【発明の詳細な説明】
N−アルキルポリヒドロキシアルキルアミンのアミドの製造方法
発明の属する技術分野
本発明は、N−アルキルポリヒドロキシアルキルアミンのアミド、特に、色が
よく、望ましくない副生成物を低濃度で有するアミド、の製造方法に関する。
発明の背景
N−メチルグルカミンのようなN−アルキルポリヒドロキシアルキルアミン(
N−アルキルポリヒドロキシアミン)、ならびにその脂肪酸アミドの製造は何年
も前から知られており、またそのような物質は市販されている。近年、例えば脂
肪酸エステル等との反応にN−アルキルポリヒドロキシアミンを採用して、清掃
用製品に用いる脂肪酸ポリヒドロキシアミド洗剤用界面活性剤が製造されている
。N−アルキルポリヒドロキシアミンおよびアミドを製造してそのアミドに最も
良好な色を与える際は、注意が必要なことがわかっている。
本発明は、高品質のポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤へ到達する手段を
提供するものである。本発明は、以下に開示するように、ほぼ無色透明なN−ア
ルキルポリヒドロキシアミンのアミド、より詳細にはN−メチルグルカミンのア
ミド、更に詳細には、環状物質を低濃度で含有するN−メチルグルカミンのアミ
ドを、高収率で製造する手段を提供する。
従来技術
グルコース還元的アミノ化法が、1935年10月8日に発行された、Flint
の米国特許第2,016,962号に開示されている。
1934年12月25日に発行された、Piggottの米国特許第1,985,424号は、
グルコースと水性メチルアミンを加圧下、水素および水素化触媒の存在下で加熱
して得られる生成物(a)を、ステアリン酸またはオレイン酸のような有機カル
ボン酸(b)と反応させることによって、「織物用助剤(textile
assistants)」を製造することを開示している。約160℃で製造されるこの縮
合物は、「たとえすべてでないにせよほとんどアミドであって」、明らかに式R
−CO−NR1−CH2−(CHOH)4−CH2OH(式中、Rは少なくとも3個
の炭素原子を含有するアルキルラジカルであり、一方R1は水素またはアルキル
ラジカルである)のものである。
1935年10月8日に発行された米国特許第2,016,962号は、グルカミンの
製造方法および関連生成物を開示している。
1955年3月8日に発行された、Schwartzの米国特許第2,703,798号は、脂
肪酸または酸無水物をN−アルキルグルカミンと反応させること(おそらくはPi
ggottが教示したような方法)によって生成する組成物が、色が悪く、洗浄特性
に劣ると断言している。このように、Schwartzは、N−モノアルキルグルカミン
と脂肪酸との縮合物の形成に伴う、望ましくない色相と洗浄特性に関する問題を
教示している。
Schwartzによれば、140℃〜230℃、好ましくは160℃〜180℃で、
常圧、減圧、または超常圧下、ほぼ等モル比のN−モノアルキルグルカミンを脂
肪酸アルキルエステルと「1時間をいくらか越える」時間反応させ、その間に当
初は相溶性のなかった二つの相を溶け合わせて、有用な洗剤といわれる生成物を
形成することができる。
適切なN−モノアルキルグルカミンの具体例としては、N−メチルグルカミン
、N−エチルグルカミン、N−イソプロピルグルカミン、およびN−ブチルグル
カミンがある。適切な脂肪酸アルキルエステルの具体例としては、C6〜C30脂
肪酸を脂肪族アルコールと反応させた生成物、例えばラウリン酸のメチルエステ
ル、がある。
更に近年の方法には、Scheibel、Connor、Shumate、およびSt.Laurentの米国
特許第5,334,764号;Connor、Sheibel、およびKaoの米国特許第5,338,486号;Co
nnor、Scheibel、およびKaoの米国特許第5,338,487号;ならびにConnor、Sheibe
lおよびKaoの米国特許第5,380,892号があり、これらの特許すべてを、引用によ
って本明細書中に組み込むものとする。
1959年2月18日に公告された、Thomas Hedley & Co.,Ltd.(現在
Procter & Gamble Ltd.)の英国特許第809,060号によれば、その方法により製造
される化合物は、たとえば顆粒状の洗濯洗剤用の界面活性剤として有用である。
Hildreth(上記)は、その化合物を生化学の分野で、形質膜を溶解する洗浄剤と
して用いることに言及しており、また1988年12月10日に公開された欧州
特許公開第285,768号は、それらの化合物をシックナーとして応用することを記
載している。このように、これらの化合物、またはこれらを含む組成物は、非常
に望ましい界面活性剤となりうる。
更に、本発明のアミド化合物を含有する組成物の別の製造方法も、上記の改良
されたシックナーの開示に含まれる。たとえば欧州特許公開第285,768号を参照
。また、特にN−アルキルグルカミンの製造方法の追加の開示として、H.Kelke
nberg,Tenside Surfactants Detergents 25(1988)8-13を参照。上記したすべ
ての特許および刊行物は、引用により本明細書中に組み込むものである。
発明の要旨
本発明の展開は、N−アルキルポリヒドロキシアミン(N−アルキルアミノポ
リオール)のアミドの製造方法に係る一連の改良に関する。アミドを形成するの
に用いる、N−ポリヒドロキシアミンと、エステルのような脂肪族アシル基の供
給源の双方とも、良好な色をもつように選択し;反応条件は、色物質および色物
質前駆体の形成を避けるように選択し;および/または、アミン生成物は、一種
のイオン交換樹脂、イオン交換樹脂の混合物またはそれらの組み合わせ、および
/または還元的「漂白剤」で処理して、最も色のよいアミドを製造する。洗剤組
成物、特に「無色透明」かつ環状物質濃度の低い液体洗剤組成物を調製するため
の、究極的に色のよいアミドを得るためには、上記した改良すべての組み合わせ
が必要である。
本発明は、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤の製造方法であって、46
0nmにおいて98%を越える透過度を有する、脂肪酸、無水脂肪酸、および脂
肪酸エステルからなる群より選ばれる一種、特に脂肪酸エステルを、ガードナー
色度が1未満(440nmにおける吸光度が<0.1)であるN−アルキル
アミノポリオール、たとえばメチルエステルまたはトリグリセリド、と反応させ
る工程、を具える方法を提供する。前記N−アルキルアミノポリオールの結晶化
は、適切な純度と色を与えるのに用いることができる。上記のガードナー色度を
もつN−アルキルアミノポリオールは、130℃で3時間「安定」である。ガー
ドナー色度が4以下であるN−アルキルアミノポリオールは、この条件下で3時
間経っても安定と考えられる。より純度の低いN−アルキルアミノポリオールは
、この条件下で3時間経つと暗褐色となるだろう。また、最も色のよいアミドを
製造するためには、約110℃〜約160℃の間で約3時間より短い時間、好ま
しくは約120℃〜約140℃の間で約1時間半より短い時間、更に好ましくは
約130℃〜約135℃の間で約1時間より短い時間、N−アルキルアミノポリ
オールの脱水を行うべきである。しかしながら、商業ベースで実践するためには
、約4〜約8時間、好ましくは約5〜約6時間の脱水によって商業規模の限定さ
れた装置に適応させて、良好な結果を得ることができる。より高純度のN−アル
キルアミノポリオールは、有機溶媒が存在するかまたは存在しない水性溶液から
結晶化することによって得ることができる。
次いで、脱水したN−アルキルアミノポリオールを、たとえば脂肪酸エステル
、特にトリグリセリド、と反応させて、脂肪酸ポリヒドロキシアミド界面活性剤
を形成させる。
次いで、得られるポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤を、一種のイオン交
換樹脂、イオン交換樹脂の混合物またはイオン交換樹脂の組み合わせ、および/
またはNaBH4のような還元的漂白剤等で後処理するか、または後記するよう
に触媒上で水素化し、また任意で組み合わせた処理をする。特に効果的な後処理
は、ニッケル、パラジウム、亜クロム酸銅等の水素化触媒上における、ポリヒド
ロキシ脂肪酸アミド界面活性剤の溶液の水素化である。
好ましい方法においては、脂肪酸エステルはC10〜C18のアルキルまたはアル
ケニル脂肪酸メチルエステルかトリグリセリドであり、N−アルキルアミノポリ
オールは、N−メチルグルカミン、N−メチルフルクタミン、N−メチルマルタ
ミン、およびN−メチルグリセロールアミンから選ばれる。
発明の詳細な説明
本発明の方法は、選択した反応体、すなわち、良好な色、特に熱に安定な色の
、N−アルキルアミノポリオール、および脂肪族アシル基の供給源を採用する。
ここで参照する「色」とは、たとえばN−アルキルアミノポリオール、N−ア
ルキルアミノ脂肪酸アミド等のガードナー色度のことである。「ガードナー色度
」は、当業界で知られた標準的なガードナー測定法である。0番(溶液)に近い
ガードナー色度は、ほぼ無色(「無色透明」)溶液であることを示す。ほぼ1を
下回るガードナー色度がN−アルキルアミノポリオール反応体に必要であり、0
に近いガードナー色度を有することが好ましい。
ガードナー色度は、A.O.C.S.(American Oil Chemists Society)Official Me
thodの、1978年に確立されて1982年に改変された、COLOR Gardner 1963
(ガラス標準)と題された1a−64法によって決定する。ガードナー色度を決
定するための装置および標準品は、ニューヨーク州20014、ロングアイラン
ド、私書箱5728のDelta Scientific社からか、または米国メリーランド州シ
ルバースプリングのGardner Laboratory社から購入することができる。ここで用
いるように、ガードナー色度の規定は、典型的には、存在する色原体から生じる
か、または記載した反応の結果として生じる色を参照するものであって、故意に
添加した着色物質を参照するものではない。
N−アルキルアミノポリオール反応体およびそのアミドの臭気の特徴は、(過
剰のあらゆるN−アルキルアミンを除去したのちは)実質的にアミン臭がないか
、または「魚臭い」たぐいの臭気がなく、また実質的に、典型的な褐色着色糖の
臭気もない。N−アルキルアミノポリオール
適切なN−アルキルアミノポリオールは、ともに係属中の、Juan Kaoらの名で
"PROCESS FOR PREPARING N-ALKYLAMINES IN AQUEOUS/HYDROKY SOLVENTS" に関し
て1992年7月8日に出願された、米国特許願第07/907,382号に記載されてい
るものと同様の方法によって製造することができる。この特許願の記載、特に6
頁、4行〜23頁、3行、ならびに実施例I〜VIおよびIX〜XIVの記載を
参照することにより、ここに組み込むものとする。ポリヒドロキシ酸アミドを形
成するのに用いるポリヒドロキシアミンは、所望の色を与えるいかなる方法によ
っても製造することができる。
後記するように、色のよいN−アルキルアミノポリオールは、反応条件を慎重
に選択することによって得ることができる。
ここで、N−アルキルアミノポリオール(ここでは「ポリヒドロキシアミン」
または「N−アルキルポリヒドロキシアミン」とも称する)を製造する反応は、
「R−1」反応と称し、具体的にはN−メチルグルカミンの形成(この場合R1
メチル)で示される。付加方法
R−1反応の第一の変法には、アミンを余熱し、糖を還元して付加物を形成す
る工程が含まれる。
この付加物は以下の式(I)を有する。
R−1反応に用いる反応体、溶媒および触媒は、通常は洗剤用界面活性剤を製
造するのにそのような精製された形では用いられないが、全てよく知られた物質
であり、また少なくとも何らかの形で、様々な商業的供給源から入手できる。以
下は、ここで用いることのできる物質の、限定されない例である。
アミン物質− N−アルキルアミノポリオールを形成するのに用いる「N−ア
ルキルアミン」には、式R1NH2の一級アミン(式中、R1は、たとえば、C1〜
C18など、特にC1〜C4アルキルといったアルキル、またはC1〜C4ヒドロキシ
アルキルなどの対応するヒドロキシアルキルである)が含まれる。例としては、
メチル、エチル、プロピル、ヒドロキシエチルなどがある。ここで有用なアミン
の限定されない例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブ
チルアミン、2−ヒドロキシプロピルアミン、2−ヒドロキシメチルプロピルア
ミン、2−ヒドロキシエチルアミン、1−メトキシプロピルおよびメチルアミン
がある。C1〜C3アルキルアミンが好ましく、N−メチルアミンが最も好ましい
。このようなアミンは全て、ここでは総括して「N−アルキルアミン」と称する
。このアミンは、無水で存在してもよく、また水性溶媒のような溶媒中で、約3
0%〜約90%、好ましくは約40%〜約70%の濃度で存在してもよい。
ポリヒドロキシ物質− 全てのR−1反応に有用なポリヒドロキシ物質の好ま
しい供給源は、還元糖または還元糖誘導体を含んでいる。ここでは、「糖」によ
って、グルコース、フルクトース、マンノース、ラクトース、マルトース、キシ
ロースなどの還元糖を意味するものとする。またここでは、「糖」なる用語はグ
リセルアルデヒドを含む。このような「糖」は、サトウキビシロップ、コーンシ
ロップ、馬鈴薯でんぷん由来の糖シロップ、加水分解木材パルプ由来の糖などの
植物シロップのような、糖に分解する物質を含みうる。高級なフルクトース、グ
ルコース、およびマルトースのシロップが経済的で好ましく、それらのガードナ
ー色度が満足できるものである場合は特に好ましい。反応用糖物質は、この第一
の変法では、付加物をメチルアミンのようなアミンとともに含む。その種類は、
Hewlett-Packard 5890 Series 2 によって、DB1(15メートル、0.25m
フィルム厚さ、ID250m)を用いるカラムインジェクション上
で、g.c. 分析(気−液クロマトグラフィーまたは「g.l.c.」)により決定(測
定)する。
「付加」法の著しい長所は、「付加物」を水の存在下で形成できることである
。したがって、コーンシロップのような原料を糖の供給源として用いることがで
きる。しかし、糖の溶液は、糖を溶媒、好ましくは水性溶媒に溶解することによ
って、顆粒状、粉末状などの糖から調製することができる。溶媒、たとえば水中
の糖濃度は、典型的には約40%〜約90%、好ましくは約50%〜約70%で
ある(典型的には71%が上限である)。全てのN−アルキルアミノポリオール
製造用の糖出発物質の色が、ガードナー色度で約1未満、好ましくは約0+ より
少なく、更に好ましくはほぼ無色透明であることは、非常に重要である。出発物
質の糖に存在する典型的な着色物質は、触媒と反応収率に悪影響を及ぼす。これ
らの着色物質は、また、N−アルキルアミノポリオールの最終的な色の決定要因
となる。このような着色物質が存在している場合は、それを吸着する「炭素漂白
」のような方法によって除去することができる。糖物質は、好ましくは、過剰の
加熱をせずに、および/または非酸化条件下で取り扱って、分解を防ぐ。
もちろん、ガードナー色度の低い(たとえば0または<1の糖、即ち無色透明
のシロップ)を使用してN−アルキルアミノポリオールを形成することによって
、所望の低いガードナー色度を有するN−アルキルアミノポリオールの生成がよ
り確実になろう。換言すれば、低ガードナー色度(0〜1)の糖(好ましくは白
色固体または無色透明の溶液)の使用、およびここに開示する反応順序の採用に
よって、低ガードナー色度のN−アルキルアミノポリオールが生じるのである。
触媒− 多様な水素化触媒をR−1反応に用いることができる。そのような触
媒には、ニッケル(後述するようにして処理することが好ましい)、プラチナ、
パラジウム、鉄、コバルト、タングステン、様々な水素化合金などが含まれる。
水素化工程で用いる触媒は、好ましくは、ニッケル触媒粒子、ラネーニッケル、
ニッケル、シリカやアルミナのような基質物質に付着したその他のニッケル触媒
である。(たとえば濾過によって)除去しやすい触媒が好ましい。ここで非常に
好ましい触媒は、ケンタッキー州ルイスヴィルのUnited Catalysts,Inc.から入
手可能な、シリカ上に支持された"United Catalyst G49B"、"United Catalyst G
96"および"UCI C46" Ni触媒粒子や、メリーランド州バルチモアのW.R.Grace
& Co.から入手可能なラネーニッケル種の触媒、たとえばRA4200やRA3100、を含
む。
良好な色を達成するためには、当業界でよく知られている慣用のラネーニッケ
ル触媒または「支持」ニッケル触媒のいずれかを含む好ましいニッケル触媒の活
性を最大にして維持することも必要である。登録商標RANEY NICKEL 4200 および
3200(Grace Chemicals)の慣用のニッケルは、ここで用いるのに非常に適してい
る。UCI(United Catalyst,Inc.)のG-96B およびG-49B およびG-49C も適し
ている。ニッケル触媒に関しては、触媒からニッケル酸化物を除去することで、
ニッケルイオンが反応環境内に溶解するのを防ぐかまたは妨げるため、望ましい
低ニッケル含量の反応生成物が生成する。さらに、加圧水素で前処理し、そして
好ましくは後処理したニッケル触媒が、その後の多段反応で再利用できるために
、全体的にかなりの省コストとなることがわかっている。一般に、市販されてい
るようなニッケル触媒は、特に輸送後や保存後は、典型的にはたとえばニッケル
の酸化物、有機物質、過剰の苛性物、および/またはアルミナ微粉で汚染されて
いる。ここでの方法に用いるニッケル触媒には、触媒活性を阻害する量のニッケ
ル酸化物、有機物質、苛性物、アルミナ微粉等のないことが好ましい。したがっ
て、触媒を一種以上の溶媒で洗浄して有機および/または水溶性物質を除去し、
好ましくはpHを下げ、および/または、高圧条件下および/または高温条件下
で触媒を水素ガスのような強力な還元剤で処理して、ニッケル酸化物を破壊また
は除去することが望ましい。触媒を「きれいに」したら、窒素ガス、より好まし
くは水素などの還元ガスなどの、非反応的雰囲気下で維持することが望ましい。
通常の雰囲気にさらす場合は、短時間で、かつ低温下で行うのが望ましい。触媒
活性は、上記した不純物を、ごく少量しか存在しない場合でも、還元または除去
することによって実質的に増大させることができる。得られる触媒は、また、色
のよいアミン、ひいては色のよいアミド、を提供する。
ニッケル触媒を付加物またはN−アルキルポリヒドロキシアルキルアミンと接
触させる場合は、触媒の可溶化を最小にするように水素圧を維持すべきで
ある。同様に、たとえば約100psig(ポンド/平方インチ)〜約3500
psig、好ましくは約500psig〜約1500psigの高水素圧、およ
び約20℃〜約135℃、好ましくは約40℃〜約85℃の温度を採用すると、
N−アルキルポリヒドロキシアルキルアミンに溶解するニッケルイオンの濃度が
低くなり、そして、触媒上にニッケルを沈殿させることでその活性は復活する。
水素ガスと選択した圧力/温度条件の組み合わせによって、上記した可溶化が
減少し、またそれどころか、反応を逆行させてニッケルを沈殿させ、触媒を再生
することができる。N−アルキルポリヒドロキシアミン生成物中の可溶化Ni含
量を約10ppmより少なく、好ましくは約5ppmより少なく、より好ましく
は約2ppmより少なくすることによって、触媒が効果的に再生する。
触媒をN−アルキルポリヒドロキシアルキルアミンから分離する場合は、温度
を約135℃より低く、好ましくは約85℃より低くすべきであり、典型的には
濾過により行う触媒の分離は、水素圧下で遂行すべきである。
触媒の再生は、最初の活性化について記載した工程によって実施することがで
きる。
ここで、「実質的にニッケルを含まない」N−アルキルアミノポリオール反応
体は、約20パーツ・パー・ミリオン(ppm)以下のニッケル、好ましくは約
5ppm以下のニッケル(Ni++)を含有する。ニッケルは、希釈試料(干渉を
最小にするために5/1希釈としたもの)を用いて、慣用の原子吸光分析によっ
て適切に測定することができる。
溶媒− R−1法における付加物の形成は、水および/または有機溶媒、特に
極性、最も好ましくはヒドロキシ溶媒中で都合よく実施される。アミン−糖付加
物の形成においてここで有用な有機溶媒の典型的な例には、メタノール(好まし
い)、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレ
ングリコール、1,2−プロピレングリコール(好ましい)、1,3−プロピレ
ングリコール、およびグリセロールなどがある。アミンは、典型的にはアミン:
糖のモル比が約4:1〜約30:1の場合に、それ自身溶媒として機能すること
ができる。
R−1反応の水素化反応も、付加物を溶解する有機または水性溶媒の存在下で
実施することができる。水素化溶媒は、適切には極性、特にヒドロキシ溶媒、即
ち付加物の形成のために上記したのと同じ種類の溶媒である。実質的に無水の有
機溶媒を用いる場合、未反応アミンは、付加物形成工程の後に水とともに除去す
る。しかし、水性溶媒を用いる場合は、触媒除去工程まではアミンと溶媒を除去
しない。
水素化反応において水は好ましい溶媒である。メタノールは、水素化反応に用
いる好ましい有機溶媒である。
一般的なR−1反応条件− R−1反応の反応条件は以下の通りである。
工程(a)[付加物形成]この方法の工程(a)は、有機ヒドロキシ溶媒を利
用する方法では約0℃〜約80℃、好ましくは約10℃〜約60℃の温度で実施
し、水性溶媒を利用する方法では約70℃より低い、好ましくは約50℃より低
い、より好ましくは約30℃より低い温度、更により好ましくは約15℃〜約2
5℃の温度で実施するのが好ましい。
付加物形成に要する反応時間は、典型的には、採用する反応温度および/また
はアミンの糖に対する比にいくらか依存して、数分〜約20時間くらいであろう
。一般に、有機溶媒については、0℃〜80℃のより低い反応温度でより長い反
応時間がかかるし、またその逆も然りである。一般に、有機溶媒については、好
ましい10℃〜60℃の反応温度範囲、また約90%、好ましくは約95%を越
えるくらいの良好な付加物収率は、有機溶媒に関しては1〜10時間で達成され
る。特に水中で良好な色を与える、0〜70℃、好ましくは0〜30℃のより低
い反応温度範囲に関しては、反応時間は10時間もの時間がかかりうるが、典型
的には、アミン:糖の比がより高い場合は4時間より短いくらいで実質的に平衡
に達する。温度および反応時間は、ガードナー色度が好ましくはおよそ1未満の
付加物を得るように選択する。付加物の色が良好であることは、その後の全ての
水素化反応において反応および色が良好となり、また触媒活性が維持されるため
には必要である。ガードナー色度がおよそ1未満の場合は、得られるN−アルキ
ルポリヒドロキシアミン、およびそれから得られるアミドの色が良好になる。色
原体は、たとえば糖溶液に用いるような炭素漂白によって除去することができ
る。
付加物はまた、非常に低濃度のグルコースを有している。付加物のパーセンテ
ージとしてのグルコース濃度は、好ましくは約1%未満、より好ましくは約0.
%未満である。グルコースは、N−アルキルポリヒドロキシアミンを形成する水
素化反応工程を妨害する。また、過剰のアミンも、グルコース濃度を低くし、水
素化反応中のソルビトールの形成を最小とするのを助ける。
一般に、付加物形成の間は、反応が発熱反応であるために温度が上がる。した
がって、バッチ法で必要とされるような約30℃を下回る温度を維持することに
は、反応体および/または反応混合物の冷却を行うことが含まれる。約50℃を
上回る温度では、過剰に着色するのを避けるように、約10分より短い反応時間
が必要である。このような短い時間では、通常、連続反応以外では実行可能とは
いえない。連続反応においても、プラグフロー条件を採用するなどしてバックミ
キシングを最小にし、付加物が高温にさらされるのを防ぐべきである。付加物は
すみやかに水素と反応させて、対応するN−アルキルポリヒドロキシアミンを形
成させ、分解を最小に抑えるのが理想的である。しかし、約30℃を下回る温度
、好ましくは約20℃を下回る温度で、付加物を少なくとも数時間は操作および
/または保存でき、これによってバッチ法が採用しやすくなる。0℃で、付加物
は24時間安定である。
たとえば付加物を水素化反応法用に余熱する場合は、表面温度は約100℃を
下回るように、好ましくは約70℃を下回るように維持すべきである。
反応体濃度は変えることができる。ここでは、約7:1以下のアミン:糖のモ
ル比を用いるのが好ましい。但しアミンを溶媒の少なくとも一部として用いる場
合は、約30:1までの比を採用することができる。一般に、所望の付加物は、
アミン過剰のアミン:糖のモル比、たとえば>1:1、好ましくはおよそ1.1
:1を越えるモル比、そのほかたとえばおよそ1.3:1を越えるモル比で形成
することができる。水および/またはヒドロキシ溶媒中の典型的な反応体濃度は
、10〜80%、典型的には40〜50%(重量)の範囲である。付加物の形成
は、常圧または超常圧で実施することができる。
工程(b)[水素との反応]工程(b)は、水素圧が約500psig未満、
好ましくは水素圧が少なくとも約1000psig、より好ましくは少なくとも
約1500psigの場合は、付加物を触媒に長時間さらさないようにして遂行
すべきである。この時間を約1時間より短く、好ましくは約半時間より短く維持
することによって、水溶性イオンに変換するニッケルのような触媒金属の量を最
小とすることができる。このようなイオンは、形成される色への影響、他の物質
との不親和性、安全性等の様々な理由で望ましくない。
工程(b)は、スラリー法または固定床法のいずれかで実施することができる
。工程(b)は、有機ヒドロキシ溶媒法では、約20℃〜約120℃、好ましく
は約50〜約100℃で実施するのが好ましい。工程(b)は、水性有機溶媒法
では2段階で実施するのが好ましい。第一段階は、グルコースの場合に、対応す
るソルビトールのような還元糖、およびその他の望ましくない副生成物の形成を
避けるのに十分低い温度で行う。典型的には、これが約20℃〜約70℃、より
好ましくは約40℃〜約65℃、更に好ましくは約50℃〜約60℃である。第
二段階では、付加物のN−アルキルポリヒドロキシアミンへの還元(水素化)が
少なくとも約80%完了した後、好ましくは少なくとも約90%完了した後、よ
り好ましくは少なくとも約95%完了した後に、温度を少なくとも約75℃、好
ましくは少なくとも約80℃、および約135℃まで、好ましくは130℃まで
上げ、色原体を形成しうる残りの付加物およびその他の全ての物質を最小とし、
かつ、少なくとも約95%、好ましくは少なくとも約98%、より好ましくは少
なくとも約99.9%の付加物が、対応するN−アルキルアミノポリオールに変
換するようにする。この第二の段階は、加熱したときに良好で安定な色を生じる
N−アルキルポリヒドロキシアミンを製造するためには必須である。製造工程に
おいて過剰のアミンを用い、熱処理工程においてより高い温度を採用することに
よって、N−アルキルアミノポリオールの熱安定性が改善される。
工程(b)の間、加熱エレメントや熱交換機の表面などにおける局地的な過熱
を避けることは非常に好ましい。そのような表面または「皮膜」温度は、第一段
階中は約180℃を下回るように、好ましくは約100℃を下回るように、より
好ましくは約70℃を下回るようにすべきであり、第二段階中は約100℃を下
回るようにすべきである。
水素との反応は、溶媒が有機ヒドロキシ溶媒である場合[但しその後に水が(
たとえばH2O:アルコール重量比1:1以下で)存在してもよい]、最初は制
限された量の水とともに実施するのが好ましい。工程(a)で製造した付加物か
らの水の除去は、乾燥剤を用いるか、単純に水と溶媒を付加物から飛ばし、次い
で水を含まない新鮮な溶媒に再溶解することによって最も効果的に実施すること
ができる。水素化反応は、有機溶媒を使用する場合、典型的には、たとえば50
〜1000psiで20℃〜120℃、または100〜500psiで50℃〜
90℃の温度で、0.1〜35時間、一般には0.5〜8時間、典型的には1〜
3時間行うことができる。
溶媒が水を含有する場合、水素化反応は前記したように二段階で行う。
水素化反応に用いる付加物/溶媒溶液の溶質濃度(重量)は、典型的には、1
0〜80%、好ましくは40〜50%である。
水素化反応条件の選択は、製造者が入手できる圧力機器の種類にいくぶん依存
するため、上記した反応条件を本発明の主旨からそれずに変更しうることが認め
られよう。しかし、前記したように、付加物と触媒、特に好ましいニッケル触媒
、が双方とも存在する場合は、水素圧を、約500、好ましくは1000、より
好ましくは約1500psigを上回るようにするのが好ましい。約100ps
igを下回る低い圧力では、Niイオンを除去する別の工程を実施するか、また
は後述するようにより長時間の後処理をしてNi含量を非常に少なくする必要が
ある。
水素化反応触媒濃度は、典型的には、糖置換体を還元する触媒重量に基づいて
計算して、固形重量分が約1%〜約100%、好ましくは約2%(より好ましく
は約5%)〜約30%(より好ましくは20%)、更に好ましくは約5%(より
好ましくは10%)〜約15%(より好ましくは約20%)である。
工程(c)[仕上げ]次いで、反応完了後に触媒を生成物から分離する。触媒
を工程(c)の生成物から除去し、その生成物の結晶化を行うか、または溶媒/
水を飛ばすか、または効果的な乾燥剤を用いることによって、乾燥するのが好ま
しい。これによって、糖出発物質への逆行が防ぎやすくなる。
工程(c)は、溶媒/水の除去を含む場合、ワイプド・フィルム・エバポレー
タ(wiped film evaporator)内で行うのが好ましい。
R−1法の工程(a)〜(c)は、非酸化条件下(たとえばH2または不活性
ガス)で実施して、良好な色を出すのが好ましい。工程(c)の触媒除去は、水
素圧下で実施して、Ni(触媒)の溶解を防ぐか、または少なくとも不活条件下
で実施するのが好ましい。グルコース付加法
ポリヒドロキシアミンの別の適切な製造方法では、簡単な反応で触媒とアミン
をあらかじめ混合した後にグルコース付加を利用する(「グルコース付加」法)
。この方法では、少なくとも約100psig、好ましくは少なくとも約500
psig、より好ましくは少なくとも約1000psigの水素圧下、約80℃
を下回る温度、好ましくは70℃を下回る温度、最も好ましくは60℃を下回る
温度でグルコースを添加する限り、良好な結果を得ることができる。残りの反応
の原料および条件は、付加法で上記したのと同じである。
いずれかの方法によるN−アルキルアミノポリオールの製造は、水素化反応を
実施するのに適する、十分に撹拌された圧力釜の中で行うことができる。「グル
コース付加」法に都合のよい方式では、別に貯蔵槽を備えた圧力反応器を採用す
る。貯蔵槽(それ自身に圧力がかかっている)は適切なパイプなどで反応器と連
結している。反応に際しては、ニッケル触媒を撹拌したスラリーをまず水素で処
理するなどして「きれいにし」、微量の酸化ニッケルを除去する。これは反応器
内で都合よく行うことができる。(ただし、製造者が、酸化物を含まないニッケ
ル触媒の供給源を入手できるのであれば、H2による前処理は必要ない。しかし
、ほとんどの製造方法では微量の酸化物が必然的に存在してしまうので、H2処
理を行うのが好ましい。)過剰のスラリー媒体(水)を除去した後、N−アルキ
ルアミンを反応器に導入する。その後、水素圧下とするか、または高圧ポンプシ
ステムを用いて、糖を貯蔵槽から反応器に導入し、反応させる。反応の進行は、
反応混合物の試料を定期的に取り出し、次いで、ガスクロマトグラフィー(“g
.c.”)で分析するか、または試料を密閉容器中で約100℃、30〜60分
間加熱した後、色相安定性を調べて、未反応糖を分析することによってモニター
することができる。典型的には、約8リットル(約2ガロン)の規模の反
応においては、最初の段階(還元可能なものの95%が消費されるまで)は、触
媒濃度と温度にいくらか依存するが、およそ60分かかる。次いで反応混合物の
温度を上げて反応を完了させる(還元可能なものの99.9%が消費されるまで
)ことができる。ポリヒドロキシアミンの結晶化
N−アルキルアミノポリオールの色の質、安定性、および/または純度は、水
性溶液または水/有機溶媒混合物からN−アルキルアミノポリオールを結晶化す
る方法によって、更に改善することができる。結晶化は、工程(b)からのN−
アルキルアミノポリオールの水性混合物を0〜10℃またはそれより高い温度ま
で冷却することによって、また好ましくは前記水性混合物を冷却前に固形分が約
70%となるまで濃縮し、また最も好ましくは、メタノール、アセトン等の有機
溶媒約10〜約200部を水性供給溶液に加えるか、最も好ましくは濃縮溶液に
加えることによって、実施する。形成するN−アルキルアミノポリオールの高純
度の結晶は、濾過および/または遠心によって上澄液から単離することができる
。できるだけ高純度の結晶を得るには、濾過ケークまたは遠心ケークを約0.2
5〜約1.25部の冷却した(0〜5℃)溶媒で洗浄すべきである。湿ったケー
クは、次いで、色の薄いポリヒドロキシ脂肪酸アミドを生成するのに用いること
ができる。結晶化法によって、驚くほど改変されたアミド生成物が得られる。ポリヒドロキシ脂肪酸アミドの形成
上記反応のいずれかによって製造し、必要なガードナー色度を有するN−アル
キルアミノポリオール化合物は、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤の製造
方法全体に用いることができる。この方法は、アミド形成反応を含んでおり、4
60nmにおいて98%を越える透過度を有する、脂肪酸、無水脂肪酸、および
脂肪酸エステルからなる群より選ばれる脂肪族アシル基の供給源、好ましくは脂
肪酸エステルと、ガードナー色度が1未満(440nmでの吸光度が<0.1)
であるN−アルキルアミノポリオール、より好ましくは、約0.05%〜約2%
のアルカリ金属酸化物の存在下で蒸留したエステル、たとえば上記した方法で、
塩基性触媒の存在下、有機ヒドロキシ溶媒中で製造したもの、とを反応させる工
程を具えている。このような高純度で色の薄い界面活性剤の形成は、有機ヒドロ
キシ溶媒を用いる方法の特に有益な結果である。これは、洗剤製造者が、ポリヒ
ドロキシ脂肪酸アミド反応生成物に加えて、1,2−プロパンジオール(プロピ
レングリコール)、グリセロール、またはアルコール(たとえば液体洗剤におい
て)のような反応溶媒を、最終的な洗剤組成物に直接注入および/または導入す
ることができるからである。これにより、特に無水グリコールまたはエタノール
を用いた場合に、最終的な溶媒除去工程が不要になるという経済的な利点が生じ
る。
好ましくは水を実質的に除去した、上記のR−1反応のいずれかのポリヒドロ
キシアミン生成物は、更に、「R−2」反応とここで称するアミド形成反応に採
用することができる。ここでの典型的なR−2アミド形成反応の具体例を以下に
示す:
(式中、R2は、それぞれ、C10〜C20アルキル基であり、そしてR3は、それぞ
れ、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシアルキル、またはヒドロキシアルキ
ル基である)。
このように、ここでの方法は、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤の製造
方法全体を包含しうるものである。この製造方法は、任意で、上記したR−1法
と、次いで、ガードナー色度が1未満のポリヒドロキシアミンを、460nmに
おいて少なくとも98%の透過度を有する脂肪酸エステルと、有機ヒドロキシ溶
媒(好ましくはメタノール)中で塩基性触媒の存在下に反応させて、ポリヒドロ
キシ脂肪酸アミド界面活性剤を形成する工程(温度は、約3時間より短い時間で
は約40℃〜約135℃、より好ましくは約40℃〜約100℃、そして約2時
間より短い時間では、好ましくは約50℃〜約80℃である)と、そして任意で
前記溶媒を除去する工程と、を具えるものである。得られるアミド生成物は、イ
オン交換樹脂、より好ましくは酸性および塩基性樹脂の混合物、または任意で還
元的漂白剤で処理して、実質的に「無色透明」である生成物を提供する。
より好ましい態様では、アミド界面活性剤をまず酸性イオン交換樹脂で処理し
て全ての石鹸を脂肪酸に変換し、アミドに変換しなかった全ての残留アミンを除
去する。次いでこのアミド界面活性剤を塩基性イオン交換樹脂で処理して脂肪酸
を除去する。双方の樹脂も、既に形成されている全ての色原体成分を除去する。
ここでのR−2反応、またはR−1とR−2反応の組み合わせは、以下の式(
II)のポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤を製造するのに用いることがで
きる:
R2−C(O)−N(R1)−Z
[式中、R1、それぞれ、H、C1〜C4ヒドロカルビル、C1〜C4アルコキシア
ルキル、またはヒドロキシアルキル、たとえば2−ヒドロキシエチル、2−ヒド
ロキシプロピル等、好ましくはC1〜C4アルキル、より好ましくはC1たはC2ア
ルキル、最も好ましくはC1アルキル(即ちメチル)またはメトキシアルキルで
あり;R2は、C5〜C31ヒドロカルビル部分、好ましくは直鎖のC7〜C19アル
キルまたはアルケニル、より好ましくは直鎖のC9〜C17アルキルまたはアルケ
ニル、最も好ましくは直鎖のC11〜C17アルキル
またはアルケニル、あるいはそれらの混合物であり;そしてZは、少なくとも3
個のヒドロキシルが直接鎖に結合している線状ヒドロカルビル鎖を有するポリヒ
ドロキシヒドロカルビル部分であるか、あるいはそのアルコキシル化(好ましく
はエトキシル化またはプロポキシル化)誘導体である]。好ましくは、Zは還元
的アミノ化反応の還元糖に由来するものであり、より好ましくは、Zはグリシチ
ル部分である。Zは、好ましくは、−CH2−(CHOH)n−CH2OH、−C
H(CH2OH)−(CHOH)n−CH2OH、−CH2−(CHOH)2(CH
OR′)(CHOH)−CH2H(式中、nは3から5までの整数であり、そし
てR′はHまたは環状の単糖または多糖である)、ならびにそれらのアルコキシ
ル化誘導体、からなる群より選ばれる。最も好ましいのはnが4のときのグリシ
チル、特に−CH2−(CHOH)4−CH2Oである。上記Z部分の混合物が望
ましい。
式(II)において、R1は、たとえば、N−メチル、N−エチル、N−プロ
ピル、N−イソプロピル、N−ブチル、N−イソブチル、N−2−ヒドロキシエ
チル、N−1−メトキシプロピル、またはN−2−ヒドロキシプロピルであり得
る。
R2−CO−N<は、たとえば、コカミド、ステアラミド、オレアミド、ラウ
ラミド、ミリスタミド、カプリカミド、パルミタミド、タローアミド等であり得
る。
Zは、1−デオキシグリシチル、2−デオキシフルクチチル、1−デオキシマ
ルチチル、1−デオキシラクチチル、1−デオキシガラクチチル、1−デオキシ
マンニチル、1−デオキシマルトトリオチチル等であり得る。
以下の反応体、触媒、および溶媒は、ここでのR−2反応に都合よく用いるこ
とができ、具体例として示すものであって、限定を意図するものではない。この
ような物質は、全てよく知られたものであり、様々な商業上の供給源から普通に
入手することができる。
反応体− R−2反応では、モノエステル、ジエステル、およびトリエステル
(即ちトリグリセリド)を含む様々な脂肪酸エステルを用いることができる。メ
チルエステル、エチルエステルなどは全て、非常に適している。ポリヒドロキシ
アミン反応体には、N−アルキルおよびN−ヒドロキシアルキルポリヒドロキシ
アミンと、CH3−、C2H5−、C3H7−、HOCH2CH2−などのN−置換基
との反応のような、上記したR−1反応から入手可能な反応体が含まれる。[R
−1反応から入手可能なポリヒドロキシアミンは、残留する金属水素化触媒が存
在することで汚染されていないことが好ましい(但し数ppm、たとえば10〜
20ppmgは存在してもよい)。]また、エステルの混合物およびポリヒドロ
キシアミン反応体の混合物も用いることができる。
触媒− R−2反応に用いる触媒は、アルコキシド(好ましい)、ヒドロキシ
ド(加水分解反応の可能性があるためそれほど好ましくない)、カルボン酸エス
テルなどの塩基性物質である。好ましいアルコキシド触媒には、ナトリウムメト
キシド、カリウムエトキシドなどのアルカリ金属のC1〜C4アルコキシドが含ま
れる。触媒は反応混合物とは別に調製することもできるし、ナトリウムのような
アルカリ金属を用いて、反応器内で(in situ)形成させることもできる。メタノ
ール溶媒中にナトリウム金属を入れるような、反応器内で形成を行う場合は、触
媒形成が完了するまでその他の反応体が存在しないことが好ましい。触媒は、典
型的には、エステル反応体の約5〜8モル%の濃度で用いる。触媒の混合物も用
いることができる。
溶媒− R−2反応に用いる有機ヒドロキシ溶媒には、たとえば、メタノール
、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、グリセロール、
1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコールなどが含まれる
。メタノールは好ましいアルコール溶媒であり、1,2−プロピレングリコール
は好ましいジオール溶媒である。溶媒の混合物も用いることができる。
一般的なR−2反応条件: ここで、所望の生成物を製造する一方で、下記の
環状化した副生成物(たとえばエステルアミドおよび色原体)の形成を最小にす
ることは、任意の目的である:
約135℃より低い、典型的には約40℃〜約100℃、好ましくは50℃〜8
0℃の範囲にある反応温度を採用して、特に反応時間が典型的にはおよそ0.5
〜2時間であるかまたは6時間以内であるバッチ法によって、この目的を達成す
る。それよりいくらか高い温度も、滞留時間の短い連続法で採用できる。ポリヒドロキシ脂肪酸アミドの精製
この中の方法により製造したポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤は、非常
に純粋であり、また色がよい。しかし、着色していないかまたは透明な製品用と
しては、更に純粋で、色の薄い界面活性剤が必要である。したがって、ポリヒド
ロキシ脂肪酸アミド界面活性剤は、1種のイオン交換樹脂、イオン交換樹脂の混
合物、またはイオン交換樹脂の組み合わせ、および/またはNaBH4などのよ
うな還元的漂白剤で後処理するか、または触媒上で水素化するのが好ましい。
イオン交換樹脂での処理は、慎重に行うのであれば非常に効果的となりうる。
存在する少量の汚染物質が、そのままの状態で陽イオン性(たとえばアミン)、
および/またはそのままの状態で陰イオン性(たとえば石鹸および/または脂肪
酸)であるために、陰イオン性および陽イオン性(酸性および塩基性)の双方の
イオン交換樹脂で処理するのが望ましい。特に効果的な処理は、ポリヒドロキシ
脂肪酸アミド界面活性剤をまず酸性イオン交換樹脂で処理してアミンを除去し、
全ての脂肪酸石鹸を脂肪酸に変換した後、塩基性イオン交換樹脂で処理してその
脂肪酸を除去するというものである。
別の特に効果的な後処理は、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤を、ニッ
ケル、パラジウム、亜クロム酸銅などの水素化触媒上で水素化するというもので
ある。驚くべきことに、水素化処理は、界面活性剤の構造に悪影響を及ぼすこと
なく色原体および色原体前駆体を除くという点で効果的である。
水素化は、典型的には、バッチ反応器内で行う。触媒(典型的にはニッケルま
たはパラジウムのいずれか)をポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤の溶液中
でスラリー化し、所望の改変を達成する条件下で反応させる。典型的な反応条件
としては、水素圧は約150〜約1000、好ましくは約300〜約500ps
iであり;あり得る石鹸形成を制限するために、温度は約50〜約120℃、好
ましくは約50〜約65℃の温度であり;反応時間は約1〜約4時間、好ましく
は約1〜約2時間である。
界面活性剤の色は、重量で50/50のメタノール/蒸留水混合物ブランクに
対する、420nmでの透過度%として測定する。界面活性剤はブランク溶液の
50重量%まで希釈し、分光光度計で値を読みとる。市販製品の典型的な色は、
上記のようにして測定すると約55%〜約70%の透過度にわたっている。澄ん
だ製品を得るには、透過度は最低でも少なくとも約70%はあるべきである。
70%透過度を達成する触媒の使用量は、用いる触媒の種類と、どの程度色を
改善したいかということに依存する。ニッケル触媒の場合、使用量は、溶液中の
界面活性剤に基づく触媒の重量で表して、約2%〜約10%、好ましくは約2%
〜約5%の範囲である。これらの触媒濃度により、透過度は、触媒2%で約40
%〜48%から約70%にまで、また触媒10%で約80%〜85%にまで増加
するだろう。パラジウム触媒による水素化後処理の場合は、より少ない触媒で優
れた色を生じる。パラジウム触媒の使用量は約0.005%〜約0.15%の範
囲であり、これによって約60%の透過度を有する色を、約85%〜約90%の
透過度とすることができる。比較のために、約120℃および約360psi水
素の条件下で、約42%の透過度を、ニッケル触媒によって約75%まで増加さ
せ、またパラジウム触媒によって約93%まで増加させた。
別の任意の還元的漂白工程では、NaBH4、LiAlH4などの還元物質を利
用する。このときのpHは、約10〜約10.9、好ましくは約10.1〜約1
0.6、より好ましくは約10.4であることがわかっている。このpHの範囲
により、アミドの加水分解によって脂肪酸石鹸を過剰に生成することなく、良好
な速度でうまく漂白することができる。
以下の実施例は、上記のR−1反応(H2Oは除去してある)により製造した
N−ポリヒドロキシアミンを用いるR−2反応を実践した具体例である。(反応
体に関して)「70%濃縮」反応混合物を提供するような、反応体と溶媒の濃度
範囲を採用するのが望ましい。この70%濃縮混合物によって、所望のポリヒド
ロキシ脂肪酸アミド生成物が高収率ですみやかに得られるという優れた結果がも
たらされる。更に、この反応が1時間またはそれより短い時間内で完了するとい
うことも示されている。70%の濃縮における反応混合物の粘度では、取り扱い
も容易になる。しかし、80%および90%の濃縮度でも、クロマトグラフィー
のデータによると、そのような高濃縮をしたものでは望ましくない環状化副生成
物の形成がより少ないという、更に良い結果が得られる。更に高濃縮をしたもの
では、反応系が機能するのはいくらか困難であり、(初期の反応系が濃厚なため
)少なくとも反応初期の段階で、より効率的な撹拌等が必要となる。ひとたび反
応が目に見えて進めば、反応系の粘度は低下し、混合の度合いが高まる。
ここでは、全てのパーセンテージ、比および割合は、特に断りのない限り重量
基準である。またここでは、全ての値および数値は、特に断りのない限り近似の
値である。
実施例I 標準反応
約214gのC12脂肪酸メチルエステル(Procter & Gamble社のメチルエステ
ルCE1295);約195gのN−メチル−D−グルカミンの乾燥粉末;約1
0.8gの25%ナトリウムメチラート;および溶媒として約37.7gのプロ
ピレングリコールからなる反応混合物を用いる。反応槽は、1リットルの四つ首
丸底フラスコ反応器;300mmのコイル状凝縮器を1つ;250mlの丸底フ
ラスコを1つ;アダプターを数個;変速モーターをもつ撹拌機を1つ;温度調節
用のTherm-O-Watch(登録商標)に連結したマントルを1つ;および減圧用の減圧
水吸引機を備えたものである。
メチルエステルを反応器に加え、撹拌しながら約60℃で加熱する。プロピレ
ングリコールとN−メチルグルカミン(粉末)を、十分に撹拌しながら加えて固
形分の懸濁を維持する。約0.1%を越える水分がある場合は温度を約80℃に
上げ、絶対圧力100mmHgの真空をつくり出し、水分を除く。窒素とともに
圧力をあげて、ナトリウムメチラートを加える。温度を約80℃に設定し、時間
を0に設定する。圧力を約500mmHgから約30分毎に約350、200、
100mmHgに下げる。窒素とともに圧力を再度上げて、ガスクロマトグラフ
ィー分析用の試料を採取する。
上記の標準反応では、約200〜600ppmの、望ましくないと考えられる
環状物質を生じる。ある標準反応においては、環状物質の濃度が250ppmの
とき転化率は91%であり;反応温度を約70℃に下げると、環状物質の濃度は
約80ppm、転化率は約88%に下がり;反応時間を約1時間と短くすると、
環状物質の濃度は約50ppm、転化率は約89%に下がり;触媒濃度を半分に
すると、環状物質の濃度は約90ppmに下がって転化率は約93%に上がり;
30分後にメタノールを除去すると、環状物質の濃度は約50ppm未満に下が
って転化率は約90%に上がり;そして真空度を最大の約200mmHgに下げ
ると、環状物質の濃度は約40ppm、転化率は約87%に下がる。
メタノールを除去する時間を減らし、真空度を下げることは、環状物質の形成
を減らすのに最も有意な影響を与える。
色の改善は、よりよい色の反応体を用いることによりもたらされる。メチルエ
ステルとポリヒドロキシアミンは、双方とも約1未満のガードナー色度を有する
べきであり、なかでもアミンがそうあることは最も重要である。R−1反応で過
剰のアミン、たとえば約100%過剰のアミンを採用する、および/またはより
高温の熱処理温度を採用することによって、アミンの色は改善される。結晶化工
程を採用することにより、色は更に改善する。
アミドはイオン交換樹脂か、より好ましくは陰イオン性および陽イオン性イオ
ン交換樹脂の双方で処理して、色原体を除去することが好ましい。この処理は以
下のようにして行う。
実施例II
アミド合成用の、80%反応体濃度での全体的な方法は以下の通りである。
約84.87gのC12脂肪酸メチルエステル(Procter & Gamble社のメチルエ
ステルCE1270);約75gの実施例IのN−メチルポリヒドロキシアミン
;約1.04gのナトリウムメトキシド;および約39.96gのメチルアルコ
ール(反応混合物の約20重量%)の全量からなる反応混合物を用いる。反応槽
は、乾燥用チューブ、冷却器、および機械的撹拌翼を備えた標準的な還流装置で
ある。N−メチルグルカミン/メタノールを、撹拌しながら窒素下で加熱する(
還流)。溶液が所望の温度に達した後、エステルとナトリウムメトキシド触媒を
加える。反応混合物を還流で約6時間維持する。反応は約1.5時間で実質的に
完了する。メタノールを除去した後、回収した生成物の重量は約105.57g
である。クロマトグラフィーによれば、望ましくないエステル−アミド副生成物
は微量しか存在せず、また環状化した副生成物は全く検出できなかった。
上記の開示は、一般に、N−メチルグルカミンのようなN−メチルポリヒドロ
キシアミン、ならびに脂肪酸メチルエステルを用いて脂肪酸アミド誘導体を製造
する、溶媒が媒介する方法に関するものであるが、本発明の精神および範囲から
はずれない変更が可能であることは理解されよう。たとえば、高級デキストロー
スコーンシロップ、高級フルクトースコーンシロップ、および高級マルトースコ
ーンシロップなどのような糖の供給源のみならず、フルクトース、ガラクトース
、マンノース、マルトースおよびラクトースのような還元糖を、この反応のポリ
ヒドロキシアミン物質を製造するのに(即ちグルカミンを置換するのに)用いる
ことができる。
驚くべきことに、多様な油脂(トリグリセリド)を上記した脂肪酸エステルの
代わりにここで用いることができ、それによって完成度を目立たない程度に改善
することができる。たとえば、大豆油、綿実油、ひまわり油、獣脂、ラード、紅
花油、コーン油、キャノーラ油、ピーナッツ油、魚油、菜種油等の油脂、あるい
はそれらを硬化(水素化)したものを、本発明の方法に用いるトリグリセリドエ
ステルの供給源として用いることができる。トリグリセリドを用いる場合は、反
応はより高い完成度で進行し、除去すべき副生成物もより少ない。より詳細には
、約95%を越える完成度も可能である。好ましいトリグリセリドは、ヤシ種油
、ココナツ油、ヤシ油、および獣脂である。精製
先に開示した方法により製造する界面活性剤は、驚くほど純粋である。しかし
、非常に澄んだ製品を製造するには、更に高純度であることが必要である。した
がって、ここでの界面活性剤生成物の、還元的漂白処理およびイオン交換処理か
らなる群より選ばれる少なくとも1種による処理が必要であることがわかってい
る。
還元的漂白は、色原体、および/または光、酸素、他の物質との相互作用等の
作用で後に色原体に変換される色原体前駆体を還元/除去する方法としてよく知
られている。しかし、ここでN−アルキルポリヒドロキシアミンのアミド界面活
性剤を処理するには、後記するようにして、石鹸の形成を避けるための予防策を
とることが必要である。
水素および水素化触媒を使用しても、過剰な石鹸を形成せずに還元的漂白をす
ることができる(但しこの技術は、通常はより複雑で、特殊な装置を必要とする
)。好ましい水素化触媒は、前記したものである。
そのような更新可能な供給源から洗剤用界面活性剤を製造することが、本方法
の重要な利点であることが認められよう。本方法では、比較的おだやかな反応温
度および条件で、副生成物を最小にして所望の生成物を得ることができるため、
長鎖(たとえばC18)および不飽和の脂肪酸ポリヒドロキシアミドを製造する場
合に特に有用である。ポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤の予備形成部分は
、反応体としてトリグリセリドまたは長鎖のメチルエステルを用いる場合、R−
2アミド形成反応の開始を補助するのに用いることができる。
実施例III
N−メチルグルカミンの精製は以下のようにして行う。約45重量%の商業的
品質のN−メチルグルカミンを含有する水性溶液約2500gをロータリーエバ
ポレータに仕込み、約27.5’のHg減圧下で、エバポレータ残留物中の固形
分濃度約75%に対応する約957gの縮合物が集まるまで約71℃に加熱する
。残留物を約660gの無水メタノールと混合し、氷浴を用いて約1〜2℃まで
急速に冷却すると、N−メチルグルカミンが結晶化して白色スラリーとなる。
スラリーの一部である約1100gを、ブフナー漏斗で濾過する前にワーリング
ブレンダーに仕込んで、約3〜4分間混合する。試料を乾燥するまで濾過して約
165gの等量の冷却(約5℃)メタノールで2回洗浄し、約330gの冷却メ
タノールで1回洗浄する。最終的なケークは、供給原料中の固形分の約83%と
して、揮発分が約16%の精製N−メチルグルカミン約438gを生成する。
以下の表は、この方法によりもたらされた、色と熱安定性についての改善を示
すものである。精製した結晶は蒸留水に溶解して、供給原料の固形分濃度と同じ
濃度とした。色は、その試料について、Milton Roy Spectronic 21D 分光計によ
って、約21cmのセルを用いて約420nmの透過度%として測定する。試料
は、また、不活雰囲気下で約180℃の油浴に1時間入れることで熱安定性を試
験する。処理した試料は約50%の濃度まで再度希釈し、熱処理中に失われた水
分を補って、得られるものの色を読みとる。
実施例IV−A
非結晶化アミンを用いるアミドの製造
固形分が約54重量%の商業的な品質のN−メチルグルカミンの水性溶液(約
332.62g)を、機械的撹拌翼、冷却器および受け器を備えた標準的な1リ
ットルの反応フラスコ装置に仕込む。約1時間20分の間、溶液を約132℃ま
で徐々に加熱し、圧力を約66cmHgまで減圧して、水を凝縮させ、受け器に
回収して除去する。
乾燥したN−メチルグルカミンに、約201.71gのProcter & Gamble社の
CE−1295メチルエステルおよび約37.20gのプロピレングリコールを
加える。撹拌後、約15.01gのナトリウムメトキシド溶液(メタノール中で
約25重量%)および約14gのメタノールを反応器に加えて、時間を記録する
。混合物を、常圧下で約85℃まで冷却しながらメタノールを蒸発させる。約
30分後、メタノールの蒸発が判別できなくなったら、反応器をゆっくりと減圧
して残りのメタノールを飛ばし、反応を完了させる。過剰な発泡を生じずに約6
6mmHgまで減圧したら、反応は完了である。窒素で減圧状態をなくした後、
約126.86gの水と約74.60gのエタノールを混合物に加える。得られ
るグルコースアミド溶液は暗黄色で、約420nmで約54.9%の透過度を示
した。
実施例IV−B
結晶化アミンを用いるアミドの結晶化
約121.0gの、実施例IIIのN−メチルグルカミン濾過ケーク(揮発分
約16%)、約112.1gのProcter & Gamble社のCE−1295メチルエス
テル、および約19.7gのプロピレングリコールからなる反応混合物を、機械
的撹拌翼、冷却器および受け器を備えた1リットルの反応槽に仕込む。撹拌しな
がら約80℃まで加熱し、わずかな減圧下で約30分間維持して、残留する水分
とメタノールを濾過ケークから除去する。
窒素で減圧状態をなくした後、約8.4gの約25%ナトリウムメトキシド溶
液を反応器に加えて、時間を記録する。メタノールを蒸発させ、受け器に回収す
る。約1時間後、反応器をゆっくりと減圧して残りのメタノールを飛ばし、反応
を完了させる。約2時間半後、目的の減圧状態とし、メタノールはそれ以上飛ば
さない。窒素で減圧状態をなくした後、約65.1gの蒸留水と約39.5gの
エタノールを混合物に加える。得られるグルコースアミド溶液は非常に薄い黄色
で、約420nmで約88.9%の透過度を示した。
実施例V
ポリヒドロキシアミドの溶出を行って使いきった強塩基性陰イオン交換樹脂の
再生を、以下のようにして行う。
約27.4gの濃縮(約36.5重量%)HClを約972.6gの3Aエタ
ノールに加えることによって、エタノール性HCl溶液を調製する。
約15.3gのNaOHペレット(分析= 約98%)を約1484.7gの蒸
留水に溶解することによって、希釈苛性溶液を調製する。
約450mlの使いきったアンバーライトIRA−410樹脂を、500ml
の目盛り付き分配用シリンダー(graduated dispensing cylinder)に充填し、約
1リットルの温蒸留水で洗浄して残留アミドを除去する。この樹脂を約1リット
ルの約5%エタノール性HCl溶液(上記のようにして調製したもの)で洗浄し
て酸化させた後、約1リットルのエタノールで洗浄して脂肪酸を完全に除去する
。次いで、樹脂を約1リットルの温蒸留水で洗浄して、再度水和する。
次いで、約5%の水性NaOH溶液約11/ 2リットルを樹脂からゆっくり溶
出させることによって、樹脂を再生する。そして、pHが約8となるまで樹脂を
蒸留水で洗浄する。
ポリヒドロキシアミドの溶出を行って使いきった強酸性陽イオン交換樹脂の再
生は、以下のようにして行う。
約27.4gの濃縮(約36.5重量%)HClを約972.6gの3Aエタ
ノールに加えることによって、エタノール性HCl溶液を調製する。
約450mlの使いきったアンバーライトIR−120プラス強酸性陽イオン
樹脂を、500mlの目盛り付き分配用シリンダーに充填し、約50℃の加熱テ
ープで覆って、約1リットルの温蒸留水で洗浄して残留アミドを除去する。この
樹脂を約1リットルのエタノール性HClで洗浄して酸化させた後、約1リット
ルの温蒸留水で洗浄して樹脂を再度水和する。
追加の約5%水性HCl1リットルを樹脂からゆっくり溶出させることによっ
て、樹脂を再生する。そして、pHが約5となるまで樹脂を蒸留水で洗浄する。
実施例VI
約200mlの、実施例Vで再生したアンバーライトIR−120プラス樹脂
を、約50℃に設定した発熱テープで覆った250mlの目盛り付き分配用シリ
ンダーに充填した。実施例VI−Bにしたがって結晶化N−メチルグルカミンか
ら調製したグルコースアミド約2000gを樹脂から溶出させ、約200gずつ
を集めた。
次いで陽イオン性カラムからの溶出液約1800gを、実施例Vで再生したア
ンバーライトIR−410強陰イオン性樹脂約200mlから溶出させる。この
カラムの温度は、電気発熱テープにより約50℃に維持する。溶出液を、約10
0gずつ16回に分けて集める。
樹脂処理前にグルコースアミドを分析することにより、ほぼ以下の特性と組成
を有することがわかる。
約360nmの透過度 = 74.1%
N−メチルグルカミン = 2.8%
脂肪酸/メチルエステル = 4.9%
グルコースアミド = 55.6%
エステルアミド = 0.2%
樹脂処理後では、生成物の色相と組成は大きく改善される。
約360nmの透過度 = 93.3%
N−メチルグルカミン = 0.1%
脂肪酸/メチルエステル = 0.6%
グルコースアミド = 55.5%
エステルアミド = 0.1%
実施例VII
ポリヒドロキシアミドの溶出を行って使いきった強塩基性陰イオン交換樹脂を
再生する第二の方法を、以下のようにして実施する。
約27.4gの濃縮(約36.5重量%)HClを約972.6gの3Aエタ
ノールに加えることによって、エタノール性HCl溶液を調製する。
約9gのエトキシレートを約9gのエタノールと約1482gの温蒸留水に溶
解することによって、約7モルのエトキシル化ラウリルアルコールの希釈溶液を
調製する。
約450mlの使いきった樹脂を、500mlの目盛り付き分配用シリンダー
に充填し、加熱テープで覆って、約50℃に保持する。樹脂を約1リットルの温
蒸留水で洗浄して残留アミドを除去する。温めた約1リットルの約5%水性HC
lをこの樹脂から溶出させて、樹脂を酸化する。カラムを約50℃で約2時間保
ち、脂肪酸を樹脂表面に移動させる。カラムを約11/ 2リットルの温めたエト
キシレート溶液で逆洗して、脂肪酸をカラムから除去する。
次いで、約5%の水性NaOH溶液約11/ 2リットルを樹脂からゆっくり溶
出させることによって、樹脂を再生する。そして、pHが約8となるまで樹脂を
蒸留水で洗浄する。
陽イオン性樹脂の再生は、実施例Vに記載したのと同じ方法で再生する。
実施例IV−Aに記載した方法で製造した、琥珀色で、約360nmにおける
透過度が約32.1%のグルコースアミドをこれらのイオン交換樹脂に通すと、
色が薄い藁色に、そして約360nmにおける透過度が約82.2%へと改善さ
れる。
実施例VIII
色相安定性が良好で、後に良質のグルコースアミドを生成するN−メチルグル
カミンを、以下の方法で製造する。
約2ガロンのオートクレーブに、約360gの、50%水懸濁液としてのGrac
e社の4200ラネーニッケル触媒、約920gの50%メチルアミン、および
約1000gの水を仕込む。反応器を、水素で約1500psigに加圧する。
反応器内容物を、撹拌しながら約50℃に加熱する。これに約2600gのClea
rSweat(登録商標)99DEコーンシロップを加えて、内容物を約50℃で約2
時間反応させる。反応により水素が消費されるために、新鮮な水素を加えて圧力
を維持する。約2時間経ったときに試料を反応器から採取し、組成を以下のよう
に決定する:
N−メチルグルカミン = 95.0%
n−グルコシルアミン = 1.0%
グルコース = 1.0%
ソルビトール = 0.9%
この物質は淡黄色であり、実施例IV−Aに記載した方法に従ってグルコース
アミドへの反応を行うと、生成物は非常に暗い色となる。
オートクレーブに残る反応混合物の温度を、約60分かけて約50℃から約1
00℃に上げ、一方で水素圧は約1500psigに維持した。約100℃に達
した後、水素圧下で冷却水を反応器コイルに導入して、反応器を急速に冷却する
。混合物が約30〜50℃まで冷えたとき、内容物を反応器から抜き出す。組成
はおよそ次の通りである:
N−メチルグルカミン = 97.3%
n−グルコシルアミン 検出できず
グルコース 検出できず
ソルビトール = 0.8%
この無色透明の物質を、実施例IV−Aで用いた方法に従ってグルコースアミ
ドを製造するのに用い、淡黄色の生成物を得る。
実施例IX
結晶化n−メチルグルカミンおよび塩基処理エステルから製造するアミド
約49.1kgのProcter & Gamble社のCE−1295メチルエステルを、冷
却器および受け器を備えた72リットルの蒸留フラスコに仕込む。約900gの
ナトリウムメトキシド溶液(メタノール中で約25重量%)をこのエステルに加
える。約100mmHg未満の絶対圧力で、エステルを140℃まで加熱する。
留出物を凝縮し、受け器に集める。最初に受け器に集まる約618gは廃棄し、
その後の留出物を、「無色透明」でにおいの少ないラウリン酸メチルとして集め
る。
実施例IIIにしたがって精製したn−メチルグルカミン結晶約175.0g
を水に溶解して、約375.0gの水性溶液とする。この溶液を、機械的撹拌翼
、冷却器および受け器を備えた標準的な1リットルの反応フラスコ装置に仕込む
。約2時間40分かけて、溶液を約130℃まで徐々に加熱し、圧力を約26イ
ンチHgまで減圧して、水を凝縮させ、受け器に回収して除去する。
脱水したn−メチルグルカミンに、約195.9gの、上記した蒸留ラウリン
酸メチル、および約36.5gのプロピレングリコールを加える。撹拌後、約1
4.5gのナトリウムメトキシド溶液(メタノール中で約25重量%)を反応器
に加えて、時間を記録する。混合物を、常圧下で約85℃まで冷却しながらメタ
ノールを蒸発させる。約30分後、メタノールの蒸発が判別できなくなったら、
反応器をゆっくりと減圧して残りのメタノールを飛ばし、反応を完了させる。過
剰な発泡を生じずに約25インチHgまで減圧したら、反応は完了である。窒素
で減圧状態をなくした後、約123.0gの水と約72.3gのエタノールを混
合物に加える。得られるグルコースアミド溶液は「無色透明」で、420nmに
おいて95%の透過度を示す。
実施例X
トリグリセリドを用いて製造するアミド
トリグリセリド反応体には、CRISCO(登録商標)油、ヤシ油、ひまわり油、キ
ャノーラ油、菜種油、ココナツ油ヤシステアリン、およびそれらに対応する水素
化油が含まれる。触媒は、一価アルコールか多価アルコールのアルカリ金属塩、
たとえばナトリウムメトキシドである。反応媒体は非イオン性界面活性剤であり
、たとえばNEODOL(登録商標)10-8または23-3、あるいはGENAPOL 26-L-5である
。
反応は溶融状態で実施する。トリグリセリドに基づくモル比が約2.3:1〜
約2.9:1のN−メチルグルカミン、非イオン性界面活性剤、およびトリグリ
セリドを、減圧下で約120〜140℃で約30分間、ともに溶融させる。N−
メチルグルカミンに基づき約7.5モル%のナトリウムメトキシドを反応混合物
に加える。反応混合物は数秒で均一になる。この反応混合物を直ぐに約85℃に
冷却する。これを減圧下、約1〜2時間保持し、この時点で完成する。
別の方法では、N−メチルグルカミンを室温で非イオン性界面活性剤、トリグ
リセリド、および触媒と混合する。混合物を、減圧下かまたは窒素下で85〜9
0℃に加熱する。反応混合物は1時間〜1時間半の間に澄んでくる。これを約8
5℃で約2〜3時間保持する。
より詳細には、約127.45gのN−メチルグルカミン粉末を、内部温度計
、減圧ライン、窒素ライン、および機械的撹拌器を備えた、500mlの三つ首
丸底フラスコに加える。N−メチルグルカミンを約130〜約140℃で溶融さ
せ、減圧下で乾燥させる。硬化ヤシ種油(約156.41g)を、内部温度計と
減圧ラインを備えた、500mlの別の三つ首丸底フラスコに加える。この硬化
ヤシ種油を約130〜140℃で溶融させ、減圧下で乾燥させる。乾燥した硬化
ヤシ種油と約31.54gのプロピレングリコールを、撹拌しながらN−メチル
グルカミンに加える。メタノールとの25%混合物としての約1.76gのナト
リウムメトキシドを、撹拌しながら上記混合物に加え、減圧にすることでメタノ
ールを除去する。混合物は、冷却を行う約1.5分のうちに均一になる。混合物
を約7分かけて約90℃に冷却し、この温度で約85分間保持する。これを容
器からあけて、ガスクロマトグラフィーで分析した。
反応体から水を除去することにより、脂肪酸の形成が最小になる。好ましくは
、水の濃度は約0.1%未満である。
実施例XI
アミドのホウ化水素処理
約200gのグルコースアミドを、温度計をトップ・ロード・バランス上に(o
n a top load balance)備えた1リットルの三つ首反応フラスコに加える。反応
器を加熱マントルに移し、機械的撹拌器に連結する。
温度を約38度に上げ、それをこの処理の間じゅう維持する。約1.23gの
市販のホウ水素化ナトリウム、および約0.20gの粉末ホウ水素化ナトリウム
を反応器に加える。
このホウ水素化物には約0.49gの水酸化ナトリウムが入っており、これに
よってpHは約8.7から約10.4へと上がる。処理開始時のアミドの色は、
420nmで約54%の透過度であるが、約2時間の処理をした後は、透過度は
約76%となる。溶液の最終的なpHを、31%塩酸で約8まで下げる。
pHが10.4では石鹸の生成が増すが、約10より低いpHはホウ水素化物
の安定には必要である。未処理のN−メチルグルカミンアミドは、典型的には、
石鹸含量が約3.09である。ホウ水素化物処理したN−メチルグルカミンアミ
ドのpH/石鹸含量は、およそ次のように変化する:10.1/3.14;10
.3/3.16;10.6/3.17;および11.0/3.41。結果として
、処理の間、pHは約10.9を下回るべきである。
実施例XII
実施例IIにおけるような、精製前の、約70%を下回る透過度を有するポリ
ヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤を、蒸気/水混合装置に連結した内部コイル
により加熱した、高圧撹拌反応器内で水素処理する。界面活性剤溶液には、およ
そ60%の界面活性剤、22%の水、12%のエタノール、および6%のプロピ
レングリコールが含まれる。この溶液約1000gを、約50%の水分を有する
ように湿らせた約1.2gのパラジウム触媒(炭素上に5%のパラジウム)でス
ラリー状にする。反応器を密封し、撹拌器を約500rpmで作動させる。反応
器は、繰り返し(5回)、約200psiまでゆっくり加圧し、そしてゆっくり
圧力を抜く。次いで約400psiまで加圧し、撹拌器の速度を約1200rp
mまで上げる。温度を約66℃まで上げ、反応を約2時間実施し、生成物を水素
圧下濾過して、触媒を除去する。すると透過度%は約80%を越える。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C07C 231/24 C07C 231/24
233/18 233/18
233/20 233/20
// C11D 1/52 C11D 1/52
(31)優先権主張番号 08/483,802
(32)優先日 1995年6月7日
(33)優先権主張国 米国(US)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),CA,JP,KR,M
X
(72)発明者 ウェーバー,ヴィッキ,リン
アメリカ合衆国 45209 オハイオ州 シ
ンシナティー アンドリュー アヴェニュ
3732
(72)発明者 ギブソン,マイケル,スティーヴン
アメリカ合衆国 45140 オハイオ州 ラ
ブランド スウィガート ロード 9301
(72)発明者 アプルビー,ドナルド,ベンジャミン
アメリカ合衆国 45230 オハイオ州 シ
ンシナティー ハンターズノウル レーン
752
(72)発明者 ペゴーリ,ロナルド,エドワード
アメリカ合衆国 45103 オハイオ州 バ
タヴィア マーヴァレイ コート 4591
(72)発明者 シュナイダー,メリー,セリーヌ
アメリカ合衆国 45103 オハイオ州 バ
タヴィア ジャクソン パイク 3238
(72)発明者 フォーミデュヴァル,テリー,フランクリ
ン
アメリカ合衆国 45249 オハイオ州 シ
ンシナティー フィールズ−アーテル ロ
ード 8119
(72)発明者 ホーキンス,ラリー,ネルソン
アメリカ合衆国 45245 オハイオ州 シ
ンシナティー グレン エステ ロード
4045
(72)発明者 シャーマン,ジョーゼフ,フリードリッヒ
アメリカ合衆国 45241 オハイオ州 シ
ンシナティー ウインドワード ウエイ
7051 アパートメント ナンバー209