JPH1161428A - 金属表面の改質方法および表面改質された金属材料 - Google Patents

金属表面の改質方法および表面改質された金属材料

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JPH1161428A
JPH1161428A JP9229689A JP22968997A JPH1161428A JP H1161428 A JPH1161428 A JP H1161428A JP 9229689 A JP9229689 A JP 9229689A JP 22968997 A JP22968997 A JP 22968997A JP H1161428 A JPH1161428 A JP H1161428A
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metal
film
temperature
heat treatment
metal material
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JP9229689A
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Jun Kawaguchi
純 川口
Ryosuke Kawagoe
亮助 川越
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Nihon Parkerizing Co Ltd
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Nihon Parkerizing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 種々の金属材料表面に、潤滑性の優れた皮膜
を容易にかつ密着性よく形成して当該表面を改質する。 【解決手段】 金属材料の表面に、チオモリブデン酸イ
オンおよび/又はチオタングステン酸イオンを含有する
pH5〜14の水性処理液に接触させ、形成された皮膜を
80〜1000℃で熱処理して潤滑性皮膜を形成する。
水性処理液は、必要により金属材料に含まれる金属と錯
体を形成する化合物、例えば、フッ素含有無機酸、有機
カルボン酸、有機フォスフォン酸、およびこれらの水溶
性塩、尿素、チオ尿素などを含んでいてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属表面に優れた潤
滑性を付与するための金属表面の改質方法およびこの方
法を用いて得られる表面改質された金属材料に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】金属のカルコゲン化合物、特に二硫化モ
リブテンおよび二硫化タングステンは優れた固体潤滑剤
であって、真空中や高温においても物品の表面に安定に
低摩擦性を付与し維持することができる。通常これらは
粉末で供給されるので、これを潤滑皮膜として用いる場
合は、これを樹脂等の結合剤と配合し、潤滑塗料として
使用するのが通例である。しかし、前記結合剤は、真空
中、又は高温などの過酷な条件下では、劣化し、この劣
化が皮膜の使用範囲を制限し、或は固体潤滑剤本来の特
性の発揮を妨げる場合が多い。これらの問題は、固体潤
滑剤そのものを摺動材料の表面に直接皮膜として形成す
ることにより解決することができると考えられ、そこで
一般にスパッタリング法や化学反応法などによる固体潤
滑剤直接成膜法が検討されている。
【0003】しかし、スパッタリングなどの乾式プロセ
スでは、設備コストが莫大になるだけでなく、通常1ロ
ットを一括して処理するバッチ方式となるので量産性に
劣るものとなり、また容積の大きなものの処理には不適
当である。しかも、スパッタリング法は成膜速度が遅い
ので実用的な膜厚を得るためには数時間乃至十数時間の
処理が必要となり、かつ皮膜の均一付着性においても不
十分であるので複雑形状の部品を処理するためには特別
な工夫を必要とするなどの問題がある。
【0004】一方、化学反応を用いる湿式プロセスで
は、前記乾式プロセスに比べて設備コストや量産性の問
題を大きく改善することができるので、電解法、酸性化
法および無電解めっき法を応用したものなど、多くの方
法が提案されている。
【0005】例えば、電解法では米国特許第29024
17号明細書に記載されている方法が代表的なものであ
り、この方法は宇宙機器等にも適用されている。この方
法は、モリブデン酸イオンを含有する水溶液中におい
て、金属材料をカソード電解することにより、先ず金属
材料表面上に三酸化モリブデン皮膜を形成し、次に、こ
れを硫化水素を導入したオートクレープ内で所定の圧力
および温度で一定時間処理することにより、三酸化モリ
ブデンを二硫化モリブデンに変化させるものである。
【0006】その後、西村らは論文「化学反応による二
硫化モリブデン膜の潤滑特性に関する研究(第1報〜第
3報)」、潤滑、24,pp. 737−744,pp.74
5−752,pp.787−792(1979).におい
て、前記方法により得られる皮膜は二硫化モリブデンか
らなるものではなく、実は三硫化モリブデンからなるも
のであり、これをさらに不活性ガス中で熱処理して初め
て二硫化モリブデンが形成されることを報告している
が、この三硫化モリブデン皮膜は、そのままでも使用環
境を限定すれば十分良好な潤滑性を示すと述べている。
【0007】しかし、前記方法には、硫化水素中におけ
る熱処理が不可欠であり、それに必要な時間が30〜1
00時間(その後IBMでこの方法を最適化して4〜8
時間とした)という極めて長時間であること、および硫
化水素の導入に大きな危険を伴うことなどから、前記方
法は汎用的な工業技術とは言えないものである。
【0008】一方、酸性化法としては、アルミニウムの
陽極酸化皮膜のように多孔質表面を有する材料を、金属
のチオ酸イオン(例えばチオモリブデン酸イオン)を含
有する水溶液中において陽極電解する方法、および前記
溶液と無機酸もしくは有機酸水溶液とに、前記金属材料
を交互に浸漬した後、これに熱処理を施す方法などが知
られている。これらの方法は、猿渡らの一連の発明、す
なわち特公昭56−4155号公報、特公昭55−14
156号公報、特公昭59−41518号公報、特公昭
58−12357号公報および特公昭58−41104
号公報などに開示されている。
【0009】酸性化法の基本は、低pHで不安定なチオモ
リブデン酸イオンを、下記化学反応式1に従って分解
し、先ず三硫化モリブデンを析出させ、この三硫化モリ
ブデンを不活性ガス雰囲気下で熱処理することによる脱
硫反応(化学反応式2)によって、これを二硫化モリブ
デンに変化させる方法である。 MoS4 2- +2H+ →MoS3 +H2 S (化学反応式1) MoS3 →MoS2 +S (化学反応式2) 猿渡らの方法は、この酸性化法を、チオモリブデン酸含
有水溶液中に金属材料を浸漬し、これに陽極電解を施す
方法、もしくは前記溶液を多孔質材料に含浸させた後、
別途これを酸性水溶液中に浸漬する方法などによって行
っている。
【0010】しかし、この酸性化反応は、金属材料と処
理剤溶液との直接的な化学反応ではないために、析出物
と金属材料表面との密着性が不良である。従って、この
方法の適用可能な金属材料は、アルミニウム陽極酸化皮
膜のような微細孔を有する材料、すなわち前記反応によ
る析出物を担持できるような表面構造を有しているもの
でなければならず、従って酸性化法の適用対象が限定さ
れるという欠点を有する。
【0011】その他の方法としては、P.Praman
ikらが無電解めっき法を応用してガラス基板上にMo
2 およびMoSe2 皮膜を形成する方法を文献“Prep
aration and Characterization of Thin Films of Moly
bdenum Sulphide and Selenide by a Chemical Deposit
ion Technique ”,Journal of Materials Science Let
ters, 8, 781 (1989) に提示している。この方法は、M
oS2 を例にとって説明すると、チオアセトアミドを硫
黄の供給源として、またモリブデン酸イオンをモリブデ
ンの供給源として水溶液中に含有させ、この水溶液と金
属材料とを接触させ、これに強力な還元剤であるヒドラ
ジンを添加することにより、金属材料表面上に二硫化モ
リブデン皮膜を形成するものである。
【0012】なお、この方法は、適用可能な金属材料に
対する限定が少なく、密着性の良好な皮膜が得られる可
能性が高いので優れた方法といえる。しかし、このよう
な無電解めっき法は、めっき液自身が成膜を目的とする
元素群と、その二硫化モリブデン合成の引き金となる還
元剤とを同時に含むので、一般的に処理液が不安定であ
りその寿命が短いという欠点を有する。従って、ヒドラ
ジンのような強力な還元剤を使用する上記方法は、工業
的な使用に耐え得るものに発展する可能性は低いものと
思われる。
【0013】上記のように、対象金属材料の種類につい
ての制限がなく、各種金属の表面に比較的簡単な工程で
密着性の優れた皮膜を形成させる方法は現状では未だ見
出されていないのである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の抱える上記問題点を解決するためのものであり、比
較的簡単な工程で、対象金属材料の種類に制限がなく、
金属表面上に密着性のよい潤滑皮膜を形成し、この表面
を摺動性の良好な表面に改質する方法を提供しようとす
るものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するための手段について鋭意研究を行った結果、
特定の遷移金属チオ酸イオン含有溶液に対象金属材料表
面を接触させたときに金属のイオン化反応を生じ、それ
に伴って放出される電子が、この溶液に予め含有される
遷移金属のチオ酸イオンに、直接的もしくは間接的に作
用して、当該金属表面に前記遷移金属の硫化物皮膜を形
成すること、さらにこの皮膜に所定の温度における熱処
理を施して前記遷移金属硫化物の結晶化を促進すること
により、当該金属材料表面をきわめて潤滑性の良好な表
面に改質し得ることを見いだし、本発明を完成させるに
至ったのである。
【0016】すなわち、本発明にかかる金属表面の改質
方法は、金属材料の表面を、チオモリブデン酸イオン、
チオタングステン酸イオン、またはこれらの混合イオン
を含有するpH5〜14の水溶液に接触させ、それによっ
て金属材料の表面上に形成された皮膜を、80℃〜10
00℃の温度で熱処理することを特徴とするものであ
る。
【0017】本発明の金属表面の改質方法において、前
記上溶液には、前記金属材料が含有する金属と錯イオン
を形成する化合物をさらに含有することが好ましい。
【0018】本発明の金属表面の改質方法において、前
記水溶液と前記金属材料表面と前記水溶液との接触が、
20〜100℃の温度において行われることが好まし
い。
【0019】本発明の金属表面の改質方法において、前
記熱処理温度は、150℃〜600℃であることがより
好ましい。
【0020】本発明の金属表面の改質方法において、前
記熱処理が不活性ガス、大気、または真空中において施
されることが好ましい。
【0021】本発明の表面改質された金属材料は、上記
本発明方法によって金属材料表面上に形成され、かつ硫
黄および酸素の少なくとも1種と、モリブデンおよびタ
ングステンの少なくとも1種とを含む改質皮膜を有する
ことを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】下記に、本発明の金属表面の改質
方法および表面改質された金属材料の内容を詳しく説明
する。
【0023】本発明の対象となる金属材料の種類には格
別の限定はなく、実用的には鉄またはその合金、アルミ
ニウムまたはその合金、亜鉛またはその合金、銅または
その合金およびニッケルまたはその合金について適用さ
れることが好ましい。もちろん、これらの金属材料は、
他の材料上に適宜の方法でめっきされたものであっても
構わない。一般に本発明方法は、金、白金およびパラジ
ウムなどのように電気化学的に極めて貴な金属に対して
は良好な結果を得ることは困難である。
【0024】本発明方法により、金属材料の表面に改質
皮膜を形成するためには、脱脂剤等を用いて金属材料表
面を洗浄にした後、この金属材料表面を先ずチオモリブ
デン酸イオンもしくはチオタングステン酸イオン、また
はそれらの混合イオンを含有するpH5〜14の水溶液に
接触させることが必要である。このときの各チオ酸イオ
ンは、その構成要素としてイオン価数が−2の硫黄原子
が一つ以上であれば、硫黄原子の一部が酸素原子などで
置き換えられたものであってもよい。例えば、モリブデ
ンを例にとると、本発明で用いることができるチオモリ
ブデン酸イオンとして、テトラチオモリブデン酸イオン
(MoS4 2- )やジオキシジチオモリブデン酸イオン
(MoO2 2 2- )などを挙げることができる。実際に
は、これらのチオ酸イオンのアルカリ金属塩、アルカリ
土類金属塩、またはアンモニウム塩の1種以上を水溶化
すればよく、その濃度は、各チオ酸イオンの合計が0.
0005〜0.5モル/リットルの範囲内にあることが
好ましい。チオ酸イオンの合計量が0.0005モル/
リットル未満であると、皮膜形成反応が進行しないか、
或は、進行してもその反応速度が遅くなることがあるの
で好ましくない。またチオ酸イオン合計濃度が0.5モ
ル/リットルを超えても反応上問題はないが、その効果
が飽和するので経済上不利になることがある。
【0025】一方、水溶液のpHはアルカリ金属の水酸化
物もしくはその塩、アルカリ土類金属の水酸化物もしく
はその塩またはアンモニア水もしくはアンモニウム塩な
どを添加することにより、5〜14の範囲内に調整する
ことができる。このとき、pHが5未満であると、チオモ
リブデン酸イオンまたはチオタングステン酸イオンが化
学反応式1に従って分解し、三酸化モリブデンまたは三
酸化タングステンの形で沈澱してしまうので好ましくな
い。一方、pH値が過度に高くなると、アルミニウムまた
はその合金および亜鉛またはその合金のような両性金属
の場合に、強アルカリ領域において激しくエッチング反
応が起こり(水素ガス発生を伴う)、極めて密着性の劣
る皮膜が形成されるので、その上限値は14であり、1
2であることがより好ましい。
【0026】本発明の皮膜形成反応の機構は、現在のと
ころ十分に明確ではないが、金属材料に含まれる素材金
属のエッチング反応(アノード反応)と、前記チオモリ
ブデン酸イオンまたはチオタングステン酸イオンの還元
反応(カソード反応)とが組み合わされて進行し、これ
らの反応は下記の化学反応式によるものと考えられる。 アノード反応:MeI →MeI n-+ne (化学反応式3) カソード反応:MeII4 2- +4H2 O+2e→MeII2 +2H2 S+ 4OH- (化学反応式4) 上式中、MeI は素材金属原子を表し、nは素材金属原
子がイオン化したときのイオン価数を表し、eは電子を
表し、MeIIはタングステンもしくはモリブデン原子を
示す。
【0027】従って、目的の皮膜形成反応であるカソー
ド反応に必要な電子を放出させるには、先ずアノード反
応である素材金属のエッチング反応が円滑に発生するよ
うにする必要がある。従って、本発明方法において、表
面処理液の温度を20〜100℃に保持することが好ま
しい。処理液の温度が20℃未満では、実用レベルの反
応速度が得られない。また、本発明に用いられる処理液
は水溶液であるので100℃以上に加温することは困難
である。さらに、高温環境において水溶液のpHが5に近
い場合、チオ酸の自己分解(化学反応式1)を助長する
ことがあるので、水溶液の温度は80℃以下に調整する
ことがより好ましい。
【0028】本発明方法における表面改質処理工程にお
いて、金属材料がアルミニウムまたはその合金、および
亜鉛またはその合金のような両性金属からなる場合に
は、これらはアルカリ性溶液に可溶なので、そのまま用
いることができる。しかし、金属材料が鉄またはその合
金、銅またはその合金、又はニッケルまたはその合金の
ように、一般の遷移金属材料からなる場合には、高pH領
域においてその表面が不動態化してアノード反応(化学
反応式3)が抑制される場合が多い。
【0029】このような素材を処理する場合は、表面改
質処理液側に上記素材金属を錯化できるような手段を付
与すればよい。本発明方法に用いられるチオ酸イオンの
ように、低イオン価数の硫黄原子を含有する化合物が存
在すると、遊離した硫黄が多くの(素材)金属と安定し
た硫化物の形成する傾向がある。従って、チオ酸イオン
含有水溶液は、そのままでも、ある程度の錯化力を有
し、皮膜形成が可能であるが、実用的な反応速度を得る
ためには、さらに素材金属と錯イオンを形成する化合物
をチオ酸イオン含有処理液に添加することが好ましい。
【0030】このような錯イオン形成性化合物として
は、素材金属と反応して形成される金属錯体の安定度定
数の高いものを、素材金属に応じて選択すべきである
が、一般的にはフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、ほう
フッ化水素酸、チタンフッ化水素酸およびジルコンフッ
化水素酸などの無機酸、これら無機酸のアルカリ金属
塩、およびアンモニウム塩、酢酸、クエン酸、酒石酸、
リンゴ酸、グルコン酸、EDTA(エチレンジアミン四
酢酸),DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、お
よびHIMDA(N−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸)
などの有機カルボン酸、ヒドロキシエチリデンジフォス
フォン酸、アミノトリメチレンフォスフォン酸、エチレ
ンジアミンテトラメチレンフォスフォン酸、ジエチレン
トリアミンペンタメチレンフォスフォン酸などの有機フ
ォスフォン酸、および前記有機カルボン酸および有機フ
ォスフォン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、
並びに尿素およびチオ尿素などを用いることができる。
処理液中のこれら錯イオン形成性化合物の濃度は、0.
001〜0.5モル/リットルの範囲内に調整すること
が好ましく、またこれらは単独で用いられてもよく、或
は2種以上を混合して用いてもよい。
【0031】上記表面処理液の組成並び処理条件を用い
ることにより、この処理液を種々の金属材料に1〜60
分間程度の短時間接触させるだけで、目的とする潤滑性
表面改質皮膜を形成することができる。処理時間には制
限がなく、実際には60分に限定はされないが、本発明
方法においては素材金属のエッチング反応(化学反応式
3)が皮膜形成反応の起動力として利用されているの
で、長時間の処理により、金属材料の表面が目的とする
潤滑皮膜で覆われてしまうと、エッチング反応が終了し
てそれ以上の皮膜形成が起こらなくなる。また、処理時
間の下限値にも制限はなく、必要とする摺動条件により
処理時間を適時選択すればよい。
【0032】前記処理液により形成された表面改質皮膜
は、次に80〜1000℃の温度で熱処理される。チオ
モリブデン酸イオンを用いた場合を例にとって説明する
と、前記工程で形成された(熱処理前の)表面改質皮膜
に蛍光X線分析を適用すると、モリブデンと硫黄の存在
が確認されるが、二硫化モリブデンの化学量論よりも過
剰の硫黄が含有されている。この現象の原因として、化
学反応式3で示されるアノード反応に伴って金属表面に
局部的なpH降下が起こり、化学反応式1による三硫化モ
リブデンの形成も同時に起こることが考えられるが未だ
明確ではない。また、前記X線回折分析によると素材金
属に帰属するピーク以外に、2θ=10度(X線管球:
Cu)程度のところにブロードな肩が見られるだけであ
るから、この皮膜は、非晶質もしくは微結晶構造である
と思われ、そのために良好な潤滑性は示さない。
【0033】そこで、この皮膜に熱処理を施すことによ
り、化学反応式2で示される脱硫反応と結晶成長とを促
進することができる。熱処理工程は、処理温度が低いほ
ど長時間を有するが、80℃未満では効果が見られな
い。一方、高温であればあるほど短時間で結晶性二硫化
モリブデンの形成が行われるが、1000℃を超えると
その融点に近づき、結晶化が阻害されるから好ましくな
い。しかし、当然のことながら、熱処理温度は対象素材
金属の融点以上であってはならず、また目的とする摺動
条件において必要な機械強度が失われるような温度であ
ってもならない。従って、処理温度は工業的には150
℃〜600℃の範囲内にあることがより好ましい。例え
ば、400℃における1時間の熱処理により、X線回折
分析により明確な二硫化モリブデンの回折ピークを示す
皮膜が得られた。
【0034】前記熱処理を行う際の加熱雰囲気は、N2
およびAr等のような不活性ガス、大気、または真空で
あることが好ましいが、不活性ガス中または真空中のよ
うに酸素が遮断された条件下で行うことがより好まし
い。これは、熱力学的に二硫化モリブデンよりも酸化モ
リブデンの方が安定であるために、後述するように酸素
存在下では二硫化モリブデンが形成されないことがある
からである。
【0035】ただし、前記熱処理を本発明の表面改質皮
膜を利用する摺動条件、および熱処理温度条件によって
は、酸素存在下すなわち大気中において行ってもよい場
合がある。硫黄を含有するモリブデンもしくはタングス
テンの化合物皮膜を、酸素の存在下で加熱すると、次の
化学反応式5に従って熱力学的に最も安定な三酸化モリ
ブデンもしくは三酸化タングステンが形成される。 3MeS2 +3.5O2 →MeO3 +2SO2 (化学反応式5) ここで、Meはモリブデンもしくはタングステン原子を
示す。これらの三酸化物の摩擦係数は、二硫化物のそれ
よりは高いが、比較的低い摩擦係数を有し、さらに表面
が三酸化物で覆われていても内部が二硫化物である限り
摺動性は確保されるため、利用用途によっては三酸化物
が形成されても実用に耐え得る場合が多い。しかも、当
然のことながら、化学反応式5は温度が高い程、一層促
進されるので、熱処理温度が比較的低い場合、この熱処
理を大気中で施しても問題を生じない場合もある。
【0036】本発明方法の熱処理における加熱方法とし
ては、電気炉等による炉内加熱、誘導加熱、赤外線加
熱、溶融金属もしくは溶融塩に浸漬する加熱、またはレ
ーザーもしくは電子ビーム等による局所加熱など種々の
方法があるが、所定の温度が確保される限りその方法に
は全く制限がない。特別な例としては、前記熱処理を施
さなくても、初期の摩擦係数が高い材料を摺動条件下で
用いる場合、摺動接触部分は局所的に非常な高温になる
ため、前記熱処理のような人為的な加熱と同様の加熱効
果が期待できる場合もあり、この場合には、予め熱処理
を施す必要はない。同様の理由で、高温環境で用いられ
る場合にも、前記熱処理を予め施しておく必要がない場
合がある。
【0037】本発明の方法を用いることにより、種々の
金属材料の表面に比較的簡単な湿式プロセスによってタ
ングステンおよび/又はモリブデンの硫化物皮膜を形成
することができ、さらにこれに熱処理を施すことによ
り、それを極めて優秀な固体潤滑剤である二硫化モリブ
デン系皮膜に変化させることができる。本発明方法が、
前記従来技術と本質的に異なる点は、金属硫化物皮膜を
形成する反応において、金属材料に含まれる素材金属の
反応(エッチング反応)を伴うことである。通常、大気
環境におかれた金属は多かれ少なかれその表面が酸化物
または水和酸化物等の不純物で覆われているが、本発明
のように表面改質皮膜の形成と同時に金属材料の表面が
エッチングされるとこの金属の新生面が露出し、この過
程で対象金属材料表面の不純物が除去されるので、非常
に密着性の優れた皮膜を形成することができる。従っ
て、特定環境で不利な挙動を示す結合剤等を用いること
なく、金属材料表面上固体潤滑皮膜を密着性よく形成す
るという、本発明本来の目的を達成することができるの
である。
【0038】
【実施例】本発明を下記実施例を比較例と共に挙げてよ
り具体的に説明する。但し本発明はこれら実施例により
限定されるものではない。
【0039】実施例1 60℃に加熱保持した濃度0.1 mol/リットルの(N
4 2 MoS4 水溶液中に、NaOH水溶液を添加し
てpHが8.5に調整された溶液を用意し、これにアルカ
リ脱脂剤により表面が清浄化された純アルミニウム板
(JIS A1100,50mm×30mm×0.5mm)を
20分間浸漬し、この処理液処理された金属材料表面を
水洗した後、これに、100℃に温度設定された電気オ
ーブン中にて、乾燥を含めて1時間の熱処理を施し(熱
処理雰囲気は大気中)、前記金属材料表面上に黒褐色の
表面処理皮膜を形成した。この試料を蛍光X線分析に供
し、この皮膜中にモリブデンと硫黄とが含有されている
ことを確認した。さらに、この表面にセロテープを貼り
付けて爪で強く擦ってから剥離したが全く異常が認めら
れなかった。
【0040】実施例2 実施例1と同様にして表面処理されたアルミニウム板試
料に、電気オーブン中で熱処理する代わりに、10-2To
rrに減圧した真空電気炉中で、400℃において1時間
の熱処理を施した後、これを自然放冷して温度が100
℃になってから炉より試料を取り出した。
【0041】実施例3 実施例1と同様にして表面処理されたアルミニウム板試
料に、電気オーブン中で熱処理する代わりに、10-2To
rrに減圧された真空電気炉中で、200℃において1時
間の熱処理を施した後、これを自然放冷して温度が10
0℃になってから炉より試料を取り出した。
【0042】実施例4 実施例1と同様にして表面処理されたアルミニウム板試
料に、電気オーブン中において、400℃の熱処理を1
時間施した。この試料を蛍光X線分析に供し、形成され
た皮膜中にモリブデン、酸素および少量の硫黄が含有さ
れていることを確認した。
【0043】実施例5 濃度0.1モル/リットルの(NH4 2 WS4 水溶液
中に、NaOHを添加して、pHを8.5に調整した水溶
液を用意し、その温度を60℃に加熱保持した。アルカ
リ脱脂剤により表面を清浄にした純アルミニウム板(実
施例1と同様のもの)を前記水溶液中に20分間浸漬
し、表面処理された試料を水洗し、次にこれに100℃
に温度設定された電気オーブン中において乾燥を含めて
1時間の熱処理を施した。試料表面に黒褐色の表面処理
皮膜が形成された。この試料を蛍光X線分析に供し、こ
の皮膜中にタングステンおよび硫黄が含有されているこ
とを確認した。さらに、皮膜表面にセロテープを貼り付
け、爪で強く擦った後、セロテープを剥離したところ、
皮膜に全く異常が認められなかった。
【0044】実施例6 実施例5と同様に表面処理された試料に、電気オーブン
中で熱処理する代わりに、10-2Torrに減圧された真空
電気炉中で400℃において1時間の熱処理を施した
後、これを自然放冷して温度が100℃になってから炉
より試料を取り出した。
【0045】実施例7 0.1モル/リットルの(NH4 2 MoS4 および
0.05モル/リットルのヒドロキシエチリデンジホス
ホン酸三ナトリウムの混合物を含む水溶液にNaOHを
添加してpHを9.0に調整した溶液を用意し、その温度
を60℃に加熱保持した。アルカリ脱脂剤により表面を
清浄にした冷延鋼板(JIS A1100,50mm×3
0mm×0.5mm)を前記水溶液中に20分間浸漬し、こ
の表面処理された試料を、水洗した後、これに100℃
に温度設定された電気オーブン中において、乾燥を含め
て1時間の熱処理を施した。冷延鋼板上に、黒褐色の表
面処理皮膜が形成された。この試料を蛍光X線分析に供
し、この皮膜中にモリブデンと硫黄とが含有されている
ことを確認した。さらに、この表面にセロテープを貼り
付けて爪で強く擦った後、セロテープを剥離しても、皮
膜に全く異常が認められなかった。
【0046】実施例8 実施例7と同様にして表面処理された試料に、電気オー
ブン中で熱処理する代わりに、10-2Torrに減圧された
真空電気炉中で、400℃において1時間の熱処理を施
した後、これを自然放冷して温度が100℃になってか
ら炉より取り出した。
【0047】実施例9 60℃に加熱保持した、0.1モル/リットルの(NH
4 2 MoS4 、および0.1モル/リットルの(NH
2 2 CS(チオ尿素)の混合物を含む水溶液中に、N
aOHを添加してそのpHを8.5に調整した溶液を用意
し、その温度を60℃に加熱保持した。アルカリ脱脂剤
によって表面を清浄にされ、次に、常温の5% HCl
に30秒間浸漬して表面の酸化膜を除去した純銅板(J
IS C1100P,50mm×30mm×0.5mm)を、
前記水溶液中に20分間浸漬し、これを水洗後、これに
100℃に温度設定した電気オーブン中において乾燥を
含めて1時間の熱処理工程した。鋼板表面に黒褐色の表
面処理皮膜が形成された。この試料を蛍光X線分析に供
し、この皮膜中にモリブデンと硫黄とが含有されている
ことを確認した。さらに、皮膜表面にセロテープを貼り
付けて爪で強く擦り、その後前記セロテープを剥離した
ところ、皮膜に全く異常が認められなかった。
【0048】実施例10 実施例9と同様にして表面処理された試料に、電気オー
ブン中で熱処理する代わりに、10-2Torrに減圧された
真空電気炉中で、400℃において1時間の熱処理を施
した後、これを自然放冷して温度が100℃になってか
ら炉より取り出した。
【0049】実施例11 アルカリ脱脂剤によって表面を清浄にされた電気亜鉛め
っき鋼板(亜鉛めっき量:20g/m2 ,φ45mm×
0.8mm)に実施例1と同様の表面処理および熱処理を
施して、その表面に黒褐色の表面処理皮膜を形成した。
この試料を蛍光X線分析に供して、この皮膜中にモリブ
デンと硫黄とが含有されていることを確認した。さら
に、前記皮膜表面にセロテープを貼り付けて爪で強く擦
ってから、セロテープ剥離したところ、皮膜には全く異
常が認められなかった。次に、この試料に、10-2Torr
に減圧した真空電気炉中で、300℃において1時間の
熱処理を施した後、これを、自然放冷して温度が100
℃になってから炉より取り出した。
【0050】実施例12 濃度0.1モル/リットルのNa2 MoO2 2 水溶液
中に、NaOHを添加してpHを8.5に調整した水溶液
を用意し、この水溶液を60℃に加熱保持した。アルカ
リ脱脂剤によって表面を清浄にしたアルミニウム合金材
(JIS AC8A:アルミニウム−硅素−銅−ニッケ
ル−マグネシウム合金、φ50mm×10mm)を前記水溶
液に20分間浸漬し、これを水洗後、100℃に温度設
定した電気オーブン中にて10分間乾燥し、被処理表面
に黒褐色の表面処理皮膜を形成した。この試料を蛍光X
線分析に供し、この皮膜中にモリブデンと硫黄および酸
素とが含有されていることを確認した。さらに、皮膜表
面にセロテープを貼り付けて爪で強く擦ってからセロテ
ープを剥離したところ、皮膜には全く異常が認められな
かった。さらに、この表面処理試料に、1気圧の窒素ガ
スが流されている電気炉中で、400℃の温度において
1時間の熱処理を施した後、自然放冷して温度が100
℃になってから炉より取り出した。
【0051】比較例1 70℃に加熱保持されている濃度0.2モル/リットル
のNa2 MoO4 水溶液中に、アルカリ脱脂剤により表
面を清浄にされた純アルミニウム板(実施例1と同様の
もの)を20分間浸漬し、さらにこれを水洗後、100
℃に温度設定された電気オーブン中にて10分間乾燥
し、被処理表面に褐色の表面処理皮膜(二酸化モリブデ
ン)を形成した。
【0052】比較例2 アルカリ脱脂剤にて表面を清浄にした純アルミニウム板
(実施例1と同様のもの)を用意した。
【0053】比較例3 アルカリ脱脂剤にて表面を清浄にした冷延鋼板(実施例
7と同様のもの)を用意した。
【0054】比較例4 アルカリ脱脂剤にて純銅板(実施例9と同様のもの)の
表面を清浄にしたのち、これを常温の5%塩酸水溶液中
に30秒間浸漬して表面の酸化膜を除去した。
【0055】比較例5 アルカリ脱脂剤にて電気亜鉛めっき鋼板(実施例11と
同様のもの)の表面を清浄にしたのち、これを常温の5
%塩酸水溶液中に30秒間浸漬して表面の酸化膜を除去
した。
【0056】テスト 上記実施例1〜12および比較例1〜5で作製された試
料の各々の摺動性をトライボギア(タイプ:HEIDO
N−14DR、新東科学製)を用いてテストした。この
テスト条件は、圧子としてJIS SUJ−2のφ10
mmの鋼球を用い、荷重200gで試料表面に圧下し、摺
動距離(ストローク)を10mm、摺動速度を10mm/se
c として500回の往復摺動を行うこととした。このと
きの試料温度は40℃になるように設定された。また、
この摺動試験は無塗油条件下と塗油条件下の二種類で行
い、塗油条件下では、摺動部に40℃の時の動粘度が1
9.5cSt の鉱物油を50ml滴下した状態で行った。5
00回までの往復摺動中に大きな摩擦係数(μ)の上
昇、素材金属の露出およびカジリ等のトラブルが起こら
ない試料については摩擦500回時点における摩擦係数
(μ)を、測定した。またトラブルが発生した試料につ
いてはその時点の摺動回数とトラブルが起こる直前の摩
擦係数(μ)を判定した。
【0057】これらのテスト結果を表1および表2に示
す。
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】種々の金属材料に本発明方法を適用したと
き、塗油条件下の実施例1,4,5,7および9の摺動
試験結果から、摩擦係数が0.12以下となり、良好な
潤滑性が得られることが確認された。さらに、実施例
2,3,6,8,10,11および12の結果から、熱
処理条件を最適化(不活性雰囲気による高温熱処理)す
ることにより無塗油条件下でも摩擦係数が0.35以下
となり、比較例2〜5に比べると明らかに皮膜自体の潤
滑性が向上することが認められる。
【0060】一方、比較例1〜5に示すように、本発明
を適用しない場合および本発明以外の方法を適用した場
合は、塗油条件下でも0.16以上の摩擦係数を示し、
無塗油条件下では長くても111回程度の摺動で異常な
摩擦係数の増加もしくはカジリが発生することが認めら
れた。
【0061】
【発明の効果】本発明により、各種金属表面に、モリブ
デンまたはタングステンの硫化物を主成分として含み良
好な潤滑性を示す固体潤滑皮膜を形成することができ
る。また、本発明方法により得られる潤滑性皮膜中の二
硫化モリブデンはその特徴的な結晶構造と電子状態を活
用して、有機合成化学における触媒、二次電池の電極材
料および半導体材料など多くの機能性を発揮することが
できる。従って、簡単で安価なプロセスで製造可能な本
発明の表面改質皮膜は、摺動潤滑分野以外にも大きな貢
献が期待できる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属材料の表面を、チオモリブデン酸イ
    オン、チオタングステン酸イオン、またはこれらの混合
    イオンを含有するpH5〜14の水溶液に接触させ、それ
    によって前記金属材料の表面上に形成された皮膜を80
    ℃〜1000℃の温度で熱処理することを特徴とする、
    金属表面の改質方法。
  2. 【請求項2】 前記水溶液が、前記金属材料が含有する
    金属と錯イオンを形成する化合物をさらに含有するもの
    である、請求項1に記載の金属表面の改質方法。
  3. 【請求項3】 前記金属材料表面と前記水溶液との接触
    を20〜100℃の温度において行う、請求項1または
    請求項2記載の金属表面の改質方法。
  4. 【請求項4】 前記熱処理温度が150℃〜600℃で
    ある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属表面の
    改質方法。
  5. 【請求項5】 前記熱処理が不活性ガス、大気または真
    空中で施される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    金属表面の改質方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方
    法によって、金属材料表面上に形成され、かつ硫黄およ
    び酸素の少なくとも1種と、モリブテンおよびタングス
    テンの少なくとも1種とを含む改質皮膜を有することを
    特徴とする表面改質された金属材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20130302998A1 (en) * 2010-12-06 2013-11-14 Cambridge Display Tochnology Limited Adhesion Layer for Solution-Processed Transition Metal Oxides on Inert Metal Contacts

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20130302998A1 (en) * 2010-12-06 2013-11-14 Cambridge Display Tochnology Limited Adhesion Layer for Solution-Processed Transition Metal Oxides on Inert Metal Contacts
US9390921B2 (en) * 2010-12-06 2016-07-12 Cambridge Display Technology Limited Adhesion layer for solution-processed transition metal oxides on inert metal contacts

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