JPH1158609A - ポリエステル被覆重防食鋼材 - Google Patents

ポリエステル被覆重防食鋼材

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JPH1158609A
JPH1158609A JP24173297A JP24173297A JPH1158609A JP H1158609 A JPH1158609 A JP H1158609A JP 24173297 A JP24173297 A JP 24173297A JP 24173297 A JP24173297 A JP 24173297A JP H1158609 A JPH1158609 A JP H1158609A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外面に防食被覆を必要とする鋼管の埋設施工
時、あるいは鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板や、鋼構造物の
打設時、もしくは打設後の捨て石類、その他船舶を含む
浮遊物等によって発生する衝撃に対して防食被覆の耐衝
撃・耐久性に優れた外面重防食被覆鋼材を提供する。 【解決手段】 下地処理を施した鋼材1の表面に、無機
顔料を含有するプライマー層2、長さ5mm以上のガラ
ス繊維を5〜40vol%の範囲で含有し、かつその組
み合わせた総添加量が50vol%以下の範囲で顔料を
含有した顔料を含有したポリエステル硬化樹脂による厚
さ1〜10mmの着色防食被覆層3を順次積層したこと
を特徴とするポリエステル被覆重防食鋼材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は外面に防食被覆を必
要とする鋼管の埋設施工時、あるいは鋼管杭、鋼管矢
板、鋼矢板等の港湾・河川の桟橋や護岸などの外面の防
食が必要とされる鋼構造物の打設時、もしくは打設後の
捨て石類、その他船舶を含む浮遊物等によって発生する
衝撃に対して防食被覆の耐衝撃・耐久性に優れた外面重
防食被覆鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】外面防食が必要とされる鋼管、鋼管杭、
鋼管矢板、鋼矢板等において数十年の長期耐久性が必要
とされる工場被覆を行う場合には、防食性に優れ、安価
な樹脂であるポリエチレン、あるいはポリウレタンとい
った樹脂を被覆材として使用した重防食被覆鋼材が製造
されている。このような重防食被覆ではポリエチレンあ
るいはポリウレタン樹脂のコスト、電気絶縁性、耐薬品
性等の種々の樹脂特性を生かし、添加剤により耐候性・
耐久性を付与したものが使用される。特に数十年に渡る
長期防食性と耐衝撃性を確保するには、厚みとしては数
mm程度に積層した被覆が一般的に用いられる。このよ
うな被覆材料を用いた重防食被覆鋼材では被覆の防食性
には著しく優れるが、用いられる樹脂自体の強度が低い
ため、樹脂に厚みを持たせて耐衝撃性を向上させるだけ
ではおのずと限界があり、運搬、保管、施工時のハンド
リングにおける衝突や摩擦などによる被覆の傷発生が問
題となってきた。特に、鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板等に
おいては被覆の傷発生を前提とした電気防食との併用が
行われる場合があり、施工後の定期的な陽極交換が必要
となる等の問題がある。
【0003】重防食被覆鋼材に耐衝撃性を持たせる方法
として、特開平8−300559に示される様に表層に
金属層を設けることによって耐摩耗性と耐衝撃性を向上
させる方法がある。
【0004】また、特公平7−006595に提案され
るように推進鋼管における重防食被覆ではポリエチレン
またはポリウレタン樹脂からなる防食被覆はそのまま
に、ガラス繊維または金属繊維混入のポリエステル、ま
たはガラス繊維または金属繊維混入のエポキシアクリレ
ート層をその保護被覆として使用する方法が提案されて
いる。一方、めっき鋼板の防食塗料として特開昭63−
5938に示される様にガラス繊維を配合した不飽和ポ
リエステル樹脂を上塗り防食塗料として用いることで耐
傷性を付与した例がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】重防食被覆に耐衝撃性
を付与するにはその表層に強度・硬度に優れる耐傷性被
覆層を形成する方法が有効で、中でも特開平8−300
559に示される様に表層に金属被覆層を施す方法は効
果的である。しかしながら金属被覆は腐食に弱く、その
被覆工程においては、かしめ等の機械的固定方法や溶接
といった加工や曲げ工程が必要となり生産効率が悪い。
さらには、腐食に強い金属被覆材料としてはチタン等の
合金を選定する方法もあるが、材料コストが高いばかり
でなく、鋼管矢板や鋼矢板等の複雑な曲面に対する加工
が難しいという問題がある。
【0006】一方、従来の防食被覆層の上層に耐衝撃性
に優れた有機被覆を施す方法においては、特公平7−0
06595に提案されるようにポリエチレンまたはポリ
ウレタン樹脂からなる防食被覆層の上層に、ガラス繊維
または金属繊維混入のポリエステル、またはガラス繊維
または金属繊維混入のエポキシアクリレート層をその保
護被覆として使用する様な高硬度の有機樹脂保護被覆を
形成する方法が有効である。しかしながら、防食被覆に
種類の異なる樹脂を積層し耐衝撃性を持たせるために
は、その接着が問題となる。これに対しては例えば、ポ
リエチレン被覆を防食被覆に用いた場合には、特開平6
−146271に示される様にポリエチレン表層にエン
ボス加工を施し物理的な凹凸を付けることによって保護
層を被覆可能とする方法が提案されている。また、ポリ
ウレタン被覆では特開平6−122173に示される様
に、その界面に植毛材を介在ざせることで耐衝撃性を確
保する方法が提案されている。しかしながらいずれの場
合も、その物理接着強化のために新たに一つの工程が必
要で品質管理やコスト面での問題がある。また、化学的
に防食層と保護層が接着していないため、衝撃によって
被覆が破損した場合には被覆が剥離する等、長期耐久性
にも問題があった。
【0007】また特開昭63−5938に示される様に
ガラス繊維を配合した不飽和ポリエステル樹脂を上塗り
防食塗料として用いただけでは、重防食に要求される耐
衝撃性や密着性、防食性といった性能を満足することは
出来ない。
【0008】そこで本発明は、金属被覆のような耐久性
や加工性の問題や、防食被覆と保護被覆の接着界面での
問題が無く、製造工程の煩雑さを伴わなないことで生産
効率の良い耐衝撃性と防食性に優れたポリエステル被覆
重防食鋼材を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題を解決する手段として、下地処理を施した鋼材の表面
に無機顔料を含有するプライマー層を有し、その上層に
長さ5mm以上のガラス繊維を5〜40vol%の範囲
で含有し、かつその組み合わせた総添加量が50vol
%以下の範囲で顔料を含有したポリエステル硬化樹脂に
よる厚さ1〜10mmの防食被覆層を順次積層すること
で耐衝撃性・耐傷性と防食性に優れたポリエステル被覆
鋼材が得られることを見いだし、本発明に至った。
【0010】すなわち、本発明は第1図に示すが如く、
下地処理を施した鋼材1の表面に、無機顔料を含有する
プライマー層2、長さ5mm以上のガラス繊維を5〜4
0vol%の範囲で含有し、かつその組み合わせた総添
加量が50vol%以下の範囲で顔料を含有した顔料を
含有したポリエステル硬化樹脂による厚さ1〜10mm
の着色防食被覆層3を順次積層したことを特徴とするポ
リエステル被覆鋼材、または第2図に示すが如く、下地
処理を施した鋼材1の表面に、無機顔料を含有するプラ
イマー層2、長さ5mm以上のガラス繊維を5〜40v
ol%の範囲で含有し、かつその組み合わせた総添加量
が50vol%以下の範囲で顔料を含有したポリエステ
ル硬化樹脂による厚さ1〜10mmの防食被覆層4、ア
クリルウレタン、アクリルシリコン、フッ素系の塗料に
より単層又は復層の厚さ10〜100μm範囲の着色保
護層5を順次積層したことを特徴とするポリエステル被
覆鋼材関するものである。
【0011】以下、本発明について詳細に説明する。
【0012】本発明に使用する鋼材とは、鋼管、あるい
は鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板等の海洋、河川で使用され
る鋼構造物であり、炭素鋼あるいは、ステンレス鋼、チ
タン合金鋼等の合金鋼、またそのクラッド鋼を用いる。
その表面に亜鉛、アルミニウム、ニッケル、銅などのメ
ッキ、亜鉛−鉄、亜鉛−アルミニウム、亜鉛−ニッケ
ル、亜鉛−ニッケル−コバルトなどの合金メッキ、ある
いは、これらのメッキ・合金メッキにシリカ、酸化チタ
ンなどの無機物の微細粒子を分散させた分散メッキを施
した鋼材でもよい。
【0013】鋼材の下地処理として、まずサンド、グリ
ッド、ショット等を用いてブラスト処理を行ない表面付
着物を除去する。ただし表面の油分・スケール等を除去
して表面に粗度を付与する機能があればブラスト処理以
外の方法を用いても構わない。更に下地処理として、被
覆鋼材の使用環境が厳しい場合や耐陰極剥離性能が求め
られる場合には、ブラスト後の表面にクロメート処理を
実施する。クロメート処理に用いるクロメート処理剤は
成分としてクロム酸を含有するものであれば良いが、部
分還元クロム酸と乾式シリカを主成分としたもの、また
は前記主成分にリン酸やその化合物、シランカップリン
グ剤等の各種添加剤を添加したものを用いると耐剥離性
等に優れる。また塗布量としては全クロム付着量が50
〜1000mg/m2の範囲になるように塗布する。
【0014】下地処理を施した鋼材の表面には熱硬化性
樹脂に無機顔料を添加したプライマー処理剤を塗布して
硬化させる。プライマー処理層の膜厚としては10〜1
50μmが望ましい。膜厚が10μm以下ではプライマ
ーによる鋼材表面被覆率が低下する。また150μm以
上ではプライマーの内部応力増加と脱泡性の低下により
密着力が低下するので好ましくない。プライマー処理剤
の熱硬化性樹脂は鋼材と上層のポリエステル樹脂との密
着性に優れたものであればよく、特にエポキシ樹脂又は
ウレタン樹脂を用いると鋼材との密着性・防食性に優れ
る。エポキシ樹脂とはビスフェノールA又はビスフェノ
ールFのジグリシジルエーテルの単独又は混合物であ
る。これに塗料粘度が問題にならない場合は、耐熱性の
高いフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール
ノボラック型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂を添
加しても良い。エポキシ樹脂硬化剤としては、脂環式ア
ミン、脂肪族アミン、ジシアンジアミド、変性イミダゾ
ール、フェノールノボラック硬化剤等を単独又は混合し
て用いる。ウレタン樹脂としてはポリオールとイソシア
ネートーからなる化合物であればよく、2液反応硬化も
しくはプレポリマーによる湿気硬化型として使用する。
またプライマー樹脂として分子中にビスフェノール骨格
を有するビニルエステル樹脂を用いることも出来るが、
一般的なビニルエステル樹脂はその硬化収縮が大きく鋼
材との密着性に劣る。このため、プライマーとしてビニ
ルエステル樹脂を使用する場合には硬化収縮の少ない樹
脂を選定し、無機充填顔料の添加により硬化収縮を5%
以下に調整したものを使用する。プライマー処理剤に用
いる無機顔料は、中性水に対して不溶性の無機微粉末で
あれば特に限定するものではないが、酸化ケイ素、アル
ミナ、酸化チタン、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、クロム酸化合物、リン酸化合物、ホウ酸化合物また
はそれの混合物などが使用出来る。ただし水溶性無機充
填物であっても、乾式シリカの様に樹脂と相溶して被膜
形成後の溶出を伴わない場合には添加しても構わない。
【0015】下地処理、プライマー処理を行った鋼材の
表面に長さ5mm以上のガラス繊維を5〜40vol%
の範囲で含有し、かつその組み合わせた総添加量が50
vol%以下の範囲で顔料を含有したポリエステル硬化
樹脂層を厚さ1〜10mmで形成する。ポリエステル樹
脂層の被覆にはハンドレイアップ法、スプレーアップ
法、コールドプレス法、フィラメントワインデイング法
や型枠による注入成形等の方法を用いる。本発明で使用
するポリエステル硬化樹脂とは、分子内にエステル結合
と二重結合を有するものであれば良く、オルソ系、イソ
系、ビスフェノール系の不飽和ポリエステル樹脂が使用
出来る。また材料コストの問題はあるが、化学的に安定
で末端に二重結合を持つビニルエステルを使用すること
も出来る。これらのポリエステル樹脂をスチレンモノマ
ー等の重合性単量体に溶解したものをケトンパーオキシ
ド、ハイドロパーオキシドの様な過酸化物触媒とコバル
ト系、バナジウム系、マンガン系、アミン系等の促進剤
によって硬化する熱硬化性樹脂を用いる。
【0016】ポリエステル樹脂防食層には長さ5mm以
上のガラス繊維を充填する。長さが5mm以下ではガラ
ス繊維による強度向上効果が得られない。フィラメント
ワインデイング法やガラスクロスを用いる場合では特に
長さの上限はないが、スプレーアップ法等においてガラ
ス短繊維を用いる場合は、ガラス繊維が長いと塗料の脱
泡性が低下することから5〜50mmの範囲が望まし
い。また、その添加量としては5〜40vol%の範囲
で添加する。添加量が5vol%に満たない場合、プラ
イマーとの接着力が低下する。また、添加量が40vo
l%を越えると防食性が低下する。添加繊維には、価格
と樹脂補強効果、防食性能においてガラス繊維が優れる
ためこれを用いる。ガラス以外の繊維として炭素繊維や
金属繊維では、導電性のため皮膜の防食性が低下する。
一方、有機繊維は収縮性が高く、単独で添加すると皮膜
の物性が低下するが、有機繊維は導電性による防食性の
低下影響が少ないため、本発明のガラス繊維との併用で
あれば添加しても良い。また、ガラス繊維と併用して無
機充填顔料を用いることが出来る。無機充填顔料は、中
性水に対して不溶性で導電性の無い無機微粉末であれば
よく、酸化ケイ素、アルミナ、酸化チタン、ケイ酸マグ
ネシウム、炭酸カルシウム、クロム酸化合物、リン酸化
合物、ホウ酸化合物またはそれの混合物などが使用出来
る。また、意匠性と耐候性付与のため着色顔料の添加に
よってポリエステル樹脂層を着色する。使用する着色顔
料としては、例えばとしてはカドミウムイエロー、酸化
鉄、ポリアゾイエロー、キノフタロンイエロー、イソイ
ンドリノンイエロー、キナクリドンイエロー、ベンガラ
レッド、ポリアゾブラウン、アゾレーキイエロー、ペリ
レンレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニング
リーン、ベンガライエロー、アルミン酸コバルト、アニ
リンブラック、カーボンブラック、酸化チタン、ウルト
ラマリンブルー、アルミニウム微粉末等を添加する。不
飽和ポリエステルは暴露により表層部分が劣化するた
め、鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板及び屋外鋼構造物に用い
る場合、着色顔料は0.5%以上添加すると耐候性、防
食性が向上する。これらの顔料は、繊維との組み合わせ
た総添加量が50vol%を越えると防食性が低下する
ため、50vol%以下に調整する。上記組成のポリエ
ステル樹脂層に防食性と保護層としての機能を持たせる
ため、1〜10mmの皮膜を形成する。厚みが1mmに
及ばないと、耐衝撃性、防食性、耐久性等が低下する。
また、厚みが10mmを越えると、経済性と接着力の低
下が生じる。
【0017】本発明のポリエステル被覆重防食鋼材に長
期の意匠性が要求される場合、さらにその上層にアクリ
ルウレタン、アクリルシリコン、フッ素系の塗料により
単層又は復層の厚さ10〜100μm範囲の着色保護層
を最表層として順次積層する。特に港湾・河川で杭や矢
板として用いられる場合、図3に示す様に本発明のポリ
エステル被覆重防食鋼材6は、水面7から上の部分にの
み着色保護層5を設ける方法が経済的である。
【0018】なお、図3において、3はガラス繊維を含
有したポリエステル硬化樹脂による着色防食被覆層を、
8は海底、湖底又は川底を示す。
【0019】以上の被覆を図1又は2の断面図に示すよ
うに順次積層することにより耐衝撃性・耐傷性と防食性
に優れたポリエステル被覆鋼材が得られることを見いだ
し、本発明に至った。
【0020】
【実施例】
実施例及び比較例 1 外径200A×長さ5500mm×肉厚5.8mmの鋼
管外面にグリッドブラスト処理を施し、スケール等を除
去して表面に粗度を付与した後、クロム−シリカ系のク
ロメート処理剤を全クロム付着量で50mg/m2とな
るように塗布乾燥後して下地処理を行った。次に酸化チ
タンを10重量%添加したアミン系の硬化剤を用いたエ
ポキシプライマーを30〜60μm膜厚となるようにス
プレー塗布し、この鋼材を加熱してプライマーを硬化さ
せた。この後、スプレーアップ法により、シラン系表面
処理を行った2.3kg/km番手のガラスロービング
を繊維長を変えて切断したものを添加量を調整したもの
と、0.7vol%の着色顔料及び炭酸カルシウム充填
顔料を添加量を変えて添加した不飽和ポリエステル樹脂
と過酸化物触媒含有硬化剤をスプレー混合しながら同時
に吹き付け塗装を行い、この後、次にアクリルウレタン
塗料又はフッ素塗料を膜厚が30μmになるようにスプ
レー塗装して着色保護層を形成した。これにより、ガラ
ス繊維を添加しない比較例1−1、ガラス繊維添加量を
12vol%として繊維長を3〜70mmに切断した実
施例1−1〜1−5及び比較例1−2〜3、及びガラス
繊維長を12.5mmに切断して添加量を12vol%
又は30.5vol%とし、充填顔料を17〜49vo
l%の範囲で添加した実施例1―6〜11及び比較例1
−4〜9のポリエステル被覆鋼材を製造した。この被覆
鋼管を切断加工し、ASTM G14に規定された落錘
衝撃試験により被覆の貫通エネルギーを測定した。ま
た、防食性の評価方法として温水浸漬後の密着性評価試
験及び陰極剥離試験を行った。温水浸漬試験は、60℃
温水に1000時間の浸漬を行った後、ポリエステル防
食層に鋼面までの切り込みを入れ、垂直密着力測定治具
を接着剤を介して接着し、プルオフ測定により垂直密着
力を評価した。陰極剥離試験は、電解液は3%−NaC
lを用いて、硫酸銅標準電極により1.5Vの電圧を付
加し、60℃の温度で40日間の試験を実施した。その
後、被覆の初期貫通穴(直径:9mm)からの4点平均
剥離距離を測定し評価を行った。
【0021】スプレーアップ法でのガラス繊維長の影響
及び添加するガラス繊維と顔料の総添加量の影響を評価
した結果を表1に示す。ガラス繊維長は本発明の範囲で
ある5mm以上の繊維長において始めて優れた性能を示
す。また、スプレーアップ法では前述の様に脱泡の問題
から70mmでは防食性がやや低下する。一方、ポリエ
ステル樹脂に対して繊維及び充填剤の総添加量が50v
ol%を越えると、耐衝撃性と防食性がともに低下す
る。
【0022】
【表1】 実施例及び比較例 2 外径200A×長さ5500mm×肉厚5.8mmの鋼
管外面にグリッドブラスト処理を施し、スケール等を除
去して表面に粗度を付与した後、クロム−シリカ系のク
ロメート処理剤を塗布乾燥して全クロム付着量で100
0mg/m2となるように下地処理を行った。次にアル
ミナを30重量%、タルクを20重量%添加したビニル
エステル系プライマーを乾燥膜厚で30〜60μmとな
るよう塗布し、養生硬化させた。この後、スプレーアッ
プ法により、シラン系の表面処理を行った2.3kg/
km番手のガラスロービングを5mm長に切断したもの
を添加量を変えたものと、0.7vol%の着色顔料を
添加したイソ系不飽和ポリエステル樹脂と過酸化物触媒
含有硬化剤をスプレー混合しながら同時に吹き付け塗装
を行い、厚さ3mmのオルソ系不飽和ポリエステル防食
層を形成した。これにより、ガラス繊維添加量を0〜6
3.4vol%の範囲で添加した実施例2−1〜2−5
及び比較例2−1〜4のポリエステル被覆鋼材を製造し
た。この被覆鋼管を切断加工し、実施例1と同じ条件で
落錘衝撃試験、陰極剥離試験及び温水浸漬後の密着性評
価試験を行った。
【0023】ガラス繊維添加量の影響を評価した結果を
表2に示す。ガラス繊維添加量は本発明の範囲である5
〜40vol%において優れた性能を示す。ポリエステ
ル樹脂に対して繊維の添加量が5vol%に満たない場
合、プライマーとの接着力と樹脂の強度が低下するため
に各種性能が低下する。また、添加量が40vol%を
越えても防食性は低下する。
【0024】
【表2】 実施例及び比較例 3 外径200A×長さ5500mm×肉厚5.8mmの鋼
管外面にグリッドブラスト処理を施し、表面スケールを
除去して表面に粗度を付与した後、クロム酸ストロンチ
ウム2重量%と粉砕シリカ14重量%を混合添加したウ
レタン系プライマーを塗布し、養生硬化させた。この
後、スプレーアップ法によりシラン系の表面処理を行っ
た3.5kg/km番手のガラスロービングを25mm
長に切断したものを添加量が12vol%になるように
調整したものと、0.7vol%の着色顔料と充填顔料
としてタルクを15vol%添加したビスフェノール系
不飽和ポリエステル樹脂と過酸化物触媒含有硬化剤をス
プレー混合しながら同時に吹き付け塗装を行い、塗装膜
厚を変えて不飽和ポリエステル防食層を形成した。
【0025】これにより、不飽和ポリエステル防食層の
厚みが0.5〜15mmの範囲の実施例3−1〜5及び
比較例3−1〜2のポリエステル被覆鋼材を製造した。
この被覆鋼管を切断加工し、実施例1と同じ条件で落錘
衝撃試験、陰極剥離試験及び温水浸漬後の密着性評価試
験を行った。
【0026】不飽和ポリエステル防食層の厚みの影響を
評価した結果を表3に示す。表3の結果からポリエステ
ル層は厚みが1mmを越えると防食層としての機能を発
揮することがわかる。また、厚みが厚い程、高い耐衝撃
性を示すが、厚みが10mmを越えると密着性が低下す
る傾向が見られる。
【0027】
【表3】 実施例及び比較例 4 外径200A×長さ5500mm×肉厚5.8mmの鋼
管外面にグリッドブラスト処理を施し、スケール等を除
去して表面に粗度を付与した後、クロム−シリカ系のク
ロメート処理剤を全クロム付着量で50mg/m2とな
るように塗布乾燥後して下地処理を行った。次に酸化チ
タンを10重量%添加したアミン系の硬化剤を用いたエ
ポキシプライマーを30〜60μm膜厚となるようにス
プレー塗布し、この鋼材を加熱してプライマーを硬化さ
せた。スプレーアップ法によりシラン系の表面処理を行
った2.3kg/km番手のガラスロービングを繊維長
を12.5mmに切断して添加量を12vol%に調整
したものと、炭酸カルシウム充填顔料を30vol%の
添加量で添加したオルソ系不飽和ポリエステル樹脂と過
酸化物触媒含有硬化剤をスプレー混合しながら同時に吹
き付け塗装を行い、厚さ3mmの不飽和ポリエステル防
食層を形成した。この後、実施例1−8の被覆鋼管と同
時にアクリルウレタン塗料又はフッ素塗料を膜厚が30
μmになるようにスプレー塗装して着色保護層を形成す
ることで、実施例1−8−1〜2、実施例4−1〜2、
比較例4−1〜2のポリエステル防食被覆鋼材を製造し
た。この被覆鋼管を切断加工し、実施例1と同じ条件で
落錘衝撃試験、陰極剥離試験及び温水浸漬後の密着性評
価試験を行った。また、この被覆鋼管を垂直状態で海岸
近傍に8年間暴露し、クラック発生、色差変化、ブリス
ターの発生等の目視観察を行った。結果は表4に示す。
【0028】
【表4】 比較例 5及び6 外径200A×長さ5500mm×肉厚5.8mmの鋼
管外面にグリッドブラスト処理を施し、スケール等を除
去して表面に粗度を付与した後、クロム−シリカ系のク
ロメート処理剤を全クロム付着量で50mg/m2とな
るように塗布乾燥後して下地処理を行った。次に酸化チ
タンを10重量%添加したアミン系の硬化剤を用いたエ
ポキシプライマーを30〜60μm膜厚となるようにス
プレー塗布し、この鋼材を加熱してプライマーを硬化さ
せた。次いでこの鋼管を回転搬送し、その表面にTダイ
から無水マレイン酸変性ポリエチレン接着剤とカーボン
ブブラックを2%配合した低密度ポリエチレンを二層一
体で被覆し、ポリエチレン接着剤層を厚みで200μm
とポリエチレン層を厚みで2.5mm積層し、比較例5
の従来公知のポリエチレン重防食被覆鋼材を製造した。
さらにその表面に、特公平7―6595や特開平6−1
46271に示された形状のエンボス加工を施した。エ
ンボス加工部の寸法は5mm角で、深さは0.3mmと
した。このポリエチレン被覆鋼管の外面に実施例1−8
と同条件にてスプレーアップ法により厚さ3mmの不飽
和ポリエステル被覆を施し、従来のポリエチレン防食層
にポリエステル保護層を積層した比較例6の重防食被覆
鋼管を製造した。この被覆鋼管を切断加工し、実施例1
と同じ条件で落錘衝撃試験、陰極剥離試験及び温水浸漬
後の密着性評価試験を行った。また、この被覆鋼管を垂
直状態で海岸近傍に8年間暴露し、クラック発生、色差
変化、ブリスターの発生等の目視観察を行った。結果は
表4に示す。
【0029】表4の結果からも明らかなようにポリエチ
レンとポリエステルは接着していない。このため、比較
例6に対して同厚みのポリエステル保護層を持つ本発明
の実施例の方が優れた耐衝撃性を示す。しかしながら、
防食性に関してはポリエチレンが防食機能を有するた
め、耐陰極剥離性や暴露後のブリスター等の発生に対し
ての防食性は良好である。また、色差変化に対しては、
ポリエステル層が同じために比較例6と本発明の実施例
1−8では差は見られない。一方、ポリエステル層に着
色顔料を添加しない比較例4−1では色差変化が大き
い。これに対して表層に着色保護層を形成した本発明の
実施例1−8−1及び1−8−2、実施例4−1及び4
−2は従来のポリエステルのみに比較して優れた耐候性
を示す。
【0030】
【発明の効果】本発明のポリエステル被覆重防食鋼材は
実施例からも明らかな様に、従来の重防食被覆鋼管や鋼
管杭、鋼矢板に比較して、耐衝撃性が大幅に向上する。
また、従来防食層に保護層を重ねる際にアンカー効果に
よる物理的な接着を行った場合と異なり、鋼材との垂直
密着力が得られることから、高い耐衝撃性とともにその
長期耐久性が得られる。また、密着性と被覆のバリヤー
効果による防食性と、耐候性を示す。これらの効果か
ら、高い耐衝撃性と防食性を有するポリエステル被覆鋼
材を重防食被覆として適用することにより、重防食被覆
鋼材の施工時や、船舶等の衝突、捨て石による損傷を防
止することが出来る。また、被覆の材料費や製造工程が
少ないため、より容易に製品を提供することが出来るも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステル被覆重防食鋼材の一部断
面を示す図である。
【図2】本発明のポリエステル被覆重防食鋼材の一部断
面を示す図である。
【図3】本発明のポリエステル被覆重防食鋼材を特に港
湾・河川で杭や矢板として用いられ、景観と経済性がと
もに要求された場合に、水面から上の部分にのみ着色保
護層を設ける方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 下地処理を施した鋼材 2 無機顔料を含有するプライマー層 3 ガラス繊維を含有したポリエステル硬化樹脂による
着色防食被覆層 4 ガラス繊維を含有したポリエステル硬化樹脂による
防食被覆層 5 アクリルウレタン、アクリルシリコン、フッ素系の
塗料により着色保護層 6 本発明のポリエステル被覆重防食鋼材 7 水面 8 海底、湖底、又は川底

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下地処理を施した鋼材の表面に無機顔料
    を含有するプライマー層を有し、その上層に、長さ5m
    m以上のガラス繊維を5〜40vol%の範囲で含有
    し、かつその組み合わせた総添加量が50vol%以下
    の範囲で顔料を含有したポリエステル硬化樹脂による厚
    さ1〜10mmの着色防食被覆層を順次積層したことを
    特徴とするポリエステル被覆重防食鋼材。
  2. 【請求項2】 下地処理を施した鋼材の表面に無機顔料
    を含有するプライマー層を有し、その上層に長さ5mm
    以上のガラス繊維を5〜40vol%の範囲で含有し、
    かつその組み合わせた総添加量が50vol%以下の範
    囲で顔料を含有したポリエステル硬化樹脂による厚さ1
    〜10mmの防食被覆層、さらにその上層にアクリルウ
    レタン、アクリルシリコン、フッ素系の塗料により単層
    又は復層の厚さ10〜100μm範囲の着色保護層を最
    表層として順次積層したことを特徴とするポリエステル
    被覆重防食鋼材。
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