JPH1177300A - ステンレス鋼管のtig溶接方法 - Google Patents
ステンレス鋼管のtig溶接方法Info
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Abstract
を能率良く形成する。 【解決手段】シールドガスとして1〜7%の水素を混合
したアルゴンガスを使用し、アークを収束させてアーク
のエネルギー密度を高める。この場合、V型開先の開先
寸法はルート面の厚さt0を0.1mm〜1.5mm、V型角
度αの適正な範囲は65度〜80度とし、V型開先の内側に
深さdが0.5mm〜1.5mmの範囲で幅w1が10mm〜40
mmの範囲の溝を有する裏当てを固定して、溶融された
金属をTIGアークの裏側で保持,冷却して、V型開先
のルート間隔の寸法裕度を0〜2.0mmと広げて良好な
溶接を行う。
Description
系ステンレス鋼管の円周継手を接合するTIG溶接方
法、特に溶接能率の向上に関するものである。
プライン敷設現場における管端部の溶接は、接合される
双方の管の管端部に開先加工を施した後に、インターナ
ルクランプ等で双方の管を突き合わせて固定し、これに
よって形成される円周継手に沿って全姿勢溶接によって
行われる。この溶接工事の省力化や溶接品質の安定化を
図るために全姿勢自動溶接法が採用されている。このオ
ーステナイト系ステンレス鋼管の全姿勢自動溶接におけ
る問題は、ルート間隔を設けて良好な裏波を確保しよう
としてもルート間隔が溶接中の加熱により変動してしま
い、安定した裏波が得られないことである。特にオース
テナイト系ステンレス鋼管では、熱伝導率が炭素鋼の約
1/3と小さく、熱膨張係数が炭素鋼の約1.5倍と大き
いため、ルート間隔は溶接の進行と共に著しく収縮す
る。このためオーステナイト系ステンレス鋼管に対して
は、溶接中のルート間隔の収縮を無視できるようにする
ため、例えば図4に示すように、開先角度αが30度〜60
度のU型開先41を機械加工により成形し、ルート間隔
を標準0mmとしてTIG自動溶接する方法が採用され
ている。この場合、全周にわたって良好な裏波を得るた
めに、ルート面の厚さt0を1.0mm〜1.5mm、そのル
ート面の幅wを2.0mm〜3.0mmとして、あたかも薄板
の溶接に似た方法で初層裏波溶接を行っている。
載された固定管の周継ぎ手接合方法は、開先角度αが90
度〜110度のV型開先でルート間隔を0mm〜0.5mmの
範囲としてホットワイヤ式TIG自動溶接装置で接合す
る方法である。この溶接方法の特徴は開先加工の容易な
V型で広角度な開先を採用し、フィラーワイヤに通電加
熱されるホットワイヤ式TIG自動溶接装置により、ル
ート間隔を0mm〜0.5mmとしてルート間隔の変動を
無視できる点にある。すなわち、この方法は、ルート部
の溶融を確実にして良好な裏波を確保するために、開先
角度αを90度〜110度に広げてルート部の実質的な厚さ
を減少させ、さらにワイヤを電気抵抗で加熱することに
よりルート部の溶接に対するアークの熱効率を高めるよ
うにしている。
41でルート間隔を0mmとしたTIG溶接方法はルー
ト間隔の変動(収縮)は無視できるが、開先形状が複雑
でかつ加工寸法に関しても高精度な管理が必要であり、
このため専用の開先加工機を必要としていた。このため
設備費が高価になってしまう。また、パイプラインは開
先加工が容易な直管ばかりでなく、随所にエルボ等のフ
ィッティング類が使用されるが、これらは形状上の問題
で機械加工する際の保持,固定が難しく、高精度の開先
加工が困難であり、TIG自動溶接の適用範囲が限定さ
れていた。
は、管の運搬中や突き合わせ芯出し作業中に損傷を受け
る危険性が高く、管端防護と作業管理を丁寧に実行しな
ければならず、その管理が容易でなかった。また、一旦
損傷を受けるとグラインダー等の簡易な方法で修正でき
ないため現場施工上問題となった。
た溶接方法では、V型開先のV型角度を90度〜110度と
大きく広げているため開先断面積が大きくなり、溶接層
数が増加して溶接作業に多くの時間を要する。例えば同
じ板厚7mmに対し、開先角度が40度のU型開先を使用
した場合には、図5に示すように、4層仕上げである
が、開先角度が100度のV型開先を使用した場合には5
層仕上げとなってしまう。さらに、図6の管の板厚と開
先断面積の変化特性図に示すように、開先角度が100度
のV型開先の開先断面積の増加分は、管の板厚が増加す
るほど開先角度が40度のU型開先の場合より拡大して溶
接層数が増加してしまう。
た溶接方法は初層にホットワイヤ式TIG溶接を採用し
ているため、ワイヤ加熱用設備が必要であり、しかもト
ーチ近傍に通電端子を設けて加熱用ケーブルを設置する
ため、設備コストが高価になるだけでなく、トーチ部の
構造が複雑となったり、溶接中のケーブル処理が面倒に
なる等の問題があった。
備で良質な溶接継手を能率良く形成することができるス
テンレス鋼管のTIG溶接方法を提供することを目的と
するものである。
ス鋼管のTIG溶接方法は、互いに接合するオーステナ
イト系ステンレス鋼管の管端部にV型角度が65度〜80度
の範囲でルート面の厚さが0.1mm〜1.5mmの範囲にな
るV型開先を形成するように開先加工を施し、該管端部
をルート間隔が0mm〜2.0mmの範囲になるように突
き合わせ、突き合わせた管端部のV型開先の内側に深さ
が0.5mm〜1.5mmの範囲で幅が10mm〜40mmの範囲
の溝を有する裏当てを固定し、1〜7%の水素ガスを混
合したアルゴンガスを溶接用ガスノズルから供給しなが
ら、V型開先に沿ってTIG自動溶接を行うことを特徴
とする。
バックシールドガスを供給することが望ましい。
G溶接方法は、シールドガスとして1〜7%の水素を混
合したアルゴンガスを使用し、アークを収束させてアー
クのエネルギー密度を高める。ここでシールドガスの水
素ガス混合比率を1〜7%としたのは、シールドガスの
水素ガス混合比率が1%からアーク収束効果が得られ、
シールドガスの水素ガス混合比率が7%ではオーステナ
イト系ステンレス鋼で継手品質上問題とならないからで
ある。
面の厚さt0を0.1mm〜1.5mm、V型角度の適正な範
囲は65度〜80度である。すなわちV型角度が80度を超え
ると必要溶着金属量が多くなり能率的に劣ることと上向
き姿勢で裏波が凹み易くなること、また、V型角度を65
度より狭くすると、ルート部に溶け込み不良が発生し易
くなることから、適正な開先角度の範囲として65度〜80
度とした。
〜1.5mmの範囲で幅w1が10mm〜40mmの範囲の溝を
有する裏当てを固定することにより、溶融された金属を
TIGアークの裏側で保持,冷却して、全姿勢で均一な
裏波を確保する。この裏当てにより、V型開先のルート
間隔の寸法裕度を0〜2.0mmと広げて良好な溶接を行
うことができた。
供給することにより裏波の酸化を防止し裏波品質を向上
させ、より良質な溶接継手を形成することができる。
断面図である。図に示すように、板厚tのオーステナイ
ト系ステンレス鋼管1a,1bを突き合わせて接合する
ときに、V型角度αが65度〜80度の範囲でルート面の厚
さt0が0.1mm〜1.5mmの範囲になるV型開先を形成
するように管1a,1bの管端部を開先加工する。この
開先加工した管1a,1bの管端部をルート間隔Lが0
mm〜2.0mmの範囲になるように突き合わせてV型開
先2を形成する。このV型開先2の内側に深さdが0.5
mm〜1.5mmの範囲で幅w1が10mm〜40mmの範囲の
溝3を有する裏当て4をプランジャ5を有するインター
ナルクランプ装置6で固定する。
溶接する。TIG自動溶接装置は、図2に示すように、
溶接トーチ11の溶接用ガスノズル12から1〜7%の
水素を混合したアルゴンガスをシールドガスとして供給
しながら、タングステン電極13とステンレス鋼管との
間にアーク14を発生し、ワイヤリール15とワイヤ送
給モータ16とワイヤ送給ローラ17を有するワイヤ送
給装置18によって通電加熱を行わないコールドワイヤ
方式でアーク外縁部より溶融プール19へフィラーワイ
ヤ20を送給して溶融しながらV型開先2に充填して溶
接を行う。溶接トーチ11及びワイヤ送給装置18は図
示しない溶接台車に搭載され、一方の管1bの外周に沿
って設けられたガイドレール上を走行しながら一方向に
回転し、全姿勢にわたってV型開先2を埋めるように自
動溶接を行う。溶接台車上には溶接トーチを管軸方向及
び管径方向に移動できる2軸の駆動機構を有する。ま
た、これらの駆動軸の動作や溶接電流,溶接電圧,ワイ
ヤ送給速度等は不図示の制御装置で制御される。図2に
おいて21は溶接電源、22はガス供給装置である。
の水素を混合したアルゴンガスを使用し、V型開先2の
条件を定めた理由について説明する。
ルゴンガスがシールドガスとして利用されている。この
シールドガスでルート間隔を0mmとすると、V型開先
で良好な裏波を確保するためには、特開平9−19767号
公報に示された溶接方法と同じように約100度の開先角
度が必要になる。これは開先角度が約100度より小さい
と、溶融金属が管外面側に形成されてルート部分が溶け
残ってしまうためである。また、溶接入熱を上げてルー
ト部を溶融させようとすると、上向き姿勢で過大な溶け
込みとなり裏波が凹状となり、良好な溶接継手が得られ
なくなってしまう。
合したアルゴンガスを使用すると、アークが収束されて
アークのエネルギー密度が上昇する。アークが収束され
るとアークの電位傾度が変化し、実際にアルゴンガスに
3%の水素を混合した場合、アルゴンガス100%の場合
に比べ、同一アーク長においてアーク電圧が1.0V〜1.2
V上昇することを確認した。このアークのエネルギー密
度の上昇を考慮して各種条件を設定して溶接実験を行っ
た。この結果、アルゴンガスに1〜7%の水素ガスを混
合させたシールドガスを使用し、TIGアークの熱エネ
ルギーを収束させ、V型角度を100度より小さなV型開
先2でもルート部を良好に溶融させ、全姿勢において良
好な裏波が得られることを確認した。ここでシールドガ
スの水素ガス混合比率を1〜7%としたのは、シールド
ガスの水素ガス混合比率が1%からアーク収束効果が得
られ、シールドガスの水素ガス混合比率が7%ではオー
ステナイト系ステンレス鋼で継手品質上問題とならない
からである。
ト面の厚さt0を0.1mm〜1.5mmとすると、V型角度
αの適正な範囲は65度〜80度であった。このV型角度α
が80度を超えると必要溶着金属量が多くなり能率的に劣
ることと上向き姿勢で裏波が凹み易くなる。また、V型
角度αを65度より狭くすると、ルート部に溶け込み不良
が発生し易くなる。そこで適正な開先角度αの範囲とし
て65度〜80度を決定した。
m〜1.5mmの範囲で幅w1が10mm〜40mmの範囲の溝
3を有する銅又はセラミックスの裏当て4を固定するこ
とにより、溶融された金属をTIGアークの裏側で保
持,冷却することができ、全姿勢で均一な裏波を確保す
ることができた。さらに、この裏当て4により、V型開
先2のルート間隔Lの寸法裕度を0〜2.0mmと広げて
良好な溶接を行うことができた。このように管内面より
裏当て4を押し当てておくことにより、バックシールド
ガスを供給しなくても、わずかに酸化するだけの良好な
裏波を確保できるが、さらに裏波の酸化を防止し裏波品
質を向上させるために、裏当て4とインターナルクラン
プ装置6にガス供給孔を設け、ガス供給孔からアルゴン
ガス等のバックシールドガスを流しながらTIG自動溶
接を行えばより良質な溶接継手を形成することができ
る。
ンレス鋼(SUS304)の管径300A、板厚t=6.5m
mの管1a,1bの円周継手を溶接した場合の具体例を
説明する。
でルート面の厚さt0が0.5mm〜1.5mmの範囲になる
V型開先を形成するように管1a,1bの管端部を開先
加工する。この開先加工した管1a,1bの管端部をル
ート間隔Lが0mm〜2.0mmの範囲になるように突き
合わせてV型開先2を形成する。このV型開先2の内側
に深さdが1.0mmで幅w1が15mmの範囲の溝3を有す
る裏当て4をインターナルクランプ装置6で固定して、
図2に示すTIG自動溶接装置でシールドガスとしては
3%の水素と97%のアルゴンガスの混合ガスを使用し、
JIS Z 3321 Y308Lで1.0mmの溶接ワイヤにより、平均
溶接電流が110〜150A、平均ワイヤ送給速度は110〜160
cm/min、溶接速度は70〜100mm/minの溶接
条件で溶接した。このときの溶接層数は図3に示すよう
に2層で仕上がった。溶接後に非破壊検査として外観検
査とX線検査を実施したが、内外面とも良好な外観であ
り、継手内部にも有害欠陥の発生はなく良好な結果であ
った。また、機械試験として引張試験と曲げ試験を行っ
たが、引張試験では母材規格以上の強度が得られ、曲げ
試験においても欠陥発生もなく良好な継手性能を得るこ
とができた。
ドガスとして1〜7%の水素を混合したアルゴンガスを
使用し、アークを収束させてアークのエネルギー密度を
高めるようにしたから、ワイヤを加熱する必要がなく、
溶接装置の構造を簡略化することができる。
り、直管やエルボ等のフィッティングの開先加工を特別
な機械を使用せずに現場でも簡単に行うことができ、溶
接費用を低減することができる。
と狭くすることにより、必要とする溶着金属量を減少す
ることができ、溶接能率を高めることができる。
1.5mmの範囲で幅が10mm〜40mmの範囲の溝を有す
る裏当てを固定することにより、溶融された金属をTI
Gアークの裏側で保持,冷却して、全姿勢で均一な裏波
を確保し、良好な溶接を行うことができる。
0〜2.0mmと広げ、かつV型角度が狭く、1〜7%の
水素を混合したアルゴンガスのシールドガスを使用して
アークのエネルギー密度を高めるから、ルート間隔変動
が大きなオーステナイト系ステンレス鋼管の円周溶接を
確実に行うことができる。
供給することにより裏波の酸化を防止し裏波品質を向上
させ、より良質な溶接継手を形成することができる。
る。
る。
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 互いに接合するオーステナイト系ステン
レス鋼管の管端部にV型角度が65度〜80度の範囲でルー
ト面の厚さが0.1mm〜1.5mmの範囲になるV型開先を
形成するように開先加工を施し、該管端部をルート間隔
が0mm〜2.0mmの範囲になるように突き合わせ、 上記突き合わせた管端部のV型開先の内側に深さが0.5
mm〜1.5mmの範囲で幅が10mm〜40mmの範囲の溝
を有する裏当てを固定し、 1〜7%の水素ガスを混合したアルゴンガスを溶接用ガ
スノズルから供給しながら、V型開先に沿ってTIG自
動溶接を行うことを特徴とするステンレス鋼管のTIG
溶接方法。 - 【請求項2】 上記裏当てからV型開先の管内面にバッ
クシールドガスを供給する請求項1記載のステンレス鋼
管のTIG溶接方法。
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- 1997-09-12 JP JP26517597A patent/JP3773631B2/ja not_active Expired - Fee Related
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