本出願は、個体における免疫チェックポイントリガンドの検出のためのイメージング剤および方法を提供する。本明細書に記載のイメージング剤は、放射性核種で標識された抗体部分であって、PD−L1またはPD−L1様リガンドなどの免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合する抗体部分を含む。抗体部分(例えば、Fab、scFv、またはFcに融合したscFv)は、小さいサイズ、ならびに血液および正常な臓器からの迅速なクリアランスを特徴とする。一部の実施形態では、抗体部分は、増強された熱安定性を有するように操作される。寿命の短い放射性核種で標識されたそのような抗体部分を含むイメージング剤は、免疫チェックポイントリガンドを発現する罹病組織に対する有効な標的化および透過を可能にする。免疫チェックポイントリガンドの分布および発現レベルを、イメージング剤を投与した個体のin vivoライブイメージングにより決定することができる。本発明より前は、バイオマーカーとしてのPD−L1および他の免疫チェックポイントリガンドに基づく正確な診断は、依然としてがん免疫療法の分野での課題である。
したがって、本出願の一態様は、個体における免疫チェックポイントリガンド(例えば、PD−L1またはPD−L1様リガンド)の分布を決定する方法であって、(a)放射性核種で標識された抗体部分を含み、抗体部分が免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合する、イメージング剤を個体に投与するステップ、および(b)非侵襲的イメージング技術を用いて個体においてイメージング剤をイメージングするステップを含む方法を提供する。
本出願の別の態様は、放射性核種で標識された抗体部分を含むイメージング剤であって、抗体部分が免疫チェックポイントリガンド(例えば、PD−L1またはPD−L1様リガンド)に特異的に結合する、イメージング剤を提供する。
本提示の別の態様は、配列番号1のHC−CDR1とHC−CDR2とHC−CDR3とを含むVH;および配列番号3のLC−CDR1とLC−CDR2とLC−CDR3とを含むVLを含む抗PD−L1抗体剤を提供する。
本明細書に記載のイメージング剤および抗PD−L1抗体剤を含むキットおよび製造物品、それらの製造方法、および疾患または状態(例えば、がん、感染性疾患、自己免疫疾患または代謝疾患)を有する個体を診断または処置する方法も、提供される。
I.定義
本明細書で使用される場合、「免疫系チェックポイント」または「免疫チェックポイント」は、免疫系における阻害経路であって、一般に、自己寛容を維持するように作用する、または二次的組織損傷を最小にするように生理的免疫応答の期間および大きさをモジュレートする、経路を指す。刺激性チェックポイント分子は、免疫系を刺激するまたは正に調節する、タンパク質などの分子である。阻害性チェックポイント分子は、免疫系を阻害するまたは負に調節する、タンパク質などの分子である。免疫系チェックポイント分子としては、細胞障害性Tリンパ球抗原4(CTLA−4)、プログラム細胞死1タンパク質(PD−1)、PD−L1、PD−L2、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)、B7−1、B7−H3、B7−H4、T細胞膜タンパク質3(TIM3)、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、T細胞活性化のVドメイン免疫グロブリン(Ig)含有サプレッサー(VISTA)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、ならびにA2Aアデノシン受容体(A2aR)が挙げられるが、これらに限定されない。
「免疫チェックポイント受容体」は、T細胞などの免疫細胞上に発現される免疫チェックポイント分子である。
本明細書で使用される場合、用語「免疫チェックポイントリガンド」は、免疫チェックポイント受容体により特異的に認識される、天然に存在するまたは天然に存在しないリガンドを指す。天然に存在する免疫チェックポイントリガンドは、罹病組織、例えば、腫瘍細胞、感染細胞または炎症組織により発現され得る、免疫チェックポイント分子であり、免疫チェックポイントリガンドを特異的に認識する免疫チェックポイント受容体を発現する免疫細胞を調節することができる。天然に存在しない免疫チェックポイントリガンドは、免疫チェックポイント受容体の治療用阻害剤、リガンドおよび抗体などの、合成および組換え分子を含む。天然に存在しない免疫チェックポイントリガンドを、個体に、例えば個体への投与により、導入することができる。免疫チェックポイントリガンドは、経路内の刺激性チェックポイント受容体の活性を刺激することまたは阻害性チェックポイント受容体の活性を阻害することにより、免疫チェックポイントを阻害することができる。例示的な天然に存在する免疫チェックポイントリガンドとしては、PD−L1、PD−L2、B7−H3(CD276としても公知)、ガレクチン−9、CD80、CD86およびICOSLが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1である。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1様リガンドである。「PD−L1様リガンド」は、PD−1の天然に存在するまたは天然に存在しないリガンドを指す。
用語「抗体」は、その最も広い意味で使用され、これらに限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)、全長抗体および所望の抗原結合活性を示すことを条件にその抗原結合性断片を含む、様々な抗体構造を包含する。用語「抗体部分」は、全長抗体またはその抗原結合性断片を指す。
全長抗体は、2本の重鎖および2本の軽鎖を含む。軽鎖および重鎖の可変領域は、抗原結合を担う。重鎖および軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、「VH」および「VL」と呼ばれることがある。両方の鎖内の可変領域は、相補性決定領域(CDR)(LC−CDR1、LC−CDR2およびLC−CDR3を含む軽鎖(LC)CDR、ならびにHC−CDR1、HC−CDR2およびHC−CDR3を含む重鎖(HC)CDR)と呼ばれる3つの高可変性ループを一般に含有する。本明細書で開示される抗体および抗原結合性断片のCDR境界は、Kabat、ChothiaまたはAl−Lazikaniの規定(Al−Lazikani 1997; Chothia 1985; Chothia 1987; Chothia 1989; Kabat 1987; Kabat 1991)により定義または特定され得る。重鎖または軽鎖の3つのCDRは、これらのCDRより高度に保存され、超可変ループを支持するための足場を形成する、フレームワーク領域(FR)として公知の隣接するストレッチの間に介在する。重鎖および軽鎖の定常領域は、抗原結合に関与せず、様々なエフェクター機能を示す。抗体は、それらの重鎖の定常領域のアミノ酸配列に基づくクラスに割り当てられる。抗体の5つの主要クラスまたはアイソタイプは、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMであり、これらは、それぞれ、α、δ、ε、γおよびμ重鎖の存在を特徴とする。主要抗体クラスのうちのいくつかは、IgG1(γ1重鎖)、IgG2(γ2重鎖)、IgG3(γ3重鎖)、IgG4(γ4重鎖)、IgA1(α1重鎖)またはIgA2(α2重鎖)などの、サブクラスに分けられる。
本明細書で使用される場合の用語「抗原結合性断片」は、例えば、ダイアボディ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、二特異性dsFv(dsFv−dsFv’)、ジスルフィド安定化ダイアボディ(dsダイアボディ)、一本鎖Fv(scFv)、scFv二量体(二価ダイアボディ)、1つもしくは複数のCDRを含む抗体の部分から形成された多特異性抗体、ラクダ化単一ドメイン抗体、ナノボディ、ドメイン抗体、二価ドメイン抗体、または抗原に結合するが完全抗体構造を含まない任意の他の抗体断片を含む、抗体断片を指す。抗原結合性断片は、親抗体または親抗体断片(例えば、親scFv)が結合するのと同じ抗原に結合することができる。一部の実施形態では、抗原結合性断片は、1つまたは複数の異なるヒト抗体からのフレームワーク領域にグラフトされた特定のヒト抗体からの1つまたは複数のCDRを含み得る。
「Fv」は、完全抗原認識および完全抗原結合部位を含有する最小抗体断片である。この断片は、1つの重鎖可変領域ドメインと1つの軽鎖可変領域ドメインが密接に非共有結合的に会合している二量体からなる。これら2つのドメインのフォールディングから、6つの超可変ループ(重鎖および軽鎖から各々3つのループ)が生じ、これらが、抗原結合のためのアミノ酸残基を提供し、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)であっても、結合部位全体よりは低い親和性でだが、抗原を認識するおよび抗原に結合する能力がある。
「sFv」または「scFv」と略記されもする「一本鎖Fv」は、接続されて単一ポリペプチド鎖になっているVHおよびVL抗体ドメインを含む抗体断片である。一部の実施形態では、scFvポリペプチドは、scFvが抗原結合に望ましい構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーをVHドメインとVLドメインとの間にさらに含む。scFvの概説については、Plueckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer−Verlag, New York, pp. 269−315 (1994)を参照されたい。
用語「ダイアボディ」は、Vドメインの鎖内でなく鎖間対合が達成され、その結果、二価断片、すなわち、2つの抗原結合部位を有する断片となるように、VHドメインとVLドメインとの間に短いリンカー(例えば、約5〜約10残基)を通常は有するscFv断片(前の段落を参照されたい)を構築することにより調製される、小さい抗体断片を指す。二特異性ダイアボディは、2つの抗体のVHおよびVLドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する、2つの「交差」scFv断片のヘテロ二量体である。ダイアボディは、例えば、EP404,097、WO93/11161、およびHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444−6448 (1993)に、より詳しく記載されている。
本明細書で使用される場合、用語「CDR」または「相補性決定領域」は、重鎖ポリペプチドと軽鎖ポリペプチド両方の可変領域内に見られる不連続な抗原結合部位を意味するように意図される。これらの特定の領域は、Kabat et al., J. Biol. Chem.252:6609−6616 (1977);Kabat et al., U.S. Dept. of Health and Human Services, ”Sequences of proteins of immunological interest” (1991);Chothia et al., J. Mol. Biol. 196:901−917 (1987);Al−Lazikani B. et al., J. Mol. Biol., 273: 927−948 (1997);MacCallum et al., J. Mol. Biol. 262:732−745 (1996);Abhinandan and Martin, Mol. Immunol., 45: 3832−3839 (2008);Lefranc M.P. et al., Dev. Comp. Immunol., 27: 55−77 (2003);およびHonegger and Plueckthun, J. Mol. Biol., 309:657−670 (2001)により記載されており、これらにおける定義は、互いに比較したときのアミノ酸残基の重複またはサブセットを含む。それでもやはり、抗体またはグラフト抗体またはそのバリアントのCDRに言及するためのいずれかの定義の適用は、本明細書で定義され使用されるこの用語の範囲内であることが意図される。上に引用された参考文献の各々により定義されているようなCDRを包含するアミノ酸残基は、下の表1に比較として示されている。CDR予測アルゴリズムおよびインターフェースは、例えば、Abhinandan and Martin, Mol. Immunol., 45: 3832−3839 (2008);Ehrenmann F. et al., Nucleic Acids Res., 38: D301−D307 (2010);およびAdolf−Bryfogle J. et al., Nucleic Acids Res., 43: D432−D438 (2015)を含めて、当技術分野において公知である。この段落に引用された参考文献の内容は、それら全体が、本発明での使用のために、および本願の1つまたは複数の請求項に含まれることが可能になるために、参照により本明細書に組み込まれる。
表1: CDR定義
1残基番号付けは、Kabat et al.(上掲)の命名法に従う
2残基番号付けは、Chothia et al.(上掲)の命名法に従う
3残基番号付けは、MacCallum et al.(上掲)の命名法に従う
4残基番号付けは、Lefranc et al.(上掲)の命名法に従う
5残基番号付けは、Honegger および Plueckthun(上掲)の命名法に従う
「Kabatにおけるような可変ドメイン残基番号付け」または「Kabatにおけるようなアミノ酸位置番号付け」という表現、およびこれらの変形形態は、Kabat et al.(上掲)における抗体の編成の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに使用された番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを使用すると、実際の線状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRもしくはHVRの短縮または可変ドメインのFRもしくはHVRへの挿入に対応する、より少ないまたは追加のアミノ酸を含有し得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一アミノ酸インサート(Kabatによれば残基52a)、および重鎖FR残基82の後に挿入残基(例えば、Kabatによれば残基82a、82bおよび82cなど)を含み得る。残基のKabat番号付けは、所与の抗体について「標準」Kabat番号付け配列とその抗体の配列の相同の領域でのアラインメントにより決定され得る。
本明細書で別段の指示がない限り、免疫グロブリン重鎖の残基の番号付けは、Kabat et al.(上掲)におけるようなEUインデックスの番号付けである。「KabatにおけるようなEUインデックス」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書で定義のCDR残基以外の可変ドメイン残基である。
用語「キメラ抗体」は、重鎖および/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来するまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同であるが、鎖の残部が、別の種に由来するまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同である抗体を指し、そのような抗体の断片が本発明の生物的活性を示すのであれば、それらも指す(米国特許第4,816,567号;およびMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851−6855 (1984)を参照されたい)。
抗体または抗体部分に関して用語「半合成」は、抗体または抗体部分が、1つまたは複数の天然に存在する配列、および1つまたは複数の天然に存在しない(すなわち合成)配列を有することを意味する。
非ヒト(例えば、齧歯類)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト抗体に由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域(HVR)からの残基が、所望の抗体特異性、親和性および能力を有するマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域からの残基により置換されている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。一部の事例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基により置換されている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見られない残基を含むことがある。これらの改変は、抗体の性能をさらに洗練するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、超可変ループの全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つの、通常は2つの、可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、通常はヒト免疫グロブリンの少なくとも一部分も、含む。さらなる詳細については、Jones et al., Nature 321:522−525 (1986);Riechmann et al., Nature 332:323−329 (1988);およびPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593−596 (1992)を参照されたい。
「ヒト抗体」は、ヒトにより産生される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する、および/または本明細書で開示のヒト抗体を作製する技術のいずれかを使用して作製された、抗体である。ヒト抗体のこの定義は、具体的には、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーを含む、当技術分野で公知の様々な技術を使用して、産生することができる。Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991);Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581 (1991)。ヒトモノクローナル抗体の調製には、Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985);Boerner et al., J. Immunol., 147(1):86−95 (1991)に記載されている方法も利用可能である。van Dijk and van de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol., 5: 368−74 (2001)も参照されたい。ヒト抗体は、内在性遺伝子座が無能にされているが抗原チャレンジに応答してそのような抗体を産生するように改変されているトランスジェニック動物、例えば、免疫ゼノマウス(例えば、XENOMOUSE(商標)技術に関する米国特許第6,075,181号および同第6,150,584号を参照されたい)に抗原を投与することにより調製することができる。例えば、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術によって生成されるヒト抗体に関する、Li et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:3557−3562 (2006)も参照されたい。
本明細書で同定されるポリペプチドおよび抗体配列に関して「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」または「相同性」は、配列同一性の一部として任意の保存的置換を考慮して配列をアラインメントした後の、比較されるポリペプチド中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージと定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、当技術分野における技能の範囲内である様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGN、Megalign(DNASTAR)またはMUSCLEソフトウェアなどの、公開されているコンピュータソフトウェアを使用して、達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメーターを決定することができる。しかし、本明細書では、アミノ酸同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムMUSCLE(Edgar, R.C., Nucleic Acids Research 32(5):1792−1797, 2004; Edgar, R.C., BMC Bioinformatics 5(1):113, 2004)を使用して生成される。
「相同(の)」は、2つのポリペプチド間または2つの核酸分子間の配列類似性または配列同一性を指す。2つの比較される配列の両方における位置が、同じ塩基またはアミノ酸モノマーサブユニットにより占有されているとき、例えば、2つのDNA分子の各々における位置がアデニンにより占有されている場合には、それらの分子は、その位置で相同である。2配列間の相同性パーセントは、2つの配列により共有されるマッチするまたは相同な位置の数の関数であって、その数を比較される位置の数で除算し100を掛けたものである。例えば、2つの配列中の位置の10カ所のうちの6カ所がマッチしているまたは相同である場合には、2つの配列は60%相同である。例として、DNA配列ATTGCCおよびTATGGCは、50%相同性を共有する。一般に、比較は、最大の相同性が得られるように2つの配列がアラインメントされたときに行われる。
用語「定常ドメイン」は、抗原結合部位を含有する免疫グロブリンの他の部分、可変ドメイン、と比較してより多くの保存アミノ酸配列を有する、免疫グロブリン分子の部分を指す。定常ドメインは、重鎖のCH1、CH2およびCH3ドメイン(まとめて、CH)と、軽鎖のCHL(またはCL)ドメインとを含有する。
任意の哺乳動物種から抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」を、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(「κ」)およびラムダ(「λ」)と呼ばれる2つの明確に異なるタイプの一方に割り当てることができる。
ヒトIgG Fc領域の「CH1ドメイン」(「H1」ドメインの「C1」とも呼ばれる)は、通常、アミノ酸約118からアミノ酸約215(EU番号付けシステム)にわたる。
「ヒンジ領域」は、一般に、ヒトIgG1のGlu216からPro230までのストレッチ領域と定義される(Burton, Molec. Immunol. 22:161−206 (1985))。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、最初と最後のシステイン残基を配置して同位置に重鎖間S−S結合を形成することによりIgG1配列とアラインメントすることができる。
ヒトIgG Fc領域の「CH2ドメイン」(「H2」ドメインの「C2」とも呼ばれる)は、通常、アミノ酸約231からアミノ酸約340にわたる。CH2ドメインは、別のドメインと密接に対合しない点で独特である。もっと正確に言えば、2つのN連結分岐炭水化物鎖が、無傷のネイティブIgG分子の2つのCH2ドメイン間に介在する。炭水化物がドメイン間対合の代替を提供してCH2ドメインの安定化を支援することができると推測されている。Burton, Molec Immunol. 22:161−206 (1985)。
「CH3ドメイン」(「C2」または「H3」ドメインとも呼ばれる)は、Fc領域におけるCH2ドメインのC末端側の(すなわち、アミノ酸残基約341から、抗体配列の、通常はIgGのアミノ酸残基446または447にある、C末端までの)残基のストレッチを含む。
本明細書での用語「Fc領域」または「結晶性断片領域」は、ネイティブ配列Fc領域およびバリアントFc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は様々であるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226位のアミノ酸残基から、またはPro230から、そのカルボキシル末端に広がるように通常は定義される。Fc領域のC末端リシン(EU番号付けシステムによれば残基447)を、例えば、抗体の産生もしくは精製中に、または抗体の重鎖をコードする核酸を組換え操作することにより、除去することができる。したがって、無傷抗体の組成物は、全てのK447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、およびK447残基がある抗体とない抗体の混合物を有する抗体集団を含み得る。本明細書に記載の抗体での使用に好適なネイティブ配列Fc領域は、ヒトIgG1、IgG2(IgG2A、IgG2B)、IgG3およびIgG4を含む。
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載する。好ましいFcRは、ネイティブ配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体に結合するもの(ガンマ受容体)であり、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、これらの受容体は、これらの受容体の対立遺伝子バリアントおよび選択的スプライシングを受けた形態を含み、FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害受容体」)を含み、これらは、それらの細胞質側ドメインが主として異なる類似したアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質側ドメインに免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含有する。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質側ドメインに免疫受容体チロシン阻害モチーフ(ITIM)を含有する(M. Daeoron, Annu. Rev. Immunol. 15:203−234 (1997)を参照されたい。FcRは、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol.9: 457−92 (1991);Capel et al., Immunomethods 4: 25−34 (1994);およびde Haas et al., J. Lab. Clin. Med. 126: 330−41 (1995)において概説されている。将来同定されるものを含む他のFcRは、本明細書における用語「FcR」に包含される。
本明細書で使用される場合の用語「エピトープ」は、抗体または抗体部分が結合する抗原上の原子またはアミノ酸の特定の群を指す。2つの抗体または抗体部分は、それらが抗原に対する競合的結合を示す場合、抗原内の同じエピトープに結合し得る。
本明細書で使用される場合、第1の抗体部分と第2の抗体部分は、第1の抗体部分が、等モル濃度の第1の抗体部分の存在下で第2の抗体部分の標的抗原結合を少なくとも約50%(例えば、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)阻害する場合、または逆に、第2の抗体部分が、等モル濃度の第2の抗体部分の存在下で第1の抗体部分の標的抗原結合を少なくとも約50%(例えば、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)阻害する場合、標的抗原への結合について「競合する」。抗体のそれらの交差競合に基づく「ビニング」のためのハイスループットプロセスは、PCT公開番号WO03/48731に記載されている。
本明細書で使用される場合、用語「特異的に結合する」、「特異的に認識する」、および「に特異的である」は、生体分子をはじめとする分子の不均一集団の存在下で標的の存在の決定因となる、標的と抗体または抗体部分との間の結合などの、測定可能な再現性のある相互作用を指す。例えば、標的(エピトープであり得る)を特異的に認識する抗体または抗体部分は、この標的に、他の標的へのその結合よりも大きい親和性、アビディティで、より容易に、および/またはより長い期間、結合する、抗体または抗体部分である。一部の実施形態では、無関係の標的への抗体の結合度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)により、測定して、標的への抗体の結合の約10%未満である。一部の実施形態では、標的に特異的に結合する抗体は、≦10−5M、≦10−6M、≦10−7M、≦10−8M、≦10−9M、≦10−10M、≦10−11M、または≦10−12Mの解離定数(KD)を有する。一部の実施形態では、抗体は、異なる種からのタンパク質間で保存されるタンパク質上のエピトープに特異的に結合する。一部の実施形態では、特異的結合は、排他的結合を含み得るが、排他的結合を要求するわけではない。抗体または抗原結合ドメインの結合特異性を当技術分野において公知の方法によって実験により決定することができる。そのような方法は、ウェスタンブロット、ELISA試験、RIA試験、ECL試験、IRMA試験、EIA試験、BIACORE(商標)試験およびペプチドスキャンを含むが、これらに限定されない。
「単離された」抗体(または構築物)は、その産生環境(例えば、天然または組換え)の成分から同定、分離および/または回収されたものである。好ましくは、単離されたポリペプチドには、その産生環境からの他のあらゆる成分が付随していない。
本明細書に記載の構築物、抗体またはその抗原結合性断片をコードする「単離された」核酸分子は、それが産生された環境に本来付随する少なくとも1つの夾雑核酸分子から同定および分離されている核酸分子である。好ましくは、単離された核酸には、産生環境に関連するあらゆる成分が付随していない。本明細書に記載のポリペプチドおよび抗体をコードする単離された核酸分子は、それが自然界で見出される形態または設定のもの以外の形態のものである。したがって、単離された核酸分子は、細胞内に天然に存在する本明細書に記載のポリペプチドおよび抗体をコードする核酸と区別される。単離された核酸は、細胞に含有されている核酸分子であって、その細胞に元々含有されている核酸分子を含むが、この核酸分子は、染色体外に存在するか、またはその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
用語「制御配列」は、特定の宿主生物における作動可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。例えば、原核生物に好適である制御配列は、プロモーター、必要に応じてオペレーター配列、およびリボソーム結合部位を含む。真核細胞がプロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーを利用することは公知である。
核酸は、別の核酸配列と機能的関係に置かれているとき、「作動可能に連結されている」。例えば、プレ配列または分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質としてそれが発現される場合、ポリペプチドのDNAに作動可能に連結されており、プロモーターもしくはエンハンサーは、それがコード配列の転写に影響を与える場合、コード配列に作動可能に連結されており、またはリボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように配置されている場合、コード配列に作動可能に連結されている。一般に、「作動可能に連結された/されている(operably linked)」は、連結されているDNA配列が隣接していること、分泌リーダーの場合は、隣接しており、かつリーディングフェーズにあることを意味する。しかし、エンハンサーが隣接している必要はない。連結は、都合のよい制限部位でのライゲーションにより果たされる。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが従来の慣例に従って使用される。
本明細書で使用される場合の用語「ベクター」は、核酸分子であって、その核酸分子が連結されている別の核酸を増殖させることができる核酸分子である。この用語は、自己複製核酸構造物としてのベクター、および導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれるベクターを含む。ある特定のベクターは、それらのベクターが動作可能に連結されている核酸の発現を指令することができる。そのようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と呼ばれる。
本明細書で使用される場合の用語「トランスフェクトされた/される(transfected)」または「形質転換された/される(transformed)」または「形質導入された/される(transduced)」は、外来性核酸が宿主細胞に移入または導入されるプロセスを指す。「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」細胞は、外来性核酸でトランスフェクトされた細胞、外来性核酸で形質転換された細胞、または外来性核酸で形質導入された細胞である。細胞は、初代対象細胞およびその子孫を含む。
用語「宿主細胞」、「宿主細胞系」および「宿主細胞培養物」は、同義的に使用され、外来性核酸が導入された細胞を、そのような細胞の子孫を含めて、含む。宿主細胞は、「形質転換体」および「形質転換細胞」を含み、これらには、初代形質転換細胞、および継代数を問わずそれらに由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸含有量の点で親細胞と完全に同一でないことがあり、変異を含有することもある。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングまたは選択されたのと同じ機能または生物的活性を有する変異体子孫が、本明細書に含まれる。
本明細書で使用される場合、「処置」または「処置すること」は、臨床結果を含む、有益なまたは所望の結果を得るための手法である。本発明の目的に関して、有益なまたは所望の臨床結果は、次のうちの1つまたは複数を含むが、これらに限定されない:疾患の結果として生じる1つもしくは複数の症状を緩和すること、疾患の程度を低下させること、疾患を安定化すること(例えば、疾患の悪化を予防することもしくは遅延させること)、疾患の拡大(例えば、転移)を予防もしくは遅延させること、疾患の再発を予防することもしくは遅延させること、疾患の進行を遅延させることもしくは緩徐化すること、病状を改善すること、疾患の寛解(部分的もしくは完全)をもたらすこと、疾患を処置するために必要な1つもしくは複数の他の薬物の用量を減少させること、疾患の進行を遅延させること、生活の質を高めるもしくは向上させること、体重増加を増大させること、および/または生存期間を延長すること。がんの病理学的帰結(例えば、腫瘍体積など)の低減も、「処置」に包含される。本発明の方法は、処置のこれらの態様のいずれか1つまたは複数を企図している。
がんに関して、用語「処置すること(treating)」は、がん細胞の成長を阻害すること、がん細胞の複製を阻害すること、全腫瘍負荷を減少させること、および疾患に関連する1つもしくは複数の症状を改善することのいずれかまたは全てを含む。
自己免疫疾患に関して、用語「処置すること」は、自己免疫抗体を産生することができる細胞を含むがこれらに限定されない、自己免疫疾患状態に関連する細胞の複製を防止すること、自己免疫抗体負荷を減少させること、および自己免疫疾患の1つもしくは複数の症状を改善することのいずれかまたは全てを含む。感染性疾患に関して、用語「処置すること」は、感染性疾患を引き起こす病原体の成長、繁殖もしくは複製を防止すること、および感染性疾患の1つもしくは複数の症状を改善することのいずれかまたは全てを含む。虚血性疾患に関して、用語「処置すること」は、虚血性疾患を引き起こす病原体の成長、繁殖もしくは複製を防止すること、および虚血性疾患の1つもしくは複数の症状を改善することのいずれかまたは全てを含む。
用語「阻害」または「阻害する」は、任意の表現型特性を減少させるもしくは無くすこと、またはその特性の発生率、程度もしくは尤度を低下させるもしくは無くすことを指す。「低減させる」または「阻害する」ことは、参照と比較して活性、機能および/または量を減少させる、低減させるまたは停止させることである。ある特定の実施形態では、「低減させる」または「阻害する」とは、20%またはそれより多い全体的減少を引き起こすことができることを意味する。別の実施形態では、「低減させる」または「阻害する」とは、50%またはそれより多い全体的減少を引き起こすことができることを意味する。さらに別の実施形態では、「低減させる」または「阻害する」とは、75%、85%、90%、95%またはそれより多い全体的減少を引き起こすことができることを意味する。
本明細書で使用される場合の「参照」は、比較を目的として使用される任意の試料、標準物質またはレベルを指す。参照は、健康なおよび/または非病的試料から得ることができる。一部の例では、参照は、未処置試料から得ることができる。一部の例では、参照は、対象個体の非病的試料または(on)非処置試料から得られる。一部の例では、参照は、対象でも患者でもない1または複数の健康な個体から得られる。
本明細書で使用される場合、「疾患の発症を遅延させること」は、疾患(例えば、がん)の発症を延期する、妨げる、緩徐化する、遅らせる、安定化する、抑制する、および/または後に伸ばすことを意味する。この遅延は、処置される疾患および/または個体の履歴に依存して、様々な期間になり得る。当業者には明らかであるように、十分なまたは有意な遅延は、個体が疾患を発症していない場合、予防(prevention)を事実上包含し得る。例えば、転移の発症などの後期がんが遅延され得る。
本明細書で使用される場合の「予防すること(preventing)」は、疾患にかかりやすい可能性があるが疾患があるとまだ診断されていない対象の疾患の発生または再発に関して、予防(prophylaxis)をもたらすことを含む。
本明細書で使用される場合、機能または活性を「抑制する」ことは、目的の条件もしくはパラメーターを除いて他の点では同じ条件と比較したときに、または代わりに別の条件と比較して、機能または活性を低減させることである。例えば、腫瘍成長を抑制する抗体は、腫瘍の成長速度を、抗体の非存在下での腫瘍の成長速度と比較して低減させる。
用語「対象」、「個体」および「患者」は、ヒト、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、齧歯類または霊長類を含むがこれらに限定されない哺乳動物を指すために本明細書では同義的に使用される。一部の実施形態では、個体は、ヒトである。
薬剤の「有効量」は、必要な投与量で必要な期間にわたって、所望の治療または予防結果を達成するのに有効な量を指す。この用語は、本明細書に記載のイメージング方法のいずれか1つにより検出のための画像を生じさせる用量にも当てはまる。具体的な用量は、選択される特定の薬剤、従う投与レジメン、他の化合物と組み合わせて投与されるかどうか、投与のタイミング、イメージングされる組織、およびそれが運ばれる物理的送達系、のうちの1つまたは複数に依存して変わり得る。
本発明の物質/分子、アゴニストまたはアンタゴニストの「治療有効量」は、個体の病状、年齢、性別および体重、ならびに個体において所望の応答を惹起する物質/分子、アゴニストまたはアンタゴニストの能力などの、因子によって変わり得る。治療有効量は、物質/分子、アゴニストまたはアンタゴニストのいかなる毒性作用または有害作用よりも、治療に有益な効果のほうが上回る量でもある。治療有効量は、1回の投与で送達されることもあり、または複数回の投与で送達されることもある。
「予防有効量」は、必要な投与量で必要な期間にわたって、所望の予防結果を達成するのに有効な量を指す。必ずしもそうとは限らないが、通常は、予防用量は疾患の前にまたはより早期に対象に使用されるので、予防有効量は、治療有効量より少ない。
用語「医薬製剤」および「医薬組成物」は、活性成分の生物活性が有効であることを可能にするような形態である調製物であって、その製剤が投与される対象にとって許容できないほど毒性であるさらなる成分を含有しない調製物を指す。そのような製剤は、滅菌されたものであり得る。
「薬学的に許容される担体」は、対象への投与のために「医薬組成物」を一緒に構成する治療剤とともに使用するための、当技術分野における従来の非毒性固体、半固体または液体充填剤、希釈剤、封入材料、製剤化助剤または担体を指す。薬学的に許容される担体は、利用される投与量および濃度でレシピエントにとって非毒性であり、製剤の他の成分と適合性である。薬学的に許容される担体は、利用される製剤に適している。
「滅菌」製剤は、無菌であるか、または生存微生物およびそれらの胞子を本質的に含まない。
1つまたは複数のさらなる治療剤「と組み合わせて」投与することは、同時(並行した)投与および任意の順序での連続または逐次投与を含む。
用語「並行して」は、投与の少なくとも一部が時間的に重なるか、または1つの治療剤の投与が、他の治療剤の投与に対して短期間内にある、2つまたはそれより多くの治療剤の投与を指すために本明細書では使用される。例えば、2つまたはそれより多くの治療剤は、約60分以下、例えば、約30、15、10、5または1分のいずれか以下の時間を隔てて投与される。
用語「逐次的に」は、1つまたは複数の他の薬剤の投与を中止した後に1つまたは複数の薬剤の投与を続ける、2つまたはそれより多くの治療剤の投与を指すために本明細書では使用される。例えば、2つまたはそれより多くの治療剤の投与は、約15分を超える、例えば、約20、30、40、50もしくは60分、1日、2日、3日、1週間、2週間または1ヶ月のいずれかの、あるいはそれより長い、時間を隔てて投与される。
本明細書で使用される場合、「と併せて」は、1つの治療法を別の治療法に加えて投与することを指す。したがって、「と併せて」は、1つの治療法を他の治療法の個体への投与前、投与中または投与後に投与することを指す。
用語「添付文書」は、治療用製品の市販のパッケージ内に通例含まれている指示であって、そのような治療用製品の使用に関する適応症、用法、用量、投与、併用療法、禁忌および/または警告についての情報を含む指示を指すために使用される。
「製造物品」は、少なくとも1つの試薬、例えば、疾患もしくは障害(例えば、がん)の処置のための医薬、または本明細書に記載のバイオマーカーを特異的に検出するためのプローブを含む、任意の製造物(例えば、パッケージもしくは容器)またはキットである。ある特定の実施形態では、製造物またはキットは、本明細書に記載の方法を実行するためのユニットとして宣伝、流通または販売される。
本明細書に記載の本発明の実施形態が、実施形態「からなること」および/または「から本質的になること」を含むことは理解される。
本明細書での「約」ある値またはパラメーターへの言及は、その値またはパラメーター自体に関する変形形態を含む(および記載する)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」についての記載を含む。
本明細書で使用される場合、ある値またはパラメーター「でない」への言及は、ある値またはパラメーター「以外」を一般に意味し、記載する。例えば、方法がX型のがんを処置するために使用されないことは、方法がX以外の型のがんを処置するために使用されることを意味する。
本明細書で使用される用語「約X〜Y」は、「約X〜約Y」と同じ意味を有する。
本明細書でおよび添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「または(or)」および「前記(the)」は、文脈による別段の明白な指図がない限り、複数の指示対象を含む。
II.イメージング方法
本出願の一態様は、放射性核種で標識された抗体部分を含むイメージング剤を使用して個体における免疫チェックポイントリガンドの分布および/または発現レベルを決定する方法であって、抗体部分が免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合するものである方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、個体における2つまたはそれより多くの免疫チェックポイントリガンドの分布および/または発現レベルの決定を含む。
一部の実施形態では、個体における免疫チェックポイントリガンドの分布を決定する方法であって、(a)放射性核種で標識された抗体部分を含むイメージング剤を個体に投与するステップであって、抗体断片が免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合するものであるステップ;および(b)非侵襲的イメージング技術を用いて個体においてイメージング剤をイメージングするステップを含む方法が、提供される。一部の実施形態では、方法は、個体の目的の組織における免疫チェックポイントリガンドの発現レベルを、組織からイメージング剤により放出されるシグナルに基づいて決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、抗体部分を放射性核種で標識することによりイメージング剤を調製するステップをさらに含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングまたは陽電子放出断層撮影(PET)イメージングを含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、コンピュータ断層撮影イメージング、磁気共鳴イメージング、化学発光イメージング、または電気化学発光イメージングをさらに含む。一部の実施形態では、イメージング剤は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または経口投与される。一部の実施形態では、イメージングは、イメージング剤の投与後約10分〜約24時間の間に行われる。一部の実施形態では、方法は、ラジオアイソトープで標識されていない抗体部分をイメージング剤の投与の前に個体に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、ある期間にわたって個体をイメージングするステップを含む。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1、PD−L2、B7−H3、ガレクチン−9、CD80、CD86およびICOSLからなる群から選択される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1様リガンドである。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、1,4,7−トリアザシクロノナン−1,4,7−三酢酸(NOTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(DOTA)またはその誘導体である。一部の実施形態では、抗体部分は、血清中で約10分〜約24時間(例えば、約10分〜2時間、約1時間〜4時間、約4時間〜8時間、約8時間〜12時間、または約12時間〜24時間のいずれか1つ)の半減期を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、約120kDa以下(例えば、約30kDa、50kDa、80kDaもしくは100kDa以下、または約30〜50kDa、約50〜100kDa、もしくは約30〜80kDaのいずれか1つ)である。一部の実施形態では、抗体部分は、免疫チェックポイントリガンドとの約9×10−10M〜約1×10−8M(例えば、約9×10−10〜1×10−9、約1×10−9〜2×10−9、約2×10−10〜5×10−9、または約5×10−10〜1×10−8)の間のKDを有する。一部の実施形態では、抗体部分は、非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはサル)からの免疫チェックポイントリガンドと交差反応する。一部の実施形態では、抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗体部分は、酸性pHで(例えば、約6.5、6.0、5.5または5.0より低いpHで)安定している。一部の実施形態では、抗体部分は、約55〜70℃(例えば、約55〜60℃、約60〜65℃、または約65〜70℃のいずれか1つ)の融解温度(Tm)を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、およびVHHからなる群から選択される。
一部の実施形態では、個体における免疫チェックポイントリガンドの分布を決定する方法であって、(a)放射性核種で標識されたscFvを含むイメージング剤を個体に投与するステップであって、scFvが免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合するものであるステップ;および(b)非侵襲的イメージング技術を用いて個体においてイメージング剤をイメージングするステップを含む方法が、提供される。一部の実施形態では、方法は、個体の目的の組織における免疫チェックポイントリガンドの発現レベルを、組織からイメージング剤により放出されるシグナルに基づいて決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、scFvを放射性核種で標識することによりイメージング剤を調製するステップをさらに含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングまたは陽電子放出断層撮影(PET)イメージングを含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、コンピュータ断層撮影イメージング、磁気共鳴イメージング、化学発光イメージング、または電気化学発光イメージングをさらに含む。一部の実施形態では、イメージング剤は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または経口投与される。一部の実施形態では、イメージングは、イメージング剤の投与後約10分〜約24時間の間に行われる。一部の実施形態では、方法は、ラジオアイソトープで標識されていないscFvをイメージング剤の投与の前に個体に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、ある期間にわたって個体をイメージングするステップを含む。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1、PD−L2、B7−H3、ガレクチン−9、CD80、CD86およびICOSLからなる群から選択される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1様リガンドである。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、scFvは、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。一部の実施形態では、scFvは、免疫チェックポイントリガンドとの約9×10−10M〜約1×10−8M(例えば、約9×10−10〜1×10−9、約1×10−9〜2×10−9、約2×10−10〜5×10−9、または約5×10−10〜1×10−8)の間のKDを有する。一部の実施形態では、scFvは、非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはサル)からの免疫チェックポイントリガンドと交差反応する。一部の実施形態では、scFvは、ヒト化されている。一部の実施形態では、scFvは、酸性pHで(例えば、約6.5、6.0、5.5または5.0より低いpHで)安定している。一部の実施形態では、scFvは、約55〜70℃(例えば、約55〜60℃、約60〜65℃、または約65〜70℃のいずれか1つ)の融解温度(Tm)を有する。一部の実施形態では、scFvは、1つまたは複数の操作されたジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、scFvは、N末端からC末端に向かって、VH、必要に応じたペプチドリンカー、およびVLを含む。一部の実施形態では、scFvは、N末端からC末端に向かって、VL、必要に応じたペプチドリンカー、およびVHを含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号47または48のアミノ酸配列を含むペプチドリンカーを含む。一部の実施形態では、scFvは、1つまたは複数の(例えば、1つ、2つ、3つまたはそれより多くの)操作されたジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、および/または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。
一部の実施形態では、個体における免疫チェックポイントリガンドの分布を決定する方法であって、(a)放射性核種で標識された抗体部分を含むイメージング剤を個体に投与するステップであって、抗体部分が、Fc断片に融合したscFvであり、この抗体断片が免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合するものであるステップ;および(b)非侵襲的イメージング技術を用いて個体においてイメージング剤をイメージングするステップを含む方法が、提供される。一部の実施形態では、方法は、個体の目的の組織における免疫チェックポイントリガンドの発現レベルを、組織からイメージング剤により放出されるシグナルに基づいて決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、抗体部分を放射性核種で標識することによりイメージング剤を調製するステップをさらに含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングまたは陽電子放出断層撮影(PET)イメージングを含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、コンピュータ断層撮影イメージング、磁気共鳴イメージング、化学発光イメージング、または電気化学発光イメージングをさらに含む。一部の実施形態では、イメージング剤は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または経口投与される。一部の実施形態では、イメージングは、イメージング剤の投与後約10分〜約24時間の間に行われる。一部の実施形態では、方法は、ラジオアイソトープで標識されていない抗体部分をイメージング剤の投与の前に個体に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、ある期間にわたって個体をイメージングするステップを含む。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1、PD−L2、B7−H3、ガレクチン−9、CD80、CD86およびICOSLからなる群から選択される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1様リガンドである。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。一部の実施形態では、抗体部分は、免疫チェックポイントリガンドとの約9×10−10M〜約1×10−8M(例えば、約9×10−10〜1×10−9、約1×10−9〜2×10−9、約2×10−10〜5×10−9、または約5×10−10〜1×10−8)の間のKDを有する。一部の実施形態では、抗体部分は、非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはサル)からの免疫チェックポイントリガンドと交差反応する。一部の実施形態では、抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗体部分は、酸性pHで(例えば、約6.5、6.0、5.5または5.0より低いpHで)安定している。一部の実施形態では、抗体部分は、約55〜70℃(例えば、約55〜60℃、約60〜65℃、または約65〜70℃のいずれか1つ)の融解温度(Tm)を有する。一部の実施形態では、scFvは、1つまたは複数の操作されたジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、scFvは、N末端からC末端に向かって、VH、必要に応じたペプチドリンカー、およびVLを含む。一部の実施形態では、scFvは、N末端からC末端に向かって、VL、必要に応じたペプチドリンカー、およびVHを含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号47または48のアミノ酸配列を含むペプチドリンカーを含む。一部の実施形態では、scFvは、1つまたは複数の(例えば、1つ、2つ、3つまたはそれより多くの)操作されたジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、および/または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、Fc断片は、ヒトIgG1 Fc断片である。一部の実施形態では、Fc断片は、H310AおよびH435Q変異を有し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。
一部の実施形態では、個体におけるPD−L1の分布を決定する方法であって、(a)放射性核種で標識された抗体部分(例えば、scFv)を含むイメージング剤を、個体に投与するステップであって、抗体断片がPD−L1に特異的に結合する、ステップ、および(b)非侵襲的イメージング技術を用いて個体においてイメージング剤をイメージングするステップを含む方法が、提供される。一部の実施形態では、方法は、個体の目的の組織におけるPD−L1の発現レベルを、組織からイメージング剤により放出されるシグナルに基づいて決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、抗体部分を放射性核種で標識することによりイメージング剤を調製するステップをさらに含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングまたは陽電子放出断層撮影(PET)イメージングを含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、コンピュータ断層撮影イメージング、磁気共鳴イメージング、化学発光イメージング、または電気化学発光イメージングをさらに含む。一部の実施形態では、イメージング剤は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または経口投与される。一部の実施形態では、イメージングは、イメージング剤の投与後約10分〜約24時間の間に行われる。一部の実施形態では、方法は、ラジオアイソトープで標識されていない抗体部分をイメージング剤の投与の前に個体に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、ある期間にわたって個体をイメージングするステップを含む。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、血清中で約10分〜約24時間(例えば、約10分〜約2時間、約1時間〜約4時間、約4時間〜約8時間、約8時間〜約12時間、または約12時間〜約24時間のいずれか1つ)の半減期を有する。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、約120kDa以下(例えば、約30kDa、50kDa、80kDaもしくは100kDa以下、または約30〜50kDa、約50〜100kDa、もしくは約30〜80kDaのいずれか1つ)である。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、免疫チェックポイントリガンドとの約9×10−10M〜約1×10−8M(例えば、約9×10−10〜1×10−9、約1×10−9〜2×10−9、約2×10−10〜5×10−9、または約5×10−10〜1×10−8)の間のKDを有する。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはサル)からの免疫チェックポイントリガンドと交差反応する。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、酸性pHで(例えば、約6.5、6.0、5.5または5.0より低いpHで)安定している。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、約55〜70℃(例えば、約55〜60℃、約60〜65℃、または約65〜70℃のいずれか1つ)の融解温度(Tm)を有する。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、およびVHHからなる群から選択される。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、scFvである。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、Fcに融合したscFvである。
一部の実施形態では、個体におけるPD−L1様リガンドの分布を決定する方法であって、(a)放射性核種で標識された抗体部分(例えば、scFv)を含むイメージング剤を、個体に投与するステップであって、抗体断片がPD−L1様リガンドに特異的に結合する、ステップ、および(b)非侵襲的イメージング技術を用いて個体においてイメージング剤をイメージングするステップを含む方法が、提供される。一部の実施形態では、PD−L1様リガンドは、PD−1の天然に存在するリガンドである。一部の実施形態では、PD−L1様リガンドは、PD−1の天然に存在しないリガンドであり、PD−L1様リガンドが個体に投与された。一部の実施形態では、方法は、個体の目的の組織におけるPD−L1様リガンドの発現レベルを、組織からイメージング剤により放出されるシグナルに基づいて決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、抗体部分を放射性核種で標識することによりイメージング剤を調製するステップをさらに含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングまたは陽電子放出断層撮影(PET)イメージングを含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、コンピュータ断層撮影イメージング、磁気共鳴イメージング、化学発光イメージング、または電気化学発光イメージングをさらに含む。一部の実施形態では、イメージング剤は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または経口投与される。一部の実施形態では、イメージングは、イメージング剤の投与後約10分〜約24時間の間に行われる。一部の実施形態では、方法は、ラジオアイソトープで標識されていない抗体部分をイメージング剤の投与の前に個体に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、ある期間にわたって個体をイメージングするステップを含む。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。一部の実施形態では、抗体部分は、血清中で約10分〜約24時間(例えば、約10分〜2時間、約1時間〜4時間、約4時間〜8時間、約8時間〜12時間、または約12時間〜24時間のいずれか1つ)の半減期を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、約120kDa以下(例えば、約30kDa、50kDa、80kDa、もしくは100kDa以下、または約30〜50kDa、約50〜100kDa、もしくは約30〜80kDaのいずれか1つ)である。一部の実施形態では、抗体部分は、免疫チェックポイントリガンドとの約9×10−10M〜約1×10−8M(例えば、約9×10−10〜1×10−9、約1×10−9〜2×10−9、約2×10−10〜5×10−9、または約5×10−10〜1×10−8)の間のKDを有する。一部の実施形態では、抗体部分は、非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはサル)からの免疫チェックポイントリガンドと交差反応する。一部の実施形態では、抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗体部分は、酸性pHで(例えば、約6.5、6.0、5.5または5.0より低いpHで)安定している。一部の実施形態では、抗体部分は、約55〜70℃(例えば、約55〜60℃、約60〜65℃、または約65〜70℃のいずれか1つ)の融解温度(Tm)を有する。一部の実施形態では、抗体部分(anti−antibody moiety)は、一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、およびVHHからなる群から選択される。一部の実施形態では、抗体部分は、scFvである。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、Fcに融合したscFvである。
一部の実施形態では、個体におけるPD−L1の分布を決定する方法であって、(a)放射性核種で標識された抗PD−L1抗体部分を含むイメージング剤を個体に投与するステップ、および(b)非侵襲的イメージング技術を用いて個体においてイメージング剤をイメージングするステップを含み、抗PD−L1抗体部分が、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVHと、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVLとを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、個体の目的の組織におけるPD−L1の発現レベルを、組織からイメージング剤により放出されるシグナルに基づいて決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、抗体部分を放射性核種で標識することによりイメージング剤を調製するステップをさらに含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングまたは陽電子放出断層撮影(PET)イメージングを含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、コンピュータ断層撮影イメージング、磁気共鳴イメージング、化学発光イメージング、または電気化学発光イメージングをさらに含む。一部の実施形態では、イメージング剤は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または経口投与される。一部の実施形態では、イメージングは、イメージング剤の投与後約10分〜約24時間の間に行われる。一部の実施形態では、方法は、ラジオアイソトープで標識されていない抗体部分をイメージング剤の投与の前に個体に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、ある期間にわたって個体をイメージングするステップを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVHと;配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLとを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。
一部の実施形態では、個体におけるPD−L1の分布を決定する方法であって、(a)放射性核種で標識された抗PD−L1 scFvを含むイメージング剤を個体に投与するステップ、および(b)非侵襲的イメージング技術を用いて個体においてイメージング剤をイメージングするステップを含み、抗PD−L1 scFvが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVHと、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVLとを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、個体の目的の組織におけるPD−L1の発現レベルを、組織からイメージング剤により放出されるシグナルに基づいて決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、抗体部分を放射性核種で標識することによりイメージング剤を調製するステップをさらに含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングまたは陽電子放出断層撮影(PET)イメージングを含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、コンピュータ断層撮影イメージング、磁気共鳴イメージング、化学発光イメージング、または電気化学発光イメージングをさらに含む。一部の実施形態では、イメージング剤は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または経口投与される。一部の実施形態では、イメージングは、イメージング剤の投与後約10分〜約24時間の間に行われる。一部の実施形態では、方法は、ラジオアイソトープで標識されていない抗体部分をイメージング剤の投与の前に個体に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、ある期間にわたって個体をイメージングするステップを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVHと;配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLとを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。
一部の実施形態では、個体におけるPD−L1の分布を決定する方法であって、(a)放射性核種で標識された抗PD−L1抗体部分を含むイメージング剤を個体に投与するステップ、および(b)非侵襲的イメージング技術を用いて個体においてイメージング剤をイメージングするステップを含み、抗PD−L1抗体部分が、Fc断片に融合した抗PD−L1 scFvを含み、抗PD−L1 scFvが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVHと、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVLとを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、個体の目的の組織におけるPD−L1の発現レベルを、組織からイメージング剤により放出されるシグナルに基づいて決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、抗体部分を放射性核種で標識することによりイメージング剤を調製するステップをさらに含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングまたは陽電子放出断層撮影(PET)イメージングを含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、コンピュータ断層撮影イメージング、磁気共鳴イメージング、化学発光イメージング、または電気化学発光イメージングをさらに含む。一部の実施形態では、イメージング剤は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または経口投与される。一部の実施形態では、イメージングは、イメージング剤の投与後約10分〜約24時間の間に行われる。一部の実施形態では、方法は、ラジオアイソトープで標識されていない抗体部分をイメージング剤の投与の前に個体に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、ある期間にわたって個体をイメージングするステップを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVHと;配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLとを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、Fc断片は、IgG1 Fc断片である。一部の実施形態では、Fc断片は、H310AおよびH435Q変異を有し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。
本明細書に記載の方法を使用して、個体におけるまたは個体の目的の組織における免疫チェックポイントリガンド(例えば、PD−L1またはPD−L1様リガンド)の分布を決定することができる。方法は、個体の1つまたは複数の組織または臓器における免疫チェックポイントリガンドの発現レベルに関する質的または量的情報も提供することができる。加えて、本明細書に記載の方法は、ある期間にわたって個体のイメージングを、例えば、個体へのイメージング剤の投与後の異なる時点でのイメージング結果の複数のセットを提供することにより、可能にすることができる。一部の実施形態では、イメージングは、約10分〜約24時間(例えば、約10分〜1時間、約1時間〜2時間、約2時間〜4時間、約4時間〜8時間、約8時間〜12時間、約12時間〜24時間、約1時間〜4時間、または約1時間〜8時間のいずれか1つ)の間の期間にわたって、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10回またはそれより多くの回数が行われる。一部の実施形態では、イメージングは、イメージング剤の投与後約10分〜約24時間の間に、例えば、約10分〜1時間、約1時間〜2時間、約2時間〜4時間、約4時間〜8時間、約8時間〜12時間、約12時間〜24時間、約1時間〜4時間、または約1時間〜8時間のいずれか1つの間に行われる。
標識されたポリペプチドを使用してイメージングする方法は、当技術分野において周知であり、本明細書で開示されるイメージング剤を用いて任意のそのような公知の方法を使用することができる。例えば、Srivastava (ed.), Radiolabeled Monoclonal Antibodies for Imaging and Therapy (Plenum Press 1988), Chase, ”Medical Applications of Radioisotopes,” in Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, Gennaro et al.(eds.), pp. 624−652 (Mack Publishing Co., 1990)、およびBrown, ”Clinical Use of Monoclonal Antibodies,” in Biotechnology and Pharmacy 227−49, Pezzuto et al. (eds.) (Chapman & Hall 1993)を参照されたい。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、陽電子放出核種(PET同位体)、例えば約511keVのエネルギーを有するもの、例えば、18F、68Ga、64Cu、および124Iを使用する。そのような放射性核種を周知のPETスキャン技術によりイメージングすることができる。参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,953,567号、同第9,884,131号、および国際特許出願番号WO2016149188A1、ならびにKim HY. et al., (2018) PLoS ONE 13(3): e0192821も参照されたい。
一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングを含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、陽電子放出断層撮影(PET)イメージングを含む。一部の実施形態では、SPECまたはPETイメージングは、イメージング剤からのシグナルに基づくこともありまたは基づかないこともある1つまたは複数の他の非侵襲的イメージング方法と組み合わせられる。例えば、PETを、コンピュータ断層撮影(CT)イメージング、磁気共鳴イメージング(MRI)、化学発光イメージング、または電気化学発光イメージングと組み合わせることができる。
本明細書に記載のイメージング方法は、低い、中等度のまたは高い発現レベルの免疫チェックポイントリガンドの検出に好適である。一部の実施形態では、イメージング方法は、免疫チェックポイントリガンドの発現レベルおよび分布に関する動的情報を提供する。一部の実施形態では、イメージング方法は、免疫組織化学(IHC)などの他の検出方法には困難であり得る状況で免疫チェックポイントリガンドを検出することができる。例えば、一部の実施形態では、目的の組織は、免疫組織化学(IHC)アッセイまたは他のアッセイに基づいて免疫チェックポイントリガンドに対して陰性である。免疫チェックポイントリガンドの存在または非存在の検出に使用することができる分子アッセイとしては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づくアッセイ、次世代シークエンシング(NGS)アッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、およびELISAが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、目的の組織は、免疫チェックポイントリガンドの低い発現レベルを有する。一部の実施形態では、目的の組織は、免疫細胞の浸潤の際にのみ免疫チェックポイントリガンドを発現する。
イメージング剤は、任意の好適な投与量および投与経路を使用して個体に投与することができる。投与経路は、ある期間にわたっての好適な方式での単回または複数回の大量瞬時投与または注入、例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、病巣内、関節内、腫瘍内または経口経路による注射または注入による、公知の、受け入れられている方法に従うものである。適切な投与量または投与経路の決定は、十分に当業者の技能の範囲内である。動物実験は、ヒトへの診断的適用のための有効用量を決定するための信頼性のある指針を与える。有効用量の種間スケーリングは、Mordenti, J. and Chappell, W. ”The Use of Interspecies Scaling in Toxicokinetics,” In Toxicokinetics and New Drug Development, Yacobi et al., Eds, Pergamon Press, New York 1989, pp. 42−46により定められた原則に従って行うことができる。
診断および処置
本明細書に記載の方法は、異常免疫応答に関連する様々な疾患および状態の処置のための診断におよびコンパニオン診断方法として有用である。一部の実施形態では、疾患または状態は、免疫不全に関連する。一部の実施形態では、疾患または状態は、がん、感染性疾患、自己免疫疾患、または代謝疾患である。
一部の実施形態では、疾患または状態を有する個体を診断する方法であって、(a)本明細書に記載の免疫チェックポイントリガンドの分布を決定する方法のいずれか1つを使用して個体における免疫チェックポイントリガンドの分布を決定するステップ、および(b)イメージング剤のシグナルが目的の組織で検出された場合には個体を免疫チェックポイントリガンドに対して陽性と診断し、またはイメージング剤のシグナルが目的の組織で検出されなかった場合には個体を免疫チェックポイントリガンドに対して陰性と診断するステップを含む方法が、提供される。一部の実施形態では、疾患または状態は、がん、感染症、自己免疫疾患、または代謝疾患である。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1である。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1様リガンドである。
一部の実施形態では、疾患または状態を有する個体を診断する方法であって、(a)放射性核種で標識された抗体部分を含むイメージング剤を、個体に投与するステップであって、抗体断片が免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合する、ステップ、(b)非侵襲的イメージング技術を用いて個体においてイメージング剤をイメージングするステップ、および(c)イメージング剤のシグナルが目的の組織で検出された場合には個体を免疫チェックポイントリガンドに対して陽性と診断し、またはイメージング剤のシグナルが目的の組織で検出されなかった場合には個体を免疫チェックポイントリガンドに対して陰性と診断するステップを含む方法が、提供される。一部の実施形態では、方法は、個体の目的の組織における免疫チェックポイントリガンドの発現レベルを、組織からイメージング剤により放出されるシグナルに基づいて決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、抗体部分を放射性核種で標識することによりイメージング剤を調製するステップをさらに含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングまたは陽電子放出断層撮影(PET)イメージングを含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、コンピュータ断層撮影イメージング、磁気共鳴イメージング、化学発光イメージング、または電気化学発光イメージングをさらに含む。一部の実施形態では、イメージング剤は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または経口投与される。一部の実施形態では、イメージングは、イメージング剤の投与後約10分〜約24時間の間に行われる。一部の実施形態では、方法は、ラジオアイソトープで標識されていない抗体部分をイメージング剤の投与の前に個体に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、ある期間にわたって個体をイメージングするステップを含む。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1、PD−L2、B7−H3、ガレクチン−9、CD80、CD86およびICOSLからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、664Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。一部の実施形態では、抗体部分は、血清中で約10分〜約24時間(例えば、約10分〜2時間、約1時間〜4時間、約4時間〜8時間、約8時間〜12時間、または約12時間〜24時間のいずれか1つ)の半減期を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、約120kDa以下(例えば、約30kDa、50kDa、80kDaもしくは100kDa以下、または約30〜50kDa、約50〜100kDa、もしくは約30〜80kDaのいずれか1つ)である。一部の実施形態では、抗体部分は、免疫チェックポイントリガンドとの約9×10−10M〜約1×10−8M(例えば、約9×10−10〜1×10−9、約1×10−9〜2×10−9、約2×10−10〜5×10−9、または約5×10−10〜1×10−8)の間のKDを有する。一部の実施形態では、抗体部分は、非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはサル)からの免疫チェックポイントリガンドと交差反応する。一部の実施形態では、抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗体部分は、酸性pHで(例えば、約6.5、6.0、5.5または5.0より低いpHで)安定している。一部の実施形態では、抗体部分は、約55〜70℃(例えば、約55〜60℃、約60〜65℃、または約65〜70℃のいずれか1つ)の融解温度(Tm)を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、およびVHHからなる群から選択される。一部の実施形態では、疾患または状態は、がん、感染症、自己免疫疾患、または代謝疾患である。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1である。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1様リガンドである。一部の実施形態では、抗体部分は、scFvである。一部の実施形態では、抗体部分は、Fc断片(例えば、ヒトIgG1 Fc)に融合したscFvである。
一部の実施形態では、疾患または状態を有する個体を診断する方法であって、(a)放射性核種で標識された抗PD−L1抗体部分を含むイメージング剤を個体に投与するステップ、(b)非侵襲的イメージング技術を用いて個体においてイメージング剤をイメージングするステップ、および(c)イメージング剤のシグナルが目的の組織で検出された場合には個体をPD−L1に対して陽性と診断し、またはイメージング剤のシグナルが目的の組織で検出されなかった場合には個体を免疫チェックポイントリガンドに対して陰性と診断するステップを含み、抗PD−L1抗体部分が、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVHと、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVLとを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、個体の目的の組織におけるPD−L1の発現レベルを、組織からイメージング剤により放出されるシグナルに基づいて決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、抗体部分を放射性核種で標識することによりイメージング剤を調製するステップをさらに含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングまたは陽電子放出断層撮影(PET)イメージングを含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、コンピュータ断層撮影イメージング、磁気共鳴イメージング、化学発光イメージング、または電気化学発光イメージングをさらに含む。一部の実施形態では、イメージング剤は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または経口投与される。一部の実施形態では、イメージングは、イメージング剤の投与後約10分〜約24時間の間に行われる。一部の実施形態では、方法は、ラジオアイソトープで標識されていない抗体部分をイメージング剤の投与の前に個体に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、ある期間にわたって個体をイメージングするステップを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVHと;配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLとを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。一部の実施形態では、疾患または状態は、がん、感染症、自己免疫疾患、または代謝疾患である。一部の実施形態では、抗体部分は、scFvである。一部の実施形態では、抗体部分は、Fc断片(例えば、ヒトIgG1 Fc)に融合したscFvである。一部の実施形態では、scFvは、1つまたは複数の(例えば、1つ、2つ、3つまたはそれより多くの)操作されたジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、および/または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
一部の実施形態では、疾患または状態を有する個体を処置する方法であって、(a)本明細書に記載の任意の診断方法を使用して個体を診断するステップ、および(b)個体が免疫チェックポイントリガンドに対して陽性と診断された場合、免疫チェックポイントリガンドまたはその受容体を標的とする治療剤の有効量を個体に投与するステップを含む方法が、提供される。一部の実施形態では、治療剤は、免疫チェックポイントリガンドまたはその受容体の阻害剤である。一部の実施形態では、治療剤は、免疫チェックポイントリガンドまたはその受容体に特異的に結合する放射性標識分子である。一部の実施形態では、疾患または状態は、がん、感染症、自己免疫疾患、または代謝疾患である。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1である。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1様リガンドである。
一部の実施形態では、疾患または状態を有する個体を処置する方法であって、(a)放射性核種で標識された抗体部分を含むイメージング剤を、個体に投与するステップであって、抗体断片が免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合する、ステップ、(b)非侵襲的イメージング技術を用いて個体においてイメージング剤をイメージングするステップ、(c)イメージング剤のシグナルが目的の組織で検出された場合には個体を免疫チェックポイントリガンドに対して陽性と診断し、またはイメージング剤のシグナルが目的の組織で検出されなかった場合には個体を免疫チェックポイントリガンドに対して陰性と診断するステップ、および(d)個体が免疫チェックポイントリガンドに対して陽性と診断された場合、免疫チェックポイントリガンドまたはその受容体を標的とする治療剤(例えば、免疫チェックポイントリガンドもしくはその受容体の阻害剤、または免疫チェックポイントリガンドもしくはその受容体に特異的に結合する放射性標識分子)の有効量を個体に投与するステップを含む方法が、提供される。一部の実施形態では、方法は、個体の目的の組織における免疫チェックポイントリガンドの発現レベルを、組織からイメージング剤により放出されるシグナルに基づいて決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、抗体部分を放射性核種で標識することによりイメージング剤を調製するステップをさらに含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングまたは陽電子放出断層撮影(PET)イメージングを含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、コンピュータ断層撮影イメージング、磁気共鳴イメージング、化学発光イメージング、または電気化学発光イメージングをさらに含む。一部の実施形態では、イメージング剤は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または経口投与される。一部の実施形態では、イメージングは、イメージング剤の投与後約10分〜約24時間の間に行われる。一部の実施形態では、方法は、ラジオアイソトープで標識されていない抗体部分をイメージング剤の投与の前に個体に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、ある期間にわたって個体をイメージングするステップを含む。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1、PD−L2、B7−H3、ガレクチン−9、CD80、CD86およびICOSLからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。一部の実施形態では、抗体部分は、血清中で約10分〜約24時間(例えば、約10分〜2時間、約1時間〜4時間、約4時間〜8時間、約8時間〜12時間、または約12時間〜24時間のいずれか1つ)の半減期を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、約120kDa以下(例えば、約30kDa、50kDa、80kDaもしくは100kDa以下、または約30〜50kDa、約50〜100kDa、もしくは約30〜80kDaのいずれか1つ)である。一部の実施形態では、抗体部分は、免疫チェックポイントリガンドとの約9×10−10M〜約1×10−8M(例えば、約9×10−10〜1×10−9、約1×10−9〜2×10−9、約2×10−10〜5×10−9、または約5×10−10〜1×10−8)の間のKDを有する。一部の実施形態では、抗体部分は、非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはサル)からの免疫チェックポイントリガンドと交差反応する。一部の実施形態では、抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗体部分は、酸性pHで(例えば、約6.5、6.0、5.5または5.0より低いpHで)安定している。一部の実施形態では、抗体部分は、約55〜70℃(例えば、約55〜60℃、約60〜65℃、または約65〜70℃のいずれか1つ)の融解温度(Tm)を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、およびVHHからなる群から選択される。一部の実施形態では、疾患または状態は、がん、感染症、自己免疫疾患、または代謝疾患である。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1である。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1様リガンドである。一部の実施形態では、抗体部分は、scFvである。一部の実施形態では、抗体部分は、Fc断片(例えば、ヒトIgG1 Fc)に融合したscFvである。
一部の実施形態では、疾患または状態を有する個体を処置する方法であって、(a)放射性核種で標識された抗PD−L1抗体部分を含むイメージング剤を個体に投与するステップ、(b)非侵襲的イメージング技術を用いて個体においてイメージング剤をイメージングするステップ、(c)イメージング剤のシグナルが目的の組織で検出された場合には個体をPD−L1に対して陽性と診断し、またはイメージング剤のシグナルが目的の組織で検出されなかった場合には個体を免疫チェックポイントリガンドに対して陰性と診断するステップ、および(d)個体がPD−L1に対して陽性と診断された場合、PD−L1またはPD−1を標的とする治療剤(例えば、PD−L1もしくはPD−1の阻害剤、例えば、抗PD−L1抗体もしくは抗PD−1抗体、またはPD−L1もしくはPD−1に特異的に結合する放射性標識分子)の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体部分が、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVHと、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVLとを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、個体の目的の組織におけるPD−L1の発現レベルを、組織からイメージング剤により放出されるシグナルに基づいて決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、抗体部分を放射性核種で標識することによりイメージング剤を調製するステップをさらに含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングまたは陽電子放出断層撮影(PET)イメージングを含む。一部の実施形態では、非侵襲的イメージング技術は、コンピュータ断層撮影イメージング、磁気共鳴イメージング、化学発光イメージング、または電気化学発光イメージングをさらに含む。一部の実施形態では、イメージング剤は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または経口投与される。一部の実施形態では、イメージングは、イメージング剤の投与後約10分〜約24時間の間に行われる。一部の実施形態では、方法は、ラジオアイソトープで標識されていない抗体部分をイメージング剤の投与の前に個体に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、ある期間にわたって個体をイメージングするステップを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVHと;配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLとを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。一部の実施形態では、疾患または状態は、がん、感染症、自己免疫疾患、または代謝疾患である。一部の実施形態では、抗体部分は、scFvである。一部の実施形態では、抗体部分は、Fc断片(例えば、ヒトIgG1 Fc)に融合したscFvである。一部の実施形態では、scFvは、1つまたは複数の(例えば、1つ、2つ、3つまたはそれより多くの)操作されたジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、および/または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
一部の実施形態では、個体は、がんを有する。がんは、非固形腫瘍(例えば、血液腫瘍、例えば白血病およびリンパ腫)を含むこともあり、または固形腫瘍を含むこともある。本明細書に記載の方法を使用して診断することができる例示的ながんとしては、癌、芽腫および肉腫、ならびにある特定の白血病またはリンパ性悪性疾患、良性および悪性腫瘍、ならびに悪性病変、例えば肉腫、癌および黒色腫が挙げられるが、これらに限定されない。成人腫瘍/がんおよび小児腫瘍/がんも含まれる。本明細書で論じられる固形または血液がんとしては、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、肉腫および癌、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、カポジ肉腫、軟部組織肉腫、子宮肉腫、子宮サクロノーマ滑膜腫(uterine sacronomasynovioma)、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、ヘパトーマ、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、および黒色腫が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に記載の方法は、米国がん合同委員会(AJCC)ステージ分類群に従って、ステージ、I、II、IIIおよびIVを含む、全てのステージの固形または血液がんに適用可能である。一部の実施形態では、固形または血液がんは、早期がん、非転移性がん、原発性がん、進行がん、局所進行がん、転移性がん、または寛解期のがんである。
一部の実施形態では、個体は、血液がんを有する。本明細書に記載の方法を使用して診断することができる例示的な血液がんとしては、白血病、リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性非リンパ芽球性白血病(ANLL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、非ホジキンリンパ腫、およびホジキンリンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、個体は、固形腫瘍を有する。本明細書に記載の方法を使用して診断することができる例示的な固形腫瘍としては、結腸腫瘍、黒色腫、腎臓腫瘍、卵巣腫瘍、肺腫瘍、乳房腫瘍、および膵臓腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
がんの処置は、例えば、腫瘍退縮、腫瘍重量または体積縮小、無増悪期間、生存期間、無増悪生存期間、全奏効率、奏効期間、生活の質、タンパク質発現および/または活性により、評価することができる。例えば、放射線イメージングによる応答の測定を含む、治療の有効性を決定する手法を、利用することができる。
一部の実施形態では、個体は、感染性疾患を有する。感染症は、ウイルス、細菌、原生動物または寄生虫により引き起こされ得る。例示的な病原体としては、Acinetobacter baumannii、Anaplasma属、Anaplasma phagocytophilum、Ancylostoma braziliense、Ancylostoma duodenale、Arcanobacterium haemolyticum、Ascaris lumbricoides、Aspergillus属、Astroviridae、Babesia属、Bacillus anthracis、Bacillus cereus、Bartonella henselae、BKウイルス、Blastocystis hominis、Blastomyces dermatitidis、Bordetella pertussis、Borrelia burgdorferi、Borrelia属、Borrelia spp、Brucella属、Brugia malayi、Bunyaviridae科、Burkholderia cepaciaおよび他のBurkholderia種、Burkholderia mallei、Burkholderia pseudomallei、Caliciviridae科、Campylobacter属、Candida albicans、Candida spp、Chlamydia trachomatis、Chlamydophila pneumoniae、Chlamydophila psittaci、CJDプリオン、Clonorchis sinensis、Clostridium botulinum、Clostridium difficile、Clostridium perfringens、Clostridium perfringens、Clostridium spp、Clostridium tetani、Coccidioides spp、コロナウイルス、Corynebacterium diphtheriae、Coxiella burnetii、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、Cryptococcus neoformans、Cryptosporidium属、サイトメガロウイルス(CMV)、デングウイルス(DEN−1、DEN−2、DEN−3およびDEN−4)、Dientamoeba fragilis、エボラウイルス(EBOV)、Echinococcus属、Ehrlichia chaffeensis、Ehrlichia ewingii、Ehrlichia属、Entamoeba histolytica、Enterococcus属、Enterovirus属、エンテロウイルス、主としてコクサッキーAウイルスおよびエンテロウイルス71(EV71)、Epidermophyton spp、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、Escherichia coli O157:H7、O111およびO104:H4、Fasciola hepaticaおよびFasciola gigantica、FFIプリオン、Filarioideaスーパーファミリー、フラビウイルス、Francisella tularensis、Fusobacterium属、Geotrichum candidum、Giardia intestinalis、Gnathostoma spp、GSSプリオン、グアナリトウイルス、Haemophilus ducreyi、Haemophilus influenzae、Helicobacter pylori、ヘニパウイルス(ヘンドラウイルス、ニパウイルス)、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型および2型(HSV−1およびHSV−2)、Histoplasma capsulatum、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)、Hortaea werneckii、ヒトボカウイルス(HBoV)、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV−6)およびヒトヘルペスウイルス7型(HHV−7)、ヒトメタニューモウイルス(hMPV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV−1)、日本脳炎ウイルス、JCウイルス、フニンウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)、Kingella kingae、Klebsiella granulomatis、クールー病プリオン、ラッサウイルス、Legionella pneumophila、Leishmania属、Leptospira属、Listeria monocytogenes、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、マチュポウイルス、Malassezia spp、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、Metagonimus yokagawai、Microsporidia phylum、伝染性軟属腫ウイルス(MCV)、流行性耳下腺炎ウイルス、Mycobacterium lepraeおよびMycobacterium lepromatosis、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium ulcerans、Mycoplasma pneumoniae、Naegleria fowleri、Necator americanus、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Nocardia asteroides、Nocardia spp、Onchocerca volvulus、Orientia tsutsugamushi、Orthomyxoviridae科(インフルエンザ)、Paracoccidioides brasiliensis、Paragonimus spp、Paragonimus westermani、パルボウイルスB19、Pasteurella属、Plasmodium属、Pneumocystis jirovecii、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、Rhinovirus、ライノウイルス、Rickettsia akari、Rickettsia属、Rickettsia prowazekii、Rickettsia rickettsii、Rickettsia typhi、リフトバレー熱ウイルス、ロタウイルス、風疹ウイルス、サビアウイルス、Salmonella属、Sarcoptes scabiei、SARSコロナウイルス、Schistosoma属、Shigella属、シンノンブレウイルス、ハンタウイルス、Sporothrix schenckii、Staphylococcus属、Staphylococcus属、Streptococcus agalactiae、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Strongyloides stercoralis、Taenia属、Taenia solium、ダニ媒介脳炎ウイルス(TBEV)、Toxocara canisまたはToxocara cati、Toxoplasma gondii、Treponema pallidum、Trichinella spiralis、Trichomonas vaginalis、Trichophyton spp、Trichuris trichiura、Trypanosoma brucei、Trypanosoma cruzi、Ureaplasma urealyticum、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、Variola majorまたはVariola minor、vCJDプリオン、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、Vibrio cholerae、ウエストナイルウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、Wuchereria bancrofti、黄熱病ウイルス、Yersinia enterocolitica、Yersinia pestis、ならびにYersinia pseudotuberculosisが挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、個体は、自己免疫疾患を有する。例示的な自己免疫疾患としては、ベーチェット病、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症(全身性強皮症および進行性全身性強皮症)、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、結節性動脈周囲炎(結節性多発動脈炎および顕微鏡的多発血管炎)、大動脈炎症候群(高安動脈炎)、悪性関節リウマチ、関節リウマチ、ウェゲナー肉芽腫症(Wegner’s granulomatosis)、混合性結合組織病、シェーグレン症候群、成人発症スチル病、アレルギー性肉芽腫性血管炎、過敏性血管炎、コーガン症候群、RS3PE、側頭動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、線維筋痛症症候群、抗リン脂質抗体症候群、好酸球性筋膜炎、IgG4関連疾患(例えば、原発性硬化性胆管炎および自己免疫性膵炎)、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症、慢性萎縮性胃炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、大動脈炎症候群、グッドパスチャー症候群、急速進行性糸球体腎炎、巨赤芽球性貧血、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、特発性血小板減少性紫斑病、グレーブス病(甲状腺機能亢進症)、橋本甲状腺炎、自己免疫性副腎不全、原発性甲状腺機能低下症、特発性アジソン病(慢性副腎不全)、I型糖尿病、慢性円板状エリテマトーデス、限局性強皮症、乾癬、乾癬性関節炎、天疱瘡、類天疱瘡、妊娠性疱疹、線状IgA水疱性皮膚症、後天性表皮水疱症、円形脱毛症、白斑、原田病、自己免疫性視神経症、特発性無精子症、習慣性胎児死亡、および炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)が挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、個体は、異常免疫応答に関連する代謝疾患を有する。例示的な代謝疾患としては、炎症性腸疾患、多発性硬化症、乾癬、関節リウマチ、および全身性エリテマトーデスが挙げられるが、これらに限定されない。
III.イメージング剤
本出願の一態様は、放射性核種で標識された抗体部分を含むイメージング剤であって、抗体部分が免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合する、イメージング剤を提供する。このセクションで説明されるイメージング剤のいずれか1つを、本明細書に記載の、免疫チェックポイントリガンドの分布および/もしくは発現レベルを決定する方法、または診断もしくは処置方法において使用することができる。
一部の実施形態では、放射性核種で標識された抗体部分を含むイメージング剤であって、抗体部分が免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合する、イメージング剤が提供される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1、PD−L2、B7−H3、ガレクチン−9、CD80、CD86およびICOSLからなる群から選択される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1様リガンドである。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、1,4,7−トリアザシクロノナン−1,4,7−三酢酸(NOTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(DOTA)またはその誘導体である。一部の実施形態では、抗体部分は、血清中で約10分〜約24時間(例えば、約10分〜2時間、約1時間〜4時間、約4時間〜8時間、約8時間〜12時間、または約12時間〜24時間のいずれか1つ)の半減期を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、約120kDa以下(例えば、約30kDa、50kDa、80kDaもしくは100kDa以下、または約30〜50kDa、約50〜100kDa、もしくは約30〜80kDaのいずれか1つ)である。一部の実施形態では、抗体部分は、免疫チェックポイントリガンドとの約9×10−10M〜約1×10−8M(例えば、約9×10−10〜1×10−9、約1×10−9〜2×10−9、約2×10−10〜5×10−9、または約5×10−10〜1×10−8)の間のKDを有する。一部の実施形態では、抗体部分は、非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはサル)からの免疫チェックポイントリガンドと交差反応する。一部の実施形態では、抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗体部分は、酸性pHで(例えば、約6.5、6.0、5.5または5.0より低いpHで)安定している。一部の実施形態では、抗体部分は、約55〜70℃(例えば、約55〜60℃、約60〜65℃、または約65〜70℃のいずれか1つ)の融解温度(Tm)を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、およびVHHからなる群から選択される。
一部の実施形態では、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている抗体部分を含むイメージング剤であって、抗体部分が免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合する、イメージング剤が提供される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1、PD−L2、B7−H3、ガレクチン−9、CD80、CD86およびICOSLからなる群から選択される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1様リガンドである。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。一部の実施形態では、抗体部分は、血清中で約10分〜約24時間(例えば、約10分〜2時間、約1時間〜4時間、約4時間〜8時間、約8時間〜12時間、または約12時間〜24時間のいずれか1つ)の半減期を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、約120kDa以下(例えば、約30kDa、50kDa、80kDaもしくは100kDa以下、または約30〜50kDa、約50〜100kDa、もしくは約30〜80kDaのいずれか1つ)である。一部の実施形態では、抗体部分は、免疫チェックポイントリガンドとの約9×10−10M〜約1×10−8M(例えば、約9×10−10〜1×10−9、約1×10−9〜2×10−9、約2×10−10〜5×10−9、または約5×10−10〜1×10−8)の間のKDを有する。一部の実施形態では、抗体部分は、非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはサル)からの免疫チェックポイントリガンドと交差反応する。一部の実施形態では、抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗体部分は、酸性pHで(例えば、約6.5、6.0、5.5または5.0より低いpHで)安定している。一部の実施形態では、抗体部分は、約55〜70℃(例えば、約55〜60℃、約60〜65℃、または約65〜70℃のいずれか1つ)の融解温度(Tm)を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、およびVHHからなる群から選択される。
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体部分は、in vivoイメージングに適している、身体からの速いクリアランス速度に好適な血清中での半減期を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、約24時間、約20時間、約16時間、12時間、約8時間、約4時間、約2時間、約1時間、約30分以下またはそれ未満のいずれか1つの血清中での半減期を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、例えば、約10分〜約30分、約30分〜約1時間、約1時間〜約2時間、約2時間〜約3時間、約3時間〜約4時間、約4時間〜約6時間、約6時間〜約8時間、約8時間〜約12時間、約12時間〜約16時間、約16時間〜約20時間、約20時間〜約24時間、約10分〜約2時間、約1時間〜約4時間、約4時間〜約8時間、約8時間〜約12時間、または約12時間〜約24時間のいずれか1つを含む、約10分〜約24時間の血清中での半減期を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、約48時間、約36時間、約30時間、約24時間、約20時間、約16時間、約12時間、約8時間、約4時間、約2時間、約1時間、約30分以下またはそれ未満のいずれか1つで身体からクリアランスされる。一部の実施形態では、抗体部分は、例えば、約10分〜約30分、約30分〜約1時間、約1時間〜約2時間、約2時間〜約3時間、約3時間〜約4時間、約4時間〜約6時間、約6時間〜約8時間、約8時間〜約12時間、約12時間〜約16時間、約16時間〜約20時間、約20時間〜約24時間、約24時間〜約36時間、約36時間〜約48時間、約10分〜約2時間、約1時間〜約4時間、約4時間〜約8時間、約8時間〜約12時間、または約12時間〜約48時間のいずれか1つを含む、約10分〜約48時間の間に身体からクリアランスされる。
一部の実施形態では、抗体部分は、身体からのその迅速なクリアランスを可能にする低い分子量を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、約120kDa、約110kDa、約100kDa、約90kDa、約80kDa、約70kDa、約60kDa、約50kDa、約40kDaまたは約30kDa以下のいずれか1つの分子量を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、約15kDa〜約30kDa、約30kDa〜約50kDa、約50kDa〜約100kDa、約80kDa〜約120kDa、または約15kDa〜約120kDaの分子量を有する。例えば、scFvは、約27kDaの分子量を有し、Fcは、約26kDaの分子量を有し、scFv−Fcは、約80kDaの分子量を有する。
一部の実施形態では、抗体部分は、免疫チェックポイントリガンドに対する好適な親和性を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、約10−8M、約9×10−9M、約8×10−9M、約7×10−9M、約6×10−9M、約5×10−9M、約4×10−9M、約3×10−9M、約2×10−9M、約1×10−9M、または約9×10−10Mのいずれか1つより強い、免疫チェックポイントリガンドに対するKDを有する。一部の実施形態では、抗体部分は、約9×10−10M、約1×10−9M、約2×10−9M、約3×10−9M、約4×10−9M、約5×10−9M、約6×10−9M、約7×10−9M、約8×10−9M、約9×10−9M、または約10−8Mのいずれか1つより弱い、免疫チェックポイントリガンドに対するKDを有する。一部の実施形態では、抗体部分は、約9×10−10M〜1×10−8M、約9×10−10M〜1×10−9M、約1×10−9M〜2×10−9M、約2×10−9M〜3×10−9M、約3×10−9M〜4×10−9M、約4×10−9M〜5×10−9M、約5×10−9M〜6×10−9M、約6×10−9M〜7×10−9M、約7×10−9M〜8×10−9M、約8×10−9M〜9×10−9M、約9×10−9M〜1×10−8M、約2×10−10〜5×10−9、または約5×10−10〜1×10−8のいずれか1つである、免疫チェックポイントリガンドに対するKDを有する。
一部の実施形態では、抗体部分は、酸性pHまたは中性pHで安定している。一部の実施形態では、抗体部分は、約7.0、6.9、6.8、6.7、6.6、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、5.0または5.0未満よりも低いpHで安定している。一部の実施形態では、抗体部分は、少なくとも約4時間、少なくとも約6時間、少なくとも約8時間、少なくとも約10時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、または約7日より長い日数のいずれか1つにわたって、酸性pHまたは中性pHで安定している。一部の実施形態では、抗体部分は、塩基性pHで、例えば、約7.0、7.5、8.0、8.5または8.5より高いpHよりも高いpHで、安定している。一部の実施形態では、抗体部分は、塩基性pHで、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約3日、少なくとも約5日、少なくとも約7日、または約7日より長い日数のいずれか1つにわたって、安定している。安定性は、対応するpHを有する緩衝液中である期間(例えば、12時間、24時間、またはそれより長い時間)にわたってイメージング剤または抗体部分をインキュベートすること、および、SDS−PAGE、動的光散乱、クロマトグラフィー、NMRなどを含む当技術分野において公知の方法を使用してイメージング剤または抗体部分の完全性を評価することにより、測定することができる。
一部の実施形態では、抗体部分は、高温で、例えば、室温または生理的温度で、安定している。一部の実施形態では、抗体部分は、少なくとも約50℃、少なくとも約55℃、少なくとも約60℃、少なくとも約61℃、少なくとも約62℃、少なくとも約63℃、少なくとも約64℃、少なくとも約65℃、少なくとも約66℃、少なくとも約67℃、少なくとも約68℃、少なくとも約69℃、少なくとも約70℃、または約70℃より高い温度のいずれか1つの融解温度を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、例えば、約55℃〜60℃、約60℃〜65℃、約50℃〜65℃、約64℃〜68℃、または約65℃〜70℃のいずれか1つを含む、約55℃〜70℃の融解温度を有する。抗体部分の融解温度は、例えば示差走査蛍光定量法(DSF)を含む、当技術分野において公知の方法を使用して測定することができる。
[0100]
一部の実施形態では、抗体部分は、抗体部分の融解温度を上昇させるように、または抗体部分の安定性を増大させるように、1つまたは複数のジスルフィド結合で操作される。抗体部分がscFvを含む一部の実施形態では、scFvは、1つまたは複数の(例えば、1つ、2つ、3つまたはそれより多くの)操作されたジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、および/または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。scFvの構造および配列に基づいて好適な位置にあるVHのシステインおよびVLのシステインを操作することにより、他の操作されたジスルフィド結合をscFvに導入することができる。
企図される抗体部分は、ヒト化抗体、部分的ヒト化抗体、完全ヒト化抗体、半合成抗体、キメラ抗体、マウス抗体、ヒト抗体、ならびに本明細書で、例えば「抗PD−L1抗体剤」セクションで、論じられる重鎖および/または軽鎖CDRを含む抗体を含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、抗体部分は、ヒトからの免疫チェックポイントリガンドを特異的に認識する。一部の実施形態では、抗体部分は、2つまたはそれより多くの種からの免疫チェックポイントリガンドと交差反応する。モデル動物およびヒトとの抗体部分の交差反応性は、イメージング剤の臨床研究を促進する。一部の実施形態では、抗体部分は、哺乳動物などの非ヒト動物からの免疫チェックポイントリガンドと交差反応する。一部の実施形態では、抗体部分は、マウスまたはラットなどの齧歯類からの免疫チェックポイントリガンドと交差反応する。一部の実施形態では、抗体部分は、カニクイザルなどの非ヒト霊長類からの免疫チェックポイントリガンドと交差反応する。
一部の実施形態では、抗体部分は、抗原結合性断片である。一部の実施形態では、抗体部分は、全長抗体である。好適な抗体部分としては、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、VHH、およびこれらのFc融合体が挙げられるが、それらに限定されない。一部の実施形態では、抗体部分は、scFvである。本明細書に記載のイメージング剤に好適である抗体断片およびバリアントは、セクション「抗体部分」でさらに説明される。一部の実施形態では、抗体部分は、Fabである。一部の実施形態では、抗体部分は、Fc断片に融合したscFvである。
したがって、一部の実施形態では、放射性核種で標識されたscFvを含むイメージング剤であって、scFvが免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合する、イメージング剤が提供される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1、PD−L2、B7−H3、ガレクチン−9、CD80、CD86およびICOSLからなる群から選択される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1様リガンドである。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、scFvは、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。一部の実施形態では、scFvは、免疫チェックポイントリガンドとの約9×10−10M〜約1×10−8M(例えば、約9×10−10〜1×10−9、約1×10−9〜2×10−9、約2×10−10〜5×10−9、または約5×10−10〜1×10−8)の間のKDを有する。一部の実施形態では、scFvは、非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはサル)からの免疫チェックポイントリガンドと交差反応する。一部の実施形態では、scFvは、ヒト化されている。一部の実施形態では、scFvは、酸性pHで(例えば、約6.5、6.0、5.5または5.0より低いpHで)安定している。一部の実施形態では、scFvは、約55〜70℃(例えば、約55〜60℃、約60〜65℃、または約65〜70℃のいずれか1つ)の融解温度(Tm)を有する。一部の実施形態では、scFvは、1つまたは複数の操作されたジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、scFvは、N末端からC末端に向かって、VH、必要に応じたペプチドリンカー、およびVLを含む。一部の実施形態では、scFvは、N末端からC末端に向かって、VL、必要に応じたペプチドリンカー、およびVHを含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号47または48のアミノ酸配列を含むペプチドリンカーを含む。一部の実施形態では、scFvは、1つまたは複数の(例えば、1つ、2つ、3つまたはそれより多くの)操作されたジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、および/または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。
一部の実施形態では、放射性核種で標識された抗体部分を含むイメージング剤であって、抗体部分が免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合し、抗体部分が、Fc断片に融合したscFvである、イメージング剤が提供される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1、PD−L2、B7−H3、ガレクチン−9、CD80、CD86およびICOSLからなる群から選択される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1様リガンドである。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。一部の実施形態では、抗体部分は、免疫チェックポイントリガンドとの約9×10−10M〜約1×10−8M(例えば、約9×10−10〜1×10−9、約1×10−9〜2×10−9、約2×10−10〜5×10−9、または約5×10−10〜1×10−8)の間のKDを有する。一部の実施形態では、抗体部分は、非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはサル)からの免疫チェックポイントリガンドと交差反応する。一部の実施形態では、抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗体部分は、酸性pHで(例えば、約6.5、6.0、5.5または5.0より低いpHで)安定している。一部の実施形態では、抗体部分は、約55〜70℃(例えば、約55〜60℃、約60〜65℃、または約65〜70℃のいずれか1つ)の融解温度(Tm)を有する。一部の実施形態では、scFvは、1つまたは複数の操作されたジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、scFvは、N末端からC末端に向かって、VH、必要に応じたペプチドリンカー、およびVLを含む。一部の実施形態では、scFvは、N末端からC末端に向かって、VL、必要に応じたペプチドリンカー、およびVHを含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号47または48のアミノ酸配列を含むペプチドリンカーを含む。一部の実施形態では、scFvは、1つまたは複数の(例えば、1つ、2つ、3つまたはそれより多くの)操作されたジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、および/または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、Fc断片は、ヒトIgG1 Fc断片である。一部の実施形態では、Fc断片は、H310AおよびH435Q変異を有し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。
一部の実施形態では、放射性核種(例えば、68Ga)をキレート化するキレート化合物(例えば、NOTA、DOTA、またはその誘導体)にコンジュゲートされている抗体部分を含むイメージング剤であって、抗体部分が免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合し、抗体部分が、Fc断片に融合したscFvである、イメージング剤が提供される。一部の実施形態では、放射性核種(例えば、68Ga)をキレート化するNOTAにコンジュゲートされている抗体部分を含むイメージング剤であって、抗体部分が免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合する、イメージング剤が提供される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1、PD−L2、B7−H3、ガレクチン−9、CD80、CD86およびICOSLからなる群から選択される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1様リガンドである。一部の実施形態では、抗体部分は、血清中で約10分〜約24時間(例えば、約10分〜2時間、約1時間〜4時間、約4時間〜8時間、約8時間〜12時間、または約12時間〜24時間のいずれか1つ)の半減期を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、約120kDa以下(例えば、約30kDa、50kDa、80kDaもしくは100kDa以下、または約30〜50kDa、約50〜100kDa、もしくは約30〜80kDaのいずれか1つ)である。一部の実施形態では、抗体部分は、免疫チェックポイントリガンドとの約9×10−10M〜約1×10−8M(例えば、約9×10−10〜1×10−9、約1×10−9〜2×10−9、約2×10−10〜5×10−9、または約5×10−10〜1×10−8)の間のKDを有する。一部の実施形態では、抗体部分は、非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはサル)からの免疫チェックポイントリガンドと交差反応する。一部の実施形態では、抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗体部分は、酸性pHで(例えば、約6.5、6.0、5.5または5.0より低いpHで)安定している。一部の実施形態では、抗体部分は、約55〜70℃(例えば、約55〜60℃、約60〜65℃、または約65〜70℃のいずれか1つ)の融解温度(Tm)を有する。一部の実施形態では、抗体部分は、一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、およびVHHからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。
一部の実施形態では、放射性核種(例えば、68Ga)をキレート化するキレート化合物(例えば、NOTA、DOTA、またはその誘導体)にコンジュゲートされているscFvを含むイメージング剤であって、scFvが免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合する、イメージング剤が提供される。一部の実施形態では、放射性核種(例えば、68Ga)をキレート化するNOTAにコンジュゲートされているscFvを含むイメージング剤であって、scFvが免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合する、イメージング剤が提供される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1、PD−L2、B7−H3、ガレクチン−9、CD80、CD86およびICOSLからなる群から選択される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1様リガンドである。一部の実施形態では、scFvは、免疫チェックポイントリガンドとの約9×10−10M〜約1×10−8M(例えば、約9×10−10〜1×10−9、約1×10−9〜2×10−9、約2×10−10〜5×10−9、または約5×10−10〜1×10−8)の間のKDを有する。一部の実施形態では、scFvは、非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはサル)からの免疫チェックポイントリガンドと交差反応する。一部の実施形態では、scFvは、ヒト化されている。一部の実施形態では、scFvは、酸性pHで(例えば、約6.5、6.0、5.5または5.0より低いpHで)安定している。一部の実施形態では、scFvは、約55〜70℃(例えば、約55〜60℃、約60〜65℃、または約65〜70℃のいずれか1つ)の融解温度(Tm)を有する。一部の実施形態では、scFvは、1つまたは複数の操作されたジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、scFvは、N末端からC末端に向かって、VH、必要に応じたペプチドリンカー、およびVLを含む。一部の実施形態では、scFvは、N末端からC末端に向かって、VL、必要に応じたペプチドリンカー、およびVHを含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号47または48のアミノ酸配列を含むペプチドリンカーを含む。一部の実施形態では、scFvは、1つまたは複数の(例えば、1つ、2つ、3つまたはそれより多くの)操作されたジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、および/または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。
一部の実施形態では、放射性核種(例えば、68Ga)をキレート化するNOTAにコンジュゲートされている抗体部分を含むイメージング剤であって、抗体部分が免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合し、抗体部分が、Fc断片に融合したscFvである、イメージング剤が提供される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1、PD−L2、B7−H3、ガレクチン−9、CD80、CD86およびICOSLからなる群から選択される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1様リガンドである。一部の実施形態では、抗体部分は、免疫チェックポイントリガンドとの約9×10−10M〜約1×10−8M(例えば、約9×10−10〜1×10−9、約1×10−9〜2×10−9、約2×10−10〜5×10−9、または約5×10−10〜1×10−8)の間のKDを有する。一部の実施形態では、抗体部分は、非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはサル)からの免疫チェックポイントリガンドと交差反応する。一部の実施形態では、抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗体部分は、酸性pHで(例えば、約6.5、6.0、5.5または5.0より低いpHで)安定している。一部の実施形態では、抗体部分は、約55〜70℃(例えば、約55〜60℃、約60〜65℃、または約65〜70℃のいずれか1つ)の融解温度(Tm)を有する。一部の実施形態では、scFvは、1つまたは複数の操作されたジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、scFvは、N末端からC末端に向かって、VH、必要に応じたペプチドリンカー、およびVLを含む。一部の実施形態では、scFvは、N末端からC末端に向かって、VL、必要に応じたペプチドリンカー、およびVHを含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号47または48のアミノ酸配列を含むペプチドリンカーを含む。一部の実施形態では、scFvは、1つまたは複数の(例えば、1つ、2つ、3つまたはそれより多くの)操作されたジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、および/または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、Fc断片は、ヒトIgG1 Fc断片である。一部の実施形態では、Fc断片は、H310AおよびH435Q変異を有し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。
一部の実施形態では、放射性核種で標識された抗PD−L1抗体部分を含むイメージング剤であって、抗PD−L1抗体部分がPD−L1に特異的に結合する、イメージング剤が提供される。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、血清中で約10分〜約24時間(例えば、約10分〜2時間、約1時間〜4時間、約4時間〜8時間、約8時間〜12時間、または約12時間〜24時間のいずれか1つ)の半減期を有する。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、約120kDa以下(例えば、約30kDa、50kDa、80kDaもしくは100kDa以下、または約30〜50kDa、約50〜100kDa、もしくは約30〜80kDaのいずれか1つ)である。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、免疫チェックポイントリガンドとの約9×10−10M〜約1×10−8M(例えば、約9×10−10〜1×10−9、約1×10−9〜2×10−9、約2×10−10〜5×10−9、または約5×10−10〜1×10−8)の間のKDを有する。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはサル)からの免疫チェックポイントリガンドと交差反応する。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、酸性pHで(例えば、約6.5、6.0、5.5または5.0より低いpHで)安定している。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、約55〜70℃(例えば、約55〜60℃、約60〜65℃、または約65〜70℃のいずれか1つ)の融解温度(Tm)を有する。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、およびVHHからなる群から選択される。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、scFvである。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、Fcに融合したscFvである。例示的な抗PD−L1抗体部分は、「抗PD−L1抗体剤」セクションで詳細に論じられる。
放射性核種
本明細書に記載のイメージング剤は、標識を含む。診断のために、標識は、放射性核種、放射線造影剤、常磁性イオン、金属、蛍光標識、化学発光標識、超音波造影剤および光活性剤であり得る。そのような診断用標識は、周知であり、任意のそのような公知の標識を使用することができる。
一部の実施形態では、イメージング剤は、放射性核種を含む。「放射性核種」は、「放射性同位体」または「ラジオアイソトープ」と呼ばれることが多い。本明細書に記載の抗体部分に結合させることができる例示的な放射性核種または安定な同位体としては、110In、111In、177Lu、18F、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、86Y、90Y、89Zr、94mTc、94Tc、99mTc、120I、123I、124I、125I、131I、154〜158Gd、32P、11C、13N、15O、186Re、188Re、51Mn、52mMn、55Co、72As、75Br、76Br、82mRb、83Sr、または他のガンマ放射体、ベータ放射体もしくは陽電子放射体が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。
有用な常磁性イオンとしては、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)またはエルビウム(III)を挙げることができる。金属造影剤としては、ランタン(III)、金(III)、鉛(II)またはビスマス(III)を挙げることができる。放射線不透過性診断剤は、化合物、バリウム化合物、ガリウム化合物、およびタリウム化合物から選択することができる。多種多様な蛍光標識が、当技術分野において公知であり、それらは、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン(phycoe1ytherin)、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒド(ophthaldehyde)およびフルオレスカミンを、これらに限定されないが、含む。有用な化学発光標識としては、ルミノール、イソルミノール、芳香族アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩またはシュウ酸エステルを挙げることができる。
放射免疫検出(RAID)は、臨床的に有用な分野としてこの35年の間に浮上してきた。RAIDを使用するほぼ1000件の臨床試験がこの期間に行われており、いくつかの明確かつ重要な発見があった。従来のイメージングにより「不顕性」と思われた病変を検出するこの技術のより大きな能力は、抗体、腫瘍または放射性核種の種類にかかわらず、初期研究においても認識され、研究により繰り返し確認されてきた。
68Ga、99Tc、64Cuおよび18Fなどの多くの放射性核種は、一般に好まれる良好なイメージング剤である。それらは、安全なイメージングにとって理想的であるガンマまたはベータエネルギーを通常は有し、安価であり、容易に利用可能であり、発生装置により生成され、無担体である。それらの短い半減期(6時間未満)により、それらを初期イメージング研究のための抗体断片とのカップリングに役立てやすい。
一部の実施形態では、イメージング剤は、放射性核種をキレート化するキレート化合物を含む。一部の実施形態では、キレート化合物は、放射性金属をキレート化する。一部の実施形態では、キレート化合物は、金属18Fをキレート化する。一部の実施形態では、キレート化合物は、金属イオンに結合することおよび迅速なin vivoクリアランスを確実にするのに役立つことができる、親水性キレート化合物である。好適なキレート化合物をそれらの特定の金属結合特性について選択することができ、公知の化学的架橋技術による置換、または側鎖反応性基を有するキレート剤(例えば、二官能性キレート化合物)の使用による置換を、通例の実験のみで行うことができる。
特に有用な金属−キレート化合物の組合せとしては、放射性イメージングのために、125I、131I、123I、124I、62Cu、64Cu、18F、111In、67Ga、68Ga、99Tc、94Tc、11C、13N、15O、76Brなどの、60〜4000keVの一般エネルギー範囲の診断用同位体とともに使用される、2−ベンジル−DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)ならびにそのモノメチルおよびシクロへキシル類似体が挙げられる。同じキレート化合物は、マンガン、鉄およびガドリニウムなどの非放射性金属と錯化した場合、MRIに有用である。NOTA(1,4,7−トリアザシクロノナン−1,4,7−三酢酸)、DOTA(1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’,N’’’−四酢酸)、TETA(ブロモアセトアミド−ベンジル−テトラエチルアミン四酢酸)およびNETA({4−[2−(ビス−カルボキシメチル−アミノ)−エチル]−7−カルボキシメチル−[1,4,7]トリアゾナン−1−イル}−酢酸)などの、大環状キレート化合物は、ガリウム、イットリウムおよび銅などの様々な診断用放射性金属との使用に有用である。そのような金属キレート錯体を、目的の金属に環のサイズを合わせることによって非常に安定したものにすることができる。NOTAなどの大環状の環構造に結合した基を変えることにより、種々の金属および/または放射性核種に対する結合特性および親和性を変化させることができること、したがって、例えばNOTAの、そのような誘導体または類似体を、本明細書で論じられる金属または放射性核種のいずれかに結合するように設計することができることは、当業者には理解される。
リガンドが、カルボン酸基またはアミン基などの硬い塩基キレート官能基を含む場合、DTPAおよびDOTA型キレート剤は、硬い酸カチオン、特にIIa族およびIIIa族金属カチオンをキレート化するのに最も有効である。そのような金属−キレート錯体を、目的の金属に環のサイズを合わせることによって、非常に安定したものにすることができる。大環状ポリエーテルなどの他の環型キレート剤は、核種に安定的に結合するため興味深い。ポルフィリンキレート剤は、非常に多くの金属錯体に関して使用することができる。1つより多くの種類のキレート剤をペプチドにコンジュゲートさせて複数の金属イオンに結合させることができる。米国特許第5,753,206号において開示されているものなどのキレート剤、特に、チオセミカルバゾニルグリオキシルシステイン(Tscg−Cys)およびチオセミカルバジニル−アセチルシステイン(Tsca−Cys)キレート剤は、Tc、Re、Biなどの軟らかい酸カチオンと、軟らかい塩基リガンドに堅く結合している他の遷移金属、ランタニドおよびアクチニドとを結合させるために有利に使用される。DOTA、TETAなどのような他の硬い酸キレート剤でDTPAおよび/またはTscgCys基を置換することができる。
一部の実施形態では、キレート化合物は、抗体部分にコンジュゲートさせることができる官能基を含む。一部の実施形態では、キレート化合物は、抗体部分の第一級アミン(−NH2)基と反応性である官能基を含む。第一級アミンは、各ポリペプチド鎖のN末端に、およびリシン(Lys)アミノ酸残基の側鎖内に存在する。抗体部分の第一級アミン、例えばリシン側鎖、にコンジュゲートさせることができる例示的な官能基としては、イソチオシアン酸、イソシアン酸、アシルアジド、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、塩化スルホニル、アルデヒド、グリオキサール、エポキシド、オキシラン、炭酸、アリールハライド、イミドエステル、カルボジイミド、無水物、およびフルオロフェニルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。これらの官能基のほとんどが、アシル化またはアルキル化のどちらかによりアミンにコンジュゲートする。
一部の実施形態では、キレート化合物は、抗体部分のシステイン側鎖(すなわち、スルフヒドリル基)と反応性である、官能基を含む。例示的なスルフヒドリル反応性基としては、ハロアセチル、マレイミド、アジリジン、アクリロイル、アリール化剤、ビニルスルホン、ピリジルジスルフィド、TNB−チオールおよびジスルフィド還元剤が挙げられるが、これらに限定されない。これらの基のほとんどが、アルキル化(通常は、チオエーテル結合の形成)またはジスルフィド交換(ジスルフィド結合の形成)のどちらかによりスルフヒドリルにコンジュゲートする。
一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA誘導体を含む、NOTAである。抗体部分への、例えば、リシンおよびシステインなどのアミノ酸側鎖による、コンジュゲーションに好適な官能基を有する例示的なNOTA化合物は、図23に示されている。一部の実施形態では、イメージング剤は、抗体部分にコンジュゲートされているNOTAを含む。一部の実施形態では、NOTA化合物は、イソチオシアン酸(−SCN)基を含む。一部の実施形態では、NOTA化合物は、p−SCN−Bn−NOTAである。一部の実施形態では、キレート化合物は、抗体部分内のリシン残基にコンジュゲートされているNOTAを含み、NOTAは、68Gaをキレート化する。一部の実施形態では、NOTA化合物は、68Ga、または18F−金属などの、放射性金属で先ず標識され、次いで抗体部分にコンジュゲートされる。
IV.抗PD−L1抗体剤
本出願の一態様は、単離された抗PD−L1抗体剤および抗PD−L1イメージング剤を提供する。単離された抗PD−L1抗体剤は、非標識であることもあり、放射性核種で標識されていることもある。本明細書に記載の単離された抗PD−L1抗体剤は、抗PD−L1治療剤を包含しない。
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗PD−L1抗体部分のいずれか1つを含む単離された抗PD−L1抗体剤が提供される。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、scFvを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、scFvである。一部の実施形態では、scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、Fc断片(例えば、IgG1 Fc断片)に融合したscFvである。一部の実施形態では、Fc断片は、H310AおよびH435Q変異を有し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。
一部の実施形態では、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVHと、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVLとを含む抗PD−L1抗体部分を含む、単離された抗PD−L1抗体剤が提供される。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVHと;配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLとを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、ヒト化されている。
一部の実施形態では、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVHと、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVLとを含む抗PD−L1 scFvを含む、単離された抗PD−L1抗体剤が提供される。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVHと;配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLとを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
一部の実施形態では、Fc断片に融合した抗PD−L1 scFvを含む単離された抗PD−L1抗体剤であって、抗PD−L1 scFvが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVHと、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVLとを含む、単離された抗PD−L1抗体剤が提供される。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVHと;配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLとを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、Fc断片は、IgG1 Fc断片である。一部の実施形態では、Fc断片は、H310AおよびH435Q変異を有し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。
抗PD−L1抗体部分
本明細書に記載の単離された抗PD−L1抗体剤は、PD−L1に特異的に結合する抗体部分を含む。企図される抗PD−L1抗体部分は、例えば、抗PD−L1 scFv、抗PD−L1 Fab、抗PD−L1 Fc融合タンパク質(例えば、Fcに融合した抗PD−L1 scFv)を含む。本明細書に記載の抗PD−L1抗体部分は、ヒト化抗体、部分的ヒト化抗体、完全ヒト化抗体、半合成抗体、キメラ抗体、マウス抗体、ヒト抗体、ならびに本明細書で論じられる重鎖および/または軽鎖CDRを含む抗体を含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、PD−L1を特異的に認識する。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、ヒトPD−L1を特異的に認識する。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、PD−L1の細胞外ドメインを特異的に認識する。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、配列番号49のアミノ酸19〜238のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。
配列番号49ヒトPD−L1配列
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、または最大約5つ(例えば、約1つ、約2つ、約3つ、約4つもしくは約5つのいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む重鎖可変ドメイン(VH);およびii)配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、または最大約5つ(例えば、約1つ、約2つ、約3つ、約4つもしくは約5つのいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、i)配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVH;およびii)配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLを含む。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、i)配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、または最大約5つ(例えば、約1つ、約2つ、約3つ、約4つもしくは約5つのいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントと、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、または最大約5つ(例えば、約1つ、約2つ、約3つ、約4つもしくは約5つのいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントと、配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、または最大約5つ(例えば、約1つ、約2つ、約3つ、約4つもしくは約5つのいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントとを含むVH;およびii)配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、または最大約5つ(例えば、約1つ、約2つ、約3つ、約4つもしくは約5つのいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントと、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、または最大約5つ(例えば、約1つ、約2つ、約3つ、約4つもしくは約5つのいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントと、配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、または最大約5つ(例えば、約1つ、約2つ、約3つ、約4つもしくは約5つのいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントとを含むVLを含む。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、i)配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、またはHC−CDR配列に最大約5つ(例えば、約1つ、約2つ、約3つ、約4つもしくは約5つのいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVHと、ii)配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、またはLC−CDR配列に最大約5つ(例えば、約1つ、約2つ、約3つ、約4つもしくは約5つのいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVLとを含む。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、i)配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1と、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2と、配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3とを含むVH;およびii)配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1と、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2と、配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3とを含むVLを含む。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、i)配列番号41、配列番号42および配列番号43のアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号44、配列番号45および配列番号46のアミノ酸配列を含むVLとを含む。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、i)配列番号1のアミノ酸配列を含むVHの1つ、2つまたは3つのCDRを含むVH、およびii)配列番号3のアミノ酸配列を含むVLの1つ、2つまたは3つのCDRを含むVLを含む。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号1のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号1に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVH;およびb)配列番号2のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号2に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号1のアミノ酸配列を含むVH;およびb)配列番号2のアミノ酸配列を含むVLを含む。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体は、キメラ抗体である。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、マウス可変領域およびヒト定常領域を含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号5のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号5に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含む重鎖;およびb)配列番号7のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号7に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含む軽鎖を含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖;およびb)配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体は、ヒト化抗体である。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列を含むかまたは配列番号9、11および13のいずれか1つに対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVH;およびb)配列番号15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列を含むかまたは配列番号15、17および19のいずれか1つに対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH;およびb)配列番号15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号9のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号9に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVH;およびb)配列番号15のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号15に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号9のアミノ酸配列を含むVH;およびb)配列番号15のアミノ酸配列を含むVLを含む。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号11のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号11に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVH;およびb)配列番号15のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号15に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号11のアミノ酸配列を含むVH;およびb)配列番号15のアミノ酸配列を含むVLを含む。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号13のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号13に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVH;およびb)配列番号15のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号15に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号13のアミノ酸配列を含むVH;およびb)配列番号15のアミノ酸配列を含むVLを含む。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号9のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号9に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVH;およびb)配列番号17のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号17に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号9のアミノ酸配列を含むVH;およびb)配列番号17のアミノ酸配列を含むVLを含む。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号11のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号11に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVH;およびb)配列番号17のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号17に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号11のアミノ酸配列を含むVH;およびb)配列番号17のアミノ酸配列を含むVLを含む。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号13のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号13に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVH;およびb)配列番号17のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号17に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号13のアミノ酸配列を含むVH;およびb)配列番号17のアミノ酸配列を含むVLを含む。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号9のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号9に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVH;およびb)配列番号19のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号19に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号9のアミノ酸配列を含むVH;およびb)配列番号19のアミノ酸配列を含むVLを含む。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号11のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号11に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVH;およびb)配列番号19のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号19に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号11のアミノ酸配列を含むVH;およびb)配列番号19のアミノ酸配列を含むVLを含む。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号13のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号13に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVH;およびb)配列番号19のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号19に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、a)配列番号13のアミノ酸配列を含むVH;およびb)配列番号19のアミノ酸配列を含むVLを含む。
重鎖および軽鎖可変ドメインを様々な対での組み合わせで組み合わせて、いくつかの抗PD−L1抗体部分を生成することができる。抗PD−L1抗体の例示的な配列は、表3および4で提供される。表3に示されるような例示的なCDR、VHおよびVL配列は、INTERNATIONAL IMMUNOGENETICS INFORMATION SYSTEM(登録商標)(IMGT)に従って範囲が定められている。例えば、Lefranc, MP et al., Nucleic Acids Res., 43:D413−422 (2015)を参照されたく、この開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。抗体重鎖および軽鎖可変領域内のCDR位置の予測のための多くのアルゴリズムが公知であること、および本明細書に記載の抗体からのCDRだがIMGT以外の予測アルゴリズムに基づくCDRを含む抗体剤が、本発明の範囲内であることは、当業者であれば認識する。表4は、様々な他の番号付けスキームおよび/または定義による例示的なCDR配列を収載する。
表3.例示的な抗PD−L1抗体配列。
表4.様々なCDR定義による例示的な抗PD−L1 CDR
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、本明細書に記載の抗PD−L1抗体部分のいずれか1つに従う第2の抗PD−L1抗体部分と、標的PD−L1への結合について競合する。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、第2の抗PD−L1抗体部分の場合と同じエピトープまたは実質的に同じエピトープに結合する。一部の実施形態では、標的PD−L1への抗PD−L1抗体部分の結合は、PD−L1への第2の抗PD−L1抗体部分の結合を少なくとも約70%(例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)阻害し、または逆に、標的PD−L1への第2の抗PD−L1抗体部分の結合は、PD−L1への抗PD−L1抗体部分の結合を少なくとも約70%(例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)阻害する。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分および第2の抗PD−L1抗体部分は、標的PD−L1への結合について交差競合する、すなわち、これらの抗PD−L1抗体部分の各々が、標的PD−L1への結合について他方と競合する。
抗PD−L1 scFv
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、scFvを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、scFvである。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、(N末端からC末端に向かって):VL−L−VH、またはVH−L−VL(ここで、Lはペプチドリンカーである)の配置を有する。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、キメラ、ヒト、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、または半合成のものである。
一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、増強された熱安定性を有するように操作される。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、約55〜70℃、例えば、約55〜60℃、約60〜65℃、または約65〜70℃のいずれか1つの融解温度を有するように操作される。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、1つまたは複数の(例えば、1つ、2つ、3つまたはそれより多くの)操作されたジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、および/または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。scFvの構造および配列に基づいて好適な位置にあるVHのシステインおよびVLのシステインを操作することにより、他の操作されたジスルフィド結合を抗PD−L1 scFvに導入することができる。
一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、i)配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、またはHC−CDR配列に最大約5つ(例えば、約1つ、約2つ、約3つ、約4つもしくは約5つのいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVHと、ii)配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、またはLC−CDR配列に最大約5つ(例えば、約1つ、約2つ、約3つ、約4つもしくは約5つのいずれか)のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVLとを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、N末端からC末端に向かって、VH、必要に応じたペプチドリンカー、およびVLを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、N末端からC末端に向かって、VL、必要に応じたペプチドリンカー、およびVHを含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号47または48のアミノ酸配列を含むペプチドリンカーを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、1つまたは複数の(例えば、1つ、2つ、3つまたはそれより多くの)操作されたジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、および/または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。
一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVHと;配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLとを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、N末端からC末端に向かって、VH、必要に応じたペプチドリンカー、およびVLを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、N末端からC末端に向かって、VL、必要に応じたペプチドリンカー、およびVHを含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号47または48のアミノ酸配列を含むペプチドリンカーを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、1つまたは複数の(例えば、1つ、2つ、3つまたはそれより多くの)操作されたジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、および/または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。
一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、Hisタグを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、抗PD−L1 scFv部分のC末端に融合したHisタグを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、GGGGSHHHHHH(配列番号51)を含む。例示的な抗PD−L1 scFvは、図9で説明される。例示的な抗PD−L1 scFv配列は、表5に示される。
表5.例示的な抗PD−L1 scFv配列。
抗PD−L1 scFv−Fc
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、Fc断片に融合した本明細書に記載の抗PD−L1 scFvのいずれか1つに従う抗PD−L1 scFvである。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、Fc断片にペプチドリンカーを介して融合している。抗PD−L1抗体部分は、上記「抗体部分」セクションに記載のFc断片のいずれかを含み得る。一部の実施形態では、Fc断片は、ヒトIgG1 Fc断片である。一部の実施形態では、Fc断片は、クリアランスを増加させるためのまたは半減期を短縮するための1つまたは複数の変異を含む。例えば、Fc断片は、H310Aおよび/またはH435Q変異を有し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。
一部の実施形態では、Fc断片の各鎖は、同じ実体に融合している。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFv−Fcは、Fc断片の一方の鎖に各々が融合している、本明細書に記載の2つの同一の抗PD−L1 scFvを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFv−Fcは、ホモ二量体である。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFv−Fcは、ヘテロ二量体である。
一部の実施形態では、抗PD−L1 scFv−Fcは、配列番号21もしくは23のアミノ酸配列を含むか、または配列番号21もしくは23のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。例示的な抗PD−L1 scFv−Fc配列は、表6に示される。
表6.例示的な抗PD−L1 scFv−Fc配列。
抗PD−L1イメージング剤
本明細書に記載の抗PD−L1抗体部分のいずれか1つをPD−L1の検出のためにイメージング剤に組み込むことができる。本明細書における抗PD−L1抗体に関するこのセクションに記載の特徴を、上記のセクション「イメージング剤」に記載の特徴と任意の好適な組合せで組み合わせることができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗PD−L1抗体部分のいずれか1つを含むイメージング剤であって、抗体部分が放射性核種で標識されている、イメージング剤が提供される。一部の実施形態では、放射性核種は、62Cu、64Cu、67Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、86Y、90Yおよび89Zrからなる群から選択される。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分が放射性核種で標識されている、本明細書に記載の単離された抗PD−L1抗体剤のいずれか1つを含むイメージング剤が、提供される。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。
一部の実施形態では、放射性核種で標識された抗PD−L1抗体部分を含むイメージング剤であって、抗PD−L1抗体部分が、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVHと、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVLとを含む、イメージング剤が提供される。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVHと;配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLとを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。
一部の実施形態では、放射性核種で標識された抗PD−L1 scFvを含むイメージング剤であって、抗PD−L1 scFvが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVHと、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVLとを含む、イメージング剤が提供される。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVHと;配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLとを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、Fc断片は、IgG1 Fc断片である。一部の実施形態では、Fc断片は、H310AおよびH435Q変異を有し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。
一部の実施形態では、放射性核種で標識された抗PD−L1抗体部分を含むイメージング剤であって、抗PD−L1抗体部分が、Fc断片に融合した抗PD−L1 scFvであり、抗PD−L1抗体部分が、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVHと、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVLとを含む、イメージング剤が提供される。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVHと;配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLとを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、Fc断片は、IgG1 Fc断片である。一部の実施形態では、Fc断片は、H310AおよびH435Q変異を有し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート化合物にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。
一部の実施形態では、放射性核種(例えば、68Ga)をキレート化するNOTAにコンジュゲートされている抗PD−L1抗体部分を含むイメージング剤であって、抗PD−L1抗体部分が、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVHと、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVLとを含む、イメージング剤が提供される。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVHと;配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLとを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。
一部の実施形態では、放射性核種(例えば、68Ga)をキレート化するNOTAにコンジュゲートされている抗PD−L1 scFvを含むイメージング剤であって、抗PD−L1 scFvが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVHと、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVLとを含む、イメージング剤が提供される。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVHと;配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLとを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、Fc断片は、IgG1 Fc断片である。一部の実施形態では、Fc断片は、H310AおよびH435Q変異を有し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。
一部の実施形態では、放射性核種(例えば、68Ga)をキレート化するNOTAにコンジュゲートされている抗PD−L1抗体部分を含むイメージング剤であって、抗PD−L1抗体部分が、Fc断片に融合した抗PD−L1 scFvであり、抗PD−L1抗体部分が、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVHと、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、または最大約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むVLとを含む、イメージング剤が提供される。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVHと;配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含むVLとを含む。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体部分は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、Fc断片は、IgG1 Fc断片である。一部の実施形態では、Fc断片は、H310AおよびH435Q変異を有し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、抗PD−L1 scFvは、配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、または配列番号25、27、29、31、33、35、37および39のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%のいずれか1つ)の配列同一性を有するそのバリアントを含む。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。
PD−1
PD−1/PD−L1経路および抗PD免疫療法
プログラム細胞死1(PD−1)をコードする遺伝子は、1992年に古典的アポトーシスを受けるマウスT細胞ハイブリドーマおよび造血前駆細胞系から最初に単離された(Ishida Y, et al. The EMBO journal 1992; 11:3887−3895)。構造的には、CD28およびCTLA4ホモログと同様に、PD−1は、I型膜貫通タンパク質であり、Igスーパーファミリーに属する(Sharpe AH and Freeman GJ. Nature Reviews Immunology 2002; 2:116−126)。T細胞応答の負のモジュレーションおよび末梢寛容の維持におけるPD−1の重要な役割が、種々のマウスモデルを使用するPD−1遺伝子破壊研究により示された。C57BL/6バックグラウンドのPD−1欠損マウスは、同種抗原に対するPD−1欠損T細胞の増殖の増強に起因してループス様自己免疫疾患を発症する(Nishimura H et al. Immunity 1999; 11:141−151)。BALB/cの場合、PD−1ノックアウトマウスは、拡張型心筋症を発症し、うっ血性心不全から突然死を遂げたが、免疫不全BALB/c RAG2−/−バックグラウンドの場合はそうはならなかった(Nishimura H et al. Science 2001; 291:319−322)。主要誘因の1つは、心臓特異的タンパク質心筋トロポニンIに対する高力価自己抗体の生成であると後に特定された(Okazaki T, et al. Nature medicine 2003; 9:1477−1483)。NOD(非肥満糖尿病)バックグラウンドでのPD−1欠損は、加速された膵島特異的T細胞拡大増殖および膵島への浸潤に起因してI型糖尿病の早期開始につながる(Yantha J et al. Diabetes 2010; 59:2588−2596)。全体的に見れば、PD−1分子は、末梢寛容に関与する阻害性受容体として作用する(Nishimura H, Honjo T. Trends in immunology 2001; 22:265−268)。CTLA−4とは異なり、PD−1における免疫受容体チロシン依存性スイッチモチーフ(ITSM)は、TCRシグナル伝達後、SHP−2ホスファターゼを動員し、活性化誘導リン酸化を逆転させるが、PD−1の細胞質側テールに位置する隣接ITIMドメインはそうではなかった(Ishida Y, et al. The EMBO journal 1992; 11:3887−3895)。
いくつかの研究が、PD−1と相互作用する分子の発見に寄与した。1999年に、B7ホモログ1(B7H1、後の文献ではプログラム死リガンド−1[PD−L1]とも呼ばれた)が、in vitroでヒトT細胞応答の負の調節因子として機能する免疫グロブリンスーパーファミリーのB7−CD28ファミリーに属する290アミノ酸I型膜貫通糖タンパク質として同定された(Dong H et al. Nature medicine 1999; 5:1365−1369)。1年後、PD−L1はPD−1の結合性かつ機能的対応物であることが示された(Freeman GJ et al. The Journal of experimental medicine 2000; 192:1027−1034)。PD−L1欠損マウスは自己免疫状態になりやすいことが、後に実証された(Dong H et al. Immunity 2004; 20:327−336)。注目すべきことに、PD−1およびPD−L1のmRNAは、多くの細胞型に広範囲に発現されるが、それらの発現パターンは転写後調節によって厳密に制御されるので、両方が誘導性分子である。PD−1タンパク質は、休止T細胞上では検出できないが、T細胞活性化から24時間以内に細胞表面に見られる(Keir ME et al. Annual review of immunology 2008; 26:677−704)。正常生理条件下では、PD−L1タンパク質は、扁桃、胎盤などの末梢組織と、肺および肝臓におけるほんの一部のマクロファージ様細胞とにしか発現されない(Dong H et al. Nature medicine 2002; 8:793−800; Petroff MG et al. Placenta 2002; 23 Suppl A:S95−101)。PD−L1の外因性の誘導は、インターフェロンγ(IFN−γ)などの炎症性サイトカインにより主として媒介され、これは、PD−1/PD−L1相互作用が、末梢組織における炎症反応の制御に重要な役割を果たすことを示す(Zou W, Chen L. Nature reviews Immunology 2008; 8:467−477)。
PD−L1に加えて、B7−DCと呼ばれる別のPD−1リガンド(PD−L2としても公知)も2つの研究所により独立して同定された(Tseng SY et al. The Journal of experimental medicine 2001; 193:839−846; Latchman Y, et al. Nature immunology 2001; 2:261−268)。PD−L2は、樹状細胞(DC)上に選択的に発現されること、そしてまたPD−1に結合することによりT細胞応答を負に調節することが判明した。最近、PD−L2は、肺マクロファージにおいて非常に豊富であり、呼吸耐性の誘導に必要とされ得る分子である、反発性ガイダンス分子ファミリーメンバーb(RGMb)と相互作用することも判明した(Xiao Y, et al. The Journal of experimental medicine 2014; 211:943−959)。興味深いことに、PD−L1は、in vivoでのT細胞寛容の形成にも寄与し得る、阻害性シグナルを送るための別の受容体CD80を活性化T細胞上に有することも判明した(Butte MJ et al. Immunity 2007; 27:111−122; Park JJ et al. Blood 2010; 116:1291−1298)。現在では、少なくとも5つの相互作用分子がPDネットワークに関与することが公知である。それ故、元々のPD−1/PD−L1経路は、より適切な「PD経路」に改名される。PD−1の2つのリガンド(PD−L1およびPD−L2)、およびPD−L1の2つの阻害性受容体(PD−1およびCD80)の存在は、PD−1遮断も、PD−L1遮断も、PD経路を完全に破壊することにならないことを示唆する。PD阻害経路を完全に消失させるには、両方の分子を標的とする組合せ戦略が必要である。
感染に対して炎症反応を起こして末梢組織のT細胞の活性をモジュレートすることに関するおよび自己免疫を制限することに関するPD経路の重要な機能は、腫瘍細胞によっておよび慢性ウイルス感染中のウイルスによって乗っ取られるように見える。PD−L1は、複数の組織に由来する多くの新しく単離したヒト腫瘍上に過剰発現される(Dong et al. Nature Medicine 2002; 8:793−800; Romano et al. Journal for Immunotherapy of Cancer 2015; 3:15; Hirano et al. Cancer Research 2005; 65:1089−1096)。PD−L1の発現は、ある特定の種類のヒトがんの進行および予後不良と相関関係があることが示されている(Wang et al. European journal of surgical oncology: the journal of the European Society of Surgical Oncology and the British Association of Surgical Oncology 2015; 41:450−456; Cierna et al. Annals of oncology : official journal of the European Society for Medical Oncology / ESMO 2016; 27:300−305; Gandini et al. Critical reviews in oncology/hematology 2016; 100:88−98; Thierauf et al. Melanoma research 2015; 25:503−509; Taube et al. Clinical cancer research : an official journal of the American Association for Cancer Research 2014; 20:5064−5074)。慢性ウイルス感染の間、PD−L1は、多くの組織上に持続的に発現され、その一方で、PD−1は、ウイルス特異的CTL上で上方調節される(Yao et al. Trends in molecular medicine 2006; 12:244−246)。腫瘍誘導またはウイルス誘導PD−L1は、T細胞アネルギー、アポトーシス、消耗、IL−10産生、DC抑制、ならびにTreg誘導および拡大増殖を含む、複数の機序を利用して、宿主免疫監視の回避を促進し得る(Zou et al. Nature reviews Immunology 2008; 8:467−477)。
腫瘍免疫のPD経路媒介逃避は、「適応的耐性」モデルとしてみなすことができる(Chen et al. The Journal of clinical investigation 2015; 125:3384−3391; Yao et al. European journal of immunology 2013; 43:576−579)。具体的には、活性化腫瘍特異的T細胞は、腫瘍部位に到達し、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)になる。コグネイト抗原を認識すると、TILは、IFN−γを産生し、このIFN−γが、DC、マクロファージ、好中球およびBリンパ球を含む、腫瘍微小環境の多くの細胞型において、PD−L1発現を誘導する。PD−1に結合すると、PD−L1は、抑制シグナルをT細胞に送り、抗アポトーシスシグナルを腫瘍細胞に送り、その結果、T細胞機能不全および腫瘍生存に至る(Taube et al. Science translational medicine 2012; 4:127ra137; Spranger et al. Science translational medicine 2013; 5:200ra116)。このモデルは、細胞表面PD−L1発現がT細胞に隣接する細胞でのみ検出される、IHCに基づく観察により支持されるばかりでなく、腫瘍部位におけるPD−L1発現とTILの存在との強い相関関係を示す研究(Gandini et al. Critical reviews in oncology/hematology 2016; 100:88−98; Taube et al. Science translational medicine 2012; 4:127ra137)、およびマウス腫瘍モデルにおけるin vivoでの主要PD−L1誘導因子としてのIFN−γの実証(Dong et al. Nature medicine 2002; 8:793−800)によっても支持される。このPD経路媒介適応的耐性仮説は、PD−L1+腫瘍の大多数が強い抗腫瘍免疫下でさえ免疫破壊を免れることができるという観察を支持する。
「適応的耐性」モデルに基づいて、PD経路を標的とする免疫療法は、PD−1とPD−L1の相互作用を遮断し、ひいては抗腫瘍免疫に対する耐性を防止するように、設計される。PD−L1の豊富な発現が腫瘍において発見されて、PD経路ががんの処置と関連付けられる(Dong et al. Nature Medicine 1999; 5:1365−1369)までは、PD−1の発見は抗腫瘍療法におけるその応用につながらなかったが、今では、ヒトがんを処置するための2つのPD−1モノクローナル抗体がFDAにより既に認可されている。これらは、Bristol−Myers Squibbにより開発されたOPDIVO(登録商標)(ニボルマブ、MDX−1106、BMS−936558およびONO−4538としても公知)(68)、およびMerckにより開発されたKEYTRUDA(登録商標)(ペムブロリズマブ、ランブロリズマブおよびMK−3475としても公知)(69)である。PD−1またはPD−L1のどちらかを標的とする複数のモノクローナル抗体が、何千名も患者を伴う何百もの臨床試験で集中的評価段階にある。抗PD療法は、腫瘍の著しい退縮および生存率の実質的な拡大を含む、有意な臨床的有益性を生じさせた。抗PD療法は、腫瘍部位における免疫モジュレーションによる腫瘍誘導免疫欠如を標的とするので、永続的有効性、許容可能な毒性、および広範囲のがん適応をもたらす59。抗PD免疫療法の臨床的成功は、個別化療法または腫瘍型特異的療法とは明確に異なるがん療法の特有のカテゴリーとしてのPD経路遮断の有効性をさらに検証する。規定された免疫チェックポイント経路を活用して免疫監視を免れる腫瘍を標的とすることにより、抗PD免疫療法は、ヒトがんおよび特に固形腫瘍に対する免疫療法において注目を集めている。
抗PD免疫療法の有効性を予測するためのバイオマーカーとしての腫瘍部位におけるPD−L1発現
古典的ホジキンリンパ腫などのいくつかの血液悪性疾患ばかりでなく、黒色腫、RCC、NSCLC、結腸直腸がんを含む複数の固形腫瘍型も、抗PD免疫療法への奏効率と腫瘍内でのPD−L1発現レベルとの正の相関を示す。黒色腫臨床試験では、試料のおおよそ45%〜75%においてIHCによりPD−L1過剰発現が検出された。ニボルマブ研究では、患者の45%は、28−8抗体を使用して5%カットオフに基づいてPD−L1発現に対して陽性であった。PD−L1陽性患者の奏効率は、PD−L1陰性患者の17%と比較して、44%であった。ニボルマブで処置されたPD−L1陽性黒色腫患者は、21.1ヶ月のOSおよび9.1ヶ月のPFSを有し、これに比べ、PD−L1陰性患者においてはそれぞれ12.5ヶ月および2ヶ月であった。ペムブロリズマブ(抗PD−1)も、進行黒色腫に関して、1%のIHCカットオフを利用して研究された。PD−L1陽性患者(77%)は、51%のORRを有したが、PD−L1陰性患者は、6%のORRを有した。ペムブロリズマブで処置されたPD−L1陽性患者は、12ヶ月のPFSおよび84%の1年OS率を有したが、PD−L1陰性患者は、3ヶ月のPFSおよび69%の1年OSを有した。
同様の傾向がNSCLCに見られ、PD−L1陽性患者は、PD−1/PD−L1指向療法からの恩恵を優先的に受けるようであった。ニボルマブは、難治性NSCLCを有する患者において研究され、PD−L1 IHCは、DAKO IHCアッセイを使用して5%カットオフで行われた。これらの基準に基づいて、患者の60%は、PD−L1に対して陽性と分類され、PD−L1陽性患者の奏効率は、PD−L1陰性患者の0%と比較して67%であった。ペムブロリズマブも、NSCLCに関して、未報告のアッセイを使用してPD−L1発現について固有の50%IHCカットオフを利用して調査された。このカットオフに基づいて、腫瘍の25%がPD−L1に対して陽性であり、6ヶ月の時点で、PD−L1陽性患者は、67%免疫関連ORR(irORR)、67%PFS率、および89%OS率を、0% irORR、11%PFS率および33%OS率を有したPD−L1陰性患者と比較して、有した。抗PD−L1抗体であるMPDL3280Aも、NSCLCに関して、0〜3+(>10%細胞が3+、>5%細胞が2+、<5%細胞が0〜1)のグレード分類により、独自開発IHCプラットフォームを利用して研究された。3+のPD−L1発現スコアを有したNSCLC患者は、2+または3+のどちらかのスコアを有した患者での46%と比較して、83%奏効率を有した。1+/2+/3+ PD−L1発現を有した患者は、31%ORRを有した。
予測バイオマーカーとしてのPD−L1 IHCも、複数の組織学的検査を含む臨床試験で評価された。ニボルマブ第I相研究は、黒色腫、RCC、NSCLC、転移性結腸直腸がん(mCRC)、および転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)を有する患者を含んだ。PD−L1は、5%閾値を利用して5H1抗体により検出され、腫瘍の60%は、この基準により陽性であった。PD−L1陽性腫瘍を有する患者は、36%奏効率を有したが、PD−L1陰性腫瘍を有する患者は、0%ORRを有した。MPDL3280Aは、黒色腫、RCC、NSCLC、mCRCおよび胃がんを有する患者において、独自開発PD−L1 IHCプラットフォームを利用して研究された。PD−L1陽性患者は、39%奏効率を有したが、PD−L1陰性患者は、13%奏効率を有した。
これらの臨床試験からのデータは、IHCに従ってより高いPD−L1レベルを有する患者がPD−1/PD−L1指向療法による優れた奏効を示すことを示唆するように見える。しかし、抗PD免疫療法で処置されたPDL1陰性患者における奏効の性質または生存転帰について分かっていることは、比較的少ない。初期評価は、黒色腫を有する特定のPD−L1陰性患者が抗PD−1/PD−L1療法への持続的奏効をなお得ることができる一方で、PD−L1陰性NSCLC患者における奏効が稀であることを示唆する。この傾向が、より大きい試験で再現される場合、それは、2つの異なる腫瘍型間の免疫生物学の根本的な相違を表し得、または異なる組織型におけるIHCに関わる技術的問題を表し得る。転移性尿路上皮膀胱がんに関するMPDL3280Aの第I相臨床試験では、PD−L1陽性患者は、12週間の時点で、PD−L1陰性患者での11%と比較して52%のORRを有した。したがって、PD−L1陰性患者における奏効の深さおよび奏効期間は、まだ分かっていない。
V.抗体
PD−L1およびPD−L1様リガンドなどの、免疫チェックポイントリガンドを特異的に認識する抗体も、本明細書で提供される。そのような抗体、およびそれらに由来する抗体部分を、上記セクションに記載の方法およびイメージング剤に組み込むことができる。好適な抗体部分としては、scFv、Fab、およびFc断片に融合したscFv(本明細書では「scFv−Fc」とも呼ばれる)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載の抗体部分(抗PD−L1抗体剤を含む)は、下記のセクションa)〜h)に記載の特徴のいずれか1つまたは複数を有することができる。
一部の実施形態では、抗体部分は、scFvを含む。一部の実施形態では、抗体部分は、scFvである。一部の実施形態では、scFvは、(N末端からC末端に向かって):VL−L−VH、またはVH−L−VL(ここで、Lはペプチドリンカーである)の配置を有する。一部の実施形態では、scFvは、キメラ、ヒト、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、または半合成のものである。
一部の実施形態では、scFvは、増強された熱安定性を有するように操作される。一部の実施形態では、scFvは、約55〜70℃、例えば、約55〜60℃、約60〜65℃、または約65〜70℃のいずれか1つの融解温度を有するように操作される。一部の実施形態では、scFvは、1つまたは複数の(例えば、1つ、2つ、3つまたはそれより多くの)操作されたジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、scFvは、第1の操作されたシステイン残基をVHの44位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの100位に含み、および/または第1の操作されたシステイン残基をVHの105位に、および第2の操作されたシステイン残基をVLの43位に含み、第1の操作されたシステイン残基および第2の操作されたシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。scFvの構造および配列に基づいて好適な位置にあるVHのシステインおよびVLのシステインを操作することにより、他の操作されたジスルフィド結合をscFvに導入することができる。
一部の実施形態では、抗体部分は、Fc断片を含む。一部の実施形態では、抗体部分は、Fc断片に融合したscFvである。一部の実施形態では、抗体部分は、Fc断片にペプチドリンカーを介して融合したscFvを含む。一部の実施形態では、Fc断片は、ヒトIgG1 Fc断片である。一部の実施形態では、Fc断片は、クリアランスを増加させるためのまたは半減期を短縮するための1つまたは複数の変異を含む。例えば、Fc断片は、H310Aおよび/またはH435Q変異を有し、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。
一部の実施形態では、Fc断片は、ヒンジ領域(Cys226で始まる)、IgG CH2ドメインおよびCH3ドメインを含む、免疫グロブリンIgG重鎖定常領域を含む。本明細書で使用される場合の用語「ヒンジ領域」または「ヒンジ配列」は、リンカーとCH2ドメインの間に位置するアミノ酸配列を指す。一部の実施形態では、融合タンパク質は、ヒンジ領域を含むFc断片を含む。一部の実施形態では、融合タンパク質のFc断片は、ヒンジ領域で始まり、IgG重鎖のC末端にまで及ぶ。一部の実施形態では、融合タンパク質は、ヒンジ領域を含まないFc断片を含む。
一部の実施形態では、抗体部分は、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM、ならびにこれらの組合せおよびハイブリッドからのFc断片からなる群から選択されるFc断片を含む。一部の実施形態では、Fc断片は、ヒトIgGに由来する。一部の実施形態では、Fc断片は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4または組合せもしくはハイブリッドIgGのFc領域を含む。一部の実施形態では、Fc断片は、IgG1 Fc断片である。一部の実施形態では、Fc断片は、IgG1のCH2およびCH3ドメインを含む。一部の実施形態では、Fc断片は、IgG4 Fc断片である。一部の実施形態では、Fc断片は、IgG4のCH2およびCH3ドメインを含む。IgG4 Fcは、IgG1 Fcより低いエフェクター活性を示すことが公知であり、したがって、一部の用途に望ましいことがある。一部の実施形態では、Fc断片は、マウス免疫グロブリンに由来する。
一部の実施形態では、IgG CH2ドメインは、Ala231で始まる。一部の実施形態では、CH3ドメインは、Gly341で始まる。ヒトIgGのC末端Lys残基が必要に応じて非存在であり得ることは、理解される。Fcの所望の構造および/または安定性に影響を与えないFc領域の保存的アミノ酸置換が本発明の範囲内で企図されることも、理解される。
一部の実施形態では、Fc断片の各鎖は、同じ抗体部分に融合している。一部の実施形態では、scFv−Fcは、Fc断片の一方の鎖に各々が融合している、本明細書に記載の2つの同一のscFvを含む。一部の実施形態では、scFv−Fcは、ホモ二量体である。
[0101]
一部の実施形態では、scFv−Fcは、Fc断片の一方の鎖に各々が融合している、2つの異なるscFvを含む。一部の実施形態では、scFv−Fcは、ヘテロ二量体である。限定ではないが、ノブ−イントゥ−ホール技術によるヘテロ二量体化を含む、当技術分野において公知の方法により、scFv−Fcにおける非同一ポリペプチドのヘテロ二量体化を促進することができる。ノブ−イントゥ−ホール技術の構造および構築方法は、例えば、それら全体がこれにより参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,821,333号、米国特許第7,642,228号、米国特許出願公開第2011/0287009号およびPCT/US2012/059810において、見出すことができる。この技術は、小さいアミノ酸残基をより大きいもので置換することによって一方のFcのCH3ドメインに「ノブ」(または突出部)を導入すること、および1つまたは複数の大きいアミノ酸残基をより小さいもので置換することによって他方のFcのCH3ドメインに「ホール」(または空洞)を導入することにより、開発された。一部の実施形態では、融合タンパク質のFc断片の一方の鎖がノブを含み、Fc断片のもう一方の鎖がホールを含む。
ノブの形成に好ましい残基は、一般に、天然に存在するアミノ酸残基であり、好ましくは、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)およびトリプトファン(W)から選択される。最も好ましいのは、トリプトファンおよびチロシンである。一実施形態では、ノブの形成のための元の残基、例えば、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、セリン、トレオニンまたはバリンは、小さい側鎖体積を有する。ノブを形成するためのCH3ドメインにおける例示的なアミノ酸置換としては、限定ではないが、T366W、T366YまたはF405W置換が挙げられる。
ホールの形成に好ましい残基は、一般に、天然に存在するアミノ酸残基であり、好ましくは、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)およびバリン(V)から選択される。一実施形態では、ホールの形成のための元の残基、例えば、チロシン、アルギニン、フェニルアラニンまたはトリプトファンは、大きい側鎖体積を有する。ホールを生成するためのCH3ドメインにおける例示的なアミノ酸置換としては、限定ではないが、T366S、L368A、F405A、Y407A、Y407TおよびY407V置換が挙げられる。ある特定の実施形態では、ノブは、T366W置換を含み、ホールは、T366S/L368A/Y407V置換を含む。ヘテロ二量体化を促進する当技術分野において公知のFc領域に対する他の改変も企図され、本出願により包含されることは、理解される。
本明細書に記載のバリアント(例えば、Fcバリアント、エフェクター機能バリアント、グリコシル化バリアント、システイン操作バリアント)のいずれか、またはそれらの組合せを含む、他のscFv−Fcバリアント(単離された抗PD−L1 scFv−Fcのバリアント、例えば、全長抗PD−L1抗体バリアントを含む)が、企図される。
a)抗体親和性
抗体部分の結合特異性を、当技術分野において公知の方法によって実験により決定することができる。そのような方法は、ウェスタンブロット、ELISA試験、RIA試験、ECL試験、IRMA試験、EIA試験、BIACORE(商標)試験およびペプチドスキャンを含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、抗体部分と免疫チェックポイントリガンド(例えば、PD−L1またはPD−L1様リガンド)間の結合のKDは、約10−7M〜約10−12M、約10−7M〜約10−8M、約10−8M〜約10−9M、約10−9M〜約10−10M、約10−10M〜約10−11M、約10−11M〜約10−12M、約10−7M〜約10−12M、約10−8M〜約10−12M、約10−9M〜約10−12M、約10−10M〜約10−12M、約10−7M〜約10−11M、約10−8M〜約10−11M、約10−9M〜約10−11M、約10−7M〜約10−10M、約10−8M〜約10−10M、または約10−7M〜約10−9Mである。一部の実施形態では、抗体部分と免疫チェックポイントリガンド(例えば、PD−L1またはPD−L1様リガンド)間の結合のKDは、約10−7M、約10−8M、約10−9M、約10−10M、約10−11M、または約10−12Mのいずれか1つより強い。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、ヒト免疫チェックポイントリガンド(例えば、ヒトPD−L1またはPD−L1様リガンド)である。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、カニクイザル免疫チェックポイントリガンド(例えば、カニクイザルPD−L1またはPD−L1様リガンド)である。一部の実施形態では、抗体部分は、配列番号4のアミノ酸19〜238などの、免疫チェックポイントリガンドの細胞外ドメイン内のエピトープを特異的に認識する。
一部の実施形態では、抗体部分と免疫チェックポイントリガンド(例えば、PD−L1またはPD−L1様リガンド)間の結合のKonは、約103M−1s−1〜約108M−1s−1、約103M−1s−1〜約104M−1s−1、約104M−1s−1〜約105M−1s−1、約105M−1s−1〜約106M−1s−1、約106M−1s−1〜約107M−1s−1、または約107M−1s−1〜約108M−1s−1である。一部の実施形態では、抗体部分と免疫チェックポイントリガンド(例えば、PD−L1またはPD−L1様リガンド)間の結合のKonは、約103M−1s−1〜約105M−1s−1、約104M−1s−1〜約106M−1s−1、約105M−1s−1〜約107M−1s−1、約106M−1s−1〜約108M−1s−1、約104M−1s−1〜約107M−1s−1、または約105M−1s−1〜約108M−1s−1である。一部の実施形態では、抗体部分と免疫チェックポイントリガンド(例えば、PD−L1またはPD−L1様リガンド)間の結合のKonは、約103M−1s−1以下、約104M−1s−1以下、約105M−1s−1以下、約106M−1s−1以下、約107M−1s−1以下、または約108M−1s−1以下のいずれか1つである。
一部の実施形態では、抗体部分と免疫チェックポイントリガンド(例えば、PD−L1またはPD−L1様リガンド)間の結合のKoffは、約1s−1〜約10−6s−1、約1s−1〜約10−2s−1、約10−2s−1〜約10−3s−1、約10−3s−1〜約10−4s−1、約10−4s−1〜約10−5s−1、約10−5s−1〜約10−6s−1、約1s−1〜約10−5s−1、約10−2s−1〜約10−6s−1、約10−3s−1〜約10−6s−1、約10−4s−1〜約10−6s−1、約10−2s−1〜約10−5s−1、または約10−3s−1〜約10−5s−1である。一部の実施形態では、抗体部分と免疫チェックポイントリガンド(例えば、PD−L1またはPD−L1様リガンド)間の結合のKoffは、少なくとも約1s−1、少なくとも約10−2s−1、少なくとも約10−3s−1、少なくとも約10−4s−1、少なくとも約10−5s−1または少なくとも約10−6s−1のいずれか1つである。
b)キメラまたはヒト化抗体
一部の実施形態では、抗体部分は、キメラ抗体である。ある特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号;およびMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851−6855 (1984)に記載されている。一部の実施形態では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウスに由来する可変領域)およびヒト定常領域を含む。一部の実施形態では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のものから変更された、「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、それらの抗原結合性断片を含む。
一部の実施形態では、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。概して、非ヒト抗体は、親非ヒト抗体の特異性および親和性を保持しながらヒトに対する免疫原性が低下されるようにヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えばCDR(またはそれらの部分)が非ヒト抗体に由来し、FR(またはそれらの部分)がヒト抗体配列に由来する、1つまたは複数の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は、ヒト定常領域の少なくとも一部分も必要に応じて含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体中の一部のFR残基は、例えば、抗体特異性または親和性を回復するまたは向上させるために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)からの対応する残基で置換されている。
ヒト化抗体およびそれらを作製する方法は、例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619−1633 (2008)において概説されており、さらに、例えば、Riechmann et al., Nature 332:323−329 (1988);Queen et al., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 86:10029−10033 (1989);米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、および同第7,087,409号;Kashmiri et al., Methods 36:25−34 (2005)(SDR(a−CDR)グラフト化を記載している);Padlan, Mol. Immunol. 28:489−498 (1991)(「リサーフェーシング」を記載している);Dall’Acqua et al., Methods 36:43−60 (2005)(「FRシャフリング」を記載している);ならびにOsbourn et al., Methods 36:61−68 (2005)およびKlimka et al., Br. J. Cancer, 83:252−260 (2000)(FRシャフリングのための「誘導選択」手法を記載している)に記載されている。
ヒト化に使用することができるヒトフレームワーク領域としては、「ベストフィット」法を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al. J. Immunol. 151:2296 (1993)を参照されたい);軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992);およびPresta et al. J. Immunol., 151:2623 (1993)を参照されたい);ヒト成熟(体細胞変異した)フレームワーク領域またはヒト生殖系列フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619−1633 (2008)を参照されたい);およびFRライブラリーのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al., J. Biol. Chem. 272:10678−10684 (1997)およびRosok et al., J. Biol. Chem. 271:22611−22618 (1996)を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。
c)ヒト抗体
一部の実施形態では、抗体部分は、ヒト抗体(ヒトドメイン抗体、またはヒトDAbとしても公知)である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の様々な技術を使用して産生することができる。ヒト抗体は、一般に、van Dijk and van de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol. 5: 368−74 (2001), Lonberg, Curr. Opin. Immunol.20:450−459 (2008)、およびChen, Mol. Immunol.47(4):912−21 (2010)に記載されている。完全ヒト単一ドメイン抗体(またはDAb)を産生することができるトランスジェニックマウスまたはラットは、当技術分野において公知である。例えば、米国特許出願公開第20090307787A1号、米国特許第8,754,287号、米国特許出願公開第20150289489A1号、米国特許出願公開第20100122358A1号、およびWO2004049794を参照されたい。
ヒト抗体(例えば、ヒトDAb)は、抗原チャレンジに応答して無傷のヒト抗体またはヒト可変領域を有する無傷の抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することにより調製することができる。そのような動物は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座が、内在性免疫グロブリン遺伝子座を置き換えるか、または染色体外に存在するか、またはその動物の染色体にランダムに組み込まれる、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部分を概して含有する。そのようなトランスジェニックマウスにおける内在性免疫グロブリン遺伝子座は、一般に不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得る方法の概説については、Lonberg, Nat. Biotech. 23:1117−1125 (2005)を参照されたい。例えば、XENOMOUSE(商標)技術が記載されている米国特許第6,075,181号および同第6,150,584号;HUMAB(登録商標)技術が記載されている米国特許第5,770,429号;K−M MOUSE(登録商標)技術が記載されている米国特許第7,041,870号、ならびにVELOCIMOUSE(登録商標)技術が記載されている米国特許出願公開第2007/0061900号も参照されたい。そのような動物により生成される無傷の抗体からのヒト可変領域を、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることにより、さらに改変することができる。
ヒト抗体(例えば、ヒトDAb)を、ハイブリドーマに基づく方法により作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞系が記載されている(例えば、Kozbor J. Immunol., 133: 3001 (1984);Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51−63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987);およびBoerner et al., J. Immunol., 147: 86 (1991)を参照されたい)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術によって生成されたヒト抗体も、Li et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:3557−3562 (2006)に記載されている。さらなる方法としては、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞系からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載している)およびNi, Xiandai Mianyixue, 26(4):265−268 (2006)(ヒト−ヒトハイブリドーマを記載している)に記載されているものが挙げられる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)は、Vollmers and Brandlein, Histology and Histopathology, 20(3):927−937 (2005)、およびVollmers and Brandlein, Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology, 27(3):185−91 (2005)にも記載されている。
ヒト抗体(例えば、ヒトDAb)は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリーから選択されたFvクローン可変ドメイン配列を単離することにより生成することもできる。次いで、そのような可変ドメイン配列を所望のヒト定常ドメインと組み合わせることができる。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択する技術は、下記で説明される。
d)ライブラリー由来の抗体
所望の活性(単数または複数)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることにより、抗体部分を単離することができる。例えば、ファージディスプレイライブラリーを生成するための、および所望の結合特性を有する抗体についてそのようなライブラリーをスクリーニングするための、様々な方法が、当技術分野において公知である。そのような方法は、例えば、Hoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1−37 (O’Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, 2001)において概説されており、さらに、例えば、McCafferty et al., Nature 348:552−554;Clackson et al., Nature 352: 624−628 (1991);Marks et al., J. Mol. Biol. 222: 581−597 (1992);Marks and Bradbury, in Methods in Molecular Biology 248:161−175 (Lo, ed., Human Press, Totowa, NJ, 2003);Sidhu et al., J. Mol.Biol. 338(2): 299−310 (2004);Lee et al., J. Mol. Biol. 340(5): 1073−1093 (2004);Fellouse, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(34): 12467−12472 (2004);およびLee et al., J. Immunol. Methods 284(1−2): 119−132(2004)に記載されている。単一ドメイン抗体ライブラリーを構築する方法は、例えば、米国特許第7371849号に記載されている。
ある特定のファージディスプレイ法では、Winter et al., Ann. Rev. Immunol., 12: 433−455 (1994)に記載されているように、VHおよびVL遺伝子のレパートリーがポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により別々にクローニングされ、ファージライブラリーの中でランダムに組み換えられ、その後、それらを抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。ファージは、概して、抗体断片をscFv断片またはFab断片のどちらかとして提示する。免疫された供給源に由来するライブラリーにより、ハイブリドーマを構築する必要なく、免疫原に対する高親和性抗体が得られる。あるいは、Griffiths et al., EMBO J, 12: 725−734 (1993)により記載されているように、一切の免疫なしにナイーブレパートリーを(例えばヒトから)クローニングして広範な非自己およびまた自己抗原に対する抗体の単一供給源を得ることができる。最後に、Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227: 381−388 (1992)に記載されているように、幹細胞からの再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含有するPCRプライマーを使用して、高可変性CDR3領域をコードすることおよびin vitroで再配列を果たすことにより、ナイーブライブラリーを合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリーを記載している特許公報としては、例えば、米国特許第5,750,373号、ならびに米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、および同第2009/0002360号が挙げられる。
ヒト抗体ライブラリーから単離された抗体または抗体断片は、本明細書ではヒト抗体またはヒト抗体断片と見なされる。
e)置換、挿入、欠失およびバリアント
一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換を有する抗体バリアントが提供される。置換変異誘発のための目的の部位は、HVR(またはCDR)およびFRを含む。保存的置換は、表2に「好ましい置換」という見出しで示される。より大きな変化は、表2に「例示的置換」という見出しで提供され、アミノ酸側鎖クラスに関して下記でさらに説明される。アミノ酸置換を目的の抗体に導入し、産物を所望の活性、例えば、抗原結合の保持/向上、免疫原性の低下、またはADCCもしくはCDCの向上についてスクリーニングすることができる。
表2.アミノ酸置換
アミノ酸を共通の側鎖特性に従って分類することができる:(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;(3)酸性:Asp、Glu;(4)塩基性:His、Lys、Arg;(5)鎖の配向に影響する残基:Gly、Pro;および(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのクラスのメンバーを別のクラスと交換することを必然的に伴う。
1つのタイプの置換バリアントは、親抗体(例えば、ヒト化またはヒト抗体)の1つまたは複数の超可変領域残基の置換を含む。一般に、さらなる研究に選択される、結果として得られるバリアントは、親抗体と比較してある特定の生物学的特性の改変(例えば、向上)(例えば、親和性増大、免疫原性低下)を有し、および/または親抗体のある特定の生物学的特性を実質的に有する。例示的な置換バリアントは、親和性成熟した抗体であり、この抗体は、例えば、本明細書に記載のものなどのファージディスプレイに基づく親和性成熟技術を使用して、都合よく生成することができる。手短に述べると、1つまたは複数のHVR残基を変異させ、バリアント抗体をファージ上に提示させ、特定の生物的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングする。
例えば抗体親和性を向上させるために、HVRに変更(例えば、置換)を加えることができる。HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞変異プロセス中に高頻度で変異を起こすコドンによりコードされている残基(例えば、Chowdhury, Methods Mol. Biol. 207:179−196 (2008)を参照されたい)、および/またはSDR(a−CDR)に、そのような変更を加えて、結果として得られるバリアントVHまたはVLを結合親和性について試験することができる。二次ライブラリーからの構築および再選択による親和性成熟は、例えば、Hoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1−37 (O’Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, (2001))に記載されている。親和性成熟の一部の実施形態では、様々な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャフリング、またはオリゴヌクレオチド指定変異誘発)のいずれかにより、成熟のために選択されたバリアブル遺伝子に多様性が導入される。次いで、二次ライブラリーが作製される。次いで、所望の親和性を有する任意の抗体バリアントを同定するためにライブラリーがスクリーニングされる。多様性を導入する別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、1度に4〜6残基)が無作為に割り当てられるHVR特異的手法を含む。抗原結合に関与するHVR残基を、例えばアラニンスキャニング変異誘発またはモデル化を使用して、特異的に同定することができる。特に、CDR−H3およびCDR−L3は、標的とされることが多い。
一部の実施形態では、置換、挿入または欠失を、そのような変更が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低下させないことを条件に、1つまたは複数のHVR内で行うことができる。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的変更(例えば、本明細書で提供されるような保存的置換)をHVR内で行うことができる。そのような変更がHVR「ホットスポット」またはCDRの外部に存在することもある。上で提供されたバリアントVHH配列の一部の実施形態では、各HVRは、変更されないか、または1つ、2つもしくは3つ以下のアミノ酸置換を含有する。
変異誘発の標的となり得る抗体の残基または領域の同定に有用な方法は、Cunningham and Wells (1989) Science, 244:1081−1085により記載されているように、「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法では、標的残基(例えば、Arg、Asp、His、LysおよびGluなどの荷電残基)のうちの1つの残基または標的残基の群を同定し、中性または負荷電アミノ酸(例えば、アラニンまたはポリアラニン)により置換して、抗体と抗原の相互作用が影響を受けるかどうかを決定する。最初の置換に対して機能感受性を示すアミノ酸位置にさらなる置換を導入することができる。あるいは、または加えて、抗体と抗原間の接触点を同定するために抗原−抗体複合体の結晶構造。そのような接触残基および隣接残基を置換の候補として標的化または除去することができる。バリアントを、それらが所望の特性を有するかどうかを決定するためにスクリーニングすることができる。
アミノ酸配列挿入は、1残基から100またはそれより多くの残基を含有するポリペプチドまで長さに幅があるアミノ末端および/またはカルボキシル末端融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入バリアントは、抗体のNまたはC末端側への抗体の血清半減期を増加させる酵素(例えば、ADEPT用)またはポリペプチドとの融合を含む。
f)グリコシル化バリアント
一部の実施形態では、抗体部分は、構築物がグリコシル化される程度を増加または減少させるように変更される。グリコシル化部位の抗体への付加またはグリコシル化部位の欠失は、1つまたは複数のグリコシル化部位が作製または除去されるようにアミノ酸配列を変更することにより、都合よく果たすことができる。
抗体部分がFc領域(例えば、scFv−Fc)を含む場合、それに結合している炭水化物を変更することができる。哺乳動物細胞により産生されるネイティブ抗体は、N連結によりFc領域のCH2ドメインのAsn297に一般に結合されている分岐した、二分岐オリゴ糖を概して含む。例えば、Wright et al. TIBTECH 15:26−32 (1997)を参照されたい。このオリゴ糖は、様々な糖、例えば、マンノース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、およびシアル酸、ならびに二分岐オリゴ糖構造の「幹」の中のGlcNAcに結合しているフコースを含み得る。一部の実施形態では、抗体部分におけるオリゴ糖の改変を行って、ある特定の向上した特性を有する抗体バリアントを作製することができる。
一部の実施形態では、抗体部分は、Fc領域に(直接または間接的に)結合しているフコースを欠いている糖鎖構造を有する。例えば、そのような抗体中のフコースの量は、1%〜80%、1%〜65%、5%〜65%、または20%〜40%であり得る。フコースの量は、例えばWO2008/077546に記載されているように、MALDI−TOF質量分析により測定してAsn297に結合している全ての糖構造(例えば、複合体、ハイブリッドおよび高マンノース構造)の合計に対する糖鎖内のAsn297におけるフコースの平均量を算出することにより決定される。Asn297は、Fc領域内の約297位(Fc領域残基のEU番号付け)に位置するアスパラギン残基を指すが、Asn297は、抗体内の小さい配列変異に起因して297位の約±3アミノ酸上流または下流に、すなわち、294〜300位の間に位置することもある。そのようなフコシル化バリアントは、ADCC機能の向上を有し得る。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号(Presta,L.);米国特許出願公開第2004/0093621号(協和発酵工業株式会社)を参照されたい。「脱フコシル化」または「フコース欠損」抗体バリアントに関する公表文献の例としては、米国特許出願公開第2003/0157108号;WO2000/61739;WO2001/29246;米国特許出願公開第2003/0115614号;米国特許出願公開第2002/0164328号;米国特許出願公開第2004/0093621号;米国特許出願公開第2004/0132140号;米国特許出願公開第2004/0110704号;米国特許出願公開第2004/0110282号;米国特許出願公開第2004/0109865号;WO2003/085119;WO2003/084570;WO2005/035586;WO2005/035778;WO2005/053742;WO2002/031140;Okazaki et al. J. Mol. Biol. 336:1239−1249 (2004);Yamane−Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004)が挙げられる。脱フコシル化抗体を産生することができる細胞系の例としては、タンパク質フコシル化が欠損しているLec13 CHO細胞(Ripka et al. Arch. Biochem. Biophys. 249:533−545 (1986);米国特許出願公開第2003/0157108A1号、Presta,L;およびWO2004/056312A1、Adamsら、特に実施例11)、およびノックアウト細胞系、例えば、アルファ−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane−Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004);Kanda, Y. et al., Biotechnol. Bioeng., 94(4):680−688 (2006);およびWO2003/085107を参照されたい)が挙げられる。
一部の実施形態では、抗体部分は、例えば、抗体のFc領域に結合している二分岐オリゴ糖がGlcNAcにより二分されている、バイセクト型オリゴ糖を有する。そのような抗体バリアントは、フコシル化の低減および/またはADCC機能の向上を有し得る。そのような抗体バリアントの例は、例えば、WO2003/011878(Jean−Mairetら)、米国特許第6,602,684号(Umanaら)、および米国特許出願公開第2005/0123546号(Umanaら)に記載されている。Fc領域に結合しているオリゴ糖内に少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体バリアントも提供される。そのような抗体バリアントは、CDC機能の向上を有し得る。そのような抗体バリアントは、例えば、WO1997/30087(Patelら);WO1998/58964(Raju,S.);およびWO1999/22764(Raju,S.)に記載されている。
g)Fc領域バリアント
一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸改変を抗体部分(例えば、scFv−Fc)のFc領域に導入することによってFc領域バリアントを生成することができる。Fc領域バリアントは、1つまたは複数のアミノ酸位置にアミノ酸改変(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 Fc領域)を含み得る。
一部の実施形態では、Fc断片は、全てではなく一部のエフェクター機能を有し、このことにより、Fc断片は、抗体部分のin vivoでの半減期が重要であるが、ある特定のエフェクター機能(例えば、補体およびADCC)が不必要または有害である用途の望ましい候補となる。in vitroおよび/またはin vivo細胞傷害性アッセイを行って、CDCおよび/またはADCC活性の低下/喪失を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを行って、抗体が、FcγR結合を欠いている(したがって、ADCC活性を欠いている可能性がある)がFcRn結合能力を保持することを保証することができる。ADCCを媒介する主要な細胞であるNK細胞は、FcγRIIIしか発現しないが、単球は、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。造血細胞上でのFcR発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457−492 (1991)の464頁の表2にまとめられている。目的の分子のADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom, I. et al. Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 83:7059−7063 (1986)およびHellstrom, I et al., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 82:1499−1502 (1985)を参照されたい);同第5,821,337号(Bruggemann, M. et al., J. Exp. Med. 166:1351−1361 (1987)を参照されたい)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ法を利用することができる(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.、Mountain View、CA);およびCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega、Madison、WI)を参照されたい)。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞を含む。あるいは、または加えて、目的の分子のADCC活性をin vivoで、例えば、Clynes et al. Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 95:652−656 (1998)において開示されているものなどの動物モデルにおいて、評価することができる。C1q結合アッセイを行って、抗体が、C1qに結合することができないこと、したがって、CDC活性を欠いていることを確認することもできる。例えば、WO2006/029879およびWO2005/100402におけるC1qおよびC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行うことができる(例えば、Gazzano−Santoro et al., J. Immunol. Methods 202:163 (1996);Cragg, M.S. et al., Blood 101:1045−1052 (2003);およびCragg, M.S. and M.J. Glennie, Blood 103:2738−2743 (2004)を参照されたい)。当技術分野において公知の方法(例えば、Petkova, S.B. et al., Int’l. Immunol. 18(12):1759−1769 (2006)を参照されたい)を使用して、FcRn結合およびin vivoクリアランス/半減期決定を行うこともできる。
エフェクター機能の低下を有する抗体は、Fc領域残基238、265、269、270、297、327および329のうちの1つまたは複数の置換を有するものを含む(米国特許第6,737,056号)。そのようなFc変異体は、残基265および297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc変異体(米国特許第7,332,581号)を含む、アミノ酸265、269、270、297および327位のうちの2つまたはそれより多くの位置に置換を有するFc変異体を含む。
FcRへの結合の向上または低下を有する、ある特定の抗体バリアントが、記載されている(例えば、米国特許第6,737,056号;WO2004/056312、およびShields et al., J. Biol. Chem. 9(2): 6591−6604 (2001)を参照されたい)。
一部の実施形態では、抗体部分は、ADCCを向上させる1つまたは複数のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298、333および/または334位(残基のEU番号付け)における置換を有するFc領域を含む。
一部の実施形態では、例えば、米国特許第6,194,551号、WO99/51642、およびIdusogie et al. J. Immunol. 164: 4178−4184 (2000)に記載されているような、C1q結合および/または補体依存性細胞傷害(CDC)の変更(すなわち、向上または低下のどちらか)をもたらす変更がFc領域に加えられる。
一部の実施形態では、半減期を変更するおよび/または新生児型Fc受容体(FcRn)への結合を変化させる1つまたは複数のアミノ酸置換を含むバリアントFc領域を含む抗体部分(例えば、scFv−Fc)バリアント。半減期の増加、および胎児への母性IgGの移入に関与する新生児型Fc受容体(FcRn)への結合の向上(Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976)、およびKim et al., J. Immunol. 24:249 (1994))を有する抗体が、米国特許出願公開第2005/0014934A1号(Hintonら)に記載されている。それらの抗体は、FcRnへのFc領域の結合を変更する1つまたは複数の置換を内部に有するFc領域を含む。そのようなFcバリアントは、Fc領域残基の1つまたは複数に対する置換、例えば、Fc領域残基434の置換(米国特許第7,371,826号)を有するものを含む。
Fc領域バリアントの他の例に関しては、Duncan & Winter, Nature 322:738−40 (1988);米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;およびWO94/29351も参照されたい。
h)システイン操作抗体バリアント
一部の実施形態では、システイン操作抗体部分、例えば、抗体の1つまたは複数の残基がシステイン残基で置換されている「チオMAb」を作製することが望ましいことがある。特定の実施形態では、置換される残基は、抗体の利用しやすい部位に存在する。それらの残基をシステインで置換することにより、その結果として反応性チオール基が抗体の利用しやすい部位に位置し、それを使用して抗体を他の部分、例えば、薬物部分またはリンカー−薬物部分にコンジュゲートさせて、本明細書でさらに説明されるようなイムノコンジュゲートを作製することができる。一部の実施形態では、次の残基のいずれか1つまたは複数をシステインで置換することができる:重鎖のA118(EU番号付け);および重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)。システイン操作抗体分子は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されているように生成することができる。
i)抗体誘導体
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体部分を、当技術分野において公知であり、容易に入手可能である、さらなる非タンパク質性部分を含むように、さらに改変することができる。抗体の誘導体化に好適な部分は、水溶性ポリマーが含むが、これに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのどちらか)、およびデキストランまたはポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド(prolypropylene oxide)/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定のため、製造の際に有利であり得る。ポリマーは、いずれの分子量のものであってもよく、分岐していてもまたは分岐していなくてもよい。抗体に結合しているポリマーの数は、様々であり得、1つより多くのポリマーが結合している場合、それらは、同じ分子であってもまたは異なる分子であってもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数および/またはタイプは、抗体の向上させるべき特定の特性または機能、抗体誘導体が定義された条件下で診断に使用されることになるかどうかなどを含むがこれらに限定されない、考慮事項に基づいて、決定することができる。
一部の実施形態では、抗体部分を、1つまたは複数の生物的活性タンパク質、ポリペプチドまたはそれらの断片を含むように、さらに改変することができる。本明細書で同義的に使用される場合の「生体活性」または「生物的に活性な」は、特定の機能を行うための生物的活性を体内で示すことを意味する。例えば、それは、タンパク質、DNAなどのような特定の生体分子との化合、およびひいてはそのような生体分子の活性の促進または阻害を意味することもある。一部の実施形態では、生体活性タンパク質またはその断片は、疾患または状態の予防または処置のために活性原薬として患者に投与されるタンパク質およびポリペプチド、ならびに診断試験またはin vitroアッセイで使用される酵素などの、診断目的で使用されるタンパク質およびポリペプチド、ならびにワクチンなどの、疾患を予防するために患者に投与されるタンパク質およびポリペプチドを含む。
VI.調製方法
一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドを標的とするイメージング剤を調製する方法が、提供される。本明細書に記載のイメージング剤は、下記で一般的におよび実施例でより具体的に説明されるようないくつかのプロセスによって調製することができる。
一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドを標的とするイメージング剤を調製する方法であって、(a)免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合する抗体部分(例えば、scFv)にキレート化合物をコンジュゲートさせて抗体部分コンジュゲートを生じさせるステップ、および(b)放射性核種を抗体部分コンジュゲートと接触させることによってイメージング剤を生じさせるステップを含む方法が、提供される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1である。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1様リガンドである。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、キレート化合物は、抗体部分のリシンにコンジュゲートされる。一部の実施形態では、方法は、キレート化合物および/または放射性核種からイメージング剤を単離するステップをさらに含む。
一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドを標的とするイメージング剤を調製する方法であって、(a)本明細書に記載の抗体部分のいずれか1つにキレート化合物をコンジュゲートさせて抗体部分コンジュゲートを生じさせるステップであって、抗体部分が免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合するものであるステップ、および(b)放射性核種を抗体部分コンジュゲートと接触させることによってイメージング剤を生じさせるステップを含む方法が、提供される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1である。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1様リガンドである。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、キレート化合物は、抗体部分のリシンにコンジュゲートされる。一部の実施形態では、方法は、キレート化合物および/または放射性核種からイメージング剤を単離するステップをさらに含む。
一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドを標的とするイメージング剤を調製する方法であって、(a)キレート化合物を放射性核種と接触させるステップ、(b)放射性核種をキレート化するキレート化合物を本明細書に記載の抗体部分のいずれか1つにコンジュゲートさせるステップを含み、抗体部分が免疫チェックポイントリガンドに特異的に結合することによってイメージング剤を生じさせる、方法が提供される。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1である。一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドは、PD−L1様リガンドである。一部の実施形態では、キレート化合物は、NOTA、DOTA、またはその誘導体である。一部の実施形態では、放射性核種は、64Cu、18F、67Ga、68Ga、111In、177Lu、90Y、89Zr、61Cu、62Cu、67Cu、19F、66Ga、72Ga、44Sc、47Sc、86Y、88Yおよび45Tiからなる群から選択される。一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。一部の実施形態では、キレート化合物は、抗体部分のリシンにコンジュゲートされる。一部の実施形態では、方法は、キレート化合物および/または放射性核種からイメージング剤を単離するステップをさらに含む。
一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンドを標的とするイメージング剤を調製する方法であって、(a)免疫チェックポイントリガンド(例えば、PD−L1またはPD−L1様リガンド)に特異的に結合するscFvをp−SCN−Bn−NOTAにコンジュゲートさせてscFvコンジュゲートを生じさせるステップ、および(b)68GaをscFvコンジュゲートと接触させることによってイメージング剤を生じさせるステップを含む方法が、提供される。一部の実施形態では、scFvコンジュゲートは、scFvとp−SCN−Bn−NOTAの混合物をカラム(例えば、NAP−5カラム)に通すことにより単離される。一部の実施形態では、イメージング剤は、scFvコンジュゲートを伴う68Gaの混合物をカラム(例えば、NAP−5カラム)に通すことにより単離される。
抗体発現および産生
本明細書に記載の抗体部分は、下記でおよび実施例で説明されるものを含む、当技術分野における任意の公知の方法を使用して調製することができる。
モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、実質的に均一な抗体の集団から得られ、すなわち、この集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る、自然に起こる可能性のある変異および/または翻訳後改変(例えば、異性化、アミド化)を除いて、同一である。したがって、修飾語「モノクローナル」は、個別の抗体の混合物でないような抗体の性質を示す。例えば、モノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature, 256:495 (1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法を使用して作製することができ、または組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)により作製することができる。ハイブリドーマ法では、マウスまたは他の適切な宿主動物、例えばハムスターもしくはラマを上文に記載の通りに免疫して、免疫に使用したタンパク質に特異的に結合する抗体を産生するまたは産生できるリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球をin vitroで免疫することができる。その場合、ポリエチレングリコールなどの好適な融合剤を使用してリンパ球を骨髄腫細胞と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59−103 (Academic Press, 1986))。ラクダにおける免疫については実施例1も参照されたい。
免疫剤は、概して、抗原タンパク質またはその融合バリアントを含む。一般に、ヒト由来の細胞が所望される場合には末梢血リンパ球(「PBL」)が使用され、または非ヒト哺乳動物源が所望される場合には脾細胞もしくはリンパ節細胞が使用される。その場合、ポリエチレングリコールなどの好適な融合剤を使用してリンパ球を不死化細胞系と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成する。Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press (1986), pp. 59−103。
不死化細胞系は、通常は、形質転換された哺乳動物細胞、特に、齧歯類、ウシおよびヒト由来の骨髄腫細胞である。通常は、ラットまたはマウス骨髄腫細胞系が利用される。このようにして調製されたハイブリドーマ細胞を、融合していない親骨髄腫細胞の成長または生存を阻害する1つまたは複数の物質を好ましくは含有する好適な培養培地に播種し、成長させる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠いている場合、ハイブリドーマ用の培養培地は、HGPRT欠損細胞の成長を妨げる物質である、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを、通常は含む(HAT培地)。
好ましい不死化骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定した高レベルの産生を支持し、HAT培地などの培地に対して感受性であるものである。これらのうち、好ましいのは、マウス骨髄腫系、例えば、Salk Institute Cell Distribution Center、San Diego、Calif.USAから入手可能なMOPC−21およびMPC−11マウス腫瘍に由来するもの、ならびにAmerican Type Culture Collection、Manassas、Va.USAから入手可能なSP−2細胞(およびその誘導体、例えば、X63−Ag8−653)である。ヒト骨髄腫およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞系も、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載されている(Kozbor, J. Immunol., 133:3001 (1984);Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51−63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。
ハイブリドーマ細胞が成長している培養培地は、抗原に対するモノクローナル抗体の産生についてアッセイされる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降法により、またはin vitro結合アッセイ、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)により決定される。
ハイブリドーマ細胞が培養される培養培地を所望の抗原に対するモノクローナル抗体の存在についてアッセイすることができる。好ましくは、モノクローナル抗体の結合親和性および特異性を、免疫沈降法により、またはin vitro結合アッセイ、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)により決定することができる。そのような技術およびアッセイは、当技術分野において公知である。例えば、結合親和性を、Munson et al., Anal.Biochem., 107:220 (1980)のスキャッチャード解析により決定することができる。
所望の特異性、親和性および/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンを限界希釈手順によりサブクローニングし、標準的な方法(Goding、上掲)により成長させることができる。このために好適な培養培地としては、例えば、D−MEMまたはRPMI−1640培地が挙げられる。加えて、ハイブリドーマ細胞を哺乳動物においてin vivoで腫瘍として成長させることができる。
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えば、プロテインAセファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、または親和性クロマトグラフィーなどの、従来の免疫グロブリン精製手順により、培養培地、腹水液または血清から適切に分離される。
モノクローナル抗体は、米国特許第4,816,567号に記載されているものおよび上述のものなどの、組換えDNA法により作製することもできる。モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離およびシークエンシングされる。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましい供給源として役立つ。単離したら、DNAを発現ベクター内に配置することができ、次いでこれらを、そうしなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない宿主細胞、例えば、E.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞にトランスフェクトして、そのような組換え宿主細胞においてモノクローナル抗体を合成する。抗体をコードするDNAの細菌における組換え発現に関する総説論文としては、Skerra et al., Curr. Opinion in Immunol., 5:256−262 (1993)およびPlueckthun, Immunol. Revs. 130:151−188 (1992)が挙げられる。
さらなる実施形態では、McCafferty et al., Nature, 348:552−554 (1990)に記載されている技術を使用して生成された抗体ファージライブラリーから抗体を単離することができる。Clackson et al., Nature, 352:624−628 (1991)およびMarks et al., J. Mol.Biol., 222:581−597 (1991)には、ファージライブラリーを使用する、マウスおよびヒト抗体の単離が、それぞれ記載されている。その後の公表文献には、鎖シャフリングによる高親和性(nM範囲)ヒト抗体の産生(Marks et al., Bio/Technology, 10:779−783 (1992))、ならびに非常に大きいファージライブラリーを構築するための戦略としてのコンビナトリアル感染およびin vivo組換え(Waterhouse et al., Nucl.Acids Res., 21:2265−2266 (1993))が記載されている。したがって、これらの技術は、モノクローナル抗体の単離のための旧来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術の実行可能な代替法である。
DNAを、例えば、相同マウス配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのコード配列を代用することにより改変することもでき(米国特許第4,816,567号;Morrison, et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA, 81:6851 (1984))、または免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全てまたは一部を共有結合で結合させることにより改変することもできる。概して、そのような非免疫グロブリンポリペプチドで抗体の定常ドメインを置換し、またはそれらで抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインを置換して、ある抗原に対する特異性を有する1つの抗原結合部位と、異なる抗原に対する特異性を有する別の抗原結合部位とを含むキメラ二価抗体を作製する。
本明細書に記載のモノクローナル抗体は一価であり得、その調製は、当技術分野において周知である。例えば、1つの方法は、免疫グロブリン軽鎖と改変された重鎖との組換え発現を含む。重鎖は、一般に、重鎖架橋を防止するためにFc領域内の任意の地点で切断される。あるいは、適切なシステイン残基は、架橋を防止するために、別のアミノ酸残基で置換されることもありまたは欠失される。in vitro法は、一価抗体の調製にも好適である。抗体のその断片、特にFab断片を生じさせるための消化は、当技術分野において公知の通例の技術を使用して果たすことができる。
架橋剤を伴うものを含む、合成タンパク質化学における公知の方法を使用して、キメラまたはハイブリッド抗体をin vitroで調製することもできる。例えば、ジスルフィド交換反応を使用して、またはチオエーテル結合を形成することにより、免疫毒素を構築することができる。この目的のための好適な試薬の例としては、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミデートが挙げられる。
モノクローナル抗体産生については実施例1も参照されたい。
抗体部分をコードする核酸分子
本出願は、本明細書に記載の抗体部分(例えば、抗PD−L1抗体部分)の1つまたは複数の鎖をコードするポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子をさらに提供する。一部の実施形態では、核酸分子は、抗体部分(例えば、抗PD−L1抗体部分)の重鎖または軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸分子は、抗体部分(例えば、抗PD−L1抗体部分)の、重鎖をコードするポリヌクレオチドと軽鎖をコードするポリヌクレオチドの両方を含む。一部の実施形態では、第1の核酸分子は、重鎖をコードする第1のポリヌクレオチドを含み、第2の核酸分子は、軽鎖をコードする第2のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、scFv(例えば、抗PD−L1 scFv)をコードする核酸分子が提供される。
一部のそのような実施形態では、重鎖および軽鎖は、2つの別々のポリペプチドとして、1つの核酸分子からまたは2つの別々の核酸分子から発現される。抗体がscFvである場合などの一部の実施形態では、単一のポリヌクレオチドが、互いに連結されている重鎖と軽鎖両方を含む単一のポリペプチドをコードする。
一部の実施形態では、抗体部分(例えば、抗PD−L1抗体部分)の重鎖または軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、翻訳されたときに重鎖または軽鎖のN末端に位置する、リーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含む。上述の通り、リーダー配列は、ネイティブ重鎖もしくは軽鎖リーダー配列であってもよく、または別の異種リーダー配列であってもよい。
核酸分子は、当技術分野における従来の組換えDNA技術を使用して構築することができる。一部の実施形態では、核酸分子は、選択された宿主細胞における発現に好適である発現ベクターである。
ベクター
本明細書に記載の抗体部分(例えば、抗PD−L1抗体部分)のいずれか1つの重鎖および/または軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含むベクターが提供される。本明細書に記載のscFv(例えば、抗PD−L1 scFv)のいずれかをコードするポリヌクレオチドを含むベクターも提供される。そのようなベクターとしては、DNAベクター、ファージベクター、ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、ベクターは、重鎖をコードする第1のポリヌクレオチド配列、および軽鎖をコードする第2のポリヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、重鎖および軽鎖は、2つの別々のポリペプチドとしてベクターから発現される。例えば、抗体がscFvである場合などの、一部の実施形態では、重鎖および軽鎖は、単一ポリペプチドの部分として発現される。
一部の実施形態では、第1のベクターは、重鎖をコードするポリヌクレオチドを含み、第2のベクターは、軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、第1のベクターおよび第2のベクターは、同様の量(例えば、同様のモル量または同様の質量の量)で宿主細胞にトランスフェクトされる。一部の実施形態では、5:1〜1:5の間のモル比または質量比の第1のベクターと第2のベクターが、宿主細胞にトランスフェクトされる。一部の実施形態では、重鎖をコードするベクターおよび軽鎖をコードするベクターについて1:1〜1:5の間の質量比が使用される。一部の実施形態では、重鎖をコードするベクターおよび軽鎖をコードするベクターについて1:2の質量比が使用される。
一部の実施形態では、CHOもしくはCHO由来細胞におけるまたはNSO細胞におけるポリペプチドの発現のために最適化されているベクターが選択される。例示的なそのようなベクターは、例えば、Running Deer et al., Biotechnol.Prog.20:880−889 (2004)に記載されている。
宿主細胞
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体部分(例えば、抗PD−L1抗体部分)を、細菌細胞などの原核細胞に、または真菌細胞(例えば、酵母)、植物細胞、昆虫細胞および哺乳動物細胞などの、真核細胞に、発現させることができる。そのような発現を、例えば、当技術分野において公知の手順に従って、行うことができる。ポリペプチドを発現させるために使用することができる例示的な真核細胞としては、COS細胞、例えばCOS7細胞など;293細胞、例えば293−6E細胞など;CHO細胞、例えば、CHO−S、DG44.Lec13 CHO細胞、およびFUT8 CHO細胞など;PER.C6(登録商標)細胞(Crucell);ならびにNSO細胞が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体部分(例えば、抗PD−L1抗体部分)を酵母に発現させることができる。例えば、米国特許出願公開第2006/0270045A1号を参照されたい。一部の実施形態では、特定の真核生物宿主細胞は、抗体部分の重鎖および/または軽鎖に所望の翻訳後改変を加えるその能力に基づいて選択される。例えば、一部の実施形態では、CHO細胞は、293細胞において産生される同じポリペプチドより高いシアリル化レベルを有するポリペプチドを産生する。
所望の宿主細胞への1つまたは複数の核酸の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、電気穿孔、形質導入、感染などを含むがこれらに限定されない、任意の方法により果たすことができる。非限定的な例示的な方法は、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 3rd ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)に記載されている。核酸を任意の好適な方法に従って所望の宿主細胞に一過性にまたは安定的にトランスフェクトすることができる。
本発明は、本明細書に記載のポリヌクレオチドまたはベクターのいずれかを含む宿主細胞も提供する。一部の実施形態では、本発明は、抗PD−L1抗体を含む宿主細胞を提供する。異種DNAを過剰発現することができる任意の宿主細胞を、目的の抗体、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子を単離するために使用することができる。哺乳動物宿主細胞の非限定的な例としては、COS、HeLaおよびCHO細胞が挙げられるが、これらに限定されない。PCT公開番号WO87/04462を参照されたい。好適な非哺乳動物宿主細胞としては、原核生物(例えば、E.coliまたはB.subtillis)および酵母(例えば、S.cerevisae、S.pombe、またはK.lactis)が挙げられる。
一部の実施形態では、抗体部分は、無細胞系において産生される。非限定的な例示的な無細胞系は、例えば、Sitaraman et al., Methods Mol.Biol. 498: 229−44 (2009);Spirin, Trends Biotechnol. 22: 538−45 (2004);Endo et al., Biotechnol. Adv. 21: 695−713 (2003)に記載されている。
抗体部分の精製
抗体部分(例えば、抗PD−L1抗体部分)を任意の好適な方法により精製することができる。そのような方法としては、親和性マトリックスまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーの使用が挙げられるが、これらに限定されない。好適な親和性リガンドとしては、ROR1 ECD、および抗体定常領域に結合するリガンドが挙げられる。例えば、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、または抗体親和性カラムを使用して、定常領域に結合することおよびFc断片を含有する抗体部分を精製することができる。疎水性相互作用クロマトグラフィー、例えば、ブチルまたはフェニルカラムも、抗体などの一部のポリペプチドの精製に好適であり得る。イオン交換クロマトグラフィー(例えば、アニオン交換クロマトグラフィーおよび/またはカチオン交換クロマトグラフィー)も、抗体などの一部のポリペプチドの精製に好適である。ミックスモードクロマトグラフィー(例えば、逆相/アニオン交換、逆相/カチオン交換、疎水性相互作用/アニオン交換、親水性相互作用/カチオン交換など)も、抗体などの一部のポリペプチドの精製に好適である。多くのポリペプチド精製方法が、当技術分野において公知である。
VII.処置方法
疾患の予防または処置のために、本明細書に記載の抗PD−L1抗体剤を個体(例えば、ヒトなどの哺乳動物)に投与して疾患または状態を処置または予防することができる。
一部の実施形態では、個体の疾患または状態を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、a)VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(HC−CDR)1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、またはHC−CDRに最大合計約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含み;およびb)VLが、配列番号44のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(LC−CDR)1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、またはLC−CDRに最大合計約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、個体の疾患または状態を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、a)VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1と、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2と、配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3とを含み;およびb)VLが、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1と、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2と、配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含む、方法が提供される。一部の実施形態では、個体の疾患または状態を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、a)VHが、配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも92%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み;および/またはb)VLが、配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、方法が提供される。一部の実施形態では、疾患または状態は、がんである。一部の実施形態では、がんは、黒色腫、腎細胞癌、結腸直腸がん、尿路上皮癌、ホジキンリンパ腫、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頸部腫瘍、胃がん、B細胞リンパ腫、メルケル細胞癌、肝臓がんおよび子宮頸がんからなる群から選択される。一部の実施形態では、個体は、ヒトである。一部の実施形態では、抗体部分は、キメラのものであるか、またはヒト化されている。一部の実施形態では、抗体部分は、一本鎖Fv(scFv)、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、VHH、Fv−Fc融合体、scFv−Fc融合体、scFv−Fv融合体、ダイアボディ、トリボディおよびテトラボディからなる群から選択される。一部の実施形態では、抗体部分は、一本鎖抗体である。一部の実施形態では、抗体部分は、Fc断片を含む。一部の実施形態では、抗体部分は、全長抗体である。一部の実施形態では、抗体部分は、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEからなる群から選択されるアイソタイプを有する。一部の実施形態では、Fc断片は、IgGのFc断片である。一部の実施形態では、Fc断片は、IgG1またはIgG4のFc断片である。一部の実施形態では、Fc断片は、H310AおよびH435Q変異を含み、アミノ酸位置は、Kabat番号付けシステムに基づく。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤の有効量は、個体の全体重のkg当たり約0.005μg〜約5gである。一部の実施形態では、抗体剤は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または経口投与される。
一部の実施形態では、個体の疾患または状態を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、(a)VHが配列番号9のアミノ酸配列を含み、VLが配列番号15のアミノ酸配列を含む;(b)VHが配列番号9のアミノ酸配列を含み、VLが配列番号17のアミノ酸配列を含む;(c)VHが配列番号9のアミノ酸配列を含み、VLが配列番号19のアミノ酸配列を含む;(d)VHが配列番号11のアミノ酸配列を含み、VLが配列番号15のアミノ酸配列を含む;(e)VHが配列番号11のアミノ酸配列を含み、VLが配列番号17のアミノ酸配列を含む;(f)VHが配列番号11のアミノ酸配列を含み、VLが配列番号19のアミノ酸配列を含む;(g)VHが配列番号13のアミノ酸配列を含み、VLが配列番号15のアミノ酸配列を含む;(h)VHが配列番号13のアミノ酸配列を含み、VLが配列番号17のアミノ酸配列を含む;または(i)VHが配列番号13のアミノ酸配列を含み、VLが配列番号19のアミノ酸配列を含む、方法が提供される。
一部の実施形態では、個体の疾患または状態を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、抗体部分を含み、抗体部分が、配列番号21または23のアミノ酸配列と少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、方法が提供される。
一部の実施形態では、個体の疾患または状態を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、a)配列番号1、5、9、11および13のいずれかで示される配列を有する重鎖可変領域(VH)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、HC−CDR1、HC−CDR2およびHC−CDR3と、b)配列番号3、7、15、17および19のいずれかで示される配列を有する軽鎖可変領域(VL)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、LC−CDR1、LC−CDR2およびLC−CDR3とを含む抗体部分を含む、方法が提供される。
一部の実施形態では、個体の黒色腫を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、a)VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1と、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2と、配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3とを含み;およびb)VLが、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1と、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2と、配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3とを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、個体の黒色腫を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、a)配列番号1、5、9、11および13のいずれかで示される配列を有する重鎖可変領域(VH)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、HC−CDR1、HC−CDR2およびHC−CDR3と、b)配列番号3、7、15、17および19のいずれかで示される配列を有する軽鎖可変領域(VL)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、LC−CDR1、LC−CDR2およびLC−CDR3とを含む抗体部分を含む、方法が提供される。
一部の実施形態では、個体の腎細胞癌を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、a)VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1と、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2と、配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3とを含み;およびb)VLが、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1と、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2と、配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3とを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、個体の腎細胞癌を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、a)配列番号1、5、9、11および13のいずれかで示される配列を有する重鎖可変領域(VH)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、HC−CDR1、HC−CDR2およびHC−CDR3と、b)配列番号3、7、15、17および19のいずれかで示される配列を有する軽鎖可変領域(VL)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、LC−CDR1、LC−CDR2およびLC−CDR3とを含む抗体部分を含む、方法が提供される。
一部の実施形態では、個体の結腸直腸がんを処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、a)VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1と、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2と、配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3とを含み;およびb)VLが、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1と、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2と、配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3とを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、個体の結腸直腸がんを処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、a)配列番号1、5、9、11および13のいずれかで示される配列を有する重鎖可変領域(VH)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、HC−CDR1、HC−CDR2およびHC−CDR3と、b)配列番号3、7、15、17および19のいずれかで示される配列を有する軽鎖可変領域(VL)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、LC−CDR1、LC−CDR2およびLC−CDR3とを含む抗体部分を含む、方法が提供される。
一部の実施形態では、個体の尿路上皮癌を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、a)VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1と、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2と、配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3とを含み;およびb)VLが、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1と、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2と、配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3とを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、個体の尿路上皮癌を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、a)配列番号1、5、9、11および13のいずれかで示される配列を有する重鎖可変領域(VH)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、HC−CDR1、HC−CDR2およびHC−CDR3と、b)配列番号3、7、15、17および19のいずれかで示される配列を有する軽鎖可変領域(VL)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、LC−CDR1、LC−CDR2およびLC−CDR3とを含む抗体部分を含む、方法が提供される。
一部の実施形態では、個体のホジキンリンパ腫を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、a)VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1と、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2と、配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3とを含み;およびb)VLが、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1と、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2と、配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3とを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、個体のホジキンリンパ腫を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、a)配列番号1、5、9、11および13のいずれかで示される配列を有する重鎖可変領域(VH)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、HC−CDR1、HC−CDR2およびHC−CDR3と、b)配列番号3、7、15、17および19のいずれかで示される配列を有する軽鎖可変領域(VL)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、LC−CDR1、LC−CDR2およびLC−CDR3とを含む抗体部分を含む、方法が提供される。
一部の実施形態では、個体の小細胞肺がんを処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、a)VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1と、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2と、配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3とを含み;およびb)VLが、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1と、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2と、配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3とを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、個体の小細胞肺がんを処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、a)配列番号1、5、9、11および13のいずれかで示される配列を有する重鎖可変領域(VH)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、HC−CDR1、HC−CDR2およびHC−CDR3と、b)配列番号3、7、15、17および19のいずれかで示される配列を有する軽鎖可変領域(VL)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、LC−CDR1、LC−CDR2およびLC−CDR3とを含む抗体部分を含む、方法が提供される。
一部の実施形態では、個体の非小細胞肺がんを処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、a)VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1と、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2と、配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3とを含み;およびb)VLが、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1と、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2と、配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3とを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、個体の非小細胞肺がんを処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、a)配列番号1、5、9、11および13のいずれかで示される配列を有する重鎖可変領域(VH)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、HC−CDR1、HC−CDR2およびHC−CDR3と、b)配列番号3、7、15、17および19のいずれかで示される配列を有する軽鎖可変領域(VL)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、LC−CDR1、LC−CDR2およびLC−CDR3とを含む抗体部分を含む、方法が提供される。
一部の実施形態では、個体の頭頸部腫瘍を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、a)VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1と、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2と、配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3とを含み;およびb)VLが、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1と、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2と、配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3とを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、個体の頭頸部腫瘍を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、a)配列番号1、5、9、11および13のいずれかで示される配列を有する重鎖可変領域(VH)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、HC−CDR1、HC−CDR2およびHC−CDR3と、b)配列番号3、7、15、17および19のいずれかで示される配列を有する軽鎖可変領域(VL)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、LC−CDR1、LC−CDR2およびLC−CDR3とを含む抗体部分を含む、方法が提供される。
一部の実施形態では、個体の胃がんを処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、a)VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1と、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2と、配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3とを含み;およびb)VLが、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1と、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2と、配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3とを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、個体の胃がんを処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、a)配列番号1、5、9、11および13のいずれかで示される配列を有する重鎖可変領域(VH)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、HC−CDR1、HC−CDR2およびHC−CDR3と、b)配列番号3、7、15、17および19のいずれかで示される配列を有する軽鎖可変領域(VL)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、LC−CDR1、LC−CDR2およびLC−CDR3とを含む抗体部分を含む、方法が提供される。
一部の実施形態では、個体のB細胞リンパ腫を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、a)VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1と、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2と、配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3とを含み;およびb)VLが、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1と、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2と、配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3とを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、個体のB細胞リンパ腫を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、a)配列番号1、5、9、11および13のいずれかで示される配列を有する重鎖可変領域(VH)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、HC−CDR1、HC−CDR2およびHC−CDR3と、b)配列番号3、7、15、17および19のいずれかで示される配列を有する軽鎖可変領域(VL)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、LC−CDR1、LC−CDR2およびLC−CDR3とを含む抗体部分を含む、方法が提供される。
一部の実施形態では、個体の肝臓がんを処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、a)VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1と、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2と、配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3とを含み;およびb)VLが、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1と、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2と、配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3とを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、個体の肝臓がんを処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、a)配列番号1、5、9、11および13のいずれかで示される配列を有する重鎖可変領域(VH)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、HC−CDR1、HC−CDR2およびHC−CDR3と、b)配列番号3、7、15、17および19のいずれかで示される配列を有する軽鎖可変領域(VL)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、LC−CDR1、LC−CDR2およびLC−CDR3とを含む抗体部分を含む、方法が提供される。
一部の実施形態では、個体のメルケル細胞癌を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、a)VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1と、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2と、配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3とを含み;およびb)VLが、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1と、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2と、配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3とを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、個体のメルケル細胞癌を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、a)配列番号1、5、9、11および13のいずれかで示される配列を有する重鎖可変領域(VH)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、HC−CDR1、HC−CDR2およびHC−CDR3と、b)配列番号3、7、15、17および19のいずれかで示される配列を有する軽鎖可変領域(VL)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、LC−CDR1、LC−CDR2およびLC−CDR3とを含む抗体部分を含む、方法が提供される。
一部の実施形態では、個体の子宮頸がんを処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、a)VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1と、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2と、配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3とを含み;およびb)VLが、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1と、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2と、配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3とを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、個体の子宮頸がんを処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、a)配列番号1、5、9、11および13のいずれかで示される配列を有する重鎖可変領域(VH)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、HC−CDR1、HC−CDR2およびHC−CDR3と、b)配列番号3、7、15、17および19のいずれかで示される配列を有する軽鎖可変領域(VL)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、LC−CDR1、LC−CDR2およびLC−CDR3とを含む抗体部分を含む、方法が提供される。
一部の実施形態では、個体は、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ラット、マウス、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコなど)である。一部の実施形態では、個体は、ヒトである。一部の実施形態では、個体は、臨床患者、臨床試験ボランティア、実験動物などである。一部の実施形態では、個体は、約60歳より若年(例えば、約50、40、30、25、20、15または10歳のいずれかより若年を含む)である。一部の実施形態では、個体は、約60歳より高齢(例えば、約70、80、90または100歳のいずれかより高齢を含む)である。一部の実施形態では、個体は、本明細書に記載の疾患または障害(例えば、黒色腫、腎細胞癌、結腸直腸がん、尿路上皮癌、ホジキンリンパ腫、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頸部腫瘍、胃がん、B細胞リンパ腫、メルケル細胞癌、肝臓がんもしくは子宮頸がん)のうちの1つもしくは複数があると診断されるか、または遺伝的に1つもしくは複数のその疾患または障害を起こしやすい。一部の実施形態では、個体は、本明細書に記載の1つまたは複数の疾患または障害に関連する1つまたは複数のリスク因子を有する。
抗PD−L1抗体剤の投与、および投与方法
個体に投与される、本明細書に記載の疾患または障害を処置するために使用される抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)の用量は、特定の抗体剤(または抗体部分)、投与方法、および処置される疾患または状態の種類によって変わり得る。一部の実施形態では、疾患または状態の種類は、がんである。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)の有効量は、客観的奏効(例えば、部分奏効または完全奏効)をもたらすのに有効である量である。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)の有効量は、個体に完全奏効をもたらすのに十分である量である。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)の有効量は、個体に部分奏効をもたらすのに十分である量である。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)の有効量は、抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)で処置された個体の集団の中で約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約64%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、または約90%のいずれかより高い全奏効率を生じさせるのに十分である量である。本明細書に記載の方法の処置に対する個体の応答は、例えばRECISTレベルに基づいて、決定することができる。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)の有効量は、個体の無憎悪生存期間を延長するのに十分である量である。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)の有効量は、個体の全生存期間を延長するのに十分である量である。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)の有効量は、抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)で処置された個体の集団の中で約50%、60%、70%、または77%のいずれかより高い臨床的利益を生じさせるのに十分である量である。
一部の実施形態では、単独でのまたは第2、第3および/もしくは第4の薬剤と組み合わせての、抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)の有効量は、同じ対象における処置前の対応する腫瘍サイズ、がん細胞の数もしくは腫瘍成長速度と比較して、または処置を受けていない他の対象における対応する活性と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約100%のいずれかの%だけ、腫瘍のサイズを低下させるのに、がん細胞の数を減少させるのに、または腫瘍の成長速度を低下させるのに十分である量である。精製された酵素を用いるin vitroアッセイ、細胞に基づくアッセイ、動物モデルまたはヒト試験などの、標準的な方法を使用して、この効果の大きさを測定することができる。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)の有効量は、組成物が個体に投与されたとき、毒物学的作用(すなわち、臨床的に許容される毒性のレベルを超える作用)を誘発するレベルに満たない量、または潜在的副作用が制御または耐容され得るレベルである量である。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)の有効量は、同じ投与レジメンに従って組成物の最大耐用量(MTD)に近い量である。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)の有効量は、MTDの約80%、90%、95%、または98%のいずれかを上回る。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)の有効量は、約0.001μg〜約10g、例えば、約0.001μg〜約0.01μg、約0.01μg〜約0.1μg、約0.1μg〜約1μg、約1μg〜約10μg、約10μg〜約100μg、約100μg〜約1mg、約1mg〜約10mg、約10mg〜約100mg、約100mg〜約1g、または約1g〜約10gの範囲に含まれる。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)の有効量は、少なくとも約0.001μg、0.01μg、0.1μg、1μg、10μg、100μg、1mg、10mg、100mg、1g、または5gである。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)の有効量は、約0.05μg、0.1μg、1μg、10μg、100μg、1mg、10mg、100mg、1gまたは10g以下である。
上記態様のいずれかの一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)の有効量は、全体重のkg当たり約0.005μg〜約5g、例えば、約0.005μg/kg〜約0.05μg/kg、約0.05μg/kg〜約0.5μg/kg、約0.5μg/kg〜約5μg/kg、約5μg/kg〜約50μg/kg、約50μg/kg〜約500μg/kg、約500μg/kg〜約5mg/kg、約5mg/kg〜約50mg/kg、約50mg/kg〜約500mg/kg、または約500mg/kg〜約5g/kgの範囲内である。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)の有効量は、少なくとも約0.005μg/kg、0.05μg/kg、0.5μg/kg、5μg/kg、50μg/kg、500μg/kg、5mg/kg、50mg/kg、500mg/kg、または2.5g/kgである。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤(または抗体部分)の有効量は、約0.01μg/kg、0.05μg/kg、0.5μg/kg、5μg/kg、50μg/kg、500μg/kg、5mg/kg、50mg/kg、500mg/kgまたは5g/kg以下(no more)である。
抗PD−L1抗体剤を、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、肺内、経口、吸入、膀胱内、筋肉内、気管内、皮下、眼内、髄腔内、経粘膜および経皮を含む、様々な経路によって個体(例えば、ヒト)に投与することができる。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤は、個体への投与の間に医薬組成物に含まれる。一部の実施形態では、組成物の持続徐放製剤が使用され得る。一部の実施形態では、組成物は、静脈内投与される。一部の実施形態では、組成物は、腹腔内投与される。一部の実施形態では、組成物は、静脈内投与される。一部の実施形態では、組成物は、腹腔内投与される。一部の実施形態では、組成物は、筋肉内投与される。一部の実施形態では、組成物は、皮下投与される。一部の実施形態では、組成物は、静脈内投与される。一部の実施形態では、組成物は、経口投与される。
併用治療
本出願は、疾患または状態(例えば、がん)を処置するために個体に抗PD−L1抗体剤を投与する方法であって、第2の薬剤または治療を投与するステップをさらに含む方法も提供する。一部の実施形態では、第2の薬剤または治療は、疾患または状態を処置するための標準的なまたは一般に使用される薬剤または治療である。一部の実施形態では、第2の薬剤または治療は、化学療法剤を含む。一部の実施形態では、第2の薬剤または治療は、外科手術を含む。一部の実施形態では、第2の薬剤または治療は、放射線療法を含む。一部の実施形態では、第2の薬剤または治療は、免疫療法を含む。一部の実施形態では、第2の薬剤または治療は、ホルモン療法を含む。一部の実施形態では、第2の薬剤または治療は、血管新生阻害剤を含む。一部の実施形態では、第2の薬剤または治療は、チロシンキナーゼ阻害剤を含む。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤は、第2の薬剤または治療と同時に投与される。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤は、第2の薬剤または治療と並行して投与される。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤は、第2の薬剤または治療と逐次的に投与される。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤は、第2の薬剤または治療と同じ単位剤形で投与される。一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤は、第2の薬剤または治療とは異なる単位剤形で投与される。
一部の実施形態では、第2の薬剤または治療は、ブレンツキシマブ、BMS−986016、ウレルマブ、モガムリズマブ、バルリルマブ、DS−8273a、ポマリドミド、エロツズマブ、エパカドスタット、BMS−986205、インドキシモド、ABT−399、モトリモド、セツキシマブ、BMS−986012、グレムバツムマブベドチン、BMS−986148、ALT−803、カビラリズマブ、ABBV−085、ベバシズマブ、ペメトレキセド、エルロチニブ、クリゾチニブ、BMS−986156、リリルマブ、エロツズマブ、インターフェロン−ガンマ、BMS−986179、BMS−986178、ABBV−368、ラムシルマブ、インターロイキン2、ダラツムマブ、オレゴボマブ、NKTR−214、ABBV−927、JTX−2011、アンデカリキシマブ、BMS−986207、ジヌツキシマブベータ、ニモツズマブ、ABBV−428、X4P−001、トラスツズマブ−DM1、イピリムマブ、インターフェロンアルファ−2b、MK−4166、インドキシモド、リツキシマブ、ネシツムマブ、エノブリツズマブ、GSK3174998、ウブリツキシマブ、TGR−1202、MK−1248、PV−10、ミルベツキシマブ・ソラブタンシン、AFM13、マルゲツキシマブ、IMP321、APX005M、AMG820、sEphB4−HAS、MK−4280、デミシズマブ、GSK3359609、組換えEphB4−HSA融合タンパク質、Resimmune、放射線治療、AM0010、インターロイキン−12、インターフェロンガンマ−1b、MK−7684、IMM−101、エンチノスタット、コビメチニブ、バヌシズマブ、PEG−インターフェロンアルファ−2b、オビヌツズマブ、アセチルサリチル酸、MOXR0916、RO6874281、タゼメトスタット、イブルチニブ、ポラツズマブベドチン、レナリドミド、ベンダムスチン、CHOP、RG7888、バヌシズマブ、RO7009789、エマクツズマブ、セルグツズマブアムナロイキン、RO6958688、ダラツムマブ、ダラツムマブ、CDX−1401、ペルツズマブ、トラスツズマブエムタンシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ドセタキセル、RG6058、ALX148、ダラツムマブ、エフィゾネリモド、モガムリズマブ、オレクルマブ、モナリズマブ、MEDI0562、IMC−CS4、MEDI5083、ウトミルマブ、PF−04518600、PD 0360324、アザシチジン、ベンダムスチン、M9241、ベムラフェニブ、PDR001、LY3321367、デュルバルマブ、プロザリズマブ、ベドリズマブ、TAK−580、ロバルピツズマブテシリン、ブレンツキシマブベドチン、ブリナツモマブ、MBG453、GWN323、デシタビン、カナキヌマブ、CJM112、トラメチニブ、EGF816、NIS793、REGN1979、REGN3767、アカラブルチニブ、レンバチニブ、ボリノスタット、ジナシクリブ、ダブラフェニブ、アキシチニブ、イブルチニブ、アベマシクリブ、エリブリン、BL−8040、デキサメタゾン、CMP−001、アファチニブ、アムカセルチブ、ARRY−382、アザシチジン、ロミデプシン、B−701、BGB324、ビニメチニブ、ビリナパント、カルフィルゾミブ、GM−CSF、デファクチニブ、エンコラフェニブ、エノボサルム、エキセメスタン、ロイプロリド、G100、GR−MD−02、イマチニブ、IMO−2125、INCB054828、イタシチニブ、INCB050465、レトロゾール、パルボシクリブ、MK−1454、ナパブカシン、ニンテダニブ、ニラパリブ、オラパリブ、エンザルタミド、プレドニゾン、パゾパニブ、PEGPH20、PLX3397、プレラデナント、ルキソリチニブ、サルグラモスチム、SCH 900353、SD−101、ビスモデギブ、X4P−001、XL888、Ziv−アフリベルセプト、イブルチニブ、ダサチニブ、プリナブリン、ベリパリブ、PT2385、EGF816、INC280、セリチニブ、ガルニセルチブ、テムシロリムス、イリノテカン、カペシタビン、アムカセルチブ、IPI−549、チダミド、CB−839、TAK−659、シトラバチニブ、グレサチニブ、シトラバチニブ、モセチノスタット、アバドミド、RRx−001、オマベロキソロン、バルプロ酸塩、CB−1158、アザシチジン、ミドスタウリン、シタラビン、イブルチニブ、モセチノスタット、オシメルチニブメシル酸塩、ゲフィチニブ、AZD6738、セジラニブ、MEDI9197、AZD5069、nab−パクリタキセル、AZD4547、AZD1775、ビスツセルチブ、ガルニセルチブ、LY2510924、AZD4635、ペキシダルチニブ、セルメチニブ、トラベクテジン、エンサルチニブ、アレクチニブ、ロシレチニブ、CPI−444、エトポシド、カルボプラチン、トリラシクリブ、ルカパリブ、ベリパリブ、ロルラチニブ、スニチニブ、ベイジーン−290(Beigene−290)、BGB−3111、サボリチニブ、アパチニブ、メレスチニブ、シタリノスタット、Emurafenib、カボザンチニブ、パゾパニブ、WNT974、FGF401、PBF 509、LXH254、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、LCL101、エベロリムス、パノビノスタット、カプマチニブ、BLZ945、Ad−CEAワクチン、アクサリモジーン・フィロリスバック(Axalimogene filolisbac)、Vigil、TPIV 200、PVX−410、ヒルトノール、DC/AML融合細胞ワクチン、LTX−315、LV305、膀胱内BCG療法、ADXS−PSA、p53MVA、pTVG−HPプラスミドDNAワクチン、6MHP、GVAX膵臓ワクチン、GVAX、DNX−2401、DPX−Survivacワクチン、樹状細胞療法、凍結手術、プレベナー13(Prevnar 13)、mDC3/8、NY−ESO−1、gp100:280−288、CRS−207、ISA101、Viagenpumatucel−L、樹状細胞ワクチン、WT1ワクチン、TG4010、CV−301、PD−L1/IDOペプチドワクチン、DCVax−L、NEO−PV−01、CimaVax−EGFワクチン、弱毒麻疹ウイルス、プロストバック、CMB305、シプロイセルT、ONCOS−102、コクサッキーウイルスA21、コクサッキーウイルスA22、ペラレオレプ、Ad−MAGEA3/MG1−MAGEA3、タリモジーン・ラハーパレプベック、HSV−tk−発現アデノウイルス、Pexa−Vec、エナデノツシレブ、MCPyV TAg特異的自己CD8+T細胞、IMCgp100、TIL療法、iC9−GD2 T細胞、E7 TCR T細胞、pIL−12、ISF35、NY−ESO−1 TCR PBMC、HPV特異的T細胞、NK免疫療法、アキシカブタジンシロルーセル、AZD9150、ポリICLC、およびインプライムPGGからなる群から選択される。
疾患または状態
本明細書に記載の抗PD−L1抗体剤は、任意の疾患または状態を処置するために使用することができる。一部の実施形態では、疾患または状態は、感染症を含む。一部の実施形態では、疾患または状態は、感染症(例えば、細菌感染症またはウイルス感染症)である。一部の実施形態では、疾患または状態は、自己免疫障害である。一部の実施形態では、疾患または状態は、がんである。
一部の実施形態では、抗PD−L1抗体剤は、がんを処置する方法に使用される。本明細書に記載の方法のいずれかを使用して処置することができるがんは、血管化されてない腫瘍またはまだ実質的に血管化されていない腫瘍も、血管化された腫瘍も含む。本出願に記載の抗PD−L1抗体剤で処置されることになるがんの種類は、癌、芽腫、肉腫、良性および悪性腫瘍、ならびに悪性疾患、例えば、肉腫、癌および黒色腫を含むが、これらに限定されない。成人腫瘍/がんおよび小児腫瘍/がんも含まれる。
様々な実施形態では、がんは、早期がん、非転移性がん、原発がん、進行がん、局所進行がん、転移性がん、寛解期のがん、再発がん、補助療法(adjuvant setting)中のがん、新補助療法中のがん、または治療に実質的に反応しないがんである。
本出願の方法を使用して処置することができるがんの例としては、肛門がん、星細胞腫(例えば、小脳および大脳のもの)、基底細胞癌、膀胱がん、骨がん、(骨肉腫および悪性線維性組織球腫)、脳腫瘍(例えば、神経膠腫、脳幹神経膠腫、小脳または大脳星細胞腫(例えば、星細胞腫、悪性神経膠腫、髄芽腫、および神経膠芽腫)、乳がん、中枢神経系リンパ腫、子宮頸がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん(例えば、子宮がん)、食道がん、眼がん(例えば、眼内黒色腫および網膜芽細胞腫)、胃(gastric)(胃(stomach))がん、消化管間質腫瘍(GIST)、頭頸部がん、肝細胞(肝臓)がん(例えば、肝癌およびヘパトーマ)、白血病、肝臓がん、肺がん(例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺癌、および肺扁平上皮癌)、リンパ系新生物(例えば、リンパ腫)、髄芽腫、黒色腫、中皮腫、骨髄異形成症候群、鼻咽頭がん、神経芽腫、卵巣がん、膵臓がん、副甲状腺がん、腹膜がん、下垂体腫瘍、リンパ腫、直腸がん、腎がん、腎盂および尿管がん(移行上皮がん)、横紋筋肉腫、皮膚がん(例えば、非黒色腫(例えば、扁平上皮癌)、黒色腫、およびメルケル細胞癌)、小腸がん、扁平上皮がん、精巣がん、甲状腺がん、結節性硬化症、ならびに移植後リンパ増殖性障害(PTLD)が挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、がんは、黒色腫、腎細胞癌、結腸直腸がん、尿路上皮癌、ホジキンリンパ腫、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頸部腫瘍、胃がん、B細胞リンパ腫、メルケル細胞癌、肝臓がんおよび子宮頸がんからなる群から選択される。
VIII.組成物、キットおよび製造物品
本明細書に記載のイメージング剤もしくは単離された抗PD−L1抗体剤、抗体部分(例えば、抗PD−L1抗体部分)をコードする核酸、抗体部分をコードする核酸を含むベクター、または核酸もしくはベクターを含む宿主細胞のうちのいずれか1つを含む組成物(例えば、製剤)も、本明細書で提供される。
本明細書に記載のイメージング剤または単離された抗PD−L1抗体剤の好適な製剤は、所望の純度を有するイメージング剤または単離された抗PD−L1抗体剤と必要に応じた薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980))とを混合することにより、凍結乾燥製剤または水性液剤の形態で得ることができる。許容される担体、賦形剤または安定剤は、利用される投与量および濃度でレシピエントにとって非毒性であり、緩衝剤、例えば、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸;抗酸化剤(アスコルビン酸およびメチオニンを含む);保存剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール、アルキルパラベン、例えばメチルもしくはプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノール、およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン(olyvinylpyrrolidone);アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリシン;単糖類、二糖類および他の炭水化物(グルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む);キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール;塩形成性対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含む。皮下投与に適応する凍結乾燥製剤は、WO97/04801に記載されている。そのような凍結乾燥製剤を、好適な希釈剤で高タンパク質濃度に復元し、復元された製剤を、本明細書におけるイメージング、診断または処置を受ける個体に皮下投与することができる。
in vivo投与に使用される製剤は、無菌でなければならない。これは、例えば滅菌濾過膜による濾過により、容易に果たされる。
本明細書に記載の、イメージング剤、単離された抗PD−L1抗体剤、のいずれか1つ、ならびに/または必要に応じてキレート化合物および/もしくは放射性核種を含むキットも提供される。このキットは、本明細書に記載のイメージング、診断および処置の方法のいずれかに有用であり得る。
一部の実施形態では、免疫チェックポイントリガンド(例えば、PD−L1またはPD−L1様リガンド)に特異的に結合する抗体部分とキレート化合物(例えば、NOTA、DOTA、またはその誘導体)とを含むキットが、提供される。一部の実施形態では、キットは、放射性核種(例えば、68Ga)をさらに含む。一部の実施形態では、キレート化合物は、放射性核種をキレート化する。
一部の実施形態では、放射性核種(例えば、68Ga)で標識された抗体部分を含むイメージング剤を含むキットであって、抗体部分が免疫チェックポイントリガンド(例えば、PD−L1またはPD−L1様リガンド)に特異的に結合する、キットが提供される。一部の実施形態では、抗体部分は、放射性核種をキレート化するキレート部分(例えば、NOTA、DOTAまたはその誘導体)にコンジュゲートされている。一部の実施形態では、キットは、放射性核種で標識されていない抗体部分をさらに含む。
一部の実施形態では、キットは、イメージング剤または単離された抗PD−L1抗体剤を送達することができるデバイスをさらに含む。非経口送達などの用途のための1つのタイプのデバイスは、対象の身体に組成物を注射するために使用されるシリンジである。吸入デバイスも、ある特定の用途に使用され得る。
一部の実施形態では、キットは、疾患または状態、例えば、がん、感染性疾患、自己免疫疾患、または代謝疾患を処置するための治療剤をさらに含む。一部の実施形態では、治療剤は、免疫チェックポイントリガンドまたはその受容体の阻害剤である。一部の実施形態では、治療剤は、免疫チェックポイントリガンドまたはその受容体に特異的に結合する放射性標識分子である。
本出願のキットは、好適な包装材の中に存在する。好適な包装材としては、バイアル、ビン、ジャー、軟包装(例えば、密封マイラーまたはプラスチックバッグ)などが挙げられるが、これらに限定されない。キットは、緩衝剤および解釈情報などの追加の構成要素を必要に応じて提供することができる。
したがって、本出願は、製造物品も提供する。製造物品は、容器と、その容器上のまたはその容器に付随するラベルまたは添付文書とを含むことができる。好適な容器としては、バイアル(例えば、密封バイアル)、ビン、ジャー、軟包装などが挙げられる。一般に、容器は、組成物を保持し、無菌取出口を有し得る(例えば、容器は、皮下注射針により貫通可能なストッパーを有する静脈内輸液バッグ(intravenous solution bag)またはバイアルであり得る)。ラベルまたは添付文書は、組成物が個体の特定の状態のイメージング、診断または処置に使用されることを示す。ラベルまたは添付文書は、個体に組成物を投与するためのおよび個体をイメージングするための指示(instruction)をさらに含む。ラベルは、復元および/または使用についての指示(direction)を示し得る。組成物を保持する容器は、復元製剤の反復投与(2〜6回の投与)を可能にする、複数回使用用バイアルであることもある。添付文書は、診断製品の市販のパッケージ内に慣習的に含まれている指示であって、そのような診断製品の使用に関する適応症、使用法、投与量、投与、禁忌および/または警告についての情報を含む指示を指す。加えて、製造物品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンゲル液およびデキストロース溶液などの、薬学的に許容される緩衝液を含む、第2の容器をさらに含むことができる。製造物品は、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針およびシリンジを含む、商業的観点および使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含むことができる。
キットまたは製造物品は、薬局、例えば、病院の薬局および調剤薬局における保管および使用に十分な量で包装された、組成物の複数の単位用量および使用のための指示を含むことができる。
いくつかの実施形態が本発明の範囲および趣旨の中で可能であることは、当業者であれば認識する。以下の非限定的実施例への言及によってこれからさらに詳細に本発明を説明する。以下の実施例は、本発明をさらに例証するものであるが、言うまでもなく、以下の実施例を、いかなる点でも本発明の範囲を制限すると解釈すべきでない。
例示的実施形態
実施形態1.個体の疾患または状態を処置するための医薬の調製における抗PD−L1抗体剤の有効量の使用であって、抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、a)VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(HC−CDR1)、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、またはHC−CDRに最大合計約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含み;およびb)VLが、配列番号44のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(LC−CDR1)、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、またはLC−CDRに最大合計約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む、使用。
実施形態2.a)VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1と、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2と、配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3とを含み;およびb)VLが、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1と、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2と、配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3とを含む、実施形態1の使用。
実施形態3.a)VHが、配列番号1、5、9、11および13のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み;および/またはb)VLが、配列番号3、7、15、17および19のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態1または2の使用。
実施形態4.抗体部分が、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号15のアミノ酸配列を含むVL;(b)配列番号9のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号17のアミノ酸配列を含むVL;(c)配列番号9のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号19のアミノ酸配列を含むVL;(d)配列番号11のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号15のアミノ酸配列を含むVL;(e)配列番号11のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号17のアミノ酸配列を含むVL;(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号19のアミノ酸配列を含むVL;(g)配列番号13のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号15のアミノ酸配列を含むVL;(h)配列番号13のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号17のアミノ酸配列を含むVL;または(i)配列番号13のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号19のアミノ酸配列を含むVLを含む、実施形態3の使用。
実施形態5.抗体部分が、配列番号21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態1の使用。
実施形態6.個体の疾患または状態を処置するための医薬の調製における抗PD−L1抗体剤の有効量の使用であって、抗体剤が、a)配列番号1、5、9、11および13のいずれかで示される配列を有する重鎖可変領域(VH)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、HC−CDR1、HC−CDR2およびHC−CDR3と、b)配列番号3、7、15、17および19のいずれかで示される配列を有する軽鎖可変領域(VL)内のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、LC−CDR1、LC−CDR2およびLC−CDR3とを含む抗体部分を含む、使用。
実施形態7.抗体部分が、キメラのものであるか、またはヒト化されている、実施形態1〜6のいずれか1つの使用。
実施形態8.抗体部分が、一本鎖Fv(scFv)、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、VHH、Fv−Fc融合体、scFv−Fc融合体、scFv−Fv融合体、ダイアボディ、トリボディおよびテトラボディからなる群から選択される、実施形態1〜4、6および7のいずれか1つの使用。
実施形態9.抗体部分が、一本鎖抗体である、実施形態1〜4および6〜8のいずれか1つの使用。
実施形態10.抗体部分が、scFvである、実施形態9の使用。
実施形態11.抗体部分が、Fc断片を含む、実施形態1〜4および6〜8のいずれか1つの使用。
実施形態12.抗体部分が、全長抗体である、実施形態11の使用。
実施形態13.抗体部分が、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEからなる群から選択されるアイソタイプを有する、実施形態12の使用。
実施形態14.Fc断片が、IgGのFc断片である、実施形態11〜13のいずれか1つの使用。
実施形態15.Fc断片が、IgG1またはIgG4のFc断片である、実施形態14の使用。
実施形態16.Fc断片が、H310AおよびH435Q変異を含み、アミノ酸位置が、Kabat番号付けシステムに基づく、実施形態11〜15のいずれか1つの使用。
実施形態17.個体が、ヒトである、実施形態1〜16のいずれか1つの使用。
実施形態18.疾患または状態が、がんである、実施形態1〜17のいずれか1つの使用。
実施形態19.がんが、黒色腫、腎細胞癌、結腸直腸がん、尿路上皮癌、ホジキンリンパ腫、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭頸部腫瘍、胃がん、B細胞リンパ腫、メルケル細胞癌、肝臓がんおよび子宮頸がんからなる群から選択される、実施形態18の使用。
実施形態20.抗体剤が、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または経口投与に好適である、実施形態1〜19のいずれか1つの使用。
実施形態21.医薬が、第2の薬剤の有効量と組み合わせて使用される、実施形態1〜20のいずれか1つの使用。
実施形態22.第2の薬剤が、化学療法剤である、実施形態21の使用。
実施形態23.個体の疾患または状態を処置する方法であって、抗PD−L1抗体剤の有効量を個体に投与するステップを含み、抗PD−L1抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、a)VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(HC−CDR)1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、またはHC−CDRに最大合計約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含み;およびb)VLが、配列番号44のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(LC−CDR)1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、またはLC−CDRに最大合計約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む、方法。
実施形態24.抗PD−L1抗体剤の有効量が、個体の全体重のkg当たり約0.005μg〜約5gである、実施形態23の方法。
実施形態25.抗PD−L1抗体剤および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物であって、抗体剤が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体部分を含み、a)VHが、配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、またはHC−CDRに最大合計約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含み;およびb)VLが、配列番号44のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、またはLC−CDRに最大合計約5つのアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む、医薬組成物。
実施形態26.凍結乾燥されている、実施形態25の医薬組成物。
実施形態27.溶液である、実施形態25の医薬組成物。
実施形態28.約0.001μg〜約10gの抗体部分を含む、実施形態25〜27のいずれか1つの医薬組成物。
実施形態29.個体の疾患または状態を処置するためのキットであって、実施形態25〜28のいずれか1つの医薬組成物および指示を含むキット。
下記の実施例は、本発明の単なる典型例であることを意図したものであり、したがって、いかなる点においても本発明を限定するものと見なすべきではない。以下の実施例および詳細な説明は、実例として提供するものであり、限定として提供するものではない。
(実施例1)
ヒトPD−L1に対するモノクローナル抗体の調製および特徴付け
免疫化
8〜10週齢メスPD−L1欠損マウス(H Dong et al. Immunity. 2004 Mar;20(3):327−36)の複数の部位に、100μgのhPD−L1mIg融合タンパク質とフロイント完全アジュバント(CFA)(Sigma−Aldrich)とを含む200μlのエマルジョンで皮下(s.c.)免疫した。各動物に、フロイント不完全アジュバント(IFA)(Sigma−Aldrich)中で処方した同じ濃度のhPD−L1mIg融合タンパク質を含むエマルジョンで、2または3回の追加免疫を施した。血清力価試験のために各免疫の2週間後に動物から血液試料を採取した。十分な力価に到達し次第、動物に、PBS中のPD−L1mIg融合タンパク質60μgの追加免疫注射を腹腔内注射(i.p.)によって施した。追加免疫注射の5日後に、動物を屠殺し、それらの脾臓を無菌採取した。
全脾臓を解離させて単個細胞浮遊液にした。ACK緩衝液を使用して、赤血球を溶解した。次いで、50ml円錐遠心分離管の中で脾細胞をSP2/0−Ag14骨髄腫細胞(ATCCから)と1:1比で混合した。遠心分離後、上清を廃棄し、50%ポリエチレングリコール(Roche)で細胞融合を誘導した。融合細胞をHAT選択培地で8〜10日間培養した。ELISAを使用して、上清の内容物をhPD−1発現細胞に結合するそれらの能力について分析し、フローサイトメトリー分析を使用して陽性クローンをさらに確認した。5回、限界希釈法を使用して陽性ハイブリドーマのサブクローニングを行って、純粋なモノクローナル培養物を獲得した。
抗hPD−L1モノクローナル抗体の特徴付け
抗hPD−L1モノクローナル抗体の結合特異性
hPD−L1をトランスフェクトしたCHO細胞(CHO/hPD−L1細胞)を使用して、フローサイトメトリー(FACSVerse、BD Biosciences)により抗hPD−L1 mAbの結合特異性を決定した。具体的には、CHO/hPD−L1細胞を氷上で30分間、漸増量(0.06ng、0.125ng、0.25ng、0.5ng、1ng、2ng、4ng、および100ng)の抗hPD−L1 mAb 5B7とともにインキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、フローサイトメトリー分析の前に抗mIgG−APC(eBioscience)とともにさらにインキュベートした。図1Aおよび1Bに示されているように、抗hpD−L1 mAb 5B7は、用量依存的に高い特異性でhPD−L1に結合した。
Mouse Immunoglobulin Isotyping Kit(BD Biosciences)を使用して、モノクローナル抗体のアイソタイプはIgG1κであることが決定された。
種間交差反応性
マウスPD−L1をトランスフェクトしたCHO細胞(CHO/mPD−L1)を使用して、抗hPD−L1 mAbとマウスPD−L1の種間交差反応性を評価した。フローサイトメトリー分析の前に細胞を抗hPD−L1 mAbとともにインキュベートした。図2Aは、ヒトPD−L1に対する抗hPD−L1 mAbの結合特異性を示す。図2Bに示されているように、抗hPD−L1 mAbは、マウスPD−L1にも結合する。
リガンド結合の遮断
PD−L1とPD−1との結合に対する抗hPD−L1 mAbの遮断効果を評価するために、以下の遮断実験を行った:100ngのhPD−L1hIg融合タンパク質を、4℃で30分間、指示用量のmAb(400、300、200、100、50ng/10ul)または対照Igとともにプレインキュベートした後に使用してCHO/hPD−1細胞に結合させた。次いで、細胞を洗浄し、ヤギ抗hIgG−APCでさらに染色した。mAbの遮断効果をフローサイトメトリーで評価した。同様の方法を使用して、PD−L1とB7−1(CD80)との結合を遮断するPD−L1 mAbの能力も評価した。
図3Aは、抗hPD−L1mAbがhPD−1へのhPD−L1の結合を用量依存的に遮断することができることを示す。図3Bは、mAbがhB7−1へのhPD−L1の結合も同様に遮断することができることを示す。これらのことから分かるように、mAbは、PD−L1のその結合パートナーへの結合を遮断することができる。
抗hPD−L1抗体産生ハイブリドーマ細胞のシークエンシング
抗体産生ハイブリドーマ細胞をシークエンシングするために、1×107個のハイブリドーマ細胞を採取し、PBSで洗浄した。RNeasy Mini Kit(Qiagen)を使用して、メッセンジャーRNAをハイブリドーマから抽出した。SMARTer RACE cDNA Amplification Kit(Clontech)を使用して、RACE−Ready first−Strand cDNAを合成した。逆転写後、ready cDNAを鋳型として用い、キットにより提供された5’ユニバーサルプライマー(UPM)と、マウスIgG1重鎖可変領域および軽鎖可変領域配列を使用して設計した3’遺伝子特異的プライマー(GSP1)とを用いて、5’RACE PCR反応を行った。RACE産物をゲル電気泳動分析により特定した。次いで、Zero Blunt TOPO PCR Cloning Kit(Invitrogen)を使用してPCR産物をTベクターにクローニングした。形質転換後、プラスミドをシークエンシング解析により検証した。VBASE2(worldwide wweb.vbase2.org)を使用して重鎖可変領域および軽鎖可変領域の配列を解析し、表3に収載した。
(実施例2)
抗hPD−L1抗体のヒト化および特徴付け
抗hPD−L1抗体のヒト化
ヒト化は、抗hPD−L1ハイブリドーマ細胞からの重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)配列に基づいて行った。最初のステップとして、親マウスVHおよびVL配列と、ヒトIgG定常領域と、ヒトκ鎖とを含むマウス−ヒトキメラmAbを生成した。キメラ抗体の特徴付けに基づいて、3つのVHおよび3つのVLヒト化配列を設計し、9つのヒト化抗体を生成するために使用した。キメラおよびヒト化抗hPD−L1抗体のVHおよびVL配列を表2に収載する。
ヒト化抗hPD−L1抗体の特徴付け
ヒト化抗hPD−L1抗体の遮断活性
親キメラ抗体と比較してヒト化抗体(3つのVHと3つのVLの組合せ、合計9個)の遮断活性を調査するために、実施例1のものと同様のリガンド結合遮断実験を行ったが、hPD−L1mIg融合タンパク質をヒト化抗体およびキメラ抗体の代わりに使用した。図4は、CHO/hPD−1細胞へのPD−L1の結合が全てのヒト化抗体により用量依存的に阻害されたことを示す。このことから分かるように、全ての組合せは、親キメラ抗体のものに近い遮断活性を有する。投与量が低いほど、一部のヒト化抗体は、親キメラ抗体と比べていっそう高い遮断活性を有する。
(実施例3)
抗hPD−L1 scFv−hFc抗体の調製および特徴付け
scFv−hFc抗体の配列設計および合成
ヒト化抗hPD−L1抗体バリアント2の重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を使用してscFv−hFc抗体を生成した。具体的には、重鎖および軽鎖をリンカーにより接続し、その後、ヒンジ配列(GACAAGACCCACACCTGCCCTCCCTGCCCC、配列番号50)およびヒト免疫グロブリンIgG1 Fc部分(CH2−CH3領域)を接続した。加えて、in vivoでの抗体の迅速なクリアランスのために、H310A(すなわち、CACからGCCへの)およびH435Q(すなわちCACからCAGへの)変異をCH2およびCH3領域に導入した(図5)。野生型CH2−CH3領域を有するscFv−hFc抗体(scFv−hFc Wt)の配列、および変異体CH2−CH3領域を有するscFv−hFc抗体(scFv−hFc Mt)の配列を、表6に示す。
scFv−hFc WtおよびscFv−hFc MtのDNA配列をそれぞれpcDNA3.3ベクターにクローニングし、ExPi 293細胞への一過性トランスフェクションに使用した。細胞培養上清からのタンパク質を、機能分析のためにプロテインGセファロースカラム(GE healthcare)で精製した。
scFv−hFc抗体の特徴付け
抗hPD−L1 scFv−hFc WtおよびscFv−hFc Mt抗体を、SDS Page Gel電気泳動(Electroporation)により同定した。図6に示されているように、SDS−PAGEゲルを用いて還元条件と非還元条件の両方でscFv−hFc抗体を同定した。hPD−L1に対するscFv−hFc抗体の結合親和性を、親抗体のものと比較してFACSにより調査した。結果を図7に示す。ヒストグラムに示されているように、scFv−hFc WtとscFv−hFc Mtの両方が、親抗体と同様の結合親和性を実証した。Fortebio Octetシステムを使用して、hPD−L1に対するscFv−hFc抗体(scFv−hFc WTおよびscFv−hFc MT)の結合親和性および動態を親抗体(抗PD−L1 IgG1)のものと比較してさらに分析した。表7は、抗PD−L1 IgG1、抗PD−L1 IgG1−C52W(すなわち、C52W変異を有するIgG1 Fc領域を有する抗PD−L1抗体)、scFv−hFc MtおよびscFv−hFc Wtの結合親和性および動態パラメーターを示す。
表7:抗hPD−L1 scFv−hFcおよび親対照抗体の結合動態パラメーター
薬物動態研究は、in vivoでのscFv−hFc WtおよびscFv−hFc MT抗体の注射、続いて、注射後1、2、3、4および6日目のscFv−hFc抗体およびhIgGの血清力価の測定により行った。図8Aおよび8Bに示されているように、scFv−hFc Wtは、scFv−hFc Mtと比較して抗体およびhIgGの高い血清力価を示した。
(実施例4)
抗PD−L1 scFvの生成および特徴付け
ヒト化抗PD−L1 scFvの生成および小規模発現
抗hPD−L1 scFv、親ヒト化IgG1陽性対照抗体および陰性対照scFvについての構築物設計の概略図を図9に示す。具体的には、ヒト化抗hPD−L1抗体からのVHおよびVL抗原結合ドメインを含有し、かつ間にペプチドリンカーを含有する断片を人工的に合成し、これらの断片は、両方の配向(すなわち、VH−リンカー−VL、およびVL−リンカー−VH)を含んだ。(Gly4−Ser)4(配列番号47)ペプチドおよびGSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号48)ペプチドリンカーを、全てのscFvの構築に使用した。加えて、VH44/VL100またはVH105/VL43(Kabat番号付けシステムに従う)に単一変異を導入することにより、sc−dsFvも構築した。VHおよびVLを含有する断片はまた、制限エンドヌクレアーゼHindIIIおよびEcoRI認識部位をそれぞれ5’および3’末端に、ならびにHisタグ配列をC末端に含んだ。VHおよびVLを含有する断片を5’末端でオーバーラッピングPCRによりヒトIgG1重鎖CH1−CH2−CH3またはIgG1軽鎖CLのどちらかと融合させた。次いで、融合した重鎖および軽鎖をpCDNA3.1(+)発現ベクターの対応するHindIIIおよびEcoRI認識部位にクローニングした。合計8個のscFvを設計し、合成した。scFvは、表5に示す配列を含む。加えて、各scFvは、短いペプチドリンカー(すなわち、配列番号51)を介してC末端に融合したHisタグを含む。親ヒト化IgG1陽性対照抗体および陰性対照scFv(irr−対照scFv)の構築物も合成した。
構築物をexpiCHO細胞に一過性にトランスフェクトした。1回だけの給餌を18時間後に行い、連続5日間の培養後に上清を回収した。上清からのタンパク質を、機能分析のためにプロテインLセファロースカラム(GE healthcare)およびsuperdex−75 increaseカラム(GE healthcare)により精製した。親ヒト化IgG1陽性対照抗体および陰性対照scFvに同様にトランスフェクトし、それらを同様に精製した。scFvの力価をFortebio Octetにより測定した。最終精製scFvの濃度をNanodropにより決定した。50mg/Lの高い収量を有したsc−dsFvを同位体標識に選択した。このsc−dsFvをscFv(PD−L1)と呼ぶ。図10は、還元条件下と非還元条件下の両方での、scFv(PD−L1)、親ヒト化IgG1陽性対照抗体および陰性対照scFvのSDS−PAGE結果を示す。
scFv(PD−L1)の特徴付け
FACSにより測定した場合のscFv(PD−L1)のPD−L1結合活性
CHO/PD−L1安定性細胞を回収し、FACS緩衝液(1%FBSを含有する1×PBS)で2回洗浄した。次いで、細胞を、様々な希釈度の親ヒト化IgG1陽性対照抗体(抗PD−L1 IgG1)またはscFv(PD−L1)で30分間、氷上で染色した。次いで、細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、60ngのPEコンジュゲート抗ヒトFc抗体(抗HuFc−PE、BD)でまたは60ngのPEコンジュゲート抗Hisタグ抗体(抗Hisタグ−PE、eBioscience)で30分間さらに染色した。細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、300mLのFACS緩衝液に浮遊させた。図11のヒストグラムにより示されているように、親ヒト化IgG1陽性対照抗体(抗PD−L1 IgG1)とscFv(PD−L1)の両方の結合活性が濃度依存性パターンを明示した。
ForteBio Octet RED96により測定した場合のscFv(PD−L1)のPD−L1結合親和性
全ての試料をPBS緩衝液(pH=7.4)中で調製した。ビオチン標識hPD−L1−マウスFc融合タンパク質を所定の負荷しきい値でSAセンサーにロードした。scFv(PD−L1)を3.125nM〜50nMの濃度勾配でセンサーに適用した。バックグラウンド減算を使用して、センサーのドリフトを補正した。ForteBioのデータ解析ソフトウェアを使用してデータを1:1結合モデルにフィッティングして、結合(K
on)および解離(K
off)速度を得た。K
D値は、K
off/K
onに基づいて算出した。表8に示されているように、scFv(PD−L1)の結合親和性は、親ヒト化IgG1陽性対照抗体のものと同様であった。
表8. scFv(PD−L1)および親ヒト化IgG1陽性対照抗体の結合親和性分析
示差走査蛍光定量法(DSF)により測定した場合のscFv(PD−L1)の疎水性曝露の温度
scFv(PD−L1)、親ヒト化IgG1陽性対照抗体および陰性対照scFv(irr−対照scFv)を上記の通り発現させ、精製した。2つの緩衝液条件(pH7.4での1×PBSおよびpH5.5でのクエン酸Na緩衝液)を使用し、Hitrap G25カラム(GE Healthcare)を使用して濃縮タンパク質ストックの緩衝液交換によってこれらの条件を達成した。緩衝液を変えた後、Nanodrop(Thermofisher)を用いて溶質のタンパク質濃度を決定した。scFv(PD−L1)およびirr−対照scFvの最終濃度は1mg/mlであり、親ヒト化IgG1陽性対照抗体の濃度は、0.5mg/mlであった。使用直前に、SYPRO Orange原液(5000倍)を対応する緩衝液で25倍の濃度に希釈した。次いで、希釈した染料をタンパク質試料に添加して、5倍SYPRO Orange最終作業濃度を得た。CFX96リアルタイムPCRシステム(Bio−Rad Laboratories)を使用してSYPRO Orangeシグナルを測定した。励起/発光フィルター設定は、SYPRO Orange蛍光シグナルと適合する「FRET」チャネルに従って決定した。1℃/分の加熱速度で0.5℃刻みの25℃〜95℃の温度勾配に試料を曝露した。温度勾配に対するSYPRO Orangeシグナルの変化を表す−d(RFU)/dT曲線を図12に示す。−d(RFU)/dT曲線の第1のトラフを疎水性露出の温度(Tm1またはTh)と定義し、CFX MANAGER(商標)ソフトウェアにより数学的二次導関数法を使用して算出した。図12に示されているように、scFv(PD−L1)は、61℃のTm1を示し、親ヒト化IgG1陽性対照抗体は、62℃のTm1を示したが、陰性対照scFvは、54℃のTm1を示した。scFv(PD−L1)は、PBS緩衝液中でもクエン酸Na緩衝液中でも親抗体と同様の熱安定性を示した。
低温および酸性pH条件でのscFv(PD−L1)の安定性
40℃加速安定性試験をscFv(PD−L1)および親ヒト化IgG1陽性対照抗体に対して行った。手短に述べると、scFv(PD−L1)および対照抗体を1mg/mLの濃度で4℃または40℃安定性試験チャンバー(Memmert ICH110L)のどちらかに入れた。2週間ごとに、試料をチャンバーから取り出し、FACSを使用してPD−L1に対するそれらの結合親和性を測定した。図13A〜13Dに示されているように、scFv(PD−L1)の結合親和性は、高温(40℃)および高pH(pH7.4)条件下では経時的に劇的に低下した。scFv(PD−L1)は、低温(4℃)および酸性pH(pH5.5)条件では比較的安定した特性を示した。
(実施例5)
抗hPD−L1 scFvの放射性標識および放射性標識された抗hPD−L1 scFvの特徴付け
68Ga−NOTA−抗PD−L1抗体部分の調製
下記の実験は、ヒトPD−L1の検出用のイメージング剤を調製するために一例として抗hPD−L1 scFvを使用した。他の抗hPD−L1抗体部分を有するイメージング剤は、同様の実験手順を使用して、下記の抗hPD−L1 scFvの代わりに別の抗hPD−L1抗体部分(例えば、scFv、scFv−Fc、または全長抗体)を用いることにより調製した。
抗hPD−L1 scFvとNOTAのカップリング
scFv抗体を(20mMクエン酸/クエン酸ナトリウム/塩化ナトリウム、+0.8%(m/v)、pH5.5で緩衝化)2.318mg/mLの濃度で調合した。400μLの0.05M NaHCO3−Na2CO3(pH8.7)をscFv抗体溶液に添加し、その後、16000rpmで20分間、遠心分離した。上清を取り出して100μLの最終体積を得た。上記ステップをもう1度繰り返し、最終100μL溶液を1.5mL遠心分離管に移した。2.64μLのp−SCN−Bn−NOTAを927μMの最終濃度で遠心分離管に添加し、その後、1時間、37℃でインキュベートした。
NAP−5カラムをPBSで予備平衡させた後、scFv/NOTA溶液をカラムに添加した。次いで、カラムを0.4mLのPBSで洗浄し、0.5mLのPBSで溶出した。溶出物を0.05mL分に小分けし、−20℃で保管した。
68GaでのNOTA−抗PD−L1 scFvの標識
68Gaを0.05N HClで洗浄して21mCi/mLの最終濃度にした。次いで、46.5μLの1.25M酢酸ナトリウムを最終pH4に達するように添加した。50μLのNOTA−抗PD−L1 scFv(0.05mg/ml)を350uLの68Gaに添加し、その後、10分間、25℃でインキュベートした。薄層クロマトグラフィーペーパーを使用して、68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvの標識率を決定した。0.1Mシトレートを展開剤(expansion agent)として使用した場合、標識率は17%であると決定された。PBSを展開剤として使用した場合、標識率は100%であると決定された。
68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvの精製
68Ga−NOTA−PD−L1 scFvの精製は、先ず、NAP−5カラムをPBSで平衡させ、その後、400μLの68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvを添加することにより行った。次いで、カラムを400μLのPBSで洗浄し、その後、別の400μLのPBSで溶出した。
68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvの品質管理
0.1Mクエン酸ナトリウムを現像剤として用い、原点が標識生成物であり、現像剤の先端が解離68Gaである、インスタント薄層クロマトグラフィー−シリカゲル(ITLC−SG)を使用して、精製68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvの放射化学的純度を測定した。図14および15に示されているように、68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvの収率は17%であり、純度は93.5%であった。
in vitroでのヒトPD−L1への68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFv特異的結合
68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFv細胞結合アッセイ。MC38およびMC38−PD−L1細胞を、各々、24ウェルプレートの12個のウェルに、2.5×105細胞/ウェルの密度で播種した。細胞を終夜37℃で培養した。翌日に、68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvを0.20、0.40、0.80、1.60、3.20および6.40nMの最終濃度でウェルに添加し(各濃度は二つ組を2つ有した)、細胞を37℃で1時間インキュベートした。氷冷PBSでの3回の洗浄後、細胞を0.1M NaOHで溶解し、ガンマ線計数装置を使用して放射活性を測定した。GraphPad Prismソフトウェアを使用して、68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvのKD値を算出した。図16に示されているように、68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvは、MC38−PD−L1(「MC38−B7H1」とも呼ばれる)細胞に対してMC38細胞と比較してはるかに高い結合親和性を示し、MC38−PD−L1結合についてのKD値が1.53±0.44nMであった。
68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFv競合結合アッセイ。MC38細胞を8個のウェルに蒔き、MC38−PD−L1細胞を24ウェルプレートの16個のウェルに、2.5×105細胞/ウェルの密度で蒔いた。翌日、抗PD−L1 IgG1を20、40、80および160nMの最終濃度で添加した。抗PD−L1 IgG1および68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvを、0.20、0.40、0.80、1.60、3.20および6.40nMの最終濃度で、二連で添加した。細胞を37℃で1時間インキュベートした。氷冷PBSでの3回の洗浄後、細胞を0.1M NaOHで溶解し、ガンマ線計数装置を使用して放射活性を測定した。
図17に示されているように、抗PD−L1 IgG1は、MC38−PD−L1細胞への68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvの結合を遮断した。この結果は、ヒトPD−L1への68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvの結合が特異的であることを実証した。
68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvのin vivoライブイメージング
in vivoライブイメージングアッセイ
MC38細胞およびMC38−PD−L1細胞を培養し、トリプシン消化後にカウントした。1×106個のMC38−PD−L1細胞を5匹の6〜8週齢メスマウスの右腋窩に注射し、1×106個のMC38細胞を同じマウスの左腋窩に注射した。別の5匹の6〜8週齢メスマウスには1×106個のMC38−PD−L1細胞を右腋窩のみに注射した。腫瘍は、6日後に直径約0.5cmに達し、この時点で動物に尾静脈注射によって200uCiの68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvを施した。注射の0.5時間、1時間および2時間後に5分の曝露時間でライブイメージングを行った。
注射後1時間および2時間の時点で撮影した最大曝露画像を図18に示す。右腋窩(MC38−PD−L1細胞を注射した)の腫瘍は、左腋窩(MC38細胞を注射した)の腫瘍と比較して強い発現を示した。左腋窩の腫瘍は、注射後1時間と比較して注射後2時間の時点でのほうが明らかであった。肝臓および心臓組織で低い取込み量および曝露量が観察されたが、腎臓では高い取込み量が観察された。
図19は、68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvの注射後0.5時間、1時間および2時間の時点での動物#1〜#6のin vivoイメージング結果を示す。動物#1〜#4には、右腋窩へのMC38−PD−L1細胞のみを施したが、動物#5および#6には、右腋窩へのMC38−PD−L1細胞に加えて左腋窩へのMC38細胞も施した。結果は、放射活性シグナルが0.5時間まで検出可能であること、および腎臓による取込み量が経時的に有意に減少しないことを示した。動物#1は、明瞭なイメージングを示したため腫瘍の特定の成長状態に関係づけることができる。
結合競合in vivoイメージングアッセイ
MC38細胞およびMC38−PD−L1細胞を培養し、トリプシン消化後にカウントした。1×106個のMC38−PD−L1細胞を5匹の6〜8週齢メスマウス(#2、#3、#4、#7および#8)の右腋窩に注射した。マウス#7および#8には左腋窩に1×106個のMC38細胞も注射した。腫瘍は6日後に直径約0.5cmに達した。動物#3、#4、#7および#8には、尾静脈注射によって非標識抗体抗PD−L1 IgG1と140uCiの68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvの両方を施した。非標識抗体抗PD−L1 IgG1は、68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvの濃度の50倍である濃度で注射した。動物#2には、対照として140uCiの68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvのみを施した。注射の0.5時間、1時間および2時間後に5分の曝露時間でライブイメージングを行った。図20に示されているように、動物#2は、B7H1(PD−L1)への68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvの結合を示したが、非標識ab−220抗体は、68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvの濃度の50倍の濃度で注射したとき、B7H1(PD−L1)への68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvの結合を遮断した。
68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvと68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFv−Fc間の比較
MC38細胞およびMC38−PD−L1細胞を培養し、トリプシン消化後にカウントした。1×106個のMC38−PD−L1細胞を5匹の6〜8週齢メスマウスの右腋窩に注射し、1×106個のMC38細胞を同じマウスの左腋窩に注射した。腫瘍は、6日後に直径約0.5cmに達し、この時点で動物に尾静脈注射によって200μCiの68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFv、非標識抗PD−L1 scFvと200μCiの68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFv、または200μCiの68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFv−Fcを施した。注射の0.5時間、1時間および2時間後に5分の曝露時間でライブイメージングを行った。68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFv−Fcを注射したマウスについて、通常のカメラ感度設定およびカメラ感度低下設定(通常条件の1/4)で画像を撮影した。
図21は、イメージング剤の注射後30分の時点でのイメージング結果の並列比較を示す。図の左から右に向かって、68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvを注射したマウス、非標識PD−L1 scFvと68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvを注射したマウス、68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFv−Fc(wt)を注射したマウスの通常のカメラ感度設定でのイメージング結果、および68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFv−Fc(wt)を注射した同じマウスのカメラ感度低下設定でのイメージング結果を示す。
図22は、イメージング剤の注射後60分の時点(上のパネル)および120分の時点(下のパネル)でのイメージング結果の並列比較を示す。図の左から右に向かって、68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvを注射したマウス、非標識抗PD−L1 scFvと68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFvを注射したマウス、68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFv−Fc(wt)を注射したマウスの通常のカメラ感度設定でのイメージング結果、および68Ga−NOTA−抗PD−L1 scFv−Fc(wt)を注射した同じマウスのカメラ感度低下設定でのイメージング結果を示す。