JPH1157823A - 圧延機のロールアライメント調整装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 極めて簡単な操作で、正確に複数の孔型ロー
ルのアライメントを調整できる調整装置を提供する。 【解決手段】 孔型ロール１〜４を回転自在に支持した
偏心軸５の一端に当接して、偏心軸５を押し込む調整軸
４０と、偏心軸５を反対向きに押し込むバネ手段６０と
からなり、調整軸４０がハウジング６に形成した雌ねじ
部に螺合して螺進自在であって、偏心軸５の一端に円錐
状に形成された受圧面５３に当接するテーパ状の押圧面
４３が設けられている。調整軸４０を螺進させるとテー
パ状の押圧面４３が受圧面５３を押して、偏心軸５を軸
方向へ微動させ、アライメントを調整できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、圧延機のロールア
ライメント調整装置に関する。さらに詳しくは、複数の
孔型ロールで棒材や線材を圧延していく線材圧延機にお
いて、圧延機の組立時、あるいはサイズ替えや摩耗時に
おけるロールの交換時に、各ロールのアライメントを調
整するロールアライメント調整装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のロールアライメント調整方法とし
て、実公平８−１０４２３号公報に記載された、シム
（厚さ調整用の薄板）をロール側面とハウジングの間に
挟む方法がある（従来例Ｉ）。このシムを用いる方法
は、最初に予測してセットをし、芯ズレの有無を計測し
た後、分解し再度シムを入れ替え、この作業を繰り返
し、芯ズレが無くなると最終組立を行うものである。ま
た、特公平４−１６２４３号公報に記載された調整装置
（従来例II）は、図５に示すように偏心軸106 にロール
103 を挟んで２個のボックス112 を取付け、このボック
ス112 内に偏心軸106 と並行にピン118 を挿入し、各ピ
ン118 の一端をハウジング102 に押し当て、このピン11
8 に対し直交するように操作軸122 をボックス112 内に
挿入し、この操作軸122 の先端の偏心端121 を前記ピン
118 に係合させたものであり、２個の操作軸122 を回転
させて、ピン118 を押し引きして、２個のボックス112
を偏心軸106 と平行に移動させ、ロール103 をパスライ
ンに合わせるよう調整するものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】したがって、前記従来
例Ｉでは、何度も分解、計測、組立てを行わなければな
らないので、非常に手間のかかるものであった。また、
従来例IIでも、ロール103 の両側の２個の操作軸122 を
同時に操作しなければならず、しかも一方を引き他方を
押すように異なる動作をしなければならないので、面倒
であり、２個のボックス112 間に少しでも隙間がある
と、直ちに芯ズレが生ずるという問題がある。

【０００４】しかし、２個、３個、あるいは４個の孔型
ロールの芯がパスラインを中心として完全に合っていな
いと、圧延して得られた棒線材の断面形状は円形になら
ず、寸法精度も低下することはいうまでもない。そこ
で、本発明は、極めて簡単な操作で、正確に複数の孔型
ロールのアライメントを調整できる調整装置を提供する
ことを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１の圧延機のロー
ルアライメント調整装置は、棒線材が通るパスラインを
中心として、その周りに円周方向等間隔に配置した複数
個の孔型ロールと、該孔型ロールのそれぞれを回転自在
に支持した偏心軸とを備えた圧延機において、前記孔型
ロールのアライメント調整装置が、前記偏心軸の一端に
当接して、該偏心軸を軸方向他端側に押し込む調整軸
と、前記偏心軸の他端に取り付けられ、該偏心軸を軸方
向一端側に押し込み付勢するバネ手段とからなることを
特徴とする。請求項２の圧延機のロールアライメント調
整装置は、前記調整軸がハウジングに形成した雌ネジ部
に螺合して螺進自在であって、前記偏心軸の一端で該偏
心軸の軸心に直交する向きに配置されており、前記偏心
軸の一端は円錐状に形成された受圧面が設けられ、この
受圧面に当接する前記調整軸の中間部はテーパ状に形成
された押圧面が設けられていることを特徴とする。請求
項３の圧延機のロールアライメント調整装置は、前記バ
ネ手段が、前記偏心軸に取り付けられたバネ支持軸と、
該バネ支持軸に挿入された複数枚の皿バネと、該皿バネ
を収容しハウジングに形成した雌ネジ部に螺合して前記
皿バネの圧縮・解放方向に螺進自在なバネ収納筒とから
なることを特徴とする。

【０００６】請求項１の発明によれば、偏心軸の他端か
らはバネ手段によって押圧付勢されているので、調整軸
の押し込み操作のみによって、ロールの孔をパスライン
に合わせるようアライメント調整できるので、操作が簡
単である。請求項２の発明によれば、調整軸のねじ込み
回転量を大きくとっても、調整軸のテーパ状の押圧面が
偏心軸の円錐状の受圧面を押し込む量は微量であるの
で、アライメントの微調整が容易であり、また、バネ手
段による付勢力に抗する押圧面の抵抗力が大きいのでバ
ネ手段によって芯ズレが生ずることはない。請求項３の
発明によれば、バネ収納筒のねじ込みにより皿バネをの
弾発力を調節できるので、サイズ替えその他によりロー
ル位置を変えても同一のバネ付勢力を与えることができ
る。

【０００７】

【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施形態を図面
に基づき説明する。図１は本発明の一実施形態に係るロ
ールアライメント調整装置を示す断面図、図２は同アラ
イメント調整装置の要部拡大図、図３は本発明が適用さ
れる４ロール圧延機の正面図、図４も同４ロール圧延機
の正面図である。

【０００８】まず、図３〜４により本発明が適用される
４ロール圧延機の基本構成を説明する。１、２はパスラ
インの上下に配置された一対の水平ロールであり、３、
４はパスラインの左右に設置された垂直ロールである。
これらの水平ロール１、２と垂直ロール３、４は互いに
直交して配置され、各孔型ロール１〜４によって棒線材
が縮径されるように圧延され、所望の最終径に仕上げら
れる。前記各孔型ロール１〜４は、いずれも偏心軸５に
よってハウジング６に回転自在に支持されている。

【０００９】図１にも示すように、偏心軸５の両端支持
部５１は軸受ブッシュ７を介してハウジング６に回転自
在に支持されており、中央支持部５２は２個の軸受８を
介してロール保持筒９に回転自在に保持され、このロー
ル保持筒９に孔型ロール１〜４が１個ずつ保持されてい
る。なお、ロール保持筒９の一端には回転駆動力を受け
るための外歯車１０が形成されている。

【００１０】図３〜４に示すように、前記偏心軸５の一
端には、ウォームホイール１１が一体に形成されてお
り、このウォームホイール１１の外周にはウォーム１２
が噛み合っている。このウォーム１２を設けた調整軸２
２を連結軸を介して調整レバー２０、３０で回転させる
とウォームホイール１１が数十分の一に減速して回転
し、偏心軸５も回転することになる。この場合、偏心軸
５の両端支持部５１と中央保持部５２は互いに偏心して
いるので、中央保持部５２の公転にともなってロール１
〜４の圧下量が調節される。

【００１１】つぎに、図１〜２に基づき、ロールアライ
メント調整装置の詳細を説明する。前記偏心軸５の一端
（図１の下端）は、図２にも拡大して示すように、円錐
状に形成された受圧面５３が形成されている。この偏心
軸５の軸心に直交し、受圧面５３に接触する位置に調整
軸４０が配置されている。調整軸４０は、基端側に雄ネ
ジ部４１と工具挿入穴４２が形成され、中間部にテーパ
状に形成された押圧面４３が形成されている。調整軸４
０の雄ネジ部４１は、ハウジング６に形成された雌ネジ
孔６１に螺合され、ロックナット４４で固定されるよう
になっている。また、調整軸４０の先端部４５はハウジ
ング６に固定されたブッシュ６２に挿入され軸心を固定
し、かつ回転自在に保持されている。したがって、上記
ロックナット４４を緩め、工具挿入穴４２にハンドルを
挿入して、この調整軸４０を回転させると、調整軸４０
は螺進して、軸方向に変位する。この結果、調整軸４０
を矢印ａ方向に押し込むと、押圧面４３が受圧面５３を
押して、偏心軸５を矢印ｂ方向に変位させる。

【００１２】一方、図１に示すように、偏心軸５の他端
には、バネ手段６０が設けられている。すなわち、バネ
支持軸６１が同心に形成され、これに皿バネ６２が適数
枚挿入されるようになっている。そして、皿バネ６２を
収容するバネ収容筒６３が設けられ、その皿バネ収容筒
６３には雄ネジ部６４が同軸に固定されている。この雄
ネジ部６４はハウジング６に固定した取付板６５の雌ネ
ジ孔６６に螺合されロックナット６７で固定されてい
る。６８は雄ネジ部６４の他端に形成した工具挿入穴で
ある。

【００１３】前記皿バネ６２は、常時偏心軸５を軸方向
に押し込んでおり、他端側の受圧面５３と押圧面４３を
当接させている。したがって、ロールの芯ズレが稼動中
に生ずることはない。また、前記調整軸４０をねじ戻し
たときは、皿バネ６２の付勢力によって、偏心軸５が図
２の矢印ｂと反対方向に押し込まれる。

【００１４】上記の構成により、調整軸４０を、ねじ込
み下方に螺進させるとテーパ状の押圧面４３はその軸心
に直交方向の分力によって偏心軸５を矢印ｂ方向に押し
進めることができ、逆に調整軸４０をねじ戻すと、皿バ
ネ６２の付勢力によって偏心軸５が矢印ｂと反対方向に
押し戻される。よって、本実施形態では、調整軸４０の
ねじ込み加減のみによって、ロール１〜４のアライメン
トを調節することができる。

【００１５】なお、前記バネ手段６０では、そのロック
ナット６７を緩めて、バネ収納筒６３の雄ネジ部６４を
締め込んだり緩めたりすると、皿バネ６２の付勢力が加
減できるので、サイズ替えその他によりロール位置を変
えた場合でも、一定のバネ力が出せるようになってい
る。

【００１６】上記の実施形態は４ロール圧延機であった
が、２ロール圧延機や３ロール圧延機にも、本発明のア
ライメント調整装置を適用することができる。

【００１７】

【発明の効果】請求項１の発明によれば、偏心軸の他端
からはバネ手段によって押圧付勢されているので、調整
軸の押し込み操作のみによって、ロールの孔をパスライ
ンに合わせるよう調整できるので、操作が簡単である。
請求項２の発明によれば、調整軸のねじ込み回転量を大
きくとっても、調整軸のテーパ状の押圧面が偏心軸の円
錐状の受圧面を押し込む量は微量であるので、アライメ
ントの微調整が容易である。請求項３の発明によれば、
バネ収納筒のねじ込みにより皿バネをの弾発力を調節で
きるので、ロール位置を変えても同一のバネ付勢力を与
えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係るロールアライメント
調整装置を示す断面図である。

【図２】同アライメント調整装置の要部拡大図である。

【図３】本発明が適用される４ロール圧延機の正面図で
ある。

【図４】同４ロール圧延機の正面図である。

【図５】従来のロールアライメント調整装置の断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 水平ロール ２ 水平ロール ３ 垂直ロール ４ 垂直ロール ５ 偏心軸 ４０ 調整軸 ４３ 押圧面 ５３ 受圧面 ６０ バネ手段 ６２ 皿バネ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丹下 武志 愛媛県新居浜市惣開町５番２号 住友重機 械工業株式会社新居浜製造所内 (72)発明者 武田 了 岡山県倉敷市水島川崎通１丁目 川崎製鉄 株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 金堂 秀範 東京都千代田区内幸町２丁目２番３号 川 崎製鉄株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】棒線材が通るパスラインを中心として、そ
   の周りに円周方向等間隔に配置した複数個の孔型ロール
   と、該孔型ロールのそれぞれを回転自在に支持した偏心
   軸とを備えた圧延機において、前記孔型ロールのアライ
   メント調整装置が、前記偏心軸の一端に当接して、該偏
   心軸を軸方向他端側に押し込む調整軸と、前記偏心軸の
   他端に取り付けられ、該偏心軸を軸方向一端側に押し込
   み付勢するバネ手段とからなることを特徴とする圧延機
   のロールアライメント調整装置。
2. 【請求項２】前記調整軸がハウジングに形成した雌ネジ
   部に螺合して螺進自在であって、前記偏心軸の一端で該
   偏心軸の軸心に直交する向きに配置されており、前記偏
   心軸の一端は円錐状に形成された受圧面が設けられ、こ
   の受圧面に当接する前記調整軸の中間部はテーパ状に形
   成された押圧面が設けられていることを特徴とする請求
   項１記載のロールアライメント調整装置。
3. 【請求項３】前記バネ手段が、前記偏心軸に取り付けら
   れたバネ支持軸と、該バネ支持軸に挿入された複数枚の
   皿バネと、該皿バネを収容しハウジングに形成した雌ネ
   ジ部に螺合して前記皿バネの圧縮・解放方向に螺進自在
   なバネ収納筒とからなることを特徴とする請求項１記載
   のロールアライメント調整装置。