JPH1166322A - カラー画像及び濃淡画像の通信装置 - Google Patents

カラー画像及び濃淡画像の通信装置

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JPH1166322A
JPH1166322A JP23045197A JP23045197A JPH1166322A JP H1166322 A JPH1166322 A JP H1166322A JP 23045197 A JP23045197 A JP 23045197A JP 23045197 A JP23045197 A JP 23045197A JP H1166322 A JPH1166322 A JP H1166322A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 濃淡画像をそのままビットマップ形式で記憶
させるとかなりのメモリ容量を占有してしまい、これを
伝送すると長い伝送時間が必要になる。書き込み読みだ
しに時間が掛かりギザギザが出たりして再生画質も劣
る。濃淡画像を少ないデータ量にして短時間伝送し、印
刷版下のような高精度の品質を要する濃淡画像でも伝送
できるようにすること。 【解決手段】 濃淡画像を濃度が近似している連続部分
を領域として抽出し、領域の境界線を求め、領域の平均
濃度を計算し、境界線の特異点である領域分割点と境界
急峻点を抽出し、これら特異点を両端に持つ境界線部分
を区分的多項式によって近似し、原画像の濃度から領域
毎の平均濃度を差し引いた差分画像を求め、揺らぎの小
さい差分画像を二次元の区分的多項式によって近似し、
これらの圧縮データを符号化して送信する。電話線、専
用回線、無線など伝送媒体を経て伝送された符号化デー
タは、受信側で圧縮データにもどされ、差分画像を再生
し、領域を再生し、平均濃度を差分画像に加えて原画像
を再生する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、連続的に階調が
変化する単色の濃淡画像、及び連続的に階調が変化する
カラー画像の通信方法に関する。モノクロ画像、二値画
像とは違い、連続階調変化する画像を対象にする。単に
画像処理装置ではなく高品質高速の通信装置を与える。
カラー画像は分解すると3原色又は4原色の濃淡画像と
なる。色分解後の処理は、濃淡画像の処理と同じである
から、カラー画像も濃淡画像処理と並行に論ずることが
できる。分解して濃淡画像として処理し色合成するとカ
ラー画像に戻す事ができる。
【0002】色分解色合成はカラー画像を取り扱う場合
に頻用される公知の技術である。本発明の骨子は濃淡画
像の通信処理にある。カラー画像はそれと同じ技術を使
って通信することができる。単色の濃淡画像処理を3な
いし4の各原色ごとに独立に行うものがカラー画像処理
である。そこで以後おもに単色濃淡画像の処理につい
て、説明する。
【0003】インターネットに代表されるように昨今の
ネットワーク技術の発展はめざましい。従来の電話回線
のみならず、種々の専用回線を用いてデータの通信が行
われるようになってきている。さらに携帯電話やPHS
などの無線通信も一般に普及し、遠隔地へデータを簡易
に伝送できるようになってきた。マルチメディアが情報
技術の主流として確固たる地位を築きつつある。そして
いまや画像の通信は情報技術の重要課題である。
【0004】一般に、画像の通信において要求される仕
様は、 ○画質がきれいであること、 ○少データ量(通信時間が短い)であること 等である。高画質でなければならないのは当然である。
目的によって画質への要求は厳しいものがある。しかし
画質の劣化を恐れて通信に時間を掛けすぎると実用的で
ない。データ量が少なく通信時間が短いというのも必須
の要件である。
【0005】さらに近年は、デジタル出版などの様々な
サービス分野において、伝送されてきた画像をそのまま
用いるだけでなく、画質を落とす事なく、任意の大きさ
や任意の位置にレイアウトして画像を印刷することも求
められる。従って、画像の変形などの加工が容易にでき
ること、種々の画像要素を取り扱う事ができることなど
も強く望まれる。
【0006】これらの要求を満たすためには、種々の画
像要素を取り扱う事ができ、画像を変形処理したときも
高画質の再生結果を与えることのできる画像フォーマッ
トを用いた通信装置が必要である。それに加えて、デー
タ量を少なくし、処理(伝送時間を含む)時間を短くす
るために、画像データは圧縮されていることが望まれ
る。
【0007】本発明が対象とする画像要素は、写真、毛
筆文字、印刷文字、イラスト、ロゴマークなど広範にわ
たる。寸法も自由である。どのような色の濃淡画像であ
ってもよい。
【0008】ここで、濃淡画像というのは、ある色相に
ついて、その強度が連続階調で変化する画像である。本
発明の対象として、単色濃淡画像だけでなく、カラー画
像も含まれる。カラーの場合は、要素となる色相に分解
し、そのひとつの色相に着目すると濃淡画像に還元され
る。例えば、カラー画像を4原色に分解すると、それぞ
れの色相の濃淡画像になるから、4原色の色相ごとに別
々の処理を行う。本発明はそのように広く連続的に変化
する色相の集合からなる画像を対象にする。
【0009】濃淡画像は、二値画像に相対する言葉とし
て用いられる。単色の濃淡画像や、濃淡のあるカラー画
像を意味する。言葉だけの定義で言えば濃淡画像という
のは二値画像を排除している。しかし本発明は極めて一
般性汎用性に富む方法であり、二値画像をも処理する事
ができる。であるから本発明は広く画像の処理を目的と
しており、濃淡画像にも二値画像にも適用することがで
きる。二値画像を排除しているのではなく、濃淡画像の
処理ができるのであるから当然に二値画像も処理できる
優れた発明である。
【0010】それでは単に、画像の通信装置といえばい
いようにも思えよう。二値画像に比べて極めて処理が難
しい濃淡画像をも通信処理できるという意味でわざわざ
「濃淡画像」という言葉を入れている。さらに単色二値
画像という限定された技術ではないのだという意味で
「カラー」と言う言葉もつけているのである。広く無限
定の画像を扱うことができる、ということである。
【0011】本発明は、濃淡画像を画像読み取り装置或
いは画像入力装置によって入力し、濃淡画像を多値デー
タとし、濃淡画像の特徴を失う事なく、ノイズを除去し
つつデータを圧縮して、圧縮データを電話回線や専用回
線、あるいは無線などによって伝送し、伝送されたデー
タから濃淡画像を再生するものである。
【0012】特に、濃淡画像を原画から自動的にデジタ
ルデータ化し、これを回線を用いて遠隔地へ伝送し、任
意の大きさに再生し、印刷機器や、コンピュータなどで
利用できるものとする。
【0013】カラー画像の場合は、色相毎に分解し、4
原色又は3原色の濃淡画像を得て、それぞれ独立に、特
徴を失う事なくノイズを除去し、圧縮した後に各原色の
データを順に伝送し、伝送されたデータから各色相の濃
淡画像を再生し、原色毎の濃淡画像を合成しカラー画像
を再生する。
【0014】
【従来の技術】コード化されたデータ(文字など)はデ
ータ量が少ないので現在でも品質の劣化を招く事なく伝
送することができる。しかしコード化されていない濃淡
画像は情報量が膨大であるから劣化させることなく短時
間で伝送できない。であるから従来の技術といっても、
画質を劣化させずに伝送することのできる実用的な技術
は未だ存在しない。次に述べるのはデータ圧縮の方法で
あってこれによって圧縮したデータを回線を使って実際
に伝送するような技術が実在するという訳ではない。次
に3つの関連技術を述べる。ビットマップデータ法
(A)、DCT法(B)、関数近似法(C)である。A
はデータ圧縮しないでデータ伝送する方法である。B、
Cはデータ圧縮法であって実際に通信に使われるという
わけではない。
【0015】(A) ビットマップデータ法 ビットマップデータ法というのは、スキャナなどの画像
読み取り装置から入力された画像の濃淡値をそのまま伝
送する方法である。現在画像伝送法として実現している
唯一の方法といえるかも知れない。ビットマップという
のは濃淡値をもった画素を意味する。画素の濃度値を、
圧縮、加工せずにそのまま伝送する。
【0016】例えば、現在普及しているファクシミリ
(二値および多値ともに)はこの形式を取っている。ア
ナログ信号をデジタル信号に変えハフマン符号化などの
データ低減処理は行うがこれはデジタル信号伝送データ
の低減処理である。画像そのもののデータ圧縮は全く行
われていない。画像を構成する夥しいデータをそのまま
送ると言って良い。そのまま伝送するからどのような画
像要素をも扱える。極めて単純な方法である。しかしフ
ァクシミリのようにビットマップデータを送る方法には
次のような重大な欠陥がある。
【0017】(1) ひとつは受信画像が汚いというこ
とである。ひとつひとつの画素の間隔を標本化間隔とい
う。これを小さくすると伝送時間が掛かりすぎるので粗
い間隔で標本化する。標本化間隔が粗いので伝送画像が
不鮮明になる。原画が細かい場合などは、原画の持つ特
徴を保持した画像を受信できない。伝送画像は原画の特
徴を失ってしまう。光学的に読み取るのでノイズが入る
ということもある。特に原画が小さい場合、綺麗に原画
を再生した伝送画像を得る事ができない。2度、3度と
ファクシミリを通すと画像のノイズが増幅され極めて不
鮮明なものになる。再生画像の汚さはビットマップ法の
最も重大な欠点である。
【0018】(2) ふたつ目は、再生画像が等倍であ
り、拡大、縮小ができないということである。加工の自
由度が全くない。受信した画像をコピー機によって拡
大、縮小することはできる。しかしそうすると更に不鮮
明になって使いものにはならない。ビットマップデータ
を扱う限りデータ加工の自由度は0である。 (3) 三つ目は、データ量が非常に多いということで
ある。画像を通信する場合において、データ量が多いと
いうことは致命的な欠点である。なぜなら、通信に膨大
な時間が掛かり経済的にも時間的にも多大な損害を与え
るからである。従ってデータ量がより少なくなることが
望まれる。
【0019】上記の欠点(1)は標本化間隔を密にする
ことによってある程度克服する事が可能であろう。標本
化間隔が細かいと原画の特徴を失わないような良質の画
像を伝送することができるはずである。しかしそうする
とデータ量が増大するので、伝送時間が長くなる。伝送
時間が長いと伝送コストが嵩む。
【0020】伝送時間を短くするためにランレングス法
やモディファイドハフマン符号化などといった符号化方
式を利用して送信データを圧縮して送る技術が開発され
ている。しかし、これはデジタルデータ化したものをそ
のまま符号化するもので原画の特徴を全く考慮しない符
号化法であるから、データ圧縮の程度は限られている。
伝送に要する時間を短くするためにファクシミリの標本
化間隔は尚広く受信画像の質は悪い。再生画像は原画の
細かい特徴を失ってしまう。このようにビットマップデ
ータをそのまま伝送する方法は唯一実現されている伝送
方法であるが、甚だ画質が劣化してしまう。ビットマッ
プ法では満足できる受信画像を得る事は到底できない。
【0021】(B)DCT法 離散cos関数を用いて画像を圧縮してデータとなる係
数を求める方法である。離散コサイン関数によるデータ
圧縮は、JPEGなどの静止画標準圧縮手法などに用い
られている。これはデータ圧縮に利用される方法である
が画像通信には未だ使われていない。この圧縮法による
とデータを減らすことができるので、伝送しやすくな
る。この圧縮法は濃度変化が比較的滑らかである画像に
おいて有効である。しかし急峻な濃度変化をもつ画像に
おいては不適当である。ブロック歪みやエッジ劣化を生
じるからである。従ってDCT法によるデータ処理は、
種々の画像要素(写真、毛筆文字、印刷文字、イラス
ト、ロゴなど)が混在する画像を処理すると、画質を甚
だしく劣化させる。さらにDCT法は拡大縮小などの変
形をすると画質はさらに低下する。拡大、縮小などデー
タ加工には不向きである。
【0022】(C)関数近似法 関数近似法は、画像要素波形を基底関数の結合によって
表現し係数に還元することによって画像を近似する方法
である。このアイデアに基づいた画像伝送方法が例えば
特開平6−83952号、特開平6−96199号、特
開平6−348837号、特開平7−85268号によ
って提案されている。文字やイラストなどの二値画像の
輪郭を直線、真円、円弧、自由曲線近似の順に処理し、
輪郭線パラメータを伝送する。輪郭線を直線、円弧、
円、自由曲線(関数表現)によって表現する。簡単な図
形要素で表現するのでデータ圧縮することができる。
【0023】しかしこの方法は二値画像(白と黒)の輪
郭を近似するものである。濃淡画像のように輪郭という
ようなものがなく濃度が連続変化するものには使えな
い。濃淡画像には全く無力であった。上記の提案も実用
化されているわけではない。つまり関数近似法で濃淡画
像のデータ伝送を行うような技術は未だ実現していな
い。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】濃淡画像を原画の特徴
を失う事なく少ないデータ量にして伝送し、画像の特徴
を失う事なく受信し変形加工できるような伝送技術は、
従来全く存在しなかったと言って良い。従来のビットマ
ップデータ法では、原画の特徴が失われ画質が劣化す
る。原画に忠実なデータを伝送するには標本化間隔を狭
くする必要がある。しかしそうするとデータ量が著しく
増えてしまう。伝送時間がむやみに増えてはいけないの
で標本化間隔は余り狭くできない。であるからビットマ
ップ法では伝送による画質劣化は不可避である。
【0025】DCT法はデータ圧縮をすることができる
が種々の画像要素が混在する場合に画質の低下が甚だし
い。画質低下を招く事なく拡大縮小することはできな
い。いまだ画像通信技術として実用化するに足る技術で
ない。関数近似法も通信には利用されていない。関数近
似法で濃淡画像に対して上記の要求を満たしながら伝送
できるものは存在しない。
【0026】このように細密な濃淡画像を高品質、短時
間で、加工変形を許容しながら伝送できるような技術は
これまで全く存在しなかったと言って良い。しかし濃淡
画像のデータ伝送への要求はますます強くなって来てい
る。
【0027】例えば、従来の画像伝送技術では印刷の版
下のように高精度が要求される画像を伝送することはで
きない。高精度の画像は、写真そのもの等の原本を封筒
に入れて郵便や宅急便で送る他に手段がない。郵便など
で原画を送るとすれば少なくとも数日を要する。これら
の高精度が要求される画像を、原画に忠実に、瞬時に伝
送できれば極めて好都合である。もしそうなれば、原画
を宅配便などで送る必要がなくなる。運送による遅れな
どがなく極めて便利である。そのような要望に応え、本
発明は高画質、短伝送時間、変形加工可能な画像伝送装
置を提供することを目的とする。
【0028】濃淡画像の原画を綺麗に精度よく、電話回
線などを通して短時間に伝送できる技術が切に望まれ
る。そのためには従来のビットマップ法、DCT法など
は全く役に立たない。本発明は濃淡画像を精度よく短時
間伝送できる技術を初めて与える。本発明の課題は次の
通りである。
【0029】(1)濃淡画像を伝送の為のデータ形式に
変換する労力を省く事。
【0030】(2)高品質を維持しながら、拡大縮小な
どの変形が可能である事。
【0031】(3)濃淡画像の伝送のためのデータ量が
少ない事。
【0032】高品質の伝送を行い印刷版下でもやすやす
と送れるようにしたい。しかも電話や専用回線で短時間
で伝送できるようにしたい。短時間伝送できる形にまで
データを単純化する手続きが単純でなければならない。
しかもどのような画像に対しても等し並みに適用できる
ことが必要である。
【0033】
【課題を解決するための手段】本発明の濃淡画像通信装
置は、送信側では全画面を濃度が近似する部分である領
域に分割し尽くし、全領域の境界形状を二次元情報とし
て得て自動的にデータ圧縮し、全領域内の濃淡変化を三
次元情報として得て自動的にデータ圧縮し、圧縮データ
を伝送する。受信側ではデータを復元し境界を求め領域
の濃淡変化を再生し全体の画像を任意の大きさで任意の
位置に再生する。データ圧縮に加えて、符号化しさらに
データ量を減らして伝送する。すると一層短時間で伝送
できる。
【0034】原画を読み取る際にコンピュータの能力が
十分であれば全体を一括処理すればよい。もしもコンピ
ュータの能力が不十分であれば、領域を抽出した後に原
画を縦横に分割し、分割画像ごとに濃淡変化に対する処
理を行うようにすれば良い。濃淡変化に対する処理と言
うのは、全体画像を扱う場合でも、分割画像を扱う場合
でも同じである。領域内の濃淡変化を自動的にデータ圧
縮符号化する処理である。
【0035】本発明の濃淡画像通信装置は、送信側の機
構と、受信側の機構を併せてなる。送信側では、光学的
に濃淡画像データを読み取り、或いは初めから画像入力
手段によって与えられた濃淡画像データから、内部では
各画素の濃度差が小さく、内外間では濃度差が大きくな
るように領域を抽出し、抽出された領域毎に、その領域
内の濃度の平均濃度で表現した平均画像を求める。各領
域の境界線から、3つ以上の領域を分割している領域分
割点と、境界線勾配の差分変化が急峻な境界急峻点を抽
出する。領域分割点と境界急峻点を特徴点と呼ぶ。境界
線上の隣接特徴点間の境界点列を、最もよく近似できる
自由曲線などで近似する。曲線で近似する際に1変数ス
プライン関数を用いる。境界線がこれら線を表現するパ
ラメータで表現されると境界点列の座標データは全て捨
てる。これによって境界に関する情報のデータ量は著し
く減少する。
【0036】次に、領域内を平均濃度によって塗りつぶ
した平均画像と、原画像の差分を求める。これを差分画
像という。差分画像に対して、その濃度変化を最も良く
近似できる曲面で近似する。この近似の際に、2変数2
次B−スプライン関数を用いる。濃淡のデータはこの曲
面のパラメータによって表現される。近似したのでもと
の各画素の濃度値は捨てられる。これにより濃淡に関す
る情報のデータ量は著しく減少する。つまりデータの近
似は、境界線の近似(2次元)と、平均画像の近似(3
次元)の2種類がある。
【0037】圧縮によってデータ量を減らす事ができ
る。しかし圧縮は単にデータを減らすというだけでな
く、ノイズを除去して綺麗な画像にするという優れた作
用がある。例えば、滑らかな濃淡変化を生じている画像
に斑点のような微妙なノイズがのっていたとする。本発
明はこれを滑らかな曲面であると見抜いてそのように表
現するのでノイズを除去する事ができるのである。濃淡
変化の圧縮方法は、本発明者の特願平8−317017
号に詳しく説明されている。圧縮方法は後に詳しく説明
する。
【0038】これらの圧縮データを、公知一般の符号化
技術によって符号化する。符号化したデータを、順次記
憶装置に記憶させる。これは並列のデジタルデータであ
るから、時系列のデータとして、通信用のデータに変換
する。通信用データを送信装置を用いて送信する。以上
が送信側の行う手順のあらましである。
【0039】伝送媒体は、電話回線、専用回線、無線、
光ファイバ網など任意である。送信側と、受信側の間に
ホストコンピュータを介在させることもある。伝送距離
は任意である。国内に限らず、国外の受信装置に送信す
ることもある。
【0040】受信側では、通信用データを受信する。符
号化されて送信されてきたデータを記憶する。まず復号
化をする。符号化の反対であるからこれは公知の方法を
用いることができる。差分画像を近似する曲面のパラメ
ータが与えられるのでこれを基にして差分画像を再生す
る。送信側で全体を差分画像とした場合はそのままで再
生する。送信側で、差分画像の画面を分割して近似した
場合は、全ての分割画面で差分画像を再生し、これらの
分割再生画像を合成する。これらによって全体の差分画
像が得られる。
【0041】つぎに、境界点列の特徴点と、特徴点間を
近似する曲線のパラメータが与えられるからこれを基に
して境界線を再生する。境界線内の領域をその平均濃度
によって一様に塗りつぶし平均画像を得る。平均画像に
先ほどの差分画像を加算する。これによって原画と同じ
ものが得られる。そのまま印刷など出力することもでき
る。境界線と濃淡値がともに関数値で表現されているの
で関数パラメータを変換し、所望の大きさに拡大したり
縮小したり回転移動、平行移動などもできる。この時画
質が劣化しないという利点がある。
【0042】
【発明の実施の形態】本発明の通信装置と通信方法は、
高品質、短時間、柔軟性に優れたカラー画像、濃淡画像
の伝送を可能とする。図1に本発明のデータ送信装置の
概略構成図を示す。コンピュータ、ワークステーション
などには本発明の方法を実現した通信装置が予め入って
いる。紙に書いた原画を送る場合は原画をイメージスキ
ャナなどの画像読み取り装置によってコンピュータ等に
入力する。画像データベースにあるものを送受信する場
合は、データベースからの画像を直接にコンピュータ等
に入力する。また本発明の方法でデータ圧縮されたデー
タをコンピュータに入力し送受信することもできる。
【0043】コンピュータ、ワークステーションでは先
ほど述べたような処理(境界線抽出、境界線近似、平均
画像、差分画像抽出、差分画像の近似、符号化など)を
行う。圧縮データが得られるので、これを通信用モデム
によって送信する。送信媒体は、電話回線、専用回線、
無線等である。電話回線などが商業用プロバイダなどと
接続されている場合は途中で商業用ホスト局コンピュー
タを経由する。これには、加入者別に暗証番号や、パス
ワードなどが設定されているので、通信の秘密を護る事
ができる。各商業用ホストごとに会費が決められる。本
発明の通信方法は別段プロバイダの介在を必要としな
い。しかし商業用コンピュータを経由しても通信するこ
とができる。
【0044】受信側では、電話回線、専用回線、或いは
無線につないだ通信モデムにより、通信データが逆変換
されてパソコン、ワークステーションなどに入力され
る。受信側のコンピュータにも、本発明の通信装置が予
め装備されている。送信側で圧縮符号化されたデータ
が、受信側で受信される。データ量が少ないので伝送時
間が短くて済む。そのために電話料金などの負担が少な
くて良い。受信側では本発明の方法によって圧縮された
データを受取る。圧縮されたまま記憶装置に記憶してお
く事もできる。
【0045】それだけでなく、同時にあるいは事後的に
圧縮データを逆変換して原画像を再生することもでき
る。再生されたものは視覚的に出力する。出力にはプリ
ンタや、大画面ディスプレイ、カッティングプロッタな
どを用いる事ができる。伝送されたデータ量は十分に少
ないが、連続的な関数によって境界線、濃淡変化が表現
されているので、原画を忠実に再現できる。また拡大縮
小して出力することもできる。
【0046】本発明の骨子は、濃淡のある原画を濃度差
によって領域に分け、境界線を求め、特徴点によって区
切られた境界線と、差分をとることによって低周波成分
のみの滑らかな画像になった差分画像の二層を、それぞ
れ1変数および2変数の区分的多項式で近似表現してデ
ータ圧縮し、これを伝送して、受信側では圧縮データか
ら濃淡変化と、境界線に関する情報をそれぞれ取りだ
し、区分的多項式を使って領域、差分画像、原画を再生
することにある。
【0047】カラー画像を扱うときは、3原色又は4原
色の濃淡画像に分解してから、同様の濃淡画像処理を行
い、伝送して、受信側で、濃淡画像の再生を原色ごとに
行ってから合成すれば良い。
【0048】二値画像の場合は、境界線が画像輪郭とな
り、差分画像は一様濃度の平面になるだけである。全く
同じ本発明の方法によって二値画像も圧縮伝送を行う事
ができる。つまり本発明の方法によって二値画像、単色
濃淡画像、カラー画像まで種々の態様の画像を統一して
取り扱うことができる。このように本発明は頗る応用性
汎用性一般性に富む方法である。
【0049】本発明は関数によって画像を連続表現して
いる。だから従来のファクシミリのように再生画像が劣
化しない。ビットマップ法よりも画質、伝送時間、柔軟
性の点で遥かに優越している。さらに本発明は急峻な変
化をするエッジ部分を境界線として抽出し、さらに境界
線と領域を関数近似している。DCT法に見られるエッ
ジ部分の歪み劣化は全く生じない。
【0050】本発明の概要は以上述べたとおりである。
入力された濃淡画像において境界線抽出近似は一括処理
する。しかし、差分画像の処理は、画面全体として一括
圧縮処理する事もできるし、分割して分割画像ごとに圧
縮処理することもできる。図2にこれを示す。コンピュ
ータの能力が十分であれば一括処理するのがよい。コン
ピュータの能力が限られているときは、分割画像ごとに
圧縮処理し、分割画像毎にデータ記憶し、伝送する。受
信側での再生も分割画像ごとに行う。再生された画像を
結合して原画像を得ることができる。
【0051】本発明はもちろん一括法、分割法のいずれ
でも実行できる。いずれにしても処理法は同じである。
処理の範囲が異なるだけである。一括法の手法は、分割
法の手法からわかる。そこで以後は、分割法を採用しこ
れについて手法を説明する。分割画像は対象物の内容に
は無関係に全画像を一定大きさの画像に分割したひとつ
を意味する。縦画素数、横画素数の公約数を一辺に持つ
正方形画像とするのが最も単純である。しかしそれに限
らず、長方形の分割画像を採用しても良い。例えば分割
画像の大きさは32ドット×32ドットとすることがで
きる。これはコンピュータの能力に応じて決めれば良
い。
【0052】本発明の通信装置の全体の構成を次に示
す。同じものは図3に一覧しやすいようにブロックとし
て示される。纏めて言えば、これらの機構は、領域生成
装置、特徴点抽出装置、差分画像演算装置、符号化デー
タ生成装置、再生データ生成装置などよりなる。これら
の要素は以下のようである。
【0053】A.画像記憶装置 B.領域分割機構 C.領域記憶装置 D.領域境界線抽出機構 E.領域分割点抽出機構 F.領域境界線記憶装置 G.境界急峻点抽出機構 H.領域境界線近似機構 I.領域データ記憶装置 J.差分画像生成機構 K.差分画像記憶装置 L.差分画像分割機構 M.差分分割画像記憶装置 N.データ近似機構 O.圧縮データ記憶装置 P.符号化機構 Q.符号化データ出力機構 R.符号化データ記憶機構 Γ.通信データ生成装置 Δ.通信データ送信装置 Θ.通信データ受信装置 S.符号化データ入力装置 T.復号化機構 U.差分分割画像再生機構 V.差分画像再生機構 W.濃淡画像再生機構 X.濃淡画像出力機構
【0054】これらの内A〜Δは送信側にある機構であ
る。Θ〜Xは受信側の機構である。ΔとΘの間に、電話
回線、専用回線、無線などの伝送媒体が介在する。実際
には送受信するので、ひとつの局が送信機構と受信機構
を備えることが多い。
【0055】以上は単色の濃淡画像の場合である。カラ
ー濃淡画像の場合は、初めに入力画像を色相毎に分解す
る色分解機構があり、色相毎に同様の操作を並行して行
い、色相毎に圧縮符号化データを得る。そして色相毎に
圧縮符号化データから濃淡画像を再生し、これらを色合
成する。つまりカラー画像を扱うには次の機構がさらに
必要である。
【0056】Y.色分解機構 Z.色合成機構
【0057】上に示したものは、差分画像を一定大きさ
の分割画像に分割する場合である。コンピュータの能力
が十分であれば分割せずとも処理できる。もしも分割し
ないのであれば、差分画像の分割Lや、差分画像の再生
Uを省く事ができる。
【0058】上の手順では、伝送データを減らすために
伝送の前後で符号化復号化をしている。特に符号化を必
要としない場合は、符号化復号化の過程P〜R及びS〜
Tを省く事ができる。
【0059】これらの要素のうち、A〜Δが送信側の装
置である。Θ〜Xが受信側の装置である。このように本
発明は、濃淡画像を領域に分割し、境界線抽出近似し、
領域内を平均濃度で置き換えた平均濃度画像をつくり、
原画像と平均濃度画像との差である差分画像を2次元関
数によって近似することによってデータ圧縮するとい
う、複雑な構成をとっている。本発明の作用を理解する
のは簡単でない。そこで実データを用いて本発明の手順
を予め簡単に説明する。濃淡画像の場合と二値画像の場
合を述べる。前者は明度(階調)が連続変化するもの
で、二値画像は明度が二値しかないものである。二値画
像は濃淡画像の単純化された特殊な場合であり濃淡画像
と全く同じ手法で処理できるが、どれほど単純になるか
ということを明らかにするために二値画像の場合も例に
して述べる。
【0060】[濃淡画像の場合]図4の原画(女性の写
真=標準静止画像”SIDBA/Girl”)写真を伝
送する場合を説明する。初めに原画を読み取る。ここで
原画の読み取りはイメージスキャナのような光学読み取
り装置を用いて行うことができる。原画は種々のエディ
タを用いて直接に作成することもできる。図4(a)が
入力濃淡画像である。読み取られた画像は画素に分割さ
れる。画素は縦横にならぶ最小単位である。それぞれの
画素は明度階調を情報として持っている。濃淡画像であ
るから画素はひとつの情報だけを持つ。濃度、明度、暗
度という風にいずれの言い方もできる。濃度と暗度はほ
ぼ同じもので、明度と暗度は相反するものである。なに
を使ってもよいがここでは濃度という。
【0061】隣接画素で濃度の近似するものの集合を領
域と呼ぶ。はじめに濃度が類似する画素集合である領域
を抽出する。全画面をくまなく領域に分割する。濃度の
類似の幅により領域分割の数が違う。ひとつの領域に含
まれる画素の濃度の幅が大きいとひとつひとつの領域は
広く、領域数は少ない。反対にひとつの領域に含まれる
濃度の幅が狭いと領域数は多くなり個々の領域は狭くな
る。
【0062】それぞれの領域の画素の濃度平均値を求め
る。これを平均濃度という。領域をその平均濃度で塗り
つぶしたものの集合を平均濃度画像という。図4(b)
は平均濃度画像である。これが領域記憶装置に記憶され
る。
【0063】全画面を構成する全画素が複数の領域に分
けられたので必然的に領域間に境界線が発生する。領域
は画素の集合であり、境界線は領域の間にあるから、境
界線は画素と画素の間の線の集合である。画素中心を通
らず画素の周辺部を通る線である。画素は正方形の小単
位であるからその周辺部の線は水平線か垂直線かであ
る。水平線垂直線の連続が境界線である。領域を特徴づ
けるものが境界線になる。そこで境界線を抽出する。境
界線であるから全てがある領域を囲む閉曲線である。
【0064】しかし孤立した閉曲線でない。3つ以上の
領域が互いに接触している場合が多いので3以上の境界
線が交わる点が多数発生する。つまり閉曲線としての境
界線を辿ると他の境界線と交わる点が多数存在する。3
以上の境界線が交わる点を境界分割点と呼ぶ。境界線を
境界分割点によって分割すると、境界分割点の両側に存
在する領域は必ず2つだけになる。境界分割点の集合に
よって境界を再生し領域も再生できる。そこで3以上の
境界線の交点である境界分割点を抽出する。
【0065】さらにもうひとつ境界線を特徴づける点と
して境界急峻点というものを考える。これは境界線の勾
配変化が急激な点として定義する。境界急峻点と境界分
割点が境界線を特徴づける点である。両者を含めて特徴
点と呼ぶ。境界線を境界急峻点と境界分割点によって分
割する。境界分割点によって分割された境界線の一部を
境界区間と呼ぶことにする。境界区間をさらに境界急峻
点によって分割した一部を境界線部分とよぶ。境界区間
はふたつの端点をもつ曲線である。それの一部である境
界線部分もふたつの端点を持つ曲線である。もちろん直
線である場合もあり得る。境界線部分の各点の座標を全
て記憶するのではデータ圧縮できない。ここで工夫が必
要である。境界線部分はふたつの端点をもち微分係数が
連続であり滑らかな曲線である。
【0066】そこで境界線部分を関数近似する。近似関
数はいくつかのパラメータによって記述できる。関数近
似してしまえば境界点列の個々の座標は捨てる事ができ
る。データとして残るのは、境界分割点、境界急峻点、
近似関数である。これによって著しく境界線データを減
らすことができる。これが本発明の第1段階の近似処理
である。濃淡画像を扱うので一次元的な処理だけでは済
まない。さらに2次元的な広がりをもった処理が要求さ
れる。
【0067】次に原画像と、平均濃度画像の濃度の差分
を計算する。平均濃度画像は先述の領域記憶装置に記憶
されている。平均濃度画像は領域分割しひとつの領域は
その平均濃度によって塗りつぶされている。だからここ
ではそれぞれの領域においておのおのの画素の平均濃度
からのズレを計算するということである。差分=画素濃
度−平均濃度、であるから、当然に領域内での濃度差分
の和は0である。画像の全体でも差分の和は0である。
各領域は濃度差がある範囲内にある画素の集合というふ
うに定義するので差分濃度はその範囲を越えない。差分
濃度によって表現された画像を差分画像と呼ぶ。原画
像、平均濃度画像、差分画像は全て同じ寸法をもってお
り、後二者は領域に分割されている。後二者の濃度を相
加えると原画像になる。原画像から差分画像を引くと平
均濃度画像になる。
【0068】原画像の濃度変化の大部分は平均濃度に移
される。差分画像には微小な濃度の揺らぎしか残らな
い。濃度変化が少ない低周波成分のみが差分画像に残さ
れる。そこで差分画像を関数近似する。差分画像は緩や
かな濃度変化をするので低い次数の関数によって近似す
る事ができる。これは第2回目の近似である。先ほどと
異なり、二次元変化量の近似である。差分画像の関数近
似によって差分画像を表す圧縮データが生成される。こ
れで2回の関数近似をすることになる。差分画像は全体
を一挙に近似してもよい。しかし、データ量が多いの
で、分割することもできる。差分画像を縦横に分割し有
限個の分割画像としてから関数近似する。分割画像ごと
に近似関数が求められる。
【0069】境界線部分の近似と、差分画像の近似によ
ってデータ量を著しく減らす事が可能となる。例えば、
原画像と再生画像の画質を30dB(p-p/rms )と設定
した場合、データ量を意味するビットレートは1.98
[bit/pel ]となる。原画像は8[bit/pel ]で表現さ
れている。データ量は約25%に圧縮されたことにな
る。本発明はさらに、これらの圧縮データを通信データ
として、電話回線や専用回線あるいは無線などの通信媒
体を用いて伝送する。
【0070】データは種々の回線を用いて、送信側か
ら、受信側に伝送される。受信側では、圧縮符号化デー
タを受け取る。これを一旦記憶装置に記憶させる。差分
画像を分割して近似した場合は、分割された差分画像の
データが順に伝送される。これを順に記憶装置に記憶さ
せる。記憶装置に記憶させるから、受信と同時に再生す
ることもできるが、受信後任意の時(刻)に再生するこ
とができる。
【0071】圧縮データから差分画像をまず再生する。
分割されている場合は分割画像を再生し合体して差分画
像とする。
【0072】次に、領域境界線を再生する。これで閉曲
線である境界線が囲む部分としての領域も再生される。
各領域を平均濃度によって塗りつぶす。これが平均濃度
画像である。平均濃度画像に先ほどの差分画像を足し合
わせる。これで原画像に対応する再生画像ができる。
【0073】単純に定位置に原寸で再生するだけでな
く、本発明はさまざまの変形をして再生できる。境界や
濃淡の情報は、ぞれぞれ曲線、曲面を表すパラメータと
して与えられるので、計算によって自在に拡大縮小を行
う事ができる。あるいは、出力画面のどの位置に出力す
るのかなど、再生位置をも自由に設定する事ができる。
【0074】[カラー画像の場合]以上述べたものは単
色の濃淡画像の処理である。本発明は勿論カラー画像を
も同様に扱う事ができる。カラー画像の場合は色相毎に
濃淡画像に分解し、色相毎の濃淡画像を並列に処理し最
後に合成すれば良い。再生装置としてカラープリンタを
用いるのであれば、カラーの色相分解を光の三原色であ
るRGBに分解すれば良い。印刷機を出力装置に用いる
のであればカラー画像を塗料の四原色であるCMYKに
分解すれば良い。
【0075】[二値画像の場合]本発明は濃淡画像を取
り扱う事を主な目的としている。これは二値画像を取り
扱えないということではない。二値画像は濃淡画像の単
純化された極限と考える事ができる。だから当然に本発
明は二値画像をも取り扱う事ができる。もちろん同じ手
順を適用する。しかし二値画像の場合は濃淡画像の場合
よりかなり単純になる。図5によって二値画像の処理の
概要を説明する。
【0076】図5は原画像「智(MSゴシック)」を本
発明の方法で処理してゆくそれぞれの段階での図形変化
を示す。二値であるから文字部分と背景部分の濃度は一
定である。濃淡画像の場合と全く同様にイメージスキャ
ナ等を用いて原画を読み取る。これが画像記憶装置に記
憶される。図5(a)に示す画像である。同じような濃
度の画素を持つ部分を連続する領域として抽出する。各
領域の平均濃度を求める。各領域を平均濃度によって塗
りつぶした平均濃度画像が領域記憶装置に記憶される。
これを図5(b)に示す。このような手順は濃淡画像の
場合と同じである。しかし次のような事情が事態を単純
化させる。
【0077】二値画像であるから領域は文字輪郭そのも
のである。図5(c)は境界線を示す。平均濃度は文字
部分の濃度と等しい。平均濃度はただひとつの値をも
つ。文字の輪郭線が境界線として抽出される。輪郭線で
あるから閉曲線である。互いに独立であり交差せず分岐
しない。この性質がそのまま境界線に移されるので、境
界線は独立の閉曲線で、交差、分岐、接触などがない。
極めて単純である。交差、分岐、接触がないので領域分
割点が存在しない。図5(d)は領域分割点抽出結果を
示すがそのような点は存在しない。つまり3つ以上の領
域が隣接するような点がない。境界線上に存在できるの
は滑らかに勾配が変化する正則な点と、境界急峻点だけ
である。そこで境界急峻点だけを抽出すればよい。図5
(e)は境界急峻点を示す。このように二値画像の場合
境界線の処理は単純である。
【0078】境界急峻点を抽出し、境界急峻点によって
境界線を分割して境界線部分とする。境界線部分を関数
によって近似する。次に原画像と平均濃度との差分を求
め差分画像を作る。ここで処理はよりいっそう簡単にな
る。原画像と平均濃度が同一であるから差分画像は濃度
が一定値0をとる。図5(f)のようになる。ここでは
差分画像を背景から区別するためにグレーによって表現
しているが実際には0である。差分画像は全体が均一に
0なのである。近似関数は係数が全て0の平面となる。
これがよりいっそう処理を単純化させる。
【0079】二値画像の場合濃淡の近似誤差はない。境
界線だけが問題である。境界線を正確に表現することに
よって、画像の性質を無限大[dB](可逆符号化)と
して圧縮する事ができる。この「智」の例で圧縮された
画像のビットレートは0.22[bit/pel ]であった。
原画像は1[bit/pel ]で表現されているから22%に
データ圧縮されたことになる。
【0080】これらのデータ(境界急峻点、境界線部分
近似関数係数、差分画像など)を、電話回線、専用回
線、無線などによって送信側から受信側へ伝送する。以
後の処理は濃淡画像の場合と全く同様である。受信側で
は差分画像、境界線、平均濃度画像を求め再生画像を生
成する。これを任意の大きさで任意の位置に再生する事
ができる。
【0081】
【実施例】図3に示したA〜Xの各機構についてさらに
詳しく説明する。
【0082】[A.画像記憶装置]これは原画像を画素
毎に記憶する装置である。画像入力の方法はいくつかあ
る。例えば紙に書かれた絵(文字も含む)や写真などの
濃淡のある(色彩があってもよい)画像(原画)を光学
的手段によって(例えばイメージスキャナ、デジタルカ
メラなど)によって読み取り、デジタル情報として画素
毎に記憶する。或いは初めからマウスやデジタイザなど
によってコンピュータに画像として入力されたデータを
デジタル情報として記憶させる。単色の濃淡画像であれ
ばそのまま濃度の階調を画素ごとに記憶する。
【0083】入力される画像がカラーであればこれを4
原色(或いは3原色)に分解する。一つ一つの原色に関
しては濃淡で表現できるので濃淡画像ということができ
る。濃度を従属変数として、画像全体に定義した二次元
位置の関数として記憶する事ができる。以後個々の画素
はその二次元座標(xi ,yj )によって表す。濃度は
gによって表現し、任意の画素の濃度はg(xi ,y
j )によってあらわすことができる。画像記憶装置Aは
全ての画素について濃度g(xi ,yj )を対応させて
記憶するものである。
【0084】[B.領域分割機構]この機構は、画像
を、濃度が似通った連続する画素の集合からなる領域に
分割するものである。つまり領域というのは、領域内で
の画素の濃度差は小さく、隣接領域間での画素濃度差が
大きいという条件によって分割される。近似した濃度を
持つ画素の集合を領域として扱う領域分割にはつぎのよ
うな利点がある。 1.画質が向上する。濃度変化の激しい部分(エッジ)
が鮮明になるからである。 2.データ量が少なくなる。領域ごとに平均と差分を取
るので近似関数のビット数が減る。 3.処理時間が短くなる。差分画像が滑らかになるので
近似のための演算時間が短縮されるのである。
【0085】ただし領域といっても画像に含まれる対象
物体の輪郭を正確に領域として抽出するのではない。単
に濃度差の少ない連続する画素の集合を領域として抽出
するのである。内在的な物体の輪郭には対応しない。領
域分割のための処理手順は以下の通りである。
【0086】(STEP 1)初期設定 全ての画素(xi ,yj )に対して、領域ラベルLab
el(xi ,yj )を定義する。領域ラベルは0か1の
二値を取り得る関数である。0は分割される前の画素で
あることを表す。1は分割された後の画素であることを
表している。初期設定においては全ての画素に対して領
域ラベルを0とする。
【0087】 Label(xi ,yj )=0 (1)
【0088】(STEP 2)初期操作 領域に属する画素はそれぞれ濃度を持つので、一つの領
域に対して3つの濃度を定義する。最大値gmax と最小
値gmin と平均濃度gavである。これらは領域について
決まるもので領域固有の値であるから領域の番号rを付
すべきであるが、簡単のため領域番号rを省略する。こ
こで平均濃度gavといっても、重み付き平均ではない。
単純に最大値と最小値の平均である。つまり
【0089】 gav=(gmax +gmin )/2 (2)
【0090】である。画像を左上の画素から右へさらに
1行降りて左から右へというようにラスター順に走査す
る。そしてまだ領域分けがなされていない(Label
(xi,yj )=0)画素を探す。これが見つかるとそ
の画素にラベルを付ける(Label(xi ,yj )=
1とする)。最初はその領域に属する画素はそれだけで
あるから、最大値gmax はその画素の値とし、最小値g
min もその画素の値となる。gmax ←g(xi ,y
j )。gmin ←g(xi ,yj )。
【0091】従って最も初めには最左上の画素(x1
1 )にラベルLabel(x1 ,y1 )=1が付き、
それが属する領域(要素はその画素だけ)の最大値も最
小値もその画素の濃度に等しくおかれる。
【0092】 Label(x1 ,y1 )=1、gmax =gmin =g(x1 ,y1 ) (3)
【0093】これが、ラスタ−順に操作を始める際に行
う最初の操作である。
【0094】(STEP 3)画素の分属の決定・領域
の拡大初め領域は単一画素からなるが、濃度差が僅かで
あれば隣接画素を併合していくようにする。そうして領
域が拡大していく。濃度差が一定範囲を越えるともはや
同じ領域に配属させることはできない。そこで領域の拡
大操作は停止することになる。そうなって初めてその領
域の外延が確定する。
【0095】今注目している画素を(xi ,yj )と
し、それが属する領域の番号をrとする。その領域では
最大値、最小値、平均濃度が分かっている。8近傍とい
う概念を用いて領域分割する。連続する画素であってし
かも濃度が近接する画素をひとつの領域に配属するが、
その連続性は8近傍を扱う事から保証されることにな
る。8近傍というのはある画素の上下斜めにある直接に
隣接する8つの画素のことである。つまり8近傍はΔi
とΔjを±1、0として(xi +Δi,yj +Δj)に
よって表現できる。ただしΔi、Δjともに0は禁止さ
れる。
【0096】注目している画素(xi ,yj )の8近傍
であってまだラベルが付いてない画素(Label(x
i +Δi,yj +Δj)=0)の濃度g(xi +Δi,
j+Δj)と、その領域の平均濃度gavとを比較し、
それらの差の絶対値がある一定値W未満である場合、す
なわち、分属不等式
【0097】 |gav−g(xi +Δi,yj +Δj)|<W (4)
【0098】を満足するものであれば、その8近傍画素
も同じ領域rに属するものとする。そうでなければその
8近傍画素は異なる領域に属するものと判定する。式
(4)の分属の判定は極めて重要である。
【0099】同一領域rに配属された8近傍画素の濃度
g(xi +Δi,yj +Δj)と、その領域の濃度最大
値gmax 、濃度最小値gmin を比較する。もしも8近傍
画素の濃度値が最小最大値の範囲(gmin 〜gmax )を
越えない場合は、gmax 、gmin は元の値を維持する。
濃度値がこの範囲を逸脱すると越えた方の極値を近傍画
素の濃度によって置き換える。すなわち、もしも、
【0100】 g(xi +Δi,yj +Δj)<gmin (5)
【0101】であれば、gmin ←g(xi +Δi,yj
+Δj)という置き換えをする。反対に、
【0102】 g(xi +Δi,yj +Δj)>gmax (6)
【0103】であれば、gmax ←g(xi +Δi,yj
+Δj)というように置き換える。(5)、(6)の置
き換えによって最小最大値の範囲が広がる。しかし無際
限に広がる訳ではない。(4)の平均値からのずれがW
未満という条件があるから、最小最大値の範囲は2Wを
越えるはずがない。もちろん平均値も変動するがその領
域に一旦配属された画素の濃度は依然として(4)を満
足しgmin とgmax の間にある。
【0104】(STEP 4) 次領域の生成 注目する画素を近傍画素g(xi +Δi,yj +Δj)
に移す。(xi ,yj)←(xi +Δi,yj +Δ
j)。そして新しい注目画素に関して(STEP3)の
操作を行う。その8近傍画素に分属不等式(4)を満足
する画素が存在する場合は領域rに配属する。領域rは
連続しており濃度差が2W未満の画素のみを含むように
なる。その8近傍画素に分属不等式(4)を満足する画
素がまったく存在しないときは、次の領域r+1を作
る。新しい領域r+1での処理は(STEP3)に従
う。
【0105】こうしてラスター順に分割領域を生成す
る。領域に含まれた画素はLabel(xi ,yj )=
1とする。すべての画素のラベルが1になったら、領域
分割を終了する。領域の数をRとして、領域番号rを
0、1、2、…Rとすると、この時点で全ての画素がど
れかの領域に配属されていることになる。
【0106】以上の方法(STEP1〜STEP4)に
よって原画像の領域分割が行われる。分割のパラメータ
Wは各領域内で許容する濃度差を意味するパラメータで
ある。Wが大きければ領域データ及び処理時間が増大す
る傾向がある。Wが小さければ領域の数が増え、領域抽
出のための処理時間が増え、画像近似データ、近似処理
時間が減少する。Wの選び方によって領域分割の様子が
変わってくる。
【0107】[C.領域記憶装置]領域記憶装置には、
各領域を領域内濃度の平均で表現した画像を格納する。
各領域には区別のために領域番号が付けられる。平均濃
度というのは先述のようにgavであって重み付き平均で
なくgmax とgmin の和の半分である。各領域はただひ
とつの濃度を持つ画像である。これを平均濃度画像と呼
ぶ。図4(b)、図5(b)などである。原画像の特徴
をかなり色濃く備えている。Wが細かいと原画像に近づ
き、Wが大きいと原画像からかけ離れてくる。領域記憶
といっているが領域の境界線を記憶するのではなく領域
を平均濃度によって塗りつぶした全体の画像を記憶して
いる。境界線の抽出はこの次の操作によって行う。
【0108】[D.領域境界線抽出機構]領域境界線抽
出装置は、画像の領域の境界線を求める操作を行うもの
である。境界線というのは隣接する領域の間に生ずる曲
線である。領域分割機構Bにおいて全画像が領域に分割
されているが境界線の形で与えられていない。この段階
で境界線を一次元的に情報として抽出する必要がある。
境界線は後の処理で関数によって表現するので予め抽出
しなければならない。
【0109】初めに領域境界線を表現するための座標の
設定をする。座標は、画像の左上隅の点を(x,y)=
(0,0)とし、横軸にX−座標、縦軸にY−座標を取
る。このとき、整数値を取る座標の示す位置は画素の中
心ではなく各画素の頂点である。従来の画像処理は、画
素の中心に整数値座標を取るのが普通であった。しかし
本発明はそうではない。4つの画素に囲まれる点、画素
の隅に座標をとる。画素の中心の座標は半整数になる。
整数x、yで定義される座標(x,y)を点ということ
にするがこれは画素の隅の点である。画素の隅に点を定
義するのは境界線を正確に表現するだけでなく拡大、縮
小などの操作を正確に行うために極めて重要である。だ
から境界線というのは画素の周辺を通る線であって画素
を横切ることはない。
【0110】領域境界線は、離散的には境界点列として
表現される。ここで境界点列というのは領域の境界に存
在しており、左右上下に4連結している座標点列の事で
ある。画素の4隅を点とするので、点と点の連結には8
連結というものはありえず4連結しかない。
【0111】領域の数をRとする。座標点列は{xk r
k rk=0 Nr-1 r=0 R-1 によって表現される。ここでN
(r)は(べきの形ではNrと表記する)領域番号rに
属する境界点列の数を表す。kはある領域rでの境界点
列に付けた番号である。画素がxi やyj を座標として
いたのとちがって境界点列は領域番号と点列における番
号kによって座標を指定する。領域rにおいて点列はk
=0からN(r)まで順に辿られる。そのようなことを
領域0〜R−1において行う。これらを纏めて上記のよ
うな表記をすることができる。具体的には境界点列は次
のような操作によって求められる。
【0112】(STEP 1)初期設定 r←0 (領域番号0の処理を始める)
【0113】(STEP 2)領域番号rの抽出 領域番号rに属する画素を、領域記憶装置に記憶されて
いる画像から抽出する。これは空間的に連続する画素の
集合であるが、それぞれの点を座標によって表現する。
この座標は画素を表す座標であって画素の中心に付され
ていると考えるべきである。これから抽出する境界線は
画素の隅に点を定義する座標によっている。
【0114】(STEP 3)境界点列の走査 領域の境界点列1点を選ぶ。これはラスター走査などに
よって簡単に見つけられる。その境界点を始点(x0 0
0 0)として、時計回りに(領域の外側の点の列であ
る)境界点を追跡し、境界点列の座標データを{xk 0
k 0k=0 Nr-1 として抽出する。追跡方法はチエーンコ
ードを用いる方法などがある。
【0115】(STEP 4)終了条件の判定 領域rを囲む境界点列を順に走査すると必ず同じ領域を
廻る境界線の始点に戻る。{xk r,yk r}={x0 r,y
0 r}。その時のkがN(r)である。ここで領域rでの
追跡を終わる。これがrでの境界点列走査の終了条件で
ある。すると次の領域の境界点列走査に移る。r←r+
1として(STEP2)に戻る。但しr=Rとなった場
合は、全ての領域の境界点列が抽出されたと判定して境
界点列の抽出を終了する。
【0116】[E.領域分割点抽出機構]領域を仕切る
境界線は全て閉曲線である。しかし複数個の領域がひと
つの境界線に接触しているから境界線は相互に分離独立
していない。境界線上にはふたつ以上の境界線が交わる
点が存在する。つまり分岐点がある。この点で二値画像
の輪郭線とは大きく異なる。二値画像の輪郭線は相互に
独立し交差分岐などはない。ここでは濃淡画像を対象に
し、これから領域を強制的に作り出すのであるから境界
線は分岐点がある。境界線上の分岐点をここでは領域分
割点と呼ぶ。言い替えれば3つ以上の領域を分割する点
が領域分割点である。これは境界線上の特異点である。
領域分割点抽出機構は領域分割点を求める操作を行うも
のである。
【0117】領域分割点を抽出する理由は以下の通りで
ある。もっとも、領域分割点を抽出しないとすればその
後の境界線の関数近似において境界線が分岐した点から
以後どの境界線を近似すれば良いのか分からなくなる。
関数近似の範囲を明確にしなければ計算ができない。そ
こで領域分割点を抽出する必要がある。近似は領域分割
点によって区切られる区間について行うようにする。
【0118】領域分割点は、2×2のウインドウを用い
て領域記憶装置に記憶されている画像(平均濃度画像)
に対して、左上から右下へラスター走査する事によって
求められる。3つ以上の領域が隣接する点であるから2
×2のウインドウの真中に領域分割点が来ると周りの4
つの画素が3つの異なる領域或いは4つの異なる領域に
属する。そのような点を領域分割点と判定する。領域分
割点でない点が2×2のウインドウの真中にあると周り
の4つの画素が2つの異なる領域に属している。2つの
領域に属するか?3つあるいは4つの領域に属するか?
によって領域分割点かどうかを判断することができる。
このようにウインドウに入った4つの画素が3または4
つの異なる領域に属する場合、ウインドウ中心の点(画
素の隅に当たる点)を領域分割点とする機構が領域分割
点抽出機構である。
【0119】[F.領域境界線記憶装置]領域境界線
は、領域分割点のデータを用いて、以下のように領域境
界線記憶装置Fに記憶される。
【0120】(STEP 1) 領域境界点列(領域境
界線)において、領域分割点であるものはその旨のフラ
グを与える。
【0121】(STEP 2) 領域境界点列におい
て、隣合う領域分割点間の点列を境界区間とよぶ。境界
区間には境界区間番号を付ける。但し隣合う領域におい
て同一の境界区間を共有している場合は、その境界区間
に同じ番号を付ける。
【0122】以上の手法によって、境界点列は{Xk p
k pk=0 Mp-1 P=0 P-1 として記憶される。ここでPは境
界区間の総数、pは境界区間に付けた番号である。M
(p)はp番目の境界区間に含まれる点列の総数(べき
数としてはMpと表記する)である。kはp番目の境界
区間に含まれる点列に付けた番号である。境界線上の点
列であるからDの領域境界線抽出で抽出された座標(x
k r,yk r)のいずれかなのであるが、領域rの周りの点
列の集合であるものと、境界区間pの上の点列の集合は
集合を規定する条件が相違する。そこで境界区間上の点
列の座標は大文字によって表現している。
【0123】[G.境界急峻点抽出機構]境界急峻点と
いうのは境界線上の点であってその勾配変化が急峻な点
を指す。勾配の差分或いは勾配の微分が強く変化すると
いう意味である。境界線(の勾配)自体が急峻だという
意味ではない。これは先ほどの領域分割点と並んで境界
線上の特徴点である。境界急峻点は境界線を関数によっ
て表現する場合極めて重要な役割を果たす。どうして勾
配変化が著しい点を抽出する必要があるのか?ここで簡
単に説明する。
【0124】一般に、任意の変量において、種々の変化
の激しい部分を関数によって近似するためには高次の多
項式が必要とされる。高次の多項式はパラメータが多く
長い計算時間も必要で近似関数として適当でない。それ
だけでなく高次多項式による近似はルンゲの現象に代表
されるように近似点以外では現実の変化から離れた不要
な振動を生じてしまうという難点がある。これは勾配が
不連続な点が一つ含まれるだけでも生ずる問題である。
この欠点は如何に高次の多項式を使って近似しても振動
を抑える事ができない。
【0125】そのような勾配変化の著しい点を除去して
変化の滑らかな部分だけにすれば低い次数の多項式によ
って近似する事ができる。急峻な変化のない曲線を近似
するには低次の関数で十分である。またこの近似関数は
振動から免れている。そこで境界線から予め境界急峻点
を除外する。そのために境界急峻点抽出を行う必要があ
る。境界急峻点を除き変化の小さい部分を関数近似する
ようにすると、データ量が少なくてしかも良好な画質を
維持することができるのである。
【0126】具体的には、各境界区間(領域分割点によ
って区切られた境界線部分)において、以下のようにし
て境界急峻点を求める。
【0127】(STEP 1) 局所方向ベクトルの計
算 局所方向ベクトルというのは境界線上の全ての点におい
て定義されその点での境界線の勾配を示すベクトルであ
る。その点よりa個前の点からa個後の点に引いたベク
トルをここでは局所方向ベクトルとする。p番目の境界
区間においてk番目の点(Xk p,Yk p)の局所方向ベク
トルDirection (p,k):は、
【0128】 Direction (p,k):=vector(Xk+a p−Xk-a p,Yk+a p−Yk-a p) (7)
【0129】によって定義する。長さに意味はなく傾き
だけが問題である。或いは境界線を連続関数とみなせば
境界線の空間微分あるいは接線によって局所方向ベクト
ルを定義することもできる。その点の僅かな範囲での境
界線変化の方向を意味するので局所と言っている。aが
小さいから局所なのでありaが大きいと非局所になる。
aは1、2、3、4、5の程度であろう。aが小さいと
ノイズに弱くなる。境界線は4近傍を連結しているから
もしもaを1にすると局所方向ベクトルはx、y方向か
これと45゜をなす方向のものしかない。0゜、45
゜、90゜…の刻みになるから、見かけ上急峻点が数多
く出現する。反対にaが大きすぎると境界線の勾配変化
に鈍感になる。以下に示す実験ではa=2としているが
これは目的対象によって設定を自在に変更することがで
きる。
【0130】(STEP 2) 局所方向ベクトルの量
子化 STEP1で求められた局所方向ベクトルを量子化す
る。ここでは45゜刻み8方向に量子化する。量子化は
ノイズに対して局所方向ベクトルを安定化させるために
行う。但しaがある程度大きくないと量子化の効果はな
い。aが十分に大きい場合は量子化は不要になる。a=
2のように小さい場合は量子化はノイズを除去する効果
がある。量子化された局所方向ベクトルを単に方向ベク
トルと呼び、Direction (p,k)によって表現する事
にする。p番目の境界区間のk番目の点における方向で
あるからパラメータがp、kになる。8方向であるか
ら、x軸となす角度が0、45゜、90゜、…、315
゜の8通りしかない。
【0131】(STEP 3) 局所急峻度の計算 境界区間の全境界点において局所急峻度を求める。局所
急峻度θ(p,k)は注目している境界点(Xk p
k p)のb個分前の点での方向ベクトルとb個分後ろの
点での方向ベクトルがなす角度として定義する。つまり
その点の前後2b個分での方向ベクトルの変化分が局所
急峻度である。
【0132】
【数8】
【0133】方向ベクトルが8方向に量子化されている
から局所急峻度は−135゜、−90゜、−45゜、
0、45゜、90゜、135゜、180゜の8通りしか
ない。ここでbは局所性を調整するパラメータである。
bが大きすぎると局所的な変化を求めることができな
い。bが小さすぎると大局的な変化を見落とすことにな
る。bの値を適当に決める必要がある。
【0134】(STEP 4) 境界急峻点の判定 局所急峻度はその点の前後2bの距離にある点での接線
のなす角度というふうにも考えられる。境界線が急激に
曲がる点を境界急峻点として取り出したい。これはある
一定の正の臨界角度βと局所急峻度θを比べて、θがβ
を越えればここは勾配変化が急激であるこということで
境界急峻点とし、θがβ以下であれば勾配変化が穏やか
であるので境界急峻点でないとする。つまり
【0135】|θ(p,k’)|≧β (9)
【0136】ならば、(Xkp ,Ykp )を境界急
峻点とする。βは境界急峻点を定義するパラメータで、
0〜2πの範囲の一つの値を取る。
【0137】先に閉曲線である境界線は領域分割点によ
って分割され一続きの曲線である境界区間に分割され
た。ここで境界急峻点を抽出し、境界区間をさらに境界
急峻点によって分割する。これを境界線部分と呼ぶ。つ
まり一続きの境界線部分の集合が境界区間で、連続する
境界区間の集合が境界線である。境界線部分は両端をも
つ曲線でありその内部には特異点を持たない。
【0138】[H.領域境界線近似機構]領域境界線近
似機構は、領域分割点と境界急峻点によって区切られた
境界線部分を関数近似するものである。本発明では近似
は2回行う。これは最初の近似で一次元の曲線を関数近
似する。2度めの近似は後で述べるが2次元近似であ
る。近似の対象となる境界線部分は領域分割点によって
分割された後のものであるからもはや分岐することはな
い。また境界急峻点によって区切られたあとであるか
ら、勾配変化が穏やかであり低次の関数によって近似す
る事ができる。だから近似関数が振動するようなことは
ない。
【0139】境界線部分の点列は、境界線部分番号とそ
の中での点番号kのふたつのパラメータによって指定さ
れる。しかしパラメータの数が多いので適当に省略しこ
こでは境界線部分番号は書かず、境界線部分の中での点
列の番号kだけをつける。一つの境界線部分の点列は
{(xk 、yk )}によって表すことができる。yをx
の関数として近似する事もできる。しかし一般に2次元
平面上の曲線は多価関数となるのでyをxの関数とする
ような扱いでは不便である。
【0140】そこで媒介変数tを用いて、x方向、y方
向に独立な一価関数{(tk ,xk)}{(tk ,y
k )}によって境界線の点列を表現する事にする。新た
な変数tによってx、yを切り離して扱う事ができる
し、一価関数にできる。ただしtと、x,yの関係に任
意性が生ずる。先述のように境界線は4近傍をとってお
り座標は画素の隅の4点としているから点列の隣接点間
の距離は必ず1(画素の辺)である。それでtは1辺あ
たりで1単位増えるように決めると言う風にできる。点
列の点距離が1であるからtの間隔の任意性を打ち消す
ことができ問題は残らない。
【0141】さて媒介変数によって表現されたxk ,y
k の点列を均等節点の1変数周期スプライン関数によっ
て近似する。何次のスプラインでも良いのであるが、3
次、2次程度が扱い易い。高次になると係数が多すぎて
計算時間とメモリを消費する。1次であると直線になり
滑らかな曲線を近似できない。それで最低次は2次であ
る。3次以上であっても勿論よい。しかし多くの場合2
次スプラインによって境界線を近似できる。けだしここ
で境界線といっているのは、勾配変化が急峻な点を除い
た滑らかな曲線部(境界線部分)であるから低次多項式
によって無理なく近似できる。つまり
【0142】
【数10】
【0143】
【数11】
【0144】とする。lは−2からn−1までの(n+
1)個の値をとる。Nl (t)は基底(関数)であり、
lは基底の番号である。ひとつの境界線部分が次元数n
に分割されている。節点が(n+1)個ある。区分毎に
異なる形をとり、ある区分(l+1)でピークをもつ基
底関数がNl (t)である。m次スプラインは(m+
1)個の区間に渡って有限の値を持つ。n個の節点で
(m−1)階微分可能である。2次スプライン(m=
2)ならばNl (t)は、l,(l+1),(l+2)
の3区間で有限の値をもちその他では0である。(n+
1)個の基底によって張られた空間に境界線部分が展開
されているということもできる。
【0145】2次スプラインは簡単な2次多項式であ
る。区分の広さをΔ=1として単純化すると、N0
(t)は0〜1で0.5t2 、1〜2で−1.5+3t
−t2 であり、2〜3で4.5−3t+0.5t2 であ
る。Np (t)=N0 (t−p)であるからひとつの関
数形が決まると全部の関数が決まる。極めて単純であ
る。
【0146】均等節点であるから基底は平行移動可能で
p (t)=N0 (t−pΔ/n)という関係が成り立
つ。Δは境界線部分のtの全変域でありnは分割数であ
る。Δ/nがひとつの区間である。p個分だけN0
(t)を右に平行移動すると基底Np (t)になると言
うわけである。cxlは基底Nl (t)の係数である。係
数{cxl,cyl}を求めることがスプライン関数を決め
るという事である。
【0147】スプライン関数は一般の多項式と違って区
分的多項式である。そのため関数変化が急激な部分での
不要な振動を抑制できるという利点がある。変域を区分
に分割しそれぞれの区分で異なる多項式を与える。節点
というのは区分の端の点である。m次のスプライン関数
は節点で(m−1)階微分まで連続である。2次スプラ
インであれば源関数と1階微分が連続する。2階微分は
節点で食い違う。用途によっては節点をパラメータとし
て任意に最適な場所に選ぶこともある。しかしそうする
と節点の決定のための計算もしなければならない。
【0148】これを避けて本発明は初めから節点を与え
る。どう与えるか?1本の境界線部分を次元数nで割っ
た点を節点とする。つまり境界線部分の全長にわたって
1/nの区間をあたえ節点を均等に(n+1)個分布さ
せる。こうすると節点決定のための計算は不要である。
「均等節点の」というのはそのような意味である。次元
数nつまり境界線部分の分割数が近似の程度を規定する
パラメータということになる。nを増やし節点を増やし
関数の種類を増加させると近似の精度は向上する。
【0149】tを媒介変数とする境界線部分のx座標は
連続関数sx (t)によって、y座標は連続関数sy
(t)によって表す。sx (t)もsy (t)もここで
は2次スプラインであるとする。k番目での実際の座標
は(xk ,yk )であり、近似は(sx (tk ),sy
(tk ))である。食い違いはこれらの差の自乗の和に
よって与えられる。境界線部分全体での食い違いの総計
Qはkについて1からM(p)まで加える事によって求
められる。これを二乗誤差Qという。
【0150】
【数12】
【0151】ここでΣk は1からM(p)までの総和を
意味する。二乗誤差Qを最小にするようにスプライン関
数sx (t)、sy (t)を決める。スプライン関数は
区分的多項式であるからここでは多項式の係数を決める
という事である。この係数決定の方法に二つの方法があ
る。ひとつは最小二乗法(甲)でありもうひとつは双直
交関数(乙)を用いる方法である。後者は本発明者の独
自の創案になるものである。両方の近似法を後に述べ
る。さて、ある次元数Mに対してQを最小にするスプラ
イン関数が求まるとする。つぎはこの近似の精度を評価
する。
【0152】近似精度の評価は、境界線部分の各点(全
体ではない)での実際の座標と、近似座標の距離が何れ
も許容誤差η以下に納まっているか否かによって行う。
全ての点での誤差によって評価する。つまり最大誤差ε
を次のように定義する。
【0153】
【数13】
【0154】ここでmaxk というのは、p番目の境界
線部分においてk=0、1、…、M(p)−1の中で最
大のものという意味である。Qの式は誤差の二乗の式で
最小二乗法を表現し係数を決める指針を与えている。一
方εは個々の点での誤差二乗で係数の妥当性を評価する
ためのものである。
【0155】許容誤差をηとして、εがηより大きい場
合は、次元数nをn+1として(10)のQを最小にす
るスプライン関数をまた計算する。これについて再びε
を計算し、ηと比較する。まだηよりεが大きいとn+
2に次元数を増やす。次元数(つまり分割数)を増やす
と、いつかη>εとなる。これは満足できる近似である
ということであるからここで近似を中止しそのときのス
プライン関数を確定する。つまりp番境界線部分を記述
するものとしてその時の近似関数の係数を採用すること
にする。つぎに次元数nを決めたときにおいてQを最小
にするスプライン関数を求める方法甲、乙について述べ
る。
【0156】[A.最小二乗法を用いる方法](12)
のQを係数{cxl}と{cyl}によって偏微分し偏微分
したものが0となるようにする。(10)は二乗誤差そ
のものでありそれが最小であるときは、その周りでの係
数の変化に対してQが増えないということである。だか
らdQ/dcxl=0によってスプライン関数の係数{c
xl,cyl}を決めることができる。原理は簡単である。
が計算は難しい。Qは2(n+1)個の基底係数の和を
含み、微分式は2(n+1)個ある。これを0とおいて
得られる式は(n+1)行(n+1)列の行列式が二つ
である。この行列式を解くには(n+1)行(n+1)
列の逆行列を二つ求めなければならない。
【0157】
【数14】
【0158】
【数15】
【0159】境界点列の数が少なくてしかも次元数nが
低いときはこの行列式を解くことは簡単であろう。しか
し境界点列の数が常に少ないとは限らない。次元数nは
初め小さい値から出発するが、満足できる近似に至るま
で次元数nをひとつづつ増やしながら同様の行列計算を
しなければならない。次元数が増えるに従って計算量及
び計算時間が増加していくので、この計算が必ずしも常
に可能とは限らない。最小二乗法は原理が分かりやすく
てだれにでもその意味が理解し易いという利点がある
が、本発明のように計算量が多い場合はあまり有効でな
いかも知れない。次元数nの増大と共に計算時間が爆発
的に増えて処理不能になる事もあろう。
【0160】[B.双直交関数による方法]双直交関数
を用いた新たな方法は本発明者が初めて提案するもので
ある。これこそ最小二乗法による処理時間爆発の問題を
いともあっさりと解決できる。最小二乗法に比べて悠に
優れたものである。
【0161】大抵の基底関数群{φn (t)}は相互に
直交性がある。直交性というのは二つの関数の積の積分
(内積)が0であるということである。直交関数群は
(φm・φk )=δmkというように簡明に表現する事が
できる。δmkはクロネッカのデルタであり、mとkが異
なると0であり、mとkが同一のときは1である。これ
はこれら基底関数が関数の両端で振動する部分を持つか
らである。異なるモードの振動は内積を0にするので直
交性が生ずる。
【0162】スプライン関数は例外的な関数である。あ
まりに単純な多項式であるため基底同士で直交性がな
い。ひとえに直交性がないために、係数ck を求めるの
が難しくなる。係数を知るため前述のように大層な計算
をしなければならないのである。もしも基底に直交性が
あれば、任意の関数gをφm で展開し、g=Σcm φm
とした場合、cm =(g・φm )によって簡明単純に与
える事ができる。
【0163】ところがスプライン関数はそれ自身簡単で
ありすぎて、一般に直交性を帯びることができない。そ
こで疑似的に直交性をスプライン関数に与えるものが双
直交関数である。概念自体は古くから知られているが、
スプライン関数の双直交関数を直接的具体的に計算する
手法を見い出したのは他ならぬ本発明者である。
【0164】双直交関数というのは、任意の関数g
(t)を基底{Np (t)}の一次結合として展開した
とき、その関数と内積計算することによって係数cp
与える随伴基底のことである。双直交関数群を{Lq
(t)}とすると、g(t)=Σcpp (t)とした
場合、係数cp がcp =(g・Lp )によって求められ
るというものである。{Lp }群自体も直交性を持たな
い。Np とLq は直交性をもつ。つまり(Lp ・Nq
=δpq である。Lp はNp に対して双直交性がある場
合、反対にNp はLp に対して双直交性がある。
【0165】この双直交関数{Lq (t)}を用いる
と、係数cxp、cypは簡単に計算できる。
【0166】 sx (t)= Σ cxpp (t) (16)
【0167】 sy (t)= Σ cyqq (t) (17)
【0168】なのであるから、
【0169】 cxp=(sx (t)・Lp (t)) (18)
【0170】 cyq=(sy (t)・Lq (t)) (19)
【0171】である。内積は積分を簡単化して書いたも
のである。積分範囲は境界線部分の全長である。しかし
連続関数sx (t)、sy (t)がそもそも分からない
のでこの計算はできない。しかし実測値xk 、yk はわ
かっているのであるから、上記の計算は実測値によって
置き換えれば良いのである。つまり
【0172】
【数20】
【0173】
【数21】
【0174】によって係数を計算できる。計算結果の評
価は、先に最小二乗法において述べたものと同じであ
り、
【0175】
【数22】
【0176】が所定の値より小さくなるまで次元数nを
増やしながら近似を高めていく。ε<0.5となると満
足して近似計算を終了し係数{cxp,cyq}を決定す
る。双直交関数Lp
【0177】
【数23】
【0178】によって具体的に計算する事ができる。こ
れは本発明者の博士論文にある。Takahiko Horiuchi;"A
Study of adaptable system model and its applicati
onto desktop publishing system," Dissertation, Uni
versity of Tsukuba, 1995。この式から双直交関数を計
算し次元数nについての関数群の値をテーブルにしてメ
モリに格納しておけば良い。その都度計算すると時間が
かかるが、予め計算してメモリに入れておけば内積計算
は簡単にできる。Lp の双直交関数がNpであり、Nq
の双直交関数がLq であるから対称性があるかのようで
あるが、実はそうでもない。Nq は極めて単純な多項式
であり、これと直交する関数であるからLq は振動を伴
うかなり複雑な関数である。Nq はt=q〜q+3で値
を持つが、Lq も当然に同じ事でt=q〜q+3で値を
持つ。それ以外で0である。上の式を使っても良いが、
より単純に
【0179】 (Np ・Lp )=1 (24)
【0180】 (Np-1 ・Lp )=0 (25)
【0181】 (Np+1 ・Lp )=0 (26)
【0182】というような関係を課してLp を計算する
こともできる。これを求めて次元数毎にテーブルにして
おけば良い。pがパラメータでたくさん関数値が必要か
とも思われるがそうでない。並進対称性のある関数Lp
(t)=Lp-s (t−s)であるから実はひとつ分かっ
ていれば良いのである。こうして境界線部分が関数近似
できる。
【0183】[I.領域データ記憶装置]これまでの操
作によって、原画像を画像記憶装置に記憶させ、濃度の
近似した部分を領域として抽出し、領域の平均濃度を知
り、領域相互の境界線を求め、境界線の特異点を抽出し
て、特異点の間の境界線部分を関数近似した。これらの
領域データを記憶装置によって記憶する。これは下記の
データよりなる。
【0184】1.原画像のサイズ
【0185】2.領域の数
【0186】3.各領域の平均濃度
【0187】4.対応境界線情報
【0188】5.境界線の数
【0189】6.各境界線の始点と近似関数の次元数
【0190】7.近似係数列
【0191】これらのデータの数を表1に示す。原画像
のサイズというのは縦横の寸法である。分割や再生をす
るときに原画像とそれ以外の空間が区別できないといけ
ない。それで原画像サイズは必要である。領域の数は画
像によって違うし許容濃度の幅にもよるが一つの値が決
まる。2バイトで記述できる。
【0192】領域の数をK1 とすると、平均濃度は当然
にK1 個ある。平均濃度は画像再生のときに必要であ
る。対応境界線情報というのは、その領域を囲む境界線
番号とその境界点列の方向(正/負)を意味する。境界
点列の方向というのは、再生データ生成装置において、
注目している領域が、再生した境界のどちら側にあるの
かを区別するために、境界線に方向づけをしたものであ
る。境界線は両方に領域をもつ。この情報がないと、再
生した境界線のどちら側に注目している領域が存在する
のか分からなくなる。例えば領域を囲む境界線は必ず右
回りを正にとるというふうにすれば領域からみた境界線
の方向が与えられるので境界線のどちらにその領域が存
在するか分かる。
【0193】
【表1】
【0194】境界線は、両端(始点、終点)が境界急峻
点あるいは領域分割点である、始点だけ記憶するのは、
次に連続する境界線の始端がその境界線の終点であるか
ら、終点も分かるからである。K2 が境界線の数であ
る。領域の数K1 と境界線の数K2 は独立なパラメータ
であるから両方を記憶する必要がある。始点の座標は
x、y二つあり次元数もx、yの2種類いるから8バイ
トなのである。k2 は境界線番号である。nxk2 はk2
番目の境界線のx成分sx の近似係数の数である。
【0195】[J.差分画像生成機構]差分画像という
のは原画像から平均濃度画像を差し引いたものである。
差し引いたので差分という。差分は微分と類似した意味
に使われる言葉で変数の段階的な変化(階差)を差分と
呼ぶ。等質のものの差である。しかし本発明で差分とい
うのは、通常の使い方とは少し違う意味に使っている。
ここでは原画素濃度と平均濃度の差を差分と言うのであ
る。等質のものの差ではない。
【0196】しかし差分を計算するのは、本発明におい
て平均濃度画像を作った段階で予想される事である。平
均濃度は各領域をその平均の濃度によって表現したもの
である。だから領域内での微妙な濃度階調の変化は捨象
されている。微小玄妙な変動であるから無視して良いと
いうものではない。領域内での微妙な平均濃度からのズ
レが差分であるが、これをできるだけ忠実に近似し得て
初めて良質の再生画像が得られるのである。
【0197】ある画素(xi ,yj )の原画像での濃度
がg(xi ,yj )であり、それが属する領域の平均濃
度がh(xi ,yj )とすると、差分濃度diff(x
i ,yj )は
【0198】 diff(xi ,yj )=g(xi ,yj )−h(xi ,yj ) (27)
【0199】によって定義される。全ての領域でg(x
i ,yj )の平均がhなのであり、hを指定するパラメ
ータは本来領域番号であるが、その領域に属する全ての
平均濃度は等しくその値に設定しているからh(xi
j )と書ける。gの平均がhであるので、当然に差分
濃度diffを領域内画素について相加えると0とな
る。領域分割の時に、画素濃度と平均濃度の差がW以下
である画素を領域に帰属させたので、gとhの差はW以
下である。Wはかなり小さい値である。つまり領域内に
おいて、gとhの差は小さく、gの平均はhである。
【0200】言い替えると領域内で、差分diffは−
W〜Wであり、平均は0である。つまり差分画像はそも
そも濃度変化の少ない落ちついた揺らぎの小さい画像な
のである。すべての領域内で−W〜Wで平均が0である
といえ、しかも原画像は領域によって覆い尽くされるの
であるから、原画像の全体でdiffは−W〜Wで平均
が0であるということができる。
【0201】すると上のdiff=g−hという式は全
画像に渡って一つ存在するものを定義するものであると
も考えることができる。全体にわたり差分濃度で表現さ
れた画像、これを差分画像と呼ぶのである。つまり領域
の拘束を離れた全体画像として差分画像を定義する。全
体としても濃度変化の少ない落ちついた揺らぎの少ない
平穏な画像であるはずである。
【0202】但し境界の問題がある。濃度は連続関数で
あり領域分割したとき境界線を横切る方向にも濃度は連
続のはずである。隣接領域では平均濃度が相違する。原
画濃度から平均濃度を差し引いたものが差分濃度である
から、境界線において差分濃度は、平均濃度の差だけ非
連続になるはずである。つまり境界線でそれを横切る方
向に差分濃度が非連続になる。これが近似や再生の障害
にならないのであろうか?ちょっと気になる問題であろ
う。濃度が滑らかに連続変化する画像の場合は、隣接領
域の平均濃度の差がわずかであろうから、境界線での非
連続も僅かであろう。しかし二値画像のように境界線で
の非連続が著しい場合差分画像には境界線に該当する部
分で甚大な非連続が現れるのではないかと危惧されよ
う。
【0203】ところがそうでない。そうではなくて境界
にはみじんも非連続がおこらない。どうしてか?濃度を
扱う場合、画素の中心に座標点を取っている。ところが
境界線を扱う場合は画素の隅を座標点としている。この
ように境界線を扱う場合と濃度を扱う場合に座標の取り
方が違うので境界線に濃度のギャップが納まってしま
う。それぞれの領域の端の画素は境界線よりも内側にあ
ってその濃度は領域の濃度に等しい。だから差分濃度を
計算したときも境界線において非連続がない。このよう
な座標の取りかたの違いによって本発明は、二値画像に
現れそうな差分画像の境界線における非連続を巧みに消
去している。
【0204】[K.差分画像記憶装置]差分画像記憶装
置は、差分画像diff(xi ,yj )を記憶する。こ
れは領域によらず全体画像として記憶装置に格納され
る。画像領域記憶装置に格納されているのは平均濃度画
像であり、ここに新たに差分画像が記憶される。未だ近
似していないから、差分画像記憶装置の画像と、領域記
憶装置の画像を相加えると原画像そのものになるはずで
ある。
【0205】[L.差分画像分割機構]ここでさらに一
工夫する。これまでの処理によって、濃度をほぼおなじ
ゅうする領域に分割され、領域において差分が計算され
ている。領域分割しているのだから、領域を個々に分離
して領域ごとに差分画像の濃度変化を近似することがも
っとも自然であろう。領域毎の近似計算をするというの
は、領域分割するという思想からすればもっとも自然で
あろう。しかもそれは多分可能であろう。
【0206】しかし本発明者はそのような道を選ばな
い。領域の形状は様々である。不定形である。境界線も
曲がっている。境界条件を与えようとしてもその境界条
件自体が極めて複雑になってしまう。単純な二次関数で
あっても境界が入り組んでいるのでは簡明な計算ができ
ない。
【0207】折角、領域に分割したのに、という感懐も
あろうが、領域を無視し、領域分割によらず全差分画像
を対象にする。全差分画像といっても濃度変化は僅かで
あるから低次関数によって近似し易いものになってい
る。境界は綺麗な矩形状だから境界条件はごく単純であ
る。1枚の差分画像に対して一挙に二次元的に濃度変化
を近似することはもちろん可能である。メモリに余裕の
ある計算機を使える場合は全差分画像を一挙に近似すれ
ば良い。
【0208】しかしメモリの少ない計算機の場合は、全
差分画像を一度に近似することができないということも
ある。その場合は、差分画像を適当な大きさの一定の部
分画像に分割する。部分画像は矩形状であってどれもこ
れも同じ寸法とする。これをブロックと呼ぶ。おのおの
のブロックごとに差分濃度を二次元近似する。分割して
小さい部分を二次元近似するの処理時間を短くすること
ができる。
【0209】濃度変化の著しい一般の画像に対してブロ
ック分割を行うとブロックの境界において「ブロック歪
み」という歪みが生ずる。しかし本発明では、原画像の
うち、濃度変化の激しい部分は平均濃度画像に取り込ん
でおり、差分画像には濃度変化は緩やかでそもそも変化
が少ない。それゆえブロックに分割してもブロック歪み
がほとんど発生しない。これが本発明の巧みな点の一つ
である。
【0210】差分画像を分割するか、そのまま全体を扱
うかは処理時間の短縮に関しての工夫であり、何れでも
良い。一旦ブロックに分割すると受信側でブロック毎に
差分画像を復元しまたこれを合成する必要がある。分割
合成の過程が増えてもブロックに分けた方が処理時間は
短縮される。
【0211】[M.差分分割画像記憶装置]ブロックの
分割数をQとする。Q個に分割された差分画像は{di
ff(xi q ,yj q)}Qと書く。qはブロックの番号
である。(xi q,yj q)はq番目ブロックに含まれる全
ての点の座標であり、diffはその座標での差分であ
る。ブロックごとの差分濃度データは差分分割画像記憶
装置に記憶される。
【0212】[N.データ近似機構]データ近似は2度
目である。先に境界線を一変数スプラインによって近似
した。今度は差分画像の濃度を近似する。座標がx,y
の二つであり2変数の関数として濃度が与えられるの
で、ここでは2変数の近似関数を使う。ここでも2次の
スプラインを用いて近似をする。もちろん3次のスプラ
インを使う事もできる。差分画像{diff(xi ,y
j )}の近似関数をs(xi ,yj )と書く。これは均
等節点の非周期2変数2次B−スプライン基底{ψmn
によって展開する。均等節点というのは先に説明したよ
うに節点を予め等分布で与えてしまうものである。これ
はx,yを独立変数として含むがx方向のスプラインと
y方向のスプラインの単純な積にすぎない。基底は
【0213】
【数28】
【0214】を用いて、差分画像diff(xi ,y
j )の近似濃度S(xi ,yj )を
【0215】
【数29】
【0216】によって定義する。基底の線形結合係数c
mnは実数である。M、Nは基底関数のx方向、y方向の
次元数である。つまり1ブロックを横方向にはM個、y
方向にはN個の区分に分けている。2次スプライン関数
は単純な2次多項式であり3区分にまたがる。それでm
区分から、(m+2)区分にまたがるスプライン基底に
はmのサフィックスをつける。mは当然に−2から寄与
があり、M−1までの基底が必要である。基底の数はM
でなく(M+2)である。ここではx方向、y方向に基
底の直積をもって基底ψmnとしてるがこれは(M+2)
(N+2)個だけあるのである。基底ψmnとしている
が、これは次元数M、Nが違えば全く異なる関数であ
る。煩雑であるから次元数の表示を省略している。
【0217】係数cmnも同じ数(M+2)(N+2)個
だけある。これが未定係数である。差分画像の近似は係
数cmnの決定に帰着される。係数cmnは差分画像を最も
良く近似できるように決定しなければならない。次元数
M、Nを与えてその範囲でのSとdiffの差を最も少
なくする係数群{cmn}を求め。これが予め決めた基準
を満足するかどうかによって評価し、基準を満たさない
ときは次元数MとNをひとつずつ増やし、(M+1)、
(N+1)とする。差分画像の近似係数の決定について
も、最小二乗法による方法と、本発明者が創案した双直
交関数による方法がある。両方を説明する。双直交関数
法の方が短時間に計算できより優れている。しかし最小
二乗法が使えない訳ではない。
【0218】[A.最小二乗法による係数cmnの導出]
先に境界線部分の近似においても最小二乗法によるもの
を述べた。境界線は一次元であり、媒介変数表示した
が、今度は濃度であって2次元の関数であり、境界線近
似の方程式とは相違する。最小二乗法というのは全ての
座標での測定値と近似値の差の二乗の和Qを最小にする
ことによって最適係数を求めるというものである。つま
りdiff(xi ,yj )とS(xi ,yj )の二乗誤
差の総和をQとして、
【0219】
【数30】
【0220】を定義する。x座標はi=0〜I、y座標
はj=0〜Jまでブロック画像の全画素について加え
る。I×Jはブロックの寸法である。ブロックは端1画
素分重ねるので、0〜I−1でなくて、0〜Iとなる。
係数{cmn}がQを最小にするので、全てのcmnによる
Qの微分が0である。
【0221】
【数31】
【0222】これはm=−2〜M−1、n=−2〜N−
1で成り立つので、(M+2)(N+2)個の方程式で
ある。Ψpq(xi ,yj )、diff(xi ,yj )な
どは既知量であるから、これはcpqについての(M+
2)(N+2)元連立方程式である。一次連立方程式で
あるから解けるはずであるが、(M+2)(N+2)個
の未知数を含む連立方程式なので簡単には解けない。差
分画像のブロック画像が極めて小さい寸法(I、Jが小
さい)であれば計算が可能かも知れない。しかしブロッ
クが大きいと(I、Jが大きい)計算は難しい。次元数
M、Nを一つ上げるごとにその困難は急増して行く。す
ぐに100元あるいは500元の方程式になってしま
う。二次元変数である差分濃度を近似するのでこのよう
に未知数の数が多くなってしまう。高性能のコンピュー
タを使って時間を掛けて計算すればできないことはなか
ろう。しかし実際には役に立たないとも思われる。
【0223】[B.双直交関数法による方法]双直交関
数というのは、直交性のないスプライン関数による関数
展開の係数を抽象的に表現するための概念である。任意
の関数をスプライン基底によって展開した係数が、その
関数と双直交関数の積の積分によって与えられるように
したものが双直交関数である。つまりスプライン基底Ψ
mn(x,y)の双直交関数をΦmn(x,y)とすると、
これは、任意の関数W(x,y)を
【0224】 W(x,y)=ΣcpqΨpq(x,y) (32)
【0225】としたとき
【0226】cpq=∫∫Φmn(x,y)W(x,y)d
xdy (33)
【0227】によって与えられる。反対に関数をΦmn
よって展開した時の係数は、その関数とΨmnの積の積分
によって与えられる。
【0228】 W(x,y)=ΣdpqΦpq(x,y) (34)
【0229】 dpq=∫∫Ψmn(x,y)W(x,y)dxdy (35)
【0230】である。つまりΦmnとΨmnは相補的に双直
交関数なのである。そうなる為には、
【0231】 ∫∫Ψmn(x,y)Φpq(x,y)dxdy=δmpδnq (36)
【0232】である。δmnはクロネッカのデルタであ
る。Ψmn(x,y)が一変数基底の単なる直積であるか
ら、Φpq(x,y)も一変数双直交関数の直積によって
与えられる。つまり2変数双直交関数Φpq(x,y)は
一変数双直交関数Mp (x)とMq (y)の積Mp
(x)Mq (y)に過ぎない。このような双直交関数Φ
pq(x,y)をメモリにテーブルとして予め与えて置
く。すると直ちに
【0233】 cpq=∫∫diff(x,y)Φpq(x,y)dxdy (37)
【0234】によって2パラメータ係数cpqを計算する
ことができる。
【0235】もちろん次元数M、NによってΦpqは異な
るので、Φpqはかなりの数になる。しかしこの方法であ
ると、基底Ψmn(x,y)を含む計算は近似計算にはま
ったく不要である。近似には双直交関数Φmnだけが必要
である。基底関数Ψmnのメモリへの格納は実は不要であ
る(受信側で再生の時は必要)。
【0236】また次元数M、N毎にΦpqを格納していて
はメモリが足りないという場合は、一変数双直交関数M
p をメモリに格納しておき、二つの関数の積Mp (x)
q(y)をそのつど計算してもよい。時間は余計に掛
かるがメモリを節約できる。
【0237】[差分画像近似の評価]差分画像diff
(x,y)を、近似関数S(x,y)がどれほど上手に
近似しているかということを評価しなければならない。
濃度誤差の相対値の2乗の平均の逆数の対数をSNRと
する。SNRが所定の値ε’よりも小さいと近似は不十
分とし、ε’より大きいと近似は満足できるものとし近
似計算を終了する。不十分の場合は、M,Nを一つ増や
して、係数の計算をする。濃度が0、1、2、…、Lの
(L+1)レベルで量子化されているとする。
【0238】
【数38】
【0239】こうして定義したSNRが、SNR<ε’
なら、次元数M、Nを増やして同様な計算を再び行う。
SNR>ε’なら近似を終了し、係数{cmn}を確定す
る。
【0240】[O.圧縮データ記憶装置]データ近似機
構Nから差分画像を近似した圧縮データが出力される。
これを圧縮データ記憶装置が記憶する。圧縮データは各
ブロック毎に濃度を近似した関数のx方向およびy方向
の次元数M、Nと、基底関数の係数{cmn}である。こ
こに格納されるデータ構造を表2に示す。
【0241】
【表2】
【0242】[P.符号化機構]これまでに、領域デー
タ(境界線の近似結果)と圧縮データ(差分画像の近似
結果)を得た。これらはそれぞれ、I.領域データ記憶
装置と、O.圧縮データ記憶装置に格納されている。こ
れをそのまま伝送媒体に載せて受信側へ送っても良い。
本発明の骨子は以上の二つの近似計算を行いデータ量を
大幅に減らししかも拡大変形などに適する形に加工する
とことろにある。
【0243】しかしさらにデータ量を減らすために、符
号化することもできる。符号化は従来の通信系において
も既に使われている。本発明のスプライン関数近似とは
全く違う。近似と符号化はそもそも違う。符号化したデ
ータは正確に復元できる。その点でデータの質に変化が
ない。符号化することによってデータ量を減らす事がで
きる。それだけでなく一種の暗号でもあるので気密保持
という意義もある。
【0244】ハフマン符号化やその他の符号化手段をこ
こでは用いる。領域データ記憶装置Iのデータと圧縮デ
ータ記憶装置Oのデータの両方を符号化する。ただし、
符号化自体に時間を要する。符号化の反対の動作である
復号化を受信側で実行しなければならない。データ量は
へるが処理時間は少し増える。伝送時間は減縮されるが
送信、受信側で処理時間が増えるので目的用途によって
符号化の要否を決すべきである。
【0245】[Q.符号化データ出力機構]これまで
で、領域データ(境界線、平均濃度画像)と圧縮データ
(差分画像)の両方の近似係数などを符号化した。符号
化データはビット列として出力される。符号化されてい
るので復号化の方法が分からない限り、このデータ列か
ら内容を知る事ができない。暗号化されたデータ列であ
る。
【0246】[R.符号化データ記憶機構]符号化デー
タ出力機構Qから出力されたデータを記憶する。ここに
記憶されたデータは、所望の時に出力される。ここまで
が、画像データを圧縮して記憶するための装置である。
送信側と受信側の間でデータを伝送するためにさらにデ
ータを加工する必要がある。
【0247】[Γ.通信データ生成装置]これは符号化
データを通信用データに変換するものである。通信用の
データ構造は公知のものを利用できる。図6は符号化デ
ータから通信データへの変換を示す。通常、この処理は
モデムが自動的に行うようになっている。フラグ、誤り
符号の後に符号化データを付ける。さらにフラグを追加
する。初めのフラグは開始信号である。最後のフラグは
終了信号である。誤り符号というのは通信中に回線に誤
って雑音が載ってしまったとき受信側で誤り検出できる
ようにするために付ける符号である。雑音が入っている
信号をそのまま受信側で復号化再生すると間違った画像
再生をすることになる。これを避けるため、受信側で誤
り検出できるようにし、誤りを検出したときはデータの
再生信号を送信側へ返信したりするようになっている。
【0248】[Δ.通信データ送信装置]通信用データ
ができたので、いよいよデータを送信する。そのための
装置が通信データ送信装置Δである。図1に示した通信
モデムのようなものである。電話回線や専用回線などで
通信を行う場合はこのような装置を必要とする。符号化
で得たのはデジタル信号であるが、電話線はアナログ信
号として伝送するので送信用の信号変換装置が必要であ
る。受信側でも逆変換する同じ装置が必要である。通信
媒体はこのように電線の他に、光ファイバなどを使う事
ができる。光ファイバを使う場合は、アナログ/デジタ
ル変換に加えて、半導体レ−ザやLEDを用いた電気/
光変換モジュールが必要である。有線媒体の他に無線を
も使うことができる。その場合は搬送波をAM変調、F
M変調、位相シフト変調などして搬送波に信号を載せて
送るので、変調器や送信器が必要である。しかしいずれ
もこれらは公知の技術を使う事ができる。こうして画像
データが通信媒体を経て送信側から受信側へ送られる。
以上のべたA〜Δが送信側の装置である。以下に説明す
るのは受信側の装置である。受信側では送信側での処理
の逆変換を行う。逆変換にすぎないので説明は簡明に行
う。
【0249】[Θ.通信データ受信装置]受信側の装置
で第1番目のものである。図1に示した通信モデムのよ
うなものである。伝送媒体によって送信装置が多様であ
ることを前節で述べた。それに対応して媒体によりそれ
にふさわしい通信データ受信装置Θが受信側に設けられ
る。これ以後述べるものは受信側の装置である。送信側
に対応した装置がそれぞれ存在するが、一つの装置が送
受信の両方を行う事もできる。
【0250】[S.符号化データ入力装置]通信データ
受信装置で受信しデジタル信号に戻った符号化データを
入力し蓄積するのが符号化データ入力装置Sである。
【0251】[T.復号化機構]入力された符号化デー
タの復号化を行う。これは符号化データ入力装置から、
必要な時にデータを取り出して復号化を行う。復号化に
は、符号化に対応した復号化手段が採用される。通信デ
ータを傍受しても復号化方法が分からないと内容がわか
らない。これによっても通信の秘密を守ることができ
る。これは先述の通りである。復号化されたデータは差
分画像データと領域データの両方を含み、圧縮データ記
憶装置O、領域データ記憶装置Iで記憶されていたもの
と同じ形式になる。
【0252】[U.差分分割画像再生機構]復号化され
た圧縮データ(差分画像のデータ)から、差分分割画像
を再生する。圧縮データはブロックでのスプライン近似
の次元数M、N、スプラインの係数{cmn}を含む。こ
れらが与えられるので、ブロックの各標本点(xi ,y
j )における濃淡値S(xi ,yj )は
【0253】
【数39】
【0254】となる。基底Nm については既に述べた
が、のちに再び説明する。これによってブロック毎に差
分画像を再生し具体的な差分濃淡分布を全ての画素に付
いて求めることができる。そのような再生操作をQ個の
全てのブロックについて行う。
【0255】[V.差分画像再生機構]ブロック毎に再
生された差分画像を縦横に組み合わせて全体の差分画像
を求める。差分画像はもともと濃度差が少なく濃度差の
変動も小さいので、ブロックを繋ぎ合わせたときに接合
辺でブロック歪みが生じない。また送信側でブロックに
分割せず全体差分画像を近似したものである場合は、受
信側でもUとVをまとめて一挙に差分画像全体を再生す
ることになる。
【0256】[W.濃淡画像再生機構]差分画像が得ら
れたので、領域を再生して差分画像に加えることによっ
て、濃淡画像が再生される。領域の再生は、符号化され
た領域データ(データの内容に付いてはK差分画像記憶
装置参照)を用いて境界線を再生し、境界線によって囲
まれる領域を平均濃度で塗りつぶすことによって行われ
る。
【0257】境界線の再生は以下のようにして行う。再
生する区間を[0,T]とする。これは領域分割点や境
界急峻点によって区切られる一つの境界線部分の全長を
表すtの長さをTによって表現している。媒介変数表示
を使っているので、実際の境界線部分の長さそのものに
は対応しない。任意の長さとしてTを決めることができ
るし、これは一定値としても良い。
【0258】スプライン関数の次元数をnとすると、一
区分はT/nであり、節点はMT/n(Mは0〜nの整
数)である。各標本点ti における近似関数の基底Np
(ti )は、ti がpT/n〜(p+3)T/nでのみ
値を持ち、(p+3/2)T/nでピークを持つ。3つ
の区分で最も単純な2次関数である。簡単のためti
サフィックスi を省いてtと略記し、T/n=Δと表記
すると、
【0259】 Np (t)=0, t≦pΔ (41)
【0260】 Np (t)=0.5Δ-3(t−pΔ)2 ,pΔ<t≦(p+1)Δ(42)
【0261】 Np (t)=0.75Δ-3−Δ-3{t−(p+1.5)Δ}2 ,(p+1)Δ< t≦(p+2)Δ(43)
【0262】 Np (t)=0.5Δ-3{(p+3)Δ−t}2 ,(p+2)Δ≦t<(p+3 )Δ (44)
【0263】 Np (t)=0. (p+3)Δ<t (45)
【0264】というふうになる。見かけは難しいようで
あるが、二次式で3区分に渡り、節点で1階微分も連続
で積分が1という条件を満足するように係数がかかるだ
けで、二次式では最も単純な関数である。これは送信側
で、境界線を近似するときにも、差分画像を近似すると
きにも用いている。具体的な形は少し形を変えてここで
繰り返し述べるが、送信側でも同じ関数を使っているの
である。基底関数は並進対称性をもちNp (t)=N
p-q (t−Δq)であるから全ての基底関数が簡単に与
えられる。そして境界線部分を表す基底の係数{cxp
yp}が受信された領域データから分かるので、境界線
【0265】
【数46】
【0266】
【数47】
【0267】によって与えられる。
【0268】[X.濃淡画像出力機構]こうして濃淡画
像を指定するのに必要な全てのパラメータが計算され再
生された。これらを具体的な形で出力しなければならな
い。紙や布に印刷するのであれがプリンタを用いる。そ
のほかにも出力の態様によって異なる出力機構を用い
る。原寸で再生することは勿論可能である。それだけで
なく計算によって画像を再生するので、拡大縮小は自由
に簡単に行う事ができる。拡大縮小のいずれの要求にも
対応できるように大型のプリンタを使うと便利である。
紙に印刷するだけでなく、出力機構をカッティングプロ
ッタにしてシートを切断したり、大画面ディスプレイに
出力することもできる。
【0269】関数の係数から濃淡画像を再生するため
に、例えば再生画像の大きさを1mm角から幅90cm
×長さ16mまで自在に指定できるレイアウトエディタ
を用いる。再生画像は例えば600DPI以上の精度を
もつポストスクリプト対応プリンタを用いて出力され
る。
【0270】単色の濃淡画像の場合は、以上に述べたA
〜Xの装置によって濃淡画像の近似送信と受信再生が行
える。カラー画像を扱う場合はこれを4原色や3原色に
分解してそれぞれについて濃淡画像処理を行えば良い。
それでカラー画像を原色に分解する色分解機構が送信側
に必要である。分解された画像を合成する色合成機構が
受信側に必要である。これらについて以下に説明する。
【0271】[Y.色分解機構]カラー画像を原色に分
解する機構である。カラー画像を原色分解する方法はい
くつもある。その機構は良く知られている。例えば、カ
ラーテレビやカラー写真のように、光の原色を混合して
カラー化する場合は、RGBの三原色が用いられる。つ
まり源カラー画像をR濃淡画像、G濃淡画像、B濃淡画
像の3つの濃淡画像に分解しそれぞれを並行に或いは前
後して処理する。
【0272】しかしRGBは相互相関が強いので、符号
化するには非効率的である。より相関の小さいものとし
てRGBを線形変換した伝送3原色YUVを用いる事も
できる。その場合は源カラー画像を、Y濃淡画像、U濃
淡画像、V濃淡画像の3つの濃淡画像に分解する。それ
ぞれ単色の濃淡画像に還元されるので独立に平行してま
たは前後して処理することができる。
【0273】また印刷などに用いるのであればCMYK
の4原色に分解するのが良い。ともかく、分解さた各画
像を濃淡画像入力出力装置の画像記憶装置(図1)に格
納すれば良い。そしてそれぞれの原色に対して近似処
理、符号化処理を行い送信側から受信側に伝送する。そ
のための色分解をこの機構で行うようにする。
【0274】[Z.色合成機構]これはカラー画像を処
理するために受信側に設けられるものである。濃淡画像
入力出力装置(図1)からは色分解された各濃淡画像が
再生され出力されてくる。これらの濃淡画像を合成して
カラー画像として出力するのが色合成機構である。合成
方法は、分解に用いた方法に対応したものを用いる。ま
た出力装置によっては出力装置が合成してくれるように
なったものもある。その場合は色合成機構Zを省略する
ことができる。
【0275】単色濃淡画像の場合はA〜Xの装置によっ
て処理できる。カラー画像の場合はA〜Zの機構によっ
て処理できる。最終的な出力について述べる。画像は関
数の係数として記憶されているので、任意の倍率に拡大
縮小して出力できる。縦横の倍率を変えることも可能で
ある。また画像の座標も任意の位置に指定することがで
きる。このため、文字などの二値画像を含む任意の濃淡
画像を任意の位置に、任意の大きさで出力することがで
きる。上記した機構はC++言語を用いたプログラムに
よって、Unix WorkStationやWind
ows−OSの計算機に実装する事が可能である。
【0276】[効果を確かめるための具体例]本発明の
効果を確かめるために、先述の標準静止画像”SIDB
A/GIRL”及び二値画像”MSゴシックフォント
「愛」”に本発明を適用した。図7に原画像を示す。図
7(a)GIRLの原画、(b)が「愛」の原画であ
る。
【0277】[A.女性画像の場合]本発明では、原画
像の品質をパラメータによって設定する事ができる。原
画像と再生画像の画質を30dB(p−p/rms)と
設定した場合の実験結果を示す。この画質で符号化を行
った結果、データ量を意味するビットレートが1.98
[bit/pixel ]になった。原画像は8[bit/pixel ]で
表現されているので、データ量は約25%に圧縮された
ことになる。これを実際のデータ量に換算すると約12
9761ビットになる。これにさらに、通信用の誤り符
号化などを加算した2万ビット弱が、通信に用いられる
データとなる。
【0278】伝送に用いる回線には種々のものがある。
電話回線、専用回線、携帯電話などである。伝送媒体に
よって伝送に必要な時間が異なる。例えば電話回線を用
いた場合を考える。現在販売されているパソコンに内蔵
されている標準のモデムは、28,800[bps ]の転
送速度を持っている。この転送速度のモデムを使えば、
この画像の圧縮されたデータは約5秒で受信側にデータ
伝送する事ができる。
【0279】最近はISDNなどのデジタル専用回線も
整備されてきている。例えば通信速度が38400[bp
s ]のISDNをもちいれば、これによる伝送時間は約
4秒ということになる。
【0280】デジタル携帯電話などでは9600[bps
]の通信速度が保証されている。携帯電話を用いて通
信した場合は、この画像のデータは約15秒で伝送する
ことができる。
【0281】受信され出力される再生画像を図8に示
す。再生画像は原画像を忠実に再現している。この例は
画質を30dBに設定したものであるが、より高い画質
を得るために40dBに設定することもできる。図9は
40dBにした場合の再生画像である。これはより一層
原画に近い。全く遜色がないと言える。図8、図9は原
寸であるが、さらに本発明は拡大縮小が行える。
【0282】図10は縮小した再生画像、原寸の再生画
像、拡大再生画像を示している。このように本発明は原
画データを計算によってデータ圧縮して計算結果から画
像を計算によって再生するから、拡大、縮小など自在に
実行することができるのである。
【0283】[B.愛の場合(二値化画像)]本発明は
濃淡画像を対象にしている。しかしそれは二値画像を取
り扱えないということではない。もちろん二値画像をも
処理し伝送できる。二値画像においても処理手順は全く
同じである。境界線は内在的な輪郭線と一致し輪郭線は
分岐を持たないから領域分割点がない。また差分画像は
一様の濃度になる。このため当然に処理が単純化されて
処理時間は短い。近似結果を表現するデータ量も少なく
なる。しかし二値画像処理を初めから唯一の目的とした
特開平6−83952号、特開平6−96191号など
とは違う。これは画素中心に座標点をとるので輪郭線は
画素の中心を横切る。これらは差分画像を作らないがも
しも差分画像のようなものを作ると境界線で強い不連続
が出現するであろう。ゴシック体の文字である「愛」
(図7(b))について本発明の通信装置によって送受
信する例を述べる。図7においては愛の上の斜め線にギ
ザギザが現れている。
【0284】これは原画像が256画素×256画素に
よって表現されており傾斜線には鋸状の輪郭が現れるの
である。これを本発明の方法によって処理した場合符号
化データのビットレートは0.22[bit/pel ]であっ
た。原画像は1[bit/pel ]で表現されているので、デ
ータ量は約22%に圧縮されたことになる。実際のデー
タ量に換算すると約14418ビット[bit ]になる。
これに通信用の誤り符号化などを加算すると、1600
0ビット程度になる。これが通信に用いられるデータと
なる。
【0285】例えば電話回線を用いた場合、前記のよう
に標準の内蔵モデムの伝送速度は28800[bps ]で
あるので、約0.6秒で「愛」のデータを伝送すること
ができる。通信速度が38400[bps ]のISDNを
用いると、より短く約0.4秒でこのデータを送る事が
できる。9600[bps ]の携帯電話を用いると、約
1.5秒で同じデータを送信できる。
【0286】受信され再生された「愛」の画像を図8に
示す。原画の傾斜線にあったギザギザが消滅している。
本発明は原画を計算によって近似し伝送し、計算して再
生画像を作り出すので、輪郭がスムーズに滑らかに整形
されるのである。つまり原画よりもむしろ再生画像の方
が画質が優れているのである。これはたいへん画期的な
驚くべきことである。このような優れた効果を挙げるこ
とができるのはかつてない。本発明だけである。
【0287】
【発明の効果】本発明は、濃淡画像を読み取り、少ない
データにして読み取り、少ないデータにして伝送する事
を可能にする。もはや、ビットマップ形式や、DCT法
に基づいて伝送する必要はない。濃淡画像の濃淡変化の
様子を関数によって忠実に表現するので、画質を保つ事
ができる。
【0288】単に伝送しただけでなく、再生するもの簡
単である。伝送されたデータを用いて、任意の大きさに
再生できる。拡大縮小もビットマップ上ではなく、数式
のうえで変換するので、良質の拡大縮小画像を容易に得
る事ができる。
【0289】伝送時間の点でも優れている。ハードウエ
アが発達したので、ファクシミリの伝送時間と大差ない
短い時間で伝送できる。画質の点では本発明の方が、フ
ァクシミリよりも格段に優れている。印刷版下などの原
図はもちろんファクシミリでは送る事ができない。現在
は原図そのものを郵便によって送っている。ところが印
刷版下のように高度の画質が要求されるものであっても
本発明の装置によって電話回線、専用回線、携帯電話な
どによって簡単に遠隔地へ伝送する事ができる。郵便や
宅配便で送るのに要する日数時間を著しく減少させる事
ができる。まことにめざましい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の通信装置の全体の概略を示し送信側で
は画像を本発明の方法によって圧縮し、そのデータを何
らかの伝送媒体によって伝送し受信側では受信したデー
タから原画像を復元しプリンタやスクリーンなどに再生
するようにすることを表している。
【図2】送信側において原画を読み取り、濃度が近似し
た領域を定義し境界線を求め、領域内部は平均濃度で塗
りつぶし、領域ごとに平均濃度を差し引いた差分画像を
求めこれを関数近似して圧縮データとする本発明のステ
ップを示す図。
【図3】本発明の送信側での濃淡画像のデータ圧縮機
構、通信機構、受信側でのデータ再生機構などの全体の
装置構成図。領域生成装置、特徴点抽出装置、差分画像
演算装置、符号化データ生成装置、再生データ生成装置
などに分けることができる。これらのそれぞれはさらに
細分化される。
【図4】濃淡をもつ標準静止画像”SIDBA/Gir
lについて本発明の処理の各過程においてどのような画
像に変化してゆくかということを例示するための図面。
(a)は入力濃淡画像(原画)、(b)は平均濃度画像
(領域記憶装置の画像)、(c)は抽出された境界線の
図、(d)領域分割点の図、(e)は境界急峻点の図、
(f)は差分画像、(g)は受信側での再生画像であ
る。
【図5】濃淡変化のない二値画像であるゴシック体の
「智」について本発明の処理によってどのような画像に
変化してゆくかを示すための図面。(a)は入力二値画
像、(b)は領域記憶装置の画像(平均濃度画像)、
(c)は境界線抽出画像、(d)は領域分割点画像、
(e)は境界急峻点画像、(f)は差分画像、(g)は
受信側での再生画像である。
【図6】本発明によって作成された符号化データを通信
データに変換するための操作を示す図。符号化データの
前にフラグと誤り符号をつけ後ろにフラグをつけて通信
データとする。
【図7】本発明の実施例において取り上げる濃淡のある
標準静止画像”SIDBA/Girlの原画像(a)
と、二値画像ゴシック体「愛」の原画像。送信側でこれ
らの原画像を入力し近似計算して圧縮データを求め符号
化して送信する。
【図8】本発明の実施例において取り上げた濃淡のある
標準静止画像”SIDBA/Girlの再生画像(a)
と、二値画像ゴシック体「愛」の再生画像。符号化デー
タを受取り画質を30dB(p−p/rms)に設定し
受信側で画像を再生したものである。
【図9】同じ標準静止画像”SIDBA/Girl”に
おいて画質を40dB(p−p/rms)に設定し受信
側で画像を再生した画像。原画に比較しても殆ど区別が
つかないほど酷似している。
【図10】同じ標準静止画像”SIDBA/Girl”
を再生する際、縮小、原寸、拡大などを行いつつ再生で
きることを示すための画像図。(a)は縮小再生画像、
(b)は原寸の再生画像、(c)は拡大再生画像であ
る。
【符号の説明】
A 画像記憶装置 B 領域分割装置 C 領域記憶装置 D.領域境界線抽出機構 E 領域分割点抽出機構 F 領域境界線記憶機構 G 境界急峻点抽出機構 H 領域境界線近似機構 I 領域データ記憶装置 J 差分画像生成機構 K 差分画像記憶装置 L 差分画像分割機構 M 差分分割画像記憶装置 N データ近似機構 O 圧縮データ記憶装置 P 符号化機構 Q 符号化データ出力機構 R 符号化データ記憶機構 Γ 通信データ生成装置 Δ 通信データ送信装置 Θ 通信データ受信装置 S 符号化データ記憶装置 T 復号化装置 U 差分分割画像再生機構 V 差分画像再生機構 W 濃淡画像再生機構 X 濃淡画像出力機構
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年4月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0277
【補正方法】変更
【補正内容】
【0277】[A.女性画像の場合]本発明では、原画像
の品質をパラメータによって設定する事ができる。原画
像と再生画像の画質を30dB(p−p/rms)と設
定した場合の実験結果を示す。この画質で符号化を行っ
た結果、データ量を意味するビットレートが1.98[b
it/pixel]になった。原画像は8[bit/pixel]で表現され
ているので、データ量は約25%に圧縮されたことにな
る。これを実際のデータ量に換算すると約129761
ビットになる。これにさらに、通信用の誤り符号化など
を加算した18000バイト弱が、通信に用いられるデ
ータとなる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0283
【補正方法】変更
【補正内容】
【0283】[B.愛の場合(二値化画像)]本発明は濃淡
画像を対象にしている。しかしそれは二値画像を取り扱
えないということではない。もちろん二値画像をも処理
し伝送できる。二値画像においても処理手順は全く同じ
である。境界線は内在的な輪郭線と一致し輪郭線は分岐
を持たないから領域分割点がない。また差分画像は一様
の濃度になる。このため当然に処理が単純化されて処理
時間は短い。近似結果を表現するデータ量も少なくな
る。しかし二値画像処理を初めから唯一の目的とした特
開平6−83952号、特開平6−96199号などと
は違う。これは画素中心に座評点をとるので輪郭線は画
素の中心を横切る。これらは差分画像を作らないがもし
も差分画像のようなものを作ると境界線で強い不連続が
出現するであろう。ゴシック体の文字である「愛」(図
7(b))について本発明の通信装置によって送受信す
る例を述べる。図7においては愛の上の斜め線にギザギ
ザが現れている。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年7月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】次に、領域内を平均濃度によって塗りつぶ
した平均画像と、原画像の差分を求める。これを差分画
像という。差分画像に対して、その濃度変化を最も良く
近似できる曲面で近似する。この近似の際に、2変数2
次B−スプライン関数を用いる。濃淡のデータはこの曲
面のパラメータによって表現される。近似したのでもと
の各画素の濃度値は捨てられる。これにより濃淡に関す
る情報のデータ量は著しく減少する。つまりデータの近
似は、境界線の近似(2次元)と、差分画像の近似(3
次元)の2種類がある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0144
【補正方法】変更
【補正内容】
【0144】とする。lは−2からn−1までの(n+
2)個の値をとる。Nl(t)は基底(関数)であり、
lは基底の番号である。ひとつの境界線部分が次元数n
に分割されている。節点が(n+1)個ある。区分毎に
異なる形をとり、ある区分(l+1)でピークをもつ基
底関数がNl (t)である。m次スプラインは(m+
1)個の区間に渡って有限の値を持つ。n個の節点で
(m−1)階微分可能である。2次スプライン(m=
2)ならばNl (t)は、l,(l+1),(l+2)
の3区間で有限の値をもちその他では0である。(n+
2)個の基底によって張られた空間に境界線部分が展開
されているということもできる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0208
【補正方法】変更
【補正内容】
【0208】しかしメモリの少ない計算機の場合は、全
差分画像を一度に近似することができないということも
ある。その場合は、差分画像を適当な大きさの一定の部
分画像に分割する。部分画像は矩形状であってどれもこ
れも同じ寸法とする。これをブロックと呼ぶ。おのおの
のブロックごとに差分濃度を二次元近似する。分割して
小さい部分を二次元近似するので処理時間を短くするこ
とができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0212
【補正方法】変更
【補正内容】
【0212】[N.データ近似機構] データ近似は2
度目である。先に境界線を一変数スプラインによって近
似した。今度は差分画像の濃度を近似する。座標がx,
yの二つであり2変数の関数として濃度が与えられるの
で、ここでは2変数の近似関数を使う。ここでも2次の
スプラインを用いて近似をする。もちろん3次のスプラ
インを使う事もできる。差分画像{diff(xi ,y
j )}の近似関数をs(xi ,yj )と書く。これは均
等節点の非周期2変数2次B−スプライン基底{Ψmn
によって展開する。均等節点というのは先に説明したよ
うに節点を予め等分布で与えてしまうものである。これ
はx,yを独立変数として含むがx方向のスプラインと
y方向のスプラインの単純な積にすぎない。基底は
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0216
【補正方法】変更
【補正内容】
【0216】によって定義する。基底の線形結合係数c
mnは実数である。M、Nは基底関数のx方向、y方向の
次元数である。つまり1ブロックを横方向にはM個、y
方向にはN個の区分に分けている。2次スプライン関数
は単純な2次多項式であり3区分にまたがる。それでm
区分から、(m+2)区分にまたがるスプライン基底に
はmのサフィックスをつける。mは当然に−2から寄与
があり、M−1までの基底が必要である。基底の数はM
でなく(M+2)である。ここではx方向、y方向に基
底の直積をもって基底Ψmnとしてるがこれは(M+2)
(N+2)個だけあるのである。基底Ψmnとしている
が、これは次元数M、Nが違えば全く異なる関数であ
る。煩雑であるから次元数の表示を省略している。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0217
【補正方法】変更
【補正内容】
【0217】 係数cmnも同じ数(M+2)(N+2)
個だけある。これが未定係数である。差分画像の近似は
係数cmnの決定に帰着される。係数cmnは差分画像を最
も良く近似できるように決定しなければならない。次元
数M、Nを与えてその範囲でのSとdiffの差を最も
少なくする係数群{cmn}を求め、これが予め決めた基
準を満足するかどうかによって評価し、基準を満たさな
いときは次元数MとNをひとつずつ増やし、(M+
1)、(N+1)とする。差分画像の近似係数の決定に
ついても、最小二乗法による方法と、本発明者が創案し
た双直交関数による方法がある。両方を説明する。双直
交関数法の方が短時間に計算できより優れている。しか
し最小二乗法が使えない訳ではない。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0229
【補正方法】変更
【補正内容】
【0229】 dpq=∫∫Ψpq(x,y)W(x,y)dxdy (35)
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0248
【補正方法】変更
【補正内容】
【0248】[Δ.通信データ送信装置] 通信用デー
タができたので、いよいよデータを送信する。そのため
の装置が通信データ送信装置Δである。図1に示した通
信モデムのようなものである。電話回線や専用回線など
で通信を行う場合はこのような装置を必要とする。符号
化で得たのはデジタル信号であるが、電話線はアナログ
信号として伝送するので送信用の信号変換装置が必要で
ある。受信側でも逆変換する同じ装置が必要である。通
信媒体はこのように電線の他に、光ファイバなどを使う
事ができる。光ファイバを使う場合は、半導体レ−ザや
LEDを用いた電気/光変換モジュールが必要である。
有線媒体の他に無線をも使うことができる。その場合は
搬送波をAM変調、FM変調、位相シフト変調などして
搬送波に信号を載せて送るので、変調器や送信器が必要
である。しかしいずれもこれらは公知の技術を使う事が
できる。こうして画像データが通信媒体を経て送信側か
ら受信側へ送られる。以上のべたA〜Δが送信側の装置
である。以下に説明するのは受信側の装置である。受信
側では送信側での処理の逆変換を行う。逆変換にすぎな
いので説明は簡明に行う。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0175
【補正方法】変更
【補正内容】
【0175】
【数22】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0213
【補正方法】変更
【補正内容】
【0213】
【数28】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0215
【補正方法】変更
【補正内容】
【0215】
【数29】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0221
【補正方法】変更
【補正内容】
【0221】
【数31】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0253
【補正方法】変更
【補正内容】
【0253】
【数39】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送信側と、受信側と、送信側と受信側を
    結ぶ伝送装置とよりなり、送信側は、光学的に濃淡画像
    データを読み取り又は画像データベースから濃淡画像を
    取り出し或いは濃淡画像データを直接に入力し縦横に有
    限個並ぶ画素の中心に取った座標点に対応させて濃度を
    記憶する画像記憶装置と、縦横に並ぶ画素に対応づけて
    読み取られた濃淡画像を領域内の各画素の濃度差が小さ
    く隣接領域の画素との濃度差が大きくなるように複数の
    領域に分割し領域ごとの平均濃度を求める領域分割機構
    と、分割された領域の画素の隅を座標点として定義され
    る境界線を点列として抽出する領域境界線抽出機構と、
    抽出された境界点列において3つ以上の領域に接する点
    を領域分割点として抽出する領域分割点抽出機構と、領
    域分割点で区切られた区間ごとに境界線の二次元座標
    (x,y)を記憶する領域境界線記憶装置と、境界点列
    において勾配の差分変化が急峻な点である境界急峻点を
    抽出する境界急峻点抽出機構と、独立変数をtとしx,
    yを従属変数とした1変数スプライン関数で前記の領域
    分割点又は境界急峻点によって区切られた区間の境界点
    列を近似し近似精度が所定範囲になるまで双直交近似或
    いは最小二乗法近似を繰り返し前記区間の境界点列の近
    似関数を求める領域境界線近似機構と、領域ごとに境界
    線を近似した関数に関する情報を記憶する領域データ記
    憶装置と、画像記憶装置に記憶された画像の原画素濃度
    から領域記憶装置に記憶される領域ごとの平均濃度を差
    し引いてできる全体の画像である差分画像を生成する差
    分画像生成機構と、縦横に有限個並ぶ画素に対応させて
    その差分濃度を記憶する差分画像記憶装置と、差分画像
    をいくつかの部分画像に分割する差分画像分割機構と、
    縦横に有限個並ぶ画素に対応させてその分割された差分
    濃度を記憶する差分分割画像記憶装置と、差分分割画像
    を2変数スプライン関数によって近似し近似精度が所定
    範囲になるまで双直交近似或いは最小二乗法近似を繰り
    返し差分分割画像の近似関数を求めるデータ近似機構
    と、近似した関数のパラメータを記憶する圧縮データ記
    憶装置と、圧縮データを符号化する符号化機構と、符号
    化データを出力する符号化データ出力機構と、出力され
    た符号化データを記憶する符号化データ記憶機構と、符
    号化データを入力する符号化データ入力装置とを含み、
    伝送装置は通信データ生成装置と、通信データ送信装置
    と、データ伝送媒体と、通信データ受信装置と、符号化
    データ入力装置とを含み、受信側は、入力された符号化
    データから復号化を行う事によって圧縮データを再生す
    る復号化機構と、圧縮データから差分分割画像を再生す
    る差分分割画像再生機構と、差分分割画像を纏めて差分
    画像を再生する差分画像再生機構と、差分画像を領域デ
    ータを用いて濃淡画像を再生する濃淡画像再生機構と、
    再生された濃淡画像を出力する濃淡画像出力機構とを含
    むことを特徴とする濃淡画像の通信装置。
  2. 【請求項2】 送信側と、受信側と、送信側と受信側を
    結ぶ伝送装置とよりなり、送信側は、光学的に濃淡画像
    データを読み取り又は画像データベースから濃淡画像を
    取り出し或いは濃淡画像データを直接に入力し縦横に有
    限個並ぶ画素の中心に取った座標点に対応させて濃度を
    記憶する画像記憶装置と、縦横に並ぶ画素に対応づけて
    読み取られた濃淡画像を領域内の各画素の濃度差が小さ
    く隣接領域の画素との濃度差が大きくなるように複数の
    領域に分割し領域ごとの平均濃度を求める領域分割機構
    と、分割された領域の画素の隅を座標点として定義され
    る境界線を点列として抽出する領域境界線抽出機構と、
    抽出された境界点列において3つ以上の領域に接する点
    を領域分割点として抽出する領域分割点抽出機構と、領
    域分割点で区切られた区間ごとに境界線の二次元座標
    (x,y)を記憶する領域境界線記憶装置と、境界点列
    において勾配の差分変化が急峻な点である境界急峻点を
    抽出する境界急峻点抽出機構と、独立変数をtとしx,
    yを従属変数とした1変数スプライン関数で前記の領域
    分割点又は境界急峻点によって区切られた区間の境界点
    列を近似し近似精度が所定範囲になるまで双直交近似或
    いは最小二乗法近似を繰り返し前記区間の境界点列の近
    似関数を求める領域境界線近似機構と、領域ごとに境界
    線を近似した関数に関する情報を記憶する領域データ記
    憶装置と、画像記憶装置に記憶された画像の原画素濃度
    から領域記憶装置に記憶される領域ごとの平均濃度を差
    し引いてできる全体の画像である差分画像を生成する差
    分画像生成機構と、縦横に有限個並ぶ画素に対応させて
    その差分濃度を記憶する差分画像記憶装置と、差分画像
    を2変数スプライン関数によって近似し近似精度が所定
    範囲になるまで双直交近似或いは最小二乗法近似を繰り
    返し差分分割画像の近似関数を求めるデータ近似機構
    と、近似した関数のパラメータを記憶する圧縮データ記
    憶装置と、圧縮データを符号化する符号化機構と、符号
    化データを出力する符号化データ出力機構と、出力され
    た符号化データを記憶する符号化データ記憶機構と、符
    号化データを入力する符号化データ入力装置とを含み、
    伝送装置は通信データ生成装置と、通信データ送信装置
    と、データ伝送媒体と、通信データ受信装置と、符号化
    データ入力装置とを含み、受信側は、入力された符号化
    データから復号化を行う事によって圧縮データを再生す
    る復号化機構と、圧縮データから差分分割画像を再生す
    る差分分割画像再生機構と、差分分割画像を纏めて差分
    画像を再生する差分画像再生機構と、差分画像を領域デ
    ータを用いて濃淡画像を再生する濃淡画像再生機構と、
    再生された濃淡画像を出力する濃淡画像出力機構とを含
    むことを特徴とする濃淡画像の通信装置。
  3. 【請求項3】 送信側と、受信側と、送信側と受信側を
    結ぶ伝送装置とよりなり、送信側は、光学的にカラー画
    像データを読み取り又は画像データベースからカラー画
    像を取り出し或いはカラー画像データを直接に入力し縦
    横に有限個並ぶ画素の中心に取った座標点に対応させて
    色相及び濃度を記憶する画像記憶装置と、色相毎にカラ
    ーデータを分解し3原色または 原色の色相に分解する
    色分解機構と、色分解機構によって分解された3原色ま
    たは4原色に分解された濃淡画像データを画素毎に濃度
    データとして記憶する画像記憶装置と、縦横に並ぶ画素
    の中心に取った座標点に対応づけて読み取られた濃淡画
    像を領域内の各画素の濃度差が小さく隣接領域の画素と
    の濃度差が大きくなるように複数の領域に分割し領域ご
    との平均濃度を求める領域分割機構と、分割された領域
    の画素の隅を座標点として定義される境界線を点列とし
    て抽出する領域境界線抽出機構と、抽出された境界点列
    において3つ以上の領域に接する点を領域分割点として
    抽出する領域分割点抽出機構と、領域分割点で区切られ
    た区間ごとに境界線の二次元座標(x,y)を記憶する
    領域境界線記憶装置と、境界点列において勾配の差分変
    化が急峻な点である境界急峻点を抽出する境界急峻点抽
    出機構と、独立変数をtとしx,yを従属変数とした1
    変数スプライン関数で前記の領域分割点又は境界急峻点
    によって区切られた区間の境界点列を近似し近似精度が
    所定範囲になるまで双直交近似或いは最小二乗法近似を
    繰り返し前記区間の境界点列の近似関数を求める領域境
    界線近似機構と、領域ごとに境界線を近似した関数に関
    する情報を記憶する領域データ記憶装置と、画像記憶装
    置に記憶された画像の原画素濃度から領域記憶装置に記
    憶される領域ごとの平均濃度を差し引いてできる全体の
    画像である差分画像を生成する差分画像生成機構と、縦
    横に有限個並ぶ画素に対応させてその差分濃度を記憶す
    る差分画像記憶装置と、差分画像をいくつかの部分画像
    に分割する差分画像分割機構と、縦横に有限個並ぶ画素
    に対応させてその分割された差分濃度を記憶する差分分
    割画像記憶装置と、差分分割画像を2変数スプライン関
    数によって近似し近似精度が所定範囲になるまで双直交
    近似或いは最小二乗法近似を繰り返し差分画像の近似関
    数を求めるデータ近似機構と、近似した関数のパラメー
    タを記憶する圧縮データ記憶装置と、圧縮データを符号
    化する符号化機構と、符号化データを出力する符号化デ
    ータ出力機構と、出力された符号化データを記憶する符
    号化データ記憶機構と、符号化データを入力する符号化
    データ入力装置とを含み、伝送装置は通信データ生成装
    置と、通信データ送信装置と、データ伝送媒体と、通信
    データ受信装置と、符号化データ入力装置とを含み、受
    信側は、入力された符号化データから復号化を行う事に
    よって圧縮データを再生する復号化機構と、圧縮データ
    から差分分割画像を再生する差分分割画像再生機構と、
    差分分割画像を纏めて差分画像を再生する差分画像再生
    機構と、差分画像を領域データを用いて濃淡画像を再生
    する濃淡画像再生機構と、色相毎に再生された濃淡画像
    を合成する色合成機構と、色合成機構で合成された画像
    を出力するカラー画像出力機構とを含むことを特徴とす
    るカラー画像の通信装置。
  4. 【請求項4】 送信側と、受信側と、送信側と受信側を
    結ぶ伝送装置とよりなり、送信側は、光学的にカラー画
    像データを読み取り又は画像データベースからカラー画
    像を取り出し或いはカラー画像データを直接に入力し縦
    横に有限個並ぶ画素の中心に取った座標点に対応させて
    色相及び濃度を記憶する画像記憶装置と、色相毎にカラ
    ーデータを分解し3原色または4原色の色相に分解する
    色分解機構と、色分解機構によって分解された3原色ま
    たは4原色に分解された濃淡画像データを画素毎に濃度
    データとして記憶する画像記憶装置と、縦横に並ぶ画素
    の中心に取った座標点に対応づけて読み取られた濃淡画
    像を領域内の各画素の濃度差が小さく隣接領域の画素と
    の濃度差が大きくなるように複数の領域に分割し領域ご
    との平均濃度を求める領域分割機構と、分割された領域
    の画素の隅を座標点として定義される境界線を点列とし
    て抽出する領域境界線抽出機構と、抽出された境界点列
    において3つ以上の領域に接する点を領域分割点として
    抽出する領域分割点抽出機構と、領域分割点で区切られ
    た区間ごとに境界線の二次元座標(x,y)を記憶する
    領域境界線記憶装置と、境界点列において勾配の差分変
    化が急峻な点である境界急峻点を抽出する境界急峻点抽
    出機構と、独立変数をtとしx,yを従属変数とした1
    変数スプライン関数で前記の領域分割点又は境界急峻点
    によって区切られた区間の境界点列を近似し近似精度が
    所定範囲になるまで双直交近似或いは最小二乗法近似を
    繰り返し前記区間の境界点列の近似関数を求める領域境
    界線近似機構と、領域ごとに境界線を近似した関数に関
    する情報を記憶する領域データ記憶装置と、画像記憶装
    置に記憶された画像の原画素濃度から領域記憶装置に記
    憶される領域ごとの平均濃度を差し引いてできる全体の
    画像である差分画像を生成する差分画像生成機構と、縦
    横に有限個並ぶ画素に対応させてその差分濃度を記憶す
    る差分画像記憶装置と、差分画像を2変数スプライン関
    数によって近似し近似精度が所定範囲になるまで双直交
    近似或いは最小二乗法近似を繰り返し差分画像の近似関
    数を求めるデータ近似機構と、近似した関数のパラメー
    タを記憶する圧縮データ記憶装置と、圧縮データを符号
    化する符号化機構と、符号化データを出力する符号化デ
    ータ出力機構と、出力された符号化データを記憶する符
    号化データ記憶機構と、符号化データを入力する符号化
    データ入力装置とを含み、伝送装置は通信データ生成装
    置と、通信データ送信装置と、データ伝送媒体と、通信
    データ受信装置と、符号化データ入力装置とを含み、受
    信側は、入力された符号化データから復号化を行う事に
    よって圧縮データを再生する復号化機構と、圧縮データ
    から差分画像を再生する差分画像再生機構と、差分画像
    を領域データを用いて濃淡画像を再生する濃淡画像再生
    機構と、色相毎に再生された濃淡画像を合成する色合成
    機構と、色合成機構で合成された画像を出力するカラー
    画像出力機構とを含むことを特徴とするカラー画像の通
    信装置。
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