JPH1175850A - 新規酵素、その製造方法およびその用途 - Google Patents

新規酵素、その製造方法およびその用途

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JPH1175850A
JPH1175850A JP9240066A JP24006697A JPH1175850A JP H1175850 A JPH1175850 A JP H1175850A JP 9240066 A JP9240066 A JP 9240066A JP 24006697 A JP24006697 A JP 24006697A JP H1175850 A JPH1175850 A JP H1175850A
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enzyme
esterase
epoxybutane
cis
amino acid
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JP9240066A
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Takeshi Uozumi
武司 魚住
Haruhiko Masaki
春彦 正木
Kotoku Ri
康徳 李
Motoaki Sano
元昭 佐野
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

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  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブ
タンを高い光学純度を有する光学活性モノエステル体に
加水分解するエステラーゼ。該酵素をコードするDN
A、該DNAを含む組換えベクターにより形質転換され
た宿主細胞を培養することによる該酵素の製造方法。該
酵素または該酵素産生細胞培養物を用いた(2S,3R)-また
は(2R,3S)-4-アセトキシ-2,3- エポキシブタン-1- オー
ルの製造方法。 【効果】 本発明の新規酵素は昆虫性フェロモンを有機
合成する際の重要な中間体である1,4-ジアセトキシ-cis
-2,3- エポキシブタンを高い光学純度を有する光学活性
モノエステル体に加水分解するので、安価でより生物活
性の高い昆虫性フェロモンの製造において有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は昆虫性フェロモンを
有機合成する際の重要な中間体である1,4-ジアセトキシ
-cis-2,3- エポキシブタンを高い光学純度を有する光学
活性モノエステル体に加水分解する新規酵素およびその
生産菌に関する。また、本発明は該酵素の製造方法およ
び該酵素を用いた高い光学純度を有する4-アセトキシ-
2,3- エポキシブタン-1- オール光学活性体の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】昆虫の性フェロモンは、一般に鎖状また
は環状の炭化水素を基本とする比較的単純な構造を有す
る有機化合物でありながら、種特異性が高く、また、き
わめて微量で効果を示すことから、昆虫の生態制御や害
虫の駆除といった応用面からも非常に注目を集めてい
る。例えば、鱗翅目昆虫の多くは雌に対する性フェロモ
ンとしてcis(meso)-エポキシ環を有する化合物を利用す
るが、これらのいくつかは農薬として既に商品化されて
おり、発生状況のモニタリングや大量誘殺、交信攪乱に
用いられている。しかしながら、昆虫フェロモンは天然
からはごく微量しか得ることができず、しかも多くの場
合において1つの立体異性体のみしか高い誘引活性を示
さない。したがって、昆虫フェロモンの不斉合成に関す
る研究が従来より盛んに行われてきた。
【0003】マイマイ蛾の性フェロモンであるdisparlu
reは光学活性なエポキシドを有するが、活性のない異性
体が活性体の誘引活性を阻害するため、いかに光学純度
を高めるかが該化合物の不斉合成における最も重要な課
題である。従来、シャープレスの不斉エポキシ化のよう
な不斉合成法が採用されてきたが、この方法では光学純
度はせいぜい80%e.e.程度であり、さらに光学純度を
上げるための工程が必要であった。一方、Brevetと森
は、cis-2-ブテン-1,4- ジオールを出発物質としてdisp
arlureやruby tiger蛾の性フェロモンなどの光学活性体
を合成する方法(反応スキームを図1に示す)を報告し
たが(Synthesis, 1007, 1992 年)、その中でキラリテ
ィー導入の鍵となる反応、すなわち、1,4-ジアセトキシ
-cis-2,3-エポキシブタンを光学活性モノエステルであ
る(2S,3R)-4-アセトキシ-2,3- エポキシブタン-1- オー
ルに加水分解する反応(図1中、*で示される反応)に
おいて、ブタ膵臓由来リパーゼ(以下、PPLと称す
る)を用いることによりその光学純度を最大約90%e.
e.まで向上させることに成功した。しかしながら、この
方法では、反応条件や添加物によって光学純度が30〜
90%e.e.と大きく変化し、また、次の反応工程に進む
ためには再結晶が必要であった。
【0004】また、1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキ
シブタンを4-アセトキシ-2,3- エポキシブタン-1- オー
ルに加水分解する反応において、(2R,3S)-4-アセトキシ
-2,3- エポキシブタン-1- オールを(2S,3R)-4-アセトキ
シ-2,3- エポキシブタン-1-オールよりも多量に生成さ
せる酵素として、糸状菌やカンディダ(Candida )属酵
母由来のリパーゼが知られているが、これらの酵素によ
る加水分解反応産物中の(2R,3S)-4-アセトキシ-2,3- エ
ポキシブタン-1- オールの光学純度はせいぜい60%e.
e.であり、いずれも不斉合成への利用には適さない。
【0005】
【発明が解決すべき課題】したがって、本発明の目的
は、1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブタンを4-ア
セトキシ-2,3- エポキシブタン-1- オールに加水分解す
る反応において、その後の光学純度を高める工程を必要
としないか、あるいは該工程を非常に簡略化し得る程度
に高い光学純度を有する光学活性体(すなわち、(2S,3
R)-4-アセトキシ-2,3- エポキシブタン-1- オールまた
は(2R,3S)-4-アセトキシ-2,3- エポキシブタン-1- オー
ル)を生成させることができる新規合成方法およびそれ
に使用されるエステラーゼを提供することであり、それ
によって、安価でより生理活性の高い合成昆虫性フェロ
モンを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ビブリオ属に属
する土壌分離菌が生産する新規酵素が、1,4-ジアセトキ
シ-cis-2,3- エポキシブタンを高い光学純度、即ち、P
PLを使用する場合よりもさらに高純度で、例えば90
%e.e.を越える光学純度、好適には94%e.e.以上〔こ
こに光学純度は後記実施例1に詳述する方法により測定
される比旋光度より、Brevet(私信)に記載の数値を基
準にして換算した値である〕の光学純度で(2S,3R)-4-ア
セトキシ-2,3- エポキシブタン-1- オールに加水分解す
る活性を有することを見出した。本発明者らはこの酵素
を単離精製するとともに、該酵素をコードするDNAを
クローニングして塩基配列を決定することにより、その
一次構造を決定した。さらに該DNAを大腸菌内で大量
発現させることにより容易に該酵素を調製する方法を確
立し、得られた酵素を用いて高い光学純度を有する(2S,
3R)-4-アセトキシ-2,3- エポキシブタン-1- オールを製
造することに成功した。
【0007】さらに、本発明者らは、1,4-ジアセトキシ
-cis-2,3- エポキシブタンを高い光学純度を有する(2R,
3S)-4-アセトキシ-2,3- エポキシブタン-1- オールに加
水分解する活性を有する細菌をスクリーニングすること
にも成功した。そこで、本発明者らは該菌株を培養して
得られた培養物の培地に1,4-ジアセトキシ-cis-2,3-エ
ポキシブタンを接触させることにより高い光学純度、好
ましくは94%e.e.以上の光学純度で(2R,3S)-4-アセト
キシ-2,3- エポキシブタン-1- オールを製造することに
成功して本発明を完成するに至った。ここに光学純度の
測定は後記実施例1に詳述する方法により測定される比
旋光度より、Brevet(私信)に記載の数値を基準にして
換算することにより行う。
【0008】すなわち、本発明は以下の通りである。 〔1〕 1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブタンを
(2S,3R)-4-アセトキシ-2,3- エポキシブタン-1- オール
に加水分解する反応を触媒し得、且つ下記の基質特異性
を有するエステラーゼ。 (a)p-ニトロパルミチン酸を基質とするリパーゼ活性
を有しない (b)Tween20を基質とするエステラーゼ活性を
有しない 〔2〕 さらに下記の理化学的性質を有する上記〔1〕
記載のエステラーゼ。 (a)分子量:約40kDa(SDS−PAGE) (b)局在性:細胞外酵素 〔3〕 下記(a)または(b)のアミノ酸配列からな
る上記〔1〕または〔2〕に記載のエステラーゼ。 (a)配列表配列番号1に示されるアミノ酸配列 (b)(a)のアミノ酸配列において少なくとも1つの
アミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列 〔4〕 ビブリオ属に属する細菌より精製される上記
〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のエステラーゼ。 〔5〕 ビブリオ属に属する細菌がKSR24株(FE
RM P−16397)である上記〔4〕記載のエステ
ラーゼ。 〔6〕 上記〔1〕または〔2〕記載のエステラーゼを
生産する細菌KSR24株(FERM P−1639
7)細胞。 〔7〕 1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブタンを
70%e.e.以上の光学純度を有する(2R,3S)-4-アセトキ
シ-2,3- エポキシブタン-1- オールに加水分解する反応
を触媒し得るエステラーゼ。 〔8〕 上記〔7〕記載のエステラーゼを生産する細菌
HIM42株(FERMP−16396)細胞。
〔9〕 上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のエステ
ラーゼをコードするDNA。 〔10〕 下記(a)または(b)の塩基配列を有する
上記
〔9〕記載のDNA。 (a)配列表配列番号2に示される塩基配列中塩基番号
307〜1260で示される塩基配列 (b)(a)の塩基配列からなるDNAとストリンジェ
ントな条件でハイブリダイズし得る塩基配列 〔11〕 上記
〔9〕または〔10〕記載のDNAを含
む組換えベクター。 〔12〕 上記〔11〕記載の組換えベクターで形質転
換された宿主細胞。 〔13〕 上記〔6〕または〔12〕記載の細胞を培養
して、得られる培養物からエステラーゼを採取すること
を含む上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のエステラ
ーゼの製造方法。 〔14〕 上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のエス
テラーゼに1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブタン
を接触させる工程を含む、(2S,3R)-4-アセトキシ-2,3-
エポキシブタン-1- オールを製造する方法。 〔15〕 上記〔6〕または〔12〕記載の培養物に1,
4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブタンを接触させる
工程を含む、(2S,3R)-4-アセトキシ-2,3- エポキシブタ
ン-1- オールを製造する方法。 〔16〕 上記〔8〕記載の細胞を培養して得られる培
養物の培地に1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブタ
ンを接触させる工程を含む、(2R,3S)-4-アセトキシ-2,3
- エポキシブタン-1- オールを製造する方法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の新規酵素は、1,4-ジアセ
トキシ-cis-2,3- エポキシブタンを高い光学純度を有す
る4-アセトキシ-2,3- エポキシブタン-1- オール光学活
性体、すなわち、(2S,3R)-4-アセトキシ-2,3- エポキシ
ブタン-1- オールまたは(2R,3S)-4-アセトキシ-2,3- エ
ポキシブタン-1- オールに加水分解する反応を触媒す
る。
【0010】本発明の一態様において、該新規酵素は1,
4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブタンを高い光学純
度を有する(2S,3R)-4-アセトキシ-2,3- エポキシブタン
-1-オールに加水分解するエステラーゼである(以下、
このタイプの酵素を代表的な生産菌KSR24株(後
述)に因んでKSR酵素と称する)。該酵素はまた、P
PLにおいて見られるようなp-ニトロパルミチン酸を基
質とするリパーゼ活性やTween20を基質とするエ
ステラーゼ活性を示さない、非常に基質特異性に優れた
新規エステラーゼである。
【0011】本発明の別の態様においては、該新規酵素
は1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブタンを高い光
学純度、すなわち70%e.e.以上の光学純度を有する(2
R,3S)-4-アセトキシ-2,3- エポキシブタン-1- オールに
加水分解するエステラーゼである。以下、このタイプの
酵素を代表的な生産菌HIM42株(後述)に因んでH
IM酵素と称し、上記KSR酵素と区別する。また、
「本発明の新規酵素」という場合にはKSRおよびHI
M酵素の両方を含むものとする。
【0012】本発明の新規酵素は、インビトロで上記の
エステラーゼ活性(およびKSR酵素については基質特
異性)を有する限りその由来は特に限定されない。例え
ば、該酵素は昆虫をはじめとする節足動物、哺乳動物を
はじめとする脊椎動物、植物、あるいは酵母、細菌、糸
状菌などの微生物由来のものが挙げられる。好ましくは
細菌、就中ビブリオ属に属する細菌由来のエステラーゼ
が例示される。
【0013】好ましくは、KSR酵素はさらに下記の少
なくとも一つの性質を有する。 (a)該酵素の分子量はSuperdex200カラム
を用いたゲル濾過によれば約90kDa、また、ドデシ
ル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
(SDS−PAGE)によれば約40kDaである。 (b)該酵素は細胞外局在性である。したがって該酵素
は、該酵素を生産する細胞または組織の培養物の培地か
ら単離精製することができる。 (c)上記の加水分解反応において、該酵素の活性に最
適なpH範囲は中性〜微アルカリ性、より具体的にはp
H約7〜8である。 (d)該酵素はFe,Ni,Ru,Ag等の金属キレー
ト剤である1,10- フェナントロリン(1mM)によって
阻害されるが、EDTA(1mM)では阻害されない。
また、モノヨード酢酸(1mM)によりやや阻害される
が、2−メルカプトエタノール(1mM)およびN−エ
チルマレイミド(1mM)ではほとんど阻害されない。
さらに、セリンプロテアーゼ阻害剤であるDFP(1m
M)およびPMSF(1mM)により阻害される。
【0014】本発明の新規酵素は、(1) 該酵素を生産す
る細胞または組織の培養物を原料として単離精製する方
法、(2) 化学的に合成する方法または(3) 遺伝子組み換
え技術等公知手法を適宜用いることによって取得するこ
とができる。(1) の方法の好ましい一実施態様として下
記の方法が例示される。
【0015】まず、適当な場所から採取した土壌試料よ
り慣用の手段を用いて分離した微生物について、細胞内
画分(細胞破砕上清)および細胞外画分(培地)をそれ
ぞれ基質である1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブ
タンと反応させ、例えば、薄層クロマトグラフィーなど
を用いて反応生成物を分析し、4-アセトキシ-2,3- エポ
キシブタン-1- オールへの加水分解活性を有する微生物
をスクリーニングする。得られたポジティブクローンに
ついて、4-アセトキシ-2,3- エポキシブタン-1- オール
光学活性体の光学純度を旋光計を用いて測定し、高い光
学純度(例えば、70%e.e.以上)を有する(2S,3R)-4-
アセトキシ-2,3- エポキシブタン-1- オールまたは(2R,
3S)-4-アセトキシ-2,3- エポキシブタン-1- オールを生
成させるクローンを選択する。未精製の酵素では本来の
高い光学選択性が夾雑物等の影響で妨害されている可能
性があるので、1次スクリーニングの条件はやや低く設
定する方が望ましい。
【0016】このようにして選択されたKSR酵素を産
生する微生物クローンとしては、本発明者らにより東京
近郊の土壌より新たに分離された細菌KSR24株が例
示される。該菌株においては酵素活性は細胞外画分に見
出される。KSR24株は生理学的試験並びに電子顕微
鏡および光学顕微鏡を用いた形態学的特徴の分析の結
果、グラム陰性で運動性のあるわずかに湾曲した桿菌で
あり、極鞭毛を有し、且つ通性嫌気性であることからビ
ブリオ属に属する細菌であると同定された。一方、HI
M酵素を産生する微生物クローンとしては、本発明者ら
により東京近郊の土壌より新たに分離された細菌HIM
42株が例示される。該菌株においても酵素活性は細胞
外画分に見出される。HIM42株はグラム陰性で運動
性のある桿菌である。KSR24株およびHIM42株
の凍結乾燥サンプルは通商産業省工業技術院生命工学工
業技術研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3号)に1
997年8月29日付で国内寄託され、受託番号とし
て、前者は生命研菌寄第16397号(FERM P−
16397)および後者は生命研菌寄第16396号
(FERM P−16396)を付されている。
【0017】次いで、選択されたクローンを適当な液体
培地中で培養し、得られた培養物を濾過および/または
遠心分離して菌体と培養上清を分離する。本発明の新規
酵素は、該酵素活性が存在するいずれかの画分、すなわ
ち該培養上清または該菌体の抽出液から、一般に酵素タ
ンパク質の単離精製に使用されている分離技術を適宜組
み合わせることによって精製することができる。具体的
には、例えば、塩析、溶媒沈殿法等の溶解度の差を利用
する方法、透析、限外濾過、ゲル濾過、PAGE、SD
S−PAGE等の分子量の差を利用する方法、イオン交
換クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマ
トグラフィー等の荷電を利用する方法、アフィニティー
クロマトグラフィー等の特異的親和性を利用する方法、
逆相高速液体クロマトグラフィー等の疎水性の差を利用
する方法、等電点電気泳動等の等電点の差を利用する方
法が挙げられる。
【0018】さらに好ましい態様においては、KSR酵
素は配列表配列番号1に示されるアミノ酸配列または該
アミノ酸配列において少なくとも1つのアミノ酸が欠
失、置換もしくは付加された配列からなる。このような
アミノ酸配列を有する酵素の由来もまた特に制限はな
く、上記(1) 〜(3) のいずれかの方法により取得するこ
とができる。好ましくは、該酵素をコードするDNA
を、該酵素を生産する細胞または組織由来RNAもしく
はDNAより該アミノ酸配列の部分配列をコードする合
成オリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCR法によ
り、或いはそれをプローブとしてコロニーハイブリダイ
ゼーションまたはプラークハイブリダイゼーションによ
りクローニングし、次いでクローニングしたDNAを含
有する組換えベクターで形質転換された宿主細胞を培養
することによって該酵素を採取する方法が例示される。
【0019】本発明のDNAは、KSR酵素のアミノ酸
配列をコードする塩基配列を含むDNAであれば特に制
限はない。好ましくは配列表配列番号1に示されるアミ
ノ酸配列またはその均等物をコードする塩基配列を有す
るDNA、より好ましくは配列表配列番号2に示される
塩基配列中、塩基番号307〜1260で示される塩基
配列または該塩基配列からなるDNAとストリンジェン
トな条件でハイブリダイズし得る塩基配列を有するDN
Aである。ここで「均等物」とは、本発明の新規酵素の
理化学的性質を変化させない範囲で、少なくとも1つの
アミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
を意味し、また、「ストリンジェントな条件」とは、塩
基配列において約60%以上の相同性を有するDNAが
ハイブリダイズし得るような条件を意味する。
【0020】本発明のDNAはいかなる方法で得られる
ものであってもよい。例えば、mRNAから調製される
cDNA、ゲノミックDNAから調製されるDNA、化
学合成によって得られるDNA、RNA(cDNA)ま
たはDNAを鋳型としてPCR法で増幅させて得られる
DNA、およびこれらの方法を適当に組み合わせて構築
されるDNAなどが含まれる。
【0021】本発明のDNAは、例えば以下の方法によ
り単離することができる。まず、KSR酵素を生産する
細胞または組織より上記のような方法に従って該酵素を
完全または部分精製し、そのN末部分アミノ酸配列をエ
ドマン法により、また内部部分アミノ酸配列を配列特異
的プロテアーゼによる部分分解を利用してそれぞれ決定
する。得られた部分アミノ酸配列に対応する塩基配列を
有するオリゴヌクレオチドを合成し、該酵素を生産する
細胞または組織より調製したRNAまたはDNAから、
上記のようにPCR法やコロニー(プラーク)ハイブリ
ダイゼーション法を用いて該酵素をコードするDNAを
クローニングする。
【0022】あるいは、完全または部分精製されたKS
R酵素を抗原として該酵素に対する抗体を常法にしたが
って作製し、該酵素を生産する細胞または組織より調製
したcDNAまたはゲノミックライブラリーから、抗体
スクリーニングにより該酵素をコードするDNAをクロ
ーニングすることもできる。
【0023】上記のようにして得られたDNAの塩基配
列は、マキサム・ギルバート法やジデオキシターミネー
ション法等の公知のシークエンス技術を用いて決定する
ことができる。
【0024】また、化学合成による本発明のDNAの製
造は、例えば配列表配列番号2記載の塩基配列中、塩基
番号307〜1260で示される塩基配列を基にして、
その全部または一部を全自動DNA合成機を用いて合成
することにより行うことができる。
【0025】さらに本発明は、上記のDNAを含有する
組換えベクターに関する。本発明の組換えベクターは、
原核細胞および/または真核細胞の各種の宿主内で複製
保持または自律増殖できるものであれば特に限定され
ず、プラスミドベクターおよびファージベクター等が包
含される。当該組換えベクターは、簡便には当分野にお
いて入手可能な発現ベクターにKSR酵素をコードする
DNAを常法により機能的に連結することによって調製
することができる。用いる発現ベクターとしては、原核
細胞および/または真核細胞の各種の宿主内で機能して
該酵素を発現し得るものであれば特に制限されないが、
形質転換体選択のための選択マーカー遺伝子を含有する
ことが好ましい。宿主細胞として、細菌、特に大腸菌を
用いる場合、一般に発現ベクターは少なくともプロモー
ター−オペレーター領域、ターミネーター領域および複
製可能単位を含む必要がある。また、プロモーター−オ
ペレーター領域とターミネーター領域との間に1種以上
のユニークな制限酵素認識部位、好ましくはマルチクロ
ーニング部位が存在する必要がある。プロモーター−オ
ペレーター領域はプロモーター、オペレーターおよびSh
ine-Dalgarno(SD)配列を含むものであり、例えば宿
主が大腸菌の場合、好適にはTrpプロモーター、la
cプロモーター、recAプロモーター、lppプロモ
ーター、tacプロモーター等を含むものが、また、宿
主が枯草菌の場合、SLO1プロモーター、SPO2プ
ロモーター、penPプロモーター等が挙げられる。タ
ーミネーター領域としては、通常使用されている天然ま
たは合成のターミネーターを用いることができる。ま
た、選択マーカー遺伝子としては、テトラサイクリン、
アンピシリン、カナマイシンなどの各種薬剤に対する耐
性遺伝子を用いることができる。
【0026】本発明のDNAがKSR酵素を生産する細
胞または組織由来のゲノミックDNAから調製され、本
来のプロモーターおよびターミネーター領域を有するも
のである場合には、本発明の組換えベクターは、該DN
Aを形質転換しようとする宿主中で複製保持または自律
増殖できる公知の組換え用ベクターに連結することによ
り調製できる。用いられる組換え用ベクターとしては、
大腸菌由来のpBR系ベクター、pUC系ベクター等、
枯草菌由来のpUB110、pTP5、pC194等、
酵母由来のYEpベクター、YRpベクター等のプラス
ミドベクター、あるいはλファージ、レトロウイルス、
ワクシニヤウイルスベクター等のウイルスベクターが例
示される。
【0027】本発明の形質転換細胞は、KSR酵素をコ
ードするDNAを含有する上記の発現ベクターを、適当
な宿主細胞に導入することにより調製することができ
る。宿主細胞は、使用する発現ベクターに適合し、形質
転換され得るものであれば特に制限されず、当該技術分
野において通常使用される天然に存在する細胞或いは人
工的に作製された組換え細胞など種々の細胞が利用でき
る。具体的には、大腸菌(例えばDH5α、HB101
等)枯草菌等の細菌、酵母(例えばサッカロミセス・セ
レビシエ、ピキア・パストリス等)等の真菌類、動物細
胞(例えばCHO細胞、COS1細胞、Hela細胞
等)または昆虫細胞(SF9細胞等)などが例示され
る。好ましくは細菌、特に大腸菌および枯草菌である。
煩雑な抽出精製操作を回避するには該酵素を細胞外画分
から回収することがより好ましいが、このような目的に
おいては、枯草菌、特に菌体外プロテアーゼを欠損した
枯草菌変異株の使用が望ましい。
【0028】組換えベクターの宿主細胞への導入(形質
転換又は形質移入)は従来公知の方法を用いて行うこと
ができる。 例えば、細菌(E.coli, Bacillus subtili
s 等)の場合は、例えばCohen らの方法〔Proc. Natl.
Acad. Sci. USA., 69, 2110(1972)〕、プロトプラスト
法〔Mol. Gen. Genet., 168, 111 (1979) 〕やコンピテ
ント法〔J. Mol. Biol., 56, 209 (1971) 〕によって、
Saccharomyces cerevisiaeの場合は、例えばHinnenらの
方法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 75, 1927 (197
8)〕やリチウム法〔J. Bacteriol., 153, 163 (1983)〕
によって、動物細胞の場合は、例えばGrahamの方法〔Vi
rology, 52, 456 (1973)〕、昆虫細胞の場合は、例えば
Summers らの方法〔Mol. Cell. Biol.3, 2156-2165 (19
83) 〕によってそれぞれ形質転換することができる。
【0029】本発明のKSR酵素は、上記のようにして
調製される形質転換細胞(以下、形質移入体を包含する
意味で使用する)を培地で培養することによって製造す
ることができる。培地は、宿主細胞(形質転換体)の生
育に必要な炭素源,無機窒素源もしくは有機窒素源を含
でいることが好ましい。炭素源としては、例えばグルコ
ース,デキストラン,可溶性デンプン,ショ糖などが、
無機窒素源もしくは有機窒素源としては、例えばアンモ
ニウム塩類,硝酸塩類,アミノ酸,コーンスチープ・リ
カー,ペプトン,カゼイン,肉エキス,大豆粕,バレイ
ショ抽出液などが例示される。また所望により他の栄養
素〔例えば、無機塩(例えば塩化カルシウム,リン酸二
水素ナトリウム,塩化マグネシウム),ビタミン類,抗
生物質(例えばテトラサイクリン,ネオマイシン,アン
ピシリン,カナマイシン等)など〕を含んでいてもよ
い。
【0030】培養は宿主細胞に応じて当分野において知
られている方法により行われる。培養条件、例えば温
度,培地のpHおよび培養時間は、本発明の新規酵素が
大量に生産されるように適宜選択することができる。
【0031】例えば、宿主が細菌,放線菌,酵母,糸状
菌である場合、例えば上記栄養源を含有する液体培地が
適当である。好ましくは、pHが5〜8である培地であ
る。特に、宿主がE. coli の場合、好ましい培地として
LB培地,M9培地〔Miller. J., Exp. Mol. Genet,
p.431, Cold Spring Harbor Laboratory, New York (19
72)〕等が例示される。この場合、培養は必要により通
気、攪拌を行いながら、通常15〜40℃で約3〜24
時間行うことができる。宿主が枯草菌の場合、必要によ
り通気、攪拌をしながら、通常30〜40℃で約16〜
96時間行うことができる。宿主が酵母である場合、培
地として、例えばBurkholder最少培地〔Bostian. K. L.
et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77, 4505 (198
0) 〕が挙げられ、pHは5〜8であることが望まし
い。培養は通常約20〜35℃で約14〜144時間行
なわれ、必要により通気や攪拌を行うこともできる。宿
主が動物細胞の場合、培地として例えば約5〜20%の
胎児牛血清を含むMEM培地〔Science, 122, 501 (195
2)〕,DMEM培地〔Virology, 8, 396 (1959) 〕、R
PMI1640培地〔J. Am. Med. Assoc., 199, 519
(1967) 〕,199培地〔Proc. Soc. Exp. Biol. Med.,
73, 1 (1950)〕等を用いることができる。培地のpH
は約6〜8であるのが好ましく、培養は通常約30〜4
0℃で約15〜72時間行なわれ、必要により通気や攪
拌を行うこともできる。宿主が昆虫細胞の場合、例えば
胎児牛血清を含むGrace's 培地〔Proc. Natl.Acad. Sc
i. USA, 82, 8404 (1985)〕等が挙げられ、そのpHは
約5〜8であるのが好ましい。培養は通常約20〜40
℃で15〜100時間行なわれ、必要により通気や攪拌
を行うこともできる。
【0032】本発明のKSR酵素は、上記形質転換細胞
の培養によって得られる培養物より以下のようにして取
得することができる。すなわち、KSR酵素が培養物の
培養上清中に存在する場合は、得られた培養物を濾過お
よび/または遠心分離して培養上清を回収し、上記の天
然の該酵素生産菌の場合と同様にして単離精製すること
ができる。一方、該酵素が形質転換細胞のペリプラズム
または細胞質内に存在する場合は、培養物を濾過または
遠心分離して細胞を回収して適当な緩衝液に懸濁し、例
えば超音波、リゾチーム及び凍結融解などの方法で細胞
等の細胞壁および/または細胞膜を破砕または溶解した
後、遠心分離および/または濾過により上清を回収す
る。次いで該上清を上記と同様に処理することによりK
SR酵素を単離精製することができる。
【0033】本発明はまた、上記のようにして調製され
るKSR酵素、あるいは天然または人工的に作製した該
酵素産生細胞を上記のように培養して得られる培養物を
用いて、高い光学純度を有する(2S,3R)-4-アセトキシ-
2,3- エポキシブタン-1- オールを製造する方法を提供
する。当該方法は、該酵素または該酵素産生細胞の培養
上清または細胞抽出液に1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エ
ポキシブタンを接触させる工程を含む。該加水分解反応
は、pH約7〜8の適当な緩衝液中、約25〜35℃の
温度条件下で約10〜60分間行うことが好ましい。こ
のようにして得られた(2S,3R)-4-アセトキシ-2,3- エポ
キシブタン-1- オールは、さらに光学純度を上げるため
の工程を実施することなく、あるいは該工程を非常に簡
略化して、昆虫フェロモン合成の次の反応工程に供する
ことができる。
【0034】なお、より具体的には、本発明において光
学純度測定は下記の通りにして行われる。KSR酵素
(非変性ポリアクリルアミドゲルから精製)溶液または
該酵素産生細胞抽出液(50mMトリス−HCl(pH
7.5)緩衝液中)あるいは培養上清5mLに対して、
約100mgの基質1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキ
シブタンを添加し、30℃で1時間インキュベートす
る。これらに等量のジエチルエーテルを加えて5回抽出
を行い、15cm×15cmのシリカゲル薄層プレート
上にスポットし、酢酸エチル:n−ヘキサン(2:1)
を展開溶媒として反応生成物を展開する。Rf値に基づ
いてモノアセトキシ-2,3- エポキシブタノールのゾーン
をかきとり、エーテルで抽出し、ロータリーエバポレー
タで濃縮した画分を秤量した後、2mlのジクロロメタ
ンに溶解して旋光度計で旋光度の測定を行う。PPLに
よる加水分解産物(2S,3R)-4-アセトキシ-2,3- エポキシ
ブタン-1- オール標品の、光学純度が90%e.e. の時
の比旋光度が[α]D +17°であった[Brevet(私
信)]ことを根拠に、比旋光度から光学純度を推定し
た。
【0035】さらにまた、本発明は上記のようにして調
製されるHIM酵素または該酵素産生細胞を上記のよう
に培養して得られる培養物を用いて、高い光学純度、例
えば70%e.e.以上、好ましくは94%e.e.以上の光学
純度を有する(2R,3S)-4-アセトキシ-2,3- エポキシブタ
ン-1- オールを製造する方法を提供する。当該方法は、
該酵素または該酵素産生細胞の培養上清または細胞抽出
液に1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブタンを接触
させる工程を含む。該加水分解反応は、pH約7〜8の
適当な緩衝液中、約25〜35℃の温度条件下で約10
〜60分間行うことが好ましい。なお、光学純度の測定
は上記KSR酵素産生細胞の場合と同様に行えばよい。
昆虫フェロモンの不斉合成の立場からいえば、1,4-ジア
セトキシ-cis-2,3- エポキシブタンの加水分解反応産物
はいずれかの光学活性モノエステル体にできる限り偏っ
ていればよいので、このような反応系は昆虫フェロモン
の不斉合成において好ましく利用することができる。
【0036】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、これらは単なる例示であって何ら本発明の
範囲を限定するものではない。
【0037】実施例1 新規酵素産生菌の候補となる微
生物のスクリーニング 東京近郊で採集した土壌より分離した約900株の微生
物をL培地にて16時間培養し、遠心分離により細胞お
よび培養上清を分離した。細胞は50mM Tris−
HCl緩衝液(pH7.5)1mLに懸濁して超音波処
理によって破砕し、遠心して上清を回収し細胞内画分と
した。細胞内両画分(1mL)および培養上清(5m
L)のそれぞれに対して、約100mgの基質1,4-ジア
セトキシ-cis-2,3- エポキシブタンを粉末として添加
し、30℃で1時間インキュベートした。1,4-ジアセト
キシ-cis-2,3- エポキシブタンはBrevetと森(1992;上
述)の方法に従い、cis-2-ブテン-1,4- ジオールから合
成した。これらに等量のジエチルエーテルを加えて抽出
し、この操作を5回繰り返してエーテル相を集め、ロー
タリーエバポレータで濃縮し、これを5cm高のシリカ
ゲル薄層にスポットし、酢酸エチル:n−ヘキサン
(2:1)を展開溶媒としてTLC展開した。これを1
0%モリブドリン酸(東京化成)(エタノール中)溶液
に浸け、乾燥後ヒートガンで発色させてRf値を求め
た。TLCの結果に基づいて、基質を効率よくモノエス
テルに加水分解し得るとみられる標品をピックアップし
た。得られた標品のいくつかについて、培養上清を10
0mMの1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブタンと
反応させた。ジエチルエーテルで反応液中の生成物の抽
出を5回行い、15cm×15cmのシリカゲル薄層プ
レート上にスポットし、酢酸エチル:n−ヘキサン
(2:1)を展開溶媒として反応生成物を展開した。モ
ノアセトキシ-2,3- エポキシブタノールのゾーンをかき
とり、エーテルで抽出し、ロータリーエバポレータで濃
縮した画分を秤量した後、2mlのジクロロメタンに溶
解して日本分光製の旋光度計DIP−371型を用いて
旋光度の測定を行った。PPLによる加水分解産物(2S,
3R)-4-アセトキシ-2,3- エポキシブタン-1- オール標品
の、光学純度が90%e.e. の時の比旋光度が[α]D
+17°であった[Brevet(私信)]ことを根拠に、比
旋光度から光学純度を推定した。その結果、1菌株の培
養上清が1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブタンを
74%e.e.の光学純度を有する(2S,3R)-4-アセトキシ-
2,3- エポキシブタン-1- オールに加水分解し、また、
別の1菌株の培養上清が1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エ
ポキシブタンを95%e.e.の光学純度を有する(2R,3S)-
4-アセトキシ-2,3- エポキシブタン-1- オールに加水分
解することが判明した。これらの菌株をKSR24株お
よびHIM42株とそれぞれ命名した。
【0038】HIM42株はグラム陰性で運動性の桿菌
であった。一方、KSR24株は、各種の生理学的試
験、並びに電子顕微鏡および光学顕微鏡による形態学的
特徴の分析の結果、グラム陰性で運動性のあるわずかに
湾曲した長桿菌で、極鞭毛を有し、且つ通性嫌気性菌で
あることが分かった。以上の特徴からKSR24株をビ
ブリオ属に属する細菌であると同定した(HIM42株
およびKSR24株は、上記の通り通商産業省工業技術
院生命工学工業技術研究所に国内寄託されている)。
【0039】実施例2 新規酵素の精製 HIM42株およびKSR24株の培養上清からの、1,
4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブタンを高い光学純
度で(2S,3R)-または(2R,3S)-4-アセトキシ-2,3- エポキ
シブタン-1- オールに加水分解する酵素の精製を試み
た。各菌株をL培地1.5Lを入れた5L容三角フラス
コ20本に接種して20時間培養した後、遠心分離して
培養上清を回収し、以下の精製工程に供した。なお、各
精製段階における酵素活性は、該酵素反応の結果生成す
る酢酸を酵素カップリング法(図2)を用いて定量する
ことによりモニターした。
【0040】(1)HIM42株からの精製 HIM42株の培養上清による1,4-ジアセトキシ-cis-
2,3- エポキシブタンの加水分解産物中で、(2R,3S)-4-
アセトキシ-2,3- エポキシブタン-1- オールの光学純度
は95%e.e.ときわめて高かったが、活性画分はタンパ
ク質が分解されやすいか、あるいは他の何らかの理由に
よりSDS−PAGEでスメアな泳動像を与えるのみ
で、所望の酵素を精製することはできなかった。但し、
該培養上清は酵素を単離精製しなくても十分に高い光学
選択的加水分解活性を示すので、1,4-ジアセトキシ-cis
-2,3- エポキシブタンから(2R,3S)-4-アセトキシ-2,3-
エポキシブタン-1- オールへの加水分解反応に直接利用
することができる。
【0041】(2)KSR24株からの精製 まず、KSR24株の培養上清を硫安分画し、50〜8
0%飽和硫安による沈殿画分を回収した。これを50m
M Tris−HCl緩衝液(pH7.5)に再溶解
し、Q−セファロースカラム(ファルマシア)によるイ
オン交換クロマトグラフィーを行った。次いでフェニル
トヨパールカラム(東ソー)による疎水性クロマトグラ
フィー、Mono−Qカラム(ファルマシア)によるイ
オン交換クロマトグラフィーおよびSuperdex2
00カラム(ファルマシア)によるゲル濾過クロマトグ
ラフィーを順次行った。Superdex200ゲル濾
過による推定分子量は約90kDであった。しかしなが
ら、最後のゲル濾過の後でもSDS−PAGEにより複
数のバンドが検出されたので、該ゲル濾過画分を濃縮し
て非変性PAGEにかけ、各バンドをゲルから抽出して
酵素活性を調べたところ、唯一のバンドに活性が検出さ
れた。該画分を再度SDS−PAGEにかけたところ、
分子量約40kDの位置に単一のバンドが検出された。
精製した酵素(以下、KSR24酵素と称する)を50
mMトリス−HCl(pH7.5)緩衝液に溶解し、1
00mMの基質1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブ
タンと30℃、1時間反応させ、生成物の比旋光度を上
記実施例1と同様の方法により測定した。その結果、K
SR24酵素による反応生物の比旋光度は[α]D +1
7.8°で、光学純度は94%e.e.と推定された。一
方、対照として用いたPPLによる反応生成物の比旋光
度は+15.6°で光学純度は82%e.e.であった。以
上の結果より、KSR24酵素はPPLよりもさらに高
い光学活性を有する(2S,3R)-4-アセトキシ-2,3- エポキ
シブタン-1- オールを生成させることが明らかとなっ
た。
【0042】実施例3 KSR24酵素の特性解析 (1)基質特異性:KSR24酵素およびPPLについ
て、p−ニトロフェニルパルミチン酸を基質とするリパ
ーゼ活性、およびTween20を基質とするエステラ
ーゼ活性を常法にしたがって測定したところ、PPLは
いずれについても活性を示したのに対し、KSR24酵
素はいずれの活性も示さず、PPLとは基質特異性が異
なることが分かった。 (2)至適pH:反応緩衝液のpHをpH5.5〜10
の範囲で変化させて、KSR24酵素の変換活性に及ぼ
すpHの影響を調べた結果、該酵素の活性至適pHはp
H約7〜8であることが分かった。 (3)阻害剤に対する感受性:1mMの濃度での各種阻
害剤の効果を調べた。結果を表1に示す。なお、上記の
特性解析において酵素活性は、図2の酵素カップリング
法を用いて、加水分解反応の結果生成する酢酸を定量す
ることにより行った。
【0043】
【表1】
【0044】実施例4 KSR24酵素遺伝子のクロー
ニング (1)部分アミノ酸配列の決定およびPCRプライマー
の作製 実施例2において得られた非変性ゲルから精製したKS
R24酵素標品を試料として、気相プロテインシークエ
ンサー(アプライドバイオシステムズ製)を用いてN末
端32残基のアミノ酸配列を決定した(配列表配列番号
3)。また、V8エンドペプチダーゼ(配列表配列番号
4)、Lys−Cエンドペプチダーゼ(配列表配列番号
5)およびAsp−Nエンドペプチダーゼ(配列表配列
番号6〜12)で部分分解して得られたペプチド断片の
アミノ酸配列を同様に決定した。この10個のペプチド
断片中の14種の部分アミノ酸配列(配列表配列番号1
3〜26)をもとにして、合計27種のオリゴプライマ
ーを合成した(N末端配列をもとにしてセンス鎖を、内
部アミノ酸配列についてはセンス鎖とアンチセンス鎖の
両方のプライマーを作製した)。
【0045】(2)PCR法によるKSR24酵素遺伝
子断片のクローニング 考えられるすべてのプライマーの組み合わせについてP
CRを実施した。その結果、異なるプライマーの組み合
わせで、0.4kbp,0.5kbpおよび0.6kb
pの3種のPCR産物が得られた。各PCR産物をプラ
スミドベクターにクローニングしてプライマー近傍の塩
基配列を決定した結果、0.5kbpのPCR産物の塩
基配列のみが部分アミノ酸配列と整合性を示した。
【0046】(3)コロニーハイブリダイゼーションに
よるKSR24酵素遺伝子全長を含むゲノミックDNA
のクローニングとシークエンシング KSR24株由来のゲノミックDNAを常法にしたがっ
て調製し、HindIII で消化した後0.5kbpのPCR
断片をプローブとしてサザンハイブリダイゼーションを
行ったところ、約4.4kbpの位置にバンドが検出さ
れた。これをもとにして、HindIII 消化したゲノミック
DNAをアガロースゲル電気泳動し、約4kbp付近の
DNA断片をゲルから抽出精製してpUC119のHind
III 制限部位にクローニングした。これで大腸菌(E. c
oli K12 株)を形質転換して部分的なゲノミックDNA
ライブラリーを作製した。該ライブラリーについて、上
記(2)で得られた0.5kbpのPCR断片をプロー
ブとしてコロニーハイブリダイゼーションを行ったとこ
ろ、約5000個のコロニーから13個のポジティブク
ローンが得られた。このうちの1個のクローンE.co
li/pKE1(該菌株の凍結乾燥サンプルは通商産業
省工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市
東1丁目1番3号)に1997年8月29日付で国内寄
託され、受託番号として生命研菌寄第16395号(F
ERM P−16395)を付されている)を選んで挿
入断片の制限酵素マッピングを行った。その結果を図3
に示す。該挿入断片は長さ4.4kbであり、該断片を
EcoRI 消化して得られる1.9kbのDNA断片もまた
0.5kbpプローブとハイブリダイズする。該1.9
kbEcoRI 断片の塩基配列をジデオキシターミネーショ
ン法により決定した(配列表配列番号2)。その結果、
該断片は954bpからなるオープンリーディングフレ
ーム(塩基番号307〜1260)を有し、318アミ
ノ酸をコードする。上記の10個の部分アミノ酸配列は
すべてこのORF上にあることが確認された。以上の結
果より、該DNAクローンをKSR24酵素をコードす
るDNAであると断定した。
【0047】KSR24酵素は細胞外酵素であるが、そ
のN末端部分アミノ酸配列は該ORFの5’末端塩基配
列から導かれるアミノ酸配列と一致したことから、分泌
タンパク質に一般に見られるN末端シグナル配列を有し
ないことが明らかとなった。また、ORFの5’上流域
にプロモーター様の配列およびSD配列が認められた。
また、エステラーゼとしての活性中心Serを含むコン
センサス配列であるといわれるGXSXG(Xは任意の
アミノ酸;配列表配列番号27)配列も該ORF上に見
出された。
【0048】実施例5 KSR24酵素の大腸菌での発
現 実施例4で得られたKSR24酵素遺伝子を含む4.4
kbゲノミックDNA断片を有する組換え大腸菌E.c
oli/pKE1の菌体抽出液をSDS−PAGEで分
析すると、宿主大腸菌の菌体抽出液には見られない推定
分子量約40kDの新しいタンパク質のバンドが出現し
た。さらに、該菌体抽出液を1,4-ジアセトキシ-cis-2,3
- エポキシブタンと反応させると、宿主大腸菌の示すバ
ックグランド値に対して約70倍の変換活性が測定され
た。したがって、目的のKSR24酵素遺伝子がクロー
ニングされていることが確認された。
【0049】
【発明の効果】本発明の新規酵素およびその生産菌は、
1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブタンを従来より
もさらに高い光学純度を有する4-アセトキシ-2,3- エポ
キシブタン-1- オール光学活性体に加水分解する作用を
有するので、昆虫の性フェロモンの合成において、該光
学活性体の光学純度をさらに高める工程を行うことな
く、あるいは該工程を非常に簡略化して次の反応工程に
供することができる。したがって、安価でより生物活性
の高い合成昆虫フェロモンの製造が可能となる。
【0050】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:318 配列の型:アミノ酸 配列の種類:タンパク質 配列: Met Lys Thr Arg Val Asn Pro Glu Leu Leu Gln Gly Leu Glu Met Phe 1 5 10 15 Pro Asp Leu Asp Leu Arg Pro Glu Asn Leu Gln Ala Ile Arg Glu Gly 20 25 30 Ile Ala Gln Met Arg Pro Pro Thr Val Val Asp Asp Ser Leu Ser Leu 35 40 45 Thr Asp Glu Val Ile Val Gly Pro Asp Ala Asn Ser Leu Pro Leu Arg 50 55 60 Ile Tyr Arg Pro Lys Ser Asn His Glu Ser Leu Pro Val Leu Leu Trp 65 70 75 80 Ile His Gly Gly Gly Tyr Ile Leu Gly Ser Ile Asp Asp Asn Asp Asp 85 90 95 Thr Cys Met Arg Phe Ala Lys Glu Ala Gly Cys Val Val Val Ser Val 100 105 110 Asp Tyr Arg Leu Ala Pro Glu His Pro Tyr Pro Ala Pro Ile Glu Asp 115 120 125 Cys Tyr Ser Ala Leu Lys Trp Ile Ala Asp Asn Ala Glu Ser Leu Asn 130 135 140 ILe Asp Ser Asn Arg Ile Gly Val Ala Gly Val Ser Ala Gly Gly Gly 145 150 155 160 Leu Thr Ala Ala Leu Ser Leu Leu Ala Arg Asp Arg Lys Tyr Pro Ser 165 170 175 Ile Cys Leu Gln Met Pro Leu Tyr Pro Met Ile Asp Asp Arg Asn Asn 180 185 190 Thr Pro Ser Ala Asn Glu Ile Lys Glu Gly Phe Val Trp Asn Gln Lys 195 200 205 Ala Asn Glu Ala Gly Trp Lys Met Tyr Leu Gly Glu Met Tyr Gly Ala 210 215 220 Asp His Ile Pro Ala Tyr Ala Ala Pro Ser Arg Ala Glu Asp Tyr Ser 225 230 235 240 Asp Leu Pro Tyr Thr Tyr Thr Phe Val Gly Gln Leu Asp Pro Phe Arg 245 250 255 Ser Glu Thr Leu Thr Tyr Val Ser Lys Leu Ala Gln Ala Gly Val Asp 260 265 270 Val Glu Phe His Leu Tyr Pro Asn Ser Tyr His Trp Phe Glu GLy Leu 275 280 285 Asn Pro Asn Ala Asp Val Ser Ile Tyr Ala Val Asn Glu Met Val Gln 290 295 300 Ala Val Arg Thr Gly Phe Lys Arg Val Ser Lys Val Glu Ala 305 310 315
【0051】配列番号:2 配列の長さ:1973 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:genomic DNA 配列の特徴 特徴を表す記号:CDS 存在位置:307..1263 特徴を決定した方法:E 特徴を表す記号:mat peptide 存在位置:307..1260 特徴を決定した方法:E 配列: ATTCAAATAG GTATCACTTG CAATATGTCA TTAAAATGTA TTTAAAATAA AAGGATTATC 60 ACTTGGTTTA ATTAGAAAAC TAAGTGTACA TAAATACAAC GACATGAAAA CACTTTGCTC 120 CTAGATCCAC TACTTGTATT ATTGGTTACT TGAAACTCCT TCTTGAGAAA GGTTTTAATT 180 TCCTAATATT CTGTTGACTG TTATCGCATA TCCAATTTAC AATTTAATTG TGATGTTCTT 240 TCACAATTAA ACTACTTAGA ACACACTTCA TTTTATTTGA AAACAATTAC AAATAGAGGT 300 GTTAAA ATG AAA ACA AGA GTA AAT CCA GAG TTA TTA CAA GGG TTA GAG 348 Met Lys Thr Arg Val Asn Pro Glu Leu Leu Gln Gly Leu Glu 1 5 10 ATG TTT CCA GAT CTC GAT TTA CGC CCG GAG AAC TTG CAA GCA ATC AGA 396 Met Phe Pro Asp Leu Asp Leu Arg Pro Glu Asn Leu Gln Ala Ile Arg 15 20 25 30 GAA GGA ATA GCT CAA ATG AGA CCA CCT ACC GTT GTT GAT GAC TCC CTT 444 Glu Gly Ile Ala Gln Met Arg Pro Pro Thr Val Val Asp Asp Ser Leu 35 40 45 TCG TTA ACA GAT GAA GTC ATT GTT GGA CCA GAT GCT AAT TCG TTA CCA 492 Ser Leu Thr Asp Glu Val Ile Val Gly Pro Asp Ala Asn Ser Leu Pro 50 55 60 TTA AGA ATT TAT CGC CCA AAA TCA AAT CAT GAA TCT TTA CCT GTC TTA 540 Leu Arg Ile Tyr Arg Pro Lys Ser Asn His Glu Ser Leu Pro Val Leu 65 70 75 TTA TGG ATA CAT GGT GGT GGT TAT ATC TTA GGG TCT ATA GAT GAT AAC 588 Leu Trp Ile His Gly Gly Gly Tyr Ile Leu Gly Ser Ile Asp Asp Asn 80 85 90 GAT GAT ACT TGT ATG AGG TTT GCA AAA GAA GCT GGC TGT GTG GTC GTA 636 Asp Asp Thr Cys Met Arg Phe Ala Lys Glu Ala Gly Cys Val Val Val 95 100 105 110 TCT GTA GAC TAC CGC TTA GCT CCT GAA CAT CCT TAC CCA GCA CCA ATT 684 Ser Val Asp Tyr Arg Leu Ala Pro Glu His Pro Tyr Pro Ala Pro Ile 115 120 125 GAA GAT TGT TAT TCA GCT TTA AAA TGG ATT GCT GAT AAT GCA GAG TCA 732 Glu Asp Cys Tyr Ser Ala Leu Lys Trp Ile Ala Asp Asn Ala Glu Ser 130 135 140 TTA AAC ATT GAT TCG AAT CGA ATT GGG GTT GCA GGA GTA AGC GCT GGA 780 Leu Asn ILe Asp Ser Asn Arg Ile Gly Val Ala Gly Val Ser Ala Gly 145 150 155 GGT GGA CTA ACA GCA GCA TTA TCA TTA TTA GCC CGA GAT CGA AAA TAT 828 Gly Gly Leu Thr Ala Ala Leu Ser Leu Leu Ala Arg Asp Arg Lys Tyr 160 165 170 CCT TCG ATT TGT TTA CAA ATG CCA CTC TAT CCA ATG ATT GAT GAT CGA 876 Pro Ser Ile Cys Leu Gln Met Pro Leu Tyr Pro Met Ile Asp Asp Arg 175 180 185 190 AAT AAT ACA CCT TCA GCC AAT GAA ATT AAA GAG GGA TTT GTT TGG AAT 924 Asn Asn Thr Pro Ser Ala Asn Glu Ile Lys Glu Gly Phe Val Trp Asn 195 200 205 CAG AAG GCA AAT GAA GCT GGT TGG AAA ATG TAT TTA GGA GAA ATG TAT 972 Gln Lys Ala Asn Glu Ala Gly Trp Lys Met Tyr Leu Gly Glu Met Tyr 210 215 220 GGA GCG GAT CAT ATC CCT GCC TAT GCA GCA CCT TCT CGA GCA GAG GAT 1020 Gly Ala Asp His Ile Pro Ala Tyr Ala Ala Pro Ser Arg Ala Glu Asp 225 230 235 TAT AGT GAT TTG CCA TAT ACT TAT ACA TTT GTT GGT CAA TTA GAT CCA 1068 Tyr Ser Asp Leu Pro Tyr Thr Tyr Thr Phe Val Gly Gln Leu Asp Pro 240 245 250 TTC CGT AGT GAA ACA TTG ACC TAT GTA AGC AAA CTA GCG CAA GCT GGT 1116 Phe Arg Ser Glu Thr Leu Thr Tyr Val Ser Lys Leu Ala Gln Ala Gly 255 260 265 270 GTT GAT GTC GAA TTT CAT TTA TAT CCA AAT TCT TAT CAC TGG TTT GAA 1164 Val Asp Val Glu Phe His Leu Tyr Pro Asn Ser Tyr His Trp Phe Glu 275 280 285 GGA TTA AAT CCA AAT GCC GAT GTA TCT ATT TAC GCT GTG AAC GAA ATG 1212 GLy Leu Asn Pro Asn Ala Asp Val Ser Ile Tyr Ala Val Asn Glu Met 290 295 300 GTA CAA GCA GTA AGG ACT GGT TTC AAA AGA GTA TCT AAG GTT GAG GCC 1260 Val Gln Ala Val Arg Thr Gly Phe Lys Arg Val Ser Lys Val Glu Ala 305 310 315 TAATCCCTTT ACAAGAAAAA CACTCCGTAA ATATAATAGC CGATTCTCAT TTAGAATCGG 1320 CTATTAATAT GTAAAATTCA CCTAATATAT CAAGGTTGAG AAACAGATAT AAGATGTTTA 1380 GGCGATGTGT TTATTTCCTC TGCCAACGCC TTAATGCTCA TCATGATTTG AAGTATTTCT 1440 TCTAATGTTG TCCTCGGGTG GATAGAGCAA AGTCGAACTA CTACTTTTTC TTTTAATATA 1500 GTCGTACTTA GCATAGCAAA TCCTCTTTGA TTAATTTCTT CCACCAGTTT TTTGTTTATT 1560 TCATGAATTG TTTCTGTAGA CGTTCGCTTA CAAGGAATAT AACGAAAAGT AACAATTCCT 1620 AATTGGGCAG GTGTTACTAC TTCCCAATCT TTTTCTTTCC TTAAAAACTC TTCAACTTGT 1680 TCAGCCAACA TAATACCATG ATCAATTGCC TCACGAAAAG CTGTGACTCC AAATGCTTTA 1740 AAAGAAAGCC ATACCTTTAA TGCCCTAAAT CTACGAGAAA GTTCAATTCC ACGCTCCCCA 1800 AAATTCACTT TTTCTTCTAT ATTAGTTTCC GTATCCTTAA TATACTCTGG GATCATACGG 1860 AACGTTTCAC TTAAATATTG GCTATTTCGA ATAAGTACAC AACCAACATC ATAAGGCTGA 1920 AAAAGCCAAT TTATGCGGGT CTAAATGTCC AAAGAAATCA GCACGATGAA TTC 1973
【0052】配列番号:3 配列の長さ:32 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド 配列: Met Lys Thr Arg Val Asn Pro Glu Leu Leu Gln Gly Leu Glu Met Phe 1 5 10 15 Pro Asp Leu Asp Leu Arg Pro Glu Asn Leu Gln Ala Ile Arg Glu Gly 20 25 30
【0053】配列番号:4 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0054】配列番号:5 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0055】配列番号:6 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0056】配列番号:7 配列の長さ:12 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0057】配列番号:8 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0058】配列番号:9 配列の長さ:10 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0059】配列番号:10 配列の長さ:12 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0060】配列番号:11 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド 配列: Asp Asp Arg Asn Asn Thr Pro Ser Ala Ala Glu Ile Ile Lys Lys 1 5 10
【0061】配列番号:12 配列の長さ:12 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0062】配列番号:13 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0063】配列番号:14 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0064】配列番号:15 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0065】配列番号:16 配列の長さ:5 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0066】配列番号:17 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0067】配列番号:18 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0068】配列番号:19 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0069】配列番号:20 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0070】配列番号:21 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0071】配列番号:22 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0072】配列番号:23 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0073】配列番号:24 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0074】配列番号:25 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0075】配列番号:26 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【0076】配列番号:27 配列の長さ:5 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド
【図面の簡単な説明】
【図1】cis-2-ブテン-1,4- ジオールを出発物質とし
て、disparlureやruby tiger蛾性フェロモンを合成する
反応スキームを示す図である。
【図2】酵素カップリングによる酢酸の定量法における
各酵素反応式を示す図である。3のマレートデヒドロゲ
ナーゼによる反応において生成するNADHの増加量を
指標として酢酸を定量する。
【図3】KSR24酵素遺伝子を含むKSR24の4.
4kbゲノミックDNA断片の制限酵素地図を示す図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C12N 1/20 C12R 1:63) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 9/16 C12R 1:19) (C12N 9/16 C12R 1:63) (72)発明者 李 康徳 大韓民国大田広域市儒城区松江洞チュンソ ルアパート513棟1109号 (72)発明者 佐野 元昭 東京都目黒区碑文谷4丁目16番7号

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブ
    タンを(2S,3R)-4-アセトキシ-2,3- エポキシブタン-1-
    オールに加水分解する反応を触媒し得、且つ下記の基質
    特異性を有するエステラーゼ。 (a)p-ニトロパルミチン酸を基質とするリパーゼ活性
    を有しない (b)Tween20を基質とするエステラーゼ活性を
    有しない
  2. 【請求項2】 さらに下記の理化学的性質を有する請求
    項1記載のエステラーゼ。 (a)分子量:約40kDa(SDS−PAGE) (b)局在性:細胞外酵素
  3. 【請求項3】 下記(a)または(b)のアミノ酸配列
    からなる請求項1または2に記載のエステラーゼ。 (a)配列表配列番号1に示されるアミノ酸配列 (b)(a)のアミノ酸配列において少なくとも1つの
    アミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
  4. 【請求項4】 ビブリオ属に属する細菌より精製される
    請求項1〜3のいずれかに記載のエステラーゼ。
  5. 【請求項5】 ビブリオ属に属する細菌がKSR24株
    (FERM P−16397)である請求項4記載のエ
    ステラーゼ。
  6. 【請求項6】 請求項1または2記載のエステラーゼを
    生産する細菌KSR24株(FERM P−1639
    7)細胞。
  7. 【請求項7】 1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブ
    タンを70%e.e.以上の光学純度を有する(2R,3S)-4-ア
    セトキシ-2,3- エポキシブタン-1- オールに加水分解す
    る反応を触媒し得るエステラーゼ。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のエステラーゼを生産する
    細菌HIM42株(FERM P−16396)細胞。
  9. 【請求項9】 請求項1〜5のいずれかに記載のエステ
    ラーゼをコードするDNA。
  10. 【請求項10】 下記(a)または(b)の塩基配列を
    有する請求項9記載のDNA。 (a)配列表配列番号2に示される塩基配列中塩基番号
    307〜1260で示される塩基配列 (b)(a)の塩基配列からなるDNAとストリンジェ
    ントな条件でハイブリダイズし得る塩基配列
  11. 【請求項11】 請求項9または10記載のDNAを含
    む組換えベクター。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の組換えベクターで形
    質転換された宿主細胞。
  13. 【請求項13】 請求項6または12記載の細胞を培養
    して、得られる培養物からエステラーゼを採取すること
    を含む請求項1〜5のいずれかに記載のエステラーゼの
    製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1〜5のいずれかに記載のエス
    テラーゼに1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブタン
    を接触させる工程を含む、(2S,3R)-4-アセトキシ-2,3-
    エポキシブタン-1- オールを製造する方法。
  15. 【請求項15】 請求項6または12記載の培養物に1,
    4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシブタンを接触させる
    工程を含む、(2S,3R)-4-アセトキシ-2,3- エポキシブタ
    ン-1- オールを製造する方法。
  16. 【請求項16】 請求項8記載の細胞を培養して得られ
    る培養物の培地に1,4-ジアセトキシ-cis-2,3- エポキシ
    ブタンを接触させる工程を含む、(2R,3S)-4-アセトキシ
    -2,3- エポキシブタン-1- オールを製造する方法。
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