JPH1178784A - シートベルト用リトラクター - Google Patents
シートベルト用リトラクターInfo
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- JPH1178784A JPH1178784A JP9247024A JP24702497A JPH1178784A JP H1178784 A JPH1178784 A JP H1178784A JP 9247024 A JP9247024 A JP 9247024A JP 24702497 A JP24702497 A JP 24702497A JP H1178784 A JPH1178784 A JP H1178784A
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- energy absorbing
- shaft
- retractor
- seat belt
- solid shaft
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 コンパクトな構成でありながら、エネルギー
吸収荷重が高く、長いエネルギー吸収ストロークを確保
可能なシートベルト用リトラクターを提供する。 【解決手段】 ウェビングが巻装される略筒状のボビン
5と、車両緊急時にロッキングベース6をリトラクター
ベース1と連結させてウェビング引き出し方向の回転を
阻止する緊急ロック手段300と、ロック後の前記ウェ
ビングに所定の荷重を負荷しながら前記ウェビングを引
き出し可能とするエネルギー吸収手段2とを備えたシー
トベルト用リトラクター100において、前記エネルギ
ー吸収手段2は、一端が前記ボビン5に固定され他端が
前記ロッキングベース6に固定される中実軸3と、前記
中実軸3が嵌合し前記中実軸とともに捩れ可能な中空軸
4からなる。
吸収荷重が高く、長いエネルギー吸収ストロークを確保
可能なシートベルト用リトラクターを提供する。 【解決手段】 ウェビングが巻装される略筒状のボビン
5と、車両緊急時にロッキングベース6をリトラクター
ベース1と連結させてウェビング引き出し方向の回転を
阻止する緊急ロック手段300と、ロック後の前記ウェ
ビングに所定の荷重を負荷しながら前記ウェビングを引
き出し可能とするエネルギー吸収手段2とを備えたシー
トベルト用リトラクター100において、前記エネルギ
ー吸収手段2は、一端が前記ボビン5に固定され他端が
前記ロッキングベース6に固定される中実軸3と、前記
中実軸3が嵌合し前記中実軸とともに捩れ可能な中空軸
4からなる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シートベルト装置
のリトラクター(巻取装置)に関し、特にエネルギー吸
収手段を備えたシートベルト用リトラクターに関する。
のリトラクター(巻取装置)に関し、特にエネルギー吸
収手段を備えたシートベルト用リトラクターに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両の乗員等を座席に安全に保持
するためのシートベルト用リトラクターにおいては、急
な加速、衝突又は減速に反応する慣性感知手段によって
リトラクターを物理的にロックする緊急ロック機構を備
えて乗員を効果的及び安全に拘束する緊急ロック式リト
ラクターが用いられている。
するためのシートベルト用リトラクターにおいては、急
な加速、衝突又は減速に反応する慣性感知手段によって
リトラクターを物理的にロックする緊急ロック機構を備
えて乗員を効果的及び安全に拘束する緊急ロック式リト
ラクターが用いられている。
【0003】このような緊急ロック式リトラクターとし
ては、例えば特開平50−79024号、特公昭59−
21624号及び実公平2−45088号公報等に開示
されたシートベルト用リトラクターのように、ウェビン
グを巻装する巻取軸の一端に配設された係合部材が車両
緊急時にリトラクターベースの被係合部に係合して前記
巻取軸のウェビング引き出し方向の回転を阻止すること
ができるロック手段を備えたものがある。
ては、例えば特開平50−79024号、特公昭59−
21624号及び実公平2−45088号公報等に開示
されたシートベルト用リトラクターのように、ウェビン
グを巻装する巻取軸の一端に配設された係合部材が車両
緊急時にリトラクターベースの被係合部に係合して前記
巻取軸のウェビング引き出し方向の回転を阻止すること
ができるロック手段を備えたものがある。
【0004】そして、そのロック手段においては、巻取
軸が貫通するリトラクターベースの巻取軸貫通孔に形成
された係止噛合部や、その巻取軸貫通孔に併設された内
歯プレートに形成されたラチェット歯が被係合部として
用いられる一方、巻取軸と共に回転するロッキングベー
スや係止爪が係合部材として用いられており、車両緊急
時にそれら係合部材と被係合部材とが係合して巻取軸の
ウェビング引き出し方向の回転を阻止するように構成さ
れている。
軸が貫通するリトラクターベースの巻取軸貫通孔に形成
された係止噛合部や、その巻取軸貫通孔に併設された内
歯プレートに形成されたラチェット歯が被係合部として
用いられる一方、巻取軸と共に回転するロッキングベー
スや係止爪が係合部材として用いられており、車両緊急
時にそれら係合部材と被係合部材とが係合して巻取軸の
ウェビング引き出し方向の回転を阻止するように構成さ
れている。
【0005】一方、衝突による衝撃力が極めて大きい時
には、衝突後の時間の経過と共にウェビング張力が増大
するため、乗員の身体に急激な減速度を生じることにな
り、ウェビングから乗員にかかる負荷が極めて大きくな
る。そこで、ウェビングに作用する荷重が予め設定した
所定値以上となった際、シートベルトを所定量繰り出さ
せることにより、乗員の身体に生じる衝撃を吸収するエ
ネルギー吸収機構を備え、乗員の身体をより確実に保護
するようにしたシートベルト装置も種々提案されてい
る。このような構成のシートベルト用リトラクターとし
ては、特開昭46−7710号公報に記載された、「と
くに安全ベルト用のエネルギ吸収装置」が知られてい
る。
には、衝突後の時間の経過と共にウェビング張力が増大
するため、乗員の身体に急激な減速度を生じることにな
り、ウェビングから乗員にかかる負荷が極めて大きくな
る。そこで、ウェビングに作用する荷重が予め設定した
所定値以上となった際、シートベルトを所定量繰り出さ
せることにより、乗員の身体に生じる衝撃を吸収するエ
ネルギー吸収機構を備え、乗員の身体をより確実に保護
するようにしたシートベルト装置も種々提案されてい
る。このような構成のシートベルト用リトラクターとし
ては、特開昭46−7710号公報に記載された、「と
くに安全ベルト用のエネルギ吸収装置」が知られてい
る。
【0006】前記エネルギ吸収装置は、エネルギ吸収装
置が力を伝達する部分となる巻取部材(ボビン)と、こ
の巻取部材に対して相対的に回転可能とされたホルダ
(リトラクターベース)とが備えられ、それらホルダと
巻き取り部材との間に、中実軸からなるトーションバー
(エネルギー吸収機構)が配置されている。そこで、車
両緊急時に巻取軸の回転が阻止された後、さらにロック
手段に荷重が負荷されたときには、前記トーションバー
自体が捩じれることにより、乗員の身体に作用する衝突
エネルギーがトーションバーの変形仕事として吸収され
る。
置が力を伝達する部分となる巻取部材(ボビン)と、こ
の巻取部材に対して相対的に回転可能とされたホルダ
(リトラクターベース)とが備えられ、それらホルダと
巻き取り部材との間に、中実軸からなるトーションバー
(エネルギー吸収機構)が配置されている。そこで、車
両緊急時に巻取軸の回転が阻止された後、さらにロック
手段に荷重が負荷されたときには、前記トーションバー
自体が捩じれることにより、乗員の身体に作用する衝突
エネルギーがトーションバーの変形仕事として吸収され
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、乗員の緩衝
力を大きくするためにはエネルギー吸収荷重を大きくす
ればよいが、上記特開昭46−7710号公報に記載さ
れた安全ベルト用のエネルギ吸収装置においては、中実
軸からなるトーションバーのみでエネルギーを吸収しな
ければならないので、エネルギー吸収荷重に限界があっ
た。また、仮に中実軸からなるトーションバーの仕事の
みで大きなエネルギーを吸収しようとすると、トーショ
ンバー自体を大きくしなければならないので、シートベ
ルト用リトラクター自体が大型化してしまうという問題
があった。
力を大きくするためにはエネルギー吸収荷重を大きくす
ればよいが、上記特開昭46−7710号公報に記載さ
れた安全ベルト用のエネルギ吸収装置においては、中実
軸からなるトーションバーのみでエネルギーを吸収しな
ければならないので、エネルギー吸収荷重に限界があっ
た。また、仮に中実軸からなるトーションバーの仕事の
みで大きなエネルギーを吸収しようとすると、トーショ
ンバー自体を大きくしなければならないので、シートベ
ルト用リトラクター自体が大型化してしまうという問題
があった。
【0008】更に、エアバッグ装着車においては、エア
バッグが展開された時にエアバッグ自体で乗員を緩衝す
ることができるので、ウェビングによる減速度が大きい
と、胸部減速度がさらに大きくなる。これを防止するた
めにエネルギー吸収荷重が初期に高くエアバッグが展開
された時に除々に低くなるような特性が望まれている。
また、大型自動車等のように乗員の移動距離に余裕があ
る場合、乗員に負担をかけないように長いエネルギー吸
収ストロークを実現することが望まれている。
バッグが展開された時にエアバッグ自体で乗員を緩衝す
ることができるので、ウェビングによる減速度が大きい
と、胸部減速度がさらに大きくなる。これを防止するた
めにエネルギー吸収荷重が初期に高くエアバッグが展開
された時に除々に低くなるような特性が望まれている。
また、大型自動車等のように乗員の移動距離に余裕があ
る場合、乗員に負担をかけないように長いエネルギー吸
収ストロークを実現することが望まれている。
【0009】そこで、本発明の目的は上記課題を解決す
ることにあり、コンパクトな構成でありながらエネルギ
ー吸収荷重が高くかつ長いエネルギー吸収ストロークが
確保可能なシートベルト用リトラクターを提供すること
にある。
ることにあり、コンパクトな構成でありながらエネルギ
ー吸収荷重が高くかつ長いエネルギー吸収ストロークが
確保可能なシートベルト用リトラクターを提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、下
記構成により解決される。 (1) ウェビングが巻装される略筒状のボビンと、車
両緊急時にロッキングベースをリトラクターベースと連
結させてウェビング引き出し方向の回転を阻止する緊急
ロック手段と、ロック後の前記ウェビングに所定の荷重
を負荷しながら前記ウェビングを引き出し可能とするエ
ネルギー吸収手段とを備えたシートベルト用リトラクタ
ーにおいて、前記エネルギー吸収手段は、一端が前記ボ
ビンに固定され他端が前記ロッキングベースに固定され
る中実軸と、前記中実軸が嵌合し前記中実軸とともに捩
れ可能な中空軸からなることを特徴とするシートベルト
用リトラクター。
記構成により解決される。 (1) ウェビングが巻装される略筒状のボビンと、車
両緊急時にロッキングベースをリトラクターベースと連
結させてウェビング引き出し方向の回転を阻止する緊急
ロック手段と、ロック後の前記ウェビングに所定の荷重
を負荷しながら前記ウェビングを引き出し可能とするエ
ネルギー吸収手段とを備えたシートベルト用リトラクタ
ーにおいて、前記エネルギー吸収手段は、一端が前記ボ
ビンに固定され他端が前記ロッキングベースに固定され
る中実軸と、前記中実軸が嵌合し前記中実軸とともに捩
れ可能な中空軸からなることを特徴とするシートベルト
用リトラクター。
【0011】前記(1)記載のシートベルト用リトラク
ターに係るエネルギー吸収手段は、一端がボビンに固定
され他端が前記ロッキングベースに固定される中実軸
と、前記中実軸が嵌合し前記中実軸とともに捩れ可能な
中空軸から構成されているので、前記中空軸の径と同径
の中実軸よりもねじりトルクが大きくなり、大きなエネ
ルギー吸収荷重を得ることができる。したがって、エネ
ルギー吸収荷重が中実軸のみからなるエネルギー吸収手
段に比べて増大するとともにシートベルト用リトラクタ
ーを大型化する必要がない。
ターに係るエネルギー吸収手段は、一端がボビンに固定
され他端が前記ロッキングベースに固定される中実軸
と、前記中実軸が嵌合し前記中実軸とともに捩れ可能な
中空軸から構成されているので、前記中空軸の径と同径
の中実軸よりもねじりトルクが大きくなり、大きなエネ
ルギー吸収荷重を得ることができる。したがって、エネ
ルギー吸収荷重が中実軸のみからなるエネルギー吸収手
段に比べて増大するとともにシートベルト用リトラクタ
ーを大型化する必要がない。
【0012】また、前記エネルギー吸収手段が捩られる
と、外周側にある前記中空軸の方がせん断によるねじ切
れ限界が低いので前記中空軸が先にねじ切れた状態とな
る。その後、前記中空軸より細い前記中実軸のみに荷重
を受け持たせればエネルギー吸収荷重が下がるとともに
長いエネルギー吸収ストロークを確保できる。したがっ
て、例えばエアバッグ装着車において、エアバッグが展
開されたストローク後半までに中空軸がねじ切れた状態
となるよう調整することにより、エアバッグ展開後のシ
ートベルトによる乗員の拘束を弱めることができる。更
に、例えば大型自動車等において乗員の移動距離に余裕
がある場合、長いエネルギー吸収ストロークであれば乗
員に負担がかからない。
と、外周側にある前記中空軸の方がせん断によるねじ切
れ限界が低いので前記中空軸が先にねじ切れた状態とな
る。その後、前記中空軸より細い前記中実軸のみに荷重
を受け持たせればエネルギー吸収荷重が下がるとともに
長いエネルギー吸収ストロークを確保できる。したがっ
て、例えばエアバッグ装着車において、エアバッグが展
開されたストローク後半までに中空軸がねじ切れた状態
となるよう調整することにより、エアバッグ展開後のシ
ートベルトによる乗員の拘束を弱めることができる。更
に、例えば大型自動車等において乗員の移動距離に余裕
がある場合、長いエネルギー吸収ストロークであれば乗
員に負担がかからない。
【0013】本発明の好ましい形態を以下に示す。 (2) 前記中空軸と前記中実軸との外径比が0.6〜
0.9の範囲内であり、特に0.75であることを特徴
とする前記(1)記載のシートベルト用リトラクター。
0.9の範囲内であり、特に0.75であることを特徴
とする前記(1)記載のシートベルト用リトラクター。
【0014】(3) 前記中実軸外形は多角形形状で、
前記中空軸の内径は前記中空軸の内径より僅かに大きな
多角形形状であることを特徴とする前記(1)記載のシ
ートベルト用リトラクター。
前記中空軸の内径は前記中空軸の内径より僅かに大きな
多角形形状であることを特徴とする前記(1)記載のシ
ートベルト用リトラクター。
【0015】(4) 前記中実軸外形は楕円形状で、前
記中空軸の内形は中空軸の内形より僅かに大きな楕円形
状であることを特徴とする前記(1)記載のシートベル
ト用リトラクター。
記中空軸の内形は中空軸の内形より僅かに大きな楕円形
状であることを特徴とする前記(1)記載のシートベル
ト用リトラクター。
【0016】(5) 中空軸と、一端側のトルク受け部
が未成形である中実軸を組み付け、その後に前記中空軸
のトルク受け部を成形し、中空軸及び中実軸を一体とす
る製造方法により製造される前記(3)又は前記(4)
記載のシートベルト用リトラクター。
が未成形である中実軸を組み付け、その後に前記中空軸
のトルク受け部を成形し、中空軸及び中実軸を一体とす
る製造方法により製造される前記(3)又は前記(4)
記載のシートベルト用リトラクター。
【0017】(6) 中空軸と中実軸とを組み付けたも
のを一つの材料として取り扱い、パーツフォーマで端部
のトルク受け部等を成形する製造方法により製造される
前記(3)又は前記(4)記載のシートベルト用リトラ
クター。
のを一つの材料として取り扱い、パーツフォーマで端部
のトルク受け部等を成形する製造方法により製造される
前記(3)又は前記(4)記載のシートベルト用リトラ
クター。
【0018】(7) 前記中空軸が絞り加工されている
ことを特徴とする前記(1)記載のシートベルト用リト
ラクター。
ことを特徴とする前記(1)記載のシートベルト用リト
ラクター。
【0019】(8) 前記中空軸と前記中実軸の材質が
異なることを特徴とする前記(1)記載のシートベルト
用リトラクター。
異なることを特徴とする前記(1)記載のシートベルト
用リトラクター。
【0020】(9) 降伏せん断応力は前記中実軸の方
が高いことを特徴とする前記(8)記載のシートベルト
用リトラクター。
が高いことを特徴とする前記(8)記載のシートベルト
用リトラクター。
【0021】(10) 前記中空軸と前記中実軸の外径
比が0.7〜0.95の範囲内であり、特に0.94で
あることを特徴とする前記(9)記載のシートベルト用
リトラクター。
比が0.7〜0.95の範囲内であり、特に0.94で
あることを特徴とする前記(9)記載のシートベルト用
リトラクター。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明
の第一実施形態を詳細に説明する。図1に、本発明の第
一実施形態に係るシートベルト用リトラクター100の
正面縦断面図を示す。シートベルト用リトラクター10
0は、ウェビングが巻装される略円筒状のボビン5と、
ボビン5を挿通してリトラクターベース1に回転自在に
支持されるとともに、一端側(図1中、左側)では前記
ボビン5と一体的に結合され、他端側(図1中、右側)
では円盤状のロッキングベース6と一体的に結合される
エネルギー吸収手段2と、車両緊急時にロッキングベー
ス6のウェビング引き出し方向の回転を阻止する緊急ロ
ック手段300とを備えている。
の第一実施形態を詳細に説明する。図1に、本発明の第
一実施形態に係るシートベルト用リトラクター100の
正面縦断面図を示す。シートベルト用リトラクター10
0は、ウェビングが巻装される略円筒状のボビン5と、
ボビン5を挿通してリトラクターベース1に回転自在に
支持されるとともに、一端側(図1中、左側)では前記
ボビン5と一体的に結合され、他端側(図1中、右側)
では円盤状のロッキングベース6と一体的に結合される
エネルギー吸収手段2と、車両緊急時にロッキングベー
ス6のウェビング引き出し方向の回転を阻止する緊急ロ
ック手段300とを備えている。
【0023】リトラクターベース1は、車体に固定され
る背板1cの両側から左右に側板1a,1bが立ち上が
り、略コ字状の断面を有するように硬質金属板をプレス
成形したものであり、左右の側板1a,1bの間にはボ
ビン5と組み合わされたエネルギー吸収手段2が回動自
在に橋架されている。リトラクターベース1の側板1a
を挿通したエネルギー吸収手段2の一端部には、エネル
ギー吸収手段2を介してボビン5をウェビング巻き取り
方向に常時付勢する公知の巻き取りばね装置(図示せ
ず)が装備されている。
る背板1cの両側から左右に側板1a,1bが立ち上が
り、略コ字状の断面を有するように硬質金属板をプレス
成形したものであり、左右の側板1a,1bの間にはボ
ビン5と組み合わされたエネルギー吸収手段2が回動自
在に橋架されている。リトラクターベース1の側板1a
を挿通したエネルギー吸収手段2の一端部には、エネル
ギー吸収手段2を介してボビン5をウェビング巻き取り
方向に常時付勢する公知の巻き取りばね装置(図示せ
ず)が装備されている。
【0024】エネルギー吸収手段2は、中実軸3と中空
軸4により構成され、中実軸3の一端側にはボビン5と
一体回転可能な結合を果たすボビン結合部3aを有し、
他端側にはロッキングベース6と一体回転可能な結合を
果たすロッキングベース結合部3bを有している。これ
らの結合部3a,3bは、断面を六角形に成形したもの
である。ボビン結合部3aは、ボビン5の一端側に形成
された嵌合凹部5aに嵌合されたリテーナ40の断面六
角形の挿通穴40aに嵌合することで、ボビン5と一体
回転可能に結合されている。なお、リテーナ40は、ブ
ッシュ41を介して側板1aに回動可能に支持されてい
る。
軸4により構成され、中実軸3の一端側にはボビン5と
一体回転可能な結合を果たすボビン結合部3aを有し、
他端側にはロッキングベース6と一体回転可能な結合を
果たすロッキングベース結合部3bを有している。これ
らの結合部3a,3bは、断面を六角形に成形したもの
である。ボビン結合部3aは、ボビン5の一端側に形成
された嵌合凹部5aに嵌合されたリテーナ40の断面六
角形の挿通穴40aに嵌合することで、ボビン5と一体
回転可能に結合されている。なお、リテーナ40は、ブ
ッシュ41を介して側板1aに回動可能に支持されてい
る。
【0025】ロッキングベース結合部3bは断面六角形
状を有し、ロッキングベース6のボビン側端面に突設さ
れた円筒状のボス部8の断面六角形の挿通孔8aに嵌合
することで、ロッキングベース6と一体回転可能に結合
されている。ボビン5のロッキングベース側端部には、
ロッキングベース6のボス8を受容する嵌合凹部9が凹
設されており、ロッキングベース6が嵌合凹部9を介し
てボビン5に対して相対回転可能に軸支されている。ボ
ビン5は、エネルギー吸収手段2を捩じるので、ボビン
結合部5aでは、エネルギー吸収手段2に対して相対回
転せず、エネルギー吸収時にはボス部8を軸にロッキン
グベース6に対し相対回転可能である。
状を有し、ロッキングベース6のボビン側端面に突設さ
れた円筒状のボス部8の断面六角形の挿通孔8aに嵌合
することで、ロッキングベース6と一体回転可能に結合
されている。ボビン5のロッキングベース側端部には、
ロッキングベース6のボス8を受容する嵌合凹部9が凹
設されており、ロッキングベース6が嵌合凹部9を介し
てボビン5に対して相対回転可能に軸支されている。ボ
ビン5は、エネルギー吸収手段2を捩じるので、ボビン
結合部5aでは、エネルギー吸収手段2に対して相対回
転せず、エネルギー吸収時にはボス部8を軸にロッキン
グベース6に対し相対回転可能である。
【0026】本発明において、車両緊急時にロッキング
ベース6のウェビング引き出し方向への回転を拘束する
緊急ロック手段300の具体的な構成は、公知の種々の
ものを採用することができる。例えば図2に示すよう
に、ロッキングベース6の支軸7には、先端に係止歯1
6aを備えたポール16が回動自在に軸支されている。
また、側板1bの内周部50の外側には、係止歯16a
が噛合可能な係合内歯25を内周に備えた内歯ラチェッ
ト21が並設されている。
ベース6のウェビング引き出し方向への回転を拘束する
緊急ロック手段300の具体的な構成は、公知の種々の
ものを採用することができる。例えば図2に示すよう
に、ロッキングベース6の支軸7には、先端に係止歯1
6aを備えたポール16が回動自在に軸支されている。
また、側板1bの内周部50の外側には、係止歯16a
が噛合可能な係合内歯25を内周に備えた内歯ラチェッ
ト21が並設されている。
【0027】そして、センサーカバー500内に配設さ
れた緊急ロック手段300は、車両緊急時にポール16
の係止歯16aを内歯ラチェット21の係合内歯25に
噛合させることで、ロッキングベース6のウェビング引
き出し方向への回転を阻止する構成となっている。
れた緊急ロック手段300は、車両緊急時にポール16
の係止歯16aを内歯ラチェット21の係合内歯25に
噛合させることで、ロッキングベース6のウェビング引
き出し方向への回転を阻止する構成となっている。
【0028】次に、本発明の第一実施形態に係るエネル
ギー吸収手段2の構成について図3を参照して説明す
る。エネルギー吸収手段2は、結合部3a,3b間に所
定以上の回転トルクが作用して、これら結合部3a,3
bが捩れ変形を起こすことにより、乗員の身体に作用す
る衝撃エネルギーの吸収を行うように構成されたエネル
ギー吸収機構である。
ギー吸収手段2の構成について図3を参照して説明す
る。エネルギー吸収手段2は、結合部3a,3b間に所
定以上の回転トルクが作用して、これら結合部3a,3
bが捩れ変形を起こすことにより、乗員の身体に作用す
る衝撃エネルギーの吸収を行うように構成されたエネル
ギー吸収機構である。
【0029】図3に示すように、エネルギー吸収手段2
は中実軸3と該中実軸3が嵌合し該中実軸3とともに捩
れ可能な中空軸4により構成されている。中実軸3は、
一端側にボビン5と一体回転可能な結合を果たす断面六
角形状のボビン結合部3aと、他端側にロッキングベー
ス6と一体回転可能な結合を果たす断面六角形状のロッ
キングベース結合部3bと、ボビン結合部3a及びロッ
キングベース結合部3bより細い断面六角形状のエネル
ギー吸収部3cとを有している。中空軸4は、内周がエ
ネルギー吸収部3cよりわずかに大きな断面六角形状と
なっており、エネルギー吸収部3cと嵌合する。そし
て、この断面六角形状の中空軸4がエネルギー吸収部3
cと嵌合することで中実軸3と中空軸4は所定角度まで
ともに捩られる。また、中空軸4の外周は、円形からな
っている。
は中実軸3と該中実軸3が嵌合し該中実軸3とともに捩
れ可能な中空軸4により構成されている。中実軸3は、
一端側にボビン5と一体回転可能な結合を果たす断面六
角形状のボビン結合部3aと、他端側にロッキングベー
ス6と一体回転可能な結合を果たす断面六角形状のロッ
キングベース結合部3bと、ボビン結合部3a及びロッ
キングベース結合部3bより細い断面六角形状のエネル
ギー吸収部3cとを有している。中空軸4は、内周がエ
ネルギー吸収部3cよりわずかに大きな断面六角形状と
なっており、エネルギー吸収部3cと嵌合する。そし
て、この断面六角形状の中空軸4がエネルギー吸収部3
cと嵌合することで中実軸3と中空軸4は所定角度まで
ともに捩られる。また、中空軸4の外周は、円形からな
っている。
【0030】次に、エネルギー吸収手段2の製造方法に
ついて説明する。まず図4(a)に示すように、一端に
断面六角形状からなる端部3aを形成するとともに端部
3aより小さい断面六角形状からなりエネルギー吸収部
をなす軸を形成する。そして図4(b)に示すように、
前記軸より僅かに大きく、内形が断面六角形状からなる
中空軸4を形成する。そして図4(c)に示すように、
中実軸3に中空軸4を組み付けて中実軸3の一端面(図
4(c)中右側)をパーツフォーマで成形し、図3に示
すようになる。なお、中実軸3の外形及び中空軸4の内
形を他の多角形又は楕円形とすることもでき、この形態
の作用及び製造方法については前記エネルギー吸収手段
2と同様である。
ついて説明する。まず図4(a)に示すように、一端に
断面六角形状からなる端部3aを形成するとともに端部
3aより小さい断面六角形状からなりエネルギー吸収部
をなす軸を形成する。そして図4(b)に示すように、
前記軸より僅かに大きく、内形が断面六角形状からなる
中空軸4を形成する。そして図4(c)に示すように、
中実軸3に中空軸4を組み付けて中実軸3の一端面(図
4(c)中右側)をパーツフォーマで成形し、図3に示
すようになる。なお、中実軸3の外形及び中空軸4の内
形を他の多角形又は楕円形とすることもでき、この形態
の作用及び製造方法については前記エネルギー吸収手段
2と同様である。
【0031】次に、本発明の第二実施形態に係るエネル
ギー吸収手段20の構成について図5を参照して説明す
る。エネルギー吸収手段20は、結合部24a,24b
間に所定以上の回転トルクが作用して、これら結合部2
4a,24bが捩れ変形を起こすことにより、乗員の身
体に作用する衝撃エネルギーの吸収を行うように構成さ
れたエネルギー吸収機構である。
ギー吸収手段20の構成について図5を参照して説明す
る。エネルギー吸収手段20は、結合部24a,24b
間に所定以上の回転トルクが作用して、これら結合部2
4a,24bが捩れ変形を起こすことにより、乗員の身
体に作用する衝撃エネルギーの吸収を行うように構成さ
れたエネルギー吸収機構である。
【0032】図5に示すように、エネルギー吸収手段2
0は中実軸22と該中実軸22が嵌合し該中実軸22と
ともに捩られる中空軸24により構成されている。中空
軸24は、一端側にボビン5と一体回転可能な結合を果
たす断面六角形状のボビン結合部24aと、他端側にロ
ッキングベース6と一体回転可能な結合を果たす断面六
角形状のロッキングベース結合部24bとを有する。中
実軸22は、エネルギー吸収部22cを有するとともに
両端が断面六角形状に形成され、中空軸24の両端部と
ほぼ密着して嵌合している。そしてこの断面六角形状部
同士が嵌合することによって所定角度まで中実軸22と
中空軸24はともに捩られる。また、中実軸22のエネ
ルギー吸収部22cの外周は円形からなり、中空軸24
の内周とほぼ密着している。
0は中実軸22と該中実軸22が嵌合し該中実軸22と
ともに捩られる中空軸24により構成されている。中空
軸24は、一端側にボビン5と一体回転可能な結合を果
たす断面六角形状のボビン結合部24aと、他端側にロ
ッキングベース6と一体回転可能な結合を果たす断面六
角形状のロッキングベース結合部24bとを有する。中
実軸22は、エネルギー吸収部22cを有するとともに
両端が断面六角形状に形成され、中空軸24の両端部と
ほぼ密着して嵌合している。そしてこの断面六角形状部
同士が嵌合することによって所定角度まで中実軸22と
中空軸24はともに捩られる。また、中実軸22のエネ
ルギー吸収部22cの外周は円形からなり、中空軸24
の内周とほぼ密着している。
【0033】次に、本実施形態のエネルギー吸収手段2
0の製造方法について説明する。まず、図6(a)に示
すような中空軸24を成形する。そして、図6(b)示
すように中空軸24に該中空軸24の内径より僅かに小
さい外径を有する中実軸22を組み付ける。この状態を
維持したままでパーツフォーマに供給し、中空軸24及
び中実軸22を接着、カシメ等で仮止めした状態で中間
部を絞り加工するとともに、一端部(図6(b)中右
側)を成形加工して図5に示すような形状とする。な
お、絞り加工が施された中間部は加工硬化するので、同
径で同材料のものよりもねじり剛性が高くなる。
0の製造方法について説明する。まず、図6(a)に示
すような中空軸24を成形する。そして、図6(b)示
すように中空軸24に該中空軸24の内径より僅かに小
さい外径を有する中実軸22を組み付ける。この状態を
維持したままでパーツフォーマに供給し、中空軸24及
び中実軸22を接着、カシメ等で仮止めした状態で中間
部を絞り加工するとともに、一端部(図6(b)中右
側)を成形加工して図5に示すような形状とする。な
お、絞り加工が施された中間部は加工硬化するので、同
径で同材料のものよりもねじり剛性が高くなる。
【0034】次に、以上の第一実施形態及び第二実施形
態のシートベルト用リトラクターの作動について説明す
る。衝突等の車両緊急時に緊急ロック手段300が作動
すると、エネルギー吸収手段の他端に結合されたロッキ
ングベース6のウェビング引き出し方向への回転が阻止
される。そして、乗員の前方移動により、ボビン5はウ
ェビング引き出し方向の大きなトルクを受ける。ここ
で、ボビン5は中実軸を介してロッキングベース6に相
対回転可能に連結されているため、ウェビング張力によ
るトルクが所定値に達すると、エネルギー吸収手段の中
実軸と中空軸がともに捩じれることにより、ウェビング
張力をほぼ一定に保ったままボビン5が回転し、乗員の
運動エネルギーを吸収しながら規定量のウェビングを繰
り出す。その後エネルギー吸収手段が捩られると、せん
断による金属組織のズレ量が大きい外側部材である中空
軸の方が、せん断によるねじ切れ限界が低いため、数回
転捩ると、中空軸のみがねじ切れた状態になる。する
と、ボビン5に伝わるねじりトルクは中実軸のねじりト
ルクのみとなり、ウェビング張力を低くすることができ
る。
態のシートベルト用リトラクターの作動について説明す
る。衝突等の車両緊急時に緊急ロック手段300が作動
すると、エネルギー吸収手段の他端に結合されたロッキ
ングベース6のウェビング引き出し方向への回転が阻止
される。そして、乗員の前方移動により、ボビン5はウ
ェビング引き出し方向の大きなトルクを受ける。ここ
で、ボビン5は中実軸を介してロッキングベース6に相
対回転可能に連結されているため、ウェビング張力によ
るトルクが所定値に達すると、エネルギー吸収手段の中
実軸と中空軸がともに捩じれることにより、ウェビング
張力をほぼ一定に保ったままボビン5が回転し、乗員の
運動エネルギーを吸収しながら規定量のウェビングを繰
り出す。その後エネルギー吸収手段が捩られると、せん
断による金属組織のズレ量が大きい外側部材である中空
軸の方が、せん断によるねじ切れ限界が低いため、数回
転捩ると、中空軸のみがねじ切れた状態になる。する
と、ボビン5に伝わるねじりトルクは中実軸のねじりト
ルクのみとなり、ウェビング張力を低くすることができ
る。
【0035】次に、エネルギー吸収手段が作動する際に
おける中実軸及び中空軸のねじりトルクについて求め
る。直径d1 の中実軸のねじりトルクT1 は、一般に以
下の式で与えられることが知られている。
おける中実軸及び中空軸のねじりトルクについて求め
る。直径d1 の中実軸のねじりトルクT1 は、一般に以
下の式で与えられることが知られている。
【0036】
【数1】
【0037】また、内径d1 、外径d2 の中空軸のねじ
りトルクは、一般に以下の式で与えられることが知られ
ている。
りトルクは、一般に以下の式で与えられることが知られ
ている。
【0038】
【数2】
【0039】数1及び数2で示したτ1 ,τ2 は、それ
ぞれの材質のせん断応力である。次に、中実軸と中空軸
とを一体とした場合のねじりトルクT0 はT1 とT2 の
和であり、以下の式で与えられる。
ぞれの材質のせん断応力である。次に、中実軸と中空軸
とを一体とした場合のねじりトルクT0 はT1 とT2 の
和であり、以下の式で与えられる。
【0040】
【数3】
【0041】ここで、中実軸と中空軸の材質が同じだと
すれば、せん断応力はτ1 =τ2 =τで与えられ、数3
は以下の数4に示すようになる。
すれば、せん断応力はτ1 =τ2 =τで与えられ、数3
は以下の数4に示すようになる。
【0042】
【数4】
【0043】ここで、数4で表された
【0044】
【数5】
【0045】は、数1より外径d2 の中実軸のねじりト
ルクであることがわかる。
ルクであることがわかる。
【0046】また、数4で表される
【0047】
【数6】
【0048】は、d2 >d1 のため必ず正となる。した
がって、外径d2 の中空軸に中実軸を挿入して用いる方
が外径d2 の中実軸を用いるよりもねじりトルクが必ず
大きくなることがわかる。これにより、加工性のよいヘ
ッダー材を用いて、軸を太くすることなく、即ちシート
ベルト用リトラクターを大型化することなく大きなねじ
りトルクを得ることができる。すなわちコンパクトな構
成でありながらエネルギー吸収荷重を高くすることがで
きる。
がって、外径d2 の中空軸に中実軸を挿入して用いる方
が外径d2 の中実軸を用いるよりもねじりトルクが必ず
大きくなることがわかる。これにより、加工性のよいヘ
ッダー材を用いて、軸を太くすることなく、即ちシート
ベルト用リトラクターを大型化することなく大きなねじ
りトルクを得ることができる。すなわちコンパクトな構
成でありながらエネルギー吸収荷重を高くすることがで
きる。
【0049】次に、d1 /d2 の比の適正値を考える。
前述のようにシートベルト用リトラクターのコンパクト
化の観点から、中空軸4の最大外径が制約されるため、
数4のd2 は固定し、定数として考える。中実軸の外径
と中空軸の内径を近似的に等しいと仮定してd1 とお
き、数4をd1 を変数として微分すると、以下のように
なる。
前述のようにシートベルト用リトラクターのコンパクト
化の観点から、中空軸4の最大外径が制約されるため、
数4のd2 は固定し、定数として考える。中実軸の外径
と中空軸の内径を近似的に等しいと仮定してd1 とお
き、数4をd1 を変数として微分すると、以下のように
なる。
【0050】
【数7】
【0051】したがって、d1 /d2 =3/4のときT
0 は最大値をとる。T0 の最大値T 0maxは、d1 /d2
=3/4を数4に代入して以下のように求めることがで
きる。
0 は最大値をとる。T0 の最大値T 0maxは、d1 /d2
=3/4を数4に代入して以下のように求めることがで
きる。
【0052】
【数8】
【0053】すなわち、d1 /d2 =3/4とすれば、
同じ材質で同径の中実軸よりも10%高いねじりトルク
を得ることができる。ここで図7に、τ1 =τ2 のとき
のd 1 /d2 とT0 との関係を表すグラフを示す。図7
に示すように、τ1 =τ2 のとき、d1 /d2 =0.7
5でT0 は最大値をとる。実際の適用においては加工性
などを考慮し適正なd1 /d2 を決定すればよい。
同じ材質で同径の中実軸よりも10%高いねじりトルク
を得ることができる。ここで図7に、τ1 =τ2 のとき
のd 1 /d2 とT0 との関係を表すグラフを示す。図7
に示すように、τ1 =τ2 のとき、d1 /d2 =0.7
5でT0 は最大値をとる。実際の適用においては加工性
などを考慮し適正なd1 /d2 を決定すればよい。
【0054】ただし、この計算は第2実施形態のごとき
円形断面についてのものであり、多角形断面にすると少
しねじりトルクが下がるが、ねじりトルクの伝達が可能
な範囲で角数を増やせば近似的に円形とみなすことがで
きる。また、中実軸の外径及び中空軸の内径を楕円にし
ても同様である。
円形断面についてのものであり、多角形断面にすると少
しねじりトルクが下がるが、ねじりトルクの伝達が可能
な範囲で角数を増やせば近似的に円形とみなすことがで
きる。また、中実軸の外径及び中空軸の内径を楕円にし
ても同様である。
【0055】また、以上に示した実施形態に係るシート
ベルト用リトラクターは、ウェビングを一定の張力で伸
び出させることにより、乗員の運動エネルギーを効果的
に吸収するとともに、乗員胸部が急激に減速することを
防止している。しかし、エアバッグ装着車では、ウェビ
ングとエアバッグとの両方により胸部に大きな減速度を
生じる傾向にある。このためシートベルト用リトラクタ
ーのウェビング張力は事故初期には高く、胸部がエアバ
ッグとぶつかる頃には少し低めになることが望まれてい
る。以上に示した実施形態に係るエネルギー吸収手段は
中空軸をエネルギー吸収ストローク中の所定角度で積極
的にねじ切ることによりねじりトルクの調整をすること
ができる。したがって、エアバッグ展開後のシートベル
トによる乗員の拘束を弱めることができる。
ベルト用リトラクターは、ウェビングを一定の張力で伸
び出させることにより、乗員の運動エネルギーを効果的
に吸収するとともに、乗員胸部が急激に減速することを
防止している。しかし、エアバッグ装着車では、ウェビ
ングとエアバッグとの両方により胸部に大きな減速度を
生じる傾向にある。このためシートベルト用リトラクタ
ーのウェビング張力は事故初期には高く、胸部がエアバ
ッグとぶつかる頃には少し低めになることが望まれてい
る。以上に示した実施形態に係るエネルギー吸収手段は
中空軸をエネルギー吸収ストローク中の所定角度で積極
的にねじ切ることによりねじりトルクの調整をすること
ができる。したがって、エアバッグ展開後のシートベル
トによる乗員の拘束を弱めることができる。
【0056】更に、大型乗用車や乗用車の後席では乗員
の移動量に余裕があるのでエネルギー吸収ストロークが
長いものが求められる。しかし、高いエネルギー吸収荷
重でエネルギー吸収ストロークが長いものを一本のエネ
ルギー吸収軸で実現するには、エネルギー吸収軸の大型
化が避けられなかった。しかし、中空軸と中実軸を用い
てエネルギー吸収手段を二重構造化することにより、あ
る一定量ウェビングを繰り出してエネルギー吸収軸が加
工硬化しエネルギー吸収荷重が少し高くなった頃に中空
軸を積極的にねじ切り、より細い中実軸に荷重を受け持
たせれば長いエネルギー吸収ストロークが実現できる。
したがって、乗員に負担がかからない。
の移動量に余裕があるのでエネルギー吸収ストロークが
長いものが求められる。しかし、高いエネルギー吸収荷
重でエネルギー吸収ストロークが長いものを一本のエネ
ルギー吸収軸で実現するには、エネルギー吸収軸の大型
化が避けられなかった。しかし、中空軸と中実軸を用い
てエネルギー吸収手段を二重構造化することにより、あ
る一定量ウェビングを繰り出してエネルギー吸収軸が加
工硬化しエネルギー吸収荷重が少し高くなった頃に中空
軸を積極的にねじ切り、より細い中実軸に荷重を受け持
たせれば長いエネルギー吸収ストロークが実現できる。
したがって、乗員に負担がかからない。
【0057】例えば、中空軸及び中実軸ともに伸びのよ
いSWCH8R(冷間圧造用炭素鋼線)を用いれば、エ
ネルギー吸収荷重を上げることができ、軸を細くしてエ
ネルギー吸収ストロークを延ばすことができる。
いSWCH8R(冷間圧造用炭素鋼線)を用いれば、エ
ネルギー吸収荷重を上げることができ、軸を細くしてエ
ネルギー吸収ストロークを延ばすことができる。
【0058】次に、本発明の第三実施形態について説明
する。本実施形態は第一及び第二実施形態と同様に二重
構造を有するエネルギー吸収軸で、中実軸と中空軸とで
材料を変えている。具体的には中空軸に伸びのよい軟
鋼、中実軸に比較的伸びがよく、せん断力も強いステン
レスを用いている。λ=τ1 /τ2 とし、数3よりねじ
りトルクT0 は、
する。本実施形態は第一及び第二実施形態と同様に二重
構造を有するエネルギー吸収軸で、中実軸と中空軸とで
材料を変えている。具体的には中空軸に伸びのよい軟
鋼、中実軸に比較的伸びがよく、せん断力も強いステン
レスを用いている。λ=τ1 /τ2 とし、数3よりねじ
りトルクT0 は、
【0059】
【数9】
【0060】ここで数9で表される
【0061】
【数10】
【0062】は、数1よりせん断応力τ2 の材質で外径
d2 の中実軸のねじりトルクに等しい。また、数9で表
される
d2 の中実軸のねじりトルクに等しい。また、数9で表
される
【0063】
【数11】
【0064】は、λ=τ1 /τ2 の選び方やd1 /d2
の選び方により0になることもあり得る。つまり、せん
断応力τ2 の材質からなる中実軸とエネルギー吸収荷重
の点では差がなくなり、二重構造にする意味を失う。ま
た、せん断によるすべりが大きい外周側にせん断応力τ
が大きい、すなわち一般により伸びの少ない材質を用い
た場合は、エネルギー吸収ストロークを長くする点でも
意味を失う。よって、T 0 を大きくし、且つエネルギー
吸収ストロークを長くするにはより伸びのよい材料を中
空軸側に使う方がよい。T0 を大きくするには、数11
の値を大きくする、すなわち、λを大きくする必要があ
る。したがってτ1 (中実軸)をτ2 より大きくする必
要がある。このときのd1 /d2 の最適値を以下に求め
る。
の選び方により0になることもあり得る。つまり、せん
断応力τ2 の材質からなる中実軸とエネルギー吸収荷重
の点では差がなくなり、二重構造にする意味を失う。ま
た、せん断によるすべりが大きい外周側にせん断応力τ
が大きい、すなわち一般により伸びの少ない材質を用い
た場合は、エネルギー吸収ストロークを長くする点でも
意味を失う。よって、T 0 を大きくし、且つエネルギー
吸収ストロークを長くするにはより伸びのよい材料を中
空軸側に使う方がよい。T0 を大きくするには、数11
の値を大きくする、すなわち、λを大きくする必要があ
る。したがってτ1 (中実軸)をτ2 より大きくする必
要がある。このときのd1 /d2 の最適値を以下に求め
る。
【0065】数9で、λ,d2 を定数とし、T0 をd1
で微分すると以下のようになる。
で微分すると以下のようになる。
【0066】
【数12】
【0067】ここで、中空軸に伸びのよい軟鋼、中実軸
に比較的伸びがよく、せん断力も強いステンレスを用い
たときのλ≒1.25を代入すると、d1 /d2 ≒0.
94となる。そしてT0maxは、数9にλ=1.25,d
1 /d2 =0.94を代入すると、
に比較的伸びがよく、せん断力も強いステンレスを用い
たときのλ≒1.25を代入すると、d1 /d2 ≒0.
94となる。そしてT0maxは、数9にλ=1.25,d
1 /d2 =0.94を代入すると、
【0068】
【数13】
【0069】となり、したがってτ2 の材質で外径d2
の中実軸より26%のトルク上昇となる。ここで図8
に、τ1 /τ2 =1.25のときのd1 /d2 とT0 と
の関係を表すグラフを示す。図8に示すように、τ1 /
τ2 =1.25のとき、d1 /d 2 =0.94でT0 は
最大値をとる。実際の適用においては加工性などを考慮
しd1 /d2 を決定すればよい。
の中実軸より26%のトルク上昇となる。ここで図8
に、τ1 /τ2 =1.25のときのd1 /d2 とT0 と
の関係を表すグラフを示す。図8に示すように、τ1 /
τ2 =1.25のとき、d1 /d 2 =0.94でT0 は
最大値をとる。実際の適用においては加工性などを考慮
しd1 /d2 を決定すればよい。
【0070】また、以上説明したいずれのエネルギー吸
収手段もシートベルト用リトラクターの仕様に応じて断
面形状を適宜変更することにより、エネルギー吸収荷重
及びストローク等を変更することができる。異なる断面
形状とすれば誤組防止可能である。
収手段もシートベルト用リトラクターの仕様に応じて断
面形状を適宜変更することにより、エネルギー吸収荷重
及びストローク等を変更することができる。異なる断面
形状とすれば誤組防止可能である。
【0071】
【発明の効果】以上のように本発明に係るシートベルト
用リトラクターのエネルギー吸収手段は、一端がボビン
に固定され他端が前記ロッキングベースに固定される中
実軸と、前記中実軸が嵌合し前記中実軸とともに捩れ可
能な中空軸から構成されているので、前記中空軸の径と
同径の中実軸よりもねじりトルクが大きくなり、大きな
エネルギー吸収荷重を得ることができる。したがって、
従来と同じ軸径であってもエネルギー吸収荷重が中実軸
のみからなるエネルギー吸収手段に比べて増大し、エネ
ルギー吸収手段を大型化することなくエネルギー吸収荷
重を増大させることができる。
用リトラクターのエネルギー吸収手段は、一端がボビン
に固定され他端が前記ロッキングベースに固定される中
実軸と、前記中実軸が嵌合し前記中実軸とともに捩れ可
能な中空軸から構成されているので、前記中空軸の径と
同径の中実軸よりもねじりトルクが大きくなり、大きな
エネルギー吸収荷重を得ることができる。したがって、
従来と同じ軸径であってもエネルギー吸収荷重が中実軸
のみからなるエネルギー吸収手段に比べて増大し、エネ
ルギー吸収手段を大型化することなくエネルギー吸収荷
重を増大させることができる。
【0072】また、例えばエアバッグ装着車において、
エアバッグが展開されたストローク後半までに中空軸が
ねじ切れた状態となるよう調整することにより、エアバ
ッグ展開後のシートベルトによる乗員の拘束を弱めるこ
とができる。更に、中空軸がねじ切れた後、前記中空軸
より細い前記中実軸のみに荷重を持たせることができる
ので、長いエネルギー吸収ストロークを確保でき、例え
ば大型自動車等において乗員の移動距離に余裕がある場
合には乗員に負担がかからない。
エアバッグが展開されたストローク後半までに中空軸が
ねじ切れた状態となるよう調整することにより、エアバ
ッグ展開後のシートベルトによる乗員の拘束を弱めるこ
とができる。更に、中空軸がねじ切れた後、前記中空軸
より細い前記中実軸のみに荷重を持たせることができる
ので、長いエネルギー吸収ストロークを確保でき、例え
ば大型自動車等において乗員の移動距離に余裕がある場
合には乗員に負担がかからない。
【図1】本発明の第一実施形態に係るシートベルト用リ
トラクターの正面縦断面図である。
トラクターの正面縦断面図である。
【図2】図1に示したシートベルト用リトラクターの要
部分解斜視図である。
部分解斜視図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係るエネルギー吸収手
段の断面図である。
段の断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の第一実施形態に係
るエネルギー吸収手段の製造方法を示す。
るエネルギー吸収手段の製造方法を示す。
【図5】本発明の第二実施形態に係るエネルギー吸収手
段の断面図である。
段の断面図である。
【図6】(a),(b)は、本発明の第二実施形態に係
るエネルギー吸収手段の製造方法を示す。
るエネルギー吸収手段の製造方法を示す。
【図7】τ1 =τ2 のときのd1 /d2 とT0 との関係
を示すグラフを示す。
を示すグラフを示す。
【図8】τ1 /τ2 =1.25のときのd1 /d2 とT
0 との関係を示す。
0 との関係を示す。
1 リトラクターベース 1a,1b 側板 1c 背板 2 エネルギー吸収手段 3 中実軸 3a ボビン結合部 3b ロッキングベース結合部 4 中空軸 5 ボビン 5a 嵌合凹部 6 ロッキングベース 7 支軸 8 ボス部 9 嵌合凹部 16 ポール 16a 係止歯 20 エネルギー吸収手段 21 内歯ラチェット 22 中実軸 22c エネルギー吸収部 24 中空軸 24a,24b 結合部 25 係合内歯 35 センサーカバー 40 リテーナ 40a 挿通穴 41 ブッシュ 50 内周部 100 シートベルト用リトラクター 300 緊急ロック手段 500 センサーカバー
Claims (1)
- 【請求項1】 ウェビングが巻装される略筒状のボビン
と、車両緊急時にロッキングベースをリトラクターベー
スと連結させてウェビング引き出し方向の回転を阻止す
る緊急ロック手段と、ロック後の前記ウェビングに所定
の荷重を負荷しながら前記ウェビングを引き出し可能と
するエネルギー吸収手段とを備えたシートベルト用リト
ラクターにおいて、 前記エネルギー吸収手段は、一端が前記ボビンに固定さ
れ他端が前記ロッキングベースに固定される中実軸と、
前記中実軸が嵌合し前記中実軸とともに捩れ可能な中空
軸からなることを特徴とするシートベルト用リトラクタ
ー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9247024A JPH1178784A (ja) | 1997-09-11 | 1997-09-11 | シートベルト用リトラクター |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9247024A JPH1178784A (ja) | 1997-09-11 | 1997-09-11 | シートベルト用リトラクター |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1178784A true JPH1178784A (ja) | 1999-03-23 |
Family
ID=17157279
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9247024A Pending JPH1178784A (ja) | 1997-09-11 | 1997-09-11 | シートベルト用リトラクター |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1178784A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001058559A (ja) * | 1999-08-18 | 2001-03-06 | Takata Corp | シートベルトリトラクタ |
CN1331694C (zh) * | 2004-04-09 | 2007-08-15 | 株式会社东海理化电机制作所 | 带卷收器 |
JP2009228761A (ja) * | 2008-03-21 | 2009-10-08 | Jfe Pipe Fitting Mfg Co Ltd | 管継手 |
-
1997
- 1997-09-11 JP JP9247024A patent/JPH1178784A/ja active Pending
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