JPH1169899A - 誘導電動機の制御方法および制御装置 - Google Patents

誘導電動機の制御方法および制御装置

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JPH1169899A
JPH1169899A JP9227750A JP22775097A JPH1169899A JP H1169899 A JPH1169899 A JP H1169899A JP 9227750 A JP9227750 A JP 9227750A JP 22775097 A JP22775097 A JP 22775097A JP H1169899 A JPH1169899 A JP H1169899A
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voltage
phase
frequency
angular velocity
sine wave
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JP9227750A
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English (en)
Inventor
Tetsuya Kato
哲也 加藤
Yasuyuki Sugiura
康之 杉浦
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】簡便な方法により3倍周波数の正弦波波形を算
出し、その信号を各相に重畳して、PWMインバータの
電圧利用率を向上する。 【解決手段】角速度指令をもとに作成した基準波の位相
を3倍した値をもとに、3相正弦波を作るテーブルから
3倍周波数の電圧波形を求める。 【効果】複雑な計算や新たな制御の付加が不要であり、
簡単に3倍周波数の電圧波形を求めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可変電圧,可変周
波数の交流電圧を出力して誘導電動機を可変駆動するP
WMインバータの制御方法および制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インバータによる誘導電動機の駆動にお
いて、そのコントロールをマイコン等を用いて行う場
合、処理速度,処理規模等の制約により正弦波状の3倍
周波数電圧を計算するのが困難であり、たとえば特開平
6−133558 号にあるように、3相出力電圧波形を用い、
各時刻において3相出力電圧の最大値と最小値を判定
し、そのちょうど中間の電圧を各相にたすということを
サンプリングごとに実施し、擬似的に3倍周波数の三角
波電圧を重畳する等の処理をしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】3倍周波数の電圧を3
相出力電圧の各相に重畳して電圧利用率を向上する手段
として、擬似的な波形ではなく、複雑な計算を必要とせ
ず制御に負荷をかけないでも、正弦波状の3倍周波数電
圧をもとめられ、容易に原理通りの電圧利用率向上を実
施できる方法がなかった。
【0004】本発明の課題は、上記従来技術の問題点を
解決し、特に新たな制御を追加する必要無しに簡便な方
法により、基本周波数の3倍周波数を持つ正弦波波形を
算出し、その信号を3相出力電圧各相に重畳することに
より、PWMインバータの電圧利用率向上を実施するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、ベクトル制御PWMインバータによって誘導電動機
を制御する電力変換装置において、誘導電動機の定格周
波数,演算のためのサンプリング時間,3相正弦波を作
るテーブルのデータ数に基づいて定格角速度をつくり、
この定格角速度と加速時間(減速時間)から加速角速度
(減速角速度)を演算し、サンプリング時間毎に加速角
速度(減速角速度)を積算して過度時角速度をつくり、
過度時角速度と定格角速度を比較し、過度時角速度が定
格角速度より小さい(大きい)時は過度時角速度を用い
て前記電動機を加速(減速)し、過度時角速度が定格角
速度より大きく(小さく)なった時は定格角速度を用いて
定常運転に入るように制御し、励磁電圧Vd,トルク電
圧Vqと前述の角速度をサンプリング周期ごとに積算し
て求めた基本位相θから2相3相変換を用いて出力電圧
を求めるような場合、この励磁電圧Vd,トルク電圧V
q信号からU相,V相,W相の3相電圧に変換する2相
3相変換に置いて、デジタル制御回路を用いて処理する
場合には処理の高速化の観点から、正弦波のテーブルを
あらかじめ持っておき、基本位相θからこのテーブルを
用いてsinθ,cosθを算出しこの値と励磁電圧V
d,トルク電圧Vqから2相3相変換にて3相出力電圧
を決める手法を用いる。この制御回路に基本周波数の3
倍の周波数を持つ電圧波形を3相出力電圧各相に重畳さ
せる電圧利用率向上制御を加える場合に前述の基本位相
θを本制御内で作成しているため、この基本位相θを用
い3倍の位相を計算する。前述のように2相3相変換を
実施する際テーブルを用いてsinθ,cosθを求め
るが、この時同時にsin3θの分もテーブルを引いて
おく。これにより3倍周波数の信号が容易に作成できる
ので、3相出力電圧各相にこの3倍周波数の電圧波形を
重畳し電圧利用率の向上がはかれる。この時、励磁電圧
Vd,トルク電圧Vqの関係による位相差δが基本位相
と実出力電圧位相との間に現れるので、前述の3倍の位
相を求めるときに基本位相θにこの位相差δを足した後
3倍することで、実出力電圧波形と同期した3倍周波数
電圧を重畳することができる。さらにこの3倍周波数の
電圧の振幅は基本波電圧振幅の1/6(約20%)程度
が最も電圧利用率が向上できる。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
用いて説明する。
【0007】図1は、本発明の一実施形態を示す。図1
において、交流電源1に接続されるコンバータ2は交流
電圧を直流電圧に変換する。コンバータ2の直流出力側
には平滑コンデンサ3が並列に接続される。PWMイン
バータ4は、平滑コンデンサ4に接続され、直流電圧を
可変電圧,可変周波数の3相交流電圧に変換する。誘導
電動機5はPWMインバータ4の出力側に接続される。
ここで、6は電動機の瞬時電流を検出する電流変流器
(CT)、6−1,6−2,6−3はU相,V相,W相
の電流を検出するCTである。7は電動機を制御する制
御部、8は一定時間TS 毎に演算させるためのサンプリ
ングタイマであり、制御部7の演算の間隔はTS に依存
する。
【0008】制御部7は、角速度指令部9,A/D変換
器10,電流変換器11,すべり演算部12,加算器1
3,同期投入回路14,積算回路15,電圧指令部1
6,磁束電流指令部17,電動機定数回路18,ベクト
ル演算部19,正弦波発生部20,PWM演算回路21
および電圧利用率向上部22からなる。
【0009】角速度指令部9は角速度指令ω1 を出力す
る。A/D変換器10は電動機の交流電流iu,iv,i
wをサンプリング毎にアナログ瞬時値をディジタル値
u,Iv,Iwに変換する。電流変換器11は3相の相
電流を2相のα−β軸に変換し、さらに、回転座標のd
−q軸に変換する。その結果トルク電流成分Iqfと励磁
電流成分Idfを出力する。すべり演算部12はトルク電
流成分Iqfと励磁電流成分Idfからすべり角速度ωs
演算する。加算器13は角速度指令ω1 とすべり角速度
ωs を加算し、駆動角速度ωdrを得る。このため、電動
機回転数はより指令値に精度良く一致する。同期投入回
路14は、瞬時停電時再投入したとき、電動機電流と同
期投入設定電流および同期投入許可電流から比例・積分
制御を行い、補正角速度ωsuを出力する。補正角速度ω
suは、角速度指令部9に送られ、同期投入モードの演算
を行う。また、同期投入回路14は、定常運転時にトル
ク電流成分Iqfが正の同期投入許可電流より大きくなっ
た時、および負の同期投入許可電流より小さくなった時
も前記同様、同期投入モードの演算を行う。積算回路1
5は駆動角速度ωdrをサンプリング毎に積算し、位相θ
を得る。電圧指令部16は駆動角速度ωdrに比例した電
圧指令値V1 を得る。磁束電流指令部17は電動機の励
磁電流指令値Id*を出力する。電動機定数回路18は、
電圧指令値V1 と励磁電流指令値Id*と電動機トルク電
流Iqfを入力し、電動機の1次換算推定抵抗値r1*,1
次換算インダクタンスLσ,2次d軸磁束φ2d,相互イ
ンダクタンスM,2次インダクタンスL2 からトルク電
圧成分V1q,励磁電圧成分V1dを得る。ベクトル演算部
19は、トルク電圧成分V1q,励磁電圧成分V1dからベ
クトル演算し、電動機印加電圧の大きさVt とV1q,V
1dの位相差δを得る。正弦波発生部20は電動機電圧の
大きさVt と位相差δと位相θから電動機に印加する3
相交流電圧Vu,Vv,Vw を得る。電圧利用率向上部2
2はベクトル演算部19にて演算された電動機電圧の大
きさVt と位相差δそれに位相θを用いて3倍周波数の
電圧波形を作成し、正弦波発生部20から出力される3
相交流電圧Vu,Vv,Vwの各相に加算する。PWM演
算回路21は、3相交流電圧Vu,Vv,Vwと三角波等
の搬送波と比較し、PWMパルスTu,Tx,Tv,Ty
w,Tzを作る。このPWMパルスをインバータ4の半
導体素子のゲートに印加し、所望の周波数および交流電
圧を電動機に加えて駆動する。
【0010】次に、本実施形態を詳細に説明する。
【0011】図2は、角速度指令部9の詳細ブロックを
示す。9−1は電動機の定格周波数Fdef の設定部であ
る。9−2は定格周波数の1周期の時間幅Tdef の設定
部であり、1/Fdef で求まる。9−3は制御部7のサ
ンプリング時間Ts の設定部である。9−4は1周期の
サンプル回数Nsnp を演算する演算部であり、(数1)式
により演算する。9−5は正弦波を発生させるための電
気角360度を表現するテーブル数Ntbの演算部であ
る。9−6は定格角速度ωdef の演算部であり、サンプ
ル数Nsnp とテーブル数Ntbから(数2)式を用いて演
算する。
【0012】
【数1】
【0013】
【数2】
【0014】9−7は電動機が定格周波数Fdef まで加
速する加速時間Ta または減速時間−Ta の演算部であ
る。9−8は定格周波数Fdef まで加速するサンプル回
数Nsna の演算部であり、サンプリング時間Ts と加速
時間Ta から(数3)式を用いて求める。9−9は加速
角速度ωa および減速角速度−ωa の演算部であり、定
格角速度ωdef とサンプル回数Nsna から(数4)式に
より求める。
【0015】
【数3】
【0016】
【数4】
【0017】9−10は加速減速積算器であり、サンプ
リング時間毎に加速角速度ωa または減速角速度−ωa
を積算する。すなわち、(数5)式を用いて過渡時角速
度ωtrn を演算する。モード比較器9−11は加速モー
ドか定常モードを判定し、角速度指令ω1 を出力する。
すなわち、ωtrn <ωdef の間は加速モードであり、
(数6)式を使用し、ωtrn ≧ωdef になれば、定常モ
ードとなり、(数7)式を使用する。
【0018】
【数5】 ωtrn=ωtrn(n-1)+ωa …(数5)
【0019】
【数6】 ω1=ωtrn …(数6)
【0020】
【数7】 ω1=ωdef …(数7) 図3は、図2の9−1から9−6において作られた定格
角速度ωdef により正弦波を発生する状態を示す。図3
−1はサンプリング時間毎に定格角速度ωdefを積算し
て位相θを作る。積算された位相θは図3−2に示すよ
うに正弦波テーブル数Ntbに達したらクリアする。この
動作を繰り返せば、図3−1のように位相θは鋸歯状波
となる。図3−2のテーブルは電気角360度をNtb
割して正弦波データを入れておく。位相θはテーブルの
アドレスに相当するので、サンプリング毎に図3−1の
位相θが示す値からテーブルのアドレスを選択し、そこ
のデータを引き出せば、図3−3の正弦波(sinθ)
が得られる。また、位相θに対し、90度に相当したア
ドレスを加算してデータを引けば、余弦データが得ら
れ、余弦波(cosθ)が得られる。
【0021】図4は、図2の9−7から9−11までの
ブロック図の動作を図示したものである。加速時間Ta
(10秒間加速),定格周波数Fdef(50Hz)まで
としたとき、過渡時角速度ωtrn は、加速時間Ta 間サ
ンプリング時間Ts 毎に加速角速度ωa を加算する様子
がわかる。V1nはV/F一定制御におけるVに相当する
電圧を表わす。
【0022】図5は、加速度指令を演算するPAD図で
ある。過渡時角速度ωtrn と定格角速度ωdef を比較
し、ωtrn≧ωdefの条件を満たせば、定常モードとな
り、条件を満たさなければ、加速モードとなる。定常モ
ードの時は定格角速度ωdef を用い、(数7)式で角速
度指令ω1 を出力する。加速モードの時は(数5)式を
用いて演算し、(数6)式で角速度指令ω1 を出力す
る。
【0023】ここで、定常運転時に、加速角速度ωa
負の値にして加速減速積算器9−10によりマイナス加
算し、過渡時角速度ωtrn を減少させ、角速度指令ω1
を低下させると、電動機5を停止させることができる。
【0024】また、図1の同期投入回路14において、
同期投入モードの信号すなわち補正角速度ωsuを角速度
指令部9に出力したとき、図2の同期投入モード9−1
2を駆動し、同期投入積算部9−13で(数8)式を用
いて過渡時角速度演算ωtrnを行う。この時過渡時角速
度演算ωtrn は加速時に使用したものと同じであり、角
速度指令ω1 は(数8)式を使用し、減少させる。
【0025】
【数8】 ωtrn=ωtrn(n-1)−ωsu …(数8) 図1において、A/D変換器10は電動機交流のアナロ
グ値の瞬時電流iu,iv,iwをサンプルホールドし、
ディジタル値に変換する。変換されたディジタル値の3
相電流を電流変換器11において(数9)式により2相
のα−β軸に変換し、(数10)を用いて回転子座標で
あるd−q軸変換する。
【0026】図6は、(数9),(数10)式の関係をベ
クトル図に示す。変換された励磁成分Idfとトルク成分
dqから(数11)式を用いて電動機5のすべり角速度
ωsを求める。
【0027】
【数9】
【0028】
【数10】
【0029】
【数11】
【0030】ただし、ks は電動機5の励磁リアクタン
スLS と2次抵抗r2 から求まる。角速度指令ω1 は周
波数指令であり、電動機5はω1 よりすべりωs だけ遅
い回転数で回転している。加算器13によりω1 とωs
を加算して駆動角速度ωdrを得る。このため、電動機5
は角速度指令部9より指令された角速度ω1 に近い回転
数で駆動できる。駆動角速度ωdrは、(数12)式によ
り表わされる。
【0031】
【数12】 ωdr=ω1+ωs …(数12) 積算回路15は、駆動角速度ωdrを(数13)式のよう
に積算することにより、位相θを求める。図3に示した
ように、電気角で360度分の正弦波のデータをNtb
テーブルに分割して格納する。この時、位相θはサンプ
リング毎にωdrを積算していき、θの値がテーブル数N
tbになったとき、θを零にクリアすれば、図3に示すよ
うな鋸歯状が得られる。また、位相θは、正弦波テーブ
ルのアドレスに当たり、サンプリング毎に求めた位相θ
でテーブルを引けば、0から360度までの正弦波を連続
して得ることができる。
【0032】
【数13】 θ=ωdrn=ωdr(n-1)+ωdr …(数13) ここで、ωdrn は(数12)式に示した駆動角速度ωdr
の積算値と等しい。
【0033】ωdr(n-1) は前回の駆動角速度ωdrの積算
値である。
【0034】電圧指令部16は、(数14)式を用いて
駆動角速度ωdrに比例した値を得る。
【0035】
【数14】 V1=ωdr×Kv …(数14) ここで、Kv は比例定数である。
【0036】17は磁束電流指令部であり、電動機5に
相当した励磁電流を予め設定しておく。18は電動機定
数回路であり、r1*は1次換算抵抗値、Lσは1次換算
インダクタンス、L2 は2次インダクタンス、Mは相互
インダクタンス、φ2dは2次磁束である。これらの定数
と磁束電流Id*,駆動角速度ωdr,電動機のトルク成分
qfより、(数15),(数16)式を用いて電圧トルク
成分V1qと電圧励磁成分V1dを求める。
【0037】
【数15】
【0038】
【数16】 V1d=r1*×Id* af×ωdr×Lσ …(数16) 19はベクトル演算部であり、ここで行われるベクトル
演算を図10により説明する。トルク電圧V1qと励磁電
圧V1dの大きさを個別に制御することによりベクトル制
御は成り立つが、実際にインバータから出力される電圧
はこのトルク電圧V1qと励磁電圧V1dの合成電圧となる
このため、実際の出力電圧を求めるためにはV1qとV1d
から合成電圧の絶対値Vt と位相角δを(数17),(数
18)式により求める必要がある。
【0039】
【数17】
【0040】
【数18】
【0041】20は正弦波発生部である。電圧の大きさ
は(数17)式により求めたVt 、位相は(数13)式
により求めた位相θと(数18)式により求めたδを加
味したθd を使う。電動機5に印加する相電圧は、(数
20),(数21),(数22)に表わす。
【0042】
【数19】 θd=θ−δ …(数19)
【0043】
【数20】 Vu=Vt×sin(θd) …(数20)
【0044】
【数21】
【0045】
【数22】
【0046】21はPWM演算回路であり、正弦波発生
部20において演算した値Vu,Vv,Vw と三角波と比
較してPWMパルスを作る。すなわち、3相インバータ
の半導体素子のU相の上アームTu,下アームTxと、V
相の上アームTv ,下アームTy と、W相の上アームT
w、下アームTzにPWMパルスを供給して所定の周波
数,電圧を作り、誘導電動機5を駆動する。
【0047】22は電圧利用率向上部である。電圧利用
率向上は図7に示すように、3相出力電圧(基本波)の
3倍の周波数を持つ電圧波形を3相出力電圧各相に加算
することにより出力相電圧のピーク値を低減し、同じ直
流電圧でもインバータ出力線間電圧を高くできるように
したものである。基本波の3倍周波数の電圧は各相電圧
に同一波形を加算しているため、出力線間電圧から見る
とキャンセルされる。図7の(1)の波形は電圧利用率
向上前の基本波を示し、(2)は3倍周波数の加算電圧
を示す。(3)の波形は(1)と(2)の波形を加算し
たもので、(1)の波形に比べ、ピーク値が減少する。こ
の加算する3倍周波数の電圧波形(2)のピーク値を基
本波電圧波形(1)のピーク値に対し、16〜18%に
とると最も加算後の電圧波形ピーク値が小さくできる。
【0048】以下前述の3倍周波数電圧波形の作成法に
付き詳細を説明する。
【0049】図1の電圧利用率向上部22では正弦波発
生部20にて作成したθd から3倍周波数電圧波形の位
相θ3hを(数23)により求める。
【0050】
【数23】 θ3h=3×θd …(数23) さらに、ベクトル演算部19で(数17)にて求めた電
圧の大きさVt を使用し(数24)により加算する3倍
周波数電圧V3hを求める。
【0051】
【数24】 V3h=Vt ×0.16×sin(θ3h) …(数24) このときsin(θ3h)は正弦波発生部20にて使用し
た360度の正弦波テーブルを使用することにより簡単
に求められる。
【0052】次に、このテーブルを引く際の処理に付き
説明する。正弦波発生部20と電圧利用率向上部22の
ブロックにて実施しているテーブル処理は全くの同一処
理である。本発明のように位相と波形の変換をテーブル
を用いて実施する場合、もてるテーブルのデータ数およ
び分解能に制限があり誤差が大きくなるために問題とな
る。この解消法としてテーブル使用時に以下の操作を行
い、精度がよく、簡易なテーブル処理を実現する。
【0053】精度をよくするために位相θは16ビット
またはそれ以上の2進数データで扱うが、テーブルを1
6ビット分準備することはメモリ領域の増大という点か
ら好ましくない。一例として位相θを16ビットデー
タ,正弦波テーブルを512点(マイコン内アドレスH
‘0000〜H’03FF)とし、各テーブルの格納値
は16ビットデータとする。この正弦波テーブルをその
まま使用すると(数25)のごとき位相の分解能△θとな
りインバータの出力電圧波形を階段状にしてしまう。
【0054】
【数25】 △θ=360度÷512=0.7度 …(数25) 今、ある位相θ3h(16bit)の値が図8に示すように、
H‘1A86だとする。位相は16ビットであるが、正
弦波テーブルの数は512個で10ビットである。θ3h
(16bit)に相当する正弦波データを入手するためには
θ3h (16bit)の値を2の6乗でわり算して正弦波テー
ブル数に相当した値に変換が必要である。マイコンソフ
ト処理時にはこのわり算は値を6ビットシフトすること
で簡単に達成できる。位相θ3h(16bit)を10ビット
数に変換すると(数26)によりθ3h(10bit)が求め
られる。
【0055】
【数26】 θ3h(10bit)=θ3h(16bit)÷(2の6乗) =H‘1A86÷(2の6乗) =6A …(数26) このθ3h(10bit)は10ビットデータである。図8の
正弦波テーブルに示すように正弦波テーブル上のH‘6
A番地のデータがH‘4D81、その次のH’6C番地
のデータがH‘4EBFだったとする。H’6Aおよび
H‘6Cを16ビット数に変換するとそれぞれ、H’1
A80,H‘1B00となり、求めたいθ3h(16bit)
(H’1A86)のデータはこの2つのデータの中間に
なる。正弦波テーブルのH‘6AまたはH’6Cのどち
らの値を使用したにしろ、誤差が生じる。ここで、この
2つの正弦波テーブルデータをもとに求めたいθ3h(1
6bit)(H‘1A86)のデータを直線補間により算出
する。算出は(数27)を用いればいたって簡単に算出で
きる。
【0056】
【数27】 V1=H’AD81+(H’4EBF−H’AD81) ×(H’1A86−H’1A80)/(H’1B00−H’1A80) =H’4D8F …(数27) (数27)式の処理を実際に制御回路を用いて実現する
方法を図9により説明する。16bit のディジタル数で
ある3倍周波数波形の位相θ3h(16bit)はBIT変換
回路22−1に入力され、10bitのディジタル数θ
3h(10bit)に変換される。この値を基に正弦波テーブ
ル22−2でθ3h(10bit)に相当するデータD1とそ
の次のデータD1nextを取得する。そしてこの2つのデ
ータ間の数値差△Dを算出し補間値算出回路22−4に
入力する。一方10bit のディジタル値の位相θ3h(1
0bit)をBIT逆変換回路22−3にて再度16bitデ
ィジタル値にもどす。この値は一度10bitになってい
たため、16bitに戻しても下位6bitの数値は消去され
ている。この値と、求めたい位相θ3h(16bit)との誤
差△(θ3h)を求め、補間値算出回路22−4に入力す
る。補間値算出回路では前述の数値差△D,位相誤差△
3h)とあらかじめ分かっている正弦波テーブルのテー
ブル間隔を基に補間値を算出する。この補間値を位相θ
3h(10bit)に相当するテーブルデータに加算し、誤差
の極めて少ない正弦波データができる。さらに、本ブロ
ックでは3倍周波数電圧の振幅を決定するため、入力さ
れた基本波の振幅Vtに0.16をかけ、得られた正弦波
データに掛け合わせることで3倍周波数電圧V3hを求め
ている。
【0057】以上の処理により512個の正弦波テーブ
ルを使用しても、16ビット相当の精度にて正弦波を求
めることが可能となる。上記は16ビットと10ビット
の組合せにて述べたが制御システムによりこのビット数
が変更されても処理は同様に実施できる。
【0058】本実施例によればマイコン内では複雑とな
るsin,cosの三角関数計算を実施することなく、
あらかじめ設定されている正弦波テーブルを使用するこ
とで、精度良く高速に正弦波波形を得ることができ、同
時に正弦波の3倍周波数電圧重畳による電圧利用率向上
制御も精度よく高速に実施できる。これにより、制御回
路を大きく複雑なものにせずとも、所定線間電圧出力を
出力することのできる変換器をより小さく製作すること
が可能となる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
3倍周波数の電圧を3相出力電圧の各相に重畳して電圧
利用率を向上する手段として、複雑な計算を必要とせず
また特に新たな制御を追加することなしに簡便な方法に
より、擬似的な波形ではなく、基本周波数の3倍周波数
を持つ正弦波波形を算出し、その信号を3相出力電圧各
相に重畳することにより、制御に負荷をかけないでも、
容易に原理通りの電圧利用率向上を実施でき、PWMイ
ンバータの電圧利用率向上を実施することができる。
【0060】また本発明に依れば、正弦波テーブルを最
小限におさえ、使用メモリの増大を招くことなしに、精
度の良い正弦波波形算出が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す誘導電動機の制御構
成図。
【図2】本発明の特徴部を示す図1の角速度指令部の詳
細図。
【図3】本発明の定格角速度と正弦波発生原理の説明
図。
【図4】本発明の定格角速度まで加速するための加速角
速度との関係図。
【図5】本発明の定常モードと加速モードの決定方法の
PAD図。
【図6】電動機の3相交流電流とトルク電流と励磁電流
の関係を示す電流ベクトル図。
【図7】本発明の電圧利用率向上制御を説明する図。
【図8】本発明における正弦波テーブルの精度向上法を
説明する図。
【図9】本発明における電圧利用率向上部のブロック
図。
【図10】本発明における電圧のベクトル図。
【符号の説明】
1…交流電源、2…コンバータ、3…平滑コンデンサ、
4…PWMインバータ、5…誘導電動機、7…誘導電動
機の制御部、8…サンプリングタイマ、9…角速度指令
部、9−1…電動機定格周波数設定部、9−2…定格1
周期時間設定部、9−3…サンプリング時間設定部、9
−4…1周期サンプル数演算部、9−5…正弦波テーブ
ル数、9−6…定格角速度演算部、9−7…加速時間設
定部、9−8…加速サンプル回数演算部、9−9…加速
角速度および減速角速度演算部、9−10…加速減速積
算器、9−11…モード比較器、9−12…同期投入モ
ード指令部、9−13…同期投入積算器、11…電流変
換器、12…すべり演算部、13…加算器、14…同期
投入回路、15…積算回路、16…電圧指令部、17…
磁束電流指令部、18…電動機定数回路、19…ベクト
ル演算部、20…正弦波発生部、21…PWM演算回
路、22…電圧利用率向上部、22−1…BIT変換回
路、22−2…正波テーブル、22−3…BIT逆変換
回路、22−4…補間値算出回路。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】可変電圧,可変周波数の交流電圧を出力し
    て誘導電動機を駆動するベクトル制御PWMインバータ
    の制御方法であって、前記電動機の定格周波数,演算の
    ためのサンプリング時間,3相正弦波を作るテーブルの
    データ数に基づいて定格角速度をつくり、この定格角速
    度と加速時間(減速時間)から加速角速度(減速角速
    度)を演算し、サンプリング時間毎に加速角速度(減速
    角速度)を積算して過度時角速度をつくり、この過度時
    角速度を角速度指令として前記電動機を加速(減速)す
    る誘導電動機の制御方法において、基本周波数の3倍の
    周波数を持つ3倍周波数電圧を各相電圧に重畳し電圧利
    用率を向上する際、前述の角速度指令をもとに作成した
    基本波(出力電圧周波数と同じ)の位相を3倍した値を
    もとに前述の3相正弦波を作るテーブルから容易に3倍
    の周波数を持つ電圧波形をもとめ、インバータの出力電
    圧利用率の向上をはかることを特徴とする誘導電動機の
    制御方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、インバータの出力電圧
    の励磁電圧とトルク電圧による位相のずれを算出し、3
    倍周波数の電圧波形算出時に基本位相に対しその位相の
    ずれを補正した後3倍し、その値から正弦波テーブルを
    用いて3倍周波数の電圧波形を求めることにより、イン
    バータ端子電圧の位相に完全に同期した3倍周波数の電
    圧波形を重畳できることを特徴とする誘導電動機の制御
    方法。
  3. 【請求項3】請求項1および請求項2において、正弦波
    テーブルから正弦波波形を作成する際に、ディジタルデ
    ータのビット数を小さくする、または大きくするビット
    数変換回路とビット数逆変換回路,正弦波テーブル、お
    よび補間値算出回路を持ち、位相の数値をビット数の高
    いデジタル値として扱っておき、少ない数の正弦波テー
    ブルを参照する際に各テーブルデータ間を補間すること
    により、高精度に正弦波を算出し高精度な3倍周波数重
    畳による電圧利用率向上を実現することを特徴とする誘
    導電動機の制御方法。
  4. 【請求項4】請求項1,請求項2、および請求項3にお
    いて、電圧利用率向上のために、各相電圧に加算する基
    本波の3倍周波数電圧波形の振幅を基本波電圧波形の振
    幅の14〜20パーセントにすることにより電圧利用率
    の向上を最も効率よく実施することを特徴とする誘導電
    動機の制御方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7126306B2 (en) 2003-05-23 2006-10-24 Fanuc Ltd Motor control unit
JP2012143081A (ja) * 2010-12-29 2012-07-26 Fuji Electric Co Ltd 3相v結線式インバータの制御装置

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US7126306B2 (en) 2003-05-23 2006-10-24 Fanuc Ltd Motor control unit
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