JPH1176353A - 介護用浴槽イス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、特殊なイスと浴槽の組み合わせで
イスの上に浴槽を具現することができ、被介護者を持ち
上げる要なく、入浴、洗髪等が可能な入浴用イスを開発
することを目的とする。 【解決手段】 本発明介護用浴槽イスは、座板１１の下
方にキャスターを配した４本の脚足１２と該脚足が開脚
した場合に座板を支える支持脚フレーム１３を配し、後
方に傾斜自在な背もたれ１５を配し、座板１１前方に直
角に回動自在な回動フレーム１８に中間板１９及び回転
自在な足載板２０を配設したイス１０と、該イスの背も
たれを傾斜させると共に回動フレーム１８を回動させて
中間板１９及び足載板２０を平坦にした場合に、その上
に載置される形状の底部３１，傾斜後部３２，前部３３
及び側部３４，３５からなる浴槽３０とから成る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、老人、身体障害者
等の介護を必要とする人を対象とし、既設の浴槽を用い
ずとも、イスの上に浴槽を実現することのできるイスに
関する。

【０００２】

【従来の技術】老人及び身体障害者を入浴させる場合
に、動きのとれない人には、被介護者を持ち上げて入浴
させねばならず、二人以上での重労働となるばかりでな
く、被介護者を守るため慎重さを要する等の大変な仕事
であった。

【０００３】そこで従来は、クレーン式として被介護者
を動力で吊り上げて入浴させる方法等が提案されている
が、広い浴室を必要とすると共に経済的に高価であり、
一般には普及が困難であった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
基づいてなされたもので、特殊なイスと浴槽の組み合わ
せでイスの上に浴槽を具現することができ、被介護者を
持ち上げる要なく、入浴、洗髪等が可能な入浴用イスを
開発することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明介護用浴槽イス
は、座板の下方にキャスターを配した４本の脚足と該脚
足が開脚した場合に座板を支える支持脚フレームを配
し、後方に傾斜自在な背もたれを配し、座板前方に直角
に回動自在な回動フレームに中間板及び回転自在な足載
板を配設したイスと、該イスの背もたれを傾斜させると
共に回動フレームを回動させて中間板及び足載板を平坦
にしたときに、その上に載置される形状の底部，傾斜後
部，前部及び側部からなる浴槽とから成る。

【０００６】

【作用】イスの背もたれを直立状態とし、回動フレーム
を下げて足載板を水平にし、そこに浴槽全体をイスの足
載板，中間板，座板，背もたれに沿って載せ置き、被介
護者を搭乗させ、キャスターを用いて浴室に運ぶ。

【０００７】浴室で脚足を前後方向に回動させて支持脚
フレームを床上に降ろし、同時に、回動フレームを回動
させて中間板及び足載板を平坦面にし、そのイスに浴槽
の底部を展開し、且つ、傾斜させた背もたれ浴槽の傾斜
後部を一致させると、座板上に座った被介護者は、その
座ったままの姿勢で上記操作が可能で、介護者が持ち上
げる等の作業は一切必要ない。

【０００８】そして、浴槽内にホースやシャワーを用い
て温水を満たして入浴させるが、このとき、浴槽は、後
部及び前部が板状である程度の硬さを有し、且つ、展開
したイスの形状に沿うので該イスにも支持されて、満た
された温水の重量を受けても、浴槽としての形態を維持
する。

【０００９】入浴及び身体の洗いが終了したら、浴槽の
栓を抜いて浴槽内の温水を排水し、バスタオルまたは浴
衣を巻いて被介護者の身体を守りつつ、イスを当初とは
逆に、背もたれを戻し、前方の回動フレームも戻して、
脚足を起立させて寝室等に運ぶ。

【００１０】

【発明の実施の態様】本発明は、イス１０と該イス１０
と組み合わされる浴槽３０とで構成される。該イス１０
には、中央にトイレ用容器１１ａを収納できる座板１１
を配し、その下に移動用のキャスター１２ａを配した脚
足１２を前後に開脚自在に装着すると共に、座板１１の
下には入浴時にイスを安定的に支持するための支持脚フ
レーム１３を配設する。又、座板１１の左右側面には、
手すり１４を後述の浴槽を組み合わせたとき浴槽の外側
となるよう配設する。

【００１１】上記座板１１の背後には、背もたれ１５を
配するが、該背もたれ１５は後方に傾斜自在とし、特に
入浴時に頭髪等を洗髪するに適した角度に傾斜させ、こ
の傾斜角度は後述の浴槽３０の後端部の傾斜角度と一致
させる。そして、背もたれ１５の背後には、前記傾斜さ
せた場合に該背もたれ１５を支持するための支持脚１７
を軸着する。又、頭部には洗髪が容易なよう網体でヘッ
ドレスト１６を配設する。

【００１２】一方、座板１１の前方には９０度の角度で
回動自在な回動フレーム１８を配設し、該回動フレーム
１８，１８間に中間板１９を配すると共に、先端に回動
フレーム１８の先端を軸に回転自在な足載板２０を配設
する。即ち、回動フレーム１８を前方に回転させた場
合、中間板１９と足載板２０とが座板１１と連なり、一
連の平坦面を形成するように配設する。そして、回動フ
レーム１８を前方に回転させた場合に、それを支える為
の支持脚２１を足載板２０の一部に開閉自在に軸着す
る。

【００１３】又、座板１１の後方で、背もたれ１５の前
に突起２２を配するが、該突起２２は、図５に示す如
く、入浴時に背中等の上半身を洗う場合に、身体を支え
るための背フレーム２３を嵌着させるもので、コの字形
に型とった中空状の背フレーム２３と嵌合可能とする。

【００１４】一方、浴槽３０は、図３の如くで、その形
状及び大きさは展開した場合のイスとの間で相対的に決
定されるもので、図５の如くイスを展開した場合に、座
板１１，中間板１９及び足載板２０の大きさと略一致す
る大きさの底部３１と、傾斜した背もたれ１５と一致し
た傾斜角度の後部３２と、足載板２０上の前部３３と、
両側面の側部３４，３５とから成る。その材質は、後部
３２及び前部３３はある程度の硬さを有する板状とする
が、底部３１及び側部３４，３５は、ある程度可撓性を
有するプラスチック、布等で形成する。なぜなら、該浴
槽３０は後述のとおり、運搬時のイスではある程度折畳
み自在の柔軟性を備えると共に、展開したイスの上で湯
水を満たした場合には、それを支えるだけの硬質性を備
える必要があるからである。又、該浴槽３０の上縁部
は、ゴム紐等を施して補強するのが望ましい。

【００１５】次に、本実施態様の作用を説明する。本発
明浴槽イスを使用するには、先ず、イス１０を図１及び
図４の如く、被介護者が搭乗可能なように、背もたれ１
５を直立状態とし、回動フレーム１８を下にさげて足載
板２０を水平にしておく。そして、浴槽３０を、先ず前
部３３を折り畳み、浴槽３０全体をイスの足載板２０，
中間板１９，座板１１，背もたれ１５に沿って載せ置く
状態とする。このとき、浴槽３０はある程度の可撓性が
あるので屈曲したイスの形状に沿わせることができる。
そして、浴槽３０を載置したイス１０を被介護者の寝室
のベッド近くに運び、被介護者を浴槽３０の上になる状
態でイスに載せ、そのままキャスター１２ａを配した脚
足１２を用いて、イスを押して浴室に被介護者を運ぶ。

【００１６】浴室の適当な場所を確保したら、そこで脚
足１２を前後方向に回動させてイス全体を若干降ろす状
態とし、支持脚フレーム１３を床上に降ろし、同時に、
前方の支持脚２１を開いて前方を支持させ、後方の背も
たれ１５の背後の支持脚１７を開いて後方を支持させ、
全体を安定的に支持する（図２参照）。そして、上記イ
スの展開と同時に浴槽３０も開き、即ち、回動フレーム
１８を回動させて中間板１９及び足載板２０を平坦面に
した前方部に浴槽３０の底部３１を展開し、且つ、傾斜
させた背もたれ１５に浴槽の傾斜後部３２を一致させる
（図５参照）。このとき、座板１１上に座った被介護者
は、その座ったままの姿勢で上記操作が可能で、介護者
が持ち上げる等の作業は一切必要ない。

【００１７】そして、被介護者を裸にし、浴槽３０内に
ホースやシャワーを用いて温水を満たす。このとき、浴
槽３０は、後部３２及び前部３３が板状である程度の硬
さを有し、且つ、展開したイスの形状に沿うので該イス
にも支持されて、満たされた温水の重量を受けても、浴
槽としての形態を維持することができる。

【００１８】そこで、図６に示す如く、背もたれ１５に
凭れたリラックスした状態で被介護者を入浴させること
ができ、且つ、頭髪を洗髪する場合等には網体のヘッド
レスト１６で頭髪を容易に洗髪することができる。次
に、被介護者の上半身を洗う場合には、背もたれ１５に
凭れた姿勢では不適当なので、座板１１の後方に配設し
た突起２２に背フレーム２３を嵌着させ、その背フレー
ム２３を上半身の支えとして、被介護者の背中等を洗う
（図５参照）。

【００１９】斯くして入浴及び身体の洗いが終了した
ら、浴槽３０の栓３１ａを抜いて浴槽内の温水を排水
し、シャワー等を流した後に、被介護者の身体をタオル
で拭き、バスタオルまたは浴衣を巻いて身体を守る。そ
して、イス１０を当初とは逆に、背もたれ１５を戻して
直立させ、前方の回動フレーム１８を戻して、脚足１２
を起立させ、そのまま逆の路を戻り、寝室のベッドに戻
し、パジャマ等に着替える。

【００２０】

【発明の効果】以上の構成及び作用に係る本発明は、特
殊なイスとそれに合致する浴槽との組み合わせで、被介
護者をイスに乗せて浴室に運び、浴室ではイスを展開し
て被介護者を持ち上げることなくそのまま入浴させるこ
とができ、入浴、洗髪等を容易に行うことができるとい
う優れた効果を奏する。その際、イスの操作は背もたれ
や回動フレームを操作し、浴槽を展開する等の簡単な操
作のみで、力の弱い女子等でも容易に行うことができ
る。更に、クレーン装置を備えた従来装置と比較すると
極めて安価であり、経済性にも優れる有利な発明であ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明イスの斜視図。

【図２】本発明イスを展開した状態の斜視図。

【図３】本発明浴槽の斜視図。

【図４】通常状態の本発明イスに浴槽を装着した状態の
斜視図。

【図５】展開した状態の本発明イスに浴槽を装着した状
態の斜視図。

【図６】本発明浴槽に被介護者を入浴させている状態の
斜視図。

【符号の説明】

１０ イス １１ 座板 １２ 脚足 １３ 支持脚フレーム １４ 手すり １５ 背もたれ １６ ヘッドレスト １７ 支持脚 １８ 回動フレーム １９ 中間板 ２０ 足載板 ２１ 支持脚 ２２ 突起 ２３ 背フレーム ３０ 浴槽 ３１ 底部 ３２ 後部 ３３ 前部 ３４ 側部 ３５ 側部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 座板の下方にキャスターを配した４本の
   脚足と該脚足が開脚したときに座板を支える支持脚フレ
   ームを配し、後方に傾斜自在な背もたれを配し、座板前
   方に直角に回動自在な回動フレームに中間板及び回転自
   在な足載板を配設したイスと、 該イスの背もたれを傾斜させると共に回動フレームを回
   動させて中間板及び足載板を平坦にしたときに、その上
   に載置される形状の底部，傾斜後部，前部及び側部から
   なる浴槽と、 から成ることを特徴とする介護用浴槽イス。