JPH1164540A - 時計用文字板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 時計用文字板を斜め上方から見たときに文字
板の下方に配置された太陽電池層の濃紫色を目立たせな
いようにすると同時に、非透光体の配設によって形成さ
れる隙間を利用して外光を導き入れ、太陽電池層を照射
することを目的とする。 【解決手段】 太陽電池層６の上面に透明基板７を配置
してなる時計用文字板において、前記透明基板７の上面
に、隆起させた多数の非透光体８ａと、隣接する各非透
光体８ａ，８ａ間に設けた隙間８ｂとで模様層８を形成
し、前記隙間８ｂから透明基板７内に導き入れた外光１
１によって太陽電池層６を照射すると共に、透明基板７
を斜め上方から見たときに太陽電池層６が非透光体８ａ
によって隠れるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、腕時計などの文字
板に係り、特に太陽電池を用いた時計の文字板に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】自然光を光源とする太陽電池は時計の電
源として広く利用されているが、太陽電池の表面が独特
の濃紫色をしているため、装飾性の面で問題となる場合
がある。このため、従来にあっては文字板等の表示部に
着色や模様を施したりして太陽電池特有の濃紫色を目立
たなくすることが行われている。

【０００３】このような太陽電池の濃紫色を目立たせな
くする技術としては、例えば、特開平７−２４４１７４
に開示されたものがある。これは、時字等が形成された
表示板にセラミック材を用い、さらにこのセラミック材
に凸部や凹溝等を形成して模様調としたものである。白
色系のセラミック材を用いることで太陽電池の濃紫色を
目立たせなくすることができ、また表面に凸部や凹溝等
を形成することで装飾効果を上げることができる。

【０００４】また、その他の従来技術としては、セラミ
ック材の代わりに着色された透光性樹脂基板を表示板と
して用い、太陽電池の濃紫色を和らげたものも多く使用
されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように白色系のセラミック材や有色の透光性樹脂材を使
用することで太陽電池層の濃紫色を目立たせなくするこ
とができるものの、反対に太陽電池層の受光面及び光の
透過率が減少してしまうという問題点がある。

【０００６】また、太陽電池層の上面に配置される表示
板の材質としては、光の透過性を備える白色系のセラミ
ック材や透光性樹脂基板に限られてしまい、装飾性に富
んだ文字板を作る上で制約を受けていた。

【０００７】そこで本発明は、透明基板を斜め上方から
見たときに透明基板の下方に配置された太陽電池層の濃
紫色を目立たせないようにすると同時に、立体的な模様
層による外観品質の向上と、非透光体の配設によって形
成される隙間を利用して外光を導き入れ、太陽電池層を
照射することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る時計用文字板は、太陽電池層の上面に
透明基板を配置してなる時計用文字板において、前記透
明基板の上面に、隆起させた多数の非透光体と、隣接す
る各非透光体の間に設けた隙間とで模様層を形成し、模
様層の隙間から透明基板内に導き入れた外光によって太
陽電池層を照射すると共に、透明基板を斜め上方から見
たときに太陽電池層が非透光体によって隠れるようにし
たことを特徴とする。

【０００９】また、前記隆起させた非透光体は、金属
膜、メッキ膜、印刷膜、金属シール膜の中の少なくとも
一つの膜からなることを特徴とする。

【００１０】また、本発明に係る時計用文字板は、前記
非透光体の表面が金属光沢のある膜によって形成されて
いることを特徴とする。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下添付図面に基づいて本発明に
係る時計用文字板の実施の形態を詳細に説明する。図１
及び図２は、本発明の実施例を示したものである。この
実施例に係る時計用文字板は、ムーブメント１の上方に
太陽電池層６を介して配置され、中心部に指針軸３の貫
通する穴４が設けられた円板状の透明基板７によって構
成されている。なお、ムーブメント１、太陽電池層６及
び透明基板７は、時計ケーシングの支持枠２に支持固定
されている。

【００１２】前記透明基板７は、太陽電池層６と同形の
円板状に形成した透明なアクリル基板あるいは透明なガ
ラス基板で構成されるが、無色透明なものに限られるこ
となく、光の透過性が確保できれば着色されたものでも
よい。

【００１３】この実施例では前記透明基板７の上面に模
様層８が形成されている。この模様層８は、断面略半円
状に隆起させた多数の非透光体８ａと、この非透光体８
ａを所定間隔毎に配置したときに隣接する各非透光体８
ａ間に形成される幅狭の隙間８ｂとで構成される。この
実施例では図２に示したように、透明基板７の上面に非
透光体８ａを同心円状に配設することで、非透光体８ａ
と隙間８ｂとからなるリング状の模様層８が形成され
る。

【００１４】まず、第１実施例は、メッキ法で模様層８
を形成したもので、透明基板７の上面に乾式メッキであ
る蒸着やスパッタリング等により金属膜を同心円状に形
成し、その後、金属膜を導電膜とし、湿式メッキにより
金属膜の上面に隆起したメッキ膜を形成する。（図示せ
ず）

【００１５】透明基板７の上面に形成された２層からな
る非透光体８ａは、隆起し立体的なリング状の模様層８
となり、表面が金属光沢を有している。

【００１６】２層からなる非透光体８ａの模様層８の形
成方法は、洗浄・脱脂を行った透明基板７の表面に蒸着
法でニッケル、クロム等の金属膜を形成する。次に、金
属膜の表面にフォトレジストを塗布し、乾燥後、フォト
レジストの表面にネガフィルム又はポジフィルムを乗せ
露光し現像を行う。次に、化学エッチングで金属膜の露
出している部分を除去し、次いで、有機溶剤によりフォ
トレジストを除去してリング状の金属膜が形成される。
次に、この金属膜を導電膜とし、湿式メッキにより金属
膜上に銅、ニッケル等の隆起したメッキ膜を形成させ
る。なお、メッキ膜の隆起の度合いは、必要におおじて
メッキ時間をかえることにより自由にできる。また、表
面の金属光沢を有するメッキ膜（模様層８）は、必要に
おおじて金、ロジウム、プラチナ等の貴金属メッキを表
面に形成させても良い。

【００１７】次に、第２実施例は、印刷膜で模様層８を
形成したもので、透明基板７の上面に、スクリーン印刷
法又はパッド印刷法にて印刷膜を形成したものである。
（図示せず）

【００１８】透明基板７の上面に形成された印刷膜から
なる非透光体８ａは、隆起し立体的なリング状の模様層
８となり、表面が有色樹脂の光沢を有している。

【００１９】非透光体８ａの模様層８の形成方法は、洗
浄・脱脂を行った透明基板７の表面に、製版されたスク
リーン印刷版と必要とする色調を有するインキを使用
し、スクリーン印刷により印刷膜を形成する。次に、４
０℃〜８０℃の温度に設定した乾燥機に透明基板７を入
れ、印刷膜を乾燥させる。また、パッド印刷法で印刷膜
を形成させる場合は、複数回印刷を行うことで隆起した
印刷膜を形成させる。これは、１回のパッド印刷で形成
させることのできる膜厚が約４μｍ〜１０μｍであるの
で、隆起した印刷膜を得るためには複数回の印刷が必要
となるためである。なお、上記実施例においては、イン
キに加熱硬化型のものを使用したが、ＵＶ硬化型、常温
硬化型等のインキを使用できることは言うまでもない。

【００２０】また、非透光体８ａの模様層８として、エ
ンボス加工により隆起を形成させた金属シール膜や、隆
起させたメッキ膜の表面の一部に、印刷膜を形成させた
２層タイプのもの等、金属膜、メッキ膜、印刷膜、金属
シール膜を種々組合せて作ることが可能である。

【００２１】上記模様層８を有する時計用文字板を使用
することにより、下方に配置された太陽電池層６の濃紫
色を目立たせなくすることができる。

【００２２】このようにして、透明基板７の上面に模様
層８を形成した場合、図１に示したように、透明基板７
を矢印Ａで示した斜め上方から見た時に、隆起した非透
光体８ａによって内部が遮られ、下方に配置された太陽
電池層６が見えにくくなる。さらに、非透光体８ａの表
面に貴金属光沢があると、表面での反射などによって非
透光体８ａが浮き立って見え、一段と内部が見えにくく
なる。矢印Ａの角度は非透光体８ａの隆起高さや形状、
隙間８ｂの幅寸法などによって決まるが、これらは適宜
選択される。因みに前記隙間８ｂの幅が狭いほど矢印Ａ
の透明基板７の上面に対する角度を大きくすることがで
きるが、太陽光などの外光１１をこの隙間８ｂから透明
基板７内に導き入れる必要があることから、約３０μｍ
程度の幅寸法が適当である。また、非透光体８の厚み
は、高過ぎることによる見栄えの低下を考慮して約５０
〜１５０μｍの厚みが適当である。なお、上記隙間８ｂ
から透明基板７内に導かれた光は、そのまま透明基板７
の下面側を透過して太陽電池層６の受光面１３を照射す
る。

【００２３】なお、上記実施例では非透光体体８ａを断
面半円状に形成した場合について説明したが、特にその
形状は限定されない。また、上記実施例では時計の文字
板が丸型の場合に合わせて、透明基板７上に形成される
模様層８をリング形状としたが、図３に示したように透
明基板７が角型の場合には模様層８をストライプ状ある
いは格子状とすることも可能である。

【００２４】時計用文字板の時字（図示せず）は、前記
透明基板７上に直接形成するか、又は模様層８の上に平
滑なクリア層を形成し、このクリア層の上に印刷あるい
は小片を貼り付けることによって形成される。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る時計
用文字板によれば、透明基板の上面に隆起した非透光体
を所定間隔毎に配設したので、文字板を斜め上方から見
たときに非透光体によって下方に配置された太陽電池層
を遮ることができ、太陽電池特有の濃紫色が隠れること
できる。また、隆起した非透光体の模様層が立体的であ
るので、外観品質が優れ、且つ、時計用文字板としての
装飾効果を高めることができる。

【００２６】また、所定間隔毎に配設した非透光体の隙
間からは透明基板内に外光を導き入れることができ、太
陽電池層の受光面を十分な光量で照射するので、時計と
しての駆動に十分な太陽光を太陽電池層に与えることが
できるといった効果がある。

【００２７】また、前記非透光体の表面に金属光沢のあ
る金属膜、メッキ膜、メタリックな印刷膜、金属シール
膜等を施したことによって、金属の持つ光沢性により非
透光体が際立って見え、太陽電池層を更に見えにくくす
るとともに、時計の表示板としての装飾効果を一段と高
めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る時計用文字板の拡大断面図であ
る。

【図２】模様層をリング状に形成したときの文字板の平
面図である。

【図３】ストライプ状の模様層を形成したときの文字板
の平面図である。

【符号の説明】

６ 太陽電池層 ７ 透明基板 ８ 模様層 ８ａ 非透光体 ８ｂ 隙間 １１ 外光 １３ 受光面

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 細谷 利男 山梨県南都留郡河口湖町船津6663番地の２ 河口湖精密株式会社内 (72)発明者 伊東 信夫 東京都田無市本町６丁目１番12号 シチズ ン時計株式会社田無製造所内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 太陽電池層の上面に透明基板を配置して
   なる時計用文字板において、 前記透明基板の上面に、
   隆起させた多数の非透光体と、隣接する各非透光体の間
   に設けた隙間とで模様層を形成し、模様層の隙間から透
   明基板内に導き入れた外光によって太陽電池層を照射す
   ると共に、透明基板を斜め上方から見たときに太陽電池
   層が非透光体によって隠れるようにしたことを特徴とす
   る時計用文字板。
2. 【請求項２】 前記隆起させた非透光体は、金属膜、メ
   ッキ膜、印刷膜、金属シール膜の中の少なくとも一つの
   膜からなることを特徴とする請求項１記載の時計用文字
   板。
3. 【請求項３】 前記模様層の非透光体は、表面が金属光
   沢のある膜によって形成されていることを特徴とする請
   求項１記載の時計用文字板。