JPH1157494A - マイクロカプセル状光触媒体及びその製造方法、塗料組成物、樹脂組成物並びに樹脂体 - Google Patents

マイクロカプセル状光触媒体及びその製造方法、塗料組成物、樹脂組成物並びに樹脂体

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JPH1157494A
JPH1157494A JP9223610A JP22361097A JPH1157494A JP H1157494 A JPH1157494 A JP H1157494A JP 9223610 A JP9223610 A JP 9223610A JP 22361097 A JP22361097 A JP 22361097A JP H1157494 A JPH1157494 A JP H1157494A
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JP
Japan
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microcapsule
resin
shaped photocatalyst
powder
metal oxide
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JP9223610A
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English (en)
Inventor
Takashi Osugi
高志 大杉
Satoshi Tamaki
聡史 玉木
Tsutomu Minami
努 南
Masahiro Tatsumisuna
昌弘 辰巳砂
Seiji Tadanaga
清治 忠永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光半導性物質が固定化されているにも係わら
ず、優れた光触媒性能を発揮し、かつ光半導性能の持続
性に優れた光半導体及びその製造方法を得る。 【解決手段】 アナターゼ型酸化チタンなどの光半導性
粉体を懸濁した有機溶媒と、金属化合物とを混合し、そ
れによって、光半導性粉体が多孔質金属酸化物で被覆さ
れているマイクロカプセル状光触媒体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多孔質物質よりな
る被覆内に光半導性粉体を含むマイクロカプセル状光触
媒体及びその製造方法、並びに及びマイクロカプセル状
光触媒体を用いた塗料組成物、樹脂組成物及び樹脂体に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光半導性物質の光触媒作用が、水
の光分解等の化学反応の触媒としてだけでなく、水中や
空気中の環境汚染物質の分解除去、脱臭、殺菌などの多
くの用途で注目を集めている。
【0003】例えば、特開平5−154473号公報に
は、流体に含まれている有機物の酸化分解や細菌の殺菌
を効果的に行う方法として、酸化チタンなどの光半導性
物質の光触媒作用を用いた光化学反応処理方法が開示さ
れている。
【0004】従来の抗菌剤を用いた殺菌方法では、抗菌
性能の持続性が十分でないこと、抗菌剤を基材に混合し
てなる構造では、抗菌剤の添加により基材の耐候性が低
下すること、並びに薬剤の流出により安全性が問題とな
ることなど、多くの問題があった。これに対して、上記
先行技術に記載の処理方法では、抗菌剤を用いる必要が
なく、光半導性物質の光触媒作用によって殺菌を行うた
め、上述した種々の問題点を解消することができると考
えられている。
【0005】他方、光触媒として用いられる光半導性物
質は、一般に微粉末状である。従って、環境汚染物質の
分解除去、脱臭または殺菌等の用途に利用する場合に
は、微粉末状の光半導性物質は使用後に被処理物質から
除去されなければならないので、微粉末状光半導性物質
の固定化が試みられている。すなわち、微粉末状光半導
性物質を各種基材に担持させて固定化する試みが成され
ている。例えば、特開平7−232080号公報には、
セラミック、樹脂または金属からなる基材上に、バイン
ダー層を形成し、バインダー層上に光半導性物質よりな
る光触媒粒子層を固定してなる光触媒機能を有する機能
材が開示されている。
【0006】特開平7−232080号公報に記載の方
法によれば、バインダー層表面に光触媒層が固定されて
いるため、流体等を処理した後に、被処理物質としての
流体等に粉末状光半導性物質が混入することがない。
【0007】しかしながら、上記バインダー層を一般の
有機合成樹脂で構成した場合、長期間の間にバインダー
成分が劣化し、表面に固定されている光触媒層すなわち
光半導性物質粒子が失われ、被処理物質中に混入すると
いう問題があった。
【0008】また、光半導性粉体を有機ポリマーなどの
担体中に分散させて用いる方法も提案されているが、光
半導性物質が発生するラジカルの影響により、経時と共
に、担体や基材が劣化するという問題があった。
【0009】そこで、上記のような問題を解決するため
に、特開平4−284851号公報には、光半導性物質
粉末とフッ素系樹脂バインダーとを混合してなる混合層
を多孔性ニッケルからなる基材表面に形成してなる光触
媒性能を有する機能材料が開示されている。ここでは、
フッ素系樹脂バインダーを用いることにより経時による
上記バインダー層の劣化を防止することが可能とされて
いる。
【0010】しかしながら、特開平4−284851号
公報に記載の機能材では、バインダー層を構成する樹脂
が高価なフッ素系樹脂に限られるため、バインダーを構
成する樹脂の材料選択の幅を拡げ得るような光触媒性能
を有する機能材料の登場が望まれている。
【0011】また、酸化チタンなどの光半導体作用を有
する粉体を顔料として用いる場合には、基材や担体の劣
化を防止するために、粉体表面をシリカやアルミナなど
の無機化合物で被覆する方法が用いられている。このよ
うな無機化合物による被覆を用いれば、基材や担体の劣
化を防止することができるが、逆に、光による触媒作用
を得ることができない。
【0012】さらに、光半導体粉末を被処理物質中に直
接混入する方法では、光半導体粉末が露出した状態で存
在することになるため、一般の触媒の場合と同様に、触
媒表面が被毒され、活性が低下するおそれがある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来技術の諸欠点を解消し、光半導性物質が固定化
されているにも係わらず、優れた光触媒性能を発揮し、
かつ該光触媒性能の持続性に優れ、さらに担体や基材等
を劣化させ難いマイクロカプセル状光触媒体を提供する
ことにある。
【0014】また、本発明の他の目的は、上記のような
光触媒性能に優れ、かつ該光触媒性能の持続性に優れた
マイクロカプセル状光触媒体を用いた塗料組成物、樹脂
組成物及び樹脂体を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、光半導性粉体を懸濁した有機溶媒、金属化合物及び
該金属化合物の硬化触媒を混合して得られる、多孔質金
属酸化物により被覆された光半導性物質からなることを
特徴とするマイクロカプセル状光触媒体である。
【0016】請求項2に記載の発明は、前記マイクロカ
プセル状光触媒体のゼータ電位測定により決定される等
電点が、前記多孔質金属酸化物自身が示す等電点の範囲
にあることを特徴とする。
【0017】請求項3に記載の発明は、上記金属化合物
の主成分として、アルコキシシランを用いたことを特徴
とする。請求項4に記載の発明は、上記金属化合物とし
て、ジルコニウム化合物が含まれていることを特徴とす
る。
【0018】請求項5に記載の発明は、上記光半導性粉
体として、アナターゼ型酸化チタンを用いたことを特徴
とする。請求項6に記載の発明は、前記光半導性粉体が
酸化チタンであり、前記金属化合物の主成分がアルコキ
シシランであり、かつ前記マイクロカプセル状光触媒体
のゼータ電位測定により決定される等電点がpH1.5
〜3.5の範囲にあることを特徴とする請求項2に記載
のマイクロカプセル状光触媒体である。
【0019】請求項7に記載の発明は、請求項1または
2に記載のマイクロカプセル状光触媒体の製造方法であ
り、光半導性粉体を、金属化合物を溶解してなる有機溶
媒中に分散させた状態で、前記金属化合物を加水分解す
ることにより、光半導性粉体表面に多孔質金属酸化物皮
膜を析出させることを特徴とする。
【0020】また、請求項8に記載の発明は、請求項1
または2に記載のマイクロカプセル状光触媒体の製造方
法であり、前記光半導性粉体を、金属化合物を溶解して
なる有機溶媒に酸性の触媒を添加して得られるゾル溶液
中に浸漬した後、光半導性粉体を該ゾル溶液から分離す
ることにより前記光半導性粉体表面に多孔質金属酸化物
皮膜を形成することを特徴とする。
【0021】請求項9に記載の発明は、請求項1または
2に記載のマイクロカプセル状光触媒体の製造方法であ
って、一般式R1 Si(OR2 3 (R1 はメチル基以
外の炭素数1以上の置換または非置換の炭化水素基を表
し、R2 は置換または非置換のアルキル基を表す)で示
されるオルガノトリアルコキシシランを酸性触媒の存在
下に加水分解した後に中和し、その後テトラアルコキシ
シラン及び光半導性粉体を分散させたアルコール分散液
を添加し、さらに塩基性触媒を加えて光半導性粉体表面
に金属酸化物皮膜を析出させた後に焼成することを特徴
とする。
【0022】また、請求項10に記載の発明は、請求項
7に記載のマイクロカプセル状光触媒体の製造方法にお
いて、上記金属化合物としてメチルトリアルコキシシラ
ンを用い、硬化触媒としてアンモニア水を用い、前記金
属酸化物皮膜を調製した後に焼成することにより多孔性
を発現させることを特徴とする。
【0023】請求項11に記載の発明は、無機塗料、シ
リコーン樹脂塗料またはフッ素樹脂系塗料中に、請求項
1〜6の何れかに記載のマイクロカプセル状光触媒体を
含有させたことを特徴とする塗料組成物である。
【0024】請求項12に記載の発明は、合成樹脂中に
請求項1〜6の何れかに記載のマイクロカプセル状光触
媒体が含有されていることを特徴とする樹脂組成物であ
る。請求項13に記載の発明では、上記合成樹脂とし
て、ビニル系(共)重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ホルムアルデヒド樹
脂、アリル樹脂及びエポキシ樹脂からなる群より選択さ
れる1種もしくは2種以上の樹脂が含有されていること
を特徴とする。
【0025】請求項14に記載の発明は、マイクロカプ
セル状光触媒体の少なくとも一部が、請求項12または
13に記載の樹脂組成物よりなる樹脂表面に露出した状
態で固定されていることを特徴とする樹脂体である。
【0026】以下、本発明の詳細を説明する。光半導性粉体 本発明で用いられる上記光半導性粉体は、光触媒活性を
有する化合物の粉体であれば特に限定されるものではな
く、例えば、酸化亜鉛、二酸化チタン(以下、酸化チタ
ンと略記する。)、酸化タングステン、チタン酸ストロ
ンチウム、酸化第二鉄などの金属酸化物;硫化亜鉛、硫
化カドミウム、硫化鉛、セレン化亜鉛、セレン化カドミ
ウムなどの金属カルコゲナイド;シリコン、ゲルマニウ
ムなどの第IV属元素;ガリウム−リン、ガリウム−ヒ
素、インジウム−リンなどのIII−V属化合物;ポリ
アセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニ
リン、ポリビニルカルバゾールなどの有機半導体などか
らなるものを挙げることができる。
【0027】上記光半導性粉体のうち、実用的な面から
は、酸化チタン、酸化タングステン等の金属酸化物を用
いることが好ましい。中でも、酸化チタンは入手が容易
であるため利用し易く、アモルファス、ルチル型、アナ
ターゼ型などの何れの種類のものも使用することができ
る。もっとも、特に抗菌作用を発揮させるためには、請
求項5に記載のように、アナターゼ型酸化チタンが抗菌
作用に優れているため、最も好ましい。
【0028】また、一般に白色顔料として使用されてい
る酸化チタンは、多くの場合、表面がアルミナやシリカ
で完全にコーティングされているため光触媒作用が低
く、好ましくはない。
【0029】上記光半導性粉体は単独で用いられてもよ
く、2種以上併用されてもよい。また、光触媒性を高め
るには、後述の導電性物質等を光半導性粉体に添加して
もよい。
【0030】上記光半導性粉体の形状及び大きさについ
ても特に限定されるものではないが、カプセル化するに
は、好ましくは、平均粒径1nm〜10μmのものが用
いられる。
【0031】有機溶媒 請求項1に記載の発明における有機溶媒としては、金属
化合物及び必要に応じて添加される後述の硬化触媒と相
溶性の有するものである限り、特に限定されず、例え
ば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピ
ルアルコール、エトキシエチルアルコール、アリルアル
コール、エチレングリコールなどのアルコール類;アセ
トンなどのケトン類;エチレンオキシド、トリエタノー
ルアミン、キシレンなどを用いることができる。
【0032】金属化合物 請求項1に記載の発明では、上記光半導性粉体を懸濁し
てなる有機溶媒と、金属化合物とが混合されるが、この
金属化合物としては、一般的なゾルゲル法により多孔質
金属酸化物膜を形成することが可能な材料であり、かつ
膜を形成した際に有機材料を劣化するような触媒作用を
発現しないものであれば特に限定されるものではない。
例えば、有機金属化合物、金属無機化合物(例えば、金
属の硝酸塩、オキシ塩化物、塩化物など)、金属酸化物
ゾルなどを用いることができる。中でも、多孔質で均一
な重合体を生成し易いため、有機金属化合物が好適に用
いられる。
【0033】上記有機金属化合物としては、例えば、金
属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、金属有機
酸塩などを挙げることができ、さらに好ましくは、加水
分解と重合反応により金属酸化物を生成し易く、かつ一
般的にゾルゲル反応に慣用されている金属アルコキシド
が好ましい。
【0034】上記金属アルコキシドとしては、例えば、
アルコキシシラン、ジルコニウムアルコキシド、アルミ
ニウムアルコキシド、ニオブアルコキシド、バリウムア
ルコキシド、ストロンチウムアルコキシド、インジウム
アルコキシド、錫アルコキシド、チタンアルコキシドな
どを挙げることができる。これらの金属アルコキシドは
単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
【0035】特に、アルコキシシランは、取り扱いが簡
便であるため好適に用いられる。さらに、耐薬品製とし
て耐アルカリ性が要求される用途に用いる場合には、金
属酸化物膜中にジルコニアを含有させておくことが好ま
しく、従って、金属化合物の金属成分として少なくとも
ジルコニアを含むもの、従って、金属化合物として、ジ
ルコニウム化合物を用いることが望ましい。
【0036】前記アルコキシシランとして用い得る化合
物についても、特に限定されるものではなく、一般式S
i(OR)4で示される、テトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テ
トラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキ
シシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−
tert−ブトキシシラン;一般式RSi(OR)3
示される、モノメチルトリメトキシシラン、モノメチル
トリエトキシシラン、モノメチルトリ−n−プロポキシ
シラン、モノメチルトリ−iso−プロポキシシラン、
モノメチルトリ−n−ブトキシシラン、モノメチルトリ
−sec−ブトキシシラン、モノメチルトリ−tert
−ブトキシシラン、エチルトリエトキシシラン;一般式
2Si(OR)2で示される、ジメチルジメトキシシラ
ン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロ
ポキシシラン、ジメチルジ−iso−プロポキシシラ
ン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−s
ec−ブトキシシラン、ジメチルジ−tert−ブトキ
シシラン、ジエチルジエトキシシラン;一般式R3Si
(OR)で示される、トリメチルモノメトキシシラン、
トリエチルモノエトキシシラン、トリメチルモノ−n−
プロポキシシラン、トリメチルモノ−iso−プロポキ
シシラン、トリメチルモノ−n−ブトキシシラン、トリ
メチルモノ−sec−ブトキシシラン、トリメチルモノ
−tert−ブトキシシラン、トリエチルエトキシシラ
ン等が挙げられる。
【0037】なお、上記一般式中、Rは置換または非置
換のアルキル基、ORはアルコキシル基を示す。これら
は単独及び混合して用いられてもよいが、光触媒による
有機物の分解を考慮すると、硬化後、残存する有機量が
少なくなる一般式Si(OR)4で示されるアルコキシ
シランが好ましく、反応性の点から、テトラメトキシシ
ラン、テトラエトキシシランが特に好ましい。
【0038】また、請求項9に記載の発明のように皮膜
形成後に焼成することにより多孔性を発現させる場合に
は、重合反応後も有機基が残存することが好ましく、こ
の有機基の残存性及び反応性を考慮すると、R1 Si
(OR2 3 を用いることが好ましい。ここで、R1
メチル基以外の炭素数1以上の置換または非置換の炭化
水素基を示し、R2 は置換または非置換のアルキル基を
示す。
【0039】また、膜成分にジルコニアを含有させるた
めに使用するジルコニウム化合物としては、例えば、ジ
ルコニウムメトキシド、ジルコニウムエトキシド、ジル
コニウム−n−ブトキシド、ジルコニウム−iso−プ
ロポキシド等のジルコニウムアルコキシド;ジルコニウ
ムテトラアセチルアセテート、ジルコニウムトリブトキ
シモノアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシ
ジアセトネート、ジルコニウムアセテート等の有機ジル
コニウム化合物;オキシ塩化ジルコニウム等のジルコニ
ウム無機化合物が挙げられる。これらジルコニウム化合
物単体で膜形成を行ってもよく、上記アルコキシシラン
等との混合物から膜を形成してもよい。
【0040】硬化触媒 本発明においては、上記金属化合物の加水分解反応を促
進し、金属酸化物の重合を進行させるために、硬化触媒
を使用してもよい。硬化触媒としては、上記金属化合物
を加水分解し得るものであれば特に限定されず、一般に
水溶液とした際に酸性もしくは塩基性を示す化合物が、
酸性水溶液もしくは塩基性水溶液の状態で用いられる。
上記酸性種としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸などの
1種もしくは2種以上を用いることができ、塩基性種と
しては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸カリウム
などの1種もしくは2種以上を用いることができる。特
に、有機金属化合物を用いて光半導性粉体の有機溶媒懸
濁中で多孔質金属酸化物を析出させる場合には、上記塩
基性種を含む塩基性触媒が好適に用いられる。
【0041】また、上記硬化触媒については、請求項7
または8に記載の製造方法を採用する場合には、使用す
る硬化触媒が限定されることがある。例えば、請求項7
に記載の発明に係る製造方法では、光半導性粉体を金属
化合物を溶解してなる有機溶媒中に分散させた状態で、
金属化合物を加水分解することにより光半導性粉体表面
に多孔質金属酸化物皮膜を析出させるが、上記塩基性の
硬化触媒種を利用すると、析出反応を効率よく進行させ
ることができる。加水分解を受けやすい金属化合物、例
えば、金属アルコキシドの場合には、硬化触媒及び水を
用いることなく空気中の水分を利用して金属酸化物皮膜
を析出させることもできる。しかしながら、請求項7に
記載の発明に係る製造方法では、酸性の硬化触媒を用い
ると、金属酸化物皮膜が析出せず、従ってこの方法では
酸性の硬化触媒は用いることができない。
【0042】他方、請求項8に記載の発明に係る製造方
法では、金属化合物を溶解した有機溶媒に酸性触媒を添
加して得られるゾル溶液中に光半導性粉体を浸漬した
後、光半導性粉体をゾル溶液より分離することにより、
光半導性粉体表面に金属酸化物皮膜を形成するが、この
場合には、上記の通り硬化触媒として酸性の硬化触媒を
用いることが好ましい。塩基性の硬化触媒を用いると、
光半導性粉体表面が処理されない恐れがあり、良好な金
属酸化物皮膜を形成することができなくなる。
【0043】また、請求項10に記載の発明では、後述
の理由により、硬化触媒としてアンモニア水が用いられ
るなお、本発明において、上記金属化合物を加水分解さ
せるためには水分が必要であるが、この水分については
上記任意成分としての硬化触媒水溶液により添加されて
もよく、あるいは前述した有機溶媒中に予め添加してお
いてもよい。また、加水分解が進行し易い系の場合に
は、空気中の水分を利用してもよく、その場合には、予
め有機溶媒中に水を添加する必要がない。
【0044】ゼータ電位 本発明に係るマイクロカプセル状光触媒体では、好まし
くは、該マイクロカプセル状光触媒体のゼータ電位測定
により決定される等電点が、上記マイクロカプセルの被
膜を形成している多孔質金属酸化物自身が示す等電点の
範囲とされる。
【0045】すなわち、本発明に係るマイクロカプセル
状光触媒体における多孔質金属酸化物による被覆状態を
表す指標として、請求項2に記載の発明では上記ゼータ
電位の測定により決定される等電点が上記特定の範囲と
されている。
【0046】ゼータ電位とは、電解質中に粉体粒子を分
散して相対運動を起こさせた際に、粒子と液面との界面
近傍で生じるすべり面での電位をいい、等電点とは、ゼ
ータ電位が0の状態を示す。ゼータ電位及び等電点の測
定方法は、電気泳動法、流動電位法、振動電位法、沈降
電位法、電気浸透法などの一般的に知られた方法で測定
することができる。このゼータ電位及び等電点並びにこ
れらの測定方法については、例えば、北原文雄共著「ゼ
ータ電位」(サイエンティスト社発行)などに記載され
ている。
【0047】請求項2に記載のように、マイクロカプセ
ル状光触媒体のゼータ電位測定による等電点が、被膜を
構成している金属酸化物自身が示す等電点の範囲にある
と、マイクロカプセル状光触媒体の被覆状態が良好であ
ることがわかる。すなわち、光半導性粉体の等電点と、
被膜を構成している金属酸化物の等電点とは一般的に異
なるため、マイクロカプセル状光触媒体の等電点が金属
酸化物の等電点の範囲にある場合には、光半導性粉体の
全外表面が金属酸化物により確実に被覆されていること
を意味する。
【0048】なお、代表的な金属酸化物の等電点につい
ては、例えば、「化学便覧改訂第3版」(丸善株式会社
発行)などに記載されているが、本発明においては、使
用する光半導性粉体を利用して実際に測定した値、並び
に光半導性粉体を添加せずに金属酸化物自体を単独で調
製し、測定した値を利用することが好ましい。
【0049】上記ゼータ電位測定により決定される等電
点による被覆状態の判断は、前述したように、光半導性
粉体の等電点と、被膜を構成している金属酸化物の等電
点とが異なることを前提としており、これらの等電点が
近似している場合には、適用することが困難である。も
っとも、多くの光半導性粉体の等電点と、被膜を構成す
るための金属酸化物の等電点とは異なっており、例え
ば、酸化チタンよりなる光半導性粉体表面をシリカによ
り被覆した場合を例にとると、酸化チタンの等電点はp
H5〜7の範囲にあり、他方シリカの等電点はpH1.
5〜3.5の範囲にある。従って、得られたマイクロカ
プセル状光触媒体の等電点が1.5〜3.5、より好ま
しくは、1.5〜3.0の場合、酸化チタンの表面がシ
リカにより確実に被覆されており、酸化チタンが殆ど露
出していないマイクロカプセル状光触媒体であると判断
することができる。逆に、マイクロカプセル状光触媒体
の等電点のpHが3.5を超える場合には、酸化チタン
が表面に露出しており、被覆状態が良好でないと考えら
れ、好ましくない。
【0050】マイクロカプセル状光触媒体の調製 本発明に係るマイクロカプセル状光触媒体は、上記光半
導性粉体を懸濁してなる有機溶媒と、金属化合物と、必
要に応じて添加される上記硬化触媒とを混合することに
より、上記金属化合物を加水分解し、上記光半導性粉体
の表面で重縮合させて多孔質金属酸化物塗膜を形成する
ことにより得られる。この調製方法の具体的な手法につ
いては、特に限定されるものではなく、例えば、光半導
性粉体をホモジナイザーにより有機溶媒に懸濁した後
に、攪拌機に供給し、金属化合物及び硬化触媒水溶液を
添加し、混合する方法などを用いることができる。この
場合、攪拌機としては、特に限定されるわけではなく、
スリーワンモーターのような簡便な一般的な攪拌機を用
いることができる。
【0051】好ましくは、請求項7または8に記載の発
明に係る製造方法を用いることにより被覆状態の良好な
マイクロカプセル状光触媒体を得ることができる。すな
わち、請求項7に記載の製造方法では、分散された光半
導性粉体表面に金属酸化物が析出するので、光半導性粉
体用金属化合物を溶解してなる有機溶媒中に分散させる
に際しては、該光半導性粉体を均一に分散させることが
好ましい。光半導性粉体を均一に分散させ、分散状態を
安定化するには、一般的な公知の方法を用いることがで
き、具体的には、超音波による分散、分散剤の使用、あ
るいは添加粉体濃度を低下する方法などを用いることが
できる。
【0052】また、金属化合物の濃度が高すぎると、光
半導性粉体を核とした粒子以外に被覆金属化合物自体が
粒子として析出するため好ましくない。逆に、金属化合
物の濃度が低すぎると、十分に被覆できないことがあ
る。
【0053】金属化合物の好ましい濃度は、使用する金
属化合物の種類によって異なるため、一般的に示すこと
が困難であるが、例えば金属化合物として、テトラエト
キシシランを使用した場合の金属酸化物粒子のコーティ
ング方法については文献より公知である(東保男、野上
勝憲、大島信男、J.Ceram.Soc.Japan,100,646-651(199
2) )。
【0054】請求項8に記載の発明に係る製造方法で
は、金属化合物の加水分解により予め調製されたゾル溶
液中に光半導性粉体を浸漬した後、このゾル溶液中から
光半導性粉体を分離する。この方法は、一般にゾルゲル
法で利用されているディップコーティング法を光半導性
粉体に適用したものであり、光半導性粉体の表面に均一
な金属酸化物薄膜層を形成することができる。ゾル溶液
から光半導性粉体を分離する方法については、一般に溶
液中から固体を分離するための一般的な方法を採用する
ことができ、例えば、遠心分離や濾過などの方法を利用
することができる。請求項8に記載の発明に係る製造方
法では、光半導性粉体をゾル溶液から分離した後、ゾル
溶液中に再び光半導性粉体を浸漬することにより繰り返
し新たな光半導性粉体表面に金属酸化物皮膜を形成する
ことができる。すなわち、上記ゾル溶液は繰り返し利用
することができる。
【0055】マイクロカプセルを調製する際の温度は室
温付近でよく、この調製の際の温度が低すぎると金属化
合物の反応性が低下し、縮重合が不十分となることがあ
る。従って、マイクロカプセルを調製する際の温度は1
0℃以上であることが好ましい。上述した各方法により
得られたマイクロカプセル遠心分離、洗浄、乾燥するこ
とにより、マイクロカプセルを分離することができる。
【0056】なお、本発明において、上記「多孔性」に
ついても特に限定されるものではなく、微細な孔が均一
または不均一に分散している状態を広く含むものとす
る。上記混合により得られたマイクロカプセルを遠心分
離、洗浄、乾燥することにより、該マイクロカプセルを
分離することができる。得られたマイクロカプセルをさ
らに加熱することにより、金属酸化物膜を緻密にするこ
とも可能であるが、高温下で長時間焼成すると、金属酸
化物膜の多孔性が損なわれるため、好ましくはない。
【0057】なお、光半導性粉体の添加量に対する生成
する金属化合物の割合については特に限定されるもので
はないが、金属化合物が多いと被膜が厚くなることで光
触媒活性が低下し、少ないと被膜が薄くなるためカプセ
ル化の効果が低下するため、光半導性粉体100重量部
に対して生成する金属化合物が0.1〜1000重量部
の範囲になることが好ましい。
【0058】得られたマイクロカプセルをさらに加熱す
ることにより、金属酸化物皮膜を緻密にすることも可能
であるが、一般に高温下で長時間焼成すると、金属酸化
物皮膜の多孔性が損なわれるため好ましくない。特に、
皮膜中に有機物を含んでいないあるいは皮膜成分の重合
反応により有機物が除去され、焼成により多孔性が損な
われる場合には、皮膜形成後の加熱は乾燥程度とし、ゾ
ル組織の多孔性を利用することが好ましい。例えば、テ
トラアルコキシシランを利用した場合には、加熱によっ
て重合反応が進行し、多孔性が損なわれるので、乾燥は
500℃以下で加熱することが好ましく、より好ましく
は200℃以下である。
【0059】また、金属酸化物皮膜における重合反応が
進行した場合においても、金属酸化物皮膜中に有機物が
含まれている場合には、膜形成後焼成することにより該
有機物を除去すれば、皮膜を多孔質化することができ
る。皮膜中に有機物を導入する方法としては、ゾル溶液
中に高分子物質を添加したり、有機基を含む金属アルコ
キシドを金属化合物として利用する方法などが挙げられ
る。例えば、請求項9及び10に記載の発明では、オル
ガノトリアルコキシシランの有機物の焼成によって多孔
性が発現される。上記焼成温度については、有機物が除
去される温度以上であり、有機物の除去により生じた金
属酸化物皮膜の多孔性が損なわれない限り、特に限定さ
れるものではない。
【0060】請求項9に記載の発明にかかるマイクロカ
プセル状光触媒体の製造方法では、上記のように、一般
式R1 Si(OR2 3 で示されるオルガノトリアルコ
キシシランを酸性触媒の存在下で加水分解した後中和
し、しかる後、テトラアルコキシシラン及び光半導性粉
体を分散させたアルコール分散液を添加し、さらに塩基
性触媒を加えることにより、光半導性粉体表面に金属酸
化物皮膜を析出させ、さらに焼成することにより金属酸
化物皮膜を多孔性とする。
【0061】また、請求項9に記載の発明に係る製造方
法では、上記のように一般式R1 Si(OR2 3 で示
されるオルガノトリアルコキシシランとテトラアルコキ
シシランとの複合膜が光半導性粉体表面に形成されるた
め、皮膜形成後に焼成することにより多孔性を発現さ
せ、多孔質金属酸化物皮膜を得ることができる。
【0062】オルガノトリアルコキシシラン、特に長鎖
のオルガノトリアルコキシシランを利用して粒子の被覆
を試みた場合には、単に塩基性触媒や酸性触媒を利用す
るだけでは粒子を確実に被覆することが困難である。こ
れに対して、本願発明者らは、上記オルガノトリアルコ
キシシランを酸性触媒の存在下に加水分解した後、中和
し、しかる後、テトラアルコキシシラン及び光半導性粉
体を分散させたアルコール分散液を添加し、さらに塩基
性触媒を加えることにより、光半導性粉体表面に金属酸
化物皮膜を析出させ得ることを見出し、請求項9に記載
の発明を成すに至った。この場合、上記のようにして金
属酸化物皮膜を析出させた後、焼成することにより多孔
性を発現させることができ、多孔質金属酸化物皮膜とす
ることができる。
【0063】この場合、上記オルガノトリアルコキシシ
ランの酸性触媒下における処理条件は、使用するオルガ
ノトリアルコキシシラン及び酸性触媒の種類や濃度によ
って異なるが、オルガノトリアルコキシシランが加水分
解する任意の条件を用いることができる。
【0064】オルガノトリアルコキシシランの種類によ
っては、加水分解後に重合が進行し、沈殿物あるいは不
溶性のオイルが析出することがあるが、このような現象
は好ましくなく、上記現象が生じる場合には、処理時間
を短くし、及び/または触媒濃度を低下させればよい。
【0065】また、上記中和処理については、中和の際
に系のpHが6〜9程度となることが好ましく、中和処
理を行うことなくテトラアルコキシシランを添加して塩
基性条件にした場合には、反応溶液がゲル化し、目的と
するマイクロカプセルを得ることができないことがあ
る。使用する酸性及び塩基性の硬化触媒については、前
述したものを適宜用いることができるが、酸性触媒及び
塩基性触媒同士を中和した際に不溶性の沈殿が生じるも
のは好ましくない。
【0066】請求項10に記載の発明に係る製造方法で
は、金属化合物としてメチルトリアルコキシシラン、硬
化触媒としてアンモニア水を使用し、請求項7に記載の
方法で製造する。通常、オルガノトリアルコキシシラン
を使用した場合、請求項9に示したような被覆方法が適
当であると考えられるが、金属化合物としてメチルトリ
アルコキシシランを使用する場合、塩基性触媒を添加す
ることで有機溶媒中に分散した光半導性粉体の被覆が可
能であり、焼成によって多孔性を発現することができ
る。ここで使用する塩基性触媒としては毒性が低く、除
去が容易であることからアンモニアが特に好ましい。
【0067】マイクロカプセル状光触媒体の応用 本発明のマイクロカプセル状光触媒体は、各種添加物と
共に、合成樹脂などの基材構成成分中に添加して成形体
として用いてもよく、マイクロカプセル状光触媒体を単
体で溶液中に分散させたりカラムに充填させて用いても
よく、その使用形態については、特に限定されるもので
はない。
【0068】光半導性物質は、環境中に存在する水と反
応し、過酸化水素やヒドロキシラジカルなどの活性酸素
を生成すると推測されており、この活性酸素による酸化
還元作用を利用して、成形品や建物の内外装における抗
菌防カビ処理;院内感染防止等の殺菌処理;窒素酸化
物、硫黄酸化物、トリハロメタンなどの環境汚染物質の
分解除去処理;アンモニア、アルデヒド、各種有機酸な
どの悪臭原因物質の分解除去処理;外装材に自己清浄作
用を付与する防汚処理;触媒作用を利用した廃液処理な
どに用いることができる。
【0069】本発明のマイクロカプセル状光触媒体は、
上記処理の中でも、特に、抗菌防カビ処理に適してい
る。薬剤などの溶出を伴う従来技術とは異なり、本発明
に係る光触媒性能を有する機能材料は薬剤を使用しない
ため、安全性に優れており、かつ性能の持続性において
も優れている。
【0070】本発明に係るマイクロカプセル状光触媒体
では、光半導性粉体が多孔質金属酸化物膜により被覆さ
れているので、光半導性物質と基材構成成分との接触に
起因する劣化、すなわち基材構成成分の変色や光触媒性
能の経時による劣化を抑制することができ、従って、上
記劣化による制限を受けることなく基材構成成分を選択
することができる。よって、様々な利用形態において安
定に光触媒性能を発揮し得る光触媒体を構成することが
できる。
【0071】樹脂組成物及び樹脂体 従来、汎用されている樹脂に光半導性粉体を直接添加し
て成形体や塗料とした場合、前述したような光触媒性能
の劣化を避けることができず、実用化の大きな障害とな
っていた。これに対して、本発明に係るマイクロカプセ
ル状光触媒体は基材構成成分の制約を受けないため、光
半導性粉体の実用化に大きく寄与するものである。
【0072】上記のように、本発明に係るマイクロカプ
セル状光触媒体は、一般の樹脂と組み合わせて使用する
際に有利である。請求項12に記載の発明は、合成樹脂
中に、本発明に係るマイクロカプセル状光触媒体を含有
したことを特徴とする樹脂組成物であり、この場合、合
成樹脂としては、汎用されている合成樹脂を用いること
ができる。請求項13に記載の発明では、上記樹脂組成
物に用いられる合成樹脂として、ポリエチレン樹脂、ポ
リプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂やポリ(メ
タ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル
樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂などのビニル系共重合体樹
脂;ポリウレタン樹脂;アルキド樹脂、不飽和ポリエス
テル樹脂などのポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;フ
ェノール樹脂、アミノ樹脂などのホルムアルデヒド樹
脂;アリル樹脂;エポキシ樹脂などを挙げることがで
き、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられ
る。このような有機合成樹脂を組み合わせて使用する際
に本発明のマイクロカプセル状光触媒体は特に有利であ
る。なお、ポリ(メタ)アクリル樹脂とは、ポリアクリ
ル樹脂もしくはポリメタクリル樹脂を意味し、ビニル系
(共)重合体樹脂とは、ビニル重合体樹脂もしくはビニ
ル系共重合体樹脂を意味する。
【0073】請求項12,13に記載の発明に係る樹脂
組成物において、マイクロカプセル状光触媒体の添加量
は、特に限定されるものではないが、合成樹脂100重
量部に対し、マイクロカプセル状光触媒体5〜1000
重量部であることが好ましく、中でも5〜100重量部
であることがより好ましい。
【0074】合成樹脂100重量部に対するマイクロカ
プセル状光触媒体の添加量が5重量部未満であると、十
分な抗菌防カビ効果を得ることができないことがあり、
1000重量部を超えると、得られる樹脂成形体や塗装
面の表面状態が悪くなったり、強度が低下することがあ
る。
【0075】合成樹脂にマイクロカプセル状光触媒体を
添加する方法についても、特に限定されるものではな
く、合成樹脂中にマイクロカプセル状光触媒体を直接ド
ライブレンドしてもよいし、樹脂組成物を構成する成分
の一部と、マイクロカプセル状光触媒体を予め混練し、
マスターバッチを作製しておき、これを合成樹脂中に添
加してもよい。
【0076】請求項14に記載の発明は、請求項12,
13に記載の発明に係る樹脂組成物を用いて得られる樹
脂体であり、マイクロカプセル状光触媒体の少なくとも
一部が樹脂表面に露出した状態で固定される。この場
合、マイクロカプセル状光触媒体の少なくとも一部が樹
脂表面に露出した状態で固定されるので、被処理物に対
してより効果的に光触媒作用を発揮させることができ、
一段と優れた抗菌防カビ効果などを得ることができる。
さらに、マイクロカプセル状光触媒体の少なくとも一部
を樹脂表面に露出した状態で固定しているので、合成樹
脂に対するマイクロカプセル状光触媒体の添加量を前述
した量よりも少なくすることができ、その場合であって
も、前述した量の場合と同等以上の効果を得ることがで
きる。
【0077】また、合成樹脂中にマイクロカプセル状光
触媒体を練り混んだり、合成樹脂とドライブレンドして
成形体を得たりする場合には、成形体の強度や作業性の
観点から、合成樹脂100重量部に対し、マイクロカプ
セル状光触媒体は100重量部以下の範囲で用いること
が望ましい。
【0078】塗料組成物 請求項11に記載の発明に係る塗料組成物は、無機塗
料、シリコーン樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料のような
高い耐候性を示す塗料中に本発明に係るマイクロカプセ
ル状光触媒体を含有させたことを特徴とする。この塗料
組成物を用いて有機材料よりなる基材表面に塗膜を形成
した場合、有機材料よりなる基材表面に光触媒性能を付
与することができる。
【0079】塗料組成物における上記マイクロカプセル
状光触媒体の含有割合は、塗料の種類や粘度によっても
異なるが、好ましくは塗料固形分に対して5〜90重量
%とされる。5重量%未満では、十分な光触媒作用が得
られず、90重量%を超えると、塗膜として必要な膜強
度を得られない場合がある。
【0080】上記耐候性塗料中にマイクロカプセル化さ
れていない光触媒を分散させた場合には、塗料バインダ
ーの劣化は抑制し得るものの、基材と塗膜との界面にお
いて光触媒が基材に直接接触するため、基材の劣化が進
行する。このため、マイクロカプセル化されていない光
触媒を用いた場合には、有機材料よりなる基材表面に、
まず保護層として耐候性バインダー層をコーティングし
た後に、光触媒塗料を塗布する必要があり、煩雑な工程
を実施しなければならない。これに対して、請求項11
に記載の発明に係る塗料組成物では、予め塗料組成物中
に上記マイクロカプセル化された光触媒体が含有されて
いるため、有機材料よりなる基材表面に1層のコーティ
ングを形成するだけで、しかも、基材の劣化が生じ難い
耐候性に優れた光触媒作用を発揮し得る塗膜を形成する
ことができる。
【0081】なお、上記無機塗料、シリコーン樹脂系塗
料、フッ素樹脂系塗料については具体的には限定され
ず、一般的なゾルゲル法による製膜時のゾル液や市販の
耐候性塗料を用いることができる。
【0082】作用 請求項1に記載の発明に係るマイクロカプセル状光触媒
体は、光半導性粉体を懸濁した有機溶媒、金属化合物及
び該金属化合物の硬化触媒を混合して得られる、多孔質
シリカにより被覆された光半導性物質からなるため、優
れた抗菌防カビ性などの光触媒性能を発揮し、かつ該光
触媒性能の持続性に優れ、安全性などにおいても優れて
おり、担体や基材等を劣化させ難い。
【0083】請求項2に記載の発明では、マイクロカプ
セル状光触媒体のゼータ電位測定により限定される等電
点が、金属酸化物自身の等電点の範囲にあるように構成
されているので、マイクロカプセル状光触媒体におい
て、光半導性粉体が多孔質金属酸化物によりほぼ完全に
被覆されている。すなわち、金属酸化物の等電点と、光
半導性粉体の等電点とが一般的には異なるため、請求項
2に記載のようにマイクロカプセル状光触媒体の等電点
が多孔質金属酸化物自身の等電点の範囲にある場合、光
半導性粉体の全外表面が多孔質金属酸化物皮膜により確
実に被覆されいることになる。従って、優れた抗菌防カ
ビなどの光触媒性能を確実に発揮し、かつ光触媒性能の
持続性に優れ、安全性などにおいてもより一層優れてお
り、担体や基材等を劣化させ難い。
【0084】なお、光半導性粉体のマイクロカプセル化
については、特公平6−15407号公報に、酸化チタ
ン表面に特定の膜厚及び重量で皮膜を担持してなる光半
導体及びその製法が記されている。該発明においては、
酸化チタン表面に薄く均一なシリカ系皮膜を形成するこ
とにより光触媒能が向上するとされている。本発明のマ
イクロカプセル状光触媒体は、このような薄膜の形成に
よる光触媒能の向上を目的とするのでなく、光半導性粉
体の表面に多孔質金属酸化物皮膜を形成し、光触媒作用
によって生じる有機材料の劣化を促進する成分を抑制す
ることを目的とする。
【0085】特公平6−15407号公報記載の光半導
体の場合、被覆膜が非常に薄い場合や光半導性粉体全体
を被覆していない場合も、目的の光触媒能向上効果が予
想されるが、本発明の目的として使用する場合ではカプ
セル化の効果が低下し、樹脂の劣化が促進されるため好
ましくない。請求項2に記載の発明では、被覆粉体の等
電点が被覆金属酸化物自身が示す等電点の範囲にあるた
め、多孔質金属酸化物が光半導性粉体の外表面を確実に
被覆していることを示す。また、請求項7及び8に記載
の発明により、多孔質金属酸化物が光半導性粉体全体を
被覆しているマイクロカプセル状光触媒体を容易に得る
ことができる。
【0086】また、特開平8−266898号公報に
は、エチルシリケートの不完全加水分解・縮合物により
表面被覆された超微粒子酸化チタンとその製造方法が記
されており、エチルシリケートの不完全加水分解・縮合
物すなわち、エトキシ基を含有するシリカを超微粒子酸
化チタン上に析出させることにより、酸化触媒活性が向
上するとされている。これに対して、本発明のマイクロ
カプセル状光触媒体は、光半導性粉体の表面に多孔質金
属酸化物皮膜を形成することを特徴としているが、金属
酸化物膜中に有機基が残存している必要はない。従っ
て、本発明では金属酸化物中に有機化合物を含む膜にお
いて、焼成により有機物を除去し、多孔性を発現させて
もよい。
【0087】請求項3に記載の発明では、上記金属化合
物の主成分として、アルコキシシランを用いることによ
り、簡便にマイクロカプセル化を行うことができる。請
求項4に記載の発明では、上記金属化合物の金属成分と
して、ジルコニウムが含まれているため、アルカリ性水
溶液によってカプセルが溶解してマイクロカプセルの性
能が損なわれることがない。
【0088】請求項5に記載の発明では、上記光半導性
粉体として、アナターゼ型酸化チタンが用いられている
ので、一段と優れた抗菌防カビ性などの光触媒性能が発
揮される。
【0089】請求項6に記載の発明では、金属化合物と
してアルコキシシランが用いられているので、多孔質金
属酸化物皮膜による被覆の形成を容易に行うことがで
き、マイクロカプセル状光触媒体の等電点がpH1.5
〜3.5の範囲とされているので、酸化チタンが殆ど露
出していない、すなわち金属酸化物皮膜により全外表面
が確実に被覆されているマイクロカプセル状光触媒体を
得ることができる。
【0090】請求項7に記載の発明に係る製造方法で
は、光半導性粉体を分散させた状態で多孔質金属酸化物
皮膜を析出形成しているため、光半導性粉体の外表面に
ほぼ均一な多孔質金属酸化物皮膜が確実に形成され得
る。
【0091】また、請求項8に記載の発明に係る製造方
法では、金属化合物が加水分解されたゾル溶液中に光半
導性粉体を浸漬した後、該ゾル溶液から光半導性粉体を
取り出すことにより光半導性粉体に多孔質金属酸化物皮
膜が形成されるが、この場合には、ゾル溶液中に光半導
性粉体を浸漬し、取り出す作業を行えばよいだけである
ため、大量の光半導性粉体を容易に処理することがで
き、かつ多孔質金属酸化物皮膜で全外表面がほぼ完全に
被覆されたマイクロカプセル状光触媒体を容易に得るこ
とができる。
【0092】請求項9に記載の発明に係る製造方法で
は、一般式R1 Si(OR2 3 で示される上記オルガ
ノトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとを
利用して金属酸化物皮膜が析出され、該金属酸化物皮膜
を焼成することにより、多孔性が発現される。また、有
機残基部分(R1 )を変化させることにより、多孔性の
異なる金属酸化物皮膜を容易に得ることができる。
【0093】請求項10に記載の発明に係る製造方法で
は、金属化合物としてメチルトリアルコキシシラン、硬
化触媒としてアンモニア水を用いることにより、金属酸
化物皮膜が容易に調製可能であり、該金属酸化物皮膜を
形成した後に、焼成により多孔性を発現させることがで
きる。従って、焼結された膜として、多孔質金属酸化物
皮膜を得ることができる。
【0094】請求項11に記載の発明に係る塗料組成物
では、予め塗料組成物中に上記マイクロカプセル状光触
媒体が含有されているので、基材表面にコーティングを
施すだけで、基材の劣化が生じ難い、耐候性に優れた光
触媒作用を発揮し得る塗膜を容易に形成し得る。
【0095】請求項12,13に記載の発明に係る樹脂
組成物では、合成樹脂中に上記マイクロカプセル状光触
媒体が含有されているので、優れた抗菌防カビ性を発揮
するだけでなく、合成樹脂の劣化も生じ難い。
【0096】請求項14に記載の発明に係る樹脂体にお
いても、上記本発明に係るマイクロカプセル状光触媒体
が含有されているので、優れた抗菌防カビ性が発揮さ
れ、かつその性能の持続性に優れているだけでなく、合
成樹脂の経時による劣化も生じ難い。特に、マイクロカ
プセル状光触媒体の少なくとも一部が樹脂表面に露出し
た状態で固定されているので、一段と優れた抗菌防カビ
性などを有し、マイクロカプセル状光触媒体の使用量を
相対的に少なくすることもできる。
【0097】これらのマイクロカプセル状光触媒体で
は、光半導性粉体表面が、多孔質金属酸化物膜で被覆さ
れているのでマイクロカプセル状光触媒体に光が照射さ
れた際に発生するヒドロキシラジカルなど短寿命成分の
大部分は、多孔質金属酸化物膜を透過する以前に消失
し、マイクロカプセル外に漏出し難い。他方、過酸化水
素などの長寿命成分が多孔質金属酸化物膜から外へ透過
する。従って、本発明に係るマイクロカプセル状光触媒
体を用いた場合、光触媒作用の持続性が上記長寿命成分
の作用により高められる。
【0098】
【実施例】本発明をさらに詳しく説明するため以下に実
施例を挙げるが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。なお、実施例中の「部」は「重量部」を意
味し、「%」は「重量%」を意味する。
【0099】(実施例1)(1)マイクロカプセル状光触媒体の製造 光半導性粉体としてアナターゼ型酸化チタン(一次粒径
0.3μm、和光純薬工業社製)15部をエチルアルコ
ール(有機溶媒)460部中に懸濁した後、アルコキシ
シランとしてテトラエトキシシラン4.2部及びアルコ
キシシランの硬化触媒としてアンモニア水(5%)90
部を添加し、室温で1時間攪拌してテトラエトキシシラ
ンを重縮合させた。次いで、遠心分離、洗浄、乾燥の諸
工程を経て、アナターゼ型酸化チタンの粉体の表面が多
孔質シリカにより被覆されたマイクロカプセル状光触媒
体を得た。
【0100】(2)樹脂組成物及び樹脂体の作製 上記で得られたマイクロカプセル状光触媒体60部を不
飽和ポリエステル樹脂(商品名「V−262G」、三井
東圧化学社製)100部中に投入し、分散機を用いて2
時間分散した。次いで、上記で得られた分散液中に、熱
重合開始剤としてメチルエチルケトンパーオキサイド
(55%ジメチルフタレート溶液)4部及び硬化促進剤
としてナフテン酸コバルト(コバルト含有量6%)2部
を添加し、攪拌混合して、不飽和ポリエステル樹脂組成
物を得た。
【0101】上記で得られた樹脂組成物を、予め離型処
理を施された平板サンプル試作用のFRP製モールドに
厚みが約200μmとなるように塗布し、一旦80℃で
15分間加熱硬化した。冷却後、不飽和ポリエステル樹
脂「V−262G」100部、メチルエチルケトンパー
オキサイド(55%ジメチルフタレート溶液)4部及び
ナフテン酸コバルト(コバルト含有量6%)2部からな
る不飽和ポリエステル樹脂組成物を、FRP製モールド
内の上記で得られた硬化皮膜上に流し込み、加熱硬化し
た後にFRP製モールドより脱型して、マイクロカプセ
ル状光触媒体を含有する層を有する樹脂(成形体)を得
た。
【0102】(実施例2)マイクロカプセル状光触媒体
の製造において、アナターゼ型酸化チタン(一次粒径
0.3μm)の量を60部、テトラエトキシシランの量
を21部としたこと以外は実施例1と同様にして、マイ
クロカプセル状光触媒体を得た。
【0103】次いで、樹脂組成物及び樹脂体の作製にお
いて、上記で得られたマイクロカプセル状光触媒体60
部を不飽和ポリエステル樹脂「V−262G」100部
中に投入したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂
組成物及び樹脂体を得た。
【0104】(実施例3)マイクロカプセル状光触媒体
の製造において、アナターゼ型酸化チタン(一次粒径
0.3μm)50部をイソプロピルアルコール(有機溶
媒)1000部中に懸濁した後、アルコキシシランとし
てテトラメトシキシラン7部及びアルコキシシランの硬
化触媒としてアンモニア水(5%)100部を添加した
こと以外は実施例1と同様にして、マイクロカプセル状
光触媒体を得た。
【0105】次いで、樹脂組成物及び樹脂体の作製にお
いて、上記で得られたマイクロカプセル状光触媒体30
部を不飽和ポリエステル樹脂「V−262G」100部
中に投入したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂
組成物及び樹脂体を得た。
【0106】(実施例4)酸化チタン(和光純薬社製、
アナターゼ型、1次粒径0.3μm)15gをエチルア
ルコール460g中に懸濁し、これにテトラエトキシシ
ラン4.2g、5重量%アンモニア水90gを添加し、
室温で3時間攪拌して反応させた。その後、遠心分離、
洗浄、乾燥を行い、酸化チタンの表面がシリカコートさ
れたマイクロカプセル状粉体を得た。
【0107】次いで、樹脂組成物及び樹脂体の作製にお
いて、上記で得られたマイクロカプセル状光触媒体を用
いたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物及
び樹脂体を得た。
【0108】(実施例5)エタノール300g中にジル
コニウム−n−ブトキシド5gを溶解させた溶液中に、
酸化チタン(和光純薬社製、アナターゼ型、1次粒径
0.3μm)15gを懸濁させた。これに30分間かけ
て1%アンモニア水10gを徐々に添加し、室温で2時
間攪拌して反応させた。その後、遠心分離、洗浄、乾燥
を行い、酸化チタンの表面がジルコニアコートされたマ
イクロカプセル状粉体を得た。
【0109】次いで、樹脂組成物及び樹脂体の作製にお
いて、上記で得られたマイクロカプセル状光触媒体を用
いたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物及
び樹脂体を得た。
【0110】(実施例6)エタノール300g中にジル
コニウム−n−ブトキシド4gを溶解させた溶液中に、
酸化チタン(和光純薬社製、アナターゼ型、1次粒径
0.3μm)15gを懸濁させた。一方、テトラエトキ
シシラン2gをエタノール200g中に溶解し、5重量
%アンモニア水30gを添加した溶液を調製した。これ
を前記ジルコニウム−n−ブトキシド溶液中に30分間
かけて徐々に添加し、室温で2時間攪拌して反応させ
た。その後、遠心分離、洗浄、乾燥を行い、酸化チタン
の表面がシリカ−ジルコニア複合膜によりコートされた
マイクロカプセル状粉体を得た。
【0111】次いで、樹脂組成物及び樹脂体の作製にお
いて、上記で得られたマイクロカプセル状光触媒体を用
いたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物及
び樹脂体を得た。
【0112】(比較例1)樹脂組成物及び樹脂体の作製
において、マイクロカプセル状光触媒体を用いることな
く、アナターゼ型酸化チタン(一次粒径0.3μm)6
0部をそのまま不飽和ポリエステル樹脂「V−262
G」100部中に投入したこと以外は、実施例1と同様
にして、樹脂組成物及び樹脂体を得た。
【0113】(比較例2)アナターゼ型酸化チタン(一
次粒径0.3μm)4部を水36部中に懸濁させ懸濁液
とした後、塩化アルミニウム水溶液を加えた。この混合
液を静かに攪拌しながら、水酸化ナトリウム水溶液をゆ
っくり滴下して中和を行い、懸濁液中のアナターゼ型酸
化チタン表面に水酸化アルミニウムを沈積させた。その
後、沈澱物を濾過し、乾燥、粉砕を行って、粉体の表面
がアルミナで被覆されたアナターゼ型酸化チタンを得
た。
【0114】樹脂組成物及び樹脂体の作製において、上
記で得られた表面をアルミナで被覆されたアナターゼ型
酸化チタン200部を不飽和ポリエステル樹脂「V−2
62G」100部中に投入したこと以外は実施例1と同
様にして、樹脂組成物及び樹脂体を得た。
【0115】次いで、樹脂組成物及び樹脂体の作製にお
いて、上記で得られたマイクロカプセル状光触媒体30
部を不飽和ポリエステル樹脂「V−262G」100部
中に投入したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂
組成物及び樹脂体を得た。
【0116】(実施例7)メチルトリエトキシシラン1
26部、テトラエトキシシラン200部(これらのアル
コキシシラン計326部が重縮合によって全てシリカに
転化した場合、固形分100部)、エタノール500部
及び0.1N塩酸300部に対して、上記実施例5で得
たマイクロカプセル状粉体200部を配合し、分散機を
用いて30分間分散を行い塗料を調製した。
【0117】次に、透明アクリル板上に、ディップコー
ト法で乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように上記塗料
を塗布し、常温で10分間放置した後、100℃で2時
間加熱を行い、抗菌性塗膜を有するプレートを得た。
【0118】(実施例8)アナターゼ型酸化チタン(石
原産業社製、品番:ST−01、1次粒径7nm)10
gをエチルアルコール2000g中に懸濁し、これにテ
トラエトキシシラン25g及び5重量%アンモニア水5
00gを添加し、室温で3時間攪拌し、反応させた。し
かる後、遠心分離(10000rpm×10分)、洗浄
及び乾燥を行い、酸化チタンの粉体表面がシリカコート
されたマイクロカプセル状光触媒体を得た。
【0119】不飽和ポリエステル樹脂100部に対し、
上記マイクロカプセル状光触媒体20部を用いたことを
除いては、実施例1と同様にして樹脂組成物及び樹脂体
を得た。
【0120】(実施例9)エチルアルコール62gに、
テトラエトキシシラン28gを混合し、0.6重量%硝
酸水溶液10gを添加した後、3時間攪拌し、シリカゾ
ル溶液を調製した。このシリカゾル溶液にアナターゼ型
酸化チタン(石原産業社製、品番:ST−01、1次粒
径7nm)10gを添加し、分散した後、遠心分離(8
000rpm×5分)し、洗浄及び乾燥し、酸化チタン
表面がシリカコートされたマイクロカプセル状光触媒体
を得た。
【0121】不飽和ポリエステル樹脂100部に対し、
上記マイクロカプセル状光触媒体20部を用いたことを
除いては、実施例1と同様にして樹脂組成物及び樹脂体
を得た。
【0122】(実施例10)エチルアルコール、デシル
トリメトキシシラン、水(0.6重量%硝酸水溶液)と
を、モル比で8:1:4となるように反応液を調製し、
室温で2時間反応させた後、アンモニア水を用い、pH
=7となるように中和した。
【0123】中和後、上記反応液15gを、予めアナタ
ーゼ型酸化チタン(石原産業社製、品番:ST−01、
1次粒径7nm)7gを懸濁したエチルアルコール80
0g中に添加し、さらにテトラエトキシシラン14gを
加えた。この反応液に、エチルアルコール800gに5
重量%アンモニア水350gを添加したものを加え、室
温で8時間攪拌し、反応させた。しかる後、反応液を8
000rpm×5分で遠心分離し洗浄した。洗浄後、6
00℃で1時間焼成し、焼成して得られた焼成物を粉砕
し、酸化チタン表面がシリカコートされたマイクロカプ
セル状光触媒体を得た。
【0124】不飽和ポリエステル樹脂100部に対し、
上記マイクロカプセル状光触媒体20部を用いたことを
除いては、実施例1と同様にして樹脂組成物及び樹脂体
を得た。
【0125】(実施例11)アナターゼ型酸化チタン
(石原産業社製、品番:ST−01、1次粒径7nm)
10gをエチルアルコール1500g中に懸濁し、これ
にモノメチルトリメトキシシラン20gを添加し、混合
した後、5重量%アンモニア水350gを添加し、室温
で24時間攪拌し、反応させた。しかる後、反応液を8
000rpm×5分で遠心分離し、洗浄した。しかる
後、洗浄された反応液を600℃で1時間焼成し、得ら
れた焼成物を粉砕し、酸化チタン表面がシリカコートさ
れたマイクロカプセル状光触媒体を得た。
【0126】不飽和ポリエステル樹脂100部に対し、
上記マイクロカプセル状光触媒体20部を用いたことを
除いては、実施例1と同様にして樹脂組成物及び樹脂体
を得た。
【0127】上記実施例1〜11及び比較例1,2に従
って得られた成形品及びプレートについて、抗菌性及び
耐候性などを下記の要領で評価した。結果を下記の表1
〜3に示す。
【0128】抗細菌性能評価法…試験菌液〔Heart In
fusion Broth培地(以下、BHI培地と略す。DIFC
O社製、濃度25g/l)を生理食塩水で100倍に希
釈したものの中に、試験菌としてE.ColiまたはMicrococ
cus sp. が1×107 CFU/mlとなるように調製し
たもの〕を、滅菌シャーレ中に入れた実施例及び比較例
で製造した各成形品またはプレート上に分注し、蓋をし
た。シャーレを密封し、蛍光灯点灯下、30℃で1日間
培養した後、培養後の試験菌の生菌数を通常のコロニー
カウント法により測定した。
【0129】抗真菌性能評価法…予めポテトデキスト
ロース寒天培地(以下、PDA培地と略す。日水製薬社
製)上で培養したカビ及び酵母としてのCladosporiumま
たはRhodotorula につき、白金耳を用いて菌体をかきと
り、0.05重量%Tween80添加生理食塩水中に
入れ、分散及び攪拌させた後、ガラスフィルターを用い
て濾過した。得られた濾液を10000rpm及び15
分間の遠心操作し、上澄み液を除去し、沈澱物(胞子)
を得た。この沈澱物(胞子)に、ポテトデキストロース
液体培地(以下、PDB培地、DIFCO社製)を適当
量加え、胞子懸濁液を調製した。
【0130】PDA培地をオートクレーブ滅菌した後、
寒天が固まらないように45℃でインキュベーション
し、次に上記胞子懸濁液を容量比でPDA培地の1/1
0量加え攪拌した。
【0131】滅菌シャーレに実施例及び比較例で製造し
た成形品またはプレートを入れ、各成形品またはプレー
ト上に、上記胞子懸濁液が加えられたPDA培地50μ
mlを滴下し、半球状に固化させた。シャーレを密封
し、蛍光灯点灯下、30℃で3〜5日培養した後、目視
により菌の成育を判定した。表1〜3において、○印
は、試験菌の成育が認められない場合を、×印は、試験
菌の成育が認められた場合を示す。
【0132】耐候性…JIS A 1415に規定さ
れているサンシャインカーボンアーク灯を用いた試験装
置を利用し、耐候性促進試験を行い、200時間照射後
のプレートの色差を色彩色差計(東京電色社製、カラー
アナライザーTC−1800MK)を用いて測定し、試
験前から変化した色差の絶対値を示した。また、試験後
の成形品またはプレート表面を指で軽く擦り、チョーキ
ングの有無を観察した。下記の表1〜3においては、チ
ョーキングの有無について、それぞれ、以下のように○
印及び×印を付して示した。 ○:チョーキングが認められない。 ×:チョーキングが認められた。
【0133】耐アルカリ性…実施例4,5で得られた
粉体を、5重量%の水酸化ナトリウム水溶液中に24時
間浸漬した後、該粉体を洗浄し、乾燥した後、初期品と
同様にして成形品を作製し、上記耐候性試験を行った。
結果を下記の表2に示す。
【0134】等電点の測定…1mmol/lの塩化カ
リウム水溶液中に微量(0.005重量%程度)の粉体
を添加し、攪拌及び超音波により分散させた、分散液に
塩酸を添加してpHを調整し、ゼータ電位測定装置(MA
LVERN 社製、商品名:ZETAMASTER ZEM5002)により測定
した。測定結果をプロットし、電位が0mVとなるpH
を等電点とした。実施例8,9についての等電点の測定
結果を表3に示す。
【0135】
【表1】
【0136】
【表2】
【0137】
【表3】
【0138】比較例1では、アナターゼ型酸化チタン粉
末をそのまま用いたためか、初期状態では抗細菌性及び
抗真菌性において優れていたものの、耐候性試験後に色
差が大きくなり、かつチョーキングも認めれた。従っ
て、マイクロカプセル化されていない酸化チタン粉末を
用いたため、塗膜の樹脂成分が劣化したものと思われ
る。
【0139】比較例2では、アルミナで完全に酸化チタ
ン粉末表面をコーティングしたためか、抗細菌性及び抗
真菌性の何れにおいても、十分な結果が得られなかっ
た。これに対して、実施例1〜11では、本発明に従っ
てアナターゼ型酸化チタン粉末を多孔質金属酸化物被膜
で被覆されたマイクロカプセル状光触媒体を用いている
ため、抗細菌性及び抗真菌性において良好な結果が得ら
れ、かつ耐候性促進試験を施した後においても、色差が
小さく、かつチョーキングが認められなかった。
【0140】特に、実施例8,9では、アナターゼ型酸
化チタン粉末のほぼ全外表面が多孔質金属酸化物皮膜で
被覆されているためか、耐候性促進試験を施した後にお
いても、色差がより小さく、かつチョーキングが認めら
れなかった。また、抗細菌性及び抗真菌性においても良
好な結果が得られた。
【0141】
【発明の効果】請求項1に記載の発明に係るマイクロカ
プセル状光触媒体では、光半導性粉末がマイクロカプセ
ル化され、固定化されているので、各種基材成分に混合
したとしても、基材成分の劣化を生じ難い。加えて、上
記多孔質金属酸化物によりマイクロカプセル化されてい
るため、十分な光触媒性能を発揮し得るだけでなく、光
触媒機能の持続性にも優れている。
【0142】請求項2に記載の発明によれば、マイクロ
カプセル状光触媒体の等電点が、被覆を構成している金
属酸化物の等電点の範囲内とされているので、マイクロ
カプセル状光触媒体のほぼ全外表面が多孔質金属酸化物
皮膜により被覆されており、従って請求項1に記載の発
明にかかるマイクロカプセル状光触媒体に比べて、より
一層光触媒機能の持続性が高められ、かつ耐候性も高め
られる。
【0143】また、請求項4に記載のように、金属化合
物としてジルコニウム化合物を用いた場合には、多孔質
金属酸化物被膜がジルコニウムを含有することになるた
め、アルカリ性環境下においてもマイクロカプセル化に
よる効果の低下が生じ難い。
【0144】請求項6に記載の発明では、光半導性粉体
としての酸化チタンと、金属化合物としてのアルコキシ
シランを用いており、マイクロカプセル状光触媒体のゼ
ータ電位測定により決定される等電点がpH1.5〜
3.5の範囲とされているので、ほぼ全外表面がシリカ
コートされた光半導性粉体よりなるマイクロカプセル状
光触媒体を確実に提供することができる。
【0145】また、請求項7に記載の発明に係る製造方
法では、金属化合物を溶解した有機溶媒中に光半導性粉
体を分散させた状態で、該金属化合物を加水分解させる
ことにより、光半導性粉体表面に多孔質金属酸化物皮膜
を析出させるため、多孔質金属酸化物皮膜により光半導
性粉体のほぼ全外表面が被覆されたマイクロカプセル状
光触媒体を確実に得ることができる。
【0146】同様に、請求項8に記載の発明に係る製造
方法においても、金属化合物を溶解してなる有機溶媒に
酸性の触媒を添加して得られるゾル溶液中に光半導性粉
体を浸漬した後、該光半導性粉体をゾル溶液から分離す
ることにより、光半導性粉体に多孔質金属酸化物からな
る皮膜を形成するものであるため、光半導性粉体のほぼ
全外表面が多孔質金属酸化物皮膜で被覆されたマイクロ
カプセル状光触媒体を容易に得ることができる。
【0147】また、請求項9に記載の発明に係る製造方
法では、一般式R1 Si(OR2 3 で表されるオルガ
ノトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとを
利用した多孔質皮膜を形成することができ、有機残基部
分(R1 )やテトラアルコキシシランの構成比を調製す
ることにより、様々な多孔性金属酸化物皮膜を容易に形
成することができる。従って、多孔性の異なる多孔質金
属酸化物皮膜を有する種々のマイクロカプセル状光触媒
体を容易に提供することが可能となる。
【0148】さらに、請求項10に記載の発明に係る製
造方法では、金属化合物としてメチルトリアルコキシシ
ラン、硬化触媒としてアンモニア水を使用することによ
り光半導性粉体表面に容易に金属酸化物皮膜を形成する
ことができる。
【0149】加えて、請求項9及び10に記載の各発明
に係る製造方法では、金属酸化物皮膜を析出させた後
に、焼成により多孔性が発現される。従って、乾燥のみ
により多孔性皮膜を形成した場合や中和析出法により多
孔質膜を形成した場合に比べて、機械的強度に優れた多
孔質金属酸化物皮膜を形成することができ、安定なマイ
クロカプセル状光触媒体を提供することが可能となる。
【0150】請求項11に記載の発明に係る塗料組成物
では、上記請求項1〜6に記載のマイクロカプセル状光
触媒体が無機塗料、シリコーン樹脂塗料またはフッ素樹
脂系塗料中に含有されているため、該塗料組成物を用い
て種々の部材表面に塗膜を形成するだけで、塗膜の形成
された部材の保護や光触媒作用を発現させたりすること
ができる。
【0151】請求項12に記載の発明に係る樹脂組成物
では、合成樹脂中に本発明に係るマイクロカプセル状光
触媒体が含有されているため、例えば、請求項14に記
載の発明のように該樹脂組成物を用いて樹脂体を構成し
た場合、樹脂部分の経時による劣化が生じ難く、かつマ
イクロカプセル化された光半導性粉体の光触媒性能が十
分に発揮され、かつ光触媒機能の持続性も高められる。
【0152】特に、請求項14に記載のように、マイク
ロカプセル状光触媒体の少なくとも一部が樹脂表面に露
出した状態で固定されている樹脂体にあっては、一段と
優れた抗菌防カビ性などの光触媒性能が発揮されるた
め、マイクロカプセル状光触媒体の使用量を少なくする
こともできる。
【0153】よって、本発明により得られるマイクロカ
プセル状光触媒体、塗料組成物、樹脂組成物及び樹脂体
は、光半導性粉体の光触媒作用を利用して、殺菌、水の
光分解、水中や空気中の環境汚染物質の分解除去、脱
臭、触媒等の種々の分野において好適に用いることがで
きる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 5/14 C09D 7/12 Z 7/12 A61L 2/08 // A61L 2/08 B01J 13/02 A (72)発明者 忠永 清治 大阪府堺市中百舌鳥町6−998−3−1− 130

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光半導性粉体を懸濁した有機溶媒、金属
    化合物及び該金属化合物の硬化触媒を混合して得られ
    る、多孔質金属酸化物により被覆された光半導性物質か
    らなることを特徴とするマイクロカプセル状光触媒体。
  2. 【請求項2】 前記マイクロカプセル状光触媒体のゼー
    タ電位測定により決定される等電点が、前記多孔質金属
    酸化物自身が示す等電点の範囲にあることを特徴とする
    請求項1に記載のマイクロカプセル状光触媒体。
  3. 【請求項3】 前記金属化合物の主成分がアルコキシシ
    ランである請求項1または2に記載のマイクロカプセル
    状光触媒体。
  4. 【請求項4】 前記金属化合物として、ジルコニウム化
    合物が含まれていることを特徴とする請求項1〜3の何
    れかに記載のマイクロカプセル状光触媒体。
  5. 【請求項5】 光半導性粉体がアナターゼ型酸化チタン
    であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の
    マイクロカプセル状光触媒体。
  6. 【請求項6】 前記光半導性粉体が酸化チタンであり、
    前記金属化合物の主成分がアルコキシシランであり、か
    つ前記マイクロカプセル状光触媒体のゼータ電位測定に
    より決定される等電点がpH1.5〜3.5の範囲にあ
    ることを特徴とする請求項2に記載のマイクロカプセル
    状光触媒体。
  7. 【請求項7】 光半導性粉体を、金属化合物を溶解して
    なる有機溶媒中に分散させた状態で、前記金属化合物を
    加水分解することにより、光半導性粉体表面に多孔質金
    属酸化物皮膜を析出させることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載のマイクロカプセル状光触媒体の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記光半導性粉体を、金属化合物を溶解
    してなる有機溶媒に酸性の触媒を添加して得られるゾル
    溶液中に浸漬した後、光半導性粉体を該ゾル溶液から分
    離することにより前記光半導性粉体表面に多孔質金属酸
    化物皮膜を形成することを特徴とする請求項1または2
    に記載のマイクロカプセル状光触媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 一般式R1 Si(OR2 3 (R1 はメ
    チル基以外の炭素数1以上の置換または非置換の炭化水
    素基を表し、R2 は置換または非置換のアルキル基を表
    す)で示されるオルガノトリアルコキシシランを酸性触
    媒の存在下に加水分解した後に中和し、その後テトラア
    ルコキシシラン及び光半導性粉体を分散させたアルコー
    ル分散液を添加し、さらに塩基性触媒を加えて光半導性
    粉体表面に金属酸化物皮膜を析出させた後に焼成するこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロカプ
    セル状光触媒体の製造方法。
  10. 【請求項10】 金属化合物としてメチルトリアルコキ
    シシランを用い、加水分解反応を促進するために硬化触
    媒としてアンモニア水を使用し、金属酸化物皮膜を調製
    した後に焼成することによって多孔性を発現することを
    特徴とする請求項7に記載のマイクロカプセル状光触媒
    体の製造方法。
  11. 【請求項11】 無機塗料、シリコーン樹脂塗料または
    フッ素樹脂系塗料中に、請求項1〜6の何れかに記載の
    マイクロカプセル状光触媒体を含有させたことを特徴と
    する塗料組成物。
  12. 【請求項12】 合成樹脂中に請求項1〜6の何れかに
    記載のマイクロカプセル状光触媒体が含有されているこ
    とを特徴とする樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 前記合成樹脂として、ビニル系(共)
    重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポ
    リアミド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、アリル樹脂及び
    エポキシ樹脂からなる群より選択される1種もしくは2
    種以上の樹脂が含有されていることを特徴とする請求項
    12に記載の樹脂組成物。
  14. 【請求項14】 マイクロカプセル状光触媒体の少なく
    とも一部が、請求項12または13に記載の樹脂組成物
    よりなる樹脂表面に露出した状態で固定されていること
    を特徴とする樹脂体。
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