JPH11514452A - 改良されたフィルム情報伝達媒体および表示物品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 少なくとも１層の不相溶ポリマーを含有する層を有する印刷可能なフィルム情報伝達媒体を含む変形可能なラベル。先行技術のフィルム情報伝達媒体の呈するダイ表面堆積と比べた場合に、この印刷可能なフィルム情報伝達媒体はその押出中のダイ表面堆積の著しい減少を示す。本発明は不相溶ポリマーおよび着色剤を含有する単層フィルム情報伝達媒体を提供する。また本発明は印刷可能なフィルム情報伝達媒体を経済的に製造することも可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】 改良されたフィルム情報伝達媒体および表示物品 本発明は、概してラベルのような表示物品を作るのに有用な熱可塑性フィルム 情報伝達媒体（ｆａｃｅｓｔｏｃｋ）に関する。より詳細には、本発明は不相溶 ポリマーを含むフィルムの押出中に、ダイ表面堆積を減少させる相溶化剤を含有 する熱可塑性フィルム情報伝達媒体に関する。 多くの点で紙ラベルよりも好ましいラベルを作るために熱可塑性フィルム情報 伝達媒体を使用することは当該技術分野では周知である。ラベルを作るために、 通常フィルム情報伝達媒体は接着剤層とともに用いられる。これら熱可塑性フィ ルム情報伝達媒体はカレンダー仕上げ可塑化ビニル（すなわちＰＶＣ）および二 軸延伸ポリエステルを包含する。 ごく最近、Ｄｏｌｌｉｎｇｅｒに付与された米国特許第５，１５１，３０９号 （「Ｄｏｌｌｉｎｇｅｒ」）はスチレン系物質とエチレン系物質とを相溶させた ブレンドを含むフィルム情報伝達媒体およびそれから作ったラベルを教示してい る。Ｄｏｌｌｉｎｇｅｒ特許の第１欄第１行ないし第３欄第４７行および第６欄 第２９ー５２行を参照されたい。Ｄｏｌｌｉｎｇｅｒ特許に教示されているフィ ルム情報伝達媒体から作ったラベルは、ラベルを密着させる基体の変形時の亀裂 、引裂、折目、しわおよび収縮に対する十分な抵抗力；印刷性；従来公知のポリ エチレンラベルの有する化学的および寸法安定性；ならびにビニルフィルムの望 ましい打抜性およびディスペンサビリティ（ｄｉｓｐｅｎｓａｂｉｌｉｔｙ）特 性を示す。 Ｄｏｌｌｉｎｇｅｒ特許の教示は改良されたフィルム情報伝達媒体およびラベ ルを作るのに有用であると判明したけれども、一般に不相溶と考えられているポ リマー（たとえばポリスチレンとポリエチレン）を相溶化させたブレンドを用い るには若干難点があった。１つの著しい問題はダイ表面堆積である。不相溶ポリ マーを相溶化させたブレンドを押出してフィルム情報伝達媒体とするために不相 溶ポリマーを相溶化させたブレンドを作る場合に、物質がダイ表面に堆積する傾 向がある。さらにダイ表面堆積の除去または清掃は稼働休止時間を生じる。 相溶化されたブレンドに着色剤または顔料たとえば二酸化チタン（「ＴｉＯ₂ 」）を添加するとダイ表面堆積問題を悪化させる。実際にＤｏｌｌｉｎｇｅｒ特 許に教示されているように（とくに第５欄第３３−４５行および第６欄第５７− ６５行）、ＴｉＯ₂がフィルムの内層に閉じ込められない場合には、ＴｉＯ₂は次 第にダイリップに堆積する傾向があり、ついにはフィルムを破ってその中に入る ことが認められている。したがって情報伝達媒体にＴｉＯ₂を含有させる場合に は、ＴｉＯ₂をほとんど含まない外層または皮層を有する多層フィルム情報伝達 媒体を作ることが好ましい。 外層または皮層中にＴｉＯ₂を有しない多層フィルム情報伝達媒体はダイ表面 堆積問題を減少させるかもしれないが、多層フィルム情報伝達媒体は概して単層 フィルムよりも作るのが難しく、かつ費用がかかる。多層フィルムの製造には単 層フィルムを作るのに必要とする以上の設備（すなわちフィードブロックまたは マルチマニホールドダイおよび複式押出機）が必要である。 ＴｉＯ₂を含有する多層フィルムを製造するには、一様な不透明度のフィルム を得るために、ＴｉＯ₂含量、個々の層の厚さおよびフィルム全体の厚さの制御 が必要である。また複式押出機の押出量を一定の層厚さ比を満足するように調節 しなければならない。 単層フィルムを作るときにはＴｉＯ₂量とフィルム全体の厚さを制御するだけ でよい。このように単層フィルムの場合には制御すべき変数が少なく、層の厚さ の必要からの押出量の制約はない。したがって、より高速で、より安定なフィル ムを作ることができる。 本発明の目的は、不相溶ポリマー含有フィルム情報伝達媒体の製造中に生じる ダイ表面堆積量を減少させることにある。また本発明の目的は、フィルム情報伝 達媒体を作るのに、不相溶ポリマーを含有する既存の組成物よりも経済的な不相 溶ポリマー含有組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、不相溶ポリ マーおよびＴｉＯ₂のような着色剤を含む単層フィルム情報伝達媒体を提供する ことにある。本発明のさらに他の目的は、１つ以上の外層または皮層中に不相溶 ポリマーおよび／または着色剤たとえばＴｉＯ₂を含み、既存のフィルム情報伝 達媒体よりも製造するのに経済的な多層フィルム情報伝達媒体を提供することに ある。本発明の他の諸目的はこの明細書を読めば明らかになろう。 本発明はこれらの目的の１つ以上を満足するフィルム情報伝達媒体を提供する 。１つの態様では、本発明は従来用いられている配合物よりも経済的なフィルム 状ラベル素材を容易に製造できる改良されたフィルム情報伝達媒体配合物を提供 する。本発明の配合物で作るフィルム情報伝達媒体の製造中にダイ表面堆積は著 しく減少し、稼働休止時間は低減し、また表面欠陥の減少によって品質は向上す る。 本発明の配合物は通常少なくとも２種の不相溶ポリマーのブレンドとスチレン ーエチレン／ブチレンースチレンブロックコポリマー（「ＳＥＢＳ」）とを含む 。本発明のブレンドは、意図した量の他の物質（たとえばＵＶ安定化剤、顔料、 充填剤、他の安定剤等）が、ブレンドを含む物品（たとえば情報伝達媒体、ラベ ル）の望ましい性質（たとえば変形性、打抜性、ディスペンサビリティ）を過度 に害しない限り、これらの物質を含有することができる。本発明のブレンド中に 必要とされるＳＥＢＳの量は現行技術分野において典型的に用いられるブレンド 中に必要とされる相溶化剤の量よりも著しく少ない。 他の態様では、本発明は、本発明のブレンドから作ったラベル用に役立つ印刷 可能なフィルム情報伝達媒体である。フィルム情報伝達媒体は単層または多層で あることができる。好ましくは本発明のフィルム情報伝達媒体は単層である。本 発明のフィルム情報伝達媒体製造中のダイ表面堆積は少ないので、単層フィルム 情報伝達媒体または外層もしくは皮層を含む多層情報伝達媒体のいずれかの層中 に着色剤または顔料たとえばＴｉＯ₂を用いることができる。 さらに他の態様では、本発明は選ばれた変形可能な基体に付着させるのに適す るラベルである。本発明のラベルは基体にフィルムを付着させるための接着剤と ともに本発明の印刷可能なフィルム情報伝達媒体を含む。接着剤はフィルム情報 伝達媒体と同時押出するかまたは押出コーチングのような当該技術分野で周知の 他の方法を用いて適用することができる。 通常本発明のブレンドは少なくとも２種の不相溶ポリマーを含有する。好まし くは本発明のブレンドはポリオレフィンポリマーとポリスチレンポリマーを含有 する。好ましくは該ポリスチレンポリマーは、耐衝撃性ポリスチレン、汎用ポリ スチレン、ゴム変性ポリスチレン、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれ る。好ましくは該ポリオレフィンポリマーは、線状低密度ポリエチレン（「ＬＬ ＤＰＥ」）、超低密度ポリエチレン（「ＵＬＤＰＥ」），低密度ポリエチレン（ 「ＬＤＰＥ」）、中密度ポリエチレン（「ＭＤＰＥ」）、エチレンとプロピレン とのコポリマー、エチレンとアクリレートモノマーとのコポリマー、エチレンと 酢酸ビニルとのコポリマー（「ＥＶＡ」）、エチレンとアクリル酸とのコポリマ ー（「ＥＡＡ」）、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれる。より好まし くは本発明のブレンドはポリエチレンとポリスチレンとを含有する。 本発明のブレンドは不相溶ポリマーを相溶化させる物質を含有する。一般に熱 安定性に劣る相溶化剤よりも熱安定性にすぐれた相溶化剤の方が好ましい。また 、高粘度の相溶化剤よりも低粘度の相溶化剤の方が好ましい。好ましくは該相溶 化剤はスチレンーエチレン／ブチレンースチレンブロックコポリマー（「ＳＥＢ Ｓ」）である。より好ましくは該相溶化剤はＳＥＢＳトリブロックとＳＥＢＳジ ブロックとのブレンドである。最も好ましくは該相溶化剤は主としてＳＥＢＳト リブロックを含有するＳＥＢＳトリブロックとＳＥＢＳジブロックとのブレンド である。このような相溶化剤の例はＫＲＡＴＯＮ Ｇ１６５７ＸおよびＫＲＡＴ ＯＮ Ｇ１７２６Ｘ（Ｓｈｅｌｌ Ｃｈｅｍｉｃａｌ Ｃｏｍｐａｎｙから入手 可能）である。 通常、ダイ表面堆積をできるだけ少なくするには、本発明のブレンド中に約１ ないし約５重量パーセントの相溶化剤が必要である。好ましくは１．５ないし４ 重量パーセントの相溶化剤が用いられる。しかしこれらの量は使用する相溶化剤 および本発明のブレンドを押出すのに用いられるダイの温度によって若干異なる 場合がある。 本発明のブレンドは、不相溶ポリマーおよび相溶化剤以外の意図された量の他 の物質が、実現しようとする所望特性の達成を過度に阻害しなければ、これら他 の物質を含有することができる。たとえば、そのような物質の一つは印刷および 画像再生（ｇｒａｐｈｉｃ ｒｅｐｒｏｄｕｃｔｉｏｎ）用に望ましい通常の充 填剤および顔料であるＴｉＯ₂である。 ＴｉＯ₂が存在する場合に、ＴｉＯ₂は通常本発明のブレンドの少なくとも約１ 重量パーセント、好ましくは少なくとも約３重量パーセントを占める。ＴｉＯ₂ は通常そのブレンドのわずか約１２重量パーセント、好ましくはわずか９重量パ ーセントを占める。 当該技術分野で周知の方法を用いて本発明のブレンドから単層または多層フィ ルム（すなわちフィルム情報伝達媒体）を作ることができる。多層フィルムを作 る場合には、本発明のブレンドは外層または表面層を含む多層フィルム中のいず れの層を形成することもできる。実際のところＴｉＯ₂を含有する本発明のブレ ンドを、最少のダイ表面堆積を示しながら押出フィルムの表面層として押出すこ とができることは本発明の重要な利点である。表面層という語句は単層フィルム の唯一層のみならず多層フィルム中の外層または皮層をも含むつもりである。 本発明のフィルム情報伝達媒体は選ばれた変形可能な基体に付着させるのに適 する可撓性ラベルに含有させることができる。通常、当該技術分野で公知の方法 を用いて、フィルム情報伝達媒体と選ばれた変形可能な基体との間に十分な結合 を形成させるのに適する接着剤を本発明のフィルム情報伝達媒体に塗布する。使 用する接着剤の種類は当該技術分野では公知である。当該技術分野で公知のよう に、典型的には剥離ライナーを接着剤層に付着させ、そしてラベルを該情報伝達 媒体に付着させる前にはぎ取る。 実施例 ダイ表面堆積量に及ぼす種々の相溶化剤の影響を試験するために、幾つかのポ リマーブレンドを作り、ほぼ３フィートの移送ラインの末端に取り付けた０．１ ２５インチ（０．３１７５）のストランドダイを有する２インチ、２０：１、Ｔ ＥＣ押出機を用いて押出した。ブレンドをダイから押出すときにダイ表面堆積を 掻き落として秤量することによりダイ表面堆積を測定し、測定は３６０°Ｆ（１ ８２．２℃）および４５０°Ｆ（２３２．２℃）のダイ温度を用いて行った。ダ イ表面堆積の測定結果を表Ｉに示す。 表Ｉに示すブレンドはすべて３０重量パーセントのポリスチレン（ＳＴＹＲＯ Ｎ ４７８、Ｄｏｗ Ｃｈｅｍｉｃａｌ Ｃｏ．から入手可能）を含有した。Ｔ ｉＯ₂を含有するそれらのブレンドは等量の低密度ポリエチレン（「ＬＤＰＥ」 ）担体物質をも含有した。たとえばブレンドが７重量パーセントのＴｉＯ₂を含 有 したならば、そのブレンドは７重量パーセントのＬＤＰＥ担体物質をも含有した 。各ブレンドの残りは相溶化剤および異なるＬＤＰＥ（メルトインデックス＝１ ．５、密度＝０．９２２ｇ／ｃｃ）より成った。したがって、各ブレンド中の相 溶化剤の重量パーセントおよび種類ならびにＴｉＯ₂の重量パーセントを規定す ることによって、表Ｉに示す各ブレンドの正確な組成が決定される。 １ ＳＴＬＲＥＯＮ ８４１Ａ（４０パーセント スチレン ＳＢＳコポリマー 、Ｆｉｒｅｓｔｏｎｅより入手可能） ２ ＬＤ７４０．１６（ＥＶＡコポリマー、ＥＸＸＤＮより入手可能） ３ ＶＥＣＴＯＲ ４４１１（４４パーセント スチレン ＳＩＳコポリマー、 Ｄｅｘｃｏ Ｐｏｌｙｍｅｒｓより入手可能） ４ ＫＲＡＴＯＮ Ｇ１６５７Ｘ（３０パーセントのジブロックおよび７０パー セントのトリブロック含有ＳＥＢＳコポリマーブレンド、Ｓｈｅｌｌ Ｃｈｅｍ ｉｃａｌ Ｃａｍｐａｎｙより 入手可能） ５ ＫＲＡＴＯＮ Ｇ１７２６Ｘ（３０パーセントのジブロックおよび７０パー セントのトリブロック含有ＳＥＢＳコポリマーブレンド、Ｓｈｅｌｌ Ｃｈｅｍ ｉｃａｌ Ｃａｍｐａｎｙより 入手可能） ６ ２回の試験（５３と５５）の平均値 ７ ２回の試験（２５と３３）の平均値 表Ｉのデータから相溶化剤としてＳＥＢＳを用いる本発明のブレンドは他の相 溶化を用いるブレンドよりもダイ表面堆積が著しく少ないことがわかる。さらに 本発明のブレンドは当該技術分野で従来用いられているブレンドよりも高いダイ 温度で押出すことができ、したがって高い押出速度（すなわち生産速度）が可能 である。また高いダイ温度はダイ表面堆積を著しく低減する。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 ＦＩ // Ｂ３２Ｂ 27/30 Ｂ３２Ｂ 27/30 Ｂ Ｃ０８Ｊ 5/18 Ｃ０８Ｊ 5/18 Ｃ０８Ｌ 23/06 Ｃ０８Ｌ 23/06 25/06 25/06 53/02 53/02

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．選択された基体に付着させるのに適する変形可能なラベルであって、 ａ）ｉ）２種以上の不相溶ポリマー；および ii）約１ないし約５重量パーセントのスチレンーエチレン／ブチレンー スチレンブロックコポリマー を含むポリマーブレンドの層を含む印刷可能なフィルム情報伝達媒体；ならびに ｂ）前記印刷可能なフィルム情報伝達媒体を該基体に付着させるのに適する 接着剤を含む変形可能なラベル。 ２．前記印刷可能なフィルム情報伝達媒体が、さらに着色剤を含む請求項１記 載の変形可能なラベル。 ３．該着色剤が二酸化チタンである請求項２記載の変形可能なラベル。 ４．該スチレンーエチレン／ブチレンースチレンブロックコポリマーがジブロ ックとトリブロックとのコポリマーブレンドである請求項１記載の変形可能なラ ベル。 ５．該コポリマーブレンドが主としてトリブロックを含む請求項４記載の変形 可能なラベル。 ７．該２種以上の不相溶ポリマーがポリエチレンおよびポリスチレンを含む請 求項１記載の変形可能なラベル。 ８．不相溶ポリマーを含有するポリマーブレンドを含む表面層を有するフィル ム情報伝達媒体の押出中に生じるダイ表面堆積を減少させる方法であって、該ブ レンド中に１ないし５重量パーセントのスチレンーエチレン／ブチレンースチレ ンブロックコポリマーを含有させる工程を含む方法。 ９．該ポリマーブレンドが、さらに着色剤を含有する請求項８記載の方法。 １０．該着色剤が二酸化チタンである請求項９記載の方法。 １１．該スチレンーエチレン／ブチレンースチレンブロックコポリマーがジブ ロックとトリブロックとのブレンドである請求項８記載の方法。 １２．該コポリマーブレンドが主としてジブロックを含む請求項１１記載の方 法。 １３．該不相溶ポリマーがポリエチレンおよびポリスチレンを含む請求項８記 載の方法。