JPH1157991A - プレートれんがの固定装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 作業がしやすく、コンパクトな装置でしかも
締め付けを緩みにくくしたスライディングノズル装置に
おけるプレートれんがの固定方法の実現。 【解決手段】 プレートれんがの長手側面と金枠の長手
側壁との隙問に、複数の傾斜面を有する作動子と被動子
を傾斜面を互いに接触させて、作動子を長手方向にねじ
駆動することで被動子をプレートれんが側へ押しつける
ことによって、プレートれんがを金枠の長手側壁へ押し
つけて固定する。従来のコッターと比較して、複数段の
傾斜面で接触するため接触面が少なくなり、締め込み時
の摩擦抵抗が少なくなり、ボルトによる締め付け力でも
十分締め付けることができ、さらに傾斜面の傾きを大き
くすることができるので、スペースが少なくても移動量
が確保できる。さらに、締め付け手段をボルト締めにし
ているので、従来のコッターと比べると遥かに緩みにく
い。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、各種容器から流出
する溶鋼流を制御するために用いるスライディングノズ
ル装置におけるプレートれんがの固定装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】連続鋳造装置における取鍋やタンディッ
シュのような容器からの溶鋼の流量を制御するために、
一般的にスライディングノズル装置が使用されている。

【０００３】このスライディングノズル装置は２枚また
は３枚のプレートれんがを相対的にスライドさせ、ノズ
ル孔を開閉することによって溶鋼流量を制御するもので
あり、使用中はプレートれんが間の隙間からの溶鋼の漏
れを防止するために、プレートれんがの面間に大きな圧
力をかけている。この圧力下でプレートれんがを摺動す
るために、この摺動時にプレートれんががはずれないよ
うに金枠で固定されている。

【０００４】この金枠へのプレートれんがの固定手段と
して、縦押さえ方式と横押さえ方式がある。

【０００５】縦押さえ方式は、主としてプレートれんが
の摺動力に対するずれ防止を目的として使用されるもの
で例えば図４に示す構造を有する。

【０００６】同図４に示すように、金枠１は、矩形底板
１１の長辺と短辺にそれぞれ連設された立ち上がり壁１
２、１３，１４，１５を有し、これに、プレートれんが
２を収納したものである。

【０００７】このプレートれんが２の一側端面２１は短
辺側の立ち上がり壁１３の内面に当接されており、他側
端面２２には長手方向に移動自在な矩形ブロックからな
る当てブロック３が当接されている。当てブロック３に
は当てボルト４の一端が掛止され、他端は矩形底板１１
に固着されている当てブロック３に設けられた雌ねじ孔
に螺合され、短辺側の立ち上がり壁１２に設けられた貫
通孔を挿通して外部に導出されている。

【０００８】かかる構成によって、当てボルト４の外部
導出端を回転すると、当てブロック３と立ち上がり壁１
３との間でプレートれんが２を挟圧することができ、プ
レートれんが２を固定することができる。

【０００９】ところが、この図４に示す縦押さえ方式に
おいては、当てボルト４の進出によって発生する押圧力
は、プレートれんが２を長手方向に圧縮する圧縮力とな
って作用するため、プレートれんが２のノズル孔の長手
方向側の位置に幅向の引っ張り応力が発生し、このノズ
ル孔から長手方向に伸延する大きな亀裂が発生する恐れ
がある。また、使用時にプレートれんが２も熱膨張する
が、当てボルト４は、熱膨張せずに相対的に押圧力が上
昇し、上記した亀裂の危険性が増加する。このような亀
裂の発生は、プレートれんが２の寿命を大きく低下する
原因となっている。即ち、プレートれんが２の摺動面
で、相手のプレートれんがのノズル孔及びその周縁の損
傷部位と摺動接触する部分は溶鋼等の影響のため、摩耗
等による損傷が特に激しい部分であり、この部分に亀裂
が入ると、亀裂からの空気の吸い込みによる亀裂の拡大
や、亀裂への溶鋼侵入のため、寿命が短くなったり、さ
らには溶鋼がこの部分から漏れる恐れがある。

【００１０】この縦押さえ方法の欠陥である長手方向の
亀裂の発生を防止するために、図４に示す当てボルト４
をプレートれんがの巾方向にも設け、長さ方向と巾方向
とから同時に押しつける方式のものも考えられている。
これによって、縦方向の押しつけ力を弱くすることがで
きるので、ノズル孔の長手方向側の位置に幅向の引っ張
り応力が減少し、ノズル孔から長手方向ヘの亀裂の発生
を防止する効果があると考えられている。

【００１１】しかしながら、このように、ボルトで締め
付ける方式の場合には、金枠の短辺側と長辺側にボルト
の頭を出し、締め付け作業を行うために締め付けに手問
がかかり、また、装置は２枚または３枚のプレートれん
がをそれぞれ収納する２枚または３枚の金枠を重ねた構
造になっており、ボルトを締め付ける作業スペースを確
保するためには、装置が大きくなってしまう問題もあ
る。

【００１２】さらに、コッターにより締め付ける方式の
場合には、接触面積が大きいため摩擦抵抗が大きくな
り、また、必要スペースも大きくなり、実際の締め付け
は困難であるという問題がある。

【００１３】何れにせよ、プレートれんがの縦と横とを
同時に押しつける固定手段は、プレートれんがの長手方
向の亀裂の発生を防止するために有効でありながら、こ
の問題のために、ほとんど実用化されていないのが現状
である。

【００１４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、締め付け作
業が比較的簡単で、装置自体もコンパクトに形成でき、
その上、一旦締め付けた後、緩みにくいスライディング
ノズル装置におけるプレートれんがの固定装置の実現に
ある。

【００１５】

【課題を解決するための手段】本発明のプレートれんが
の固定装置は、プレートれんがの幅方向側面と金枠の長
辺側の立ち上がり壁との間に複数段の傾斜面を有する作
動子と被動子とからなるコッター機構を設けてなり、こ
のコッター機構のそれぞれは、作動子を長手方向にねじ
駆動することによって被動子をプレートれんが側へ押し
つけるように構成されていることを特徴とする。

【００１６】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、添付図に
示す実施例に基づいて説明する。

【００１７】実施例１ 図１は、本発明の第１の実施の形態に係わるスライディ
ングノズル装置用プレートれんがの固定方法を示す図で
あり、２枚プレート式スライディングノズル装置の下部
摺動プレートれんがへの適用例である。図２は、図１Ａ
−Ａ線から見た図を示す。

【００１８】これらの図において、１は矩形の底板部１
１と、この底板部１１の周縁に立設する短辺立ち上がり
壁１２、１３と長辺立ち上がり壁１４、１５とからなる
金枠を示し、同金枠１内にプレートれんが２が、その突
出部を金枠の貫通孔１６に挿入して収納されている。

【００１９】プレートれんが２の一側端面２１は短辺側
の立ち上がり壁１３の内面に当接されており、他側の端
面２２には長手方向に移動自在な矩形ブロックからなる
当てブロック３の一側面が当接されている。

【００２０】一方、当てブロック３には、進退用の当て
ボルト４の一端が掛止されており、当てボルト４の他端
が矩形底板１１に固着されているねじブロック５に設け
られた雌ねじ孔５１に螺合された後、もう一つの短辺側
の立ち上がり壁１２に設けられた貫通孔を挿通して外部
に導出されている。

【００２１】また、ねじブロック５には作動ボルト８が
螺合され、この作動ボルト８の先端は作動子６に掛止さ
れ、他端は短辺側の立ち上がり壁１２に設けられた貫通
孔を挿通して外部に導出されている。１０は、金枠１と
ねじブロック５の連結ボルトを示す。２０は、プレート
れんが２を摺動するための油圧シリンダーとのジョイン
ト部分を示す。

【００２２】プレートれんがの幅方向側面２３と金枠１
の長辺側の立ち上がり壁１４との間に、複数の傾斜面６
１をもつ作動子６と複数の傾斜面７１をもつ被動子７か
らなるコッター機構を設けている。

【００２３】作動子６は、細長い板状でプレートれんが
側の面に３つの同じ傾斜角度の傾斜面６１を有してお
り、また反対側の面は長辺側の立ち上がり壁１４と接し
ている。

【００２４】この傾斜面は複数個設けることができる
が、設けた傾斜面の傾斜角度は同じほうが幅方向への均
一な押しつけ力が得られるため好ましい。

【００２５】この作動子６の傾斜面側に、３つの同じ傾
斜角度の傾斜面を有する細長い板状の被動子７が、被動
子の傾斜面７１を作動子の傾斜面６１に対向して配置し
ている。

【００２６】この被動子７は、作動ボルト８側の端部に
部分拡大図に示すように、長穴７２を設け、作動子のフ
ック６２が嵌入することで、長手方向への移動に対して
ある程度の自由度を持たせて作動子６に連結されてい
る。

【００２７】また、この被動子の他端７３は、ボルトが
挿通した壁とは反対側の長手方向の動きが拘束されかつ
長手軸とは直角方向に自由に動くように、固定部９に当
接している。

【００２８】この被動子７に設ける複数の傾斜面７１の
傾斜角度は、作動子６と同様に同じほうが好ましく、さ
らに作動子の傾斜角度とも同じほうが、接触面が広く安
定している。

【００２９】次に、図１の金枠１へのプレートれんが２
の着脱方法について説明する。

【００３０】プレートれんが２の金枠１への取り付けに
際しては、その断面を示す図２に示すように、金枠１の
開口に、プレートれんが２の溶鋼の流通孔部分の突出部
２４が嵌合するように、プレートれんが２を装着し、当
てボルト４を締めて、摺動方向にある程度固定した後、
作動ボルト８を締め込む。作動ボルト８の締め込みによ
り、作動子６は図中下方向へ動き、やがて、長手軸方向
に動きを規制された被動子７の傾斜面７１と、当たり始
め、被動子７をプレートれんがの幅方向に押し込んでい
き、プレートれんがの幅方向側面２３を押しつける。さ
らに必要に応じて、摺動方向の固定装置の方を増し締め
することもできる。

【００３１】耐用回数になった使用済みのプレートれん
が２は、スライディングノズル装置本体を開けて金枠１
が露出されることで交換が可能となる。この実施例で
は、交換時の姿勢は、図１の上部が、天井側となる。

【００３２】交換に際しては、まず、作動ボルト８を緩
めると、作動子６が図中上方に動く。作動子６の動き
で、プレートれんが幅方向へのプレートれんがへの押し
つけ力は解かれ、被動子７とプレートれんがの間に隙間
ができる。更に、当てボルト４を緩めることにより、プ
レートれんがは外すことができる。

【００３３】このように、作動子６と被動子７とによる
コッター機構でプレートれんが２を金枠１の壁へ押しつ
けている。従来のコッターと比較して、複数段の傾斜面
で接触するため接触面が少なくなり、締め込み時の摩擦
抵抗が少なくなり、ボルトによる締め付け力でも十分締
め付けることができ、さらに傾斜面の傾きを大きくする
ことができるので、スペースが少なくても移動量が確保
できる。

【００３４】さらに、締め付け手段をボルト締めにして
いるので、従来のコッターと比べると遥かに緩みにく
い。

【００３５】従って、作動子と被動子を小さくすること
が可能であり、装置が軽量コンパクトになる。さらに、
プレートれんがの形状を変えることで、従来の金枠を少
し改造するのみで作動子と被動子を取り付けることがで
きるので、ユーザーが現有しているスライディングノズ
ル装置をそのまま使用することもできる。

【００３６】実施例２ 第３図は、本発明の第２の実施例を示す。この例は、実
施例１の図１に示すように、プレートれんが２の幅方向
側面２３と被動子７との当たり面が摺動方向に平行にな
っていない例を示す。この場合のプレートれんが２は、
片側のコーナー２５を大きく切り欠いている。この例の
場合、第１の実施例に比べ、作動子６および被動子７の
剛性を高く保つことができ、耐久性に優れた部品とする
ことができる。

【００３７】本実施例の場合、２枚プレート式のスライ
ディングノズル装置の下部プレートれんがと摺動金枠を
例に挙げて説明したが、本発明は、上部プレートれんが
の固定金枠への固定にも、また、３枚プレート式スライ
ディングノズル装置の中間プレートれんがの摺動金枠へ
の固定にも適用できることは当然である。

【００３８】

【発明の効果】

（１） 作動子と被動子とによるコッター機構でプレー
トれんがを金枠の壁へ押しつけるだけで、プレートれん
がを横方向に固定することができるので、作業がしやす
く、その上、コンパクトな装置により、締め付けが緩み
にくいプレートれんがを固定することができる。

【００３９】（２） 従来のコッターと比較して、複数
段の傾斜面で接触するため接触面が少なくなり、締め込
み時の摩擦抵抗が少なくなり、ボルトによる締め付け力
でも十分締め付けることができ、さらに傾斜面の傾きを
大きくすることができるので、スペースが少なくても移
動量が確保できる。

【００４０】（３） 従って、作動子と非動子を小さく
することが可能であり、装置が軽量コンパクトになる。
さらに、プレートれんがの形状を変えることで、従来の
金枠を少し改造するのみで作動子と非動子を取り付ける
ことができるので、ユーザーが現有しているスライディ
ングノズル装置をそのまま使用することもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の第１の実施例を示す平面図である。

【図２】 図１のＡ−Ａ線から見た図である。

【図３】 本発明の第２の実施例を示す。

【図４】 従来のプレートれんがの固定手段を示す。

【符号の説明】

１ 金枠 １１ 底板部 １２ 短辺立ち上がり壁 １３ 短辺立ち上がり壁 １４ 長辺立ち上がり壁 １５ 長辺立ち上がり壁 １６ 貫通孔 ２ プレートれんが ２０ 油圧シリンダーとのジョイント部分 ２１、２２ 端面 ２３ 幅方向側面 ２４ 溶鋼の流通孔部分の突出部 ２５ コーナー ３ 当てブロック ４ 当てボルト ５ ねじブロック ５１ 雌ねじ孔 ６ 作動子 ６１ 傾斜面 ６２ フック ７ 被動子 ７１ 傾斜面 ７２ 長穴 ７３ 被動子の他端 ８ 作動ボルト ９ 固定部 １０ 連結ボルト

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 スライディングノズル装置においてプレ
   ートれんがを金枠ヘ押しつけて固定するプレートれんが
   の固定装置であって、 プレートれんがの幅方向側面と金枠の長辺側の立ち上が
   り壁との間に複数段の傾斜面を有する作動子と被動子と
   からなるコッター機構を設けてなり、 このコッター機構のそれぞれは、作動子を長手方向にね
   じ駆動することによって被動子をプレートれんが側へ押
   しつけるように構成されていることを特徴とするプレー
   トれんがの固定装置。