【発明の詳細な説明】
発明の名称
流動改変剤を有するコーティング組成物および
流動改変剤および複層コーティング
発明の分野
本発明は、流動改変剤を含有する硬化可能な液状または粉体コーティング組成
物、およびこのようなポリマー流動改変剤、およびこの硬化可能コーティング組
成物を硬化状態で有する複層コーティングに関する。
発明の背景
流動もしくは表面改変剤または制御剤または添加剤は、コーティング産業にお
いて、コーティング組成物の界面張力および表面張力の勾配を制御するのに使用
されている。低汚染タイプのコーティング(例えば、水媒介コーティング、粉体
コーティング、およびある範囲までの高固形分コーティング)は、コーティング
フィルムの水平化を制御するために、流動改変剤を使用する。典型的な粉体コー
ティング組成物は、そのレオロジーを高めるために、またはへこみ(cratering
)を抑制し、そしてみかん皮的特性を少なくして平滑で良好な外観のコーティン
グを得るために、流動改変剤を含有する。一般的な流動改変剤には、以下が挙げ
られる:アクリル類(例えば、ポリ(2-エチルヘキシルアクリレート)、ポリ(ラウ
リルアクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(エチルアクリレート-2-
エチルヘキシルアクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)など)(このこと
に関して、Labanaらの米国特許第3,787,340号を参照せよ)。他の有用な流動添加
剤には、ケイ素含有ポリマーおよびフッ素化ポリマー(例えば、ポリエチレング
リコールまたはポリプロピレングリコールおよびフッ素化脂肪酸のエステル)が
挙げられる。
金属基材およびプラスチック基材用の複層コーティング物(例えば、自動車用
途のためのもの)に使用されるコーティング組成物は、多くの性能必要条件(これ
は、前後のコーティング層および塗布方法およびコーティングの化学的性質に依
存して、変更され得る)を満たさなければならない。例えば、クリヤーコーティ
ングとして粉体コーティング組成物を使用する自動車製造業者は、異なる原料の
種々の粉体クリヤーコーティングの間において、一定の相溶性を必要としている
。相溶性に乏しいと、結果として、製造組立ラインで次に塗布された粉体クリヤ
ーコーティングが、そのラインで先に塗布された粉体クリヤーコーティングの成
分に由来の欠陥を有することになり得る。このような成分は、引き続いて塗布さ
れたコーティングにおいて不純物として作用し得、不純物は、このコーティング
組成物における表面張力の勾配を変えて、へこみの欠陥を生じ得る。
また、基材上の複層コーティングでは、コーティング間接着性、およびある用
途では、再コーティング性が、へこみの程度を少なくするための粉体コーティン
グの改変により、悪影響を受け得る。プライマーサーフェーサーまたはチップガ
ードプライマーとしてまたはベースコート/クリヤーコートの複合コーティング(
これは、典型的な仕上げコーティング組成物でトップコートされる)に塗布され
る粉体コーティング物については、前記タイプの流動制御剤の存在は、このトッ
プコートと粉体プライマーサーフェーサーとの間のコーティング間接着性に悪影
響を与え得る。
さらに、粉体コーティングは、しばしば、チップコートプライマーとして、未
硬化の脱水電着コーティング上に塗布される(例えば、米国特許第4,804,581号を
参照せよ)。このような用途では、チップガードプライマーは、通常、石はね(s
tone chipping)を受ける領域(すなわち、ロッカーパネルおよび脚室)において
、この電着コーティングの一部に塗布されるにすぎない。この複合コーティング
は、1段階で共に硬化され、そして通常の仕上げコーティングでトップコートさ
れる。チップガードプライマーを、脱水した未硬化電着プライマーの一部にのみ
塗布する際には、コーティングされるべき領域以外の領域において、粉体コーテ
ィング組成物が電着プライマーと接触するオーバースプレー領域が存在する。チ
ップガードプライマーが通常の流動制御添加剤(例えば、上記のもの)を含有する
とき、しばしば、この電着プライマーの著しいへこみが生じる。粉体コーティン
グの他の用途では、再コーティング性、すなわち、硬化した粉体コーティングと
次のコ
ーティング層との間の良好な再コーティング接着性が必要であり、その結果、工
業用部品の輸送および移動中に起こり得る僅かな欠陥または僅かな損傷が訂正さ
れ得る。残念なことに、一般的な流動改変剤を含有する粉体コーティングは、へ
こみ耐性に乏しいことが分かった。
本発明の目的は、良好な外観およびコーティング間接着性を維持しつつ、他の
類似のコーティング組成物との相溶性を改良したコーティング組成物を提供する
ことにある。
発明の要旨
本発明によれば、硬化可能コーティング組成物は、以下を有する:
(A) 硬化可能コーティング組成物の固形分重量を基準にして、80〜99.99重量
%の少なくとも1種の液状または粒子状フィルム形成樹脂材料、および
(B) 硬化可能コーティング組成物の総樹脂固形分重量を基準にして、約0.01
〜10重量%の流動改変剤。
流動改変剤または流動制御剤は、重合可能なエチレン性不飽和モノマーから付
加重合したコポリマーである。このコポリマーの重合可能なエチレン性不飽和モ
ノマーの重量を基準にして、約40〜99重量%は、そのアルキル基中に1個〜20個
の炭素原子を含有する少なくとも1種のアクリル酸アルキルまたはメタクリル酸
アルキルに由来し、これは、非アミン、非ヒドロキシルおよび非酸官能性である
。
また、コポリマーには、少なくとも1種の官能性の重合可能なエチレン性不飽和
モノマーが、コポリマー用の重合可能なエチレン性不飽和モノマーの重量を基準
にして、約2〜50重量%の量で重合されている。官能性モノマーは、以下から選
択される:
(1)コポリマー中の固形分100重量%に対して、コポリマーが約2〜約25の範囲
のアミン価を有するのに効果的な量のアミノ官能性アクリレートおよびメタクリ
レートであって、単独で存在するか、またはこのコポリマーのヒドロキシル価が
100までとなるのに効果的な量の1種またはそれ以上のヒドロキシル官能性モノ
マー(例えば、アクリル酸ヒドロキシアルキルおよび/またはメタクリル酸ヒドロ
キシアルキルおよび/またはポリカプロラクトンポリオールモノマー)と共に存在
しているもの、および
(2)コポリマーに10〜30の範囲の酸価を与えるのに効果的な量の酸官能性アク
リレートおよびメタクリレートであって、これは、単独で、またはこのコポリマ
ーに約100までのヒドロキシル価を与えるのに効果的な量の1種またはそれ以上
のヒドロキシル官能性モノマー(例えば、アクリル酸ヒドロキシアルキルおよび/
またはメタクリル酸ヒドロキシアルキルおよび/またはポリカプロラクトンポリ
オールモノマー)と共に存在している。
コポリマー流動改変剤のモノマーに対する前記重量%および効果的な量は、(1
)および(2)のコモノマーおよび任意の追加のモノマーを含めたコポリマーの全モ
ノマーの重量%を基準にしている。1種またはそれ以上の特定の官能性モノマー
(1)または(2)の重量%は、重合可能なエチレン性不飽和モノマーの重量を基準に
して約5〜50重量%の官能性モノマーに、前記範囲内の量を与える。示された値
は、ゼロ以外の値については、ある程度低い値も使用され得、また、この範囲の
上方領域の値について、ある程度高い値が使用され得て、この範囲内の値と類似
の結果が得られるという点で、おおよその値である。前記の効果的な量の全ては
、コポリマーの固形分100%を基準にしている。追加成分の存在なしでは、成分(
A)および(B)の量(重量%)は、この硬化可能組成物の固形分100%に等しいが、ま
たは本明細書中に記載される追加成分が含まれていてもよい。
硬化可能コーティング組成物が、硬化可能な粒子状樹脂材料を有する熱硬化性
粉体コーティング物であって、ここで、粉体コーティングがクリヤーコートとし
て複層コーティングに使用されるとき、コポリマー流動制御剤は、コーティング
間接着性に悪影響を与えない。フィルム形成樹脂材料および流動制御剤を有する
コーティング組成物が液状のとき、キャリアーを使用してもよい。キャリアーは
、コーティング組成物を、溶媒媒介または水媒介コーティング組成物にすること
ができる。また、コーティング組成物に通常見られる他の追加成分は、当業者が
通常使用する量で存在できる。他の追加成分およびフィルム形成樹脂材料のこれ
らの量は、硬化可能コーティング組成物に、この固形分のほとんどを与える。
本発明の他の局面は、ベースコート/クリヤーコート組成の複層コーティング
組成物であり、ここで、本発明の硬化可能コーティング物は、キャリアーなしで
粉体コーティング物としてか、またはキャリアーを有して液状コーティング組成
物としてのいずれかで、ベースコートとして顔料着色形態で、またはクリヤーコ
ートとして非顔料着色形態で使用されている。
発明の詳細な説明
本発明のコーティング組成物の硬化可能な液状または固体状のフィルム形成樹
脂材料は、溶媒媒介コーティング、水媒介コーティングおよび粉体コーティング
を含めた硬化可能コーティング組成物で有用な当業者に公知の任意のポリマーで
あり得る。水媒介コーティングには、水希釈可能なものが含まれ、この場合、結
合剤は、水または水/溶媒ブレンド中の分子分散溶液か、または分散体または乳
濁液形態の結合剤かのいずれかである。「フィルム形成」との用語は、樹脂材料
が、室温または高温で硬化すると、少なくとも水平表面において、自己支持連続
フィルムを形成することを意味し、そして、ポリマー乳濁液、分散体、懸濁液ま
たは溶液中に存在するいずれかの溶媒またはキャリアーを取り除くと、合体して
、少なくとも水平表面においてフィルムを形成でき、連続フィルムに硬化できる
ポリマー材料さえも含まれる。
フィルム形成樹脂材料に適切な1クラスのポリマーには、1種またはそれ以上
のエチレン性不飽和モノマーから誘導したものが挙げられる。このクラスの特に
有用なメンバーは、自動車工業でのコーティング製造でよく認められているアク
リルポリマー(例えば、アクリル酸またはメタクリル酸の1種またはそれ以上の
アルキルエステルのポリマーまたはコポリマー)であり、必要に応じて、他のエ
チレン性不飽和モノマーを伴う。これらのポリマーは、熱硬化性でありそして架
橋性である。このタイプのポリマーのために適切なアクリル酸エステルまたはメ
タクリル酸エステルには、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸
n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸2-エチ
ルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル
、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert-ブチル
、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシルなどが挙げられる。環
状エステル(例えば、アクリル酸シクロヘキシルおよびメタクリル酸シクロヘキ
シ
ル)、およびヒドロキシアルキルエステル(例えば、アクリル酸またはメタクリル
酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸またはメタクリル酸2-ヒドロキシプロピル)
もまた使用できる。さらに、α−メチルスチレンダイマー(こは、連鎖移動剤と
考えられる)以外のビニル脂肪族化合物またはビニル芳香族化合物(例えば、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ルおよびビニルトルエン)が、使用できる。上で挙げたアクリル酸エステルモノ
マーは、本明細書中これ以後「アクリル酸エステルモノマー」と言う。架橋のた
めに、前記のものに加えて使用できる適切な官能性モノマーには、アクリル酸、
メタクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、
アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、N-(ア
ルコキシメチル)アクリルアミドおよびN-(アルコキシメチル)メタクリルアミド(
この場合、そのアルコキシ基は、例えば、ブトキシ基であり得る)、アクリル酸
グリシジル、および/またはメタクリル酸グリシジルが挙げられる。
カラープラスクリヤーの複合複層コーティングにおいて、ベースコート組成物
として使用するフィルム形成樹脂材料はまた、1種またはそれ以上の架橋剤を含
有できる。適切な架橋剤には、以下が挙げられる:ジイソシアネート、ジエポキ
シド、または特に、ホルムアルデヒドと窒素性化合物(例えば、尿素、チオ尿素
、メラミンまたはベンゾグアナミン)との縮合物のような窒素樹脂、またはこの
ような縮合物の低級アルキルエーテル(ここで、このアルキル基は、1個〜4個
の炭素原子を含有し、これは、典型的には、アミノプラストと呼ばれる)。特に
適切な架橋剤には、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物があり、ここで、実質的
なメチロール基の部分は、ブタノールまたはエタノールもしくはメタノールのよ
うなアルコールとの反応によりエーテル化されている。当該技術分野で公知の、
架橋可能なアクリルポリマーと共に使用されるためのこれらの架橋剤のいずれも
、使用できる。本発明の前述の一般的な定義の目的上、架橋剤は、存在する場合
、フィルム形成樹脂材料の一部となると考えられている。
硬化可能フィルム形成樹脂材料として有用な他の適切なクラスのポリマーには
、以下がある:
(i) ポリエポキシドおよびポリ酸架橋剤;
(ii) アクリロシランポリマー、アクリルポリオールポリマー、および必要に
応じて、アルキル化メラミン−ホルムアルデヒド架橋剤;および
(iii) ポリイソシアネート、およびイソシアネートと反応性のある少なくと
も1個の基を有するポリマー。
本発明の硬化可能コーティング組成物では、前記フィルム形成樹脂材料は、架
橋してフィルムを形成できる。架橋は、架橋材料と共に、1種またはそれ以上の
指定したポリマー材料によって行うことができる。追加のポリマー材料または互
いに反応性の2種のポリマー材料を有するフィルム形成樹脂材料については、追
加のポリマー材料および/または両ポリマーの相互反応性により、架橋が生じる
。ポリエポキシドおよびポリ酸フィルム形成材料は、ポリエポキシドがフィルム
の主要成分であるので、架橋剤として使用されるポリ酸を有する。アクリロシラ
ンポリマーおよびアクリルポリオールポリマーのフィルム形成組成物については
、これらのポリマー材料は、その一方が、任意のアルキル化メラミン−ホルムア
ルデヒド架橋剤と共に、他方と反応して架橋を形成するような官能性を有する。
これは、ポリイソシアネート、およびイソシアネートとの反応性があるの少なく
とも1個の基を有するポリマーのフィルム形成樹脂材料では、類似の様式で起こ
る。
前記フィルム形成樹脂材料について、(i)、(ii)および(iii)で挙げたポリマー
およびそれらの架橋剤のいずれかは、当業者に公知のもののいずれでもあり得る
。非限定的な例には、米国特許第4,650,718号(Simpsonら)(1欄、61行目〜3欄
、40行目および4欄、55行目〜9欄、15行目);第4,102,942号(3欄、1〜16行
目);第4,798,745号(Martzら)(2欄、66行目〜9欄、8行目);第4,699,814号(A
mbroseら)(4欄、10行目〜6欄、51行目);第3,567,692号(Haggisら)(ポリマー
フィルム形成材料について教示している箇所の全て);第4,681,811号(Simpsonら
)(1欄、63行目〜10欄、65行目);およびカナダ特許文書第1,262,596号(ポリマ
ーフィルム形成材料について教示している箇所の全て)が挙げられ、上で挙げた
特許の全ての内容は、本明細書中で参考として援用される。
使用できるアクリルポリマーまたはコポリマーは、水性乳化重合法によって調
製したアクリル酸エステルモノマーであって、そして水性コーティング組成物の
調製に直接使用されるもの、または塩形成ができる基(例えば、酸基またはアミ
ン基)を用いた有機溶液重合法によって調製されたアクリル酸エステルモノマー
の一種またはそれ以上が使用され得る。これらの基を塩基または酸で中和すると
、ポリマーは、水性媒体に分散できる。一般に、当該技術分野で認められる量の
モノマーを用いて、当業者に公知のこのようなポリマーを製造する任意の方法が
使用できる。
架橋の目的上、上で述べた他のアクリルモノマーに加えて、適切な官能性モノ
マーが使用でき、これには、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ヒ
ドロキシアルキル、およびメタクリル酸ヒドロキシアルキルが挙げられる。また
、アクリルポリマーは、N-(アルコキシメチル)アクリルアミドおよびN-(アルコ
キシメチル)メタクリルアミドを用いて調製できる。
アクリルポリマーのほかに、水媒介コーティング組成物用のポリマーフィルム
形成樹脂は、アルキド樹脂またはポリエステルであり得る。このようなポリマー
は、多価アルコールおよびポリカルボン酸の縮合により、公知の様式で調製でき
る。適切な多価アルコールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、
ブチレングリコール、1,6-ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジ
エチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、およびペンタエ
リスリトールが挙げられる。適切なポリカルボン酸は、当業者に公知であり、こ
れには、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマ
ル酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、およびトリメ
リト酸が挙げられる。上で述べたポリカルボン酸のほかに、酸の官能性等価物(
例えば、酸の無水物(それが存在する場合)または低級アルキルエステル(例えば
、メチルエステル))が使用できる。
空気乾燥アルキド樹脂を製造するのが望ましい場合には、適切な乾性油脂肪酸
が使用でき、これには、あまに油、大豆油、トール油、脱水ひまし油、または桐
油などから誘導したものが挙げられる。
ポリエステルおよび好ましくはアルキド樹脂は、さらなる架橋反応の反応剤に
利用できる一部の遊離のヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を含有す
る。
また、コーティング組成物中のフィルム形成樹脂材料として、ポリウレタンも
使用できる。使用できるポリウレタンのうちには、そのOH/NCO当量比が1:1よ
り高くなって生成物中に遊離の水酸基が存在するように、ポリエステルポリオー
ルまたはアクリルポリオール(例えば、上で述べたもの)とポリイソシアネートと
を反応させることにより調製されるポリマー性ポリオールがある。ポリウレタン
ポリオールを調製するのに使用される有機ポリイソシアネートは、脂肪族または
芳香族ポリイソシアネートまたはその両者の混合物であり得る。ジイソシアネー
トがより適切であるが、さらに高級なポリイソシアネートは、ジイソシアネート
の代わりにまたはそれと組み合わせて、使用できる。適切な芳香族ジイソシアネ
ートの例には、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトルエンジイソ
シアネートがある。適切な脂肪族ジイソシアネートの例には、直鎖脂肪族ジイソ
シアネート(例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート)がある。また、環状
脂肪族ジイソシアネートも、使用できる。例には、イソホロンジイソシアネート
および4,4'-メチレン-ビス-(シクロヘキシルイソシアネート)が含まれる。適切
な高級ポリイソシアネートの例には、1,2,4-ベンゼントリイソシアネートおよび
ポリメチレンポリフェニルイソシアネートがある。
ポリエステルおよびポリウレタンは、未反応カルボン酸基を有するように調製
でき、これは、塩基(例えば、アミン)で中和すると、水媒介コーティング組成物
で使用するための水性媒体に分散可能となる。適切なベースコート組成物の例に
は、米国特許第4,403,003号(2欄、3行目〜13欄、12行目;この内容は、本明細
書中で参考として援用されている)に開示の水媒介組成物が含まれる。
コーティング組成物がベースコート/クリヤーコートのクリヤーコート組成物
であるとき、適切な液状フィルム形成樹脂材料には、エポキシ−酸材料がある。
米国特許第5,256,452号の1〜25欄および第4,650,718号の1〜16欄(これらの内
容は、本明細書中で参考として援用されている)で開示されている多パッケージ
および単一パッケージ液状組成物は、適切な組成物である。この特許のコーティ
ング組成物では、エポキシ官能性コポリマーは、フィルム形成樹脂材料であり、
これはまた、架橋剤として、ポリカルボン酸を有する。
液状フィルム形成樹脂材料については、硬化可能コーティング組成物はまた、
キャリアーとして機能する当該技術分野で認められた量で、キャリアーとして水
または溶媒を有する。上で挙げられその内容が援用された特許の量でキャリアー
として使用される水および/または他の溶媒は、本発明の硬化可能コーティング
組成物に適切である。また、液状のフィルム形成樹脂材料は、追加成分を有し得
、これは、このフィルム形成樹脂材料を構成するために示した量で、上で挙げら
れその内容が援用された特許にて開示されたものであり得る。
好ましいフィルム形成樹脂材料には、熱硬化性粉体コーティングがあり、この
場合、「粉体」との用語は、0.005〜100ミクロンの粒径を有する粒子状の細かく
分割した固体ポリマー性材料を意味する。
粉体コーティング用の固体粒子状樹脂材料は、例えば、以下であり得る:
エポキシ樹脂、およびエポキシ樹脂用の適切な硬化剤または架橋剤(例えば
、カルボン酸官能性アクリル樹脂、ジシアンジアミド、ポリ無水物またはカルボ
ン酸官能性ポリエステル樹脂);
カルボン酸官能性アクリル樹脂、およびこのアクリル樹脂用の適切な硬化剤
(例えば、トリグリシジルイソシアヌレートまたはヒドロキシアルキルアミド);
または
カルボン酸官能性ポリエステル樹脂、およびこのポリエステル樹脂用の適切
な硬化剤(例えば、ブロックドイソシアネート硬化剤またはヒドロキシアルキル
アミド)。
粒子状フィルム形成樹脂材料はまた、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン
、ポリアミドまたはポリエステルの熱可塑性粒子状混合物であり得る。
粉体コーティングが、「カラープラスクリヤー」複合コーティングで使用され
る透明またはクリヤートップコート層のとき、特に好ましい粉体コーティングに
は、ポリエポキシドおよびポリ酸架橋剤の混合物を有するものがある。ポリエポ
キシドは、一般に、50℃未満、より好ましくは、30℃未満のガラス転移温度(Tg)
を有する。コポリマーのTgは、粉体コーティング組成物の安定性に寄与する。コ
ポリマーのTgが高いほど、コーティングの安定性が良好となる。Tgは、PRINCIPL
ES OF POLYMER CHEMISTRY(1953)(Cornell University Press)に記述されている
。Tgは、実際に測定でき、またはBull .Amer.Physics Soc.、1、3頁、123(19
56)でFoxが記述しているようにして、算出できる。この実際に測定したTg値は、
通常、1分間に18°F(10℃)の加熱速度で、示差走査熱量測定(DSC)により得るこ
とができ、この場合、Tgは、最初の屈曲点で測られる。また、Tgは、針入度計(
例えば、DuPont 940 Thermomedian Analyzer)を使用することにより、実験的に
測定できる。本発明のために本明細書中で使用するポリマーのTgは、他に指示が
なければ、計算値を表わす。
ポリ酸物質と共に使用するための硬化可能な粒子状エポキシフィルム形成樹脂
材料は、粉体コーティング組成物の当該技術分野で周知なものから選択できる。
これらは、例えば、エポキシ樹脂(例えば、エポキシ基含有アクリルポリマーま
たは多価アルコールのポリグリシジルエーテル)およびエポキシ樹脂用の適切な
硬化剤(例えば、多官能性カルボン酸基含有物質またはジシアナミド)であり得る
。硬化可能な粒子状樹脂材料の例は、再発行米国特許第32,261号および米国特許
第4,804,581号に記述されている。他の硬化可能な粒子状樹脂材料の例には、カ
ルボン酸官能性樹脂(例えば、カルボン酸官能性ポリエステル)およびアクリルポ
リマーならびにこのような材料の適切な硬化剤(例えば、トリグリシジルイソシ
アヌレートおよびβ-ヒドロキシアルキルアミド硬化剤(例えば、米国特許第4,8
01,680号および第4,988,767号に記述されている))がある。米国特許第4,988,76
7号の硬化可能樹脂材料は、粉体プライマーサーフェーサーの調製に好ましい。
このエポキシ官能性コポリマーは、グリシジル官能性エチレン性不飽和モノマ
ー(典型的には、グリシジル官能性アクリルモノマー、例えば、アクリル酸グリ
シジルまたはメタクリル酸グリシジル)と、グリシジル官能性のないエチレン性
不飽和モノマーまたはモノマー混合物とを共重合させることにより、調製できる
。本発明を実施する際に、グリシジル官能性モノマーは、200°F(93℃)より高い
Tgを有するモノマーと共重合できる。高Tgモノマーは、粉体コーティングに付随
したケーキングおよび不安定性の問題を防止するのを補助し得る。適切なモノマ
ーには、メタクリル酸メチルおよびスチレンが挙げられる。
グリシジル官能性エチレン性不飽和モノマーおよび高Tgモノマーに加えて、別
の共重合可能なエチレン性不飽和モノマーまたはモノマー混合物もまた、存在で
きる。このようなモノマーの例には、アクリル酸エステルモノマーが包含される
。
エポキシ官能性コポリマーは、適切な触媒(これには、有機過酸化物およびア
ゾ型化合物が挙げられる)および連鎖移動剤(例えば、α−メチルスチレンダイマ
ーおよび第三級ドデシルメルカプタン)を用いた伝統的な遊離ラジカル開始の重
合法により、調製できる。
エポキシ官能性コポリマーは、通常、以下を有する:(a)コポリマーの重量を
基準にして、25重量%と75重量%の間のグリシジル官能性エチレン性不飽和モノ
マー;および(b)通常、25重量%と75重量%の間の、グリシジル官能性のない、
共重合可能なエチレン性不飽和モノマーまたはモノマー混合物。これらの重量%
は、(a)および(b)の全重量を100%として基準にしている。好ましくは、コポリ
マーは、以下を有する:(a)35〜55重量%のグリシジル官能性モノマー;(b)40〜
60重量%の、200°F(93℃)より高いTgを有する1種またはそれ以上の共重合可能
なエチレン性不飽和モノマー(例えば、スチレンおよびメタクリル酸メチル);お
よび(c)重量基準で約5〜約20重量%の、(a)および(b)とは異なる1種またはそ
れ以上のさらなる共重合可能なモノマー(例えば、メタクリル酸ブチル)。重量%
は、(a)、(b)および(c)の全重量を100%として基準にしている。
上で述べた高TgモノマーのTgは、このモノマーから製造した単独ポリマーの計
算値を表わし、これは、上で記述のようにFoxにより記載されているよに算出し
た。例えば、メタクリル酸メチルモノマーおよびスチレンモノマーのTgは、221
°F(105℃)である。コポリマーのTgは、典型的には、77°Fと158°Fの間(25℃と
70℃の間)であり、そしてさらに好ましくは、95°Fと131°Fの間(35℃と55℃の
間)である。
エポキシ官能性コポリマーは、典型的には、1000と20,000の間の数平均分子量
を有する。エポキシ官能性コポリマーに対する好ましい数平均分子量は、1000と
2500の間である。
エポキシ官能性コポリマーは、通常、エポキシ官能性コポリマー1キログラム
あたり、3.5〜5.9モルのグリシジル官能性エチレン性不飽和モノマー、さらに好
ましくは、エポキシ官能性コポリマー1キログラムあたり、3.0モルと5.1モルの
間のグリシジル官能性モノマーを含有する。エポキシ含有アクリルポリマーとし
てのエポキシ官能性コポリマーの調製は、米国特許第4,650,718号(1欄、61行目
〜3欄、40行目および4欄、55行目〜9欄、15行目)に開示のように行うことが
でき、その内容は、本明細書中で参考として援用される。エポキシ含有アクリル
ポリマーは、典型的には、約1000と20,000の間の数平均分子量、好ましくは、約
1000〜10,000の数平均分子量、そしてさらに好ましくは、約1000〜5000の数平均
分子量を有する。
フィルム形成樹脂材料中のポリ酸架橋剤は、このフィルム形成樹脂材料中の樹
脂固形分の全重量を基準にして、約10〜90重量%の量、好ましくは、25〜75重量
%の量で存在する。ポリ酸架橋剤は、高い平均酸官能性を有する。さらに特定す
ると、ポリ酸架橋剤は、平均して、1分子あたり、2個より多い酸基、さらに好
ましくは、3個以上の酸基、そして最も好ましくは、4個以上の酸基を含有し、
このような酸基は、ポリエポキシドと反応性があり、有機溶媒に対する耐性によ
り示されるような架橋コーティング物が形成できる。1分子あたり2個より多い
酸基というパラメーターは、ポリ酸架橋剤の混合物を包含することを意図してお
り、この混合物では、2官能性硬化剤は、トリまたはより高級な官能性のポリ酸
架橋剤と混合されている。3官能性硬化剤と共に約50%までの2官能性硬化剤を
含むポリ酸架橋剤混合物が適切である。硬化剤混合物の残りが3官能性より高い
か、またはポリ酸架橋剤混合物が非常に官能性が高いポリエポキシド成分と共に
用いられるなら、高い割合の2官能性物質が使用できる。酸官能性は、好ましく
は、カルボン酸であるが、リンベースの酸のような酸を使用してもよい。好まし
くは、このポリ酸架橋剤は、カルボン酸末端物質であり、これは、平均して、1
分子あたり、2個より多いカルボン酸基を有する。使用できるポリ酸架橋剤のう
ちには、カルボン酸基含有ポリマー(例えば、アクリルポリマー、ポリエステル
およびポリウレタン);オリゴマー(例えば、エステル基含有オリゴマー;これは
好ましい);およびモノマーがある。当該技術分野で認められた適切なポリ酸架
橋剤には、米国特許第4,650,718号(1欄、61行目〜3欄、40行目および4欄、55
行目〜9欄、15行目);第4,681,811号(1欄、63行目〜10欄、65行目);および第
4,703,101号(3欄、26行目〜6欄、5行目)に記述のものが挙げられる。
粉体フィルム形成樹脂材料(A)中に存在する反応物の当量比は、エポキシの各
当量に対して、約0.3〜約3.0当量、好ましくは、0.75〜1.5当量のカルボキシル(
無水物は、もし存在するなら、1官能性と考えられる)が存在するように、調整
される。
粒子状および液状のフィルム形成樹脂材料(A)もまた、当業者に公知の追加材
料を含有できる。例えば、改良された硬化応答性のための無水物、および硬化コ
ーティングの改良された水分耐性のためのα−オレフィンおよびオレフィン性不
飽和無水物のコポリマーが使用できる。
粉体フィルム形成樹脂材料(A)は、粉体フィルム形成樹脂材料(A)の全重量を基
準にして、およそ60〜90重量%のエポキシ官能性コポリマーと、約10〜40重量%
のポリカルボン酸架橋剤とを配合することにより、調製される。好ましくは、こ
のポリカルボン酸は、結晶性物質であり、さらに好ましくは、4個〜20個の炭素
原子を含有する結晶性脂肪族物質である。適切な酸の例には、アジピン酸、コハ
ク酸、セバシン酸、アゼライン酸およびドデカン二酸が包含される。さらに、粉
体コーティング組成物を架橋するために、カルボン酸官能性ポリエステルを使用
してもよい。脂肪族ポリオールと脂肪族および/または芳香族ポリカルボン酸ま
たは無水物との縮合、あるいは脂肪族ポリオールと脂肪族および/または芳香族
ポリカルボン酸もしくは無水物の反応に基づく低分子量ポリエステルおよび半酸
エステルがそれぞれ、使用できる。適切な脂肪族ポリオールの例には、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオー
ル、トリメチロールプロパン、ジ-トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリ
コール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトールなどが包含さ
れる。ポリカルボン酸および無水物には、上で述べたものだけでなく、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、無水テ
トラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヘキサヒドロフ
タル酸、無水アルキルヘキサヒドロフタル酸、無水クロレンド酸(chlorendic an
hydride)などを含めてもよい。ポリカルボン酸、無水物およびポリオールの混合
物もまた、使用できる。
典型的には、エポキシ官能性コポリマーのポリカルボン酸架橋剤に対する好ま
しい範囲は、粉体フィルム形成樹脂材料(A)の全重量を基準にして、70〜85重量
%の間、さらに好ましくは、70〜80重量%のエポキシ官能性コポリマー、および
15〜30重量%の間、さらに好ましくは、20〜30重量%のポリカルボン酸架橋剤
である。脂肪族の結晶性ジカルボン酸の使用が好ましく、特に、ドデカン二酸は
、最も好ましい。特に、高レベルでは、これらの結晶性架橋剤の利点は、、一般
に、それらが、エポキシ官能性コポリマーと非相溶性であり、さらに安定な粉体
コーティング組成物を提供することにある。しかしながら、粉体コーティング組
成物が融解すると、ポリ酸架橋剤は相溶性となり、そしてアクリルコポリマーに
溶解し得、ある程度希釈剤として作用し、改良された流動性および外観を与える
ことを可能にする。
本発明のコポリマー流動制御剤または流動改変剤は、ランダムコポリマー、ブ
ロックコポリマーまたはグラフトコポリマーであり得、これらは、単独でまたは
それらの混合物中で使用できる。コポリマーは、少なくとも2つのタイプのエチ
レン性不飽和重合可能モノマーから調製される。1つのタイプは、(i)アクリル
酸エステル、ビニル酸エステルまたはメタクリル酸エステル(例えば、そのアル
キル基中に3個〜20個の炭素原子を含有するアクリル酸アルキルまたはメタクリ
ル酸アルキル)であり、この場合、これらのモノマーは、アミン官能性、ヒドロ
キシル官能性および酸性官能性のいずれでもない。以下、「限定官能性モノマー
」と言うが、好ましくは、このモノマーは、非官能性である。他のタイプ(ii)は
、官能性のエチレン性不飽和重合可能モノマーである。この(ii)タイプは、1種
またはそれ以上のアミノ官能性アクリレートまたはメタクリレート、あるいは1
種またはそれ以上の酸官能性アクリレートおよび/またはメタクリレートであり
得る。アミノ官能性アクリレートおよび/またはメタクリレートあるいは酸官能
性アクリレートおよび/またはメタクリレートのいずれかは、コポリマーを調製
する際に使用される唯一のタイプの官能性モノマーである。さらに、これらのタ
イプ(ii)モノマーの両方は、アクリル酸ヒドロキシアルキルおよび/またはメタ
クリル酸ヒドロキシアルキルおよび/またはポリカプロラクトンポリオールモノ
マーのような、1種またはそれ以上のヒドロキシル官能性モノマー(この場合、
このアクリル酸ヒドロキシアルキルおよび/またはメタクリル酸ヒドロキシアル
キルは、好ましくは、そのヒドロキシアルキル基において、2個〜8個の炭素原
子を有する)と共に、使用できる。
限定官能性モノマー(i)のさらに他の非限定的な例には、以下の一般式により
表わされるアクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキルがある:
ここで、R2は、水素原子または1個〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり
、そしてR1は、3個〜20個の炭素原子を含有するアルキル基または置換アルキル
基である。適切な限定官能性モノマー(i)の例には、アクリル酸ヘキシルおよび
メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソデシル
およびメタクリル酸ラウリルがあり、この場合、アクリル酸2-エチルヘキシルは
、単一成分として、好ましい。適切な混合物には、メタクリル酸イソデシルおよ
び/またはアクリル酸2-エチルヘキシルとアクリル酸アルキルとがあり、ここで
、そのアルキル基は、2個〜4個の炭素原子を有する。アクリル酸アルキルまた
はメタクリル酸アルキル(i)は、好ましくは、流動改変コポリマー用の重合可能
エチレン性不飽和モノマーの全重量を基準にして、50〜70重量%の量で使用され
る。
アミノ官能性エチレン性不飽和重合可能モノマーとしてのタイプ(ii)のコモノ
マーは、任意の当該技術分野で公知のもの、特に、以下のような第三級アミンの
1種またはそれ以上または混合物であり得る:例えば、アクリル酸およびメタク
リル酸のアミノアルキル(C2-C4)エステル、例えば:メタクリル酸N,N-ジメチル
アミノエチル(DMAEMA);ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMA);ア
クリル酸N,N-ジエチルアミノエチル(DEAEA);メタクリル酸ジエチルアミノエチ
ル(DEAEMA);アクリル酸N-tert-ブチルアミノプロピル(tBAPA);メタクリル酸N-
tert-ブチルアミノエチル(tBAEMA);メタクリル酸オキサゾリジニルエチル(nOXE
MA);メタクリル酸N,N-ジメチルアミノフェニル(DMAPMA)。
アミノ官能性コモノマーを、官能性モノマーとして単独で使用するとき、その
量は、コポリマーに対するアミン価を、約2〜約25の範囲、そして好ましくは、
6〜12の範囲にするのに効果的である。アミン価は、アミンのミリ当量から決定
され、これは、the American Society of Testing Materials(ASTM)標準方法D-2
073(アミンのミリ当量(Meq.))から決定される。アミンのMeq.は、アミンのMeq.
に56.1を掛けて、材料1グラムあたりのKOHのミリグラム数を得ることにより、
アミン価に転化できる。DMAEMAのようなモノマーについては、これは、コポリマ
ーを調製するための全モノマーの約1〜約10重量%、そして好ましくは、2〜5
重量%の範囲の量で、達成される。より高いアミン当量を有するモノマーについ
ては、コポリマーに所望のアミン価を与えるために、より多くのモノマーが使用
される。
以下のモノマーのリストは、適用可能なタイプ(ii)の酸性官能性モノマーを代
表しており、これは、少なくとも1個の利用できるカルボン酸基を含有し、そし
てこれには、以下の1種またはそれ以上およびそれらの混合物が挙げられる:ア
クリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、およびマレイ
ン酸およびフマル酸のC1-C4アルキル半エステル(例えば、マレイン酸メチル水素
およびフマル酸メチル水素)、ならびに特定の流動改変コポリマーと共重合でき
る任意の他の酸性モノマー。
酸官能性モノマーが、官能性モノマーとして単独で存在するとき、コポリマー
を構成する全モノマーの重量%基準で、使用するモノマーの量は、コポリマーに
、約10〜30の範囲の酸価、好ましくは、15〜25の範囲の酸価を与えるのに効果的
である。酸価は、the American Society of Testing Materials(ASTM)標準方法D
-1639(酸価)から決定される。アクリル酸またはメタクリル酸のような酸含有モ
ノマーを使用するとき、コポリマーの酸価は、コポリマーを調製するための全モ
ノマーの約1〜約10重量%、そして好ましくは、2〜6重量%の範囲のモノマー
量で、達成される。より高い酸当量を有するモノマーについては、コポリマーに
所望の酸価を与えるために、より多くのモノマーが使用される。
アミン官能性コモノマーと共に用いても、酸官能性コモノマーと共に用いても
、いずれにしろ、タイプ(ii)モノマーしてのアクリル酸ヒドロキシアルキルおよ
び/またはメタクリル酸ヒドロキシアルキルの1種またはそれ以上またはそれら
の混合物の例には、1個〜18個の炭素原子を有する脂肪族アルコール(例えば、
メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール
、オクチルアルコールおよびラウリルアルコール)のアクリル酸エステルおよび
メタクリル酸エステルがある。アクリル酸およびメタクリル酸のヒドロキシアル
キ
ルエステルの例には、以下が包含される:アクリル酸ヒドロキシエチルおよび/
またはメタクリル酸ヒドロキシエチル;アクリル酸ヒドロキシプロピルおよび/
またはメタクリル酸ヒドロキシプロピル;アクリル酸ヒドロキシブチルおよびメ
タクリル酸ヒドロキシブチル;アクリル酸ヒドロキシステアリルおよびメタクリ
ル酸ヒドロキシステアリル。
タイプ(ii)モノマーに適切なポリカプロラクトンポリオールモノマーの例には
、環状エステルのホモポリエステルポリオール開環ポリマー(例えば、TONEポリ
オールシリーズ:0200、0221、2201および2221があり、これらは、Union Carbid
e、New York、New Yorkから市販されている)がある。TONE Polyol 0200は、約53
0〜543の分子量(M.W.)を有し、そして0221、2201および2221は、2官能性である
。TONEポリカプロラクトンジオールの0200シリーズは、530〜3000の分子量を有
する。これらのジオールは、30℃〜60℃の融点、および100°Fで1.08g/cm<3
>の密度を有し、そして白色の固体である。TONE 0200ポリオールの典型的な特
性は、以下の表に示す:
アクリル酸ヒドロキシアルキルおよび/またはメタクリル酸ヒドロキシアルキ
ルおよび/またはポリラクトンポリオールモノマーは、コポリマーに、100%固形
分で、約100までの範囲、そして好ましくは、40〜100の範囲のヒドロキシル価を
与えるのに効果的な量で、使用できる。ヒドロキシル価は、ASTM E-222方法と類
似の様式で、決定できる。このヒドロキシル価を達成する1つの手法には、約11
6のヒドロキシル当量を有するアクリル酸ヒドロキシアルキルおよび/またはメタ
クリル酸ヒドロキシアルキルを、コポリマーのための重合可能エチレン性不飽和
モノマーの全重量を基準にして、0〜25重量%の範囲、好ましくは、1〜25重量
%の範囲で存在するような量で使用することがある。より高いヒドロキシル当量
のモノマーを用いると、重量%基準で、より多くのモノマーが使用される。例え
ば、典型的には、全モノマーの10〜50重量%の範囲の量のヒドロキシル官能性モ
ノマーが使用できる。また、タイプ(ii)において、異なるタイプのヒドロキシル
官能性モノマーの混合物も、使用できる。
コポリマーを構成するために共に反応されるモノマーの全重量は、100重量%
である。コポリマー(これには、2タイプより多いモノマーのコポリマーを含め
ることができる)の調製用のモノマーの量は、ある程度、使用するコモノマーの
タイプに依存する。ヒドロキシル官能性モノマーの存在により、アミン官能性モ
ノマーまたは酸官能性モノマーの量は、これらのモノマーをそれ単独で官能性モ
ノマーとして使用したときの量と同じであり得る。アミン官能性モノマーまたは
酸官能性モノマーのいずれかが、コポリマー用の唯一の他のモノマーとして存在
するとき、非アミン、非ヒドロキシルおよび非酸性モノマーの量は、好ましくは
約75〜約99、そして最も好ましくは、約85〜99の範囲である。アミン官能性およ
びヒドロキシル官能性の両方または酸およびヒドロキシル官能性を存在させたコ
ポリマー流動制御剤を用いれば、複合コーティングにおいて、粉体クリヤーコー
トの改良された再コーティング接着性が可能である。
コポリマーを調製するために、前記タイプ(ii)の官能性モノマーを用いること
のかわりに、またはそれに加えて、コポリマーは、限定官能性モノマーと共に、
前駆体官能性を有する1種またはそれ以上のエチレン性不飽和コモノマーの付加
重合生成物を有し得る。前駆体官能性は、他の化学化合物または基と反応して、
コポリマー上に官能性部分を形成し得る部分または基である。例えば、エポキシ
官能性は、コポリマー上の前駆体官能性と、リン酸反応性官能性アクリレートお
よび/またはメタクリレートモノマーとしてのリン酸との反応を介して、コポリ
マー上の酸官能性に対して前駆体官能性であり得る。また、エポキシ官能性は、
第一級アミンおよび/または第二級アミンとの引き続く反応または後反応のため
の前駆体官能性であり得る。本発明を限定しないが、この後者の後反応には、エ
ポキシ基が開環してアミノ基および水酸基を形成することが関与していると考え
られる。第一級アミンが、エポキシ官能性コポリマーと後反応するとき、第二級
アミン基が形成され、そして第二級アミンが後反応するとき、コポリマー上に第
三級アミン基が形成される。適切なアミンの非限定的な例には、当業者に公知の
アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミンな
どが包含される。
本発明に有用なリン酸化エポキシ官能性ポリマーは、リン酸またはそれらの等
価物と、ポリマー1分子あたり1.0個より多いグリシジル基を有するエポキシド
アクリルおよび/またはメタクリルコポリマーのエポキシ官能性とを反応させる
ことにより、調製できる。エポキシ官能性コポリマーは、メタクリル酸グリシジ
ルのようなエポキシドアクリルおよび/またはメタクリルおよび/またはアリルグ
リシジルエーテルモノマーと、1種またはそれ以上の前記限定官能性モノマー(i
)との反応から形成される。前駆体官能性を有するこのコポリマーについては、
一般に、限定官能性モノマーもまた、エポキシ基と反応する基を含有しないもの
である。モノマー性化合物(例えば、ベンゼン類のモノビニル芳香族モノマー、
例えば、スチレンおよびビニルトルエン)でさえ、使用できる。これらのコポリ
マーは、(α)アクリル酸グリシジルおよび/またはメタクリル酸グリシジルまた
はアリルグリシジルエーテルと(i)重合可能な限定官能性モノマーの少なくとも
1種との重合に由来するペンダントエポキシ基を有し得る。本発明に有用なエポ
キシ官能性アクリルおよび/またはメタクリルコポリマーは、当該技術分野で一
般に公知の方法により調製でき、その例は、「Handbook of Epoxy Resins」、Le
e および Neville、1967、McGraw-Hill Book Company、または米国特許第4,681,
811号の11欄、5行目〜12欄、63行目の実施例A〜実施例Cに見出され、これら
の内容は、本明細書中で参考として援用される。
本発明で使用するコポリマーを調製する際に、エポキシ官能性を有するモノマ
ー(α)は、リン酸塩処理して上記範囲内の酸価を有する酸官能性量を有する酸官
能性コポリマーを生じるのに効果的である適切な量(全モノマーの重量%)で、使
用するべきである。典型的には、この(α)モノマーの量は、全モノマーを基準に
して、1〜60重量%、好ましくは、5〜30重量%の範囲であり得る。
一般に、エポキシ含有コポリマーを形成するための反応条件は、ヒドロキシル
官能性モノマーを用いてまたはそれなしで、上記酸またはアミン官能性コポリマ
ーを製造するために以下に記述された条件と類似している。モノマー(i)とモノ
マー(ii)との共重合、またはエポキシ官能性コポリマーとの共重合(モノマー(i
i)ではなくモノマー(α)のコポリマーへの導入)では、当該技術分野で公知の方
法に従って、当業者に公知の任意のラジカル重合開始剤が使用できる。これらの
方法には、溶液重合、バルク重合などが挙げられる。本発明では、これらのコポ
リマーは、好ましくは、有機溶媒の溶液中で形成され、それゆえ、溶液重合法以
外の重合方法に従って得られたコポリマーは、特定の有機溶媒に溶解した後、使
用できる。
エポキシ官能性コポリマーと反応させるのに使用されるリン酸は、100%オル
トリン酸、スーパーリン酸、またはそれらの水溶液(例えば、85%リン酸水溶液)
であり得る。リン酸およびトリリン酸の他の形態は、例えば、当業者に公知のも
の(例えば、メタリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸など)を含めて、使用できる
。また、リン酸のポリマー性無水物または部分無水物も使用できる。使用するリ
ン酸水溶液は、典型的には、約70〜90%リン酸、そして好ましくは、約85%リン
酸である。また、リン酸は、以下で述べるような1種またはそれ以上のアルコー
ルの溶液中で使用してもよい。コポリマーのエポキシ官能性と反応するリン酸反
応物の比は、それぞれ、約1:1の当量比であり得る。エポキシ当量に対して、
より少ない量のリン酸を使用すると、ゲル化が起こり得、これに対して、1:1
よりも高いリン酸:エポキシ当量の比を用いると、過剰のリン酸の存在をもたら
し得、これは回避すべきである。
高温および時間の反応条件は、リン酸が、エポキシ官能性ポリマーのエポキシ
基の開環反応に関与するのに充分なものとされる。本発明を限定しないが、リン
酸は、リン酸上の水酸基と反応するエポキシ基によって反応し、リン酸上に少な
くとも1個の水酸基が残留すると考えられる。好ましくは、得られたリン酸化ア
クリルおよび/またはメタクリルコポリマーは、実質的にエポキシ基を含まない
。
重合可能エチレン性不飽和モノマー(i)および(ii)、または(i)および(α)およ
び必要に応じた(ii)のヒドロキシル官能性エチレン性不飽和モノマーに加えて、
コポリマーは、他の重合可能エチレン性不飽和モノマーから得た部分を含有でき
る。このようなモノマーの例には、ビニル芳香族モノマー(例えば、スチレンお
よびα−メチルスチレン);ニトリル(例えば、アクリロニトリル);ハロゲン化
ビニルおよびハロゲン化ビニリデン(例えば、塩化ビニルおよびフッ化ビニリデ
ン);ビニルエステル(例えば、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニル)、および
そのアルキル基中に1個〜4個の炭素原子を含有するアクリル酸アルキルまたは
メタクリル酸アルキル(例えば、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルおよび
メタクリル酸ブチル;これは好ましい)がある。これらの任意の重合可能エチレ
ン性不飽和モノマーを使用するとき、それらは、重合可能エチレン性不飽和モノ
マーの全重量を基準にして、30重量%までの量、好ましくは、5〜30重量%の量
で使用される。好ましくは、これらのモノマーは、0℃未満の計算Tg、そして最
も好ましくは、−20℃未満の計算Tgを有する1種またはそれ以上のアクリル酸ア
ルキルおよび/またはメタクリル酸アルキルである。
一般に、コポリマーの重量平均分子量は、約1000〜40,000の範囲、好ましくは
、1000〜15,000の範囲であり得る。重量平均分子量は、本発明の性能を限定しな
いが、15,000より高い重量平均分子量は、粘度が高くなるために、流動特性を低
下させ得る。コポリマーの重量平均分子量は、ポリスチレン標準を用いたゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定できる。このような方法で
は、測定された実際の分子量ではないが、ポリスチレンと比較した分子量の指標
である。得られた値は、一般的に、ポリスチレン数と呼ばれる。しかしながら、
本願の目的上、それらは、分子量と呼ばれる。
一般に、コポリマーのガラス転移温度(Tg)は、10℃未満、好ましくは、0℃未
満、そして最も好ましくは、−60℃〜−10℃の範囲である。Tgは、前記の様式で
、計算され得、そして測定され得る。コポリマーのTgは、その流動添加剤として
の性能の限定要因ではないが、10℃より高いTgは、コーティングの塗布の際に流
動性が低下するために、好ましくない。
流動改変コポリマーは、好ましくは、有機溶媒の存在下にて、フリーラジカル
開始剤(例えば、有機過酸化物(例えば、第三級アミルパーオキシアセテート、第
三級ブチルパーベンゾエートなど)またはアゾ化合物(例えば、アゾビスイソブチ
ロニトリルなど))の存在下で、一般に、共重合可能材料の還流温度までの温度で
、
重合可能エチレン性不飽和モノマーを共に加熱することにより、調製できる。一
般に、温度は、この重合を完結させるのに充分な時間(一般に、1〜24時間の間
、好ましくは、1〜3時間の間で変わる時間)に対して、30℃〜約220℃、好まし
くは、80℃〜180℃の範囲であり得る。また、窒素ガスブランケット下にて、反
応を行うのが好ましい。さらに、時々、チェーサー開始剤(ここで「チェーサー
」とは、それらが、反応の最初の開始の後に添加されることを示す)と呼ばれる
第二開始剤の添加をするのが好ましい。
流動改変コポリマー(エポキシ官能性コポリマーを含めて)を調製するのに有用
な溶媒または溶媒混合物、およびリン酸化反応は、良好な反応制御を達成するの
に役立つ。非反応性溶媒が使用でき、その例には、ケトン、エーテル、アルコー
ルおよびエーテルアルコールが包含される。適切な溶媒の特定の例には、メチル
エチルケトン、メチルブチルケトン、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ール、ブタノール、ブトキシエタノール、およびジエチレングリコールモノブチ
ルエーテル(例えば、ブチルセロソルブ溶媒)、および1個〜6個の炭素原子を有
する少なくとも1種またはそれ以上のアルコール、またはエチレングリコールモ
ノアルキルエーテルがある。
アルコール溶媒は、単独で使用できるが、通常、コポリマーの溶解性および親
和性を考慮する場合、該アルコールまたはエチレングリコールモノアルキルエー
テルと他の有機溶媒との混合物で使用される。他の有機溶媒は、1種、または2
種またはそれ以上の有機溶媒の組合せであり、例えば、芳香族炭化水素(例えば
、トルエンまたはキシレン);ケトン(例えば、メチルエチルケトンまたはメチル
イソブチルケトン);脂肪族炭化水素または脂環族炭化水素(例えば、ノルマルヘ
キサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンまたはエチルシクロヘキサン)
;エステル(例えば、酢酸エチルまたは酢酸ブチル)である。適切な量は、上記の
ように、これらの全溶媒中に存在するアルコール性溶媒の少なくとも5重量%で
あり得る。ヒドロキシ官能性コモノマーを用いてまたはそれなしで、限定官能性
モノマーとのコモノマーまたは共反応物として、コポリマーの全ての酸官能性を
提供することに加えて、後反応機構により、酸およびヒドロキシル官能性コポリ
マーに対して、追加の酸性官能性が提供され得る。コポリマーは、1〜20重量%
、
好ましくは、1〜10重量%の環状炭化水素無水物と反応できる。重量%は、コポ
リマーおよび環状炭化水素の重量を基準にしている。このような変性は、このコ
ポリマーにカルボン酸官能性を導入し、それは、得られるコーティングの接着特
性をさらに高めることができる。環状炭化水素無水物の例には、無水テトラヒド
ロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水アルキル置換ヘキサヒドロフタル
酸(例えば、無水メチルヘキサヒドロフタル酸)がある。無水ヘキサヒドロフタル
酸が好ましい。10重量%より多い無水物を使用するのは、流動特性が乏しくなる
ために、好ましくない。無水物変性コポリマーは、典型的には、樹脂固形分基準
で測定しASTM E-222に従って決定した5〜25の酸価を有する。
本発明の熱硬化性または硬化可能コーティング組成物は、一般に、40〜99.9重
量%のフィルム形成樹脂材料を含有し、ここで、硬化可能液状コーティング組成
物では、この範囲の中で、より少ない量が一般に使用される。この場合、コーテ
ィング組成物はまた、多くの追加成分を有する。硬化可能コーティング組成物が
、好ましい粉体コーティングである場合、フィルム形成樹脂材料は、粒子状熱硬
化性樹脂材料であり、これは、約95〜約99.9重量%の範囲の量で存在する。どち
らの場合においても、約0.01〜約10重量%の量の流動改変剤(すなわち、コポリ
マー)が使用され、ここで、重量%は、硬化可能組成物の全樹脂固形分を基準に
している。好ましい粉体コーティングでは、重量%は、粒子状樹脂材料および流
動改変剤の全樹脂分のものである。好ましくは、コポリマーは、クリヤーコーテ
ィング用途において、粉体コーティング組成物中にて、0.1〜3重量%の量、さ
らに好ましくは、約0.5〜約2重量%の量で含有される。
本発明の熱硬化性粉体コーティング組成物は、必要に応じて、他の材料(例え
ば、顔料、充填剤、光安定剤および酸化防止剤)を含有できる。さらに、この組
成物は、耐ポッピング剤(anti-popping agent)を含有できる。顔料は、得られる
コーティングに適切な色を与えるために、コーティング組成物中にて、組成物の
全重量を基準にして、1〜50重量%の量で含有できる。適切な顔料には、例えば
、二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニ
ングリーン、カーボンブラック、黒鉛繊維、黒色酸化鉄、緑色酸化クロム、フェ
ライドイエロー(ferride yellow)およびキンドレッド(quindo red)が挙げら
れ
る。
耐ポッピング剤は、焼き付け中に、フィルムから、揮発性物質を追い出すこと
を可能にするために、組成物に添加できる。ベンゾインは、一般的に好ましい耐
ポッピング剤であり、そして使用する場合には、一般に、粉体コーティング組成
物の全重量を基準にして、0.5〜3.0重量%の量で存在する。
さらに、粉体コーティング組成物は、保存中のこの粉体のケーキングを少なく
するために、発煙シリカ(fumed silica)などを含有してもよい。発煙シリカの
一例は、CAB-O-SILの商標で、Cabot Corporationから販売されている。発煙シリ
カは、粉体コーティング処方物の全重量を基準にして、0.1〜1重量%の範囲の
量で存在する。
本発明の流動添加剤は、沈降シリカ表面上に吸着させ得、より自由に流動する
シリカ粉末を提供でき、これは、典型的には、流動添加剤の含量に関して、60〜
70重量%活性である。
熱硬化性粉体コーティング組成物は、成分を溶融ブレンドすることにより、調
製される。これは、まず、高せん断混合機(例えば、遊星混合機)にて、成分をブ
レンドし、次いで、約80℃〜約130℃で、押出機にて、溶融ブレンドすることに
より、達成できる。次いで、押出物は冷却され、そして粒子状ブレンドに粉砕さ
れる。このような粒子状混合物は、好ましくは、スプレー法により塗布できる。
本発明の熱硬化性粉体コーティング組成物は、プライマー、プライマーサーフェ
ーサーまたはチップガードプライマーとして使用でき、ここで、これらは、先に
塗布した電着プライマー上に塗布され、次いで、引き続いて、標準的な仕上げ組
成物でトップコートされる。好ましくは、これらは、カラープラスクリヤーコー
ティングまたはベースコート、クリヤーコート複合コーティングにて、クリヤー
コートとして使用される。
また、本発明の流動改変コポリマーは、Modaflow(またはResiflow)流動添加剤
(St.Louis、MissouriのMonsanto Chemical Companyから入手できる)のような流
動添加剤を使用する当業者に公知の任意の様式で、上で述べたように、液状フィ
ルム形成樹脂材料と共に使用できる。
流動添加剤コポリマーを有するコーティング組成物、および好ましくは、粒子
状熱硬化性粉体コーティング組成物は、例えば、金属(例えば、鋼鉄またはアル
ミニウム)基材に直接塗布できる。最も好ましくは、粉体コーティングは、当業
者に公知の任意のベースコート処方(例えば、水媒介ベースコート)の上にまたは
それと共に塗布するためのクリヤーコートである。その例には、上記水媒介フィ
ルム形成樹脂材料と類似のものが挙げられ、これは、1種またはそれ以上の顔料
およびPPG Industries Inc.から入手できるものを含有する。塗布は、スプレー
、そして金属基材の場合には、静電スプレー(これは好ましい)、または流動床の
使用により、行うことができる。また、コーティング組成物は、プライマー、プ
ライマーサーフェーサーまたはチップガードプライマーとして塗布できる。コー
ティング粉末は、1回の掃け(sweep)または数回のパス(pass)で塗布され得
、硬化後、1〜15ミル、通常、2.0〜4.0ミルの厚さを有するフィルムが提供でき
る。
コーティング組成物(例えば、好ましい粉体コーティング物)の塗布後、粉体コ
ーティング基材は、この製品を硬化するのに充分な温度、典型的には、約250°F
〜約400°F(121℃〜204℃)で約1〜60分間、好ましくは、約300°F〜350°F(149
℃〜177℃)で約10〜30分間にわたり、焼き付けられる。
粉体コーティング組成物は、裸の金属(すなわち、未処理で、プライマー塗装
していない鋼鉄)または前処理(すなわち、リン酸塩処理)して、プライマー塗装
していない鋼鉄に直接塗布し得るが、本発明の1実施態様では、粉体コーティン
グ組成物は、電着プライマーコーティングの薄層を有する金属基材に塗布される
。電着プライマー層は、粉体コーティング組成物の塗布前に、硬化していてもよ
く、または未硬化であってもよい。金属基材上の電着プライマーコーティング物
は、例えば、カチオン性電着プライマー組成物(例えば、UNI-PRIMEの商標でPPG
Industries、Inc.から入手できるもの)であり得る。本発明の1局面では、粉体
コーティング組成物は、未硬化の電着プライマーコーティング(例えば、自動車
またはトラックの車体上に析出させた電着プライマーコーティング)の少なくと
も一部に直接塗布でき、そしてその後、電着プライマーコーティングおよびプラ
イマーコーティングの両方が、300°F〜350°F(149℃〜177℃)の間の温度で約10
〜30分間加熱することにより、共に硬化され得ることが意図される。本発明の粉
体コーティング組成物をチップガードプライマーとして使用する場合、コーティ
ング
は、電着コーティングの一部(例えば、石はねを受け易い部分)に塗布し、電着プ
ライマーの残りの領域をチップガードプライマーでコーティングしていないまま
残すことができる。
実施例
以下の実施例は、本発明の熱硬化性粉体コーティング組成物で使用される種々
の成分の調製を示す。全ての量は、コポリマー流動添加剤または粉体コーティン
グ処方物を調製する際に使用する実際の成分のグラム数としての重量部である。
樹脂合成実施例1〜11は、本発明の流動制御コポリマーの調製を示す。実施例
1〜5は、ヒドロキシ官能性モノマーを用いて(実施例1〜3)およびそれなしで
(実施例4〜5)、アミン官能性モノマーから形成したコポリマーを示す。実施例
6〜9は、非官能性アクリレートモノマーと共に、ヒドロキシ官能性モノマーを
コモノマーとして用いて(実施例6〜7)またはそれなしで(実施例8〜9)、酸官
能性モノマーから形成したコポリマーを示す。実施例10および11は、ヒドロキシ
官能性モノマーを用いて(実施例11)またはそれなしで(実施例10)、リン酸との反
応から形成したコポリマーを示す。また、比較例IおよびIIは、いずれの官能性
モノマーもなしで(実施例I)および実施例IIではヒドロキシル官能性アクリレー
トモノマーのみを用いて調製したコポリマーを示す。
実施例1〜7のコポリマー合成のための手順
初期溶媒部分を、4ッ口フラスコ(これは、反応容器として機能し、そしてこ
れは熱電対、還流冷却器および撹拌機を備えている)に投入した。この初期溶媒
投入物を、窒素ガスブランケット下にて、還流状態まで加熱する。別の予備混合
フラスコにて、「第一開始剤混合物」を調製する。また、別の第二の予備混合フ
ラスコにて、モノマー混合物を調製する。第一開始剤混合物を、反応を窒素ガス
ブランケット下にて還流状態で維持しつつ、3.5時間(T1)にわたって、第一添加
漏斗から、反応容器に滴下する。開始剤の添加の開始の15分(T2)後、モノマー混
合物を、3時間(T3)にわたって、第二の添加漏斗から、反応容器に滴下する。第
一開始剤混合物の添加が完了した後、反応混合物を、30分間(T4)にわたって、還
流状態で保持する。この期間の後、予備混合した「第二開始剤混合物」を、30分
間(T5)にわたって、添加漏斗により、反応容器に滴下する。(各添加が完了した
後、一部の溶媒を、すすぎ液として添加する)。次いで、反応を、窒素ブランケ
ット下にて、還流状態で、2時間(T6)保持し、その後、反応混合物を120℃(温度
1)まで冷却する。反応混合物を真空ストリッピングして、揮発性成分を除去す
る。反応混合物を、固形分含量、ポリスチレン標準を用いたゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィーにより決定する数平均分子量、および使用する特定のモノ
マーに依存してた以下の1個またはそれ以上について分析する:測定アミン当量
(ミリ当量/グラム);ヒドロキシル価;および酸価。コポリマーの前記測定した
特性は、以下の American Society of Testing Materials(ASTM)標準方法に基づ
く手順により、得られた:D-2369(固形分%について)、D-2073(アミンのミリ当
量について)、D-1957(ヒドロキシル価について(ヒドロキシル数とも言われる))
、D-1639(酸価について)。アミンのミリ当量(Meq)は、アミンのMeq.に56.1を掛
けて、材料1グラムあたりのKOHのミリグラム数を得ることにより、アミン価に
転化できる。
実施例1の調製では、キシレンは、表1に示す重量部でこの反応容器に投入さ
れた溶媒であった。過酢酸第三級アミル(60%溶液)およびキシレンを、表1で示
す重量部で、「第一開始剤混合物」として、共に混合した。メタクリル酸N,N-ジ
メチルアミノエチル、アクリル酸ヒドロキシエチルおよびアクリル酸2-エチルヘ
キシルもまた、表1に示す量で、モノマー混合物として、共に混合した。「第二
開始剤混合物」は、表1に示す量で、過酢酸第三級ブチル(50%溶液)およびキシ
レンから予備混合した。実施例2〜5(以下の表1に挙げる)を、表1に示した成
分を用いて、類似の様式で合成した。
実施例6および7の調製
実施例6
実施例6および7では、表2に示した量のイソブチルアルコールおよびDowano
l PM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)混合物が、反応容器に投入した
溶媒を構成した。「第一開始剤混合物」は、Dowanol PMと混合した Vazo 67(2,2
'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル))であった。モノマーブレンドおよび第二
開始剤混合物を調製し、そして表2に示した量の成分から添加した。
実施例8および9ならびに比較例IおよびII(比較例)の調製は、表3に示した
成分およびそれらの量が関与し、そして実施例1〜7の調製プロセスとは異なる
、同一のプロセスが関与していた。相違は、時間T1、T3およびT4、ならびに時間
T4およびT6での温度であった。T1は、2.5時間であり、T3は、2時間であり、そ
してT4は、T6保持時間の温度と同様の還流状態ではなく130℃で1時間であった
。
実施例10および11の調製
実施例10
工程1。キシレン(312.5部)を、4ッ口フラスコ(これは、熱電対、還流冷却器
および撹拌機を備えており、反応容器として機能する)に投入し、そして窒素ガ
スブランケット下にて、還流状態まで加熱した。過酢酸第三級アミル(60%溶液2
5.0部)およびキシレン125.0部を共に混合した(第一開始剤混合物)。全体で200.0
部のメタクリル酸グリシジルおよび1800.0部のアクリル酸2-エチルヘキシルもま
た、共に混合した。第一開始剤混合物を、反応を還流状態で維持しつつ、約2.5
時間にわたって、反応容器に滴下した。第一開始剤混合物の添加の開始の15分後
モノマー混合物を、2時間にわたって、反応容器に滴下した。第一開始剤の添加
が完了した時点で、反応混合物を還流状態で1時間保持した。反応混合物を130
℃まで冷却した1。次いで、キシレン30.0部と混合した過酢酸第三級ブチル(50%
溶液20.0部)からなる第二開始剤混合物を、130℃で30分間にわたって、反応混合
物に滴下した。(各添加が完了した後、キシレン5.0部を、すすぎ液として添加し
た)。次いで、反応を、還流状態で2時間保持した。反応混合物は、すべて表4
に示すような固形分含量、1898のエポキシ当量および重量平均分子量(これは、
ポリスチレン標準を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより決定
した)を有していた。
1 実施例11では、反応混合物の温度は、第二開始剤混合物の添加の間、還流
状態で維持した。
2 実施例11では、反応混合物の温度は、第二開始剤混合物の添加後、2時間
の保持期間中、還流状態で維持した。
工程2。全体で1282.8部の工程1の生成物を、ブチルセロソルブ224.4部と共
に、4ッ口フラスコ(これは、熱電対、還流冷却器および撹拌機を備えている)に
投入し、そして窒素ガスブランケット下にて、55℃まで加熱した。全体で80.6部
の85%リン酸を、30分間にわたって、反応混合物に添加した。5時間20分後、反
応混合物を120℃まで加熱し、そして真空ストリッピングして、揮発性成分を除
去した。反応混合物は、すべて以下の表5で示す固形分含量、酸価およびヒドロ
キシル価を有していた。
以下の表4および5で挙げた実施例11は、類似の様式で合成した。
粉体コーティング実施例
以下の表6の実施例A〜Mの全てについて、実施例1〜実施例IIならびに比較例
IおよびIIで合成した流動添加剤を、粉体クリヤーコーティング処方物の成分と
して使用した。以下の実施例の各処方物は、重量部の量で示され、これらは、処
方物で使用した実際の成分のグラム数であり、そして各処方物は、以下の様式で
処理した。成分は、ヘンシェルブレンダーで30〜60秒間混合された。次いで、混
合物を、100℃〜130℃の温度で、Werner & Pfleider共回転2軸押出機で押出し
た。次いで押出した材料を粉砕し、そしてACM11グラインダーを用いて、17〜27
ミクロンの粒径まで分級した。仕上げた粉末を、外観2およびへこみ耐性3の特性
について、予備硬化したED5051(PPG Industriesにより供給された平滑黒色電着
パネル)上に静電スプレーし、そしてパネルを285°F(140℃)で30分間硬化させる
ことにより、評価した。乾燥フィルム厚(DFT)は、2.3〜3.5ミルを目標とする。
1 ACM1 Grinderは、Micron Powder Systems(Summit、New Jersey)から入手
した空気分級ミルである。
2 外観特性=BYK Gardner Haze-Gloss Meterにより測定した20°光沢および
曇り。高い光沢値は、良好な性能を示し、低い曇り値は、良好な性能を示す。BY
K Gardner Wavescan Instrumentにより、短波数および長波数を測定したが、こ
の場合、低い数値は、良好な性能を示す。画像鮮明度(DOI)は、HunterLab's Dor
igon IIにより測定したが、この場合、高い数値は、良好な性能を示す。
3 へこみ耐性は、非相溶性物質(例えば、他の粉体コーティング)を導入する
ことにより、評価する粉末とそれとを混合した後、ED5051パネルにスプレーし、
そして285°Fで30分間硬化させることによって、およそ0.1重量%のレベルで評
価する。次いで、硬化したフィルムは、へこみ耐性について目視評価し、そして
以下の尺度で評価する:評価1=非常に悪いへこみ耐性であり、ここで、非相溶
性物質は、甚だしいへこみを引き起こす;評価2=普通のへこみ耐性であって、
ここで、非相溶性物質は、中程度のへこみを引き起こす;評価3=非常に良好な
へこみ耐性であって、ここで、非相溶性物質は、へこみを起こさない。1.5およ
び2.5の評価もまた示すことができ、そして2.5より良好な評価であれば許容され
る。
実施例A〜Mの結果は、実施例1〜13で合成した流動添加剤が、良好な外観特性
を有する粉体処方物を生じることを示している。各処方物のへこみ耐性は、その
特定の処方物に対して使用した流動添加剤の組成と相関している。実施例Lおよ
びMは、比較例IおよびIIに由来しており、本発明には含まれないが、非常に乏
しいへこみ耐性を有する。実施例Aは、流動添加剤組成物に低レベルのアミノモ
ノマーを使用するが、普通のへこみ耐性を有する。他の全ての実施例は、良好な
へこみ耐性を示す。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),AU,BG,BR,C
A,CN,CZ,EE,HU,IL,JP,KR,LT
,MX,NO,NZ,PL,RO,RU,SG,SK,
TR,UA
(72)発明者 オルソン,カート ジー.
アメリカ合衆国 ペンシルバニア 15044,
ギブソニア,ベイカーズタウン ロード
3935
(72)発明者 ハンバート,カート エイ.
アメリカ合衆国 ペンシルバニア 15101,
アリソン パーク,ハンタータウン ロー
ド 3550
(72)発明者 アレン,カレン ビー.
アメリカ合衆国 ペンシルバニア 15642,
アーウィン,リゴラ ドライブ 5
(72)発明者 ウォズニアック,マーク イー.
アメリカ合衆国 ジョージア 31210,マ
コン,スプリングフィールド ブールバー
ド 164