JPH1152383A - 液晶素子および液晶装置 - Google Patents

液晶素子および液晶装置

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JPH1152383A
JPH1152383A JP21695697A JP21695697A JPH1152383A JP H1152383 A JPH1152383 A JP H1152383A JP 21695697 A JP21695697 A JP 21695697A JP 21695697 A JP21695697 A JP 21695697A JP H1152383 A JPH1152383 A JP H1152383A
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liquid crystal
independently
crystal device
control film
alignment control
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JP21695697A
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English (en)
Inventor
Koji Noguchi
幸治 野口
Yukio Haniyu
由紀夫 羽生
Koichi Sato
公一 佐藤
Shinichi Nakamura
真一 中村
Yoshimasa Mori
省誠 森
Nobutsugu Yamada
修嗣 山田
Masahiro Terada
匡宏 寺田
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 駆動マージンが大きく、経時的な焼き付きに
強い液晶素子を提供する。 【解決手段】 一対の基板間に液晶組成物を挟持した液
晶素子であって、該一対の基板の少なくとも一方は配向
制御膜を有し、該配向制御膜の少なくとも一方は陽イオ
ン性界面活性剤を含んでいる液晶素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフラットパネルディ
スプレイ、プロジェクションディスプレイ、プリンター
等に用いられるライトバルブに使用される液晶素子及び
それらを使用した表示装置をはじめとする液晶装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、広範に用いられている液晶表示素
子として、たとえばエム・シャット(M.Schad
t)とダブリュー・ヘルフリッヒ(W.Helfric
h)著“Applied Physics Lette
rs”第18巻、第4号(1971年2月15日発行)
第127頁から128頁において示されたツイステッド
ネマチック(Twisted nematic)液晶を
用いたものが知られている。また、代表的な液晶素子と
して知られているものに単純マトリクスタイプの液晶素
子がある。このタイプは、素子作成が容易であり、コス
ト面で優位性がある。
【0003】しかしながら、画素密度を高くしたマトリ
クス電極構造を用いた時分割駆動の時、クロストークが
発生するという問題点があるため、画素数が制限されて
いた。また、応答速度が10ミリ秒以上と遅いため、デ
ィスプレイとしての用途が制限されていた。
【0004】近年このような単純マトリクスタイプの素
子に対してTFTといわれる液晶素子の開発が行われて
いる。このタイプは一つ一つの画素にトランジスタを作
成するため、クロストークや応答速度の問題は解決され
る。反面、大面積になればなるほど不良画素なく液晶素
子を作成することが非常に困難であり、また、可能であ
っても多大なコストが発生するという問題もある。
【0005】このような従来型の液晶素子の欠点を改善
するものとして、双安定性を示す液晶を用いた素子がク
ラーク(Clark)およびラガウェル(Lagerw
a11)により提案されている(特開昭56−1072
16号公報、米国特許第4367924号明細書)。こ
の双安定性を示す液晶としては、一般にカイラルスメク
チックC相からなる強誘電性液晶が用いられている。こ
の強誘電性液晶は、自発分極により反転スイッチングを
行うため、非常に速い応答速度が得られる上にメモリー
性のある双安定状態を発現させることができる。さらに
視野角特性も優れていることから、高速、高精細、大面
積の表示素子あるいはライトバルブとして適していると
考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記液晶素子において
は、全部または一部の画素で駆動する電圧が低下した
り、低下しないまでも全部または局所的にスイッチング
が異常な挙動を示すことが起こる。また、素子作成当初
はそのような異常がなくても経時的にスイッチングの劣
化や閾値電圧の変化が起きたりする。これらの現象は液
晶素子の表示品位、品質を著しく阻害し、その生産性に
多大な影響を与えている。
【0007】特に強誘電性液晶を用いた表示素子におい
ては、選択信号を与えるN本のCOM電極と、書き込み
信号を与えるM本のSEG電極とが互いに直交してなる
単純マトリックス方式からなることでコスト的に優位な
素子となる。一般に強誘電性液晶はTN液晶等に比較し
て2〜3桁スイッチングスピードは速いが、前記単純マ
トリックス方式の場合は、COM電極の本数分スピード
が落ちるため、更なるスイッチングスピードの改善が求
められている。その改善の有力な方法としては、自発分
極(Ps[nC/cm2 ])を大きくすることがある。
その理由はスイッチングモデルから、そのスピードが
Ps・E/η(Ps:自発分極、E:電界、η:粘性係
数)に比例するからである。
【0008】しかしながら、この自発分極(Ps[nC
/cm2 ])を大きくする方法は、実際に液晶表示素子
として駆動させる時に、いろいろな問題を派生させる。
ひとつには「反電界」の問題がある。大きい自発分極に
よって、絶縁膜、配向制御膜に電荷が蓄積され、書き込
み用の外部電界が取り除かれたときに、その蓄積電荷の
作る内部「反電界」によって強誘電性液晶が反転してし
まい、メモリー効果が低下する。この現象は自発分極の
大きいものほど顕著であり、応答速度向上への要求と矛
盾する。そしてこの内部「反電界」の存在にとって実際
の表示素子では反転ドメインの生成や、情報信号による
液晶分子の揺らぎにより、著しく表示品位が低下するた
め、駆動条件の範囲(駆動マージン)が狭くなる、とい
う問題があった。上記の現象の解決方法として、従来は
液晶内に不純物を添加して内部電界を打ち消す方法や、
導電率の高い配向制御膜を用いて外部回路を通して「内
部電界」を打ち消す方法(“Jpn.J.App.Ph
ys.”,28(1989)Lll6、Nakaya
et al)等が提案されている。
【0009】また、液晶の大きな分極はイオン性または
極性不純物を誘包しやすく、大きな分極を有する液晶
は、素子を構成する諸材料、諸作成条件によってイオン
性あるいは極性不純物が混入しやすいという特性を持っ
ている。このようなイオン性あるいは極性不純物のなか
には、制御して用いる場合を除き、スイッチングの異常
あるいは劣化といった駆動特性へ悪影響を与えるものが
多く、分極の大きな液晶を用いる場合の大きな問題とな
っている。このことは素子作成当初のみならず、緩和時
間の長い経時的な駆動劣化の面でも存在する問題であ
る。
【0010】本発明は、この様な従来技術の問題点を解
決するためになされたものであり、液晶層中に存在し、
駆動劣化を誘発するイオン性あるいは極性不純物を不動
化、不活性化し、駆動マージンが大きく、経時的な焼き
付きに強い液晶素子、並びに該液晶素子を用いた液晶装
置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、一対の
基板間に液晶組成物を挟持した液晶素子であって、該一
対の基板の少なくとも一方は配向制御膜を有し、該配向
制御膜の少なくとも一方は陽イオン性界面活性剤を含ん
でいることを特徴とする液晶素子である。
【0012】また、本発明は、上記の液晶素子と該液晶
素子を駆動する手段とを少なくとも有する液晶装置であ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明者らは、鋭意検討を重ねた
結果、一対の基板間に液晶組成物を挟持した液晶素子で
あって、該一対の基板の少なくとも一方は配向制御膜を
有し、該配向制御膜の少なくとも一方は陽イオン性界面
活性剤を含んでいる液晶素子によって上記課題を解決し
た。
【0014】具体的には、本発明の第一は、相対向する
一対の基板間に液晶組成物を狭持してなる液晶素子にお
いて、該基板の一方又は双方に配向制御膜を設け、該配
向制御膜の少なくとも一方の配向制御膜が陽イオン性界
面活性剤を一成分として含んでいることを特徴とする液
晶素子である。
【0015】本発明の第二は、配向制御膜中に陽イオン
性界面活性剤を含む液晶素子において、該液晶セルを高
湿度雰囲気中で過熱処理した後、液晶組成物を注入する
ことを特徴とする液晶素子である。本発明の第三は、上
記の液晶素子と、該液晶素子を駆動するための手段とを
具備した表示装置である。
【0016】以下、本発明の液晶素子の構造の一例を図
面を用いて説明する。図1は本発明のカイラルスメクチ
ック液晶素子の一例を示す概略図である。同図におい
て、1がカイラルスメクチック液晶組成物からなる液晶
層であり、液晶としてカイラルスメクチック液晶を用い
る場合、通常、双安定性を実現させるため、層厚5μm
以下が好ましい。2a,2bは基板であり、ガラス、プ
ラスチック等が用いられる。3a,3bがITO等の透
明電極である。4a,4bが配向制御膜であり、少なく
とも一方の基板上に一軸配向処理を施した一軸配向制御
膜が必要である。一軸配向制御膜の形成方法としては、
例えば基板上に溶液塗工または蒸着あるいはスパッタリ
ング等により、一酸化珪素、二酸化珪素、酸化アルミニ
ウム、ジルコニア、フッ化マグネシウム、酸化セリウ
ム、フッ化セリウム、シリコン窒化物、シリコン炭化
物、ホウ素窒化物などの無機物や、ポリビニルアルコー
ル、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリエステルイミド、ポリパラキシレン、ポ
リカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリビニルク
ロライド、ポリスチレン、ポリシロキサン、セルロース
樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂などの
有機物を用いて被膜形成した後、表面をビロード、布あ
るいは紙等の繊維状のもので摺擦(ラビング)すること
により得られる。また、SiO等の酸化物あるいは窒化
物などを基板の斜方から蒸着する斜方蒸着法なども用い
られ得る。これらの材料、形成方法については、一方の
基板側については摺擦等の一軸配向性を付与しないで用
いることもできる。
【0017】特に、本発明の液晶素子は、一対の基板間
に少なくとも2つの安定状態を示すカイラルスメクティ
ック液晶組成物を挟持した液晶素子であって、前記一対
の基板のうち一方の基板には一軸配向処理が施された配
向制御膜が設けられており、他方の基板には一軸配向処
理が施されていない配向制御膜が設けられており、前記
一軸配向処理が施された配向制御膜がポリイミドからな
り、前記一軸配向処理が施されていない配向制御膜がシ
ランカップリング剤又はポリシロキサンからなる液晶素
子が好ましい。
【0018】また、自発分極Psのスイッチングに伴っ
て発生する反電界の大きさを抑制し、良好なスイッチン
グ性能を有する観点で、配向制御膜の膜厚は200Å以
下が好ましい。100Å以下であるとき、さらに好まし
い場合がある。
【0019】また、上記配向制御膜とは別に一対の基板
のショート防止層としての絶縁層やほかの有機物層、無
機物層が形成されていても良い。5がギャップ制御スペ
ーサーであり、たとえばシリカビーズ等が用いられる。
8a、8bが偏光板、5がシール材、9が光源である。
【0020】本発明では、使用する液晶材料に応じて、
配向制御膜構成が非対称の素子、即ち、夫々の基板、つ
まり上下で異なる配向処理の施された素子がよく用いら
れる。特にコレステリック相を持たない材料を選択する
場合、良好な均一配向を実現し易いという点で非対称な
配向制御膜構成、例えば一方の基板においてのみ一軸配
向処理のなされた配向制御膜を有する非対称構成を用い
る。また、自発分極の大きな液晶材料を用いるときも、
反電場に起因するスイッチング不良を軽減するため、片
側配向制御膜としてセル厚方向に導電性を有する非一軸
性の配向制御膜がよく用いられる。セル厚方向に導電性
を有する配向制御膜としては、例えばバインダー母材中
に金属酸化物微粒子等を分散した膜を用いる。
【0021】本発明の液晶素子では、陽イオン性界面活
性剤が含有された配向制御膜を用いることを特徴として
いる。陽イオン性界面活性剤の考えられる作用は、第1
に液晶層中に存在し、駆動劣化を誘発するイオン性ある
いは極性不純物を不動化、不活性化することである。そ
のメカニズムは、駆動劣化を誘発するイオン性あるいは
極性不純物を、物理吸着する、イオン交換等により
化学吸着する、ことにより、不活性化、不動化すると考
えられる。従って例えば有機陰イオン系不純物により駆
動劣化が起こっているとすれば、陽イオン系の陽イオン
性界面活性剤を用い不活性化することができる。
【0022】第2には陽イオン性界面活性剤の含まれた
配向制御膜の界面の導電率を上昇させ、駆動劣化の原因
であるところの非局在する電場または電荷をリーク、拡
散することである。
【0023】上記の液晶層中の有機陰イオン性不純物の
発生源としては以下の事が考える。液晶材料中には、化
合物の合成過程などに起因する微量の有機陰イオン性の
不純物が含まれていることが考えられる。また、液晶素
子の作成過程での微量な有機化学溶媒が液晶材料中に溶
け出し、これらが液晶素子の駆動中に電界により酸化さ
れ生成すること等が考えられる。
【0024】また、誘電率を負に大きくし、情報信号に
よるゆらぎを抑制する場合、シアノ基やフッソ基が置換
された液晶性化合物を用いた液晶組成物が効果的であ
る。このような液晶組成物を用いる場合、有機陰イオン
が混入しやすく陽イオン性界面活性剤は効果的である。
【0025】本発明で用いる陽イオン性界面活性剤は、
液晶素子の種類、構造、材料により、1)駆動劣化を誘
発するイオン性あるいは極性不純物が異なること、2)
配向制御膜への低抵抗化の要請度が異なること、等のた
めに、基本的にはそれぞれの液晶素子に適合した陽イオ
ン性界面活性剤を用いることが好ましい。
【0026】陽イオン性界面活性剤の配向制御膜への導
入の方法は、配向制御膜中にブレンドしても良い。ま
た、上下で配向処理の異なる配向制御膜を持つ場合に
は、両方あるいはいずれか一方の側へ導入することも可
能である。陽イオン性界面活性剤のを含有する側の配向
制御膜の材料としては、バインド性、非ブリード性の観
点で吸着活性の高い材料が好ましい。特にポリイミドは
高い一軸配向制御能をも有している点で特に好ましく導
入され得る。
【0027】また、本発明においては、陽イオン性界面
活性剤の作用、効果を増大させ得る観点で、配向制御膜
中に陽イオン性界面活性剤を含む液晶素子において、該
配向制御膜に水分子を吸着させることが時に有効であ
る。
【0028】水分子を吸着させる方法としては、液晶材
料を空セルに注入する前に、空セル内部の配向制御膜に
水分子を付着させる。具体的には、空セルを加熱及び減
圧処理する等して脱ガスした後に、水分子を含む気体を
空セル内に導入することが望ましい。
【0029】本発明では、陽イオン性界面活性剤とし
て、以下の例があるが本発明はこれに限定されるもので
はない。本発明におけるカイラルスメクティック液晶組
成物中に用いられる陽イオン性界面活性剤としては、特
に制限はなく通常の陽イオン性の界面活性剤を用いるこ
とができるが、例えば「油脂化学便覧」改訂第二版、6
53〜730頁(日本油化学協会編、昭和46年11月
30日丸善株式会社発行)に記載されているものが挙げ
られる。以下に陽イオン性界面活性剤の具体例を示す。
【0030】1.アミン塩陽イオン性界面活性剤 オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸
塩、牛脂アルキルプロピレンジアミン酢酸塩 2.メチル型陽イオン性界面活性剤 オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、アル
キル(牛脂)トリメチルアンモニウムクロライド、ドデ
シルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキル(ヤ
シ)トリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシル
トリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチ
ルアンモニウムクロライド、アルキル(牛脂)イミダゾ
リン4級塩、ジアルキル(硬化牛脂)ジメチルアンモニ
ウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロラ
イド、
【0031】3.ベンジル型陽イオン性界面活性剤 アルキル(ヤシ)ジメチルベンジルアンモニウムクロラ
イド、オタクデシルジメチルベンジルアンモニウムクロ
ライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムク
ロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライ
ド、 4.その他の陽イオン性界面活性剤 1−ヒドロキシエチル−2−アルキル(牛脂)イミダゾ
リン4級塩、アルキル(ヤシ)イソキノリニウムブロマ
イド、高分子アミン(RNHC NH :R
はアルキル基等を示す。)、
【0032】次に、本発明における配向制御膜に含有さ
れる陽イオン性界面活性剤の含有量は、通常0.000
lwt%〜10wt%、好ましくは0.0001wt%
〜8wt%未満、さらに好ましくは0.0001wt%
〜5wt%である。
【0033】図8は液晶素子のイオンの流動量の測定方
法を示す概略説明図である。液晶素子における電界に対
して流動するイオンの電荷量Qtは、たとえば、図8に
示す回路に三角波電圧Vexを印加し、液晶素子11に直
列接続された抵抗Rの両端の電圧をモニターすることに
よって液晶中に流れる電流量を正負それぞれの電界に応
じて測定し、観測される電流ピークのうち自発分極Ps
の反転に伴う電流ピーク以外の部分である。このとき流
動するイオンの電荷量の非対称の意味するところは、ピ
ーク形状の非対称、ピーク強度の非対称である。通常の
測定ではピークの積分値を比較する。また、通常測定に
使用される電界強度は、0.lV/μmから50V/μ
m、周波数は0.000lHzから1000Hzの範囲
である。
【0034】次に、本発明において用いられる、カイラ
ルスメクチック相を呈するカイラルスメクチック液晶組
成物について説明する。前記カイラルスメクチック相を
呈する液晶組成物は、コレステリック相を呈さない液晶
組成物、および強誘電性を示す液晶組成物が好ましい。
とりわけ、ラビング処理を少なくとも一方の基板の表面
に施すことで、得られた液晶素子の層傾斜角8°以下と
し、スメクチック相が屈折しないいわゆるブックシェル
フ配向をもつ液晶素子に特に有効である。
【0035】本発明において用いられるカイラルスメク
ティック液晶組成物には、コレステリック相を持たず、
且つスメクティックA相からカイラルスメクティックC
相に移る温度近傍で層間隔が減少し始める第1の変移点
における層間隔(d)と、該第1の変移点からの温度
降下に伴って上記層間隔が減少し再び増加に転ずる第2
の変移点における層間隔の極小値(dmin)との関係
【0036】
【数1】0.990≦dmin /d を満たす液晶組成物が用いられ、該カイラルスメクティ
ック液晶組成物を用いることにより、ブックシェルフ或
いはそれに近い層傾き角の小さな構造を発現することが
できる。このカイラルスメクティック液晶組成物の具体
例としては、例えば、「次世代液晶ディスプレイと液晶
材料」((株)シーエムシー、福田敦夫編、1992
年)等に記載されているものが挙げられる。
【0037】また、本発明において用いられるカイラル
スメクティック液晶組成物としては、好ましくはフルオ
ロカーボン末端部分及び炭化水素末端部分を有し、該両
末端部分が中心核によって結合され、スメクティック中
間相又は潜在的スメクティック中間相を持つフッ素含有
液晶化合物を含有するものが望ましい。
【0038】前記フッ素含有液晶化合物としては、フル
オロカーボン末端部分が、−D1−Cxa2xa−Xで表わ
される基、(但し、上記式中xaは1〜20であり、X
は−H又は−Fを表わし、D1は、−CO−O−(C
2ra−、−O−(CH2ra−、−(CH2ra−、
−O−SO2−、−SO2−、−SO2−(CH2ra−、
−O−(CH2ra−O−(CH2rb−、−(CH2
ra−N(Cpa2pa+1)−SO2−、又は−(CH2ra
−N(Cpa2pa+1)−CO−を表わす。raおよびr
bは、独立に1〜20であり、paは0〜4であ
る。)、或いは、−D2−(Cxb2xb−O)za−Cya
2ya+1で表わされる基、(但し、上記式中xbはそれぞ
れの(Cxb2xb−O)に独立に1〜10であり、ya
は1〜10であり、zaは1〜10であり、D2は、−
CO−O−Crc2rc−、−O−Crc2rc−、−Crc
2rc−、−O−(Csa2sa−O)ta−Crd2rd−、−
O−SO2−、−SO2−、−SO2−Crc2rc−、−C
rc2rc−N(Cpb2pb+1)−SO2−、−Crc2rc
N(Cpb2pb+1)−CO−、単結合から選ばれ、rc
及びrdは独立に1〜20であり、saはそれぞれの
(Csa2sa−O)に独立に1〜10であり、taは1
〜6であり、pbは0〜4である。)であるような化合
物を用いることができる。
【0039】特に好ましくは、下記の一般式(I)、或
いは(II)で表わされるフッ素含有液晶化合物を用い
ることができる。
【0040】
【化5】 式中、A1、A2、A3は、それぞれ独立に、
【0041】
【化6】 を表わす。
【0042】ga、ha、iaは独立に0〜3の整数
(但し、ga+ha+iaは少なくとも2である)を表
わす。夫々のL1とL2は独立に、単結合、−CO−O
−、−O−CO−、−COS−、−S−CO−、−CO
−Se−、−Se−CO−、−CO−Te−、−Te−
CO−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−C≡C
−、−CH=N−、−N=CH−、−CH2−O−、−
O−CH2−、−CO−又は−O−を表わす。
【0043】夫々のX1、Y1、Z1はA1、A2、A3の置
換基であり、独立に−H、−Cl、−F、−Br、−
I、−OH、−OCH3、−CH3、−CN、又は−NO
2を表わし、夫々のja、ma、naは独立に0〜4の
整数を表わす。J1は、−CO−O−(CH2ra−、−
O−(CH2ra−、−(CH2ra−、−O−SO
2−、−SO2−、−SO2−(CH2ra−、−O−(C
2ra−O−(CH2rb−、−(CH2ra−N(C
pa2pa+1)−SO2−、又は−(CH2ra−N(Cpa
2pa+1)−CO−を表わす。ra及びrbは、独立に
1〜20であり、paは0〜4である。
【0044】R1は、−O−Cqa2qa−O−Cqb
2qb+1、−Cqa2qa−O−Cqb2qb+1、−Cqa2qa
3、−O−Cqa2qa−R3、−CO−O−Cqa2qa
3、又は−O−CO−Cqa2qa−R3を表わし、直鎖
状、分岐状のいずれであっても良い(但し、R3は、−
O−CO−Cqb2qb+1、−CO−O−Cqb2qb+1、−
H、−Cl、−F、−CF3、−NO2、−CNを表わ
し、qa及びqbは独立に1〜20である)。R2はC
xa2xa−Xを表わす(Xは−H又は−Fを表わし、x
aは1〜20の整数である)。
【0045】
【化7】 式中、A4、A5、A6は、それぞれ独立に、
【0046】
【化8】 を表わす。
【0047】gb、hb、ibはそれぞれ独立に0〜3
の整数(但し、gb+hb+ibは少なくとも2であ
る)を表わす。夫々のL3、L4は独立に、単結合、−C
O−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO
−、−CO−Se−、−Se−CO−、−CO−Te
−、−Te−CO−、−(CH2CH2ka−(kaは1
〜4)、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=N−、
−N=CH−、−CH2−O−、−O−CH2−、−CO
−又は−O−を表わす。
【0048】夫々のX2、Y2、Z2はA4、A5、A6の置
換基であり、独立に−H、−Cl、−F、−Br、−
I、−OH、−OCH3、−CH3、−CF3、−OC
3、−CN、又は−NO2を表わし、夫々のjb、m
b、nbは独立に0〜4の整数を表わす。
【0049】J2は、−CO−O−Crc2rc−、−O−
rc2rc−、−Crc2rc−、−O−(Csa2sa
O)ta−Crd2rd−、−O−SO2−、−SO2−、−
SO2−Crc2rc−、−Crc2rc−N(Cpb2pb+1
−SO2−、−Crc2rc−N(Cpb2pb+1)−CO−
であり、rc及びrdは独立に1〜20であり、saは
それぞれの(Csa2sa−O)に独立に1〜10であ
り、taは1〜6であり、pbは0〜4である。
【0050】R4は、−O−(Cqc2qc−O)wa−Cqd
2qd+1、−(Cqc2qc−O)wa−Cqd2qd+1、−C
qc2qc−R6、−O−Cqc2qc−R6、−CO−O−C
qc2qc−R6、又は−O−CO−Cqc2qc−R6を表わ
し、直鎖状、分岐状のいずれであっても良い(但し、R
6は−O−CO−Cqd2qd+1、−CO−O−Cqd
2qd+1、−Cl、−F、−CF3、−NO2、−CN、又
は−Hを表わし、qc及びqdは独立に1〜20の整
数、waは1〜10の整数である)。R5は(Cxb2xb
−O)za−Cya2ya+1で表わされる(但し、上記式中
xbはそれぞれの(Cxb2xb−O)に独立に1〜10
であり、yaは1〜10であり、zaは1〜10であ
る)。
【0051】上記一般式(I)で表わされる化合物は、
特開平2−142753号公報、米国特許第5,08
2,587号に記載の方法によって得ることができる。
かかる化合物の具体例を以下に列挙する。
【0052】
【化9】
【0053】
【化10】
【0054】
【化11】
【0055】
【化12】
【0056】
【化13】
【0057】
【化14】
【0058】
【化15】
【0059】
【化16】
【0060】
【化17】
【0061】
【化18】
【0062】
【化19】
【0063】
【化20】
【0064】上記一般式(II)で表わされる化合物
は、国際公開WO93/22396、特表平7−506
368号公報に記載の方法によって得ることができる。
かかる化合物の具体例を以下に列挙する。
【0065】
【化21】
【0066】
【化22】
【0067】
【化23】
【0068】
【化24】
【0069】
【化25】
【0070】本発明においては、特にカイラルスメクテ
ィック液晶組成物はフルオロカーボン未端部分中に少な
くとも一つの連鎖中エーテル酸素を含むフッ素含有液晶
化合物を50重量%以上含有する液晶組成物が好まし
い。
【0071】さらに、その他の構成成分としての光学活
性の液晶性化合物の具体例として、以下の構造のものが
挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0072】○ 下記の一般式(III)で表される化
合物。
【0073】
【化26】
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】上述した一般式(III)の化合物の具体
例において用いた略号は以下の通りである。
【0080】
【化27】
【0081】
【化28】
【0082】○ 下記の一般式(IV)で表される化合
物。
【0083】
【化29】
【0084】
【表6】
【0085】
【表7】
【0086】
【表8】
【0087】
【表9】
【0088】
【表10】
【0089】上述した一般式(IV)の化合物の具体例
において用いた略号は以下の通りである。
【0090】
【化30】
【0091】
【化31】
【0092】
【化32】
【0093】
【化33】
【0094】
【化34】
【0095】
【化35】
【0096】n=6,2R,5R n=6,2S,5R n=4,2R,5R n=4,2S,5R n=3,2R,5R n=2,2R,5R n=2,2S,5R n=1,2R,5R n=1,2S,5R
【0097】
【化36】
【0098】n=1 n=2 n=3 n=4 n=6 n=10
【0099】
【化37】
【0100】n=8 n=10
【0101】
【化38】
【0102】
【化39】
【0103】
【化40】
【0104】
【化41】
【0105】
【化42】
【0106】
【化43】
【0107】また、前記カイラルスメクチック相を呈す
る液晶組成物の自発分極が20nC/cm 以上であ
ることが好ましい。
【0108】このよう 本発明の液晶素子は、信号電源
(図示せず)からのスイッチング信号に応じてスイッチ
ングが行われ、表示素子のライトバルブとして機能す
る。また、基板上の透明電極を上下にクロスにマトリッ
クスとすれば、パターン表示、パターン露光が可能とな
り、たとえば、パーソナルコンピューター、ワークステ
ーション等のディスプレイ、プリンター用等のライトバ
ルブとして用いられる。
【0109】本発明の液晶素子は種々の機能をもった液
晶装置を構成するが、そのもっとも適した例が該液晶素
子を表示パネル部に使用し、図2および図3に示した走
査線アドレス情報を持つ画像情報からなるデータフォー
マット及びSYN信号による通信同期手段をとることに
より、液晶表示装置を実現するものである。
【0110】図中の符号はそれぞれ以下の通りである。 101 カイラルスメクチック液晶表示装置 102 グラフィックコントローラー 103 表示パネル 104 走査線駆動回路 105 情報線駆動回路 106 デコーダ 107 走査線信号発生回路 108 シフトレジスタ 109 ラインメモリ 110 情報信号発生回路 111 駆動制御回路 112 GCPU 113 ホストCPU 114 VRAM
【0111】画像情報の発生は本体装置のグラフィック
コントローラー102にて行われ、図2及び図3に示し
た信号伝達手段に従って表示パネル103へと転送され
る。グラフィックコントローラー102はCPU(中央
演算装置、GCPU 112と略す。)及びVRAM
(画像情報格納用メモリ)114を核にホストCPU1
13と液晶表示装置101間の画像情報の管理や通信を
司っている。なお、該表示パネルの裏面には、光源が配
置されている。
【0112】本発明における表示装置は表示媒体である
液晶素子が前述したように良好なスイッチング特性を有
するため、優れた駆動特性、信頼性を発揮し、高精細、
高速、大面積の表示画像を得ることができる。
【0113】本発明の液晶素子の一例であるカイラルス
メクティック液晶素子の駆動法としては、たとえば特開
昭59−193426号公報、特開昭59−19342
7号公報、特開昭60−156046号公報、特開昭6
0−156047号公報などに開示された駆動法を適用
することができる。
【0114】図6は、駆動法の波形図の1例を示す図で
ある。また、図5は、マトリクス電極を配置した強誘電
性液晶パネルの一例を示す平面図である。図5の液晶パ
ネル51には、走査電極群52の走査線と情報電極群5
3のデータ線とが互いに交差して配線され、その交差部
の走査線とデータ線との間には強誘電性液晶が配置され
ている。
【0115】図6(A)中のSは選択された走査線に
印加する選択走査波形を、Sは選択されていない非選
択走査波形を、Iは選択されたデータ線に印加する選
択情報波形(黒)を、Iは選択されていないデータ線
に印加する非選択情報信号(白)を表している。また、
図中(I−S)と(I−S)は選択された走査
線上の画素に印加する電圧波形で、電圧(I−S
が印加された画素は黒の表示状態をとり、電圧(I
)が印加された画素は白の表示状態となる。
【0116】図6(B)は図6(A)に示す駆動波形
で、図4に示す表示を行った時の時経列波形である。図
6に示す駆動例では、選択された走査線上の画素に印加
される単一極性電圧の最小印加時間Δtが書き込み位相
の時間に相当し、1ラインクリアt位相の時間2
Δtに設定されている。さて、図6に示した駆動波形の
各パラメータV、V、Δtの値は使用する液晶材料
のスイッチング特性によって決定される。
【0117】図7は後述するバイアス比を一定に保った
まま駆動電圧(V+V)を変化させた時の透過率T
の変化、すなわちV−T特性を示したものである。ここ
ではΔt=50μsec、バイアス比V/(V+V
)=1/3に固定されている。図7の正側は図6で示
した(I−S)、負側は(I−S)で示した波
形が印加された際の(V+V)と最終的な透過率の
関係を示す。
【0118】ここで、V、Vをそれぞれ実駆動閾値
電圧及びクロストーク電圧と呼ぶ。また、V<V
の時に、(V−V)/(V+V)を電圧可
変マージン(ΔV)と呼び、マトリックス駆動可能な電
圧幅の重要なパラメーターとなる。
【0119】Vは強誘電性液晶表示素子駆動上、一般
的に存在すると言ってよい。具体的には図6(A)(I
−S)の波形におけるVによるスイッチングを起
こす電圧値である。もちろん、バイアス比を大きくする
ことにより、Vの値を大きくすることは可能である
が、バイアス比を増すことは情報信号の振幅を大きくす
ることを意味し、画質的にはちらつきの増大、コントラ
ストの低下を招き好ましくない。
【0120】本発明者らの検討ではバイアス比1/3〜
1/4程度が適当であった。ところでバイアス比を固定
すれば、電圧マージンΔVは液晶材料のスイッチング特
性及び素子構成に強く依存し、ΔVの大きい素子がマト
リクス駆動上非常に有利であることは言うまでもない。
【0121】また同様に、駆動電圧を固定し、電圧印加
時間Δtを変化させていくときには、電圧印加時間閾値
をΔtとし、電圧印加時間クロストーク値をΔt2
して、(Δt−Δt)/(Δt+Δt)を電圧
印加時間マージンとする。
【0122】ある一定温度においては、このように情報
信号の2通りの向きによって選択画素に黒及び白の2状
態を書き込むことが可能であり、非選択画素はその黒ま
たは白の状態を保持することが可能である電圧マージン
または電圧印加時間マージンは液晶材料及び素子構成に
よって差があり、特有なものである。また、環境温度の
変化によってもそれら駆動マージンは異なるため、実際
の表示装置の場合、液晶材料、素子構成や環境温度に対
して最適な駆動条件を設定しておく必要がある。
【0123】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例で用いた液晶組成物を以下に示す。
【0124】
【化44】
【0125】
【化45】
【0126】本液晶組成物Nの物性パラメーターを以下
に示す。
【0127】
【数2】
【0128】実施例1 [セルの作製]実施例に使用する空セルを以下の如く作
製した。 (セルAの作成)透明電極として約70nm厚のITO
膜を形成した1.lmm厚のガラス基板のうち一方に、
以下の手法により配向制御膜を形成した。N−メチルピ
ロリドン(NMP)とn−ブチルセロソルブ(nBC)
の4:1溶媒中に、下記繰り返し単位を有するポリイミ
ド前駆体が0.5wt%となるよう溶解させた。更に、
陽イオン系界面活性剤である日本油脂(株)製、陽イオ
ン界面活性剤:カチオンAB([C1837+ (CH
33 ]Cl- )をポリイミドに対する最終固形分濃度
が5wt%となる様に、この溶液中に0.5wt%溶解
させた。この溶液を回転数1500rpm、30秒の条
件にて、スピンコート法により塗布した。その後、80
℃、5分間の前乾燥を行った後、200℃で1時間加熱
焼成を施し配向制御膜を形成した。なお、このときの膜
厚は50Åであった。
【0129】
【化46】
【0130】第2の基板については、ラダー型のポリシ
ロキサンの母材中にSnOxの酸化物超微粒子(平均粒
径100Å)を分散した固形分濃度10wt%のエタノ
ール溶液をスピンコート法により膜厚2000Åで塗布
した。その後、80℃、5分間の前乾燥を行った後、2
00℃、1時間加熱乾燥を施した。
【0131】続いて配向処理を施した第1のガラス基板
上にスペーサーとして、平均粒径2.0μmのシリカビ
ーズを散布し、他方の第2の基板を貼り合わせてセルを
作製した。
【0132】(セルBの作成)透明電極として約70n
m厚のITO膜を形成した1.lmm厚のガラス基板の
うち一方に、以下の手法により配向制御膜を形成した。
N−メチルピロリドン(NMP)とn−ブチルセロソル
ブ(nBC)の4:1溶媒中に、下記繰り返し単位を有
するポリイミド前駆体が0.5wt%となるよう溶解さ
せた。この溶液を回転数1500rpm、30秒の条件
にて、スピンコート法により塗布した。その後、80
℃、5分間の前乾燥を行った後、200℃で1時間加熱
焼成を施し配向制御膜を形成した。なお、このときの膜
厚は、50Åであった。このように形成した配向制御膜
に対して一軸配向処理としてナイロン布によるラビング
処理を施した。
【0133】
【化47】
【0134】第2の基板については、ラダー型のポリシ
ロキサンの母材中にSnOxの酸化物超微粒子(粒径1
00Å)を分散した固形分濃度10wt%のエタノール
溶液の中に、陽イオン系界面活性剤である日本油脂
(株)製、陽イオン界面活性剤:カチオンAB([C18
37+ (CH33 ]Cl- )を最終固形分濃度が5
wt%となるようこの溶液中に0.5wt%溶解させ、
スピンコート法により膜厚2000Åで塗布した。その
後、80℃、5分間の前乾燥を行った後、200℃1時
間加熱乾燥を施した。
【0135】続いて配向処理を施した第1のガラス基板
上にスペーサーとして、平均粒径2.0μmのシリカビ
ーズを散布し、他方の第2の基板を貼り合わせてセルを
作製した。上記に示したプロセスで作製した各セル中に
液晶組成物Nを注入して、液晶素子を作製した。この
時、液晶組成物Nの注入法として、湿度約80%の高湿
雰囲気中での注入法にて等方相温度にて毛管注入を行っ
た。
【0136】比較例1 (セルCの作成)透明電極として約70nm厚のITO
膜を形成した1.lmm厚のガラス基板のうち一方に、
以下の手法により配向制御膜を形成した。N−メチルピ
ロリドン(NMP)とn−ブチルセロソルブ(nBC)
の4:1溶媒中に、下記繰り返し単位を有するポリイミ
ド前駆体が0.5wt%となるよう溶解させた。この溶
液を回転数1500rpm、30秒の条件にて、スピン
コート法により塗布した。その後、80℃、5分間の前
乾燥を行った後、200℃で1時間加熱焼成を施し配向
制御膜を形成した。なお、このときの膜厚は、50Åで
あった。このように形成した配向制御膜に対して一軸配
向処理としてナイロン布によるラビング処理を施した。
【0137】
【化48】
【0138】第2の基板については、ラダー型のポリシ
ロキサンの母材中にSnOxの酸化物超微粒子(粒径1
00Å)を分散した固形分濃度10wt%のエタノール
溶液をスピンコート法により膜厚2000Åで塗布し
た。その後、80℃、5分間の前乾燥を行った後、20
0℃1時間加熱乾燥を施した。続いて配向処理を施した
第1のガラス基板上にスペーサーとして、平均粒径2.
0μmのシリカビーズを散布し、他方の第2の基板を貼
り合わせてセルを作製した。
【0139】上記に示したプロセスで作製したセル中に
液晶組成物Nを注入して、液晶素子を作製した。この
時、液晶組成物Nの注入法として、湿度約80%の高湿
雰囲気中での注入法にて等方相温度にて毛管注入を行っ
た。
【0140】これら得られた素子に対して、イオン量
(Qt)、およびM2マージン(M2)の測定を行っ
た。 イオン量(Qt)の測定 イオン量の測定は、図8に示す回路に三角波電圧を印加
し、液晶素子に直列接続された抵抗の両端の電圧をモニ
ターすることによって液晶中に流れる電流量を測定し、
観測される電流ピークのうち自発分極の反転に伴う電流
ピーク(Ps)以外の部分を積分してイオン量(Qt)
を計算した。測定温度は30℃とし、±20V、5Hz
の三角波を用いた。Qt測定の結果を表11に示す。
【0141】
【表11】
【0142】この表11の結果の通り、界面活性剤を配
向制御膜中に含むセルはQt量が少ないことがわかる。
また、液晶の注入条件によってもQt量は変化してお
り、高湿雰囲気中での注入の方がQt量がやや少なくな
っていることがわかる。
【0143】M2マージン(M2)の測定 M2マージン(M2)の測定は、図6に示す単純マトリ
クス波形を用いて測定を行った。測定温度は30℃、駆
動電圧を20Vとし、パルス幅を変化させて駆動M2マ
ージンを測定した。M2の測定の結果を表12に示す。
【0144】
【表12】
【0145】(注)上記のM2マージン(M2)の測定
は、80%の高湿度雰囲気中の値を示す。比較例1のセ
ルCでは、ツイスト配向のため完全なユニホーム配向を
得られなかった。
【0146】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
駆動マージンが大きく、経時的な焼き付きに強い、特に
カイラルスメクチック液晶を用いた液晶素子、並びに該
液晶素子を用いた液晶装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカイラルスメクチック液晶素子の一例
を示す概略図である。
【図2】本発明のカイラルスメクチック液晶組成物を用
いた液晶素子を備えた表示装置とグラフィックコントロ
ーラを示すブロック図である。
【図3】表示装置とグラフィックコントローラとの間の
画像情報通信タイミングチャートを示す図である。
【図4】図6に示す時系列駆動波形で実際の駆動を行っ
たときの表示パターンの模式図である。
【図5】マトリクス電極を配置した強誘電性液晶パネル
の一例の平面図である。
【図6】本発明で用いた駆動法の波形図の一例である。
【図7】本発明にかかる、駆動電圧を変化させたときの
透過率の変化を示すグラフ(V−T特性図)である。
【図8】液晶素子のイオンの流動量の測定方法を示す概
略説明図である。
【符号の説明】
1 カイラルスメクチック液晶組成物を用いた液晶層 2a、2b 基板 3a、3b 透明電極 4a、4b 配向制御膜 8a、8b 偏光板 5 シール材 9 光源 I 入射光 I 透過光 51 液晶パネル 52 走査電極群 53 情報電極群 101 カイラルスメクチック液晶表示装置 102 グラフィックコントローラ 103 表示パネル 104 走査線駆動回路 105 情報線駆動回路 106 デコーダ 107 走査信号発生回路 108 シフトレジスタ 109 ラインメモリ 110 情報信号発生回路 111 駆動制御回路 112 GCPU 113 ホストCPU 114 VRAM
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G02F 1/141 G02F 1/137 510 (72)発明者 中村 真一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 森 省誠 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 山田 修嗣 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 寺田 匡宏 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の基板間に液晶組成物を挟持した液
    晶素子であって、該一対の基板の少なくとも一方は配向
    制御膜を有し、該配向制御膜の少なくとも一方は陽イオ
    ン性界面活性剤を含んでいることを特徴とする液晶素
    子。
  2. 【請求項2】 前記陽イオン性界面活性剤の含有量が
    0.000lwt%〜10wt%であることを特徴とす
    る請求項1記載の液晶素子。
  3. 【請求項3】 前記陽イオン性界面活性剤を含んでなる
    配向制御膜がポリイミドである請求項1または2に記載
    の液晶素子。
  4. 【請求項4】 前記一対の基板上に配向制御膜が設けら
    れ、該配向制御膜が互に異なる配向処理が施されている
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載
    の液晶素子。
  5. 【請求項5】 前記陽イオン性界面活性剤を含む配向制
    御膜に水分子を吸着させてなることを特徴とする請求項
    1乃至4のいずれかの項に記載の液晶素子。
  6. 【請求項6】 前記液晶組成物が、カイラルスメクチッ
    ク相を呈する液晶組成物である請求項1乃至5のいずれ
    かに記載の液晶素子。
  7. 【請求項7】 前記液晶組成物が、コレステリック相を
    呈さない液晶組成物である請求項6記載の液晶素子。
  8. 【請求項8】 前記液晶組成物が、強誘電性を示す液晶
    組成物である請求項1乃至7のいずれかの項に記載の液
    晶素子。
  9. 【請求項9】 前記カイラルスメクチック相を呈する液
    晶組成物の自発分極が20nC/cm2 以上であること
    を特徴とする請求項6記載の液晶素子。
  10. 【請求項10】 前記液晶組成物が、フルオロカーボン
    末端部分及び炭化水素未端部分を有し、該両末端部分が
    中心核によって結合され、スメクチック中間相又は潜在
    的スメクチック中間相を持つフッ素含有液晶化合物を含
    有する請求項1乃至8のいずれかの項に記載の液晶素
    子。
  11. 【請求項11】 前記フッ素含有液晶化合物におけるフ
    ルオロカーボン末端部分が、−D1−Cxa2xa−Xで表
    わされる基である請求項10記載の液晶素子。(但し、
    上記式中xaは1〜20であり、Xは−H又は−Fを表
    わし、D1は、−CO−O−(CH2ra−、−O−(C
    2ra−、−(CH2ra−、−O−SO2−、−SO2
    −、−SO2−(CH2ra−、−O−(CH2ra−O
    −(CH2rb−、−(CH2ra−N(Cpa2pa+1
    −SO2−、又は−(CH2ra−N(Cpa2pa+1)−
    CO−を表わす。raおよびrbは、独立に1〜20で
    あり、paは0〜4である。)
  12. 【請求項12】 前記フッ素含有液晶化合物におけるフ
    ルオロカーボン末端部分が、−D2−(Cxb2xb−O)
    za−Cya2ya+1で表わされる基である請求項10記載
    の液晶素子。(但し、上記式中xbはそれぞれの(Cxb
    2xb−O)に独立に1〜10であり、yaは1〜10
    であり、zaは1〜10であり、D2は、−CO−O−
    rc2rc−、−O−Crc2rc−、−Crc2rc−、−
    O−(Csa2sa−O)ta−Crd2rd−、−O−SO2
    −、−SO2−、−SO2−Crc2rc−、−Crc2rc
    N(Cpb2pb+1)−SO2−、−Crc2rc−N(Cpb
    2pb+1)−CO−、単結合から選ばれ、rc及びrd
    は独立に1〜20であり、saはそれぞれの(Csa
    2sa−O)に独立に1〜10であり、taは1〜6であ
    り、pbは0〜4である。)
  13. 【請求項13】 前記フッ素含有液晶化合物が、下記の
    一般式(I)で表わされる請求項10記載の液晶素子。 【化1】 [式中、A1、A2、A3は、それぞれ独立に、 【化2】 を表わす。ga、ha、iaは独立に0〜3の整数(但
    し、ga+ha+iaは少なくとも2である)を表わ
    す。夫々のL1とL2は独立に、単結合、−CO−O−、
    −O−CO−、−COS−、−S−CO−、−CO−S
    e−、−Se−CO−、−CO−Te−、−Te−CO
    −、−CH2CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、−
    CH=N−、−N=CH−、−CH2−O−、−O−C
    2−、−CO−又は−O−を表わす。夫々のX1
    1、Z1はA1、A2、A3の置換基であり、独立に−
    H、−Cl、−F、−Br、−I、−OH、−OC
    3、−CH3、−CN、又は−NO2を表わし、夫々の
    ja、ma、naは独立に0〜4の整数を表わす。J1
    は、−CO−O−(CH2ra−、−O−(CH2
    ra−、−(CH2ra−、−O−SO2−、−SO2−、
    −SO2−(CH2ra−、−O−(CH2ra−O−
    (CH2rb−、−(CH2ra−N(Cpa2pa+1)−
    SO2−、又は−(CH2ra−N(Cpa2pa+1)−C
    O−を表わす。ra及びrbは、独立に1〜20であ
    り、paは0〜4である。R1は、−O−Cqa2qa−O
    −Cqb2qb+1、−Cqa2qa−O−Cqb2qb+1、−C
    qa2qa−R3、−O−Cqa2qa−R3、−CO−O−C
    qa2qa−R3、又は−O−CO−Cqa2qa−R3を表わ
    し、直鎖状、分岐状のいずれであっても良い(但し、R
    3は、−O−CO−Cqb2qb+1、−CO−O−Cqb
    2qb+1、−H、−Cl、−F、−CF3、−NO2、−C
    Nを表わし、qa及びqbは独立に1〜20である)。
    2はCxa2xa−Xを表わす(Xは−H又は−Fを表わ
    し、xaは1〜20の整数である)。]
  14. 【請求項14】 前記フッ素含有液晶化合物が、下記の
    一般式(II)で表わされる請求項10記載の液晶素
    子。 【化3】 [式中、A4、A5、A6は、それぞれ独立に、 【化4】 を表わす。gb、hb、ibはそれぞれ独立に0〜3の
    整数(但し、gb+hb+ibは少なくとも2である)
    を表わす。夫々のL3、L4は独立に、単結合、−CO−
    O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−
    CO−Se−、−Se−CO−、−CO−Te−、−T
    e−CO−、−(CH2CH2ka−(kaは1〜4)、
    −CH=CH−、−C≡C−、−CH=N−、−N=C
    H−、−CH2−O−、−O−CH2−、−CO−又は−
    O−を表わす。夫々のX2、Y2、Z2はA4、A5、A6
    置換基であり、独立に−H、−Cl、−F、−Br、−
    I、−OH、−OCH3、−CH3、−CF3、−OC
    3、−CN、又は−NO2を表わし、夫々のjb、m
    b、nbは独立に0〜4の整数を表わす。J2は、−C
    O−O−Crc2rc−、−O−Crc2rc−、−Crc
    2rc−、−O−(Csa2sa−O)ta−Crd2rd−、−
    O−SO2−、−SO2−、−SO2−Crc2rc−、−C
    rc2rc−N(Cpb2pb+1)−SO2−、−Crc2rc
    N(Cpb2pb+1)−CO−であり、rc及びrdは独
    立に1〜20であり、saはそれぞれの(Csa2sa
    O)に独立に1〜10であり、taは1〜6であり、p
    bは0〜4である。R4は、−O−(Cqc2qc−O)wa
    −Cqd2qd+1、−(Cqc2qc−O)wa−C
    qd2qd+1、−Cqc2qc−R6、−O−Cqc2qc
    6、−CO−O−Cqc2qc−R6、又は−O−CO−
    qc2qc−R6を表わし、直鎖状、分岐状のいずれであ
    っても良い(但し、R6は−O−CO−Cqd2qd+1、−
    CO−O−Cqd2qd+1、−Cl、−F、−CF3、−N
    2、−CN、又は−Hを表わし、qc及びqdは独立
    に1〜20の整数、waは1〜10の整数である)。R
    5は、(Cxb2xb−O)za−Cya2ya+1で表わされる
    (但し、上記式中xbはそれぞれの(Cxb2xb−O)
    に独立に1〜10であり、yaは1〜10であり、za
    は1〜10である)。]
  15. 【請求項15】 請求項1乃至14のいずれかの項に記
    載の液晶素子と該液晶素子を駆動する手段とを少なくと
    も有する液晶装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016117861A (ja) * 2014-12-23 2016-06-30 Jsr株式会社 重合体組成物、樹脂膜、液晶配向剤、液晶配向膜、液晶配向膜の製造方法及び液晶表示素子

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