【発明の詳細な説明】
前立腺癌の治療および診断発明の分野
本発明は抗体あるいはその結合部位による前立腺癌の治療および診断に関する
。発明の背景
前立腺癌は、男性に最も多い癌であり、1995年、米国において推定244
,000症例とされている。腫瘍により死亡する男性における死因の第2位であ
り、推定で年間44,000人が死亡している。前立腺癌による死亡率を抑制す
るために迅速な発見と治療が必要とされている。前立腺癌の発見
癌細胞の転移において、前立腺癌は骨およびリンパ節に転移する明確な傾向を
有する。Saitoh,H.,etal.,“Metastatic Patterns of Prostatic Cancer.Correl
ation Between Sites And Number of Organs Involved.”Cancer,54:3078-3084(
1984)。臨床診断において、放射性核種走査により患者の25%に骨への転移が
認められている。Murphy,G.P.,etal.,“The National Survey Of Prostate Canc
er In The United States By The American College Of Surgeons,”J.Urol.,12
7:928-939(1982)。結節での併発を正確に臨床上判定することは困難である。コ
ンピュータ断層撮影法(“CT”)あるいは磁気共鳴(“MR”)映像法のよう
なイメージング技術により、リンパ節の転移性前立腺癌併発をサイズ(すなわち
、>1cm)とは別の基準によって識別することは不可能である。従って、当然
これらのイメージング様式は本来、大きい容積のアデノパシーの発見において非
特異的であり、小さい容積(<1cm)の疾病の発見において感受性が鈍い。最
近の研究において、臨床的に局在性の前立腺癌の患者におけるMRの精密性が調
査された。Rifkin,M.D.,etal.,“Comparison Of Magnetic Resonance Imaging A
nd Ultrasonography In Staging Early Prostate Cancer,”N.Engl.J.Med.,323:
621-626(1990)。この研究において、194人の患者がMRを受け、そのうち1
85人の患者がリ
ンパ節切開を受けた。23人の患者(13%)が病理的にリンパ節に併発してい
た。4%の感受性となる23症例のうち唯1例においてMRが疑わしかった。同
様の結果がCTスキャンについても見られた。Gasser,T.C.,et al.,“MRI And U
ltrasonography In Staging Prostate Cancer,”N.Engl.J.Med.(Correspondence )
,324(7):49-495(1991)。
前立腺癌転移の患者における血清酸性ホスファターゼ活性の増加が最初、Gutm
an et al.によりJ.Clin.Invest17:473(1938)に報告された。前立腺の癌において
、前立腺酸性ホスファターゼは癌組織から血流へと放出され、その結果全血清酸
性ホスファターゼレベルは正常値よりはるかに増加する。この酵素およびその前
立腺癌との関係について数多くの研究がその当時からなされてきた(例えば、Ya
m,Amer.J.Med.56:604(1974))。しかしながら、血清酸性ホスファターゼの測定
値は、骨に転移した前立腺の癌腫がある患者の約65〜90%;X線による骨へ
の転移の証拠がない患者の約30%;臨床的に明らかな転移がない患者の約5〜
10%のみにおいて増加した。
前立腺酸性ホスファターゼに関する特異的試験を開発しようとする先行技術の
試みは、限定的な成功しか納めていない。なぜなら、いわゆる“特異的”基質に
対する酵素活性を基とする技術は、前立腺起源の酵素活性とは無関係の多くの酸
性ホスファターゼにおいて他の生化学的および免疫化学的差異を考慮し得ないか
らである。イソ酵素の場合、すなわち同じ特徴的酵素活性および同様の分子構造
を有するが、アミノ酸配列および/あるいは含量が異なる、従って、免疫化学的
には区別され得る、遺伝子学的に定義された酵素の場合、特定の基質を選択する
だけで種々のイソ酵素の形態を識別することは、本来不可能であると思われる。
従って、これらの先行技術の方法において、前立腺酸性ホスファターゼ活性の直
接的測定に関して非常に特異的なものが何もないことは驚くべきことではない;
例えば、参照 Cancer 5:236(1952);J.Lab.Clin.Med.82:486(1973);Clin.Chem.Ac ta
.44:21(1973);and J.Physiol.Chem.356:1775(1975)。
前立腺酸性ホスファターゼの検出に使用される先行技術の試薬の多くに特有で
あるとみられる上記の非特異性の問題に加え、他の疾病と関連のある血清酸性ホ
スファターゼの増加についての報告があり、前立腺癌の正確な臨床診断について
の問題をさらに複雑にしている。例えば、Tuchman et al.,Am.J.Med.27:959(195
9)はゴーシェ病患者の血清酸性ホスファターゼレベルが上昇するらしいことに注
目している。
前立腺酸性ホスファターゼのための“特異的”基質の開発が本来難しいので、
数人の研究者が前立腺酸性ホスファターゼの検出に関する免疫化学的方法を開発
してきた。しかしながら、先に報告された免疫化学的方法には広範囲の受容を妨
げるというそれ自身の欠点がある。例えば、Shulman et al.,Immunology 93:474
(1964)はヒト前立腺酸性ホスファターゼの検出のための免疫−拡散法試験を記載
している。前立腺疾病の患者から直腸マッサージによって得られる前立腺液抗原
から製造される抗血清を使用し、正常な腎臓、睾丸、肝臓および肺の抽出物に対
する二重拡散技術において交差反応沈降素ラインは観察されなかった。しかしな
がら、この方法は、抗原が大量に使用されても、および前立腺液に存在する抗原
的に無関係の血清タンパク質成分といった他のものと交差反応することがある抗
血清が大量に使用されても、感受性が限定的であるという不都合を有する。
Chu et al.のWO79/00475には、上記の欠点の多くを取り除く前立
腺癌関連の前立腺酸性ホスファターゼイソ酵素パターンの検出のための新しい方
法が記載されている。しかしながら、実際の問題は、診断上意味のある前立腺癌
関連の前立腺酸性ホスファターゼイソ酵素パターンがその抗体の製造のために抽
出される癌前立腺組織の源を必要とすることから生じている。
最近、特異的診断用試薬の開発の目的で、様々なタイプの悪性腫瘍についての
酵素あるいは抗原マーカーを同定するために多大な努力が費やされている。理想
的な腫瘍マーカーは、他の特性において組織あるいは細胞型についての特異性を
示し、個体から容易に得られる循環系あるいは他の生物的環境へ放出されるもの
である。先の研究者らはヒト前立腺の組織特異的抗原の発生を証明している。前立腺癌の治療
W.J.Catalona,“Management of Cancer of the Prostate,”New Engl.J.Med.3
31(15):996-1004(1994)に記載されているように、前立腺癌への対応は、注意深
く
見守ること、治療的処置をとること、および改善を得ることによって達成され得
る。
平均余命が10年以下の男性において、良性の前立腺肥大の部分的切除の際に
低程度、低段階の前立腺癌が発見された場合、注意深く見守ることが肝要である
。このような癌は発見後の最初の5年間で進行することはめったにない。一方、
若い男性にとって、治療はしばしばより適切である。
前立腺癌が局在性であり、患者の平均余命が10年あるいはそれ以上の場合、
前立腺の全切除は疾病の根絶のための最良の可能性を提供する。歴史的に、この
方法の欠点は、癌が発見されたときにはほとんどの癌が手術の限界を越えてしま
っていることである。しかしながら、前立腺特異的抗原試験の使用は、前立腺癌
の早期発見につながる。結果として、合併症は少なく、外科手術は少ない費用で
済む。大きい、高程度の腫瘍がある患者は、前立腺の全切除によって好結果の治
療を受ける見込みは低い。
外科手術後、血清前立腺特異的抗原が検出可能な濃度にある場合、残存する癌
を示している。多くの場合、前立腺特異的抗原濃度は放射線治療によって低下す
る。しかしながら、この濃度は2年以内にしばしば再び増加する。
放射線療法は前立腺の全切除に代わる手段としても広く使用されてきた。一般
に放射線療法によって治療される患者は、高齢の健康でない者や高程度の臨床的
に進行した腫瘍を有する者である。特に好ましい方法は、放射線の領域を治療さ
れる組織の容量に適合するように設定されている3次元の適合放射線療法を伴う
外線療法であり、および放射線化合物の種子が超音波誘導によって移植される介
在性放射線療法である。
局部的に進行した疾病の患者の治療には、前立腺の全切除あるいは放射線療法
の前あるいは後にホルモン療法が利用されてきた。ホルモン療法は前立腺癌が拡
大してしまった男性を治療する主要な手段である。睾丸摘除は血清テストステロ
ン濃度を減じ、エストロゲン治療も同様に有益である。エストロゲンからのジエ
チルスチルベストロールは、別の有用なホルモン療法であるが、心臓血管系の障
害を起こす不都合を有する。ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニストが投与され
ると、テストステロン濃度は最終的に減少する。フルタミドは、非ステロイドで
あり、テストステロンとその細胞内受容体との結合を阻害する抗−アンドロゲン
剤である。結果として、血清テストステロン濃度が増加しながら、また患者に性
的能力が残存したままでフルタミドはテストステロンの効果を阻害する。性的能
力については、前立腺の全切除および放射線治療の後では、重要な問題である。
細胞毒性化学療法は前立腺癌治療においてほとんど効果がない。この療法はそ
の毒性のために高齢患者にとって不適切となる。さらに、前立腺癌は比較的細胞
毒性剤に抵抗力がある。前立腺癌の発見と治療におけるモノクローナル抗体の使用
理論的には、放射ラベルモノクローナル抗体(“mAbs”)は、リンパ節内
および他の部位内の前立腺癌の発見に対する感受性および特異性の両方を高める
能力を提供する。多くのmAbsがすでに前立腺関連抗原に対して製造されてき
たが、一方イメージング目的として特に製造されたものはない。しかしながら、
臨床的な必要性からこれらmAbsのいくつかが可能なイメージング試薬として
検討されてきた。Vihko,P.,et al.,“Radioimaging of Prostatic Carcinoma Wi
th Prostatic Acid Phosphatase-Specific Antibodies,”Biotechnology in Dia gnostics,
131-134(1985);Babaian,R.J.,et al.,“Radioimmunological Imaging
of Metastatic Prostatic Cancer With 111-Indium-Labeled Monoclonal Antibo
dy PAY 276,”J.Urol.,137:439-443(1987);Leroy,JM.,et al.,“Radioimmunodet
ection of Lymph Node Invasion In Prostatic Cancer.The Use of Iodine 123(
123-I)Labeled Monoclonal Anti-Prostatic Acid Phosphatase(PAP)227 A F(ab'
)2 Antibody Fragments In Vivo,”Cancer,64:1-5(1989);Meyers,J.F.,et al.,
“Development of Monoclonal Antibody Imaging of Metastatic Prostatic Car
cinoma,”The Prostate,14:209-220(1989)。
いくつかの場合、前立腺癌の発見および/または治療のために開発されたモノ
クローナル抗体は、悪性の前立腺組織に特異的な抗原を認識する。従って、この
ような抗体は悪性前立腺組織を(治療あるいは検出のため)良性前立腺組織と区
別するために使用される。参照、Bazinet et al.の米国特許第4,970,29
9およびFreeman et al.の米国特許第4,902,615。
他のモノクローナル抗体は、癌性あるいは良性のすべての前立腺表皮細胞上で
表面抗原と反応する。参照、Chu et al.の米国特許第4,446,122および
Re33,405、McEwan et al.の米国特許第4,863,851およびUeda e
t al.の米国特許第5,055,404。しかし、これらのモノクローナル抗体に
よって検出される抗原は、血液中に存在し、従って、モノクローナル抗体につい
て腫瘍部位での抗原と競合する。これは、インビボでのイメージングにおけるこ
のような抗体の使用に不都合をもたらすノイズを引き起こす。治療において、こ
のような抗体は、細胞障害剤と結合する場合、他の組織に有害となり得る。
本発明は前立腺癌の診断および治療における先行技術の抗体の欠点を克服する
ことに関する。発明の要約
本発明の第一点は、正常、良性、増殖性および癌性の前立腺上皮細胞を切除ま
たは殺す方法に関する。この方法は、かかる細胞の抗原(表面抗原など)を認識
するが、血中を循環する抗原を実質的に認識しない抗体やその結合部分あるいは
プローブを提供する。抗体やその結合部分あるいはプローブは、単独で用いられ
るか、または、抗体やその結合部分あるいはプローブが細胞に結合する際に細胞
を殺すのに効果的な物質と結合している。それゆえに、これらの抗体やその結合
部分あるいはプローブは、抗体やその結合部分あるいはプローブを抗原に結合す
ること、および細胞を殺すまたは切除することの両方を可能にする効果的な条件
で細胞と接触する。
本発明の他の点は、生物サンプル中の正常、良性、増殖性および癌性の前立腺
上皮細胞を検出する方法に関する。その方法は、かかる細胞の抗原(表面抗原な
ど)を認識するが、血中を循環する抗原を実質的に認識しない抗体やその結合部
分あるいはプローブを提供することを含む。その抗体やその結合部分あるいはプ
ローブは、抗体やその結合部分あるいはプローブが細胞やその部分に結合する際
に細胞やその部分の検出を可能にするのに効果的なラベルと結合している。生物
サンプルは、生物サンプル中の細胞やその部分の抗原に抗体やその結合部分ある
いはプローブが結合するのを可能にする効果的な条件で、ラベルを有する抗体や
その結合部分あるいはプローブに接触する。生物サンプル中の細胞やその部分の
抗原はラベルの検知により検出される。
本発明の他の点は、正常、良性、増殖性および癌性の前立腺上皮細胞を認識す
るが、血中を循環する抗原を実質的に認識しない、単離された抗体やその結合部
分あるいはプローブに関する。このタイプのモノクローナル抗体およびこのモノ
クローナル抗体により認識される抗原を産生するハイブリドーマ細胞ラインも開
示する。図面の簡単な説明
図1A−Dは、プロスト30(図1AおよびB)およびプロスト410(図1
CおよびD)を有する良性前立腺増殖(図1AおよびC)および前立腺癌(図1
BおよびD)についての免疫組織化学的着色を示す。プロスト30は、細胞表面
での免疫反応性の上昇を表す。
倍率×350(図1A、CおよびD)、150(図1B)。
図2A−Bは、5μg/mlでのmAbプロスト130(図2A)およびプロ
スト185(図2B)によるBPH(すなわち前立腺上皮)の免疫組織化学的着
色を示す。
図3A−Bは、プロスト130(図3A)またはプロスト185(図3B)が
テラサキ・プレート上コート緩衝液により一夜37℃でコートされたサンドウィ
ッチELISAを示す。プロスト130−ビオチンおよびプロスト185−ビオ
チンはプロスト130(図3A)により捕捉された抗原と反応した。プロスト1
30はプロスト130により阻害される(図3A)。プロスト130−ビオチン
はプロスト185により捕捉された抗原と反応したが、プロスト185−ビオチ
ンは反応しなかった。
図4A−Bは阻害検定を示す。図4Aにおいて、プロスト130−ビオチンの
プロスト130で捕捉された抗原との結合は、プロスト185により阻害される
が、プロスト130によっては阻害されない。
図5は、各々が直角である2つの隣接血管を有する切除前立腺を示す。後者は
前立腺を切除した同じ時点、すなわち1311−プロスト30投与1週間後に描
かれた。色強度は放射活性に直接比例する。本図は、放射ラベル抗体が1)前立
腺に局在していること、2)血液よりも前立腺に高レベルに実質的に集中し、1
週間以上前立腺に保たれていることを示す。発明の詳細な説明
本発明の第一点は、正常、良性、増殖性および癌性の前立腺上皮細胞を切除ま
たは殺す方法に関する。この方法は、かかる細胞の抗原(表面抗原など)を認識
するが、血中を循環する抗原を実質的に認識しない抗体やその結合部分あるいは
プローブを提供する。抗体やその結合部分あるいはプローブは、単独で用いられ
るか、または、抗体やその結合部分あるいはプローブが細胞に結合する際に細胞
を殺すのに効果的な物質と結合している。それゆえに、これらの抗体やその結合
部分あるいはプローブは、抗体やその結合部分あるいはプローブを抗原に結合す
ること、および細胞を殺すまたは切除することの両方を可能にする効果的な条件
で細胞と接触する。好ましい形態として、かかる接触は、抗体やその結合部分あ
るいはプローブを抗原に結合すること、および細胞を殺すまたは切除することの
両方を可能にする効果的な条件で、哺乳動物に抗体やその結合部分あるいはプロ
ーブを投与することにより、生きている哺乳動物内でなされる。この投与は経口
または非経口で行い得る。
本発明の他の点は、生物サンプル中の正常、良性、増殖性および癌性の前立腺
上皮細胞を検出する方法に関する。その方法は、かかる細胞の抗原(表面抗原な
ど)を認識するが、血中を循環する抗原を実質的に認識しない抗体やその結合部
分あるいはプローブを提供することを含む。その抗体やその結合部分あるいはプ
ローブは、抗体やその結合部分あるいはプローブが細胞やその部分に結合する際
に細胞やその部分の検出を可能にするのに効果的なラベルと結合している。生物
サンプルは、生物サンプル中の細胞の抗原やその部分に抗体やその結合部分ある
いはプローブが結合するのを可能にする効果的な条件で、ラベルを有する抗体や
その結合部分あるいはプローブと接触する。生物サンプル中の細胞やその部分の
存在はラベルの検知により検出される。好ましい形態として、かかる接触は、生
きている哺乳動物内でなされ、生物サンプル中の細胞やその部分の抗原に抗体や
その結合部分あるいはプローブが結合するのを可能にする効果的な条件で、哺乳
動物に抗体やその結合部分あるいはプローブを投与することを含む。また、この
投与は経口または非経口で実施され得る。別法として、接触段階は、血清、尿ま
たは他の体液中でなされ得る。
正常、良性、増殖性および癌性の前立腺上皮細胞を殺し、切除し、あるいは検
出するのに適した抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルである。更に、
抗体フラグメント、半抗体、ハイブリド誘導体およびプローブが用いられ得る。
これらの抗体やその結合部分あるいはプローブは、正常、良性、増殖性および癌
性の前立腺上皮細胞中の細胞抗原やその部分を認識する。しかし、これらの抗体
やその結合部分あるいはプローブは血液中の抗原に実質的に結合しない。結果と
して、抗体やその結合部分あるいはプローブは、多数の前立腺上皮細胞やその部
分が存在する場所に集中する。
モノクローナル抗体の製造は、既知の技術により行われる。基本的に、その製
法は、哺乳動物(例えば、マウス)の脾臓から最初に免疫細胞(リンパ球)を取
得することであり、動物はインビトロまたはインビボで望む抗原で免疫化してお
く。次いで、抗体−分泌リンパ球を(マウスの)ミエローマ細胞または形質転換
細胞と融合する。この細胞は細胞培養中で際限なく複製することができ、それに
よって継代的な免疫グロブリン−分泌細胞ラインをつくる。得た融合細胞、すな
わちハイブリドーマを培養し、得たコロニーを望むモノクローナル抗体の製造の
ために選別する。この抗体をつくるコロニーをクローン化し、インビトロまたは
インビボで生育すると、多量の抗体がつくられる。このような細胞を融合する理
論的根拠および実際的方法については、Kohler and Milstein,Nature 256:495(
1975)(参照することにより、ここに合体する)に記載されている。
哺乳動物のリンパ球は、本発明のタンパク質またはポリペプチドでの動物(例
えば、マウス)のインビボ免疫により免疫される。かかる免疫は、抗体の充分な
力価を得るために、数週間の以上の間隔で繰り返すことが必要である。最後の抗
原強化の後に、動物を殺し、脾臓を摘出する。
哺乳動物のミエローマ細胞または細胞培養中で際限なく複製できる他の融合相
手との融合は、標準的な既知の技術、例えば、ポリエチレングリコール(PEG
)や他の融合剤を用いて行われる(参照、Milstein and Kohler,Eur.J.Immunol.
6:511(1976)参照することにより、ここに合体する)。この不死の細胞系は、好
ましくはネズミであるが、限定的でなくラットやヒトを含む他の哺乳動物の細胞
からも誘導され得るものであり、迅速な成長ができ、優れた融合能力を有するた
めに、ある種の栄養物の利用に必要な酵素を欠いて、選択される。これらの細胞
系の多くは当業者に知られており、その他の系も常に報告されている。
ポリクローナル抗体を生育する方法もよく知られている。典型的には、かかる
抗体は、本発明のタンパク質またはポリペプチドをニュージランド白兎(プレ免
疫血清を得るために、まず採血されている)に皮下投与することにより、増殖さ
れる。抗原を6カ所の異なる場所に1カ所につき計100μl注射する。各注射
物質には、合成表面活性アジュバント・プルロニックポリオールまたはSDSポ
リアクリルアミドゲル電気泳動後のタンパク質やポリペプチド含有の微細アクリ
ルアミドゲルが含まれる。最初の注射2週間後にウサギから採血し、、次いで定
期的に同じ抗原で3回6週おきに免疫強化する。各強化10日後にサンプルの血
清を採取する。抗体を捕らえる対応抗原を用いてアフィニティークロマトグラフ
ィーにより血清からポリクローナル抗体を得る。最後にウサギをフェノバルビタ
ール150mg/kgIVで安楽死させる。ポリクロナール抗体を得るこの方法
および他の方法は、E.Harlow,et al.,editors,Antibodies:A Laboratory Manual
(1988)(参照することにより、ここに合体する)に記載されている。
抗体全体の使用に加えて、本発明の方法は該抗体の結合部分の利用にも関する
。この結合部分には、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメントおよび
Fvフラグメントが含まれる。これらの抗体フラグメントは、タンパク質分解フ
ラグメンテイション法などの従来法によりつくられる。これは、J.Goding,Monoc lonal Antibodies:Principles and Practice
,pp.98-118(N.Y.Academic Press 19
83)(参照することにより、ここに合体する)に記載されている。
別の手段として、本発明方法において、天然に存在するプローブまたは組換え
DNA法あるいは他の生物学的方法により合成されたプローブが使用される。適
当なプローブは、本発明のモノクローナル抗体により同定される前立腺関連抗原
に結合する分子である。該プローブは、例えばタンパク質、ペプチド、レクチン
または核酸のプローブで有り得る。
下記の表1に同定されるモノクローナル抗体を使用するのが好ましい。
種々の表面抗原特性の前立腺上皮細胞を処理し、イメージングするために、これ
らの抗体あるいは他の抗体の混合物を用いることが特に望ましい。
本発明は、表1のモノクローナル抗体により認識される正常、良性、増殖性お
よび癌性の前立腺上皮細胞の抗原にも関する。
どのような抗体やその結合部分あるいはプローブが処置や治療に使用されても
、それらは、経口、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、点鼻、空洞または
小胞点滴、点眼、動脈内、病巣内に投与され、または鼻、喉および気管支などの
粘膜に適用される。単独で投与されるか、薬学的あるいは生理的に許容される担
体、賦形剤または安定剤とともに投与され、そして錠剤、カプセル、粉末、溶液
、懸濁液、エマルションなどの固体または液体の形態をとる。
固体用量形態は通常のタイプであり得る。固体形態は、本発明の抗体やその結
合部分および担体、例えば滑沢剤やラクトース、スクロースまたはトウモロコシ
デンプンなどの無活性充填剤を含有する通常のゼラチンタイプなどのカプセルで
あり得る。他の実施態様において、これらの化合物は、ラクトース、スクロース
またはトウモロコシデンプンなどの通常の錠剤基剤をアカシア、トウモロコシデ
ンプンまたはゼラチンなどの結合剤、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプ
ンまたはアルギン酸などの崩壊剤およびステアリン酸やステアリン酸マグネシウ
ムのような滑沢剤と併用して錠剤にされる。
本発明の抗体やその結合部分あるいはプローブは、薬学的担体と共に生理的に
許容される希釈剤中のこれらの物質の溶液または懸濁液により注射可能な用量形
態でも投与され得る。この担体には水や油などの液体があり、それに界面活性剤
およびアジュバント、賦形剤または安定剤などを含む他の薬理学的および栄養学
的に許容される担体が加えられたり、加えられなかったりする。上記した油は、
石油、動物、植物、合成を起源とし、例えばピーナッツ油、大豆油、鉱物油であ
る。一般的に、水、塩水、水性デキストールおよび関連糖溶液およびプロピレン
グリコールまたはポリエチリングリコールなどのグリコール類が好ましい液体担
体、特に注射用の担体である。
エアゾルとしての使用のために、溶液や懸濁液中の本発明の抗体やその結合部
分あるいはプローブは、適当な噴霧剤、例えばプロパン、ブタンまたはイソブタ
ンのような炭化水素系噴霧剤、通常のアジュバンドとともに、加圧エアゾル容器
に充填され得る。本発明の物質はネブライザーやアトマイザーなどの非加圧形態
でも投与され得る。
抗体やその結合部分あるいはプローブは、インビボでの正常、良性、増殖性お
よび癌性の前立腺上皮細胞を検出するのに、用いられる。抗体やその結合部分あ
るいはプローブをラベルし、それを哺乳動物に投与し、次いで哺乳動物をイメー
ジングして、検出する。
本発明による診断イメージングに有用なラベルの例には、131I,111In,12 3
I,99mTc,32P,125I,3H,14Cおよび188Rhなどの放射ラベル、フル
オレセインおよびローダニンなどの蛍光ラベル、核磁気共鳴活性ラベル、ルシフ
ェリンなどの化学発光体、ペロキシダーゼまたはホスファターゼなどの酵素マー
カ
ーがある。抗体やその結合部分あるいはプローブは既知の技術を用いてこれらの
試薬でラベルされる。例えば、抗体の放射ラベルについては、Wensel and Meare
s,Radioimmunoimaging and Radioimmunotherapy,Elsevier,New York(1983)(引
用することにより、ここに合体する)を参照。D.Colcher et al.,“Use of Mono
clonal Antibodies as Radiopharmaceuticals for the Localization of Human
Carcinoma Xenografts in Athymic Mice”,Meth.Enzymol.121:802-816(1986)(
引用することにより、ここに合体する)も参照。
放射ラベルされた本発明の抗体やその結合部分あるいはプローブは、インビト
ロ診断試験に使用され得る。標識された抗体やその結合部分あるいはプローブの
特異的活性は、放射活性ラベルの半減期や同位体純度と、いかにラベルが抗体や
その結合部分あるいはプローブに合体しているかとに依存する。表2は、いくつ
かの普通に使用される同位体、その特異的活性および半減期を表示する。免疫検
定において、特異的活性が高くなるほど、一般的に、感受性がよくなる。
抗体やその結合部分あるいはプローブを表2の放射活性同位体でラベルする方
法は、一般的に知られている。トリチウム・ラベル法は米国特許第4,302,4
38(引用することにより、ここに合体する)に記載されている。ネズミモノク
ローナル抗体に特に適用されるヨウ素化法、トリチウム・ラベル法および32Sラ
ベル法は、Goding,J.W.(上記、pp124-126)(引用することにより、ここに合体す
る)に記載されている。抗体やその結合部分あるいはプローブをヨウ化する他の
方法は、Hunter and Greenwood,Nature 144:945(1962),David et al.,Biochemis try
13:1014-1021(1974),および米国特許第3,867,517および4,376,
110(引用することにより、ここに合体する)に記載されている。イメージン
グに有用な放射ラベル元素は、例えば123I、131I、111Inおよび99mTcであ
る。抗体やその結合部分あるいはプローブをヨウ化する方法は、Greenwood,F.et
al.,Biochem.J.89:114-123(1963);Marchalonis,J.,Biochem.J.113:299-305(196
9);and Morrison,M.et al.,Immunochemistry,289-297(1971)(引用することによ
り、ここに合体する)に記載される。99mTcラベル法は、Rhodes,B.et al.in
Burchiel,S.et al.(eds.),Tumor Imaging: The Radioimmunochemical Detection of Cancer
,New York:Masson 111-123(1982)(引用することにより、ここに合
体する)に記載されている。抗体やその結合部分あるいはプローブを111Inラ
ベルするのに適した方法は、Hnatowich,D.J.et al.,J.Immul.Methods,65:147-1
57(1983),Hnatowich,D.et al.,J.Applied Radiation,35:554-557(1984),and Buc
kley,R.G.et al.,F.E.B.S.166:202-204(1984)(引用することにより、ここに合
体する)に記載されている。
放射ラベルされた抗体やその結合部分あるいはプローブの場合、抗体やその結
合部分あるいはプローブは患者に投与されて、抗原を生じる腫瘍に局在する。抗
体やその結合部分あるいはプローブは、その抗原と反応し、次いで、例えばガン
マー・カメラまたは発光断層撮影法を用いる放射核スキャンなどの既知方法でイ
ンビボで検出すなわち“イメージング”される。参照A.R.Bradwell et al.,“De
velopments in Antibody Imaging”,Monoclonal Antibodies for Cancer Detect ion and Therapy
,R.W.Baldwin et al.,(eds.),pp.65-85(Academic Press 1985)
(引用することにより、ここに合体する)。他方、放射ラベルが陽電子(例えば
、11C、18F、15Oおよび13N)を放出するときは、Brookhaven National Labo
ratoryに存在するPet VIなどの陽電子放出軸移送断層撮影スキャナーを使
用し得る。
発蛍光団および発色団ラベルされた抗体やその結合部分あるいはプローブは、
既知の標準的分子部分からつくられる。抗体および他のタンパク質が約310n
m以上の波長の光を吸収するので、選択される蛍光部分は、約310nm以上、
好ましくは400nm以上の波長で実質的な吸収を有するべきである。種々の適
当な発蛍光団および発色団は、Stryer,Science,162:526(1968)and Brand,L.et a
l.,Annual Review of Biochemistry,41:843-868(1972)(引用することにより、
ここに合体する)に記載されている。抗体やその結合部分あるいはプローブは、
米国特許第3,940,475、4,289,747および4,376,110(引用
することにより、ここに合体する)に記載のような通常の方法によって、蛍光発
色基でラベルされ得る。
上記のいくつかの望ましい特性を有する蛍光体のひとつのグループは、キサン
テン色素であって、これは、3,6−ジヒドロ−9−ヘニルキサントヒドロール
から誘導されたフルオレセイン、レサミン、3,6−ジアミノ−9−フェニルキ
サントヒドロールから誘導されたローダニン、リサニムローダミンBを含む。ロ
ーダミンBおよびフルオレセインの9−o−カルボキシフェニルキサントヒドロ
ール誘導体は9−o−カルボキシフェニル基を有する。アミノおよびイソチオシ
アネート基などの活性カップリング基を有するフルオレセイン化合物、例えばフ
ルオレセイン・イソシアネートおよびフルオレセスカミンは、容易に利用される
。蛍光化合物の他のグループは、αまたはβ位にアミノ基を有するナフチルアミ
ンである。
抗体やその結合部分あるいはプローブは、Goding,J.(上記、pp208-249)記載の
方法により発蛍光団または発色団でラベルされる。抗体やその結合部分あるいは
プローブは、NMR活性19F原子を含む指示基またはこのような原子の複数でラ
ベルされ得る。それは、(i)天然に豊富にあるフッ素原子の実質的にすべてが19
F同位体であり、したがって、実質的にすべてのフッ素含有化合物はNMR活
性であり、(ii)トリフルオロ酢酸無水物などの多くの化学的活性ポリフッ化化
合物が比較的低価格で市販されており、(iii)多くのフッ化化合物がヒトに医
学的に使用し得る事が知られ、過フッ化ポリエーテルがヘモグロビン置換などの
酸素移送に用いられているからである。インキュベーションの時間を取った後、
前立腺上皮細胞を局在化しイメージングするために、全体NMR測定をPykett,S cientific American
,246:78-88(1982)(引用することにより、ここに合体する)
に記載されるような機器を用いて実施する。
抗体やその結合部分あるいはプローブは、インビボで正常、良性、増殖性およ
び癌性の前立腺上皮細胞を切除または殺すためにも用いられる。抗体やその結合
部分あるいはプローブは、それのみ、または細胞障害剤とともに用いられて、正
常、良性、増殖性および癌性の前立腺上皮細胞を切除または殺す。それには、細
胞障害剤と結合した抗体やその結合部分あるいはプローブを処置を必要とする哺
乳動物に投与することが含まれる。抗体やその結合部分あるいはプローブは、前
立腺上皮細胞を認識するので、抗体やその結合部分あるいはプローブが結合する
ような細胞は破壊される。このような投与が正常な前立腺上皮細胞を破壊するが
、前立腺が生命に、すなわち生存に必要でないので問題でない。前立腺は間接的
に生殖に関係するが、本発明の処置を受ける患者にとって実際的に考慮すべき問
題ではなかったようである。
本発明の抗体やその結合部分あるいはプローブは、治療薬剤、放射化合物、植
物、かび、細菌源の分子、生物的タンパク質、およびこれらの混合物などの様々
な細胞障害剤を輸送するのに用いられる。
酵素的に活性のトキシンおよびそのフラグメントには、例えば、ジフテリア・
トキシンAフラグメント、ジフテリア・トキシンの非結合活性フラグメント、エ
キソトキシンA(Pseudomonas aeruginosaから)、リシンA鎖、アブリンA鎖、
モデシンA鎖、α−サクリン、ある種のAleurites fordiiタンパク質、ある種の
ジアンシン・タンパク質、Phytolacca americanaタンパク質(PAP,PAPI
IおよびPAP−S)、Morodica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、Sapo
naria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミタギリン、レストリクトシン、フェノ
マイシンおよびエノマイシンがある。酵素的活性タンパク質の製造方法は、WO
84/03508およびWO85/03508(引用することにより、ここに合
体する)に記載されている。ある種の細胞障害部分は、例えば、アドリアマイシ
ン、クロラムブシル、ダウノマイシン、メトトレキセート、ネオカルジノスタチ
ンおよびプラチナムから誘導される。
抗体やその結合部分あるいはプローブを細胞障害剤とコンジュゲートする方法
は、以前から知られている。クロラムブシルを抗体とコンジュゲートする方法は
、Flechner,I,.European Journal of Cancer,9:741-745(1973);Ghose,T.et al.,British Medical Journal
,3:495-499(1972);and Szekerke,M.,et al.,Neoplasma
,19:211-215(1972)(引用することにより、ここに合体する)に記載されている
。ダウノマイシンおよびアドリアマイシンを抗体とコンジュゲートする方法は、
Hurwitz,E.et al.,Cancer Research,35:1175-1181(1975)and Arnon,R.et al.,Ca ncer Surveys
,1:429-449(1982)(引用することにより、ここに合体する)に記載
されている。抗体−リシン・コンジュゲートを製造する方法は、米国特許第4,
414,148およびOsawa,T.,et al.,Cancer Surveys,1:373-388(1982)(引用
することにより、ここに合体する)に記載されている。カップリング方法は、E
P86309516.2(引用することにより、ここに合体する)に記載されて
いる。
別法において、抗体やその結合部分あるいはプローブは、高エネルギー放射物
、例えば、131Iなどの放射同位体とカップリングさすことができ、腫瘍部位に
局在して、いくつかの細胞を殺す。参照、例えば、S.E.Order,“Analysis,Resul
ts,and Future Prospective of the Therapeutic Use of Radiolabeled Antibod
y in Cancer Therapy”,Monoclonal Antibodies for Cancer Detection and The rapy
,R.W.Baldwin et al.(eds.),pp303-316(Academic Press 1985)(引用する
ことにより、ここに合体する)。前立腺癌が放射線に比較的感受性の腫瘍である
ことから、放射治療は特に効果的であると期待される。
本発明の抗体やその結合部分あるいはプローブは、特定のラベルを検出するた
めに、キットとして器具とともに使用され、販売される。
本発明の抗体やその結合部分あるいはプローブの治療的使用は、他の治療的処
置形態と併用することができる。その他の処置には、外科処置、放射線照射、冷
凍外科法、温熱療法、ホルモン治療、化学療法、ワクチンおよび他の免疫治療が
含まれる。
本発明にさらに包含されるものとして、予防のために抗体やその結合部分ある
いはプローブを用いて、殺す又は切除する方法がある。例えば、これらの物質は
、前立腺癌の発生あるいは進行を防止または遅延するのに用いられる。
本発明の前立腺癌治療には多くの利点がある。抗体やその結合部分あるいはプ
ローブは、前立腺上皮細胞のみを標的とするので、他の組織に影響しない。結果
として、抗体やその結合部分あるいはプローブによる処置は安全性が高く、特に
高齢者により安全である。本発明による処置は、前立腺癌の転移が起こりやすい
骨髄やリンパ節に高レベルの抗体やその結合部分あるいはプローブを向けるので
、特に効果的であると期待される。さらに、前立腺癌の腫瘍部位は大きさが小さ
い傾向にあり、従って、細胞障害剤により容易に破壊される。本発明による処置
は、血清前立腺特異抗原などの臨床パラメーター、患者の癌の病理的特性、グリ
ーソン・スコア、嚢外の、精液の、小胞の、眼周辺の侵入、リンパ節を含むポジ
チブ・マージンなどにより効果的に監視され得る。
実施例実施例1
ヒト組織
良性および悪性組織の新鮮な試料は、記念スローン−ケタリング癌センターの
病理学部門の腫瘍調達事業サービスにより提供された。
可溶性組織調製物(『SPTP』)は、新鮮な良性および悪性前立腺を始めに
機械的に細かく切り刻むことで調製した。組織を、ブレードホモジナイザー中で
、0.2mMフッ化フェニルメチルスルホニル(Sigma Chemical、セントルイス
、ミズーリ)および20μ/mlアプロチニン(Calbiochem、サンディエゴ、カ
リフォルニア)を含むpH7.2のリン酸緩衝溶液中で1分間ホモジナイズした
。ホモジネートを100,000gで60分間4℃で遠心し、上清をデカントし
取得した。実施例2
−組織培養
ヒト癌の培養細胞系は、記念スローン−ケタリング癌センターのヒト腫瘍免疫
学の研究所から得た。前立腺癌細胞系PC−3(Mickey、D.D.、et al.、『単層
培養および無胸腺マウスにおける固形癌としての、ヒト前立腺癌細胞系(DU1
45)の特徴づけ』、Prog.Clin.Biol.Res.、37:67-84(1980)、参照することに
より、ここに合体する)、DU−145(Mickey、D.D.、et al.、『単層培養お
よび無胸腺マウスにおける固形癌としての、ヒト前立腺癌細胞系(DU145)
の特徴づけ』、Prog.Clin.Biol.Res.、37:67-84(1980)、参照することにより、
ここに合体する)、およびLNCaP(Horoszewicz、J.S.、et al.、『ヒト前立
腺癌のLNCaPモデル』、Cancer Res.、43:1809-1818(1983)、参照するこ
とにより、ここに合体する)は、アメリカ基準菌株保存機構(ATCC)(Rockv
ille、MD.)から入手した。始めにハイブリドーマを、10%FCS、0.1mM
非必須アミノ酸、2mM L−グルタミン、100単位/mlペニシリン、10
0μg/mlストレプトマイシンおよびHAT培地(GIBCO、Grand Island、NY
)を追加したRPMI−1640培地中でクローン化した。サブクローンをアミ
ノプテリン非含有の同培地で培養した。実施例3
−マウスモノクローナル抗体の調製
BALB/cマウスを、1週間間隔で3回、新鮮な良性増殖および悪性前立腺
組織由来の機械的に切り刻んだ組織を用いて皮下注射により免疫化した。1週間
後、最後の腹膜免疫を投与した。3日後、脾臓細胞を、標準的な技術を用いて、
SP−2マウス骨髄腫細胞と融合させた。Ueda、R.、et al.、『マウスモノクロ
ーナル抗体により規定されるヒト腎臓癌の細胞表面抗原:組織特異的肝臓糖蛋白
質の同定』、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、78:5122-5126(1981)(参照することに
より、ここに合体する)。得られたクローンの上清を免疫組織化学によりスクリ
ーニングした。良性前立腺組織とは反応するが、正常リンパ節とは反応しないク
ローンを選別し、限界希釈法で3回サブクローニングした。各クローン由来の培
養上清の免疫グロブリンクラスを、特異的ウサギ抗血清を用いて免疫拡散法によ
り決定した(Calbiochem、サンディエゴ、カリフォルニア)。MAPS−IIキッ
トを用いて、mAbを精製した(Bio-Rad、リッチモンド、カリフォルニア)。実施例4
−mAbのビオチニル化
精製mAbを0.1MNaCO3中で2時間透析した。1mg/mlのmAb
1mlをジメチルスルホキシド中、ビオチンアミドカプロン酸N−ヒドロキシ
スクシンアミドエステル(Sigma)1mg/mlの0.1mlと混合し、4時間室
温で撹拌した。非結合ビオチンをPBSに対する透析により除去した。実施例5
−免疫組織化学的染色
ハイブリドーマの最初のスクリーニングにおいて、前立腺組織のクリオスタッ
ト画分を、前以て0.45%ゼラチン溶液で被膜したファルコン3034プレー
トカバー(Becton-Dickenson、Lincoln Park、NJ)のリング内に置いた。Marusi
ch、M.F.、『免疫組織化学的ハイブリドーマスクリーニング用の、組織画分を非
常に大量に調製する迅速な方法』、J.Immunol.Methods、111:143-145(1988)(
参照することにより、ここに合体する)。プレートを−80℃で貯蔵した。クリ
オスタット画分を10分間室温でPBS中、2%パラホルムアルデヒドで固定し
、PBSで洗浄後、内因性ペルオキシダーゼ活性は10分間室温でPBS中、0
.3%過酸化水素で処理することにより阻害された。画分を20分間PBS中、
2%BSAでインキュベートした後、mAbを60分間で室温にて加えた。スラ
イドは、PBSで充分に洗浄し、PBS中10%正常ヒト血清で1:100に希
釈したペルオキシダーゼ−コンジュゲートウサギ・アンチ−マウスIg(DAKO C
orp.、サンタバーバラ、カリフォルニア)と共に60分間、室温でインキュベー
トした。ジアミノベンジン反応後、画分をヘマトキシリンを用いて対比染色した
。
検知された抗原の表面細胞発現を確認するために、組織サンプルを集め、50
ミクロンの網目を通過させることにより、新鮮な前立腺組織を機械的に単一細胞
懸濁液中に分散させた。細胞懸濁液を洗浄し、1時間室温でmAbと共に、つい
でウサギ・アンチ−マウスIg−フルオレセイン(DAKO Corp.、サンタバーバラ
、カリフォルニア)と共にインキュベートした。スライドを蛍光顕微鏡で解読し
た。陰性対照はイソタイプ適合不適切mAbから成り、一方、アンチ−クラスI
MHC mAbは陽性対照として使用した。実施例6
−血清学的解析
アンチ−マウス免疫グロブリン混合血球吸着検定をすでに発表されているよう
に行った。Ueda、R.、et al.、『マウスモノクローナル抗体により規定されるヒ
ト腎臓癌の細胞表面抗原:組織特異性肝臓糖蛋白質の同定』、Proc.Natl.Acad.S
ci.USA
、78:5122-5126(1981)(参照することにより、ここに合体する)。指示
細胞を調製するために、0.01%塩化クロムを用いて、アンチ−マウスIg(D
AKO Corp.)を、0型ヒトRBCに結合させた。血清学的検定は、前以てテラサ
キプレート(Nunc、デンマーク)で培養した細胞で行った。抗体を室温で1時間
、標的細胞と共にインキュベートした。ついで、標的細胞を洗浄し、指示細胞を
1時間で加えた。実施例7
−前立腺酸性ホスファターゼ(『PAP』)に対するmAbの反応性
前立腺酸性ホスファターゼに対するモノクローナル抗体の反応性を直接的EL
ISAで検定した。精製PAP(Calbiochem、La Jolla、カリフォルニア)の連
続希釈液を一晩37℃でテラサキプレートに吸着させた。プレートをPBS0.
5%BSAで洗浄した。非特異的結合を阻害するために、PBS2%BSAを6
0分間、37℃でインキュベートした。ビオチニル化mAbを45分間室温でイ
ンキュベートした。PBS2%BSA中で1/6000に希釈したウサギ・アン
チ−PAP(Sigma、セントルイス、ミズーリ)を陽性対照として使用した。ウ
サギ・アンチ−PAPの次は、PBS2%BSA中のビオチン−コンジュゲート
ヤギ・アンチ−ウサギIg(Sigma)1/5000であった。ビオチニル化抗体
の次に、PBS2%BSA中、アビジン−コンジュゲートアルカリ性ホスファタ
ーゼSigma1/500を45分間室温で行った。アルカリ性ホスファターゼ(p
−ニトロフェニルリン酸)の基質を37℃でインキュベートし、反応性をテラサ
キプレートに適したアルテックELISA解読機にて、OD405で解読した。陰
性対照では、PAP抗原および/またはウサギアンチ−PAPを削除した。実施例8
−前立腺特異的抗原(『PSA』)に対するmAbの反応性
前立腺特異的抗原に対するモノクローナル抗体の反応性を二抗体サンドウィッ
チELISAで検定した。炭酸被膜緩衝液中で1/1000に希釈したウサギア
ンチ−PSA(Accurate Chemical and Scientific Corp、NY)を用いて、テラ
サキプレートを一晩37℃で被膜した。PBS2%BSAを使用して非特異的結
合を阻害した。可溶性前立腺組織調製物(『SPTP』)によりPSA源が提供
された。SPTPをPBS2%BSA中で連続的に希釈し、室温で45分間イン
キュベートした。ビオチニル化mAbを45分間で加えた。アビジン−コンジュ
ゲートアルカリ性ホスファターゼおよび基質は、直接的ELISAのために、上
記のように使用した。陰性対照では、ウサギアンチ−PSA捕獲抗血清またはP
SA(SPTP)を削除した。実施例9
−免疫沈降反応
SPTPをコンカナバリンAカラムにのせ、0.2M a−メチル D−マンノ
シドで溶出した。PSAを含む画分は、ウサギ・アンチ−PSAおよびビオチン
−コンジュゲートプロスト410を用いてサンドウィッチELISAにより決定
した。貯蔵PSA画分をクロラミドT方法によりI−125でラベルした。非結
合I−125をPD10カラム(BIO-RAD、リッチモンド、カリフォルニア)で
除去した。ラベル化抗原は、正常マウスまたはウサギ血清で一度安全性を事前に
確認し、mAbまたはポリクローナル抗体およびタンパク質Aセファロース(Bo
ehringer Manheim Biochem)で沈降させた。連続的免疫沈降反応で、ラベル化抗
原は、正常血清で安全性を確認し、第一番目の抗体で3回安全性を確認した。得
られた上清を第2番目の抗体およびタンパク質Aセファロースで沈降させた。La
emmliの方法で、各沈澱物を9%SDS−PAGEに適用した。Laemmli、U.K.、
『バクテリオファージT4の頭部が会合する間の構造タンパク質の除去』、Natu re (London)
、227:680-685(1970)、参照することにより、ここに合体する。
この融合で得られたおよそ800個のクローン中6個のクローンを前立腺上皮
との免疫組織化学的反応性およびリンパ節組織との無反応に基づき最初に選別し
た。サブクローン化した後、混合血球吸着検定を用いて、6個のハイブリドーマ
由来の上清を、細胞系のパネルについて検定した(表3)。
プロスト16およびプロスト284は、実質的に同じ反応性を示した;プロス
ト284は、IgMなので、IgG1であるプロスト16に偏っている。プロス
ト410は、LNCaPのみと反応し、プロスト30、プロスト130、および
プロスト185は、前立腺癌細胞系のPC−3、DU145、およびLNCaP
を含むあらゆる細胞系と反応しなかった。タンパク質Aカラムを用いて5個の選
別されたmAbを精製した後、正常ヒト組織におけるこれらのmAbの反応性を
免疫組織化学的に測定した(表4)。
プロスト16は広範な反応性を示し、これ以上特徴づけをしなかった。プロス
ト130およびプロスト185は、相対的に限定された、ほとんど同じ反応性を
示した。プロスト30およびプロスト410は、極めて限定された反応性を示し
た。これら5個のmAbはどれも、正常ラット前立腺にもダニングR3327ラ
ット前立腺癌細胞系にも免疫組織化学的反応性を示さなかった。mAb プロスト30
:精製プロスト30(40μg/ml)は、MHAにより
、74個のヒト細胞系の増量されたパネルのいずれとも反応しなかった。間接的
免疫ペルオキシダーゼ検定により、プロスト30はまた、2%パラホルムアルデ
ヒド固定後に、29個の細胞系(LNCaP、PC−3、およびDU145を含
む)のいずれとも反応しなかった。凍結組織画分の免疫組織化学的研究により、
全ての35個の良性および30個の悪性前立腺は、プロスト30に陽性であるこ
とが示された(図1)。プロスト30は前立腺上皮細胞および蛍光分泌物と反応
した。試験した他の組織はどれも、19個中7個の正常腎試料および7個中1個
の肺癌において、いくらかの細管と弱く異種的に反応する以外は反応性がなかっ
た(表5および6)。
全3個のmAbでの相対的終点滴定に基づくと、前立腺組織の免疫反応性は他
の陽性組織の200−500倍であった。
全ての3個のmAbでの相対的終点滴定に基づき、前立腺組織の免疫反応性は
他の陽性組織の200−500倍であった。
n.t.=未試験
mAbプロスト30はパラフィン画分と反応しなかった。新鮮な、生存能力の
ある前立腺細胞を蛍光免疫検定すると、細胞表面蛍光が示された。プロスト30
により認識される抗原は、熱感受性であり、20mM過ヨウ素酸ナトリウムでの
処理に耐性であった。プロスト30は、ELISAにより、PSAまたはPAP
のいずれにも反応しなかった。mAbプロスト130およびプロスト185
:前述したように、mAbプロスト
130およびピロスト185は、細胞系標的物(すなわち、非反応性;表3参照
)および組織画分に対して実質的に同等の反応性を示した(表5および6;図2
参照)。質的にはプロスト30のように組織特異性ではないので、プロスト13
0および185は質的に極めて特異的であった。すなわち、プロスト130およ
び185のIHC終点滴定は、他のIHC−反応性組織におけるよりも、前立腺
組
織におけるものの方が200−500倍高かった。プロスト30のように、mA
bプロスト130および185もまた、パラフィン画分と反応しなかった。新鮮
で、生存能力のある前立腺細胞を蛍光免疫検定すると、細胞表面に蛍光を示した
。mAbは、両方共、直接的ELISAによりSPTPに対して反応性であった
。二抗体サンドウィッチELISAを用いて、プロスト130により捕獲された
抗原は、プロスト130−ビオチンまたはプロスト185−ビオチンのいずれか
に反応したが、第2の抗体であるプロスト410−ビオチンには反応しなかった
(図3A)。逆に、一次抗体であるプロスト185を用いて捕獲した抗原は、プ
ロスト130−ビオチンとは反応したが、二次抗体であるプロスト185−ビオ
チンまたはプロスト410−ビオチンのいずれとも反応しなかった(図3B)。
これらの結果により、プロスト130およびプロスト185は同じ分子を認識し
、この分子は唯1つのプロスト185−反応性エピトープ以外に少なくとも2つ
のプロスト130−反応性エピトープを有すが、抗原はPSAではないことが示
される。
プロスト130およびプロスト185エピトープが異なることを確認するため
に、二抗体サンドウィッチ競合的ELISAを行った(図4)。SPTP由来の
抗原はプロスト130により捕獲された。非コンジュゲートmAbプロスト13
0、プロスト185、およびプロスト410をプロスト130−ビオチンによる
結合と競合させるために加えた(図4A)。プロスト185でもプロスト410
でもなく、プロスト130のみが、プロスト130−ビオチン結合を阻害し得た
。同様に、プロスト130でもプロスト410でもなくプロスト185のみが、
プロスト185−ビオチンを阻害し得た(図4B)。mAbプロスト410
:ウサギ・アンチ−マウスIgMHAおよびELISA検
定を用いて、40μg/mlの精製プロスト410は、試験した83個のヒト細
胞系のLNCaP系とのみ反応した。免疫組織化学法によると、このプロスト4
10は試験した全ての正常で、増殖性および新生物形成の前立腺組織画分と反応
した(図1、表5)。サンドウィッチELISA検定により、プロスト410の
前立腺特異的抗原(『PSA』)に対する反応性が示された。プロスト410の
PSA反応性は免疫沈降法により確認された。
mAbを前立腺関連分子にしようとする従来の試みは、PAPまたはPSAな
どの前立腺起源の、すでに特徴づけがなされた分子を指向するか、あるいは、正
常または増殖前立腺上皮(すなわち、BPH)から前立腺癌を区別する抗原を明
確にすることを指向してきた。本研究においては、異なる試みを行った。局所結
節のイメージングを改善する必要が、臨床的に価値のあるゴールとして認められ
ている。なぜなら、この部分は転移拡大がよく見られる部位であり、また、手術
の段階における手法なしには評価するのが困難であるからである。目的は局所的
(骨盤)リンパ節内における前立腺癌の臨床的イメージングに使用するmAbを
開発することであった。数多くの仮定がなされた。第一に、mAbは、BPHま
たは正常前立腺から前立腺癌を区別する必要は特にない。なぜなら、リンパ節内
の前立腺抗原発現細胞の存在は、明らかに転移性前立腺癌である。特異性の要件
が拡がったことは、実質的に成功の可能性を増加させたように思われた。第2に
、全身性ではなく、選択的経路(すなわち、前立腺内への、または前立腺周辺へ
の注入または、下肢の皮下注入もまた期待される)を介した患者へのmAbの投
与である。動物(Weinstein、J.N.、et al.、『リンパにおけるモノクローナル
抗体:腫瘍転移の診断および治療に向けて』、Science、218:1334-1337(1982)
;Weinstein、J.N.、et al.、『リンパにおけるモノクローナル抗体:固形腫瘍
のリンパ節転移部位への選択的運搬』、Science、222:423-426(1983);Parker
、R.J.、et al.、『リンパにおけるネズミ放射ラベルモノクローナル抗体の標的
化』、Cancer Res.、47:2073-2076(1987)、参照することにより、ここに合体
する)およびヒト(Keenan、A.M.、et al.、『インジウム−111−ラベルT1
01モノクローナル抗体の皮下注入後のリンパ腫をもつ患者における免疫シンチ
グラフィー』、J.Nucl.Med.、28:42-46(1987);Keenan、A.M.、et al.、皮膚
T細胞リンパ腫をもつ患者における免疫シンチグラフィーおよびインジウム11
1−ラベルT101モノクローナル抗体の用量依存性』、Cancer Res.、47:6093
-6099(1987)、参照することにより、ここに合体する)。研究によると、mA
bの付着抗原特異性に対する解剖的選択性などを列挙することにより顕著な効力
のある利
点が示されている。それ故、予期される局所投与によりmAb特異性要件がさら
に広くなった。この設定により、結節の反応性がなくても、前立腺反応性に基づ
き単純にクローンをスクリーニングし選別することが妥当となった。
本研究で産生されたmAb中、プロスト30、130、および185は以前に
明確にされた前立腺関連mAbとは異なるようである。例えば、mAb PD4
1(Beckett、M.L.、et al.、『モノクローナル抗体PD41は、前立腺癌に限
定された抗原を認識する』、Cancer Res.、51:1326-1333(1987)、これは参照
することにより、ここに合体する)、P25.48およびP25.91(Bazinet
、M.、et al.、『新しい前立腺特異的抗原を規定する、P25.48およびP2
5.91である、2つのモノクローナル抗体の免疫組織化学的特徴づけ』、Cance r Res.
、48:6938-6942(1988)、参照することにより、ここに合体する)、およ
びP6.2(Wright、G.L.、Jr.、et al.、前立腺癌関連抗原の免疫組織化学的局
在化』、Cancer Res.、43:5509-5516(1983)、参照することにより、ここに合
体する)は、前立腺癌の部分集合に限定された抗原を明確にするが、正常または
増殖前立腺上皮細胞により発現されない。正常で、増殖性、および新生物形成性
の前立腺細胞に関係する抗原を規定するmAb中、クローン35(Frankell、A.
E.、et al.、『ヒト前立腺抗原に対するモノクローナル抗体』、Cancer Res.、4
2:3714-3718(1982)、参照することにより、ここに合体する)は、乳房上皮お
よび膀胱癌細胞系T−24とクローン35が反応することにより、ここで報告さ
れたmAbとは異なる。クローン35を膜ラジオ免疫検定(『RIA』)により
検定した場合、前立腺組織よりも正常腎臓との方がより反応性を示す。クローン
24(Frankel、A.E.、et al.、『ヒト前立腺抗原に対するモノクローナル抗体
』、Cancer Res.、42:3714-3718(1982)、参照することにより、ここに合体す
る)は、PC−3細胞系と反応性を有するが、膜RIAにおいては、BPHに対
する高い反応性を示したが、前立腺癌とはバックグラウンドの反応性しか示さな
かった。mAb αPro3(Ware、J.L.、et al.、『ヒト前立腺癌抗原を認識す
るモノクローナル抗体αプロ3の産生』、Cancer Res.、42:1215-1222(1982)
、参照することにより、ここに合体する)、結合PC−3細胞、および免疫組織
化学法は
行わなかったが、組織抽出物を使用する吸収検定は、BPHにおけるよりも広い
範囲の非前立腺組織においてより大きな抗原発現を示すようである。mAb F
77により検知されるエピトープ(Carroll、A.M.、et al.、『組織特異的細胞
表面抗原に対するモノクローナル抗体』、Clin.Immunol.And Immunopathol.33:2
68-281(1984)、参照することにより、ここに合体する)、KB−P8(Raynor
、R.H.、et al.、『新しい前立腺特異的マーカーを検知する、モノクローナル抗
体KR−P8の特徴づけ』、J.Natl.Cancer Inst.、73:617-625(1984);Rayno
r、R.H.、et al.、『モノクローナル抗体により同定された前立腺関連抗原の生
化学的特質』、KR−P8、Prostate、9:21-31(1986)、参照することにより
、ここに合体する)、TURF−27およびTURF−73(Starling、J.J.、
et al.、『ネズミモノクローナル抗体により規定されるヒト前立腺組織抗原』、Cancer Res.
、46::367-374(1986)、参照することにより、ここに合体する)は
、プロスト30、130または185と異なりホルマリン固定/パラフィン固定
組織画分で検出可能である。TURP−73抗原はまた、いくつかの前立腺癌細
胞系において検出可能である。以前に報告された1つのmAb、7E11−C5
(Horoszewicz、J.S.、et al.、『上皮前立腺細胞および前立腺癌患者の血清に
おける新しい抗原性マーカーに対するモノクローナル抗体』、Anticancer Res.
、7:927-936(1987)、参照することにより、ここに合体する)は、プロスト3
0、130、および185に類似の特徴を有する。これらの類似点には、細胞系
との反応性の欠如、いくつかの尿細管との弱い免疫組織化学的反応性、および全
ての正常、BPH、および試験した新生物形成前立腺との反応性を含む。しかし
ながら、異なる特徴もある:7E11−C5は固定化後にLNCaP細胞と反応
し、骨格筋と免疫組織化学的反応性を有すること(Lopes、A.D.、et al.、『ア
ンチ前立腺モノクローナル抗体7E11−C5由来の部位特異的免疫コンジュゲ
ートCYT−356の免疫組織化学的および薬物動力学的特徴』、Cancer Res.
、50:6423-6429(1990)、参照することにより、ここに合体する)および、少な
くとも初めの報告では、血清中での7E11−C5 Agの存在(Horoszewic、J
.S.、et al.、『上皮前立腺細胞および前立腺癌患者の血清における新しい抗原
性マーカ
ーに対するモノクローナル抗体』、Anticancer Res.、7:927-936(1987)、参照
することにより、ここに合体する)。
以前に発表されたmAb中、前立腺癌をイメージングするための臨床的評価を
すでに開始した者もいる(Vihko、P.et al.、『前立腺酸性ホスファターゼを用
いた前立腺癌の放射イメージング−特異的抗体』、Biotechnology In Diagnosti cs
、pp.131-134(1985)、Babaian、R.J.、et al.、『111−インジウムラベ
ルモノクローナル抗体PAY276を用いた転移性前立腺癌のラジオ免疫検定イ
メージング、J.Urol.、137:439-443(1987);Leroy、M.、et al.、『前立腺癌
におけるリンパ節侵入の放射免疫検出』。『インビボにおけるヨウ素123(1
23−I)ラベルモノクローナルアンチ前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)2
27A F(ab')2抗体フラグメントの使用』、Cancer、64:1-5(1989);M
eyers、J.F.、et al.、『転移性前立腺癌のモノクローナル抗体イメージングの
発展』、The Prostate、14:209-220(1989)、参照することにより、ここに合体
する)。例えば、PSAに対するmAbはイメージングに使用されたが、あまり
成功することがなかった(Meyers、J.F.、et al.、『転移性前立腺癌のモノクロ
ーナル抗体イメージングの発展』、The Prostate、14:209-220(1989)、参照す
ることにより、ここに合体する)。PSA抗原の性質からして、これはおそらく
驚くべきことではない。PSAは大変組織特異的であるが、抗原は基本的に細胞
表面発現をほとんど有さない細胞質である(Warhol、J.J.、et al.、『増殖およ
び新生物形成ヒト前立腺における、前立腺特異的抗原および前立腺酸性ホスファ
ターゼの超構造局在化』、J.Urol.、134:607-613(1985)、参照することにより
、ここに合体する)。さらに、PSAが分泌され、血清中に検出できる。PSA
に対する抗体を全身投与することにより免疫複合体形成、網内系への取り込み、
および結果として起こるバックグラウンドのイメージングをもたらすと期待され
る。
PAPに対するmAbもまた、イメージングについて研究された(Vihko、P.
、et al.、『前立腺酸性ホスファターゼを用いた前立腺癌の放射イメージング−
特異的抗体』、Biotechnology In Diagnostics、pp.131-134、(1985);Leroy
、M.、et al.、『前立腺癌におけるリンパ節侵入の放射免疫検定。インビボでの
、ヨウ
素123(123−I)ラベルモノクローナルアンチ−前立腺酸性ホスファター
ゼ(PAP)227A F(ab')2抗体フラグメントの使用』、Cancer、64:1
-5(1989)、参照することにより、ここに合体する)。PAPは基本的に細胞質
の分泌抗原であるなどのPSAに類似の特徴を有すが、局所的、すなわち、前立
腺周辺注入を用いた試みが初めて成功した(Leroy、M.、et al.、『前立腺癌に
おけるリンパ節侵入の放射免疫検定。インビボでの、ヨウ素123(123−I
)ラベルモノクローナルアンチ−前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)227A
F(ab')2抗体フラグメントの使用』、Cancer、64:1-5(1989)、参照する
ことにより、ここに合体する)。おそらく、このような抗原性標的物の欠点は選
択的/局所的投与により克服され得る。
抗体プロスト130およびプロスト185は、このような選択的部位投与を介
した研究に値するとみられる。これらの抗体は検出抗原上の少なくとも3つのエ
ピトープを標的とし、抗原は細胞表面に強く発現され、循環しない。プロスト1
30/プロスト185を発現する正常組織(胸腺、耳下腺、結腸、包皮および胎
盤)は、大きな実際上の問題を引き起こさない。
イメージングだけでなく治療にも使用されることが現在評価されているもう1
つのmAbは、CYT−356(Lopes、A.D.、et al.、『アンチ前立腺モノク
ローナル抗体7E11−C5由来の部位特異的免疫コンジュゲートCYT−35
6の免疫組織化学的および薬物動力学的特徴』、Cancer Res.、50:6423-6429(1
990);Wynant、G.E.、『前立腺癌の免疫シンチグラフィー:111In−ラベルモ
ノクローナル抗体7E11−C5.3(CYT−356)の初期の結果、The Pro state
、18:229-241』(1991)、参照することにより、ここに合体する)、7E
11−C5のサブクローン(Horoszewicz、J.S.、et al.、『上皮前立腺細胞お
よび前立腺癌患者の血清における新しい抗原性マーカーに対するモノクローナル
抗体』、Anticancer Res.、7:927-936(1987);Lopes、A.D.、『アンチ前立腺
モノクローナル抗体7E11−C5由来の部位特異的免疫コンジュゲートCYT
−356の免疫組織化学的および薬物動力学的特徴』、Cancer Res.、50:6423-6
429(1990)、参照することにより、ここに合体する)である。記述したように
、
このmAbとプロスト30の間にいくつかの類似点があった。初めのイメージン
グの結果により、CYT−356に効果がありそうである(Wynant、G.E.、et a
l.、『前立腺癌の免疫シンチグラフィー:111In−ラベルモノクローナル抗体
7E11−C5.3(CYT−356)での初期の結果、The Prostate、18:229-
241(1991)、参照することにより、ここに合体する)。
mAbプロスト30は、局所または全身投与のいずれかによる、正常および新
生物形成前立腺への局在化に最適の特質を有するようである。実際、mAbプロ
スト30は、他の抗体−mAb G250−(腎癌の患者における臨床試験にお
いて成功したことがすでに示されている)と共に多くの特徴を有する。Oosterwi
jk、E.、et al.、『ヒト腎細胞癌における抗体局在化:モノクローナル抗体G2
50の第1相試験』、J.Of Clin.Oncol.、11:738-750(1993)、参照することに
より、ここに合体する)を参照。これらの共通の特徴には、イソタイプ(γ1)
、免疫組織化学法による高度な特異性、細胞表面発現および循環抗原の不在が含
まれる。G250では、正常組織取り込みの非存在下で原発性および転移性腎臓
癌部位の両方における特異的で高レベルの蓄積が明らかにされている。免疫シン
チグラフィー試験で、高い感受性(12人中3人の患者に、mAb G250走
査で検出された疾病部位があった。これは通常の試験では診断されなかったもの
である)および高い(100%)特異性−全てのmAb検出部位は組織病理学的
に腎臓癌を確認した。転移性前立腺癌部位へのmAb局在化が可能であることに
より、診断的免疫シンチグラフィーにおいてだけでなく、転移性疾病の治療を指
向した抗体にも有益であり得る。正常または増殖性の前立腺へ局在できることに
より、大きな問題は提起されない。実際、これは利点と考えられる。もし、プロ
スト30が前立腺によく局在することを示すことができれば、BPHの処置、ま
たはBPHまたは前立腺癌の予防において、前立腺の局在化癌の処置(単独また
は他の療法との組み合わせで)に臨床的に有効である。実施例10
−臨床データ
前立腺癌の診断を受けた15人の患者は、手術(すなわち、前立腺全切除)ま
たは疑いのある病巣の生検の1週間前に、131ヨウ素(10mCi)ラベルmA
bプロスト30の静脈内投与を受けた。プロスト30注入と手術/生検との間の
週に、患者は2〜3回、全身放射性核種走査および1回のSPECT走査を受け
た。3人からなる連続的な患者は、プロスト30(全て10mCi131ヨウ素)
の漸増用量を受けた:1.0mg(3人の患者)、2.0mg(3人の患者)、5
.0mg(3人の患者)、10.0mg(3人の患者)、および20.0mg(3
人の患者)。
15人の患者中、14人が本来の位置に前立腺を有していた。これらの場合の
全てにおいて、前立腺は全身および走査像において視覚化され得る。本来の位置
に前立腺をもたない1人の患者では、前立腺床にプロスト30が全く局在しない
ことが示され、これにより、特異性および偽陽性の不存在が示される。2人の患
者には、慣用的なCT走査により明白な転移性疾病があった。両方の場合におい
て、モノクローナル抗体像はこれらの部位を視覚化した(1人の患者:リンパ節
に加えて肝臓;2番目の患者:リンパ節)。3例において、切削された前立腺試
料を切削の時に引き出された血管に沿って走査/イメージングした。これらイメ
ージング(図5参照)は、血液または他の正常組織に比較して、前立腺(疾病の
標的部位)におけるラベル化プロスト30の特異的および選択的蓄積および濃度
を示す。これは、前立腺細胞が体のどこにあろうと(例えば、リンパ節、骨髄等)
、プロスト30がこれらの細胞に結合することを示す。
上記の試験の患者2人は、試験の前に前立腺特異的抗原(『PSA』)が増加
している進行性のホルモン難治性疾病にかかっていた。プロスト30の投与に続
いて、PSAの推移が逆となり、かなり低下した(約75%)。PSAは9−1
0カ月間、前処理の基線レベルに戻らなかった。前以てホルモン療法で処置され
ていない3人の患者に対しプロスト30の直後にホルモン療法を行った。PSA
は下降し、非検知レベルに維持された。再発の高い危険性をもつ4人を含む5人
の患者(すなわち、高い前処理PSAおよび逆の病理特徴をもつ)は、プロスト
30に加えて手術を受けた。これらの患者の誰もまだ再発していない。1人の患
者が放射療法に続いてプロスト30を受けた。この患者は、前処理PSA、イメ
ージング試験および生検に失敗の危険性が高いが、検知不可能な血清PSAレベ
ルに完全に応答し、疾病の症候はない。上記の結果は、プロスト30抗体自体が
治療効果を有することを示す。投与用量のわずか1mgが実際に131Iでレベル
されているが、投与用量(0〜19mg)の残りはヨウ素を含有しなかった。プ
ロスト30モノクローナル抗体に付着した131ヨウ素ラベルは、治療効果をもた
らすとするには不充分な極微量である。
7人中2人の患者は、プロスト30処置後に、大変感度の高い検定により明確
にされたように、ヒトアンチ−マウス抗体(HAMA)形成の症候が現れなかっ
た。2人のホルモン難治性患者でHAMAが生じなかった。
非コンジュゲートプロスト30を用いた第I/II相治療試験が始められた。
参加した最初の2人の患者に、PSA下降が見られ、これは治療に有益であるこ
とを示す。実施例11
−C37およびC219モノクローナル抗体
BALB/cマウスをLNCaPヒト前立腺癌細胞系の細胞懸濁液で1回免疫
した。およそ4日後に、マウスを殺戮し、脾臓をハイブリドーマ調製のために取
り出した。この免疫方法は、補体固定において最も強いIgM抗体の作成に最適
である(すなわち、それらは、標的細胞の補体溶解を仲介するのに最も良い)。
IgMは、非常に大きな分子(IgGよりも5−10倍大きい)であるので、モ
ノクローン化研究にはしばしば敬遠され、腫瘍沈着物を貫通し得るかどうかの疑
問がある。このことは、転移性疾病の支配部位がIgMに容易に接近できるべき
骨髄およびリンパ節であるので、有利であり得る。逆に、正常組織は、交差反応
の機会を減少させて、低いレベルのこれらのIgMにさらされる。
候補となる抗体は、免疫細胞系(LNCaP)を標的とした補体固定検定を用
いて、スクリーンし、選別した。ハイブリドーマ上清をヒト血清(すなわち、補
体源)の存在下、標的細胞と共にインキュベートし、その上清が標的細胞を溶解
/殺戮するハイブリドーマを選別した。非前立腺細胞をも溶解するいかなる抗体
も選別されなかった。結果として、大変効力があり、LNCaPの溶解に特異的
であるC37およびC219を指向する2つのクローンを同定した。さらに、こ
れらの抗体は、結合したときに、相加的ではなく相乗的に機能した。
補体などの細胞障害性機構を使用する試みは、コンジュゲート薬剤を使用する
方法よりも優れる本質的な利点を有する。それにより薬剤を抗体に結合させる必
要がなくなり、かかるコンジュゲートはコンジュゲート自体の科学を発展させつ
つある。これらの薬剤がどのように細胞を殺すかに関連した全ての問題もまた解
決する。例えば、放射性同位体を使用するとの考え方は、連結問題のために複雑
であるだけでなく、放射放出体の科学でもある。アルファ、ベータ、またはガン
マ放出体を使用するのか。内在性または非内在性抗原を必要とするのか。補体仲
介細胞障害性などのこれらの内因性細胞障害性メカニズムを使用すると、コンジ
ュゲート薬剤の副作用もまたなくなる。また治療薬の取り扱いおよび調製をより
簡単にする。さらに、補体系はそれ自体で自己増加する。すなわち、カスケード
中の各連環酵素は、活性化されると、順次、さらに多くの分子を活性化し、増幅
工程をおこす。
補体系を引き起こす部分的効果は、免疫細胞を含む白血球を走化性因子の放出
による領域に補充することである。結果として、補体系は、引き起こされるメカ
ニズムのように抗体単独を使用して、細胞性およびホルモン性の極めて大量の増
幅された免疫応答を産生する。
本発明を説明の目的で詳細に記載したが、このような詳細な記述は唯その目的
のためになされたものであり、以下の請求の範囲で定義される本発明の精神およ
び範囲からそれることなく、当業者による変法をなし得る。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
A61K 49/00 A61K 49/00 A
51/00 C07K 16/30
C07K 16/30 C12P 21/08
C12N 5/10 C12Q 1/68 A
15/02 G01N 33/574 D
C12P 21/08 C12N 15/00 C
C12Q 1/68 A61K 43/00
G01N 33/574 C12N 5/00 B
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),AL,AM,AT,AU,AZ,BB,B
G,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,DE,DK
,EE,ES,FI,GB,GE,HU,IS,JP,
KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR,LS,L
T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX
,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,
SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,U
G,UZ,VN