JPH1169492A - 超音波探触子及びその製造方法 - Google Patents

超音波探触子及びその製造方法

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JPH1169492A
JPH1169492A JP22972297A JP22972297A JPH1169492A JP H1169492 A JPH1169492 A JP H1169492A JP 22972297 A JP22972297 A JP 22972297A JP 22972297 A JP22972297 A JP 22972297A JP H1169492 A JPH1169492 A JP H1169492A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超音波探触子において、素子配列方向と直交
するスライス方向に沿って簡単かつ低コストでアポダイ
ゼーション(重み付け)を行う。 【解決手段】 圧電体10の幅に対し、シグナル側電極
12及びグランド側電極14の幅が小さく設定され、か
つそれらは互いに異なる幅に設定されている。これによ
って圧電体10の上面及び下面にギャップG1及びG2
が形成され、そこでは容量結合によって重み付けが行わ
れる。ギャップG1及びG2には例えば接着剤などが充
填される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超音波探触子及びそ
の製造方法に関し、特に音響的なアポダイゼーション
(重み付け)の手法に関する。
【0002】
【従来の技術】一次元のアレイ振動子を備えた超音波探
触子では、一般に音響レンズが設けられ、その音響レン
ズによって振動素子の配列方向と直交する方向(スライ
ス方向、エレベーション方向)に超音波ビームが収束さ
れる。すなわち、配列方向(電子走査方向)については
電子フォーカスによって超音波ビームが絞り込まれ、ス
ライス方向については音響レンズによって超音波ビーム
が絞り込まれる。
【0003】音響レンズによる超音波ビームの収束性は
それによる焦点近傍において良好であるものの、焦点以
外の領域、特に超音波探触子の近傍領域では音響レンズ
のみによっては良好なスライス方向の分解能を得られな
い。
【0004】そこで、従来、スライス方向に沿って音響
的なアポダイゼーション(振幅(音圧)の重み付け)を
行って上記問題を軽減することが行われている。例え
ば、スライス方向に分極率を数段階に変える手法や電極
密度を変える手法などがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
手法では、簡単に低コストでアポダイゼーションを行う
ことはできなかった。例えば、分極率を変える手法では
分極処理にかかる工程が複雑化し、製造コストが多大と
なる。また、この手法では分極率が100%とならない
領域で分極率が不安定になる。一方、電極密度を変える
手法では、精密なエッチング技術などが要求され、製造
コストが増大する。なお、上記問題は一次元アレイ振動
子のみならず、他のタイプの超音波振動子でも同様に指
摘される。また、音響レンズを利用しないでアポダイゼ
ーションによってビームを形成するような場合にも上記
の問題が指摘される。
【0006】本発明は、上記従来の課題に鑑みなされた
ものであり、その目的は、簡単に低コストで超音波振動
子のアポダイゼーションを行うことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、圧電体
と、前記圧電体の上面に設けられ、重み付け方向に第1
の幅をもった上面電極と、前記圧電体の下面に設けら
れ、重み付け方向に第2の幅をもった下面電極と、前記
上面電極に電気的に接続された上面側リード電極と、前
記下面電極に電気的に接続された下面側リード電極と、
を含み、前記第1の幅及び前記第2の幅の少なくとも一
方は前記圧電体の幅よりも小さく、前記上面リード電極
及び前記下面リード電極の少なくとも一方と前記圧電体
との間には前記上面電極又は前記下面電極が介在しない
重み付け用のギャップが形成されたことを特徴とする。
【0008】上記構成によれば、リード電極と圧電体と
の間の一部分には電極が存在しないギャップが形成さ
れ、それがキャパシタのように機能して、音圧レベルを
引き下げる。よって、そのようなギャップを利用して重
み付けを行える。そのギャップは少なくとも圧電体の上
面及び下面の一方に設けられる。
【0009】本発明の望ましい態様では、前記第1の幅
と前記第2の幅はいずれも前記圧電体の幅より小さくか
つ互いに異なり、前記重み付け方向に沿って3段階の重
み付けが行われることを特徴とする。圧電体の上下にギ
ャップが形成されると最も抑圧作用が大きくなり、上下
の一方のみにギャップが形成されれば中程度の抑圧作用
になる。よって、ギャップが上下に存在しない部分を含
めて、単にギャップを設けるだけで3段階の重み付けを
行える。このように本発明によれば新規かつ簡単な手法
で重み付けを実現できる。なお、音響伝搬や構造上の安
定性を考慮して、前記ギャップには非導通材料が充填さ
れるのが望ましい。
【0010】本発明の望ましい態様では、前記ギャップ
を覆うリード電極部分の面積が前記圧電体の端部にかけ
て小さく設定されたことを特徴とする。このようにリー
ド電極の形状を可変させてギャップ領域内において更に
重み付けをもたせることができる。
【0011】なお、本発明による重み付けは音響レンズ
を使用しない場合でも使用され又はそれと組み合わせて
使用される。本発明によれば、簡単な構成で、特に音響
レンズでは改善できない超音波探触子近傍の分解能を向
上でき、また深さに対して分解能を均一化できる。
【0012】(2)上記目的を達成するために、本発明
は、圧電体の上面及び下面の全面に形成された上面電極
及び下面電極の少なくとも一方について、重み付け方向
の両端部を除去する工程と、前記圧電体の上面及び下面
に上面用リード電極及び下面用リード電極を設ける工程
であって、その際に電極除去領域といずれかのリード電
極との間にギャップを形成する工程と、を含むことを特
徴とする。
【0013】圧電体の上下全面に電極が形成された状態
で分極処理を行えば、その処理を簡単に行うことがで
き、更にエッチングによって所望の重み付けを達成でき
る。
【0014】本発明の望ましい態様では、前記電極除去
工程では、前記上面電極及び前記下面電極について、重
み付け方向にそれぞれ異なる幅を残すことを特徴とす
る。上面及び下面の内でいずれの方のギャップ幅を小さ
くしてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を
図面に基づいて説明する。
【0016】図1には、本発明に係る超音波探触子の断
面が示されている。図1において、圧電材料で構成され
る圧電体10の下面側にはシグナル側電極12が設けら
れ、圧電体10の上面側にはグランド側電極14が設け
られている。これらの電極は例えばスパッタ法等によっ
て形成されるものであり、その電極の厚みは例えば0.
5μm程度に設定される。
【0017】図1に示されるように、本実施形態では、
圧電体10のスライス方向(図において左右方向)の幅
よりもシグナル側電極12及びグランド側電極14の幅
が小さく設定されている。さらに、シグナル側電極12
よりもグランド側電極14の幅の方が小さく設定されて
いる。これによって、図示されるように、圧電体10の
下面側の両端にはギャップG2が存在し、一方、圧電体
10の上面側には両端にギャップG1が存在する。な
お、このギャップによる作用については後に詳述する。
【0018】圧電体10の上面側には、グランド側電極
14及びギャップG1が存在する露出領域の全面を覆う
ように、電気的な引き出しのためのグランドリード箔1
6が設けられている。このグランドリード箔16の端部
は圧電体10の側面を回り込んで引き出されており、こ
れによって図示されていない送受信回路にグランド側電
極14が電気的に接続される。これと同様に、圧電体1
0の下面側においては、シグナル側電極12及びギャッ
プG2が形成された露出領域の全面を覆うようにシグナ
ルFPC(フレキシブル印刷回路)18が設けられてい
る。このシグナルFPC18の左右端も引き出されてお
り、それが図示されていない送受信回路に接続される。
【0019】ちなみに、本実施形態では、ギャップG1
及びG2には例えば非導通性の接着剤等の樹脂が充填さ
れる。これによって、音響的な伝搬の確保及び構造上の
安定化が図られている。
【0020】グランド側電極14の上面側には第一音響
整合層20及び第二音響整合層22が設けられている。
これらの整合層20,22は生体の音響インピーダンス
と圧電体10の音響インピーダンスとのマッチングを図
るために設けられているものである。シグナルFPC1
8の下面側には後方に放射された超音波を吸収するため
のバッキング24が設けられている。
【0021】上述したギャップG1及びG2は例えばそ
の高さは3μmであるが、その大きさは適宜調整可能で
ある。
【0022】以上のように、スライス方向に沿って見た
場合、圧電体10の中央部においては、上下の面に電極
が形成され、そこから端部にかけて一方の電極のみが形
成されている領域及び両方の電極が除去されている領域
が形成されている。従って、このような超音波探触子に
おける送信波の音圧分布を考えると図2に示すようにな
る。
【0023】図2において横軸はスライス方向すなわち
エレベーション方向であり、圧電体中心から左右にかけ
て、両面に電極がある領域と、片面のみに電極がある領
域と、両面とも電極がない領域と、の3つの領域が形成
される。これによって三段階に重み付けを行うことが可
能である。ちなみに、このような重み付けは超音波の送
信時及び受信時の両者において機能する。
【0024】図3には、本実施形態の超音波探触子にお
ける超音波の送受波の面から見た等価回路が示されてい
る。上述した3つの領域に対応して便宜上圧電体10は
5つに区分けされ、そのうちの中央部分の両隣の領域に
おいては一方側においてギャップG1による容量が形成
されている。また、その両側の領域においてはギャップ
G1及びG2による2つの容量が形成されている。すな
わち、このような等価回路から理解されるように、ギャ
ップによる容量結合によって音響的なパワーに対する重
み付けが行われ、例えば中央部分の重み付けを100%
とした場合、一方側に容量結合が生じている場合には、
重み付けは50〜70%となり、両側に容量結合が生じ
ている場合には、重み付けは20〜40%となる。もち
ろん、このような重み付けの大きさは圧電体の誘電率や
ギャップの大きさとそこに充填される接着剤の誘電率に
依存するものである。
【0025】以上のように、図1に示す構成によれば、
電極の大きさを調整するだけで簡単に重み付けを行うこ
とができ、従来のような煩雑な処理は不要となる。
【0026】ちなみに、ギャップG1及びG2が形成さ
れている露出領域を覆った電極(リード)の面積をその
端部にかけて徐々に変化させれば、電極がない領域にお
いて重み付けの勾配を設定することができる。例えば、
ギャップG2に対応するシグナルFPCの部分の幅(ス
ライス方向と直交する方向幅)をシグナル側電極12か
ら端部にかけて徐々に細くするように形成してもよい。
【0027】次に、本発明に係る超音波探触子の製造方
法について図4を用いて説明する。図4において、S1
01では、スパッタ法などによって平板状の圧電体10
に対してその上面及び下面に一定の厚さで電極が形成さ
れる。S102では、そのように形成された2つの電極
を利用して圧電体10に対する分極処理がなされる。こ
れは直流の高電圧を印加することによって行われる。
【0028】S103では、上面電極及び下面電極を形
成するため、S101で形成された上面および下面の全
面電極に対する両端のカッティングが行われる。具体的
には、電極をエッチングすることによって必要な電極部
分のみが残されることになる。そのエッチング後の状態
が図5に示されている。次に、S104では、接着剤等
によって図5に示すアッセンブリに対してシグナルFP
C18及びグランドリード箔16が接着され、更に図1
に示したように、第一音響整合層20及び第二音響整合
層22が設けられ、下面側にはバッキング24が設けら
れる。第一音響整合層20が導電体である場合には、グ
ランドリード箔16を省いて、第一音響整合層をグラン
ドリード箔と兼ねて使用することができる。そして、S
105では、そのように形成された組み立て体に対して
各振動素子を分離するために素子配列方向に沿ってカッ
ティングが行われる。その状態が図6に示されている。
ちなみに、シグナルFPC18の配線パターンはこのカ
ッティングに対応するようにあらかじめ設定しておく。
【0029】図6に示すような超音波探触子によれば、
上述したように、簡単な構成によって重み付けを実現で
き、これによって深さ方向に渡って良好なスライス分解
能を得ることができる。特に、図4に示す製造方法によ
れば、圧電体の上下の全面に電極を形成してそれを利用
して分極処理を行った後にエッチングによって必要な幅
の電極を形成できるので、分極処理を従来同様に行いつ
つ簡単な処理によって重み付けを実現できる。
【0030】図4に示す製造方法では、圧電体の上下の
全面に電極を形成し、それを利用して分極処理を行って
いたが、圧電体の上下の電極を必要な幅で形成し、リー
ド電極で覆った後、都合のよい工程で分極処理を施すこ
とも可能である。
【0031】ちなみに、図1に示した構成では、グラン
ド側電極14及びシグナル側電極12の両者を互いに異
なる幅としたが、重み付けを二段階に行う場合にはそれ
らの幅を一致させてもよいし、あるいはグランド側電極
14またはシグナル側電極12の片方のみについて重み
付け方向に沿って幅を狭くしてもよい。それらの幅を異
ならせれば三段階の重み付けを実現できる。また、図1
に示す構成では、シグナル側電極12よりもグランド側
電極14の幅を小さく設定したが、必ずしもそれには限
定されず、シグナル側電極12の幅の方を小さくしても
よい。
【0032】上記実施形態では直線状に配列されたアレ
イ振動子についての説明を行ったが、例えば曲線状に各
振動素子が配列されるコンベックス型の超音波探触子に
も本発明を適用でき、さらに、図7に示すような円形の
圧電体10を利用する円盤形振動子にも本発明を適用で
きる。すなわち、図7に示すように中心から直径方向に
三段階の重み付けを行うものである。
【0033】以上は三段階までの重み付けを行う場合で
あるが、ギャップを覆うリード電極部分の配列方向の幅
を端部に近づくほど狭くしたり、または電極の重み付け
方向の幅を一様とする代わりに電極密度的に端部に近づ
くほど低くなるように、電極の幅に変化をもたせること
によって、連続的な重み付けも可能となる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
簡単にかつ低コストで超音波振動子のアポダイゼーショ
ンを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る超音波探触子の断面を示す断面
図である。
【図2】 エレベーション方向に沿った重み付けを示す
特性図である。
【図3】 超音波探触子の等価回路である。
【図4】 超音波探触子の製造方法を示すフローチャー
トである。
【図5】 シグナル側電極及びグランド側電極が形成さ
れた圧電体を示す図である。
【図6】 カッティングがなされた後の超音波探触子を
示す図である。
【図7】 他の実施形態を示す図である。
【符号の説明】 10 圧電体、12 シグナル側電極、14 グランド
側電極、16 グランドリード箔、18 シグナルFP
C、20 第一音響整合層、22 第二音響整合層、2
4 バッキング。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電体と、 前記圧電体の上面に設けられ、重み付け方向に第1の幅
    をもった上面電極と、 前記圧電体の下面に設けられ、重み付け方向に第2の幅
    をもった下面電極と、 前記上面電極に電気的に接続された上面側リード電極
    と、 前記下面電極に電気的に接続された下面側リード電極
    と、 を含み、 前記第1の幅及び前記第2の幅の少なくとも一方は前記
    圧電体の幅よりも小さく、 前記上面リード電極及び前記下面リード電極の少なくと
    も一方と前記圧電体との間には前記上面電極又は前記下
    面電極が介在しない重み付け用のギャップが形成された
    ことを特徴とする超音波探触子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の超音波探触子において、 前記第1の幅と前記第2の幅はいずれも前記圧電体の幅
    より小さくかつ互いに異なり、 前記重み付け方向に沿って3段階の重み付けが行われる
    ことを特徴とする超音波探触子。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の超音波探触子において、 前記ギャップには非導通材料が充填されることを特徴と
    する超音波探触子。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の超音波振動子において、 前記ギャップを覆うリード電極部分の面積が前記圧電体
    の端部にかけて小さく設定されたことを特徴とする超音
    波探触子。
  5. 【請求項5】 圧電体の上面及び下面の全面に形成され
    た上面電極及び下面電極の少なくとも一方について、重
    み付け方向の両端部を除去する工程と、 前記圧電体の上面及び下面に上面用リード電極及び下面
    用リード電極を設ける工程であって、その際に電極除去
    領域といずれかのリード電極との間にギャップを形成す
    る工程と、 を含むことを特徴とする超音波探触子の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の方法において、 前記電極除去工程では、前記上面電極及び前記下面電極
    について、重み付け方向にそれぞれ異なる幅を残すこと
    を特徴とする超音波探触子の製造方法。
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