JPH1166582A - 光ディスクのトラッククロスパルス生成回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速シーク時でも正確なトラッククロスパル
スを生成することのできる光ディスクのトラッククロス
パルス生成回路を提供する。 【解決手段】 ピックアップを光ディスクの半径方向に
移動させて得られる信号に基づき、光ビームが光ディス
クのトラックを横切ったことを示すクロックパルスを生
成するに当たり、ピックアップを移動させて得られる信
号を受けて、所定の周波数帯域以外の信号を減衰させて
出力し、かつ、周波数帯域の中心周波数が可変のデジタ
ルバンドパスフィルタ１２と、このデジタルバンドパス
フィルタを通過した信号を２値化するヒステリシスコン
パレータ１３と、このヒステリシスコンパレータの出力
信号の周波数を測定する平均値回路１４（周波数測定手
段）と、デジタルバンドパスフィルタの中心周波数を、
平均値回路１４で測定した周波数に追随させる中心周波
数制御回路１５とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスクに対し
て情報の再生又は記録を行うピックアップを光ディスク
の半径方向に移動させて得られる信号に基づき、光ビー
ムが光ディスクのトラックを横切ったことを示すクロッ
クパルスを生成してシークの制御に用いる光ディスクの
トラッククロスパルス生成回路に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種のクロックパルスの生成には、光
ビームの照射位置とトラックとの間の半径方向の位置誤
差に応じたトラッキングエラー信号や、主信号（以下Ｒ
Ｆ信号）に含まれる包絡線信号、あるいは、ピークの包
絡線信号とボトムの包絡線信号との差信号から作られる
ミラー信号などが用いられていた。

【０００３】図５はこれらの信号のうち、トラッキング
エラー信号を用いてトラッククロスパルスを生成し、こ
のトラッククロスパルスをシークの制御に用いる制御回
路の構成を示すブロック図である。ここで、トラッキン
グエラー検出回路１はトラックを横切ったことに対応す
るトラッキングエラー信号を出力し、ローパスフィルタ
２に加える。ローパスフィルタ２はトラッキングエラー
信号の高周波成分を除去してヒステリシスコンパレータ
３に加える。ヒステリシスコンパレータ３はノイズなど
の影響を受けにくいヒステリシス特性を有し、これによ
って２値化されたトラッククロスパルスを出力する。こ
のトラッククロスパルスはシーク制御回路４に加えられ
る。シーク制御回路４はトラッククロスパルスを計数
し、トラックの移動数（トラックを横切った回数）を検
出していた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】近年、光ディスクの大
容量化と高速化が進み、トラッククロスパルスの最高周
波数が上昇してきた。このため、トラッククロスパルス
の周波数が上がり、データとして変調されている信号の
周波数とトラッククロスパルスの周波数とが接近するよ
うになってきた。このため高速シークによりトラックク
ロスパルスの周波数が高くなったとき、ノイズ除去のた
めの前記したローパスフィルタ２によりトラッククロス
パルス信号の出力のレベルが低下したり、トラック上の
データによるノイズなどが増加し、前記したヒステリシ
スコンパレータ３が誤動作しやすく、前記したシーク制
御回路４での計数誤差が発生するようになった。

【０００５】これを解決しようとして、例えば、特開平
６−３２５５１３号公報には、トラッキングエラー信号
の高域の周波数特性を向上させ、ピックアップを光ディ
スクの半径方向に移動させるサーチ動作時に、このトラ
ッキングエラー信号のレベルに基づいてトラック数を計
数する技術が示されている。しかし、この方法は検出信
号の振幅は確かに増加するが、同時にノイズレベルも増
加するため、高速シーク時にトラッククロスの計数に誤
差を生じやすかった。

【０００６】また、こうした計数誤差の発生を抑えよう
とするもう一つの方法が、例えば、特開平６−３４９２
１１号公報に示されている。この公報には、ピックアッ
プと記録媒体の相対速度が高速、すなわち、トラッキン
グエラー信号の周波数が高いときにはヒステリシスコン
パレータのヒステリシス幅を狭くしてシーク中にトラッ
キングエラー信号の誤検出を減少させることが記載され
ている。しかし、この方法も、トラッククロス信号とデ
ータの変調周波数成分とが接近してくると、検出信号に
この変調周波数成分がノイズとして現れてＳＮ比が悪化
してくる。このため、高速シーク時にはヒステリシスコ
ンパレータの誤動作が避けられなかった。

【０００７】本発明は、上述した従来装置の課題を解決
するためになされたもので、高速シーク時でも正確なト
ラッククロスパルスを生成することのできる光ディスク
のトラッククロスパルス生成回路を提供することを目的
とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１に記載
のトラッククロスパルス生成回路は、光ディスクのトラ
ック上へ光ビームを照射するピックアップを前記光ディ
スクの半径方向に移動させて得られる信号に基づき、前
記光ビームが前記光ディスクのトラックを横切ったこと
を示すトラッククロスパルスを生成する光ディスクのト
ラッククロスパルス生成回路において、前記ピックアッ
プを移動させて得られる信号における所定の周波数帯域
以外の信号を減衰させて出力し、かつ、前記周波数帯域
の中心周波数が可変のバンドパスフィルタと、前記バン
ドパスフィルタを通過した信号を２値化して得た前記ト
ラッククロスパルスの周波数を測定する周波数測定手段
と、前記バンドパスフィルタの中心周波数を、前記周波
数測定手段で測定した周波数に追随させる中心周波数制
御回路とを、備えたことを特徴とするものである。

【０００９】本発明の請求項２に記載のトラッククロス
パルス生成回路は、請求項１に記載のものにおいて、バ
ンドパスフィルタがデジタルバンドパスフィルタである
ことを特徴とするものである。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明を好適な実施形態に
基づいて詳細に説明する。図１は本発明の一実施形態の
構成を示すブロック図である。同図において、トラッキ
ングエラー検出回路１１はデジタル化されたトラッキン
グエラー信号を出力するもので、これにデジタルバンド
パスフィルタ１２が接続されている。このデジタルバン
ドパスフィルタ１２はトラッキングエラー信号を入力し
てその基本波成分を中心周波数として所定の周波数帯域
の信号を通過させ、それ以外の周波数を持った信号を減
衰させるとともに、信号を通過させる周波数帯域の中心
周波数を変化させ得るものである。このデジタルバンド
パスフィルタ１２には、アナログ信号の代わりにデジタ
ル信号を入力し、前述のヒステリシスコンパレータ３と
全く同様な機能を有するヒステリシスコンパレータ１３
が接続され、さらに、このヒステリシスコンパレータ１
３にシーク制御回路４が接続されている。

【００１１】一方、デジタルバンドパスフィルタ１２の
周波数帯域の中心周波数を変化させるために、ヒステリ
シスコンパレータ１３の出力パルスを計数し、所定のト
ラッククロスパルス数をカウントするに要する平均時間
の逆数である、その中心周波数を検出する平均値回路１
４と、この平均値回路１４の出力に応じてデジタルバン
ドパスフィルタ１２の中心周波数を制御する中心周波数
制御回路１５とが設けられている。

【００１２】図２はデジタルバンドパスフィルタ１２の
詳細な構成を示すブロック図である。同図において、デ
ジタル化されたトラッキングエラー信号（図中、ＴＥ信
号と略記する）を受けて、これを遅延させて出力すると
ともに、遅延時間の制御が可能な遅延回路２１，２２が
カスケードに接続されている。この場合、遅延回路２
１，２２は、例えば、複数のシフトレジスタで構成さ
れ、中心周波数制御回路１５から出力される制御信号を
用いて、このうちのいずれかを選択することによって、
遅延時間を変え得るものである。また、遅延回路２１の
入力信号にフィルタ係数−０．５を乗算する乗算器２
３、遅延回路２１の出力信号にフィルタ係数１を乗算す
る乗算器２４及び遅延回路２２の出力信号にフィルタ係
数−０．５を乗算する乗算器２５が設けられている。さ
らに、これらの乗算器２３〜２５の各出力信号を加算す
る加算器２６と、その出力に適当な係数を乗算する乗算
器２７とが設けられている。そして、この乗算器２７の
出力がデジタルバンドパスフィルタ１２の出力信号とし
て前述のヒステリシスコンパレータ１３に加えられる構
成になっている。

【００１３】上記のように構成された本実施形態の動作
について以下に説明する。トラッキングエラー検出回路
１１はデジタルトラッキングエラー信号を出力してデジ
タルバンドパスフィルタ１２に加える。デジタルバンド
パスフィルタ１２はトラッキングエラー信号の基本波成
分を中心周波数として、例えば、±１ｋＨｚ程度の周波
数帯域を有し、この帯域を外れた周波数の信号を減衰さ
せることにより、トラッククロス信号の検出に必要な成
分、すなわち、トラッキングエラー信号の基本波成分を
強調してヒステリシスコンパレータ１３に加える。そこ
で、ヒステリシスコンパレータ１３は入力信号を２値化
してトラッククロスパルスをシーク制御回路４に加え
る。シーク制御回路４はトラッククロスパルスを計数す
ることにより、シークの速度やピックアップの位置を知
り、シークの制御を行う。

【００１４】ここで、ヒステリシスコンパレータ１３か
ら出力されたトラッククロスパルスは平均値回路１４に
も加えられる。平均値回路１４は所定のトラッククロス
パルス数をカウントするに要する時間を計数し、この時
間の逆数である平均周波数を測定して中心周波数制御回
路１５に加える。中心周波数制御回路１５は平均周波数
に追随するようにデジタルバンドパスフィルタ１２の中
心周波数を制御する。すなわち、中心周波数制御回路１
５から出力される制御信号によって遅延回路２１，２２
の遅延時間を変更する。この場合、遅延回路２１，２２
が複数のシフトレジスタで構成されているとすれば、そ
の選択状態を変更する。

【００１５】この結果、シークの速度に応じてトラッキ
ングエラー信号の周波数が変化しても、常に、その変化
に追従してその基本波信号が強調されるので、従来装置
と比較して、高速シーク時のトラック数の計数精度を格
段に向上させることができる。

【００１６】図３は本実施形態におけるトラッククロス
パルスの生成状態のシミュレーション結果であり、図
中、（ａ）はトラックを横切った状態の主信号（ＲＦ信
号）を示し、（ｂ）はデジタルバンドパスフィルタ１２
の出力信号を示し、（ｃ）はヒステリシスコンパレータ
１３の出力を示している。図３から明らかなように、ト
ラッキングエラー信号からトラッククロス成分が強調さ
れるとともに、効果的にノイズや低周波成分が取り除か
れ、正確なトラッククロスパルスが生成されていること
がわかる。

【００１７】ちなみに、図４は図５に示した従来装置に
おけるトラッククロスパルスの生成状態のシミュレーシ
ョン結果であり、（ｂ）に示すローパスフィルタ２の出
力信号の振幅変化やノイズのため、（ｃ）に示すように
トラッククロスパルスが欠落したり、パルス幅の広がり
によってパルス数が少なくなったりしている。

【００１８】図４及び図５のシミュレーション結果から
も明らかなように、本実施形態によれば、高速シーク時
でも正確なトラッククロスパルスを確実に生成すること
ができる。

【００１９】上記実施形態では、簡易な３タップのデジ
タルフィルタを用いたが、これらの特性及びタップ数を
変更することにより、より良好な効果を得ることが可能
である。なお、上記実施形態では中心周波数の変更が容
易なデジタルバンドパスフィルタを用いることを前提と
して、デジタル化されたトラッキングエラー信号を出力
するトラッキングエラー検出回路、デジタル信号を２値
化するヒステリシスコンパレータを用いたが、シーク速
度に応じて決定することのできる周波数帯域を有し、か
つ、中心周波数が可変のアナログ信号用のバンドパスフ
ィルタを用い、上述したと同様に、ヒステリシスコンバ
レータの出力信号の周波数を測定し、バンドパスフィル
タの中心周波数を、測定した周波数に追随させるように
すれば本実施形態と同様な効果が得られる。

【００２０】また、上記実施形態では平均値回路によっ
て所定のトラッククロスパルス数をカウントするに要す
る時間を平均して、その逆数である周波数を測定した
が、周波数の測定はこれ以外に種々の方法があり、その
いずれの方法を採用しても良い。

【００２１】さらにまた、上記実施形態によれば、ピッ
クアップを移動させて得られる信号としてトラッキング
エラー信号を用いたが、この代わりに、ピックアップを
移動させて得られる主信号（ＲＦ信号）に重畳された高
周波信号の包絡線信号を用いても、あるいは、主信号
（ＲＦ信号）に重畳された高周波信号のピークの包絡線
信号とボトムの包絡線信号の差信号から作られたミラー
信号を用いても、上述した同様な効果が得られる。

【００２２】

【発明の効果】以上の説明によって明らかなように本発
明によれば、光ディスクのトラックを横切ったことを示
すトラッククロスパルスを生成するに当たり、ピックア
ップを光ディスクの半径方向に移動させて得られる信号
を中心周波数が可変のバンドパスフィルタに入力し、そ
の出力を２値化するヒステリシスコンパレータの出力信
号の周波数を測定し、バンドパスフィルタの中心周波数
を、測定した周波数に追随させるように構成したので、
大容量化及び高速化が進んだ光ディスクの高速シーク時
でも正確なトラッククロスパルスを生成することができ
る。 また、バンドパスフィルタとしてデジタルバンド
パスフィルタを採用したことによって、比較的簡易な構
成で済むという効果も得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図で
ある。

【図２】図１に示した実施形態の主要素の詳細な構成を
示すブロック図である。

【図３】図１に示した実施形態の動作状態のシミュレー
ション結果を示す波形図である。

【図４】従来の光ディスクのトラッククロスパルス生成
回路の動作状態のシミュレーション結果を示す波形図で
ある。

【図５】従来の光ディスクのトラッククロスパルス生成
回路の構成を示すブロック図である。

【符号の説明】

４ シーク制御回路 １１ トラッキングエラー検出回路 １２ デジタルバンドパスフィルタ １３ ヒステリシスコンパレータ １４ 平均値回路（周波数測定手段） １５ 中心周波数制御回路

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 光ディスクのトラック上へ光ビームを照
   射するピックアップを前記光ディスクの半径方向に移動
   させて得られる信号に基づき、前記光ビームが前記光デ
   ィスクのトラックを横切ったことを示すトラッククロス
   パルスを生成する光ディスクのトラッククロスパルス生
   成回路において、 前記ピックアップを移動させて得られる信号における所
   定の周波数帯域以外の信号を減衰させて出力し、かつ、
   前記周波数帯域の中心周波数が可変のバンドパスフィル
   タと、 前記バンドパスフィルタを通過した信号を２値化して得
   た前記トラッククロスパルスの周波数を測定する周波数
   測定手段と、 前記バンドパスフィルタの中心周波数を、前記周波数測
   定手段で測定した周波数に追随させる中心周波数制御回
   路とを、 備えたことを特徴とする光ディスクのトラッククロスパ
   ルス生成回路。
2. 【請求項２】 前記バンドパスフィルタはデジタルバン
   ドパスフィルタであることを特徴とする請求項１に記載
   の光ディスクのトラッククロスパルス生成回路。