JPH1161238A - ステンレス溶鋼の吹錬方法 - Google Patents
ステンレス溶鋼の吹錬方法Info
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- JPH1161238A JPH1161238A JP23774597A JP23774597A JPH1161238A JP H1161238 A JPH1161238 A JP H1161238A JP 23774597 A JP23774597 A JP 23774597A JP 23774597 A JP23774597 A JP 23774597A JP H1161238 A JPH1161238 A JP H1161238A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 脱炭精錬反応における酸素ガスの脱炭酸素効
率を高めると共に、スプラッシュの発生を効果的に防止
し、適正範囲の経済的なコストで真空精錬を行うことの
できるステンレス溶鋼の吹錬方法を提供する。 【解決手段】 溶鋼12を保持する取鍋13に浸漬管1
4を浸漬し、浸漬管14の上部の真空槽19内を減圧し
て吸引される溶鋼12に酸素ガスを供給し、溶鋼12中
に含まれる炭素を一酸化炭素ガスとして脱炭精錬するス
テンレス溶鋼の吹錬方法において、浸漬管14内に形成
される溶鋼表面18より下方位置に設けられた酸素ガス
吹込み部16から溶鋼12中に酸素ガスを供給して溶鋼
12中の炭素を一酸化炭素ガスに酸化し、真空槽19内
の上部に設けられた上吹きランス15から溶鋼表面18
に不活性ガスを吹付けて溶鋼表面18から放出される一
酸化炭素ガスを拡散させる。
率を高めると共に、スプラッシュの発生を効果的に防止
し、適正範囲の経済的なコストで真空精錬を行うことの
できるステンレス溶鋼の吹錬方法を提供する。 【解決手段】 溶鋼12を保持する取鍋13に浸漬管1
4を浸漬し、浸漬管14の上部の真空槽19内を減圧し
て吸引される溶鋼12に酸素ガスを供給し、溶鋼12中
に含まれる炭素を一酸化炭素ガスとして脱炭精錬するス
テンレス溶鋼の吹錬方法において、浸漬管14内に形成
される溶鋼表面18より下方位置に設けられた酸素ガス
吹込み部16から溶鋼12中に酸素ガスを供給して溶鋼
12中の炭素を一酸化炭素ガスに酸化し、真空槽19内
の上部に設けられた上吹きランス15から溶鋼表面18
に不活性ガスを吹付けて溶鋼表面18から放出される一
酸化炭素ガスを拡散させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶鋼を真空脱炭精
錬するステンレス溶鋼の吹錬方法に関する。
錬するステンレス溶鋼の吹錬方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、VOD等の真空脱炭精錬に際して
は、減圧下において酸素ガスを溶鋼に吹込むことにより
溶鋼中の炭素を燃焼除去して、炭素濃度等を所定の範囲
に調整する処理が行なわれている。このような真空脱炭
精錬においては、酸素ガス吹込み中の溶鋼の攪拌、ある
いは突沸等により溶鋼の飛沫(スプラッシュ)が浸漬管
内の溶鋼面から上部に拡散し、真空槽の天蓋部、内側部
に付着堆積して、酸素ガスを吹込むためのランスの昇降
に支障を生じたり、耐火物部分を損傷したりすると共
に、真空槽の到達真空度を悪化させたりする要因とな
る。このスプラッシュに伴う弊害を防止する方法とし
て、例えば、特開昭61−37912号公報には、浸漬
管内の溶鋼表面より下位から不活性ガスを吹込み、且つ
該溶鋼表面に酸素ガスランスを介して酸素ガスを吹付け
る溶鋼の真空精錬方法において、該浸漬管の内径と取鍋
の内径との比が特定範囲となるように定め、取鍋内の溶
鋼の深さと不活性ガス吹込み位置の溶鋼表面からの深さ
との比を特定範囲となるようにした溶鋼の真空精錬方法
が記載されている。
は、減圧下において酸素ガスを溶鋼に吹込むことにより
溶鋼中の炭素を燃焼除去して、炭素濃度等を所定の範囲
に調整する処理が行なわれている。このような真空脱炭
精錬においては、酸素ガス吹込み中の溶鋼の攪拌、ある
いは突沸等により溶鋼の飛沫(スプラッシュ)が浸漬管
内の溶鋼面から上部に拡散し、真空槽の天蓋部、内側部
に付着堆積して、酸素ガスを吹込むためのランスの昇降
に支障を生じたり、耐火物部分を損傷したりすると共
に、真空槽の到達真空度を悪化させたりする要因とな
る。このスプラッシュに伴う弊害を防止する方法とし
て、例えば、特開昭61−37912号公報には、浸漬
管内の溶鋼表面より下位から不活性ガスを吹込み、且つ
該溶鋼表面に酸素ガスランスを介して酸素ガスを吹付け
る溶鋼の真空精錬方法において、該浸漬管の内径と取鍋
の内径との比が特定範囲となるように定め、取鍋内の溶
鋼の深さと不活性ガス吹込み位置の溶鋼表面からの深さ
との比を特定範囲となるようにした溶鋼の真空精錬方法
が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開昭61−37912号公報に示されるように、ガス吹
込みにかかる取鍋及び浸漬管のそれぞれの内径、浸漬管
の浸漬深さ等の幾何学的配置を所定範囲に設定して、脱
炭精錬時におけるスプラッシュを抑止する方法では、以
下のような問題があった。 酸素ガスランスを介して溶鋼表面に吹付けられる酸素
ガスと溶鋼との脱炭精錬反応(脱炭反応)が浸漬管内の
溶鋼表面に限定され、酸素ガスと溶鋼との接触時間を確
保することが困難であるため、脱炭酸素効率が低下す
る。 脱炭精錬反応に伴って、一酸化炭素ガスが溶鋼表面で
活発に発生することによりスプラッシュが助長されるの
で、取鍋、浸漬管の幾何学的配置を考慮しても限界があ
り、スプラッシュの発生を効果的に防止することが困難
である。 吹込まれる酸素ガスが直接、浸漬管内壁の耐火物と接
触して耐火物が損傷して耐火物コストを増大させたり、
脱炭精錬反応を効率的に維持できないために溶鋼攪拌に
必要なアルゴンガスコストを高騰させたりするというコ
スト上の制約があった。
開昭61−37912号公報に示されるように、ガス吹
込みにかかる取鍋及び浸漬管のそれぞれの内径、浸漬管
の浸漬深さ等の幾何学的配置を所定範囲に設定して、脱
炭精錬時におけるスプラッシュを抑止する方法では、以
下のような問題があった。 酸素ガスランスを介して溶鋼表面に吹付けられる酸素
ガスと溶鋼との脱炭精錬反応(脱炭反応)が浸漬管内の
溶鋼表面に限定され、酸素ガスと溶鋼との接触時間を確
保することが困難であるため、脱炭酸素効率が低下す
る。 脱炭精錬反応に伴って、一酸化炭素ガスが溶鋼表面で
活発に発生することによりスプラッシュが助長されるの
で、取鍋、浸漬管の幾何学的配置を考慮しても限界があ
り、スプラッシュの発生を効果的に防止することが困難
である。 吹込まれる酸素ガスが直接、浸漬管内壁の耐火物と接
触して耐火物が損傷して耐火物コストを増大させたり、
脱炭精錬反応を効率的に維持できないために溶鋼攪拌に
必要なアルゴンガスコストを高騰させたりするというコ
スト上の制約があった。
【0004】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、脱炭精錬反応における酸素ガスの脱炭酸素効率
を高めると共に、スプラッシュの発生を効果的に防止
し、適正範囲の経済的なコストで真空精錬を行うことの
できるステンレス溶鋼の吹錬方法を提供することを目的
とする。
もので、脱炭精錬反応における酸素ガスの脱炭酸素効率
を高めると共に、スプラッシュの発生を効果的に防止
し、適正範囲の経済的なコストで真空精錬を行うことの
できるステンレス溶鋼の吹錬方法を提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載のステンレス溶鋼の吹錬方法は、溶鋼を保持する取
鍋に浸漬管を浸漬し、該浸漬管の上部の真空槽内を減圧
して吸引される前記溶鋼に酸素ガスを供給し、該溶鋼中
に含まれる炭素を一酸化炭素ガスとして脱炭精錬するス
テンレス溶鋼の吹錬方法において、前記浸漬管内に形成
される溶鋼表面より下方位置に設けられた酸素ガス吹込
み部から前記溶鋼中に前記酸素ガスを供給して該溶鋼中
の炭素を一酸化炭素ガスに酸化し、前記真空槽内の上部
に設けられた上吹きランスから前記溶鋼表面に不活性ガ
スを吹付けて該溶鋼表面から放出される前記一酸化炭素
ガスを拡散させる。請求項2記載のステンレス溶鋼の吹
錬方法は、請求項1記載のステンレス溶鋼の吹錬方法に
おいて、前記溶鋼表面に吹付けられる前記不活性ガスの
前記溶鋼中に供給される前記酸素ガスに対する流量比
(不活性ガス流量/酸素ガス流量)が0.1〜1.5で
ある。
記載のステンレス溶鋼の吹錬方法は、溶鋼を保持する取
鍋に浸漬管を浸漬し、該浸漬管の上部の真空槽内を減圧
して吸引される前記溶鋼に酸素ガスを供給し、該溶鋼中
に含まれる炭素を一酸化炭素ガスとして脱炭精錬するス
テンレス溶鋼の吹錬方法において、前記浸漬管内に形成
される溶鋼表面より下方位置に設けられた酸素ガス吹込
み部から前記溶鋼中に前記酸素ガスを供給して該溶鋼中
の炭素を一酸化炭素ガスに酸化し、前記真空槽内の上部
に設けられた上吹きランスから前記溶鋼表面に不活性ガ
スを吹付けて該溶鋼表面から放出される前記一酸化炭素
ガスを拡散させる。請求項2記載のステンレス溶鋼の吹
錬方法は、請求項1記載のステンレス溶鋼の吹錬方法に
おいて、前記溶鋼表面に吹付けられる前記不活性ガスの
前記溶鋼中に供給される前記酸素ガスに対する流量比
(不活性ガス流量/酸素ガス流量)が0.1〜1.5で
ある。
【0006】請求項3記載のステンレス溶鋼の吹錬方法
は、請求項1又は2記載のステンレス溶鋼の吹錬方法に
おいて、前記酸素ガス吹込み部が前記溶鋼表面より下方
50〜600mmの範囲の前記浸漬管の側部に設けられ
ている。請求項4記載のステンレス溶鋼の吹錬方法は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のステンレス溶鋼の
吹錬方法において、前記溶鋼表面に吹付けられる前記不
活性ガスの吹付け面の該溶鋼表面に対する面積比(吹付
け面面積/溶鋼表面面積)を70%以上とする。請求項
5記載のステンレス溶鋼の吹錬方法は、請求項1〜4の
いずれか1項に記載のステンレス溶鋼の吹錬方法におい
て、前記脱炭精錬中における前記浸漬管内の平均真空度
を10〜300torrの範囲に制御する。請求項6記
載のステンレス溶鋼の吹錬方法は、請求項1〜5のいず
れか1項に記載のステンレス溶鋼の吹錬方法において、
前記取鍋の底部には底吹きガス吹込み部が設けられ、前
記脱炭精錬中に溶鋼攪拌用ガスを吹込んで前記溶鋼を攪
拌させる。請求項7記載のステンレス溶鋼の吹錬方法
は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のステンレス溶
鋼の吹錬方法において、前記溶鋼中のクロム濃度が5〜
25wt%である。
は、請求項1又は2記載のステンレス溶鋼の吹錬方法に
おいて、前記酸素ガス吹込み部が前記溶鋼表面より下方
50〜600mmの範囲の前記浸漬管の側部に設けられ
ている。請求項4記載のステンレス溶鋼の吹錬方法は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のステンレス溶鋼の
吹錬方法において、前記溶鋼表面に吹付けられる前記不
活性ガスの吹付け面の該溶鋼表面に対する面積比(吹付
け面面積/溶鋼表面面積)を70%以上とする。請求項
5記載のステンレス溶鋼の吹錬方法は、請求項1〜4の
いずれか1項に記載のステンレス溶鋼の吹錬方法におい
て、前記脱炭精錬中における前記浸漬管内の平均真空度
を10〜300torrの範囲に制御する。請求項6記
載のステンレス溶鋼の吹錬方法は、請求項1〜5のいず
れか1項に記載のステンレス溶鋼の吹錬方法において、
前記取鍋の底部には底吹きガス吹込み部が設けられ、前
記脱炭精錬中に溶鋼攪拌用ガスを吹込んで前記溶鋼を攪
拌させる。請求項7記載のステンレス溶鋼の吹錬方法
は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のステンレス溶
鋼の吹錬方法において、前記溶鋼中のクロム濃度が5〜
25wt%である。
【0007】不活性ガスの酸素ガスに対する流量比が
0.1より小さくなると、溶鋼表面に吹付けられる不活
性ガスの流速よりも、脱炭精錬反応(C+1/2O2 →
CO)によって発生する一酸化炭素ガスの流速が圧倒的
となるため、溶鋼表面から放出されるガスによって発生
するスプラッシュの抑制効果が少なく、スプラッシュに
よって多量の地金を浸漬管内に付着させる要因となる。
また、溶鋼表面を含む反応界面でのCO分圧の低減効果
も消滅してしまうため、溶鋼中のクロム分が酸化されク
ロム酸化ロスが増大する。逆に、流量比を1.5を超え
て大きくしてもスプラッシュ抑制効果、溶鋼の冶金特性
改善効果は共に飽和状態となり、不活性ガスの原単位の
増大に伴う不要なコストアップに繋がるので好ましくな
い。酸素ガス吹込み部の位置が溶鋼表面より下方50m
mの位置より高くなると、酸素ガスと溶鋼との接触時間
が短くなって脱炭酸素効率が低くなる。一方、酸素ガス
吹込み部の位置が溶鋼表面より下方600mmの位置よ
り低くなると、溶鋼中に吹込まれて供給される酸素ガス
が溶鋼の圧力により浸漬管の内壁に沿って浮上するた
め、浸漬管内壁の耐火物の損耗が大きくなると共に、酸
素ガスの溶鋼中への均一分散が困難となり脱炭酸素効率
が低くなる。溶鋼表面に吹付けられる不活性ガスの吹付
け面の、溶鋼表面に対する面積比が70%未満である
と、スプラッシュの発生面積に対して、不活性ガスの吹
付け面の面積が相対的に小さくなるため、スプラッシュ
の抑制効果が失われて多量の地金が付着する要因となる
ので好ましくない。脱炭精錬中における浸漬管内の平均
真空度が10torrより小さくなる低圧力下では、ス
プラッシュの発生が顕著になって、これを抑制すること
が困難となり、付着地金が増大する。逆に、平均真空度
が300torrより大きくなる高圧力下では、吹酸時
に溶鋼中のクロムが酸化されるクロム酸化ロスの増大に
より脱炭酸素効率が低下し、精錬時間が長くなると共
に、アルミニウム(Al)等の還元材原単位も増大す
る。
0.1より小さくなると、溶鋼表面に吹付けられる不活
性ガスの流速よりも、脱炭精錬反応(C+1/2O2 →
CO)によって発生する一酸化炭素ガスの流速が圧倒的
となるため、溶鋼表面から放出されるガスによって発生
するスプラッシュの抑制効果が少なく、スプラッシュに
よって多量の地金を浸漬管内に付着させる要因となる。
また、溶鋼表面を含む反応界面でのCO分圧の低減効果
も消滅してしまうため、溶鋼中のクロム分が酸化されク
ロム酸化ロスが増大する。逆に、流量比を1.5を超え
て大きくしてもスプラッシュ抑制効果、溶鋼の冶金特性
改善効果は共に飽和状態となり、不活性ガスの原単位の
増大に伴う不要なコストアップに繋がるので好ましくな
い。酸素ガス吹込み部の位置が溶鋼表面より下方50m
mの位置より高くなると、酸素ガスと溶鋼との接触時間
が短くなって脱炭酸素効率が低くなる。一方、酸素ガス
吹込み部の位置が溶鋼表面より下方600mmの位置よ
り低くなると、溶鋼中に吹込まれて供給される酸素ガス
が溶鋼の圧力により浸漬管の内壁に沿って浮上するた
め、浸漬管内壁の耐火物の損耗が大きくなると共に、酸
素ガスの溶鋼中への均一分散が困難となり脱炭酸素効率
が低くなる。溶鋼表面に吹付けられる不活性ガスの吹付
け面の、溶鋼表面に対する面積比が70%未満である
と、スプラッシュの発生面積に対して、不活性ガスの吹
付け面の面積が相対的に小さくなるため、スプラッシュ
の抑制効果が失われて多量の地金が付着する要因となる
ので好ましくない。脱炭精錬中における浸漬管内の平均
真空度が10torrより小さくなる低圧力下では、ス
プラッシュの発生が顕著になって、これを抑制すること
が困難となり、付着地金が増大する。逆に、平均真空度
が300torrより大きくなる高圧力下では、吹酸時
に溶鋼中のクロムが酸化されるクロム酸化ロスの増大に
より脱炭酸素効率が低下し、精錬時間が長くなると共
に、アルミニウム(Al)等の還元材原単位も増大す
る。
【0008】溶鋼とは、所定成分、温度に調整される前
の炭素濃度の高い溶銑、あるいは炭素濃度の低減処理さ
れたステンレス溶鋼を含む。溶鋼中のクロム濃度が5w
t%より低いと、精錬処理により得られる溶鋼から鋳片
を作成して、この鋳片にステンレス鋼として必要な特性
を付与させることが困難であると共に、スプラッシュの
融点が低下するために浸漬管の内壁、真空槽の天蓋部等
への地金付着率が大きくなるので好ましくない。また溶
鋼中のクロム濃度が25wt%より高いと、クロム酸化
によるロスの量が増え脱炭酸素効率が低下するので好ま
しくない。浸漬管はその内部が真空排気装置によって排
気される略円筒形の溶鋼処理容器であり、その上部が真
空槽となって形成され、溶鋼に浸漬される下部はアルミ
ナシリカ質の不定形耐火物を用いて流し込み施工され、
上部はマグネシアクロミア質等の耐火れんがを積層する
ことにより構成されている真空精錬処理用の容器であ
る。
の炭素濃度の高い溶銑、あるいは炭素濃度の低減処理さ
れたステンレス溶鋼を含む。溶鋼中のクロム濃度が5w
t%より低いと、精錬処理により得られる溶鋼から鋳片
を作成して、この鋳片にステンレス鋼として必要な特性
を付与させることが困難であると共に、スプラッシュの
融点が低下するために浸漬管の内壁、真空槽の天蓋部等
への地金付着率が大きくなるので好ましくない。また溶
鋼中のクロム濃度が25wt%より高いと、クロム酸化
によるロスの量が増え脱炭酸素効率が低下するので好ま
しくない。浸漬管はその内部が真空排気装置によって排
気される略円筒形の溶鋼処理容器であり、その上部が真
空槽となって形成され、溶鋼に浸漬される下部はアルミ
ナシリカ質の不定形耐火物を用いて流し込み施工され、
上部はマグネシアクロミア質等の耐火れんがを積層する
ことにより構成されている真空精錬処理用の容器であ
る。
【0009】以上のように本発明は、減圧下に保持され
る浸漬管内の溶鋼中に酸素ガスを吹込んで溶鋼中の炭素
と酸素ガスとを反応させて脱炭すると共に、浸漬管内の
溶鋼表面に上方から不活性ガスを吹付けることにより、
溶鋼表面の一酸化炭素ガスを除去して、前記脱炭精錬反
応の効率をさらに加速し、しかも溶鋼表面から放出され
る一酸化炭素ガスの発生に伴うスプラッシュを効果的に
抑制するようにしたものである。
る浸漬管内の溶鋼中に酸素ガスを吹込んで溶鋼中の炭素
と酸素ガスとを反応させて脱炭すると共に、浸漬管内の
溶鋼表面に上方から不活性ガスを吹付けることにより、
溶鋼表面の一酸化炭素ガスを除去して、前記脱炭精錬反
応の効率をさらに加速し、しかも溶鋼表面から放出され
る一酸化炭素ガスの発生に伴うスプラッシュを効果的に
抑制するようにしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに図1は本発明の一実施の形態
に係るステンレス溶鋼の吹錬方法を適用する真空脱炭精
錬設備の説明図であり、以下、この真空脱炭精錬設備1
0について説明する。真空脱炭精錬設備10は、図1に
示すように底吹きガス吹込み部の一例であるガス吹込み
ノズル11が底部に配置され溶鋼12を保持する取鍋1
3と、取鍋13の溶鋼12中に浸漬される浸漬管の一例
である直胴型浸漬管14(以下単に浸漬管と称する)
と、真空槽19の上部に配置され不活性ガスの一例であ
るアルゴンガスを吹込むための上吹きランス15と、浸
漬管14の下側部に配置され溶鋼中に酸素ガスを吹込む
ため酸素ガス吹込み部16とを有している。
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに図1は本発明の一実施の形態
に係るステンレス溶鋼の吹錬方法を適用する真空脱炭精
錬設備の説明図であり、以下、この真空脱炭精錬設備1
0について説明する。真空脱炭精錬設備10は、図1に
示すように底吹きガス吹込み部の一例であるガス吹込み
ノズル11が底部に配置され溶鋼12を保持する取鍋1
3と、取鍋13の溶鋼12中に浸漬される浸漬管の一例
である直胴型浸漬管14(以下単に浸漬管と称する)
と、真空槽19の上部に配置され不活性ガスの一例であ
るアルゴンガスを吹込むための上吹きランス15と、浸
漬管14の下側部に配置され溶鋼中に酸素ガスを吹込む
ため酸素ガス吹込み部16とを有している。
【0011】取鍋13は溶鋼容量約150トンを保持で
きる略円筒状の鉄製容器であり、溶鋼12と接する内面
壁はアルミナシリカ質あるいはアルミナジルコン質等の
耐火物で内張りされている。ガス吹込みノズル11は、
取鍋13に保持されている溶鋼12中に溶鋼攪拌用ガス
の一例であるアルゴンガスを吹込むノズルであり、吹込
まれるアルゴンガスの運動エネルギーにより、取鍋13
内の溶鋼12を機械的に撹拌して、溶鋼12における脱
炭精錬反応の効率を高めることができる。
きる略円筒状の鉄製容器であり、溶鋼12と接する内面
壁はアルミナシリカ質あるいはアルミナジルコン質等の
耐火物で内張りされている。ガス吹込みノズル11は、
取鍋13に保持されている溶鋼12中に溶鋼攪拌用ガス
の一例であるアルゴンガスを吹込むノズルであり、吹込
まれるアルゴンガスの運動エネルギーにより、取鍋13
内の溶鋼12を機械的に撹拌して、溶鋼12における脱
炭精錬反応の効率を高めることができる。
【0012】浸漬管14は、内径約1.7m、内高さ約
7mの略円筒形であり、溶鋼12に浸漬される下部はア
ルミナシリカ質の不定形耐火物を用いて流し込み施工さ
れており、上部はマグネシアクロミア質等の耐火れんが
を積層することにより構成された真空精錬処理のための
装置である。浸漬管14及び取鍋13は図示しない移動
機構によりそれぞれの相対位置を変更して浸漬管14の
下部を取鍋13内の溶鋼12に浸漬させることができ
る。そして、水蒸気エジェクター、真空ポンプ等の図示
しない真空排気装置に排気ダクト17が連結されていて
真空排気装置を作動させることにより浸漬管14内の真
空度を必要なレベルに維持することができるようになっ
ている。また、図示しない真空排気装置に連結する排気
ダクト17から浸漬管14及び真空槽19内の排気ガス
が吸引され、排気ガス中の一酸化炭素ガスの濃度等を測
定するための図示しないガス分析装置が排気ダクト17
に設けられている。
7mの略円筒形であり、溶鋼12に浸漬される下部はア
ルミナシリカ質の不定形耐火物を用いて流し込み施工さ
れており、上部はマグネシアクロミア質等の耐火れんが
を積層することにより構成された真空精錬処理のための
装置である。浸漬管14及び取鍋13は図示しない移動
機構によりそれぞれの相対位置を変更して浸漬管14の
下部を取鍋13内の溶鋼12に浸漬させることができ
る。そして、水蒸気エジェクター、真空ポンプ等の図示
しない真空排気装置に排気ダクト17が連結されていて
真空排気装置を作動させることにより浸漬管14内の真
空度を必要なレベルに維持することができるようになっ
ている。また、図示しない真空排気装置に連結する排気
ダクト17から浸漬管14及び真空槽19内の排気ガス
が吸引され、排気ガス中の一酸化炭素ガスの濃度等を測
定するための図示しないガス分析装置が排気ダクト17
に設けられている。
【0013】上吹きランス15は、アルゴンガス、精錬
剤等の供給路が内部に形成された芯金と、その芯金の周
囲に施工された不定形耐火物の保護層とを有するアルゴ
ンガス、及び精錬剤等を所定の流量、流速で溶鋼に吹付
けるためのパイプ状の供給装置である。これによって、
浸漬管14内の溶鋼表面18にアルゴンガスを吹付け
て、溶鋼表面18から放出される一酸化炭素ガスを拡散
させてスプラッシュの生成を抑制すると共に、溶鋼12
中における脱炭精錬反応を活性化させることができる。
なお、溶鋼表面18に吹付けられるアルゴンガスの吹付
け面と溶鋼表面18との面積比は、上吹きランス15の
吐出口の形状、吐出口と溶鋼表面18との距離等の幾何
学的配置構成、及び吹付けられるアルゴンガスの流量等
により決定され、これらの因子を必要に応じて調整する
ことにより、所定の範囲である70%以上となるように
制御できる。
剤等の供給路が内部に形成された芯金と、その芯金の周
囲に施工された不定形耐火物の保護層とを有するアルゴ
ンガス、及び精錬剤等を所定の流量、流速で溶鋼に吹付
けるためのパイプ状の供給装置である。これによって、
浸漬管14内の溶鋼表面18にアルゴンガスを吹付け
て、溶鋼表面18から放出される一酸化炭素ガスを拡散
させてスプラッシュの生成を抑制すると共に、溶鋼12
中における脱炭精錬反応を活性化させることができる。
なお、溶鋼表面18に吹付けられるアルゴンガスの吹付
け面と溶鋼表面18との面積比は、上吹きランス15の
吐出口の形状、吐出口と溶鋼表面18との距離等の幾何
学的配置構成、及び吹付けられるアルゴンガスの流量等
により決定され、これらの因子を必要に応じて調整する
ことにより、所定の範囲である70%以上となるように
制御できる。
【0014】酸素ガス吹込み部16は、真空脱炭精錬時
における浸漬管14内の溶鋼表面18より下方50〜6
00mmの位置の浸漬管14の下側部に設けられ、多孔
質の通気性耐火物、又はノズル状に形成された耐火物等
からなる。これによって、所定流量、流速の酸素ガスを
溶鋼12中に直接、吹込むことができ、溶鋼12中にお
ける脱炭精錬反応を効率的に行わせることが可能とな
る。
における浸漬管14内の溶鋼表面18より下方50〜6
00mmの位置の浸漬管14の下側部に設けられ、多孔
質の通気性耐火物、又はノズル状に形成された耐火物等
からなる。これによって、所定流量、流速の酸素ガスを
溶鋼12中に直接、吹込むことができ、溶鋼12中にお
ける脱炭精錬反応を効率的に行わせることが可能とな
る。
【0015】さらに、真空槽19の上部の天蓋部20に
は熱電対が埋設されていて、天蓋部20の表面温度(以
下天蓋部温度という)を取得できるようになっている。
なお、真空槽19の側面に温度測定用の覗き孔を設けて
これを介して、天蓋部温度を光高温計等により直接測定
することもできる。
は熱電対が埋設されていて、天蓋部20の表面温度(以
下天蓋部温度という)を取得できるようになっている。
なお、真空槽19の側面に温度測定用の覗き孔を設けて
これを介して、天蓋部温度を光高温計等により直接測定
することもできる。
【0016】続いて、前記真空脱炭精錬設備10を用い
る、本発明の一実施の形態に係るステンレス溶鋼の吹錬
方法について説明する。まず、転炉等の精錬炉において
クロム濃度を8〜13wt%としたステンレス鋼用の溶
鋼12を取鍋13に収容する。次に、図1に示すように
浸漬管14の下端部を溶鋼12に浸漬させると共に、排
気ダクト17を介して浸漬管14及び真空槽19内を減
圧し、浸漬管14内の溶鋼表面18を引き上げる。そし
て、浸漬管14の酸素ガス吹込み部16から酸素ガスを
所定のガス流量、例えば溶鋼1トン当たり13.3〜2
3.3Nm3 /時で供給して、溶鋼12の脱炭精錬反応
を起こさせる。この間、浸漬管14及び真空槽19内の
平均真空度を所定の値である10〜300torrに維
持したまま、取鍋13底部のガス吹込みノズル11から
溶鋼攪拌用のアルゴンガスを溶鋼12に送入して溶鋼1
2の攪拌を行う。この時、溶鋼12中の炭素分等と酸素
ガスとの精錬反応に伴って、一酸化炭素ガス等が多量に
発生して、溶鋼12の溶鋼表面18におけるスプラッシ
ュが盛んになると共に、鉄粉を含む多量のダストが発生
する。このため、上吹きランス15を介して所定量のア
ルゴンガスを前記酸素ガスとの流量比が所定の範囲とな
るようにして、浸漬管14内の溶鋼12に吹付けること
により溶鋼表面18におけるスプラッシュの発生を抑制
しながら溶鋼12の真空脱炭精錬が行われる。これによ
って、スプラッシュに伴うダストが浸漬管14の内壁及
び天蓋部20に付着することが少なく、クロム又は鉄の
歩留の低下を抑制できる。
る、本発明の一実施の形態に係るステンレス溶鋼の吹錬
方法について説明する。まず、転炉等の精錬炉において
クロム濃度を8〜13wt%としたステンレス鋼用の溶
鋼12を取鍋13に収容する。次に、図1に示すように
浸漬管14の下端部を溶鋼12に浸漬させると共に、排
気ダクト17を介して浸漬管14及び真空槽19内を減
圧し、浸漬管14内の溶鋼表面18を引き上げる。そし
て、浸漬管14の酸素ガス吹込み部16から酸素ガスを
所定のガス流量、例えば溶鋼1トン当たり13.3〜2
3.3Nm3 /時で供給して、溶鋼12の脱炭精錬反応
を起こさせる。この間、浸漬管14及び真空槽19内の
平均真空度を所定の値である10〜300torrに維
持したまま、取鍋13底部のガス吹込みノズル11から
溶鋼攪拌用のアルゴンガスを溶鋼12に送入して溶鋼1
2の攪拌を行う。この時、溶鋼12中の炭素分等と酸素
ガスとの精錬反応に伴って、一酸化炭素ガス等が多量に
発生して、溶鋼12の溶鋼表面18におけるスプラッシ
ュが盛んになると共に、鉄粉を含む多量のダストが発生
する。このため、上吹きランス15を介して所定量のア
ルゴンガスを前記酸素ガスとの流量比が所定の範囲とな
るようにして、浸漬管14内の溶鋼12に吹付けること
により溶鋼表面18におけるスプラッシュの発生を抑制
しながら溶鋼12の真空脱炭精錬が行われる。これによ
って、スプラッシュに伴うダストが浸漬管14の内壁及
び天蓋部20に付着することが少なく、クロム又は鉄の
歩留の低下を抑制できる。
【0017】なお、ここでは、溶鋼中に酸素ガスを供給
する酸素ガス吹込み部を浸漬管14の下側壁に設ける場
合について説明したが、全体を湾曲あるいは屈曲させて
形成した細長い酸素ガス吹込み管のガス吐出口を、溶鋼
表面18の下方で取鍋13の底部より上方の溶鋼12中
に浸漬して配置し、酸素ガスを溶鋼中に供給することも
できる。また、取鍋13の底部にガス吹き込みノズル1
1のような構成の酸素ガス吹込み部を設けて、ここから
酸素ガスを直接的に供給することもできる。このような
場合には、酸素ガスと溶鋼12とを充分に接触させるこ
とができると共に、取鍋13の底部から吹込まれるアル
ゴンガスによって酸素ガスが拡散され、溶鋼12中へ酸
素ガスを均一分散させ脱炭酸素効率をさらに高めること
が可能となる。
する酸素ガス吹込み部を浸漬管14の下側壁に設ける場
合について説明したが、全体を湾曲あるいは屈曲させて
形成した細長い酸素ガス吹込み管のガス吐出口を、溶鋼
表面18の下方で取鍋13の底部より上方の溶鋼12中
に浸漬して配置し、酸素ガスを溶鋼中に供給することも
できる。また、取鍋13の底部にガス吹き込みノズル1
1のような構成の酸素ガス吹込み部を設けて、ここから
酸素ガスを直接的に供給することもできる。このような
場合には、酸素ガスと溶鋼12とを充分に接触させるこ
とができると共に、取鍋13の底部から吹込まれるアル
ゴンガスによって酸素ガスが拡散され、溶鋼12中へ酸
素ガスを均一分散させ脱炭酸素効率をさらに高めること
が可能となる。
【0018】
【実施例】続いて、前記実施の形態に係るステンレス溶
鋼の吹錬方法の実施例を比較例を参照しながら説明す
る。実施例1〜11は、それぞれ表1〜表3に示すよう
な真空脱炭精錬条件に設定して真空精錬を行って、真空
脱炭精錬処理結果(脱炭酸素効率、地金付着状況、耐火
物コスト、アルゴンガスコスト、及びこれらの総合評
価)を示している。ここで、酸素ガス吹込み位置は、溶
鋼表面18より下方に配置される酸素ガス吹込み部16
の溶鋼表面18からの距離Lを示している。上吹きガス
カバー率は、上吹きランス15から溶鋼表面18に吹付
けられるアルゴンガスの吹付け面と溶鋼表面18との面
積比を示している。(アルゴン/酸素)流量比は、上吹
きランス15から溶鋼表面18に吹付けられるアルゴン
ガスと、酸素ガス吹込み部16から供給される酸素ガス
との流量比である。脱炭酸素効率は、溶鋼12中に吹込
まれる酸素ガスの全量に対して、実際に脱炭精錬反応に
関与した酸素ガスの量の比率であり、脱炭精錬反応の効
率を評価するための尺度となる値である。
鋼の吹錬方法の実施例を比較例を参照しながら説明す
る。実施例1〜11は、それぞれ表1〜表3に示すよう
な真空脱炭精錬条件に設定して真空精錬を行って、真空
脱炭精錬処理結果(脱炭酸素効率、地金付着状況、耐火
物コスト、アルゴンガスコスト、及びこれらの総合評
価)を示している。ここで、酸素ガス吹込み位置は、溶
鋼表面18より下方に配置される酸素ガス吹込み部16
の溶鋼表面18からの距離Lを示している。上吹きガス
カバー率は、上吹きランス15から溶鋼表面18に吹付
けられるアルゴンガスの吹付け面と溶鋼表面18との面
積比を示している。(アルゴン/酸素)流量比は、上吹
きランス15から溶鋼表面18に吹付けられるアルゴン
ガスと、酸素ガス吹込み部16から供給される酸素ガス
との流量比である。脱炭酸素効率は、溶鋼12中に吹込
まれる酸素ガスの全量に対して、実際に脱炭精錬反応に
関与した酸素ガスの量の比率であり、脱炭精錬反応の効
率を評価するための尺度となる値である。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】例えば、実施例1では、酸素ガス吹込み位
置である距離Lが180mm、(アルゴン/酸素)流量
比が0.8、上吹きガスカバー率が90%、精錬時平均
真空度が80torr、天蓋部温度が1470℃である
真空脱炭精錬条件で溶鋼12を処理した時の例が示され
ている。この時、脱炭酸素効率は78%、地金付着状況
は僅少であり、耐火物コスト及びアルゴンコストはそれ
ぞれ良、良(○)となって、総合評価は良(○)と判断
される。このように実施例1〜実施例11では、酸素
ガス吹込み位置、(アルゴン/酸素)流量比、上吹
きガスカバー率、精錬時平均真空度のそれぞれが5
0〜600mm、0.1〜1.5、70〜100
%、10〜300torrの規定範囲を満たしてお
り、いずれの総合評価も良好(○)となっている。
置である距離Lが180mm、(アルゴン/酸素)流量
比が0.8、上吹きガスカバー率が90%、精錬時平均
真空度が80torr、天蓋部温度が1470℃である
真空脱炭精錬条件で溶鋼12を処理した時の例が示され
ている。この時、脱炭酸素効率は78%、地金付着状況
は僅少であり、耐火物コスト及びアルゴンコストはそれ
ぞれ良、良(○)となって、総合評価は良(○)と判断
される。このように実施例1〜実施例11では、酸素
ガス吹込み位置、(アルゴン/酸素)流量比、上吹
きガスカバー率、精錬時平均真空度のそれぞれが5
0〜600mm、0.1〜1.5、70〜100
%、10〜300torrの規定範囲を満たしてお
り、いずれの総合評価も良好(○)となっている。
【0023】これに対して表4、表5に示す比較例1〜
7の場合には、酸素ガス吹込み位置、(アルゴン/
酸素)流量比、上吹きガスカバー率、精錬時平均真
空度のいずれかが、前記規定の範囲から外れていて、こ
の場合の総合評価はいずれも不良(×)となっている。
7の場合には、酸素ガス吹込み位置、(アルゴン/
酸素)流量比、上吹きガスカバー率、精錬時平均真
空度のいずれかが、前記規定の範囲から外れていて、こ
の場合の総合評価はいずれも不良(×)となっている。
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】比較例1は、酸素ガス吹込み位置が規定
の範囲より小さい25mmに設定されているため、脱炭
酸素効率が39%と前記実施例1〜11に較べて低下し
ていることが分かる。比較例2は、比較例1とは逆に
酸素ガス吹込み位置が850mmと規定の範囲より大き
く設定されていて、この時の地金付着状況は多大となっ
ている。比較例3は、(アルゴン/酸素)流量比が
0.07と規定範囲より小さいために、脱炭酸素効率が
低レベルの42%となっている。比較例4は、(アル
ゴン/酸素)流量比が1.9と規定範囲より大きいため
に、アルゴンガスの使用量が過剰となってアルゴンガス
コストが極端に増加してしまい、工業的な生産に支障を
きたすことを示している。比較例5は、上吹きガスカ
バー率が62%と低率である場合であって、スプラッシ
ュ抑制効果が発揮できないため、地金付着状況が多大と
なっている。比較例6は、精錬時平均真空度が550
torrの大気圧(760torr)に近い高圧状態で
精錬処理を行った例であって、スプラッシュは抑制され
るものの、脱炭酸素効率が低率の36%となっている。
比較例7は、比較例6とは逆に精錬時平均真空度を4
torrと高真空状態にして脱炭精錬を行った例であ
り、この場合には、スプラッシュの発生を抑制すること
が困難になることを示している。
の範囲より小さい25mmに設定されているため、脱炭
酸素効率が39%と前記実施例1〜11に較べて低下し
ていることが分かる。比較例2は、比較例1とは逆に
酸素ガス吹込み位置が850mmと規定の範囲より大き
く設定されていて、この時の地金付着状況は多大となっ
ている。比較例3は、(アルゴン/酸素)流量比が
0.07と規定範囲より小さいために、脱炭酸素効率が
低レベルの42%となっている。比較例4は、(アル
ゴン/酸素)流量比が1.9と規定範囲より大きいため
に、アルゴンガスの使用量が過剰となってアルゴンガス
コストが極端に増加してしまい、工業的な生産に支障を
きたすことを示している。比較例5は、上吹きガスカ
バー率が62%と低率である場合であって、スプラッシ
ュ抑制効果が発揮できないため、地金付着状況が多大と
なっている。比較例6は、精錬時平均真空度が550
torrの大気圧(760torr)に近い高圧状態で
精錬処理を行った例であって、スプラッシュは抑制され
るものの、脱炭酸素効率が低率の36%となっている。
比較例7は、比較例6とは逆に精錬時平均真空度を4
torrと高真空状態にして脱炭精錬を行った例であ
り、この場合には、スプラッシュの発生を抑制すること
が困難になることを示している。
【0027】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではな
く、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用
範囲である。例えば、本実施の形態においては、上吹き
ランスから吹付ける不活性ガスとしてアルゴンガスを、
取鍋の底吹きガス吹込み部から溶鋼中に供給する溶鋼攪
拌用ガスとして同じくアルゴンガスを使用したが、アル
ゴンガスに限定されるものではなく、両ガスの種類を異
ならせてもよい。また、酸素ガス吹込み部は浸漬管の下
側部に限らず溶鋼表面より下方の位置、例えば取鍋底部
等に設けることもできる。
本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではな
く、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用
範囲である。例えば、本実施の形態においては、上吹き
ランスから吹付ける不活性ガスとしてアルゴンガスを、
取鍋の底吹きガス吹込み部から溶鋼中に供給する溶鋼攪
拌用ガスとして同じくアルゴンガスを使用したが、アル
ゴンガスに限定されるものではなく、両ガスの種類を異
ならせてもよい。また、酸素ガス吹込み部は浸漬管の下
側部に限らず溶鋼表面より下方の位置、例えば取鍋底部
等に設けることもできる。
【0028】
【発明の効果】請求項1〜7記載のステンレス溶鋼の吹
錬方法においては、浸漬管内の溶鋼表面より下方位置に
設けられた酸素ガス吹込み部から溶鋼中に酸素ガスを供
給するので、溶鋼中の炭素を一酸化炭素ガスに効果的に
酸化することができる。そして、浸漬管内の上部に設け
られた上吹きランスから溶鋼表面に不活性ガスを吹付け
て溶鋼表面から放出される一酸化炭素ガスを拡散させる
ので、一酸化炭素ガスの放出に伴って発生するスプラッ
シュを効果的に抑制すると共に、減圧下における溶鋼の
脱炭酸素効率を向上させることができる。特に、請求項
2記載のステンレス溶鋼の吹錬方法においては、溶鋼表
面に吹付けられる不活性ガスと溶鋼中に供給される酸素
ガスとの流量比を特定範囲としているので、不活性ガス
コスト等を増加させることなく脱炭酸素効率を所定の水
準に維持できると共に、さらに効果的にスプラッシュの
発生防止が図れる。請求項3記載のステンレス溶鋼の吹
錬方法においては、浸漬管側部に設けられる酸素ガス吹
込み部の位置を溶鋼表面より下方の特定範囲にしている
ので、酸素ガスの溶鋼中への均一分散を可能にして脱炭
酸素効率を適正に維持できる。
錬方法においては、浸漬管内の溶鋼表面より下方位置に
設けられた酸素ガス吹込み部から溶鋼中に酸素ガスを供
給するので、溶鋼中の炭素を一酸化炭素ガスに効果的に
酸化することができる。そして、浸漬管内の上部に設け
られた上吹きランスから溶鋼表面に不活性ガスを吹付け
て溶鋼表面から放出される一酸化炭素ガスを拡散させる
ので、一酸化炭素ガスの放出に伴って発生するスプラッ
シュを効果的に抑制すると共に、減圧下における溶鋼の
脱炭酸素効率を向上させることができる。特に、請求項
2記載のステンレス溶鋼の吹錬方法においては、溶鋼表
面に吹付けられる不活性ガスと溶鋼中に供給される酸素
ガスとの流量比を特定範囲としているので、不活性ガス
コスト等を増加させることなく脱炭酸素効率を所定の水
準に維持できると共に、さらに効果的にスプラッシュの
発生防止が図れる。請求項3記載のステンレス溶鋼の吹
錬方法においては、浸漬管側部に設けられる酸素ガス吹
込み部の位置を溶鋼表面より下方の特定範囲にしている
ので、酸素ガスの溶鋼中への均一分散を可能にして脱炭
酸素効率を適正に維持できる。
【0029】また、請求項4記載のステンレス溶鋼の吹
錬方法においては、溶鋼表面に吹付けられる不活性ガス
の吹付け面と溶鋼表面との面積比を特定値以上としてい
るので、スプラッシュの発生をさらに効果的に抑制で
き、金属ダストの排出による溶鋼歩留の低下を防止で
き、浸漬管における耐火物コスト、及びメンテナンスコ
ストを低く維持することができる。請求項5記載のステ
ンレス溶鋼の吹錬方法においては、脱炭精錬中における
浸漬管内の平均真空度を特定範囲に制御するので、脱炭
酸素効率の維持とスプラッシュの発生防止とをさらに効
果的に達成できる。請求項6記載のステンレス溶鋼の吹
錬方法においては、取鍋の底吹きガス吹込み部から脱炭
精錬中に溶鋼攪拌用ガスを吹込んで溶鋼を攪拌させるの
で、溶鋼中に吹込まれる酸素ガスと溶鋼中の炭素との接
触を容易にして、溶鋼の脱炭酸素効率をさらに高めるこ
とができる。請求項7記載のステンレス溶鋼の吹錬方法
においては、クロム濃度が特定範囲の溶鋼を用いるの
で、ステンレス鋼として必要な特性を保持すると共に、
スプラッシュによって発生するダスト等の融点を適正範
囲として、ダストの浸漬管内壁等への付着を抑制するこ
とができる。
錬方法においては、溶鋼表面に吹付けられる不活性ガス
の吹付け面と溶鋼表面との面積比を特定値以上としてい
るので、スプラッシュの発生をさらに効果的に抑制で
き、金属ダストの排出による溶鋼歩留の低下を防止で
き、浸漬管における耐火物コスト、及びメンテナンスコ
ストを低く維持することができる。請求項5記載のステ
ンレス溶鋼の吹錬方法においては、脱炭精錬中における
浸漬管内の平均真空度を特定範囲に制御するので、脱炭
酸素効率の維持とスプラッシュの発生防止とをさらに効
果的に達成できる。請求項6記載のステンレス溶鋼の吹
錬方法においては、取鍋の底吹きガス吹込み部から脱炭
精錬中に溶鋼攪拌用ガスを吹込んで溶鋼を攪拌させるの
で、溶鋼中に吹込まれる酸素ガスと溶鋼中の炭素との接
触を容易にして、溶鋼の脱炭酸素効率をさらに高めるこ
とができる。請求項7記載のステンレス溶鋼の吹錬方法
においては、クロム濃度が特定範囲の溶鋼を用いるの
で、ステンレス鋼として必要な特性を保持すると共に、
スプラッシュによって発生するダスト等の融点を適正範
囲として、ダストの浸漬管内壁等への付着を抑制するこ
とができる。
【図1】本発明の一実施の形態に係るステンレス溶鋼の
吹錬方法を適用する真空脱炭精錬設備の説明図である。
吹錬方法を適用する真空脱炭精錬設備の説明図である。
10 真空脱炭精錬設備 11 ガス吹込みノズル(底吹きガス吹込み部) 12 溶鋼 13 取鍋 14 直胴形浸漬管(浸漬管) 15 上吹きラ
ンス 16 酸素ガス吹込み部 17 排気ダク
ト 18 溶鋼表面 19 真空槽 20 天蓋部
ンス 16 酸素ガス吹込み部 17 排気ダク
ト 18 溶鋼表面 19 真空槽 20 天蓋部
Claims (7)
- 【請求項1】 溶鋼を保持する取鍋に浸漬管を浸漬し、
該浸漬管の上部の真空槽内を減圧して吸引される前記溶
鋼に酸素ガスを供給し、該溶鋼中に含まれる炭素を一酸
化炭素ガスとして脱炭精錬するステンレス溶鋼の吹錬方
法において、 前記浸漬管内に形成される溶鋼表面より下方位置に設け
られた酸素ガス吹込み部から前記溶鋼中に前記酸素ガス
を供給して該溶鋼中の炭素を一酸化炭素ガスに酸化し、 前記真空槽内の上部に設けられた上吹きランスから前記
溶鋼表面に不活性ガスを吹付けて該溶鋼表面から放出さ
れる前記一酸化炭素ガスを拡散させることを特徴とする
ステンレス溶鋼の吹錬方法。 - 【請求項2】 前記溶鋼表面に吹付けられる前記不活性
ガスの前記溶鋼中に供給される前記酸素ガスに対する流
量比が0.1〜1.5であることを特徴とする請求項1
記載のステンレス溶鋼の吹錬方法。 - 【請求項3】 前記酸素ガス吹込み部が前記溶鋼表面よ
り下方50〜600mmの範囲の前記浸漬管の側部に設
けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のス
テンレス溶鋼の吹錬方法。 - 【請求項4】 前記溶鋼表面に吹付けられる前記不活性
ガスの吹付け面の該溶鋼表面に対する面積比を70%以
上とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項
に記載のステンレス溶鋼の吹錬方法。 - 【請求項5】 前記脱炭精錬中における前記浸漬管内の
平均真空度を10〜300torrの範囲に制御するこ
とを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のス
テンレス溶鋼の吹錬方法。 - 【請求項6】 前記取鍋の底部には底吹きガス吹込み部
が設けられ、前記脱炭精錬中に溶鋼攪拌用ガスを吹込ん
で前記溶鋼を攪拌させることを特徴とする請求項1〜5
のいずれか1項に記載のステンレス溶鋼の吹錬方法。 - 【請求項7】 前記溶鋼中のクロム濃度が5〜25wt
%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項
に記載のステンレス溶鋼の吹錬方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23774597A JPH1161238A (ja) | 1997-08-18 | 1997-08-18 | ステンレス溶鋼の吹錬方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23774597A JPH1161238A (ja) | 1997-08-18 | 1997-08-18 | ステンレス溶鋼の吹錬方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1161238A true JPH1161238A (ja) | 1999-03-05 |
Family
ID=17019851
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23774597A Withdrawn JPH1161238A (ja) | 1997-08-18 | 1997-08-18 | ステンレス溶鋼の吹錬方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1161238A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108866277A (zh) * | 2018-08-27 | 2018-11-23 | 北京科技大学 | 一种冶炼超低碳不锈钢的单嘴精炼炉及精炼工艺 |
CN118621087A (zh) * | 2024-08-09 | 2024-09-10 | 金鼎重工有限公司 | 一种铸钢母液精炼装置及精炼方法 |
-
1997
- 1997-08-18 JP JP23774597A patent/JPH1161238A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108866277A (zh) * | 2018-08-27 | 2018-11-23 | 北京科技大学 | 一种冶炼超低碳不锈钢的单嘴精炼炉及精炼工艺 |
CN108866277B (zh) * | 2018-08-27 | 2023-10-17 | 北京科技大学 | 一种冶炼超低碳不锈钢的单嘴精炼炉及精炼工艺 |
CN118621087A (zh) * | 2024-08-09 | 2024-09-10 | 金鼎重工有限公司 | 一种铸钢母液精炼装置及精炼方法 |
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