JPH11513977A - 黄体形成ホルモン放出性ホルモンの放射性金属結合類似体 - Google Patents

黄体形成ホルモン放出性ホルモンの放射性金属結合類似体

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JPH11513977A JP9501203A JP50120397A JPH11513977A JP H11513977 A JPH11513977 A JP H11513977A JP 9501203 A JP9501203 A JP 9501203A JP 50120397 A JP50120397 A JP 50120397A JP H11513977 A JPH11513977 A JP H11513977A
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Abstract

(57)【要約】 放射性核種と結合することが可能な、黄体形成ホルモン放出性ホルモンのペプチド誘導体を提供する。該ペプチド誘導体は、LHRHレセプターとの強固な結合能を保持しつつ、レニウムあるいはテクネチウムの同位体により、容易に標識することができる。標識されたペプチドの調製方法、及び放射性診断及び放射性治療におけるこれらの使用方法について記載する。

Description

【発明の詳細な説明】 黄体形成ホルモン放出性ホルモンの放射性金属結合類似体 発明の背景 本発明は、放射性核種を強固に結合することができるキレート部分を含む一つ あるいはそれ以上のアミノ酸側鎖を持つ、黄体形成ホルモン放出性ホルモン(LH RH;leutenizing hormone releasing hormone)誘導体に関する。 黄体形成ホルモン放出性ホルモン(LHRH)は、(<G)HWSYGLRPG-NH2(配列同定 番号No.1)構造を持つデカペプチドであり、ここで<Gはピログルタミン酸を表す 。LHRHは、脳下垂体における性腺刺激ホルモン黄体形成ホルモン(LH)及び卵胞 刺激ホルモン(FSH)の合成を制御する。LHとFSHは、生殖腺における性ステロイ ドの合成を制御する。6、10位、あるいはその両方を置換した場合、LHRH類似体 は自生のLHRHよりも生理活性が高く、高持続性を示すことが知られている。3000 種類以上のLHRHペプチドが試験管内及び生体内で評価されている。例えば、Scha llyら、「BASIC ASPECTS; GNRH ANALOGUES IN CANCER AND IN HUMAN REPRODUCTI ON」、Vickery & Lunenfeld編、第1巻、5-31ページ(Kluwer Academic Publishe rs,Dordecht,1989);Schallyら、「ADVANCES IN GYNECOLOGY AND OBSTETRICS GENERAL GYNECOLOGY」、Belfortら編、第6巻、3-20ページ(Parthenon Publish ers,Carnforth,UK,1989);Vickeryら、Endocrine Rev.7:115(1986);Dutta ら、Drugs of the Future.13:760(1988)を参照されたい。これらの類似体の幾 つかは臨床に用いられている。それらには、[D-Leu6,NH-Et10]LHRH(Vilchez -Martinezら、Biochem.Biophys.Res.Commun.59:1226(1974));[D-Trp6]L HRH(Coyら、J.Med.Chem.19:423(1976));[D-Ser(tBu)6,NH-Et10]LHRH( Koenigら、「第4回アメリカペプチドシンポジウム予稿集」より、Walter and M eienhofer編、 883-888(1975));[D-Ser(tBu)6,NH-NH-CO-NH2 10]LHRH(Duttaら、J.Med.C hem.21:1018(1978));[D-Nal(2)6]LHRH(Nestorら、J.Med.Chem.25:795( 1982))が含まれる。 加えて、LHRH分子の1,2,3,6位および場合によっては5位と10位を変化させ ることで、拮抗作用を大幅に増強することができる。Karten M.J.ら、Endocrin e Review 7:44(1986)及びBajusz,S.ら、Int.J.Pept.Prot.Res.32:425(198 8)を参照されたい。これらの拮抗物質は、脳下垂体からのLH及びFSHの放出を抑 制し、このため前立腺癌、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、及び膵臓癌といった、ホ ルモン依存性癌の造影、診断、及び治療に用いる臨床薬としての能力を持ってい る。 LHRH類似体の作用機構は、少なくとも部分的に、ヒト腫瘍のLHRHレセプターの 密度が、通常細胞のLHRHレセプター密度よりもかなり大きいという事実に関係し ている。さらに、腫瘍細胞のLHRHレセプターはLHRHペプチドに対し、より強い親 和性を有している。例えば、上皮卵巣癌の80%はアップレギュレート(upregulate d)したLHRHレセプター密度を持ち、そのレセプターはLHRHペプチドに高い親和性 を示す。Emonsら、Cancer Res.53:5439(1993);Irmerら、Cancer Res.55:817( 1955)を参照されたい。同様に、LHRHレセプターは、乳癌腫瘍(Feketeら、Endoc rinol.124:946(1989);Feketeら、J.Clin.Lab.Anal.3:137(1989))、子宮 内膜癌(Srkalovicら、Cancer Res.50:1841(1990))、前立腺腫瘍(Srkalovic ら、Endocrinol.127:3052(1990))、及び膵臓癌(Schallyら、J.Steroid Bioc hem.Molec.Biol.37:1061(1990))にもアップレギュレートすることが示され ている。 LHRH類似体は、細胞表面のホルモンレセプターの過発現(overexpression)によ って特徴づけられる、ホルモン敏感性の腫瘍に選択的に結合することが示されて いる。LHRH感応性腫瘍がLHRHペプチド類似体で処置されると、類似体は細胞表面 のレセプターに結合し、吸収される。Jacksonら、Cancer Treat.Rev.16:161 (1989)を参照されたい。幾つかの研究では、ターゲットLHRHペプチドに付着させ た細胞毒性部分を含むLHRH作用物質と拮抗物質誘導体を、細胞に細胞毒を輸送す るために用いている。従って、特定の細胞毒性部分で修飾したLHRH類似体は、化 学療法剤のキャリアとして有効である。例えば、EP 0 450461 A2及びEP 0 36481 9 A2を参照されたい。さらに、類似体が親油性である場合には、試験管内と生体 内での活性を維持させながらLHRHの6位のアミノ酸の側鎖にさまざまな置換基を 結合させることができる。(Janaky,T.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:9 72(1992))。6位のリジンの側鎖に結合させた白金、ニッケル、及び銅を含む細 胞毒性を有する金属錯体は、ヒト乳癌の腫瘍細胞に高い試験管内活性を示した。 Bajusz,S.ら、Proc.Natl Acad.Sci.USA 86:6313(1989)を参照されたい。 幾つかのペプチドは、放射性金属をペプチドに直接結合できる残基を持ってお り、またあるものは修飾によってそれら残基の導入が可能になる残基を有してい る。例えば、ソマトスタチンはジスルフィド結合を有しており、還元によってこ れらは、直接99mTcと結合することができる2個のスルフヒドリル基含有システ イン側鎖になる。U.S.特許5,225,180を参照されたい。また、WO 94/28942、WO 9 3/21962及びWO 94/23758参照されたい。しかしながら、この種類の錯体は不均一 であり、不安定な傾向がある。さらに、このような遊離スルフヒドリル基の利用 は、遊離S-H基に強固に結合してペプチドを標識することができる放射性金属に 限定される。この方法では、直接アミノ酸の側鎖に結合している金属が、ペプチ ドのコンフォメーションに大きな影響を与え、これにより化合物のレセプター結 合特性に悪影響を与えるという問題が発生する。 これに対し、キレート剤は、特殊なアミノ酸残基を含む位置選択的な反応によ って、ペプチドの側鎖に導入することができる。例えば、LHRHの6位のリジン残 基は直接キレート基によってアシル化することができる。Bajuszら、同上を参照 されたい。この方法は、キレート剤と反応することができる側鎖が複数個存在す る 場合、あるいはペプチド配列がこの方法で誘導できるアミノ酸を含んでいない場 合には、選択性がないために本質的に限定される。 ほとんどのペプチドは、金属結合性の配列部分を含んでいないか、あるいは上 述したさまざまな理由により、そのような部分を導入することができる適切な配 列修飾になるような変更を加えることができない。従って、放射性金属を結合で きるペプチドを提供する幾つかの方法を、ペプチドに対し導入する必要がある。 好ましい方法は、単一で安定な錯体を形成するように、ペプチドに金属結合性配 位子を付加することである。金属との結合に用いられる配位子は、窒素、硫黄、 リン、酸素といった、金属に対し高い親和性を持つヘテロ原子を含むことが多い 。 これらの配位子は、典型的には希望するペプチドのN-末端に付加する。これに より、ペプチド鎖は従来のペプチド合成法を用いて構成することができるように なり、ペプチド合成が完成した後に配位子の付加を行うことができる。例えば、 Mainaらは、テトラアミンキレート剤のソマトスタチン類似体のN-末端への結合 について述べており、これによりペプチドへの99mTc標識を可能にしている。J. Nucl.Biol.Med.38:452(1994)を参照されたい。しかしながら、なおかつこの 方法の適用は、ペプチドのN-末端が、ペプチドの結合特性に有害な影響を与える ことなく、(通常嵩高い)キレート剤の存在に順応するという環境下に制限され る。 Bajuszらは、上記文献において、保護されたキレートを導入したリジン残基を ペプチド合成中に、成長しつつあるペプチド鎖への包含について述べている。し かしながら、この方法は、ペプチド合成に適合するα-アミノ保護基を有する、 適切に誘導されたリジン誘導体の調製を必要とする。ペプチド合成に利用するこ とができる、市販品の保護アミノ酸誘導体が使用可能であり、引き続いて、選択 的に、脱離と、適切なアミノ酸側鎖の誘導とが可能であることが望ましい。 従って、ペプチド内の任意の予め定められた位置にキレート部分を付加する手 段が望まれていることは明らかである。また、ペプチド合成中の任意の望まれる 段階で、このキレート部分のペプチドとの結合を可能とする方法を達成すること も望ましい。 発明の概要 従って、本発明の目的は、LHRHレセプターと選択的に結合する能力を維持した まま放射性核種と結合することができるLHRH類似体を提供することである。さら に、本発明の目的は、LHRHレセプターと選択的に結合する能力を維持したまま放 射性核種と結合することができるLHRH類似体を調製し、放射能標識を行う方法を 提供することである。またさらに、本発明の目的は、腫瘍、伝染性病変、心筋梗 塞、凝結、アテローム硬化プラーク、あるいは通常の器官あるいは組織ペプチド を、造影あるいは処置するための放射能標識されたLHRH類似体を用いた診断方法 及び治療方法を提供することである。 これら及びその他の目的は、とりわけ、アミノ酸配列がX1-X2-X3-S-X4-X5-X6- X7-P-X8-NH2(配列同定番号NO.2)からなるペプチドを提供することによって達 成された。 ここで、X1はピログルタミン酸あるいはD-アセチルナフチルアラニンであり、X2 はヒスチジンあるいはD-4-クロロフェニルアラニンであり、X3はD-あるいはL-ト リプトファンあるいはチロシンであり、X4はチロシン、ロイシンあるいはアルギ ニンであり、X5は放射性金属とキレート化が可能なD-あるいはL-アミノ酸誘導体 であり、X6はロイシンあるいはトリプトファンであり、X7はアルギニンあるいは リジンであり、X8-NH2はグリシンアミドあるいはD-アラニンアミドである。 発明のX5の一つの様相は次のものである。 ここで、R1はH、OH、ペプチド、糖、目標分子、低級アルキル基、置換低級ア ルキル基、あるいはペプチド合成条件下に除去可能な保護基である。R2はH、低 級アルキル基、あるいは置換低級アルキル基であり、Wは1から20の原子長を持ち 、シクロアルキル、アリール、あるいはアルカリル(alkaryl)基あるいは置換ま たは無置換アルキレン鎖、及び少なくとも一つのヘテロ原子で置換された鎖から なる群から選択される。Zは1から5の残基を持つペプチド、あるいはZはCOCH2あ るいはCOCH(CH2SP2)であり、ここで、P2はHあるいは硫黄保護基である。また、A とDは同一あるいは異なる基であり、各々、H、CH2CH2NR3NR4C(S)NHR5、COCH2NR6 NR7C(S)NHR8、COCH2NR9NR10C(O)CH2SP2、CONR11NR12C(O)CH2SP2、NR13C(S)NHR1 4、 あるいはCOCH2NR15COCH2SP2からなる群から選択される。R3、R4、R6、R7、R9 、R10、R11、R12、R13及びR15は同一あるいは異なる基であり、各々、H、低級ア ルキル基、あるいは置換低級アルキル基を表す。R5、R8、及びR14は同一あるい は異なる基であり、各々、H、低級アルキル基、置換低級アルキル基、アリール 基、あるいは置換アリール基を表す。 発明の好ましい態様として、X5は次のものからなる群より選択されるものであ る。 発明のもう一つの側面として、X1がピログルタミン酸、X2がヒスチジン、及び X5がグリシンアミドとして与えられるペプチドが提示される。発明の好ましい態 様としては、X3がチロシン、X4がロイシン、X6がトリプトファン、及びX7がリジ ンである。発明のこの様相の他の好ましい態様としては、X5が次のものである。 発明のこの側面の他の好ましい態様としては、X3がトリプトファン、X4がチロ シン、X6がロイシン、X7がアルギニン、及びX5が次のものである。 なおかつ、発明のもう一つの側面として、X1がD-アセチルナフチルアラニン、 X2がD-4-クロロフェニルアラニン、X3がD-トリプトファン、X4がアルギニン、X6 がロイシン、X7がアルギニン、及びX8-NH2がD-アラニンアミドで与えられるペプ チドがある。好ましい態様としては、X5が次のものである。 さらにまた、発明のもう一つの側面として、X1がD-アセチルナフチルアラニン 、X2がD-4-クロロフェニルアラニン、X3がD-トリプトファン、X4がアルギニン、 X6がトリプトファン、X7がリジン、及びX8-NH2がグリシンアミドで与えられるペ プチドがある。 さらにまた、発明のもう一つの側面として、上記アミノ酸配列を有するペプチ ド溶液を、第一スズイオンと接触させ、その後、この溶液を放射性核種と接触さ せ、放射能標識したペプチドを回収することからなる、金属キレート組成物の調 製方法が与えられる。好ましい態様としては、放射性核種は188Re-あるいは186R e-過レニウム酸塩及び99Tc-過テクネチウム酸から選択されたものである。 さらにまた、発明のもう一つの側面として、LHRHレセプターとして発現する細 胞あるいは組織に特異的に結合するペプチドが与えられる。 さらにまた、発明のもう一つの側面として、ヒト患者に対し、LHRHレセプター として発現する細胞あるいは器官に特異的に結合する放射能標識したペプチドを 、製薬的に許容できる担体と共に投与し、放射能標識したペプチドが局在化して 、標的でないバックグラウンドがクリアーになるのに十分な時間の経過後に、上 述した方法で調製した放射能標識されたペプチドの付着部位を、外部の造影カメ ラ により検出することからなる、腫瘍、伝染性病変、心筋梗塞、凝結、アテローム 硬化プラーク、あるいは通常の器官あるいは組織ペプチドを、造影するための方 法を提供する。 発明の詳細な説明 本発明は、放射性核種に結合することが可能な黄体形成ホルモン放出性ホルモ ン(LHRH)類似体を提供する。これらの類似体は、放射性核種でキレート化した アミノ酸誘導体を、固相あるいは液相法で合成したペプチドに部位特異的に導入 することにより調製される。 類似体の合成には、それぞれのアミノ基を選択的に脱保護することができるよ うな異なる保護基を持つビス-アミノ酸誘導体を用いる。これらの誘導体は、ペ プチド合成中に、既存のペプチド結合方法によって成長ペプチド鎖に導入される 。そしてアミノ基の一つを選択的に脱保護し、キレート分子を結合させるか、あ るいは更なるアミノ酸残基を付加してペプチド合成を継続する。 ペプチド合成を継続する場合には、ビス-アミノ酸の第2のアミノ基の選択的 脱保護は、キレート部分の導入のために、ペプチド合成の任意の時点で行うこと ができる。ペプチド合成が完成した場合には、剥離、脱保護、及び精製によって 、ペプチド誘導体が得られる。この誘導体は放射性金属によって標識され、放射 性診断及び放射性治療に用いられる。 あるいは、キレート分子を、脱保護したアミノ基に最初に結合させる場合には 、第2段階では、他のアミノ基を脱保護し、ペプチド合成を継続する。最終的な 剥離、脱保護及び精製段階により純粋なペプチド誘導体が得られ、これを前述の 方法で放射能標識を行う。 本発明で得られた放射性金属キレート化ペプチドは、血液中及び他の体液及び 組織中で安定である。本発明において用いられる試薬と条件は、以前の技術に比 べて大幅に単純化されており、標識されたペプチドは、テクネチウムあるいはレ ニウム標識を用いた放射性診断及び放射性治療用に特に適したものである。 以上概説した方法によって、放射性金属を結合させたアミノ酸を、LHRHペプチ ド配列の任意の位置に配置することができる。キレート部分をアミノ酸側鎖上に 配置することは、ペプチドのN-末端に置くことに比べて、金属錯体をペプチド主 鎖から空間的に離して配置することができるという利点がある。これによって、 金属錯体のペプチド配置に及ぼす影響を最小に抑えることができる。 ペプチド配置は、電荷と親水性/疎水性相互作用によって大幅に影響を受ける ことが知られており、このため、ペプチドに用いられるキレート配位子の設計に おいてこれらの因子を考慮することは重要である。電荷と親水性が異なるさまざ まなキレート錯体を調製し試験を行い、標的の選択性とキレートの安定性の最適 な組み合わせを示す金属錯体付加LHRHペプチドを選択することが望ましい。 本発明による放射能標識LHRHペプチドは、高いLHRHレセプター濃度及び高いLH RH親和性を示す疾病細胞あるいは疾病組織に特異的に結合する。放射性核種の放 射能活性によって、腫瘍あるいは疾病組織の診断及び/あるいは処置を行うこと ができる。本発明は、製薬用に許容される無菌の担体と組み合わせて、少なくと も一種類の本発明による放射能標識されたペプチドを有効量含んだ薬剤組成物を 含む。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences; Drug Receptors and Re ceptor Theory,18版,Mack Publishing Co.,Easton,PA(1990)に記述されてい る。本発明は、臨床上簡便かつ容易に利用できるペプチドの標識化キットを含む ものである。キレート化アミノ酸誘導体を組み込んだペプチドの設計と合成方法 本発明のペプチドは、放射性金属でキレート化したアミノ酸誘導体を含み、少 なくとも一つのチオールあるいはチオカルボニル基と、四級アミンあるいは二級 アミドとして存在する少なくとも一つの窒素を含むことで特徴づけられる。硫黄 及び窒素原子は、還元された放射性核種と強固かつ選択的に結合できる多座配位 子を形成するように適切に配置される。これらのアミノ酸誘導体は、LHRHレセプ ターと強固に結合するペプチドに組み込まれる。これらのペプチドは、一般に次 の式で表される(配列同定番号No.2)。 X1-X2-X3-S-X4-X5-X6-X7-P-X8-NH2 ここで、 X1はピログルタミン酸あるいはD-アセチルナフチルアラニン、 X2はヒスチジンあるいはD-4-クロロフェニルアラニン、 X3はD-あるいはL-トリプトファンあるいはチロシン、 X4はチロシン、ロイシンあるいはアルギニン、 X5は以下に示す、放射性金属とキレート化するアミノ酸、 X6はロイシンあるいはトリプトファン、 X7はアルギニンあるいはリジン、および、 X8-NH2はグリシンアミドあるいはD-アラニンアミドである。 本発明によって予想される放射性金属-キレート化アミノ酸誘導体の一般式は 、次のように表される。 ここで、R1はH、OH、ペプチド、糖、目標分子、低級アルキル基、置換低級ア ルキル基、あるいはペプチド合成条件下に除去可能な保護基である。R2はH、低 級アルキル基または置換低級アルキル基である。Wは1から20の原子長を持ち、シ クロアルキル、アリール、あるいはアルカリル基あるいは置換または無置換のア ルキレン鎖、及び少なくとも一つのヘテロ原子で置換された側鎖からなる群から 選択 される。Zは、1から5の残基を持つペプチド、あるいはZはCOCH2あるいはCOCH(CH2 SP2)であり、ここで、P2はHあるいは硫黄保護基である。また、AとDは同一ある いは異なる基であり、各々、H、CH2CH2NR3NR4C(S)NHR5、COCH2NR6NR7C(S)NHR8、 COCH2NR9NR10C(O)CH2SP2、CONR11NR12C(O)CH2SP2、NR13C(S)NHR14、あるいはCOC H2NR15COCH2SP2からなる一群から選択された置換基である。R3、R4、R6、R7、R9 、R10、R11、R12、R13及びR15は同一あるいは異なる基であり、各々、H、低級ア ルキル基、あるいは置換低級アルキル基を表す。R5、R8、及びR14は同一あるい は異なる基であり、各々、H、低級アルキル基、置換低級アルキル基、アリール 基、あるいは置換アリール基を表す。 本発明における放射性金属キレート化アミノ酸誘導体の代表的な具体例として は、次のものがある。 本発明におけるそれぞれのキレート化アミノ酸は、有機合成技術に熟練した開 業医に良く知られた方法によって調製することができる。代表的なキレートの合 成についての処方の詳細は、以下の例に与えられる。 キレート化したアミノ酸は、アミノ基、ヒドラジノ基、あるいはヒドラジド基 を、活性カルボキシル基と縮合させるか、あるいはアミンとアルデヒドを還元ア ミノ化反応させるなどの、単純な結合あるいは縮合反応により結合させたサブユ ニットから構築される。ここで用いた「縮合(condensation)」という用語は、キ レート部分のサブユニットを結合させる反応を包含した意味に用いているため、 縮合反応の古典的な定義に従う反応のみならず、還元アミノ化といった反応をも 包含するものである。 縮合反応後、サブユニット中の追加された官能基を追加の縮合反応のために脱 保護する場合もある。例えば、遊離のカルボキシル基と保護されたアミノ基を持 つ第2のサブユニットは、第1のサブユニットのアミノ基、ヒドラジノ基、また はヒドラジド基と縮合を起こしうる。第2のサブユニット部分のアミノ基は、脱 保護の後、さらに第3のサブユニットと結合を行うことができる。 このような縮合反応のためにカルボキシル基を活性化する方法は、有機合成と ペプチド合成の熟練者に良く知られており、活性エステル基やカルボジイミド結 合剤を用いて行うことができる。官能基の反応性が、サブユニットの結合に用い られる反応に適合しない場合には、サブユニットの官能基を保護するために適当 な保護基を用いる。アミノ基とカルボキシル酸基の両方を保護する方法は良く知 られている。例えば、Greene、上述の文献を参照されたい。キレートを構築する のに用いるサブユニットは、既に知られた方法により容易に調製するか、あるい は市販品を、例えばAdvanced ChemTech(Lexington,KY)、Milligen(Burlington ,MA)、Applied Biosystems(Foster City,CA)、あるいはAldrich Chemical Cor p.(Milwaukee,WI)より入手する。 サブユニットを結合するのに用いられる縮合反応は、ペプチド合成前に行って もよいし、あるいはペプチド合成中に行ってもよい。アミノ酸誘導体がペプチド 合成前にサブユニットに組み込まれる場合には、α-アミノ基及びα-カルボキシ ル基は、ペプチド合成の際、選択的な脱保護を受け、その官能基を活性化するこ とができるような適切な方法で保護しておく必要がある。このような保護基の例 は既に良く知られており、アミノ基の保護には、フルオレンメチルオキシカルボ ニル(Fmoc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、t-ブトキシカルボニル(Boc )、及びアリルオキシカルボニル(alloc)などが含まれる。カルボキシル基の 保護に用いられる官能基には、メチル(Me)、ベンジル(Bn)、t-ブチル(tBu )、及びアリルエステルがそれぞれ含まれる。アミノ基とカルボキシル基の保護 基は、それぞれの官能基がそれ以外の官能基の存在下に選択的に脱保護できるよ うに選択されなければならない。例えば、ベンジルエステルとして保護されるカ ルボキシル基の存在下で、アミノ基の保護にCbz基を用いることは排除されなけ ればならない。上記文献のGreeneを参照されたい。好ましい態様として、α-ア ミノ基はFmoc基として保護され、α-カルボキシル基はメチルエステルである。 本発明の化合物中で用いられるチオール保護基は、本質的に蛋白質の活性を変化 させることなく、蛋白質の存在下で遊離のスルフヒドリル基を再生することがで きる穏やかな条件下で容易に脱離する有機あるいは無機官能基であれば、いかな るものでも使用できる。適切な保護基は、GreeneによるPROTECTIVE GROUPS IN O RGANIC SYNTHESIS(Wiley Interscience,NY,1981)の193-217ページに一覧にて 示されている。 適切な保護基の例としては、トリチル基、チオールエステル、チオカルバミン酸 塩、及びジスルフィドが含まれる。好ましい態様として、チオール保護基はトリ チル基である。これらの技術に熟練したものは、チオール基の保護及び脱保護操 作に良く慣れている。例えば、安息香酸チオエステルは、ヒドロキシルアミンを 用いて穏やかで選択的な条件で脱保護を行うことができる。 保護されたキレート化部分の構築が完成した後に、α-カルボキシル基を脱保 護し、既存のペプチド合成方法を用いて、ペプチド鎖のアミノ末端と結合させる 。BodanszkyらのTHE PRACTICE OF PEPTIDE SYNTHESIS(Springer Verlag,Heidel berg,1984)を参照されたい。 ペプチド合成を通じて、アミノ酸誘導体をサブユニットから構築したとき、既 存の固相合成方法を用いて誘導体が組み込まれるまで、ペプチド鎖を構築する。 異なる保護を施したビス-アミノ酸をペプチド鎖のアミノ末端に結合させ、引き 続き選択的に誘導体の一方のアミノ基を脱保護する。 α-アミノ基をはじめに脱保護する場合は、全て、あるいは一部の残存してい るアミノ酸残基を従来法でペプチド鎖に結合させる。誘導体の側鎖アミノ基を続 いて脱保護し、上記方法でキレート部分を組み込む。完成したペプチドに通常法 による脱保護と精製を施す。 側鎖のアミノ基をはじめに脱保護する場合には、キレート部分を上記方法で組 み込み、その後α-アミノ基の脱保護を行う。ペプチド合成は上記従来方法に従 って完成させる。 ペプチド合成が完成した後、完全に保護されたペプチドを脱保護し、精製する 。合成したペプチドの脱保護と精製方法は既に良く知られている。例えば、上記 文献のBodanszkyを参照されたい。もしペプチドを固相技術で合成した場合には 、合成用に固体担体として用いた樹脂からペプチドを剥離しなければならない。 この剥離を達成するための方法も、既に良く知られている。本発明で用いている 合成 ペプチドの精製方法も技術の熟練者には良く知られている。このような技術には 、例えば、イオン交換、ゲル濾過クロマトグラフィー、及び逆相高圧液体クロマ トグラフィー(RP-HPLC)がある。本発明の好ましい態様として、調製スケール のオクタデシルシラン(C18)シリカカラム充填物を用い、0.1%トリフルオロ酢 酸(TFA)中でアセトニトリルの勾配をかけて流出させるRP-HPLCによって、ペプ チドを精製した。ペプチドの純度は、分析用RP-HPLCあるいはキャピラリー電気 泳動法といった標準的な方法で確認することができる。ペプチドの同定は、NMR 分光法、あるいは、本発明の好ましい態様としては、質量分析計で確認すること ができる。金属キレート化アミノ酸誘導体を組み込んだペプチドによる放射性金属のキレー ト化 金属キレート化アミノ酸誘導体を組み込んでいるペプチドが合成され、精製さ れたならば、それは使用されるまで保存しておくことが可能であり、また、放射 性核種と反応させて直ちに放射性免疫療法あるいは放射性免疫診断用に用いるこ とができる。ペプチドを使用するまで保管しておく場合には、遊離のチオール基 の酸化を防ぐことが望ましい。本発明の好ましい態様として、ペプチドを不活性 雰囲気下に貯蔵するか、あるいはβ-メルカプトエタノールといった還元剤の存 在下に保管することによって、これが達成される。ペプチドを、遊離のスルフヒ ドリル基を有する形で貯蔵することは、複合体を、放射性核種を還元するときに 用いる試薬と予混合することで達成される。例えば、添加する還元剤はスズ(ll) 塩である。塩は必要に応じて金属スズ、例えばフォイル、顆粒、粉末、旋削物な どより、酸の水溶液、例えばHClを接触させることによって、発生することがで き、通常ペプチドにSnCl2の形態で加え、HCl中の約0.1mMの溶液として添加する のが有利である。その結果得られる混合物は、凍結溶液として保管可能であり、 あるいは、凍結乾燥品として保管するのがより好ましい。この形態で、還元剤の 存在下に錯合体を保管することが有利である。その理由は、チオール基の再酸化 を防ぐ ことだけでなく、以下に議論するように、追加段階として放射性核種量を減少さ せる必要が発生した場合、分配することができるためである。 ペプチドあるいはペプチド-還元剤混合物を単一容器(バイアル)に収納する かあるいはキットとして組み込み、本発明の放射能標識法を行うために用いるこ とが可能である。放射性核種は、後に放射能標識されたペプチドを提供する必要 に応じて、キットに加える。本発明による単一のバイアルあるいはキットは、個 々の診断あるいは治療法に適したペプチドを含むように設計される。 本方法に従えば、バイアルあるいはキットは封止に都合が良く、試薬の導入あ るいは取り出しを無菌あるいは半無菌条件下で行うことができる。本方法には、 シリンジ注入用の取り出し口が付属しているバイアルを用いることが望ましい。 バイアルあるいはキットに入れた試薬は典型的には水溶液、凍結品、凍結乾燥品 として供給される。一態様として、試薬は低温、例えば冷蔵庫で数日から数週間 、好ましくはpH約3.5-5.5で、さらに好ましくはpH4.5-5.0で、例えば窒素あるい はアルゴンといった不活性雰囲気下で保存することが有利である。 貯蔵や安定化を容易に達成するために試薬を凍結乾燥品で供給することも本発 明の請求範囲に含まれる。これは、pHが約5.5で、例えば酢酸アンモニウムとい った揮発性緩衝液から、好ましくは凝集を防ぐための安定剤、例えばトレハロー スや蔗糖といった糖の存在下で行うことで有利な効果をもたらす。こういった凍 結乾燥条件は既知のものであり、一般の熟練した技術者に良く知られているもの である。 本発明の標識方法は、単に発生器からの放射性同位元素、例えば過テクネチウ ム酸ナトリウム水溶液を直接ペプチドあるいは還元剤-キレート化ペプチド混合 物に添加することによって行うことができる。その後、バイアルの内容物を混合 し、ペプチドの標識に十分な時間、培養を行う。培養の時間と条件は、決定的な ものではないが、培養は、典型的には放射性同位元素が蛋白質に実質的に100%結 合す るのに十分な期間行われる。上述したように、放射性核種が異なる場合には、多 かれ少なかれ異なる還元条件が必要であり、従って培養時間も用いた放射性核種 に依存する。「実質的に100%の結合」とは、放射性核種の取り込みが98%以上で あることを意味し、好ましくは99%以上の取り込みを意味し、さらに好ましくは1 00%の取り込みを意味する。通常、培養は約0.1から約60分間行われるが、好まし い態様として、約1から5分間行われる。放射能標識されたペプチドは、その後、 バイアルから抜き出し、更なる分離や精製が必要ないため、直ちに使用すること ができる。 本発明の好ましい態様として、ペプチドのキレートの標識は、ペプチドを放射 性金属-グルコヘプトネート錯体とを混合し、グルコヘプトネートからペプチド にキレート交換を行わせることで実施する。この方法は、放射性金属がテクネチ ウム-99である場合に特に好ましい。この方法は、通常、Glucoscanキット(E.I .DuPont de Nemours,Inc.,Boston,MA)を用いて行われる。標識は、通常室 温で食塩水中で行うことが望ましい。ペプチドが食塩水に対して溶解度があまり 高くない場合には、エタノールあるいは2-ヒドロキシプロピル-b-シクロデキス トリンといった溶解剤を添加する場合もある。標識は、標識反応速度を増加させ るために、50-100℃といった高温で行うこともできる。テクネチウムとレニウム についての本発明によるペプチドの標識プロトコルは、以下の実施例9と10にお いてさらに詳細に説明した。 ペプチドの99mTc標識に用いる過テクネチウム酸塩は、一般に市販入手が可能 な発生物として得ることができ、もっとも一般にはNaTcO4の食塩水溶液を用いる 。新しい形態の発生物として供給者から提供されるものや、熟練した開業医によ って既に効果が明らかな、これ以外の形態の過テクネチウム酸塩も使用すること ができる。過テクネチウム酸塩は、一般に活性が約0.2-10mCi/mlの食塩水溶液の もの、例えば0.9%(「生理」)食塩水でpHが約3-10、好ましくは約4.5-9.0に緩 衝し たものが用いられる。適切な緩衝剤には、例えば酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩 、リン酸塩などが含まれる。 この明細書において、「還元された過テクネチウム酸塩」あるいは「還元され た過レニウム酸塩」という用語は、過テクネチウム酸塩あるいは過レニウム酸塩 の、例えば第一スズイオンによる還元で生成し、チオール基によってキレート化 する、テクネチウムあるいはレニウムイオン種を意味する。このようなキレート においては、還元された過テクネチウム酸塩は、Tc(III)及び/あるいはTc(IV)及 び/あるいはTc(V)の形態で存在していると考えられている。また、還元された過 レニウム酸塩は、Re(III)及び/あるいはRe(IV)及び/あるいはRe(V)の形態で存在 すると考えられるが、高い酸化状態、あるいは低い酸化状態、及び/あるいは多 価酸化状態も本発明の請求範囲に含むものとする。 レニウムは周期律表においてテクネチウムのすぐ下に位置し、最外殻電子配置 が同一である。従って、特に類似した化合物の挙動においては、非常に類似した 化学的性質を示すことが予測される。熟練した臨床医は、テクネチウム標識に関 して開示した本発明の知見に基づき、改良を行い、より効果的なレニウム標識を 達成することが可能である。 放射性同位体であるRe-186は、放射性免疫診断に興味深いものであり、また、 造影にも用いることができる。Re-188は発生物質によって生成されるβ及びγ線 源であり、その半減期は約17時間と造影及び治療に適している。本発明によるペ プチドのレニウムによる錯体形成は、基本的にテクネチウムについて前述したの と同じ方法で実施することができる。 金属結合ペプチドの、親和性定数測定、試験管内のスクリーニングなどの予備 検討については、非放射性レニウムを用いることが簡便である。これによって、 ペプチド-レニウム錯体を放射性レニウムを取り扱う危険性なしに検討すること が可能になる。非放射性レニウムは、ペプチドのテクネチウム錯体の挙動を表す 簡 便なモデルとしても使用することができる。というのは非放射性のテクネチウム 同位体は存在せず、レニウムとテクネチウムの化学的性質は非常に類似している ためである。 ペプチド誘導体を放射能標識した後に、放射能標識錯合体が自生LHRHのレセプ ター結合活性を維持していることを確認することが重要である。LHRH類似体の活 性の決定方法は既に良く知られている。例えば、細胞競合結合測定法を用いるこ とができる。例えば目標細胞としてヒト胸腺悪性腫瘍細胞系 MCF-7、SK-BR-3、 及びMDA-MB-231(American Type Culture Collection,Rockville,MD)を標準 検定品として用い、LHRH(Amersham Life Science,Arlington Heights,IL)の 存在下、細胞を異なる濃度の本発明による標識及び非標識ペプチドで処理するこ とで行う。細胞に付着した放射能を測定し、結合阻害が標識LHRH類似体の50%に なる非標識LHRH類似体の濃度を決定する。結合平衡定数Ka及び細胞当たりの全レ セプターサイト数は、スキャッチャード分析によって決定できる。FershtのENZY ME STRUCTURE AND MECHANISM,第2版(W.H.Freeman,London,1985)を参照 されたい。 生理食塩水中で放射能標識ペプチドが放射能標識を維持する能力は、放射能標 識された抗体に用いられる技術と基本的に同一の技術を用いて測定される。Hnat owichらの、J.Nucl.Med.34:109(1993)を参照されたい。例えば、定量分析(as say)によって、生理食塩水中あるいは血清中における、及び、ヒト血清アルブミ ンDTPA、DOTA、システイン及びグルタチオン等の物質の存在下または不在下にお ける、ペプチドの放射能標識維持能力を決定することができる。 本発明の放射能標識されたペプチドの生体内での生理活性は、例えばエストロ ゲンを投与したヌードマウスのMDF-7腫瘍細胞を用いた、動物モデルにおける標 準的な生物分布検討を用いて、容易に決定される。これらの研究では、造影及び /又は治療実験に必要とされる放射能標識ペプチドの量を推定するためには、LHR H結合腫瘍をもつマウスのレセプター容量を決定することが有用である。この目 的の ため、無担持の125I LHRH(〜2000Ci/mmol,Amersham Life Science)をMCF-7腫 瘍をもつマウス中に注入し、注入後の一定時間間隔毎にマウスを殺した。主要な 器官、ならびに血液、及び腫瘍を摘出し、秤量し、カウントして各器官における グラム当たりの注入量分率(%ID/g)を決定する。非標識LHRHの量を増やして125 I LHRHを混合し、腫瘍をもつヌードマウスに注入し、前実験と同じ時間間隔毎に 殺した。これによってヌードマウスモデルにおけるLHRHレセプター容量の決定が 可能になる。 上記方法によって試験管内レセプター親和性を示した放射能標識されたペプチ ドは、次にMCF-7ヌードマウスモデルによってスクリーニングを行う。もし、LHR Hレセプター容量が低すぎるために、過剰のペプチドの存在に耐えられない場合 には、Tc-99mで標識されたペプチドをHPLCによって精製して、この研究のための ペプチド無担持金属錯体(peptide carrier free metal complex)を得ることがで きる。例えば、99mTc標識ペプチドの放射能標識の生体分布は、ピンホールコリ メータ(pinhole collimator)を装着したガンマカメラでモニターする。初期スク リーニングでは、実験動物は4時間後に殺し、上述した方法で生体内分布を測定 する。その後、腫瘍への取り込みを示したペプチドと、非標的の分布を示した腫 瘍について、特異な生体内での腫瘍への取り込みを決定するために、LHRHを用い て遮断検定で試験を行う。ペプチドを用いた標準的な造影条件下で、腫瘍の大き さと位置が決定できれば、本発明の放射能標識ペプチドの非標的プロフィルに対 して、腫瘍は、有意の差を示す。E. 診断と治療における放射能標識ペプチドの投与 本発明のペプチドは、細胞あるいは器官が高いLHRHレセプター数を発現してい るか、あるいは高い親和性のLHRHレセプターを発現しているか、あるいはその両 方である場合には、いかなる生理的条件の診断あるいは治療にも用いることがで きる。本ペプチドは、前述した通り、キットで保管しておくことが便利である。 これらは不活性雰囲気中で無菌コンテナー内に凍結あるいは凍結乾燥しておくこ とができ、使用の直前に穏やかに融解させることが有利である。キットは、緩衝 液、生理食塩水、シリンジ、フィルター、及びその他臨床医師や技術者による使 用の際にサンプルを注入できる形に調製するための補助的な部品を無菌バイアル に入れた形で供給される。臨床医師あるいは技術者は、患者に投与する直前に、 適当な放射性核種の溶液を添加するのが便利である。 一般に、投与される標識されたペプチドの量は、患者の年齢、体重、身長、性 別、一般的な病状、及び過去の病歴によって変化する。典型的には、1pg/kgから 10 μmg/kg(試薬量/患者の体重)の範囲の蛋白質をレシピエントに投与するの が望ましい。しかし、より少量あるいはより多量の投与量であってもよい。 治療用には、約0.1-500マイクログラムの放射能標識ペプチドを、通常、毎日 、数日間に亘って投与する。放射能標識ペプチドの患者への投与は、静脈内、皮 下、胸膜腔内、鞘内に局所カテーテルによる還流を行うか、あるいは直接病変内 局注を行うことによってなされる。注入による投与の場合は、連続静脈内注入あ るいはシングルあるいはマルチボーラスにより行う。 本発明の放射能標識されたペプチドは、製薬的に許容し得る担体を混合すると いう既知の方法で配合を行い、製薬的に有用な組成物として調製することができ る。この組成物は、その投与が、レシピエントの患者にとって耐え得るものであ る場合、「製薬的に許容し得る担体」と呼ばれる。リン酸緩衝無菌生理食塩水は 、製薬上許容し得る担体の一例である。その他の適当な担体も、当業界において 既に良く知られている。例えば、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18版( 1990)を参照されたい。 放射線治療の目的には、放射能標識されたペプチドと製薬的に許容し得る担体 とを、患者に対し、治療上有効な量投与する。放射能標識されたペプチドと製薬 的に許容し得る担体の組み合わせは、投与量が生理学上有意であるならば、「治 療上有効な量」の投与、と呼ばれる。もし、ある試薬が存在することで、レシピ エントの患者の生理に検出可能な変化が生じた場合、その試薬は生理学上有意で ある。 追加の製薬上の方法は、治療において、放射能標識されたペプチドの作用の持 続性の制御を行うことである。制御放出調製薬剤は、蛋白質を複合化あるいは吸 着するためにポリマーを用いて調製することができる。例えば、生体適合性があ るポリマーは、エチレン-酢酸ビニル共重合体マトリックス、ステアリン酸ダイ マーとセバシン酸の無水共重合体マトリックスを含む。Sherwoodらの、Bio/Tech nology 10:1446-1449(1992)を参照されたい。これらのマトリックスからのペプ チドの放出速度は、ペプチドの分子量、マトリックス内のペプチド量、及び分散 粒子の大きさに依存する。Saltzmanら、Biophysical.J.55:163-171(1989);Sh erwoodら、同上、を参照されたい。その他の固体投与方法については、REMINGTO N'S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18版(1990)に述べられている。 従って、一般的に述べると、本発明は以下に示す実施例によってより容易に理 解することができる。以下は解説を目的として提供されたものであり、本発明を なんら限定するものではない。 実施例 実施例1:NeAlloc-Ne-Fmoc-L-リジンの合成 Ne-Fmoc-L-リジン(10.00 g,27.1 mmol,100 mol%,Bachem Biosciences,In c.)をジオキサン(100ml)及びNa2CO3(1M,33ml)に懸濁させ、乳状の懸濁液 を調製した。クロロギ酸アリル(3.2 ml,30.2 mmol,111 mol%)をジオキサン (10 ml)に添加し、この溶液を10分間でNe-Fmoc-L-リジン懸濁液に滴下した。 炭酸ナトリウム(1M,20 ml)を2回に分けて添加し、さらにクロロギ酸アリル (0.3 ml)を追加した。反応は室温で16時間攪拌することで行った。減圧下で揮 発性の溶剤を除去し、残渣をジエチルエーテル(50 ml)で洗浄した。残存液体 をHCl (1M)で酸性にし、酢酸エチル(2 x 150 ml)で抽出した。有機相を合わせ、飽 和NaCl水溶液(50 ml)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、減圧下で蒸発し、粗油状 生成物(16 g)を得た。粗生成物をエーテル(100 ml)に溶解すると、白色固体 が生成し、これを濾別した。濾過の際の溶媒は減圧下で除去し、粘性のある淡黄 色の油を得た(8.34 g,68%収率)。最終的にガラス状固体を生成した。 実施例2:2-(トリフェニルメチルメルカプト)アセチルヒドラジドの合成 2-(トリフェニルメチルメルカプト)酢酸(20.35 g,60.9 mmol,100 mol%) を無水THF(150 ml)に溶解し、氷水浴にて冷却した。t-ブチルカルバゼート(8 .61 g,65.1 mmol,107mol%)を反応溶液に加え、続いてジイソプロピルカルボ ジイミド(10.0 ml,63.9 mmol,105 mol%)を加えた。反応はゆっくりと室温ま で昇温して行い、28時間攪拌を行った。反応混合物を濾過して、生成した白色沈 殿物を除去した。濾液は、溶媒を減圧下で除去することで白色の泡にまで濃縮し た。この物質をクロロホルム(75 ml)に溶解した。その後酢酸(75 ml)を加え 、それに引き続き三フッ化ホウ素エーテル溶液(10.0 ml,81 mmool,134 mol% )を添加した。反応は室温で6時間攪拌することで行い、反応混合物を酢酸ナト リウム(30 g)を含む水(200 ml)に注ぎ入れることで停止させた。この混合物 をクロロホルム(2 x 100 ml)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(150 ml)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。溶媒を減圧下で除去することで 淡い金色の油を得た。これはそのままの状態で固化した。その固体を1:1のジエ チルエーテル/ヘキサン(200 ml)に懸濁させ、濾過により捕集した。固体を1:1 のジエチルエーテル/ヘキサン(100 ml)を追加して洗浄し、乾燥して、ESMS MH+ 計算値349、実測値349を有する所望の生成物(15.44 g,73%収率)を得た。 実施例3:Nβ-[2-(トリフェニルメチルチオ)アセチル]アザグリシンの合成 グリオキシル酸一水和物(0.59 g,6.41 mmol,110 mol%)をメタノール(20m l)に溶解し、2-(トリフェニルメチルメルカプト)アセチルヒドラジド(2.03 g,5.82 mmol,100 mol%)を加えた。ジオキサン(20 ml)を僅かに濁った反応 混合物に加え、室温で18時間攪拌して反応させた。水素化ホウ素ナトリウム(1. 76 g)を反応混合物に加え、30分後、水素化ホウ素ナトリウム(0.60 g)をさら に添加した。室温で3時間攪拌して反応させ、反応混合物をHCl(1M,60 ml)に 注ぎ入れることで停止させた。混合物を酢酸エチル(2 x 50 ml)で抽出した。 有機相を合わせ、飽和NaCl水溶液(40 ml)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾 過し、ロータリーエバポレータを用いて減圧下で濃縮し、ESMS MH+計算値407、 実測値407の固体(2.5 g)を得た。 実施例4:Nα-Boc-Nβ-[2-(トリフェニルメチルチオ)アセチル]アザグリシンの 合成 Nβ-[2-(トリフェニルメチルチオ)アセチル]アザグリシン(2.39 g,5.89 mmo l,100 mol%)をジオキサン(50 ml)に溶解した。ジ-t-ブチル・ジカーボネー ト(BOC)2O、(2.07 g,9.48 mmol,161 mol%)を反応溶液に加え、引き続きNa2C O3(1M,15 ml)を添加した。この混合物を室温で15分間攪拌し、その後Na2CO3 (1M,10 ml)と(BOC)2O(1.41 g)をさらに加えた。溶液を室温で18時間攪拌し 、NaOH(6M,3 ml)と(BOC)2O(1.4 g)とで1時間反応させた。粗反応混合物を クエン酸(1M)でpH3まで酸性にし、酢酸エチル(200 ml)で抽出した。有機相 を飽和塩化ナトリウム水溶液(60 ml)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、 減圧下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をエーテルに溶解し、希釈してヘキ サンとの1:1の混合物を得ることで白色の沈澱を生成させた。白色固体を濾過に より捕集し、ESMS MH+ 計算値507、実測値507の求める生成物(1.48 g,50%収率 )を得た。 実施例5:2-(4-フェニル-3-チオセミカルバジジル)酢酸の合成 4-フェニル-3-チオセミカルバジド(6.02 g,36 mmol,100 mol%)をメタノー ル(40 ml)中に懸濁させた。グリオキシル酸一水和物(3.32 g,36.1 mmol,10 0 mol%)を加え、室温で2時間攪拌することで反応を行った。水素化ホウ素ナト リ ウム(1.50 g)を注意深く加えると、反応混合物は非常に激しく発泡した。反応 混合物を室温で1時間攪拌し、その後NaBH4(0.66 g)を加え、引き続き氷酢酸( 6 ml)を加えた。15分後、NaBH4(1.08 g)を加え、室温で15時間攪拌すること で反応を行った。NaBH4(1.66 g)をさらに加え、室温で3時間攪拌することで反 応を行い、HCl(1M,200 ml)で反応を停止した。混合物を酢酸エチル(2 x 150 ml)で抽出した。有機相を合わせ、飽和NaCl水溶液(100 ml)で洗浄し、Na2SO4 上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、ESMS 陰イオンモードでM-H+が 計算値224、実測値224の黄色固体(9.03 g)を得た。 実施例6: Nβ-Boc-2-(4-フェニル-3-チオセミカルバジジル)酢酸の合成 2-(4-フェニル-3-チオセミカルバジジル)酢酸(8.93 g,37.9 mmol,100 mol% )と(BOC)2O(9.10 g)をジオキサン(100 ml)に溶解した。炭酸ナトリウム(1M, 50 ml)及び水(50 ml)を添加し、混合物を室温で5時間攪拌した。水酸化ナト リウム(1M,40 ml)及び追加量の(BOC)2O(6.21 g)を加え、室温で一夜攪拌す ることで反応させた。反応はクエン酸(1M)により停止させ、酢酸エチル(2 x 100 ml)で抽出した。有機相を合わせ、飽和NaCl水溶液(50 ml)で洗浄し、Na2 SO4上で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、ゴム状の固体(19 g)を 得た。粗固体生成物をエーテルに懸濁し、白色固体を濾過により捕集した。固形 分をエーテル(100 ml)で洗浄し、ESMS MH+計算値326、実測値326の求める生成 物(3.17 g)を得た。 実施例7:Na-(トリフェニルメチルスルフェニル)-Nb-(Boc)アザグリシンの 合成 t-ブチルカルバゼートをグリオキシル酸一水和物と共にメタノール中で縮合し た。この粗ヒドラゾンを10%Pd/Cを用いて接触的水素化によって還元した。この 生成物をジオキサン及び塩基と混合し、トリフェニルメタンスルフェニルクロラ イドのジオキサン溶液を滴下した。所望のNa-(トリフェニルメチルスルフェニ ル) -Nb-(Boc)アザグリシン(25 g)が最終的に得られる。 実施例8:Alloc及びFmoc保護基を用いたペプチドの固相ペプチド合成 固相ペプチド合成は、モデル396と同じ方法で窒素加圧下で操作するように 改良を加えたAdvanced ChemTechモデル348ペプチド合成器を用いて、0.050mmol スケールで行った。9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基を窒素保 護基として用い、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)/ヒドロキシベンゾトリ アゾール(HOBT)を、カップリングのためのカルボキシル基の活性化に用いた。 樹脂の種類は、C-末端アミドにはRink,Pal及びTentaGel S RAM等を用い、C-末 端酸にはWang,2-クロロトリチル、あるいはTentaGel S PHB等を用いた。alloc 基は、樹脂に付着したペプチドをジクロロメタン(3 x 2 ml部分)で洗浄し、そ の後樹脂をテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム[0](10 mg)及び酢酸 (0.1 ml)を含む溶液(2 ml)と混合することによって、手動モードで機械によ り剥離した。トリブチルスズハイドライド(0.3 ml)をその後加え、その混合物 を1時間攪拌した。そして反応セルを空にし、樹脂をジクロロメタン(3 x 2 ml )で洗浄し、標準的なFmoc合成を再開した。ペプチドをトリフルオロ酢酸(TFA )、アニソール及びエタンジチオールを23:3:1に混合した溶液で1から3時間処理 することで樹脂から剥離させた。粗剥離混合物をエーテルに注ぎ入れ、粗ペプチ ドを沈澱させ、それを、Waters Delta Pak,Prep Pak C-18カートリッジシステ ムを用いて、TFA(0.1%)水溶液及び/あるいはTFA(0.1%)を含むアセトニトリ ル(90%)と水(10%)の混合物を用いて、適切な勾配(gradient)をかけて流出さ せる、逆相HPLCによって精製した。求める精製ペプチドを含んだ留分を捕集し、 揮発性の溶剤を減圧下で除去し、ペプチドの水溶液を得た。これをその後凍結乾 燥した。凍結乾燥した生成物の試料を静電スプレー法質量分析(ESMS)あるいは 高速原子衝撃イオン化質量分析(FABMS)に送り、生成物の質量の実測値が、求 めるペプチドの質量の計算値と一致するかどうかを確認した。 以下の表に、上述した方法によって合成した幾つかのペプチド配列(それぞれ 配列同定番号No.1,3-17)を示す。 a HPLC法 [保持時間、分] 溶媒Aは0.1%トリフルオロ酢酸水溶液である。 溶媒Bは0.1%トリフルオロ酢酸の90:10アセトニトリル/水溶液である。 溶媒流速は3ml/minで10分間、その後5ml/minで5分間である。 グラジエントは10分間で0から100%Bまで、その後5分間100%Bである。 b 静電スプレー法質量分析値(MH+) 表中の略語: <G: ピログルタミン酸 PtscG: 2-(4-フェニル-3-チオセミカルバジジル)酢酸あるいはPhNHCSN HNHCH2CO2H Ma: メルカプト酢酸 azaG: アザグリシンあるいはH2NNHCH2CO2H Dap: 2,3-ジアミノプロピオン酸(2,3-diaminoproprionic acid) Nal: 2-ナフチルアラニン Cpa: 4-クロロフェニルアラニン Kd: 添字のdはD異性体を使用したことを意味する K(MaGC): カッコは、内包するアミノ酸がリジンの末端アミン(e amine)に結 合していることを意味し、結合している第一のアミノ酸はCで、引き続くアミノ 酸はGで、Maで終了していることを意味する iD: イソアスパラギン酸 iE1: イソグルタミン酸 実施例9:Tc-99mによる放射能標識 Glucoscan(DuPont)のバイアルから、Tc-99m-グルセプテート錯体を生成する ために、2.18mCiのNaTcO4を、1mlの生理食塩水溶液で還元した。<GHWSYK(MaGC)L RPGアミド(配列同定番号No.4)(IMP3)を上記方法で調製した。Tc-99m-IMP3は 、360 μl(874uCi)のTc-99mグルセプテートを640 μlのペプチド食塩水溶液と 混合して調製した。初期に生成する沈澱は、75℃で15分加熱することで消失した 。H2O:EtOH:NH4OH混合物(5:2:1)で展開した簡易TLC(ITLC)片より、コロイドと し て6.2%の初期活性があることが示された。HPLCは、保持時間(RT)6.95分でペプチ ドに結合した活性物質の100%を示した。一方、非標識ペプチドでは、同一のHPLC 条件において6.4分で流出した(逆相C-18カラム、グラジエントは流速3ml/minで 10分間0-100%B、ここでAは0.1%TFA水溶液、Bは0.1%TFA、90%CH3CN)。HPLCカラ ムからの回収率は、注入した活性物質に対し85%であった。 IMP3は、Tc-99m標識物が以下に示す量になるように配合し、凍結乾燥した。 凍結乾燥したバイアルは、約900 μuCiのNaTcO4を含む食塩水溶液で還元した 。全てのバイアルに濁りが観察された。バイアルを75℃で15分間加熱したが、濁 りは消失しなかった。コロイドのITLC分析より、バイアル1,2および3のコロイ ド量は、初期にはそれぞれ14,21及び9%であった。 Tc-99m標識化中の沈澱を防ぐために、凍結乾燥バイアル中のSn(II)に対するα -D-グルコヘプトネート(aDG)と酒石酸塩の比率を変化させた。以下のバイアル は、酒石酸塩とαDGの比を以下に示すようにして、配合及び凍結乾燥(250 μg のIMP3に対し25 μg Sn(II))を行ったものである。これらのバイアルは、約500 μCiのNaTcO4を含む1mlの食塩水溶液で還元した。観察結果は観察結果の列に示 した。ITLC片は15分間の室温での展開の後、75℃で15分間の加熱を施した。 上記の手順を、バイアル3,7及び8に対して繰り返し、コロイド量は75℃15分 間の加熱の後、それぞれ5.3,3.8および4.6%と測定された。逆相HPLCカラムにお いて、保持時間7分の位置に、単一の幅広いピークが観察された。 テクネチウム-99による、他のペプチドの標識結果を以下の表に示す(それぞ れ、配列同定番号No.4-8,12,9-11)。 表中に用いた略語は、上記実施例8のものと同一である。 実施例10:IMP-3 Re-188の放射能標識 IMP3、(<GHWSYK(MaGC)LRPGアミド(配列同定番号No.4))を、上記方法で合 成した。IMP3の保持時間は、10分間、流速3 ml/minで0-100%Bのグラジエントを かけた逆相C-18カラムで、6.4分であった。ここで、Aは0.1%TFA水溶液、Bは0.1% のTFAの90%CH3CN水溶液である。 IMP3は、250 μgと1mgを、Sn(II)とα-D-グルコヘプトネートの1:17.5の比率 の混合物450 μgとともに配合し、凍結乾燥した。凍結乾燥したIMP3のバイアル (1 mgと250 μg)は、617及び578 μCiのNaReO4食塩水溶液で還元した。バイア ルを 75℃で15分間加熱した。上記条件でHPLC分析した結果、両方のバイアルにおいて 、保持時間7.0分に単一のピークが観察された。流出物を捕集し、γ-カウンター で計測した。1mgのバイアルでは、活性物質の回収率は88%であり、250 μgのバ イアルでは77%であった。H2O:EtOH:NH4OH(5:2:1)で展開したITLC片によるコロイ ド分析の結果は、1mgと250 μgのバイアルにおいて、各々、初期の活性物質の1 .4及び1.2%であった。室温におけるRe-188の標識化は、75℃の場合とは異なり、 進行しなかった。室温では、活性物質のほんの数パーセント(5%未満)しかペ プチドに組み込まれず、残りの活性物質は溶媒容積(1.2min)中に流出した。 実施例11:試験管内レセプター結合定量 ヒト胸腺悪性腫瘍細胞系 MCF-7、SK-BR-3、及びMDA-MB-231をAmerican Type C ulture Collection,Rockville,MDより購入した。細胞は、5%の致死ウシ血清、 5%の定義ウマ血清、ペニシリン(100 U/ml)、ストレプトマイシン(100 μg/ml )、及びL-グルタミン(2mM)を補ったDMEM中で培養した。細胞は、トリプシン と0.2%EDTAで剥離させた後、繰り返し継体させた。 非標識ペプチドの特異性は、細胞競合結合測定法で決定した。目標細胞は、新 鮮な溶媒で洗浄し、細胞数を5 x 105個/mlに調整した。96個の窪み(well)のある マイクロタイタープレートに、一つの窪みにつき100 μlの細胞懸濁液(100 μl )を加えた。細胞を付着させ、125I-LHRH(Amersharm Life Science,Ar1ington Heights,IL,2,000 Ci/mmol)の存在下、異なる濃度のペプチドで処理した。 室温で振盪しながら2時間培養した後、細胞を2回洗浄し、細胞に付着している 放射能活性をカウントし、標識したLH-RHの50%の結合阻害を起こす濃度を比較す る。 レセプター結合定数の決定には、一連の希釈をした放射能標識LHRHを、96個の 窪みのあるプレートで、5 x 105個の細胞を用いて培養する。全ての定量は、高 濃度の非標識LHRHのものと、そうでないものの両方について、3回行い、特異的 に結合したペプチドを決定する。室温で2時間の培養の後、細胞を洗浄し、計測 す る。平衡付着定数Kα及び細胞当たりの全レセプターサイト数は、スキャッチャ ード分析により決定する。 実施例12:生体内分布の検討 MCF-7腫瘍細胞を、エストロゲンを投与したヌードマウスに注入し、腫瘍を発 達させる。無担持の125I-LHRH(〜2000Ci/mmol,Amersham Life Science)をマ ウスに注入し、マウスを5分、30分、1時間、及び3時間で殺す(各時点毎に3匹) 。主要器官、ならびに血液及び腫瘍を摘出し、秤量し、カウントし、各器官にお けるグラム当たりの注入量分率(%ID/g)を決定する。 非標識LHRHの投与量を増加させた5点(0から0.1 mg)の投与に125I-LHRHを混 合し、腫瘍をもつヌードマウス(各投与毎に3匹)に注入し、前実験と同じ時間 毎に殺した。これにより、ヌードマウスモデルにおけるLHRHレセプター容量が決 定される。 上記方法により試験管内レセプター親和性が優れていると決定されたTc-99m標 識ペプチドに対し、MCF-7ヌードマウスモデルを用いてスクリーニングを行った 。もしLHRHレセプター容量が低すぎるために、存在する過剰のペプチドに耐えら れない場合には、この検討のために、Tc-99mに標識したペプチドをHPLCで精製し て、無担持金属錯体ペプチドを得ることができる。Tc-99m標識物質(ペプチド毎 に3匹)の生体内分布は、ピンホールコリメータを装着したガンマカメラでモニ ターした。初期スクリーニングでは、実験動物は4時間毎に殺し、上述した方法 で生体内分布を測定する。引き続く実験において、上述した実験において明瞭な 腫瘍像を示したこれらのTc-99m標識ペプチドに対して、追加の動物(各時点毎に 3匹)を15分、1時間、及び3時間の時点で殺して、スクリーニングを行った。ペ プチドは、さらに、LHRHを用いた遮断検定試験を行った。LHRHとの共注入を行う と、投与量に依存して腫瘍への放射能標識ペプチドの取り込みが減少し、生体内 の腫瘍取り込みが特異的であることを示した。 本発明を、以上述べた代表的具体例にて広く開示し、解説した。熟練した技術 者は、本発明の概念や範囲を逸脱することなく、本発明にさまざまな修飾を加え ることができることを認識するであろう。 本発明を、以上述べた代表的具体例にて広く開示し、解説した。熟練した技術 者は、本発明の概念や範囲を逸脱することなく、本発明にさまざまな修飾を加え ることができることを認識するであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I L,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK, MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR ,TT,UA,UG,UZ,VN (72)発明者 グリフィス,ゲイリー・エル アメリカ合衆国、07960 ニュー・ジャー ジー、モリスタウン、エッジヒル・アヴェ ニュー 36

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. アミノ酸配列 X1-X2-X3-S-X4-X5-X6-X7-P-X8-NH2(配列同定番号No.2) から構成されるペプチドであって、ここで、 X1がピログルタミン酸あるいはD-アセチルナフチルアラニンであり、 X2がヒスチジンあるいはD-4-クロロフェニルアラニンであり、 X3がD-あるいはL-トリプトファンあるいはチロシンであり、 X4がチロシン、ロイシンあるいはアルギニンであり、 X5が放射性金属とキレート化が可能なアミノ酸誘導体であり、 X6がロイシンあるいはトリプトファンであり、 X7がアルギニンあるいはリジンであり、 X8-NH2がグリシンアミドあるいはD-アラニンアミドであるペプチド。 2. 請求項1に記載のペプチドであって、ここで、X5であり、ここで、R1はH、OH、ペプチド、糖、目標分子、低級アルキル基、置換 低級アルキル基、あるいはペプチド合成条件下に除去可能な保護基であり; R2 はH、低級アルキル基、あるいは置換低級アルキル基であり、Wは1から20の原子 長を持ち、シクロアルキル、アリール、あるいはアルカリル基、置換または無置 換アルキレン鎖、及び少なくとも一つのヘテロ原子で置換された鎖からなる群か ら選択され; Zは1から5の残基を持つペプチド、あるいはZはCOCH2あるいはCOCH (CH2SP2)であり、ここて、P2はHあるいは硫黄保護基であり; AとDは同一あるい は異な る基であり、各々、H、CH2CH2NR3NR4C(S)NHR5、COCH2NR6NR7C(S)NHR8、COCH2NR8 NR10C(O)CH2SP2、CONR11NR12C(O)CH2SP2、NR13C(S)NHR14、あるいはCOCH2NR15CO CH2SP2からなる群から選択され; R3、R4、R6、R7、R9、R10、R11、R12、R13及 びR15は同一あるいは異なる基であり、各々、H、低級アルキル基、あるいは置換 低級アルキル基を表し、R5、R8、及びR14は同一あるいは異なる基であり、各々 、H、低級アルキル基、置換低級アルキル基、アリール基、あるいは置換アリー ル基を表すペプチド。 3. 請求項1に記載のペプチドであって、ここで、X5 からなる群より選ばれるペプチド。 4. 請求項3に記載のペプチドであって、ここで、X1がピログルタミン酸であ り、X2がヒスチジンであり、X5がグリシンアミドであるペプチド。 5. 請求項4に記載のペプチドであって、ここで、X3がチロシンであり、X4が ロイシンであり、X6がトリプトファンであり、X7がリジンであるペプチド。 6. 請求項5に記載のペプチドであって、ここでX5であるペプチド。 7. 請求項5に記載のペプチドであって、ここでX5であるペプチド。 8. 請求項5に記載のペプチドであって、ここでX5であるペプチド。 9. 請求項5に記載のペプチドであって、ここでX5であるペプチド。 10. 請求項4に記載のペプチドであって、ここで、X3がトリプトファンであり 、X4がチロシンであり、X6がロイシンであり、X7がアルギニンであるペプチド。 11. 請求項10に記載のペプチドであって、ここでX5であるペプチド。 12. 請求項10に記載のペプチドであって、ここでX5であるペプチド。 13. 請求項10に記載のペプチドであって、ここでX5であるペプチド。 14. 請求項10に記載のペプチドであって、ここでX5であるペプチド。 15. 請求項3に記載のペプチドであって、ここで、X1がD-アセチルナフチルア ラニンであり、X2がD-4-クロロフェニルアラニンであり、X3がD-トリプトファン であり、X4がアルギニンであり、X6がロイシンであり、X7がアルギニンであり、 X8-NH2がD-アラニンアミドであるペプチド。 16. 請求項15に記載のペプチドであって、ここでX5であるペプチド。 17. 請求項15に記載のペプチドであって、ここでX5であるペプチド。 18. 請求項15に記載のペプチドであって、ここでX5であるペプチド。 19. 請求項15に記載のペプチドであって、ここでX5であるペプチド。 20. 請求項3に記載のペプチドであって、ここで、X1がD-アセチルナフチルア ラニンであり、X2がD-4-クロロフェニルアラニンであり、X3がD-トリプトファン であり、X4がアルギニンであり、X6がトリプトファンであり、X7がリジンであり 、X8-NH2がグリシンアミドであるペプチド。 21. ペプチド溶液に第一スズイオンを接触させることからなり、ここで、該 ペプチドがアミノ酸配列 X1-X2-X3-S-X4-X5-X6-X7-P-X8-NH2(配列同定番号No.2) からなり、ここで、 X1がピログルタミン酸あるいはD-アセチルナフチルアラニンであり、 X2がヒスチジンあるいはD-4-クロロフェニルアラニンであり、 X3がD-あるいはL-トリプトファンあるいはチロシンであり、 X4がチロシン、ロイシンあるいはアルギニンであり、 X5が放射性金属とキレート化が可能なアミノ酸誘導体であり、 X6がロイシンあるいはトリプトファンであり、 X7がアルギニンあるいはリジンであり、 X8-NH2がグリシンアミドあるいはD-アラニンアミドであり、 その後、該溶液を放射性核種と接触させ、放射能標識されたペプチドを回収す ることからなる、金属キレート組成物の調製方法。 22. 上記ペプチドが、LHRHレセプターを発現する細胞あるいは組織と特異的 に結合する請求項21に記載の方法。 23. 上記放射性核種が188Re-あるいは186Re-過レニウム酸塩及び99Tc-過テク ネチウム酸塩から選択される請求項21に記載の方法。 24. 請求項1に記載の有効量のペプチドを製薬上許容され得る無菌担体と組み 合わせてなる医薬組成物。 25. 請求項21に記載の方法により調製された有効量のペプチドを、製薬上許 容され得る無菌担体と組み合わせてなる医薬組成物。 26. 請求項1に記載のペプチドの、腫瘍、伝染性病変、心筋梗塞、凝結、アテ ローム硬化プラーク、あるいは正常な器官あるいは組織の画像化方法における使 用であって、ここで、該画像化方法は、ヒト患者に、LHRHレセプターを発現する 細胞あるいは組織と特異的に結合する放射能標識されたペプチドを、製薬上許容 され得る担体と共に投与し、該放射能標識されたペプチドが局在化して、非標的 バックグラウンドがクリアーになるのに十分な時間の後に、該放射能標識された ペプチドの付着部位を外部の画像化カメラで検出する方法であり、 ここで、該放射能標識されたペプチドは、ペプチド溶液を第一スズイオンと接 触させることによって調製され、 ここで、該ペプチドは、アミノ酸配列 X1-X2-X3-S-X4-X5-X6-X7-P-X8-NH2(配列同定番号No.2) から構成されるペプチドであり、ここで、 X1はピログルタミン酸あるいはD-アセチルナフチルアラニンであり、 X2はヒスチジンあるいはD-4-クロロフェニルアラニンであり、 X3はD-あるいはL-トリプトファンあるいはチロシンであり、 X4はチロシン、ロイシンあるいはアルギニンであり、 X5は放射性金属とキレート化が可能なD-あるいはL-アミノ酸誘導体であり、 X6はロイシンあるいはトリプトファンであり、 X7はアルギニンあるいはリジンであり、 X8-NH2はグリシンアミドあるいはD-アラニンアミドであり、 その後、該溶液を放射性核種と接触させ、放射能標識されたペプチドを回収す ることからなる使用。 27. 2種類のアミノ酸およびアミノ酸類似体を、固相ペプチド合成によって 結 合させることからなる請求項1に記載のペプチドの調製方法。
JP9501203A 1995-06-07 1996-06-07 黄体形成ホルモン放出性ホルモンの放射性金属結合類似体 Withdrawn JPH11513977A (ja)

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