JPH1173985A - 鉛蓄電池 - Google Patents

鉛蓄電池

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JPH1173985A
JPH1173985A JP9232071A JP23207197A JPH1173985A JP H1173985 A JPH1173985 A JP H1173985A JP 9232071 A JP9232071 A JP 9232071A JP 23207197 A JP23207197 A JP 23207197A JP H1173985 A JPH1173985 A JP H1173985A
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章二 堀江
Wakichi Yonezu
和吉 米津
Hiroshi Yasuda
博 安田
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    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 極板上部に電解液が十分に供給されないた
め、均一に放電反応がなされず、高率放電性能および過
放電放置後の容量回復性が十分に発揮されないことがあ
った。 【解決手段】 極板群下部を電解液に浸漬すると共に、
パルプ繊維を主体とするペースト紙が表面に付与された
極板を用いることにより、高率放電性能および過放電放
置に優れた密閉形鉛蓄電池が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は密閉形鉛蓄電池に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】電解液のほとんどを正負極両極板および
主にガラス繊維からなるマット状のセパレータに含浸さ
せた、負極吸収式の密閉形鉛蓄電池は、自己放電が少な
く、保守性に優れているなどの特徴を有し、様々な用途
に用いられている。近年では、比較的大型である自動車
用電池にも密閉形鉛蓄電池が用いられはじめており、こ
の自動車用電池では特に低温での高率放電性能の要求が
大きい。
【0003】しかしながら、密閉形鉛蓄電池の場合、自
動車用電池のような大型にすると、極板群上部では電解
液が十分含浸されないため、抵抗が高くなり、低温にお
ける高率放電性能が劣るという課題がある。これを解決
するため、従来、特開昭62−122076公報に示さ
れるように、活物質よりも保液能力の小さな親水性多孔
セパレータを正負極板に密着させた極板群下部を電解液
に浸漬するとともに上下方向に活物質が連続する構造の
極板を用いるなどの手段が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この構成の電池の場
合、セパレータの保液能力が小さいために高率放電の際
に必要な電解液中の硫酸がセパレータから極板に供給さ
れにくいという問題があった。また、主にガラス繊維か
らなるマット状のセパレータを用いた場合には、上述し
たとおり極板群上部と下部との電解液保持量が違うた
め、抵抗が高くなってしまっていた。
【0005】本発明は上記課題を解決するもので、低温
での高率放電性能とともに過放電放置後の回復性に優れ
た密閉形鉛蓄電池を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、パルプ繊維を主体とするペースト紙が表面
に付与された極板を用いて極板群を構成し、この極板群
下部を電解液に浸漬する構成である。
【0007】本発明の密閉形鉛蓄電池は、パルプ繊維を
主体とするペースト紙が表面に付与された極板を正極板
または負極板に用い、これらに主としてガラス繊維から
なるマット状のセパレータを密着させた極板群の下部を
電解液に浸漬した構成である。ペースト紙を構成するパ
ルプ繊維は、電解液の希硫酸の存在により糊状に変化す
ることで保液性が高く、極板とセパレータの間にペース
ト紙が密着するように介在するため、セパレータから極
板への電解液の供給を向上できる。
【0008】一般に、ペースト紙は主成分としてパルプ
繊維を分散させた混合液から円筒状の網により抄いてシ
ート状にして引き上げた後、成形乾燥するという製造法
により得ている。本発明におけるペースト紙の役割は極
板とセパレータの間の濡れ性を確保する点にあるが、ペ
ースト紙自体は電気抵抗となるために厚いものであると
高率放電性能が低下することから、その効果を得るため
には実際の厚みには0.1mm以下が用いられている。
【0009】
【発明の実施の形態】図1に本発明の実施例による負極
吸収式の密閉形鉛蓄電池の断面を示す。これにはエキス
パンド方式の正極板1、負極板2を用いており、その寸
法は幅137mm,高さ114.5mmである。エキス
パンド極板の表裏両面には付与されたペースト紙3が貼
り付けられており、構成する平均繊維の長さは約10m
m、高率放電特性に影響しないように厚みは約0.05
mm、目付は15g/mm2 を用いた。マット状セパレ
ータ4は主としてガラス繊維4から構成されている。こ
れらの極板とセパレーターが交互に複数重ね合わせ密着
させ 正極板5枚と負極板6枚の極板群を成し、電槽5
に収納された状態で、極板群下部の30mmが希硫酸で
ある電解液6に浸漬されている。極板群は電槽リブ7に
より圧力が加えられており、電槽5の上部には蓋8が溶
着され、その中央部には排気筒9が存在し、その先端に
はキャップ状ゴム弁からなるの安全弁10が装着されて
いる。
【0010】
【実施例】上記のような構成した本実施例の12V48
Ahの密閉形鉛蓄電池Aを作成した。さらに、電池Aの
構成からペースト紙を取り除き極板群下部が浸漬された
同様の密閉形鉛蓄電池B、電池Aの構成から極板群下部
を浸漬している流動可能な電解液が存在しない電池C、
ならびに電池Aの構成からペースト紙および極板群下部
30mmを浸漬している流動可能な電解液を取り除いた
電池Dを作成した。電池Aは本発明の一実施例であり、
電池B、CおよびDは従来例である。
【0011】前記の4種の電池について、各々JISD
5301の高率放電特性(−15℃での300A放電)
ならびに過放電放置後の回復性を調査した結果を(表
1)に示す。
【0012】
【表1】
【0013】高率放電特性については、電池Dの構成に
対して極板群下部を電解液に浸漬した電池Bは、電池D
に比べて持続時間で10%優れており、電池Dの構成に
対してペースト紙が付与された電池Cは、電池Dに比べ
て持続時間で7%の向上が認められた。ところが、電池
Bと電池Cを組み合わせた構成の本発明の一実施例であ
る電池Aは、電池Dに比べて持続時間で25%向上する
ことが判明し、個々の構成による効果を加えた特性より
も優れた特性を有していた。これは、本実施例の電池A
は、極板群下部が電解液に浸漬していることで極板群上
部も電解液が十分確保されていると共に、ペースト紙の
介在による電解液の吸い上げおよび極板とセパレータの
間の濡れ性が確保されているため、セパレータから極板
への硫酸の供給が容易であることから、活物質の利用率
が向上し、優れた高率放電性能が得られたものである。
【0014】一方の過放電放置後の回復性は、過放電放
置前の放電容量に対するその後の放電容量の比率を見た
ものである。一般に、鉛蓄電池では過放電放置によって
放電特性が低下する性質があり、この原因として、電解
液中の硫酸が消費されて正極の格子体近傍の電解液がア
ルカリ領域になるため、格子と活物質の界面に電気抵抗
の高い腐食層が生成するためである。表1に示すよう
に、本発明の一実施例である電池Aは、従来例の電池
B、CおよびDに比べて過放電後における優れた回復性
を有していた。これは、電池Aは、上述したようにセパ
レータから極板への硫酸の供給が容易であることから、
正極の格子体近傍の電解液がアルカリ性になりにくいた
めであると考えられる。
【0015】さらに、本発明の構成においては、マット
状のセパレータの保液能力に応じて電池の放電性能およ
び酸素ガス吸収能力等が変化するが、保液能力が小さい
セパレータを用いても本発明による効果は同様に認めら
れた。従って、本発明によれば、使用中の減液を抑える
メンテナンスフリー性を有したガス吸収能力を維持しつ
つ、高率放電性能を向上させることが可能である。
【0016】なお、上記の実施例では、ペースト紙が付
与された極板を正負両極に用いたが、いずれか一方の極
板に用いても本発明による効果は同様である。
【0017】また、一般に、鉛蓄電池に用いられるエキ
スパンド極板は、その製造時に鉛または鉛合金シートを
エキスパンド加工して網目状とした格子体にペースト状
活物質を充填する際に極板の表裏両面にペースト紙が付
与される。上記の実施例ではこのエキスパンド極板を用
いたが、鋳造式の格子体に活物質を充填した極板を用い
ても、極板の表裏両面にペースト紙を付与することで本
発明を具現でき、同様の効果が得られるものである。
【0018】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、自動車用
電池のような大型の密閉形鉛蓄電池であっても、極板群
上部における電解液不足に伴う高抵抗化を解消し、高率
放電性能および過放電放置後の回復性に優れた密閉形鉛
蓄電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による負極吸収式の密閉形鉛蓄電池の断
面図
【符号の説明】
1 正極板 2 負極板 3 ペースト紙 4 マット状セパレータ 5 電槽 6 電解液 7 リブ 8 蓋 9 排気筒 10 安全弁

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】正極板、負極板および保液能力を備えたセ
    パレータからなる極板群の下部が電解液に浸漬されてい
    る構成であって、極板の表面にはパルプ繊維を主体とす
    るペースト紙を備えたことを特徴とした密閉形鉛蓄電
    池。
  2. 【請求項2】ペースト紙を表面に備えた極板が正極及び
    負極に用いられている請求項1に記載の密閉形鉛蓄電
    池。
  3. 【請求項3】極板に用いる格子体は、エキスパンド格子
    である請求項1または2に記載の密閉形鉛蓄電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002260717A (ja) * 2001-03-01 2002-09-13 Matsushita Electric Ind Co Ltd 制御弁式鉛蓄電池
JP2012209252A (ja) * 2011-03-16 2012-10-25 Gs Yuasa Corp 蓄電素子

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JP2002260717A (ja) * 2001-03-01 2002-09-13 Matsushita Electric Ind Co Ltd 制御弁式鉛蓄電池
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