【発明の詳細な説明】
平滑筋細胞増殖の阻害薬としてのスチリルベンゾイミダゾール誘導体
本発明は、平滑筋細胞増殖阻害薬として有用なスチリルベンゾイミダゾール誘
導体、ならびに、平滑筋細胞増殖に関連する疾患または状態の治療における、こ
れら化合物およびこれら化合物を含有する医薬組成物の使用、ならびに、かかる
化合物の製造方法に関する。
血管平滑筋細胞の増殖および有向移動は、高血圧誘発性の血管リモデリング、
血管再狭窄およびアテローム性動脈硬化のような過程における重要な血管閉塞要
素である(ギボンズ,ジー・エイチ(Gibbons,G.H.);ジャウ・ヴイ・ジェイ(Dz
au,V.J.);NEJM,1994;330:1431)。全体の疾患過程は、この疾患過程の病態
に基づいて、過増殖性血管病と呼ばれる。血管閉塞前には、内膜平滑筋細胞の過
形成が原因で、狭窄が生じる(クロウズ,エイ・ダブリュ(Clowes,A.W.);レイ
ディ,エム・エイ(Reidy,M.A.);ジャーナル・オブ・バスキュラー・サージ
ェリー(J.Vasc.Surg.),1991;13:885)。内膜平滑筋細胞の過形成の根本原
因は、内皮および細胞外基質の破壊に至る血管平滑筋細胞の損傷である(シュワ
ルツ,エス・エム(Schwartz,S.M.),ヒューマン・パソロジー(Human Pathology
),1987;18:240;フィンジャーレ,ジェイ(Fingerle,J.),アルテリオスクレ
ロシス(Arteriosclerosis),1990;10:1082)。通常、動脈壁の細胞は、精密な
負の制御下にあり、低基礎増殖状態または静止非増殖状態にある。血管損傷後、
増殖因子およびサイトカインの放出は、平滑筋細胞の増殖および移動をもたらす
(ファジン,ジェイ・エイ(Fagin,J.A.);フォレスター,ジェイ・エス(Forres
ter,J.S.),トレンズ・イン・カーディオヴァスキュラー・メディスン(Trends
in Cardiovascular Med.),1992;2:90;シラタニ,エム(Shiratani,M.);ユ
イ,ワイ(Yui,Y.);カワイ,シー(Kawai,C.),エンドテリウム(Endothelium)
,1993;1:5)。
内膜過形成に至る血管損傷は、免疫学的に、または、侵襲的な心臓血管処置に
よって誘発し得る。アテローム性動脈硬化症は、狭窄に進行する生物学的な間接
的血管損傷の一般的な形態である。血管平滑筋細胞の異常な増殖は、内膜傷害の
部位における閉塞性の新しい内膜障害の原因となるアテローム性動脈硬化プラー
クの特徴である(ロス,アール(Ross,R.),ネイチャー(Nature),1993;362:8
01;キャッセルズ,ダブリュ(Cascells,W.),サーキュレーション(Circulation
),1992;86:723)。内膜過形成に至る機械的な損傷は、血管の無傷性を破る、
血管形成術の処置、臓器移植手術および他の血管侵襲的処置の後に発生し得る(
クロウズ,エイ・ダブリュ(Clowes,A.W.);レイディ,エム・エイ(Reidy,M.A.
),ジャーナル・オブ・ヴァスキュラー・サージェリー(J.Vasc.Surg.),1991
;13:885;アイシック,エフ・エフ(Isik,F.F.);マクドナルド,ティー・オ
ー(McDonald,T.O.);ファーグソン,エム (Ferguson,M.);ヤナカ,イー(Yan
aka,E.),アメリカン・ジャーナル・オブ・パソロジー(Am.J.Pathol.),1992
;141:1139)。
経皮経管的冠動脈血管形成術は、冠動脈狭窄の治療に広く取り入れられている
。この処置では、内皮が傷害を受けて、血液由来または損傷の部位で放出される
様々な化学誘因物質および分裂促進因子に曝露される。これらの薬剤のうち、血
小板由来増殖因子(PDGF)は、平滑筋細胞増殖および化学走性の過程におい
て重要な役割を果たすと考えられる(レイディ,エム・エイ(Reidy,M.A.);フ
ィンジャーレ,ジェイ(Fingerle,J.);リンドナー,ヴイ(Lindner,V.);サー
キュレイション(Circulation),1993;86(補遺III):III-43:フェルンズ,ジー
・エイ・エイ(Ferns,G.A.A.);レインズ,イー・ダブリュ(Raines,E.W.);ス
プリューゲル,ケイ・エイチ(Sprugel,K.H.);モンターニ,エイ・エス(Montan
i,A.S.);レイディ,エム・エイ(Reidy,M.A.);ロス,アール(Ross,R.);サ
イエンス(Science),1991;253:1129;ジャウィーン,エイ(Jawien,A.)ら,
ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲイション(J.Clin.Invest.),
1992;89:507;ネイベル,イー・ジー(Nabel,E.G.)ら,ジャーナル・オブ・
クリニカル・インベスティゲイション(J.Clin.Invest.),1993;91:1822)。
血管形成術後3〜6カ月以内に、この処置の間における血管損傷への応答によっ
て引き起こされる再狭窄の結果として、血液量の有意な減少が約3
0〜40%の患者に見られる。次いで、これらの患者は、第2の介入処置を必要
とする(ペピン,シー(Pepine,C.),サーキュレーション(Circulation),1990
;81:1753;ハードフ,アール・ジェイ(Hardoff,R.J.),ジャーナル・オブ・
アメリカン・カレッジ・オブ・カーディオロジー(J.Am.Coll.Cardiol.),199
0;15:1486)。従って、再狭窄過程を制限する薬剤は、著しく有益である。血
管平滑筋細胞増殖(特に、PDGF刺激による増殖)を阻害する薬剤は、血管過
形成障害の治療に有用である(モロイ,シー・ジェイ(Molloy,C.J.),ドラッグ
・ディベロップメント・リサーチ(Drug Dev.Res.),1993;29:148;ニュービ
ィ,エイ・シー(Newby,A.C.);ジョージ,エス・ジェイ(George,S.J.),カー
ディオヴァスキュラー・リサーチ(Cardiovasc.Res.),1993;27:1173)。
独国特許出願第4,129,603号は、「経管的血管形成術の処置」に有用でもあり
うる、コラーゲン誘発性の血小板凝集およびフィブリノーゲンの阻害薬である縮
合ヘテロ環式化合物(ベンゾイミダゾール)を開示している。米国特許第5,387,
600号は、アテローム性動脈硬化の治療用である2−チオ置換ベンゾイミダゾー
ルを開示している。米国特許第5,026,705号は、うっ血性心不全の治療に有用な
正の変力剤(positive inotropic agent)である2−スチリルベンゾイミダゾリ
ルピリダジノンを開示している。
2−[α−シアノ−β−アリールビニル]ベンゾイミダゾール誘導体の抗結核
活性は、ポリッシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー・アンド・ファーマ
シィ(Pol.J.Pharmacol.Pharm.),1981,33,217(CA 96:293)に開示されて
いる。PCT出願公開第WO9116305号は、細胞抗増殖薬であるジヘテロ環式プロ
ペンニトリル誘導体を開示している。米国特許第5,196,446号は、細胞抗増殖薬
であるインドリルプロペンニトリルを開示している。
数種類のスチリルベンゾイミダゾールが、ジュルナル・オブスケイ・キミイ(Z
h.Obshch.Khim.),32,2624-33(1962)およびジュルナル・プリクラドノイ・
スペクトロスコピイ(Zhurnal prikladnoi spektrokopii),Vol.2,No.1,pp.63-
68(1965)およびインオーガニカ・キミカ・アクタ(Inorganica Chimika Acta)
,191(1992),131-139に開示されている。生物学的活性や治療活性は全く
開示されていない。日本国特許出願公開第7481369号には、数種類の1−ベンジ
ル置換ベンゾイミダゾールが抗炎症薬として開示され、ジャーナル・オブ・メデ
ィシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.),1970,13(4),784-6 には、数種類の
ベンゾイミダゾールが治療活性を有すると報告されている。
本発明によれば、式Iまたは式II:
[式中、Rは、フェニル、または、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素数1〜6のア
ルコキシ、炭素数1〜6のアルキル、トリフルオロメチルで置換されたフェニル
、あるいは、Rは、フリル、ピリジルまたはキノリニル;R1およびR2は、水素
、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ニトロ、カ
ルボキシル、炭素数2〜7のアルコキシカルボニルまたは炭素数7〜12のアリ
ールオキシカルボニル;R3は、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数6〜1
2のアリール、または、所望により炭素数2〜6のアルコキシカルボニルで置換
されていてもよい炭素数7〜12のアリールアルキル;R4およびR5は水素また
は炭素数1〜6のアルキル]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩が提供される。ただし、式Iの
化合物は、以下のいずれかではない:
1−ベンジル−5(6)−メチル−2−(2,4−ジクロロスチリル)ベンゾ
イミダゾール;
5−クロロ−2−[2−(p−クロロフェニル)ビニル]−1−メチル−ベン
ゾイミダゾール;
2−[2−(p−クロロフェニル)ビニル]−5−メトキシ−1−メチルベン
ゾイミダゾール;
2−(p−クロロスチリル)−1,5,6−トリメチル−ベンゾイミダゾール;
2−(3,4−ジメトキシスチリル)−1−メチル−ベンゾイミダゾール;
2−[2−(4−クロロフェニル)エテニル]−1−メチル−1H−ベンゾイ
ミダール;
1−メチル−2−スチリル−ベンゾイミダゾール;
2−(p−フルオロスチリル)−1−メチル−ベンゾイミダゾール;
2−(p−クロロスチリル)−1−メチル−ベンゾイミダゾール;
2−(p−ブロモスチリル)−1−メチル−ベンゾイミダゾール;
2−(p−メトキシスチリル)−1−メチル−ベンゾイミダゾール;
2−(p−メチルスチリル)−1−メチル−ベンゾイミダゾール;
2−(p−フルオロスチリル)−ベンゾイミダゾール;
2−(p−クロロスチリル)−ベンゾイミダゾール;
2−(p−ブロモスチリル)−ベンゾイミダゾール;
2−(p−メトキシスチリル)−ベンゾイミダゾール;
2−スチリル−ベンゾイミダゾール;
2−(2−クロロスチリル)−1−メチル−ベンゾイミダゾール。
本発明のさらなる態様によれば、上記式IまたはIIで示される化合物の医薬上
許容される塩が提供される。ここで、Rは、フェニル、または、ハロゲン、ヒド
ロキシル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキル、トリフルオロ
メチルで置換されたフェニル、あるいは、Rは、フリル、ピリジルまたはキノリ
ニル;R1およびR2は、水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜
6のアルコキシ、ニトロ、カルボキシル、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル
または炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル;R3は、水素、炭素数1〜
6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、または、所望により炭素数2〜6の
アルコキシカルボニルで置換されていてもよい炭素数7〜12のアリールアルキ
ル;R4およびR5は水素または炭素数1〜6のアルキルである。
本発明の好ましい具体例の一つによれば、上記式IまたはIIの化合物またはそ
の医薬上許容される塩が提供される。ここで、Rは、フリル、ピリジルまたはキ
ノリニル;R1およびR2は、水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数
1〜6のアルコキシ、ニトロ、カルボキシル、炭素数2〜7のアルコキシカルボ
ニルまたは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル;R3は、水素、炭素数
1〜6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、または、所望により炭素数2〜
6のアルコキシカルボニルで置換されていてもよい炭素数7〜12のアリールア
ルキル;R4およびR5は水素または炭素数1〜6のアルキルである。
本発明の別の好ましい具体例によれば、
[式中、R1およびR2は、水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1
〜6のアルコキシ、ニトロ、カルボキシル、炭素数2〜7のアルコキシカルボニ
ルまたは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル]
である上記式Iの化合物またはその医薬上許容される塩が提供される。
本発明のさらに好ましい具体例によれば、上記式IIの化合物またはその医薬上
許容される塩が提供される。ここで、Rは、フェニル、または、ハロゲン、ヒド
ロキシル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキル、トリフルオロ
メチルで置換されたフェニル、あるいは、Rは、フリル、ピリジルまたはキノリ
ニル;R1およびR2は、水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜
6のアルコキシ、ニトロ、カルボキシル、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル
または炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル;R3は、水素、炭素数1〜
6のアルキル、炭素数6〜12のアリール、または、所望により炭素数2〜6の
アルコキシカルボニルで置換されていてもよい炭素数7〜12のアリールアルキ
ル;R4およびR5は水素または炭素数1〜6のアルキルである。
Rは、好ましくは、フリル、ピリジル、フェニルまたは置換フェニルである。
フェニル上の好ましい置換基は、炭素数1〜6のアルコキシ(特に、メトキシ)
である。
R1およびR2は、好ましくは、水素、炭素数1〜6のアルコキシ(特に、メト
キシ)、ニトロ、カルボキシル、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル(特に、
カルボン酸メチルエステル)、または炭素数7〜12のアリールオキシカルボニ
ル(特に、フェニルメタノン)である。
R3は、好ましくは、水素、または、炭素数2〜6のアルコキシカルボニルで
置換されたベンジル(特に、安息香酸メチルエステル)である。
R4およびR5は、好ましくは、水素またはメチルである。
特に好ましい化合物は、
・(E)−2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−ビニル]−1H−ベ
ンゾイミダゾールまたはその医薬上許容される塩;
・2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−ビニル]−5−メトキシ−1
H−ベンゾイミダゾールまたはその医薬上許容される塩;
・{2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−ビニル]−1H−ベンゾイ
ミダゾール−5−イル}−フェニル−メタノンまたはその医薬上許容される塩;
・2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−ビニル]−4,7−ジメトキシ
−5,6−ジメトキシ−1H−ベンゾイミダゾールまたはその医薬上許容される
塩;
・(E)−2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−ビニル]−1H−ベ
ンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチルエステルまたはその医薬上許容される
塩;
・(E)−2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−ビニル]−1H−ベ
ンゾイミダゾール−5−カルボン酸またはその医薬上許容される塩;
・(E)−2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−ビニル]−5−ニト
ロ−1H−ベンゾイミダゾールまたはその医薬上許容される塩;
・4−{2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−ビニル]−4,7−ジメ
トキシ−5,6−ジメチルベンゾイミダゾール−1−イルメチル}−安息香酸メ
チルエステルまたはその医薬上許容される塩;
・2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−ビニル]−5,6−ジメチル−
1H−ベンゾイミダゾール−4,7−ジオンまたはその医薬上許容される塩;
・(E)−5−ニトロ−2−(2−ピリジン−4−イル−ビニル)−1H−ベ
ンゾイミダゾールまたはその医薬上許容される塩;
・(E)−2−(2−フラン−3−イル−ビニル)−5−ニトロ−1H−ベン
ゾイミダゾールまたはその医薬上許容される塩である。
本発明の化合物は、以下のスキームで概説する一般的な反応経路に従って調製
される。
イミノエーテル塩酸塩(2)は、適当なニトリルをアルコールおよび過剰の塩
化水素と0℃で反応させることによって調製される。(2)を還流エタノール中
で適当な1,2−ジアミノベンゼンと反応させて、対応する2−スチリルベンゾ
イミダゾール(4)を得る。水素化ナトリウムを塩基として用いて、(4)を、
ジメチルホルムアミド中で、アルキル、アリールまたはアリールアルキルハライ
ドでアルキル化して、式Iの化合物を得る。式IIの化合物は、式Iの1,4−ジ
メトキシ誘導体を硝酸アンモニウムセシウムで酸化することによって得られる。
2当量の硝酸アンモニウムセシウムを1:4の水/アセトニトリルに溶解し、適
当な1,4−ジメトキシスチリルベンゾイミダゾールおよび酢酸の溶液に滴下す
る。この混合物を40℃で1時間加熱して、式IIの化合物を得る。
かくして、本発明のさらなる態様によれば、ここに定義される式IまたはIIで
示される化合物の製造方法が提供されるが、かかる製造方法は、(a)ここに定
義される式1のニトリルをアルコールおよび塩化水素と反応させて、式2の化合
物を形成すること、および(b)式2の化合物を、アルコールの存在下で、ここ
に定義される式3の化合物と反応させて、式4の化合物を形成すること、および
(c)式4の化合物を、アルキル化剤の存在下で、R3−ハライドと反応させて
、ここに定義される式Iの化合物を形成すること、および(d)所望により、こ
こに定義される式5の化合物を、酢酸の存在下で、(NH4)2Ce(N)3)6と反応
させて、ここに定義される式IIの化合物を形成することを包含する。
医薬上許容される酸付加塩は、酢酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、酒石酸、コ
ハク酸、マレイン酸、マロン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタ
ン硫酸、メチルベンゼン硫酸、および同様に公知の許容される酸などの有機酸お
よび無機酸から誘導されるものである。カルボン酸などの酸性置換基を有する化
合物の場合、医薬上許容される塩としては、アルカリ金属塩(ナトリウムまたは
カリウム)、アルカリ土類金属塩(カルシウムまたはマグネシウム)およびアン
モニウム塩が挙げられる。
本発明は、スチリルベンゾイミダゾール単独からなるか、あるいは、賦形剤(
すなわち、薬理学的な効果を有しない医薬上許容される材料)と組み合わせてな
る医薬組成物を包含する。かかる組成物は、血管再構築手術および移植(例えば
、バルーン血管形成術、血管移植片手術、冠動脈バイパス手術および心臓移植)
から最も頻繁に生じる過剰な平滑筋細胞増殖によって特徴付けられる疾患を治療
するのに有用である。望ましくない血管増殖が存在する他の疾患状態としては、
高血圧、喘息およびうっ血性心不全が挙げられる。本発明の化合物は、かくして
、これらの疾患および状態を治療するのに有用である。
本発明の化合物は、全身的に、例えば、静脈内注射によって、典型的には0.
1〜10mg/kg/hの範囲内で5〜30日間投与するか、皮下注射によって
、静脈内注射より低い薬用量で投与するか、あるいは、経口投与によって、静脈
内
注射より高い薬用量で投与すればよい。本発明の化合物は、適用可能な場合には
、支持マトリックスなどの適当な連続放出デバイスを用いて、経膜的、経皮的ま
たは他の局所的な投与経路によって、その局所的な送達を達成してもよい。本発
明の組成物は、充填剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、香味剤など従来の賦形剤と共
に処方すればよい。これらは、従来の方法で処方される。
上記化合物は、そのままで、あるいは、固形または液状の医薬用担体と共に、
かかる治療を必要とする患者に投与すればよい。適用可能な固形担体としては、
香味剤、滑沢剤、可溶化剤、懸濁化剤、充填剤、流動化剤、圧縮助剤、結合剤ま
たは錠剤崩壊剤あるいはカプセル化材料としても作用しうる1種またはそれ以上
の物質を挙げることができる。散剤の場合、担体は細かく粉砕された固体であっ
て、やはり細かく粉砕された有効成分と混合されている。錠剤の場合、有効成分
は、必要な圧縮性を有する担体と適当な割合で混合され、所望の形状および寸法
に成形される。散剤および錠剤は、好ましくは99%までの有効成分を含有する
。適当な固形担体としては、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシ
ウム、タルク、砂糖、乳糖、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、
メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリ
ジン、低融点ワックスおよびイオン交換樹脂が挙げられる。
液状担体は、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤およびエリキシル剤を製造する
のに用いてもよい。本発明の有効成分は、水、有機溶媒、両方の混合物、または
医薬上許容される油脂などの医薬上許容される液状担体中に溶解または懸濁させ
ることができる。液状担体は、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、甘味剤、香
味剤、懸濁化剤、増粘剤、着色剤、粘度調節剤、安定化剤または浸透圧調節剤な
どの他の適当な医薬用添加物を含有することができる。経口および非経口投与用
の液状担体の適当な例としては、水(特に、上記のような添加物、例えば、セル
ロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を含有す
る)、アルコール(一価アルコールおよび多価アルコール、例えば、グリコール
を含む)およびそれらの誘導体、ならびに油(例えば、分別ヤシ油および落花生
油)が挙げられる。非経口投与の場合、担体は、オレイン酸エチルおよびミリス
チン酸イソプロピルなどの油状エステルとすることもできる。無菌の液状担体は
、非経口投与用の無菌液状組成物に有用である。
無菌の液剤または懸濁剤である液状医薬組成物は、例えば、筋肉内、腹腔内ま
たは皮下への注射によって利用することができる。無菌液剤は、静脈内投与する
こともできる。経口投与は、液状または固形のいずれの組成物形態であってもよ
い。好ましくは、上記医薬組成物は、単位剤形、例えば、錠剤またはカプセル剤
である。このような形態では、かかる組成物は、適当量の有効成分を含有する単
位薬用量に細分される。単位剤形は、包装された組成物、例えば、分包散剤、バ
イアル、アンプル、充填済シリンジまたは含液薬袋とすることができる。単位剤
形は、例えば、カプセル剤または錠剤それ自体としたり、このような組成物を適
当数だけ包装した形態とすることもできる。
かくして、本発明のさらなる態様によれば、ここに定義される式IまたはIIの
化合物またはその医薬上許容される塩と医薬上許容される担体とを含有する医薬
組成物が提供される。
平滑筋細胞増殖を伴う疾患に罹患している特定の患者の治療に用いるべき用量
は、担当の医師によって主観的に決定されねばならない。関係する変数としては
、特定の疾患状態、ならびに、患者の体格、年齢および応答パターンが挙げられ
る。
上記化合物は、哺乳動物における平滑筋細胞増殖を阻害するのに有用である。
かくして、本発明によれば、哺乳動物の治療方法、特に哺乳動物における平滑筋
細胞増殖を阻害する方法が提供されるが、かかる方法は、その哺乳動物に、ここ
に定義される式IまたはIIの化合物を経口的または非経口的に投与することを包
含する。また、哺乳動物の治療への、特に哺乳動物における平滑筋細胞増殖を阻
害するための、ここに定義される式IまたはIIで示される化合物の使用が提供さ
れるが、かかる使用は、その哺乳動物に、ここに定義される式IまたはIIの化合
物を経口的または非経口的に投与することを包含する。また、哺乳動物の治療用
医薬の製造への、特に哺乳動物における平滑筋細胞増殖の阻害用医薬の製造への
、ここに定義される式IまたはIIで示される化合物の使用が提供されるが、かか
る使用は、その哺乳動物に、ここに定義される式IまたはIIの化合物を経口的ま
た
は非経口的に投与することを包含する。
本発明の化合物が平滑筋細胞増殖を阻害する能力は、単離したブタ大動脈平滑
筋細胞を用いて、カステロット(Castellot)らの手法[ジャーナル・オブ・バ
イオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)257(19)11256(1982)]の変法
によって、以下のように確立された。
新鮮なブタ大動脈は、丁寧に脂肪組織を除去し、2%抗生物質−抗真菌薬の薬
液(100x)(10,000単位のペニシリン(塩基)、10,000μgのスト
レプトマイシン(塩基)および25μgのアンホテリシンB/mL(0.85%
Laboratories)、グランド・アイランド・バイオロジカル・カンパニー(Grand
Island Biological Co.)、グランド・アイランド(Grand Island)、NY、か
ら入手可能]として、ペニシリンG(ナトリウム塩)、硫酸ストレプトマイシン
およびアンホテリシンBを利用))を含む滅菌リン酸緩衝食塩水中ですすぐ。次
いで、I型コラゲナーゼ、165U/mL;III型エラスターゼ、15U/mL
;BSA、2mg/mL;およびダイズトリプシンインヒビター、0.375m
g/mLを含有する10〜15mLの酵素溶液中で組織を消化させた後、5%C
O2雰囲気下、37℃で10〜15分間インキュベートする。この処理後、外部
表面の外膜をピンセットで引きはがすことによって除去する。次いで、この大動
脈を縦方向に切開し、内皮層をけずって除去する。
内側の細胞層を上記酵素溶液中ですすいで、10mLの酵素溶液を含む新しい
100mmの皿に入れる。この内側の細胞層を小さいハサミで切り刻み、30m
Lの新鮮な酵素溶液中、37℃で2〜3時間消化する。消化後、火炎処理チップ
を取り付けた滅菌パスツールピペット、または、200〜1000μLの滅菌ピ
ペットチップを取り付けたエッペンドルフピペッターを用いて、内側組織をホモ
ジネート化する。次いで、この懸濁液を8000rpmで10分間遠心分離し、
得られたペレットを4〜6mLの新鮮な酵素溶液に懸濁させ、4〜6個のベント
キャップ付100mmフラスコにプレートする。次いで、集密になるまで細胞を
増殖させ、0.25%トリプシンを用いて分離した。SMCアクチンに対する抗
体を用いて、細胞を純度および総合的な品質について評価する。
集密状態の前段階にある初期継代(一般的には3〜7継代)の細胞をアッセイ
する。10%ウシ胎児血清および2%抗生物質/抗真菌薬を補足した培地199
を含む16mm(24ウェル)マルチウェル培養皿で培養を行う。集密状態の前
段階で、これらの細胞は、実験プロトコルを開始する前に24〜48時間、所定
の無血清リンパ球培地(AIM−V;ギブコ(Gibco))に入れる。
標準的な試験法は、試験化合物、3Hチミジン、および、血清または特定の増
殖因子を無血清下の同期細胞に添加することによって開始する。増殖因子および
血清の刺激は、各細胞型について最適化される。試験化合物は各ウェルに50倍
の希釈率(20μL/ウェル)で添加し、これらのプレートは5%CO2雰囲気
中、37℃で24〜36時間インキュベートする。試験化合物は、50%エタノ
ールに溶解し、1、10および100μMでアッセイする。対照として、RG5087
2(ビルダー,ジー・エイ(Bilder,G.A.)ら、アメリカン・ジャーナル・オブ
・セル・フィジオロジー(Am.J.Cell Physiol.),1991;260:C721)を、各
細胞調製の条件下、5μMの濃度で、同様にアッセイする。
実験が完了すれば、プレートを氷上に置き、氷冷PBSで3回洗浄し、氷冷1
0%トリクロロ酢酸(TCA)中で30分間インキュベートして、酸可溶性タン
パクを除去する。各溶液を、0.4N HCl(NaOHを中和するために500
μL/バイアル)を含むシンチレーションバイアルに移し、各ウェルを水(50
0μL)で2回すすいで、全容量を2mL/バイアルとする。
対照および実験試料の両方につき、バイアルをシンチレーションカウンターに
かけることによって定量し、3通りのデータを得る。対照(100%)のデータ
は、増殖因子または血清刺激の結果として、最大限に刺激した細胞から得る。実
験データは、増殖因子または血清で最大限に刺激し、試験化合物で処理した細胞
から得る。(このアッセイに用いた血小板由来増殖因子は、アップステート・バ
イオテクノロジー・インク(Upstate Biotechnology Inc.)、レイク・プラシッ
ド(Lake Placid)、NY、から購入したヒト組換えPDGF−ABであった)
。データは、対照の百分率として表し、それからIC50値を求める。
化合物が増殖を阻害する能力と細胞毒性を区別するために、MTTアッセイの
商業的変法を用いて、試験化合物を調べた。簡単に説明すると、細胞を24ウェ
ルプレート中で集密度70〜80%まで増殖させた。これら細胞は、実験プロト
コルを開始する前に24〜48時間、無血清とした。MTTアッセイが増殖より
むしろ毒性をモニターすることを保証するために、これら細胞は、加湿CO2イ
ンキュベータ内、37℃で、新鮮な無血清培地中における50mMの試験化合物
と共に、24時間インキュベートした。化合物処理が完了すれば、MTT指示色
素を37℃で4時間添加した。次いで、細胞を溶解し、各ウェルからアリコート
(分割量)を分析用の96ウェルプレートに移した。ELISAプレート読み取
り機を用いて、波長570nmにおける吸光度(参照波長630nm)を記録し
た。結果は、薬物を用いず(100%生存可能)、また、前可溶化(0%生存可
能)標準を用いて、%生存率として報告する。
本発明の化合物は、表Iに与えるデータによって示されるように、平滑筋細胞
増殖の有効な阻害薬である。
以下の実施例は、本発明の代表的な化合物の製造に関して、限定よりむしろ例
示として与えられる。
実施例1
工程1
(3,4−ジメトキシ)−シンナモイミド酸メチル塩酸塩
EtOH(150mL)中における3,4−ジメトキシシンナモニトリル(1
0g;52ミリモル)の懸濁液を氷浴中で冷却した。次いで、この冷たい混合物
を塩化水素で飽和させた。この反応溶液を18時間冷蔵した。形成した沈殿物を
濾過によって採取した。無色の固形物は、8.0g(収率60%)の(3,4−ジ
メトキシ)−シンナモイミド酸メチル塩酸塩を与えた。これは次の反応に用いた
。
1H−NMR(DMSO−d6;200MHz)δ11.8(ブロードs,1H)
,10.9(ブロードs,1H),7.82−7.9(d,1H),7.3(d,2H
),7.02−7.12(d,1H),6.81−6.9(d,1H),4.2(s,
3H)および3.76(s,3H),3.82ppm(s,3H)。
工程2
(E)−2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−
ビニル]−1H−ベンゾイミダゾール
メタノール(35mL)中における1,2−フェニレンジアミン(0.63g;
5.8ミリモル)および(3,4−ジメトキシ)−シンナモイミド酸メチル塩酸塩
(1.5g;5.8ミリモル)の混合物を周囲温度で18時間撹拌した。このメタ
ノール溶液を濃縮乾固した。残渣をMeOH−ジエチルエーテルから再結晶して
、1.3g(収率67%)の表題化合物を一塩酸塩・水和物で黄色の固形物とし
て得た。融点248℃(分解)。
元素分析の結果(C17H16N2O2・HCl・H2Oとして):
計算値:C,60.98;H,5.12;N,8.37。
実測値:C,60.78;H,5.12;N,8.45。
質量スペクトル(EI;M+)m/z 280。
1H−NMR(DMSO−d6;400MHz)δ15.2(ブロードs,1H)
,8.18−8.2(d,1H),7.76−7.8(m,2H),7.45−7.5
4(m,2H),7.32(d,1H),7.2−7.3(m,3H),7.08−
7.
12(d,1H),3.83(s,3H),3.86ppm(s,3H)。
実施例2
2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−ビニル]−
5−メトキシ−1H−ベンゾイミダゾール
メタノール(50mL)中における4−メトキシ−1,2−フェニレンジアミ
ン二塩酸塩(1.55g;7.3ミリモル)および(3,4−ジメトキシ)−シン
ナモイミド酸メチル塩酸塩(1.9g;7.3ミリモル)の混合物を周囲温度で7
2時間撹拌した。メタノールを25mLに濃縮した。黄色の固形物を濾過によっ
て分離した。この固形物をMeOH(10mL)に懸濁させ、塩化水素で処理し
た。形成した沈殿物を採取して、515mg(収率21%)の表題化合物を一塩
酸塩・水和物で黄色の固形物として得た。融点246〜249℃。
元素分析の結果(C18H18N2O3・HCl・H2Oとして):
計算値:C,61.72;H,5.20;N,7.79。
実測値:C,61.61;H,5.37;N,7.84。
質量スペクトル(EI;M+)m/z 310。
1H−NMR(DMSO−d6;400MHz)δ14.8(ブロードs,1H)
,8.3−8.5(d,1H),7.62−7.63(d,1H),7.3(d,1H
),7.21−7.23(dd,1H),7.2(d,2H),7.07−7.16(
m,3H),3.86−3.88(d,6H),3.82−3.84ppm(s,3
H)。
実施例3
{2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−
ビニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル}−フェニル−メタノン
メタノール(50mL)中における3,4−ジアミノベンゾフェノン(1.7g
;8.0ミリモル)および(3,4−ジメトキシ)−シンナモイミド酸メチル塩酸
塩(2.0g;8.0ミリモル)の混合物を周囲温度で48時間撹拌した。メタノ
ールを25mLに濃縮した。形成した黄色の沈殿物を濾過によって分離した。M
eOHから再結晶して、1.14g(収率37%)の表題化合物を黄色の固形物
として得た。融点211〜214℃。
元素分析の結果(C24H20N2O3として):
計算値:C,74.98;H,5.24;N,7.29。
実測値:C,74.88;H,5.12;N,7.23。
質量スペクトル(FAB,M+H)m/z 385。
1H−NMR(DMSO−d6;400MHz)δ12.9−13.0(ブロード
s,1H),7.9(s,1H),7.73−7.77(d,2H),7.64−7
.69(m,4H),7.55−7.6(t,2H),7.3(s,1H),7.1
6−7.22(d,2H),7.0(d,1H),3.83(s,3H),3.8p
pm(s,3H)。
実施例4
工程1
2,3−ジメチル−5,6−ジニトロ−1,4−ジメトキシベンゼン
酢酸(100mL)中における2,3−ジメチル−1,4−ジメトキシベンゼン
(16.6g;0.1モル)の溶液を氷浴中で冷却し、次いで濃HNO3(40m
L)を15分間にわたって滴下した。添加後、この反応混合物を周囲温度で3時
間撹拌し、次いで50℃で20分間加熱した。この溶液を真空下で75mLに濃
縮し、次いで氷−H2O(350mL)に注ぎ込んだ。黄色の沈殿物(8.1g)
を採取した。EtOHから再結晶して、5.4g(収率18.5%)の2,3−ジ
メチル−5,6−ジニトロ−1,4−ジメトキシベンゼンを黄色の固形物として得
た。融点147〜150℃。
工程2
2,3−ジメチル−5,6−ジアミノ−1,4−ジメトキシベンゼン
EtOH(120mL)中における2,3−ジメチル−5,6−ジニトロ−1,
4−ジメトキシベンゼン(4.0g;15ミリモル)を加熱して溶液とし、10
%パラジウム/活性炭(1.0g)を添加した。この反応混合物を45psigで3
時間水素化した。反応後、2.41g(収率83%)の2,3−ジメチル−5,6
−ジアミノ−1,4−ジメトキシベンゼンを黄色の固形物として得た。融点10
7〜110℃。
工程3
2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−
ビニル]−4,7−ジメトキシ−5,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール
メタノール(35mL)中における2,3−ジメチル−5,6−ジアミノ−1,
4−ジメトキシベンゼン(2.57g;10ミリモル)および(3,4−ジメトキ
シ)−シンナモイミド酸メチル塩酸塩(1.96g;10ミリモル)の混合物を
周囲温度で18時間撹拌した。メタノール溶液を15mLに濃縮した。黄色の沈
殿物を濾過によって分離した。MeOHから再結晶して、2.1g(収率58%
)の表題化合物を黄色の固形物として得た。融点116〜119℃。
元素分析の結果(C21H24N2O4として):
計算値:C,66.46;H,6.57;N,7.60。
実測値:C,66.83;H,6.64;N,7.41。
質量スペクトル(EI,M+)m/z 368。
1H−NMR(DMSO−d6;400MHz)δ12.4−12.5(ブロード
s,1H),7.6−7.4(d,1H),7.2(d,1H),7.07−7.1
6(m,2H),7.0(d,1H),3.84(s,3H),3.78(s,3
H),2.2ppm(s,3H)。
実施例5
(E)−2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−
ビニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチルエステル
メタノール(150mL)中における1,2−ジアミノ−4−メチルカルボキ
シベンゼン(3.6g;20ミリモル)および(3,4−ジメトキシ)−シンナモ
イミド酸メチル塩酸塩(5.4g;20ミリモル)の混合物を周囲温度で48時
間撹拌した。この溶液を濃縮乾固した。残渣をMeOHから再結晶して、3.8
g(収率56%)の表題化合物を黄色の固形物として得た。融点185〜188
℃。
元素分析の結果(C19H18N2O4として):
計算値:C,67.45;H,5.36;N,8.28。
実測値:C,67.25;H,5.45;N,8.28。
質量スペクトル(EI;M+)m/z 338。
1H−NMR(DMSO−d6;400MHz)δ12.9(ブロードs,1H)
,8.1(s,1H),7.63−7.69(d,1H),7.57−7.62(d
,1H),7.33(d,1H),7.17−7.21(dd,1H),7.14−
7.19(d,1H),7.08−7.12(d,1H),3.86(s,3H)
,3.84(s,3H),3.79ppm(s,3H)。
実施例6
(E)−2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−
ビニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸
MeOH(75mL)中における2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)
−ビニル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチルエステル(3.
5g;11ミリモル)および2.5N NaOH溶液(7.5mL)の混合物を3
時間還流した。この反応混合物を周囲温度に冷却し、18時間撹拌した。この反
応混合物を濃縮乾固した。残渣をH2Oに溶解し、2N HClで酸性化した。沈
殿物を採取した。MeOHから再結晶して、600mg(収率15%)の表題化
合物をクリーミーな固形物で一塩酸塩として得た。融点285℃以上。
元素分析の結果(C18H16N2O4・HClとして):
計算値:C,59.92;H,4.75;N,7.76。
実測値:C,59.62;H,4.80;N,7.66。
質量スペクトル(EI;M+)m/z 324。
1H−NMR(DMSO−d6;400MHz)δ13.5(ブロードs,1H)
,8.24(d,1H),8.14−8.2(d,1H),8.02−8.06(d
d,1H),7.8(d,1H),7.34(d,1H),7.26−7.28(d
d,1H),7.2−7.24(d,1H),7.1(d,1H),3.87(s,
3H),3.83ppm(s,3H)。
実施例7
(E)−2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−
ビニル]−5−ニトロ−1H−ベンゾイミダゾール
メタノール(70mL)中における4−ニトロ−1,2−フェニレンジアミン
(1.2g;8ミリモル)および(3,4−ジメトキシ)−シンナモイミド酸メチ
ル塩酸塩(2.0g;8ミリモル)の混合物を18時間還流した。この溶液を濃
縮乾固した。残渣をMeOHから再結晶して、603mg(収率23%)の表題
化合物を黄色の固形物として得た。融点223〜225℃。
元素分析の結果(C17H15N3O4として):
計算値:C,62.76;H,4.65;N,12.92。
実測値:C,62.67;H,4.62;N,13.05。
質量スペクトル(EI;M+)m/z 325。
1H−NMR(DMSO−d6;400MHz)δ13.2(ブロードs,1H)
,8.4(ブロードs,1H),8.1(dd,1H),7.74(s,1H),
7.62−7.72(m,1H),7.35(d,1H),7.19−7.23(d
d,1H),7.17(s,1H),7.0(d,1H),3.85(s,3H)
,3.8ppm(s,3H)。
実施例8
4−{2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−
ビニル]−4,7−ジメトキシ−5,6−ジメチル−
ベンゾイミダール−1−イルメチル}−安息香酸メチルエステル
20mLのDMF中における水素化ナトリウム・60%油中分散液(150m
g;3.5ミリモル)の懸濁液に、DMF(20mL)中における{2−[2−
(3,4−ジメトキシフェニル)−ビニル]−4,7−ジメトキシ−5,6−ジメ
チル−1H−ベンゾイミダゾール(1.2g;3.25ミリモル)を5分間かけて
滴下した。添加後、この反応混合物を周囲温度で30分間撹拌し、次いでDMF
(10mL)中における4−(ブロモメチル)安息香酸メチル(745mg;3
.25ミリモル)を添加した。この反応混合物を周囲温度で4時間撹拌した。D
MFを濃縮して残渣とし、H2Oを添加した。固形物を濾過によって採取した。
MeOHから再結晶して、620mg(収率37%)の表題化合物を薄黄色の固
形
元素分析の結果(C30H32N2O6・0.5H2Oとして):
計算値:C,68.56;H,6.33;N,5.33。
実測値:C,68.51;H,6.27;N,5.28。
質量スペクトル(EI;M+)m/z 516。
1H−NMR(DMSO−d6;400MHz)δ7.9(d,2H),7.72−
7.78(d,1H),7.31(d,1H),7.2−7.26(m,4H),6
.95(d,1H),5.9(s,2H),4.12(s,3H),3.81(s,
3H),3.79(s,3H),3.77(s,3H),3.53(s,3H),
2.1ppm(d,6H)。
実施例9
2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−
ビニル]−5,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−4,7−ジオン
酢酸(15mL)中における2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)−ビ
ニル]−4,7−ジメトキシ−5,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール(2
.0g;5.4ミリモル)の溶液に、15mL(H2O/CH3CN;3/12)中
における硝酸アンモニウムセリウム(7.25g;13ミリモル)を滴下した。
この反応混合物を40℃で1時間加熱した。冷却後、固形物を濾別し、濾液を濃
縮乾固し、水と混合し、濾過した。赤色の固形物を真空下、60℃で乾燥させ、
MeOH中に懸濁させ、塩化水素で処理して、243mg(収率13.5%)の
元素分析の結果(C19H18N2O4・0.25H2Oとして):
計算値:C,66.68;H,5.33;N,8.22。
実測値:C,66.84;H,5.32;N,8.09。
質量スペクトル(EI;M+)m/z 338。
1H−NMR(DMSO−d6;400MHz)δ7.6−7.67(d,1H),
7.22(d,1H),7.1−7.14(dd,1H),6.9−7.0(d,1
H),6.94−6.98(d,1H),3.82(s,3H),3.78(s,3
H),1.9ppm(s,6H)。
実施例10
(E)−5−ニトロ−2−(2−ピリジン−4−イル−
ビニル)−1H−ベンゾイミダゾール)
4−ピリジルアクリル酸(1.6g;10ミリモル)、4−ニトロ−1,2−フ
ェニレン−ジアミン(1.5g;10ミリモル)およびポリリン酸(15g)の
混合物を110℃で2.5時間加熱した。この反応混合物を50℃に冷却し、次
いで氷−H2O(100mL)中に注ぎ込んだ。不溶物を濾別し、濾液をアンモ
ニア水でpH8に塩基性化した。固形物(2.3g)をシリカゲル上のフラッシ
ュクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH;9:1)に付して、735mg
(収率28%)の表題化合物を黄色の固形物として得た。融点280℃以上。
元素分析の結果(C14H10N4O2として):
計算値:C,63.15;H,3.79;N,21.04。
実測値:C,62.92;H,3.78;N,21.08。
質量スペクトル(EI;M+)m/z 266。
1H−NMR(DMSO−d6;400MHz)δ13.44(ブロードs,1H
),8.63(dd,2H),8.35−8.55(ブロードd,1H),8.03
−8.18(ブロードs,1H),7.69−7.83(ブロードd,2H),7.
65−7.7(dd,2H),7.52−7.59ppm(s,1H)。
実施例11
工程1
2−フランアクリロイミダート塩酸塩
EtOH(75mL)中における2−フランアクリロニトリル(10.9g;
91ミリモル)の溶液を氷浴中で冷却した。次いで、この冷たい混合物を塩化水
素で飽和させた。この反応溶液を18時間冷蔵した。この反応混合物を20mL
に濃縮し、ジエチルエーテルを添加した。褐色の固形物は、10.5g(収率6
3%)の2−フランアクリロイミダート塩酸塩を与えた。これは次の反応に用い
た。
工程2
(E)−2−(2−フラン−3−イル−
ビニル)−5−ニトロ−1H−ベンゾイミダゾール
エタノール(50mL)中における4−ニトロ−1,2−フェニレンジアミン
(1.53g;10ミリモル)および2−フラン−アクリロイミダート塩酸塩(
2.21g;11ミリモル)の混合物を4時間還流した。この溶液を濃縮乾固し
た。残渣をMeOHに溶解し、活性炭で処理して、660mg(収率25%)の
表題化合物を黄色の固形物として得た。融点230〜233℃。
元素分析の結果(C13H9N3O3として):
計算値:C,61.18;H,3.55;N,16.46。
実測値:C,60.97;H,3.29;N,16.15。
質量スペクトル(EI;M+)m/z 255。
1H−NMR(DMSO−d6;400MHz)δ13.2(ブロードs,1H)
,8.4(ブロードs,1H),8.1(dd,1H),7.9(d,1H),7.
62−7.8(m,2H),6.92−7.0(d,1H),6.88(d,1H)
,6.6ppm(d,1H)。
─────────────────────────────────────────────────────
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
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,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AU,BB,BG
,BR,CA,CN,CZ,EE,FI,GE,HU,
IS,JP,KG,KP,KR,LK,LR,LT,L
V,MD,MG,MK,MN,MX,NO,NZ,PL
,PT,RO,SG,SI,SK,TR,TT,UA,
UZ,VN
(72)発明者 エロックダー,ハッサン・マーマウド
アメリカ合衆国19030ペンシルベニア州
フェアーレス・ヒルズ、チェルシー・ロー
ド 432番
(72)発明者 スルコウスキー,セオドア・シルベスター
アメリカ合衆国19087ペンシルベニア州
ウェイン、ロックランド・ロード316番