JPH11514314A - 特にスリップ制御式の車両ブレーキ装置のためのハイドロリックユニットおよび該ハイドロリックユニットを製造する方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、ハイドロリックブロックの収容孔（１４）内に電磁弁（１６）が挿入されたハイドロリックユニット（１０）から出発する。電磁弁（１６）は剛性的に固定されると、収容孔（１４）の周面個所に押圧されて当て付けられ、作動中電磁弁（１６）の交番負荷時にハイドロリックブロック（１２）の材料を押し退ける。このことを回避するために、本発明の構成では、収容孔（１４）内で保持リング（３６）がかしめ締結されているような固定装置が設けられており、この保持リングのカラー（４０）が半径方向遊びをそのままにして、電磁弁（１６）の環状溝（４２）内に突入して変形させられている。

Description

【発明の詳細な説明】 特にスリップ制御式の車両ブレーキ装置のためのハ イドロリックユニットおよび該ハイドロリックユニ ットを製造する方法 背景技術 本発明は、請求項１の上位概念に記載された形式の、特に自動車のスリップ制 御式のブレーキ装置のために設けられたハイドロリックユニットから出発する。 このような形式のハイドロリック式ユニットは例えばドイツ連邦共和国特許出 願公開第４３３２５３８号明細書に基づき公知である。この公知のハイドロリッ クユニットは、電磁弁のための収容孔を備えたハイドロリックブロックを有して いる。この収容孔内には、電磁弁のハイドロリック的な部分が挿入されている。 収容孔内に開口する通路によって、電磁弁は車両ブレーキ装置の別のハイドロリ ック的な構成部分にハイドロリック的に接続されている。これらの構成部分は一 部はやはりハイドロリックブロック内に収容されており、その他は外部に配置さ れていて流体管路によってハイドロリックブロックに接続されている。収容孔内 に電磁弁を取り付けるために、ハイドロリックブロックの材料が収容孔の開口領 域内で、電磁弁のフランジに被さって係合するようにかしめられている。電磁弁 はこのように剛性的に収容孔内に保持されている。材料のかしめの後、電磁弁の 操作のための中空円筒形のマグネットコイルが、ハイドロリックブロックから突 出した、電磁弁の磁石部分に被せ嵌められる。 収容孔内における電磁弁の目標位置がかしめ時に僅かにくずれることによって 、また、このかしめによって、電磁弁が収容孔の内部で収容孔の周壁に向かって 押圧されるおそれが生じる。ハイドロリックユニットの運転時に流体圧力が変動 することによる電磁弁の交番負荷に基づき、電磁弁が周壁に押圧される個所で材 料が押し退けられ、電磁弁が収容孔の周壁内に「埋め込まれる」。電磁弁がハイ ドロリックブロックの材料を押し退けた個所に対して直径方向に対向して位置す る個所では、電磁弁と収容孔の周壁との間の半径方向ギャップが拡大される。半 径方向の遊びが増大することにより、このような個所における、電磁弁と収容孔 との間の直径遊びは元の直径遊びの何倍にも達するおそれがある。増大された半 径方向のギャップ内には、電磁弁の入口側と出口側との間をシールするシールス リーブが塑性的に流入する、つまり押し出される(extrudieren)おそれがある。 このことはシールスリーブひいては電磁弁の故障を招く。 発明の利点 請求項１に記載の特徴を有する本発明によるハイドロリックユニットの電磁弁 は、ハイドロリックブロッ クの収容孔内に、収容孔の長手方向軸線に対して半径方向の遊びおよび／または 旋回遊びを有して保持されている。これにより、収容孔内に電磁弁を取り付ける 際の組付エラーが回避される。電磁弁が収容孔の周壁に向かって押圧されること が阻止され、材料の押し退けは交番負荷時にも行われることはない。収容孔内の 電磁弁の半径方向ギャップの大きさは製造時の値に永続的に制限され続ける。こ の製造時の値においては、シールスリーブまたは他のシールエレメントが半径方 向ギャップ内に押し出されることはない。維持されるべき組付許容誤差は一層大 きくなり、電磁弁が収容孔の周壁に向かって押圧されるような位置で電磁弁がか しめ締結されることに基づく組付不良品の発生はほぼ排除される。 請求項２以下は、請求項１に記載した本発明の構成の有利な手段に関するもの である。 さらに、電磁弁は収納孔内で軸線方向遊びを有していてよい（請求項２）。 本発明の有利な構成では、電磁弁が、この電磁弁に被せ嵌められた保持リング によって、収容孔内に保持され、この保持リングは、ハイドロリックブロックの 材料をかしめることにより、収容孔の開口領域内に固定的に取り付けられており 、この保持リングは電磁弁の環状ショルダ面に作用していて、軸線方向で形状結 合的に収容孔内に保持されており、半径方向の遊びが 保持リングと電磁弁との間に形成される（請求項３）。 本発明の１構成においては、保持リングは中空円筒形のカラーを有しており、 このカラーが例えば電磁弁の環状の溝内に突入するように変形させられており、 これにより、電磁弁のハイドロリックブロックに向いた溝側面に背後から係合す る（請求項５）。こうして保持リングは電磁弁の組付前にこの電磁弁に位置固定 されて、収容孔内における電磁弁の固定後には収容孔内で電磁弁の軸線方向遊び を制限する。 図面 次に本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。第１図は本発明によるハイ ドロリックユニットの電磁弁の領域を示す断面図である。第２図および第４図は それぞれ変形加工用ポンチを示す図である。第３図および第５図は、弁ケーシン グに保持リングを取り付ける様子を概略的に示す図である。 実施例の説明 第１図はハイドロリックブロック１２を備えた本発明によるハイドロリックユ ニット１０を示している。このハイドロリックブロックには、電磁弁１６のため の収容孔１４が設けられている。このハイドロリックユニット１０は、スリップ 制御式の車両ブレーキ装置内で使用するために設けられている。ハイドロリック ブロック１２は、ブレーキ装置のハイドロリック的な 構成部分のハイドロリック的な接続に役立つ。このハイドロリックブロック１２ 内には、一般的に、複数の電磁弁が列を成して相並んでおり、ピストンポンプお よび貯え・減衰室のような別のハイドロリック的な構成部分が収納されている。 これらのうち第１図においては唯１つの電磁弁１６が示されている。 電磁弁１６のハイドロリック的な部分はハイドロリックブロック１２の収容孔 １４内に位置しており、電磁弁１６の電磁的な操作部分は、ハイドロリックブロ ック１２から突出している。 電磁弁１６は中空円筒形の弁ケーシング１８と、この弁ケーシング１８の端面 に設けられた可動子２０とを有している。この可動子から、可動子に固着された 可動子ロッド２２が弁ケーシング１８内に延びている。この可動子ロッドの自由 な端面には、球体が弁閉鎖体２４としてプレス嵌めされている。この弁閉鎖体２ ４は、弁座を有する弁座部分２６と協働する。この弁座部分は可動子２０に対向 する端面から弁ケーシング１８内にプレス嵌めされている。可動子２０は、弁ケ ーシング１８に被せ嵌められた弁ドーム３０内に位置している。この弁ドームは 弁ケーシング１８に溶接部２８によって結合されている。弁ドーム３０には、電 磁弁１６を操作するための中空円筒形のコイル３２が被せ嵌められている。この コイルはコイルケーシング３４内に収納されている。コイルケーシング３４を備 えたコイル３２は、電磁弁がハイドロリックブロック１２内に固定された後初め て電磁弁１６に被せ嵌められる。ここで使用された種類の電磁弁１６は当業者に とっては多種多様な構成が知られているので、電磁弁１６の詳細についてはここ では触れない。 電磁弁１６をハイドロリックブロック１２の収容孔１４内に固定するために、 保持リング３６が使用される。この保持リングは弁ケーシング１８を取り囲んで いる。すなわちこの保持リング３６のフランジ３８が、収容孔１４の開口領域４ ６で環状段部４４内に挿入されており、ハイドロリックブロック１２の材料４８ をかしめることによってハイドロリックブロック１２に不動に結合されている。 この保持リングは安定性を有するフランジ３８を有しており、このフランジには 小さな壁厚を有する円錐形のカラー４０が一体的に形成されている。電磁弁１６ を収容孔１４内で保持するために、環状ショルダ５０が弁ケーシング１８に設け られている。この環状ショルダには、保持リング３６が軸線方向で形状結合的に 作用する。カラー４０は、ハイドロリックブロック１２の収容孔１４から突出し た、電磁弁１６の電磁的な操作部分の方向に、フランジ３８から突出している。 カラー４０は、半径方向内側に向かって、弁ケーシング１８に設けられた環状の 溝４２内に突入するように塑性変形させられている。溝の、ハイドロリックブロ ック１２に向いた溝側面４ ３にカラーが背後から係合し、これにより収容孔１４内への電磁弁１６の軸線方 向運動可能性を制限する。保持リング３６と電磁弁１６との間には半径方向およ び軸線方向の遊びが形成されている。 このように、電磁弁１６は収容孔１４の周壁５２に向かって押圧されることが 回避され、さらに、電磁弁１６が晒されるような、ハイドロリック流体の圧力変 動に基づき発生する交番負荷により、電磁弁が押圧個所で、ハイドロリックブロ ック１２の一般的には比較的軟質の材料を押し退け、収容孔１４の周壁５２内に 埋め込まれる(eingraeben)ことが回避される。収容孔１４に半径方向の遊びを有 するように電磁弁１６を固定することによって、本発明は、所定の周面個所にお ける周壁５２内へのこのような「埋め込み」を回避し、さらに、この埋め込みに 帰因して、電磁弁１６作動中に押圧個所に対向して位置する側で、電磁弁１６と 収容孔１４との間の環状の半径方向ギャップ５４が拡大することを回避する。半 径方向ギャップ５４は常にその元の大きさを維持する。 弁ケーシング１８への保持リング３６の取り付けの様子が第３図に示されてい る。弁ケーシング１８は、対応ホルダ５８の孔５６内に差し込まれる。この場合 、弁ケーシング１８は対応ホルダ５８の環状段部６０に載置される。この弁ケー シング１８に被せ嵌められた保持リング３６のフランジ３８は対応ホルダ５８に 載置される。この保持リングは弁ケーシングの環状ショルダ５０には支持されて いない。弁ケーシング１８が対応ホルダ５８内に挿入され、保持リング３６が弁 ケーシング１８に被せ嵌められたあと、第２図に詳細に示された中空円筒形の変 形加工用ポンチ６２が弁ケーシング１８に被さるように沈め込まれる（第３図の 右半部）。変形加工用ポンチ６２は、保持リング３６の方向に拡大された変形加 工用の内部円錐体６４を開口に有している。この内部円錐体は、変形加工を行う 前には中空円筒形である、保持リング３６のカラー４０を半径方向内側に向かっ て塑性変形させて円錐体を形成する（第３図の左半部）。 変形加工用ポンチ６２は、これが保持リング３６のフランジ３８に当接するま で押し下げられる。このフランジが対応ホルダ５８に当て付けられることにより 、変形加工用ポンチ６２の押し下げのための力が対応ホルダ５８によって吸収さ れ、弁ケーシング１８には導入されない。変形加工用の内部円錐体６４の直径は 、この内部円錐体が保持リング３６のカラー４０を、半径方向の遊びをそのまま にして弁ケーシング１８の溝４２内に突入するように変形させるように選択され ている。弁ケーシング１８は半径方向および軸線方向に遊びを有した状態で保持 リング３６内に保持されている。安定性を有するフランジ３８からカラー４０に 向かって保持リング３６の壁厚が著しく減じられてい ることにより、フランジ３８からカラー４０への移行部に環状の目標曲げ個所６ ６が生ぜしめられる。フランジ３８は、弁ケーシング１８における保持リング３ ６の取付時には変形させられない。 第５図は、保持リング３６の変化実施例を示している。このような保持リング ３６の場合、フランジ３８とカラー４０との間に、中空円筒区分６８が位置して いる。この中空円筒区分はカラー４０を変形加工する際に変形させられることは ない。このような実施例においても、保持リング３６の壁厚は、変形させられな い中空円筒区分６８から塑性変形させられるカラー４０への移行部において、環 状の目標曲げ個所６６を形成しつつ減じられている。これにより、専らカラー４ ０の規定された変形が達成される。 変形加工用ポンチ６２（第４図）は、第５図に示された保持リング３６のため に、内部円筒区分７０を有している。この内部円筒区分は変形加工用ポンチ６２ に、変形加工用の内部円錐体６４を超えたところで連続して延びており、変形加 工用ポンチ６２を保持リング３６の中空円筒区分６８に沿って案内する。こうし て、変形加工用ポンチ６２の案内が改善される。しかしながら、カラー４０とフ ランジ３８との間に中空円筒区分６８が位置していることにより、軸線方向にお ける保持リング３６の長さが、第１図および第３図に示した本発明の実施例の場 合よりも長い。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 マーティン キルシュナー ドイツ連邦共和国 Ｄ−87549 レッテン ベルク ヴィーゼンヴェーク ３

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．収容孔を有するハイドロリックブロックを備えたハイドロリックユニットで あって、ハイドロリックブロック内に電磁弁が挿入されている形式のものにおい て、 電磁弁が、ハイドロリックブロック（１２）に取り付けられた弁固定装置（ ３６）を有しており、該弁固定装置が電磁弁（１６）を、収容孔（１４）内で半 径方向の遊びおよび／または旋回遊びを有する状態で保持していることを特徴と する、ハイドロリックユニット。 ２．弁固定装置（３６）が電磁弁（１６）を、収容孔（１４）内で軸線方向の遊 びを有する状態で保持している、請求項１記載のハイドロリックユニット。 ３．弁固定装置が保持リング（３６）を有しており、該保持リングがハイドロリ ックブロック（１２）に固定的に取り付けられており、該ハイドロリックブロッ クが電磁弁（１６）を取り囲んでいて、軸線方向に形状結合的に電磁弁（１６） に作用している、請求項１または２記載のハイドロリックユニット。 ４．保持リング（３６）が収容孔（１４）の開口領域（４６）でかしめることに よりハイドロリックブロック（１２）に取り付けられている、請求項３記載のハ イドロリックユニット。 ５．保持リング（３６）が、半径方向内側に向かって塑性変形されたカラー（４ ０）を有しており、該カラーがハイドロリックブロック（１２）に向いた、電磁 弁（１６）の面（４３）に背後から係合している、請求項３記載のハイドロリッ クユニット。 ６．保持リング（３６）がカラー（４０）への移行部（６６）で、またはカラー 領域全体で弱化されて形成されている、請求項５記載のハイドロリックユニット 。 ７．保持リング（３６）の壁厚が、カラー（４０）への移行部で、またはカラー 領域全体で減じられている、請求項６記載のハイドロリックユニット。 ８．請求項５から７までのいずれか１項記載の保持リングを電磁弁に取り付ける 方法において、 電磁弁（１６）もしくは電磁弁の弁ケーシング（１８）に被せ嵌めた保持リ ング（３６）のカラー（４０）に、変形加工用の内部円錐体（６４）を軸線方向 に被せ嵌め、該内部円錐体によって、カラー（４０）を半径方向に内側に向かっ て塑性変形させることを特徴とする、電磁弁に保持リングを取り付ける方法。 ９．カラー（４０）の変形加工後、規定された半径方向の遊びが、カラー（４０ ）と、電磁弁（１６）もしくは該電磁弁の弁ケーシング（１８）との間に形成さ れるように、変形加工用の内部円錐体（６４） の直径を保持リング（３６）のカラー（４０）に調和させる、請求項８記載の方 法。 10．変形加工用の内部円錐体（６４）の軸線方向運動を保持リング（３６）のフ ランジ（３８）によって制限する、請求項８記載の方法。