JPH11513402A - モルヒネ−6−グルクロニドの新しい結晶形態 - Google Patents

モルヒネ−6−グルクロニドの新しい結晶形態

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JPH11513402A JP9514836A JP51483697A JPH11513402A JP H11513402 A JPH11513402 A JP H11513402A JP 9514836 A JP9514836 A JP 9514836A JP 51483697 A JP51483697 A JP 51483697A JP H11513402 A JPH11513402 A JP H11513402A
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Abstract

(57)【要約】 その赤外スペクトル・パターンにより、および/またはそのX線粉末回折像により特徴付けられる、A型と称される新しい結晶形態のモルヒネ-6-グルクロニド、その使用ならびにその調製方法。

Description

【発明の詳細な説明】 モルヒネ-6-グルクロニドの新しい結晶形態 本発明は、A型として公知のモルヒネ-6-グルクロニド(morphine-6-glucuroni de)(M6G)の新しい結晶形態、その使用およびそれを調製する方法に関する。 モルヒネの代謝物であるモルヒネ-6-グルクロニドは、強力な鎮痛作用を有す る。 ルヒネ-6-グルクロニドの調製は、既にエイチ.ヨシムラ(H.Yoshimura)ら(Chem .Pharm.Bull.1968、16、2114-2119およびTetrahedron Letters 1968、4、483 -486)、ピー.エー.カーラプト(P.A.Carrupt)ら(J.Med.Chem.1991、34、12 72-1275)およびシー.レイシー(C.Lacy)ら(Tetrahedron Letters 1995、36、2 2、3939-3950)に記載されている。 エフ.シャインマン(F.Scheinmann)ら(EP 597915)は、イミデート法(フィッ シャー(Fischer)ら、J.Org.Chem.1984、49、4988を参照)を用いるその調製 を記載しており、それは重金属の混入の減少をもたらすと推測されている。 エー.メルツ(A.Mertz)ら(WO 93/05057)は、モルヒネ および保護されたハロゲン化グルクロン酸エステルからの、後にアルカリ金属塩 での加水分解によるモルヒネグルクロニドの合成を記載している。 また、モルヒネ-6-グルクロニドは、モルヒネ-3,6-ジグルクロニドの選択的酵 素触媒加水分解によって調製された(アール.ティー.ブラウン(R.T.Brown)ら 、Tetrahedron Letters 1995、36、1117-1120)。 記載されている無機不純物を全面的に取り除き精製する方法は、カラムクロマ トグラフィー(シー.レイシー(C.Lacy)ら)およびアルコール/水混合物から の再結晶化(エイチ.ヨシムラら、ピー.エー.カーラプトら)からなる。 上述の作製方法の結果として、モルヒネ-6-グルクロニドは結晶化合物の形態 で得られ、それは精製に使用される溶媒(メタノール、エタノール、ジオキサン またはアセトニトリル)とともに安定な溶媒和物を形成する。記載された再結晶 化は、むしろ沈殿法(アルコールの添加は水溶液の極性を低下させ、結晶化を導 く)に対応するので、無機塩は限られた除去しかできず、それらも晶出する。 このようにして得られた溶媒形態は、非常に吸湿性であり、20%までの水を吸 収する。しかしながら、高い量の 残留溶媒−数重量%まで−故に、問題となる溶媒がメタノール、ジオキサンまた はアセトニトリルのような毒性溶媒であるときは特に、溶媒和物は薬学的使用に 適さない。 従って、モルヒネ-6-グルクロニドを、溶媒を含まない結晶形態で作製する必 要がある。モルヒネ-6-グルクロニドのこの溶媒を含まない形態は、その純度、 安定性、および物理的/化学的特性において、溶媒形態よりも優れるべきである 。さらに、モルヒネ-6-グルクロニドを作製する方法はまた、工業的規模で実行 可能であるべきである。特に、使用される溶媒は、水であるべきである。 現在、上述の要請事項に合致する調製方法により、改善された特性を有する新 しい結晶形態でのモルヒネ-6-グルクロニドが作製できることが予期せずして見 い出された。従って、本発明によれば、モルヒネ-6-グルクロニドが、A型とし て公知の新しい結晶形態で調製される。水中でのその優れた溶解性にもかかわら ず、モルヒネ-6-グルクロニドは、特定の条件下で水から結晶化できることが見 い出された。このようにして作製されたA型は、溶媒を含む形態と比較すると、 より低い量の重金属残留物ならびに溶媒残留物および関連する有機物質のような 有機不純物を有し、そのより低い吸湿性および水吸着性に より、それはより安定であり操作がより容易である。 新しいA型のモルヒネ-6-グルクロニドは、以下で説明されるように、その赤 外スペクトルおよびそのX線粉末回折像によって特徴付けることができる。 従って、本発明は、下記の主なピークを有する赤外スペクトル(KBrプレート )を有する、A型として公知のモルヒネ-6-グルクロニドの新しい結晶形態に関 する: 3400 1060 2920 1020 2880 985 2845 935 1610 870 1505 840 1470 790 1420 760 1400 660 1260 640 1155 525 cm-1 1105 実施例1により得られる、このA型の赤外スペクトルは、図1に示されており 、そこでは、X軸は波数(cm-1)を示し、Y軸は透過率を示す。 A型のモルヒネ-6-グルクロニドのX線粉末回折パターンは、X線透過性担体 の上に材料を固定し、グイニエル・ド・ウルフ(Guinier-de Wolff)カメラでCuKα1 −照射を 6時間照射して画像またはパターンを写真撮影することによって得ることができ る。計算に使用されたX線波長について測定された平均値は、1.54050Åであっ た。"d"間隔および相対的観察強度(Iobs)として表されるA型のモルヒネ-6-グル クロニドのX線粉末回折像を、以下に示す(s=強い、m=中程度、w=弱い、v=非常 に、d=拡散): 上記のA型の粉末回折像と対照的に、モルヒネ-6-グルクロニドのエタノール 溶媒和物は、同じ条件下で撮影すると下記のX線粉末回折パターンを有する: 本発明によるA型のモルヒネ-6-グルクロニドは、溶媒形態と比較すると、15 重量%未満のより低い水の取り込み、および97重量%を超える改善された6ヶ月 間安定性を有する。 A型のモルヒネ-6-グルクロニドは、投与のために任意の所望のタイプの製剤 に処方され得る。本発明によるA型のモルヒネ-6-グルクロニドは、従って、ヒ トまたは獣医学に好適な薬学的組成物を調製するために使用される。そのような 薬学的組成物は、慣用されているガレヌス賦形剤および/または担体または希釈 剤を用いて作製されても良く、必要ならば、他の治療的に有用な活性物質を 含んでいても良い。 A型のモルヒネ-6-グルクロニドは、単一用量の化合物を賦形剤および希釈剤 、例えば、コーンスターチ、炭酸カルシウム、ジカルシウムホスフェート、アル ギン酸、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、プリモゲル(primogel)または タルクとともに含む錠剤またはカプセル剤の形態で、経口経路で投与され得る。 錠剤は、成分を造粒してそれらを圧縮する慣用されている方法で作製され、カプ セル剤は、好適なサイズの硬ゼラチンカプセルに詰めて作製される。A型のモル ヒネ-6-グルクロニドはまた、蜜ろう誘導体、ポリエチレングリコールまたはポ リエチレングリコール誘導体、リノール酸またはリノレン酸エステルのような賦 形剤を単一用量の化合物とともに含む座剤の形態で投与され得、直腸経路で投与 される。 A型のモルヒネ-6-グルクロニドはまた、非経口的に、例えば筋肉内、静脈内 または皮下注射によって投与され得る。非経口投与のためには、滅菌水溶液の形 態で使用されるのが最適であり、それは等張化剤、pH調節剤、保存剤および安定 化剤のような他の溶解される物質を含み得る。化合物は、蒸留水に添加され得、 pHは、例えばクエン酸、乳酸または塩酸を用いて3〜6に調整され得る。デキス トロースまたは食塩水溶液のような適切に溶解さ れた物質が添加されて、溶液を等張にし得る。さらに、p-ヒドロキシベンゾエー トのような保存剤およびEDTAのような安定化剤は、溶液が十分に安定で耐久性で あることを確実にするよう添加され得る。このようにして得られた溶液は、次に 滅菌され、好適なサイズの滅菌されたガラス製アンプルに移されて、所望の容量 の溶液を含むようにすることができる。A型のモルヒネ-6-グルクロニドはまた 、上述のような非経口的製剤の注入によって投与し得る。 本発明によるA型のモルヒネ-6-グルクロニドはまた、油性調製物、緩衝化さ れた又は緩衝化されていない乳剤、ゲルまたはクリームの形態、或いは経皮硬膏 剤により投与し得る。 ヒトの経口投与のために、日用量は、体重70 kgの典型的な成人患者に対して 、1日につき0.001〜100 mgの範囲であると仮定される。従って、錠剤またはカ プセル剤は一般に、0.0003〜30 mgの活性な化合物を含み得、例えば1日に3回 までの経口投与には、0.01〜5 mgを含み得る。非経口投与のためには、投与量は 、1日につき70 kg当り0.001〜100 mgの範囲、例えば、約0.5 mgであり得る。 本発明は、A型のモルヒネ-6-グルクロニドの調製方法にも関する。 A型のモルヒネ-6-グルクロニドは、制御された条件下で結晶化によって調製 され得る。出発物質は、溶媒和物を含まないモルヒネ-6-グルクロニドまたは任 意の所望されるモルヒネ-6-グルクロニド溶媒和物のいずれかであって良い。 再結晶化のために、モルヒネ-6-グルクロニドは、加熱および攪拌しながら、 2〜10倍の量の水に溶解される。出発物質がモルヒネ-6-グルクロニド溶媒和物 である場合、いかなる残留溶媒も蒸発させるために、それは還流され得る。この ようにして調製された溶液は、不溶性成分の完全な除去を確実にするために、例 えばグラスフィルターまたはメンブランフィルターを用いて濾過できる。結晶の 粒度は、冷却速度および攪拌速度を適切に選択してコントロールし得る。 所望の形状の種結晶を結晶化溶液に加え、結晶化が開始するときに攪拌を止め ることが推奨されると判明した。結晶化は、溶液を、例えば40〜80℃から約0〜 30℃に、かなり長い時間、例えば15〜360分間かけて冷却することによって行わ れる。このようにして得られたA型のモルヒネ-6-グルクロニドは、遠心分離ま たは濾過して分離され、水で洗浄できる。実施例 実施例1 モルヒネ-6-グルクロニド溶媒和物からのA型の調製 1.12 kgのモルヒネ-6-グルクロニドを、加熱しながら4000 mlの水に溶解し、 攪拌しながら5-10分間沸騰まで加熱する。溶液を濾過し、フィルターを500 mlの 水で洗浄する。溶液を、50分間かけて4℃に冷却し、4℃で8時間維持する。得 られた結晶を濾過し、トータルで700 mlの氷冷水で3回洗浄し、減圧下に4-10時 間75℃で乾燥して、A型のモルヒネ-6-グルクロニド(0.92 kgの結晶粉末)を得 る。 Mp:243-246℃(分解)。実施例2 モルヒネ-6-グルクロニドの溶媒和物形態の調製 1.17 kgのモルヒネ-6-グルクロニドを、5800 mlの水に沸点温度で溶解し、5 分間沸騰させ、濾過し、7600 mlの熱い(70℃)エタノールと混合すると、それに よって結晶化(沈殿)が非常に速く起こる。30分以内に、混合物を周囲温度に冷 却し、2時間周囲温度に維持し、その後20時間4℃に維持する。得られた固体を 濾過し、トータルで2200 mlのエタノール/水混合物(4:3)および1000 mlのエ タノールで3回洗浄し、減圧下に3時間乾燥する。 収量:1.05 kgの結晶粉末 Mp:250-252℃(分解)。実施例3 安定性 新しい結晶形態の異なるサンプルおよび同質の公知の溶媒和物形態(エタノー ル)を、ポリエチレン製ボトル中で、温度25℃および相対湿度60%で保存する。 含量の測定は、HPLCを用いて行った。 実施例4 吸湿性 サンプルを、一定重量に達するまで、一定の相対湿度で保存した。データは、 水の重量%で与えられ、使用された形態の水分量に関して修正される。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1997年9月22日 【補正内容】請求の範囲 1. 下記の主たるピークを有するその赤外スペクトル(KBrプレート) 3400 1060 2920 1020 2880 985 2845 935 1610 870 1505 840 1470 790 1420 760 1400 660 1260 640 1155 525 cm-1 1105 および"d"間隔および相対強度Iで示されるそのX線粉末回折パターン を特徴とする、A型と称される結晶性モルヒネ-6-グルクロニド。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ, VN (72)発明者 コッホ アンドレアス オーストリア国 エー−4021 リンツ サ ント ペーターシュトラーセ 25 ニコム ド オーストリア ゲーエムベーハー (72)発明者 ローヴェンスキー フランツ オーストリア国 エー−4021 リンツ サ ント ペーターシュトラーセ 25 ニコム ド オーストリア ゲーエムベーハー

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 下記の主たるピークを有するその赤外スペクトル(KBrプレート) 3400 1060 2920 1020 2880 985 2845 935 1610 870 1505 840 1470 790 1420 760 1400 660 1260 640 1155 525 cm-1 1105 および/または"d"間隔および相対強度Iで示されるそのX線粉末回折パターン を特徴とする、A型と称される結晶性モルヒネ-6-グルクロニド。 2. モルヒネ-6-グルクロニドが、それを加熱により溶解し冷却によりA型を 晶出させることにより水から結晶化することを特徴とする、請求項1に記載の新 しいA型のモルヒネ-6-グルクロニドの調製方法。 3. 請求項1に記載の新しいA型のモルヒネ-6-グルクロニドの請求項2に記 載の調製方法であって、モルヒネ-6-グルクロニドを2-10倍の量の水に温度40-10 0℃で溶解し、その後0-30℃まで15-360分間かけて冷却することによりA型が晶 出されることを特徴とする方法。 4. 請求項2または3に記載の方法により調製される、請求項1に記載のA型 のモルヒネ-6-グルクロニド。 5. 相対湿度10-90%でそれが15%未満の水を取り込むことを特徴とする、請求 項1に記載のA型のモルヒネ-6-グルクロニド。 6. 6ヶ月間安定性が温度25℃および相対湿度60%で少なくとも97%であること を特徴とする、請求項1に記載のA型のモルヒネ-6-グルクロニド。
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