JPH11701A - 連続鋳造鋳片による極厚鋼板の製造方法 - Google Patents

連続鋳造鋳片による極厚鋼板の製造方法

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JPH11701A
JPH11701A JP15083897A JP15083897A JPH11701A JP H11701 A JPH11701 A JP H11701A JP 15083897 A JP15083897 A JP 15083897A JP 15083897 A JP15083897 A JP 15083897A JP H11701 A JPH11701 A JP H11701A
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JP15083897A
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Katsunori Suzuki
克紀 鈴木
Takashi Abe
隆 阿部
Ryuichi Kondo
隆一 近藤
孝生 ▲くわ▼田
Kousei Kuwata
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳片の未凝固部圧下や鋳片表層の冷却等の大
規模な設備を必要とせず、ザク性欠陥の発生を防止でき
る極厚鋼板の製造方法を提供する。 【解決手段】 連続鋳造鋳片による極厚鋼板の製造方法
において、鋳片9の短辺側内部の凝固の完了が幅方向中
央部より遅くなるように鋳造し、この鋳片を切断後その
ままあるいは再加熱して圧延し、圧延の際は、前記鋳片
の短辺側内部に相当する部分18に、他の部分より大き
い圧下を少なくとも1パス以上加えることを特徴とする
連続鋳造鋳片による極厚鋼板の製造方法。さらに、メニ
スカスから最終凝固位置までの長さであるクレータ長に
ついて、鋳片の短辺側内部のクレータ長を、幅方向中央
部のクレータ長より1.0〜3.0%長くなるよう鋳造
条件を制御して鋳造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳片の中心偏析に
起因する欠陥を低減するための連続鋳造鋳片による極厚
鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造法においては、モールドで凝固
殻が形成された鋳片は、内部に鋳造方向に伸長した未凝
固相を有したまま、多数のロールの間を引き抜かれる。
この過程で、ロール間における鋳片バルジングや凝固収
縮のために、溶鋼体積の変化が生じる。この溶鋼体積の
変化分を補うために、溶質元素の濃化した濃化溶鋼が鋳
片中心部に集積し、中心偏析が生成する。この中心偏析
は、通常微小空隙(ポロシティ)を伴っており、これが
圧延等で圧着されずに製品になるとザク性欠陥と呼ばれ
る。
【0003】通常の厚鋼板では、その後の圧延工程で十
分な圧下をかけることにより、このような中心偏析の悪
影響(ザク性欠陥)をほぼ防止することができる。しか
し、極厚鋼板においては、圧下比(鋳片厚さ/製品板
厚)が小さいため、中心偏析部(ポロシティ)の圧着が
不十分となり、ザク性欠陥が発生することがある。そこ
で、従来から種々の対策が提案されている。
【0004】例えば、特開昭57−127504号公報
には、圧延中のロール間隔の変更又は噛み戻しにより、
圧延材に圧延方向に1ヶ所又は2ヶ所以上の凸部を有す
る断面形状とし、次いでその部分に大圧下をかける方法
が提案されている。この技術の詳細な内容によると、凸
部は具体的には板幅中央部に1ヶ所設け、その幅は板幅
の0.25〜0.75倍の範囲がよく、望ましくは0.
4〜0.5倍、一般には0.5〜0.6倍程度である。
【0005】特開平3−44417号公報には、連続鋳
造された鋳片の未凝固末端部を、実質的に面を構成する
部材を用いて圧下しつつ凝固させて、厚手鋼板を製造す
る方法が提案されている。ここで、実質的に面を構成す
る部材とは、ウォーキングバーと記載されており、鋳片
とともに移動可能な一種のプレス機と言える。
【0006】このプレス機のアンビルは、鋳片の幅方向
に複数に分割されており、これらの分割されたアンビル
が1つおきに連動する構造となっている。これら2つの
アンビル群が、交互に鋳片を圧下するとともに、鋳片の
移動に伴い移動する。片方のアンビル群が圧下しつつ所
定距離移動すると、もう一方のアンビル群が圧下を開始
する。上記の片方のアンビル群は圧下を終了し元の位置
(圧下開始位置)に戻る。この動作を繰り返して、鋳片
の未凝固末端部に圧下を加えるという方法である。
【0007】特開平5−69001号公報には、連続鋳
造鋳片を圧延する際、幅中央部を冷却することを特徴と
する極厚鋼板の製造方法が提案されている。この技術で
は、1250℃以上に均一加熱した鋳片を、鋳片全幅の
3/4の範囲の表裏面が中心より200℃以上低温とな
るよう冷却制御する。その後、圧延機の最大能力による
圧下量の0.40以上の圧下を、2パス以上加える。
【0008】この方法は、表層部を冷却することにより
変形抵抗を中心部より大きくして、圧延の際、中心部の
変形を促進するというものである。これにより、圧下比
1.5〜2.0の低圧下比の圧延においても、鋳片厚中
心部のポロシティが圧着された極厚鋼板が得られると記
載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このザク性欠陥の根本
的な防止対策は、幅方向全域にわたって均一に凝固さ
せ、最終凝固位置を平坦にすることである。しかしなが
ら、実際の操業において最終凝固位置を幅方向で常に平
坦とすることは極めて困難である。また、ある程度実現
できたとしても、幅方向のどこかにポロシティが発生し
ている可能性があり、その位置が特定できないことにな
る。その結果、圧延の際、幅方向全域にわたって、ポロ
シティを圧着するのに必要な大圧下を実施する必要があ
り、限られた設備制約(最大荷重、最大トルク等)から
は、製造可能な鋼板の寸法が大きく制限される。
【0010】これに対して、特開昭57−127504
号公報記載の技術では、圧延材に板幅の1/2前後の幅
の凸部を設けて大圧下を加えるが、この技術の対象は鋼
塊であり連続鋳造とは断面形状が異なる。連続鋳造の偏
平な鋳片では、ポロシティの発生位置が全幅の3/4程
度に達するのが通常である。従って、上記の凸部の幅
も、全幅の3/4程度に拡大する必要がある。しかし凸
部の幅が広いため、大圧下とはいうものの、鋳片全幅の
場合より多少(1/3程度)大きな圧下を加えることが
できる程度で、ポロシティの圧着を行うには不十分であ
る。
【0011】特開平3−44417号公報記載の技術で
は、鋳片とともに移動可能な圧下装置を用いる必要があ
る。この装置は鋳片自体に圧下を加える装置であるか
ら、装置の大型化は避けられず、設置のためのスペース
も必要である。また、前述のように、圧下と移動の両者
を組み合わせたかなり複雑な機構を有しており、設備コ
ストもかなり大きくなると予想される。
【0012】また、このように、鋳片の未凝固末端部を
圧下する方法は従来より数多く提案ないし実施されてお
り、その効果は通常の鋼板の製造においては認められて
いる。しかし、鋳片の未凝固圧下による方法では、極厚
鋼板におけるザク性欠陥の防止にはあまり効果がない。
これは、鋳片の未凝固末端部の圧下においては、鋳片の
内部割れやブレークアウトの防止の観点から、圧下率が
低く制限されるからである。
【0013】特開平5−69001号公報記載の技術で
は、鋳片全幅の3/4の範囲にわたって、表裏面とも板
厚中心部より200℃以上低温となるよう冷却する必要
がある。しかし、これだけ広い範囲について、板厚中心
部より200℃以上の温度差をつけるには、かなり強力
かつ大規模な冷却装置が必要である。
【0014】この方法では、圧延材の表層部は通常の圧
延に比べて低温であり、変形抵抗が大きくなっている。
圧延においては、圧下率が高くなる程、表層部の剪断変
形成分が顕著となり、全体の変形に占める割合が大きく
なる。この剪断変形成分は、圧延材の断面減少には寄与
せず、単に圧延トルクを増加させるだけである。従っ
て、表層部の変形抵抗が大きくなると、大圧下の圧延に
おいては変形抵抗が急増する。結局、ミル能力の観点か
ら圧下率をあまり大きくとれなくなり、板厚中心部の変
形を促進することも、それほど期待できなくなる。
【0015】そこで、鋳片のポロシティが発生する部分
の大きさを、小さくすることが考えられる。例えば、鋳
片の幅方向中央部の外側の部分の冷却を強化し、中心偏
析部の幅を小さくすることである。しかしその場合、2
次冷却比水量(鋳片重量に対する冷却水量)が、短辺側
に近い方ではかなり大きくなる。その結果、鋳片の短辺
近傍が過度に冷却され、熱応力により、コーナ割れ等の
表面割れあるいは内部割れが生じ易くなる。これは、圧
延後の鋼板においては、表面欠陥ないし鋳片の手入れ等
による歩留低下を招く要因となり、ザク性欠陥の防止対
策を実施した意味がなくなる。
【0016】本発明は、これらの問題点を解決し、鋳片
の未凝固部圧下や鋳片表層の冷却等の大規模な設備を必
要とせず、ザク性欠陥の発生を防止できる極厚鋼板の製
造方法を提供する。
【0017】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、連続鋳造
鋳片による極厚鋼板の製造方法において、鋳片の短辺側
内部の凝固の完了が幅方向中央部より遅くなるように鋳
造し、この鋳片を切断後そのままあるいは再加熱して圧
延し、圧延の際は、前記鋳片の短辺側内部に相当する部
分に、他の部分より大きい圧下を少なくとも1パス以上
加えることを特徴とする連続鋳造鋳片による極厚鋼板の
製造方法である。
【0018】この発明は、連続鋳造鋳片のクレータエン
ドの形状について、種々の研究を行う中でなされた。そ
の過程で、鋳片において最後に凝固する部分とその位置
(以下、最終凝固位置と呼ぶ)について着目し、その部
分のクレータエンドの形状を検討した。その結果、最終
凝固位置が幅方向中央部にある場合と比べて、最終凝固
位置が短辺側内部にある場合の方が、最終凝固位置にお
けるクレータエンドの形状が先鋭(曲率半径が小)とな
ることを見いだした。ここで、鋳片の短辺とは、矩形で
ある鋳片断面の短い方の辺(側面)をいう。
【0019】なお、この発明で鋳片の短辺側内部と言う
のは、より正確には鋳片内部の短辺側端部近傍というこ
とである。鋳片内部の位置としては、短辺側の凝固シェ
ルより内側(未凝固部側)の部分であり、鋳片の幅方向
両端よりやや内側の部分である。具体的な位置は鋳片寸
法や連続鋳造機により異なるが、概略の位置は鋳片の短
辺から厚さの1/2離れた位置から幅の1/6離れた位
置までとして、実用上は差し支えない。
【0020】この発明ではこの知見に基づき、鋳片の短
辺側内部が、鋳片の中で最後に凝固を完了するようにし
て鋳造を行う。具体的には、後述のように鋳片の冷却条
件を制御することにより、実現される。この鋳片で凝固
が最後に完了した短辺側内部はポロシティが発生し易く
なるが、その部分はこのように狭い幅の部分に限定され
ていることになる。
【0021】圧延においては、この短辺側内部に対応す
る部分に局部的に大圧下をかけるが、その幅が狭いため
圧延荷重やトルクの大幅な増加は起こらない。従って、
ポロシティを圧着するのに十分な圧下を加えることがで
き、ザク性欠陥の発生を低減することができる。この局
部的に大圧下をかけるパスは、少なくとも1パスあれば
よいが、複数パス行ってもよいことはいうまでもない。
【0022】第2の発明は、メニスカスから最終凝固位
置までの長さであるクレータ長について、鋳片の短辺側
内部のクレータ長を、幅方向中央部のクレータ長より
1.0〜3.0%長くなるよう鋳造条件を制御して鋳造
することを特徴とする第1の発明の連続鋳造鋳片による
極厚鋼板の製造方法である。
【0023】この発明は、ザク性欠陥の発生の防止を完
全に行うための条件を検討した結果なされたものであ
る。その結果、鋳造の際のポロシティの発生にクレータ
長(正確には、クレータ長の差)が影響することがわか
った。ポロシティの発生を防止するには、最終凝固位置
である短辺側内部のクレータ長が、幅方向中央部のクレ
ータ長より適度に長いことが必要である。
【0024】具体的な数値としては、後述のように、短
辺側内部のクレータ長が、幅方向中央部のクレータ長よ
り(幅方向中央部のクレータ長の)1.0%以上長くす
る必要がある。これ未満では、クレータエンドの形状が
幅方向全体で平坦に近くなり、ポロシティのある部分
が、短辺側内部以外の部分にも拡散する。その結果、圧
延の際、局部的な圧下を加えることで、ポロシティを圧
着することができなくなる。
【0025】これとは逆に、短辺側内部のクレータ長が
長過ぎると、ポロシティの程度が大きくなり過ぎる。具
体的な数値としては、後述のように、短辺側内部のクレ
ータ長が、幅方向中央部のクレータ長より(幅方向中央
部のクレータ長の)3.0%以上長くなると、圧延にお
ける大圧下によってもポロシティを十分に圧着すること
ができなくなる。従って、短辺側内部のクレータ長の上
限を、幅方向中央部のクレータ長より3.0%長い値と
する。
【0026】なお、クレータ長の測定は、オンラインで
測定するか、予め測定して冷却条件等との関係を求めて
おくことにより可能である。オンライン測定では、鋳片
の凝固厚を測定し、凝固厚から凝固完了位置を推定演算
する。予め測定しておく方法では、未凝固部分に標識元
素を注入することにより凝固後に測定する。また、これ
らを組み合わせることにより、クレータ長の測定の精度
を向上させることもできる。
【0027】第3の発明は、鋳片の短辺側内部に対応す
る位置の2次冷却比水量を、幅方向中央部の2次冷却比
水量に対して、105〜130%の範囲内に制御するこ
とを特徴とする第1の発明の連続鋳造鋳片による極厚鋼
板の製造方法である。
【0028】この発明は、連続鋳造機の2次冷却帯の冷
却条件を検討した結果なされたものである。鋳片の短辺
側内部は、鋳型内における浸漬ノズルからの溶鋼流の影
響で凝固が遅れている。この発明ではこれを利用して、
幅方向中央部に比べて冷却を適度に制御することによ
り、鋳片の短辺側内部の凝固の完了が、幅方向中央部よ
り遅くなるように鋳造する。
【0029】上記2次冷却比水量(鋳片重量に対する冷
却水量の比率)については、まず、下限値より弱い冷却
では、短辺側内部のクレータ長が長くなり過ぎる(幅方
向中央部に比べて3.0%超)。その結果、前述と同
様、圧延における大圧下によってもポロシティを十分に
圧着することができなくなる。
【0030】上記2次冷却比水量の上限値は、これを超
えると、短辺側内部のクレータ長が幅方向中央部のクレ
ータ長に近づく(差が1.0%未満)。その結果、前述
と同様、ポロシティのある部分が、短辺側内部以外の部
分にも拡散し、圧延の際の局部的な圧下でポロシティを
圧着することが、できなくなる。
【0031】
【発明の実施の形態】まず、鋳造については、クレータ
エンドの形状を予め測定しておくことにより、冷却条件
等を決定して行うのが簡便である。クレータエンドの形
状は、通常よく知られているように、未凝固部分に放射
性同位元素あるいはS(Fe−S)等の標識元素を用い
て測定する。まずこれらの標識元素を、鋳片の最終凝固
位置より少し上流側(0.5〜5m程度)に、鋲打ち法
等により注入する。鋳片の凝固後に、ラジオグラフある
いはサルファプリント等により、凝固シェルの厚さ(凝
固厚)を測定する。凝固厚が測定できれば、最終凝固位
置は凝固の理論式等から容易に得られる。
【0032】また、通常の連続鋳造機を使用している場
合は、2次冷却比水量を発明の範囲に制御することによ
り、短辺側内部の凝固の完了が幅方向中央部より遅くな
るように鋳造することができる。この場合は、クレータ
エンドの形状を予め測定しておく必要はないが、連続鋳
造機の仕様等によっては鋳造状況を確認する観点から、
測定しておくことも無駄ではない。
【0033】最終凝固位置をオンライン測定で行えば、
クレータ長さをより正確に制御することができる。この
場合は、鋳片の最終凝固位置の前後に複数の凝固厚測定
器を配列するのが簡単である。凝固厚測定器としては、
電磁超音波厚み計等を用いればよい。凝固厚の測定値
が、鋳片厚の半分から全厚に変わる2つの凝固厚測定器
の間に、最終凝固位置があることがわかる。
【0034】実際には、凝固厚測定器を用いる場合も、
凝固厚の測定値から最終凝固位置を推定演算するのが望
ましい。オンライン測定と推定演算を組み合わせること
により、クレータ長の測定の精度を向上させることがで
きる。このようにして、短辺側内部と幅方向中央部の最
終凝固位置を求め、その結果を用いて、それぞれの位置
のクレータ長が所定の範囲に入るよう、冷却条件等を制
御する。
【0035】図1は、発明の方法により鋳造した鋳片に
ついて、ポロシティの分布状況を示す模式図である。図
1aは発明法、図1bは従来技術を示す。図中、9は鋳
片、18はポロシティの存在する場所をそれぞれ示す。
発明法(図1a)ではポロシティは短辺側内部のみに存
在するが、従来技術(図1b)ではポロシティは幅方向
中央部の広い部分に広がっている。
【0036】このように、ポロシティの存在する場所1
8を、短辺側内部のみに狭めた後、この部分に大圧下を
加える。この大圧下を加える時期は、圧延中のどの段階
でもよい。圧延材に局部的に大圧下を加える方法として
は、圧延材に凸部を形成する方法、圧延材を部分的に冷
却する方法等があり、圧延設備や操業条件に合わせて選
択することができる。
【0037】このようなポロシティの分布状況の違い
は、最終凝固位置の違いに起因している。図2は、最終
凝固位置によるクレータエンドの形状の違いを示す模式
図である。図2aは最終凝固位置を短辺側内部とした場
合、図2bは最終凝固位置を幅方向中央部とした場合を
示す。いずれの場合も、凝固界面61、62は未凝固部
7に向かって移動して、凝固シェル6(斜線部分)が成
長する。
【0038】図2aでは、短辺側内部における凝固界面
は、幅方向中央部に連なる部分62と、既に形成されて
いる短辺側の凝固シェル6の界面61とからなる。凝固
界面62は、短辺側の凝固シェルの界面61に向かって
成長する。従って、未凝固部の形状は、この凝固界面6
2と短辺側の凝固シェルの界面61とに挟まれた形状と
なり、短辺側内部においては、未凝固部7の幅を狭くす
ることができる。
【0039】これに対して、図2bでは、凝固界面6
1、62は未凝固部7に向かって成長するだけであり、
成長する方向に凝固シェル等の既に凝固している部分は
無い。凝固界面の曲率半径が小さい部分は、熱伝導の原
理から凝固速度が速くなる。その結果、その部分は凝固
が進み、凝固界面の曲率半径は大きくなる。従って、鋳
片の幅方向中央部では、凝固界面の曲率半径は小さくな
らず、未凝固部の幅を狭くすることは困難である。
【0040】図3は、部分的に大圧下を加える圧延方法
を示す模式図である。図3aは凸部形成法、図3bは部
分冷却法を示す。凸部形成法では、圧延材(鋳片)9を
鋳造方向に垂直な方向に圧延し、その際、ポロシティの
存在する場所18を残して圧延することにより、その部
分に凸部17を形成する。次いで、圧延材(圧延方向)
を90度回転させ、鋳造方向に圧延することにより、凸
部17には大圧下が加わる。
【0041】部分冷却法(図3b)では、圧延材(鋳
片)のポロシティの存在する場所18に沿って部分的に
冷却する。この冷却はかなりの冷却能力を必要とする
が、通常のミルデスケーリング装置の水ジェット程度で
あれば、十分冷却可能である。この冷却された部分は、
表層部の変形抵抗が他の部分に比べて高くなるので、表
層部は変形しにくくなる。その結果、ポロシティの存在
する板厚中心部が大きく変形することになり、凸部形成
法と同様の大圧下の効果が得られる。
【0042】部分的に大圧下を加えるパスは、1パスあ
れば目的を達成できる。場合によっては再度、凸部形成
法又は部分冷却法を施して、複数パスで大圧下を加える
ことも可能であり、極圧鋼板のザク性欠陥のさらに完全
な防止が期待される。
【0043】
【実施例】図4は、幅方向中央部と両端部の近傍の部分
における2次冷却比水量とクレータ長の関係を示す図で
ある。図の横軸の短辺冷却比(Qnとする)は、両端部
の近傍の部分と幅方向中央部の2次冷却比水量Qe とQ
c の(差の)比率(%)であり、次の式で表される。 Qn=(Qe −Qc )/Qc ×100 (1)
【0044】また、図の縦軸のInは、両端部の近傍の
部分と幅方向中央部のクレータ長Le とLc の(差の)
比率(%)であり、次の式で表される。 In=(Le −Lc )/Lc ×100 (2)
【0045】この図4より、短辺側内部のクレータ長を
Le 、幅方向中央部のクレータ長Lc より1.0〜3.
0%長くするするための短辺冷却比Qnを求めることが
できる。図より、Inが1.0〜3.0となる短辺冷却
比を求めると、30〜5%となる。
【0046】図5は、短辺冷却比に対するポロシティ率
の変化を示す図である。図中、W/2とW/7は試験片
を採取した鋳片幅方向における位置を示し、それぞれ幅
方向中央部と短辺側から鋳片幅の1/7の位置(短辺側
内部にほぼ対応)を示す。
【0047】短辺冷却比が0%では、W/7の位置のポ
ロシティ率が0.5%を超えており、圧延での圧着が困
難となる。短辺冷却比が5%以上で、W/7の位置のポ
ロシティ率が0.5%以下となり、適切な範囲となる。
さらに短辺冷却比が高くなるとW/2の位置(中央部)
のポロシティ率が増加し始め、30%を超えると中央部
のポロシティ率がW/7の位置のポロシティ率より大き
くなる。
【0048】図6は、ポロシティ率の幅方向の分布をを
示す図である。図の横軸は鋳片の短辺からの幅方向の距
離、縦軸はポロシティ率(%)を示す。図中の曲線Bは
この発明の実施例、曲線Aは比較例で従来技術の通常条
件で鋳造したもの、曲線Cは比較例で短辺冷却比を50
%まで上げて鋳造したものをそれぞれ示す。
【0049】ポロシティ率は、いずれの場合も短辺より
1/2D(鋳片厚の1/2)付近から増加し始めてお
り、曲線BではW/7付近でピークを示しその後W/6
付近から急激に低下している。これに対し、曲線Aでは
ポロシティ率が0.5%を超えるピークを示している。
曲線Cでは、W/7付近でも殆どピークを示さずそのま
まW/2まで増加を続けている。
【0050】図7は、この発明の実施例の鋳片(図6の
曲線Bに相当)のポロシティ発生状況を示す模式図であ
る。このように、ポロシティは鋳片の短辺より幅方向に
1/2DないしW/6の位置にのみ発生しており、その
発生位置が局所化されていることがわかる。
【0051】次にこれらの鋳片に圧延を行い、極厚鋼板
を製造した。比較材の素材としては、従来技術の通常条
件で鋳造した鋳片(図6の曲線Aに相当)を用いた。な
お、図6の曲線Cに相当する鋳片は、短辺近傍の過度の
冷却による表面割れ等が発生し易いので試験から除い
た。圧延のパススケジュールを表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】この表に示すように、鋳片の厚さはいずれ
も250mmであり、圧延の仕上厚は160mmであ
る。発明方法では、幅出し圧延(鋳造方向に垂直な方向
の圧延)を3パス行った後、前述の凸部形成方法による
圧延(凸圧延)を行った。具体的には、鋳片の幅方向両
端のW/7付近の部分を残し、それ以外の部分に圧下を
加えて、これらW/7付近に凸部を形成した。(図3a
参照)
【0054】その後、発明方法では、圧延材を90度回
転して仕上圧延を行った。仕上圧延における圧下量は、
表1に示すように、これら凸部で40mm(200mm
から160mm)、それ以外の部分で20mm(180
mmから160mm)である。従って、凸部には、それ
以外の部分に比べてほぼ2倍の大圧下が加わったことに
なる。
【0055】従来方法では、幅出し圧延(鋳造方向に垂
直な方向の圧延)を4パス行った後、圧延材を90度回
転して圧下量20mmの仕上圧延を行った。
【0056】図8は、これらの極厚鋼板の超音波探傷試
験(UST)結果を図示した平面図である。図8aは発
明方法による極厚鋼板、図8bは従来方法による極厚鋼
板の試験結果を示す。試験はJIS規格G0801に従
い、欠陥の程度を超音波エコーの基準値±6dbで軽・
中・重に分類し、これらの欠陥の個数換算により密集度
(換算欠陥個数/m2 )を評価した。試験結果として、
図中に欠陥分類の軽・中・重をそれぞれ○・△・×で示
してある。
【0057】この図8より、従来方法による極厚鋼板で
は、鋼板の両エッジ(鋳片の短辺)に沿って重欠陥(×
印)が多数検出されているが、発明方法による極厚鋼板
では軽欠陥(○印)が僅かに検出されているに過ぎな
い。また、欠陥の密集度も、従来方法の30に対して、
発明方法では2であり、連続鋳造による極厚鋼板として
は、非常に低い値である。
【0058】
【発明の効果】この発明は、鋳片のポロシティの分布状
況の制御とポロシティの圧着を行うための圧延方法を組
み合わせることにより、ポロシティに起因する欠陥をほ
ぼ完全に除去することを可能にした。ポロシティの分布
状況は、鋳片のクレータ長を制御することにより行い、
そのための条件を明らかにした。また、冷却条件につい
ても適切な制御範囲を提示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋳片のポロシティの分布状況を示す模式図であ
る。 (a)発明法 (b)従来技術
【図2】最終凝固位置によるクレータエンドの形状の違
いを示す模式図である。 (a)最終凝固位置を短辺側内部とした場合 (b)最終凝固位置を幅方向中央部とした場合
【図3】部分的に大圧下を加える圧延方法を示す模式図
である。 (a)凸部形成法 (b)部分冷却法
【図4】幅方向中央部と両端部の近傍の部分における2
次冷却比水量とクレータ長の関係を示す図である。
【図5】短辺冷却比に対するポロシティ率の変化を示す
図である。
【図6】ポロシティ率の幅方向の分布をを示す図であ
る。
【図7】発明の実施例の鋳片のポロシティ発生状況を示
す模式図である。
【図8】極厚鋼板の超音波探傷試験(UST)結果を図
示した平面図である。 (a)発明方法による極厚鋼板 (b)従来方法によ
る極厚鋼板
【符号の説明】
6 凝固シェル 7 未凝固部 9 鋳片 17 凸部 18 ポロシティの存在する場所 61、62 凝固界面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲くわ▼田 孝生 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造鋳片による極厚鋼板の製造方法
    において、鋳片の短辺側内部の凝固の完了が幅方向中央
    部より遅くなるように鋳造し、この鋳片を切断後そのま
    まあるいは再加熱して圧延し、圧延の際は、前記鋳片の
    短辺側内部に相当する部分に、他の部分より大きい圧下
    を少なくとも1パス以上加えることを特徴とする連続鋳
    造鋳片による極厚鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 メニスカスから最終凝固位置までの長さ
    であるクレータ長について、鋳片の短辺側内部のクレー
    タ長を、幅方向中央部のクレータ長より1.0〜3.0
    %長くなるよう鋳造条件を制御して鋳造することを特徴
    とする請求項1記載の連続鋳造鋳片による極厚鋼板の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 鋳片の短辺側内部に対応する位置の2次
    冷却比水量を、幅方向中央部の2次冷却比水量に対し
    て、105〜130%の範囲内に制御することを特徴と
    する請求項1記載の連続鋳造鋳片による極厚鋼板の製造
    方法。
JP15083897A 1997-06-09 1997-06-09 連続鋳造鋳片による極厚鋼板の製造方法 Pending JPH11701A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015217392A (ja) * 2014-05-14 2015-12-07 新日鐵住金株式会社 鋳片の連続鋳造方法および連続鋳造鋳片
JP2020032464A (ja) * 2018-08-22 2020-03-05 日本製鉄株式会社 鋳片の内部欠陥低減方法及び鋳片製造設備
WO2020130354A1 (ko) * 2018-12-19 2020-06-25 주식회사 포스코 극후 강판 제조방법 및 극후 강판용 주편
US10913109B2 (en) 2015-09-16 2021-02-09 Posco Vertical semi-continuous casting equipment and vertical semi-continuous casting method

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