JPH1167438A - 磁性体接合構造及びその製造方法、並びにその接合構造を用いた電磁調理機用鍋及びその製造方法 - Google Patents

磁性体接合構造及びその製造方法、並びにその接合構造を用いた電磁調理機用鍋及びその製造方法

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JPH1167438A
JPH1167438A JP22398097A JP22398097A JPH1167438A JP H1167438 A JPH1167438 A JP H1167438A JP 22398097 A JP22398097 A JP 22398097A JP 22398097 A JP22398097 A JP 22398097A JP H1167438 A JPH1167438 A JP H1167438A
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magnetic
opening
pot
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piece
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JP22398097A
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Inventor
Takashi Nakagawa
崇 中川
Shiro Shinagawa
士郎 品川
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Shinagawa Machinery Works Co Ltd
Original Assignee
Shinagawa Machinery Works Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁性体材料の母材からの剥離を防止でき、且
つ母材に対する磁性体材料の密着性を向上できる磁性体
の接合構造及び電磁調理機用鍋を提供する。 【解決手段】 Al系金属により鍋本体10を鋳造する
際に、鍋本体10の外表面に磁性体片20を接合する。
磁性体片20は、表裏両面間を貫通する複数の開口部2
1,21・・と、開口部21,21・・の各周囲に位置
して形成された複数のカエシ部22,22・・とを有す
る。各カエシ部22は、内周側へ張り出しつつ鍋本体1
0の側へ突出している。鋳造過程で鋳込み金属の一部が
開口部21からカエシ部22に囲まれた空間に充填され
て形成されたリベット状の突出部15により、磁性体片
20は鍋本体10の外表面に強固に密着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁調理機用鍋に
好適に使用される磁性体接合構造及びその製造方法、並
びにその接合構造を用いた電磁調理機用鍋及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】だし巻き玉子焼やオムレツ玉子焼等の玉
子焼を連続して製造することができる連続式玉子焼機と
して、玉子焼皿を定位置で高周波電磁誘導加熱法により
加熱するものが、本願出願人により特願平5−4305
2号で先に提案されている。
【0003】この連続式玉子焼機は、焼玉子を重ねる方
式の相違により、次の2機種に大別される。第1の連続
式玉子焼機は、定位置に支持された玉子焼皿の上に玉子
焼の材料を供給してシート状に焼き上げ、その焼き上げ
られた焼玉子シートを玉子焼皿上でロール状に巻き取る
ロール巻き方式である。
【0004】第2の連続式玉子焼機は、定位置で反転が
可能な例えば2個で1組の玉子焼皿を使用し、一方の玉
子焼皿上でシート状に焼き上げた玉子の上に他方の玉子
焼皿上でシート状に焼き上げた玉子を重ねるという操作
を繰り返すことにより、複数枚の焼玉子シートが積層さ
れた玉子焼を製造する積層方式である。
【0005】いずれの連続式玉子焼機においても、玉子
焼皿を高周波電磁誘導加熱するために、玉子焼皿は磁性
体膜を有しており、具体的にはアルミニウム合金からな
るケース部分に対して溶射されたメタリコン層を有して
いる。また、この玉子焼皿を加熱する加熱手段は、高周
波電磁誘導加熱法により、玉子焼皿の磁性体膜に渦電流
を生じさせることにより、玉子焼皿自体を発熱させる構
成となっている。
【0006】これらの連続式玉子焼機は、玉子焼皿を定
位置で高周波電磁誘導加熱法により加熱することによ
り、玉子焼皿の温度調整を容易に行うことができ、しか
も機械規模に対して生産能力を大きくできるなどの利点
を有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の連続式玉子焼機においては、高周波電磁誘導加熱法に
より加熱される玉子焼皿の構造に関連して、以下に示す
問題がある。
【0008】高周波電磁誘導加熱法により加熱される玉
子焼皿は、その加熱のために磁性体膜を有しており、具
体的にはアルミニウム合金からなるケース部分に対して
溶射されたメタリコン層を有している。しかし、ケース
部分の表面に溶射された磁性体膜は、溶着と異なり、ケ
ース部分の表面の細かな凹凸に食い込んでその表面に保
持されているので、玉子焼皿が曲げ変形等を受けた場合
には、ケース部分の表面から剥離するという問題があ
る。この問題は、玉子焼皿が反転動作を繰り返す積層方
式の連続式玉子焼機の場合に特に顕著である。
【0009】これらの剥離を防止するために、溶射に代
えて、磁性体材料からなる板材をかしめやねじ止め等に
より固定する機械的な締め付けを採用することが考えら
れる。しかし、その板材が薄いために、磁性体材料を全
面にわたってケース部分の表面に密着させることが困難
である。
【0010】しかも、かしめやねじ止めといった締め付
けは難しい作業となる上に、締め付け部に大きな外力が
作用するために、磁性体材料からなる板材に局部的な曲
げ変形を発生させ、ケース部分との間の密着性を一層低
下させる。
【0011】高周波電磁誘導加熱法により加熱される玉
子焼皿においては、磁性体材料に生じるジュール熱をケ
ース部分に伝達してケース部分を加熱する関係から、こ
の間の密着性を良くして熱伝達効率を高めることが求め
られるので、この間の密着性の低下を余儀なくされるか
しめやねじ止めといった機械的な締め付けは、玉子焼皿
のような電磁調理機用鍋における磁性体接合構造として
は好ましいものではない。
【0012】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、その目的は、母材の表面に磁性体材料
を強固に密着させることができる磁性体接合構造及びそ
の製造方法を提供することにある。
【0013】本発明の他の目的は、表面に接合された磁
性体材料の剥離のおそれがなく、しかも、その磁性体材
料の密着性に優れた電磁調理機用鍋及びその製造方法を
提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の磁性体接合構造
は、表裏両面間を貫通する開口部を有すると共に、該開
口部の周囲に位置して、内周側に張り出しつつ一方の表
面の側に突出したカエシ部を有する磁性体片と、Al系
金属からなり、該磁性体片の該カエシ部が突出する側に
設けられ、一部が該磁性体片の該開口部から該カエシ部
に囲まれた空間にリベット状に突出した母材とを具備し
ており、そのことにより上記目的が達成される。
【0015】また、本発明の磁性体接合構造の製造方法
は、請求項1記載の磁性体接合構造の製造方法であっ
て、表裏両面間を貫通する開口部を有すると共に、該開
口部の周囲に位置して、内周側に張り出しつつ一方の表
面の側に突出したカエシ部を有する磁性体片を準備する
工程と、該磁性体片の該カエシ部が突出する側に、Al
系金属からなり、母材となる溶融金属を鋳込み、鋳込み
金属の一部を、該磁性体片の該開口部から該カエシ部に
囲まれた空間にリベット状に充填させる工程とを包含し
ており、そのことにより上記目的が達成される。
【0016】また、本発明の電磁調理機用鍋は、請求項
1記載の磁性体接合構造を用いた電磁調理機用鍋であっ
て、Al系金属により鋳造された鍋本体と、該鍋本体の
表面に接合されて高周波電磁誘導加熱法により加熱され
る磁性体片とを備えており、該磁性体片は、表裏両面間
を貫通する開口部を有すると共に、該開口部の周囲に位
置して、内周側に張り出しつつ該鍋本体の側に突出した
カエシ部を有しており、且つ、該鍋本体の一部が該開口
部から該カエシ部に囲まれた空間に突出して形成された
リベット状の突出部により、該鍋本体の表面に接合され
ており、そのことにより上記目的が達成される。
【0017】好ましくは、前記磁性体片は、前記鍋本体
の底部下面に接合された薄板である構成とする。
【0018】また、好ましくは、前記磁性体片の前記カ
エシ部は、所定の間隔で複数個設けられている構成とす
る。
【0019】また、好ましくは、前記磁性体片の前記カ
エシ部は、パンチングによって該磁性体片に開口部を形
成することに伴って該開口部の周囲に形成される湾曲形
の環状突起である構成とする。
【0020】また、好ましくは、前記磁性体片のカエシ
部は、該磁性体片の開口部に臨む縁部を折り曲げて形成
した傾斜形の環状突起である構成とする。
【0021】また、好ましくは、前記磁性体片のカエシ
部は、該磁性体片の開口部に臨む縁部を、該磁性体片の
一方の表面の側へほぼ平行に突出させて形成した段付き
形の環状突起である構成とする。
【0022】また、好ましくは、前記リベット状の突出
部は、その先端面が前記磁性体片の表面より突出してい
る構成とする。
【0023】また、本発明の電磁調理機用鍋の製造方法
は、請求項3〜請求項9記載の電磁調理機用鍋の製造方
法であって、下型の端部寄りの位置に一対の金属製の中
子を載置し、且つ中子間に砂型を載置し、該中子と該砂
型間に裏返しにされた鍋本体に対応する形状の湯道を形
成する工程と、前記磁性体片の前記カエシ部が下方へ突
出するように、該中子の上に該磁性体片の両端部を載置
する工程と、該中子が嵌合する凹部を下面に有し、該凹
部の上方に、該砂型の上に位置する該磁性体片の前記開
口部を介して該凹部に連通するガス抜き孔を有する上型
を、該中子の上から該下型の上に載置する工程と、該下
型、該中子、該砂型及び該上型を組み合わせた後に、該
湯道にAl系金属からなる溶湯を、該溶湯が少なくとも
該磁性体片の該開口部を経て該カエシ部に囲まれた空間
に至るまで注入する工程と、注入した溶湯が凝固した後
に、該下型、該中子、該砂型及び該上型を分解して鋳造
物を取り出す工程とを包含しており、そのことにより上
記目的が達成される。
【0024】以下に、後述の実施形態を示す図4及び図
5を参照して本発明の作用を説明する。
【0025】本発明では、図5に示すように、砂型から
なる下型40の両端部上に金属製の一対の中子70、7
0を載せ、且つ中子70、70間に位置する部分に砂型
60を載せる。そして、矩形状の薄板からなる磁性体片
20の両端部を中子70、70上に載せ、その上から中
子70、70を挟むようにして上型50を下型40の上
に載せる。この組み合わせ状態において、中子70と砂
型60との間には、電磁調理機用鍋の鍋本体10(図1
参照)を裏返しにしたときの形状に対応する湯道62,
63,64が形成される。
【0026】また、磁性体片20は、縦横2方向に所定
の間隔で並ぶ複数の開口部21,21・・を有すると共
に、開口部21,21・・の外周側に位置してカエシ部
22,22・・を有する。カエシ部22は、内周側へ張
り出しつつ下方に突出している。
【0027】湯道62,63,64に鍋本体10となる
Al系金属の溶湯を、これが磁性体片20の開口部2
1,21・・を経てカエシ部22,22・・にそれぞれ
囲まれた空間に至るまで注入し、凝固した後に取り出す
と、鍋本体10の底部下面に磁性体片20が接合された
電磁調理機用鍋が得られる(図1参照)。
【0028】この電磁調理機用鍋においては、図4に示
すように、鋳込みの過程で溶湯の一部が開口部21から
カエシ部22に囲まれた空間に充填され、凝固すること
により、鍋本体10の底部下面にリベット状の突出部1
5が形成される。このリベット状の突出部15は、磁性
体片20の開口部21の周囲に形成されたカエシ部22
を抜け止め状に固定する。その結果、磁性体片20は鍋
本体10の底部下面に機械的に強固に接合されることに
なる。従って、鍋本体10に曲げ変形等が生じても、磁
性体片20は鍋本体10の底部下面から剥離しない。
【0029】しかも、鋳込みの過程で溶湯が磁性体片2
0の表面に全面にわたって接触する上に、磁性体片20
が締め付けの場合のような外力を受けず、局部的な変形
を生じない。このため、鍋本体10の底部下面に対する
磁性体片20の密着性が良好である。
【0030】溶湯を注入する過程では、上型50に設け
られたガス抜き孔52,52・・が、砂型60の上に位
置する磁性体片20の開口部21,21・・を介して湯
道62,63,64に連通しているので、余分の溶湯
が、開口部21,21・・を介してガス抜き孔52,5
2・・に侵入し、この過程でカエシ部22,22・・に
それぞれ囲まれた空間に十分な量の溶湯がスムーズに供
給される。そのため、リベット状の突出部15の頭部等
に欠けが発生し難く、その成形性が良好となる。
【0031】磁性体片20の開口部21,21・・の真
上にガス抜き孔52,52・・を位置させ、その下端開
口部をカエシ部22,22・・より大とした場合は、突
出部15の成形性が特に良好である。
【0032】リベット状の突出部15の先端面を磁性体
片20の表面より突出させた場合は、突出部15の頭部
が広がるために、突出部15による磁性体片20の固定
強度が増大する(図8参照)。ガス抜き孔52の下端開
口部をカエシ部22より大とした場合は、大きな頭部が
簡単に得られる。
【0033】なお、Al系金属とはAl合金と純Alの
両方を意味する。
【0034】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
に基づき具体的に説明する。
【0035】本実施形態の電磁調理機用鍋は、積層方式
の連続式玉子焼機に使用される玉子焼皿である。この電
磁調理機用鍋は、図1〜図3に示すように、Al系金属
により鋳造された鍋本体10と、鍋本体10の底部下面
に接合された薄板状の磁性体片20とを備えている。
【0036】鍋本体10は、平板状の底部11と、底部
11の外縁部から立ち上がった角枠状の壁部12とを有
する直方体状の受け皿であり、その内部は仕切り部13
により両側に二分されている。鍋本体10の両側面には
一対の軸受部14,14が設けられており、軸受部1
4,14にそれぞれ挿入される一対のピン30,30に
より、鍋本体10は積層方式の連続式玉子焼機内に反転
可能に支持される。
【0037】磁性体片20は、鍋本体10の底部下面に
全面にわたって接合された矩形状の鉄板である。この磁
性体片20には、表裏両面間を貫通する円形の開口部2
1,21・・が、縦横両方向にそれぞれ所定の間隔をあ
けて形成されている。また、開口部21,21・・の外
周側に位置して、カエシ部22,22・・が形成されて
いる。
【0038】各カエシ部22は、図4に示すように、内
周側へ張り出しつつ上方へ突出した形状になっており、
より具体的には、磁性体片20の開口部21に臨む縁部
を湾曲させて上方へ立ち上げた形状になっている。この
ような形状のカエシ部22は、例えば磁性体片20にパ
ンチングによって開口部21を形成し、続いて開口部2
1の周辺部をプレス加工することにより形成される。
【0039】そして磁性体片20は、鍋本体10の一部
を各開口部21から各カエシ部22に囲まれた空間に突
出させて形成された複数のリベット状の突出部15,1
5・・により、鍋本体10の底部下面に抜け止め状に接
合されている。
【0040】次に、上記電磁調理機用鍋の製造方法につ
いて説明する。
【0041】本実施形態の製造方法においては、図5に
示すように、材料として鉄板20′が使用され、設備と
して上面が平坦な砂型からなる下型40と、下型40の
両端部上に載置される一対の金属製の中子70、70
と、中子70、70間に載置される砂型60と、砂型か
らなる上型50とが使用される。
【0042】材料としての鉄板20′は、その両端部が
中子70、70上に載置される。この鉄板20′は、図
6及び図7に示すように、磁性体片20に対応する長方
形の有効部20aと、有効部20aの両側縁から両側に
突出した一対の保持部20b,20bとからなる。有効
部20aには、表裏両面間を貫通する円形の開口部2
1,21・・が、縦横両方向にそれぞれ所定の間隔をあ
けて形成されると共に、開口部21,21・・の外周側
に位置して、カエシ部22,22・・が形成されてい
る。各カエシ部22は、内周側へ張り出しつつ磁性体片
20の一方の表面側へ突出している。
【0043】上型50の下面には、中子70、70が嵌
合する凹部51が形成されている。凹部51の上方に
は、凹部51から上方に延びる複数のガス抜き孔52,
52・・が設けられている。ガス抜き孔52,52・・
は、砂型60の上に位置する鉄板20′の開口部21,
21・・に対応する位置に設けられており、それぞれの
下端開口部は鉄板20′のカエシ部22より大とされて
いる。
【0044】中子70は、再使用が可能な金属製であ
り、ブロック状をなしている。中子70の上面には、鉄
板20′を凹部51の天井面に接して保持するために、
浅い凹部61,61が設けられている。
【0045】また、図5に示すように、下型40、上型
50、砂型60及び中子70を組み合わせた状態におい
て、砂型60と中子70との間には鍋本体10を鋳込む
ための湯道62、63、64が形成される。
【0046】ここで、湯道62は鍋本体10の底部11
を形成するためのものである。また、湯道63は鍋本体
10の壁部13を形成するためのものであり、湯道64
は鍋本体10の内部を両側に二分する仕切り部13を形
成するためのものである。
【0047】即ち、これらの湯道62、63及び64
は、鍋本体10を裏返しにしたときの形状に対応してい
る。
【0048】本実施形態の製造方法を用いて上記電磁調
理機用鍋を製造するには、まず下型40の両端部上に中
子70、70を載せ、中子70、70間に砂型60を載
せる。次いで、中子70の上に鉄板20′を載せる。こ
のとき、鉄板20′の保持部20b,20bを、中子7
0の上面に形成された凹部61,61に嵌め込んで、鉄
板20′の位置決めを行う。また、本体部20aに形成
されたカエシ部22,22・・の突出方向を下方に向け
る。そして、中子70の上から上型50を下型40の上
に載せる。
【0049】鉄板20′は湯道62を跨ぎ、両側の保持
部20b,20bが中子70の上面に載るので、磁性体
片20となる有効部20aが湯道62上に落下すること
なく、上型50の凹部51内にその天井面に接して保持
される。また、上型50に設けられたガス抜き孔52,
52・・は、鉄板20′の本体部20aに形成された開
口部21,21・・を介して、湯道62に連通する。
【0050】以上のようにして下型40、上型50、砂
型60及び中子70の組み立て、並びに鉄板20′のセ
ットが終わると、湯道62、63及び64内にAl系金
属の鋳込みを行う。
【0051】即ち、上型50及び中子70の各下面に形
成された注入路55,65から、湯道63内に、鍋本体
10の素材であるAl系金属の溶湯を注入する。この溶
湯は、湯道63、64及び62内に充満する。このと
き、湯道63、64及び62内のガスは、鉄板20′の
本体部20aに形成された開口部21,21・・からガ
ス抜き孔52,52・・を通って外部に排出される。そ
して、ガス抜き孔52,52・・に溶湯が侵入するま
で、その注入を続ける。
【0052】これにより、鉄板20′の本体部20aに
形成されたカエシ部22,22・・・にそれぞれ囲まれ
た空間にも溶湯が充填される。
【0053】鋳込みが終わると、溶湯が凝固するのを待
って、下型40、上型50及び砂型60を破壊し、中子
70、70を取り出した後、中子70から鋳造物を引き
出す。この鋳造物は、上記電磁調理用鍋の鍋本体10に
対応する。この鍋本体10の底部11の下面(図5では
上面)には鉄板20′が接合されている。鉄板20′の
保持部20b,20bは、鍋本体10の両側に突出して
いるので、保持部20b,20bを有効部20aから分
離する。また、溶湯がガス抜き孔52,52・・に侵入
して凝固した部分を除去する。
【0054】以上のようにして、本実施形態の電磁調理
機用鍋が製造される。この電磁調理機用鍋は、次のよう
な特徴を有する。
【0055】Al系金属により鋳造された鍋本体10の
底部下面に、鉄板からなる磁性体片20が接合されてい
る。高周波誘導加熱を行うと、磁性体片20に渦電流に
よるジュール熱が発生し、その熱が鍋本体10に伝達す
ることにより、鍋本体10が加熱される。
【0056】ここで、磁性体片20には、複数の開口部
21,21・・が設けられると共に、開口部21,21
・・の外周側に位置してカエシ部22,22・・が設け
られている。各カエシ部22は、内周側へ張り出しつつ
鍋本体10の底部11の側に突出している。そして、鋳
込みの過程で溶湯の一部が各開口部21から各カエシ部
22に囲まれた空間に充填され、凝固することにより、
鍋本体10の底部下面には、複数のリベット状の突出部
15,15・・が一体的に形成される。
【0057】各突出部15は、磁性体片20の開口部2
1,21・・の周囲に形成されたカエシ部22,22・
・を抜け止め状に固定する。このため、磁性体片20
は、これら複数のリベット状の突出部15,15・・に
より、鍋本体10の底部下面に機械的に強固に接合され
る。従って、鍋本体10に曲げ変形等が生じても、磁性
体片20は鍋本体10の底部下面から剥離しない。
【0058】本実施形態の電磁調理機用鍋は、積層方式
の連続式玉子焼機に使用される玉子焼皿である。この電
磁調理機用鍋は、反転動作を繰り返すために曲げ変形を
生じ易い。しかし、磁性体片20は、鍋本体10の底部
下面に一体的に形成された複数のリベット状の突出部1
5,15・・により鍋本体10の底部下面に接合されて
いるので、鍋本体10の底部下面から剥離する危険がな
い。
【0059】しかも、鋳込みの過程で溶湯が磁性体片2
0の表面に全面にわたって接触する上に、磁性体片20
が締め付けの場合のような外力を受けず、局部的な変形
を生じない。このため、鍋本体10の底部に対する磁性
体片20の密着性が良好である。従って、磁性体20に
生じるジュール熱の鍋本体10への伝達効率が高くな
り、溶射の場合と同様の高い発熱性が確保される。
【0060】更に、余分の溶湯は、鉄板20′の開口部
21,21・・を介して上型50のガス抜き孔52,5
2・・に侵入するので、この過程でカエシ部22,22
・・にそれぞれ囲まれた空間に十分な量の溶湯がスムー
ズに供給される。しかも、ガス抜き孔52,52・・の
各下端開口部は、カエシ部22より大とされている。こ
れらのため、リベット状の突出部15,15・・の頭部
等に欠けが発生し難く、その成形性も良好となる。
【0061】鍋本体10に形成されるリベット状の突出
部15は、上記実施形態では、その先端面が磁性体片2
0の表面と同じレベルに揃えられているが、図8に示す
ように、突出部15の先端面を磁性体片20の表面より
突出させることも可能である。こうすることにより、突
出部15の頭部が広がり、突出部15による磁性体片2
0の固定強度が増大する。
【0062】磁性体片20に形成されるカエシ部22に
ついては、上記実施形態では、プレス加工による湾曲形
状になっているが、図9(a)に示すように、縁部を鍋
本体10の側に折り曲げて形成した傾斜形状や、図9
(b)に示すような段付き形状でもよい。いずれのカエ
シ部22も、内周側に張り出しつつ鍋本体10の側へ突
出することにより、鍋本体10の一部が開口部21から
カエシ部22に囲まれた空間に充填され、リベット状の
突出部15を形成することができる。
【0063】なお、上記実施形態は、本発明を積層方式
の連続式玉子焼機に使用される玉子焼皿に適用したもの
であるが、定位置で焼玉子シートをロール状に巻き取る
ロール巻き方式の連続式玉子焼機に使用される玉子焼皿
にも適用可能であり、更には玉子焼皿以外の電磁調理機
用鍋にも適用可能である。
【0064】
【発明の効果】以上、本発明による場合には、磁性体片
の一方の表面の側に、母材となるAl系金属を鋳込む過
程で、母材に一体的に形成されるリベット状の突出部に
より、母材の表面に磁性体片が強固に接合される。しか
も、鋳込みの過程で溶湯が磁性体片の表面に全面にわた
って接触する上に、磁性体片が締め付けの場合のような
外力を受けず、局部的な変形を生じない。このため、母
材の表面に対する磁性体片の密着性も良好となる。
【0065】従って、電磁調理機用鍋に適用した場合に
は、鍋本体の外表面に磁性体片がリベット状の突出部に
より強固に接合される。このため、積層方式の連続式玉
子焼機における玉子焼皿のように曲げ変形を頻繁に受け
る場合にも、鍋本体の外表面から磁性体片が剥離する危
険がない。しかも、鍋本体の外表面に対する磁性体片の
密着性が良好であるので、磁性体に生じるジュール熱の
鍋本体への伝達効率が高くなり、溶射の場合と同様の高
い発熱性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る電磁調理機用鍋の一部
破断正面図。
【図2】図1の電磁調理機用鍋の平面図。
【図3】図1の電磁調理機用鍋の側面図。
【図4】図1のA部拡大図。
【図5】図1の電磁調理機用鍋の製造に使用される鋳込
み設備の縦断正面図。
【図6】図5の鋳込みに使用される鉄板の平面図。
【図7】図6の鉄板の正面図。
【図8】リベット状の突出部の他の例を示す縦断面図。
【図9】(a)、(b)はカエシ部の他の例をそれぞれ
示す縦断面図。
【符号の説明】 10 鍋本体(母材) 15 リベット状の突出部 20 磁性体片 20′ 鉄板 20a 有効部 20b 保持部 21 開口部 22 カエシ部 40 下型 50 上型 60 砂型 62、63、64 湯道 70 中子

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表裏両面間を貫通する開口部を有すると
    共に、該開口部の周囲に位置して、内周側に張り出しつ
    つ一方の表面の側に突出したカエシ部を有する磁性体片
    と、 Al系金属からなり、該磁性体片の該カエシ部が突出す
    る側に設けられ、一部が該磁性体片の該開口部から該カ
    エシ部に囲まれた空間にリベット状に突出した母材とを
    具備する磁性体接合構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の磁性体接合構造の製造方
    法であって、 表裏両面間を貫通する開口部を有すると共に、該開口部
    の周囲に位置して、内周側に張り出しつつ一方の表面の
    側に突出したカエシ部を有する磁性体片を準備する工程
    と、 該磁性体片の該カエシ部が突出する側に、Al系金属か
    らなり、母材となる溶融金属を鋳込み、鋳込み金属の一
    部を、該磁性体片の該開口部から該カエシ部に囲まれた
    空間にリベット状に充填させる工程とを包含する磁性体
    接合構造の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の磁性体接合構造を用いた
    電磁調理機用鍋であって、 Al系金属により鋳造された鍋本体と、該鍋本体の表面
    に接合されて高周波電磁誘導加熱法により加熱される磁
    性体片とを備えており、 該磁性体片は、表裏両面間を貫通する開口部を有すると
    共に、該開口部の周囲に位置して、内周側に張り出しつ
    つ該鍋本体の側に突出したカエシ部を有しており、且
    つ、該鍋本体の一部が該開口部から該カエシ部に囲まれ
    た空間に突出して形成されたリベット状の突出部によ
    り、該鍋本体の表面に接合されている電磁調理機用鍋。
  4. 【請求項4】 前記磁性体片は、前記鍋本体の底部下面
    に接合された薄板である請求項3記載の電磁調理機用
    鍋。
  5. 【請求項5】 前記磁性体片の前記カエシ部は、所定の
    間隔で複数個設けられている請求項3又は請求項4記載
    の電磁調理機用鍋。
  6. 【請求項6】 前記磁性体片の前記カエシ部は、パンチ
    ングによって該磁性体片に開口部を形成することに伴っ
    て該開口部の周囲に形成される湾曲形の環状突起である
    請求項3〜請求項5のいずれかに記載の電磁調理機用
    鍋。
  7. 【請求項7】 前記磁性体片のカエシ部は、該磁性体片
    の開口部に臨む縁部を折り曲げて形成した傾斜形の環状
    突起である請求項3〜請求項5のいずれかに記載の電磁
    調理機用鍋。
  8. 【請求項8】 前記磁性体片のカエシ部は、該磁性体片
    の開口部に臨む縁部を、該磁性体片の一方の表面の側へ
    ほぼ平行に突出させて形成した段付き形の環状突起であ
    る請求項3〜請求項5のいずれかに記載の電磁調理機用
    鍋。
  9. 【請求項9】 前記リベット状の突出部は、その先端面
    が前記磁性体片の表面より突出している請求項3〜請求
    項8のいずれかに記載の電磁調理機用鍋。
  10. 【請求項10】 請求項3〜請求項9記載の電磁調理機
    用鍋の製造方法であって、 下型の端部寄りの位置に一対の金属製の中子を載置し、
    且つ中子間に砂型を載置し、該中子と該砂型間に裏返し
    にされた鍋本体に対応する形状の湯道を形成する工程
    と、 前記磁性体片の前記カエシ部が下方へ突出するように、
    該中子の上に該磁性体片の両端部を載置する工程と、 該中子が嵌合する凹部を下面に有し、該凹部の上方に、
    該砂型の上に位置する該磁性体片の前記開口部を介して
    該凹部に連通するガス抜き孔を有する上型を、該中子の
    上から該下型の上に載置する工程と、 該下型、該中子、該砂型及び該上型を組み合わせた後
    に、該湯道にAl系金属からなる溶湯を、該溶湯が少な
    くとも該磁性体片の該開口部を経て該カエシ部に囲まれ
    た空間に至るまで注入する工程と、 注入した溶湯が凝固した後に、該下型、該中子、該砂型
    及び該上型を分解して鋳造物を取り出す工程とを包含す
    る電磁調理機用鍋の製造方法。
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