JPH1150797A - 拡幅可能な型枠によるトンネル用コンクリート打設方法およびその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】トンネル幅に対応させて容易に拡幅でき、二次
覆工用コンクリートの打設量を激減させる。 【解決手段】ガントリー１８上に天端フォーム２０およ
び両側フォーム２２を配設させてなる型枠１２を介し
て、トンネル１４内に二次覆工用コンクリート１６を打
設する方法において、型枠１２のガントリー１８上に幅
方向に移動自在に両側フォーム２０を配設させ、トンネ
ル幅に対応させて、少なくとも一方の側フォーム２２を
移動させることにより、型枠１２を拡幅した後、トンネ
ル１４内に二次覆工用コンクリート１６を打設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、トンネル掘削面の
幅に対応させて型枠を拡幅させ、二次覆工用コンクリー
トの打設量を激減させることができるトンネル用コンク
リート打設方法およびその装置に関するものである。な
お、本明細書中、「打設」とは、養生硬化してない流動
性コンクリートを型枠と、トンネル掘削面または一次覆
工用コンクリートと、の間に充填させることをいう。

【０００２】

【従来の技術】元来、一本のトンネルにおいて、直線と
曲線が混在する場合が多く、この場合、直線部のトンネ
ル幅より曲線部のトンネル幅が広く掘削されている（図
５および図６参照）。

【０００３】また、二次覆工用コンクリートを打設する
ための型枠は、トンネル掘削方向へ移動させて順次二次
覆工用コンクリートを打設する。

【０００４】従って、トンネル曲線部において、型枠を
移動させる際、型枠の前部と後部では内輪差を生ずるた
め、曲線部のトンネル幅は、直線部のトンネル幅より広
く確保されている。

【０００５】この曲線部へ二次覆工用コンクリートを打
設する際、トンネル幅が広く確保されているため、型枠
とトンネル掘削面との間隔が広くなり、その分打設する
二次覆工用コンクリートが多量に必要となる。

【０００６】この二次覆工用コンクリートの量を節減す
るため、型枠幅が異なる両側フォーム、例えば直線状の
ものと、湾曲（円弧）状のものを二種類を用意し、トン
ネル内で交換し、二次覆工用コンクリートを打設させた
り、あるいは両側フォームの形状が異なる型枠を予め２
台用意し、直線部用、曲線部用を使い分けて二次覆工用
コンクリートを打設させていた。

【０００７】なお、図５および図６中、１２は型枠、１
４はトンネル、１６は二次覆工用コンクリート、３２は
既一次覆工用コンクリート打設面（トンネル掘削面）、
３４はトンネル１４の直線部、３６はトンネル１４の曲
線部、３８は（幅狭）側フォーム、４０は（幅広）側フ
ォームを示す。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】従来、二次覆工用コン
クリート打設において、トンネルの直線部と、曲線部と
で両側フォームを交換する場合、その交換作業に約７日
前後かかり、作業が大幅に遅延することが問題となって
いた。

【０００９】また、トンネルの直線部と、曲線部とで型
枠を使い分ける方法においては、常時型枠を２台使用し
ているため、トンネル内での他の作業に支障を来すばか
りでなく、曲線部と直線部との長さを緻密に計算して二
次覆工用コンクリートの打設を行う必要があり、非常に
面倒であることが問題となっていた。

【００１０】また、型枠幅が広い方の側フォームを使用
してもトンネル掘削面との間隔が広い場合には、より多
量の二次覆工用コンクリートが必要であり、二次覆工用
コンクリートの打設量を節減することができないことが
問題となっていた。

【００１１】本発明は、このような欠点に鑑み、トンネ
ル幅に対応させて容易に拡幅でき、二次覆工用コンクリ
ートの打設量を激減させることができるトンネル用コン
クリート打設方法およびその装置を提供することを目的
とするものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明の方法は、ガント
リー上に天端フォームおよび両側フォームを配設させて
なる型枠を介して、トンネル内に二次覆工用コンクリー
トを打設する方法において、ガントリー上に幅方向に移
動自在に両側フォームを配設させ、トンネルの幅に対応
させて、少なくとも一方の側フォームを移動させること
により、型枠を拡幅した後、トンネル内に二次覆工用コ
ンクリートを打設することを特徴とするもの、また両側
フォームの上部に、天端フォームを、両側フォームに対
して移動自在に配設させ、両側フォームの移動に対応さ
せて、天端フォームを両側フォームの中央に位置修正す
ることにより、トンネル断面を均一に形成させることを
特徴とするものである。

【００１３】本発明の装置は、ガントリー上に天端フォ
ームおよび両側フォームを配設させてなる型枠におい
て、ガントリー上に両側フォームを幅方向に移動自在に
配設させてなり、トンネルの幅に対応させて、少なくと
も一方の側フォームを幅方向に移動させることにより、
型枠を拡幅した後、トンネル内に二次覆工用コンクリー
トを打設することを特徴とするもの、または両側フォー
ムの上部に、天端フォームを、両側フォームに対して移
動自在に配設し、両側フォームの移動に対応させて、天
端フォームを両側フォームの中央に位置修正することに
より、トンネル断面を均一に形成させることを特徴とす
るものである。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明に係るトンネル用コンクリ
ート打設装置は、図１〜図４に示すように、以下の構成
からなるものである。

【００１５】本発明で使用する型枠１２は、トンネル１
４内に二次覆工用コンクリート１６を打設するためのも
のであり、ガントリー１８上に天端フォーム２０および
両側フォーム２２，２２が配設され、各フォーム２０，
２２，２２が伸縮自在であると共に、両側フォーム２
２，２２が折畳み可能なものである。

【００１６】ガントリー１６上に幅方向に移動自在に両
側フォーム２２，２２を配設させてある。

【００１７】本例において、両側フォーム２２，２２の
移動手段は、油圧ジャッキ２４，２４を介して、ガント
リー１８上に幅方向に摺動可能に配設された両側フォー
ム２２，２２を、それぞれ個別に移動させることによ
り、構成されている。

【００１８】両側フォーム２２，２２の上部に、天端フ
ォーム２０を、両側フォーム２２，２２に対して移動自
在に配設させてある。

【００１９】本例において、天端フォーム２０の移動手
段は、油圧ジャッキ２６，２６を介して、両側フォーム
２２，２２上に幅方向に摺動可能に配設された天端フォ
ーム２０を、移動させることにより、構成されている。

【００２０】なお、図中２８はガントリー用伸縮ジャッ
キ、３０は側フォーム用伸縮ジャッキ、３２は既一次覆
工用コンクリート打設面を示す。

【００２１】本装置を使用して直線部におけるトンネル
１４内に二次覆工用コンクリート１６を打設する方法を
以下に詳述する。

【００２２】まず、型枠１２をトンネル１４の所定位置
まで移動させる。

【００２３】この際、型枠１２のトンネル掘削側と反対
側は、既二次覆工用コンクリート打設部（図示略）と重
合させておく必要がある。

【００２４】次に、型枠１２のトンネル掘削側周縁を確
実に被覆（妻止め）する。

【００２５】次に、既一次覆工用コンクリート打設面３
２と型枠１２との間に二次覆工用コンクリート１６を打
設させ、二次覆工用コンクリート１６を養生硬化させ
る。

【００２６】次に、型枠１２を脱型させる。

【００２７】前記工程により、型枠１２が設置された個
所の二次覆工用コンクリートの打設が完了する。

【００２８】本装置を使用して曲線部におけるトンネル
１４内に二次覆工用コンクリート１６を打設する方法を
以下に詳述する。

【００２９】まず、型枠１２をトンネル１４の所定位置
まで移動させ、トンネル幅に対応させて両側フォーム２
２，２２をガントリー１８の幅方向に対して拡幅させ
る。

【００３０】この際、型枠１２の左右両側と既一次覆工
用コンクリート打設面（トンネル掘削面）３２との間隔
がそれぞれ相違していても、両側フォーム２２，２２を
個別にガントリー１８の幅方向に対して移動させること
ができるため、両側フォーム２２，２２と既一次覆工用
コンクリート打設面３２との間隔をその都度修正し、既
一次覆工用コンクリート打設面３２との間隔を均一にす
ることができる。

【００３１】次に、天端フォーム２０を油圧ジャッキ２
６を介して、両側フォーム２２，２２の中央に位置修正
する。

【００３２】この作業を行うことにより、トンネル各部
において、トンネル断面、特にトンネル中央上部の形状
を均一に形成させることができる。

【００３３】また、型枠１２のトンネル掘削側と反対側
は、既二次覆工用コンクリート打設部と重合させておく
必要がある。

【００３４】その後、型枠１２のトンネル掘削側周縁の
被覆（妻止め）、二次覆工用コンクリート１６の打設、
養生硬化、型枠１２を脱型、を順次行う。

【００３５】前記工程により、型枠１２が設置された個
所の二次覆工用コンクリートの打設が完了する。

【００３６】この際、図６に符号４２で示された斜線部
の二次覆工用コンクリート１６を節減することができ
る。

【００３７】この二次覆工用コンクリートの打設を、ト
ンネル掘削側へ向けて順次型枠１２を移動させて行い、
トンネル１４の全長にわたり行う。

【００３８】なお、本例において、両側フォーム２２，
２２および天端フォーム２０の移動手段は、油圧ジャッ
キによるものであるが、他の移動手段、例えばスクリュ
ーモーターによるものでもよく、他の伸縮機構でもよ
い。

【００３９】また、天端フォーム２０は両側フォーム２
２，２２に対して移動自在であるが、固定式のものとし
ても、トンネル各部において、トンネル中央上部の形状
が不均一となるだけであり、二次覆工用コンクリートの
打設量を激減させる効果は奏する。

【００４０】また、型枠１２は伸縮、折畳み自在のもの
であるが、必ずしも、伸縮折畳み自在のものに限定され
ることはない。

【００４１】また、本例は略半円形のトンネル等のコン
クリート打設におけるものであるが、円形のトンネル、
例えば海中トンネル、下水道等にも利用できる。

【００４２】

【発明の効果】本発明に係る拡幅可能な型枠によるトン
ネル用コンクリート打設方法およびその装置によれば、
二次覆工用コンクリートを打設するための型枠の両側フ
ォームをガントリーの幅方向に移動自在させることによ
り、二次覆工用コンクリートを打設させるトンネル掘削
面と、各側フォームとの間隔をその都度調整することが
でき、側フォームの交換作業が不要となるばかりか、そ
の交換作業による工期遅延が全くなくなる。

【００４３】また、トンネル各部において、打設させる
トンネル掘削面と、各側フォームとの間隔を均一とする
ことにより、二次覆工用コンクリートの打設量を激減さ
せることができる。

【００４４】また、天端フォームを両側フォームに対し
て移動自在とすることにより、両側フォームの移動に対
応させて、天端フォームを両側フォームの中央に位置修
正することにより、トンネル断面、特にトンネル中央上
部の形状を均一に形成させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るトンネル用コンクリート打設装置
の斜視図。

【図２】同、正面図。

【図３】同、簡略正面図。

【図４】同、使用状態を示す簡略正面図。

【図５】トンネル幅を示す平面図。

【図６】トンネルの断面図。

【符号の説明】

１２ 型枠 １４ トンネル １６ 二次覆工用コンクリート １８ ガントリー ２０ 天端フォーム ２２ 側フォーム ２４ 油圧ジャッキ（両側フォーム移動用） ２６ 油圧ジャッキ（天端フォーム移動用）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北川 勉 岐阜県本巣郡真正町十四条144番地 岐阜 工業株式会社内 (72)発明者 稲川 雪久 岐阜県本巣郡真正町十四条144番地 岐阜 工業株式会社内 (72)発明者 大久保 常秀 岐阜県本巣郡真正町十四条144番地 岐阜 工業株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ガントリー(18)上に天端フォーム(20)お
   よび両側フォーム(22)を配設させてなる型枠(12)を介し
   て、トンネル(14)内に二次覆工用コンクリート(16)を打
   設する方法において、 型枠(12)のガントリー(18)上に幅方向に移動自在に両側
   フォーム(22)，(22)を配設させ、トンネル(16)の幅に対
   応させて、少なくとも一方の側フォーム(22)を移動させ
   ることにより、型枠(12)を拡幅した後、トンネル(14)内
   に二次覆工用コンクリート(16)を打設することを特徴と
   する拡幅可能な型枠によるトンネル用コンクリート打設
   方法。
2. 【請求項２】 両側フォーム(22)，(22)の上部に、天端
   フォーム(20)を、両側フォーム(22)，(22)に対して移動
   自在に配設させ、両側フォーム(22)，(22)の移動に対応
   させて、天端フォーム(20)を両側フォーム(22)，(22)の
   中央に位置修正することにより、トンネル断面を均一に
   形成させることを特徴とする請求項１記載の拡幅可能な
   型枠によるトンネル用コンクリート打設方法。
3. 【請求項３】 ガントリー(18)上に天端フォーム(20)お
   よび両側フォーム(22)，(22)を配設させてなる型枠(12)
   において、 ガントリー(18)上に両側フォーム(22)，(22)を幅方向に
   移動自在に配設させてなり、 トンネル(14)の幅に対応させて、少なくとも一方の側フ
   ォーム(22)を幅方向に移動させることにより、型枠(12)
   を拡幅した後、トンネル(14)内に二次覆工用コンクリー
   ト(16)を打設することを特徴とする拡幅可能な型枠によ
   るトンネル用コンクリート打設装置。
4. 【請求項４】 両側フォーム(22)，(22)の上部に、天端
   フォーム(20)を、両側フォーム(22)，(22)に対して移動
   自在に配設し、両側フォーム(22)，(22)の移動に対応さ
   せて、天端フォーム(20)を両側フォーム(22)，(22)の中
   央に位置修正することにより、トンネル断面を均一に形
   成させることを特徴とする請求項３記載の拡幅可能な型
   枠によるトンネル用コンクリート打設装置。