JPH1180838A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JPH1180838A
JPH1180838A JP26112297A JP26112297A JPH1180838A JP H1180838 A JPH1180838 A JP H1180838A JP 26112297 A JP26112297 A JP 26112297A JP 26112297 A JP26112297 A JP 26112297A JP H1180838 A JPH1180838 A JP H1180838A
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JP
Japan
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graphite
bearing
rolling
wear
rolling bearing
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JP26112297A
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Susumu Tanaka
進 田中
Kenji Yamamura
賢二 山村
Manabu Ohori
學 大堀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軸受の転動疲労寿命を維持しつつ製造コスト
を低減でき、しかも、摩擦摩耗の低減によりころ軸受の
つば部における異常摩耗や焼き付きなどを抑制すること
ができる転がり軸受を提供する。 【解決手段】 転がり軸受では、すくなくともつば部
は、黒鉛、セメンタイトおよびフェライトを主成分とす
る素材からなり、熱処理後の軸受完成品では、黒鉛の平
均粒径が1〜5μmであり、かつ、黒鉛の総含有量が面
積率で0.1〜2.5%となるように均一に分散されて
いる。軌道輪のつば部あるいは球面軸受などでは、滑り
運動による異常摩耗が生じやすいが、平均粒径1μm以
上の黒鉛を面積率で0.1%以上均一に分散させると、
黒鉛自体による潤滑効果により初期摩耗が低減され、さ
らに黒鉛が脱落した後にはそれが微小ピットを形成して
潤滑油を保持するM−EHL効果により摩擦摩耗の抑制
に著しい効果を発揮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、すべり接触を伴
い、過酷な潤滑条件で使用される転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、転がり軸受は軌道面と転動面と
の間における転がり運動により接触応力を繰り返し受け
る。特に、ころ軸受の転動体であるころ端面とつば部と
の間では滑り運動を伴う。
【0003】そこで、これらの軸受材料には、硬くて負
荷に耐え、転がり疲労寿命が長く、滑りに対する耐摩耗
性が良好であることなどが要求され、一般的に軸受鋼で
あればSUJ2が使用される。また、肌焼鋼であればS
CR420相当の鋼材を焼入れあるいは浸炭または浸炭
窒化処理した後、焼入れして硬さをHRC58〜64と
することにより、必要とされる寿命や耐摩耗性が確保さ
れる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、転がり
軸受は差動すべり、特にころ軸受におけるころのスキュ
ーあるいはつば部におけるすべり接触などを伴うので、
潤滑条件が厳しい場合、ころ軸受のつば部などで摩擦に
よる異常摩耗が生じる。そして、摩耗粉が異物となり、
異物のかみ込みにより転動寿命を低下させたり、あるい
は焼き付いたりして早期破損を引き起こすなどの問題が
あった。
【0005】近年では、耐摩耗性あるいは耐焼き付き性
を向上させるために、窒化処理や浸炭窒化処理などの表
面改質技術や、各種極圧剤添加による摩擦摩耗抑制効果
のある潤滑油、グリースさらに固体潤滑剤などの開発が
行われ、摩擦摩耗あるいは焼き付きに対する改善が図ら
れてきた。
【0006】また、特開平5−240254号公報に
は、電解放電加工により微小ピットを転動面あるいは軌
道面に形成し、それを規則的に配列することにより接触
部に潤滑油を確保し、潤滑特性を向上させる試みがなさ
れているが、ピット径は電解液がジェット噴射されるノ
ズル径によって左右されるので、直径100μm程度に
限定されてしまい、しかもピット縁起点破壊が懸念され
るのと同時に、加工に多大な時間を要するので、大幅な
コストアップが避けられないという問題がある。
【0007】この摩擦摩耗あるいは焼き付きの対策およ
びその技術開発では、機能向上すなわち材料面あるいは
潤滑面からの摩擦摩耗を低減して軸受寿命を向上させる
ことに主眼が置かれ、近年のコストダウン要求に応える
ことは非常に困難であった。
【0008】また、転がり軸受を製造する場合、製造コ
ストの中で最も大きな比重を占めるのは加工費であり、
加工性の良い材料を用いて軸受を製造することが最もコ
ストダウンに有効である。
【0009】加工性の良い材料としては、低炭素肌焼用
鋼、構造用炭素鋼あるいは各種快削鋼などが挙げられ
る。低炭素肌焼用鋼では焼入れ、焼戻し処理しただけで
は軸受に必要とされる硬度が得られないので、浸炭また
は浸炭窒化処理などが施されるが、その結果として熱処
理費が高くなり、全体の製造コストはSUJ2製の転が
り軸受と同等かあるいはやや高くなる。
【0010】また、構造用炭素鋼であっても、比較的炭
素含有量の多いものでは加工性が悪く、製造コストを大
きく低減させることには繋がらず、また炭素含有量の少
ないものでは加工性が向上する反面、硬さが低下して耐
摩耗性や転動疲労寿命が低下する。さらに、各種快削鋼
では加工性が良好であるが、十分な疲労強度が得られな
い等の問題がある。
【0011】一方、特開平2−274837号公報およ
び特開平8−20841号公報には、素材の炭素を黒鉛
化することにより、同程度の炭素を含有した機械構造用
炭素鋼に比べて著しく被削性を改善する試みがなされて
いるが、これらの試みは加工性に主眼を置いており、転
動疲労強度または耐摩耗性が要求される転がり軸受の用
途に適用するには不十分であった。
【0012】そこで、本発明は、このような問題点に着
目してなされたものであり、軸受の転動疲労寿命を維持
しつつ製造コストを低減でき、しかも、摩擦摩耗の低減
によりころ軸受のつば部における異常摩耗や焼き付きな
どを抑制することができる転がり軸受を提供することを
目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者等は、まず被削性の良好な従来の黒鉛鋼を
転がり軸受に応用できないかどうかの検討を重ねた。
【0014】その結果、黒鉛鋼は黒鉛粒径またはその量
等が加工性を重視したものであるので、加工性は良好で
あるが、十分な転動寿命が得られなかったり、ころ軸受
のつば部等のように軸方向に繰り返し荷重が加わると、
強度が低下して容易に割損したりして、軸受として必要
な機能を満たせないことがわかった。
【0015】これは黒鉛化した炭素が基地中に溶け込み
難いので、熱処理後でもそれが残留し、黒鉛粒径や黒鉛
間距離によっては基地のマルテンサイト組織が不均質と
なり、さらに黒鉛自体が非常に軟質であることもあっ
て、そこを起点として容易に疲労破壊するためであると
考えられる。
【0016】また一方、従来の軸受鋼や肌焼鋼では製造
コストが高くなってしまうばかりか、ころ軸受のつば部
では大きな摩耗が生じて寸法精度が低下したり、摩耗粉
が異物となり、異物の噛み込みによる軸受の転動疲労寿
命を低下させたり、あるいは焼き付いたりする等の問題
を改善できなかった。
【0017】そこで、本発明者等はさらに研究を重ね、
種々の不完全黒鉛鋼を用いてコスト、機能面から軸受へ
の適用を検討した。その結果、加工性だけを重視した従
来の黒鉛鋼では、上記理由により十分な転動疲労寿命が
得られなかった。特に、比較的大きな荷重が作用する円
錐ころ軸受の大つば部等では十分な疲労強度が得られな
かった。
【0018】しかし、黒鉛化が不完全で、炭素の一部が
主として微細なセメンタイトと黒鉛として残留している
不完全黒鉛鋼を、熱処理した後に黒鉛平均粒径5μm以
下、ヘルツ接触面内に最低1個以上、面積率で2.5%
以下となるように黒鉛を均一に分散させた場合、微細な
セメンタイトによるピンニング効果により結晶粒粗大化
が抑制され、さらにセメンタイトが優先的に基地に溶け
て固溶強化に作用し、従来の黒鉛鋼と比較して著しく疲
労強度を向上できることが判明した。
【0019】特に、転動体が円筒、円錐あるいは球面形
状を有するころ軸受等では、十分に軸受に適用できる疲
労強度が得られ、黒鉛による摩擦摩耗抑制に著しい効果
のあること等が判明した。
【0020】本発明はかかる知見に基づいてなされたも
のであり、その請求項1に記載の転がり軸受は、内輪、
外輪および転動体から構成され、すべり接触を伴う転が
り軸受において、少なくとも前記すべり接触を伴う軸受
部品は、黒鉛、セメンタイトおよびフェライトを主成分
とする素材からなり、熱処理後の軸受完成品では、黒鉛
の平均粒径が1〜5μmであり、かつ、黒鉛の総含有量
が面積率で0.1〜2.5%となるように均一に分散さ
れていることを特徴とする。
【0021】また、転がり軸受は、転動体ところがり接
触かつすべり接触を行うつば部が内輪に設けられたころ
軸受に適用されることが好ましく、つば部は円筒あるい
は円錐であることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の転がり軸受の実施の形態
について説明する。本実施形態の転がり軸受は内輪につ
ば部が設けられたころ軸受であり、つば部は、黒鉛、セ
メンタイトおよびフェライトを主成分とする素材からな
り、熱処理後の軸受完成品では、黒鉛の平均粒径が1〜
5μmであり、かつ、黒鉛の総含有量が面積率で0.1
〜2.5%となるように均一に分散されている。また、
本実施形態では外輪、内輪および転動体につば部と同じ
材質が用いられる。
【0023】[素材]素材は、黒鉛、セメンタイト(F
3C)およびフェライトを主成分とする黒鉛化の不完
全な不完全黒鉛鋼からなる。完全黒鉛鋼では、炭素のほ
とんどが粗大な黒鉛として存在するので、熱処理時に溶
け込み難く、黒鉛周りの硬さや組織の均一性が不十分で
あり、黒鉛が破損の起点となること、さらにセメンタイ
トによる粒界ピンニング効果も得られず、結晶粒度も粗
大化することなどから良好な疲労強度が得られない。
【0024】一方、微細なセメンタイトが一部残留する
不完全黒鉛鋼では、炭素のセメンタイトへの一部配分化
により黒鉛が微細化され、セメンタイトの粒界ピンニン
グ効果によって結晶粒度の粗大成長を抑制する作用があ
る。
【0025】また、パーライトコロニー内のラメラーセ
メンタイトが分断化され球状化する過程で黒鉛も成長し
て粗大化する傾向にあるので、好ましくは一部ラメラー
形状のセメンタイトを含有させるとよい。
【0026】[軸受完成品における黒鉛粒径および量]
転がり軸受、特に円筒や円錐のつば部のようにころがり
/すべり接触部を有するころ軸受では、熱処理後の完成
品表面において黒鉛平均粒径が1〜5μmであり、かつ
面積率で0.1〜2.5%となるように均一に分散され
ていることが前提条件である。
【0027】黒鉛平均粒径が5μm以上あるいは面積率
で2.5%を越えると、疲労強度が著しく低下してしま
う。特に、円錐や円筒ころ軸受のつば部に軸方向荷重に
よる繰り返し疲労を受けると、早期割損してしまうおそ
れがある。
【0028】また、軌道輪のつば部あるいは球面軸受等
では、滑り運動による異常摩耗が生じやすいが、平均粒
径1μm以上の黒鉛を面積率で0.1%以上均一に分散
させることにより、黒鉛自体による潤滑効果により初期
摩耗が低減され、さらに黒鉛が脱落した後にはそれが微
小ピットを形成して潤滑油を保持し、油溜まり効果(M
−EHL効果)により摩擦摩耗の抑制に著しい効果を発
揮する。
【0029】さらに、玉軸受においても、差動すべりに
よる摩耗は潤滑条件が厳しい場合に度々問題になること
であり、このような場合でも、本実施形態の黒鉛の自己
潤滑作用とM−EHL効果により好ましい効果を期待で
きる。
【0030】[その他の成分]黒鉛鋼にはつぎの成分が
含まれることが好ましい。炭素Cは、摩擦摩耗に非常に
効果のある黒鉛粒を形成する上で必要不可欠であり、さ
らに焼入れ、焼戻し処理により基地をマルテンサイト化
する。転がり軸受に必要なHRC58以上の硬度を得る
ためには、0.45重量%以上が必要である。
【0031】また、0.8重量%を越えて含有すると、
残留オーステナイトが増加して軸受の寸法安定性を低下
させたり、加工性や黒鉛粒径に悪影響を及ぼすことがあ
るので、好ましくは炭素含有量は0.45重量%以上
0.8重量%以下であることが好ましい。
【0032】シリコンSiは、製鋼時の脱酸のために必
要な元素であり、また、鋼中のセメンタイトを不安定に
して黒鉛化を促進させる元素としても有効である。そし
て、焼戻軟化抵抗性、焼入性、転動疲労寿命等を向上さ
せるために、0.5重量%以上添加される。しかし、添
加量が多すぎると、黒鉛化の効果は飽和し、加工性にも
悪影響を及ぼすようになるので、1.5重量%以下が好
ましい。
【0033】マンガンMnは、シリコンSiと同様に製
鋼時の脱酸のために必要な元素であり、0.1重量%以
上添加される。また、マンガンMnは焼入性を高め、熱
処理後の強度や転動疲労寿命の向上にも寄与する。しか
し、添加量が多いと、寸法安定性に有効な残留オーステ
ナイトが生成したり、黒鉛化を阻害したり、さらには加
工性が劣化するので、1.5重量%以下であることが好
ましい。
【0034】クロムCrは、焼入性を高め、熱処理後の
強度や転動疲労強度の向上に寄与するが、黒鉛化を阻害
する元素であるので、選択的に添加される。ただし、添
加量が多いと、加工性が低下したり、黒鉛化が著しく阻
害されるので、その上限は1.5重量%以下であること
が好ましい。
【0035】モリブデンMoは、焼入性を高め、熱処理
後の強度および転動疲労寿命の向上に寄与するので、選
択的に添加されるが、多量に添加されると黒鉛化が阻害
され、さらに、素材コストが高くなり、加工性も低下す
るので、上限は1.0重量%以下であることが好まし
い。
【0036】[試験機]つぎに、本実施形態の転がり軸
受の大つば疲労試験および大つば摩耗試験を行うための
試験機について説明する。図1は大つば疲労試験を行う
ための試験機の概略的構成を示す図である。試験機1で
は、つば部(大つば)8が一対の内輪6の間に挟まれる
形でボルト3により内輪6が台座5に固定されている。
そして、つば部8のすべり接触面に繰り返しアキシアル
荷重を加え、つば部8が割損するまでの累積繰り返し回
数を調査することにより、大つば疲労試験を行う。
【0037】図2は大つば摩耗試験を行うための試験機
の構成を示す断面図である。試験機20は縦型内輪回転
式の試験機である。試験機20では、支持軸受23に回
転自在に支持された主軸24の端部24aは、試験軸受
としての円錐ころ軸受26の内輪26aに内嵌されてい
る。内輪26aの外周面にはつば部26dが形成されて
おり、円錐ころ26bに対してころがり/すべり接触を
行う。内輪26aおよび円錐ころ26bと共に円錐ころ
軸受26を構成する外輪26cは本体部28に内嵌され
ている。本体部28の軸方向上端面には静圧軸受31が
設けられており、その上面にはアキシアル荷重が付与さ
れる。
【0038】また、本体部28の側面には棒材34を介
してロードセル33が接続されており、本体部28に架
かる動摩擦トルクを検出する。さらに、本体部28には
円錐ころ軸受26のころがり/すべり接触面に外部から
潤滑油を供給するための通路36が形成されている。ま
た、ころがり/すべり接触面の温度を検出する熱電対3
8が本体部28の側面から取り出されている。
【0039】上記構成を有する試験機20では、アキシ
ャル荷重、ラジアル荷重、回転速度、潤滑油量を任意に
変えて試験することができ、回転中の動摩擦トルクおよ
びころがり/すべり接触面の温度上昇を同時に測定する
ことができる。
【0040】
【実施例】転がり軸受の実施例について説明する。表1
に実施例および比較例の転がり軸受の化学成分を示す。
【0041】
【表1】 鋼材の製造方法では、まず溶製した後、熱間鍛造により
φ36mmの棒鋼とし、850℃で焼きならした後、7
00℃で15〜30時間黒鉛化処理を施し、その後、表
面脱炭層をピーリングにより除去し、φ32mmの供試
片とした。
【0042】一方、比較材には表1の記号Iに示すS5
3Cなる機械構造用炭素鋼および記号Jに示すSUJ2
材を用いた。
【0043】また、評価用の転がり軸受には円錐ころ軸
受であるHR30307C(組合せ円錐軸受)およびL
44649(内輪円錐軸受)を用いた。φ32mmの供
試片を温間鍛造によりブランク成型した後、旋削、熱処
理、研磨の工程を経て評価用の転がり軸受を作製した
際、熱処理では840〜860℃で油焼入を行った後、
140〜180℃で焼戻しを行った。
【0044】黒鉛平均粒径では30視野を光学顕微鏡
(倍率×1000)で観察し、それぞれの視野の最大黒
鉛粒径を測定し、30視野分の最大黒鉛粒径を平均して
算出する。黒鉛面積率では30視野を光学顕微鏡(倍率
×1000)で観察し、それぞれ画像解析により測定し
て平均値を求めた。
【0045】表2に実施例および比較例について大つば
疲労試験および大つば摩耗試験を行った結果を示す。試
験条件はつぎの通りである。
【0046】
【表2】 (大つば疲労強度試験) 試験軸受:L44649 荷重変動幅:350kgf(Max.400kgf,M
in.50kgf) 周波数:20Hz 大つば疲労強度試験では、図1に示す試験機1が使用さ
れ、大つばが割損するまでの累積応力繰り返し回数(寿
命)を調査してワイブルプロットを作成し、そのワイブ
ル分布の結果からそれぞれの試験片のL10寿命を求め
た。
【0047】(大つば摩耗試験) 試験軸受:HR30307C 荷重:9.8kN 回転数:300rpm 潤滑油:タービン油(ISO VG32) 潤滑油量:200ml/min 潤滑油温度:30±3℃ 大つば摩耗試験では、図2に示す試験機20が使用さ
れ、アキシャル荷重、ラジアル荷重、回転速度、潤滑油
量を任意に変えて試験することができ、回転中の動摩擦
トルク、温度上昇も同時に測定できる。
【0048】試験ではアキシャル方向だけ荷重を全周均
等に負荷し、200000回転まで行った。また、試験
終了前の動摩擦トルクの測定も合わせて実施した。摩耗
量は200000回転後、ころがり/すべり摩擦をして
いる内輪大つば面の表面経時変化量として同一場所の初
期形状と変化後の表面形状とを重ね合わせ、その差から
摩耗面積を求め、さらにこの摩耗面積に接触長さ(π×
接触円P.C.D)を掛けて摩耗体積として定量化し
た。測定結果を表2に示す。
【0049】実施例では全て黒鉛平均粒径が1〜5μ
m、かつ面積率が0.1〜2.5%となっており、切削
性、鍛造性等の加工性が非常に良好である上、疲労強度
は記号Iに示すS53C並みであり、黒鉛の存在による
疲労強度の低下は見られない。
【0050】また、実施例では、特に黒鉛による自己潤
滑作用とM−EHL効果により摩擦摩耗の抑制に非常に
効果があり、動摩擦トルクおよび摩耗量が共に小さく、
回転特性が著しく改善された。
【0051】これに対し、比較例F〜Hは黒鉛による効
果であり、実施例と同等の動摩擦トルクおよび潤滑特性
が得られたが、黒鉛が粗大であることおよびセメンタイ
トによる結晶粒粗大化抑制効果も得られなかったこと等
からつば部では十分な疲労強度が得られず、つばを擁し
た転がり軸受に適用する場合、繰り返し疲労によって割
損を招くので、好ましくない。
【0052】また、比較例IのS53Cあるいは比較例
JのSUJ2では、疲労強度は十分ではあるが、黒鉛に
よる潤滑効果が得られないので、つばの摩耗量が実施例
に比較して大きく、回転性能が劣っている。
【0053】
【発明の効果】本発明の請求項1に記載の転がり軸受に
よれば、内輪、外輪および転動体から構成され、すべり
接触を伴う転がり軸受において、少なくとも前記すべり
接触を伴う軸受部品は、黒鉛、セメンタイトおよびフェ
ライトを主成分とする素材からなり、熱処理後の軸受完
成品では、黒鉛の平均粒径が1〜5μmであり、かつ、
黒鉛の総含有量が面積率で0.1〜2.5%となるよう
に均一に分散されているので、加工性および疲労強度が
ともに良好であり、摩擦摩耗の抑制に効果のある転がり
軸受、特に転動体が円筒、円錐あるいは球面形状である
ころ軸受を安価に製造できる。
【0054】このように、軸受の転動疲労寿命を維持し
つつ製造コストを低減でき、しかも、摩擦摩耗の低減に
よりころ軸受のつば部における異常摩耗や焼き付きなど
を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】大つば疲労試験を行うための試験機の概略的構
成を示す図である。
【図2】大つば摩耗試験を行うための試験機の構成を示
す断面図である。
【符号の説明】
6、26a 内輪 8、26d つば部 26 試験軸受 26b 円錐ころ 26c 外輪

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪、外輪および転動体から構成され、
    すべり接触を伴う転がり軸受において、 少なくとも前記すべり接触を伴う軸受部品は、黒鉛、セ
    メンタイトおよびフェライトを主成分とする素材からな
    り、 熱処理後の軸受完成品では、黒鉛の平均粒径が1〜5μ
    mであり、かつ、黒鉛の総含有量が面積率で0.1〜
    2.5%となるように均一に分散されていることを特徴
    とする転がり軸受。
JP26112297A 1997-09-10 1997-09-10 転がり軸受 Withdrawn JPH1180838A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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