【発明の詳細な説明】
合成用の改良されたシントンと、
緩やかな条件下でのペプチド核酸の保護解除方法発明の背景
本出願は1993年12月12日提出の米国特許出願第08/172,695号の一部継続出願で
ある。
1.発明の分野
本発明はペプチド核酸(Peptide Nucleic Acid: PNA)合成に関するものであり
、特に、緩やかな条件下におけるPNA合成および保護解除に適した改良型PN
Aシントンに(synthons)に関するものである。
2.背景となる技術の説明
ペプチド核酸(PNA)は、DNA発現の配列特異的な制御と遺伝子をターゲ
ットとする医薬の調製における有望な候補となる合成ポリアミドである(欧州特
許出願第EP92/01219号および92/01220号を参照。これらの内容は参考として本明
細書の一部を成す)。
PNAはペプチドに似た主鎖を有し、この主鎖にDNAの核酸塩基が結合した
バイオポリマーハイブリッドである。特に、PNAはアミノ酸のN-(2-アミノエ
チル)-グリシンの繰り返し単位に核酸塩基のアデニン、シトシン、グアニン、チ
ミンおよびウレシルがメチレンカルボニル基を介して結合した合成ポリ
アミドである。非天然の核酸塩基、例えば偽(pusedo)イソシトシン、5-メチルシ
トシンおよび2,6-ジアミノプリン、その他無数の核酸塩基もPNAシントンに組
み込むことができる。
最も一般的には、PNAはt-Boc/ベンジル保護方法を用いて保護されたモノマ
ー(PNAシントン)から合成されている。これは伸長中のポリマーの主鎖を構
成するアミノ基をt-ブチロキシカルボニル(t-Boc)基で保護し、核酸塩基の環外
アミノ基が存在する場合にはこれをベンジルオキシカルボニル(ベンジル)基で
保護する方法である。t-Boc/ベンジル保護方法によって保護されたPNAシント
ンは現在市販されているが、上記の保護基を外すには非常に厳しい酸性条件が要
求されるため使い易いものではない。
t-Boc/ベンジル保護方法では側鎖の核酸塩基を保護しているベンジルオキシカ
ルボニル基を外すために非常に強い酸を必要とし、通常は核酸オリゴマーをフッ
化水素酸またはトリフルオロメタン硫酸に一定時間、大抵は1時間以上曝して側
鎖を保護しているベンジル基を除去する。最後の保護解除のためのこの過酷な酸
処理によってしばしば酸に弱い部分、特に核酸とPNAオリゴマーに結合してい
る可能性のある炭水化物が分解していまう。さらに、フッ化水素酸やトリフルオ
ロメタンスルホン酸等の有害な酸を使用するため、作業者の安全上の問題とオー
トメーション機器・ラインの腐食問題の点から、この方法を商業的に使用するこ
とはできない。
さらに、t-Boc/ベンジル保護方法はオルソゴナルでなくディファレンシャルな
方法である。ディファレンシャルな方法とは各保護基がほぼ同じ種類の試薬およ
び条件で除去されが、それ
ぞれの基は相対的に異なる反応速度で除去されるような基の保護システムと定義
される。例えば、t-Boc/ベンジル保護方法では各保護基とも酸に対して不安定で
あるが、効果的な除去をするにはベンジルオキシカルボニル基の方がより強い酸
を必要とする。酸に対して不安定なt-Boc 保護基を酸を用いて完全に除去した時
には、それと同時にベンジル基が一定割合で除去される危険性がある。特に、t-
Boc 保護基は合成サイクルにおいて主鎖のアミノ基から外す必要がある。それに
よって次のモノマーが主鎖のフリーのアミノ部位に結合してポリマー鎖が伸長で
きるようになる。t-Boc によってアミノ基が保護された主鎖の保護を解除するに
はトリフルオロ酢酸等の強酸を用いる必要がある。この保護解除と、それに続く
PNAまたは核酸オリゴマー構築では、核酸塩基側鎖の保護基すなわちベンジル
基が除去されることは好ましくない。しかし、トリフルオロ酢酸は強過ぎるため
側鎖のベンジル基の一部を保護解除してしまい、それによってポリマーが分岐し
、所望生成物の全収率を低下させることになる。
一方、オルソゴナルな方法では、各保護基を互いに排他的な条件で除去する。
例えば、一つの保護基は酸で除去し、別の保護基は塩基で除去する。クリステン
セン達は、強酸を用いてt-Boc アミノ主鎖保護基を除去し、続いて9-フルオレニ
ルメチロキシカルボニル(Fmoc)すなわち塩基に対して不安定な保護基を用いて再
び保護するというオルソゴナルな方法で保護されたPNAシントンを報告してい
る(Christensen 達、“Innovation and Perspectives in Solid Phase Synthesi
s and Complementary Technologies-Biological and Biomedical Applications
”
3rd SPS Oxford Symposia 1994)。この保護方法では側鎖の核酸塩基の環外アミ
ノ基が早く保護解除される可能性は無くなるが、このモノマーの調製に追加のス
テップが必要になる。さらに、側鎖保護基であるベンジルの除去には依然として
フッ化水素酸またはトリルフオロメタン硫酸等の強酸が必要である。
PNAシントン合成における現在の別の制約は側鎖の核酸塩基の保護基をいか
に形成するかにある。一般に、核酸塩基、例えばシトシン、アデニンおよびグア
ニンの環外アミノ基は活性化されたカーボネートまたはクロロホルメートとの反
応を介してカーバメートとして保護される。カーバメートを生成するこの方法に
は欠点がある。すなわち、多くのクロロホルメートは不安定であり、また、求核
性がそれ程強くない核酸塩基の環外アミノ基に対してクロロホルメートの反応性
は余り良くない。核酸塩基に対して使用される他のカーバメート生成方法にはア
シル化剤としてイミダゾライドおよびアルキルイミダゾリウム塩を使用するもの
が含まれる(Watkins 達、J.Orgl Chem.,1982 47;4471-77 と、Watkins 達、J
.Am.Chem.Soc.,1982,104:5702-08 参照)。イミダゾライドおよびアルキル
化イミダゾライドはカーバメート生成に関するいくつかの問題点を克服するよう
に思えるが、核酸塩基に対してそれらが広く使用されているという報告は聞かな
い。最近、PNAシントンの側鎖核酸塩基の環外アミノ基を保護するための保護
基として4-メトキシ- トリフェニルメチル(MMT)基が提案された(Breipohl
達、1st Australian Peptide Conference,Great Barrier Reef,Australia,Oc
tober 16-21,1994)。
報告されているグアニンPNAシントンはC6カルボニル基
の位置でベンジルエーテルとして保護されているが、環外2-アミノ基のベンジル
も保護する(欧州特許出願第92/01219号と国際特許出願PCT/US92/10921号参照)
。C6カルボニル基(エノール型)の相対的反応性と、より反応性の高い環外2-
アミノ基のことを考えると、PNA合成の際にC6カルボニル基を保護しなけれ
ばならない理由は存在せず、より反応性の高い2-アミノ基を保護する方が好まし
い。C6カルボニル基が保護されていない状態でヘテロサイクルの環外2-アミノ
基に選択的なベンジル保護(あるいはその他のカーバメート保護)を有するグア
ニジンPNAシントンを合成する方法は知られていない。
DNA合成では核酸塩基であるシトシン、アデニンおよびグアニンの環外アミ
ノ基を保護するためにベンジルオキシカルボニル基が使用されている(Watkins
達、J.Org.Chem.,(1982)47:4471-77と、Watkins 達、J.Am.Chem.Soc.,(1
982)104:5702-08 参照)。しかし、グアニンシントンの調製は困難である。その
理由はグアニンの環外2-アミノ基がベンジル基を導入するためにルーチンで使用
される試薬、例えばベンジルクロロホルメート、ベンジルオキシカルボニルイミ
ダゾールおよびベンジルオキシカルボニルイミダゾールのアシルイミダゾリウム
塩等に対して反応性がないためである。その結果、フェニル クロロチオホルメ
ートを用いた処理によってC6カルボニル基と環外2-アミノ基とを両方同時に保
護する従来とは異なるマルチステップ法が報告された。その後、付加生成物をカ
ーバメート保護されたグアニンへ変換し、C6カルボニル保護基を除去する。し
かし、この間接的方法は、元の付加生成物からカーバメート保護基を生成し、そ
の後にC6カルボニル基を保護解除
しなければならず、面倒である。
適切に保護された2-アミノ-6- クロロプリンの誘導体は6-クロロ基を求核性酸
素で置換することによってグアニン化合物に変換することができる(Robins達、
J.Am.Chem.Soc.(1965)87:4934、Reese達、Nucl.Acids Res.,(1981)9:4611
およびHodge 達、J.Org.Chem.,(1990)56:1553 参照)。実際、報告されてい
るグアニンPNAシントンの製造法で用いられている出発物質には適切に保護さ
れた2-アミノ-6- クロロプリンが含まれる(欧州特許出願第92/01219 号および
国際特許出願 PCT/US/92/10912号参照)。
PNAの発明者達は環外2-アミノ基が保護されておらず、C6カルボニル基が
ベンジルエーテルとして保護されているグアニンシントンを報告している(欧州
特許出願第92/01219 号参照)。しかし、より反応性の高い2-アミノ基が他のP
NAモノマーの活性化されたカルボン酸基(少なくとも末端において)と反応し
て合成ポリマーに分岐を生じさせる可能性があり、反対に、C6カルボニルを保
護しなかった場合に存在するエノールは、ポリマーに分岐を生じさせるほどの反
応性を持たず、従って保護の必要はない。この特定の方法はその他のPNAシン
トン合成に用いられるt-Boc/ベンジル保護方法と矛盾する。
さらに最近の特許出願では、グアニンPNAシントンは環外2-アミノ基のベン
ジル保護と、ベンジルエーテルとして保護されたC6カルボニル基との両方を有
している(国際特許出願第PCT/US 92/10921 号参照)。既に述べたように、敢え
てグアニンPNAシントンのC6カルボニル基を保護する合理性は存在しないが
、C6カルボニル基を保護することによってグアニン
複素環の環外2-アミノ基を選択的にイオン化することが可能になり、それによっ
てイオン化した2-アミノ基と一般的なベンジル保護試薬(例えばベンジルオキシ
カルボニルイミダゾール)との反応が促進される。それでも環外2-アミノ基の保
護が核酸塩基のC6カルボニル基が保護されたグアニン誘導体で起こり、生成し
たシントンは環外2-アミノ基とC6カルボニル基との双方が保護されている。従
って、環外2-アミノ基を選択的にカーバメート保護し且つC6カルボニルは保護
されないグアニンPNAシントンを、報告されているような高収率で合成する都
合の良い方法はない。
固相ペプチド合成法はPNAオリゴマーの合成に適用可能であるが、しばしば
過酷な反応条件の使用が要求される。上記のt-Boc/benzyl保護スキームでは大抵
の場合、最後の側鎖保護解除と、固体担体からのPNA分子の開放とが無水フッ
化水素酸(HF)(Sakakibara 達、Bull.Chem.Soc.Jpn.,1965,38,4921)、
ボロントリス(トリフルオロ酢酸)(Pless達、Herv.Chim.Acta,1973,46,160
9)およびトリフルオロメタンスルホン酸やメタンスルホン酸等のスルホン酸(Y
ajima達、J.Chem.,Soc.,Chem.Comm.,1974,107)を用いて行れる。この従
来の強酸(例えば無水HF)による保護解除法は非常に反応性の高いカルボカチ
オンを発生させ、このカルボカチオンがPNA鎖中の感受性残基のアルキル化ま
たはアシル化を引き起こす可能性がある。このような副反応はアニソール、フェ
ノール、ジメチルスルフィドおよびメルカプトエタノール等の捕捉剤を用いて部
分的に防止できるに過ぎない。従って、スルフィドに補助された酸分解によるS
N2の保護解除方法(Tam 達、J.Am.
Chem.Soc.,1983,105,6442 と、J.Am.Chem.Soc.,1986,108,5242)すなわ
ち有害なカルボカチオンの前駆体を除去して不活性なスルホニウム塩を生成させ
るいわゆる『ロー』法が、ペプチドおよびPNA合成で単独または『ハイ』法と
組み合わせてしばしば用いられる。それほど頻度は高くないが、特殊な場合に保
護解除および/または最終的なPNA−固体担体結合の開裂に用いられる他の方
法には、例えば塩基触媒を用いたアルコール分解(Barton達、J.Am.Chem.Soc
.,1973,95,4501)、アンモニア分解、ヒドラジン分解(Bodanszky 達、Chem.
Ind.,1964,1423)、水素分解(Jones,Tetrahedron Lett.,1977,2853 およ
びSchlatter 達、Tetrahedron Lett.,1977,2861)および光分解(Rich and Gu
rwara,J.Am.Chem.Soc.,1975,97,1575)がある。
固相ペプチド合成の合成サイクルにおいてはほとんどの操作が同一である(固
相PNA合成の場合もそうである)という認識に基づいて、多数のペプチド製造
を容易にするための新規なマトリクスPEPSが最近開発されている(Berg達、
J.Am.Chem.Soc.,1989,111.8024および国際特許公表第WO90/02749号)。こ
のマトリクスはポリエチレン(PE)フィルムとペンダントした長鎖のポリスチ
レン(PS)グラフトとで構成される(分子量は106程度)。フィルムの負荷容
量はビーズ状マトリクスと同程度であるが、PEPSは多重合成を同時に起こす
のに適したフレキシビリティを有している。
多数のペプチドの同時合成用に提案されている別の2つの方法を多数の異なる
PNA分子の製造に適合することもできる。その第1の方法(Geysen達、Proc.
Natl.Acad.Sci.USA.
1984,81,3998)では伸長中のペプチド鎖を固定し、合成を区画に分けて行うた
めに、アクリル酸をグラフトしたポリエチレンロッドと 96-マイクロタイタのウ
ェルとを使用する。この方法は非常に効果的であるが、マイクログラムスケール
でしか使用できない。第2の方法では従来から用いられているポリマービーズを
入れた『ティーバッグ』を用いる(Houghten,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1984
,82,5131)。多重ペプチドまたはPNA合成に関するその他の提案には密度の
異なる2種類の担体を同時に使用する方法(Tregear,Chemistry and Biology of
Peptides,J.Meienhofer,ed.,Ann Arbor Sci.,Publ.,Ann Arbor,1972,p
p.175-178)、マニホルドを介して反応容器を連結する方法(Gordman,Anal.Bioc
hem.,1984,136,397)、多重カラム固相合成法(例、Krchnak 達、J.Peptide P
rotein Res.,1989,33,209、Holm & Meldal,Proceedings of the 20th Europ
ean Peptide Symposium,G.Jung and E.Bayer,eds,Walter de Gruyter & Co
.,Berlin,1989,pp208-210)やセルロースペーパーの使用(Eichler 達、Collec
t.Crzch.Chem.Commun.,1989,54,1746)がある。
固相PNA合成では架橋スチレン/ジビニルベンゼン共重合体マトリクスと、
PEPS担体が好ましいとされている。適当な固体担体の非限定的な例としては
次のものを挙げることができ、これらはPNA合成にも適している:
(1) 既知量のN-t-ブトキシカルボニル−β−アラニルN'- アクリロイルヘキサメ
チレンジアミンを含む、N,N'−ビスアクリロイルエチレンジアミンと架橋したジ
メチルアクリルアミド共重合体をベースにした粒子。通常はβアラニル基を
介して数種類のスペーサー分子が付き、それにアミノ酸残基サブユニットが続く
。さらに、樹脂ビーズを製造するための重合中にβアラニルを含有するモノマー
をアクリロイルサルコシンモノマーで置換できる。重合後、ビーズをエチレンジ
アミンと反応させて、共有結合した官能基として第1級アミンを含む樹脂の粒子
を製造する。ポリアクリルアミドベースの担体は、ポリスチレンベースの担体に
比べて相対的に親水性が高く、通常、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミ
ド、N-メチルピロリドン等の極性非プロトン性溶媒と一緒に使用される(Atbert
on達、J.Am.Chem.Soc.,1975,97,6584,Bioorg.Chem.1979,8,351 と、J.
C.S.Perkin I 538(1981)参照)。
(2) シリカ含有粒子、例えば多孔性ガラスビーズおよびシリカゲル等をベースと
する第2の固体担体群。その1つの例としてはウォーターズアソシエイツ社(Wat
ers Associates Fremingham,MA,USA)からポラシルE(PORASILE、登録商標)
として市販のトリクロロ-[3-(4- クロロメチル)フェニル]プロピルシランと多孔
性ガラスビーズとの反応生成物を挙げることができる(Parr & Grohmann,Angew
,Chem.Internal.Ed.1972,11,314参照)。同様に1,4-ジヒドロキシメチル
ベンゼンとシリカのモノエステル(ウォーターズアソシエイツよりバイオパック
(BIOPAK、登録商標)で市販)が有効であると報告されている(Bayer & Jung,T
etrahedron Lett.,1970,4503 参照)。
(3) 3番目の有効な一般的固体担体は基本的に2成分すなわち樹脂と、使用する
有機合成反応条件でほぼ不活性な他の1
つの材料とからなる複合材とよぶことができる。この担体として好ましいものは
米国特許第5,235,028号に記載されている(この特許は参考として本明細書の一
部を成す)。その一例である複合材(Scott達、J.Chrom.Sci.,1971,9,577参
照)は反応性のクロロメチル基を含む疎水性の架橋スチレンポリマーで被覆され
たガラス粒子を用いたものでノースゲートラボラトリーズ(Northgate Laborator
ies,Inc.,Hamden,CT,USA)から供給されている。例として挙げられるもう1
つの複合材はフッ素化エチレンポリマーのコアを有し、その上にポリスチレンが
グラフトしたものである(Kent and Merrifield,Israel J.Chem.1978,17,2
43 および van Rietschoten,Peptides 1974,Y.Wolman.Ed.,Wiley and Sons
.New York,1975,pp.113-116参照)
(4) PEPS以外の連続固体担体。例えば綿シート(Lebl and Eichler,Peptid
e Res.1989,2,232)やヒドロキシプロピルアクリレートで被覆したポリプロ
ピレン膜(Daniels達、Tetrahedron Lett.,1989,4345)。
現在、PNA合成では固相法が好ましいとされているが、その他の方法および
その組み合わせ、例えば、固相法との組み合わせも適当である:
(1) PNA化合物の大量生産を考えた場合には、逐次延長法またはセグメント/
フラグメント縮合法のいずれかによる従来の溶液相のペプチド合成法が特に適し
ている(例えば、Bodanszky,Principles of Peptide Synthesis,Springer Ver
lag,Berlin-New York 1984)。
(2) 直鎖ポリスチレン(Shemyakin 達、Tetrahedron Lett.,
1966,2323)やポリエチレングリコール(PEG)(Mutter and Bayer,Angew.Ch
em.Int.Ed.Engl.,1974,13,88)等の可溶性ポリマー担体を用いるいわゆる『
液相』法は有用である。
(3) 多種多様な分子量の”多分散”ペプチドまたはPNA分子の混合物が得られ
るランダム重合(Odian,Principles of Polymerization,McGraw-Hill,New Yo
rk(1970)参考)は抗ウィルス効果のスクリーニング等の目的に特に適している。
(4) ポリマー担持アミノ酸活性エステルを用いる方法(『逆Merrifield合成』ま
たは『ポリマー試薬合成』ともよばれる)(Fridkin達、J.Am.Chem.Soc.,196
5,87,4646)では、中間生成物の単離・精製という利点が得られ、従って中間の
サイズを有し且つ必要に応じて保護されたPNA分子を合成する上で特に適当な
方法を提供する。このPNA分子はより大きなPNA分子を得るためのフラグメ
ント縮合で使用できる。
(5) PNA分子はプロテアーゼまたはその誘導体のような酵素によって新規特異
性(例えば蛋白工学等の人工的な手段によって得られたもの)と組み合わせるこ
とができ、さらに多数のPNA断片を非常に大きなPNA分子へ縮合するための
『PNAリガーゼ』の開発も考えられる。
(6) 抗体は実質的に任意の対象分子にジェルネート(gernate)できるので、レル
ナー(Tramantano)達のグループ(Science,1986,234,1566)およびシュルツ(Pol
lack)達のグループ(Science,1986,234,1570)によって同時に見出された最
近開発された触媒抗体(アブザイム)もPNA分子構築のための有力な候補と見
なされるべきである。アシルトランスファー反応を触媒するアブザイムの製造に
おいては多大な成功を収めている(Shokat達、Nature,1989,338,269およびそ
の中の参考文献参照)。
最後に、スチュワートのグループによって開発されたばかりの完全に人工的な
酵素(Haln達、Science,1990 248,1544)をPNA合成に合うように開発するこ
ともできる。天然に存在するペプチド構成アミノ酸(蛋白質を生成するアミノ酸
)が20種類であるのに対してPNA分子は大抵の場合4種類の異なるアミノ酸(
4種類の天然の核酸塩基それぞれに対して1つずつ)のみで構成されるので、一
般に適用可能な特異的カップリング反応を仲介できる酵素、リガーゼおよび触媒
抗体は『通常の』ペプチド合成よりもPNA合成でより容易に達成されるはずで
ある。結論として、特定のPNA分子合成については単一の方法が完全に好適と
いうことはなく、従って、時には複数の方法を組み合わせることによって最良の
結果が得られる。発明の要約
本発明の目的は、緩やかな条件下で除去可能な保護基を有する新規PNAシン
トンの便利且つ高収率な合成経路を提供することにある。
本発明の別の目的は、PNAまたは核酸オリゴマー合成の効率を向上させるた
めのオルソゴナルに保護されたPNAシントンを提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、市販の製品および機器、例えば
自動合成装置等に適合したPNAシントンを提供することにある。
本発明は、緩やかな条件下で除去可能な保護基を有する新規PNAシントンを
便利且つ高収率で得る方法に関するものである。一般に、PNAシントンは、カ
ーバメート保護された核酸塩基側鎖部分をアミノ保護されたアミノ酸主鎖N-(2-
アミノエチル)-グリシンとカップリングさせて合成される。PNAシントンが緩
やかな条件下で除去可能な保護基を有するために、市販の機器および製品と一緒
に用いる上で非常に有利である。
本発明の上記以外の特徴および利点は、以下の説明および図面と、請求項から
明らかとなり、本発明を実施することによって理解されよう。
本発明方法では、例えばシトシン、アデニン、グアニン、ウラシル、偽イソシ
トシン、5-メチルシトシン、2.6-ジアミノプリンおよびイノシンなどの環外アミ
ノ基を含む部分的に保護された核酸塩基化合物を求電子性を有するカルボニル同
等物と反応させる。この反応によってイソシアネートであると思われるN-置換さ
れた中間化合物が得られる。このN-置換中間化合物は単離せず、さらにアルコー
ルと反応させて、カーバメート保護された環外アミノ基を有する完全に保護され
た核酸塩基化合物を合成する。N-置換中間化合物は各種のアルコールと反応させ
ることが可能であるので、環外アミノ基をカーバメートとして保護するための非
常に用途の広い方法が提供される。最後に、完全に保護された核酸塩基化合物を
金属アルコキシドまたは金属ヒドロキシドと反応させて出発物質中すなわち部分
的に保護された核酸塩基化合物中に存在する側鎖の酢酸エステルを加水
分解する。加水分解の結果、次のアミノ酸主鎖とのカップリングに使用可能なフ
リーのカルボン酸基を有するカーバメート保護された核酸塩基側鎖部分が得られ
る。
PNAシントンは、カーバメート保護された核酸塩基側鎖部分を、アミノ保護
された主鎖に(フリーのカルボン酸または保護されたエステルとして)カップリ
ングさせることによって合成される。アミノ保護された主鎖はアミノ保護された
N-(2- アミノエチル)-グリシンの主鎖であるのが好ましい。従って、この方法に
よって核酸塩基の環外アミノ基と主鎖のアミノ基にオルソゴナルな保護、例えば
核酸塩基の環外アミノ基には酸に対して不安定なカーバメート保護を有し、主鎖
のアミノ基には塩基に対して不安定な保護を施された新規PNAシントンが得ら
れる。
その後、主鎖上にフリーのカルボン酸基を有するPNAシントンを用いてヌク
レオチドおよびペプチドモノマーとの組み合わせなどでPNA、核酸オリゴマー
および核酸ポリマー、を作製する。核酸オリゴマーの例としては(限定的にでは
なく)、PNA、DNAおよびRNA配列並びにそれらの各種組み合わせがある
。PNAシントンの化学作用が市販の合成装置に合うので、シントンは種々の長
さおよび配列を有するポリマー鎖へ容易に変換することができる。
本発明の1つの観点は、環外2-アミノ基に選択的なカーバメート保護を有する
新規グアニンPNAシントンを高収率で合成するめの便利な方法を提供すること
にある。一般に、グアニンPNAシントンは、選択的にカーバメート保護された
グアニン側鎖部分を、適切に保護されたアミノ酸の主鎖エステル、N-(2
- アミノエチル)-グリシンとカップリングさせ、続いて主鎖のエステル基を加水
分解することによって合成される。核酸塩基の環外2-アミノ基のみがベンジル保
護されているために、本発明による好ましいグアニンモノマーが選択的に保護さ
れ、従ってPNA合成において現在採用されているt-Boc/benzyl保護法と完全に
合致する。
本発明の方法では、部分的に保護された2-アミノ-6- ハロプリン化合物(例え
ば図1および2の化合物I:N9窒素原子の位置で酢酸エステル部分によってア
ルキル化されたもの)を、非求核性塩基の存在下で、ホスゲンまたはホスゲン同
等物(例えばトリホスゲンまたはジホスゲン)と反応させる。このステップによ
ってプリン中の比較的非求核性の環外アミノ基が反応性で求電子性の2-イソシア
ネート基へと変換される。中間生成物である2-イソシアナト-6- ハロプリンは単
離せず、アルコールと反応させて、カーバメート保護された環外2-アミノ基を有
する完全に保護された2-アミノ-6- クロロプリン(例えば図1の化合物IIおよび
図2の化合物VI)を合成する。このように、本出願人は、適切に保護されたアミ
ノ酸の主鎖エステルN-(2-アミノエチル)-グリシンとカップリングさせるのに好
適な選択的にカーバメート保護されたグアニン側鎖部分へと直接変換することが
可能な選択的に保護された化合物の高収率且つ便利な合成方法を明らかにするも
のである。
一般に、完全に保護された2-アミノ-6- ハロプリンは、6-ハロ基をC6カルボ
ニル基に変換すると同時にN9酢酸エステル基を加水分解することによってカー
バメート保護されたグアニン側鎖部分へと変換される。3-ヒドロキシプロピオニ
トリルの
アルコキシドを用いた処理による単一の反応で両方の変換が達成されるのが好ま
しい。つまり、完全に保護された2-アミノ-6- ハロプリンを少なくとも3当量の
3-ヒドロキシプロピオニトリルのアルコキシドで処理する。6-ハロ基をC6カル
ボニル基に変換するために2当量のアルコキシドが消費され、N9酢酸エステル
基を加水分解して選択的にカーバメート保護された所望のグアニン側鎖部分を得
るために少なくとも1当量が消費される(例えば、図1の化合物IIIおよび図2
の化合物VII)。
従って、グアニンPNAシントンの構成要素は、カーバメート保護されたグア
ニン側鎖部分を適切に保護された主鎖エステルにカップリングさせることによっ
て組み立られる。適切に保護された主鎖エステルはN1-(tert- ブチロキシカルボ
ニル)-N4-(2-アミノエチル)-グリシンエチルエステルであり、これがカーバメー
ト保護されたグアニン側鎖に連結されて、グアニンPNAシントンエステル(例
えば化合物IV)が生成する。次いで、合成されたグアニンPNAシントンエステ
ルを、主鎖エステル基を加水分解することによってフリーのカルボン酸へと変換
する。結果的にこの方法では、環外2-アミノ基に選択的カーバメート保護を有す
る一方、C6カルボニル基が保護されない状態のまま残された新規グアニンPN
Aシントンが得られる。図1ではグアニンPNAシントンは化合物Vである。
適切に保護された主鎖のエステルはN1-(9-フルオレニルメチロキシカルボニル
)-N4-(2-アミノエチル)-グリシンエチルエステルまたはメチルエステルであるの
が好ましく、これがカーバメート保護されたグアニン側鎖部分にカップリングす
る。主鎖エステル基の加水分解に続いて新規グアニンPNAシントンが
得られる。図2では好ましい主鎖を用いて合成されたPNAシントンの例は化合
物VIIIである。
別の方法として、PNAシントンは、フリーのカルボン酸の形状を有する適切
に保護された主鎖を用いて合成することができる。適切に保護された主鎖として
好ましいものはN1-(9-フルオレニルメチロキシカルボニル)-N4-(2-アミノエチル
)-グリシンであり、これをカーバメート保護されたグアニン側鎖部分とカップリ
ングさせる。この方法によって追加の加水分解ステップを必要とせずにグアニン
PNAシントンを合成することができる。
本発明はさらに下記式で表される完全に保護された2-アミノ-6- ハロプリン化
合物を対象とする:
ここで:
Xはハロゲン原子であり、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、およびヨウ
素(I)で構成される群から選択される。
R1で表される基は、メチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチ
ルシリル)-エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、アリル、1-
イソプロピルアリル、シアナミル、4-ニトロシアナミルおよび下記式で表される
ベンジル基で構成される群から選択される:
ここで、a〜eのそれぞれで表される原子または基は同一でも異なっていても
よく、独立に、F、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチ
ル、t-ブチル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、−SCH3
または−(O)SCH3から構成される群から選択され、gおよびhで表される
原子または基は同一でも異なっていてもよく、独立に、水素およびメチル基で構
成される群から選択される。
R2で表される基は、メチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチ
ルシリル)-エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、アリル、1-
イソプロピルアリル、シアナミル、4-ニトロシアナミル基、上記に定義のベンジ
ル基および下記式で表されるジフェニル基で構成される群から選択される:
ここで、A1〜A10のそれぞれで表される原子または基は、独立に、F、Cl、B
r、I、水素、メチル、エチル、メトキシおよびエトキシで構成される群から選
択され、R4で表される原子または基は、水素、メチルおよびエチル基で構成さ
れる群か
ら選択される。
もう1つの具体例では、R2は下記式で表されるチオエーテル基である:
ここで、R5で表される基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-
ブチル、t-ブチルおよび下記式で表されるフェニル基で構成される群から選択さ
れる:
ここで、i〜mのそれぞれで表される原子または基は同一であっても異なって
いてもよく、互いに独立にF、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピ
ル、t-ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、
−SCH3または−(O)SCH3で構成される群から選択される。
好ましい具体例では、XはCl、R1は、a〜eおよびg〜hが全て水素である
ベンジル基で、R2は、R5がメチル基であるチオエーテル基である。別の態様と
しては、XがCl、R1がa〜eおよびg〜hが全て水素のベンジル基、さらにR2
は、R5がi〜mがそれぞれ水素のフェニル基を表すチオエーテル基である。
本発明はさらに、下記式で表される完全に保護された2-アミ
ノ-6- ハロプリンを対象とする:
最も好ましい本発明の具体例は、下記式で表される完全に保護された2-アミノ
-6- ハロプリンである:
本発明はさらに、下記一般式で表される選択的にカーバメート保護されたグア
ニン側鎖部分を対象とする:
ここで、R2で表される基はメチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(ト
リメチルシリル)-エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、アリ
ル、1-イソプロピルアリル、シアナミル、4-ニトロシアナミル基、上記定義のベ
ンジル基および下記式で表されるジフェニル基で構成される群から選
択される:
ここで、A1〜A10のそれぞれで表される原子または基は、独立に、F、Cl、B
r、I、水素、メチル、エチル、メトキシおよびエトキシで構成される群から選
択され、R4で表される原子または基は水素、メチルおよびエチル基で構成され
る群から選択される。
もう1つの具体例では、R2は下記式で表されるチオエーテル基である:
ここで、R5で表される基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-
ブチル、t-ブチルおよび下記式で表されるフェニル基で構成される群から選択さ
れる:
ここで、i〜mのそれぞれで表される原子または基は同一であっても異なって
いてもよく、独立にF、Cl、Br、I、水素、
メチル、エチル、イソプロピル、t-ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−
NO2、−SO3H、−CN、−SCH3または−(O)SCH3で構成される群か
ら選択される。
この化合物の好ましい具体例は、R2がチオエーテル基で、R5がメチル基の場
合と、R2がチオエーテル基で、R5がi〜mがそれぞれ水素のフェニル基である
場合に得られる。
本発明はさらに、下記式で表される選択的にカーバメート保護されたグアニン
側鎖部分を対象とする:
本発明はさらに下記式で表される選択的にカーバメート保護されたグアニン側
鎖部分を対象とする:
最も好ましい本発明の具体例は、下記式で表される選択的にカーバメート保護
されたグアニン側鎖部分である:
本発明はさらに下記一般式で表されるグアニンPNAシントンエステルを対象
とする:
ここで、Pgで表される基は、アルキルオキシカルボニル基、9-フルオレニル
メチルオキシカルボニル基、1-メチル-1-(4-ビフェニル)-エチルオキシカルボニ
ル基、1-メチル-1-フェニル- エチルオキシカルボニル基、トリフェニルメチル
基、4-メトキシ- トリフェニルメチル、4,4'- ジトキシトリフェニルメチル、ア
リルオキシカルボニル基、メチルスルホニルエトキシカルボニル基およびフェニ
ルスルホニルエトキシカルボニル基で構成される群から選択される保護基である
。
R2で表される基は、メチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチ
ルシリル)-エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、アリル、1-
イソプロピルアリル、シアナミル、4-ニトロシアナミル基、上記に定義のベンジ
ル基、上記に定義のジフェニル基、および上記に定義のチオエーテル基で構成さ
れる群から選択される。R3で表される基はメチルおよびエチル基で構成される
群から選択されるアルキル基である。
本発明はさらに下記式で表されるグアニンPNAシントンエ
ステルを対象とする:
本発明の好ましい具体例は下記式で表されるグアニンPNAシントンエステル
である:
本発明さらに下記式で表されるグアニンPNAシントンを対象とする:
ここで、Pgで表される基は、アルキルオキシカルボニル基、9-フルオレニル
メチルオキシカルボニル基、1-メチル-1-(4-ビフェニル)-エチルオキシカルボニ
ル基、1-メチル-1- フェニル- エチルオキシカルボニル基、トリフェニルメチル
基、4-メト
キシ- トリフェニルメチルおよび4,4'- ジトキシトリフェニルメチルで構成され
る群から選択される保護基である。
R2で表される基は、メチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチ
ルシリル)-エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、アリル、1-
イソプロピルアリル、シアナミル、4-ニトロシアナミル基、上記に定義のベンジ
ル基、上記に定義のジフェニル基、および上記に定義のチオエーテル基で構成さ
れる群から選択される。
本発明はさらに下記式で表されるグアニンPNAシントンを対象とする:
本発明はさらに下記式で表されるグアニンPNAシントンを対象とする:
本発明の好ましい具体例は、下記式で表されるグアニンPNAシントンである
:
本発明の別の観点は、下記式で表される完全に保護された核酸塩基化合物(例
えば、図3の化合物Xおよび図4の化合物XIV)を提供することにある:
および
ここで、R1で表される基はメチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(
トリメチルシリル)-エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、
アリル、1-イソプロピルアリ
ル、シアナミル、4-ニトロシアナミル基または下記式で表される置換基を有する
あるいは有しないベンジル基である:
ここで、a〜eのそれぞれで表される原子または基は同一でも異なっていても
よく、独立に、F、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチ
ル、t-ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、
−SCH3および−(O)SCH3で構成される群から選択される。g〜hのそれ
ぞれで表される原子または基は同一でも異なっていてもよく、独立に、水素およ
びメチル基で構成される群から選択される。
R2で表される基はメチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチル
シリル)-エチル、2-(フェニルチオ)-エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチ
ル、t-ブチル、アリル、1-イソプロピルアリル、シアナミル、4-ニトロシアナミ
ル基、置換基を有するまたは有しない上記ベンジル基あるいは下記式で表される
ジフェニル基である:
ここで、A1〜A10のそれぞれで表される原子または基は、
独立に、F、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、メトキシおよびエトキシで構
成される群から選択され、R4で表される原子または基は、水素、メチルまたは
エチル基である。
R2で表される基は下記式で表されるチオエーテル基であってもよい:
R5で表される基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t
-ブチルまたは下記式で表されるフェニル基である:
ここで、i〜mのそれぞれで表される原子または基は同一であっても異なって
いてもよく、独立にF、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n-
ブチル、t-ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−C
N、−SCH3および−(O)SCH3で構成される群から選択される。
別の具体例では、R2は下記式で表されるエチル基にすることができる:
Wで表される基は電子吸引基であって、R6〜R8のそれぞれで表される原子ま
たは基は同一でも異なっていてもよく、独立に水素、メチル、エチル、n-プロピ
ル、イソプロピル、n-ブチルおよびt-ブチルで構成される群から選択される。好
ましい電子吸引基には(限定的にではなく)シアノ、アルキルスルホニル、アリ
ールスルホニル、フェニルおよび置換基を有するフェニル基、例えばp-ニトロフ
ェニル基、o-ニトロフェニル基およびp-アルキルスルホニルフェニル基などがあ
る。
好ましい化合物の具体例では、R1がメチル基で、R2がジフェニル基(A1〜
A10がそれぞれ水素である)、R4が水素であり、あるいはR1がエチル基で、R2
がジフェニル基(A1〜A10がそれぞれ水素である)、R4が水素である。それ
以外の好ましい具体例はR2がエチル基で、Wがシアノ基で、R6が水素原子で、
R7およびR8がそれぞれメチル基である場合に得られる。
本発明のさらに別の観点は、下記式で表されるカーバメート保護された核酸塩
基に対して不安定な側鎖部分(例えば図3の化合物XIおよび図4の化合物XV)を
提供することにある:
および
ここで、R2は上記定義のとおり。
好ましい化合物の具体例は、R2がジフェニル基で、A1〜A10のそれぞれとR4
が水素の場合と、R2がエチル基で、Wがシアノ基、R6が水素原子で,R7およ
びR8がそれぞれメチル基の場合に得られる。
本発明の別の観点は、下記式で表されるPNAシントン(例えば図3の化合物
XII および図4の化合物XVI)を提供することにある:
および
ここで、Pgで表される基は、アルキルオキシカルボニル基、9-フルオレニル
メチルオキシカルボニル基、1-メチル-1-(4-ビフェニル)-エチルオキシカルボニ
ル基、1-メチル-1- フェニル- エチルオキシカルボニル基、トリフェニルメチル
基、4-メトキシ- トリフェニルメチル、4,4'- ジメトキシトリフェニルメチル、
アリルオキシカルボニル、メチルスルホニルエトキシカルボニルおよびフェニル
スルホニルエトキシカルボニル基で構成される群の中から選択される保護基であ
り、
R2で表される基は上記の意味を有し、
R3で表される原子または基は水素もしくはメチルまたはエチル基等のアルキ
ル基である。
好ましい化合物の具体例は、R2がジフェニル基で、A1〜A10およびR4がそ
れぞれ水素であり、R3が水素の場合と、Pgが9-フルオレニルメチルオキシカ
ルボニル基、R2がジフェニル基で、A1〜A10およびR4がそれぞれ水素で、R3
がエチル基の場合に得られる。これら好ましい具体例はオルソゴナルに保護され
たPNAシントンの例である。
上記の説明および以下の詳細な説明は単なる例示であって、
請求項に記載の本発明を説明するためのものであるということは理解できよう。
本発明は以下の図面からさらに明確に理解されよう。これらの図面は本明細書に
含まれて、本発明の一部を成るものである。図面の簡単な説明
図1は本発明のグアニンPNAシントンの合成スキーム。
図2は本発明の好ましいグアニンPNAシントンの合成スキーム。
図3は本発明の好ましいアデニンPNAシントンの合成スキーム。
図4は本発明の好ましいシトシンPNAシントンの合成スキーム。
図5は本発明で有用な天然または非天然の核酸塩基の構造を示したチャート。
図6はPNAオリゴマー配列Fmoc-CAGGAGTCGCAT-gly-NH2のHPLCトレース
。発明の詳細な説明
本出願人は、新規PNAシントンの合成に好適な、複素環の環外アミノ基をカ
ーバメート保護した新規なN-置換核酸塩基中間体を高収率で調製する便利な方法
を開発した。
一般に、PNAシントンはカーバメート保護された核酸塩基側鎖部分をアミノ
基保護されたアミノ酸主鎖 N-(2-アミノエチル)-グリシンにカップリングさせる
ことによって合成される。本発明のPNAシントンは、緩やかな条件下で除去す
ることの
可能なカーバメート保護基を含む核酸塩基側鎖部分を用いて調製される。天然ま
たは非天然の核酸塩基をPNAシントンに組み込むことができる。本発明のPN
Aシントンは、カーバメート保護された核酸塩基とアミノ保護された主鎖のオル
ソゴナルな保護を有することができる。なお、C6カルボニル基が保護されてい
ない状態で、環外2-アミノ基に選択的にカーバメート保護を有するグアニンPN
Aシントンは報告されていない。
グアニンPNAシントン合成
本発明の1つの具体例はグアニンPNAシントンの合成方法にある(図1およ
び2参照)。ステップ1
図1を参照すると、本発明は、環外2-アミノ基に選択的なカーバメート保護を
有するグアニンPNAシントンの調製方法を含む。カーバメート保護されたグア
ニン側鎖部分を調製するための出発物質は2-アミノ-6- ハロプリンである。好ま
しい2-アミノ-6- ハロプリンは2-アミノ-6- クロロプリンである。まず最初に、
2-アミノ-6- ハロプリンをプリン環のN9窒素の位置で保護部分を用いてアルキ
ル化し、部分的に保護された2-アミノ-6- ハロプリンを合成する。
『部分的に保護された』とは、複素環のN原子を側鎖基で保護し、それによっ
てアミノ保護された主鎖とカーバメート保護された核酸塩基との間の連結が形成
される一方、環外アミノ基は保護しない状態にすることと定義される。好ましい
側鎖基は酢酸エステル部分である。
『完全に保護された』とは、求電子性のカルボニル均等物と
反応する全ての求核原子または官能基を保護することと定義される。例えば完全
に保護されたグアニン化合物は、ホスゲンまたは任意のホスゲン均等物に対して
不活性になる。
本発明の1つの具体例では、部分的に保護されたの2-アミノ-6- ハロプリン化
合物は下記式で表される:
ここで、Xで表される原子はF、Cl、BrおよびIで構成される群から選択され
るハロゲン原子であり、
R1で表されるアルキル基はメチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(ト
リメチルシリル)-エチル、2-(フェニルチオ)-エチル、プロピル、イソプロピル
、n-ブチル、t-ブチル、アリル、1-イソプロピルアリル、シアナミル、4-ニトロ
シアナミル基、および下記一般式で表されるベンジル基で構成される群から選択
される:
ここで、a〜eのそれぞれで表される原子または基は同一でも異なっていても
よく、独立に、F、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、t-ブチ
ル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、−SCH3
および
−(O)SCH3で構成される群から選択され、g〜hで表される原子または基
は同一でも異なっていてもよく、独立に、水素およびメチル基で構成される群か
ら選択される。 図1で表される最も好ましい部分的に保護された2-アミノ-6-
ハロプリンは下記式で表される:
ステップ2
化合物IIおよびVIは完全に保護された2-アミノ-6- ハロプリンの例である。図
1を参照すると、化合物Iはトリホスゲン、ジイソプロピルエチルアミン(DI
EA)およびベンジルアルコールで順次処理される。その結果、完全に保護され
た2-アミノ-6- ハロプリンが得られる(化合物II)。本発明の好ましい具体例で
は、化合物Iをトリホスゲン、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)および
ベンズヒドロールを用いて順次処理する(図2)。その結果、化合物VIで表され
る完全に保護された2-アミノ- ハロプリンが得られる。部分的に保護された2-ア
ミノ-6- ハロプリンを完全に保護された2-アミノ-6- ハロプリンへと変換するこ
とによって非求核性の環外2-アミノ基におけるカーバメート保護が実現する。つ
まり、本発明の方法では、部分的に保護された2-アミノ-6- ハロプリン化合物を
、少なく
とも2モル当量の非求核性塩基の存在下で少なくとも1モル当量のホスゲン反応
させ、それによって2-イソシアナト-6- ハロプリン化合物を合成する。非求核性
塩基の例としてはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモ
ルホリンおよびN-エチルモルホリンがある。非求核性塩基はジイソプロピルエチ
ルアミンであるのが好ましい。通常、反応は非求核性塩基と部分的に保護された
2-アミノ-6- ハロプリン化合物とを少なくとも部分的に溶解した非求核性無水溶
媒を用いて行う。適当な溶媒の例としてはジエチルエーテル、ジイソプロピルエ
ーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジク
ロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ベンゼンおよびトルエンを挙げることが
できる。好ましい溶媒はテトラヒドロフランである。
ホスゲンは、化学式COCl2で表される非常に毒性の強いガスである。ホスゲ
ンガスの取扱いおよび正確な分配に関する本質的な危険のために、数種類のホス
ゲン均等物が入手可能である。これらの均等物には液体ジホスゲンおよび固体ト
リホスゲンが含まれる。これら均等物はその場で分解して2または3当量のホス
ゲンを発生するが、気体の均等物に比べて取扱いおよび分配が容易である。従っ
て、これらの試薬は全て本発明の方法に好適なホスゲン均等物の非限定的な例で
ある。
中間体である2-イソシアナト-6- ハロプリン化合物は単離しないのが好ましい
。すなわち、この化合物は単離に必要な取扱い操作の段階で容易に加水分解され
て、元の部分的に保護された2-アミノ-6- ハロプリンに戻ってしまう。従って、
続いて中間体2-イソシアナト-6- ハロプリン化合物の2-イソシアネート
基をアルコールと反応させて、カーバメートとして保護された環外2-アミノ基を
有する完全に保護された新規2-アミノ-6- ハロプリン化合物を生成させる。
アルコールがイソシアネートと反応してカーバメートを形成することは公知で
あるが、出願人の知る限り、この化学作用がカーバメート保護されたアミノプリ
ンの合成に利用されたことはない。これはおそらく、ホスゲン(またはホスゲン
均等物)が非常に反応性の高い求電子体であるためである。さらに、プリン環の
N7窒素原子はかなり求核性である。従って、環外2-アミノ基と同様N7窒素原
子においても、かなりのホスゲンの反応が起こるものと予想される。事実、出願
人は6-アミノ-N9-エチルカルボキシメチル- プリン(N9-エチルカルボキシメチル
アデニン)がカーバメート保護されたアデニン誘導体に変換されないことを確認
した。これはホスゲンがN7窒素原子と優先的に反応するためと推定される。し
かし、N7窒素の求核性はプリン環の置換基によって変化する。本出願人は、驚
くべきことに、2-アミノ-6- クロロ-N9-アルキル化プリン化合物はホスゲンとあ
まり反応せず、従って環外2-アミノ基に選択的なカーバメート保護を有する完全
に保護された新規2-アミノ-6- ハロプリン化合物の調製が可能になるということ
を見出した。完全に保護された2-アミノ-6- ハロプリン化合物は、グアニンPN
Aモノマー合成に適したカーバメート保護されたグアニン側鎖部分を調製する上
で好ましい。
環外2-イソシアナト基と反応する適当なアルコールには(限定的にではなく)
メタノール、エタノール、2,2,2-トリクロロエタノール、2-(トリメチルシリル)
-エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、n-ブタノールおよびt-ブタノールがある。さらに、アル
コールはアリルアルコール誘導体にすることができる。アリルアルコール誘導体
はアリルアルコール、1-イソプロピルアリルアルコール、シアナミルアルコール
および4-ニトロシアナミルアルコールで構成される群から選択することができる
。アルコールはさらに、下記式で表される置換基を有するまたは有しないベンジ
ルアルコールにすることができる:
ここで、a〜eのそれぞれで表される原子または基は同一でも異なっていても
よく、独立に、F、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、t-ブチ
ル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、−SCH3
および−(O)SCH3で構成される群から選択され、g〜hで表される原子ま
たは基はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、独立に、水素およびメチル基で
構成される群から選択される。
好ましいアルコールは、下記式で表されるジフェニル基である:
ここで、A1〜A10のそれぞれで表される原子または基は、独立に、F、Cl、B
r、I、水素、メチル、エチル、メトキシおよびエトキシで構成される群から選
択され、R4で表される原子または基は、水素、メチルおよびエチル基で構成さ
れる群から選択される。
アルコールはさらに下記式で表されるチオエーテル基にすることができる:
ここで、R5で表される基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-
ブチル、t-ブチルおよび下記式で表されるフェニル基で構成される群から選択さ
れる:
ここで、i〜mのそれぞれで表される原子または基は同一であっても異なって
いてもよく、独立にF、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、t-
ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3、−CN、−SCH3
および−(O)SCH3で構成される群の中から選択される。
さらに、アルコールは下記式で表されるエチル基にすることができる:
ここで、Wで表される基は電子吸引基であって、R6〜R8のそれぞれで表され
る基は同一でも異なっていてもよく、独立に、水素、メチル、エチル、n-プロピ
ル、イソプロピル、n-ブチルおよびt-ブチルで構成される群から選択される。
完全に保護された2-アミノ-6- ハロプリンは下記一般式で表される化合物であ
る:
ここで、R1およびR2は上記に定義のとおりである。図1を参照して、完全に
保護された2-アミノ-6- ハロプリンは下記式で表される:
図2を参照して、完全に保護された好ましい2-アミノ-6- ハロプリンは下記式
で表される:
本発明の合成ステップが汎用できることを示すために、所望のアルコールを単
純に置き換えることによって調製した完全に保護された2-アミノ-6- クロロプリ
ン化合物の例を数種類挙げる。表Iは、R2基のみを変えて調製した数種類の2-
アミノ-6- クロロプリンに関する回収結果をまとめたものである。表に示される
ように、アルコールの組成に関係なく収量は一貫して中程度である。
ステップ3
適切に保護された2-アミノ-6- ハロプリン化合物は、酸素求核性試薬を用いた
6-ハロ基の攻撃を含む複数の方法で保護されたグアニン化合物へ変換させること
が知られている(Hodge,達Org.Chem.(1990)56:1553-64参照)。しかし、本発明
では6-ハロ基をC6カルボニル基に変換すると同時にN9酢酸エステル基を加水
分解する方法を示す。すなわち、カーバメート保護されたグアニン側鎖部分は、
完全に保護された2-アミノ-6- ハロプリン化合物から6-ハロ基をC6カルボニル
基へ変換し、同時にN9酢酸エステル基を加水分解する方法で調製される。
驚くべきことに、3-ヒドロキシプロピオニトリルのアルコキシドは、6-ハロ基
のC6カルボニル基への変換およびN9酢酸エステル基の加水分解の両方を行う
ことができる。従って、カーバメート保護されたグアニン側鎖部分は、完全に保
護された2-アミノ-6- ハロプリンから単一の反応によって直接かつ簡単に生成さ
れる。図1に示した具体例を参照すると、1,2-(N-[ベンジルオキシカルボニル])
-アミノ-6- クロロ- N9(ベンジルカルボキシメチル)-プリン(化合物II)は2-(N
- ベンジルオキシカルボニル])- N9-(カルボキシメチル)-グアニン(化合物III)
へ直接変換される。この方法では少なくとも3当量の3-ヒドロキシプロピオニト
リルのアルコキシドを化合物IIと反応させる。6-アミノ基をC6カルボニル基に
変換するのに2当量が使用され、同時に少なくとも1当量がN9酢酸基を加水分解
するために使用される。従って、好ましいカーバメート保護されたグアニン側鎖
部分、化合物IIIは高い収率で調製される。
図2に示す好ましい具体例では、同じ合成プロセスを用いて
2-(N-[ベンズヒドロールオキシカルボニル])- アミノ-6- クロロ- N9(ベンジル
カルボキシメチル)-プリン(化合物VI)が2-(N-[ベンズヒドロールオキシカル
ボニル])- N9-(カルボキシメチル)-グアニン(化合物VII)へと変換される。
本発明方法では非求核性無水溶媒中で3-ヒドロキシプロピロニトリルを金属水
素化物で処理することによって完全に保護された2-アミノ-6- ハロプリン1当量
あたり少なくとも3当量の3-ヒドロキシプロピオニトリルのアルコキシドが調製
される。使用可能な金属水素化物は(限定的にでなく)、水素化リチウム、水素
化ナトリウム、水素化カリウムおよび水素化セシウムなどである。適当な非求核
性溶媒は上記に記載した。金属水素化物は水素化ナトリウムで、溶媒はテトラヒ
ドロフランにするのが好ましい。
完全に保護された2-アミノ-6- ハロプリン化合物を、アルコキシドの調製溶液
に添加する。この反応段階のメカニズムは本発明の理解に必要なものではないが
、次のように理解されている。まず最初に、1当量のアルコキシドが6-ハロ原子
を置換して6-シアノエトキシエーテルを生じる。その後、さらに1当量のアルコ
キシドによって2-シアノエーテルエーテル基からプロトンが引き出されてβ脱離
反応が起こり、それによってC6カルボニル基と1当量のアクリロニトリルと1
当量の3-ヒドロキシプロピオニトリルとが生成する。このように、6−ハロ基を
C6カルボニル基に変換するために3-ヒドロキシプロピオニトリルのアルコキシ
ド2当量が消費される。
同時に行われる完全に保護された2-アミノ-6- ハロプリンのN9酢酸エステル基
の加水分解にも、3-ヒドロキシプロピオニト
リルのアルコキシドとの反応が関与する。このプロセスでは、3-ヒドロキシプロ
ピオニトリルのアルコキシド1当量がN9酢酸エステル基と反応してオリジナルの
アルコールを置換させ、それによって2-シアノエチルエステルと置換されたアル
コールの金属アルコキシドが生成する。その後さらに1当量のアルコキシドを添
加することによって2-シアノエチルエステル基からプロトンが引き出されてβ脱
離反応が起こり、それによって主鎖カルボン酸基の金属塩と1当量のアクリロニ
トリルと1当量のアルコールが生成する。シアノエチルエステルからプロトンを
引き出すために用いられるアルコキシドは、置換されたアルコールのアルコキシ
ドか、3-ヒドロキシプロピオニトリルのアルコキシドが過剰量使用される場合に
は3-ヒドロキシプロピオニトリルのアルコキシド分子にすることができる。N9酢
酸エステル基を加水分解するのに必要な3-ヒドロキシプロピオニトリルのアルコ
キシドは1当量である。過剰量の3-ヒドロキシプロピオニトリルを使用するのが
好ましい。
従って、完全に保護された2-アミノ-6- ハロプリンを3当量のアルコキシドと
反応させて得られる生成物は、選択的にカーバメート保護されたグアニン側鎖部
分の金属塩;2当量のアクリロニトリル;1当量の3-ヒドロキシプロピオニトリ
ル;および1当量のアルコール(3-ヒドロキシプロピオニトリルであってもそ
うでなくてもよい)である。その後、選択的にカーバメート保護されたグアニン
側鎖部分の金属塩を、少なくとも2当量の酸と反応させて中和する。中和反応に
は、プリン複素環のN1窒素のプロトン付加と主鎖カルボン酸基の金属塩のプロ
トン付加の両方が含まれる。酸は有機酸でも無機酸であってもよ
く、pKa値が約2以下である。それによってプリン複素環のN1窒素のプロトン
付加と主鎖カルボン酸基のプロトン付加の両方が可能になる。
本発明の1つの具体例では、カーバメート保護されたグアニン側鎖部分は下記
式で表される:
ここで、R2は上記に定義のとおりである。
図1を参照すると、カーバメート保護されたグアニン側鎖部分は下記式で表さ
れる:
別の選択的にカーバメート保護されたグアニン側鎖部分は下記式で表される:
別の選択的にカーバメート保護されたグアニン側鎖部分は下記式で表される:
別の選択的にカーバメート保護されたグアニン側鎖部分は下記式で表される:
選択的にカーバメート保護された好ましいグアニン側鎖部分は下記式で表され
る:
この合成ステップに汎用性があることを示すために、選択的にカーバメート保
護されたグアニン側鎖部分を複数調製した。表Iは、アルキル基R2のみを変え
て調製した数種類の選択的にカーバメート保護されたグアニン側鎖部分に関する
回収結果
をまとめたものである。表に示されるように、収率は非常に高く、アルキル基R2
の組成によってそれほど変化しない。
図1または2を参照すると、グアニンPNAシントンの調製における最終段階
では、カーバメート保護されたグアニン側鎖部分(化合物IIIまたはVII)を適切
に保護されたアミノ酸の主鎖エステルN-(2- アミノエチル)-グリシンと反応させ
、その後に主鎖のエステル基を分解する。この段階では、まず第1にグアニンP
NAシントンエステル(例えば化合物IV)が生成し、第2にグアニンPNAシン
トン(例えば化合物V)が生成する。あるいは図2に示すように、グアニンPN
Aシントンは、カーバメート保護されたグアニン側鎖部分(化合物VII)をフリ
ーのカルボン酸基を有する適切に保護されたアミノ主鎖にカップリングさせるこ
とによって調製することができる。この方法で行われるカップリングによって追
加の加水分解段階を必要とせずに直接グアニンPNAシントン(化合物8)が生
成する。ステップ4
選択的にカーバメート保護されたグアニン側鎖部分(例えば化合物IIIおよびV
II)の適切に保護されたアミノ酸N-(2- アミノエチル)-グリシンの主鎖エステル
へのカップリングは下記のステップを含む。すなわち、まず最初に立体障害を有
する酸塩化物の存在下に非求核性塩基で処理することによってカーバメート保護
されたグアニン側鎖部分のカルボン酸官能基の混合無水物を作る。次に、調製し
た混合無水物を適切に保護されたアミノ酸N-(2- アミノエチル)-グリシンの主鎖
エステルと反応させてグアニンPNAシントンエステルを合成する。
選択的にカーバメート保護されたグアニン側鎖部分の混合無水物を作るために
使用される非求核性塩基は上記に挙げた任意の非求核性塩基にすることができる
。塩基はN-メチルモルホリンにするのが好ましい。立体障害を有する酸塩化物は
イソブチリルクロライド、トリメチルアセチルクロライド(ピバロイルクロライ
ド)およびアダマンタンカルボキシクロライドで構成される群の中から選択する
のが好ましい。最も好ましい酸塩化物はトリメチルアセチルクロライド(ピバロ
イルクロライドである)。
適切に保護されたアミノ酸N-(2-アミノエチル)-グリシンの主鎖エステルは下
記一般式で表される:
ここで、Pgで表される保護基は、アルキルオキシカルボニル基、9-フルオレ
ニルメチルオキシカルボニル基、メチル-1-(4-ビフェニル)-エチルオキシカルボ
ニル基、1-メチル-1- フェニル- エチルオキシカルボニル基、トリフェニルメチ
ル基、4-メトキシ- トリフェニルメチルおよび4,4'- ジメトキシトリフェニルメ
チル基で構成される群の中から選択可能な保護基である。R3で表されるアルキ
ル基はメチルおよびエチル基で構成される群の中から選択することができる。
図1を参照すると、保護基(Pg)はtert- ブチロキシカルボニル(t-Boc)で
あり、アルキル基(R3)はエチル基である。従って、PNAシントンエステル
は下記式で表される:
ここで、R2は上記に定義のとおりである。
別の具体例では、グアニンPNAシントンエステルは下記式で表される:
あるいは、アミノ保護されたアミノ酸主鎖N-(2- アミノエチル)-グリシンは下
記式で表すことができる:
ここで、Pgで表される基は上記に定義のとおりである。
好ましい主鎖保護基(Pg)は9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)
である。従って、好ましいアミノ保護された主鎖は下記式で表される:
Fmoc保護基は塩基に対して不安定な保護基としてペプチド合成で周知のもので
ある。本発明の方法では、グアニンの環外アミノ基が酸に対して不安定なカーバ
メートとして保護されるので、好ましいFmocによってアミノ保護された主鎖をグ
アニン側鎖部分にカップリングさせることによって、オルソゴナルに保護された
グアニンPNAシントンが得られる。
オルソゴナルは、個々の種類の保護基がそれ以外の種類の保護基に対して相互
に排他的な条件で除去される保護システムとして定義される。個々の種類の保護
基を除去するための方法としては、以下に限定されるものではないが、酸加水分
解、塩基加水分解、光開裂および水素添加などがある。従って、アミノ酸主鎖保
護基を適切に選択することにより、オルソゴナルに保護されたグアニンPNAシ
ントンを合成することができる。
混合無水物の調製について上記に述べたものと類似の方法に従って、アミノ保
護された主鎖を混合無水物の冷却溶液に添加する。必要な時間だけ反応を行って
カップリングさせて、グアニンPNAシントンを生成させる。グアニンPNAシ
ントンは下記式で表される:
ここで、PgおよびR2で表される基は上記のものと同じである。保護基(P
g)は9-フルオレニルメチロキシカルボニル
基で、R2基はジフェニル基(A1〜A10がそれぞれ水素原子でR4が水素原子)
であるのが好ましい。好ましいグアニンPNAシントン(図2の化合物VIII)は
下記式で表される:
ステップ5
必要ならば、グアニンPNAシントンエステルの主鎖エステル基を加水分解し
てグアニンPNAシントンを得る。主鎖エステル基の加水分解には以下のステッ
プが含まれる。すなわち、まず第1にグアニンPNAシントンエステルの主鎖エ
ステル基を塩基と反応させてカルボン酸塩を生成させ、次いでカルボン酸塩を酸
を用いて中和する。塩基は水酸イオンがエステルのアルコールを置換可能にする
ような強度のものでなければならない。塩基は無機塩基、例えば水酸化リチウム
、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等が好ましい。主鎖エステル基の加水
分解は約−5℃〜約50℃で起こるが、好ましくは室温で行う。加水分解の溶媒は
、約10〜90体積%の割合で水を含む一種または複数の溶媒と水との混合物にする
。好適な有機溶媒には(限定的にでなく)、メタノール、エタノール、イソプロ
パノールおよびアセトニトリルが含まれる。カルボン酸基の塩を中和す
るのに用いる酸は、有機または無機酸にすることができ、好ましくはpKa が約2
以下であってカルボン酸基のプロトン付加を可能にする。
本発明の1つの具体例では、グアニンPNAシントンは下記式で表される化合
物である:
ここで、PgおよびR2で表される基は上記に定義のとおりである。図1を参
照すると、グアニンPNAシントンは下記式で表される化合物である:
好ましい具体例では、グアニンPNAシントンは下記式で表される:
アデニンおよびシトシンPNAシントンの合成
さらに別の具体例によれば、本発明はアデニンPNAシントン(図3参照)お
よびシトシンPNAシントン(図4参照)の合成方法にある。ステップ1
カーバメート保護された核酸塩基側鎖部分を調製するための出発物質は、酢酸
エステル置換基を有する部分的に保護された核酸塩基化合物である。部分的に保
護されたアデニン化合物は下記式で表される:
部分的に保護されたシトシン化合物は下記式で表される:
ここで、R1で表される原子または基は、メチル、エチル、2,2,2-トリクロロ
エチル、2-(トリメチルシリル)-エチル、2-(フェニルチオ)-エチル、プロピル、
イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、アリル、1-イソプロピルアリル、シアナミ
ル、4-ニトロシアナミル基および下記一般式で表される置換基を有するまたは有
しないベンジル基である:
ここで、a〜eのそれぞれで表される原子または基は、同一でも異なっていて
もよく、独立にF、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチ
ル、t-ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、
−SCH3および−(O)SCH3で構成される群から選択され、g〜hで表され
る原子または基は同一でも異なっていてもよく、独立に、水素およびメチル基で
構成される群から選択される。
図3を参照して、部分的に保護された好ましいアデニン化合物は下記式で表さ
れる:
図4を参照すると、部分的に保護された好ましいシトシン化合物は下記式で表
される:
一般に、部分的に保護された核酸塩基化合物は、求電子カルボニル均等物およ
びアルコールを用いた一連の反応を行った後に極性溶媒で急冷することによって
完全に保護された核酸塩基化合物に変換される。すなわち、本発明方法では、部
分的に保護された核酸塩基化合物を少なくとも1モル当量のカルボニルジイミジ
ゾールと反応させてN-置換された中間化合物を生成させる。N-置換された中間化
合物の生成を促進するために加熱が必要になる場合もある。この中間化合物は環
外アミノ基の位置に形成されたイソシアネート誘導体である。反応の進行を追跡
するために薄層クロマトグラフィー(tlc)を使用することができる。反応は通常
、部分的に保護された核酸塩基化合物を少なくとも部分的に溶解した非求核性の
無水溶媒中で行われる。好適な溶媒の例としては(限定的にでなく)、ジエチル
エーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、テト
ラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホフム
、四塩化炭素、ベンゼンおよびトルエンなどが挙げられる。好ましい溶媒はジメ
チルホルムアミドである。
ホスゲンは求電子性のカルボニル均等物であるが、部分的に保護されたアデニ
ン化合物を対応する完全に保護された核酸塩基化合物へと変換するには適当でな
いことが分かっている。ア
デニンの場合、ホスゲンは、グアニンに関する部分で既に述べたようにN7複素
環窒素原子と反応するものと思われる。しかし、カボニルジイミダゾールは、部
分的に保護されたアデニン化合物と部分的に保護されたシトシン化合物の環外ア
ミノ基の位置でのみ選択的に反応するための適切な電子親和性を有することが分
かっている。さらに、類似の電子親和性を有する他の求電子カルボニル均等物を
この変換に利用することができる。
N-置換された中間化合物は、容易に加水分解されて元の部分的に保護された核
酸塩基化合物に戻ってしまうため、単離しない。従って、N-置換された中間化合
物をその場でアルコールと反応させて完全に保護された核酸塩基化合物を生成さ
せる。アルコールがイソシアネート化合物と反応してカーバメートを生じること
は公知であるが、この化学作用がカーバメート保護された核酸塩基化合物の合成
にこれまで利用されたことはない。
このカーバメート生成法によって各種のアルコールを使用することが可能になり
、用途の広い合成方法が提供されることは有利である。種々のアルコールを反応
させることによって緩やかな条件で除去可能なカーバメート基の生成が可能にな
る。例えば好ましい具体例では、アルコールはベンズヒドロールであって、これ
はN-置換された中間体と反応して保護基ベンズヒドロキシカルボニル(Bhoc)を生
成する。ベンズヒドロールは、酸に対してかなり不安定なカーバメート保護基を
生成するという理由によって選択された(Seiber達、Helvetica Chemica Acta 1
968.51:641-622参照)。この保護基の不安定性はトリフルオロ酢酸中で迅速且
つ効率的に除去されることによって示され、反応の半減期は1分以下である。従
って、アルコールは緩やか
な条件で開裂する所望のカーバメート保護基が得られるようにその化学特性およ
び置換基を種々選択することができる。
N-置換された中間化合物と反応するのに適したアルコールには(限定的にでな
く)、メタノール、エタノール、2,2,2-トリクロロエタノール、2-(トリメチル
シリル)-エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノールおよび
t-ブタノールなどが含まれる。アルコールはアリルアルコールまたはアリルアル
コール誘導体、例えば1-イソプロピルアリルアルコール、シアナミルアルコール
または4-ニトロシアナミルアルコールにすることもできる。さらに、アルコール
は下記式で表される置換基を有するまたは有しないベンジルアルコールであって
もよい:
ここで、a〜eのそれぞれで表される原子または基は同一でも異なっていても
よく、独立に、F、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、t-ブチ
ル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、−SCH3
および−(O)SCH3で構成される群から選択される。g〜hで表される原子
または基は同一でも異なっていてもよく、独立に、水素およびメチル基で構成さ
れる群から選択される。
アルコールは下記式で表されるジフェニル基であるのが好ましい:
ここで、A1〜A10のそれぞれで表される原子または基は、独立に、F、Cl、B
r、I、水素、メチル、エチル、メトキシおよびエトキシで構成される群から選
択され、R4で表される原子または基は、水素、メチルおよびエチル基で構成さ
れる群から選択される。最も好ましいアルコールはA1〜A10が水素でR4が水素
のジフェニル基である。
アルコールはさらに下記式で表されるチオエーテル基にすることができる:
ここで、R5で表される基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-
ブチル、t-ブチルおよび下記式で表されるフェニル基で構成される群から選択さ
れる:
ここで、i〜mのそれぞれで表される原子または基は同一であっても異なって
いてもよく、独立にF、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、t-
ブチル、フェニル、メトキ
シ、エトキシ、−NO2、−SO3H 、−CN、−SCH3および−(O)SC
H3で構成される群から選択される。
さらに、アルコールは下記式で表されるエチル基にすることができる:
ここで、Wで表される基は電子吸引基であり、R6〜R8のそれぞれで表される
基は同一でも異なっていてもよく、独立に水素、メチル、エチル、n-プロピル、
イソプロピル、n-ブチルおよびt-ブチルで構成される群から選択される。好まし
い電子吸引基には、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、
フェニル基および置換基を有するフェニル基、例えばp-ニトロフェニル基、o-ニ
トロフェニル基およびp-アルキルスルホニルフェニル基などが含まれる。
部分的に保護された核酸塩基から完全に保護された核酸塩基化合物への変換に
必要な時間が経過した後(その間熱を加えてもよい)、極性溶媒を用いて反応物
を急冷する。極性溶媒の非限定的な例には水、メタノールおよびエタノールなど
がある。完全に保護されたアデニン化合物の場合、好ましい急冷用溶媒は水であ
る。完全に保護されたシトシン化合物の場合、急冷用溶媒としてはメタノールが
好ましい。
従って、完全に保護されたアデニン化合物は下記式で表される:
完全に保護されたシトシン化合物は下記式で表される:
ここで、R1で表される基は上記に定義のものであり、R2で表される基はメチ
ル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチルシリル)-エチル、プロピ
ル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、アリル、1-イソプロピルアリル、シア
ナミル、4-ニトロシアナミル基、上記した置換基を有するベンジル、および下記
一般式で表される置換基を有するまたは有しないジフェニル基である:
ここで、A1〜A10のそれぞれで表される原子または基は、独立に、F、Cl、B
r、I、水素、メチル、エチル、メトキシおよびエトキシで構成される群から選
択され、R4で表される原子または基は、水素、メチルおよびエチル基で構成さ
れる群から選択される。
R2で表される基はさらに下記式で表されるチオエーテル基にすることができ
る:
ここで、R5で表される基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-
ブチル、t-ブチルまたは下記式で表されるフェニル基である:
ここで、i〜mのそれぞれで表される原子または基は同一であっても異なって
いてもよく、独立にF、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n-
ブチル、t-ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−C
N、−SCH3および−(O)SCH3で構成される群から選択される。
もう1つの具体例では、R2は下記式で表されるエチル基にすることができる
:
ここで、Wで表される基は電子吸引基であって、R6〜R8のそれぞれで表され
る基は同一でも異なっていてもよく、独立に、水素、メチル、エチル、n-プロピ
ル、イソプロピル、n-ブチルおよびt-ブチルで構成される群から選択される。
完全に保護された好ましいアデニン化合物は下記式で表される:
完全に保護された好ましいシトシン化合物は下記式で表される:
ステップ2
次に、完全に保護された核酸塩基化合物を、酢酸エステル基を加水分解するこ
とによってカーバメート保護された核酸塩基側鎖部分へと変換する。まず初めに
完全に保護された核酸塩基化合物を適当な溶媒系に溶解する。完全に保護された
核酸塩基化合物を完全に溶解させるために加熱を要する場合もある。溶媒系の非
限定的な例としてはエタノール/アセトニトリル、メタノール/アセトニトリル
、エタノール/アセトニトリル/水、メタノール/アセトニトリル/水、エタノ
ール/メタノール/アセトニトリル、およびエタノール/メタノール/アセトニ
トリル/水を挙げることができる。溶媒系に初めから水が含まれていない場合、
完全に保護されたアデニン化合物が完全に溶解した時点で水を添加する。カーバ
メート保護されたアデニン化合物を溶解させるための好ましい溶媒系はエタノー
ル/アセトニトリルである。溶解後、水を添加する。カーバメート保護されたシ
トシン化合物の場合の溶解に適した溶媒系はエタノール/メタノール/アセトニ
トリル/水である。
完全に保護された核酸塩基化合物を含む溶液を氷浴中で、好ましくは約10℃以
下の温度まで冷却する。冷却した溶液に金属水酸化物の水溶液を添加し、温度を
上昇させる。通常、金属水酸化物は第1群遷移金属の水酸化物、例えば水酸化リ
チウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化セシウムである。完全
に保護されたアデニンおよびシトシン化合物の双方について好ましい金属水酸化
物は水酸化リチウムである。加水分解は反応の規模に応じて比較的短時間で行わ
れ、酸性水溶液を添加し、急冷する。例えば、約75mmolの酢酸メチルエステル基
を有する完全に保護されたシトシン化合物の加水分解は約6分間で行われ、その
後、反応液を急冷する。急冷段階で使用する酸は(限定的にではなく)、クエン
酸、塩酸および硫酸水素カリウムなどである。好ましくは両方の核酸塩基例につ
いてクエン酸を使用する。
加水分解溶液を酸性にした後、カーバメート保護された核酸塩基側鎖部分を回
収する。カーバメート保護されたアデニン側鎖部分は下記式で表され:
カーバメート保護されたシトシン側鎖部分は下記式で表される:
ここで、R2で表される基は上記に定義の基である。
カーバメート保護された好ましいアデニン側鎖部分は下記式で表される:
カーバメート保護された好ましいシトシン側鎖部分は下記式で表される:
ここで、Wで表される基は電子吸引基であり、R6〜R8のそれぞれで表される
基は同一でも異なっていてもよく、独立に水素、メチル、エチル、n-プロピル、
イソプロピル、n-ブチルおよびt-ブチルで構成される群から選択される。好まし
い電子吸引基には(限定的にではなく)、シアノ基、アルキルスルホニル基、ア
リールスルホニル基、フェニル基および置換基を有するフェニル基、例えばp-ニ
トロフェニル基、o-ニトロフェニル基およびp-アルキルスルホニルフェニル基な
どが含まれる。さらに好ましいカーバメート保護されたアデニンまたはシトシン
側鎖部分は、Wがシアノ基でR6が水素原子、R7とR8がそれぞれメチル基の場
合に得られる。
好ましいカーバメート保護されたアデニン側鎖部分は下記式
で表される:
好ましいカーバメート保護されたシトシン側鎖部分は下記式で表される:
ステップ3
カーバメート保護された核酸塩基側鎖部分をアミノ保護されたアミノ酸主鎖N-
(2- アミノエチル)-グリシンとカップリングさせることによってPNAシントン
を合成する。
『PNAシントン』はアミノ保護されたアミノ酸主鎖N-(2- アミノエチル)-グ
リシン(フリーカルボン酸またはエステル)に連結されたカーバメート保護され
た核酸塩基部分として定義
される。グアニンについては酸とエステルとを区別するが、アデニンおよびシト
シンPNAシントンについての酸/エステルの区別は説明を簡潔にするために省
略する。
カップリングは多くの方法で行うことができる。カーバメート保護された核酸
塩基側鎖部分のカルボン酸官能基を活性化された形、例えばエステル、酸塩化物
または混合無水物等に変換することもある。この変換を促進するために用いられ
るカップリング試薬の非限定的な例としては、カルボジイミド試薬、例えばジシ
クロヘキシルカルボジイミド(DCC)およびジイソプロピルカルボジイミド(
DIPCDI)、ホスホニウム塩、例えばベンゾトリアゾール-1- イルオキシト
リス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)お
よびウラニウム塩、例えばHBTUおよびHATUなどがある。活性化に続いて
、側鎖部分をアミノ保護された主鎖と反応させてPNAシントンを生成する。
一般に、混合無水物法は、より高価なカップリング剤を使用する方法に比べて
経済的に有利であり、好ましい方法である。混合無水物の生成に用いられる立体
障害を有する酸塩化物の例としてはイソブチルクロライド、トリメチルアセチル
クロライド(ピバロイルクロライド)およびアダマンタンカルボキシクロライド
などがある。カーバメート保護された核酸塩基側鎖部分をアミノ保護された主鎖
にカップリングさせるための最も好ましい混合無水物はトリメチルアセチルクロ
ライド(ピバロイルクロライド)である。
一般に、カーバメート保護された核酸塩基側鎖部分の混合無水物は、カーバメ
ート保護された核酸塩基側鎖部分を非求核性
塩基で処理した後に酸塩化物と反応させることによって得られる。一連の反応の
中のこの段階で有効な非求核性塩基には(限定的にではなく)、トリエチルアミ
ン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリンおよびN-エチルモルホリ
ンなどがある。好ましい非求核性塩基はN-メチルモルホリンである。特に酸塩化
物は非求核性塩基の存在下で冷却されたカーバメート保護された核酸塩基側鎖部
分の溶液に添加する。室温以下の温度、好ましくは約0℃で混合無水物の生成に
必要な時間攪拌した後、冷却した溶液に、非求核性塩基の存在下でアミノ保護さ
れた主鎖の水溶液を添加する。非求核性塩基の例は、上記に記載のものである。
アミノ保護された主鎖溶液に適した好ましい非求核性塩基はトリエチルアミンで
ある。
アミノ保護されたアミノ酸主鎖N-(2- アミノエチル)-グリシンは下記式で表さ
れる:
ここで、Pgで表される基は、アルキルオキシカルボニル基、9-フルオレニル
メチルオキシカルボニル基、メチル-1-(4-ビフェニル)-エチルオキシカルボニル
基、1-メチル-1- フェニル-エチルオキシカルボニル基、トリフェニルメチル基
、4-メトキシ- トリフェニルメチルおよび4,4'- ジメトキシトリフェニルメチル
基などの保護基である。R3で表される原子または基は、水素またはメチルおよ
びエチル基などアルキル基である。好ましい主鎖保護基Pgは9-フルオレニルメ
チルオキシカルボニル(Fmoc)であり、好ましいR3置換基は水素である。従って
、ア
ミノ保護された好ましい主鎖は下記式で表される:
Fmoc保護基はペプチド合成で広く用いられ、塩基に対して不安定な保護基であ
ることはよく知られている。本発明方法では、核酸塩基の環外アミノ基が酸に対
して不安定なカーバメートとして保護されることから、好ましいFmocによってア
ミノ保護された主鎖を核酸塩基側鎖部分にカップリングさせるとによってオルソ
ゴナルに保護されたPNAシントンが得られる。オルソゴナルは、個々の種類の
保護基がそれ以外の種類の保護基に対して相互に排他的な条件で除去される保護
システムとして定義される。個々の種類の保護基を除去するための方法としては
、以下に限定されるものではないが、酸加水分解、塩基加水分解、光開裂および
水素添加などがある。すなわち、アミノ酸主鎖保護基を適切に選択することによ
ってオルソゴナルに保護されたPNAシントンを合成することができる。
アミノ保護された主鎖を冷却された混合無水物溶液に添加した後、カップリン
グつまりPNAシントンの形成に必要な時間だけ反応させる。アデニンPNAシ
ントンは下記式で表され:
シトシンPNAシントンは下記式で表される:
ここで、PgおよびR2で表される基は上記に定義のものである。保護基(P
g)は9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基でR2基がジフェニル基(A1〜
A10がそれぞれ水素原子でR4が水素原子)であるのが好ましい。好ましいアデ
ニンPNAシントンは下記式で表される:
好ましいシトシンPNAシントンは下記式で表される:
別の方法として、PNAシントンをR3としてアルキル基を有するアミノ保護
された主鎖から合成することもできる。R3をアルキル基とした場合、アミノ保
護された主鎖はアミノ保護された主鎖エステルである。アミノ保護された主鎖エ
ステルをカーバメート保護された核酸塩基側鎖部分とカップリングさせる場合、
PNAまたは核酸ポリマー合成に適したPNAシントンを合成するには、続いて
主鎖エステル基を加水分解する必要
がある。 一般に、上記のプロセスに従ってカーバメート保護された核酸塩基部
分を非求核性塩基の存在下で立体障害を有する酸塩化物と反応させてカーバメー
ト保護された核酸塩基側鎖部分の混合無水物を作る。N-(2- アミノエチル)-グリ
シンのアミノ保護された主鎖エステルの塩を、冷却された混合無水物の溶液に添
加し、カップリングを行うのに必要な時間攪拌しながら室温に戻す。この変換に
おいて有効なN-(2- アミノエチル)-グリシンのアミノ保護された主鎖エステル塩
の例としては(限定的にではなく)、塩酸塩およびトリフルオロ酢酸塩を挙げる
ことができる。好ましい塩はトリフルオロ酢酸塩である。カンプリング反応終了
後、固体PNAシントンが沈澱してこれを回収するか、反応混合物を氷温の水に
注いでPNAシントンを沈澱させて回収する。アデニンPNAシントンは下記式
で表され:
シトシンPNAシントンは下記式で表される:
ここで、PgおよびR2で表される基は上記に定義のものと同じであり、R3で
表される基はメチル、エチルおよびアリル基である。R3がメチル基、Pgが9-
フルオレニルメチルオキシカルボニル基、さらにR2がジフェニル基(A1〜A10
がそれぞれ水素を表しR4も水素である)であるのが好ましい。好ましいアデニ
ンPNAシントンは下記式で表される:
好ましいシトシンPNAシントンは下記式で表される:
主鎖カルボン酸がエステルとして保護されたPNAシントンの合成に続いて、
オリゴマーを合成するためにエステル基を加水分解しなければならない。一般に
主鎖カルボン酸保護されたPNAシントンを冷却した水性溶媒系に懸濁し金属水
酸化物の水溶液を添加する。水性溶媒系での溶媒の非限定的な例としては水、ア
セトンおよびアセトニトリルを各種の組み合わせで使用することが挙げられる。
加水分解で有効な金属水酸化物には(限定的にではなく)、水酸化リチウム、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化セシウムなどが含まれる。好まし
い金属水酸化物は水酸化リチウムである。
加水分解反応終了後、反応物を急冷してPNAシントンを単離精製する。主鎖
アミノ保護基が塩基に対して不安定であって、塩基性条件で除去される可能性が
ある場合には、PNAシントンを単離する前に主鎖アミノ保護基の活性化された
状態のものを添加して万一除去されている任意のアミノ主鎖基を再び保護する。
例えば、アミノ主鎖保護基が塩基に対して不安定な保護基の9-フルオレニルメチ
ルオキシカルボニル基である場合、加
水分解後に、単離を行う前に9-フルオレニルメチルオキシカルボニルスクシンイ
ミドを添加することによって、所望のPNAシントンの全体収率が増加する。単
離されたアデニンPNAシントンは下記式で表され:
シトシンPNAシントンは下記式で表される:
ここで、PgおよびR2で表される基は上記に定義のものと同一である。保護
基(Pg)は9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基でR2基がジフェニル基
(A1〜A10がそれぞれ水素を表し、R4も水素である)であるのが好ましい。好
ましいアデニンPNAシントンは化合物XIV で、好ましいシトシンPNAシント
ンは化合物XIX である。
カーバメート保護された核酸塩基側鎖部分をアミノ保護され
主鎖にカップリングさせる他の方法は、上記のようなアミノ保護された主鎖のエ
ステル化でなく、アミノ保護された主鎖のカルボン酸官能基に一時的な保護を施
す方法である。一般には上記プロセスに続いて、カーバメート保護された核酸塩
基側鎖部分を非求核性塩基の存在下で立体障害を有する酸塩化物と反応させるこ
とによってカーバメート保護された核酸塩基側鎖部分の混合無水物を形成させる
。混合無水物生成後、非求核性塩基と立体障害を有するシリルクロライドとの存
在下に、アミノ保護された主鎖の溶液を冷却された混合無水物溶液に添加する。
カップリングに必要な時間反応物を攪拌した後、反応物を急冷し、乾燥してシリ
ル除去基(例えばフッ化物)を用いて処理する。シリル保護基を除去した後、所
望のPNAシントンを単離する。 アデニンPNAシントンは下記式で表され:
シトシンPNAシントンが下記式で表される:
ここで、PgおよびR2で表される基は上記に定義のものと同一である。保護
基(Pg)は9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基で、R2基がジフェニル
基(A1〜A10がそれぞれ水素を表しR4も水素である)であるのが好ましい。好
ましいアデニンPNAシントンは化合物XIV で、好ましいシトシンPNAシント
ンは化合物XIX である。
PNA合成
PNAシントンはフリーのカルボン酸として互いにカップリングし、PNAオ
リゴマー(PNA)を構成することができる。さらに、PNAシントンはその他
のペプチドモノマー、ヌクレオチドのような核酸モノマーとカップリングして各
種の『バイオ』オリゴマーまたはポリマーを形成することができる。オリゴマー
の非限定的な例としてはPNA、DNAおよびRNA配列、オリゴヌクレオチド
、ポリペプチドおよびそれらの各種組み合わせなどがある。例えば『PNA−D
NAキメラと、このキメラ合成用のPNAシントン』と題する関連特許出願(代
理人整理番号 SYP-105;米国特許出願第08/480,228号;1995年6月7日出願)に
は、PNA−DNAキメラが開示されている
(この特許の内容は全て参考として本明細書に含まれる)。このPNAシントン
の化学作用は市販の合成装置に適合するのでこのPNAシントンは容易に各種の
長さおよび配列を有するポリマー鎖へ変換することができる。
これまで化学文献に報告されているペプチド合成に関する各種の方法が一般に
PNAオリゴマー合成に適用可能である。これらの方法には(限定的にでなく)
、固相ペプチド合成および溶液合成が含まれる。例えば固相合成では、第1アミ
ノ酸のカップリングに続く次のステップで所望のPNA鎖の計画的合成を行う。
この合成には保護解除/カップリングサイクルの繰り返しが含まれる。最後に連
結されたアミノ酸の一時的な主鎖保護基、例えばFmocは、適当な処理、例えばピ
ペリジンを用いた塩基処理などによって定量的に除去され、N-末端アミノ基がフ
リーになる。
続いて、必要な次のN-保護アミノ酸を、最後に連結されたアミノ酸のN-末端に
連結する。このアミノ酸C末端と最後に連結されたアミノ酸のN-末端との連結は
、いくつかの方法で行うことができる。例えば、縮合試薬、例えばジシクロヘキ
シルカルボジイミド(DCC)(Sheehan & Hess達、J.Am.Chem.Soc.,1955,7
7,1067)およびジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(Sraantakis 達、Bioch
em.Biophys.Res.Commun.,1976,73,336)またはそれらの誘導体を用いて、新
たに連結されるアミノ酸のカルボキシル基を直接最後に連結されたアミノ酸のN-
末端と反応させるか、新たに連結されるアミノ酸を下記数種類の方法のいずれか
任意の方法で活性化したカルボキシル基を含む状態で作ることによって結合させ
ることができる:数種類の方法
とは、活性エステル誘導体、例えば2,4,5-トリクロロフェニルエステル(Pless
達、Helv Chem.Acta,1963,46,1609)、フタリミドエステル(Nafkens達、Am.
Chem.Soc.,1961,83,1263)、ペンタクロロフェニルエステル(Kuproyszewski
,Rocz.Chem.,1961,35,595)、ペンタフルオロフェニルエステル(Kovacs 達、A
m.Chem.Soc.,1963,85 183)、o-ニトロフェニルエステル(Bodanzsky,Nature
,1955,175,685)、イミダゾールエステル(Li達、J.Am Chem.Soc.,1970,92,
7608)および3-ヒドロキシ-4- オキソ-3,4- ジヒドロキナゾリン(Dhbt-OH)エステ
ル(Konig達、Chem.Ber.,1973,103,2024 と2034)を初めに生成する方法と、
対称無水物(Wieland達、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,1971,10,336)等の無水物
を最初に生成する方法である。第2級アミノ基を含むPNA分子を組み立てる場
合には、ベンゾトリアゾリルN-オキシトリスジメチルアミノホスホニウムヘキサ
フルオロホスフェート(BOP)『カストロの試薬』(例えば、Rivaille達、Te
trahedron 1980,36,3414参照)が推奨される。カルボン酸基を活性化するため
の好ましい試薬には、1-ヒドロキシ-7- アザベンゾトリアゾール(HOAT)お
よびそのホスホニウム塩およびウロニウム塩が含まれる(Carpino.,L.J.Am.Che
m.Soc.,(1993)115,4397参照)。最後に、最近報告されたアミノ酸フッ化物
に類似の活性化されたPNAモノマー(Carpino,J.Am.Chem.Soc.,1990,112,
9651)はPNA合成を含めて多いに有望である。
保護基を含む所望のRNA鎖の合成後に続くステップは、通常、PNA鎖のア
ミノ酸部分の保護解除と、合成したPNAの固体担体からの開裂である。これら
のプロセスはほぼ同時に行
われてフリーなPNA分子が所望の形状で得られる。あるいは、別々に合成した
2つのPNA鎖の縮合を行う場合には、合成開始時に、所望のPNA鎖を対応す
る固体担体から開裂させるための適切なスペーサー基を選択し(いずれペプチド
鎖も側鎖保護基を組み込まれた状態のままである)、最後に、例えば側鎖が保護
された2つのペプチド鎖をカップリングさせて長鎖のPNA鎖を合成した後に側
鎖の保護基を除去する。
以上本発明を一般的に説明したが、以下では実施例を挙げてさらに具体的な説
明を行う。これら実施例は特に記載のない限り本発明を限定するものではない。
実施例 実施例1
2-[6'- クロロ(9'-プリニル)]酢酸ベンジル(I)の合成
6-クロロ-2- アミノプリン(300 g,1.77mol ;Pharma-Waldorf GmbH,Germa
ny,P/N471720)および炭酸カリウム(366g;2.65 mol,Aldrich Chemical,Mil
waukee,WI(以下、Aldrich),P/N34,782-5)にジメチルホルムアミド(DMF,3l)を
添加し、2-アミノ-6- クロロプリンが溶解するまで溶液を温めた(84℃)。その
後、混合物を氷浴中で冷却し、2-ブロモ酢酸ベンジル(299ml,1.89モル;Aldric
h P1/N24,563-1)を1時間半かけて滴下した。混合物を0℃でさらに3時間攪拌
した後、室温で一夜攪拌した。翌日反応混合物を濾過し、濾液を7lの水と150
mlの濃塩酸(HCl)とを含む溶液に注いだ。混合物を2時間攪拌し、その後、濾
過を行って生成物を単離した。生成物を水で十分に洗浄し、固体を沸騰中のアセ
トニトリル(3l)
中に除々に添加して再結晶させた。濃い赤色の溶液を一夜放置し、翌日濾過を行
った。生成物をメタノール、続いてジエチルエーテルを用いて十分に洗浄した。
収量386 g(69%)。
1H−NMR(d6DMSO)δ=8.14(1H,s),7.4-7.3(5H,m),7.02(2H,s),5
.21(2H,s)5.08(2H,s)実施例2
(N-[ ベンジロキシカルボニル])- アミノ-6- クロロ- N9
-( ベンジルカルボキシメチル)-プリン(IIa)の合成
2-[6'-クロロ(9'-プリニル)]酢酸ベンジル(I)(292g;0.920モル)と、トリホ
スゲン(98.8 g;0.33モル;Aldrich P/N33,075-2)とをアルゴン雰囲気下で、オ
ーブンを用いて乾燥させた5l容の3つ首反応フラスコに入れ、氷浴中で氷温の
無水THF(3l)を添加した。混合物を15分間攪拌し、35分かけてジイソプロ
ピルエチルアミン(348ml; 2.0 mol; lanchaster Synthesis,Windham,NH.(以下
lanchaster)P/N4310)を滴下した。さらに20分間攪拌後、直ちにベンジルアルコ
ール(153ml;1.5 mol;Aldrich P/N 10,800-6)を添加した。混合物を室温に温め
ながら一夜攪拌した。その後、反応混合物を、6.5 lの水と80mlの濃塩酸とを含
む溶液に注いだ。混合物を室温で2時間攪拌し、減圧濾過で生成物を回収した。
固体を水で十分に洗浄し、変性エタノール(2l)を用いて再結晶させ、減圧濾
過で生成物を回収し、低温のエタノールで2回洗浄した。収量293g(70%)。
1H−NMR(d6DMSO)δ=10.86(1H,s),8.52(1H,s)7.5-7.3(10H,m),5
.22-5.20(6H,m)
実施例3
2-(N-[ ベンジルオキシカルボニル])- N9(カルボキシ
メチル)-グアニン(IIIa)の合成
アルゴン雰囲気下においた5l容の乾燥丸底フラスコに1100mlの乾燥THFを
入れ、これに水素化ナトリウム(18.0g; 0.75mol; Ardrich P/N 22,344-1)を添加
した。反応フラスコをドライアイス・アセトン浴に15〜20分浸漬した。この溶液
に、51.2ml(0.75モル)の3-ヒドロキシプロピオニトリル(Aldrich Chemical P/N
10,992-4)を15〜20分かけて滴下した。添加終了後、ドライアイス・アセトン浴
を取外し、反応物を氷浴中で温めながら2時間攪拌した。その後、2-(N-[ベンジ
ルオキシカルボニル]アミノ-6- クロロ- N9-(ベンジルカルボキシメチル)-プリ
ン(II)(67.9 g0.15モル)を乾燥固体の状態で10〜15分かけて徐々に添加した。
氷浴を取外し、さらに2時間攪拌を継続した。減圧蒸留を行って全体量を約500
mlにした。得られた混合物を4lの水と70mlの濃塩酸とを含む溶液に注いだ。混
合物を一夜攪拌し、翌日濾過を行った。固体を水で十分に洗浄した後酢酸エチル
を用いて3回洗浄した。白色固体。収量48.5g(94%)。
1H−NMR(d6DMSO)δ=11.55(1H,s),11.38(1H,s)7.95(1H,s),7.5-
7.3(5H,m),5.26(2H,s),4.89(2H,s)
実施例4
2-(N-[4-(t- ブチル)-ベンジルオキシカルボニル])- アミノ-6
- クロロ- N9(ベンジルカルボキシメチルプリン(IIb)の合成
2-[6'-クロロ(9'-プリニル)]酢酸ベンジル(I)(9.05g;30mmol)と、トリホ
スゲン(2.97 g;10mmol;Aldrich P/N33,075-2)とをアルゴン雰囲気下で、オー
ブンを用いて乾燥させた500 ml容の3つ首反応フラスコに入れ、氷浴中で氷温の
無水THF(100 ml)を添加した。混合物を15分間攪拌し、5分かけてジイソプ
ロピルエチルアミン(10.5ml;60mmol;lanchaster P/N4310)を滴下した。さらに30
分間攪拌した後、直ちに4-tert-ブチルベンジルアルコール(8ml;45 mol;Aldric
h P/N18,426-8)を添加した。混合物を室温に温めながら一夜攪拌した。その後反
応混合物を1.0 lの水と13mlの濃塩酸とを含む溶液に注いだ。混合物を室温で30
分間攪拌し、250 mlの酢酸エチルを添加して生成物を分離させた。分液し、5%
の重炭酸ナトリウム水溶液125 mlを用いて有機層を洗浄した。硫酸ナトリウムで
有機層を乾燥させ、濾過後、エバポレーションに供した。残留物を、50mlのトル
エン中で結晶化させた。減圧濾過を行って生成物を回収した。収量6.88g(45%
)。
1H−NMR(CDCl3)δ=8.04(1H,s),7.83(1H,s)7.83(1H,s),7.42-7.29(
9H,m),5.21(4H,s),5.01(2H,s),1.31(9H,s)
実施例5
2-(N-[4-(t- ブチル)-ベンジルオキシカルボニル])
- N9-( カルボキシメチルグアニン(IIIb)の合成
アルゴン雰囲気下の250 ml容の乾燥丸底フラスコに90mlの乾燥THFを入れ、
これに水素化ナトリウム(1.5g; 60mmol;Ardrich P/N 22,344-1)を添加した。
反応フラスコをドライアイス・アセトン浴に10分間浸漬した。この溶液に4.1ml(
60mmol)の3-ヒドロキシプロピオニトリル(Aldrich Chemical P/N 10,992-4)を5
〜10分かけて滴下した。添加終了後、ドライアイス・アセトン浴を取外し、反応
物を氷浴中で温めながら2時間攪拌した。その後、2-(N-[t-(ブチル)ベンジル
オキシカルボニル]アミノ-6- クロロ- N9-(ベンジルカルボキシメチル)-プリン(
IIb)(6.1g; 12mmol)を乾燥固体の状態で2〜3分かけて徐々に添加した。氷浴を
取外し、さらに1時間攪拌を継続した。200 mlの水を添加し、続いて9mlの6N
塩酸を添加した。溶液を氷浴中で30分間冷却した後、減圧濾過を行って固体を回
収した。固体を50mlのアセトニトリル中で1時間沸騰させ、その後溶液を室温に
冷却した。減圧濾過を行って生成物を回収した。収量4.13g(86%)。
1H−NMR(d5DMSO)δ=11.51(1H,s),11.38(1H,s)7.94(1H,s),7.44
-7.33(4H,dd),5.22(2H,s),4.88(2H,s)1.28(9H,s)
実施例6
2-(N-[4-( イソプロピル)-ベンジルオキシカルボニル])
- アミノ-6- クロロ- N9(ベンジルカルボキシメチル)-
プリン(IIc)の合成
2-[6'-クロロ(9'-プリニル)]酢酸ベンジル(I)(9.05g;30mmol)と、トリホス
ゲン(2.97g;10mmol;Aldrich P/N33,075-2)とをアルゴン雰囲気下で、オーブ
ンを用いて乾燥させた500 ml容の3つ首反応フラスコに入れ、氷浴中で氷温の無
水THF(100 ml)を添加した。混合物を15分間攪拌し、5〜10分かけてジイソ
プロピルエチルアミン(10.5ml; 60mmol; lanchaster P/N4310)を滴下した。さ
らに30分間攪拌後、直ちに4-tert- イソプロピルベンジルアルコール(6.9ml;45
mmol;Aldrich P/N 19,603-7)を添加した。混合物を室温に温めながら一夜攪拌し
た。その後、反応混合物を、1.0 lの水と13mlの濃塩酸とを含む溶液に注いだ。
混合物を室温で30分間攪拌し、250 mlの酢酸エチルを添加して生成物を分離させ
た。分液し、5%の重炭酸ナトリウム水溶液125 mlを用いて有機層を洗浄した。
硫酸ナトリウムで有機層を乾燥させ、濾過後、エバポレーションに供した。残留
物を、25mlのトルエン中で結晶化させた。減圧濾過を行って生成物を回収した。
収量7.50g(51%)。
1H−NMR(CDCl3)δ=8.04(1H,s),7.74(1H,s)7.35-7.20(9H,m),5.22(
4H,m),5.02(2H,s),2.96-2.84(1H,septet),1.25(6H,d)実施例7
2-(N-[4-( イソプロピル)-ベンジルオキシカルボニル])
- N9-( カルボキシメチル)- グアニン(IIIc)の合成
アルゴン雰囲気下の250 ml容の乾燥丸底フラスコに90mlの乾燥THFを入れ、
これに水素化ナトリウム(1.5g; 60mmol; Ardrich P/N 22,344-1)を添加した。
反応フラスコをドライアイス・アセトン浴に10分間浸漬した。この溶液に4.1ml(
60mmol)の3-ヒドロキシプロピオニトリル(Aldrich Chemical P/N 10,992-4)を1
〜2分かけて滴下した。添加終了後、ドライアイス・アセトン浴を取外し、反応
物を氷浴中で温めながら2時間攪拌した。その後、2-(N-[4-(イソプロピル)ベン
ジルオキシカルボニル]アミノ-6- クロロ- N9-(ベンジルカルボキシメチル)-プ
リン(IIc)(6.1g;12mmol)を乾燥固体の状態で2〜3分かけて徐々に添加した。氷
浴を取外し、さらに1時間攪拌を継続した。300mlの水を添加し、続いて11mlの
6N塩酸を添加した。溶液を氷浴中で30分間冷却し、その後減圧濾過を行って固
体を回収した。固体を50mlのアセトニトリル中で1時間沸騰させた後、溶液を室
温に冷却した。減圧濾過を行って生成物を回収した。収量4.84g(84%)。
1H−NMR(d6DMSO)δ=11.51(1H,s),11.38(1H,s)8.18(1H,s),7.38
-7.24(4H,dd),5.21(2H,s),4.87(2H,s)2.95-2.80(1H,septet),1.2(6H,d)
実施例8
2-(N-[4-( メトキシ)-ベンジルオキシカルボニル])- アミノ-6
- クロロ- N9(ベンジルカルボキシメチル)-プリン(IIc)の合
成
2-[6'-クロロ(9'-プリニル)]酢酸ベンジル(I)(20g;63mmol)とトリホスゲン(7
.46g;25 mmol ;Aldrich P/N33,075-2)とをアルゴン雰囲気下で、オーブンを
用いて乾燥させた1l容の3つ首反応フラスコに入れ、氷浴中で氷温の無水TH
F(189ml)を添加した。混合物を20分間攪拌し、5〜10分かけてジイソプロピ
ルエチルアミン(24.1ml;140mmol;lanchasterP/N4310)を滴下した。さらに30分間
攪拌後、直ちに4-メトキシベンジルアルコール(9.9ml ;79 mmol;Aldrich P/N
13,690-5)を添加した。混合物を室温に温めながら一夜攪拌した。その後、反応
混合物を200 mlの水と4.7 mlの濃塩酸とを含む溶液に注いだ。混合物を室温で2
時間攪拌し、減圧濾過を行って生成物を回収した。水を用いて生成物を十分に洗
浄し、アセトニトリル(500ml)から再結晶化させた。減圧濾過で生成物を回収し
、低温のアセトニトリルを用いて2回洗浄した。収量16.2g(55%)。
1H−NMR(CDCl3)δ=10.76(1H,s),8.5(1H,s)7.4-6.8(9H,m),5.2-5.1
(6H,m),3.75(3H,s)
実施例9
2-(N-[4-( メトキシ)-ベンジルオキシカルボニル])
- N9-( カルボキシメチル)- グアニン(IIId)の合成
アルゴン雰囲気下の1l容の乾燥丸底フラスコに200ml の乾燥THFを入れ、
これに水素化ナトリウム(3.9g; 160mmol; Ardrich P/N 22,344-1)を添加した
。反応フラスコをドライアイス・アセトン浴に15〜20分間浸漬した。この溶液に
10.95 ml(160mmol)の3-ヒドロキシプロピオニトリル(Aldrich Chem.P/N 10,992
-4)を15〜20分かけて滴下した。添加終了後、ドライアイス・アセトン浴を取外
し、反応物を氷浴中で温めながら2時間攪拌した。その後、2-(N-[4-(メトキシ-
ベンジルオキシカルボニル])アミノ-6- クロロ- N9-(ベンジルカルボキシメチ
ル)-プリン(IId)(15g;32.2mmol)を乾燥固体の状態で10〜15分かけて徐々に添加
した。氷浴を取外し、さらに2時間攪拌を継続した。減圧蒸留を行って全体量を
約70mlとした。得られた混合物を200 mlの水と21mlの濃塩酸とを含む溶液に注い
だ。混合物を一夜攪拌し、翌日濾過を行った。固体を水で十分に洗浄した後、酢
酸エチルを用いて3回洗浄した。収量9.9g(82%)。
1H−NMR(d6DMSO)δ=11.40(1H,s),7.95(1H,s)7.4-7.3(2H,d),7.
0-6.9(2H,d),5.15(2H,s),4.85(2H,s)3.8(3H,s)
実施例10
N-([2-[N- ベンジルオキシカルボニル]-グアニン-9- イル
- アセチル)-N-(2-[t-ブチルオキシカルボニル]-2-
アミノエチル)-グリシンエチルエステル(IV)の合成
136g(396 mmol)の2-(N-[ベンジルオキシカルボニル])- N9-(カルボキシメチ
ル)-グアニン(III)に、1600mlのジメチルホルムアミド(DMF)を添加した。
溶液を氷浴中で冷却しながら30分間攪拌した。トリメチルアセチルクロライド97
.6ml(792mmol)(Aldrich,P/N T7,260-5)を添加し、反応物をさらに10分間攪拌し
た。N-メチルモルホリン(218 ml;1.98モル;Fluka Chemical Ronkonkoma,NY,P
/N 67870)を20〜30分かけて滴下した後、反応物をさらに30分間攪拌した。溶液
を攪拌しながら117g(475 mmol)のN1-(tert-ブチルオキシカルボニル)-N4-(2-
アミノエチル)-グリシンエチルエステル(MilliporeCorporation,P/N GEN PNABK
B)を100 mlの乾燥DMFに溶解した溶液を添加した。室温に温めながら反応物を
一夜攪拌した。不溶のN-メチルモルホリン塩酸塩を濾別した後、ケーキをアセト
ニトリルで洗浄した。濾液に2.5 mlのメタノールを添加し、続いて濾液を完全に
蒸発乾固させて黄褐色の固体とした。固体を3lの溶媒(エタノール/アセトニ
トリル/水1:1:1)から再結晶させた。収量は178.2 g(311mmol;78%)であっ
た。第二級アミド結合を中心とした回転が制限されているために、数個のプロト
ンシグナルが2:1に分かれたが、この場合ロトマーはNMRの時間スケール上
で区別することができる。従って、主要なロトマー成分に相当する数個の信号を
mjで表し、それ以外のロトマー成分をmiで表す。
1H−NMR(DMSO)δ=11.44(1H,d),11.34(1H,s)7.80(1H,m),7.5-7.3
(5H,m),6.98(1H;mj,t),6.73(1H;mi,m),5.26(2H,s),5.09(2H;mj,s),4.92(2H
;mi,s)4.41(2H;mi,s),4.06(2H;mj,s),4.25-4.15(2H;mi,q),4.13-4.03(2H;mj,
q),3.60-2.95(4H,mm),1.35(9H,s),1.3-1.1(3H,dt)実施例11
N-([2-[N- ベンジルオキシカルボニル]-グアニン-9-
イル- アセチル]-N-(2-[t-ブチルオキシカルボニル]-
2- アミノエチル)-グリシン(V)の合成
183.3g(320mmol)のN-([2-[N-ベンジルオキシカルボニル]-グアニン-9- イル-
アセチル)-N-(2-[t-ブチルオキシカルボニル)-2-アミノエチル)-グリシンエチ
ルエステル(IV)に、960mlのエタノール(変性エタノール:VWR Scientific,P/N
VWO470)と960 mlのアセトニトリルおよび480 mlの水を添加した。固体が溶解す
るまで溶液を加熱還流させた。溶液を室温に冷却し、続いて氷/塩浴で5℃以下
まで冷却した。懸濁液を激しく攪拌しながら、低温(<5℃)の2N水酸化リチウ
ム溶液1.6l(134.3gのLiOH、VWR Scientific、P/N JTP406を水で、1.6lに稀
釈したもの)を素早く添加した。正確に5分間攪拌後、低温(<5℃)の2N塩
酸1.54lを添加して反応物を急冷した(添加後の反応物のpHは4.5、温度は約16
℃であった)。粗いフリットガラスシンターを用いて溶液を濾過し、不溶物を全
て取り除き、<10℃に冷却した。続いてこの溶液を激しく攪拌しながら160 mlの
2N塩酸水溶液を30分かけて滴下した(試験紙
によるpH=2〜3)。さらに11mlの3N塩酸水溶液を滴下してpHを1〜2(試験
紙)に調整した。その後、溶液を氷浴中で3時間以上攪拌し、減圧濾過を行って
生成物を回収した。固体を水で簡単に洗浄した。収量=173.6 g(319 mmol:99
%)
1H−NMR(d6DMSO)δ=11.5(1H,d),11.38(1H,s)7.88(1H,m),7.5-7
.3(5H,m),7.01(1H;mj,t),6.76(1H;mi,m),5.26(2H,s),5.09(2H;mj,s),4.92(
2H;mi,s)4.32(2H;mi,s),3.99(2H;mj,s),3.5-2.9(4H,mm),1.35(9H,s)実施例12
2-(N-[ ベンズヒドロールオキシカルボニル])- アミノ-6
- クロロ- N9-(ベンジルカルボキシメチル)-プリン(IIe)
の合成
62mmolの2-アミノ-6- クロロ- N9- ベンジルカルボキシメチル- プリンに新規
に蒸留した氷温のテトラヒドロフラン約190mlを添加した。氷浴中で溶液を攪拌
しながら、22.4mmolのトリホスゲンを添加した。反応物を0℃で1時間攪拌し、
その後、136 mmolのジイソプロピルエチルアミンを滴下した。0℃で30分間攪拌
後、74.4mmolのベンズヒドロールアルコールを添加した。反応物を室温に温めな
がら一夜攪拌した。翌朝エタノールを添加し、反応物を濃縮乾固させた。残留物
をジクロロメタンと10%クエン酸水溶液とで液/液分配した。分離後、5%の重
炭酸ナトリウム溶液を用いて1回洗浄した。ジクロロメタン層を乾燥させ、濾過
後、エバポレーションに供した。生成物をメタノールから再結晶化させた。収率
54%
1H−NMR(d6DMSO)δ=11.0(1H,s),8.5(1H,s),7.6-7.2(15Hm,m),
6.8(1H,s),5.15(4H,m)実施例13
2-(N-[ ベンズヒドロールオキシカルボニル])- N9 -
( カルボキシメチル)-グアニン(IIIe)の合成
365 mmolの95%水素化ナトリウムに、新規に蒸留したテトラヒドロフラン約45
0 mlを添加した。氷/アセトン浴中で溶液を20分間冷却し(−78℃)、その後、
365 mmolの3-ヒドロキシプロピオニトリルを添加した。反応物を0℃で2.5 時間
攪拌し、73mmolの2-(N-[ベンズヒドロールオキシカルボニル])- アミノ-6- クロ
ロ- N9-(ベンジルカルボキシメチル)-プリン(IIe)を添加した。反応物を室温に
温めながら一夜攪拌した。翌朝、約300 mlの溶媒を留去し、残留物を800 mlの水
を含む溶液に注いで、その後、20%のクエン酸水溶液を加えてpHを約3〜4にし
た。減圧濾過を行って生成物を回収し、メタノール中で再結晶させた。収率62%
。
1H−NMR(d6DMSO)δ=11.7(1H,s),11.2(1H,s)8.95(1H,s),7.6-7.
2(10H,m),6.85(1H,s),5.9(4H,s)
実施例14
2-(N-[2-( メチルチオ)-エチルオキシカルボニル])- アミノ-6
- クロロ- N9-(ベンジルカルボキシメチル)-プリン(IIf)の合成
50mmolの2-アミノ-6- クロロ- N9- ベンジルカルボキシメチル- プリンに新規
に蒸留した氷温のテトラヒドロフラン約200 mlを添加した。氷浴中で20分間反応
物を冷却し、その後20mmolのトリホスゲンを添加した。反応物を0℃で30分間攪
拌した後130 mmolのジイソプロピルエチルアミンを滴下した。0℃で20分間攪拌
後、70mmolの 2-(メチルチオ)-エタノールを添加した。反応物を室温に温めなが
ら一夜攪拌した。翌朝反応物を約半分の量に濃縮し、500 mlの水と30mmolの塩酸
とを含む溶液に攪拌しながら注いだ。混合物を30分間攪拌し、減圧濾過を行って
生成物を回収した。生成物をメタノールから再結晶させた。収率74%
1H−NMR(d6DMSO)δ=10.8(1H,s),8.5(1H,s),7.35(5H,m),5.22(
4H,m),4.25(2H,t),2.75(2H,t),2.15(3H,s)実施例15
2-(N-[2-( メチルチオ)-エチルオキシカルボニル)]- N9 -
( カルボキシメチル)-グアニン(IIIf)の合成
75mmol 95 %水素化ナトリウムに、新規に蒸留したテトラヒドロフラン約100
mlを添加した。氷浴中で溶液を20分間冷却した後、75mmolの3-ヒドロキシプロピ
オニトリルを添加した。反応物を0℃で2時間攪拌し、15mmolの2-(N-[2-(メチ
ルチオ)-エチルオキシカルボニル])- アミノ-6- クロロ- N9-(ベンジル
カルボキシメチル)-プリン(IIf)を添加した。反応物を室温に温めながら一夜攪
拌した。翌朝、溶媒を完全に留去し、200 mlの水と54gの塩化ナトリウムと8g
のK2S2O7とを含む溶液を添加した。溶液を15分間激しく攪拌し、濾別して固
体生成物を回収した。生成物をアセトニトリル中で沸騰させて精製した。収率:
83%
1H−NMR(d6DMSO)δ=11.52(1H,s),11.37(1H,s)7.93(1H,s),4.9(
2H,s),4.35(2H,t),2.785(2H,t),2.15(3H,s)実施例16
2-(1'- シトシル)酢酸エチル(XV)の合成
2.5 モルのシトシンに、2.5 lの乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)と2.75
モルのカリウムtert- ブトキシドを添加した。反応物が薄い黄褐色になるまで1
〜2時間約100 ℃に加熱した。その後、熱源を取り除き、溶液を氷浴中で10℃以
下に冷却した。溶液を素早く攪拌しながら、2.8 mol のブロモ酢酸エチルを(30
〜40分かけて)滴下した。添加後、反応物を室温に温めながら一夜攪拌した。翌
朝、30mlの酢酸を加えて反応物を中和した。エバポレーションを行って溶媒を除
去し、残留物を数日間高減圧下において痕跡量のDMFを除去した。残留物を再
び2.5lの水に懸濁し、3時間攪拌した。減圧濾過を行って固体生成物を回収し
、数倍量の水を用いて洗浄した。収量:342.7g(70%)。
1H−NMR(DMSO−d6)δ=7.56(d,1H),7.18(s,2H)5.68(d,1H),4.43
(s,2H),4.13(q,2H),1.19(t,3H)
実施例17
2-[N'4- ベンズヒドロールオキシカルボニル
(1'- シトシル)]酢酸エチル(XVI)の合成
1.8 モルの2-(1'-シトシル)酢酸エチルに、3.5 lのDMFと2.9 モルのカル
ボニルジイミダゾールを添加した。反応物を室温で1.5 時間攪拌した。メタノー
ルで急冷した反応物のサンプルを薄層クロマトグラフィー(tlc)分析したところ
、イソシアネートの生成が良好に進行したことが示された。この反応物に432 g
のベンズヒドロールを添加し、反応物を60℃に加熱した。約6時間温度を60℃に
保ち、その後さらに80gのベンズヒドロールを2回に分けて添加した(1時間間
隔で)。反応物を室温に冷却しながら一夜攪拌した。翌日100 mlのメタノールを
添加し、反応物を急冷した。その後、溶媒を完全に留去した。赤色オイルの残留
物を2.5 lのエタノールから再結晶させた(372.2gの粗白色結晶)。母液をエバ
ポレーションに供し、2lのメタノール/水(3:1)溶液から再結晶化させた(生
成物222g)。2つの粗生成物を合わせて、2.5 lのメタノールから再結晶させた
。収量:565g(77%)。
1H−NMR(DMSO−d6)δ=11.01(s,1H),8.02(d,1H)7.46-7.27(m,10H
),6.98(d,1H),6.79(s,1H),4.60(s,2H)4.13(q,2H),1.18(t,3H)
実施例18
2-[N'4- ベンズヒドロールオキシカルボニル
(1'- シトシル)]酢酸(XVII)の合成
75mmolのエチル2-[N'4-ベンズヒドロールオキシカルボニル(1'-シトシル)]酢
酸エチルに150 mlのアセトニトリル、150 mlのメタノールおよび75mlのエタノー
ルを添加した。この溶液を固体が全て溶解するまで加熱し、続いて氷浴中で10℃
以下まで冷却した。溶液を攪拌しながら、730 mmolの水酸化リチウムを250 mlの
水に溶解した溶液を素早く添加した。その後、反応物を正確に6分間攪拌し、36
5 mmolのクエン酸を350 mlの水に溶解した溶液を一度に添加し、急冷した。減圧
濾過を行って白色固体沈澱物を回収し、沈澱物を数倍量の水を用いて洗浄した。
収量:27.25 g白色固体(98%)。
1H−NMR(DMSO−d6)δ=8.00(d,1H),7.46-7.24(m,10H),6.93(d,1
H),6.78(s,1H),4.51(s,2H)実施例19
2-(9'- アデニル)酢酸エチル(X)の合成
オーブを用いて乾燥させた389 gのアデニンを6lのDMFに懸濁した溶液に
、40gの水素化ナトリウムを添加した。反応物を攪拌し、水素ガスの発生をモニ
タリングした。15分攪拌後さらに42gの水素化ナトリウムを添加した。1時間攪
拌後、反応物は非常に濃厚になった。さらに1.5 lのDMFを添加し、その後、
水素ガスが全て発生し終わるまでさらに3時間攪拌した。溶液を激しく攪拌しな
がら351 mlのブロモ酢酸エチルを30分かけて滴下した。反応物は氷浴を用いて20
〜30℃に維持した。
室温に温めながら反応物を一夜攪拌した。その後溶媒を留去し、3lの水を添加
した。1時間攪拌後、固体生成物を減圧濾過して回収し、数倍量の水で洗浄した
。その後生成物を2lの沸騰エタノールに懸濁し、攪拌しながら45分間還流させ
た。一夜室温に放置した後、減圧濾過を行って固体を回収し、エタノールで洗浄
した。収量:638 g(68%)。
1H−NMR(DMSO−d6)δ=8.14(s,1H),8.10(s,1H)7.22(s,2H),5.05
(s,2H),4.18(q,2H),1.22(t,3H)実施例20
2-[N'6- ベンズヒドロールオキシカルボニル(9'-
(アデニル)]酢酸エチル(XI)の合成
1.96モルの2-(9'-アデニル)酢酸エチルと2.95モルのカルボニルジイミダゾー
ルに、4lのDMFを添加した。反応物を緩やかに105 ℃まで加熱し、その後こ
の温度で2時間保持した(加熱中はまず初めに全てが溶解し、その後反応物の粘
度が上昇し、濃厚になって、最後に再び粘度が低下した)。温度を95℃に下げた
後、2.94モルのベンズヒドロールを添加した。熱を全て取り除き、反応物を一夜
攪拌した。翌日、2.5 倍量の水を添加し、反応物を20分間急速に攪拌して結晶を
析出させた。その後溶液を1時間攪拌し、減圧濾過を行って固体生成物を回収し
、数倍量の水で洗浄した。続いて回収した生成物を 1.8lの沸騰メタノールから
再結晶化させた。収量:630 g(75%)。
1H−NMR(DMSO−d6)δ=10.9(s,1H),8.6(s,1H)8.42(s,1H),7.53-
7.23(m,10H),6.81(s,1H),5.1(s,2H),4.2-4.0(q.2H),1.2-1.1(t,3H)
実施例21
2-[N'6- ベンズヒドロールオキシカルボニル(9'-
アデニル)]酢酸(XII)の合成
300 gの2-[N'6-ベンズヒドロロキシカルボニル(9'-アデニル)]酢酸エチルに
、1.5 lのエタノールおよび1.5 lのアセトニトリルを添加した。この溶液を固
体が全て溶解するまで加熱し、1lの水を添加した。続いて反応物を氷浴中で10
℃以下まで冷却した。この混合物を激しく攪拌しながら、294gの水酸化リチウ
ムを2.5 lの水に溶解して成る溶液を添加した(反応温度は20℃に上昇した)。
その後反応物を正確に6分間攪拌し(反応物は透明になり、この時点での温度は
25℃であった)、1,346 gのクエン酸を3lの水に溶解して成る溶液を一度に
添加した。10分攪拌後、種結晶を添加して生成物を析出させた。その後さらに1
lの水を添加し、氷浴中で冷却しながら反応物をさらに30分間攪拌した。その後
減圧濾過を行って生成物を回収し、水で洗浄した。収量251g(89.5%)。同一
条件で反応を繰り返した。収量:257.6g(92%)
1H−NMR(DMSO−d6)δ=11.78(s,1H),10.90(s,1H),8.60(s,1H),
8.42(s,1H),7.54-7.27(m,10H)6.81(s,1H),5.07(s,2H)
実施例22
N-[N'- フルオレニルメチルオキシカルボニル-
(2'- アミノエチル)グリシンの合成
微粉末状のN-(2'-アミノエチル)-グリシン(50g,0.423 モル)を850 mlのジ
クロロメタンおよび50mlのジメチルホルムアミド(DMF)に懸濁した溶液を攪
拌しながら、クロロトリメチルシラン(134 ml,1.05モル)を添加した。混合物
を40分間攪拌し、氷浴中で5℃まで冷却した。その後、混合物に微粉末状の9-フ
ルオレニルメチルスクシンイミジルカルボネート(134g,0.4モル)を添加し、続
いてN-メチルモルホリン(186 ml,1.68モル)を30分かけて滴下した。さらに2
時間後、100 mlのメタノールを添加した。さらに20分後、1lの酢酸エチルを添
加した。20分後、懸濁液を濾過し、回収した固体を酢酸エチルで洗浄して、減圧
下で部分的に乾燥させた。その後、固体を1.5 lの水に懸濁し、1時間高速で攪
拌した。残留する白色固体を濾過により回収し、水で洗浄して、1lのメタノー
ルに激しく攪拌しながら懸濁した。濾過を行って生成物を回収し、メタノールで
洗浄後、減圧下に乾燥させた。
収量:80.6gのN-[N- フルオレニルメチルオキシカルボニル-(2-アミノエチル)]
グリシン(53%)
1H−NMR(CDCl3w/一滴のTFA):δ=8.3(s,1H)7.9-7.2(m,8H),6.
2-6.0(m,1H),4.7(s,1H),4.3(d,1H)4.2(m,1H),3.9(m,1H),3.5(m,2H),3.3(s
,1H),3.0(m,1H),2.4(s,1H)
実施例23
N-[N'- フルオレニルメチルオキシカルボニル-(2'-
アミノエチル)グリシン塩酸塩の合成
N-[N'-フルオレニルメチルオキシカルボニル-(2'- アミノエチル)グリシン(1
2g,35.29mmol)を100 mlのメタノールに懸濁して成る溶液を冷却・攪拌しなが
ら、アルゴン雰囲気下で7.72mlのチオニルクロライドを添加した。反応物を0℃
で15分間攪拌した後、1.5 時間還流させた。減圧下に溶媒を除去し、残留物をエ
タノール/メタノール(9:1)混合物に溶解した。溶液を0℃に冷却し、1時間攪
拌した。析出した固体を濾過し、エーテルを用いて十分洗浄後、乾燥させた。12
.4g(90%)の所望の生成物を得た。
1H−NMR(DMSO- d6):δ=9.5(s,2H),7.9-7.2(m,9H),4.3(d,2H)
,4.2(m,1H),4.0(s,2H),3.7(s,3H),3.3[s.2H],3.0(t,2H)実施例24
N-[N"- フルオレニルメチルオキシカルボニル-(2"- アミノ
エチル)]-N-[2-[N'4- ベンズヒドロールオキシカルボニル
(1'- シトシル)]アセチル]グリシンまたはN-[N"-Fmoc-(2"-
アミノエチル)]-N-[2-[N'4-Bhoc(1'- シトシル)]アセチル]
グシリン(XVIII)の合成
380.2 μl(3.08mmol)のピバロイルクロライドに、アルゴン雰囲気下で1.1
g(2.94mmol)の2-(N'4-Bhoc-1-シトシル)酢酸および646.5 μl(5.88mmol)
のNMMを10mlのアセトニトリルに添加した溶液を一滴ずつ添加した。得られた
混合物を
0℃で20分間攪拌した。分離フラスコ内で1g(2.94mmol)の微粉砕した N-Fmo
c-アミノエチルグリシンを10mlのアセトニトリル/水(7:3)混合物に懸濁した。
懸濁液を激しく攪拌しながら透明な溶液が得られるまでトリエチルアミンを一滴
ずつ添加した。2つの溶液を合わせて、得られた混合物を室温で30分間攪拌した
。フラスコを氷浴中に置き、20%クエン酸を用いてpH3まで酸性化した。一夜攪
拌後、標題の化合物を濾過によって分離し、水で十分に洗浄した。減圧で乾燥し
た後、1.84g(89.3%)の白色固体を得た。
1H−NMR(DMSO- d6):δ=10.9(s,1H),7.9-7.7(m,3H),7.7(d,2H)
,7.5-7.3(m,15H),6.9(d,1H),6.8(s,1H),4.6(s,2H),4.3-4.2(m,3H),3.7(s,
2H),3.3[s.2H],3.1(m,2H)実施例25
N-[N"- フルオレニルメチルオキシカルボニル-(2"-
アミノエチル)]-N-[2-[1'-チミニル)アセチル]
グリシンまたはN-[N"-Fmoc-(2"-アミノエチル)]-
N-[2-(1'- チミニル)アセチル]グシリンの合成
190.1 μl(1.54mmol)のピバロイルクロライドに、アルゴン雰囲気下で、攪
拌しながら270 mg(1.47mmol)の2-(1'-チミニル)酢酸および323 μl(2.94mmol
)のNMMを5mlのアセトニトリルに添加した予め冷却した溶液を滴下した。得
られた混合物を0℃で25分間攪拌した。分離フラスコ中で 0.5g(1.47mmol)の
N-[N'-フルオレニルメチルオキシカルボニル-(2'-アミノエチル)]グリシンを7m
lのアセトニトリル/水(4:3)混
合物に懸濁し、完全に溶解するまでトリエチルアミンを滴下した。2つの溶液を
合わせて、得られた混合物を室温で30分間攪拌した。フラスコを氷浴中に置き、
3N塩酸を用いてpH2まで酸性化した。一夜攪拌後、所望のモノマー490 mg(65
%)を白色固体の状態で得た。
1H−NMR(DMSO- d6):δ=1.7(s,3H),3.1-3.3(m,4H),3.9(s,2H)
,4.1-4.6(m,5H),7.2-7.8(m,10H),11.2(s,1H)実施例26
N-[N"- フルオレニルメチルオキシカルボニル-(2"-アミノ
エチル)]-N-[2-[N'6-ベンズヒドロールオキシカルボニル
(9'- アデニル)]アセチル]グリシンまたはN-[N"-Fmoc-(2"-
アミノエチル)]-N-[2-[N'6-Bhoc(9'- アデニル)]アセチル]
グシリン(XII)の合成
2.32g(5.75mmol)の2-[N'6-Bhoc(9'- アデニル)]酢酸を15mlのアセトニトリ
ルに添加した溶液に、1.3 mlのN-メチルモルホリンを室温で一度に添加し、得ら
れた混合物を5分間攪拌した。混合物を0℃に冷却し、アルゴン雰囲気下でピバ
ロイルクロライド(716 μl、5.81mmol)を滴下した。反応混合物を20分間攪拌
した。分離フラスコ内で2.00g(5.88mmol)の微粉砕N-[N'-フルオレニルメチル
オキシカルボニル-(2'- アミノエチル)]グリシンを20mlのアセトニトリル/水(1
:1)混合物に懸濁した。懸濁液を激しく攪拌しながら透明な溶液が得られるまで
トリエチルアミンを一滴ずつ添加した。2つの溶液を合わせて、得られた混合物
を室温で15分間攪拌した。溶液を酢酸エチルで
稀釈し、塩水で洗浄した。酢酸エチルを用いて4回水層を抽出(バックエキスト
ラクション)した。有機層を合わせて塩水で1回洗浄し、硫酸マグネシウムを用
いて乾燥させ、減圧下に蒸発乾固させた。残留物を最小量のメタノールに溶解さ
せ、生成物を氷水中で析出させた。3.65g(87.5%)の所望のモノマーを得た。
粗生成物をジオキサン/エーテル混合物から再結晶化させた。
1H−NMR(DMSO):δ=3.1-3.3(m,4H),3.9(s,2H)4.2-4.3(m,3H),5.
1(s,2H),6.8[s.1H],7.2-8.5(m,21H),10.9(s,1H)実施例27
N-[N"- フルオレニルメチルオキシカルボニル-(2"-アミノ
エチル)]-N-[2-[N'2-ベンズヒドロールオキシカルボニル
(9'- グアニル)]アセチル]グリシンまたはN-[N"-Fmoc-(2"-
アミノエチル)]-N-[2-[N'2-Bhoc(9'- グアニル)アセチル]
グシリン(XIII)の合成
246.5 mg(0.588mmol)の2-[N'2-Bhoc(9'- グアニル)酢酸を5mlのアセトニトリ
ル/DMF(3:2)混合物に懸濁し、さらに130 μl(1.18mmol)のNMMを添加
した。混合物を室温で5分間攪拌した。反応物を0℃に冷却し、アルゴン雰囲気
下でピバロイルクロライド(73.8μl、0.6mmol)を滴下した。得られた溶液を0
℃で20分間攪拌した。分離フラスコ内で200mg(0.588mmol)のN-[N'-フルオレニ
ルメチルオキシカルボニル-(2'- アミノエチル)]グリシンを5mlのアセトニトリ
ル/水(3:2)混合物に懸濁した。懸濁液を激しく攪拌しながら透明な溶液が
得られるまでトリエチルアミンを滴下した。2つの溶液を合わせて、室温で10分
間攪拌した。20%のクエン酸を用いて混合物をpH4に酸性化した。減圧して溶媒
を留去し、残留物を最小量のメタノールに溶解した。メタノール溶液を氷水に激
しく攪拌しながら滴下した。320 mg(73.4%)の所望のモノマーを得た。
1H−NMR:δ=3.1-3.5(m,4H),3.9-5.0(m,7H),6.8[s.1H],7.2-7.9(m,21
H),11.2(s,1H),実施例28
メチル N-[N"-Fmoc-(2"- アミノエチル)-N-[2-[N'2-
Bhoc(9'- グアニル)]アセチル]グリシネート(IX)
1.07g(2.56mmol)の(N-2-Bhoc-9-グアニル)酢酸を10mlのアセトニトリル/
DMF(1:1)混合物に添加した溶液に844μl(7.68mmol)のNMMを添加した。
溶液を0℃に冷却し、アルゴン雰囲気下でピバロイルクロライド(331 μl,2.6
8mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で25分間攪拌し、1g(2.56mmol)のメチルN
-[N'- フルオレニルメチルオキシカルボニル-(2'-アミノエチル)]グリシネート
を一度に添加した。得られた混合物を室温で一夜攪拌した。一夜攪拌後、白色固
体が沈澱し、これを濾過し、アセトニトリル/水(1:2)混合物を用いて洗浄後に
乾燥させた。目的とするモノマーのメチルエステル1.25g(64.7%)を得た。
1H−NMR:δ=3.1-3.3(m,4H),3.7-5.1(m,7H),6.8(s.1H),7.2-7.8(m,19
H),11.2(s,1H),11.6(s,1H)
実施例29
N-[N"-Fmoc-(2"- アミノエチル)]-N-[2-[N'2 -
Bhoc(9'- グアニル)]アセチル]グリシン(VIII)
メチル N-[N"-Fmoc-(2"-アミノエチル)]-N-[2-[N'2-Bhoc(9'- グアニル)]アセ
チル]グリシネート(1.19 g,1.57mmol)を10mlのアセトニトリル/水(8:2)に懸
濁して成る溶液を冷却・攪拌しながら6.3 mlの2.4N水酸化リチウムを一度に添加
した。混合物を0℃で正確に5分間攪拌し、20%クエン酸を用いて中和した後、
炭酸水素ナトリウム飽和溶液を用いてpHを8とした。115 mgのFmoc- スクシンイ
ミドを一度に添加し、反応混合物を室温で30分間攪拌した。溶液をエーテルで2
回抽出後、20%クエン酸を用いて水層のpHを3とした。酢酸エチルを用いて溶液
を数回抽出し、有機層を合わせて塩水で洗浄、硫酸マグネシウムを用いて乾燥後
、減圧下に蒸発乾固させた。残留物をエーテルで磨砕した。所望のモノマー758
mg(65%)が白色固体状態で単離された。1HNMRは直接カップリング法で得
られたサンプルと同一であった。実施例30
メチル N-[N"-Fmoc-(2"- アミノエチル)]-N-[2-[N'6-
Bhoc(9'- アデニル)]アセチル]グリシネート(XIV)
2g(4.96mmol)の2-[N'6-Bhoc(9'-アデニル)]酢酸を10mlのアセトニトリル
/DMF(1:1)に添加して成る溶液に、1.64ml(14.88 mmol)のNMMを添加し
た。溶液を0℃に冷却し、ピバロイルクロライド(672 μl,5.45 ml)をアルゴ
ン雰囲気下に滴下した。反応混合物を0℃で25分間攪拌した。2.27g
(4.85mmol)のFmoc- アミノエチルグリシンメチルエステルTFA塩を一度に添
加し、得られた混合物を室温で3時間攪拌した。その後,反応混合物を100 mlの
氷水中に徐々に添加した。白色固体が析出し、これを濾過して乾燥させた。所望
のモノマーのメチルエステル3.5 g(96.5%)を得た。
1H−NMR:δ=3.1-3.3(m,4H),3.6(s,3H),3.7-5.3(m,7H),6.8[s,1H],7
.2-8.5(m.21H),10.8(s,1H)実施例31
N-[N"-Fmoc-(2"- アミノエチル)]-N-[2-[N'6 -
Bhoc(9'- アデニル)]アセチル]グリシン(XIII)
メチル N-[N"-Fmoc-(2"- アミノエチル)]-N-[2-[N'6-Bhoc(9'-アデニル)]ア
セチル]グリシネート(2g、2.7 mmol)を15mlのアセトン/水(10:5)に懸濁し
た溶液を予め冷却し、攪拌しながら、11mlの2.5 N水酸化リチウムを一度に添加
した。得られた混合物を0℃で7分間攪拌し、20%のクエン酸を用いて中和後、
炭酸水素ナトリウム飽和溶液を用いてpHを8とした。200 mgのFmoc- スクシンイ
ミドを一度に添加し、反応混合物を室温で1.5 時間攪拌した。溶液をエーテルで
3回抽出後、20%クエン酸を用いて水層のpHを3とした。酢酸エチルを用いて溶
液を数回抽出し、有機層を合わせて塩水で洗浄、硫酸マグネシウムを用いて乾燥
後、減圧下に蒸発乾固させた。残留物をエーテルで磨砕し、緩やかに温めた。濾
過、乾燥後、標題の化合物である灰色かかった白色固体1.5 g(77%)を得た。1
HNMRは直接カップリング法で得られたサンプルと同一であった。実施例32
メチル N-[N"-Fmoc-(2"- アミノエチル)]-N-[2-[N'4-
Bhoc(1'- シトシル)]アセチル]グリシネート(XIX)
4g(10.5mmol)の2-[N'4-Bhoc(1'-シトシル)]酢酸を30mlのアセトニトリル
/DMF(1:1)混合物に添加した溶液に3.5ml(31.6mmol )のNMMを添加した
。溶液を0℃に冷却し、ピバロイルクロライド(1.44ml,11.6mmol)をアルゴン雰
囲気下に滴下した。反応混合物を0℃で22分間攪拌した。4.44g(9.48mmol)の
Fmoc- アミノエチルグリシンメチルエステルTFA塩を一度に添加し、得られた
混合物を室温で一夜攪拌した。析出した白色結晶を濾過し、温めたアセトニトリ
ルを用いて十分に洗浄後、乾燥させた。所望のモノマーのメチルエステル6.4g(
84.8%)が単離された。
1H−NMR:δ=3.1-3.3(m,4H),3.6(s,3H),3.7-4.8(m,7H),6.7[s,1H],6
.8-7.9(m.21H),10.9(s,1H)
[]内の1H−NMRデータは、そのピークがその他のプロトンソースに重
なっていることを示す。実施例33
N-[N"-Fmoc-(2"- アミノエチル)]-N-[2-[N'4-
Bhoc(1'- シトシル)]アセチル]グリシン(XVII)
メチル N-[N"-Fmoc-(2"- アミノエチル)]-N-[2-[N'4-Bhoc(1'-シトシル)]ア
セチル]グリシネート(3g、4.19 mmol)を45mlのアセトニトリル/アセトン/水
(1:1:1)混合物に懸濁した溶液を予め冷却し、撹拌しながら、16.7mlの2.5 N水
酸化リチウムを一度に添加した。得られた混合物を0℃で10分間攪拌
し、20%のクエン酸を用いて中和後、炭酸水素ナトリウム飽和溶液を用いてpHを
8とした。300 mgのFmoc- スクシンイミドを一度に添加し、反応混合物を室温で
2時間攪拌した。フラスコを氷浴中に置き、20%クエン酸を用いてpHを3とした
。0℃で30分間攪拌後、沈澱した白色固体を濾過し、乾燥させた。残留物をアセ
トニトリルに懸濁して加熱した。所望の生成物1.8 g(61.4%)を得た。1HN
MRは直接カップリング法で得られたサンプルと同一であった。実施例34
2[N'4tert- ブトキシカルボニル(1'-
シトシル)]酢酸エチルの合成
3g(15.22mmol)の2-(1'-シトシル)酢酸エチルおよび2.96g(18.25 mmol)の
1,1'- カルボニルジイミダゾールを50mlのDMF中で室温で2時間攪拌した。続
いてtert- ブチルアルコール(7ml,73.19mmol)を一度に添加し、得られた混合
物を80℃で2時間加熱した。減圧下に溶媒を留去し、残留物をアセトニトリルに
懸濁して、再び溶媒を留去した。得られた褐色のオイルは100 mlのアセトニトリ
ルに溶解し、それ以上の精製を行わず直接次の段階に使用した。実施例35
2[N'4tert- ブトキシカルボニル(1'-シトシル)]酢酸の合成
上記反応より得られた未精製エステルを、30mlの水酸化リチウム(2.5 N)で
加水分解した。混合物を室温で10分間攪拌したところ、エステルが完全に消失し
たことがTLCによって示
された。続いて20%クエン酸を用いて溶液を酸性化し、混合物を一夜攪拌した。
溶液を濾過し、酢酸エチルを用いて濾液を抽出した。有機層を合わせて濃縮し、
室温で一夜放置した。所望の生成物が1g単離された。
1H−NMR(d6DMSO):δ=7.98(d,1H),6.97(d,1H),4.47(s,2H),1.
44(s,9H)実施例36
N-[N"- フルオレニルメチルオキシカルボニル-(2"- アミノ
エチル)]-N-[2-[N'4tert- ブトキシカルボニル(1'-シト
シル)]アセチル]グリシンの合成
2-[N'4tert-ブトキシカルボニル -1-シトシル)酢酸(0.5g、1.85mmol)およ
びN-メチルモルホリン(406、3.7 mmol)を7mlのアセトニトリルに添加した混
合物を予め冷却し、これに233 μl(1.88mmol)のピバロイルクロライドを滴下
した。得られた混合物を0℃で20分間攪拌した。分離フラスコ内で、0.6 g(1.
76mmol)の微粉砕したN-Fmoc- アミノエチルグリシンを10mlのアセトニトリル/
水(1:1)混合物に懸濁した。懸濁液を激しく撹拌しながら透明な溶液が得られる
までトリエチルアミンを滴下した。2つの溶液を合わせ、得られた混合物を室温
で20分間攪拌した。フラスコを氷浴中に置き、20%クエン酸を用いてpHを3とし
た。生成物を酢酸エチルで抽出し、酢酸エチルを合わせて塩水で1回洗浄した。
酢酸エチルを留去し、残留物をメタノールに溶解させて、再び溶媒を減圧下に留
去した。最後に生成物を4mlのメタノールに取り、氷冷の水(〜100ml)に滴下
した。灰色かかった白色の固体が析出し、これを濾過、
乾燥させた。所望のモノマー825 mg(79.3%)を得た。
1H−NMR(d6DMSO):δ=10.3(bs,1H),7.89-7.78(m,3H),7.68(d,2
H),7.43-7.27(m,4H),6.97-6.92(dd,1H),4.79(bs,4/3H),4.60(bs,2/3H),4.3
4(m,4H),3.98(bs.2H),3.39[m,4H],1.44(s,9H)実施例37
Fmoc /Bhoc保護モノマーを用いた
PNAオリゴマーの固相合成
下記合成サイクルに従ってFmoc-Pal-Peg-PS(パーセプティブバイオシステム
ズ P/N GEN 913383 :100 mg、0.17mmol/g添加)でH-CAG GAG TCG CAT gly-NH
2 配列を手動で合成した。全ての反応および樹脂洗浄はガラスバイヤル内で行っ
た。合成樹脂の入ったバイヤルに試薬および洗浄溶液を入れて反応させた。所定
の時間経過後、減圧濾過によってフリットガラスを通して溶液を除去した。合成サイクル
1) DMFを用いて調製した20%ピペリジンを用いて10分間保護解除を行う。
2) DMFを用いて3回洗浄後、ジクロロメタン(DCM)を用いて2回洗浄す
る。
3) 3当量の適当なモノマー(DMFを用いて0.1 Mに調製したもの)とカップ
リングさせる。3当量のO-7-アザベンゾトリアゾール-1- イル)-1,1,3,3-テトラ
メチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)および3当量のジイ
ソプロピルエチルアミン(DIEA)を添加して活性
化を開始させる。活性化された混合物を素早く樹脂に添加し、30分間カップリン
グさせる。
4) DMFを用いて3回洗浄後、ジクロロメタン(DCM)で2回洗浄する。
カップリングを行う度にニンヒドリン(Kaiser)反応を行って各段階をモニタリ
ングした。最初のアデニン(pos.3)の場合のみ第2のカップリングが必要であっ
た。最後のFmoc基はオリゴマー上に保持され、このオリゴマーを樹脂から開裂さ
せて分析した。Bhoc保護基の除去と樹脂からの開裂はTFA/m-cresol(4:1)で9
0分間処理することによって同時に行われた。開裂はUltrafree 装置(Millipore
P/N SE3P230J3)を用いて行った。開裂終了後、遠心分離で樹脂を回収し、TFA
/m-cresolに2倍量のジエチルエーテルを添加して未精製のPNAオリゴマーを
単離した。ジエチルエーテルを用いて未精製のPNAオリゴマーを2回洗浄した
。標準的な条件の下で粗生成物をHPLC(260nm)分析したところ、純度は83%
と示された。主たる不純物はアデニンの欠失であった(3.8%)(図6参照)。マト
リックスMALDI−TOF(Matrix Assisted Laser Desorption-Time of Flig
ht)質量分析装置で求めた生成物の質量は3571.3(amu:atomic mass unit)であっ
た。質量の計算値は3573.1amuであり、結果は機器精度の 0.1%の範囲内である
。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年7月11日
【補正内容】
請求の範囲
1.下記(a)〜(e)の段階からなるカーバメート保護された核酸塩基側鎖部分の合
成方法:
(a) 環外アミノ基と複素環N−原子とを有する部分的に保護された核酸塩基化合
物を合成し、
(b) この部分的に保護された核酸塩基化合物の環外アミノ基を電子親和性を有す
るカルボニル均等物と反応させてN-置換中間化合物を合成し、
(c) この中間化合物をアルコールと反応させてカーバメート保護されたアミノ基
を有する完全に保護された核酸塩基化合物を合成し、
(d) この完全に保護された核酸塩基化合物を金属アルコキシドまたは金属水酸化
物と反応させて、カーバメート保護された核酸塩基側鎖部分の金属塩を合成し、
この金属塩は主鎖カルボン酸基を有し、
(e) この主鎖カルボン酸基または複素環N-原子のプロトン付加に適した条件で、
酸を用いて上記金属塩を中和して、カーバメート保護された核酸塩基側鎖部分を
得る。
2.部分的に保護された核酸塩基化合物が、エチル2-(1'-シトシル)酢酸、メチ
ル2-(1'-シトシル)酢酸、エチル2-(9'-アデニル)酢酸およびメチル2-(9'-アデニ
ル)酢酸からる群の中から選択される請求項1に記載の方法。
3.電子親和性を有するカルボニル均等物が、カルボニルジイ
ミダゾール、ジ- N-スクシンイミジルカルボネートおよびホスゲンからなる群の
中から選択される請求項2に記載の方法。
4.金属水酸化物が水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは
水酸化セシウムからなる群の中から選択される第1群遷移金属の水酸化物である
請求項2に記載の方法。
5.アルコールがメタノール、2,2,2-トリクロロエタノール、2-(トリメチルシ
リル)-エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタ
ノールおよびアリルアルコール誘導体で構成される群から選択される請求項2に
記載の方法。
6.アリルアルコール誘導体がアリルアルコール、1-イソプロピルアリルアルコ
ール、シアナミルアルコールおよび4-ニトロシアナミルアルコールで構成される
群から選択される請求項5に記載の方法。
7.アルコールが下記式で表されるベンジルアルコールである請求項1に記載の
方法:
(ここで、
a〜eで表される原子または基は互いに同一でも異なってい
てもよく、独立してF、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、t-
ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、−SC
H3または−(O)SCH3から選択され、
g〜hのそれぞれ表される原子または基は同一でも異なっていてもよく、独立
に、水素およびメチル基で構成される群から選択される)
8.アルコールが下記式で表される請求項1に記載の方法:
(ここで、
A1〜A10は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立にF、Cl、Br
、I、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル
、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミドおよびエ
ステル基で構成される群の中から選択され、
R4は水素、メチルおよびエチル基で構成される群から選択される)
9.アルコールが下記式で表される請求項1に記載の方法:
R5S(CH2)2OH
(ここで、
R5で表される基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t
-ブチルもしくは下記式で表されるフェニル基またはその誘導体で構成される群
から選択される:
(ここで、
i〜mで表される原子または基は互いに同一でも異なっていてもよく、独立し
てF、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、t-ブチル、フェニル
、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、−SCH3または−(O
)SCH3で構成される群から選択される)
10.アルコールが下記式で表される請求項1に記載の方法:
(ここで、
Wで表される基は電子吸引基であり、
R5〜R7のそれぞれで表される原子または基は同一でも異なっていてもよく、
独立に、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチルおよびt-
ブチルで構成される群から選択される)
11.カーバメート保護された核酸塩基側鎖部分が天然または非天然の核酸塩基を
含む請求項1に記載の方法。
12.完全に保護された核酸塩基化合物が下記式で表される請求項1に記載の方法
:
および
〔ここで、
R1は、メチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチルシリル)-エ
チル、2-(フェニルチオ)- エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブ
チル、アリル、1-イソプロピルアリル、シアナミル、4-ニトロシアナミル基また
は下記式で表されるベンジル基あるいはその誘導体で構成される群から選択され
:
(ここで、
a〜eのそれぞれで表される原子または基は、同一でも異なっていてもよく、
独立に、F、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、t-
ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、−SC
H3および−(O)SCH3で構成される群から、a〜eによって表される原子ま
たは基のうち少なくとも2つが水素原子であるという条件で選択され、
g〜hのそれぞれで表される原子または基は同一でも異なっていてもよく、独
立に、水素およびメチル基で構成される群から選択される)
R2はメチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチルシリル)-エチ
ル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、アリル、1-イソプロピルア
リル、シアナミル、4-ニトロシアナミル基、上記ベンジル基またはその誘導体、
下記式で表されるジフェニルメタン基またはその誘導体:
(ここで、
A1〜A10はそれぞれ独立にF、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、メトキ
シおよびエトキシで構成される群から選択され、
R4は、水素、メチルおよびエチル基;並びに
R5S(CH2)2−基で構成される群から選択され、
(ここで、
R5は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチルおよ
びフェニル基またはその誘導体で構成される群から選択され、
フェニル基は下記式で表される基である:
(ここで、
i〜mのそれぞれで表される原子または基は同一であっても異なっていてもよ
く、独立にF、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、
t-ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO2H、−CN、−S
CH3および−(O)SCH3で構成される群から選択される)〕
13.完全に保護された核酸塩基化合物が下記式で表される請求項12に記載の方法
:
14.完全に保護され核酸塩基が下記式で表される請求項12に記載の方法:
15.カーバメート保護された核酸塩基側鎖部分が下記式で表される請求項2に記
載の方法:
および
〔ここで、
R2はメチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチルシリル)-エチ
ル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、アリル、1-イソプロピルア
リル、シアナミル、4-ニトロシアナミル基もしくは下記式で表されるベンジル基
あるいはその誘導体:
(ここで、
a〜eのそれぞれで表される原子または基は、同一でも異なっていてもよく、
独立に、F、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、t-
ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、−SC
H3および−(O)SCH3で構成される群から選択され、
g〜hのそれぞれで表される原子または基は同一でも異なっていてもよく、独
立に、水素およびメチル基で構成される群から選択される)
下記式で表されるジフェニルメタン基またはその誘導体:
(ここで、
A1〜A10はそれぞれ独立にF、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、メトキ
シおよびエトキシで構成される群から選択され:
R4は、水素、メチルおよびエチル基;並びに
R5S(CH2)2基で構成される群の中から選択され、
(ここで、
R5は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチルおよ
びフェニル基またはその誘導体で構成される群から選択される:
(ここで、
フェニル基またはその誘導体は下記式で表される基である:
(ここで、
i〜mの原子または基は同一であっても異なっていてもよく、独立に、F、Cl
、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、フェニ
ル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、−SCH3および−(
O)SC
H3で構成される群から選択される)〕
16.カーバメート保護された核酸塩基側鎖部分が下記式で表される請求項15に記
載の方法:
17.カーバメート保護された核酸塩基側鎖部分が下記式で表される請求項15に記
載の方法:
18.下記段階(a)と(b)を含むことを特徴とするカーバメート保護された核酸塩基
側鎖部分とアミノ保護されたアミノ酸N-(2- アミノエチル)-グリシン主鎖とから
PNAシントンを合成する方法:
(a) 請求項1に記載の方法でカーバメート保護された核酸塩基側鎖部分を合成し
、
(b) カーバメート保護された核酸塩基側鎖部分をアミノ保護されたアミノ酸N-(2
-アミノエチル)-グリシン主鎖にカップリングさせる。
19.アミノ保護されたアミノ酸N-(2- アミノエチル)-グリシン主鎖がアルキルエ
ステルを有し、さらに下記段階(c)を含む請求項18に記載の方法:
(c) アルキルエステルを加水分解してフリーのカルボン酸を生成させる。
20.カップリングが下記段階(a)と(b)を含む請求項18に記載の方法:
(a) カーバメート保護された核酸塩基側鎖部分の混合無水物を調製し、
(b) 混合無水物をアミノ保護されたアミノ酸N-(2- アミノエチル)-グリシン主鎖
と反応させてPNAシントンを合成する。
21.カップリグがさらに下記段階(a)〜(c)を含む請求項20に記載の方法:
(a) アミノ保護されたアミノ酸N-(2- アミノエチル)-グリシン主鎖に一時的に保
護されたカルボン酸基を形成し、
(b) 一時的に保護されたカルボン酸を混合無水物と反応させて一時的に保護され
たカルボン酸基を有する一時的に保護されたPNAシントンを合成し、さらに
(c) 一時的に保護されたPNAシントンの一時的に保護されたカルボン酸基の保
護解除を行ってPNAシントンを合成する。
22.アミノ保護されたアミノ酸N-(2- アミノエチル)-グリシン主鎖が下記式で表
される請求項18に記載の方法:
(ここで、
Pgは、アルキロキシカルボニル基、9-フルオレニルメチロキシカルボニル基
、1-メチル-1-(4-ビフェニル)-エチロキシカルボニル基、1-メチル-1- フェニル
- エチロキシカルボニル基、トリフェニルメチル基、4-メトキシ- トリフェニル
メチル基、および4,4'- ジメトキシ−トリフェニルメチル基、4,4'- ジメチルベ
ンズヒドロキシカルボニル基で構成される群から選択される保護基であり、
R3は、水素もしくはメチル、エチル、およびアリル基で構成される群から選
択されるアルキル基である)
23.アミノ保護されたアミノ酸N-(2- アミノエチル)-グリシン主鎖が、N1-(9-フ
ルオレニルメチロキシカルボニル)-N4-(2-アミノエチル)-グリシン、N1-(9-フル
オレニルメチロキシカルボニル)-N4-(2-アミノエチル)-グリシンメチルエステル
およびN1-(9-フルオレニルメチロキシカルボニル)-N4-(2- アミノエチル)-グリ
シンエチルエステルで構成される群から選択される保
護されたアミノ酸である請求項18に記載の方法。
24.PNAシントンまたはPNAシントンエステルが下記式で表される請求項18
に記載の方法:
および
(ここで、
Pgは、アルキロキシカルボニル基、9-フルオレニルメチロキシカルボニル基
、1-メチル-1-(4-ビフェニル)-エチロキシカルボニル基、1-メチル-1- フェニル
- エチロキシカルボニル基、トリフェニルメチル基、4-メトキシ- トリフェニル
メチル基、および4,4'- ジメトキシ−トリフェニルメチル基で構成される
群から選択される保護基であり、
R2は、メチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチルシリル)-エ
チル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、アリル、1-イソプロピル
アリル、シアナミル、4-ニトロシアナミル基、もしくは下記式で表されるベンジ
ル基あるいはその誘導体:
(ここで、
a〜eのそれぞれで表される原子または基は、同一でも異なっていてもよく、
独立に、F、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、t-
ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、−SC
H3および−(O)SCH3で構成される群から選択され、
g〜hのそれぞれで表される原子または基は同一でも異なっていてもよく、独
立に、水素およびメチル基で構成される群から選択される)
下記式で表されるジフェニルメタン基またはその誘導体:
(ここで、
A1〜A10はそれぞれ独立に、F、Cl、Br、I、水素、メチ
ル、エチル、メトキシおよびエトキシで構成される群から選択され、
R4は、水素、メチルおよびエチル基で構成される群から選択される)
並びにR5S(CH2)2−基で構成される群から選択され:
(ここで、
R5は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチルおよ
びフェニル基またはその誘導体で構成される群から選択される:
(ここで、
フェニル基は下記式で表される基である:
(ここで、
i〜mのそれぞれで表される原子または基は同一であっても異なっていてもよ
く、独立にF、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、
t-ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、−S
CH3および−(O)SCH3で構成される群から選択される)
R3は水素もしくはメチル基およびエチル基で構成される群から選択されるア
ルキル基である。
25.R2で表される基とPgで表される基によってオルソゴナルに保護された請
求項24に記載のPNAシントン。
26.下記式で表される請求項24に記載のPNAシントンエステル:
27.下記式で表される請求項24に記載のPNAシントンエステル:
28.下記式で表される請求項24に記載のPNAシントン:
29.下記式で表される請求項24に記載のPNAシントン:
30.下記段階を含む核酸ポリマー合成方法:
(a) 請求項23に記載の方法で少なくとも1つのPNAシントンを合成し、
(b) 請求項23の方法で合成したPNAシントンをPNAオリゴマーに組み込む。
31.PNAオリゴマーを固体担体に結合結合させる請求項30に記載の方法。
32.PNAオリゴマーが側鎖保護基を有する核酸塩基を含む請求項31に記載の方
法。
33.さらに側鎖保護基を除去する段階を含む請求項32に記載の方法。
34.(削除)
35.下記式で表される完全に保護された核酸塩基化合物:
および
ここで、
R1は、メチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(ト
リメチルシリル)-エチル、2-(フェニルチオ)- エチル、プロピル、イソプロピル
、n-ブチル、t-ブチル、アリル、1-イソプロピルアリル、シアナミル、4-ニトロ
シアナミル基もしくは下記式で表されるベンジル基あるいはその誘導体で構成さ
れる群から選択され:
(ここで、
a〜eのそれぞれで表される原子または基は、同一でも異なっていてもよく、
独立に、F、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、t-
ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、−SC
H3および−(O)SCH3で構成される群から選択され、ただし、a〜eで表さ
れる原子または基のうち少なくとも一つは水素原子ではなく、
g〜hのそれぞれで表される原子または基は同一でも異なっていてもよく、独
立に、水素およびメチル基で構成される群から選択される)
R2は、独立にメチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチルシリ
ル)-エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、アリル、1-イソプ
ロピルアリル、シアナミル、4-ニトロシアナミル基、上記ベンジル基またはその
誘導体、下記式で表されるジフェニルメタン基またはその誘導体:
(ここで、
A1〜A10はそれぞれ独立に、F、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、メト
キシおよびエトキシで構成される群から選択され、
R4は、水素、メチルおよびエチル基で構成される群から選択される)
R5S(CH2)2−基:
(ここで、
R5は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチルおよ
びフェニル基またはその誘導体で構成される群から選択される:
(ここで、
フェニル基またはその誘導体は下記式で表される基である:
(ここで、
i〜mのそれぞれで表される原子または基は同一であっても異なっていてもよ
く、独立にF、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、
t-ブチル、フェニル、メト
キシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、−SCH3および−(O)SC
H3で構成される群から選択される)
並びに下記式で表されるエチル基で構成される群から選択される:
(ここで、
Wは電子吸引基であり、
R6〜R8のそれぞれによって表される原子または基は同一であっても異なって
いてもよく、独立に、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブ
チルおよびt-ブチルで構成される群から選択される)
36.下記式で表される請求項35に記載の完全に保護された核酸塩基化合物:
37.下記式で表される請求項35に記載の完全に保護された核酸塩基化合物:
38.下記式で表されるカーバメート保護された酢酸塩基側鎖部分:
および
ここで、
R2はメチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチルシリル)-エチ
ル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、アリル、1-イソプロピルア
リル、シアナミル、4-ニトロシアナミル基もしくは下記式で表されるベンジル基
あるいはその誘導体:
(ここで、
a〜eのそれぞれで表される原子または基は、同一でも異なっていてもよく、
独立に、F、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、t-
ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、−SC
H3および−(O)SCH3で構成される群から選択され、ただし、a〜eで表さ
れる原子または基の少なくとも1つは水素原子ではなく、
g〜hのそれぞれで表される原子または基は同一でも異なっていてもよく、独
立に、水素およびメチル基で構成される群から選択される)
下記式で表されるジフェニルメタン基またはその誘導体:
(ここで、
A1〜A10はそれぞれ独立にF、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、メトキ
シおよびエトキシで構成される群から選択され、
R4は、水素、メチルおよびエチル基で構成される群から選択される)
R5S(CH2)2−基:
(ここで、
R5は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチルおよ
びフェニル基またはその誘導体で構成される群から選択される:
(ここで、
フェニル基またはその誘導体は下記式で表される基である:
(ここで、
i〜mのそれぞれで表される原子または基は同一であっても異なっていてもよ
く、独立にF、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、
t-ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、−S
CH3および−(O)SCH3で構成される群から選択される)
並びに、下記式で表されるエチル基から選択される:
(ここで、
Wは電子吸引基であり、
R6〜R8のそれぞれによって表される原子または基は同一であっても異なって
いてもよく、独立に、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブ
チルおよびt-ブチルで構成される群から選択される)
39.下記式で表される請求項38に記載のカーバメート保護された核酸塩基側鎖部
分:
40.下記式で表される請求項38に記載のカーバメート保護された核酸塩基側鎖部
分:
41.下記の群の中から選択される式を有するPNAシントンまたはPNAシント
ンエステル:
および
ここで、
Pgは、アルキロキシカルボニル基、9-フルオレニルメチロキシカルボニル基
、1-メチル-1-(4-ビフェニル)-エチロキシカルボニル基、1-メチル-1- フェニル
- エチロキシカルボニル基、トリフェニルメチル基、4-メトキシ- トリフェニル
メチル基、および4,4'- ジメトキシ−トリフェニルメチル基で構成される群から
選択される保護基であり、
R2は、メチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチルシリル)-エ
チル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、
t-ブチル、アリル、1-イソプロピルアリル、シアナミル、4-ニトロシアナミル基
、下記式で表されるベンジル基あるいはその誘導体:
(ここで、
a〜eのそれぞれで表される原子または基は、同一でも異なっていてもよく、
独立に、F、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、t-
ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、−SC
H3および−(O)SCH3で構成される群から選択され、ただし、a〜eで表さ
れる原子または基の少なくとも1つは水素原子ではなく、
g〜hのそれぞれで表される原子または基は同一でも異なっていてもよく、独
立に、水素およびメチル基で構成される群から選択される)
下記式で表されるジフェニルメタン基またはその誘導体:
(ここで、
A1〜A10はそれぞれ独立にF、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、メトキ
シおよびエトキシで構成される群から選択され、
R4は、水素、メチルおよびエチル基で構成される群から選択される)
R5S(CH2)2−基:
(ここで、
R5は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチルおよ
びフェニル基またはその誘導体で構成される群から選択される:
(ここで、
フェニル基またはその誘導体は下記式で表される基である:
(ここで、
i〜mのそれぞれで表される原子または基は同一であっても異なっていてもよ
く、独立にF、Cl、Br、I、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n-ブチル、
t-ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、−NO2、−SO3H、−CN、−S
CH3および−(O)SCH3で構成される群から選択される)
並びに下記式で表されるエチル基で構成される群から選択され:
(ここで、
Wは電子吸引基であり、
R6〜R8のそれぞれによって表される原子または基は同一であっても異なって
いてもよく、独立に、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブ
チルおよびt-ブチルで構成される群から選択される)
R3は、水素もしくはメチル基およびエチル基で構成される群から選択されるア
ルキル基である。
42.下記式で表される請求項41に記載のPNAシントン:
43.下記式で表される請求項41に記載のPNAシントン:
44.下記式で表される請求項41に記載のPNAシントン:
45.下記式で表される請求項41に記載のPNAシントン:
46.下記式で表される請求項41に記載のPNAシントン:
47.下記式で表される請求項38に記載のカーバメート保護されたアデニン側鎖部
分:
(ここで、
Wは電子吸引基であり、
R6〜R8のそれぞれによって表される原子または基は同一であっても異なって
いてもよく、独立に、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブ
チルおよびt-ブチルで構成される群から選択される)
48.下記式で表される請求項38に記載のカーバメート保護され
たシトシン側鎖部分:
(ここで、
Wは電子吸引基であり、
R6〜R8のそれぞれによって表される原子または基は同一であっても異なって
いてもよく、独立に、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブ
チルおよびt-ブチルで構成される群から選択される)
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フロントページの続き
(72)発明者 エゴーム,マイケル
アメリカ合衆国 マサチューセッツ州
02173,レキシングトン,レキシングトン
リッジ ドライブ 1231
(72)発明者 ホッジ,リチャード,ピー.
アメリカ合衆国 アラバマ州35802 ハン
ツビル,ホーガン ドライブ エス.イ
ー.8462
(72)発明者 イスメイル モハメド
アメリカ合衆国 マサチューセッツ州
01730,ベッドフォード,ハント ロード
5
(72)発明者 ラジュア,エス.,ビー.
アメリカ合衆国 マサチューセッツ州
02167,チェストナット ヒル,ウエスト
ゲート ロード #5 36