JPH1179662A - 弧動式ケーブルクレーンの制御方法 - Google Patents

弧動式ケーブルクレーンの制御方法

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JPH1179662A
JPH1179662A JP25240497A JP25240497A JPH1179662A JP H1179662 A JPH1179662 A JP H1179662A JP 25240497 A JP25240497 A JP 25240497A JP 25240497 A JP25240497 A JP 25240497A JP H1179662 A JPH1179662 A JP H1179662A
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JP
Japan
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tower
bucket
trolley
moving
traveling
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JP25240497A
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English (en)
Inventor
Michio Nakao
通夫 中尾
Keizo Kazama
慶三 風間
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Obayashi Corp
Original Assignee
Obayashi Corp
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  • Control And Safety Of Cranes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動的に運転制御することができるととも
に、横行トロリーの加速時、及び減速時にバケットの振
れ止めを効果的に行って、停止精度の向上を図ることの
できる弧動式ケーブルクレーンの制御方法を提供する。 【解決手段】 バケット12の搬送開始位置及び搬送終
了位置に応じて、移動塔3の走行移動量、横行索10の
繰り出し長さ、吊索11の繰り出し長さ、移動塔3の走
行速度、横行索10の繰り出し速度、吊索11の繰り出
し速度を算定要素として、移動塔3、主索7、横行トロ
リー9、及びバケット12の挙動を解析して運転パター
ンをモデル化し、ケーブルクレーン50を運転する際
に、設定条件に応じてモデル化された運転パターンを選
択して、この運転パターンに従って弧動式ケーブルクレ
ーン50を自動制御するとともに、横行トロリー9の加
速時及び減速時において、横行トロリー9やバケット1
2の実際の動きを検出し、ファジー推論によりフィード
バック制御してバケット12の振れを相殺する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、弧動式ケーブル
クレーンの制御方法に関し、特に、バケットの停止精度
の向上を図ることのできる弧動式ケーブルクレーンの制
御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、ダム等の大型構造物の構
築現場において、コンクリートを製造現場から打設現場
まで搬送するための手段の一つとしてケーブルクレーン
が用いられている。
【0003】また、例えばコンクリートの打設箇所が広
範囲にわたる場合には、コンクリートバケットをこのよ
うな打設箇所の各打設位置に直接運搬することができる
ように、弧動式のケーブルクレーンが採用される場合が
ある。
【0004】このような弧動式ケーブルクレーン50
は、例えば図1及び図2に示すように、主として、ダム
1の構築予定箇所を挟んだ一方において、他方側を円の
中心とする円弧状に敷設された走行路2に沿って移動す
る移動塔3と、前記他方側の円の中心部分に設けられた
固定塔5と、一端が移動塔3に、他端が固定塔5に連結
してこれらの間に張設される主索7と、この主索7に沿
って走行可能な横行トロリー9と、この横行トロリー9
を牽引する横行索10と、この横行トロリー9の下方に
吊索11を介して吊下されたバケット12とによって構
成される。
【0005】また、この弧動式のケーブルクレーン50
によれば、移動塔3は、これを走行移動させる移動塔走
行ウィンチ13の駆動により、走行路2に沿って配設さ
れた走行索を介して走行路2に沿って往復移動するとと
もに、横行トロリー9は、横行索10を牽引する横行ウ
ィンチ15の巻き出し量に応じて主索7に沿って往復移
動し、また横行トロリー9の下方に吊下されたバケット
12は、縦行ウインチ16を作動して吊索11を巻取,
巻き下げすることにより昇降させることができるように
なっている。
【0006】さらに、横行ウィンチ15及び縦行ウイン
チ16は、機械室55内に設置されるとともに、これら
の各ウィンチ13,15,16は、固定塔5に隣接する
操作室17内に設けられた駆動制御装置により制御され
るようになっている。
【0007】一方、他の弧動式ケーブルクレーン60と
して、同心円型のものが採用される場合があり、この同
心円型の弧動式ケーブルクレーン60によれば、例えば
図3及び図4に示すように、上述の固定塔5に換えて、
当該他方側において、走行路2と同心円の円弧状に敷設
された第二走行路14に沿って移動する第二移動塔4を
備えるもので、この第二移動塔4と移動塔3との間に、
主索7が張設されるとともに、第二移動塔4は第二移動
塔走行ウィンチ18の駆動により、第二走行路14に沿
って配設された走行索を介して第二走行路2に沿って往
復移動し、また、この第二移動塔走行ウィンチ18は、
操作室17内に設けられた駆動制御装置により制御され
るようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そして、このような弧
動式のケーブルクレーンによれば、走行路2に沿った移
動塔3の移動や、あるいはこれに加えて第二走行路14
に沿った第二移動塔4の移動によって、主索7の平面的
な位置が変化するので、バケット12の動きが3次元的
となり、また横行時、及び走行時にバケット12の振れ
が大きくなることから、主索の平面的な位置が変化しな
い両端固定式のケーブルクレーンと比較して、バケット
を搬送開始位置から搬送終了位置まで移動させる際の制
御が困難である。
【0009】従って、従来の弧動式のケーブルクレーン
によれば、熟練のオペレータと合図マンとの間の合図を
介して手動運転により制御がなされており、効率的な搬
送作業を行うことができなかったため、搬送開始位置あ
るいは搬送終了位置においてバケットの振れを抑制しつ
つ正確な位置決めを行うことのできる、弧動式ケーブル
クレーンを自動的に運転制御する制御方法の開発が望ま
れていた。
【0010】また、特に、横行トロリーの加速時、及び
減速時にはバケットの速度に応答遅れが生じ、バケット
は吊索の繰り出し長さに応じた周期で触れてしまうた
め、この振れを停止させる制御方法の開発が望まれてい
た。
【0011】そこで、この発明は、このような従来の課
題に着目してなされたもので、弧動式のケーブルクレー
ンを自動的に運転制御することができるとともに、横行
トロリーの加速時、及び減速時にバケットの振れ止めを
効果的に行って、停止精度の向上を容易に図ることので
きる弧動式ケーブルクレーンの制御方法を提供すること
を目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記目的を
達成するためになされたもので、その要旨は、ダム等の
構築予定構造物を挟んだ一方において、他方側を円の中
心とする円弧状に敷設された走行路に沿って移動する移
動塔と、前記他方側の円の中心部分に設けられた固定塔
と、一端が前記移動塔に、他端が前記固定塔に連結して
これらの間に張設される主索と、該主索に沿って走行可
能な横行トロリーと、該横行トロリー牽引用の横行索
と、前記横行トロリーの下方に吊索を介して吊下された
バケットと、前記移動塔を走行移動させる移動塔走行ウ
ィンチと、前記横行索を牽引して前記横行トロリーを主
索に沿って往復移動させる横行ウインチと、前記吊索を
巻取,巻き下げしてバケットを昇降させる縦行ウインチ
と、各ウインチの駆動制御装置とを備えた弧動式のケー
ブルクレーンにおいて、前記バケットを搬送開始位置か
ら搬送終了位置まで移動させる際に使用する弧動式ケー
ブルクレーンの制御方法であって、前記搬送開始位置及
び搬送終了位置に応じて、前記移動塔の走行移動量、前
記横行索の繰り出し長さ、前記吊索の繰り出し長さ、前
記移動塔の走行速度、前記横行索の繰り出し速度、及び
前記吊索の繰り出し速度を算定要素として、前記移動
塔、前記主索、前記横行トロリー、及び前記バケットの
挙動を解析して運転パターンをモデル化し、前記ケーブ
ルクレーンを運転する際に、設定条件に応じて前記モデ
ル化された運転パターンを選択して、この運転パターン
に従ってケーブルクレーンを自動制御するとともに、横
行トロリーの加速時及び減速時において、主索に沿った
横行トロリーの実際の動き及び該横行トロリーから吊下
されるバケットの実際の動きを検出し、この検出結果に
基づきファジー推論によりフィードバック制御してバケ
ットの振れを相殺することを特徴とする平行走行式ケー
ブルクレーンの制御方法にある。
【0013】また、この発明の制御方法は、前記主索、
前記横行索、及び前記吊索を懸垂曲線と仮定して、前記
移動塔、前記主索、前記横行トロリー、及び前記バケッ
トの挙動を解析して運転パターンをモデル化することが
好ましい。
【0014】一方、この発明の他の要旨は、ダム等の構
築予定構造物を挟んだ一方において、他方側を円の中心
とする円弧状に敷設された走行路に沿って移動する移動
塔と、前記他方側において、前記走行路と同心円の円弧
状に敷設された第二走行路に沿って移動する第二移動塔
と、一端が前記移動塔に、他端が前記第二移動塔に連結
してこれらの間に張設される主索と、該主索に沿って走
行可能な横行トロリーと、該横行トロリー牽引用の横行
索と、前記横行トロリーの下方に吊索を介して吊下され
たバケットと、前記移動塔を走行移動させる移動塔走行
ウィンチと、前記第二移動塔を走行移動させる第二移動
塔走行ウィンチと、前記横行索を牽引して前記横行トロ
リーを主索に沿って往復移動させる横行ウインチと、前
記吊索を巻取,巻き下げしてバケットを昇降させる縦行
ウインチと、各ウインチの駆動制御装置とを備えた弧動
式のケーブルクレーンにおいて、前記バケットを搬送開
始位置から搬送終了位置まで移動させる際に使用する弧
動式ケーブルクレーンの制御方法であって、前記搬送開
始位置及び搬送終了位置に応じて、前記移動塔及び第二
移動塔の走行移動量、前記横行索の繰り出し長さ、前記
吊索の繰り出し長さ、前記移動塔及び第二移動塔の走行
速度、前記横行索の繰り出し速度、及び前記吊索の繰り
出し速度を算定要素として、前記移動塔、前記第二移動
塔、前記主索、前記横行トロリー、及び前記バケットの
挙動を解析して運転パターンをモデル化し、前記ケーブ
ルクレーンを運転する際に、設定条件に応じて前記モデ
ル化された運転パターンを選択して、この運転パターン
に従ってケーブルクレーンを自動制御するとともに、横
行トロリーの加速時及び減速時において、主索に沿った
横行トロリーの実際の動き及び該横行トロリーから吊下
されるバケットの実際の動きを検出し、この検出結果に
基づきファジー推論によりフィードバック制御してバケ
ットの振れを相殺することを特徴とするケーブルクレー
ンの制御方法にある。
【0015】また、この発明の制御方法は、前記主索、
前記横行索、及び前記吊索を懸垂曲線と仮定して、前記
移動塔、前記第二移動塔、前記主索、前記横行トロリ
ー、及び前記バケットの挙動を解析して運転パターンを
モデル化することが好ましい。
【0016】さらに、この発明の制御方法は、前記横行
トロリーの加速時及び減速時におけるファジー推論によ
るフィードバック制御を、加速時にはバケットの振れ角
と振れ方向及び横行トロリーの速度を入力することによ
り行い、減速時にはバケットの振れ角と振れ方向及び横
行トロリーの速度と位置を入力することにより行い、さ
らに停止時にはバケットの振れ角と振れ方向及び横行ト
ロリーの速度と位置を入力することにより行うようにす
ることが好ましい。
【0017】そして、この発明の制御方法によれば、例
えばコンピュータを用いて、搬送開始位置及び搬送終了
位置に応じて、前記移動塔あるいは前記移動塔及び前記
第二移動塔の走行移動量、前記横行索の繰り出し長さ、
前記吊索の繰り出し長さ、前記移動塔あるいは前記移動
塔及び前記第二移動塔の走行速度、前記横行索の繰り出
し速度、及び前記吊索の繰り出し速度を算定要素とし
て、前記移動塔、前記第二移動塔、前記主索、前記横行
トロリー、及び前記バケットの挙動を解析して運転パタ
ーンをモデル化する。
【0018】すなわち、バケットの位置情報や重量の情
報が与えられると、例えば主索上における横行トロリー
の配設位置等における静的釣合い方程式などから、当該
バケットの位置に対応する移動塔あるいは移動塔及び第
二移動塔の走行移動量、横行索の繰り出し長さ、吊索の
繰り出し長さが算定されることになるので、バケットの
各位置についてこれらの移動量や繰り出し量を求め、必
要に応じてデータベースとして保存する。
【0019】また、バケットの振れは、移動塔あるいは
移動塔及び第二移動塔の走行速度や、横行索及び吊索の
繰り出し速度と関連することから、振子の運動方程式に
基づいて解析を行い、バケットの各停止位置においてバ
ケットが振れを生じないようにするための、移動塔ある
いは移動塔及び第二移動塔の走行速度や、横行索の繰り
出し速度、吊索の繰り出し速度の組み合わせを算出し
て、必要に応じてデータベースとして保存する。
【0020】さらに、走行索を含めた各索の最大繰り出
し速度の相違や、搬送開始位置や搬送終了位置の立地条
件、障害物等のデータを解析して、必要に応じてデータ
ベースとして保存する。
【0021】そして、この発明の制御方法によれば、上
述の各算定結果に基づいて、前記移動塔あるいは前記移
動塔及び第二移動塔、前記主索、前記横行トロリー、及
び前記バケットの挙動を解析して運転パターンをモデル
化する。
【0022】すなわち、各バケットの位置に対応する、
移動塔あるいは移動塔及び第二移動塔の走行移動量や、
横行索、吊索の繰り出し長さが算定されることから、移
動塔あるいは移動塔及び第二移動塔、主索、横行トロリ
ーの挙動も容易に知ることができ、また、バケットの位
置が各搬送開始位置と搬送終了位置との間で連続するよ
うに移動塔あるいは移動塔及び第二移動塔の走行移動
量、横行索や吊索の繰り出し量を制御するとともに、運
転後の各停止位置においてバケットの振れを抑制するよ
うに、移動塔あるいは移動塔及び第二移動塔の走行速
度、横行索や吊索の繰り出し速度を制御する、モデル化
された運転パターンを容易に求めてこれを必要に応じて
データベースとして保存しておくことができる。
【0023】そして、この発明の制御方法によれば、ケ
ーブルクレーンを運転する際に、移動塔あるいは移動塔
及び第二移動塔の走行移動量、横行索の繰り出し長さ、
吊索の繰り出し長さ、移動塔あるいは移動塔及び第二移
動塔の走行速度、横行索の繰り出し速度、及び吊索の繰
り出し速度を算定要素として予め求められている、上記
モデル化された運転パターンから、搬送開始位置、搬送
終了位置、コンクリートを積んだバケットの重量等の設
定条件に応じて最適の運転パターンを選択し、この運転
パターンに従って、移動塔走行ウィンチあるいは移動塔
走行ウィンチ及び第二移動塔走行ウィンチ、横行ウイン
チ、及び縦行ウインチを制御することにより、自動的に
弧動式ケーブルクレーンの運転制御を行うとともに、横
行トロリーの加速時及び減速時において、ファジー推論
に基づきバケットの振れを相殺する制御がなされる。
【0024】また、搬送開始位置、搬送終了位置、バケ
ットの重量等の設定条件が設定されたら運転パターンの
計算を行い、この計算された運転パターンに従って各ウ
ィンチを制御することにより、自動的に弧動式ケープル
クレーンの運転制御を行うこともできる。
【0025】すなわち、この発明の制御方法によれば、
モデル化された運転パターンに従って制御することによ
り、最終停止位置におけるバケットの振れを抑制しつ
つ、かつファジー推論に基づく制御によりバケットの停
止精度の向上を図りつつ、弧動式ケーブルクレーンの自
動運転を容易に行ってゆくことができる。
【0026】また、主索、横行索、及び吊索を懸垂曲線
と仮定して、運転パターンをモデル化するようにすれ
ば、より正確な位置決めや振れ止めを行うことのできる
運転パターンを容易に得ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を添
付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形
態において、従来と同様または相当する箇所には同一符
号を援用し、異なる箇所または新たに付加する箇所に新
たな符号を付して説明する。
【0028】図1及び図2は、この実施形態の制御方法
を採用した弧動式ケーブルクレーンの一例の全体構成を
示す概略図である。この弧動式ケーブルクレーン50
は、山間の谷部にダム1をコンクリートを打設して構築
すべく設けられたもので、ダム1の構築予定箇所を挟ん
だ一方において、他方側を円の中心とする円弧状に敷設
された走行路2に沿って移動する移動塔3と、前記他方
側の円の中心部分に設けられた固定塔5と、一端が移動
塔3に、他端が固定塔5に連結してこれらの間に張設さ
れる主索7と、この主索7に沿って走行可能な横行トロ
リー9と、この横行トロリー9を牽引する横行索10
と、この横行トロリー9の下方に吊索11を介して吊下
されたバケット12とを備えている。
【0029】また、この弧動式のケーブルクレーン50
によれば、移動塔3は、これを走行移動させる移動塔走
行ウィンチ13の駆動により、走行路2に沿って配設さ
れた走行索を介して走行路2に沿って往復移動するとと
もに、横行トロリー9は、横行索10を牽引する横行ウ
ィンチ15の巻き出し量に応じて主索7に沿って往復移
動し、また横行トロリー9の下方に吊下されたバケット
12は、縦行ウインチ16を作動して吊索11を巻取,
巻き下げすることにより昇降させることができるように
なっている。
【0030】さらに、これらの移動塔走行ウィンチ1
3、横行ウィンチ15や縦行ウインチ16は、機械室5
5,56内に設置されるとともに、これらの各ウィンチ
13,15,16は、固定塔5に隣接する操作室17内
に設けられた駆動制御装置により制御されるようになっ
ている。
【0031】すなわち、操作室17には、各ウィンチ1
3,15,16の駆動制御装置や、運転用操作卓、運転
パターンを演算解析したりデータを保存するコンピュー
タからなる演算部、無線機などが設けられている。
【0032】一方、固定塔5を設置した山側の平坦面に
は、軌道22が敷設されおり、この軌道22に沿って、
バッチャープラントにおいて作られたコンクリートを、
軌道22が敷設された平坦面より一段下方に設けられた
搬送開始位置としてのバンカー部20まで運搬するトラ
ンスファーカー23が走行し、このバンカー部20に着
床したバケット12に運搬してきたコンクリートを投入
する。
【0033】ここで、この実施形態の弧動式ケーブルク
レーン50を構成する走行路2は、ダム1の構築予定箇
所を挟んだ一方に敷設された一対の走行レールからな
り、かかる走行路2には、各種の鋼材により組立形成さ
れた移動塔3がスライド走行可能に設けられ、この移動
塔3は、走行索により牽引されて、機械室56内に設置
された移動塔走行ウインチ13の駆動により走行路2に
沿って往復移動するようになっている(図2参照)。
【0034】また、主索7は、ワイヤロープからなり、
その一端が移動塔3に他端が固定塔5に各々連結して、
ダム1の構築予定箇所の上方に張設されるとともに、移
動塔3の走行路2に沿った移動に伴って、ダム1の構築
予定箇所の全領域をカバーするように扇状に移動するこ
とになる。
【0035】さらに、横行索10は、その両端を横行ト
ロリー9の側部に連結するとともに、移動塔3に取り付
けられた案内プーリー31及び固定塔5に取り付けられ
た案内プーリー32に巻回された後、横行ウインチ15
にエンドレス式に巻回され、この横行ウインチ15の駆
動により牽引されて、横行トロリー9を主索7に沿った
任意の位置にスライド移動させることができるようにな
っている。
【0036】さらにまた、吊索11は、一端が移動塔3
に固定されるとともに、横行トロリー15の両側に設け
た吊索プーリー33を介してバケット12の上端の吊下
げプーリー34に巻回された後、固定塔5に取り付けた
案内プーリー35を介して縦行ウインチ16に巻回さ
れ、この縦行ウインチ16を回動することにより吊索1
1を巻取,巻き下げして、バケット12を昇降させるよ
うになっている。
【0037】そして、これらの横行ウインチ15、縦行
ウインチ16、移動塔走行ウインチ13は、各々、ドラ
ム、モータ、ブレーキ、減速機、制御装置等を備え、操
作室17の駆動制御装置からの指令によりドラムを回転
駆動して、各索を牽引する。また、各モータには速度検
出器が設けられ、これらの検出値を各制御装置にフィー
ドバックすることで、駆動制御装置からの走行指令に応
じた適正回転方向及び速度に制御されることになる。さ
らに、各ドラムにはそれぞれエンコーダが設けられてお
り、これらによる検出値は、駆動制御装置に入力され
る。
【0038】なお、搬送開始位置であるバンカー部20
には、バケット6の着底を検出す着底確認スイッチ42
や、着底時におけるバケット12を制御するエリアセン
サ44、トランスファーカー23からバケット12にコ
ンクリートを放出する際に使用する制御盤46等が配置
され、バンカー部20にバケット12を自動的かつ正確
に着底させるとともに、トランスファーカー23からバ
ケット12へのコンクリートの投入作業を容易に行うこ
とができるようになっている。
【0039】また、バケット12には、その下部に、図
示しない油圧シリンダによって開閉されるゲート及び開
閉検出用リミットスイッチと、超音波エリアセンサーが
設けられている。またバケット12の上部には無線機,
ジャイロ式振れ角検出計,制御盤及びこれらの可動部を
駆動するためのバッテリ,ソーラ式充電装置が配置さ
れ、各センサーや検出計による検出値は、制御盤及び無
線機を通じて操作室17の駆動制御装置に転送される。
【0040】一方、図3及び図4は、この実施形態の制
御方法を採用した弧動式ケーブルクレーンの他の一例の
全体構成を示す概略図である。すなわち、この弧動式ケ
ーブルクレーン60は、いわゆる同心円型のものであっ
て、上述の弧動式ケーブルクレーン50の固定塔5に換
えて、当該他方側において、走行路2と同心円の円弧状
に敷設された第二走行路14に沿って移動する第二移動
塔4を備えるものである。
【0041】ここで、このような同心円型の弧動式ケー
ブルクレーン60を構成する第二走行路14は、ダム1
の構築予定箇所を挟んだ前記走行路2とは反対側に敷設
された一対の走行レールからなり、かかる第二走行路1
4には、各種の鋼材により組立形成された第二移動塔4
がスライド走行可能に設けられ、この第二移動塔4は、
走行索により牽引されて、機械室57内に設置された第
二移動塔走行ウインチ18の駆動により第二走行路14
に沿って往復移動するようになっている。
【0042】また、かかる同心円型の弧動式ケーブルク
レーン60によれば、主索7は、この第二移動塔4と移
動塔3との間に張設されるとともに、第二移動塔走行ウ
ィンチ18もまた、操作室17内に設けられた駆動制御
装置により制御されるようになっている。
【0043】そして、この実施形態の制御方法によれ
ば、移動塔3あるいは移動塔3及び第二移動塔4の走行
移動量、横行索10の繰り出し長さ、吊索11の繰り出
し長さ、移動塔3あるいは移動塔3及び第二移動塔4の
走行速度、横行索10の繰り出し速度、吊索11の繰り
出し速度を算定要素として、移動塔3、第二移動塔4、
主索7、横行トロリー9、及びバケット12の挙動を解
析して運転パターンをモデル化し、ケーブルクレーン5
0,60を運転する際に、設定条件に応じて前記モデル
化された運転パターンを選択して、この運転パターンに
従って弧動式ケーブルクレーン50,60を自動制御す
る。
【0044】すなわち、バケット12の位置情報や重量
の情報が与えられると、操作室17内のコンピュータか
らなる演算部において、例えば主索7上における横行ト
ロリー9の配設位置等の接点における静的釣合い方程式
から、バケット12の各位置に対応する、移動塔3ある
いは移動塔3及び第二移動塔4の走行移動量、横行索1
0の繰り出し長さ、吊索11の繰り出し長さが算定さ
れ、また振子の運動方程式に基づいて、搬送開始位置で
あるバンカー部20や、搬送終了位置であるコンクリー
トの打設箇所などのバケット12の各停止位置において
バケット12が振れを生じないようにするための、移動
塔3あるいは移動塔3及び第二移動塔4の走行速度や横
行索10あるいは吊索11の繰り出し速度の組み合わせ
が解析されることから、これらの解析結果から運転パタ
ーンをモデル化して、このデータを演算部に保存する。
【0045】なお、この運転パターンのモデル化に際し
ては、ダム1の構築予定箇所の空間全域を数mピッチ程
度の立体格子状に分割し、各ブロック毎に振れ止めを考
慮して、移動塔3あるいは移動塔3及び第二移動塔4の
走行移動量、横行索10の繰り出し量、吊索11の繰り
出し量、移動塔3あるいは移動塔3及び第二移動塔4の
走行速度、横行索10の繰り出し速度、吊索11の繰り
出し速度を解析する。
【0046】また、この運転パターンのモデル化に際し
て、静的釣合い方程式や振子の運動方程式において、未
知数の数が条件式の数より多い場合でも、繰り返し計算
により、正確な解析結果を得ることができる。
【0047】さらに、この実施形態では、運転パターン
のモデル化に際して、主索7、横行索10、及び吊索1
1を懸垂曲線と仮定して解析を行っていることにより、
正確な位置決めや振れ止めを行うことのできる運転パタ
ーンを容易に得ることができる。
【0048】そして、このような運転パターンのモデル
化に際しては、各索の最大繰り出し速度の相違や、搬送
開始位置や搬送終了位置の立地条件、障害物等の各種の
条件を考慮する必要がある。例えば、走行索の牽引によ
る、走行路2や第二走行路14に沿った移動塔3や第二
移動塔4の最大走行速度は、横行索10の牽引による主
索7に沿った横行トロリー9の最大移動速度よりも小さ
いことから、このような速度の相違を考慮して運転パタ
ーンをモデル化する必要がある。
【0049】一方、操作室18の演算部には、横行トロ
リー9の加速時及び減速時におけるバケット12の振れ
角度及び角速度に応じた振れを相殺するためにファジー
推論によるフィードバック制御量を選択する機能が内蔵
されており、かかる機能によって、バケット12の振れ
を相殺する。
【0050】ここで、横行トロリー9の主索7に沿った
運転パターンは、図5(a)に示すようにスタート座標
から加速し、次いで一定速度となり、次いで減速により
目標座標で0となる運転パタ―ンが一般に設定されてい
る。一方、バケット12の吊索11による昇降速度Vz
は図5(b)に示すように横行トロリー9の運転パタ―
ンに準じた運転パタ―ンに設定されている。
【0051】そして、図5(a),(b)の運転パタ―
ンにおいて、加速終了時,減速開始時,停止時において
は、横行トロリー9に対するバケット12の速度の応答
遅れにより振れが生ずるが、演算部は、これら加減速時
及び停止時において、ファジー推論により振れ角度及び
角速度に応じた振れを相殺するためのフィードバック制
御を行ない、したがって、実際には加減速時においては
直線状でなく、階段状の軌跡を描くことになる。
【0052】図6はその往路、すなわちバンカー部20
からコンクリート打設位置までの横行トロリー9及びバ
ケット12の制御手順を示すもので、運転が開始される
と、まず加速が始まり、次いでファジー推論による出発
ルール適用域になるとバケット12の振れ角と振れ方向
及び横行トロリー9の速度を入力し、演算部に内蔵され
たバケット12の出発ルールによる振れ止め処理を実行
する(ステップ101〜104)。
【0053】次いで出発ルールの適用が終了し、ファジ
ー推論による減速ルール適用域になると、バケット12
の振れ角と振れ方向及び横行トロリー9の速度及び位置
を入力し、同じく演算部に内蔵されたバケット12の減
速ルールによる振れ止め処理を実行する(ステップ10
5〜108)。
【0054】減速ルールの適用が終了し、ファジー推論
による停止ルール適用域になると、吊索11の長さバケ
ット12の振れ角と振れ方向及びトロリー9の速度及び
位置を入力し、同じく演算部に内蔵されたバケット12
の停止ルールによる処理を実行して停止ルール適用終了
により運転を停止する(ステップ109〜113)。
【0055】図7(a)〜(g)は後述するファジー推
論の内容と実測値とを対応させたメンバーシップ関数を
示すもので、その内容を以下に解説する。
【0056】(a)吊索11の長さ:0〜50mまでを
S(小),30〜70mまでをM(中),50〜90m
をB(大),70m以上をVB(極大)とする。
【0057】(b)トロリー速度:1〜5は、モ―タ制
御用の数値を示し、1〜5ノッチまでにおける無段変速
の値と走行速度(m/min)の関係を示す。
【0058】(c)バケット12の振れ角:1.0°以
内をZ(0),0〜3.0°をVS(極小),1.0〜
5.0°をS,3.0〜7.0°をM,5.0〜9.0
°をB,7.0°をVBとする。
【0059】(d)振れ方向:バケット12の進行方向
に対して進み側を+,遅れ側を−とする。
【0060】(e)減速開始位置からのずれ:数値モデ
ルから算出された減速開始位置からどの程度ずれている
かを示し、0〜0.5mをZ,0.00〜0.1mをC
(近),0.5〜3.0mをM,1.0〜5.0mをF
(遠),3.0m以降をVF(極遠)とする。
【0061】(f)停止後,加速後の振れ:停止または
加速後どの程度の振れ幅であるかを示し、0〜0.3m
をVS,0.1〜0.5mをS,0.3〜1.0mを
M,0.5〜3.0mをB,1.0m以降をVBとす
る。
【0062】(g)停止位置のずれ:バケットが停止し
た時、目標位置からどの程度ずれたかを示すもので、0
〜0.5mを0,0.5〜1.5mをS,1.5〜2.
5mをM,2.5〜3.5mをB,3.5m以降をVB
とする。
【0063】次に以上の定義に基づきファジー推論によ
るフィードバック制御方法を説明する。図8,図9,図
10は往路における前記ステップ101〜104の加速
時でのバケット12の振れの状態と速度変化及びこれに
応じた出発時のルール及び推論内容を示している。
【0064】まず、図8はバンカー部20すなわち搬送
開始位置からコンクリート打設位置すなわち搬送終了位
置までの運転において、出発時の速度とバケット12の
振れとの関係を示す模式図であり、出発時より横行速度
が増すにつれてバケット12の応答遅れによってバケッ
ト12は遅れ側(−)に振れる。この振れを例えば2段
で止める場合を想定すると、加速期間の途中で所定期間
デルタTの間を定速に戻すと、その行き足によってバケ
ット12は図中の位置までに進み側(+)にある程度
振り戻される。
【0065】の時点で再加速することで行き足と加速
とが同調し、再加速終了後定速状態になったときは、バ
ケット12は図のごとく中立位置に停止するので、常時
振れ角と振れ方向,横行トロリー速度を検出して、振れ
角と横行トロリー9の速度との関係によりの時点、つ
まり設定された振れ幅になったかどうかを推論し、と
なったならそれに基づいた数値で再加速すれば、加速終
了時においては図のごとくバケット12は中立位置に停
止するものとしている。
【0066】図9はその出発時のルール内容を示すもの
で、図中において、例えば条件部の横行トロリー速度最
小の1ノッチで振れ角が0,振れ方向が+である場合
に、結論部は中程度の振れ幅であり、極小の場合には極
小、小の場合には小、中間の場合には中間、大の場合に
は大、極大の場合には極大の振れ幅であることを示す。
【0067】このルールから推論によって得られた値が
設定振れ幅である場合に電圧変換して横行ウインチ15
の制御装置にフィードバックする。
【0068】図10は図9に示すルール内容を条件部,
結論部に合わせて前記メンバーシップ関数を図式化した
ものであり、実際には組み合わせは24通りであるが、
途中の部分は省略する。
【0069】図においては、一例として現在の横行トロ
リー速度が60m/min (1ノッチ)であり、バケット
12の振れ角が6.0°,振れ方向が+である事例を示
し、結論部は前記検出値がメンバーシップ関数に交差す
る値の一番小さな値をとる。
【0070】例えば推論内容の上から2段目の組み合わ
せは、横行トロリー速度1,バケット12の振れ角−V
Bは0.5,バケット12の振れ方向+は1であるか
ら、結論部の値Bはその最小値である0.5、また3段
目はバケット12の振れ角−Mが検出値に交差し、その
値0.5で結論部は0.5となる。
【0071】また、図中2段目,3段目以外は、計測し
た振れ角がメンバーシップ関数に交差しないのでいずれ
も結論部の値は最小値を取って0である。
【0072】次いで演算部は、結論部で得られた値を重
ね合わせ、その重心位置を演算し、現在加速を開始する
と定速時のバケット12の振れ幅は0.75であると推
論する。
【0073】なお、の時点を例えば許容誤差0.4に
設定しておけば、前記推論による値が0.4以下になっ
た時点で駆動制御部に加速のための制御信号を送り、振
れを完全に停止することができる。
【0074】なお、ここでは出発及びの位置から、定
速に至るまでは吊索11の繰出しはなく、一定の長さと
し、バケット12の周期を一定に保つことにより制御要
素の複雑化を避け、定速となってから減速に至るまでの
期間中に順次吊索11を繰出し搬送終了位置まで近付け
るとしているが、吊索11を繰出した場合でもこのファ
ジールールを適用できる。
【0075】また、図では一回のみ振れ止めのための制
御を行っているが、定速になるまで数回に分けてフィー
ドバック制御をかけるようにしても良い。
【0076】また、図11〜13は減速から停止までの
バケット12の振れの状態と速度変化に応じた減速及び
停止時のルールを示すものである。
【0077】まず、図11は、減速から停止までの間の
速度とバケット12の振れとの関係を示す模式図であ
り、の時点で減速が始まると、バケット12の応答遅
れによって所定時間遅れてバケット12は進み側(+
側)に振れる。なお、定速中にも進み側または遅れ側の
いずれかの方向に振れている可能性があるので、この
の時点を図12(a)に示される減速ルールを適用して
推論し、この結果が許容値以下になったならば制御によ
り減速し,次いで定速とすることで、振れ幅を最小とす
る。
【0078】なお、この減速位置近傍では吊索11の繰
出し長さは場合場合によって異なっているが、全ての吊
索長さRについて図12(a)のルールが適用される。
【0079】また実際には数値モデルから算出された目
標とする減速開始位置から図中鎖線で示すごとくずれる
ことになり、そのずれた距離と速度との関係による適用
ルールは図12(b)に示すが、それぞれのルールで演
算を実行し、その結果の平均値をとるか、或いは振れを
防止することを重視し、振れ止めのための適用ルールを
優先した場合、例えば振れ具合を0.6とし、位置ずれ
を0.4などに振り分けてそれぞれの結果に重みを持た
せ、横行トロリー9の制御を行う。
【0080】なお、この減速ルールにおいても図では一
回のみ振れ止めのための制御を行っているが、数回に分
けて実施することもできる。
【0081】次いで停止時の適用時点の判断は、振れ
角が遅れ側(−側)であるときに、その振れ角の大小に
よって図13(a)〜(d)までのルールが適用でき
る。つまり、遅れ側であるときにその振れ角の大小に応
じた速度で横行トロリー9を進めれば振れが相殺される
ことになるが、この場合においては停止時における吊索
11の繰出し長さRによって制御量が変わってくるた
め、(a)は吊索11の長さR=S、(b)はR=M、
(c)はR=B、(d)はR=VBに区分けされてそれ
ぞれのルールが定められる。
【0082】またこのときの停止位置ずれに対しては図
13(e)のルールが適用できるが、前記と同様に平均
値をとるか振れ止めと位置ずれのいずれかを優先させ、
重みを持たせた制御を行う。
【0083】次に図14は復路、すなわち搬送終了位置
から搬送開始位置までの運転時におけるファジー推論に
よる制御手順を示すもので、運転が開始されると、加速
が始まり、次いでファジー推論による出発ルール適用域
になるとバケット12の振れ角と振れ方向,吊索11の
長さ及びトロリー9の速度を入力し、演算部に内蔵され
たバケット12の出発ルールによる振れ止め処理を実行
する(ステップ201〜204)。
【0084】次いで出発ルールの適用が終了し、ファジ
ー推論による減速ルール適用域になると、バケット12
の振れ角と振れ方向及びトロリー9の速度及び位置を入
力し、同じく演算部に内蔵されたバケットの減速ルール
による振れ止め処理を実行する(ステップ206〜20
8)。
【0085】減速ルールの適用が終了し、ファジー推論
による停止ルール適用域になると、バケット12の振れ
角と振れ方向及びトロリー9の速度及び位置を入力し、
同じく演算部に内蔵されたバケット12の停止ルールに
よる処理を実行停止ルール適用終了により運転を停止す
る(ステップ209〜213)。
【0086】なお、復路の制御ルールは往路とは逆の手
順を通り、また出発位置における吊索11の長さは異な
り、それに応じたルールを適用すれば良いので、その説
明は省略する。
【0087】また、走行路2や第二走行路14に沿っ
た、移動塔3あるいは移動塔3及び第二移動塔4の移動
に伴い、主索7の延長方向と垂直の方向にも無視できな
い程度のバケット12の振れが生じる場合には、移動塔
3あるいは移動塔3及び第二移動塔4やバケット12の
実際の動きを検出し、この検出結果に基づき、主索7に
沿った振れについての上述の方法と同様の方法によっ
て、ファジー推論によりフィードバック制御してかかる
垂直方向のバケット12の振れを相殺するようにするこ
ともできる。
【0088】そして、この実施形態の制御方法によれ
ば、スタート座標や目標座標、コンクリートが投入され
たバケット12の重量などの設定条件を演算部20に入
力すると、演算部20では、保存された対象ブロックの
運転パターンから最適の運転パターンを選び出し、目標
地点まで移動塔3あるいは移動塔3及び第二移動塔4の
移動量や、横行索10の繰り出し量、及び吊索11の繰
り出し量を時間関数として計算してこれをコンピュータ
のメモリに保存する。
【0089】駆動制御装置では、このメモリに保存され
た演算部からの運転パターンの情報に基づき、移動塔走
行ウインチ13、第二移動塔走行ウインチ18、横行ウ
インチ15、あるいは縦行ウインチ16の制御装置に指
示を与え、各ウィンチによる繰り出し速度を制御して、
スタート位置から目標位置まで、振れ止めを考慮した自
動運転を行なう。また、各データベースを計算式に組込
み、これを計算することによって各ウィンチへの制御情
報を与えることにより、自動運転を行うこともできる。
【0090】一方、横行トロリー9の加速時及び減速時
において、主索7に沿った横行トロリー9の実際の動き
及び該横行トロリー9から吊下されるバケット12の実
際の動きを検出し、この検出結果に基づきファジー推論
によりフィードバック制御してバケット12の振れを相
殺する。
【0091】したがって、この実施形態の制御方法によ
れば、モデル化された運転パターンにより弧動式ケーブ
ルクレーン50,60を自動的に運転制御することがで
きるとともに、横行トロリー9の加速時及び減速時にフ
ァジー推論によりフィードバック制御してバケット12
の振れを相殺することにより、停止精度の向上を容易に
図ることができる。
【0092】なお、このようなスタート位置から目標位
置までの、この実施形態の制御方法による自動運転は、
搬送開始位置としてのバンカー部20と搬送終了位置と
してのコンクリートの打設位置との間の往復いずれの搬
送作業にも適用することができるが、コンクリートの打
設位置からバンカー部20に至る復路においては、移動
塔3や第二移動塔4を動かさないような運転パターンと
することもできる。
【0093】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、この発明の
弧動式ケーブルクレーンの制御方法によれば、搬送開始
位置及び搬送終了位置に応じて、移動塔あるいは移動塔
及び第二移動塔の走行移動量、横行索の繰り出し長さ、
吊索の繰り出し長さ、移動塔あるいは移動塔及び第二移
動塔の走行速度、横行索の繰り出し速度、及び吊索の繰
り出し速度を算定要素として、前記移動塔あるいは前記
移動塔及び第二移動塔、前記主索、前記横行トロリー、
及び前記バケットの挙動を解析して運転パターンをモデ
ル化し、前記ケーブルクレーンを運転する際に、設定条
件に応じて前記モデル化された運転パターンを選択し
て、この運転パターンに従ってケーブルクレーンを自動
制御するとともに、横行トロリーの加速時及び減速時に
おいて、主索に沿った横行トロリーの実際の動き及び該
横行トロリーから吊下されるバケットの実際の動きを検
出し、この検出結果に基づきファジー推論によりフィー
ドバック制御してバケットの振れを相殺するので、弧動
式のケーブルクレーンを自動的に運転制御することがで
きるとともに、横行トロリーの加速時、及び減速時にバ
ケットの振れ止めを効果的に行って、停止精度の向上を
容易に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の制御方法を採用した弧動式ケーブル
クレーンの一例の全体構成を説明する概略正面図であ
る。
【図2】この発明の制御方法を採用した弧動式ケーブル
クレーンの一例の全体構成を説明する概略平面図であ
る。
【図3】この発明の制御方法を採用した弧動式ケーブル
クレーンの他の一例の全体構成を説明する概略正面図で
ある。
【図4】この発明の制御方法を採用した弧動式ケーブル
クレーンの他の一例の全体構成を説明する概略平面図で
ある。
【図5】(a),(b)はプログラム内容を示す模式図
である。
【図6】バケットの往路におけるフィードバック制御手
順を示すフローチャートである。
【図7】(a)〜(g)はファジー推論の内容と実測値
とを対応させたメンバーシップ関数を示すグラフであ
る。
【図8】出発時の速度変化とバケットの状態変化を示す
模式図である。
【図9】同出発時のファジー推論内容を示す図表であ
る。
【図10】同条件部と結論部のメンバーシップ関数を示
す図表である。
【図11】減速及び停止時の速度変化とバケットの状態
変化を示す模式図である。
【図12】(a),(b)は減速時のファジー推論内容
を示す図表である。
【図13】(a)〜(e)は停止時のファジー推論内容
を示す図表である。
【図14】バケットの復路におけるフィードバック制御
手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ダム 2 走行路 3 移動塔 4 第二移動塔 5 固定塔 7 主索 9 横行トロリー 10 横行索 11 吊索 12 バケット 13 移動塔走行ウィンチ 14 第二走行路 15 横行ウィンチ 16 縦行ウィンチ 17 操作室 18 第二移動塔走行ウィンチ 20 バンカー部(搬送開始位置) 50,60 弧動式ケーブルクレーン

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダム等の構築予定構造物を挟んだ一方に
    おいて、他方側を円の中心とする円弧状に敷設された走
    行路に沿って移動する移動塔と、前記他方側の円の中心
    部分に設けられた固定塔と、一端が前記移動塔に、他端
    が前記固定塔に連結してこれらの間に張設される主索
    と、該主索に沿って走行可能な横行トロリーと、該横行
    トロリー牽引用の横行索と、前記横行トロリーの下方に
    吊索を介して吊下されたバケットと、前記移動塔を走行
    移動させる移動塔走行ウィンチと、前記横行索を牽引し
    て前記横行トロリーを主索に沿って往復移動させる横行
    ウインチと、前記吊索を巻取,巻き下げしてバケットを
    昇降させる縦行ウインチと、各ウインチの駆動制御装置
    とを備えた弧動式のケーブルクレーンにおいて、前記バ
    ケットを搬送開始位置から搬送終了位置まで移動させる
    際に使用する弧動式ケーブルクレーンの制御方法であっ
    て、前記搬送開始位置及び搬送終了位置に応じて、前記
    移動塔の走行移動量、前記横行索の繰り出し長さ、前記
    吊索の繰り出し長さ、前記移動塔の走行速度、前記横行
    索の繰り出し速度、及び前記吊索の繰り出し速度を算定
    要素として、前記移動塔、前記主索、前記横行トロリ
    ー、及び前記バケットの挙動を解析して運転パターンを
    モデル化し、前記ケーブルクレーンを運転する際に、設
    定条件に応じて前記モデル化された運転パターンを選択
    して、この運転パターンに従ってケーブルクレーンを自
    動制御するとともに、横行トロリーの加速時及び減速時
    において、主索に沿った横行トロリーの実際の動き及び
    該横行トロリーから吊下されるバケットの実際の動きを
    検出し、この検出結果に基づきファジー推論によりフィ
    ードバック制御してバケットの振れを相殺することを特
    徴とするケーブルクレーンの制御方法。
  2. 【請求項2】 前記主索、前記横行索、及び前記吊索を
    懸垂曲線と仮定して、前記移動塔、前記主索、前記横行
    トロリー、及び前記バケットの挙動を解析して運転パタ
    ーンをモデル化することを特徴とする請求項1に記載の
    弧動式ケーブルクレーンの制御方法。
  3. 【請求項3】 ダム等の構築予定構造物を挟んだ一方に
    おいて、他方側を円の中心とする円弧状に敷設された走
    行路に沿って移動する移動塔と、前記他方側において、
    前記走行路と同心円の円弧状に敷設された第二走行路に
    沿って移動する第二移動塔と、一端が前記移動塔に、他
    端が前記第二移動塔に連結してこれらの間に張設される
    主索と、該主索に沿って走行可能な横行トロリーと、該
    横行トロリー牽引用の横行索と、前記横行トロリーの下
    方に吊索を介して吊下されたバケットと、前記移動塔を
    走行移動させる移動塔走行ウィンチと、前記第二移動塔
    を走行移動させる第二移動塔走行ウィンチと、前記横行
    索を牽引して前記横行トロリーを主索に沿って往復移動
    させる横行ウインチと、前記吊索を巻取,巻き下げして
    バケットを昇降させる縦行ウインチと、各ウインチの駆
    動制御装置とを備えた弧動式のケーブルクレーンにおい
    て、前記バケットを搬送開始位置から搬送終了位置まで
    移動させる際に使用する弧動式ケーブルクレーンの制御
    方法であって、前記搬送開始位置及び搬送終了位置に応
    じて、前記移動塔及び第二移動塔の走行移動量、前記横
    行索の繰り出し長さ、前記吊索の繰り出し長さ、前記移
    動塔及び第二移動塔の走行速度、前記横行索の繰り出し
    速度、及び前記吊索の繰り出し速度を算定要素として、
    前記移動塔、前記第二移動塔、前記主索、前記横行トロ
    リー、及び前記バケットの挙動を解析して運転パターン
    をモデル化し、前記ケーブルクレーンを運転する際に、
    設定条件に応じて前記モデル化された運転パターンを選
    択して、この運転パターンに従ってケーブルクレーンを
    自動制御するとともに、横行トロリーの加速時及び減速
    時において、主索に沿った横行トロリーの実際の動き及
    び該横行トロリーから吊下されるバケットの実際の動き
    を検出し、この検出結果に基づきファジー推論によりフ
    ィードバック制御してバケットの振れを相殺することを
    特徴とするケーブルクレーンの制御方法。
  4. 【請求項4】 前記主索、前記横行索、及び前記吊索を
    懸垂曲線と仮定して、前記移動塔、前記第二移動塔、前
    記主索、前記横行トロリー、及び前記バケットの挙動を
    解析して運転パターンをモデル化することを特徴とする
    請求項3に記載の弧動式ケーブルクレーンの制御方法。
  5. 【請求項5】 前記横行トロリーの加速時及び減速時に
    おけるファジー推論によるフィードバック制御が、加速
    時にはバケットの振れ角と振れ方向及び横行トロリーの
    速度を入力することにより行われ、減速時にはバケット
    の振れ角と振れ方向及び横行トロリーの速度と位置を入
    力することにより行われ、さらに停止時にはバケットの
    振れ角と振れ方向及び横行トロリーの速度と位置を入力
    することにより行われることを特徴とする請求項1〜請
    求項4のいずれかに記載の弧動式ケーブルクレーンの制
    御方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114408763A (zh) * 2022-03-29 2022-04-29 河南省豫威起重机有限公司 一种水利工程施工用的缆式起重机

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CN114408763A (zh) * 2022-03-29 2022-04-29 河南省豫威起重机有限公司 一种水利工程施工用的缆式起重机

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