JPH1174133A - 静止誘導機器の巻線 - Google Patents

静止誘導機器の巻線

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JPH1174133A
JPH1174133A JP9234951A JP23495197A JPH1174133A JP H1174133 A JPH1174133 A JP H1174133A JP 9234951 A JP9234951 A JP 9234951A JP 23495197 A JP23495197 A JP 23495197A JP H1174133 A JPH1174133 A JP H1174133A
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JP
Japan
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winding
conductor
wound
conductors
turns
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JP9234951A
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English (en)
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Kiyotaka Nakamura
清隆 中村
Takeshi Ito
武志 伊藤
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導体占積率および製造作業性に優れ、しか
も、導体の巻崩れが起り難い静止誘導機器の巻線を提供
すること。 【解決手段】 変圧器の一次巻線23は、断面略円形状
の導体25aを複数段および複数列に連続巻きしてなる
四角筒状の巻線部25と、巻線部25を覆う樹脂層26
とから構成されたものであり、導体25aは、巻進め・
巻戻し・段上り・段下がりを繰返すことに伴い、俵状に
積み上げられながら傾斜状に巻回されている。この構成
の場合、導体25aを同一段に複数列巻回した後に段上
り・段下りさせているので、段上り回数・段下り回数が
少なくなる。しかも、導体25aが段上り・段下がりす
る際の傾斜角度θが緩やかになるので、総じて、大・中
容量の変圧器であっても巻崩れが起り難くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、断面略円形状をな
す導体を複数段および複数列に連続巻きしてなる巻線部
を有する静止誘導機器の巻線に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ビルや地下街に設置される受配電
機器、とりわけ変圧器のような大形機器には、難燃性,
安全性,環境調和性等が要求され、巻線を難燃性エポキ
シ樹脂で注型したモールド変圧器等の需要が増えてい
る。また、地価が高い都市部のビルに設置されるモール
ド変圧器の場合、小形化・軽量化が最優先課題である。
このような背景のもと、モールド変圧器の小形化・軽量
化に大きく影響する一次巻線について、種々の構成が考
えられている。
【0003】図9の(a)は、モールド変圧器の一次巻
線1を示す外観図である。この一次巻線1は、(b)に
示すように、巻線部2と、巻線部2を覆うエポキシ樹脂
層3とを主体とするものであり、巻線部2は、円筒状を
なす複数の単位巻線部2aから構成され、単位巻線部2
a相互間にはエポキシ樹脂製のスペーサー4が介在され
ている。
【0004】各単位巻線部2aは、図9の(c)に矢印
で示すように、導体の矢印A方向への巻進め→矢印B方
向への段上り→反矢印A方向への巻戻しを繰返すことに
伴い、矩形状に巻装されたものであり、(b)の数字は
導体の巻回順序を示している。下記〜に一次巻線1
の製造方法を示す。
【0005】巻型5に複数の巻線ガイド6を装着した
後、導体を巻回することに伴い、複数の単位巻線部2a
を形成する。尚、巻型5には複数のガイド溝5aが形成
されており、1段目の導体はガイド溝5a内に挿入さ
れ、2段目以後の導体は、下段の導体相互間に落込まれ
る。 巻型5から複数の単位巻線部2aを取外し、単位巻線
部2a相互間にスペーサー4を介在する。 複数の単位巻線部2aおよびスペーサー4を注型用の
内型にセットする。そして、内型に上型,下型,外型を
組付けた後、エポキシ樹脂を注型してエポキシ樹脂層3
を形成する。
【0006】一次巻線1の場合、電圧によって決まる所
定回数(一般的には数百ターン)だけ導体が巻回され、
段数n(図ではn=5)および1段当りの列数m(図で
はm=6)等は、隣接する導体間に発生する電圧(導体
に施された絶縁の絶縁特性で制約を受ける),単位巻線
部2a間に発生する電圧(単位巻線部2a間に注型され
るエポキシ樹脂の絶縁特性で制約を受ける)によって決
められている。このため、電圧が高くなる程に巻線部2
が細分化され、単位巻線部2a,スペーサー4の数が増
えるので、エポキシ樹脂層3内での導体占積率が低下す
る。従って、一次巻線1が大形化し、一次巻線1の軽量
化が阻害される。これと共に、多数の巻線ガイド6を必
要とするので、巻線〜樹脂注型に至る工程が増え、加工
コストが高くなる。
【0007】図10の(a)は、米国特許530596
1号明細書に記載された一次巻線7を示す外観図であ
る。この一次巻線7は、(b)に示すように、円筒状を
なす巻線部8と、巻線部8を覆うエポキシ樹脂層9とを
主体とするものであり、巻線部8は、(c)に矢印で示
すように、導体を傾斜状に巻進め・巻戻しながら俵状に
連続巻きに巻装されている。尚、(b)の数字は、一次
巻線7の巻回順序を示している。
【0008】図11の(a)は、スイス特許第2540
93号明細書に記載された一次巻線10を示す外観図で
ある。この一次巻線10は、(b)に示すように、円筒
状をなす巻線部11と、巻線部8を覆うエポキシ樹脂層
12とを主体とするものであり、巻線部11は、(c)
に矢印で示すように、導体の矢印A方向への巻進め→矢
印B方向への段上り→反矢印A方向への巻戻し→矢印B
方向への段上り→矢印A方向への巻進めを行った後、導
体を傾斜状に巻進め・巻戻しながら俵状に連続巻きされ
ている。尚、(b)の数字は、一次巻線10の巻回順序
を示している。
【0009】一次巻線7および10の場合、導体の段数
nを適切に選べば、隣接する導体間のターン順序の差が
小さくなるので(一次巻線1の場合、ターン順序の差が
「2n+1=11」になっている)、隣接する導体間の
電位差を小さく抑えることができる。このため、巻線部
8および11を複数の単位巻線部に分割し、単位巻線部
相互間にスペーサーを介在する必要がなくなるので、エ
ポキシ樹脂層9および12内での導体占積率が向上す
る。従って、一次巻線7および10が小形化されると共
に、巻線ガイド6が不要になるので、巻線〜樹脂注型に
至る工程が低減される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、米国特
許5305961号明細書に記載された一次巻線7およ
びスイス特許第254093号明細書に記載された一次
巻線10の場合、導体の段上り・段下がりが多数回繰返
されるので、特に導体断面積(導体径)が比較的大きな
大・中容量の変圧器の場合、導体が巻回時に巻崩れ易く
なる。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、
その目的は、導体占積率および製造作業性に優れ、しか
も、導体の巻崩れが起り難い静止誘導機器の巻線を提供
することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の静止誘導
機器の巻線は、断面略円形状をなす導体を複数段および
複数列に連続巻きしてなる筒状の巻線部を備え、前記導
体が巻進め・段上り・巻戻し・段上りを最上段まで繰返
すことに伴い俵状に積み上げられた後に傾斜状に巻回さ
れているところに特徴を有している。
【0012】上記手段によれば、導体の巻進め・段上り
・巻戻し・段上りを最上段まで繰返すことに伴い導体が
俵状に積み上げられている。このため、巻崩れが最も起
り易い巻始め部分において、導体の段下がりがなくな
り、段換え回数が低減されるので、導体径が比較的大き
な大・中容量の静止誘導機器であっても導体が巻崩れ難
くなる。しかも、導体の径方向への重なりが低減され、
巻線部の巻膨れが小さくなるので、静止誘導機器が小形
化・軽量化される。また、導体を俵状に積み上げた後に
傾斜状に巻回しているので、隣接する導体間のターン順
序の差が比較的小さくなる。このため、巻線部を複数の
単位巻線部に分割し、単位巻線部相互間にスペーサーを
介在する必要がなくなるので、導体占積率が向上する。
これと共に、巻線部を巻回するにあたって、巻線ガイド
が不要になるので、製造作業性が向上する。
【0013】請求項2記載の静止誘導機器の巻線は、断
面略円形状をなす導体を複数段および複数列に連続巻き
してなる角筒状の巻線部を備え、前記導体が巻進め・巻
戻し・段上り・段下りを繰返すことに伴い俵状に積み上
げられながら傾斜状に巻回され、前記導体の段上り・段
下りが導体を同一段に複数列巻回した後に行われ、前記
導体の段上り部分・段下がり部分が前記巻線部の一面あ
るいは相対する2面のみに配置されているところに特徴
を有している。
【0014】上記手段によれば、導体を同一段に複数列
巻回した後に段上り・段下りさせているので、導体を所
定ターン数巻回するまでの段上り回数・段下り回数が少
なくなる。しかも、導体が段上り・段下がりする際の傾
斜角度が緩やかになるので、総じて、大・中容量の静止
誘導機器であっても巻崩れが起り難くなる。しかも、導
体を俵状に積み上げながら傾斜状に巻回しているので、
隣接する導体間のターン順序の差が比較的小さくなる。
このため、導体占積率が向上する上、製造作業性が向上
する。さらに、巻線部を角筒状に形成した上で、導体の
段上り・段下がりを巻線部の一面あるいは相対する2面
のみで行っている。このため、巻線部が一面あるいは相
対する2面のみで巻膨れするので、静止誘導機器の別の
幅寸法が小さくなり、静止誘導機器が小形化・軽量化さ
れる。
【0015】請求項3記載の静止誘導機器の巻線は、複
数本の導体を1組として巻線部が巻回されているところ
に特徴を有している。上記手段によれば、1本の導体か
ら巻線部を巻回する場合に比べ、直径寸法が小さい導体
を用いることができるので、巻崩れが一層起り難くな
る。しかも、導体が段上り・段下がりする際の傾斜角度
が緩やかになるので、この点からも巻崩れが一層起り難
くなる。
【0016】請求項4記載の静止誘導機器の巻線は、複
数本の導体が異段に跨がって巻回された部分を備えてい
るところに特徴を有している。上記手段によれば、複数
本の導体を1組として同一段に巻回する場合に比べ、巻
終り部分の傾斜角度が急になるので、導体占積率が向上
する。しかも、隣接する導体間の巻回順序の差が小さく
なるので、発生電圧が抑えられる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施例を図1
ないし図3に基づいて説明する。まず、図3において、
静止誘導機器に相当する変圧器21は、三相三脚形の鉄
心22に3個の一次巻線23および3個の二次巻線24
を装着してなるものであり、各一次巻線23は、図1に
示すように、導体25aを整列密着状に連続巻きしてな
る巻線部25と、巻線部25の内外周面および上下端面
を覆うエポキシ樹脂製の樹脂層26とから構成され、導
体25aは、直径寸法5mm以上の断面円形状をなし、
表面に所定の絶縁が施されている。
【0018】樹脂層26の短尺な一面には、図3に示す
ように、一次端子27および一次タップ端子(図示せ
ず)等が固定されている。これら一次端子27および一
次タップ端子は、樹脂層26の形成時に型内に収容され
ることに伴い、樹脂層26に一体化されたものであり、
巻線部25は、一次端子27および一次タップ端子(図
示せず)等に接続されている。
【0019】巻線部25は、導体25aを図1の数字の
順序で巻回してなるものであり、導体25aは、矢印A
方向への巻進め・反矢印A方向への巻戻し・矢印B方向
への段上り・反矢印B方向への段下りを繰返すことに伴
い、俵状に積み重ねられながら傾斜状に連続巻きされ、
導体25aの段上り・段下りは、図2の(a)に示すよ
うに、巻線部25のうち一次端子27等が配置された一
短辺でのみ行われている。以下、一次巻線23の製造手
順について説明する。
【0020】1.導体25aを内型28の外周面に巻付
け、図1の矢印A方向へ向って8列に巻回する(1ター
ン目〜8ターン目)。この内型28には、図2に示すよ
うに、軸方向へ延びる複数のスペーサー28aが設けら
れている。これら各スペーサー28aは、注型樹脂と同
一のエポキシ樹脂からなるものであり(但し、各スペー
サー28aは、注型後の耐クラック性を考慮してセミキ
ュア状態にある)、各スペーサー28aには、導体25
aの径寸法と同一ピッチで複数のガイド溝(図示せず)
が形成され、1段目の導体25aは、ガイド溝内に挿入
されながら内型28に巻付けられる。
【0021】2.導体25aを巻線部25の一短辺で2
段目に段上りさせ、5ターン目および6ターン目間に落
込み、反矢印A方向へ向って5列巻回する(9ターン目
〜13ターン目)。次に、巻線部25の一短辺で3段目
に段上りさせ、12ターン目および13ターン目間に落
込み、矢印A方向へ向って4列巻回する(14ターン目
〜17ターン目)。
【0022】3.導体25aを巻線部25の一短辺で2
段目に段下りさせ、6ターン目および7ターン目間に落
込み、矢印A方向へ向って2列巻回する(18ターン目
〜19ターン目)。次に、巻線部25の一短辺で1段目
に段下りさせ、複数のガイド溝内に挿入しながら、矢印
A方向へ向って4列巻回する(20ターン目〜23ター
ン目)。
【0023】4.導体25aを巻線部25の一短辺で2
段目に段上りさせ、20ターン目および21ターン目間
に落込み、反矢印A方向へ向って2列巻回する(24タ
ーン目〜25ターン目)。次に、巻線部25の一短辺で
3段目に段上りさせ、18ターン目および19ターン目
間に落込み、反矢印A方向へ向って2列巻回する(26
ターン目〜27ターン目)。
【0024】5.導体25aを巻線部25の一短辺で4
段目に段上りさせ、16ターン目および17ターン目間
に落込み、反矢印A方向へ向って3列巻回する(28タ
ーン目〜30ターン目)。次に、巻線部25の一短辺で
5段目に段上りさせ、29ターン目および30ターン目
間に落込み、矢印A方向へ向って2列巻回する(31タ
ーン目〜32ターン目)。
【0025】6.導体25aを巻線部25の一短辺で4
段目に段下りさせ、17ターン目および27ターン目間
に落込み、矢印A方向へ向って2列巻回する(33ター
ン目〜34ターン目)。次に、巻線部25の一短辺で3
段目に段下りさせ、19ターン目および25ターン目間
に落込み、矢印A方向へ向って2列巻回する(35ター
ン目〜36ターン目)。そして、巻線部25の一短辺で
2段目に段下りさせ、21ターン目および22ターン目
間に落込み、矢印A方向へ向って2列巻回する(37タ
ーン目〜38ターン目)。
【0026】7.導体25aを巻線部25の一短辺で1
段目に段下りさせ、複数のガイド溝内に挿入しながら矢
印A方向へ向って4列巻回する(39ターン目〜42タ
ーン目)。次に、巻線部25の一短辺で2段目に段上り
させ、39ターン目および40ターン目間に落込み、反
矢印A方向へ向って2列巻回する(43ターン目〜44
ターン目)。そして、巻線部25の一短辺で3段目に段
上りさせ、37ターン目および38ターン目間に落込
み、反矢印A方向へ向って2列巻回する(45ターン目
〜46ターン目)。
【0027】8.導体25aを巻線部25の一短辺で4
段目に段上りさせ、35ターン目および36ターン目間
に落込み、反矢印A方向へ向って2列巻回する(47タ
ーン目〜48ターン目)。次に、巻線部25の一短辺で
5段目に段上りさせ、33ターン目および34ターン目
間に落込み、反矢印A方向へ向って2列巻回する(49
ターン目〜50ターン目)。そして、巻線部25の一短
辺で49ターン目を乗越えて、矢印A方向へ向って同一
段に2列巻回した後(51ターン目〜52ターン目)、
巻進み・巻戻し・段上り・段下がりさせながら傾斜状に
巻回する。
【0028】9.導体25aを所定ターン数だけ傾斜状
に巻回したら、内型28に上型,下型,外型(いずれも
図示せず)を組付け、一次端子27および一次タップ端
子等を組込む。そして、エポキシ樹脂を注型して硬化さ
せることに伴い、樹脂層26を形成する。
【0029】上記実施例によれば、導体25aを同一段
に複数列巻回した後に導体25aの段上り・段下りを行
ったので、導体25aを所定ターン数巻回するまでの段
上り回数・段下り回数が少なくなる。しかも、導体25
aが段上り・段下がりする際の傾斜角度θ(図1参照)
が緩やかになるので、総じて、導体25aの直径寸法が
比較的大きな大・中容量の変圧器21であっても巻崩れ
が起り難くなる。
【0030】しかも、導体25aを俵状に積み上げなが
ら傾斜状に巻回したので(1ターン目〜)、隣接する導
体25a間のターン順序の差が比較的小さくなる。この
ため、巻線部25を複数の単位巻線部に分割し、単位巻
線部間にスペーサーを介在する必要がなくなるので、樹
脂層26内での導体25aの占積率が向上する。これと
共に、巻線部25を巻回するにあたって、巻線ガイドが
不要になるので、巻線〜樹脂注型に至る工程が低減さ
れ、製造作業性が向上する。
【0031】尚、隣接する導体25a間の発生電圧V
は、22ターン差分であり、下記(1)式で与えられ
る。 V=2×(2n+1)×(1ターン差当りの発生電圧ΔV) ……(1) このため、電圧ストレスが厳しくなるので、導体25a
に施された絶縁材の絶縁特性等を考慮したり、隣接する
導体25a間の一部絶縁補強をすることが好ましい。
【0032】ところで、米国特許5305961号明細
書に記載された円筒状の一次巻線7の場合、図12の
(a)に示すように、3ターン目から4ターン目の段上
り部13aは、2ターン目および3ターン目の上に乗っ
かり、4ターン目および5ターン目は、(b)に示すよ
うに、段上り部13aの上に巻回されている。従って、
導体が段上り・段下がりするにあたって、径方向に重な
るので、巻膨れが発生し、変圧器21の小形化・軽量化
に対して不利になる。このことは、スイス特許第254
093号明細書に記載された円筒状の一次巻線10も同
様である。
【0033】これに対して上記実施例では、巻線部25
を四角筒状に形成した上で、導体25aの段上り・段下
がりを巻線部25の一短辺のみで行った。このため、巻
線部25が一短辺のみで巻膨れし、図3に示すように、
変圧器21の幅寸法Wに影響を与える一般部は、段上り
・段下がりがなく、整列密着状に巻回され、厚さ寸法t
aが理想の低値に抑えられる。このため、変圧器21の
幅寸法W・鉄心22の質量が小さくなり、変圧器21が
小形化・軽量化される。
【0034】これと共に、導体25aの径寸法/巻線部
25の短辺寸法(段間渡りスパン)の比が大きい場合で
も、段渡りによる巻膨れが抑えられる。このため、導体
25aを崩れなく高速巻回できるので、導体25aの巻
回作業が容易になる。尚、巻線部25の短尺な一面は、
一次端子27および一次タップ端子の内部接続スペース
として、従来より厚さ寸法tbが他の部分の厚さ寸法t
aより大きく設定されている。しかも、鉄心22の窓部
22aの外側に位置しているので、巻線部25の短尺な
一面の巻膨れによる悪影響は殆ど無視できる。
【0035】また、ガイド溝を有するスペーサー28a
を注型用の内型28に配置し、内型28に導体25aを
直接巻回したので、内型28に外型・上型・下型を組付
けて注型できる。このため、巻型に導体25aを巻回す
る場合とは異なり、巻型から巻線部25を取外して内型
28に装着する手間がなくなるので、この点からも製造
作業性が向上する。
【0036】尚、上記第1実施例においては、断面円形
状の導体25aを用いたが、これに限定されるものでは
なく、例えば断面楕円形状の導体を用いても良く、要は
断面略円形状であれば良い。また、上記第1実施例にお
いては、導体25aの段上り・段下がりを巻線部25の
短尺な一面のみで行ったが、これに限定されるものでは
なく、例えば相対する短尺な2面のみで行っても良い。
【0037】次に本発明の第2実施例を図4に基づいて
説明する。尚、上記第1実施例と同一の部材については
同一の符号を付して説明を省略し、以下、異なる部材に
ついてのみ説明を行う。巻線部25は、導体25aを数
字の順序で連続巻きしてなるものであり、導体25a
は、矢印A方向への巻進め→矢印B方向への段上り→反
矢印A方向への巻戻し→矢印B方向への段上りを繰返し
ながら俵状に積み重ねられた後に傾斜状に巻回され、導
体25aの段上り・段下がりは、巻線部25の一短辺で
のみ行われている。下記1〜7に巻線部25の巻回手順
を示す。
【0038】1.導体25aを複数のガイド溝内に挿入
しながら、内型28の外周面に巻付け、矢印A方向へ向
って8列に巻回する(1ターン目〜8ターン目)。 2.導体25aを巻線部25の一短辺で2段目に段上り
させ、6ターン目および7ターン目間に落込み、反矢印
A方向へ向って6列巻回する(9ターン目〜14ターン
目)。次に、巻線部25の一短辺で3段目に段上りさ
せ、13ターン目および14ターン目間に落込み、矢印
A方向へ向って4列巻回する(15ターン目〜18ター
ン目)。
【0039】3.導体25aを巻線部25の一短辺で4
段目に段上りさせ、16ターン目および17ターン目間
に落込み、反矢印A方向へ向って2列巻回する(19タ
ーン目〜20ターン目)。次に、巻線部25の一短辺で
最上段(5段目)に段上りさせて、19ターン目および
20ターン目間に落込み、1列巻回する(21ターン
目)。
【0040】4.導体25aを巻線部25の一短辺で4
段目に段下がりさせ、17ターン目および18ターン目
間に落込み、1列巻回する(22ターン目)。次に、巻
線部25の一短辺で3段目に段下がりさせ、9ターン目
および10ターン目間に落込み、1列巻回する(23タ
ーン目)。
【0041】5.導体25aを巻線部25の一短辺で2
段目に段下がりさせ、7ターン目および8ターン目間に
落込み、1列巻回する(24ターン目)。次に、巻線部
25の一短辺で1段目に段下がりさせ、ガイド溝内に挿
入しながら2列巻回する(25ターン目〜26ターン
目)。
【0042】6.導体25aを巻線部25の一短辺で2
段目に段上りさせ、8ターン目および25ターン目間に
落込み、1列巻回する(27ターン目)。次に、巻線部
25の一短辺で3段目に段上りさせ、9ターン目および
24ターン目間に落込み、1列巻回する(28ターン
目)。
【0043】7.導体25aを巻線部25の一短辺で4
段目に段上りさせ、18ターン目および23ターン目間
に落込み、1列巻回する(29ターン目)。そして、巻
線部25の一短辺で最上段に段上りさせ、19ターン目
および22ターン目間に落込み、1列巻回した後(30
ターン目)、所定ターン数まで傾斜状に巻進め・巻戻
す。
【0044】巻線部25の1段目の巻回数mは、下記
(1)式で与えられる。 m≧2×段数n−2 ……(1) 例えば、段数n=5の場合の巻回数mは下記(1a)
式、段数n=6の場合の巻回数mは下記(1b)式の通
りである。 段数n=5の場合:m≧2×5−2=8 ……(1a) 段数n=6の場合:m≧2×6−2=10 ……(1b)
【0045】隣接する導体25a間の発生電圧Vは、段
数n=5の場合に19ターン差分となり、下記(2)式
で与えられる。 V={(n−1)(m−n)+(n−2)} ×(1ターン当りの発生電圧ΔV) ……(2) 従って、(1)式において、隣接する導体25a間の発
生電圧Vを考慮すれば、1段目の巻回数mは下記(1
c)式に基づいて設定することが最適である。 m=2×段数n−2 ……(1c)
【0046】上記実施例によれば、導体25aの巻進め
→段上り→巻戻し→段上り→巻進めを最上段まで繰返す
ことに伴い、導体25aを俵状に積み上げた(1ターン
目〜21ターン目)。このため、巻崩れが最も起り易い
巻始め部分において、導体25aの段下がりがなくな
り、段換え回数が低減されるので、導体25aの直径寸
法が比較的大きな大・中容量の変圧器21であっても巻
崩れが起り難くなる。
【0047】また、導体25aを俵状に積み上げた後に
傾斜状に巻回した(22ターン目〜)ので、隣接する導
体25a間のターン順序の差が比較的小さくなる。この
ため、巻線部25を単位巻線部に分割してスペーサーを
介在する必要がなくなるので、樹脂層26内での導体2
5aの占積率が向上する。これと共に、巻線部25を巻
回するにあたって、巻線ガイドが不要になるので、巻線
〜樹脂注型に至る工程が低減され、製造作業性が向上す
る。しかも、導体25aの径方向へ重なりが低減され、
巻線部25の巻膨れが小さくなるので、変圧器21の幅
寸法W(図3参照)・鉄心22の質量が小さくなり、変
圧器21が小形化・軽量化される。
【0048】また、巻線部25を四角筒状に形成した上
で、導体25aの段上り・段下がりを巻線部25の一短
辺のみで行ったので、巻線部25が一短辺のみで巻膨れ
する。このため、変圧器21の幅寸法W・鉄心22の質
量が一層小さくなるので、変圧器21が一層小形化・軽
量化される。これと共に、導体25aの径寸法/巻線部
25の短辺寸法(段間渡りスパン)の比が大きい場合で
も、段間渡りによる巻膨れが抑えられる。このため、導
体25aを崩れなく高速巻回できるので、導体25aの
巻回作業が容易になる。
【0049】次に本発明の第3実施例を図5に基づいて
説明する。尚、上記第1実施例と同一の部材については
同一の符号を付して説明を省略し、以下、異なる部材に
ついてのみ説明を行う。巻線部25は、導体25aを数
字の順序で連続巻きしてなるものであり、導体25a
は、矢印A方向への巻進め→矢印B方向への段上り→反
矢印A方向への巻戻し→矢印B方向への段上りを繰返し
ながら俵状に積み重ねられた後に傾斜状に巻回され、導
体25aの段上り・段下がりは、巻線部25の一短辺の
みで行われている。下記1〜8に巻線部25の巻回手順
を示す。
【0050】1.導体25aを複数のガイド溝内に挿入
しながら、内型28の外周面に巻付け、矢印A方向へ向
って11列巻回する(1ターン目〜11ターン目)。
2.導体25aを巻線部25の一短辺で2段目に段上り
させ、8ターン目および9ターン目間に落込み、反矢印
A方向へ向って8列巻回する(12ターン目〜19ター
ン目)。次に、巻線部25の一短辺で3段目に段上りさ
せ、18ターン目および19ターン目間に落込み、矢印
A方向へ向って5列巻回する(20ターン目〜24ター
ン目)。
【0051】3.導体25aを巻線部25の一短辺で4
段目に段上りさせ、21ターン目および22ターン目間
に落込み、反矢印A方向へ向って2列巻回する(25タ
ーン目〜26ターン目)。次に、巻線部25の一短辺で
最上段(5段目)に段上りさせて、25ターン目および
26ターン目間に落込み、1列巻回する(27ターン
目)。
【0052】4.導体25aを巻線部25の一短辺で4
段目に段下がりさせ、22ターン目および23ターン目
間に落込み、矢印A方向へ向って2列巻回する(28タ
ーン目〜29ターン目)。次に、巻線部25の一短辺で
3段目に段下がりさせ、13ターン目および14ターン
目間に落込み、矢印A方向へ向って2列巻回する(30
ターン目〜31ターン目)。
【0053】5.導体25aを巻線部25の一短辺で2
段目に段下がりさせ、9ターン目および10ターン目間
に落込み、矢印A方向へ向って2列巻回する(32ター
ン目〜33ターン目)。次に、巻線部25の一短辺で1
段目に段下がりさせ、ガイド溝内に挿入しながら、矢印
A方向へ向って4列巻回する(34ターン目〜37ター
ン目)。
【0054】6.導体25aを巻線部25の一短辺で2
段目に段上りさせ、34ターン目および35ターン目間
に落込み、反矢印A方向へ向って2列巻回する(38タ
ーン目〜39ターン目)。次に、巻線部25の一短辺で
3段目に段上りさせ、32ターン目および33ターン目
間に落込み、反矢印A方向へ向って2列巻回する(40
ターン目〜41ターン目)。
【0055】7.導体25aを巻線部25の一短辺で4
段目に段上りさせ、30ターン目および31ターン目間
に落込み、反矢印A方向へ向って2列巻回する(42タ
ーン目〜43ターン目)。次に、巻線部25の一短辺で
最上段に段上りさせ、28ターン目および29ターン目
間に落込み、反矢印A方向へ向って2列巻回する(44
ターン目〜45ターン目)。
【0056】8.導体25aを、巻線部25の一短辺で
44ターン目を乗越えて同一段の29ターン目および4
3ターン目間に落込み、反矢印A方向へ向って2列巻回
する(46ターン目〜47ターン目)。そして、4〜7
のようにして所定ターン数だけ傾斜状に巻回する。
【0057】上記実施例によれば、導体25aの巻進め
→段上り→巻戻し→段上り→巻進めを最上段まで繰返す
ことに伴い、導体25aを俵状に積み上げた(1ターン
目〜27ターン目)。このため、巻崩れが最も起り易い
巻始め部分において、導体25aの段換え回数が低減さ
れるので、大・中容量の変圧器21であっても巻崩れが
起り難くなる。
【0058】また、導体25aを俵状に積み上げた後に
傾斜状に巻回したので(28ターン目〜)、隣接する導
体25a間のターン順序の差が比較的小さくなる。この
ため、巻線部25を単位巻線部に分割してスペーサーを
介在する必要がなくなるので、樹脂層26内での導体2
5aの占積率が向上する。これと共に、巻線部25を巻
回するにあたって、巻線ガイドが不要になるので、巻線
〜樹脂注型に至る工程が低減され、製造作業性が向上す
る。しかも、巻線部25の巻膨れが小さくなるので、変
圧器21の幅寸法W・鉄心22の質量が小さくなる。さ
らに、巻線部25を四角筒状に形成した上で、導体25
aの段上り・段下がりを巻線部25の一短辺のみで行っ
た。このため、巻線部25が一短辺のみで巻膨れするの
で、変圧器21の幅寸法W・鉄心22の質量が一層小さ
くなる。
【0059】次に本発明の第4実施例を図6に基づいて
説明する。尚、上記第2実施例と同一の部材については
同一の符号を付して説明を省略し、以下、異なる部材に
ついてのみ説明を行う。巻線部25は、2本の導体25
aを1組として巻回されたものであり(一重丸は一方の
導体25a、二重丸は他方の導体25aを示してい
る)、1組の導体25aの巻回順序は、数字で示すよう
に、第2実施例と同一に設定されている。1組の導体2
5aの巻回手順の概略を下記1〜4に示す。
【0060】1.左側の導体25aを最上段に巻回した
後(一重丸の21ターン目)、巻線部25の一短辺で4
段目に段下がりさせ、一重丸で示す21ターン目を巻回
する。同時に、右側の導体25aを最上段に巻回した後
(二重丸の21ターン目)、巻線部25の一短辺で4段
目に段下がりさせ、二重丸で示す22ターン目を巻回す
る。 2.左側の導体25aおよび右側の導体25aを、1段
ずつ最下段まで段下がりさせながら1列ずつ巻回した後
(23ターン目〜25ターン目)、1段目に1列巻回す
る(26ターン目)。
【0061】3.左側の導体25aを2段目に段上りさ
せ、一重丸で示す27ターン目を巻回する。同時に、右
側の導体25aを2段目に段上りさせ、二重丸で示す2
7ターン目を巻回する。 4.左側の導体25aおよび右側の導体25aを、1段
ずつ最上段まで段上りさせながら1列ずつ巻回した後
(28ターン目〜30ターン目)、5段目に1列巻回す
る(31ターン目)。
【0062】上記実施例によれば、複数本の導体25a
を1組として巻線部25を巻回した。このため、1本の
導体25aから巻線部25を巻回する場合に比べ、直径
寸法が小さい導体25aを用いることができるので、巻
崩れが一層起り難くなる。しかも、1組の導体25aが
段上り・段下がりする際の傾斜角度θが緩やかになるの
で、この点からも巻崩れが一層起り難くなる。
【0063】尚、上記第3実施例においては、1段目の
巻回数を「8」に設定したが、これに限定されるもので
はなく、例えば「11」に設定しても良い。この理由
は、次の通りである。巻線部25の1段目の巻回数m
は、下記(1)式で与えられる。 m≧3×段数n−4 ……(1)
【0064】また、隣接する導体25a間の発生電圧V
は、段数n=5の場合に19ターン差となり、下記
(2)式で与えられる。 V={(n−1)(2m−3n)+4n+10}/2 ×(1ターン当りの発生電圧ΔV) ……(2) 従って、(1)式において、隣接する導体25a間の発
生電圧Vを考慮すれば、1段目の巻回数mは下記(3)
式に基づいて設定することが最適であり、段数nが
「5」の場合には、m=11になる。 m=3×段数−4 ……(3)
【0065】尚、上記第4実施例においては、2本以上
の導体25aを1組として巻回することに伴い、導体2
5aが最上段まで俵状に積み上げた後に傾斜巻きされた
巻線部25を形成したが、これに限定されるものではな
く、例えば第1実施例の巻線部25を形成するにあたっ
て、2本以上の導体25aを1組として巻回しても良
い。
【0066】次に本発明の第5実施例を図7に基づいて
説明する。尚、上記第2実施例と同一の部材については
同一の符号を付して説明を省略し、以下、異なる部材に
ついてのみ説明を行う。巻線部25は、2本の導体25
aを1組として巻回されたものであり(一重丸は一方の
導体25a、二重丸は他方の導体25aを示してい
る)、1組の導体25aの巻回順序は、数字で示すよう
に設定され、16ターン目,17ターン目等が異段に跨
がって巻回されている。1組の導体25aの巻回手順を
下記1〜7に示す。
【0067】1.1組の導体25aを内型28の外周面
に巻付け、矢印A方向へ向って4列に巻回する(1ター
ン目〜4ターン目)。次に、巻線部25の一短辺で2段
目に段上りさせ、反矢印A方向へ向って3列巻回する
(5ターン目〜7ターン目)。 2.1組の導体25aを巻線部25の一短辺で3段目に
段上りさせ、矢印A方向へ向って2列巻回する(8ター
ン目〜9ターン目)。次に、巻線部25の一短辺で4段
目に段上りさせ、1列巻回する(10ターン目)。
【0068】3.左側の導体25aを最上段の5段目に
一列巻回する(一重丸で示す11ターン目)。また、右
側の導体25aを4段目に段下がりさせ、4段目に一列
巻回する(二重丸で示す11ターン目)。 4.左側の導体25aを3段目に段下がりさせ、一列巻
回する(一重丸で示す12ターン目)。また、右側の導
体25aを2段目に段下がりさせ、一列巻回する(二重
丸で示す12ターン目)。
【0069】5.左側の導体25aを1段目に段下がり
させ、一列巻回する(一重丸で示す13ターン目)。ま
た、右側の導体25aを1段目に段下がりさせ、一列巻
回する(二重丸で示す13ターン目)。 6.左側の導体25aを3段目に段上りさせ、一列巻回
する(一重丸で示す14ターン目)。また、右側の導体
25aを2段目に段上りさせ、一列巻回する(二重丸で
示す14ターン目)。 7.左側の導体25aを最上段に段上りさせ、一列巻回
する(一重丸で示す15ターン目)。また、右側の導体
25aを4段目に段上りさせ、一列巻回する(二重丸で
示す15ターン目)。
【0070】巻線部25の1段目の巻回数mは、下記
(1)式で与えられる。 m≧段数n−1 ……(1) 隣接する導体25a間の発生電圧Vは、段数が奇数のn
=5の場合、10ターン差となり、下記(2)式で与え
られる。 V={(n−1)(2m−n)+n+3)}/2 ×(1ターン当りの発生電圧ΔV) ……(2) 従って、(1)式において、隣接する導体25a間の発
生電圧Vを考慮すれば、1段目の巻回数mは下記(3)
式に基づいて設定することが最適である。 m=段数n−1 ……(3)
【0071】上記実施例によれば、2本の導体25aを
異段に跨がって巻回した。このため、1本の導体25a
から巻線部25を巻回する場合に比べ、直径寸法が小さ
い導体25aを用いることができるので、巻崩れが一層
起り難くなる。しかも、2本の導体25aを同一段に巻
回した図6の巻線部25に比べ、巻終り傾斜角度が急に
なるので、樹脂層26内での導体25aの占積率が向上
する。これと共に、隣接する導体25a間のターン順序
の差が小さくなるので、発生電圧Vが抑えられる利点が
ある。
【0072】次に本発明の第6実施例を図8に基づいて
説明する。尚、上記第2実施例と同一の部材については
同一の符号を付して説明を省略し、以下、異なる部材に
ついてのみ説明を行う。巻線部25は、2本の導体25
aを1組として巻回されたものであり(一重丸は一方の
導体25a、二重丸は他方の導体25aを示してい
る)、1組の導体25aの巻回順序は、数字で示すよう
に設定され、16ターン目以後が異段に跨がって巻回さ
れている。1組の導体25aの巻回手順を下記1〜7に
示す。
【0073】1.1組の導体25aを内型28の外周面
に巻付け、矢印A方向へ向って5列に巻回する(1ター
ン目〜5ターン目)。次に、巻線部25の一短辺で2段
目に段上りさせ、反矢印A方向へ向って4列巻回する
(6ターン目〜9ターン目)。 2.1組の導体25aを巻線部25の一短辺で3段目に
段上りさせ、矢印A方向へ向って3列巻回する(10タ
ーン目〜12ターン目)。次に、巻線部25の一短辺で
4段目に段上りさせ、2列巻回した後(13ターン目〜
14ターン目)、巻線部25の一短辺で5段目に段上り
させ、1列巻回する(15ターン目)。
【0074】3.左側の導体25aを最上段に一列巻回
する(一重丸で示す16ターン目)。また、右側の導体
25aを5段目に段下がりさせ、一列巻回する(二重丸
で示す16ターン目)。
【0075】4.左側の導体25aを4段目,2段目に
順次段下がりさせ、一列ずつ巻回する(一重丸で示す1
7ターン目〜18ターン目)。また、右側の導体25a
を3段目,1段目に順次段下がりさせ、一列ずつ巻回す
る(二重丸で示す17ターン目〜18ターン目)。
【0076】5.左側の導体25aを同一段である2段
目に1列巻回し(一重丸で示す19ターン目)、右側の
導体25aを同一段である1段目に1列巻回(二重丸で
示す19ターン目)。
【0077】6.左側の導体25aを4段目,6段目に
順次段上りさせ、一列ずつ巻回する(一重丸で示す20
ターン目〜21ターン目)。また、右側の導体25aを
3段目,5段目に順次段上りさせ、一列ずつ巻回する
(二重丸で示す20ターン目〜21ターン目)。
【0078】7.左側の導体25aを同一段である6段
目に1列巻回し(一重丸で示す22ターン目)、右側の
導体25aを同一段である5段目に1列巻回(二重丸で
示す22ターン目)。
【0079】巻線部25の1段目の巻回数mは、下記
(1)式で与えられる。 m≧段数n−1 ……(1) 隣接する導体25a間の発生電圧Vは、段数が偶数のn
=6の場合、14ターン差となり、下記(2)式で与え
られる。 V={(n−1)(2m−n)+n+2)}/2 ×(1ターン当りの発生電圧ΔV) ……(2) 従って、(1)式において、隣接する導体25a間の発
生電圧Vを考慮すれば、1段目の巻回数mは、下記
(3)式に基づいて設定することが最適である。 m=段数n−1 ……(3)
【0080】上記実施例によれば、2本の導体25aを
異段に跨がって巻回した。このため、1本の導体25a
から巻線部25を巻回する場合に比べ、直径寸法が小さ
い導体25aを用いることができるので、巻崩れが一層
起り難くなる。しかも、2本の導体25aを同一段に巻
回した図6の巻線部25に比べ、巻終り傾斜角度が大き
くなるので、樹脂層26内での導体25aの占積率が向
上する。これと共に、隣接する導体25a間の巻回順序
の差が小さくなるので、発生電圧Vが抑えられる利点が
ある。
【0081】尚、上記第5〜第6実施例においては、2
本以上の導体25aを異段に跨がるように巻回すること
に伴い、導体25aが最上段まで俵状に積み上げた後に
傾斜巻きされた巻線部25を形成したが、これに限定さ
れるものではなく、例えば第1実施例の巻線部25を形
成するにあたって、2本以上の導体25aを1組として
異段に跨がるように巻回しても良い。
【0082】また、上記第4〜第6実施例においては、
2本の導体25aを1組として巻線部25を巻回した
が、これに限定されるものではなく、例えば3本以上の
導体25aを1組として巻線部25を巻回しても良い。
特に第5および第6実施例において、3本の導体25a
を1組とする場合、3本の導体25aを各々異段に配置
したり、1本の導体25aと2本の導体25aとを異段
に配置しても良い。
【0083】また、上記第2〜第6実施例においては、
巻線部25を四角筒状に巻回したが、これに限定される
ものではなく、例えば、円筒状に巻回したり、三角筒状
に巻回したり、5以上の多角筒状に巻回しても良い。ま
た、上記第2〜第6実施例においては、導体25の段上
り部分・段下がり部分を巻線部25の短尺な一面に配置
したが、これに限定されるものではなく、例えば、相対
する短尺な2面,長尺な一面,相対する長尺な2面のみ
で行ったり、3面以上に配置しても良い。
【0084】また、上記第1〜第6実施例においては、
巻線部25を樹脂層26でモールドしたが、これに限定
されるものではなく、例えば樹脂層26を廃止しても良
い。また、上記第1〜第5実施例においては、導体25
aを5段に巻回し、第6実施例においては、6段に巻回
したが、これに限定されるものではなく、要は2段以上
であれば良い。
【0085】また、上記第1〜第6実施例においては、
本発明を変圧器21の一次巻線23に適用したが、これ
に限定されるものではなく、例えば二次巻線24に適用
したり、リアクトルの巻線に適用しても良い。
【0086】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の静止誘導機器の巻線は次の効果を奏する。請求項1記
載の手段によれば、導体の巻進め・段上り・巻戻し・段
上りを最上段まで繰返すことに伴い導体を俵状に積み上
げた。このため、巻崩れが最も起り易い巻始め部分にお
いて、導体の段換え回数が低減されるので、導体径が比
較的大きな大・中容量の静止誘導機器であっても導体が
巻崩れ難くなる。しかも、巻線部の巻膨れが小さくなる
ので、静止誘導機器が小形化・軽量化される。また、導
体を俵状に積み上げた後に傾斜状に巻回したので、隣接
する導体間のターン順序の差が比較的小さくなる。この
ため、導体占積率が向上する上、製造作業性が向上す
る。
【0087】請求項2記載の手段によれば、導体を同一
段に複数列巻回した後に段上り・段下りさせたので、導
体を所定ターン数巻回するまでの段上り回数・段下がり
回数が少なくなる。しかも、導体が段上り・段下がりす
る際の傾斜角度が緩やかになるので、総じて、大・中容
量の静止誘導機器であっても巻崩れが起り難くなる。ま
た、導体を俵状に積み上げながら傾斜状に巻回したの
で、隣接する導体間のターン順序の差が比較的小さくな
る。このため、導体占積率が向上する上、製造作業性が
向上する。また、巻線部を角筒状に形成した上で、導体
の段上り・段下がりを巻線部の一面のみで行った。この
ため、巻線部の一面を含まない静止誘導機器の幅寸法が
小さくなり、静止誘導機器が小形化・軽量化される。
【0088】請求項3記載の手段によれば、複数本の導
体を1組として巻線部を巻回した。このため、直径寸法
が小さい導体を用いることができるので、巻崩れが一層
起り難くなる。しかも、導体が段上り・段下がりする際
の傾斜角度が緩やかになるので、この点からも巻崩れが
一層起り難くなる。請求項4記載の手段によれば、複数
本の導体を異段に跨がって巻回した。このため、巻終り
部分の傾斜角度が急になるので、導体占積率が向上す
る。しかも、隣接する導体間の巻回順序の差が小さくな
るので、発生電圧が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す図(一次巻線を示す
断面図)
【図2】aは内型に導体が1段巻回された状態を示す
図、bは内型に導体が複数段巻回された状態を示す図
(巻線部を矢印X方向から示す図)
【図3】変圧器を示す平面図
【図4】本発明の第2実施例を示す図1相当図
【図5】本発明の第3実施例を示す図1相当図
【図6】本発明の第4実施例を示す図1相当図
【図7】本発明の第5実施例を示す図1相当図
【図8】本発明の第6実施例を示す図1相当図
【図9】従来例を示す図(aは一次巻線の外観を示す斜
視図、bは斜線部分を示す断面図、cは導体の巻回手順
を示す断面図)
【図10】別の従来例を示す図9相当図
【図11】別の従来例を示す図9相当図
【図12】導体の乗上げ状態を示す斜視図
【符号の説明】
21は変圧器(静止誘導機器)、23は一次巻線(巻
線)、25は巻線部、25aは導体を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面略円形状をなす導体を複数段および
    複数列に連続巻きしてなる筒状の巻線部を備え、 前記導体は、巻進め・段上り・巻戻し・段上りを最上段
    まで繰返すことに伴い俵状に積み上げられた後に傾斜状
    に巻回されていることを特徴とする静止誘導機器の巻
    線。
  2. 【請求項2】 断面略円形状をなす導体を複数段および
    複数列に連続巻きしてなる角筒状の巻線部を備え、 前記導体は、巻進め・巻戻し・段上り・段下りを繰返す
    ことに伴い俵状に積み上げられながら傾斜状に巻回さ
    れ、 前記導体の段上り・段下りは、導体を同一段に複数列巻
    回した後に行われ、 前記導体の段上り部分・段下がり部分は、前記巻線部の
    一面あるいは相対する2面のみに配置されていることを
    特徴とする静止誘導機器の巻線。
  3. 【請求項3】 巻線部は、複数本の導体を1組として巻
    回されていることを特徴とする請求項1または2記載の
    静止誘導機器の巻線。
  4. 【請求項4】 複数本の導体は、異段に跨がって巻回さ
    れた部分を備えていることを特徴とする請求項3記載の
    静止誘導機器の巻線。
JP9234951A 1997-08-29 1997-08-29 静止誘導機器の巻線 Pending JPH1174133A (ja)

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