さ350mmの円筒中に直径100mm、
厚さ10mmの試料片を固定し、この表面上に球径5m
mのガラスビーズによる厚さ30mmの層を形成した。
これにシルトを含む赤土の1%懸濁水を注水し、排水に
要する時間を測定した。繰り返しの注水に対して1時間
以上の排水時間を要するとき、目詰まりと判断した。懸
濁水の注水回数は、20回までとした。その結果、本発
明の塩害防止用繊維成形体は目詰まりを起こさなかっ
た。
【0043】(比較例4)前記実施例4と同様の方法
で、スパンボンド不織布の目詰まり性能を調査した。な
お、スパンボンド不織布は、繊度10d/f、目付20
0g/m2、厚み1mm、空隙率85.5%のポリエス
テルスパンボンド不織布を用いた。その結果、スパンボ
ンド不織布は、懸濁水の注水5回目で目詰まりを起こし
た。
【0044】
【発明の効果】上述したように本発明の塩害防止用繊維
成形体は、以下に示す効果を有する。 (1)太繊度繊維及び適当量の砂が塩害防止用繊維成形
体中に保持されることにより、圧縮に対する抵抗力を有
する。 (2)太繊維の間にランダムに散らばった細繊維によっ
て空間の細分化がなされることにより砂のブロッキング
現象を促し、砂止効果を大きいものとする。 (3)本発明の塩害防止用繊維成形体においてもシルト
の堆積は起こるが、平面での堆積と異なり立体的にあら
ゆる場所で堆積現象が起きるので必ず空隙部分が存在す
ることとなる。よって、シルト以下の粒径を持つ粒子は
排出され、目詰まりを起こし難くしている。 (4)本発明の塩害防止用繊維成形体の高い空隙率によ
り、土中に植物が利用しうる滞留水域層を形成する事が
可能である。 (5)本発明の塩害防止用繊維成形体の高い空隙率によ
り、塩の上昇を阻止し、塩害の発生を未然に防ぐことが
出来る。 従って、本発明の塩害防止用繊維成形体は、地中に塩を
含む地層が存在するような農地、グラウンド、或いは新
規開拓地、埋め立て地の塩害防止を目的とした土壌安定
材、排水材、その他土木分野等多方面において、塩害防
止用資材として多くの用途に有効に活用することができ
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 捲縮がありかつ繊度が100〜5000
    d/fの太繊度熱融着性繊維60〜95重量%と、繊度
    が2〜99d/fの細繊度熱融着性繊維40〜5重量%
    が混合され、かつ繊維の交点が熱融着された空隙率が9
    0〜98%かつ砂充填時の1kg/cm2荷重後の嵩維
    持率が70%以上である塩害防止用繊維成形体。
  2. 【請求項2】 太繊度熱融着性繊維及び細繊度熱融着性
    繊維のうちの少なくとも一方が、低融点樹脂と高融点樹
    脂からなりかつ低融点樹脂が繊維表面の少なくとも一部
    を形成する熱融着性複合繊維である、請求項1記載の塩
    害防止用繊維成形体。
  3. 【請求項3】 厚みが少なくとも5mmである請求項1
    若しくは2に記載の塩害防止用繊維成形体。
  4. 【請求項4】 太繊度熱融着性繊維と細繊度熱融着性繊
    維との繊度の比(太繊度(d/f)/細繊度(d/
    f))が2以上である請求項1〜3の何れかに記載の塩
    害防止用繊維成形体。
  5. 【請求項5】 シルトの通過率が80重量%以上である
    請求項1〜4の何れかに記載の塩害防止用繊維成形体。
  6. 【請求項6】 砂の流出阻止率が95%以上である請求
    項1〜5の何れかに記載の塩害防止用繊維成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006014691A (ja) * 2004-07-02 2006-01-19 Honey Steel Kk 植栽マット、緑化パネル、プランターおよび植栽法
KR100935635B1 (ko) * 2007-10-30 2010-01-07 주식회사 테라그린 토양보습제를 이용한 염분차단네트와 이 염분차단네트를이용한 염해지의 수목 식재 방법
CN111996669A (zh) * 2020-08-04 2020-11-27 东莞市莲茂纤维制品有限公司 一种聚酯纤维床垫芯生产工艺

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