JPH116914A - カラーフィルタ及びそれを用いたカラー液晶表示装置 - Google Patents

カラーフィルタ及びそれを用いたカラー液晶表示装置

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JPH116914A
JPH116914A JP17324897A JP17324897A JPH116914A JP H116914 A JPH116914 A JP H116914A JP 17324897 A JP17324897 A JP 17324897A JP 17324897 A JP17324897 A JP 17324897A JP H116914 A JPH116914 A JP H116914A
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JP17324897A
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Hideo Ido
英夫 井戸
Shinichi Yamada
申一 山田
Tomohiko Hatano
智彦 幡野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂ブラックマトリックスを用いたカラーフ
ィルタであって、残像等の表示不良が発生するという問
題がなく、かつ、スペーサーによる光の散乱や透過によ
り液晶表示素子の表示品位が低下することがないカラー
フィルタを提供すること。 【解決手段】 透明基板上にブラックマトリックスを設
け、該ブラックマトリックスの開口部及び該ブラックマ
トリックス上の一部を被覆するように3原色から成る着
色層を設けたカラーフィルタにおいて、(A)該ブラッ
クマトリックスが、少なくとも遮光剤を樹脂中に分散さ
せて成る樹脂ブラックマトリックスであり、(B)該樹
脂ブラックマトリックス上の一部に3原色から成る着色
層の積層により形成されたドット状スペーサーを複数設
け、(C)該ブラックマトリックスのパターンエッジ部
上でのカラーフィルタ表面の傾斜角φS が25°以下で
あることを特徴とするカラーフィルタを提供した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子に使
用されるカラーフィルタ及びそれを用いたカラー液晶表
示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にカラーフィルタは、透明基板上に
形成された赤、緑、青の3原色の着色層を一絵素として
多数の絵素から構成されている。そして、各着色層間に
は、表示コントラストを高めるために遮光領域(画面上
では、一般に黒色に見えることから、ブラックマトリッ
クスと称されている)が設けられている。
【0003】カラーフィルタ上に着色層を形成する方法
としては、フォトリソグラフィ法を用いて形成した可染
媒体を染色する方法、感光性の顔料分散組成物を用いる
方法、非感光性の顔料分散組成物をエッチングする方
法、パターニングした電極を利用した電着法等の他に、
低コストの製造方法として印刷法やインクジェット法で
着色部分を形成する方法もある。
【0004】また、従来のカラーフィルターのブラック
マトリックスは、微細にパターニングされた金属薄膜、
あるいは遮光剤により着色された樹脂をパターニングす
ることにより形成されることが多い。
【0005】また、従来使用されているカラー液晶表示
装置は、液晶層の厚み(セルギャップ)を保持するため
に、一般に薄膜トランジスタ(TFT)や、複数の走査
電極等を具備した電極基板とカラーフィルタ側の基板と
の間にプラスチックビーズ又はガラスビーズ若しくはガ
ラスカットファイバーをスペーサーとして有する。ここ
でプラスチックビーズ等のスペーサーは散布されるた
め、電極基板とカラーフィルタ基板のどの位置(面内位
置)に配置されるか定まっていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】金属薄膜によるブラッ
クマトリックスの場合、反射光が大きく、また、製造コ
ストが高く、さらにはパターン加工を行なう際に6価ク
ロム等の有害な物質を生成し、環境汚染が問題となる場
合もある。金属酸化物、あるいは金属窒化物を用いた多
層膜によるブラックマトリックスの場合は、反射光は小
さくなるものの、製造コスト、及び環境汚染の問題につ
いては軽減されない。一方、遮光剤によって着色された
樹脂をパターニングして得られたブラックマトリックス
の場合、金属薄膜の場合に比べ、低反射という利点があ
るものの、金属薄膜に比べ膜厚当りの遮光性が低いた
め、膜厚を厚くする必要がある。しかしながら、樹脂ブ
ラックマトリックスを用いると、残像等の表示不良が発
生するという問題が生じる。また、プラスチックビーズ
等をスペーサーとして用いるカラー液晶表示素子におい
ては、プラスチックビーズ等のスペーサーの位置が定ま
っておらず、画素上に位置するスペーサーによる光の散
乱や透過により液晶表示素子の表示品位が低下するとい
う問題がある。
【0007】従って、本発明の目的は、樹脂ブラックマ
トリックスを用いたカラーフィルタであって、残像等の
表示不良が発生するという問題がなく、かつ、スペーサ
ーによる光の散乱や透過により液晶表示素子の表示品位
が低下することがないカラーフィルタ及びそれを用いた
カラー液晶表示装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、鋭意研
究の結果、樹脂ブラックマトリックスを用いるとブラッ
クマトリックスのパターンエッジ部上でのカラーフィル
タ表面の傾斜角が大きくなり、これが液晶配向の不均一
をもたらし残像等の表示不良が発生することを見出し、
該傾斜角を一定値以下に設定することによりこの問題を
解決できることを見出し、さらに、スペーサーを着色層
の積層により形成することにより、上記のスペーサーに
関する問題も同時に解決できることを見出して本発明を
完成した。
【0009】すなわち、本発明は、透明基板上にブラッ
クマトリックスを設け、該ブラックマトリックスの開口
部及び該ブラックマトリックス上の一部を被覆するよう
に3原色から成る着色層を設けたカラーフィルタにおい
て、(A)該ブラックマトリックスが、少なくとも遮光
剤を樹脂中に分散させて成る樹脂ブラックマトリックス
であり、(B)該樹脂ブラックマトリックス上の一部に
3原色から成る着色層の積層により形成されたドット状
スペーサーを複数設け、(C)該ブラックマトリックス
のパターンエッジ部上でのカラーフィルタ表面の傾斜角
φs が25°以下であることを特徴とするカラーフィル
タを提供する。また、本発明は、一対の透明基板とこれ
ら両透明基板により挟持された液晶層とで構成されたカ
ラー液晶表示装置において、その一方の基板が上記本発
明のカラーフィルタであることを特徴とするカラー液晶
表示装置を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の液晶表示素子用カラーフ
ィルタは、透明基板上に、遮光剤を樹脂中に分散させて
成るブラックマトリックス層を設け、さらにその上に3
原色から成る着色層を塗布、パターン加工して開口部及
びブラックマトリックス上の一部に積層せしめて成る。
【0011】本発明に用いられる透明基板としては、特
に限定されるものではなく、石英ガラス、ホウケイ酸ガ
ラス、アルミノケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートし
たソーダライムガラスなどの無機ガラス類、有機プラス
チックのフィルム又はシート等が好ましく用いられる。
【0012】透明基板上に遮光剤を樹脂中に分散させて
成るブラックマトリックスを設ける。ブラックマトリッ
クスに用いられる樹脂としては、特に限定されないが、
エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポ
リエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン
系樹脂などの感光性又は非感光性の材料が好ましく用い
られる。ブラックマトリックス用樹脂は、画素や保護膜
に用いられる樹脂よりも高い耐熱性を有する樹脂が好ま
しく、また、ブラックマトリックス形成後の工程で使用
される有機溶剤に耐性を持つ樹脂が好ましいことからポ
リイミド系樹脂が特に好ましく用いられる。
【0013】ここで、ポリイミド樹脂としては、特に限
定されるものではないが、通常下記一般式[I]で表さ
れる構造単位を主成分とするポリイミド前駆体(n=1
〜2)を、加熱又は適当な触媒によってイミド化したも
のが好適に用いられる。
【0014】
【化1】
【0015】また、ポリイミド系樹脂には、イミド結合
の他に、アミド結合、スルホン結合、エーテル結合、カ
ルボニル結合等のイミド結合以外の結合が含まれていて
も差支えない。
【0016】上記一般式[I] 中、R1 は少なくとも2個
以上の炭素原子を有する3価又は4価の有機基である。
耐熱性の面から、R1 は環状炭化水素、芳香族環又は芳
香族複素環を含有し、かつ、炭素数6〜30の3価又は
4価の基が好ましい。R1 の例として、フェニル基、ビ
フェニル基、ターフェニル基、ナフタレン基、ペリレン
基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジ
フェニルプロパン基、ベンゾフェノン基、ビフェニルト
リフルオロプロパン基、シクロブチル基、シクロペンチ
ル基等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0017】R2 は少なくとも2個以上の炭素原子を有
する2価の有機基であるが、耐熱性の面から、R2 は環
状炭化水素、芳香族環又は芳香族複素環を含有し、かつ
炭素数6〜30の2価の基が好ましい。R2 の例とし
て、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフ
タレン基、ペリレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェ
ニルスルホン基、ジフェニルプロパン基、ベンゾフェノ
ン基、ビフェニルトリフルオロプロパン基、ジフェニル
メタン基、シクロヘキシルメタン基等が挙げられるがこ
れらに限定されない。構造単位[I] を主成分とするポリ
マーは、R1 、R2 がこれらのうち各々1種から構成さ
れていてもよいし、各々2種以上から構成される共重合
体であってもよい。さらに、基板との接着性を向上させ
るために、耐熱性を低下させない範囲でジアミン成分と
して、シロキサン構造を有するビス(3−アミノプロピ
ル)テトラメチルジシロキサンなどを共重合するのが好
ましい。
【0018】構造単位[I] を主成分とするポリマーの具
体的な例として、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'-
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-
ビフェニルトリフルオロプロパンテトラカルボン酸二無
水物、3,3',4,4'-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸
二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二
無水物等から成る群から選ばれた1種以上のカルボン酸
二無水物と、パラフェニレンジアミン、3,3'- ジアミノ
ジフェニルエーテル、4,4'- ジアミノジフェニルエーテ
ル、3,4'- ジアミノジフェニルエーテル、3,3'- ジアミ
ノジフェニルスルホン、4,4'- ジアミノジフェニルスル
ホン、4,4'- ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4'-
ジアミノジフェニルメタンなどの群から選ばれた1種以
上のジアミンから合成されたポリイミド前駆体が挙げら
れるが、これらに限定されない。これらのポリイミド前
駆体は公知の方法、すなわち、テトラカルボン酸二無水
物とジアミンを選択的に組み合わせ、溶媒中で反応させ
ることにより合成される。
【0019】ブラックマトリックス用の遮光剤として
は、カーボンブラック、酸化チタン、四酸化鉄等の金属
酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉の他に、赤、青、緑色
の顔料の混合物等を用いることができる。この中でも、
特にカーボンブラックは遮光性が優れており、特に好ま
しい。分散の良い粒径の小さいカーボンブラックは主と
して茶系統の色調を呈するので、カーボンブラックに対
する補色の顔料を混合させて無彩色にするのが好まし
い。
【0020】ブラックマトリックス用の樹脂がポリイミ
ドの場合、黒色ペースト溶媒としては、通常、N−メチ
ル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系極性溶媒、
γ−ブチロラクトンなどのラクトン系極性溶媒等が好適
に使用される。
【0021】カーボンブラックや、カーボンブラックに
対して補色の顔料等の遮光剤を分散させる方法として
は、例えば、ポリイミド前駆体溶液中に遮光剤や分散剤
等を混合させた後、三本ロール、サンドグラインダー、
ボールミルなどの分散機中で分散させる方法などがある
が、この方法に特に限定されない。また、カーボンブラ
ックの分散性向上、あるいは塗布性やレベリング性向上
のために種々の添加剤が加えられていてもよい。
【0022】樹脂ブラックマトリックスの製法として
は、黒色ペーストを透明基板上に塗布、乾燥した後に、
パターニングを行う。黒色ペーストを塗布する方法とし
ては、ディップ法、ロールコーター法、スピナー法、ダ
イコーティング法、ワイヤバーによる方法などが好適に
用いられ、この後、オーブンやホットプレートを用いて
加熱乾燥(セミキュア)を行う。セミキュア条件は、使
用する樹脂、溶媒、ペースト塗布料により異なるが、通
常60〜200℃で1〜60分加熱することが好まし
い。
【0023】このようにして得られた黒色ペースト被膜
は、樹脂が非感光性の樹脂である場合は、その上にポジ
型フォトレジストの被膜を形成した後に、また、樹脂が
感光性の樹脂である場合は、そのままかあるいは酸素遮
断膜を形成した後に、露光、現像を行う。必要に応じ
て、ポジ形フォトレジスト又は酸素遮断膜を除去し、ま
た、加熱乾燥(本キュア)する。本キュア条件は、前駆
体からポリイミド系樹脂を得る場合には、塗布料により
若干異なるが、通常200〜300℃で1〜60分加熱
するのが一般的である。以上のプロセスにより、透明基
板上にブラックマトリックスが形成される。
【0024】樹脂ブラックマトリックスの膜厚は、好ま
しくは0.5〜1.5μm、より好ましくは0.8〜
1.2μmである。この膜厚が0.5μmよりも薄い場
合には十分なセルギャップの確保が難しくなり、また、
遮光性が不十分になることからも好ましくない。一方、
膜厚が1.5μmよりも厚い場合には、遮光性は確保で
きるものの、カラーフィルターの平坦性が犠牲になり易
く、段差が生じやすい。表面段差が生じた場合、カラー
フィルタ上部に透明導電膜や液晶配向膜を形成させても
段差はほとんど軽減されず、液晶配向膜のラビングによ
る配向処理が不均一になったり、セルギャップにバラツ
キが生じたりして、液晶表示素子の表示品位が低下す
る。このような場合に表面段差を小さくするためには、
着色層上に透明保護膜を設けることが有効である。
【0025】また、樹脂ブラックマトリックスの遮光性
は、OD値(透過率の逆数の常用対数)で表されるが、
液晶表示素子の表示品位を向上させるためには、好まし
くは2.5以上であり、より好ましくは3.0以上であ
る。また、樹脂ブラックマトリックスの膜厚の好適な範
囲を前述したが、OD値の上限は、これとの関係で定め
られるべきである。
【0026】樹脂ブラックマトリックスの反射率は、反
射光による影響を低減し液晶表示素子の表示品位を向上
させるために、400〜700nmの可視領域での視感
度補正された反射率(Y値)で2%以下が好ましく、よ
り好ましくは1%以下である。
【0027】樹脂ブラックマトリックス間には通常(2
0〜200)μmx(20〜300)μmの開口部が設
けられるが、この開口部を少なくとも被覆するように3
原色のそれぞれの着色層が複数配列される。すなわち、
1つの開口部は、3原色のいずれか1つの着色層により
被覆され、各色の着色層が複数配列される。
【0028】カラーフィルターを構成する着色層は、少
なくとも3原色の色彩を含む。すなわち、加色法により
カラー表示を行う場合は、赤(R)、緑(G)、青
(B)の3原色が選ばれ、減色法によりカラー表示を行
う場合は、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー
(Y)の3原色が選ばれる。一般には、これらの3原色
を含んだ要素を1単位としてカラー表示の絵素とするこ
とができる。着色層には、着色剤により着色された樹脂
が用いられる。
【0029】着色層に用いられる着色剤としては、有機
顔料、無機顔料、染料等を好適に用いることができ、さ
らには、紫外線吸収剤、分散剤、レベリング剤等の種々
の添加剤を添加してもよい。有機顔料としては、フタロ
シアニン系、アジレーキ系、縮合アゾ系、キナクリドン
系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系が好適
に用いられる。
【0030】着色層に用いられる樹脂としては、エポキ
シ樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等
の感光性又は非感光性の材料が好ましく用いられ、着色
剤をこれらの樹脂中に分散あるいは溶解させて着色する
ことが好ましい。感光性の樹脂としては、光分解型樹
脂、光架橋型樹脂、光重合型樹脂等のタイプがあり、特
にエチレン不飽和結合を有するモノマ、オリゴマ又はポ
リマと紫外線によりラジカルを発生する開始剤とを含む
感光性組成物、感光性ポリアミック酸組成物等が好適に
用いられる。非感光性の樹脂としては、上記の各種ポリ
マ等で現像処理が可能なものが好ましく用いられるが、
透明導電膜の製膜工程や液晶表示装置の製造工程でかか
る熱に耐えられるような耐熱性を有する樹脂が好まし
く、また、液晶表示装置の製造工程で使用される有機溶
剤への耐性を持つ樹脂が好ましいことから、ポリイミド
系樹脂が特に好ましく用いられる。ここで、好ましいポ
リイミド樹脂としては、上記した樹脂ブラックマトリッ
クスの材料として好ましく用いられるポリイミド樹脂を
挙げることができる。
【0031】着色層を形成する方法としては、樹脂ブラ
ックマトリックスを形成した基板上に塗布、乾燥した後
に、パターニングを行う。着色剤を分散又は溶解させ着
色ペーストを得る方法としては、溶媒中に樹脂と着色剤
を混合させた後、三本ロール、サンドグラインダー、ボ
ールミルなどの分散機中で分散させる方法などがある
が、この方法に特に限定されない。
【0032】着色ペーストを塗布する方法としては、黒
色ペーストの場合と同様、ディップ法、ロールコーター
法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤーバーに
よる方法等が好適に用いられ、この後、オーブンやホッ
トプレートを用いて加熱乾燥(セミキュア)を行う。セ
ミキュア条件は、使用する樹脂、溶媒、ペースト塗布量
により異なるが通常60〜200℃で1〜60分加熱す
ることが好ましい。
【0033】このようにして得られた着色ペースト被膜
は、樹脂が非感光性の樹脂である場合は、その上にポジ
型フォトレジストの被膜を形成した後に、また、樹脂が
感光性の樹脂である場合は、そのままかあるいは酸素遮
断膜を形成した後に、露光、現像を行う。必要に応じ
て、ポジ型フォトレジスト又は酸素遮断膜を除去し、加
熱乾燥(本キュア)する。本キュア条件は、樹脂により
異なるが、前駆体からポリイミド系樹脂を得る場合に
は、通常200〜300℃で1〜60分加熱するのが一
般的である。以上のプロセスにより、ブラックマトリッ
クスを形成した基板上にパターニングされた着色層が形
成される。
【0034】上記のようにブラックマトリックスを形成
した基板上に第1色目の着色層を全面にわたって形成し
た後に、不必要な部分をフォトリソグラフィ法により除
去し、所望の第1色目の着色層のパターンを形成する。
この場合、ブラックマトリックスの開口部を少なくとも
被覆する部分と、着色層の積層によりスぺーサーを形成
する部分に着色層を残す。第2色目も同様な操作を繰り
返し、樹脂ブラックマトリックスの開口部上には1層の
着色層が、また、スペーサーには2層の着色層が残るよ
うに着色層を形成する。同様にブラックマトリックス上
にドット状スペーサーを構成するために前記2層の着色
層で形成される土台の上に最上層の着色層(第3色目)
を形成する。
【0035】本発明のカラーフィルターでは、ブラック
マトリックスのパターンエッジ部上でのカラーフィルタ
表面の傾斜角φs が25°以下であり、好ましくは20
°以下である。本発明でいう、「傾斜角φs 」について
図1に基づいて説明する。図1はカラーフィルターの模
式断面図である。図1に示されるカラーフィルタ24
は、透明基板19上にブラックマトリックス20及び該
ブラックマトリックス20の開口部上及び該ブラックマ
トリックスの一部上に設けられた着色層25を有する。
なお、図1中、21、22、23から成る積層物は、着
色層の積層によりブラックマトリックス上に形成された
ドット状スペーサーである。着色層25は、ブラックマ
トリックス20の開口部の中央付近は図示のように平坦
であるが、ブラックマトリックス20のパターンエッジ
部上では、図示のように、ブラックマトリックス20の
ために着色層25が盛り上がる。「傾斜角φs 」の定義
を説明するために、ブラックマトリックス20のパター
ンエッジ部上の着色層の盛り上がり部分を拡大したもの
を図3に示す。図3に示されるように、作製されたカラ
ーフィルタ表面の平坦部分からの盛り上がりの頂点の高
さhの下から3/10の高さh2 にあるカラーフィルタ
表面の点Bと、同じく上記高さhの頂点から3/10の
高さh1 にあるカラーフィルタ表面の点Aとを結ぶ直線
と、カラーフィルタ表面の平坦部分がなす角を「傾斜角
φs 」と定義する。なお、図3に示す例では、透明膜及
び透明電極は形成されていないが、透明膜又は透明膜と
透明電極を形成する場合には、上記「頂点」は最表面の
頂点を意味し、上記「平坦部分」も最表面の平坦部分を
示す。また、透明膜(及び透明電極)が形成される場合
には、カラーフィルタ表面の盛り上がり部分の頂点が不
明瞭又は存在しない場合もあるが、その場合には、色素
層の頂点を上方向に延長した線と透明膜(又は透明電
極)表面との交点をカラーフィルタ表面の頂点とする。
なお、着色層上に透明膜30が形成された模式断面図を
図4に示す。また、ドット状スペーサー最上層部分の傾
斜角φD も同様に定義されるが、この場合、「平坦部
分」は、スペーサーの上から2層目の平坦部分を意味す
る。なお、傾斜角φs 及びφD は、カラーフィルタを切
断し、その断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察する
ことにより測定することができる。また、これ以外にも
触針式の表面荒さ計やAFMでも測定することができ
る。
【0036】傾斜角φs は、着色層の厚さを厚くしたり
(後述のように好ましくは1.6μm以上)、それでも
不十分な場合には着色層を研磨することにより25°以
下、好ましくは20°以下に調整することができる。
【0037】また、本発明のカラーフィルタでは、着色
層の積層により形成されるスペーサーの最上層に関して
ドット状スペーサー最上層部分の傾斜角φD と画素部を
形成するストライプ部分の上記傾斜角φS が、 90°≧φD >φS の関係となるように第3色目を形成することが好まし
い。あるいは必要に応じて後述のように透明膜を設ける
ことにより上記の関係を満足するようにしてもよい。透
明膜としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコー
ン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられるが特にこれらに
限定されるものではない。透明膜を形成するための塗液
の塗布方法は、スピナー等の回転塗布方法、ディップ塗
布方法、カーテンフロー塗布方法、ロールコータ法等が
挙げられる。塗膜の加熱方法としてはホットプレート、
熱風オーブン等が挙げられる。この透明保護層を有する
カラーフィルタにおいてドット状スペーサー上の保護膜
の膜厚tD と画素上の保護膜の膜厚tS の関係は、tS
>tD であることが望ましい。さらに本発明に開示され
た構造を有することは保護膜等により表面形状を平坦化
しないO/Cレス構造のカラーフィルタにおいてその効
果は顕著である。
【0038】この形状及び各角度を図1に示す。図1
は、画素ストライプに垂直かつカラーフィルタ基板平面
の法線を含む平面での断面図である。ここで傾斜角φD
及びφS はそれぞれ図1に示された部分の角度と定義す
る。なお、φD 及びφS は上記の関係式を満足するもの
であればよいが、φD は60〜90°が好ましい。
【0039】このように、ドット状スペーサーを構成す
る部分での傾斜角を急峻にし、同時に形成される画素部
のストライプのパターンサイド部分を緩やかな傾斜角に
加工するためには、 (イ)画素の厚膜化による方法 (ロ)透明膜塗設による方法 の2種類の方法が考えられる。
【0040】(イ)画素の厚膜化による方法 前述の通り、着色層の膜厚を厚くすることによって、画
素ストライプのパターンサイド部分の傾斜角を25°以
下にすることが可能となる。
【0041】(ロ)透明膜塗設による方法 透明膜を塗設するとそのレベリング効果によりストライ
プパターンエッジ部分の平坦性が向上することが知られ
ている。この効果をうまく制御すれば本発明に開示され
た構造をとるカラーフィルタを得る方法として利用でき
る。すなわち、例えば、透明膜となる塗液として流動性
が高く、比較的乾燥しにくい特性のものを選ぶと前述の
レジストと同様に画素ストライプ部上の透明膜の膜厚t
S よりもドット状スペーサー上の透明膜の膜厚tD を小
さくするように制御する。このように透明膜を塗設する
ことによりドット状スペーサー部ではφD を急峻なまま
維持し、画素ストライプ部のパターンエッジのφS を小
さくすることができる。このような透明膜の塗設は、カ
ラーフィルタの構造を複雑にし製造コストが高くなる点
で不利であるが、一方セルギャップ相当高さの制御、カ
ラーフィルタ表面からの不純物のシミ出し防止、表面平
坦化、物理特性特にドット状スペーサーの物理特性改善
に有利であり、総合的な要求特性を鑑みてその採用の可
否を判断されるべきである。
【0042】3原色の膜厚は、特に限定されないが、1
層当たり1.6〜3μmであることが好ましく、この場
合の3原色の着色層の各膜厚の合計は4.8〜9μmと
なる。着色層の1層の膜厚が1.6μm以上であると、
φs を25°以下にすることが容易であり、また、9μ
mを超える場合には、着色層の均一塗布が難しくなり、
さらにカラーフィルタ上に形成される透明導電膜の信頼
性が低下し、好ましくない。
【0043】本発明のカラーフィルタを用いてセルギャ
ップを保持した場合は、例えば、3原色として、R、
G、Bを選んだ場合、Rに対してはG+B+Bk(樹脂
ブラックマトリックス)の膜厚が、Gに対してはB+R
+Bkの膜厚が、また、Bに対してはR+G+Bkの膜
厚が液晶表示装置におけるセルギャップに相当すること
になる。
【0044】透明膜を塗設した場合は、ブラックマトリ
ックス開口部(所謂表示領域部分)の着色層上の透明膜
の膜厚をtS としたときに、例えばRに対してはG+B
+Bk+tD −tS がセルギャップに相当することにな
る。このことを積極的に利用することにより、φD とφ
S の関係が本発明の開示する範囲を超えない範囲で、ド
ット状スペーサー形成と同時に一義的に決定してしまう
セルギャップ相当の高さを、積極的に制御する方法とし
て採用することができる。
【0045】本発明における3原色からなる着色層の積
層により形成されたスペーサーが樹脂ブラックマトリッ
クス上に形成されるが、スペーサーの面積や配置場所は
液晶表示素子を作製する場合にカラーフィルタと対向す
るアクティブマトリックス基板の構造に大きく影響を受
ける。そのため、対向する透明電極基板側の制約がない
場合は、スペーサーの面積や設置場所は特に限定されな
いが、画素のサイズを考えた場合、スペーサー1つ当た
りの面積は10μm2 〜1000μm2 であることが好
ましい。10μm2 よりも小さい場合は、精密なパター
ンの形成や積層が難しく、また、1000μm2 よりも
大きい場合は、スペーサー部の形状にもよるがブラック
マトリックス上に完全に配置することが難しくなる。
【0046】以上のように、カラーフィルタの、ドット
状スペーサーを構成する最上層のカラーフィルタ表面の
傾斜角を該着色層の画素部のそれよりも急峻にした構成
をとると、ドット状スペーサーを構成する最上層のパタ
ーンサイドが切り立っているため、ITO膜がスペーサ
ー部で分断され、スペーサー上のITOを介してのカラ
ーフィルタ上の透明(コモン)電極とアクティブマトリ
ックス基板側の透明電極や回路との電気的な短絡をする
危険を回避でき、良好な電圧保持性を確保できると共
に、画素部を形成する着色層ストライプのパターンサイ
ド部分においても、液晶配向膜のラビングが均一に行わ
れ、液晶配向不良が生じず良好な表示特性を有した液晶
表示装置が得られる。
【0047】次に、上記カラーフィルターとTFT基板
とを用いて作製したカラー液晶表示素子について説明す
る。図2には、該カラー液晶表示素子の好ましい具体例
の断面図が模式的に示されている。図2中、1は透明基
板、2は樹脂ブラックマトリックス、3は着色層例えば
(B)、4は着色層例えば(R)、5は着色層例えば
(G)、6は透明電極、7は配向膜である。一方、13
は、カラーフィルターと対向する透明電極基板の透明基
板であり、12は液晶駆動回路付属電極、11は絶縁
膜、10は画素電極、9は配向膜である。8はカラーフ
ィルターと透明電極基板の間に挟持される液晶である。
図1に示されるように、液晶表示素子は、上記カラーフ
ィルターと透明電極基板とを対向させて作製する。カラ
ーフィルターには、必要に応じて着色層上に透明保護膜
を設けても差支えないが、構成が複雑になり、製造コス
トはアップする。また透明保護膜のレベリング性によっ
て、スペーサー高さは緩和される。また、カラーフィル
ター上にはITO膜等の透明電極を形成する。カラーフ
ィルターと対向する透明電極基板としては、ITO膜な
どの透明電極が透明基板上にパターン化されて設けられ
る。透明電極基板上には、透明電極以外に、TFT素子
や薄膜ダイオード(TFD)素子、及び、走査線、信号
線等を設け、TFT液晶表示素子やTFD液晶表示素子
を作製することができる。透明電極を有するカラーフィ
ルター及び透明電極基板上には液晶配向膜が設けられ、
ラビング等による配向処理が施される。配向処理後にシ
ール剤を用いてカラーフィルター及び透明電極基板を貼
り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入
した後に、注入口を封止する。偏光板を基板の外側に貼
り合わせた後にICドライバーなどを実装することによ
りモジュールが完成する。カラーフィルタ側に透明電極
を設けない液晶表示素子、例えばイン・プレイン・スイ
ッチング(IPS)と呼ばれる方式の場合もこれに応じ
た構成となる。本発明のカラーフィルタを、このIPS
方式のカラーフィルタに用いた場合、カラーフィルタ側
にITOがないため透明電極基板と短絡の危険がなく、
また金属クロムブラックマトリックスと比較して横電界
に対する絶縁効果が大きいため、表示不良が生じにくい
といった利点がある。さらに、IPS方式の場合はその
構造上、開口率が小さい(ドット状スペーサーの配置さ
れる非開口部が大きい)ため、ドット状スペーサーの配
置に対する自由度が広がるといった利点もある。
【0048】本発明のカラー液晶表示素子はドット状ス
ペーサーを構成する最上層のカラーフィルタ表面の傾斜
角を該着色層の画素部のそれよりも急峻にした構成をと
るため、ドット状スペーサーを構成する最上層のパター
ンサイドが切り立っていることにより、ITO膜がスペ
ーサー部で分断され、スペーサー上のITOを介しての
カラーフィルタ上の透明(コモン)電極とアクティブマ
トリックス基板側の透明電極や回路との電気的な短絡を
する危険を回避でき、良好な電圧保持性を確保できると
共に、画素部を形成する着色層ストライプのパターンサ
イド部分においても、液晶配向膜のラビングが均一に行
われ、液晶配向不良が生じず良好な表示特性を有した液
晶表示装置が得られる。特に保護膜等により表面形状を
平坦化しないO/Cレス構造のカラーフィルタにおいて
その効果は顕著である。
【0049】本発明のカラー液晶表示素子は、パソコ
ン、ワードプロセッサー、エンジニアリング・ワークス
テーション、ナビゲーションシステム、液晶テレビ、ビ
デオなどの表示画面に用いられ、また、液晶プロジェク
ション等にも好適に用いられる。
【0050】
【実施例】以下、好ましい実施態様を用いて本発明をさ
らに詳しく説明するが、用いた実施態様によって本発明
の効力は何ら制限されるものではない。
【0051】実施例1 (1) 樹脂ブラックマトリックスの作製 3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4'
- ジアミノジフェニルエーテル及びビス(3−アミノプ
ロピル)テトラメチルジシロキサンをN−メチル−2−
ピロリドンを溶媒として反応させ、ポリイミド前駆体
(ポリアミック酸)溶液を得た。
【0052】下記の組成を有するカーボンブラックミル
ベースをホモジナイザーを用いて、7000 rpmで30分間
分散し、ガラスビーズをろ過してブラックペーストを調
製した。
【0053】カーボンブラックミルベースの組成 カーボンブラック(MA100 、三菱化成(株)製) 4.6部 ポリイミド前駆体溶液 24.0部 N−メチルピロリドン 61.4部 ガラスビーズ 90.0部
【0054】300x350mmのサイズの無アルカリ
ガラス(日本電気ガラス(株)製)、OA−2)基板上
にスピナーを用いて、ブラックペーストを塗布し、オー
ブン中135℃で20分間セミキュアした。続いて、ポ
ジ型レジスト(Sphipley "Microposit" RC100 30cp) を
スピナーで塗布し、90℃で10分間乾燥した。レジス
ト膜厚は1.5μmとした。キャノン(株)製露光機P
LA−501Fを用い、フォトマスクを介して露光を行
った。
【0055】次に、テトラメチルアンモニウムヒドロキ
シドを2重量%含んだ23℃の水溶液を現像液に用い、
基板を現像液にディップさせ、同時に10cm幅を5秒
で1往復するように基板を揺動させて、ポジ型レジスト
の現像とポリイミド前駆体のエッチングを同時に行っ
た。現像時間は60秒であった。その後、メチルセルソ
ルブアセテートでポジ型レジストを剥離し、さらに30
0℃で30分間キュアし、樹脂ブラックマトリックス基
板を得た。樹脂ブラックマトリックスの膜厚は、0.9
0μmであり、OD値は3.0であった。また、樹脂ブ
ラックマトリックスとガラス基板との界面における反射
率(Y値)は1.2%であった。
【0056】(2) 着色層の作製 次に、赤、緑、青の顔料として各々Color Index No.653
00 Pigment Red 177で示されるジアントラキノン系顔
料、Color Index No.74265 Pigment Green 36 で示され
るフタロシアニングリーン系顔料、Color Index No. 74
160 Pigment blue15-4 で示されるフタロシアニンブル
ー系顔料を用意した。ポリイミド前駆体溶液に上記顔料
を各々混合分散させて、赤、緑、青の3種類の着色ペー
ストを得た。
【0057】先ず、樹脂ブラックマトリックス基板上に
青ペーストを塗布し、80℃で10分間熱風乾燥し、1
20℃、20分間セミキュアした。この後、ポジ型レジ
スト(Sphipley "Microposit" RC100 30cp) をスピナー
で塗布後、80℃で20分間乾燥した。マスクを用いて
露光し、アルカリ現像液(Sphipley "Microposit" 351)
に基板をディップし、同時に基板を揺動させながら、ポ
ジ型レジストの現像及びポリイミド前駆体のエッチング
を同時に行った。その後、ポジ型レジストをメチルセル
ソルブアセテートで剥離し、さらに300℃で30分間
キュアした。着色画素部の膜厚は2.0μmであった。
このパターニングにより青色画素の形成と共に樹脂ブラ
ックマトリックス上にスペーサーの1段目を形成した。
【0058】水洗後に、同様にして、赤色画素の形成と
ともに樹脂ブラックマトリックス上にスペーサーの2段
目を形成した。赤色画素部の膜厚は1.8μmであっ
た。
【0059】さらに水洗後に、同様にして緑ペーストを
塗布し、緑色画素の形成とともに樹脂ブラックマトリッ
クス上にスペーサーの3段目を形成し、カラーフィルタ
を作製した。緑色画素部の膜厚は1.9μmであった。
【0060】このとき、緑色着色層により形成されたド
ット部スペーサーの傾斜角(テーパー角)φD は75°
であった。青色着色層画素部の傾斜角φs は16°であ
った。赤色着色層画素部の傾斜角φs は19°であっ
た。緑色着色層画素部の傾斜角φs は18であった。こ
れらは25°≧φs 、及び90°≧φD >φS を満た
す。
【0061】着色層の積層により樹脂ブラックマトリッ
クス上に設けられたスペーサー部の面積は1個当たり約
100μm2 であった。スペーサーの高さ(樹脂ブラッ
クマトリックス上の着色層3層分の厚さ)は5.0μm
であり、これは着色層の各膜厚の合計(5.7μm)よ
りも低い。なお、スペーサーは、1画素に1個の割合で
画面内に設けた。また、画面周辺に樹脂ブラックマトリ
ックスで形成した額縁上の一部にも画面内と同様な密度
で色重ねによるスペーサーを設けた。
【0062】(3) カラー液晶表示素子の作製 上記カラーフィルタ上にスパッタリング法によりITO
膜をマスク成膜した。ITO膜の膜厚は150nmであ
り、表面抵抗は20Ω/□であった。このITO膜上に
ポリイミド系の配向膜を設け、ラビング処理を施した。
一方、TFT(薄膜トランジスタ)素子を備えた透明電
極基板を以下のように作製した。
【0063】先ず、透明の無アルカリガラス基板(日本
電気ガラス(株)製、OA−2)上にクロムを真空蒸着
により膜付けし、フォトエッチングの手法によってゲー
ト電極をパターニングした。次に、プラズマCVDによ
り約500nm厚さのシリコンナイトライド膜(SiNx)
を形成し、絶縁膜とした。引き続いて、アモルファスシ
リコン膜(a−Si)及びエッチングストッパ膜層とし
てのSiNxを連続形成した。次に、フォトエッチング
の手法によってエッチングストッパ層のSiNxをパタ
ーニングした。このとき、スペーサーと接触する部位は
エッチングせず、1個当たり面積を約250μm2 とし
て残した。オーミックコンタクトをとるためのn+a−
Siの成膜とパターニング、さらに表示電極となる透明
電極(ITO)を成膜し、パターニングした。さらに配
線材料としてのアルミの全面蒸着を行い、フォトエッチ
ングの手法によってドレイン電極とソース電極を作製し
た際、前記したスペーサーと接触する部位となる1個当
たりの面積約250μm2のSiNxが剥きだし部分に
蒸着されたアルミをエッチングにより除いた。ドレイン
電極とソース電極をマスクとしてチャンネル部のn+a
−Siをエッチング除去し、TFTを完成させた。
【0064】最後にカラーフィルター同様にポリイミド
系の配向膜を設け、ラビング処理を施した。
【0065】配向膜を設けたカラーフィルタと薄膜トラ
ンジスタ素子を備えた透明電極基板とをシール剤を用い
て張り合せた後に、シール部に設けられた注入口から液
晶を注入した。液晶の注入は、空セルを減圧下に放置
後、注入口を液晶槽に浸漬し、常圧に戻すことにより行
った。液晶を注入後、注入口を封止し、さらに偏光板を
基板の外側に貼り合わせ、セルを作製した。得られた液
晶表示素子は、良好な表示品位のものであった。
【0066】実施例2 得られたカラーフィルタ着色層基板上に、ポリアミック
酸のN−メチル−2−ピロリドン/ブチルセロソルブ溶
液をスピンナーコーターで、キュア後膜厚1.5μm相
当の条件で塗布し、ホットプレートで150℃、3分乾
燥後、同じホットプレート上で300℃、10分加熱す
ることで保護膜層を形成したこと以外は実施例1と同様
にして液晶表示装置を作製した。
【0067】このとき、φD は60であり、φs は16
〜19であった。また、ドット状スペーサー上の透明膜
の膜厚tD は、0.1μmであり、画素表示部の透明膜
の膜厚tS は1.8μmであった。これは25°≧φ
s 、90°≧φD ≧φs 、tS>tD を満たす。
【0068】得られた液晶表示装置は、液晶配向不良、
及び、カラーフィルタ上の透明(コモン)電極とアクテ
ィブマトリクス基板側の透明電極や回路との電気的な短
絡もない、セルギャップの均一性に優れた良好な表示品
位のものであった。また、得られたカラーフィルタのセ
ルギャップ相当高さは、G画素部分で測定して、実施例
1では4.7μm、実施例2では4.6μm、実施例3
では3.0μmであった。
【0069】
【発明の効果】本発明のカラーフィルタを用いて液晶表
示素子を作製した場合に以下の効果が得られる。 (1) スペーサーが画素部上に存在せず、スペーサーによ
る光の散乱や透過による表示品位の低下がなく、特に表
示品位のコントラストが向上する。 (2) スペーサーが面で対向する透明電極基板と接触する
ために、配向膜や透明電極の破損が少なく、欠陥の少な
い表示が得られる。 (3) スペーサーを散布する工程が不要になり、液晶表示
素子の製造工程が簡略化される。 (4) スペーサーの粒度分布を高精度に管理する必要がな
く、液晶表示素子の製造が容易になる。 (5) 樹脂ブラックマトリックスと着色層2層分の膜厚に
よりセルギャップが保持されることから十分なセルギャ
プを持った液晶表示素子が得られる。 (6) カラーフィルタ上のITO膜の耐久性が良好であ
る。 (7) シール剤へのギャップ剤の混練り工程が不要にな
り、液晶表示装置の製造工程が簡略化される。 (8) 表示画面領域とシール部でのスペーサーとギャップ
材硬さの差がなくなり、均一なギャップが得られやす
い。 (9) 樹脂ブラックマトリックスを用いているにもかかわ
らず、残像等の表示不良が発生するという問題がなく、
かつ、スペーサーによる光の散乱や透過により液晶表示
素子の表示品位が低下することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で規定されるブラックマトリックスのパ
ターンエッジ部上のカラーフィルタ表面の傾斜角φs
びドット状スペーサー最上層部分の傾斜角φD を説明す
るため模式断面である。
【図2】本発明のカラーフィルタ−を使用したカラー液
晶表示装置の模式断面図である。
【図3】本発明で規定されるブラックマトリックスのパ
ターンエッジ部上のカラーフィルタ表面の傾斜角φs
説明するために、ブラックマトリックスのパターンエッ
ジ部上のカラーフィルタ表面の盛り上がり部分を拡大し
て示す模式断面図である。
【図4】図1に示されるカラーフィルタの着色層上に透
明膜が形成されている例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 透明基板(ガラス基板) 2 樹脂ブラックマトリックス 3 着色層(B) 4 着色層(R) 5 着色層(G) 6 透明電極 7 配向膜 8 液晶 9 配向膜 10 画素電極 11 絶縁膜 12 液晶駆動回路付属電極 13 透明基板(ガラス基板) 16 スペーサー 19 透明基板 20 ブラックマトリックス24 カラーフィルタ 21 着色層の積層により形成されたスペーサーの第1
層 22 着色層の積層により形成されたスペーサーの第2
層 23 着色層の積層により形成されたスペーサーの最上
層 25 着色層 30 透明膜 φs ブラックマトリックスのパターンエッジ部におけ
る着色層の傾斜角 φD スペーサー最上層の傾斜角 tS 表示部着色槽上のO/C膜厚 tD スペーサー上のO/C膜厚

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上にブラックマトリックスを設
    け、該ブラックマトリックスの開口部及び該ブラックマ
    トリックス上の一部を被覆するように3原色から成る着
    色層を設けたカラーフィルタにおいて、(A)該ブラッ
    クマトリックスが、少なくとも遮光剤を樹脂中に分散さ
    せて成る樹脂ブラックマトリックスであり、(B)該樹
    脂ブラックマトリックス上の一部に3原色から成る着色
    層の積層により形成されたドット状スペーサーを複数設
    け、(C)該ブラックマトリックスのパターンエッジ部
    上でのカラーフィルタ表面の傾斜角φs が25°以下で
    あることを特徴とするカラーフィルタ。
  2. 【請求項2】 前記ブラックマトリックス上のドット状
    スペーサーを構成する最上層の着色層に関して、そのド
    ット状スペーサー最上層部分の傾斜角φD が、 90°≧φD >φS の関係にあることを特徴とするカラーフィルタ。
  3. 【請求項3】 透明電極層が着色層上に直接接するよう
    に設けられて成ることを特徴とする請求項1又は2記載
    のカラーフィルタ。
  4. 【請求項4】 透明基板上に少なくともブラックマトリ
    ックス層、着色層、透明膜層を有する請求項1又は2に
    記載のカラーフィルタ。
  5. 【請求項5】 透明電極膜が透明膜を介して着色層上に
    設けられて成ることを特徴とする請求項1又は2記載の
    カラーフィルタ。
  6. 【請求項6】 ドット状スペーサー上の透明膜の膜厚t
    D と画素上の透明膜の膜厚tS が tS >tD の関係にあることを特徴とする請求項3記載のカラーフ
    ィルタ。
  7. 【請求項7】 各着色層がポリイミドから成ることを特
    徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のカラ
    ーフィルタ。
  8. 【請求項8】 一対の透明基板とこれら両透明基板によ
    り挟持された液晶層とで構成されたカラー液晶表示装置
    において、その一方の基板が請求項1ないし7のいずれ
    か1項に記載のカラーフィルタであることを特徴とする
    カラー液晶表示装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7161645B2 (en) 2003-01-17 2007-01-09 Seiko Epson Corporation Multi-gap type transflective liquid crystal display including a resin layer with tapers of different angles
JP2007155923A (ja) * 2005-12-01 2007-06-21 Fujifilm Corp 離画壁及びその製造方法、カラーフィルタ及びその製造方法並びに液晶表示装置
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