JPH0853494A - 腫瘍親和性ペプチド、該ペプチドを含有してなる放射性診断剤および放射性治療剤 - Google Patents

腫瘍親和性ペプチド、該ペプチドを含有してなる放射性診断剤および放射性治療剤

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JPH0853494A
JPH0853494A JP7158747A JP15874795A JPH0853494A JP H0853494 A JPH0853494 A JP H0853494A JP 7158747 A JP7158747 A JP 7158747A JP 15874795 A JP15874795 A JP 15874795A JP H0853494 A JPH0853494 A JP H0853494A
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radioactive
tumor
salt
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Ikuya Seki
育也 関
Yoshitoshi Itaya
嘉俊 板谷
Yoshifumi Shiragami
宜史 白神
Hiroaki Washino
弘明 鷲野
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Nihon Medi Physics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヒトを含む哺乳動物の腫瘍等の病的組織の診
断および治療に有用な、腫瘍親和性ペプチドまたはその
塩、該ペプチドまたはその塩からなる放射性金属標識ペ
プチドおよびそれらを含有してなる放射性診断剤および
放射性治療剤を提供する。 【構成】 アミノ酸一文字表示法でX1−YCAREP
PT−X2のアミノ酸からなるアミノ酸残基数が20ま
での腫瘍親和性ペプチドまたはその塩、該ペプチドまた
はその塩と放射性金属からなる放射性金属標識ペプチド
およびそれらを含有してなる放射性金属標識診断剤およ
び放射性金属標識治療剤をその内容とする。但し、X1
は1〜3個のアミノ基を有する塩基性有機化合物、アミ
ノ酸配列YCARは、アミノ酸残基Y、C、AおよびR
のL体および/またはD体からなり、X2は任意のアミ
ノ酸配列である。 【効果】 本発明により放射性金属による高い標識およ
び生体内でも安定な正常組織には集積しないペプチドの
提供が可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒトを含む哺乳動物の
腫瘍等の病的組織のイメージングに用いられる腫瘍親和
性ペプチドまたはその塩、該ペプチドまたはその塩をテ
クネチウム−99m、レニウム−186、レニウム−1
88、銅−62またはインジウム−111の放射性金属
で標識した放射性金属標識ペプチド、その放射性金属標
識ペプチドを含有してなる放射性金属標識診断剤および
放射性金属標識治療剤を提供することに関する。
【0002】
【従来の技術】腫瘍組織は、しばしばその腫瘍に特異的
な蛋白質や複合糖質をその細胞表面に発現することが知
られている。これらの蛋白質や複合糖質は、組織が癌化
して初めて発現する場合もあるが、もともと正常な組織
に存在していたものが、組織の癌化に伴い著しくその数
を増加させる場合も知られている。そこで、これら蛋白
質や複合糖質を抗原とするモノクローナル抗体を作製
し、腫瘍を特異的に診断しようとする試みが盛んに行わ
れてきた。例えば、大腸癌では癌胎児性抗原(CEA:Carc
inoembryonic antigen)が著明に増加して発現されるた
め、抗CEAモノクローナル抗体に放射性金属元素であ
るIn−111を標識することによって、核医学的手法
により動物実験あるいは臨床試験によって腫瘍を検出す
ることに成功している。しかしながら、モノクローナル
抗体は、生物細胞を利用して製造されるため、操作が極
めて煩雑で、取り扱いには熟練を要するため、広く利用
するには至っていない。
【0003】この状況を克服する手段として、蛋白質の
特異的結合部分を担う部分構造を解析、決定し、化学的
に合成した部分構造を用い、製剤化する方法がより現実
的な方法とした観点から、天然に存在する蛋白質および
抗腫瘍モノクローナル抗体等の生理活性物質の活性中心
のペプチド配列を解明し、その部分構造により蛋白質お
よび抗腫瘍モノクローナル抗体等と同等の結合能力を再
現しようとする研究が紹介されている(The Journal of
Nuclear Medicine Newsline, Lantz Miller ,Vol 34 ,
No 11 , 15N 〜 30N , 1993 . 11 ,Synthetic Peptide
Come of Age)。
【0004】このような観点に基づいたモノクローナル
抗体と同等の結合能力を有するペプチドがPCT/WO
9218534−Aに記載されている(以下、EPPT
ペプチドという。なお、本明細書中のアミノ酸は一文字
表示法または三文字表示法で表すものとする。)。
【0005】この技術は、脱糖鎖ムチンを特異的に認識
するモノクローナル抗体を作製し、その抗体の特異的結
合を担う抗原認識部位(CDR:Complimentarity Determin
ingRegion)の部分構造であるEPPTを解析、決定し
たものである。
【0006】この抗原認識部位より導き出されたアミノ
酸配列は、YCAREPPTRTFAYWGQGで表さ
れ、ヨウ素−125で標識し、腫瘍細胞への結合性を実
証しており、モノクローナル抗体に代わる次世代の放射
性診断剤としての可能性を証明している。
【0007】一般に放射性診断剤としての条件を満た
す、放射性アイソトープとしてはヨウ素−123やテク
ネチウム−99m等をあげることができる。特にテクネ
チウム−99mは、放出するガンマ線も140KeVと
汎用的に利用しうる放射線イメージング装置におけるシ
ンチグラム撮像に適し、特定臓器の描出、特定疾患の検
出および動態検査を目的とした核医学領域において、そ
の半減期が6時間と適当であるうえ、ジェネレーターの
普及により容易にしかも安価に入手できるという利点を
有していることから、最も適した放射性金属ということ
ができる。
【0008】しかしながら、前記EPPTペプチドは、
テクネチウム−99m等の放射性金属で標識した場合、
その標識率が医薬品に用いるには低く、さらに投与直後
から放射能が正常組織、特に腎臓に分布するなどの改善
すべき問題点を有していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかるテク
ネチウム−99m等で標識されたEPPTペプチドの低
い標識率、あるいは投与直後から代謝分解され代謝産物
が正常組織、特に腎臓に集積するなどの問題点に鑑み、
高標識率の放射性金属標識が可能で、さらに生体内でも
容易に代謝されず正常組織には集積しない、ヒトを含む
哺乳動物の乳癌、卵巣癌、大腸癌等の体幹部の病的組織
を描出および治療するのに有用な腫瘍親和性ペプチド、
該ペプチドと放射性金属からなる放射性金属標識ペプチ
ドおよびそれを含有してなる放射性診断剤および放射性
治療剤を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、X1−
YCAREPPT−X2(式1)のアミノ酸配列からな
るアミノ酸残基数20までの腫瘍親和性ペプチドまたは
その塩、該ペプチドまたはその塩と放射性金属からなる
放射性金属標識ペプチドおよびその放射性金属標識ペプ
チドを含有してなる放射性診断剤および放射性治療剤で
ある。但し、式1中、X1は1〜3個のアミノ基を有す
る塩基性有機化合物、アミノ酸配列YCARは、アミノ
酸残基Y、C、AおよびRのL体および/またはD体の
アミノ酸残基からなり、X2は任意のアミノ酸配列であ
る。
【0011】X1は炭素数1〜7の飽和アルキル鎖、不
飽和アルキル鎖または−OHおよび/または−COOH
もしくは−NH−C(NH)NH2 の基で置換されてい
る飽和アルキル鎖で、任意の水素原子1〜3個がアミノ
基に置換された塩基性有機化合物である。
【0012】X1は本ペプチドのN末端側に結合し、好
ましくはアミノ基を1〜3個有するL体またはD体のK
もしくはRなどの塩基性アミノ酸である。X2はYCA
REPPT(アミノ酸残基Y、C、AおよびRはL体お
よび/またはD体からなる)に続く任意のアミノ酸配列
であれば良く、好ましくは、RTNAYWG、RTFA
YWG、RTNAYWGQGおよびRTFAYWGQG
である。但し、各アミノ酸配列は、アミノ酸残基A、
F、G、N、Q、R、T、WおよびYの各アミノ酸残基
のL体および/またはD体からなる。さらに、血液中で
の滞留時間をコントロールすることを目的に、本ペプチ
ドのN末端およびC末端は、化学的修飾が施されていて
も良い。
【0013】例えば、X1がアミノ酸である場合、その
N末端の化学修飾方法としては、アセチル化、グアニジ
ル化、アミジン化、還元アルキル化、カルバミル化、ス
クシニル化、マレイル化、アセトアセチル化、ニトロト
ロポニル化、ジニトロフェニル化、トリニトロフェニル
化、ベンジルオキシカルボニル化、t−ブトキシカルボ
ニル化、9−フルオレニルメトキシカルボニル化をあげ
ることができ、好ましくはアセチル化をあげることがで
きる。
【0014】また、X2のC末端カルボキシル基の化学
修飾法としては、好ましくはアミド化、エステル化また
はアルコール化をあげることができ、特に好ましくはア
ミド化をあげることができる。
【0015】さらに、前記ペプチドは、水溶液に溶解し
た場合に様々な陽イオン、陰イオンおよび塩を形成する
が、いずれの形態のペプチドも本技術に含まれるもので
ある。
【0016】本発明腫瘍親和性ペプチドは、アプライド
バイオシステムズ社製ペプチド合成機により合成し、固
相ビーズに結合した状態から脱保護基とビーズ切り放し
を同時に行い、その後、逆相系カラムを用いた高速液体
クロマトグラフ法(HPLC)にて精製し、目的ペプチ
ドを得た。その他、Fmoc法などのペプチド固相合成
法でも常套的に合成可能である。
【0017】該ペプチドは、診断を目的に生理食塩水、
および水性緩衝液などに溶解し、放射性金属と反応させ
標識することが可能である。テクネチウム−99m、レ
ニウム−186またはレニウム−188の場合、該ペプ
チドに適当なレドックス電位を有する塩化第一スズのご
とき還元剤を加え、過テクネチウム酸ナトリウム溶液ま
たは過レニウム酸ナトリウム溶液と混合する常套の方法
により標識ペプチドの調製が可能である。銅−62また
はインジウム−111の場合は、該ペプチドと銅−62
イオンを含む中性の塩類溶液またはインジウム−111
イオンを含む弱酸性水溶性溶液を混合することで調製が
可能である。また、イットリウム−90の場合、該ペプ
チドとイットリウム−90イオンを含む弱酸性から弱ア
ルカリ性の水溶性溶液中で混合することで調製が可能で
ある。必要によりHPLCにより不純物および未反応の
過テクネチウム酸イオン、過レニウム酸イオン、銅−6
2イオン、インジウム−111イオンおよびイットリウ
ム−90イオンを除くことも可能である。
【0018】さらに、薬学的に受容されるアスコルビン
酸、p−アミノ安息香酸等の安定化剤、水溶性緩衝液等
のpH調製剤、D−マンニトール等の賦形剤、および放
射化学的純度を改良するのに役立つクエン酸、酒石酸、
マロン酸等の促進剤とともに用時調製用キットの形態で
も提供が可能である。
【0019】本発明の腫瘍親和性ペプチドを含有してな
る放射性金属標識診断剤は、ボーラス投与による静脈注
射などの一般的に用いられる非経口手段により投与で
き、その投与量は患者の体重、年令および適当な放射線
イメージング装置等の諸条件を考慮し、イメージングが
可能と考えられる放射能量が決定される。ヒトを対象と
する場合、通常は185MBq〜1110MBqの範囲
が好ましい。
【0020】また、本発明の腫瘍親和性ペプチドを含有
してなる放射性金属標識治療剤の場合は、ボーラス投与
による静脈注射などの一般的に用いられる非経口手段に
より投与でき、その投与量は、患者の体重、年令、性別
および治療部位等を考慮し、治療が可能と考えられる放
射能量が決定される。ヒトを対象とした場合、通常は、
レニウム−186およびレニウム−188の場合、37
MBq〜18500MBqの範囲であり、好ましくは3
70MBq〜7400MBqである。イットリウム−9
0の場合は、37MBq〜3700MBqの範囲であ
り、好ましくは37MBq〜1110MBqである。以
下に本技術を実施例を用い、更に具体的に説明する。な
お、D体のアミノ酸残基は、D-アミノ酸残基と記載し
た。
【0021】
【実施例】
(実施例1) KYCAREPPTRTFAYWGQGの合成 アプライドバイオシステムズ社製ペプチド合成機(モデ
ル431A)を用い、Fmoc法によりHMP(4-Hydr
oxy-Methyl-Phenoxy Methyl-Copolystyrene-1%Divinyl-
Benzene Resin )樹脂を用いてO.25mMスケールの
条件で合成を行った。ペプチドの切出しは、6.5%フ
ェノール、2.2%エタンジチオール(EDT)および
4.3%チオアニソールを含む82.6%トリフルオロ
酢酸(TFA)水中で1.0時間反応させて行った。精
製は、カラム:YMC−PackR&DD−ODS−5
−ST(20×150mm)、溶出速度:8ml/分、
溶出液A:0.1%TFA/精製水、溶出液B:0.1
%TFA/アセトニトリル、濃度勾配:0分(15%
B)→100分(50%B)→120分(75%B)の
条件の下、液体クロマトグラフ法(HPLC法)を用い
て行った。なお、HMP樹脂のかわりにプレロードレジ
ンを用いても同様に合成が可能であった。
【0022】さらに、ウォーターズ社製PICO・TA
G−TMワークステーションを用い、得られた主ピーク
に対するアミノ酸組成を求め、目的ペプチドであること
を確認した後、アミノ酸組成の一致したピークを凍結乾
燥し、KYCAREPPTRTFAYWGQG(以下、
ペプチド−1という。)の凍結乾燥品62.4mg(2
9.3μmol)を得た。以下に得られたペプチドのア
ミノ酸組成の分析値(分子当たりの個数)を示す。丸か
っこ内は、目的ペプチドのアミノ酸組成の理論値(分子
当たりの個数)を示す。
【0023】ペプチド−1=Glx:1.96(2)、
Gly:2.44(2)、Pro:2.21(2)、L
ys:0.93(1)、Arg:2.00(2)、Th
r:2.30(2)、Ala:1.87(2)、Ty
r:2.14(2)、Cys:0.35(1)、Ph
e:0.93(1)、Trp:−(1)。
【0024】ペプチド合成機の信頼性を確認するため、
アプライドバイオシステムズ社製ペプチド自動分析装置
を用い、得られたペプチドのアミノ酸配列を求めた。分
析の結果、N末端13番目のAまでの配列が目的配列と
一致した。以上のことから、本ペプチドが、KYCAR
EPPTRTFAYWGQGのアミノ酸配列を有するペ
プチドであることが確認された。
【0025】(実施例2) YCAREPPTRTNAYWG、YCAREPPTR
TNAYWGおよびYCAREPPTRTFAYWGQ
Gの合成 実施例1記載の方法に従い、YCAREPPTRTNA
YWG(以下、ペプチド−2という。)、YCAREP
PTRTFAYWG(以下、ペプチド−3という。)お
よびYCAREPPTRTFAYWGQG(以下、ペプ
チド−4という。)を合成し、アミノ酸組成を求めた
後、アミノ酸組成の一致したピークを凍結乾燥し、ペプ
チド−2の凍結乾燥品42mg(23.5μmol)、
ペプチド−3の凍結乾燥品40mg(22μmol)お
よびペプチド−4の凍結乾燥品25mg(12.5μm
ol)を得た。以下に得られたペプチドのアミノ酸組成
の分析値(分子当たりの個数)を示す。丸かっこ内は、
目的ペプチドのアミノ酸組成の理論値(分子当たりの個
数)を示す。
【0026】ペプチド−2=Asx:1.11(1)、
Glx:1.04(1)、Gly:1.09(1)、A
rg:2.0(2)、Thr:2.07(2)、Al
a:1.93(2)、Pro:1.88(2)、Ty
r:1.79(2)、Cys:0.80(1)、Tr
p:−(1)。
【0027】ペプチド−3=Glx:1.35(1)、
Gly:1.39(1)、Arg:2.0(2)、Th
r:2.48(2)、Ala:2.05(2)、Pr
o:2.11(2)、Tyr:1.79(2)、Cy
s:0.68(1)、Phe:1.22(1)、Tr
p:−(1)。
【0028】ペプチド−4=Glx:1.98(2)、
Gly:1.95(2)、Arg:2.30(2)、T
hr:1.84(2)、Ala:1.89(2)、Pr
o:2.30(2)、Tyr:1.89(2)、Cy
s:0.6(1)、Phe:0.96(1)、Trp:
−(1)。
【0029】(実施例3) D-KYCAREPPTRTFAYWGD-QG、D-KD-Y
D-CAREPPTRTFAYWGQG、KYCAD-RE
PPTRTFAYWGQG、KYCAREPPTD-RT
FAYWGQG、KYCAD-REPPTD-RTFAYW
GQG、KYCAD-REPPTD-RTFAYD-WGQ
G、KYCAREPPTD-RTNAYWGQG、KYC
AREPPTRD-TNAYWGQGおよびKYCARE
PPTRTNAD-YWGQGの合成 実施例1記載の方法に従い、D-KYCAREPPTRT
FAYWGD-QG(ペプチド−5という。)、D-KD-Y
D-CAREPPTRTFAYWGQG(ペプチド−6と
いう。)、KYCAD-REPPTRTFAYWGQG
(ペプチド−7という。)、KYCAREPPTD-RT
FAYWGQG(ペプチド−8という。)、KYCAD-
REPPTD-RTFAYWGQG(ペプチド−9とい
う。)、KYCAD-REPPTD-RTFAYD-WGQG
(ペプチド−10という。)、KYCAREPPTD-R
TNAYWGQG(ペプチド−11という。)、KYC
AREPPTRD-TNAYWGQG(ペプチド−12と
いう。)およびKYCAREPPTRTNAD-YVGQ
G(ペプチド−13という。)を合成し、アミノ酸組成
を求めた後、アミノ酸組成の一致したピークを凍結乾燥
し、ペプチド−5の凍結乾燥品47mg(22.1μm
ol)、 ペプチド−6の凍結乾燥品11mg(5.1
6μmol)、ペプチド−7の凍結乾燥品29mg(1
3.6μmol)、ペプチド−8の凍結乾燥品32mg
(15.0μmol)、ペプチド−9の凍結乾燥品74
mg(34.7μmol)、ペプチド−10の凍結乾燥
品67mg(31.4μmol)、ペプチド−11の凍
結乾燥品38.2mg(17.9μmol)、ペプチド
−12の凍結乾燥品37.7mg(17.7μmol)
およびペプチド−13の凍結乾燥品64.3mg(3
0.9μmol)得た。以下に得られたペプチドのアミ
ノ酸組成の分析値(分子当たりの個数)を示す。丸かっ
こ内は目的ペプチドのアミノ酸組成の理論値(分子当た
りの個数)を示す。
【0030】ペプチド−5=Glu:1.96(2)、
Gly:2.18(2)、Arg:1.93(2)、T
hr:1.95(2)、Ala:2.05(2)、Pr
o:2.11(2)、Tyr:1.79(2)、Cy
s:−(1)、Phe:1.07(1)、Lys:0.
96(1)、Trp:−(1)。
【0031】ペプチド−6=Glu:1.93(2)、
Gly:2.20(2)、Arg:2.02(2)、T
hr:1.88(2)、Ala:1.91(2)、Pr
o:2.13(2)、Tyr:1.89(2)、Cy
s:−(1)、Phe:1.09(1)、Lys:0.
96(1)、Trp:−(1)。
【0032】ペプチド−7=Glu:1.98(2)、
Gly:2.18(2)、Arg:1.84(2)、T
hr:2.01(2)、Ala:1.90(2)、Pr
o:2.15(2)、Tyr:1.91(2)、Cy
s:−(1)、Phe:1.04(1)、Lys:0.
99(1)、Trp:−(1)。
【0033】ペプチド−8=Glu:1.97(2)、
Gly:2.16(2)、Arg:1.95(2)、T
hr:1.98(2)、Ala:1.84(2)、Pr
o:2.03(2)、Tyr:2.06(2)、Cy
s:−(1)、Phe:1.01(1)、Lys:0.
99(1)、Trp:−(1)。
【0034】ペプチド−9=Glu:1.85(2)、
Gly:2.05(2)、Arg:1.93(2)、T
hr:2.09(2)、Ala:2.01(2)、Pr
o:2.01(2)、Tyr:1.92(2)、Cy
s:−(1)、Phe:1.04(1)、Lys:0.
99(1)、Trp:−(1)。
【0035】ペプチド−10=Glu:1.83
(2)、Gly:2.11(2)、Arg:1.94
(2)、Thr:2.06(2)、Ala:1.97
(2)、Pro:2.01(2)、Tyr:1.93
(2)、Cys:−(1)、Phe:1.04(1)、
Lys:1.00(1)、Trp:−(1)。
【0036】ペプチド−11=Asp:0.96
(1)、Glu:1.97(2)、Gly:2.18
(2)、Arg:1.98(2)、Thr:2.11
(2)、Ala:1.89(2)、Pro:2.00
(2)、Tyr:1.93(2)、Cys:−(1)、
Lys:1.00(1)、Trp:−(1)。
【0037】ペプチド−12=Asp:0.98
(1)、Glu:1.98(2)、Gly:2.16
(2)、Arg:1.98(2)、Thr:2.01
(2)、Ala:1.96(2)、Pro:2.00
(2)、Tyr:1.94(2)、Cys:−(1)、
Lys:0.99(1)、Trp:−(1)。
【0038】ペプチド−13=Asp:0.96
(1)、Glu:1.97(2)、Gly:2.18
(2)、Arg:2.00(2)、Thr:1.99
(2)、Ala:2.05(2)、Pro:2.04
(2)、Tyr:1.89(2)、Val:0.95
(1)、Cys:−(1)、Lys:0.97(1)。
【0039】(実施例4) C末端修飾(アミド化)ペプチドの合成 実施例1記載の方法において、HMP樹脂の替わりにミ
リジェンバイオリサーチ社製のPAL樹脂(Peptide Am
ide Linker)を用い、C末端がアミド化されたペプチド
−1を合成した。ペプチドの切出しは、6.5%フェノ
ール、2.2%EDTおよび4.3%チオアニソールを
含む82.6%TFA水中で1.5時間反応させて行っ
た。精製は、カラム:YMC−Pack ODS−SH
−343−5(20×250mm)、溶出速度:8ml
/分、溶出液A:0.1%TFA/精製水、溶出液B:
0.1%TFA/アセトニトリル、濃度勾配:0分(1
0%B)→10分(10%B)→50分(75%B)→
60分(90%B)の条件の下、液体クロマトグラフ法
(HPLC法)を用いて行い、アミノ酸組成を実施例1
記載の方法により行い、アミノ酸組成の一致したピーク
部分を凍結乾燥し、C末端アミド化ペプチド−1の凍結
乾燥品10mg(4.6μmol)を得た。
【0040】(実施例5) C末端修飾(アミド化)およびN末端修飾(アセチル
化)ペプチドの合成 実施例4記載の方法により、C末端がアミド化されたペ
プチド−1を合成した後、切出しを行う前に、N末端を
N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を活性
化剤として使用し、無水酢酸によりアセチル化を行っ
た。ペプチドの切出しは、実施例4記載の方法により行
った。また、アミノ酸組成の分析は、実施例1記載の方
法により行い、アミノ酸組成の一致したピーク部分を凍
結乾燥し、C末端アミド化およびN末端アセチル化ペプ
チド−1の凍結乾燥品10mg(4.5μmol)を得
た。
【0041】(実施例6) テクネチウム−99m標識合成ペプチドの調製 グルコヘプタネート40.3μmol/300μlに塩
化第一スズ溶液130nmol/50μlおよび過テク
ネチウム酸ナトリウム1049MBqを加え、全量を
1.3mlとした。攪拌した後、室温で30分間放置
後、セルロースアセテート膜電気泳導法にてグルコヘプ
タネートの標識純度が95%以上であることを確認し
た。その内の242MBq/300μlを実施例1で得
られたペプチド−1の0.46μmol/300μlに
加え、100°Cの湯浴中に20分間浸し、反応を完結
させ、目的のテクネチウム−99m−ペプチド−1を得
た。室温で放冷した後、HPLC法にて標識純度98.
3%を確認した。
【0042】(実施例7) ペプチド−1、ペプチド−2、ペプチド−3、ペプチド
−4のインビトロにおけるテクネチウム−99m標識率
の比較 実施例6で得られたテクネチウム−99m−ペプチド−
1および同様の方法により得たテクネチウム−99m−
ペプチド−2〜4を用い、それぞれ調製後1時間、3時
間、6時間放置した後、カラム:Millipore
puresil5μm C18(4.6×150m
m)、溶出速度:1ml/分、溶出液A:0.1%TF
A/精製水、溶出液B:0.1%TFA/アセトニトリ
ル、濃度勾配:0分(10%B)→5分(10%B)→
35分(50%B)→45分(75%B)の条件の下、
液体クロマトグラフ法(HPLC法)を用いて、テクネ
チウム−99m標識率の時間的変化を求めた。その結果
を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】その結果、ペプチド−2、ペプチド−3お
よびペプチド−4は、調製後3時間点で医薬品に用いる
場合の標識率の指標となる95%以下であるうえ、時間
経過に伴う分解が顕著であり、標識の不安定さが示され
た。これに比べ、本発明ペプチド−1の標識率は、標識
後1時間点で98%以上と高標識率を示し、さらに標識
後6時間点でも標識率96%以上であり、時間経過に伴
っても分解されず安定で、高標識率を維持することが確
認された。
【0045】(実施例8) テクネチウム−99m標識ペプチド−1、ペプチド−
2、ペプチド−3、ペプチド−4、ペプチド−5、ペプ
チド−6、ペプチド−7、ペプチド−8、ペプチド−
9、ペプチド−10、ペプチド−11、ペプチド−1
2、ペプチド−13およびKYCAREPPTRTNA
YWGQGの体内動態の比較 予めラボナール麻酔を施したSD系ラット(Sprag
ue−DawleyRats)140〜200gを用
い、実施例6で得られたテクネチウム−99m−ペプチ
ド−1、実施例7で得られたテクネチウム−99m−ペ
プチド−2、3および4、実施例6の方法に従い調製し
たテクネチウム−99m−ペプチド−5、6、7、8、
9、10、11、12、13およびKYCAREPPT
RTNAYWGQG(以下、ペプチド−14という。)
の35MBq〜45MBqを尾静脈内投与し、5分、3
0分、60分、180分後に屠殺し、各臓器の放射能分
布の割合をシングルチャンネルカウンターを用いて求め
た。その結果を表2〜表29に示した。
【0046】テクネチウム−99m−ペプチド−1は、
表2〜表3に示したように、投与後5分点で全放射能量
の20%、投与後60分点で全放射能量の80%の放射
能が尿中へ移行した。他の内臓器に顕著な集積はみられ
ず、放射能の蓄積は認められなかった。
【0047】テクネチウム−99m−ペプチド−2は、
表4〜表5に示したように、投与後5分点で全放射能量
の約3.0%、投与後60分で全放射能量の約33%の
放射能が尿中へ移行した。また、ほとんどの内臓器には
放射能の蓄積はみられなかったが、腎臓へ投与後5分で
約29%、投与後60分で約49%の放射能の集積が認
められた。
【0048】テクネチウム−99m−ペプチド−3は、
表6〜表7に示したように、投与後5分点で全放射能量
の約4.0%、投与後60分で全放射能量の約42%の
放射能が尿中へ移行した。また、腎臓へ投与全放射能量
の約18%が180分までほぼ一定に集積し、さらに肝
臓および小腸への放射能の移行も確認された。
【0049】テクネチウム−99m−ペプチド−4は、
表8〜表9に示したように、投与後5分点で全放射能量
の約2.0%、投与後60分で全放射能量の約28%の
放射能が尿中へ移行した。また、投与後5分で全放射能
量の約16%、60分後では全放射能量の約32%が腎
臓に集積した。さらに肝臓、小腸への放射能の移行が確
認され、ペプチド−2とペプチド−3の中間的な体内動
態を示すと考えられた。
【0050】テクネチウム−99m−ペプチド−14
は、表28〜29に示したように、投与後5分で全放射
能量の約13%、投与後60分で全放射能量の68%の
放射能が尿中へ移行した。また、腎臓においては、投与
後5分で全放射能量の約13%、60分後では8%と、
経時的に減少傾向がみられ、顕著な内蔵器への蓄積は認
められなかった。
【0051】以上よりテクネチウム−99m−ペプチド
−2〜4はいずれも内蔵器、特に腎臓に高い集積が認め
られ、体幹部を診断する際に好ましくない性質を有して
いるが、本発明のペプチドであるテクネチウム−99m
−ペプチド−1およびテクネチウム−99m−ペプチド
−14は、腎臓、肝臓等の内蔵器への集積も低く、さら
に投与放後速やかに尿中に排泄され、放射診断剤として
用いるのに好ましい体内動態を示した。
【0052】また、表10〜表21中、表14、表1
5、表18、表19、表20および表21にみられるよ
うに、5番目のアミノ酸残基のArgをD体化させたペ
プチド−7、9および10は、L体のペプチドに比べ、
肝臓および小腸の全放射能に対する割合が減少し、腎尿
路系への排泄経路の移行が促進された。この結果から、
バックグランドが低く、腹部イメージングに好適な放射
性診断剤として有用な、体内動態が示唆された。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
【表8】
【0060】
【表9】
【0061】
【表10】
【0062】
【表11】
【0063】
【表12】
【0064】
【表13】
【0065】
【表14】
【0066】
【表15】
【0067】
【表16】
【0068】
【表17】
【0069】
【表18】
【0070】
【表19】
【0071】
【表20】
【0072】
【表21】
【0073】
【表22】
【0074】
【表23】
【0075】
【表24】
【0076】
【表25】
【0077】
【表26】
【0078】
【表27】
【0079】
【表28】
【0080】
【表29】
【0081】(実施例9) テクネチウム−99m標識合成ペプチドのインビボ安定
性 実施例5で得られたテクネチウム−99m−ペプチド−
1をラットに投与後、1時間点で屠殺し、血液を採取し
た。また、実施例6で得られたテクネチウム−99m−
ペプチド−2においても同様の方法で採血した。得られ
たペプチド−1およびペプチド−2の血液は、各々40
00rpm/10分の条件の下、遠心分離し、血清と血
液に分離した。次いで血清を0.2μmのメンブランフ
ィルターで濾過後、HPLC分析を行い、投与前HPL
Cクロマトチャートのパターンと比較してペプチドのイ
ンビボ安定性を比較検討した。
【0082】その結果、テクネチウム−99m−ペプチ
ド−2は、投与前HPLCクロマトチャートのパターン
と比べて複数のピークが新たに現れ、血液中で他の物質
から影響を受けているものと考えられた。一方、本発明
ペプチドであるテクネチウム−99m−ペプチド−1
は、投与前のクロマトチャートのパターンでは、リテン
ションタイム16分に現れたピークが、血清中では、リ
テンションタイム12分にピークが現れ、投与前より約
4分早いものの、単一のピークであり、Tc−99m−
ペプチド−2のように複数のピークではなかった。従っ
て、Tc−99m−ペプチド−1は、単一の状態で血清
中に存在しており、テクネチウム−99m−ペプチド−
2よりも放射化学的に安定であることが示唆された。図
1および図2に両ペプチドのHPLCクロマトグラムを
表す図を示した。
【0083】(実施例10) テクネチウム−99m標識合成ペプチドの担癌ヌードマ
ウスのイメージング 実施例1、6記載の方法により得られたテクネチウム−
99m−ペプチド−14を調製した。以下に得られたテ
クネチウム−99m−ペプチド−14のアミノ酸組成の
分析値(分子当たりの個数)示す。丸かっこ内は、アミ
ノ酸組成の理論値(分子当たりの個数)を示す。
【0084】ペプチド−14=Asn:1.1(1)、
Glx:2.0(2)、Gly:2.1(2)、Ar
g:1.9(2)、Thr:2.0(2)、Ala:
1.9(2)、Pro:2.1(2)、Thr:2.0
(2)、Lys:0.9(1)、Cys:−(1)、T
rp:−(1)。
【0085】次いで、腫瘍細胞HEp2 (Human Epider
moid Carcinoma ; ATCC No.CCL 23)の5×106 Cel
lを1.0mlの培養液 (Minimum essential medium(E
agle's) with Eagle's BSS, 90% ; fetal bovine seru
m, 10%)に懸濁させ、その内の100μlをBALB/
C nu/nu マウス(6週齢)の体側部皮下注射
し、2週間後、腫瘍が0.3g前後に成長したことを確
認したマウスにラボナール麻酔を施し、上記で得られた
テクネチウム−99m−ペプチド−14および実施例7
で得られたテクネチウム−99m−ペプチド−2の15
MBq〜20MBqを尾静脈内投与し、5分および20
分後にガンマカメラにてイメージを撮像した。図3、図
4、図5および図6に両ペプチドの投与後5分点および
20分点における全身シンチグラムを示した。
【0086】その後、直に屠殺し各臓器の放射能分布を
NaIシングルチャンネルカウンターにて測定し、〔腫
瘍〕/〔筋肉〕比(〔T〕/〔M〕比)を求めた。投与
後、20分点のテクネチウム−99m−ペプチド−14
の〔T〕/〔M〕比は、4.50±0.71(n=
3)、テクネチウム−99m−ペプチド−2は、3.3
8±0.71(n=3)とテクネチウム−99m−ペプ
チド−14に比べ、1.0%強低い値を示し、腹部が強
く描出された。この結果から、本発明のアミノ酸残基L
ysをN末端に結合させたことで、体幹部のイメージが
良好になることが示され、放射性診断剤として有用であ
ることが示唆された。
【0087】(実施例11) テクネチウム−99m標識合成ペプチドのヒトにおける
インビトロ安定性 実施例8で得られたテクネチウム−99m−ペプチド−
8を10倍等量のヒト血漿 (ロックランド社製 : STERI
LE PLASMA EDTA含有) と混合し37℃でインキュベーシ
ョンを行った。また、実施例6で得られたテクネチウム
−99m−ペプチド−1においても同様の方法で混合し
た。
【0088】混合してから5分後、30分後に0.2μ
mのメンブランフィルターでろ過後、HPLC分析を行
った。混合前のペプチド−1のHPLCクロマトグラム
のパターンと比較し、インビトロ安定性を比較検討し
た。図7、図8、図9、図10図11、図12、図1
3、図14および図15にテクネチウム−99m−ペプ
チド−1およびテクネチウム−99m標識された各ペプ
チドとヒト血漿を混合後、4℃、5分点および30分
点、37℃、5分点および30分点におけるHPLCの
クロマトグラムを示した。
【0089】
【表30】
【0090】
【表31】
【0091】その結果、用いた全放射能に対する未確認
物質の割合は、テクネチウム−99m−ペプチド−1の
場合、混合後4℃、5分点で5.3%、30分点で40
%の新たなピークが確認された。これに対し、アミノ酸
配列10残基目のArgをD体化させたテクネチウム−
99m−ペプチド−8は、混合後4℃、5分点で0%、
30分点で3.2%であった。
【0092】また、血漿内の酵素の影響につき、両ペプ
チドの混合後、4℃および37℃の5分点における未確
認物質の割合による検討を行った。テクネチウム−99
m−ペプチド−1は、混合後4℃、5分点において5.
3%、混合後37℃、5分点において12.5%である
のに対し、テクネチウム−99m−ペプチド−8は、混
合後4℃、5分点において0%、混合後37℃、5分に
おいて0%であり、血漿内酵素の影響をほとんど受けな
いことが確認された。以上から、アミノ酸配列の一部を
適当なD体に変えることで、生体内安定性を増加させる
ことが可能であることが示唆された。
【0093】(実施例12) ペプチド−14の抗原親和性 従来ペプチドYCAREPPTRTNAYWGが結合す
るとされるムチンコアタンパク質のエピトープ(抗原部
位)VTSAPDTRPAPGSTをペプチド合成し、
さらに牛血清アルブミン(BSA)にコンジュゲートさ
せたものを人工抗原として用いてペプチド−14の抗原
親和性をラジオイムノアッセイ(RIA)で測定した。
以下に該方法につき、詳細を述べる。
【0094】50mmol炭酸ナトリウム緩衝液pH
9.5に10μg/mlの濃度で溶解した人工抗原溶液
をポリスチレンビーズ(直径6.35mm)が1入った
2mlチューブ毎に200μl分注し、4℃で一晩静置
した。その後、0.05%(V/V)Tween20
PBS(Phosphate buffer saline pH 7.5)の洗浄液で
チューブ内を3回洗浄した。ポリスチレンビーズ表面で
人工抗原が結合していない部分をブロックするため、1
%BSA−PBSを該チューブ毎に200μl分注し室
温で3時間静置させた後、洗浄液で該チューブ内を3回
洗浄した。
【0095】ペプチド−14を500、100、50、
10、5、1、0.5、0.1および0.05μg/m
lに1%プリオネクス(ペンタファーム社:アルブミン
代用剤)を含むPBSで段階希釈した。また、ペプチド
−3の配列をCDR部分に有する親抗体(マウス型モノ
クローナル抗体)を1%プリオネクスを含むPBSで1
5μg/mlに調製した。段階希釈したペプチドを含む
溶液を各濃度別に200μl上記チューブ内に分注し、
次いで先に調製した抗体液100μlを各濃度に加え、
室温で3時間静置させた。その後、洗浄液でチューブ内
を3回洗浄した。
【0096】ヨウ素−125で標識したヒツジ抗マウス
抗体(アマシャム社:3.7 MBq/ml)を1%BSA−PB
Sで100倍に希釈し、これを該チューブに200μl
分注し、37℃で2時間静置させた後、洗浄液でチュー
ブ内を3回洗浄し、オートウェルカウンターを用い、放
射能活性を測定した。この結果を表32、図16に示
す。また、これから得られたサチュレーションカーブお
よびスキャッチャードプロットを図17及び図18に示
す。以上からペプチド−14の抗原親和性はKa=2.
34×107 と表され、腫瘍抗原親和性が確認された。
【0097】
【表32】
【0098】
【発明の効果】本発明により、放射性金属による高い標
識率、さらに生体内でも容易に代謝されず正常組織、特
に腎臓および肝臓には集積しない、ヒトを含む哺乳動物
の乳癌、卵巣癌、大腸癌等の体幹部の病的組織を描出お
よび治療するのに有用な腫瘍親和性ペプチド、該ペプチ
ドと放射性金属からなる放射性金属標識ペプチドおよび
それらを含有してなる放射性診断剤および放射性治療剤
を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】テクネチウム−99m−ペプチド−1の投与後
のHPLCのクロマトグラムを示す図である。
【図2】テクネチウム−99m−ペプチド−2の投与後
のHPLCのクロマトグラムを示す図である。
【図3】担癌ヌードマウスを用いたテクネチウム−99
m−ペプチド−2の投与後、5分点における全身シンチ
グラムを示す写真である。(生物の形態)。
【図4】担癌ヌードマウスを用いたテクネチウム−99
m−ペプチド−2の投与後、20分点における全身シン
チグラムを示す写真である。(生物の形態)。
【図5】担癌ヌードマウスを用いたテクネチウム−99
m−ペプチド−14の投与後、5分点における全身シン
チグラムを示す写真である。(生物の形態)。
【図6】担癌ヌードマウスを用いたテクネチウム−99
m−ペプチド−14の投与後、20分点における全身シ
ンチグラムを示す写真である。(生物の形態)。
【図7】テクネチウム−99m−ペプチド−1のHPL
Cのクロマトグラムを示す図である。
【図8】テクネチウム−99m−ペプチド−1とヒト血
漿の混合物(4℃、5分点)におけるHPLCのクロマ
トグラムを示す図である。
【図9】テクネチウム−99m−ペプチド−1とヒト血
漿の混合物(4℃、30分点)におけるHPLCのクロ
マトグラムを示す図である。
【図10】テクネチウム−99m−ペプチド−1とヒト
血漿の混合物(37℃、5分点)におけるHPLCのク
ロマトグラムを示す図である。
【図11】テクネチウム−99m−ペプチド−1とヒト
血漿の混合物(37℃、30分点)におけるHPLCの
クロマトグラムを示す図である。
【図12】テクネチウム−99m−ペプチド−8とヒト
血漿の混合物(4℃、5分点)におけるHPLCのクロ
マトグラムを示す図である。
【図13】テクネチウム−99m−ペプチド−8とヒト
血漿の混合物(4℃、30分点)におけるHPLCのク
ロマトグラムを示す図である。
【図14】テクネチウム−99m−ペプチド−8とヒト
血漿の混合物(37℃、5分点)におけるHPLCのク
ロマトグラムを示す図である。
【図15】テクネチウム−99m−ペプチド−8とヒト
血漿の混合物(37℃、30分点)におけるHPLCク
ロマトグラムを示す図である。
【図16】ペプチド−14を用いたペプチド濃度変化に
伴う放射能比変化を示す図である
【図17】ペプチド−14を用いたサチュレーションカ
ーブを示す図である。
【図18】ペプチド−14を用いたスキャッチャードプ
ロットを示す図である。 整理番号 9505
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【表28】
【表29】
【表30】
【表31】
【表32】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A61K 39/395 T C07M 5:00 A61K 49/02 C (72)発明者 鷲野 弘明 千葉県袖ケ浦市北袖3番地1 日本メジフ ィジックス株式会社中央研究所内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アミノ酸1文字表示法でX1−YCARE
    PPT−X2のアミノ酸配列からなるアミノ酸残基数2
    0以下の腫瘍親和性ペプチドまたはその塩。但し、X1
    は1〜3個のアミノ基を有する塩基性有機化合物、アミ
    ノ酸配列YCARは、アミノ酸残基A、C、RおよびY
    のL体および/またはD体からなり、X2は任意のアミ
    ノ酸配列である。
  2. 【請求項2】X1は、炭素数1〜7の飽和アルキル鎖、
    不飽和アルキル鎖または−OHおよび/または−COO
    Hもしくは−NH−C(NH)NH2 の基で置換されて
    いる飽和アルキル鎖で、任意の位置の水素原子1〜3個
    がアミノ基に置換された請求項1記載の腫瘍親和性ペプ
    チドまたはその塩。
  3. 【請求項3】アミノ酸1文字表示法でX1がL体または
    D体のKまたはRである請求項1または2記載の腫瘍親
    和性ペプチドまたはその塩。
  4. 【請求項4】アミノ酸1文字表示法でX1がL体または
    D体であるK、X2がL体および/またはD体のアミノ
    酸残基R、T、N、A、Y、WおよびGからなるアミノ
    酸配列RTNAYWGである請求項1、2または3記載
    の腫瘍親和性ペプチドまたはその塩。
  5. 【請求項5】アミノ酸1文字表示法でX1がL体または
    D体であるK、X2がL体および/またはD体のアミノ
    酸残基R、T、N、A、Y、W、GおよびQからなるア
    ミノ酸配列RTNAYWGQGである請求項1、2また
    は3記載の腫瘍親和性ペプチドまたはその塩。
  6. 【請求項6】N末端がアセチル化、グアニジル化、アミ
    ジン化、還元アルキル化、カルバミル化、スクシニル
    化、マレイル化、アセトアセチル化、ニトロトロポニル
    化、ジニトロフェニル化、トリニトロフェニル化、ベン
    ジルオキシカルボニル化、t−ブトキシカルビニル化お
    よび9−フルオレニルメトキシカルボニル化の群から選
    択される化学修飾が施された請求項1、2、3、4また
    は5の腫瘍親和性ペプチドまたはその塩。
  7. 【請求項7】N末端がアセチル化された請求項6記載の
    腫瘍親和性ペプチドまたはその塩。
  8. 【請求項8】C末端がアミド化またはエステル化のいず
    れかの化学修飾が施された請求項1、2、3、4または
    5の腫瘍親和性ペプチドまたはその塩。
  9. 【請求項9】N末端が、アセチル化、グアニジル化、ア
    ミジン化、還元アルキル化、カルバミル化、スクシニル
    化、マレイル化、アセトアセチル化、ニトロトロポニル
    化、ジニトロフェニル化、トリニトロフェニル化、ベン
    ジルオキシカルボニル化、t−ブトキシカルビニル化お
    よび9−フルオレニルメトキシカルボニル化の群から選
    択される化学修飾、およびC末端にアミド化またはエス
    テル化のいずれかの化学修飾が施された請求項1、2、
    3、4または5記載の腫瘍親和性ペプチドまたはその
    塩。
  10. 【請求項10】N末端がアセチル化、C末端がアミド化
    またはエステル化された請求項9記載の腫瘍親和性ペプ
    チド。
  11. 【請求項11】請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9または10記載の腫瘍親和性ペプチドまたはその
    塩と放射性金属からなる放射性金属標識ペプチド。
  12. 【請求項12】請求項11記載の放射性金属標識ペプチ
    ドを含有してなる放射性診断剤。
  13. 【請求項13】放射性金属がテクネチウム−99mであ
    る請求項12記載の放射性診断剤。
  14. 【請求項14】放射性金属がレニウム−186またはレ
    ニウム−188である請求項12記載の放射性診断剤。
  15. 【請求項15】放射性金属が銅−62である請求項12
    記載の放射性診断剤。
  16. 【請求項16】放射性金属がインジウム−111である
    請求項12記載の放射性診断剤。
  17. 【請求項17】請求項11記載の放射性金属標識ペプチ
    ドを含有してなる放射性治療剤。
  18. 【請求項18】放射性金属がレニウム−186またはレ
    ニウム−188である請求項17記載の放射性治療剤。
  19. 【請求項19】放射性金属がイットリウム−90である
    請求項17記載の放射性治療剤。
JP7158747A 1994-06-07 1995-06-01 腫瘍親和性ペプチド、該ペプチドを含有してなる放射性診断剤および放射性治療剤 Pending JPH0853494A (ja)

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