JPH11510103A - ドリルビット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 高速ドリルビット（１０、４２）は長手方向の軸線（２８）を中心に回転するようにされた長手方向のボデーより形成される。そのボデーは、一方の端の切削歯先と、対向するシャンク端（１２、５０）とを有する。ねじれ溝（１４、１６、４４、４６、４８）が前記ボデーの外部表面に形成され、各ねじれ溝は、正のすくい角を備えたリーディングエッジと、中立または負のすくい角を備えたトレーリングエッジとを有する。ビット切削面は、面（２４、３２、５２、５６、６０、６４）及び互いに非対称である切れ刃（２６、３４、５４、５８、６２）により形成される。

Description

【発明の詳細な説明】 ドリルビット関連出願の相互参照 本出願は、「ドリルビット」と題する１９９５年７月２７日に出願された暫定 出願第６０／００１，５６９号に基づくものである。マイクロフィルム付属書の相互参照 本出願は、いずれのマイクロフィルム付属書にも関係しないものである。発明の背景 ドリルビットは、従来技術において公知であり、一般的に存在するほぼあらゆ る材料の穴空けに使用される。ドリルビットは、木、鋼、プラスチック、コンク リート、タイル、骨、歯等に穴空けするビットを含む。典型的なドリルビットは 、しばしば「ねじれドリル」と呼ばれ、一方の端に切削歯先を有し、他方の端に シャンク端を有する細長い金属製の略円筒状の部材から形成される。シャンク端 は、薄くされてビットを回転させるドリルまたはその他の装置により握持される ようにされる。 典型的なドリルビット、及び特に典型的なねじれドリルは、外部表面にねじれ 溝を有する。最も一般的なタイプのねじれドリルは、２本のねじれ溝及び切れ刃 を備えた切削歯先を有する。ねじれ溝は、ドリルビットの長手方向軸線または回 転軸線の断面に対して対称であるのが典型的であり、また、ねじれ溝は、本質的 には互いに同一であるのが典型的である。典型的なドリルビットの切削歯先は、 ２本のねじれ溝を有しており、該ねじれ溝は、２つの切れ刃を有し、各々の切れ 刃は、ビットの基本的な円筒形状の約半径にあたる所定の長さに亘って伸長する 。従って、結合された２つの切削面がビットの円筒状領域の直径にほぼ等しい接 触領域を画定する。このかなり長い全切れ刃接触は、高速の穴空け速度を達成す るため、ビットが通常穴空けされる材料に強制接触させられる必要があることを 物語っている。更に、ドリルビットの切れ刃の接触が比較的大きくなると、穴空 け作業中に過度の熱を発生する傾向がある。 本書に開示されるドリルビットは、典型的なねじれドリルの切れ刃に比較して 長さを短くされて、これにより穴空け作業中にビットに加えられる力がねじれド リルに比較して短い歯先接触長さに集中するようにされた切れ刃を備えた非対称 切削面を有した切削歯先を提供するようにされている。発明の概要 本開示の課題は、回転エネルギーを提供する器具に使用されるタイプの改良さ れたドリルビットである。該ドリルビットは、通常ドリルビットを使用する金属 、木及びプラスチックを含むいずれの材料に穴空けを行うようにされている。本 書に記載されたドリルビットは、特に、比較的高回転、即ち、高ｒｐｍ（毎分当 たりの回転数）を提供する工具に使用されるようにされている。 勿論、ドリルビットの使用は公知である。しかしながら、本発明のドリルビッ トは、今日一般に市販されている標準のドリルビットとは異なるものである。標 準のドリルビットでは、切削歯先が対象である。即ち、標準のドリルビットは、 切削歯先で終端する２本のねじれ溝を有しており、切削歯先が先細りにされて２ つの対向する切削面を画定するようにされている。切削面は、ドリルビットの回 転軸線で交わって穴空け面が回転する回転点を画定する。本発明は、切削歯先が 非対称であり、且つ、非対称な切れ刃を使用する点で異なっている。 本開示に関連する従来技術の調査により上記の米国特許が明るみに出され、そ れら米国特許は、参照として本書に組み入れられてドリルビット、特に、対称な 切削面を有したドリルビットに関する背景情報を提供する。図面の説明 図１は、本開示の原理を用いるビットの立面図である。図１のビットは「穴空 け面」と呼ぶことの出来るビット面で終端する２本の同心のねじれ溝を有する。 穴空け面は、切れ刃を形成するような構成にされる。 図２は、図１の線２−２に沿った断面図である。図２は、２本の対向するねじ れ溝を有したビットのボデーを図示している。今日使用されているタイプのドリ ルビットを製造する一般的な手段は、対向するねじれ溝を備えたボデーを有して いるが、該ねじれ溝の断面形状は、半円形である。図２は、本発明を実施する上 で、ねじれ溝の断面が半円形ではなく、代わって、それぞれ正のすくい角及び負 のすくい角を備えるリーディングエッジ及びトレーリングエッジを画定すること を図示す。 図３は、図１のドリルビットのやや拡大した端面図であり、ドリルビットの非 対称形状及び該ドリルビット上に形成される切れ刃を図示している。 図４は、物体中に穴を形成するのに使用される本発明のビットを図示する部分 立面拡大断面図である。図４は、穴空け作業の始めに最初に形成される如き穴を 図示する。 図５は、図４に図示した如き立面拡大断面図であるが、物体に穴を空ける工程 において更に前進したビットを図示する。図５は、図４に比較して１８０度回転 したビットを図示する。 図６は、本発明の代替の実施例の立面図である。図６のビットは、３本のねじ れ溝を有している。更に、図６のビットの穴空け部は、ビットのシャンク部に比 較して縮径される。 図７は、図６の線７−７に沿った断面図であり、ドリルビットのボデーの断面 図、及び溝が半円形となった３本の対称な溝の配列を図示する。 図８は、図６のビットの端面図であり、該ビット上に形成された切れ刃を図示 する。好ましい実施例の詳細な説明 図１、図２及び図３を参照すると、改良されたドリルビットの基本概念が図示 されている。図１は、シャンク部１２と、第１の溝１４と、第２の溝とを有した ビットの立面図を例示する。溝１４及び１６は、互いに同心状に絡み合う。２本 の対向する螺旋状の溝を使用することは、ドリルビットの製造においては一般的 なことである。溝１４及び１６の断面を半円形であっても良いが、本開示のビッ ト１０の好適な構成では溝１４及び１６は半円形ではない。図２に示す如く、溝 １４は、第１の刃が正のすくい角を有し、第２の刃が中立のすくい角を有するよ うなボデー形状を画定している。即ち、ドリルビットボデーが回転して形成する 円に点１８において接線を引いた場合、斯かる点での溝の形状は斯かる接線に対 して鋭角を形成する、即ち、回転ビットが係合するいずれの表面にも切り込んで いくようなすくい角であり、これから第１の刃は正のすくい角を有していると言 われる。一方、溝１４の他方の端、即ち、点２０においては、溝は、該点２０を 通って引かれた接線に対して中立のすくい角を画定する。即ち、溝表面が点２０ を通って引かれた接線にほぼ垂直に点２０に係合する。溝１４の形状は、また、 点２０においてすくい角が負となるような形状、即ち、溝表面は、回転ビットが 係合するいずれの表面に対して滑動するような鈍角で接線に交差するような形状 にすることが可能である。 溝１６の形状は、溝１４と同様であり、溝刃の一方が正のすくい角を画定し、 他方の溝角が中立のすくい角を画定する。 図３は、図１の線３−３に沿った如きビット１０の端面図である。ビットの回 転方向は、時計回りの方向であり、今日市販されている大抵のビットと共通のも のである。しかしながら、時計回り方向に回転するようにされたビットの端面図 では、回転方向は、矢印２２で示された如く反時計回り方向となる。図３は、溝 １４及び１６を図示する。切削面は、切れ刃２６を有する第１の面２４により画 定される。図３の切削面の回転中心は、符号２８で示される。切れ刃２６は、ビ ットの円周面３０から第１の面２６の前方縁が回転中心２８に隣接する領域まで 伸長する。 図３のドリルビット面は、更に、第２の切れ刃３４で終端している第２の面３ ２により画定されている。該第２の面３２が第２の切れ刃３４と交差することに より切れ刃に正のすくい角が画定される。符号３６でしめされた第２の面３２に 続く部分は、丸みを付けられて非接触面とされる。１実施例では、面３２及び３ ６を共通の平面に置くことが可能となる。 図４は、図１乃至図３のビットが工作物３８中に切り込んでいる状態を図示す る。工作物３８は、金属、プラスチック、木等である。図３から穴４０の形状は 、ビット１０により形成され、且つ、斯かる形状が下方に向かって先細りされた 通常のドリルビットにより形成される形状とは完全に異なることが分かる。代わ って、本開示のビットでは穴の底に頂が画定される。 図１乃至図３のビットでは、主たる切削動作は、第２の切れ刃３４によりなさ れ、該切れ刃３４が穴の周囲を切削する一方で穴の内部は、主に第１の切れ刃２ ６により切削される。本開示のビットの重要な特徴は、周囲から内側方向へ穴を 切削するビットにより穴空け効率が改善されることである。 図１乃至図３に示す如く、ドリルビット１０の効率は、ビットの工作物への最 初で且つ最も深い切り込みがドリル穴の周囲でなされると言った穴空けの特徴に より改善される。円形断面の穴を空けるのに除去される材料の多くが穴の周囲の 近傍にある。従って、長さは比較的短いのだが、切れ刃３４が、工作物３８中に 穴４０を形成するのに除去しなければならない材料の大部分を効果的に除去する 。 図６、図７及び図８は本発明の代替の実施例を示し、ビットボデー４２が３本 の溝４４、４６及び４８を有する。該溝は、互いに同心状にされる。図６の実施 例では、穴空け部の径がシャンク部５０に比較すると縮径されているが、これは 図示の目的上そうなっているのであり、シャンク５０の外径がビットボデー４２ の外径と同一であるが否かに関係なくビットの設計及び作動は同一である。 図７に示す如く、溝４４、４６及び４８の形状は、半円形であり、図２及び図 ３の実施例の溝とは異なっている。しかしながら、本開示の原理を用いたビット は、図２及び図３に図示した溝形状を備えた３本の溝を有することができること が分かる。 図８は、４つの面により形成されたビット切削面を図示する。第１の面５２は 、第１の切れ刃５４で終端する。切れ刃５４は、ビットボデーの外周にあり、且 つ、図３の切れ刃３４に関して既に説明した効果を達成することが分かる。第１ の面５２は傾斜しており、切れ刃５４の正のすくい角を画定している。 第２の面は、第２の切れ刃５８で終端している。該第２の面５６は、傾斜して おり、切れ刃５８が正のすくい角を画定するようにされている。 第３の面６０は、第３の切れ刃６２を有する。第４の面６４は、面５２、５６ 及び６０と交差する。図６乃至図８の実施例では、２つの切削面が画定される。 図６、図７及び図８に例示した如き３本の溝を有したドリルビットの実施例では 、ドリルビットの面の端面がドリルビットを案内して真円度を保持するとともに 、空けられた穴のサイズがビットの径により画定されるサイズに確実になるよう にされる。 本開示のビットは、該ビットが高ｒｐｍ（毎分当たりの回転数）で作動できる ように実施されるのが好適である。高ｒｐｍが好適な理由は、多くの用途におい てビットを固定回転軸線の周りに支持し、且つ、工作物をビットの固定回転軸線 に対して移動不能に支持するのは実際的ではないからである。ビット１０が工作 物３８に向かって前進すると、切れ刃３４（図３）が最初に工作物３８に係合す る。ビット１０が高ｒｐｍで回転していれば、面３４の切削作用により工作物の 表面が迅速に環状に切削され、斯かる環状の切り込みが最初に形成されると、ビ ットがビット自体をビットの周面に隣接して位置決めされたビットの切れ刃によ り形成された最初の円周方向の切り込みの中心に位置決めすることから、ビット が回転中心点を必要とすることがなくなる。 特定の用途に限定されるものではないが、本発明のビットは、特に、非金属製 の工作物に穴空けを行うのに使用するのに適している。本発明のビットの用途の 好適な例は、歯科への応用であって、斯かる用途においてビットは、ハンドピー ス内に収められて作動され、歯科医は、斯かるハンドピースを使用してビットを 高ｒｐｍで作動させて歯に穴を空けるのが典型的である。本発明の用途の別の例 は、電子産業界で使用される如くプラスチック及び繊維をベースにした回路板に 穴を空けに使用される場合である。 本開示のビットは、特に、歯科医が歯科用ポストを装着するために顎の骨に穴 を空けるのに使用する場合のように、生きた骨に穴を空けるのに適合している。 今日一般に市販されている標準のドリルデザインに比較して、ここに開示される ビットは、穴を空ける際に熱の発生が少ないと言った利点を有している。過度の 熱は生きた骨の周りの組織を破壊することから、生きた骨に穴空けを行う時には 熱は特に有害となる。本開示のドリルは、標準のドリルビットとは異なり、穴の 中心から外側方向へ向けて穴を切削するのではなく、主として穴の周囲から内側 へ向かって穴を切削することから熱の発生が少ないのである。 本開示のドリルでは熱の発生が少ないと言うことは、過度の熱の蓄積はビット の寿命を制限する主たる要素であることから、その他の用途においても有益なこ とである。 徹底的なテストを完了したわけではないが、初期のテストでは本開示のビット は、回転中心を利用する今日一般に市販されている標準のビットに比較して、切 り込み速度の改善が期待できることが示される。 請求の範囲及び明細書は提示された発明を説明し、請求の範囲にて使用される 用語は明細書中の斯かる用語の使用からそれぞれの意味を引き出したものである 。従来の技術において使用されている同一の用語は本書において特定して使用さ れているものより広範な意味を有している場合がある。従来の技術においてより 広範な定義を有して使用されている斯かる用語と、本書においてより特定されて 使用されている斯かる用語との間で疑問が生じた場合には、より特定された意味 の方を取るものとする。 本発明をある程度特定して説明してきたが、本開示の趣旨及び範囲を逸脱する ことなく構造の細部及び構成要素の構成において多くの変更が可能であることは 明白である。本発明は例示の目的で本書に記載した実施例に限定されるものでは なく、添付された請求の範囲の各要素に与えられた同等性の全範囲を含めた該添 付された請求の範囲にのみ限定されるものである。

【手続補正書】特許法第１８４条の８第１項 【提出日】１９９７年８月２１日 【補正内容】 請求の範囲 １． 削除。 ２． 前記ボデーは、該ボデーの外部表面に形成された複数の非対称の隔置され たねじれ溝を有し、該ねじれ溝の各々は、前記切削歯先から前記シャンク端へ向 かって伸長し、該ねじれ溝は、前記回転軸線に垂直な断面において正のすくい角 を有したリーディングエッジ及び負のすくい角を有したトレーリングエッジによ り画定されるとともに、前記切削歯先においては前記ビット回転軸線に対して非 対称である複数の切れ刃により画定されることを特徴とする請求項６に記載のド リルビット。 ３． 削除。 ４． 前記切削歯先において、互いに非対称である切削面を有し、該切削面は、 互いに交差して、前記ビット回転軸線に対して非対称な交差線を形成することを 特徴とする請求項２に記載のドリルビット。 ５． 削除。 ６． 一方の端の切削歯先及び対向するシャンク端を備えた回転軸線を有した長 手方向のボデーを有するドリルビットにおいて、該ボデーは、該ボデーの外部表 面に形成された少なくとも１本の非対称のねじれ溝を有し、該ねじれ溝は、前記 切削歯先から前記シャンク端へ向かって伸長し、該ねじれ溝は、前記回転軸線に 垂直な断面において正のすくい角を有したリーディングエッジ及び負のすくい角 を有したトレーリングエッジにより画定されるとともに、前記切削歯先において は、前記ビット回転軸線に対して非対称である切れ刃により画定されることを特 徴とするドリルビット。 ７． 前記切削歯先は、各々他方に対して非対称である複数の平らな切削面によ り画定され、該切削面が交差して複数の切れ刃を形成し、各切れ刃は、各他の切 れ刃に対して非対称であることを特徴とする請求項２に記載のドリルビット。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 一方の端の切削歯先及び対向するシャンク端を備えた回転軸線を有する長 手方向のボデーを有するドリルビットにおいて、該ボデーは、該ボデーの外部表 面に形成された少なくとも１本の非対称のねじれ溝を有し、該ねじれ溝は、前記 切削歯先から前記シャンク端へ向かって伸長し、該ねじれ溝は、前記回転軸線に 垂直な断面において正のすくい角を有したリーディングエッジ及び負のすくい角 を有したトレーリングエッジにより画定されることを特徴とするドリルビット。 ２． 前記ボデーは、該ボデーの外部表面に形成された複数の非対称の隔置され たねじれ溝を有し、該ねじれ溝の各々が前記切削歯先から前記シャンク端へ向か って伸長し、該ねじれ溝は、非対称であり且つ前記回転軸線に垂直な断面におい て正のすくい角を有したリーディングエッジ及び負のすくい角を有したトレーリ ングエッジにより画定されることを特徴とする請求項１に記載のドリルビット。 ３． 前記切削歯先において、前記ビットボデー回転軸線に対して非対称な切れ 刃を有していることを特徴とする請求項１に記載のドリルビット。 ４． 前記切削歯先において、互いに非対称である切削面を有し、該切削面は、 互いに交差して、前記ビット回転軸線に対して非対称な交差線を形成することを 特徴とする請求項２に記載のドリルビット。 ５． 回転軸線と、一方の端の切削歯先と、対向するシャンク端とを有する長手 方向のボデーから形成されたドリルビットにおいて、該ボデーは、該ボデーの外 部表面に形成された少なくとも２本のねじれ溝を有し、該各ねじれ溝は、前記切 削歯先から前記シャンク端へ向かって伸長し、前記ねじれ溝は、前記回転軸線に 垂直な断面において互いに対して対称であり、前記切削歯先が各々他方に対して 非対称である複数の平らな切削面により画定され、該切削面は、交差して複数の 切れ刃を形成し、各切れ刃は、各他の切れ刃に対して非対称であることを特徴と するドリルビット。