JPH1160375A - 分子線エピタキシー用分子線源ルツボ - Google Patents
分子線エピタキシー用分子線源ルツボInfo
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- JPH1160375A JPH1160375A JP22198697A JP22198697A JPH1160375A JP H1160375 A JPH1160375 A JP H1160375A JP 22198697 A JP22198697 A JP 22198697A JP 22198697 A JP22198697 A JP 22198697A JP H1160375 A JPH1160375 A JP H1160375A
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- molecular beam
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 長時間操業をしてもルツボの内壁面から原料
が這い上がったり、飛散した原料がルツボ上部に付着す
るのを抑制することができ、しかも分子線が安定して放
出可能な熱分解窒化ホウ素ルツボを、簡単かつ低コスト
で提供し、分子線エピタキシー操業の安定化とエピタキ
シャル膜の品質向上をはかる。 【解決手段】 分子線エピタキシー用分子線源ルツボお
いて、その上部開口部にルツボ内径より小さい口径の孔
を有する蓋、または、該蓋の孔にルツボの高さの2倍以
下のノズルを設けて成るルツボ。
が這い上がったり、飛散した原料がルツボ上部に付着す
るのを抑制することができ、しかも分子線が安定して放
出可能な熱分解窒化ホウ素ルツボを、簡単かつ低コスト
で提供し、分子線エピタキシー操業の安定化とエピタキ
シャル膜の品質向上をはかる。 【解決手段】 分子線エピタキシー用分子線源ルツボお
いて、その上部開口部にルツボ内径より小さい口径の孔
を有する蓋、または、該蓋の孔にルツボの高さの2倍以
下のノズルを設けて成るルツボ。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分子線エピタキシ
ー法において、分子線源を収容するルツボ(分子線源ル
ツボ)に関するものである。
ー法において、分子線源を収容するルツボ(分子線源ル
ツボ)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】分子線エピタキシー(以下、MBEと略
称する)法は、薄膜成長室を10-6〜10-11 Torr
という超高真空下、MBE用分子線源ルツボ(以下、M
BEルツボと略称する)を装着したKセルと呼ばれる分
子線放出装置で、MBEルツボを1000〜1500℃
に加熱して、溶融金属から放出する分子線を加熱された
半導体基板上に当てることにより、数原子層レベルの制
御が可能な薄膜製造法である。
称する)法は、薄膜成長室を10-6〜10-11 Torr
という超高真空下、MBE用分子線源ルツボ(以下、M
BEルツボと略称する)を装着したKセルと呼ばれる分
子線放出装置で、MBEルツボを1000〜1500℃
に加熱して、溶融金属から放出する分子線を加熱された
半導体基板上に当てることにより、数原子層レベルの制
御が可能な薄膜製造法である。
【0003】特に、GaAs等の化合物半導体のエピタ
キシー膜の製造に広く用いられており、MBEルツボと
しては、純度、耐熱性、強度等の点から、通常、化学気
相蒸着(以下、CVDと略称する)反応による熱分解窒
化ホウ素(以下、PBNと略称する)、熱分解グラファ
イト(以下、PGと略称する)、熱分解炭化けい素(以
下、PSiCと略称する)等が用いられており、その代
表的な形状は、図4の(a)に示す様な、水平鍔付きル
ツボで、これに分子線源となる金属等を少量仕込んでK
セルに装着し、装置を高真空にして使用している。
キシー膜の製造に広く用いられており、MBEルツボと
しては、純度、耐熱性、強度等の点から、通常、化学気
相蒸着(以下、CVDと略称する)反応による熱分解窒
化ホウ素(以下、PBNと略称する)、熱分解グラファ
イト(以下、PGと略称する)、熱分解炭化けい素(以
下、PSiCと略称する)等が用いられており、その代
表的な形状は、図4の(a)に示す様な、水平鍔付きル
ツボで、これに分子線源となる金属等を少量仕込んでK
セルに装着し、装置を高真空にして使用している。
【0004】通常、MBEルツボは、図4(a)および
(b)に示したような形状を持ち、その開口部内径が底
部内径よりも若干大きい、いわゆる逆円錐形をしている
が、この形には種々の欠陥があり、例えば、溶融金属が
ルツボ内壁を這い上がり、ルツボ外に溢れ出て、ヒータ
ー等の加熱部材や炉内部材に付着して、これらを腐食、
変質せしめたり、破損やヒーターの短絡を生じたりする
というトラブルを起こしていた。
(b)に示したような形状を持ち、その開口部内径が底
部内径よりも若干大きい、いわゆる逆円錐形をしている
が、この形には種々の欠陥があり、例えば、溶融金属が
ルツボ内壁を這い上がり、ルツボ外に溢れ出て、ヒータ
ー等の加熱部材や炉内部材に付着して、これらを腐食、
変質せしめたり、破損やヒーターの短絡を生じたりする
というトラブルを起こしていた。
【0005】特に、蒸発、飛散した原料金属が、低温の
ルツボ内壁面の上部に付着し易く、このようなルツボ上
部に付着したものは、時間の経過と共にルツボ内壁を伝
わって這い上がり、直接ルツボ外に漏出したり、あるい
は原料融液に落下して原料の液滴をまき散らすいわゆる
ドロップ現象が起こることもある。
ルツボ内壁面の上部に付着し易く、このようなルツボ上
部に付着したものは、時間の経過と共にルツボ内壁を伝
わって這い上がり、直接ルツボ外に漏出したり、あるい
は原料融液に落下して原料の液滴をまき散らすいわゆる
ドロップ現象が起こることもある。
【0006】このようなことが起こると、分子線の放出
量が不安定になり、薄膜の品質に影響を及ぼしたり、い
きおいこれらの炉内部材の寿命を短縮せしめ、コストの
上昇、操業の不安定化をきたす他、飛散した液滴が基板
にも飛来して、エピタキシャル膜に欠陥が形成されるこ
とにもなる。
量が不安定になり、薄膜の品質に影響を及ぼしたり、い
きおいこれらの炉内部材の寿命を短縮せしめ、コストの
上昇、操業の不安定化をきたす他、飛散した液滴が基板
にも飛来して、エピタキシャル膜に欠陥が形成されるこ
とにもなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題点に鑑みなされたもので、長時間操業をしてもルツ
ボの内壁面から原料が這い上がったり、飛散した原料が
ルツボ上部に付着するのを抑制することができ、しかも
分子線が安定して放出可能なMBEルツボを、簡単かつ
低コストで提供し、分子線エピタキシー操業の安定化と
エピタキシャル膜の品質向上をはかることを主目的とす
る。
問題点に鑑みなされたもので、長時間操業をしてもルツ
ボの内壁面から原料が這い上がったり、飛散した原料が
ルツボ上部に付着するのを抑制することができ、しかも
分子線が安定して放出可能なMBEルツボを、簡単かつ
低コストで提供し、分子線エピタキシー操業の安定化と
エピタキシャル膜の品質向上をはかることを主目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るため、本発明の請求項1に記載した発明は、ルツボ上
部開口部に、ルツボ内径より小さい口径の孔を有する蓋
を設けたことを特徴とする分子線エピタキシー用分子線
源ルツボである。
るため、本発明の請求項1に記載した発明は、ルツボ上
部開口部に、ルツボ内径より小さい口径の孔を有する蓋
を設けたことを特徴とする分子線エピタキシー用分子線
源ルツボである。
【0009】このように構成することにより、従来の逆
円錐形ルツボにおいて生ずる、溶融金属の這い上がり、
ルツボ外への漏出、ドロップ現象等による装置の汚染や
薄膜の欠陥を抑制することができ、また、孔の口径を変
えることによってルツボ内の原料金属の量に関わらず分
子線放出量を安定して制御できるようになり、ひいて
は、基板上に生成する薄膜のピンホール状欠陥を減少さ
せることができる。
円錐形ルツボにおいて生ずる、溶融金属の這い上がり、
ルツボ外への漏出、ドロップ現象等による装置の汚染や
薄膜の欠陥を抑制することができ、また、孔の口径を変
えることによってルツボ内の原料金属の量に関わらず分
子線放出量を安定して制御できるようになり、ひいて
は、基板上に生成する薄膜のピンホール状欠陥を減少さ
せることができる。
【0010】また、本発明の請求項2に記載した発明
は、ルツボ上部開口部に、ルツボ内径より小さい口径の
孔を有するノズル付き蓋を設けたことを特徴とする分子
線エピタキシー用分子線源ルツボである。このように、
ノズル付き蓋とすれば、分子線放出方向が安定化し、基
板上に生成する薄膜の厚さの均一化が図れ、また、薄膜
のピンホール状欠陥を減少させることができる。
は、ルツボ上部開口部に、ルツボ内径より小さい口径の
孔を有するノズル付き蓋を設けたことを特徴とする分子
線エピタキシー用分子線源ルツボである。このように、
ノズル付き蓋とすれば、分子線放出方向が安定化し、基
板上に生成する薄膜の厚さの均一化が図れ、また、薄膜
のピンホール状欠陥を減少させることができる。
【0011】そして、この場合、請求項3のように、ノ
ズルは、ルツボ本体の高さの2倍以下の長さを有するノ
ズルを設けることができる。また、本発明においては、
蓋を、平蓋、落し蓋および被せ蓋から選択される1種と
することができ(請求項4)、蓋とルツボ本体との接触
部を、載置、擦り合わせ、溝、嵌め合い、およびねじ込
みから選択される1種の手段または2種以上の手段を組
み合わせたものとして、蓋の位置決め、滑落防止、およ
び接触部の気密を保持することができる(請求項5)。
また、ルツボ本体および蓋の材質には、熱分解窒化ほう
素、熱分解グラファイト、熱分解炭化けい素、熱分解窒
化けい素、または熱分解窒化アルミニウムが使用される
が、ルツボと蓋との気密保持の点からは、ルツボと蓋と
は同材質が好ましい(請求項6)。
ズルは、ルツボ本体の高さの2倍以下の長さを有するノ
ズルを設けることができる。また、本発明においては、
蓋を、平蓋、落し蓋および被せ蓋から選択される1種と
することができ(請求項4)、蓋とルツボ本体との接触
部を、載置、擦り合わせ、溝、嵌め合い、およびねじ込
みから選択される1種の手段または2種以上の手段を組
み合わせたものとして、蓋の位置決め、滑落防止、およ
び接触部の気密を保持することができる(請求項5)。
また、ルツボ本体および蓋の材質には、熱分解窒化ほう
素、熱分解グラファイト、熱分解炭化けい素、熱分解窒
化けい素、または熱分解窒化アルミニウムが使用される
が、ルツボと蓋との気密保持の点からは、ルツボと蓋と
は同材質が好ましい(請求項6)。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。本発明者らは、分子線エピタキシー用分子
線源ルツボにおいて、分子線源となる溶融金属の這い上
がりやドロップ現象等の問題を根本的に解決するには、
ルツボに蓋を設け、溶融金属の漏出等を完全に防ぎ、分
子線は蓋に開けた孔から放出させることを発想し、本発
明を完成させたものである。
に説明する。本発明者らは、分子線エピタキシー用分子
線源ルツボにおいて、分子線源となる溶融金属の這い上
がりやドロップ現象等の問題を根本的に解決するには、
ルツボに蓋を設け、溶融金属の漏出等を完全に防ぎ、分
子線は蓋に開けた孔から放出させることを発想し、本発
明を完成させたものである。
【0013】本発明の蓋を設けたMBEルツボの例を挙
げると、図1に平蓋タイプのものを示した様に、図1
(a)は、ノズル3付き蓋2をルツボ本体1の開口部上
縁に載置したもので、ノズル3の先端の内径を逆円錐形
ルツボ本体1の開口部内径より小さくして、分子線放出
量を制御するようにしており、要求される金属の種類、
放出量に応じてノズル内径の異なる蓋に交換する。蓋2
は平蓋で、その直径は、ルツボ本体上部開口部の直径よ
りも少しばかり大きくし、ルツボ本体上縁に載置する。
ルツボと蓋の接触部4は、擦り合せ加工した方が気密上
好ましい。
げると、図1に平蓋タイプのものを示した様に、図1
(a)は、ノズル3付き蓋2をルツボ本体1の開口部上
縁に載置したもので、ノズル3の先端の内径を逆円錐形
ルツボ本体1の開口部内径より小さくして、分子線放出
量を制御するようにしており、要求される金属の種類、
放出量に応じてノズル内径の異なる蓋に交換する。蓋2
は平蓋で、その直径は、ルツボ本体上部開口部の直径よ
りも少しばかり大きくし、ルツボ本体上縁に載置する。
ルツボと蓋の接触部4は、擦り合せ加工した方が気密上
好ましい。
【0014】図1(b)は鍔付きルツボ本体1に蓋2を
載置したもので、接触部4の接触面積が大きく、気密上
好ましい。擦り合せとすればより好ましくなる。図1
(c)は、蓋の裏面にルツボ本体の上縁が嵌め合う溝を
設けたもので、気密性はさらに向上する。図1(d)
は、ノズルの長さをゼロ、すなわち蓋2に孔7を開けた
だけであるが、口径を変えた蓋で分子線放出量を変えた
り、孔の内面を面取り加工して、放出方向の安定性を図
ることもできる。
載置したもので、接触部4の接触面積が大きく、気密上
好ましい。擦り合せとすればより好ましくなる。図1
(c)は、蓋の裏面にルツボ本体の上縁が嵌め合う溝を
設けたもので、気密性はさらに向上する。図1(d)
は、ノズルの長さをゼロ、すなわち蓋2に孔7を開けた
だけであるが、口径を変えた蓋で分子線放出量を変えた
り、孔の内面を面取り加工して、放出方向の安定性を図
ることもできる。
【0015】別の例を挙げると、図2は落し蓋の例で、
図2(a)は、ノズル3の上端がルツボ本体1の上端よ
り下にあり、ノズル口径が大きく、接触部4は擦り合せ
としたもので、分子線放出量の多い場合に適している。
図2(b)は、ノズル3の上端がルツボ本体1の上端よ
り上にあり、ノズル口径がやや細く、接触部4は擦り合
せとしたもので、分子線放出量の少ない場合に適してい
る。次に図2(c)は、接触部4をねじ込みとしたもの
で、気密を重視したタイプである。
図2(a)は、ノズル3の上端がルツボ本体1の上端よ
り下にあり、ノズル口径が大きく、接触部4は擦り合せ
としたもので、分子線放出量の多い場合に適している。
図2(b)は、ノズル3の上端がルツボ本体1の上端よ
り上にあり、ノズル口径がやや細く、接触部4は擦り合
せとしたもので、分子線放出量の少ない場合に適してい
る。次に図2(c)は、接触部4をねじ込みとしたもの
で、気密を重視したタイプである。
【0016】さらに、図3に被せ蓋の例を挙げると、図
3(a)は、蓋2の円筒部がルツボ本体1の上縁外周に
覆い被さるもので、接触部4の蓋の円筒部内面とルツボ
本体の上部外周面間に摺り合わせはあってもなくてもよ
い。図3(b)は、接触部4をねじとしたもので気密重
視型である。図3(c)は、嵌め合い式で、ルツボ上部
垂直壁の数カ所に縦溝6とそれに続く横溝(図示せず)
を設け、蓋には円筒部下端の数カ所にルツボの溝に嵌め
込むことができる突起5をつけたもので、突起を縦溝に
合せて落し込み、横溝に沿って褶動して嵌合させるタイ
プである。
3(a)は、蓋2の円筒部がルツボ本体1の上縁外周に
覆い被さるもので、接触部4の蓋の円筒部内面とルツボ
本体の上部外周面間に摺り合わせはあってもなくてもよ
い。図3(b)は、接触部4をねじとしたもので気密重
視型である。図3(c)は、嵌め合い式で、ルツボ上部
垂直壁の数カ所に縦溝6とそれに続く横溝(図示せず)
を設け、蓋には円筒部下端の数カ所にルツボの溝に嵌め
込むことができる突起5をつけたもので、突起を縦溝に
合せて落し込み、横溝に沿って褶動して嵌合させるタイ
プである。
【0017】前記図1〜図3において、蓋は全て水平板
状に表現しているが、例えば、円錐状にしてその上端に
ノズルをつけてもよく、溶融金属の這い上がり、ルツボ
外への漏出、ドロップ現象等を抑制するのに効果的であ
るものならよい。
状に表現しているが、例えば、円錐状にしてその上端に
ノズルをつけてもよく、溶融金属の這い上がり、ルツボ
外への漏出、ドロップ現象等を抑制するのに効果的であ
るものならよい。
【0018】蓋の孔、またはノズルの口径は、使用する
ルツボ本体の開口部内径の90%から直径0.5mmの
間で適用できるが、好ましくは、75%〜直径2mmで
あると安定した分子線放出と良好なデバイス特性が得ら
れた。90%を超えると、溶融金属の這い上がり、ルツ
ボ外への漏出、ドロップ現象等の防止効果が少なくな
り、直径0.5mm未満では、孔径が小さ過ぎて分子線
放出は不安定になり易い。
ルツボ本体の開口部内径の90%から直径0.5mmの
間で適用できるが、好ましくは、75%〜直径2mmで
あると安定した分子線放出と良好なデバイス特性が得ら
れた。90%を超えると、溶融金属の這い上がり、ルツ
ボ外への漏出、ドロップ現象等の防止効果が少なくな
り、直径0.5mm未満では、孔径が小さ過ぎて分子線
放出は不安定になり易い。
【0019】ノズルの高さ(蓋の上面からノズル先端ま
でを言う)は、使用するルツボ本体の高さの2倍以下が
よく、高さがゼロ、すなわち、孔だけでもよい。蓋さえ
あれば、溶融金属の這い上がり、ルツボ外への漏出、ド
ロップ現象等が充分に防止されるからである。また、ノ
ズル先端位置は、ルツボの開口面を基準にとれば、開口
面高さ±50mmの範囲が適しており、高くても、低く
ても分子線放出が不安定になることがある。このような
ノズルがあれば、孔だけの場合より、分子線の放出方向
が規定され易く、安定した薄膜の成長が行われ易い。
でを言う)は、使用するルツボ本体の高さの2倍以下が
よく、高さがゼロ、すなわち、孔だけでもよい。蓋さえ
あれば、溶融金属の這い上がり、ルツボ外への漏出、ド
ロップ現象等が充分に防止されるからである。また、ノ
ズル先端位置は、ルツボの開口面を基準にとれば、開口
面高さ±50mmの範囲が適しており、高くても、低く
ても分子線放出が不安定になることがある。このような
ノズルがあれば、孔だけの場合より、分子線の放出方向
が規定され易く、安定した薄膜の成長が行われ易い。
【0020】例えば、ノズル口径が小さ過ぎ、高さが高
過ぎると、ノズルは閉塞し易くなり、分子線の放出方向
が不安定になってうまく基板に当たらなくなる。逆にノ
ズル口径が大き過ぎると、溶融金属の這い上がり現象や
ドロップ現象を抑制するのが難しくなる。ただし、ここ
に言う絶対的数値は、限定された分子線発生装置に適用
されるもので、装置の規模、分子線の放出条件等によっ
て変動するものであることは言うまでもない。
過ぎると、ノズルは閉塞し易くなり、分子線の放出方向
が不安定になってうまく基板に当たらなくなる。逆にノ
ズル口径が大き過ぎると、溶融金属の這い上がり現象や
ドロップ現象を抑制するのが難しくなる。ただし、ここ
に言う絶対的数値は、限定された分子線発生装置に適用
されるもので、装置の規模、分子線の放出条件等によっ
て変動するものであることは言うまでもない。
【0021】本発明のルツボ本体および蓋の材質には、
熱分解窒化ほう素、熱分解グラファイト、熱分解炭化け
い素、熱分解窒化けい素、または熱分解窒化アルミニウ
ムが使用される。蓋の材質は、分子線源となる金属との
耐食性、耐熱性を考慮して決められるが、ルツボ本体と
同材質とするのが、製造面から、また蓋とルツボ本体の
気密保持の点から望ましい。
熱分解窒化ほう素、熱分解グラファイト、熱分解炭化け
い素、熱分解窒化けい素、または熱分解窒化アルミニウ
ムが使用される。蓋の材質は、分子線源となる金属との
耐食性、耐熱性を考慮して決められるが、ルツボ本体と
同材質とするのが、製造面から、また蓋とルツボ本体の
気密保持の点から望ましい。
【0022】本発明のルツボ本体と蓋を製造するには、
グラファイト製の型を用いて、CVD法により熱分解窒
化ほう素膜等を所定の厚さになるまで蒸着させ、しかる
後に型から分離してルツボ本体や蓋の内表面の不純物の
除去や表面仕上げを行う。図2(a)、図2(b)の蓋
の円筒部のように逆テーパ部の型の場合は、破壊して取
り除くか、或は予め型を逆テーパ部内で組み立て、分解
できるように複数の部材に分割しておけば、型の反復使
用ができる。ルツボ本体と蓋の接触部の擦り合せ、ねじ
切り、嵌合用溝等は型の形状および機械加工をすること
により形成することができ、接触部から溶融金属や分子
線が漏れ出すことのないように気密に仕上げることがで
きる。
グラファイト製の型を用いて、CVD法により熱分解窒
化ほう素膜等を所定の厚さになるまで蒸着させ、しかる
後に型から分離してルツボ本体や蓋の内表面の不純物の
除去や表面仕上げを行う。図2(a)、図2(b)の蓋
の円筒部のように逆テーパ部の型の場合は、破壊して取
り除くか、或は予め型を逆テーパ部内で組み立て、分解
できるように複数の部材に分割しておけば、型の反復使
用ができる。ルツボ本体と蓋の接触部の擦り合せ、ねじ
切り、嵌合用溝等は型の形状および機械加工をすること
により形成することができ、接触部から溶融金属や分子
線が漏れ出すことのないように気密に仕上げることがで
きる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施の形態を実施例を挙げて
具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。 (実施例)図2(a)に示したようなCVD法で作製し
た口径10mmのノズル付き落し蓋を有する内径19m
m×高さ90mmの熱分解窒化ほう素製MBEルツボ
に、GaAs合金粒を仕込み、MBE装置で10-10 T
orr以下の高真空下にGaAs基板上にエピタキシャ
ル膜を作り、デバイスの評価をしたところ、ディフェク
トと呼んでいるピンホール状欠陥が従来の1/100以
下である100ケ/cm2 以下の良質の膜が形成でき
た。エピタキシーの終了後、ルツボを取り出して観察し
たところ、溶融金属の這い上がり、漏出、上部での付着
は、蓋によって完全に止められていた。また、ノズル付
き蓋を付加した分、この部分の表面積が大きくなり、温
度分布が改善され、ドロップ現象が起こりにくくなって
いることも一因であると思われる。
具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。 (実施例)図2(a)に示したようなCVD法で作製し
た口径10mmのノズル付き落し蓋を有する内径19m
m×高さ90mmの熱分解窒化ほう素製MBEルツボ
に、GaAs合金粒を仕込み、MBE装置で10-10 T
orr以下の高真空下にGaAs基板上にエピタキシャ
ル膜を作り、デバイスの評価をしたところ、ディフェク
トと呼んでいるピンホール状欠陥が従来の1/100以
下である100ケ/cm2 以下の良質の膜が形成でき
た。エピタキシーの終了後、ルツボを取り出して観察し
たところ、溶融金属の這い上がり、漏出、上部での付着
は、蓋によって完全に止められていた。また、ノズル付
き蓋を付加した分、この部分の表面積が大きくなり、温
度分布が改善され、ドロップ現象が起こりにくくなって
いることも一因であると思われる。
【0024】(比較例)図4(a)に示したような、従
来の蓋を持たないMBEルツボを使用した以外は、実施
例と同一条件でエピタキシャル膜を作り、GaAsデバ
イスの評価を行ったところ、欠陥が数千〜10,000
ケ/cm2 と多く、また、原料金属の減少につれて欠陥
数のバラツキが大きくなった。エピタキシーの終了後、
ルツボを取り出して観察したところ、一部原料が漏出し
ていた。
来の蓋を持たないMBEルツボを使用した以外は、実施
例と同一条件でエピタキシャル膜を作り、GaAsデバ
イスの評価を行ったところ、欠陥が数千〜10,000
ケ/cm2 と多く、また、原料金属の減少につれて欠陥
数のバラツキが大きくなった。エピタキシーの終了後、
ルツボを取り出して観察したところ、一部原料が漏出し
ていた。
【0025】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明
の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同
一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いか
なるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
るものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明
の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同
一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いか
なるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0026】例えば、上記説明ではルツボ本体と蓋との
材質を同一としたが、接触部に採用した手段によって
は、異種材料の方がルツボと蓋が分離し易い等の点で有
利な場合もある。
材質を同一としたが、接触部に採用した手段によって
は、異種材料の方がルツボと蓋が分離し易い等の点で有
利な場合もある。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、MBEルツボで起こり
易い、溶融金属の這い上り現象やドロップ現象を防止で
き、しかも原料金属の仕込量を増加しても分子線放出に
伴う融液面の変化に対しても安定した分子線放出ができ
るので、エピタキシー膜の表面欠陥を減らすことが可能
となり、エピタキシャル膜付き半導体ウエーハの歩留と
品質の向上を図ることができる。
易い、溶融金属の這い上り現象やドロップ現象を防止で
き、しかも原料金属の仕込量を増加しても分子線放出に
伴う融液面の変化に対しても安定した分子線放出ができ
るので、エピタキシー膜の表面欠陥を減らすことが可能
となり、エピタキシャル膜付き半導体ウエーハの歩留と
品質の向上を図ることができる。
【図1】本発明の蓋を設けたMBEルツボの実施形態を
示す縦断面図である(平蓋タイプ)。 (a)ノズル付き蓋をルツボ本体上縁に載置、(b)ノ
ズル付き蓋をルツボ本体の鍔上面に載置、(c)ノズル
付き蓋裏の溝にルツボ本体の上縁を嵌合、(d)有孔蓋
をルツボ本体上縁に載置。
示す縦断面図である(平蓋タイプ)。 (a)ノズル付き蓋をルツボ本体上縁に載置、(b)ノ
ズル付き蓋をルツボ本体の鍔上面に載置、(c)ノズル
付き蓋裏の溝にルツボ本体の上縁を嵌合、(d)有孔蓋
をルツボ本体上縁に載置。
【図2】本発明の蓋を設けたMBEルツボの実施形態を
示す縦断面図である(落し蓋タイプ)。 (a)ノズル付き蓋をルツボ本体内に落し込む、(b)
ノズル付き蓋をルツボ本体上部に落し込む、(c)ノズ
ル付き蓋をルツボ本体内周にネジ込む。
示す縦断面図である(落し蓋タイプ)。 (a)ノズル付き蓋をルツボ本体内に落し込む、(b)
ノズル付き蓋をルツボ本体上部に落し込む、(c)ノズ
ル付き蓋をルツボ本体内周にネジ込む。
【図3】本発明の蓋を設けたMBEルツボの実施形態を
示す縦断面図である(被せ蓋タイプ)。 (a)ノズル付き蓋をルツボ本体上部外周に被せる、
(b)ノズル付き蓋をルツボ本体上部外周にネジ込む、
(c)ルツボ本体外周の溝にノズル付き蓋内周の突起を
嵌合。
示す縦断面図である(被せ蓋タイプ)。 (a)ノズル付き蓋をルツボ本体上部外周に被せる、
(b)ノズル付き蓋をルツボ本体上部外周にネジ込む、
(c)ルツボ本体外周の溝にノズル付き蓋内周の突起を
嵌合。
【図4】従来の技術によるMBEルツボの縦断面図であ
る。 (a)円筒型ルツボ、(b)逆テーパ付きルツボ。
る。 (a)円筒型ルツボ、(b)逆テーパ付きルツボ。
1……ルツボ本体、 2……蓋、 3……ノズル、 4……接触部、 5……突起、 6……溝、 7……孔、 10…ルツボ。
Claims (6)
- 【請求項1】 ルツボ上部開口部に、ルツボ内径より小
さい口径の孔を有する蓋を設けたことを特徴とする分子
線エピタキシー用分子線源ルツボ。 - 【請求項2】 ルツボ上部開口部に、ルツボ内径より小
さい口径の孔を有するノズル付き蓋を設けたことを特徴
とする分子線エピタキシー用分子線源ルツボ。 - 【請求項3】 前記蓋のノズルが、ルツボ本体の高さの
2倍以下の長さを有するものであることを特徴とする請
求項2に記載した分子線エピタキシー用分子線源ルツ
ボ。 - 【請求項4】 前記蓋が、平蓋、落し蓋および被せ蓋か
ら選択される1種である請求項1ないし請求項3のいず
れか1項に記載した分子線エピタキシー用分子線源ルツ
ボ。 - 【請求項5】 蓋とルツボ本体との接触部が、載置、擦
り合わせ、溝、嵌め合い、およびねじ込みから選択され
る1種の手段または2種以上の手段を組み合わせたもの
である請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の
分子線エピタキシー用分子線源ルツボ。 - 【請求項6】 ルツボ本体および蓋の材質が、熱分解窒
化ほう素、熱分解グラファイト、熱分解炭化けい素、熱
分解窒化けい素、または熱分解窒化アルミニウムである
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した分子線エ
ピタキシー用分子線源ルツボ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22198697A JPH1160375A (ja) | 1997-08-04 | 1997-08-04 | 分子線エピタキシー用分子線源ルツボ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22198697A JPH1160375A (ja) | 1997-08-04 | 1997-08-04 | 分子線エピタキシー用分子線源ルツボ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1160375A true JPH1160375A (ja) | 1999-03-02 |
Family
ID=16775294
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22198697A Pending JPH1160375A (ja) | 1997-08-04 | 1997-08-04 | 分子線エピタキシー用分子線源ルツボ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1160375A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011146430A (ja) * | 2010-01-12 | 2011-07-28 | Murata Mfg Co Ltd | ハースライナーカバー交換機構 |
CN102732837A (zh) * | 2011-03-31 | 2012-10-17 | 株式会社日立高新技术 | 蒸镀装置 |
-
1997
- 1997-08-04 JP JP22198697A patent/JPH1160375A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011146430A (ja) * | 2010-01-12 | 2011-07-28 | Murata Mfg Co Ltd | ハースライナーカバー交換機構 |
CN102732837A (zh) * | 2011-03-31 | 2012-10-17 | 株式会社日立高新技术 | 蒸镀装置 |
JP2012214835A (ja) * | 2011-03-31 | 2012-11-08 | Hitachi High-Technologies Corp | 蒸着装置 |
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