JPH1170334A - 触媒組成物とそれを用いた芳香族炭化水素の転化方法 - Google Patents

触媒組成物とそれを用いた芳香族炭化水素の転化方法

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JPH1170334A
JPH1170334A JP10199717A JP19971798A JPH1170334A JP H1170334 A JPH1170334 A JP H1170334A JP 10199717 A JP10199717 A JP 10199717A JP 19971798 A JP19971798 A JP 19971798A JP H1170334 A JPH1170334 A JP H1170334A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 芳香族炭化水素含有原料中の芳香族炭化水素
を効率よく転化できる触媒とそれを用いた芳香族転化方
法を提供する。 【解決手段】 触媒成型体中のゼオライトの二次粒子径
が10ミクロン以下であることを特徴とする芳香族炭化
水素の転化反応用触媒組成物、及びその触媒と芳香族炭
化水素含有原料を接触させて、芳香族化合物を効率よく
転化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は芳香族炭化水素の転
化反応用触媒組成物とそれを用いた芳香族炭化水素の転
化方法に関する。特に、C9アルキル芳香族炭化水素を
含む芳香族炭化水素含有原料から、不均化、トランスア
ルキル化、脱アルキル化反応の少なくとも1つの反応に
より、キシレン、トルエンなどの芳香族化合物を製造す
る芳香族化合物の転化反応用触媒組成物とそれを用いた
芳香族化合物の転化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】トルエンの不均化によるベンゼン及びキ
シレンの製造、トルエンとトリメチルベンゼンのトラン
スアルキル化によるキシレンの製造などの芳香族炭化水
素の不均化及び/またはトランスアルキル化反応は工業
的に重要な反応であり、従来数多くの触媒系が提案され
ている。その中で近年、フォージャサイト、モルデナイ
トのような結晶性アルミノシリケートゼオライトが有効
な触媒であることが見いだされたが、特にモルデナイト
が、高い芳香族炭化水素の不均化及び/またはトランス
アルキル化活性を有する。
【0003】しかしながら、モルデナイト単独では活
性、触媒寿命共に十分ではなく、活性の向上及び触媒寿
命を改善するためにモルデナイトにクロム、モリブデン
及びタングステンのようなVIB族金属、鉄、コバル
ト、ニッケル及び白金族金属のようなVIII族金属な
どを組み合わせることが米国特許第3729521号に
開示されている。さらに、特公昭62−45849号公
報には実質的にモルデナイト成分とレニウム成分のみか
らなる触媒が開示されている。しかし、これらの触媒で
は芳香族炭化水素原料からキシレンを製造する不均化及
び/またはトランスアルキル化反応では十分な触媒性能
を示さない。
【0004】また、J.Das等はCatalysis
Letters 23巻(1994)161〜168
ページの中でベータ型ゼオライトによるC9 アルキル芳
香族炭化水素を含む原料のトランスアルキル化反応を報
告しているが、生成するキシレンの収量が大きいとは言
えず、特にエチルトルエンを含むC9 アルキル芳香族炭
化水素から効率的にキシレンを製造する方法については
効果的な方法がないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】芳香族炭化水素の転化
触媒、具体的にはC9アルキル芳香族炭化水素を含む芳
香族炭化水素含有原料から、キシレン、トルエンなどの
芳香族化合物を効率よく製造する芳香族化合物の転化反
応用触媒組成物とそれを用いた芳香族化合物の転化方法
を提供するものである。
【0006】例えば、キシレンを製造する有効な方法に
トルエンを含む原料を不均化反応及び/またはトランス
アルキル化反応させる方法がある。この方法の場合、使
用する触媒によりキシレン製造能力に差があり、より優
れた性能を示す触媒が求められている。一方、C9 アル
キル芳香族炭化水素は工業的な利用価値が少なく燃料と
して使用されていることが多い。C9 アルキル芳香族炭
化水素に含まれるエチルトルエンを脱アルキル化反応に
よりトルエンにし、トルエン2分子による不均化反応あ
るいはトルエンとトリメチルベンゼンによるトランスア
ルキル化反応により工業的に有用なキシレンを製造でき
る。従来技術ではエチルトルエンをトルエンに有効に脱
アルキル化出来ず、目的のキシレン収率が低い課題があ
った。本発明者らは、C9 アルキル芳香族炭化水素を含
む原料から、その中に含まれるエチルトルエンをトルエ
ンに有効に脱アルキル化し、不均化及び/またはトラン
スアルキル化反応により、またはトルエンを含む原料か
ら不均化及び/またはトランスアルキル化反応により、
キシレンなどの芳香族化合物を効率よく製造する芳香族
化合物の転化反応用触媒及びその触媒を用いた芳香族化
合物の転化方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、芳香族炭
化水素を含む原料から、キシレンなどの芳香族化合物を
効率よく製造する芳香族化合物の転化反応用触媒につい
て鋭意検討した結果、触媒成型体中のゼオライトの二次
粒子径が重要であることを見いだした。ゼオライトの二
次粒子とは、ゼオライトの一次結晶子が凝集したもので
あるが、触媒成型体中のゼオライトの二次粒子径は走査
電子顕微鏡(SEM)で容易に調べることができる。本
発明の目的には、触媒成型体中のゼオライトの二次粒子
径が10ミクロン以下好ましくは5ミクロン以下が有効
である。二次粒子径が10ミクロン以下または5ミクロ
ン以下であることを確認する方法としては、触媒組成物
のある部分のSEM写真を撮影し、その写真に二次粒子
径が10ミクロンまたは5ミクロンを超えるものが1つ
もないことを確認すればよい。
【0008】
【発明の実施の形態】原料ゼオライトが無機酸化物及び
/または粘土類と均一に混合し成型される際、その二次
粒子は一部崩れ分散されるが、触媒成型体中のゼオライ
トの二次粒子が十分小さく、高度に分散されているほ
ど、触媒中の金属成分との相互作用が向上し、より高度
なキシレン収率が達成される。触媒成型体中のゼオライ
トの二次粒子径は触媒成型条件及び原料ゼオライト粉末
の二次粒子径等により制御される。触媒成型条件として
はゼオライトと無機酸化物及び/または粘土類の混練時
の時間及び水分率等が重要であり、例えば混練時間が長
いほど触媒成型体中のゼオライトの二次粒子径は小さく
なり好ましい。また、原料ゼオライト粉末の二次粒子径
はゼオライト合成時の反応混合物組成比、結晶化時間、
攪拌条件及び乾燥方法等により制御でき、使用する原料
により異なり一概には言えないので、適宜合成条件を選
択する必要がある。これまでの知見によれば、ゼオライ
ト合成時の反応混合物中のアルカリ度を低くしたり、結
晶化時間を短くすると二次粒子径が小さくなる傾向があ
る。ゼオライトとしてはモルデナイトが好ましい。
【0009】また、芳香族炭化水素を含む原料から、キ
シレン、トルエンなどの芳香族化合物を効率よく製造す
るためには、なかでも特に高いキシレン収率を得るため
には、水素型モルデナイトと無機酸化物及び/または粘
土類、及びレニウムを有する触媒が有効である。トルエ
ンを原料の少なくとも一つとして用いる場合、トルエン
2分子が反応する不均化反応あるいはトルエンが他のア
ルキル芳香族炭化水素とトランスアルキル化反応すると
き、触媒成型体中のモルデナイトの二次粒子径が小さく
なると触媒有効度が向上するとともにレニウムの効果が
より発現される。また、原料芳香族炭化水素がエチルト
ルエンを含有するC9 アルキル芳香族炭化水素を含む場
合、エチルトルエンは水素型モルデナイトによりトルエ
ンとエチレンに脱アルキルされる。しかし、脱アルキル
化反応では熱力学的平衡の制約を受けるためエチルトル
エンの転化率を十分高くすることは出来ない。レニウム
を分散担持させた無機酸化物及び/または粘土類を触媒
中に含有させることにより反応系に共存する水素がエチ
ルトルエンの脱アルキル化反応で生成したエチレンをエ
タンに水素化し熱力学的平衡の制約によるエチルトルエ
ン転化率の抑制がなくなり、高度な転化率を達成でき
る。同様にエチル基、プロピル基を有する芳香族炭化水
素は、本触媒により高度に脱アルキル化され、生成した
芳香族炭化水素はそのまま製品に、あるいは不均化及び
/またはトランスアルキル化の原料になる。例えば、脱
アルキル化反応により生成したトルエン及び/または原
料中のトルエンの不均化、トルエンとトリメチルベンゼ
ンとのトランスアルキル化によりキシレン収率が向上す
るが、トルエンを製品として抜き出してもよい。また、
副反応で生成する高沸点化合物がレニウムを分散担持さ
せた無機酸化物及び/または粘土類上で水素化分解を受
け触媒上へのコーキングを抑制し触媒の失活を防ぎ触媒
寿命を延長させる。
【0010】本発明に用いられるゼオライトは水素型モ
ルデナイトが好ましい。モルデナイトとしてはシリカ/
アルミナモル比が15から30のモルデナイトが好まし
く用いられる。シリカ/アルミナモル比が15から30
のモルデナイトを得るには低シリカ/アルミナモル比の
モルデナイトを酸抽出などにより脱アルミニウム処理す
る方法及び直接シリカ/アルミナモル比15から30の
モルデナイトを合成する方法があるが、直接合成した合
成モルデナイトが好ましく用いられる。モルデナイトの
合成方法は例えば、AmericanMineralo
gist 57巻(1972)1146〜1151ペー
ジ、特公昭63−51969、特公平2−31006号
公報などに開示されている。水素型モルデナイトにする
には通常、金属陽イオンを含むモルデナイトを直接に酸
でイオン交換するか、アンモニウムイオンを含む水溶液
でイオン交換しアンモニウム型とし、乾燥、焼成する方
法が行われる。アンモニウム型から水素型にするのがよ
り好ましい。イオン交換はゼオライトを成型する前に行
ってもよいが、工業的立場で言えば成型後に行うのが好
ましい。また、モルデナイトを乳酸、リンゴ酸、酒石
酸、クエン酸などのカルボキシル基を含有する有機酸で
処理すると触媒性能が向上するので必要に応じて行なわ
れる。
【0011】無機酸化物及び/または粘土類はゼオライ
トの二次粒子を高度に分散し及びレニウムを分散担持さ
せるのに必須である。無機酸化物としてはアルミナ、シ
リカ・アルミナ、シリカ、チタニア及びマグネシア等が
知られている。いずれの無機酸化物でも使用できるが、
好ましくはアルミナである。アルミナとしてはベーマイ
ト、ベーマイトゲル、ジブサイト、バイアライト、ノル
ストランダイト、ジアスポア、無定形アルミナゲル等が
知られている。いずれのアルミナでも使用できるが、好
ましくはベーマイトである。アルミナは焼成過程でγ、
η、δ等のアルミナになることはよく知られており、こ
れら構造形態のアルミナも使用できる。また、触媒を成
型するためバインダーとしてアルミナゾル、アルミナゲ
ル等が用いられるが、これらアルミナもレニウム担持ア
ルミナとして有効である。また、粘土類としてはモンモ
リロナイト、カオリン、セピオライト及び酸性白土等の
天然または、精製処理した粘土類であればよく特に制限
はない。
【0012】レニウムは金属形態で、もしくは酸化物、
硫化物、セレン化物等の形態で存在し得るが、レニウム
成分として特に好ましく使用できるものは過レニウム
酸、過レニウム酸アンモニウム等を挙げることができ
る。レニウム成分を担持する実施形態として最も好まし
いのは次の方法である。モルデナイトと無機酸化物及び
/または粘土類を均一に混合して成型し、乾燥、焼成す
る。次いで、モルデナイトを水素型あるいはアンモニウ
ム型にした後、レニウムを含む水溶液で含浸する方法が
好ましい。レニウムを担持した触媒は引き続き、乾燥、
焼成される。アンモニウム型モルデナイトは焼成過程で
水素型モルデナイトになる。好ましい焼成条件は、酸素
含有雰囲気中300から650℃である。
【0013】本発明に基づいて調製された触媒は芳香族
炭化水素の転化に供される。具体的には、芳香族炭化水
素を本触媒に接触させて、不均化、トランスアルキル
化、脱アルキル化の少なくとも1つの反応により他の芳
香族炭化水素に転化するのに供される。例えば、トルエ
ン、キシレン、トリメチルベンゼンの不均化によるメチ
ル基の分子間移動反応、トルエンとトリメチルベンゼン
またはテトラメチルベンゼン間のトランスアルキル化反
応、ベンゼンとキシレン、トリメチルベンゼンまたはテ
トラメチルベンゼン間のトランスアルキル化反応、少な
くとも1つのエチル基あるいはプロピル基を有する芳香
族炭化水素のエチル基、プロピル基の脱アルキル化反応
などが挙げられるが、好ましくはトルエンを含む原料の
不均化反応、トランスアルキル化反応である。また、芳
香族炭化水素中にC9 アルキル芳香族炭化水素を含む原
料のトランスアルキル化反応にも供される。C9 アルキ
ル芳香族炭化水素とはC9 を主成分とするアルキル芳香
族炭化水素であり、具体的にはエチルトルエン、トリメ
チルベンゼン、プロピルベンゼンである。この中で特に
エチルトルエンの含有量が芳香族炭化水素原料中少なく
とも5重量%好ましくは少なくとも10重量%存在して
いることがキシレン収率にとって重要である。また、C
9 アルキル芳香族炭化水素中にC10成分であるジエチル
ベンゼン、エチルキシレン、テトラメチルベンゼン等が
含まれていてもよい。供給原料としてC9 アルキル芳香
族炭化水素にトルエンを混合させて用いることも一つの
実施形態である。トルエンとC9 アルキル芳香族炭化水
素との混合比率については特に制限されるものではない
が、キシレン収率の関係からトルエン/C9 アルキル芳
香族炭化水素比で0から1重量比が好ましい。また、原
料中にベンゼンを混合させてもよい。さらに供給原料に
上記芳香族化合物以外に非芳香族炭化水素例えばパラフ
ィン及びナフテンが含まれていてもよい。本発明では、
反応で生成する芳香族炭化水素は、いずれを製品として
抜き出してもよい。また、製品以外の芳香族炭化水素は
必要であれば、原料としてリサイクルして使用してもよ
い。例えば、生成したトルエンは製品として抜き出して
もよいし、あるいはキシレン製造の原料として用いても
よい。つまり、本発明では、需要に応じて最も価値のあ
る芳香族化合物を製品とすることができる。また、その
ような芳香族化合物が得られるように原料組成を適宜選
択できる。製品としては、特にキシレン、トルエンが好
ましく、なかでもキシレンが好ましい。本発明の触媒を
用いる芳香族炭化水素の転化反応には反応系に水素の共
存が必須である。供給する水素は水素/芳香族炭化水素
のモル比で1から10が好ましく用いられる。反応圧力
は1から6MPa−G、反応温度300から550℃、
WHSV(重量空間速度)0.5から10h-1で原料芳
香族化合物を触媒と接触させることが好ましい。
【0014】
【実施例】以下に、本発明を実施例を持って説明する
が、本発明は、これらによって規定されるものではな
い。 実施例1 (モルデナイト型ゼオライトの合成)固形カセイソーダ
(NaOH含量96.0wt%、H2 O含量4.0wt
%、片山化学)21.3グラム、酒石酸粉末(酒石酸含
量99.7wt%、H20含量0.3wt%,片山化
学)21.3グラム、を水586.8グラムに溶解し
た。この溶液にアルミン酸ソーダ溶液(Al23含量1
8.5wt%、NaOH含量26.1wt%、H2 0含
量55.4wt%、住友化学)29.2グラムを加えて
均一な溶液とした。この混合液にケイ酸粉末(SiO2
含量91.6wt%、Al23含量0.33wt%、N
aOH含量0.27wt%、ニップシールVN−3、日
本シリカ)111.5グラムを撹拌しながら徐々に加
え、均一なスラリー状水性反応混合物を調製した。この
反応混合物の組成比(モル比)は次のとおりであった。
【0015】 SiO2/Al23 30 H2O/SiO2 20 OH- /SiO2 0.25 A/Al23 2.5 A:酒石酸塩 反応混合物は、1000ml容のオートクレーブに入れ
密閉し、その後250rpmで撹拌しながら160℃で
72時間反応させた。
【0016】反応終了後、蒸留水で5回水洗、濾過を繰
り返し、約120℃で一晩乾燥した。得られた生成物は
図1に示すX線回折パターンを有するモルデナイト型ゼ
オライトであった。このゼオライトの組成分析をした結
果、無水状態で組成比はモル比で表して 1.02Na20・Al23・18.6SiO2 であった。 (触媒調製)上記の方法で調製したモルデナイト粉末
(モルデナイト含量93.8wt%)106.6グラ
ム、アルミナゾル(Al23含量10wt%、コロイダ
ルアルミナ200、日産化学)80グラム、アルミナゲ
ル粉末(Al23含量70wt%、Cataloid
AP(C−10),触媒化成)10グラム、蒸留水10
グラムを混合し、ペースト状の混合物とした。これを約
1時間混練し、外径1.2mm、長さ1.0mmのヌー
ドル状に成型した後、120℃で一晩乾燥した。乾燥
後、絶乾重量換算で15グラムの成型品を400℃で2
時間、空気雰囲気下で焼成し、デシケータ中で冷却し
た。これに10wt%の塩化アンモニウム水溶液30m
lを用いて80〜85℃で1時間処理した後、液を濾別
し、新たに塩化アンモニウム水溶液を30ml加えて同
様に処理した。この操作を4回繰り返した後、液を濾別
した。次いで、蒸留水で5回水洗を繰り返した。次に、
酸化レニウム(VII) (Re27)0.0020グラムを
溶解した水21グラムに4時間浸漬し、レニウムを含浸
する。液を濾別した後120℃で一晩乾燥させた後、5
40℃で2時間空気雰囲気下で焼成し触媒Aを得た。 実施例2 触媒成型時における混練時間が約5時間である以外、実
施例1と同様の方法により触媒を調製し触媒Bを得た。 比較例1 触媒成型時における混練時間が約20分である以外、実
施例1と同様の方法により触媒を調製し触媒Cを得た。 実施例3 触媒成型時の混練時間の異なる触媒A〜CについてSE
M観察を行い、触媒成型体中のモルデナイトの二次粒子
径を調べた結果を表1に示す。また、観察したSEM像
の例を図2〜4に示す。表1から触媒成型時の混練時間
が長い方が触媒成型体中のモルデナイトの最大二次粒子
径が小さいことがわかる。
【0017】
【表1】 ★ ● 実施例4 上記の方法で触媒成型体中のモルデナイトの二次粒子径
を変化させた触媒A〜Cについて固定床流通反応器を用
いてトルエンの不均化反応を行った結果を表1に示す。
表1から触媒成型体中のモルデナイトの二次粒子径の最
大値が小さいほど高いトルエンの不均化活性を有しキシ
レン収量の高い触媒であることが明らかである。触媒成
型体中のモルデナイトの二次粒子径は最大10ミクロン
以下であることが必要である。 比較例2 実施例1と同様に固形カセイソーダ、酒石酸粉末、アル
ミン酸ソーダ溶液、ケイ酸粉末及び水から均一なスラリ
ー状水性反応混合物を調製した。この反応混合物の組成
比(モル比)は次のとおりであった。
【0018】 SiO2/Al23 18 H2 O/SiO2 20 OH- /SiO2 0.25 A/Al23 2.5 A:酒石酸塩 反応混合物は、1000ml容のオートクレーブに入れ
密閉し、その後250rpmで撹拌しながら160℃で
72時間反応させた。
【0019】反応終了後、蒸留水で5回水洗、濾過を繰
り返し、約120℃で一晩乾燥した。得られた生成物は
図1に示すX線回折パターンを有するモルデナイト型ゼ
オライトであった。このゼオライトの組成分析をした結
果、無水状態で組成比はモル比で表して 1.04Na20・Al23・14.2SiO2 であった。その後、実施例1と同様の方法により触媒を
調製し触媒Dを得た。SEM観察により、触媒成型体中
のモルデナイトの最大二次粒子径は9ミクロンであっ
た。また、触媒Dについて実施例4と同様の反応を行っ
た結果を表1に示す。表1からモルデナイトのシリカ/
アルミナモル比が15から30が優れていることがわか
る。 実施例5 実施例1で調製したモルデナイト粉末(モルデナイト含
量93.8wt%)74.6グラム、ベーマイト構造
(α−アルミナ・1水和物)を有するアルミナ粉末(A
23含量76.1wt%、SCFタイプ、コンデア
社)39.5グラム、アルミナゾル(Al23含量10
wt%、コロイダルアルミナ200、日産化学)80グ
ラム、アルミナゲル粉末(Al23含量70wt%、C
ataloid AP(C−10),触媒化成)10グ
ラム、蒸留水10グラムを混合し、ペースト状の混合物
とした。これを約1時間混練し、外径1.2mm、長さ
1.0mmのヌードル状に成型した後、120℃で一晩
乾燥した。乾燥後、絶乾重量換算で15グラムの成型品
を400℃で2時間、空気雰囲気下で焼成し、デシケー
タ中で冷却した。これに10wt%の塩化アンモニウム
水溶液30mlを用いて80〜85℃で1時間処理した
後、液を濾別し、新たに塩化アンモニウム水溶液を30
ml加えて同様に処理した。この操作を4回繰り返した
後、液を濾別した。次いで、蒸留水で5回水洗を繰り返
した。次に、5wt%の酒石酸水溶液30mlを用いて
80〜85℃で4時間処理した後、液を濾別した後蒸留
水で5回水洗を繰り返した。さらに、酸化レニウム(VI
I) (Re27)0.039グラムを溶解した水21グ
ラムに4時間浸漬し、レニウムを含浸する。液を濾別し
た後120℃で一晩乾燥させた後、540℃で2時間空
気雰囲気下で焼成し触媒Eを得た。SEM観察により、
触媒成型体中のモルデナイトの最大二次粒子径は7ミク
ロンであった。 実施例6 触媒成型時における混練時間が約5時間である以外、実
施例5と同様の方法により触媒を調製し触媒Fを得た。
SEM観察により、触媒成型体中のモルデナイトの最大
二次粒子径は3ミクロンであった。 比較例3 触媒成型時における混練時間が約20分である以外、実
施例5と同様の方法により触媒を調製し触媒Gを得た。
SEM観察により、触媒成型体中のモルデナイトの最大
二次粒子径は20ミクロンであった。 実施例7 上記の方法で触媒成型体中のモルデナイトの二次粒子径
を変化させた触媒E〜Gについて固定床流通反応器を用
いてエチルトルエンを含むアルキル芳香族炭化水素のト
ランスアルキル化反応の触媒性能を調べた結果を表2に
示す。表2から触媒成型体中のモルデナイトの二次粒子
径の最大値が小さいほど高い脱アルキル化活性及びトラ
ンスアルキル化活性を有しキシレン収量の高い触媒であ
ることが明らかである。触媒成型体中のモルデナイトの
二次粒子径は最大10ミクロン以下であることが必要で
ある。
【0020】
【表2】 ★ ●
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、芳香族炭化水素含有原
料中の芳香族炭化水素を効率よく転化できる触媒とそれ
を用いた芳香族転化方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で合成したモルデナイト型ゼオライトの
X線回折パターンを表す図である。
【図2】実施例で調製した触媒Aの粒子構造のSEM像
を表す図である。
【図3】実施例で調製した触媒Bの粒子構造のSEM像
を表す図である。
【図4】実施例で調製した触媒Cの粒子構造のSEM像
を表す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北村 哲 愛知県名古屋市港区大江町9番地の1 東 レ株式会社名古屋事業場内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】触媒成型体中のゼオライトの二次粒子径が
    10ミクロン以下であることを特徴とする芳香族炭化水
    素の転化反応用触媒組成物。
  2. 【請求項2】転化反応が不均化、トランスアルキル化、
    脱アルキル化反応の少なくとも1つであることを特徴と
    する請求項1記載の触媒組成物。
  3. 【請求項3】触媒成型体中のゼオライトの二次粒子径が
    5ミクロン以下であることを特徴とする請求項1または
    2記載の触媒組成物。
  4. 【請求項4】ゼオライトがモルデナイトであることを特
    徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の触媒組成
    物。
  5. 【請求項5】モルデナイト、無機酸化物及び/または粘
    土類、及びレニウムを含むことを特徴とする請求項4記
    載の触媒組成物。
  6. 【請求項6】モルデナイトが水素型であることを特徴と
    する請求項4または5記載の触媒組成物。
  7. 【請求項7】モルデナイトのシリカ/アルミナモル比が
    15から30であることを特徴とする請求項4から6の
    いずれか1項記載の触媒組成物。
  8. 【請求項8】無機酸化物がアルミナ、シリカ・アルミ
    ナ、シリカ、チタニア及びマグネシアよりなる群から選
    ばれた請求項5から7のいずれか1項記載の触媒組成
    物。
  9. 【請求項9】無機酸化物がアルミナである請求項8記載
    の触媒組成物。
  10. 【請求項10】アルミナがベーマイト構造を有するアル
    ミナから調製されたものであることを特徴とする請求項
    9記載の触媒組成物。
  11. 【請求項11】粘土類がモンモリロナイト、カオリン、
    セピオライト及び酸性白土よりなる群から選ばれた請求
    項5から10のいずれか1項記載の触媒組成物。
  12. 【請求項12】芳香族炭化水素を、請求項1から11の
    いずれか1項記載の触媒組成物と接触させることを特徴
    とする芳香族炭化水素の転化方法。
  13. 【請求項13】芳香族炭化水素の転化が、不均化、トラ
    ンスアルキル化、脱アルキル化反応の少なくとも1つで
    あることを特徴とする請求項12記載の芳香族炭化水素
    の転化方法。
  14. 【請求項14】原料芳香族炭化水素がエチルトルエンを
    少なくとも5重量%含有するC9アルキル芳香族炭化水
    素を含むことを特徴とする請求項12または13記載の
    芳香族炭化水素の転化方法。
  15. 【請求項15】原料芳香族炭化水素がトルエンを含むこ
    とを特徴とする請求項12から14のいずれか1項記載
    の芳香族炭化水素の転化方法。
  16. 【請求項16】原料芳香族炭化水素がベンゼンを含むこ
    とを特徴とする請求項14または15記載の芳香族炭化
    水素の転化方法。
  17. 【請求項17】キシレンを製造することを特徴とする請
    求項12から16のいずれか1項記載の芳香族炭化水素
    の転化方法。
  18. 【請求項18】トルエンを製造することを特徴とする請
    求項12から14、あるいは16、17のいずれか1項
    記載の芳香族炭化水素の転化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004238317A (ja) * 2003-02-05 2004-08-26 Toray Ind Inc 重質油からのキシレン類の製造方法
JP2016505492A (ja) * 2012-12-10 2016-02-25 ダーリエン インスティテュート オブ ケミカル フィジクス チャイニーズ アカデミー オブ サイエンシーズDalian Instituteof Chemical Physics, Chinese Academy Of Sciences ジグリコールアミンをテンプレート剤としたsapo−34分子篩及びその合成方法

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