JPH1162434A - シートシャッター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シート巻き取り状態での見栄えを悪くするこ
となく、万が一の火災発生の際には、座板が熱膨張で反
り返ったとしても、防火区域内に、火炎を流れ込ませな
いようにしたシートシャッターを提供する。 【解決手段】 下部側に金属製の座板４を備えた可撓性
の耐火シート１を、火災発生の検知に基づいて巻き戻し
て、座板４を床面１２に着床させるように構成したシー
トシャッターにおいて、座板４の着床状態で座板４と床
面１２との隙間を閉じる可撓性のシール材３０を、その
一端側を座板４に固着し、このシール材３０を上方に持
ち上げて展張させて、その持ち上げ他端側を、火災によ
る熱エネルギーを受けて溶断する連結手段３５によっ
て、座板４またはシート１の少なくとも一方に連結して
いる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、火災の発生時にお
いて、火炎の拡がりを防ぐために、例えば建屋の通路や
階段室、その他オフィスなどの空間を、火災の発生空間
と区画させるためのシートシャッターに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】上記のシートシャッターとして、耐火シ
ートの下部側に金属製の座板を吊り下げ保持する一方、
前記シートの下端側にシート展張用のウエイト部材を設
け、かつ、火災発生の検知に基づいてシート巻き取り手
段のブレーキ装置を開放させて、座板の自重降下に伴っ
てシートを天井のまぐさ部から巻き戻し、前記座板を床
面に着床させて、この座板とシートとによって建屋通路
などの空間を区画するように構成したものがある。

【０００３】かゝる構成のシートシャッターにおいて
は、下端側にウエイト部材を備えたシートが、縁切り状
態で座板を吊り下げ保持しているので、座板の着床状態
では、シートは、ウエイト部材の吊り下げによって弛む
ことなく空間区画域に展張されるのであり、このシート
の巻き戻しは、座板の着床にやゝ遅れて停止する。

【０００４】即ち、座板が着床して、座板の自重降下に
よるシート巻き戻しの慣性力がなくなった時点では、シ
ートはウエイト部材の自重降下力を受けるものの、この
ウエイト部材の重量は小さく設定されることから、座板
が着床した際には、これにやゝ遅れてシートの巻き戻し
が停止されるのである。

【０００５】この他にも、耐火シートの下部側に金属製
の座板を連設し、火災発生の検知に基づいてシート巻き
取り手段をシート巻き戻し方向に駆動させて、座板を床
面に着床させ、この座板と巻き戻しシートとによって、
建屋通路などの空間を区画するように構成したものがあ
る。

【０００６】かゝる構成のシートシャッターにあって
は、例えばパルス制御やリミット制御などによって、シ
ート巻き取り手段を駆動停止させることで、シートを弛
ませることなく、このシートを空間区画域に張設させる
ことができるのであり、或いは、制御系を簡単なものに
しながら、シートの弛みを確実になくす上で、上記した
ように、座板をシートの下部側に吊り下げ保持し、か
つ、シート展張用のウエイト部材をシート下端側に設け
る構成のものもある。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところで、火災発生の
検知に基づいて、火災発生源とは隔絶させるようにシー
トが張設された状態において、このシートの張設域に火
の勢いが近づいた場合、一般にシートは、例えば硅素又
は硅酸系合成繊維等の耐熱性繊維材より成ることから、
熱には強いのであるが、座板は金属製であることから熱
膨張して反り返り、座板と床面との間に隙間が形成され
て、その隙間を通して、火炎が区画された防火区域内に
流れ込むことがあったのである。

【０００８】本発明は、かゝる実情に鑑みて成されたも
のであって、シート巻き取り状態での見栄えを悪くする
ことなく、万が一の火災発生の際には、座板が熱膨張で
反り返ったとしても、防火区域内に、火炎を流れ込ませ
ないようにしたシートシャッターを提供することを目的
としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、上記し
た種々形態のシートシャッターにおいて、前記座板の着
床状態で座板下面と床面との隙間を閉じる可撓性のシー
ル材を、その一端側を座板に固着し、このシール材を上
方に持ち上げて展張させて、その持ち上げ他端側を、火
災による熱エネルギーを受けて溶断する連結手段によっ
て、座板またはシートの少なくとも一方に連結した点に
特徴がある。

【００１０】上記の構成によれば、火災発生の検知に基
づいてシートが巻き戻され、シート下端側の座板が床面
に着床して、シートが建屋通路などの空間を区画した状
態において、このシートの張設域に火の勢いが近づい
て、その火災の熱エネルギーによって、連結手段が直接
的に溶断されると、又は、耐火シートを通して連結手段
が間接的に溶断されると、或いは、金属製の座板をヒー
トブリッジにして連結手段が間接的に溶断されると、上
方に持ち上げて連結されていたシール材は、その他端側
が床面上に倒れ込むことになる。

【００１１】耐火シートを貫通するボルトとナットとを
設けて、このボルト・ナットに、連結手段を介してシー
ル材の持ち上げ他端側を連結した場合は、このボルト・
ナットをヒートブリッジにして連結手段が間接的に溶断
され、シール材の他端側が床面上に倒れ込むことにな
る。

【００１２】従って、座板が熱膨張で反り返ったとして
も、その座板下面と床面との隙間がシール材によって塞
がれることで、火炎が防火区域内に流れ込むことが防止
されるのである。

【００１３】それでいて通常は、上記のシール材は、そ
の他端側が上方に持ち上げられて、座板またはシートの
少なくとも一方に展張状態で連結されているので、即
ち、座板から垂れ下がることなく、天井のまぐさ部に納
まっているので、見栄えが悪くなることはない。

【００１４】しかも、シール材を垂れ下げて設けている
と、座板が床面に着床する際に、座板がシール材を挟み
込んで、却って座板と床面との間に隙間を形成してしま
うことが懸念されるが、本発明においては、火災発生の
検知に基づいて、座板が床面に着床して後に、火災によ
る熱エネルギーを受けて初めて、シール材が床面上に倒
れ込むので、シール材挟み込みの懸念は一切ないのであ
る。

【００１５】好ましくは、耐火シートに防煙のための耐
火性物質をコーティングを施して、防火と同時に防煙を
図ることである。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、本発明による実施の形態を
図面に基づいて説明する。図１は建屋の通路や階段室な
どの空間Ｐを区画するための耐火用のシートシャッター
を示している。

【００１７】図中の符号１は、左右の側壁に埋設された
ガイドレール２に沿って巻き戻される可撓性の耐火シー
トで、例えば硅素や硅酸系合成繊維などの耐熱性繊維の
シート両面に、例えばシリコン樹脂やフッ素樹脂などの
耐火性物質をコーティングして、防煙性を高めて成り、
吊り下げ保持手段３を介してシート下部側に、金属製の
座板４を吊り下げ保持している。

【００１８】５はシート巻き取り手段で、シート巻き取
りドラム６に、ブレーキ装置７を介して駆動回転手段８
を連設して成り、煙または異常温度検知センサー９から
の情報に基づいてブレーキ装置７を開放し、前記シート
１を、座板４の自重降下に伴って天井１０のまぐさ部１
１から巻き戻させ、吊り下げ保持した座板４を床面１２
に着床させて、この座板４とシート１とによって建屋通
路などの空間Ｐを区画するように構成されている。

【００１９】図２および図３に示すように、前記座板４
は、曲げ加工した板状部材をほゞ方形に組み立てて成る
もので、一方の側面板部１３に、係止板部１４を垂下さ
せた上面板部１５と下部側の膨出板部１６とを曲げ加工
し、他方の側面板部１７に、係止板部１８を垂下させた
上面板部１９と下面板部２０とを曲げ加工し、かつ、下
面板部２０には、前記膨出板部１６に相対峙する立ち上
げ板部２１を曲げ加工し、これら一対の側面板部１３，
１７を、上面板部１５，１９間にシート挿通開口２２を
形成するように、両側に立ち上げ板部２３，２３を曲げ
加工した連結板部２４を介してビスａ止め連結してい
る。

【００２０】一方、吊り下げ保持手段３は、係止板部１
４，１８に下方から係止する係止部材２５を備えた一対
の金属製のＬ字状部材２６，２６と、金属製のフラット
バーによるウエイト部材２７とから成るものであって、
一対のＬ字状部材２６，２６によってシート１を挟み込
むように、かつ、ウエイト部材２７を介して、ボルト・
ナット２８により、シート１の下端側に連結している。
このウエイト部材２７の重量は、シート１を展張させる
に足る程度に軽く設定されている。

【００２１】２９は耐熱性の例えばガラス繊維から成る
可撓性の煙返しシートで、吊り下げ保持手段３が挿通さ
れたシート挿通開口２２を閉じるように、上面板部１９
にビスｂ止めされている。

【００２２】３０は耐熱性の例えばシリカ繊維から成る
可撓性のシール材であって、一側辺には鳩目金具３１を
介して鞘部材３２が設けられており、このシール材３０
の他側辺を、金属製のフラットバー３３を介して、か
つ、側面板部１３に膨出板部１６を膨出させるための連
設板部３４に、ビスｃ止め連結している。

【００２３】そして、シール材３０の他側辺を上方に持
ち上げて、座板４をシート下部側に吊り下げ保持した状
態で、シール材３０を緊張状態にして展張させるよう
に、このシール材３０の鳩目金具３１と吊り下げ保持手
段３のボルト・ナット２８とにわたって、火災による熱
エネルギーで溶断する連結手段（例えば合成樹脂製のナ
イロン糸や金属製のヒューズなど）３５を連結してい
る。

【００２４】上記の構成によるシートシャッターによれ
ば、座板４の吊り下げ保持状態で展張させるように、座
板４とシート１の下部側とにわたってシール材３０を連
結しているので、座板４がまぐさ部１１に納まっている
通常状態では、図１に示すように、シール材３０も天井
１０のまぐさ部１１に納まることから、見栄えを悪くす
ることはない。

【００２５】そして、火災が発生して、検知センサー９
が煙または異常温度を検知すると、この検知センサー９
からの火災発生の検知情報に基づいてブレーキ装置７が
開放されて、シート下部側に吊り下げ保持した座板４の
自重降下に伴って、シート１がまぐさ部１１から巻き戻
され、かつ、座板４が床面１２に着床することで、建屋
通路などの空間Ｐが座板４とシート１とによって区画さ
れることになる。

【００２６】また、上記座板４の着床にやゝ遅れて、シ
ート１の巻き戻しが停止されることで、図４に示すよう
に、シート１は、座板４とは縁切り状態になって、ウエ
イト部材２７によって展張されることになる。

【００２７】ここで、シート１の張設域に火の勢いが近
づいて、火災の熱エネルギーで直接的に連結手段３５が
溶断されると、或いは、ボルト・ナット２８がヒートブ
リッジになって、連結手段３５が間接的に溶断される
と、それまで上方に持ち上げられていたシール材３０
は、上部側が床面上に倒れ込んで、座板４のカム面Ｓと
床面１２との隙間を塞ぐことになる。

【００２８】従って、座板４が熱膨張で反り返ったとし
ても、その座板下面と床面との隙間がシール材３０によ
って塞がれることで、煙や火炎が防火・防煙の区域内に
流れ込むことが防止される。

【００２９】尚、シール材３０をシート１の表裏両側に
備えさせれば、防火・防煙が二段にわたって達成され
る。

【００３０】上記の実施の形態では、検知センサー９か
らの火災発生の検知情報に基づいて、シート巻き取り手
段５のブレーキ装置７を開放させるようにしているが、
火災発生の検知に基づいてシート巻き取り手段５をシー
ト巻き戻し方向に駆動させ、かつ、座板４の着床と同時
に又は着床間際で、或いは、座板４の着床後にシート１
の巻き戻し駆動を停止させるようにしてもよいのであ
る。

【００３１】即ち、座板４の着床間際でシート１の巻き
戻し駆動を停止させると、座板４と床面１２との間に僅
かな隙間が形成されるが、この隙間は、連結手段３５が
火災の熱エネルギーを受けて溶断することで塞がれるの
で、問題はないのであり、これは却って、シート巻き取
り手段５の駆動停止に対する制御系の簡略化に繋がるこ
とでもあり、このことは又、座板４をシート下部側に直
結させるシートシャッターであっても、本発明の実施対
象にできることが明白である。

【００３２】また、シール材３０を、連結手段３５を介
して吊り下げ保持手段３に連結しているが、シート１そ
のものに連結してもよく、座板４の例えば上面板部１５
や側面板部１３の上部側に連結してもよいのであり、或
いは、吊り下げ保持手段３またはシート１と座板４とに
交互に連結してもよいのであって、連結手段３５を座板
４側に連結するときは、この座板４をヒートブリッジに
して連結手段３５が間接的に溶断されることになる。

【００３３】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、火災発生
の検知に基づいてシートが巻き戻されて、座板が着床し
て後に、シール材を吊り下げ保持している連結手段が溶
断されるようにして、座板下面と床面との隙間をシール
材で塞ぐようにしたのであり、従って、本発明にかゝる
シートシャッターによれば、座板が熱膨張で反り返った
としても、火炎が防火区域内に流れ込むことが確実に防
止されることになる。

【００３４】そして、上記のシール材は、通常は天井の
まぐさ部に納まっているので、見栄えが悪くなることは
なく、かつ、火災発生の検知に基づいて座板が床面に着
床して後に、火災による熱エネルギーを受けて初めて、
シール材が床面上に倒れ込むので、シール材挟み込みの
懸念は一切ないのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】シートシャッターの概略縦断側面図である。

【図２】シート下部の吊り下げ保持手段と座板とを示す
斜視図である。

【図３】座板の吊り下げ保持状態を示す断面図である。

【図４】座板着床後のシール材による隙間閉塞状態を示
す断面図である。

【符号の説明】

１…耐火シート、４…座板、７…ブレーキ装置、１０…
天井、１１…まぐさ部、１２…床面、２７…ウエイト部
材、３０…シール材、３５…連結手段、Ｐ…建屋通路な
どの空間。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下部側に金属製の座板を備えた可撓性の
   耐火シートを、火災発生の検知に基づいて天井のまぐさ
   部から巻き戻して、前記座板を床面に着床させ、この座
   板とシートとによって、建屋通路などの空間を区画する
   ように構成したシートシャッターにおいて、前記座板の
   着床状態で座板下面と床面との隙間を閉じる可撓性のシ
   ール材を、その一端側を座板に固着し、このシール材を
   上方に持ち上げて展張させて、その持ち上げ他端側を、
   火災による熱エネルギーを受けて溶断する連結手段によ
   って、座板またはシートの少なくとも一方に連結して成
   ることを特徴とするシートシャッター。
2. 【請求項２】 下部側に金属製の座板を備えた可撓性の
   耐火シートを、火災発生の検知に基づいて天井のまぐさ
   部から巻き戻して、前記座板を床面に着床させ、この座
   板とシートとによって、建屋通路などの空間を区画する
   ように構成したシートシャッターにおいて、前記座板の
   着床状態で座板下面と床面との隙間を閉じる可撓性のシ
   ール材を、その一端側を座板に固着し、このシール材を
   上方に持ち上げて展張させて、その持ち上げ他端側を、
   熱エネルギーを受けて溶断する連結手段を介して、か
   つ、シートを貫通させて設けたボルト・ナットに連結し
   て成ることを特徴とするシートシャッター。
3. 【請求項３】 前記耐火シートに、防煙のための耐火性
   物質をコーティングしてある請求項１または２に記載の
   シートシャッター。
4. 【請求項４】 前記座板をシートの下部側に吊り下げ保
   持する一方、前記シートの下端側にシート展張用のウエ
   イト部材を設け、かつ、火災発生の検知に基づいてシー
   ト巻き取り手段のブレーキ装置を開放させて、座板の自
   重降下に伴ってシートを巻き戻し、座板着床後におい
   て、前記シートをウエイト部材によって吊り下げ展張さ
   せるように構成してある請求項１乃至３のいずれかに記
   載のシートシャッター。