【発明の詳細な説明】
抗炎症薬として有用なジヒドロベンゾフランおよび関連化合物
発明の分野
本発明は、非ステロイド性抗炎症薬、特に置換ジヒドロベンゾフランおよび関
連化合物に関するものである。
発明の背景
ある種のジヒドロベンゾフラン化合物およびそれに構造的に関連のある他の化
合物は、有意な疾病改善活性(disease altering activities)を有することが発
見された。そのような化合物、それらの調製法、およびそれらの使用が以下の文
献に開示されている:1987年6月2日に、Doria、RomeoおよびCornoに発行された
米国特許第4,670,457号、1989年7月18日に、Dobson、Loomans、MatthewsおよびM
illerに発行された米国特許第4,849,428号;1978年1月1日に公開された、吉富製
薬(株)の日本国特開昭53-005178号;Hammond,M.L.、I.E.Kopka、R.A.Zambias
、C.G.Caldwell、J.Boger、F.Baker、T.Bach、S.LuellおよびD.E.Maclntyreの「
ロイコトリエン生合成の抗酸化性阻害薬としての2,3-ジヒドロ-5-ベンゾフラノ
ール(2,3-Dihydro-5-benzofuranols as Antioxidant-Based Inhibitors of Leuk
otriene Biosynthesis)」、J.Med.Chem.、第32巻(1989)、1006〜1020頁;Orti
z de Montellano,P.R.およびM.A.Correiaの「酸化的薬物代謝におけるチトクロ
ーム P-450 の自殺的破壊(Suicidal Destruction of Cytochrome P-450 during
Oxidative Drug Metabolism)」、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.、第23巻(1983)
、481〜503頁;Chakrabarti,J.K.、R.J.Eggleton、P.T.Gallagher、J.Harvey、T
.A.Hicks、E.A.Kitchen、およびC.W.Smithの「抗炎症薬として可能な5-アシル-3
-置換-ベンゾフラン-2(3H)-オン(5-Acyl-3-substituted-benzofuran-2(3H)-ones
as Potential Anti-inflammatory Agents)」、J.Med.Chem.、第30巻(1987)、
1663〜1668頁。
有効な抗炎症、鎮痛および/または抗酸化活性を有する化合物を提供すること
が本発明の目的である。
有害な副作用をほとんど起こさない該化合物を提供することが本発明のさらな
る目的である。
本発明化合物を用いて炎症および/または疼痛を治療する方法を提供すること
も本発明の目的である。
発明の概要
本発明化合物は下記の構造式を有し、
ここで(a)nは1から約3であり、
(b)XはO、S、SO、またはSO2からなる群から選ばれ、
(c)Yは独立して、水素または炭素数1から約4個を有する直鎖、分枝
鎖または環式アルキルまたはアラルキルであるか、または2つのYは一緒に結合
し、3から7個の原子を有するアルカニル環を形成し、
(d)Zは水素または3から約10個の水素以外の原子を有する直鎖、分
枝鎖または環式アルキルであり、
(e)R1およびR2は各々独立して水素または直鎖、分枝鎖または環式ア
ルキル、カルボキシル、カルボキシアミド、アルコキシカルボニルまたはアルキ
ルカルボニルであり、および
(f)Hetは、各環に約5または6個の原子を含む、1つ以上の環を含
むヘテロアリール基であり、ここで少なくとも1つの環はO、N、またはSから
選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含む。
発明の詳細な説明
特記しない限り、ここに用いられるように、「アルキル」または「アルカニル
」とは、飽和または不飽和、非置換または置換された、直鎖、分枝鎖または環式
炭化水素鎖を意味する。好適なアルキルは、C1〜C10であり、より好適なのは
C1〜C8であり、特に好適なのはC1〜C4である。好適なアルキルは直鎖である
。好適な分枝鎖アルキルは1つまたは2つの分枝を、好ましくは1つの分枝を有
する。好適な環式アルキルは、単環であるか、または単環末端を有する直鎖であ
る。好適なアルキルは、飽和である。不飽和アルキルは、1つ以上の二重結合ま
たは/および1つ以上の三重結合を有する。好適な不飽和アルキルは、1つまた
は2つの二重結合または1つの三重結合、より好ましくは1つの二重結合を有す
る。好適なアルキルは非置換である。好適な置換アルキルは、一、二、または三
置換であり、より好ましくは一置換である。好適なアルキルの置換基には、ハロ
、ヒドロキシ、オキソ、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ
、ブトキシ、ペントキシ)、アリールオキシ(例えば、フェノキシ、クロロフェ
ノキシ、トリルオキシ、メトキシフェノキシ、ベンジルオキシ、アルキルオキシ
カルボニルフェノキシ、アシルオキシフェノキシ)、アシルオキシ(例えば、プ
ロピオニルオキシ、ベンゾイルオキシ、アセトキシ)、カルバモイルオキシ、カ
ルボキシ、メルカプト、アルキルチオ、アシルチオ、アリールチオ(例えば、フ
ェニルチオ、クロロフェニルチオ、アルキルフェニルチオ、アルコキシフェニル
チオ、ベンジルチオ、アルキルオキシカルボニルフェニルチオ)、アリール(例
えば、フェニル、トリル、アルキルオキシフェニル、アルキルオキシカルボニル
フェニル、ハロフェニル)、ヘテロサイクリル、ヘテロアリール、アミノ(例え
ば、アミノ、モノおよびジC1〜C3アルカニルアミノ、メチルフェニルアミノ、
メチルベンジルアミノ)、C1〜C3アルカニルアミド、ウレイド、N'-アルキル
ウレイド、N,'N"-ジアルキルウレイド、N',N',N-トリアルキルウレイド、グアニ
ジノ、N'-アルキルグアニジノ、N,'N"-ジアルキルグアニジノ、またはアルコキ
シカルボニルを含む。
ここに用いられるように、「アルコキシ」とは-O-アルキルを意味する。
ここに用いられるように、「アリール」とは炭素数6から約10個を有する非
置換または置換された芳香族環を有する部分を意味する。好適なアリールは、フ
ェニルおよびナフチルであり、最も好適なアリールはフェニルである。好適なア
リールは、非置換である。好適な置換アリールは、一、二、または三置換であり
、より好ましくは一置換である。好適なアリールの置換基には、ヒドロキシ、メ
ルカプト、ハロ、メチル、エチルおよびプロピルを含む。
ここに用いられるように、「ヘテロアリール」とは、1から5個の炭素原子お
よびO、SおよびNから選ばれる1から4個のヘテロ原子を含む、5または6個
の環原子を有する芳香族環を有する部分を意味する。好適なヘテロアリール基は
、環に1または2個のヘテロ原子を有する。ヘテロアリール環は置換されていて
も、または置換されていなくてもよい。特定の好適なヘテロアリールには、2ま
たは3-フリル、2または3-チエニル、窒素が非置換またはアルキル置換された2ま
たは3-ピロリル、2、4または5-チアゾリル、2、4または5-オキサゾリル、窒素が
非置換またはアルキル置換された2、4または5-イミダゾリル、3、4または5-イソ
オキサゾリル、3、4または5-イソチアゾリル、窒素が非置換またはアルキル置換
された3、4または5-ピラゾリル、2または5-オキサジアゾリル、2または5-チアジ
アゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル
、インドリル、キノリル、イソキノリルを含む。最も好適なのは、3-ピリジルで
ある。好適な置換ヘテロアリールは、一、二、または三置換、より好ましくは一
置換である。好適なヘテロアリールの置換基には、アルキル、ハロ、ヒドロキシ
、アルコキシ、チオ、ニトロ、アミノ、アミド、ウレイド、グアニジノ、チオカ
ルバムアミド、チオウレイドを含む。
ここに用いられるように、「ハロ」とはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨー
ドを意味する。好適なハロは、フルオロ、クロロおよびブロモであり、より好適
なのは、クロロおよびブロモ、特にクロロである。化合物
本発明は下記の構造を有する化合物を含み、
ここで(a)nは1から約3であり、
(b)XはO、S、SO、またはSO2からなる群から選ばれ、
(c)Yは独立して、水素または炭素数1から約3個を有する直鎖、分枝
鎖または環式アルキルであるか、または2つのYは一緒に結合し、3から約7個
の原子を有するアルカニル環を形成し、
(d)Zは水素または3から約10個の水素以外の原子を有する直鎖、分
枝鎖または環式アルキルであり、
(e)R1およびR2は各々独立して水素または非置換または置換された、
直鎖、分枝鎖または環式アルキル、カルボキシル、カルボキシアミド、アルコキ
シカルボニルまたはアルキルカルボニルであり、および
(f)Hetは、環に約5から約8個の原子を含む、1つ以上の環を含む
ヘテロアリール基であり、ここで少なくとも1つの環はO、N、またはSから選
ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含む。
上記の構造式において、各Yは独立して、水素、炭素数1から約4個の直鎖ま
たは分枝鎖アルカニル、および炭素数約3個の環式アルキル、シクロプロピルか
ら選ばれるか、または2つのYは互いに結合し、環に炭素数3から約7個を有す
る環式アルカニル環を形成する。各Yは好ましくは水素、メチル、エチルまたは
シクロプロピル;より好ましくは水素またはメチル;最も好ましくはメチルであ
る。好ましくは両方のYは同じである。2つのYが互いに結合しサイクリック環
を形成するとき、環は好ましくはシクロプロピル、シクロブチルまたはシクロペ
ンチル、より好ましくはシクロプロピルである。
上記の構造式において、Zは分枝鎖または環式アルキル、およびフェニル、ま
たはベンジルから選ばれ、Zは3から約10個の水素以外の原子を有する。Zは
好ましくは飽和である。
Zは好ましくは炭素数約3から約8個、より好ましくは炭素数約4から約6個
を有する分枝鎖アルカニルである。Zは好ましくは2つ以上の分枝を、より好ま
しくは2分枝を有する分枝鎖アルカニルである。好適な分枝鎖アルカニルZには
、t-ブチル、ネオペンチル、イソプロピルを含み、最も好適なのはt-ブチルであ
る。好適な環式アルカニルZには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペン
チル、シクロヘキシル、シクロヘプチルを含む。非置換フェニルまたはベンジル
も好適なZである。
上記の構造式において、R1およびR2は各々独立して水素または非置換または
置換された、直鎖、分枝鎖または環式アルキル、カルボキシル、カルボキシアミ
ド、アルコキシカルボニルまたはアルキルカルボニルである。カルボキシアミド
基の例としては、カルボキシアミド、N-メチル-カルボキシアミド、N,N-ジメチ
ルカルボキシアミドおよび他のN-アルキルおよびN,N-ジアルキルカルボキシアミ
ド基のような、非置換、一置換および二置換カルボキシアミドを含む。アルコキ
シカルボニル基の例には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t-ブトキ
シカルボニル、およびベンジルオキシカルボニルを含む。アルキルカルボニルの
例には、メチルカルボニル、エチルカルボニル、t-ブチルカルボニル、およびベ
ンジルカルボニルを含む。
上記の構造式において、Hetは1から5個の炭素原子および少なくとも1つ
の環にO、SおよびNから選ばれる1から4個のヘテロ原子を含む、各環に5ま
たは6個の環原子を有する1つ以上の環を有するヘテロアリール基である。好適
なヘテロアリールは、環に1または2個のヘテロ原子を有する。特定の好適なヘ
テロアリールには、2または3-フリル、2または3-チエニル、窒素が非置換または
アルキル置換された2または3-ピロリル、2、4または5-チアゾリル、2、4または5
-オキサゾリル、窒素が非置換またはアルキル置換された2、4または5-イミダゾ
リル、3、4または5-イソオキサゾリル、3、4または5-イソチアゾリル、窒素が非
置換またはアルキル置換された3、4または5-ピラゾリル、2または5-オキサジア
ゾリル、2または5-チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、
ピリミ
ジニル、ピラジニル、インドリル、キノリル、イソキノリルを含む。ヘテロアリ
ールは、非置換または置換、好ましくは非置換である。好適な置換ヘテロアリー
ルは、一、二、または三置換であり、より好ましくは一置換である。好適なヘテ
ロアリールの置換基には、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、チオ、ニ
トロ、アミノ、アミド、ウレイド、グアニジノ、チオカルバムアミド、チオウレ
イドを含む。
本発明の好適な化合物は、下記の表に示されるものを含む。
薬理学的活性を決定および評価するために、当業者には公知の種々の測定法を
用いて本発明化合物を動物において試験する。本発明化合物の抗炎症活性は、炎
症反応の特徴である局所浮腫に拮抗する本発明化合物の能力を試験するよう計画
された測定法を用いて、都合よく示すことができる。そのような既知の試験の例
には、ラットカラゲナン浮腫試験、オキサゾロン誘発炎症マウス耳試験、および
マウスのアラキドン酸誘発炎症耳試験を含む。マウスにおけるフェニルベンゾキ
ノン誘発苦悶試験、およびラットにおけるRandall&Selitto試験のような当該技
術で既知のモデルにおいて鎮痛活性を試験することができる。もう1つの有用な
当該技術で既知の試験は、急性よりはむしろ慢性の抗炎症活性、抗関節炎および
抗
吸収性活性を評価するのに有効なモデルであるラットアジュバンド関節炎試験で
ある。
これらおよび他の薬理活性の適切な試験は、1978年12月19日発行のMooreの米
国特許第4,130,666号;1984年2月14日発行のKatsumiらの米国特許第4,431,656号
;1984年4月3日発行のKatsumiらの米国特許第4,440,784号;1985年3月28日に公
開されたKatsumiらの日本特許出願特願昭60-54315;1982年9月1日に公開された
山之内製薬株式会社のヨーロッパ特許出願第0,059,090号;Opas,E.V.、R.J.Bonn
eyおよびJ.L.Humesの「アラキドン酸により炎症を起こさせたマウス耳における
プロスタグランジンおよびロイコトリエンの合成」、研究皮膚化学雑誌(The Jo
urnal of Investigative Dermatology)、第84巻、第4号(1985)、253〜256頁
;Swingle,K.F.、R.L.BellおよびG.G.I.Mooreの「抗酸化薬の抗炎症活性」、抗
炎症および抗リウマチ薬、第III巻、第4章、K.D.Rainsford編集、CRC Press,Inc
.社、(1985)、105〜126頁;Adamkiewicz,V.W.、W.B.RiceおよびJ.D.McCollの
「正常および副腎摘出ラットにおけるトリプシンの消炎効果」、生化学および生
理学カナダ雑誌(Canadian Journal of Biochemistry&Physiology)、第33巻(
1955)、332〜339頁;Sellye,H.の「関節炎の病因における副腎皮質の関与に関
する詳細な研究」、英国医学雑誌(British Madical Journal)、第2巻(1949)
、1129〜1135頁;およびWinter,C.A.、E.A.RisleyおよびG.W.Nussの「抗炎症薬
の試験法としてのラット後肢におけるカラゲナン誘発浮腫」、実験的生物学およ
び医学会予稿集(Proceedings of Society of Experimental Biology and Medic
ine)、第111巻(1962)、544〜547頁;Otterness,I.およびM.L.Blivenの「非ス
テロイド性抗炎症薬を試験するための実験室的方法」、非ステロイド性抗炎症薬
(Nonsteroidal Antiinflammatory Drugs)、第3章、J.G.Lombardino編集、John
Wiley & Sons,Inc.社、(1985)、111〜252頁;Hitchen,J.T.、S.Goldstein,.
L.ShemanoおよびJ.M.Beilerの「実験的に誘発した疼痛の3つのモデルにおける
刺激薬の鎮痛効果」、薬力学(Arch.Int.Pharmacodyn.)、第169巻、第2号、(1
967)、384〜393頁;Milne,G.M.およびT.M.Twomeyの「動物におけるピロキシカ
ムの鎮痛特性および実験的に決定されたプラズマレベルとの相関」、薬剤および
作用、第10巻、第1/2号(1980)、31〜37頁;Randall,L.O.およびJ.J.Selittoの
「炎症組織での鎮痛
活性の測定方法」、薬力学(Arch.Int.Pharmacodyn.)、第111巻、第4号(1957)
、409〜419頁;Winter,C.A.およびL.Faltakerの「刺激薬および種々の抗侵害受
容性薬の非経口投与により影響される侵害受容閾値」、薬理学的実験療法雑誌(
J.Pharmacol.Exp.Ther.)、第148巻、第3号、(1965)、373〜379頁;に開示さ
れ、および/またはこれらが参照され、これら全ての参考文献の開示は、本明細
書に援用される。
多くの抗炎症薬、特に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、特に経口投与さ
れる時に、胃腸に望ましくない副作用を引き起こし、そのような副作用には潰瘍
およびびらんを含む。これらの副作用は、しばしば無症候性であるので、入院を
要するほど重篤となることがあり、死に至ることさえある。本発明の化合物は、
他のNSAIDsと比較して、そのような胃腸への副作用が一般的に少ない。本発明の
ある化合物は、胃保護作用すら有し、特にエタノールまたは他のNSAIDsによって
引き起こされる潰瘍およびびらんから胃および腸を保護する。
ある種のNSAIDsが系統的に投与されると、ある種の肝臓酵素の全身レベルでの
望ましくない増加を招く。本発明化合物は、肝臓酵素副作用が一般的にほとんど
ないか、または全くない。
本発明に有用な化合物は、以下の一般的反応スキームを用いて調製することが
できる。
スチリルピラゾールをイソオキサゾリルメチルカルボアニオンアプローチによ
って調製する。n-BuLi による3,5-ジメチルイソオキサゾールの5-メチル位で
の位置選択的脱プロトン化により発生させるカルボアニオンを、アリールアルデ
ヒド(I)、(臭化アリールから調製される)と反応させアルコール付加生成物
を得る。この化合物を次いで脱水させ、スチリルイソオキサゾールを形成する。
スチリルイソオキサゾールのスチリルピラゾールへの変換はMo(CO)6を用いる
、Kobayashiの加水素分解方法(J.Chem.Soc.Chem.Comm.1982,877)に従い、続く
ヒドラジンを用いるピラゾール環形成により実施する。
スチリルチオフェンを2つのルートによって調製する。熱ピペリジン中のアリ
ールアルデヒドおよび2-チオフェンカルボン酸との間のKnoevenagel反応により
、スチリル酸を得る。銅と250℃で加熱することにより、脱炭酸を実現してス
チリルチオフェンをE/Z異性体の混合物として得る。E-異性体をE/Z混合
物から再結晶により分離する。
スチリルチオフェンはWittig反応を経て調製することもできる。アリールアル
デヒドまたはNaHSO3との反応から生成するそのα-ヒドロキシスルホネート
ナトリウムは、2-チオフェンメチルトリフェニルホスホニウムクロライドおよび
t-BuOKから生成するイリドと反応し、スチリルチオフェンのE/Z異性体の
混合物を形成する。E異性体の立体選択的形成は、エチル2-チオフェンメチルホ
スホネート(2-チオフェンメタノールからチオフェンメチルクロライドを経て調
製)をイリド源として用いるWittig-Horner反応を経て成し遂げられる。
Wittig反応はスチリルピリジン化合物をも提供する。ナトリウムアミド存在下
でのアルデヒドの3-ピコリルメチルトリフェニルホスホニウムクロライドとの反
応はE-オレフィンおよびZ-オレフィンの混合物を形成し、これはシリカゲルク
ロマトグラフィーにより分離することができる。
合成実施例
以下の実施例は、本発明化合物の合成に関するさらなる情報を提供するもので
あるが、これに制限されるものではない。
実施例1 E-3-(7'-t- ブチル-2',3'-ジヒドロ-3',3'-ジメチルベンゾ[b]フラン-5'-イル)-2 -(2"-チオフェン)-プロペン酸
(7-t-ブチル-2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチルベンゾ[b]フラン-5-イル)-カルボキ
シアルデヒド(1.064g、4.59mmol)および2-チオフェン酢酸(978mg、6.88mmol
)の混合物に、ピペリジン(1.5mL)を添加する。混合物を140℃(油浴温度
)で4時間加熱し、室温まで冷却し、水でクエンチし、そして酢酸エチルで抽出
する(3x)。有機層をブラインで洗浄し(2x)、無水Na2SO4で乾燥し、
そしてロータリーエバポレーターで濃縮して褐色半固体を得る。この粗生成物の
シリカゲ
ルクロマトグラフィー(CH2Cl2中に5% MeOH)により、表題化合物を
黄色固体(543mg、34.0%)、mp183〜185℃として得る。
実施例2a 5-[E-2'-(2"- チオフェン)エテニル]-7-t-ブチル-2,3-ジヒドロ-3.3-ジメチルベ ンゾ[b]フラン
CH2Cl2(5mL)中の、実施例1で得られた酸(1.081g、3.034mmol)および
銅粉末(385mg、6.02mmol)の混合物を250℃で2時間加熱する。残渣をCH2
Cl2に溶解し、1/1のCH2Cl2/ヘキサンで洗浄しながらシリカゲルパッ
ドを通し濾過する。濾液をロータリーエバポレーターで濃縮して、1H NMR分
析により、E/Zオレフィンが85/15の混合物を含有するオイル状物質を得る。
シリカゲルクロマトグラフィー(10〜20% CH2Cl2ヘキサン溶液)によるさ
らなる精製により純粋なE/Zオレフィン混合物(510mg、53.8%)を得て、こ
れよりCH2Cl2/ヘキサン混合物(1mL/4mL)からの再結晶により純粋なE-
オレフィンを白色固体(283mg、29.9%)、mp :113.5〜115℃として得る。
実施例2b 5-[E-2'-(2"- チオフェン)エテニル]-7-t-ブチル-2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチルベ ンゾ[b]フラン ステップ1: 2-チオフェンメチルクロライド
CH2Cl2(100mL)中の2-チオフェンメタノール(9.5mL、100mmol)に0℃
で塩化チオニル(14.6mL、200mmol)、続いてピリジン(9.7mL、120mmol)
を添加する。混合物を室温で30分間撹拌し、そしてロータリーエバポレーター
で濃縮する。得られる褐色オイルを5%エーテルヘキサン溶液で洗浄しながら、
シリカゲルパッドを通し濾過し、濾液を蒸発させ、表題化合物をオレンジ色オイ
ル(6.50g、48.9%)として得て、これを冷暗所に貯蔵し、次のステップに1週
間以内に使用する。ステップ2: ジエチル2'-チオフェンメチルホスホネート
2-チオフェンメチルクロライド(1.1g、8.3mmol)および亜リン酸トリエチル(2
.07mL、12.1mmol)の混合物を130℃で4時間加熱する。得られる混合物をKug
elrohr蒸留にかけ、過剰の亜リン酸トリエチル(50℃/0.005mm)を除去し、続
いて表題ホスホネートを無色オイルとして得る(90〜130℃/0.005mm、1.00g、5
1.8%)。ステップ3:5-[E-2'-(2"-チオフェン)エテニル]-7-t-ブチル-2,3-ジヒドロ-3,3 -ジメチルベンゾ[b]フラン
無水DME(Aldrich、68mL)中の(7-t-ブチル-2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチルベ
ンゾ[b]フラン-5-イル)-カルボキシアルデヒド(90%、8.763g、33.95mmol)お
よびステップ2からのホスホネート(8.04mL、40.7mmol)およびNaH(鉱油中
に60%、3.26g、81.5mmol、ヘキサンにて3回洗浄、および使用の前に真空乾燥
)の混合物を窒素下、2時間加熱還流する(およそ5〜10分の加熱時にH2が激し
く発生(evolution)するので、十分な換気を確保すべきである)。反応の完了
に際し、混合物を水で注意深くクエンチし、そしてエーテルで抽出する(3x)
。有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、そしてロータリーエバ
ポレーターで濃縮する。得られる残渣(1H NMR分析により、Zオレフィンの
痕跡なし)をCH2Cl2/ヘキサンの1/1混合物から再結晶させ表題化合物(
7.054g、65.9%)を白色固体として得る。母液のシリカゲルクロマトグラフィー
(5%
CH2Cl2ヘキサン溶液)により、表題化合物をさらに得る(2.041g、全部で収
率85.5%)。
実施例3 5-[E-2'-(2"- チオフェン)エテニル]-7-t-ブチル-2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチルベ ンゾ[b]チオフェン
無水DME(Aldrich、4mL)中の(7-t-ブチル-2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチルベン
ゾ[b]チオフェン-5-イル)-カルボキシアルデヒド(500mg、2.01mmol)および実施
例2のステップ2からのホスホネート(476mL、2.41mmol)およびNaH(鉱油中
に60%、193mg、4.83mmol、ヘキサンにて3回洗浄、および使用の前に真空乾燥
)の混合物を窒素下、2時間加熱還流する(およそ5〜10分の加熱時にH2が激し
く発生するので、十分な換気を確保すべきである)。反応の完了に際し、混合物
を水で注意深くクエンチし、そしてエーテルで抽出する(3x)。有機層をブラ
インで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、そしてロータリーエバポレーターで濃
縮する。得られる残渣をCH2Cl2/ヘキサンの1/1混合物から再結晶させ所
望の化合物を白色固体(408mg、61.8%)として得る。
実施例4 5-[E-2'-(5"- メチル-1H-ピラゾール-3"-イル)エテニル]-7-t-ブチル-2,3-ジヒド ロ-3,3-ジメチルベンゾ[b]フラン ステップ1:1-(7'-t-ブチル-2',3'-ジヒドロ-3',3'-ジメチルベンゾ[b]フラン- 5'-イル)-2-(3"-メチルイソオキサゾール5"-イル)エタノール
THF(15mL)中の3,5-ジメチルイソオキサゾール(1.47mL、15.0mmol)に
−78℃でn-BuLi(1.47Mヘキサン溶液、10.0mL、14.7mmol)を添加する。
混合物を−78℃で2時間撹拌する。得られる黄色溶液に、THF(60mL)中の(7
-t-ブチル-2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチルベンゾ[b]フラン-5-イル)-ホルムアルデ
ヒド(3.48g、15.0mmol)を−78℃で滴下する。反応混合物を室温で5時間撹拌
し、次いでロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣を水および酢酸エチルの
間で分配する(3x)。有機層をブライン(3x)で洗浄し、無水Na2SO4で
乾燥し、そしてロータリーエバポレーターで濃縮して褐色オイルを得る。シリカ
ゲルクロマトグラフィーにより所望のアルコールを濃い黄色オイルとして得て、
これは次いで白色固体(4.355g、88.2%):mp71〜72℃として固化する。ステップ2:5-[E-2'-(3"-メチルイソオキサゾール-5"-イル)エテニル]-7-t-ブ チル-2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチルベンゾ[b]フラン
トルエン(50mL)中のステップ1からのアルコール(3.230g、9.80mmol)にp-
トルエンスルホン酸一水和物(9mg)を添加する。Dean-Stark還流冷却器を通し
て溶媒を連続的に除去しながら混合物を2時間加熱還流する。混合物を濃縮する
。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(65% CH2Cl2ヘキサン溶液)を通
して精製し、続いてヘキサン/CH2Cl2(15mL/1mL)から再結晶させ、E/
Z異性体の15/1の混合物(1H NMR分析により決定)(2.28g、74.8%:mp12
1.5〜123℃)を得る。ステップ3:5-[E-2'-(5"-メチル-1H-ピラゾール-3"-イル)エテニル]-7-t-ブチ ル-2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチルベンゾ[b]フラン
ステップ2からのイソオキサゾール(1.543g、4.96mmol)およびヘキサカルボ
ニルモリブデン(982mg、3.72mmol)の混合物にアセトニトリル(58mL)および
水(89mL、4.96mmol)を添加する。混合物を14時間加熱還流し、ロータリーエバ
ポレーターで濃縮する。残渣にメタノール(30mL)および2N HCl
(0.8mL)をpH=1となるまで添加する。混合物を5時間撹拌し、そして再び
濃縮し、次いで水(30mL)で処理し、1N NaOHで中和する。酢酸エチルおよ
びブラインを添加する。分離した水層を酢酸エチルで抽出する(3x)。合わせ
た有機層をクロロホルムで洗浄しながらシリカゲルパッドを通して濾過する。有
機濾液を濃縮し、そして残渣を酢酸エチルに溶解し、酢酸エチルで洗浄しながら
シリカゲルパッドを通して濾過する。有機層を酢酸(78mL)および97%ヒドラジ
ン(0.779mL、24.8mmol)で処理する。混合物を20時間撹拌し、続いて真空蒸発
により酢酸を除去する。残渣を水で洗浄し、そして濾過する。得られる褐色ケー
キをシリカゲルクロマトグラフィー(1% メタノールCH2Cl2溶液)により
精製し、続いてヘキサンから再結晶させ、表題化合物(645mg、41.9%)を淡黄
色固体:mp:145〜147℃として得る。
実施例5 5-[E-2'-(3"- ピリジニル)エテニル]-7-t-ブチル-2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチルベ ンゾル[b]フラン
3-ピコリルトリフェニルホスホニウムクロライド(4.87g、12.5mmol、3-ピコ
リルクロライドおよびトリフェニルホスフィンから調製)およびナトリウムアミ
ド(90%、541mg、12.5mmol)の混合物にTHF(32mL)を添加する。混合物を
室温で撹拌し、次いで−78℃に冷却する。このピンクのスラリーに−78℃で
THF(10mL)中の(7-t-ブチル-2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチルベンゾ[b]フラン-5
-イル)-カルボキシアルデヒド(1.16g、5mmol)を添加する。混合物を−78℃
で10分、次いで室温で2時間撹拌する。溶媒をロータリーエバポレーターによ
り除去する。残渣をエーテルに溶解し、そして濾過する。残渣をエーテルで洗浄
する(2x)。合わせた有機層を濃縮し、残った残渣は、E/Z二重結合異性体
の40/60混合物を含む。異性体の分離をシリカゲルクロマトグラフィー(20〜25
%酢酸エチルヘキサン溶液)により行い、Z異性体(788mg、51.3%)およびE
異性体(580mg、37.7%、mp:72〜74℃)を共に白色固体として得る。組成物
本発明の組成物は、安全で有効な量の本発明化合物、および薬剤的に許容可能
な担体を含む。ここで用いられるように、「安全で有効な量」とは、健全な医学
的判断の範囲内で、治療する状態に有意に肯定的な変化を誘発するに十分である
が、重篤な副作用を避けることのできる程度に少ない化合物の量(応分の利益/
危険比で)を意味する。化合物の安全で有効な量は、治療する個々の条件、治療
する患者の年齢および身体的状態、症状の重症度、治療の期間、併用療法の性質
、用いられる個々の薬剤学的に許容可能な担体、担当の医師の知識および専門意
見の範囲内の因子等により変化する。
本発明の組成物には、好ましくは約0.1重量%から約99.9重量%、より
好ましくは約20重量%から約80重量%、そして最も好ましくは約40重量%
から約70重量%の化合物を含む。
本化合物に加えて、本発明の組成物は、薬剤学的に許容可能な担体を含む。こ
こで用いられるように「薬剤学的に許容可能な担体」という用語は、ヒトまたは
下等動物での投与に適した1つ以上の適合する固体または液体の賦形希釈剤また
はカプセル化物質を意味する。ここで用いられるように「適合する」という用語
は、組成物の成分が、通常の使用状況において組成物の薬剤学的効力を実質的に
減ずるような相互作用を示さないような方法で、本発明化合物と、およびお互い
に一緒に混ぜることができることを意味する。薬剤学的に許容可能な担体は、勿
論、治療するヒトまたは下等動物への投与に適したものとするために十分に高い
純度および十分に低い毒性のものでなければならない。
薬剤学的に許容可能な担体またはそれの成分として作用することのできる物質
のいくつかの例としては、ラクトース、グルコースおよびショ糖のような糖類;
コーンスターチおよび芋デンプンのようなデンプン;カルボキシメチルセルロー
スナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロースのようなセルロースおよびそ
の誘導体;トラガント末;麦芽;ゼラチン;タルク;ステアリン酸、ステアリン
酸マグネシウムのような固形潤滑剤;硫酸カルシウム;ピーナッツ油、綿実油、
ゴマ油、オリーブオイル、コーン油およびカカオ脂のような植物油;プロピレン
グリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレング
リコールのようなポリオール;アルギン酸;Tween(登録商標)のような乳化剤
;ラウリル硫酸ナトリウムのような湿潤剤;着色料;着香料;賦形剤;錠剤化剤
(tableting agents);安定剤;酸化防止剤;保存剤;発熱物質非含有水(pyro
gen-free water);生理食塩水;およびリン酸緩衝液がある。
本発明化合物と共に用いられる薬剤学的に許容可能な担体の選択は、その化合
物の投与方法によって本質的に決定される。
本発明化合物が注射される場合、静注でない注射であることが好ましく、好ま
しい薬剤学的に許容可能な担体は、血液適合性懸濁剤を伴う無菌生理的食塩水で
あり、そのpHは約7.4に調整されている。そのような注射可能な組成物は、
好ましくは約1%から約50%の本発明化合物を、より好ましくは約5%から約
25%、また好ましくは用量あたり本発明化合物を約10mgから約600mg
含む。
局所適用に適する薬剤学的に許容可能な担体は、ローション、クリーム、ゲル
等における使用に適しているものを含む。局所用組成物は、好ましくは約1%か
ら約50%の皮膚軟化薬を、より好ましくは約5%から約25%の皮膚軟化薬を
含む。そのような局所用組成物は、好ましくは約0.1%から約50%の本発明
化合物を、より好ましくは約0.5%から約10%、また好ましくは用量あたり
本発明化合物を約5mgから約3500mg含む。
本発明化合物の好ましい投与方法は、経口投与である。それゆえ好ましい単位
剤形は、安全で有効な量の化合物を含む錠剤、カプセル等であり、それは好まし
くは約5mgから約3500mg、より好ましくは約10mgから約1000m
g、最も好ましくは約25mgから約600mg含む。経口投与のための単位剤
形の調製に適した薬剤学的に許容可能な担体は、当該技術で公知である。それら
の選択は、味、コスト、貯蔵時の安定性のような2次的要件におうものであり、
本発明の目的には重要でなく、当業者は容易に決定することができる。
本発明化合物の多くは、疎水性である。水性の組成物または水性媒体に可溶ま
たは混和できる組成物を得るのが望ましい場合、可溶化剤を組成物中に含むこと
ができる。そのような可溶化剤の例には、ポリエチレングリコール、プロピレン
グリコール、エタノール、およびポリオキシエチレン(35)ヒマシ油を含むが
これらに制限されるものではない。
本発明の組成物に適する特に好ましい経口組成物の担体は、1993年2月23日に
発行されたKelmおよびBrunsの「テブフェロン(Tebufelone)の医薬組成物」と
題する米国特許第5,189,066号および1994年1月25日に発行されたKelmおよびDobr
ozsiの「テブフェロンの固形分散組成物」と題する米国特許第5,281,420号に開
示されており、本明細書に援用される。方法
本発明のもう1つの態様としては、本発明化合物の安全で有効な量を該治療が
必要なヒトまたは下等動物に投与することによって、炎症を特徴とする疾病を治
療または防ぐ方法である。ここで用いられるように「炎症を特徴とする疾病」と
いう用語は、炎症を伴うことが知られている状態を意味し、同定しうる疾病と関
連しているか否かにかかわらず、炎症の存在と同様に、関節炎(例えば、リウマ
チ様関節炎、変形性関節炎、乾癬性関節炎、若年性関節炎、ライター病、感染性
関節炎、および強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデスおよび通風)のような状
態を含むことができる。炎症を特徴とする疾病は、口腔における炎症(例えば、
歯肉炎または歯周病に関連した炎症)、消化管における炎症(例えば、潰瘍およ
び被刺激性腸疾患に関連した炎症)、皮膚疾患に関連した炎症(例えば、乾癬、
ざ瘡、および他の皮膚炎症)、気道に関連した炎症(例えば、喘息、気管支炎、
およびアレルギー)、中枢神経系における炎症(例えば、アルツハイマー病)を
さらに含むことができる。
本発明のもう1つの態様としては、本発明化合物の安全で有効な量を該治療が
必要なヒトまたは下等動物に投与することによって、疼痛を治療または防ぐ方法
である。本発明化合物の投与によって治療または防ぐことのできる疼痛には、末
梢性疼痛、月経痛、歯痛、および腰痛を含むことができる。
本発明のもう1つの態様としては、本発明化合物の安全で有効な量を該治療が
必要なヒトまたは下等動物に投与することによって、炎症部位での酸化的損傷を
防ぐ方法である。特定のメカニズムに限定されないが、本発明化合物はロイコト
リエン合成を阻害することにより、炎症部位での好中球の集積を減少させるもの
と考えられている。
本発明のもう1つの態様としては、本発明化合物の安全で有効な量を該治療が
必要なヒトまたは下等動物に投与することによって、胃または十二指腸の潰瘍ま
たはびらんを治療または防ぐ方法である。特に、エタノールまたは非ステロイド
性抗炎症薬(NSAIDs)によって引き起こされたそのような潰瘍またはびらんは、
好ましい本発明化合物を投与することにより、治療および/または防ぐことがで
きる。
本発明化合物が胃腸に安全であるか、または胃保護または胃治癒特性を有する
かを決定する適切な試験法は、既知である。
急性の胃腸安全性を決定する方法は、以下に示す参考文献に開示されており、
および/またはそれらの文献が参照される:Unangst,P.C.、G.P.Shrum、D.T.Con
nor、R.D.Dyer、およびD.J.Schrierの「5-リポキシゲナーゼおよびシクロオキシ
ゲナーゼの二重阻害薬としての新規の1,2,4-オキサジアゾールおよび1,2,4-チア
ジアゾール」、J.Med.Chem.、第35巻(1992)、3691〜3698頁;およびSegawa,Y.
、O.Ohya、T.Abe、T.Omataらの「新抗炎症薬、N-{3-[3-(ピペリジニルメチル)フ
ェノキシ]プロピル}-カルバモイルメチルチオ]エチル1-(p-クロロベンゾイル)5-
メトキシ-2-メチル-3-インドリルアセテートの抗炎症、鎮痛、および解熱効果お
よび胃腸毒性」、Arzneim.-Forsch./Drug Res.、第42巻(1992)、954〜992頁。
そこに開示されている方法において、動物の胃は通常化合物を投与2時間後、試
験する。亜慢性の胃腸安全性を決定する方法は、以下に示す参考文献に開示され
ており、および/またはそれらの文献が参照される:Melarange,R.、C.Gentryら
の「ナブメトンまたはその活性代謝物、6-メトキシ-2-ナフチル酢酸(6MNA)の
抗炎症および胃腸効果」、Dig.Dis.Sci.、第37巻(1992)、1847〜1852頁;およ
び、Wong,S.、S.J.Leeらの「潰瘍形成性の低い新規抗炎症薬、BF-389の抗関節炎
特性」、薬剤の作用(Agents Actions)、第37巻(1992)、90〜91頁。
急性の胃保護性を決定する方法は、以下に示す参考文献に開示されており、お
よび/またはそれらの文献が参照される:Playford,R.J.、D.A.Versey、S.Halda
ne、M.R.Alison、およびJ.Calanの「インドメタシン誘発胃障害におけるフェン
タニルの用量依存性効果」、消化(Digestion)、第49巻(1991)、198〜203頁
。そこ
で開示されている方法において、インドメタシンの胃障害用量を投与する2時間
前および投与直前に本発明化合物(40mg/kgb.i.d.)または賦形剤を雌ルイスラ
ット(130〜175g)に経口投与する。ラットを4時間後CO2窒息によって犠牲に
する。胃体部障害(出血性病変のミリメートル)をデジタル化画像法によって測
定する。
本発明化合物の好ましい投与方法は、経口投与であるが、他の既知の投与方法
も考慮される。例えば、皮膚粘膜経由(例えば経皮、直腸内、等)および非経口
(例えば、皮下注射、筋肉内注射、動脈内注射、静脈内注射、等)である。眼へ
の適用および吸引も含む。このように特定の投与方法には、経口、経皮、経粘膜
、舌下、鼻腔内、筋肉内、静脈内、腹腔内、皮下、および局所適用を含むが、こ
れらに限定されない。
本発明化合物の好ましい用量は、約0.2mg/kgから約70mg/kg、
より好ましくは約0.5mg/kgから約12mg/kgである。好ましい注射
可能な用量は、本発明化合物を約0.1mg/kgから約10mg/kg含む。
好ましい局所適用用量は、皮膚表面に適用された本発明化合物を約1mg/cm2
から約200mg/cm2含む。好ましい経口投与用量は、約0.5mg/kg
から約50mg/kg、より好ましくは約1mg/kgから約20mg/kg、
さらにより好ましくは約2mg/kgから約10mg/kgの本発明化合物を含
む。そのような用量を、好ましくは毎日約1回から約6回、より好ましくは毎日
約2回から約4回投与する。そのような1日量を、好ましくは少なくとも1週間
、また好ましくは少なくとも2週間、また好ましくは少なくとも1カ月、また好
ましくは少なくとも2カ月、また好ましくは少なくとも6カ月、1年、2年以上
投与する。組成物および方法実施例
下記の実施例は、本発明を説明するものであるが、これに制限されるものでは
ない。
実施例A
錠剤の形態の医薬組成物を、混合および直接圧縮のような慣用の方法によって
調製する。配合は以下の通り。 成 分
量(錠剤あたりのmg)
化合物1 200
微結晶性セルロース 100
デンプングリコレートナトリウム 30
ステアリン酸マグネシウム 3
1日2回経口投与する場合、上記組成物はリウマチ様関節炎を患う患者におけ
る炎症を有意に減少させる。変形性関節炎を患う患者にこの組成物を1日に2回
投与することにより著しい利益も得られる。
実施例B
カプセル剤形の医薬組成物を慣用の方法で調製する。配合は以下の通り。
成 分 量(カプセルあたりのmg)
化合物4 200
ラクトース カプセルの容量まで充填
上記カプセルを1日1回経口投与すると、リウマチ様関節炎または変形性関節
炎に悩む患者の総体的症状を実質的に減少させる。
実施例C
液剤の医薬組成物を慣用の方法で調製する。配合は以下の通り。
成 分 量
化合物2 200mg
EtOH 4ml
メチルセルロース 0.4mg
蒸留水 76ml
Tween80(登録商標) 1.6ml
上記組成物50mlを1日1回経口投与すると、リウマチ様関節炎または変形
性関節炎に悩む患者の症状を実質的に減少させる。
実施例D
液剤の医薬組成物を慣用の方法で調製する。配合は以下の通り。
成 分 量
微結晶(微粉化) 200mg
化合物3
Avicel(微結晶性セルロース) 50mg
Tween80 1.6ml
メチルセルロース 0.4mg
脱イオン水 80ml
上記組成物50mlを1日2回経口投与すると、リウマチ様関節炎または変形
性関節炎に悩む患者の症状を実質的に減少させる。
本発明の特定の具体例を示してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱する
ことなしに、ここで開示されている組成物の種々の変更および修正が可能である
ことは当業者にとって明らかである。以下の請求の範囲の各請求項において、本
発明の範囲内にあるそのような全ての変形例を網羅することを意図するものであ
る。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,
CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G
E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR
,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,
MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P
L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK
,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN
(72)発明者 ジャヌスツ,ジョン,マイケル
アメリカ合衆国 45069 オハイオ州 ウ
エストチェスター デザート スプリング
ス コート 7385