JPH11503123A - 腎臓内への遺伝子の転移 - Google Patents

腎臓内への遺伝子の転移

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JPH11503123A
JPH11503123A JP8529606A JP52960696A JPH11503123A JP H11503123 A JPH11503123 A JP H11503123A JP 8529606 A JP8529606 A JP 8529606A JP 52960696 A JP52960696 A JP 52960696A JP H11503123 A JPH11503123 A JP H11503123A
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ヴァイカス スクハトム
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ベス イスラエル ディーコネス メディカル センター,インク.
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、肝臓以外の臓器又は組織を、対象となる遺伝物質を運ぶ、効果的な量のベクタに感染させる方法に関するものである。本発明の特徴とする方法は、対象となる遺伝物質を運ぶベクタを腎臓の脈管構造に導入することと、腎細胞を効果的な量のベクタに感染するのに充分な時間、かつ虚血性の損傷から腎臓が保護される条件下で、該ベクタを腎臓の脈管構造に接触した状態に維持することで腎細胞を感染させる。本方法により、著しい数の腎内皮細胞を感染させることが可能である。本発明の方法は、生体内及び生体外の適用の両方で用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】 腎臓内への遺伝子の転移 ここで延べられる研究は、国家保健機関より認可番号DK45617及びCA 40046号の下で一部資金援助を受けてなされた。 発明の背景 遺伝子を哺乳類の細胞に送り込む方法が過去10年の間に進歩を遂げたことで 、遺伝子を基にした治療を通じてヒトの疾患を治療しようとする可能性に対して 関心が高まってきた。遺伝子転移術は過去数十年の間に目覚ましく進歩した。多 様な細胞及び組織系統内に対する生体外及び生体内での両方の遺伝子転移が成功 している。生体外で遺伝子を送り込む形態では、被験者又はその他の源から採取 した細胞を、一般的にはまずある特定の一つ又は複数の遺伝子を導入することで 体外において変更する。次にこれらの細胞を体内に再導入して、局所的、局部的 又は広範に分布させる。生体内で遺伝子を送り込む形態では、例えばウィルスベ クタ等の適した伝播体に遺伝子を乗せるか、あるいは、リポフェクション又は体 内へ直接注射するなどして非ウィルス的手段により遺伝子が運ばれる。生体内で の遺伝子治療の利点はそれが比較的低コストであり、しかも遺伝子を薬品として 扱うことができるという事実である。 生体外遺伝子治療ではレトロウィルスのベクタを用いることが主であるが、生 体内遺伝子転移ではアデノウィルスを基にしたベクタが選択されている。アデノ ウィルスによる治療の利点には、(i)細胞の複製を必要とせず多くの細胞種に 大変高い効率で遺伝子を転移させることができる、(ii)高タイタのウィルス を容易に得ることができる、(iii)それらが、約8kbまでの大型のDNA 細片を受容することができる、(iv)実際上、成人の大半は既に多種のアデノ ウィルスに対して免疫を有しており、また弱毒化したアデノウィルスワクチンは ヒトに対して安全に使用できることから、アデノウィルスは比較的安全であると 考えられている、ことなどが挙げられる。しかしながら、その大きな制約の一つ は、アデノウィルスの発現が一過性であり、数週間から数カ月に渡って継続する こともあることがある。その原因は、アデノウィルスを基にしたベクタによって 細胞内に導入されたDNAは宿主のゲノムに組み込まれないことである。さらに 、宿主の免疫反応によってアデノウィルスに感染した細胞が殺されてしまうこと もある。新世代のアデノウィルスが、後者の問題を解決するものとして期待され ている。 遺伝子治療の分野における大きな進歩にもかかわらず、哺乳類の腎臓に対する 遺伝子の転移は、この臓器の組織が構造的に複雑であり、またその有糸指数が比 較的に低いために困難であることが分かってきた。さらに、腎臓の正常な組織機 能にはその組織構造が重要である。このように、ある特定の細胞種へ遺伝子を効 率的に送り込むことは達成が困難と考えられる。腎臓に対して遺伝子を生体内で 送り込むことに関する文献はほとんど存在しない。 トミタ他著の文献(生化学及び生物物理学研究通信、186:129−134 、1992)は、ラットの腎臓に対する生体内での遺伝子の転移方法を報告して いる。彼らはHVJ(センダイウィルス)及びリポソーム法を用いている。この プロトコルでは、プラスミドDNA及び核たんぱく質をリポソーム内に共に被包 した後、細胞内に共に導入する。これらの研究で用いられたレポータ遺伝子は、 SV40大型T抗原であった。この遺伝子転移は、左腎動脈下方遠方で腹部大動 脈をクリップした状態で右腎動脈近位にカテーテルを挿入して行った。リポソー ム懸架液を腎臓内に注入した。この混合物を注入した4日後、SV40大型T抗 原が糸球体毛細血管細胞の15%に免疫組織化学的に検出された。T抗原の発現 は、その後2から3日で急激に低下した。興味深いことに、糸球体の外では外来 の遺伝子の発現は何ら検出されなかった。アカミ他(移植術の手続26(3): 1315−1317、1997)は同様のHVJ−リポソーム複合体を用いてヒ トCD59遺伝子を生体内でイヌの腎臓に導入した。彼らの報告では、腎臓の糸 球体細胞内での一過性かつ不十分なCD59遺伝子の発現があったとしている。 ズー他の研究(サイエンス誌261:209−11 1993)は、ラットの 膨大な数の内皮細胞に高い効率で遺伝子を送り込むべく、ある特定のカチオンリ ポソームDNA混合物を使用したことを報告している。この遺伝子転移プロトコ ルはまず、尾の静脈に対する注射で開始される。この研究では、長期にわたる発 現が、身体のほとんど全ての内皮細胞、並びに、肺、脾臓、リンパ節及び骨髄な ど多種の実質細胞において見られたと報告している。さらに、腎臓の内皮細胞の うち25から50%がトランスフェクトしたと報告しているが、これらの内皮細 胞が糸球体域か非糸球体域かのどちらであるかに関する情報は提供していない。 また、これらの腎臓細胞における発現の時間的長さについては記載がない。 ムーリエ他(腎臓インターナショナル45:1220−1225、1994) はアデノウィルスを媒介とした生体内における腎臓への遺伝子転移に関して最初 の報告を行っている。β−ガルレポータ遺伝子を含有した複製機能に欠陥のある アデノウィルスのベクタを、選択に応じて、成長したラットの腎動脈に潅流する か又はこのラットの腎臓の腎孟腔内に逆行カテーテルを通じて注入した。選択に 応じてアデノウィルスのベクタを腎動脈を介して潅流したときには、一過性(2 から4週間)かつ低レベルのβ−ガルの発現が近位の尿細管細胞で観察されたが 、アデノウィルスのベクタを逆行的注入により投与したときには、乳頭突起及び 髄質からの尿細管細胞で発現が観察された。腎臓の内皮細胞では発現は観察され なかった。 従って、特定の腎臓細胞へ遺伝子を生体内で転移させる、より効率的な方法の 開発がいまだに必要とされている。 発明の概要 本発明は、対象となる遺伝物質を運ぶ効果的な量のベクタに、肝臓を除く臓器 又は組織を感染させる方法に関するものである。 一態様においては、本発明は、対象となる遺伝物質を運ぶベクタを臓器又は組 織の脈管構造に導入することと、効果的な量の該ベクタに前記臓器又は組織が感 染するのに充分な時間、かつ、その臓器又は組織が虚血性の損傷から保護される ような条件下で、該ベクタをその臓器又は組織の脈管構造に接触した状態に維持 することで、肝臓を除く臓器又は組織を感染させる方法を特徴とするものである 。ある好適な実施例では、臓器又は組織は、その臓器又は組織をベクタと共に培 養する間、例えば氷上でその臓器又は組織をパッキングするなどして、その臓器 又は組織を低温に維持することで虚血性の損傷から保護する。別の実施例では、 酸 素供給物質と組み合わせた形でベクタを投与することで、臓器又は組織を虚血性 の損傷から保護する。さらに別の実施例によれば、このベクタはまた、ベクタに よる感染の程度及び位置を調節することが可能となる血管拡張剤と組み合わせて 投与することもできる。この方法は、対象となる遺伝物質を運ぶベクタにより例 えば大血管の局部的感染又は四肢の局部的感染を行ったり、臓器移植のための回 収に先立って遺伝子産物を臓器発現させたりするなどの生体内でのセッティング 、及び、レシピエントへの移植に先立ってドナーの臓器、例えば心臓をベクタに 感染させる生体外移植におけるセッティングという、生体内及び生体外の両方の 用途に向けることができよう。 別の態様によれば、本発明は、対象となる遺伝物質を運ぶベクタを腎臓の脈管 構造に導入することと、効果的な量の該ベクタに前記腎細胞が感染するのに充分 な時間、かつ、腎臓が虚血性の損傷から保護されるような条件下で、該ベクタを 腎脈管構造に接触した状態に維持することで、腎細胞を感染させる方法を特徴と するものである。ある好適な実施例では、例えばベクタが脈管構造と接触した状 態に維持されるその間は概ね、腎臓を氷上で培養するなど、ベクタと共に培養す る間、腎臓を低温に維持することで腎臓が虚血性の損傷から保護される。別の実 施例では、酸素供給物質と組み合わせた形でベクタを投与することで腎臓を虚血 性の損傷から保護する。さらに別の実施例によれば、このベクタはまた、腎細胞 の感染の程度及び位置を調節することが可能となる血管拡張剤と組み合わせて投 与することもできる。またさらに別の実施例によれば、このベクタは、非分割性 の細胞を感染させることのできるウィルスであり、例えばこのベクタは複製機能 に欠陥のあるアデノウィルスである。この方法は、膨大な数の腎内皮細胞を効果 的な量のベクタに感染させることを可能とするものである。例えば、この方法で 腎内皮細胞の約5%から約15%を感染させることができる。 上述の方法は当業において現在ある技術に比較したとき、数々の利点を提供す るものである。この方法では、最適な感染を得るのに充分な時間ベクタを腎細胞 と接触させておくことができる上、血流を数分を越えて止めた場合の大きな問題 を解決すること、つまり、虚血性の損傷から腎臓を保護することができる。この 保護は大変簡単な操作を行うことで達成することができ、この操作とは主に、腎 臓を低温に維持するか、あるいは、酸素を奪われた細胞に酸素を供給することの できる物質と共にベクタを投与することである。第二に、ベクタと組み合わせて 血管拡張剤を投与することを主体とした、さらに別のごく簡単な操作により、こ の方法では感染の位置及び程度を直接調節することができる。従って、本方法は 腎脈管構造への生体内遺伝子転移について第一級の方法を提供すると共に、腎疾 患の新しいモデルの創設と、腎疾患モデルの治療的関与の可能性との両方におい て資するものとなろう。 図面の説明 図1は、Ad.CMVβガルアデノウィルスに感染した低温時のヒーラ細胞の 写真である。Aは15分時点、Bは30分時点、Cは45分時点、Dは60分時 点、Eは75分時点、及びFは90分時点を言う。これらの時間は、予冷したヒ ーラ細胞と共に低温のアデノウィルスを培養した時間を表す。 図2は、低温中、左腎臓に生体内でアデノウィルス転移を行った後のラットの 腎臓を写した肉眼(A,B)及び顕微鏡(C,D)断面を示す写真である。アデ ノウィルス(Ad.CMVβガル)はオートプラズマで投与され、血管拡張剤は 使用しなかった。Aでは、左側の注入を受けた腎臓が示されている。Bでは、左 腎は写真の左側にあり、βガルによる変色が見られるが、右(対照)腎は写真の 右側にあり、変色は見られない。2C及び2Dは左腎から取っている。 図3は、低温中、左腎に生体内でアデノウィルス転移を行った後のラットの腎 臓の断面を写した写真である。条件は図2と同じであるがドーパミンを使用して いる。左腎の肉眼写真を示す。外側髄質への貫通に注目されたい。 図4は、低温中、生体内でアデノウィルス転移を行った後のラットの腎臓の断 面を写した写真である。Aでは、条件は図2と同じであるがパパベリンを使用し ている。図2に比較すると皮質部分の変色の小さい、外側髄質の変色に注目され たい。Bでは、写真左側にある左腎にはパパベリンなしで注入しており、写真右 側にある左腎にはパパベリンと共に注入している。 図5は、低温中、生体内でアデノウィルス転移を行った後の異型接合HAN: SPRDラットから採取した腎臓の断面を写した写真である。アデノウィルス( Ad.CMVβガル)はオートプラズマで投与され、血管拡張剤は使用しなかっ た。Aは左腎の肉眼写真である。Bでは左腎は左側に、同じ動物から得た右腎( 対照)は右側に見える。C、D、E、及びFは左腎の顕微鏡写真である。C及び Dの両方でシスト上皮の変色が見られ、Fでは血管細胞に加えて間質細胞の変色 が見られる。 発明の詳細な説明 本発明は、肝臓以外の臓器又は組織を、この臓器又は組織に回復不能な虚血性 の損傷を起こすことなく、対象となる遺伝物質を運ぶ効果的な量のベクタに感染 させる方法を提供するものである。 好適な実施例では、本発明は腎臓に対して虚血性の損傷を起こすことなく、対 象となる遺伝物質を運ぶ効果的な量のベクタに腎細胞を感染させる方法を提供す る。本発明は腎脈管構造を介して腎細胞を感染させることを特徴とする。好まし くは、ベクタとの培養の間、腎臓を低温に維持することでこの腎臓を虚血性の損 傷から保護しているとよい。あるいは、ベクタと組み合わせて酸素供給物質を投 与することでこの腎臓を虚血性の損傷から保護する。好ましくは、腎細胞の感染 の位置及び程度を、ベクタと組み合わせて血管拡張剤を投与することで調節する とよい。さらに、本発明は、その内皮細胞のうち約5%から約15%がベクタに 感染した腎臓を特徴とする。 ここで用いるように、「感染」という表現は、対象となる遺伝物質(例えばD NA又はRNA)をベクタを介して哺乳類の肝臓以外の臓器又は組織の細胞に転 移させることを言う。好ましくは、ベクタを用いて哺乳類の腎細胞を感染させる とよい。対象となる遺伝物質は、生成物(例えばたんぱく質ポリペプチド、ペプ チド又は機能的RNA)を符号化するものであるが、この生成物は腎細胞が生成 するものであることが好ましい。例えば対象となる遺伝物質は、治療上価値のあ るホルモン、レセプタ、酵素又は(ポリ)ペプチドを符号化するものであってよ い。対象となる遺伝物質の例には、DNA符号化サイトカイン、成長因子、及び 、キメラトキシン等、細胞外で機能するその他の分子、例えばトキシンに融合し たインターロイキン−2(IL−2)等の成長因子、例えばシュードモナスエキ ソトキシン、優性否定的レセプタ(可溶性又はトランスメンブレン形態)、免疫 グロブリンドメインに融合して半減期の長くなった、あるいはそうでない切断細 胞接着分子又は細胞表面分子(例えばCTLA4−Ig)があるが、これらに限 定されるものではない。例えば、臓器又は組織の細胞は、感染前には遺伝物質の 符号化する遺伝子産物を発現させていない。あるいは、臓器又は組織の細胞の感 染により、このような細胞が既に発現させていた遺伝子産物の生成が増加したり 、あるいは、この臓器又は組織の細胞が通常発現させている、好ましくない別の 遺伝子産物の生成を減少させる遺伝子産物(例えばアンチセンスRNA分子)が 生成されたりしてもよい。一般的にはこの遺伝物質は、その臓器又は組織の細胞 に供給されるには好ましい遺伝子産物を符号化するものである。あるいは、この 遺伝物質は、その臓器又は組織の細胞による好ましい遺伝子産物の発現を誘発さ せる遺伝子産物を符号化するものである(例えば導入される遺伝物質が、対象物 に供給される遺伝子産物の転写を誘発する転写因子を符号化する、など)。さら に、遺伝物質は単に、核酸を、例えばアンチセンスヌクレオチドとして機能すべ く1本鎖のDNAの形態で含んでいてもよいであろう。ベクタを介して臓器又は 組織の細胞に感染する遺伝物質は、その遺伝物質の符号化する遺伝子産物の細胞 での発現に適した形態を採る。従って、遺伝物質には符号化を行う配列と調節を 行う配列とが含まれるが、これらの配列は、遺伝子(又はその一部)の転写や、 遺伝子産物がたんぱく質又はペプチドの場合に遺伝物質の符号化する遺伝子産物 の翻訳に必要な配列である。遺伝物質に含むことのできる、調節を行う配列には 、プロモータ、エンハンサ及びポリアデニル化信号が含まれると共に、符号化さ れたたんぱく質又はペプチドの運搬に必要な配列、例えば、細胞表面へのたんぱ く質又はペプチドの運搬又は分泌に必要な、又は細胞表面での発現あるいは管腔 又は基底側への優先的分泌に必要なN−ターミナル信号配列も含まれる。エンハ ンサは、局所的環境に特定の又はその局所的環境における因子、例えば炎症性サ イト カインに誘発される広布のもの又は組織あるいは細胞であろう。 ここで用いるように、「効果的な量」という表現は、本発明で感染させた臓器 又は組織において、少なくとも部分的に所望の治療上の又は予防的効果をもたら す感染レベルを言う。従って、対象となる遺伝物質を運ぶ効果的な量のベクタに 感染した結果、本発明の方法で感染させた臓器又は組織では、細胞活動の変化、 例えば表現型の変化が起きることもあり得る。好適な一実施例では、対象となる 遺伝物質を運ぶ効果的な量のベクタに感染した結果、感染した臓器又は組織にお いて膨大な数の細胞の細胞活動が調整される。従って、「膨大な数」という表現 は、ベクタが、腎内内皮細胞の少なくとも約0.1%から少なくとも約15%を 感染させることのできる能力を言う。好ましくは、腎内皮細胞の少なくとも約5 %から少なくとも約15%が感染するとよい。最も好ましくは、腎内皮細胞の少 なくとも約10%が感染するとよい。 ここで用いられるように「ベクタ」という表現は、核酸分子であって、自らが 結び付いた別の核酸を細胞内に運搬することのできるものを言う。好適なベクタ は、自らが結び付いた核酸の発現を生じることのできるものである。当業におけ るベクタの例には、プラスミド、酵母菌人工染色体(YAC)及びウィルスベク タが含まれる。しかしながら、本発明は、同等の機能を果たすベクタや、ほぼ以 下の記載で公知となるベクタ等、その他の形態のベクタも含むものとして意図さ れている。 ある臓器又は組織に、遺伝子産物を符号化する遺伝物質を導入する好適なアプ ローチは、ウィルスベクタを用いることである。この場合、遺伝子産物を符号化 する遺伝物質は、ウィルスのゲノム(又はウィルスのゲノムの一部分)に挿入さ れる。遺伝子産物の発現を指示する調節的要素を、ウィルスのゲノムに遺伝子物 質を挿入した状態で含める(つまりウィルスのゲノムに挿入された遺伝子に結び 付ける)か、あるいは、ウィルスゲノム自体によって提供させてもよい。ウィル スベクタによる細胞の感染には、例えばウィルスベクタ内に含まれたcDNAに よりウィルスベクタ内で符号化した分子を、ウィルスベクタの核酸を取り込んだ 細胞内で効率的に発現させることができるという利点と、ウィルスベクタの組織 を生体内で用いることができるという利点とがある。臓器又は組織の分割性の細 胞だけでなく非分割性の細胞を感染させることのできるそれぞれ異なるウィルス ベクタを以下の細項において個別に説明する。 1.アデノウィルス: アデノウィルスのゲノムを操作して、対象となる遺伝 子産物を符号化しかつ発現するが通常の溶解性のウィルスの生命周期における複 製能力という点で不活性となるようにすることができる。例えば、バークナ他著 (1988)バイオ技術6:616、ローゼンフェルド他著(1991)サイエ ンス誌252:431−434、及びローゼンフェルド他著(1992)細胞6 8:143−155を参照のこと。アデノウィルス菌種Adタイプ5d1324 又はアデノウィルスのその他の菌種(例えばAd2、Ad3、Ad7等々)から 得られる適したアデノウィルスベクタは、当業者に公知である。組換えアデノウ ィルスは有利であるが、それは、分割性の細胞が実際に遺伝子を送り込む伝播体 であることが要されず、また、組換えアデノウィルスを用いると幅広い種類の細 胞種を感染させることができるからであり、この細胞種には、気道上皮細胞(上 述のローゼンフェルド他著(1992)の文献)、内皮細胞(レマーチャンド他 著(1992)米国国家科学アカデミー会報89:6482−6486)、肝細 胞(ハーツ及びジェラルド著(1993)米国国家科学アカデミー会報90:2 812−2816)及び筋細胞(クアンティン他著(1992)米国国家科学ア カデミー会報89:2581−2584)が含まれる。加えて、導入されたアデ ノウィルスのDNAは(及びその中に含まれた外来のDNA)は宿主細胞のゲノ ムに統合されずに遺伝子副体のままであるため、導入されたDNAが宿主のゲノ ム(例えばレトロウィルスのDNAなど)に統合された場合の挿入性変異誘発の 結果生じる恐れのある問題は避けることができる。さらに、外来のDNAのため のアデノウィルスゲノムの運搬能力はその他の遺伝子搬送ベクタに比較して大き い(最大8キロベースまで)(上述のバークナ他著の文献、ハージーアーマンド 及びグラハム著(1986)ウィルス学ジャーナル57:267)。現在使われ ている大半の複製欠陥型のアデノウィルスベクタは、ウィルスE1及びE3遺伝 子の全て又は一部について削除されているが、アデノウィルスの遺伝物質の80 %をも保持するものである。 2.アデノ関連ウィルス: アデノ関連ウィルス(AAV)は自然発生した欠 陥ウィルスであり、効率的な複製及び生産的な生命サイクルに他のウィルス、例 えばアデノウィルス又はヘルペスウィルスを介助ウィルスとして必要とする。(参 考にはミュゼッカ他著、微生物学及び免疫学の最近の話題(1992)158: 97−129を参照のこと)。さらにアデノ関連ウィルスは、非分割性の細胞に そのDNAを統合させることのできる数少ないウィルスのうちの一つであり、そ の安定した統合の頻度も高い(例えば、フロッテ他著(1992)呼吸器細胞分 子生物学米国ジャーナル7:349−356、サマルスキ他著(1989)ウィ ルス学ジャーナル63:3822−3828、及びマクローリン他著(1989) ウィルス学ジャーナル62:1963−1973を参照のこと)。AAVの30 0の塩基対を含んだベクタを被包して統合させることが可能である。外来性のD NAのための空間は約4.5kbに限られている。トラッチン他が(1985) 分子細胞生物学5:3251−3260で述べたようなAAVベクタを用いてD NAを細胞内に導入することができる。AAVベクタを用いて多種の核酸がそれ ぞれ異なる細胞種に導入されてきた(例えば、ハーモナット他著(1984)米 国国家科学アカデミー会報81:6466−6470、トラッチン他著(198 5)分子細胞生物学4:2072−2081、ウォンディスフォード他著(19 88)分子内分泌学2:32−39、トラッチン他著(1984)ウィルス学ジ ャーナル51:611−619、及びフロッテ他著(1993)生化学ジャーナ ル268:3781−3790を参照のこと)。 3.ヘルペスウィルス: ヘルペスウィルスベクタの主たる特徴は、通常は複 製欠陥型であり、宿主のゲノムに統合されないことである。さらに非分割性の細 胞を感染させることもできる。 4.レトロウィルス: 欠陥レトロウィルスは遺伝子治療を目的とした遺伝子 の転移への使用でよく特徴づけられる(参考にはミラー、A.D.(1990) 血液76:271を参照のこと)。対象となる遺伝子産物を符号化する核酸をレ トロウィルスのゲノムに挿入させた組換えレトロウィルスを構成することが可能 である。加えて、レトロウィルスのゲノムの一部分を取り除くことで、このレト ロウィルスを複製欠陥型とすることも可能である。次に複製欠陥型のレトロウィ ルスをビリオンに被包するが、このビリオンを用いて、標準的技術により介助ウ ィルスの使用を通じて目標の細胞を感染させることができる。組換えレトロウィ ルスを作成するプロトコル、及び、試験管内又は生体内でこのようなウィルスに 細胞を感染させるプロトコルは、オースベル、F.M.他による(編集)グリー ンパブリッシングアソシエーツ社刊(1989)、分子生物学の現在のプロトコ ル第9。10−9.14部及びその他の標準的研究室用手引きに見ることができ る。適したレトロウィルスの例には、当業者に公知であるpLJ、pZIP、p WE及びpEMがある。適した被包ウィルス系の例には、ΨCrip、ΨCre 、Ψ2及びΨAmがある。レトロウィルスは多種の遺伝子を、上皮細胞、内皮細 胞、リンパ球、筋原細胞、肝細胞、骨髄細胞を含む数多くのそれぞれ異なる細胞 種に試験管内及び/又は生体内で導入するのに用いられてきた(例えば、エグリ ティス他著(1985)サイエンス誌230:1395−1398、ダノス及び マリガン著(1988)米国国家科学アカデミー会報85:6460−6464 、ウィルソン他著(1988)米国国家科学アカデミー会報85:3014−3 018、アーメンターノ他著(1990)米国国家科学アカデミー会報87:6 141−6145、フーバ他著(1991)米国国家科学アカデミー会報88: 8039−8043、フェリー他著(1991)米国国家科学アカデミー会報8 8:8377−8381、チョードハリー他著(1991)サイエンス誌254 :1802−1805、ヴァンボイスシェム他著(1992)米国国家科学アカ デミー会報89:7640−7644、ケイ他著(1992)ヒトの遺伝子治療 3:641−647、ダイ他著(1992)米国国家科学アカデミー会報89: 10892−10895、ヒュー他著(1993)免疫学ジャーナル150:4 104−4115、米国特許第4,868,116号、米国特許第4,980, 286号、PCT出願WO89/07136号、PCT出願WO89/0246 8号、PCT出願WO89/05345号、及びPCT出願WO92/0757 3号を参照のこと)。レトロウィルスベクタでは、そのレトロウィルスのゲノム (及びそれに挿入された外来性の核酸)を宿主のゲノムに統合させて細胞内に核 酸を安定して導入させるためには、目標とする細胞の分割が必要である。従って 、目標細胞の複製を刺激する必要があることがある。 本発明において使用できると考えられるその他のウィルスベクタ組織は、ワク シニアウィルスや、いくつかのRNAウィルスから得られてきたものである。 上で述べたような、ウィルスによる転移方法に加えて、非ウィルス的方法を用 いても臓器又は組織の細胞を感染させることができる。非ウィルス的な遺伝子転 移法の大半は、哺乳類細胞による、高分子の取り込み及び細胞内輸送という通常 のメカニズムに依拠するものである。好適な実施例では、本発明の非ウィルス的 遺伝子運搬システムは、対象となる遺伝物質の目標細胞による取り込みのための 細胞飲食作用経路に依拠する。この種の遺伝子運搬組織の代表的なものとして、 リポソームから得られた組織、ポリ−リシン結合体、及び人工のウィルスエンベ ロープがある。 代表的実施例では、対象となる遺伝物質を、表面に正の電荷を持つ(例えばリ ポフェクチン)と共に(選択的に)目標組織の細胞表面抗原に対する抗体で標識 付けされたリポソーム内に閉じ込めることができる(ミズノ他著(1992)脳 神経外科20:547−551、PCT公報WO91/06309号、日本特許 出願第1,047,381号、及びヨーロッパ特許公報EP−A−43075号 )。例えば、細胞のリポフェクションは、例えばThy−1抗原、細胞接着分子 NCAM、炭化水素抗原125(CA125)、又は腫瘍細胞上に存在するその 他の細胞表面抗原に対する単クローン性抗体で標識付けしたリポソームを用いて 行うことができる。さらに、リポソームには、特定の種類の腎細胞を認識する単 クローン性の抗体で標識を付すことができる。 特定の発現ベクタ組織及び細胞内への遺伝物質導入方法の効験は、当業におい て通常用いられている標準的なアプローチにより評価することができる。例えば 、細胞内に導入したDNAはフィルタハイブリダイゼーション法(例えばサザン 吸取法)により検出することができ、導入されたDNAの転写により生じたRN Aは、例えばノーザン吸取法、RNA分解酵素保護及び逆転写酵素ポリメラーゼ 連鎖反応(RT−PCR)により検出することができる。遺伝子産物は、例えば 特定の抗体など、生成されたたんぱく質の免疫学的検出を行ったり、又は酵素検 定など、遺伝子産物の機能的活動を検出する機能検定を行うなど、適した検定に より検出することができる。細胞で発現するはずの対象となる遺伝子産物が容易 に検定できない場合、まず発現組織を、調節要素及び用いるベクタに結び付いた レ ポータ遺伝子を用いて最適化することができる、レポータ遺伝子は遺伝子産物を 符号化するがこれは容易に検出することができるため、これを用いて組織の効験 を評価することができる。当業において用いられている標準的なレポータ遺伝子 には、遺伝子符号化β−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコルアセチル転移酵 素、ルシフェラーゼ及びヒト成長ホルモンがある。 本発明の方法を用いて肝臓以外の臓器又は組織を感染させることができる。こ こで用いられるように、「臓器又は組織」という表現は、特定の機能を果たす単 位として協同的血管化集合体に組み込まれた非肝性の哺乳類の細胞を含むものと して意図されている。さらにこの表現は、正常及び罹病状態の臓器又は組織を含 むものである。臓器又は組織の例には、心臓、血管、四肢、肺臓及び腎臓がある 。 好適な実施例では本発明の方法を用いて腎細胞を感染させることができる。こ こで用いられるように、「腎細胞」という表現は、通常、哺乳類(例えばヒト、 イヌ、ラット、マウスの腎細胞)の腎臓に定在する細胞や、罹病腎臓を浸潤した 細胞、例えば単核細胞、マクロファージ、白血球等々を含むものとして意図され ている。哺乳類の腎臓はずば抜けて複雑な構造をしており、少なくとも15の異 なる細胞種を有する。例えば糸球体細胞、メサンギウム細胞、間質細胞、尿細管 細胞、内皮細胞など、成熟した腎臓で見られる細胞種はすべて、「腎細胞」とい う表現に包含されるものとして意図されている。好ましくは、正常な腎臓におい ては、本発明の方法で感染させる腎細胞は皮質の腎内皮細胞であるとよい。より 好ましくは、感染させる腎細胞は、外側髄質の腎内皮細胞、主に、外側髄質の内 及び外線条の内皮細胞であるとよい。腎嚢胞(PKD)に冒された腎臓では、本 発明の方法で感染させる腎細胞は尿細管細胞、間質細胞及び髄質の腎内皮細胞で ある。ウィルス感染の分布が正常な腎臓と罹病腎臓との間で異なるであろうこと は当業者には明白であろう。 さらに、ベクタ投与に二段階のアプローチを用いることで、局部的環境の変化 を生じさせ、これにより対象となる遺伝物質の分布を変えることができる。例え ば、第一段階で、血管内皮細胞成長因子(VEFG)のための遺伝子を運ぶアデ ノウィルス又はその他のベクタを臓器又は組織の脈管構造に導入することができ る。VEFGレセプタは内皮細胞でのみ発現するが、VEFGの発現により血管 透過性が変化する(ミラー、B著(1993)細胞72:835−846)。6 時間から1又は2週間後、別の対象となる遺伝物質を運ぶ第二のアデノウィルス 又はその他のベクタを投与すると、ウィルス感染の分布を変えることができる。 任意の臓器又は組織の局部的環境を変えるために用いることのできるその他の因 子であって、ウィルス感染の位置及び/又は程度を調節することのできるものは 当業者には明らかであろう。 本発明の方法を用いて、対象となる遺伝物質を運ぶベクタを臓器又は組織の脈 管構造に導入することで、その臓器又は組織を生体内で感染させることができる 。ベクタは、それぞれ当業においてよく知られた方法のうちいかなる数を用いて 導入してもよい。例えば、ベクタの製剤を、例えば静脈注射などにより全身的に 導入してもよく、あるいはベクタの当初の投与を、極めて局部的な対象への導入 により、より制限したものとすることができる。好ましくは、対象となる遺伝物 質を運ぶベクタを、カテーテル(米国特許第5,328,470号を参照のこと )を通じて動脈注射するか、又は翼付注入器具(テルムメディカルコーポレーシ ョン製)により注入するとよい。例えば、腎臓への血流を、上腸間膜動脈直下、 かつ下腸間膜動脈上方の大動脈をクランプすることで遮断することができる。こ のセッティングでは、反対側の右腎を流れる血流を遮断せずに左腎を選択的に除 外する。こうして、ヘパリン添加食塩水で左腎を洗い流した後、23から30ゲ ージ針の翼付注入器具を用いて左腎動脈近傍の大動脈にベクタを直接注入するこ とができる。この後、左腎静脈をクランプして腎臓をベクタと共に培養する。培 養後、血流を回復させる。 同様に、左総頚動脈及び胸部大動脈に挿入して先端を右腎動脈近位に配置した カテーテルを通じてベクタを導入することもできる。腹部大動脈を左腎動脈の下 方遠位でクリップして血流を遮断する。次に腎臓を食塩水で洗い流し、ベクタを 含んだ懸架液をカテーテルを通じて注入する。血流を回復させる(トミタ他著(1 992)生化学生物物理学研究通信186(1):129−134)。 臓器又は組織の脈管構造にベクタを導入する際に重要なステップは、その臓器 又は組織への血流を遮断するステップであり、これにより注入が成功する。従っ て、当業者に公知の、上述の方法に同等のものは、本発明に含まれるものとして 意図されている。 こうして、対象となる遺伝物質を含んだベクタは、懸架液として、臓器又は組 織の脈管構造内に注入される。好ましくは、ベクタを、薬学上容認可能な担体、 例えば容認可能な希釈液、例えば食塩水又はオートプラズマ中に懸架するとよい 。ここで用いられる「薬学上容認可能な担体」という表現は、対象となる遺伝物 質を運ぶベクタと共に投与することができ、かつ、ベクタが意図した機能(例え ばその臓器又は組織を感染させること)を果たすことができるような材料を言う 。遺伝物質を運ぶベクタと適合性があれば、いかなる従来の媒体及び物質も、本 発明で用いる薬学上容認可能な担体とすることができる。 さらに本発明の方法を用いて生体外で臓器又は組織を感染させることもできる 。例えば、移植の場合では、ドナーから腎臓を回収して低温、例えば4℃に維持 する。同種又は異種移植腎を対象となる遺伝物質を運ぶベクタで潅流することで 、低温虚血の間に本発明の方法を生体外で行うことができる。低温における例え ば15分から1時間の範囲の時間の培養の後、移植片をレシピエントに移植する 。当業者であれば、移植になじむその他の非肝脈管構造性の臓器又は組織、例え ば心臓、を本発明の方法に用いることができることは明白であろう。 対象となる遺伝物質を運ぶベクタは、臓器又は組織を感染させるのに充分な量 、投与する。好ましくは、アデノウィルスの場合、投与するベクタの量は約108 pfu/mlから約1011pfu/mlの範囲内であるとよい。より好ましく は、投与するベクタの量は約109pfu/mlから約1011pfu/mlの範 囲内であるとよい。最も好ましくは、 約1010pfu/mlから約1011pfu/mlの範囲内の量を薬学上容認可能 な担体中で投与するとよい。投与すべきベクタの適切な量を決定するための数々 の方法が当業において得られる。当業者であればアデノウィルス以外のベクタに ついても適切な量をいかにして決定するかは知るところであろう。 臓器又は組織の感染を達成するには、対象となる遺伝物質を運ぶベクタを、約 15分を越えてその臓器又は組織の脈管構造と接触させておかねばならない。好 ましくは、ベクタは、約15分から約45分の範囲の時間、脈管構造内に維持さ れるとよい。より好ましくは、ベクタは約30分から約1時間の範囲の時間、脈 管構造内に維持されるとよい。最も好ましくは約45分間、ベクタが脈管構造内 に維持されるとよい。しかしながら、正常な体温において10分を越えて培養を 行うとその臓器又は組織に著しい回復不能の虚血性の損傷が生じるという報告が ある。 ここで用いられるように、「虚血性の損傷」という表現は、その組織又は臓器 に対する血流の妨害により、組織又は臓器に対する酸素供給が長時間不足したこ とで生じる形態学的又は機能的変化を言う。虚血性の損傷は回復可能又は永久的 なものであることが考えられる。本発明の方法によれば、その臓器又は組織への 血流が長時間制限された後でもその臓器又は組織の果たす機能が概ね維持され、 かつ回復するよう、臓器又は組織を回復不能の虚血性の損傷から概ね保護するこ とができる。例えば、腎臓では虚血性の損傷は、例えば尿細管細胞の壊死などの 変化により形態学的な特徴を持つものである。機能的には腎臓の濾過作用の不全 を特徴とし、回復可能な場合も永久的なものである場合もある。従って、尿細管 細胞のうち約5%に満たないものが壊死を特徴とする形態学的変化を見せたので あれば、永久的な虚血性の損傷から腎臓が保護されていることとなる。 本発明の方法では、臓器又は組織の脈管構造内で対象となる遺伝物質を運ぶベ クタを長時間培養することが可能であるが、一方、その臓器又は組織は回復不能 の虚血性の損傷から保護しておくことが可能である。臓器又は組織をこのような 虚血性の損傷から保護するには、主に培養の間の臓器又は組織の温度を下げてお くことか、あるいは、酸素供給物質と組み合わせてベクタを投与することの二つ の方法のうちいずれかで行うことができる。臓器又は組織の温度は、当業におい てそれぞれ公知の数々の方法で下げることができる。臓器又は組織を、例えば氷 等の低温の試薬と接触させることができる。例えば、臓器又は組織を、ベクタの 注入前に低温の食塩水で潅流してもよい。加えて、臓器又は組織を培養時間の間 氷上にパッキングすることで低温に維持してもよい。従って、臓器又は組織は約 0℃から約25℃までの間の低温に維持される。好ましくは臓器又は組織を約4 ℃の低温に維持するとよい。 別の実施例では、対象となる遺伝物質を運ぶベクタを酸素供給物質と組み合わ せて投与する。ここで用いられるように、「酸素供給物質」という表現は、細胞 に対する血流を制限したことで酸素を奪われた細胞に酸素を提供することのでき るあらゆる物質をも含むものとして意図されている。例えば、酸素供給物質には 、酸素と結合して任意の臓器又は組織に酸素を運ぶことのできるヘモグロビンに 類似の化合物が含まれる。このような化合物のいくつかの例として、改変ヘモグ ロビン、例えば重合ピロドキシ化ヘモグロビン(セーガル、L.R.著(198 3)輸注23(2):158−62)、又はフルオロカーボン乳濁液、例えばフ ルオゾルDA(ラバード、P.著(1992)薬学年報Fr.50(5−6): 250−66)がある。 臓器又は組織は、これらの方法を単独又は組み合わせて用いることで虚血性の 損傷から保護することができる。 さらに、ウィルスと組み合わせて、例えばポロキサマ407など、生物学的に 適合性のあるポリオルを投与するとウィルスの形質導入率を10から100倍( マーチ他著(1995)ヒトの遺伝子治療6:41−53)、上昇させることが でき、それによりウィルスの適用量を低く抑え、また暴露時間を短くすることが できる。本発明の方法においては、生物学的に適合性のあるポリオルを、酸素供 給物質と組み合わせて投与するか、あるいは低温で投与することで、臓器又は組 織を損傷から最適な状態で保護することができる。本発明の方法においてその他 の生物学的に適合性のあるポリオルを用いることができることは、当業者であれ ば容易に認識されよう。 本発明の方法においては、感染の位置及び程度は、ベクタと組み合わせて血管 拡張剤を投与することで調節される。血管拡張剤の投与により、注入の位置から 遠く離れた位置にある臓器又は組織の細胞をベクタに感染させることができる。 例えば、アデノウィルスを単体で腎脈管構造内に投与すると、感染は概ね皮質の 内皮細胞で起きることとなろう。ドーパミンやパパベリンなどの血管拡張剤をア デノウィルスと組み合わせて腎脈管構造内に投与すると、皮質及び外側髄質の両 方の内皮細胞が感染することとなろう。従って、血管拡張剤を本発明の方法に用 いることでウィルス感染の位置及び程度を調節することができる。 ここで用いられるように、「血管拡張剤」という表現は、血管の平滑筋を拡張 し、周辺の血管抵抗を下げることのできる、いかなる物質をも言う。それぞれ異 なる数多くの血管拡張剤が市販されている。血管拡張剤は、それぞれ異なる種類 のレセプタを通じて相互作用を及ぼす物質と、血管の平滑筋を直接拡張させる物 質とに分けることができる。例えば、ドーパミンは主に血管のD1−ドーパミン 性レセプタと相互作用する物質であるが、この相互作用の結果、アデノシン環状 リン酸の細胞内濃度が上昇し、拡張が起きることとなる。ドーパミンは、約0. 5から約5μg/kg/min.の範囲内の濃度で静脈内経路によってのみ投与 することができる。好ましくは、この濃度は約0.5から約0.75μg/kg /min.の範囲内であろう。最も好ましくは、ドーパミンの濃度は約0.70 μg/kg/min.であるとよい。 好適な実施例では、血管の平滑筋を直接拡張する物質を本発明で用いるものと して意図されている。例えば、血管の平滑筋を直接拡張する、それぞれ異なる数 多くの薬品が現在入手可能であり、その中にはパパベリン、エタベリン、イソク スプリン、ニリドリン、シクランデレート、及びナイアシン誘導体が含まれる。 例えばパパベリンはホスホジエステラーゼを抑制することで作用し、それにより 平滑筋を直接弛緩させてアデノシン環状リン酸の濃度を上昇させる。パパベリン は、経口、静脈内又は動脈内注射により投与することができる。適用量は投与の 形態に応じて30から300mgの範囲内である。 腎血流に効果を発揮できるその他の血管作用薬も本発明の方法における使用が 意図されている。このような血管作用薬には、血圧上昇ホルモン、プロスタグラ ンジンE2及びI2、アデノシン及び酸化窒素合成酵素が含まれる。血圧上昇ホル モンは、異なる二つの種類のレセプタV1及びV 2との相互作用により腎臓に作 用を及ぼす抗利尿ホルモンである。このホルモンに対する腎反応により血管収縮 が起きる。しかしながら、V1拮抗薬のあるところでこのホルモンを与えると血 圧上昇ホルモンの拡張作用を引き出すことができる(レアード著(1988)「 血圧上昇ホルモン」中の細胞及び統合機能の項、ニューヨーク州、レイブンプレ ス社刊)。その結果血流が増加して総周辺抵抗が低下する。内側髄質の細胞内へ のウィルス感染を可能とするために、本発明の方法に血圧上昇ホルモンを用いる こともできよう。 プロスタグランジンE2及びI2は、特定の多価不飽和脂肪酸(主にアラキド ン酸)から形成されるエイコサノイドの系統に属するものである。プロスタグラ ンジンは、腎血流を変化させると共に腎臓の尿細管に直接作用することで腎臓の 塩分及び水分の排出に影響を与える。PGE 2及びPGI 2を直接腎動脈に注入 すると腎血流が増加する(ダン及びフッド著(1977)米国生理学ジャーナル 233:F169−F184)。 アデノシンのオートコイドとしての機能及びその作用は、ほとんど全ての細胞 の形質膜に定在する特定のレセプタが媒介するものである(ガーラック及びベッ カー(編集)(1987)アデノシンに関する第三回国際シンポジウム進行録、 ベルリン、シュプリンガー−フェアラーク)。アデノシンの主な作用は特定の部 分における酸素の調達可能率と利用率との間のバランスの維持を補助することで ある。腎臓の場合、アデノシンの作用の結果、皮質の血管が収縮し、髄質の血管 が拡張する。このように、アデノシンの作動薬は本発明の方法に有用である。 本発明の方法においては、臓器又は組織を対象となる遺伝物質を運ぶベクタに 静脈内注入により生体内で感染させる前に投与する方法と、その臓器又は組織の 脈管構造内へベクタを注入する時にベクタと組み合わせた状態で投与する方法と の両方で、血管拡張剤又はその他の血管作用薬を投与することができる。血管拡 張剤は、ベクタを導入するのと同じ、食塩水又はオートプラズマ等の薬学的担体 を用いて投与することができる。 適用例 本発明は、腎脈管構造へ生体内で遺伝子を転移させるための際立った方法を提 供するものであり、腎疾患の新しいモデルの創設だけでなく、腎疾患モデル及び 腎移植における治療的介入の可能性における適用法を見出すに違いないものであ る。腎移植 本発明の適用法として可能性のあるものの一つは、内皮細胞に運ばれる物質を 用いた腎同種移植片又は異種移植片の処置であるが、この処置は、臓器の許容性 につながるか、又は、早期の移植拒絶反応又は機能(例えば、急性の尿細管壊死 による)の発生率を減少させるために術後期間における助けとなることが考えら れる。概念的には、発生する宿主T細胞の数を減少させるよう臓器の免疫原性を 低下させる、及び/又は、初回抗原刺激を受けた免疫T細胞又はキラー効果器T 細胞の接着/トランスマイグレーションが防止されるように内皮細胞を改変する (例えばIL−2−トキシン融合たんぱく質を用いて)ことができよう。さらに 、移植前に移植臓器に送り込まれた遺伝子、例えば酸化窒素合成酵素(NOS) に、移植後の臓器を保護する役目をさせることも可能であろう。これらの戦略は 臨床的意味を持つが、それはなぜなら、早期の拒絶反応という事象や機能不全が 、長期的にみた移植片の低生存率につながることがよく知られているからである 。従って、移植直後の急性の拒絶反応の防止と機能の保存とが特に重要である。 この目的のための送り込みは単刀直入となろう。つまり、同種移植片又は異種移 植片において生体内(移植片の回収前又は回収中に)又は生体外(例えば臓器を ドナーから取り出した後)でアデノウィルスベクタを用いること、又は、リポフ ェクションを用いて内皮細胞の大部分を形質導入することが可能であろうという ことである。上述した遺伝子に加えて、これらのベクタは、アンチセンス構造物 を一つ又はそれ以上の細胞接着分子(リンパ球のホーミングに関連するもの)に 、又は優性否定的構造物をこれらの分子に、あるいはアンチセンス構造物を、移 植片のMHC抗原又は局部的に免疫抑制的なインターロイキン−10(IL−1 0)又はウィルス性IL−10などのリンフォカインに、あるいは、IL−2ト キシン融合たんぱく質など、T細胞を選択的に殺すであろうキメラトキシンまで 運ばせることができよう。さらに、例えばCTLA4−IgG融合たんぱく質を 局所的に分泌させることで、免疫系統の認識部分を妨害することも可能であろう と考えられる。候補となる遺伝子には限りがない。移植の分野における当業者で あればその他のものを知るところであろう。遺伝子は構成プロモータと共に送り 込まれてもよいし、又は適した誘導エンハンサと共に送り込まれてもよい。本発 明の方法は、脳死の患者から腎臓を回収する際又は前に用いることができよう。 明らかなことだが、アデノウィルスの安全性及びその他の問題は、腎臓を取り出 す前又は直後、及び、それに続くレシピエントへの移植の前にアデノウィルスを 洗い流すので問題とはならないであろう。腎癌 腎癌の大部分は、近位ネフロンが基原と考えられる腺癌である。この構造は高 度に血管性である傾向があり、従って、例えば選択的動脈カテーテル法などの循 環流動を介して遺伝子を狙う方法になじむと考えられる。本発明の方法の利用は 、治療の最終目的として腫瘍又はその脈管構造を破壊する物質を送り込むことに つながると考えられ、これにより片側の腎摘出の必要性を避けることができる。 例えば本発明の方法を、例えばγ−INF、IL−2又はTNFなどのサイトカ イン遺伝子、又は、例えばVEGF優性否定的レセプタ構造物など、局部的に活 性のサイトカインに拮抗する優性否定的構造物を生体内で送り込むのに用いるこ とができる。急性尿細管壊死(ATN) 本発明の方法を利用できる別の可能性は、ATNの予防又は治療を目的とした ものである。このような治療を特定の臨床条件において予防的に行うことができ ると考えられる。例えば、腎臓の血流動態を犠牲にすると知られる手術の前に適 した成長因子を注入しておくことが望ましいことがある。この因子は、適した遺 伝子を含んだベクタにより、生体内で腎動脈中内皮細胞まで送り込まれよう。こ のような送り込みは手術前でも行うことができようが、おそらくは術中に行われ るであろう。あるいは、もとの血流を維持することのできる物質、例えば酸化窒 素合成酵素(NOS)を送り込むこともできよう。最近、ラットのモデルで、細 胞内接着分子−1(ICAM−1)に対する抗体が腎臓をイシェミーから守るこ とが示されている(ASN(1993)要約書80P、738ページ)。基本的 にはこのような治療はアンチセンスオリゴヌクレオチドを介してICAM−1又 は優性否定的構造物へと施されてもよいであろう。 虚血性のATN又は腎毒性ATNのいずれかが顕れたらすぐ本発明の方法を利 用するのも適切であろう。適切な成長因子を送り込むことが回復プロセスの一助 となるであろうと推測できるが、それはこのような因子は律速因子とすることが できるからである。このように、成長因子遺伝子による生体内での腎細動脈の内 皮細胞の感染は、全身性の毒性をもたらすことなく高い局部的濃度を提供すると 考えられる。腎動脈狭窄症 血管形成術に続く腎動脈狭窄症の予防において本発明の方法の果たす役割があ ると考えられる。この問題は、冠状動脈ほどには腎臓についてはあまり研究され ていないが、冠状動脈の血管形成術から得られるかなり多くのデータがある。今 日までに明らかにされたイベントには、表皮剥離内皮における初期の血小板凝集 、PDGFなどの成長因子の遊離、血管平滑筋細胞の過形成、及び細胞外マトリ ックス生成の増加がある。これらの段階又は一つ又はそれ以上に向けられた薬品 治療が調査されている。ズー他により(モリシタ他著(1993)米国科学アカ デミー90:8474−8478)最近提示された、ウサギの頸動脈モデルにお いて、二つの細胞サイクルで調節される遺伝子にアンチセンスオリゴヌクレオチ ドを血管形成術後に適用することで再狭窄を防止することは最も目を引くもので ある。実際に、腎臓への適用はより単刀直入であると考えられるが、それはなぜ なら、再狭窄を防止するのに役割を果たすであろうアンチセンスオリゴやその他 の構造物などの物質を生体内で内皮細胞に導入する際に、例えば遠位及び近位の 両方にバルーンを含むような成形カテーテルを長時間導入することに腎臓が耐え うるからである。腎嚢胞(PKD) PKDの治療に本発明の方法が果たすと考えられる役割は、PKD1遺伝子自 体を送り込むのではなく、PKD1遺伝子産物がその下流で調節するその他の遺 伝子であって、嚢胞の発生に関係すると考えられるものを送り込むことにあろう 。例えば、成長因子に対する拮抗薬を本発明の方法により導入することができよ う。この拮抗薬は、たとえ尿細管細胞すべてで発現しないとしても、抑制作用を 及ぼすことができると考えられる。PKDラットの腎臓へβ−ガルレポータ遺伝 子を運ぶウィルスベクタを導入することに成功した例を、以下の項で説明する。腎疾患の腎臓における発生、遺伝子発現及びモデルの研究に対する適用 一般的な意味での腎臓における発生を研究するのに特に有用であると考えられ る、腎臓へ遺伝子送り込むことの適用例は他にもある(スカートウメ著(199 3)腎臓における発生の課題及び可能性、腎臓病学セミナ13:422−426 及びアブナ著(1993)発育性腎疾患、腎臓病学セミナ13:427−435 )が、それらは、例えば腎臓内で働くシス調節要素を規定する場合、細胞系譜分 析を行う場合、そして、腎炎等の腎不全のモデルの研究を行う場合の適用である 。例えば遺伝子導入マウスを作るよりも、本発明の方法を用いて生体内で導入さ れたシス調節要素の作用を研究するほうが容易であろう。同様に、腎炎の様々な モデルを研究する際に、一つ又はそれ以上の成長因子を過発現させると特に興味 深い。このようなプロトコルは、遺伝子導入マウスを作るより、より(一時的に )制御可能かつ容易であろう。例えば、特定のサイトカイン又はサイトカイン「 拮抗薬」に腎細胞を感染させてもよいだろう。これにより、白血球の遊走を促す ことのできるサイトカインを腎臓に導入すると何が起きるかという疑問に対処す ることに資するであろう。モデルの表現型を3から4週間の期間にわたって観察 できるようなその他の種類のモデルもまた、本発明の方法を用いて研究すること が可能であろうが、それはなぜなら、アデノウィルスの発現はこの期間にわたっ て続くであろうと予測されるからである。上述の腎疾患のこれらのモデルを用い て新薬の開発を行うこともできよう。 本発明を以下の例によりさらに詳述するが、これらの例はさらに限定的な例と して捉えられてはならない。本出願全体を通じて引用された引例の内容はすべて (文献、発行済特許、公開特許出願、及び同時係属中の特許出願を含めて)、参 考として転載されたことをここに明示する。 例証 材料及び方法 細胞培養。ヒーラ細胞(ATCC CCL2)及び293(ATCC CRL 1573)細胞をアメリカンタイプカルチャコレクション(ATCC、メリーラ ンド州、ロックビル)から得た。これらをATCCの推奨する通りに保管した。 (i)組換えアデノウィルスの製造 アデノウィルスの配列468から3328までを欠いたCMVプロモータから 発動させた病原性大腸菌のβ−ガル遺伝子を符号化する組換え複製欠陥型アデノ ウィルス(Ad.CMVβガル)は、R.クリスタル博士のご厚意により寄贈さ れたものである。このウィルスはE1A遺伝子を欠くため、トランスでE1A産 物を供給されない限り、複製を作ることはない。この構造物はまた、SV40ス プライスドナー及びスプライスアクセプタ部位並びにポリアデニル化信号を含有 するものである。この構造物全体はアデノウィルス種5のゲノムに基づく。 組換えアデノウィルスの高タイタ株を、ヒト胚腎細胞種293(ATCC C RL1573)中での増幅で調製したが、これはそのゲノム中でE1A遺伝子及 びE1B遺伝子の両方を構成的に発現するものであったため、複製欠陥型アデノ ウィルスベクタの増殖を、確立された方法(グラハム、F.L.他著(1973) ウィルス学52:456−467)を用いて行わせることができた。簡単に言う と、アデノウィルスのE1A領域を含んだ293細胞を、15個の150mm培 養皿(コーニング社製)で10%のウシ胎児血清(ハイクローン社製)、100 U/mlのペニシリン(ギブコ社製)及び100μg/mlのストレプトマイシ ンを含んだDMEM(ギブコ社製)中で培養した。90%集密的となった時点で 細胞をアデノウィルスに感染させた。 感染した細胞の単層を感染後36から48時間後に回収し、乾燥氷/エタノー ル水槽中で5回の凍結融解を行った。5分間、3,000rpmの遠心分離で細 胞破壊片を取り除いた。この生ウィルスの溶解産物に対してp=1.40、p= 1.25の塩化セシウム密度勾配、及び12℃で1時間、35,000rpmの 遠心分離を行った。 ウィルスの帯を勾配から取り出し、ペーハ7.4のTrisClを10mm、 1mmの塩化マグネシウム、10%のグリセロールの1Lに対する緩衝剤を2回 変えて6時間透析し、塩化セシウムを取り除いた。ウィルスをアリクォットにし てマイナス80℃で保存した。 ウィルスのタイタを最適密度(260mm)及びプラーク形成により判定した 。後者の場合、ウィルス粒子を順番に希釈し、293細胞上で90分間培養した 。この細胞に、2%のシープラークアガロース(シグマ社製)と、15%のウシ 胎児血清(ギブコ社製)、2%のグルコース(ギブコ社製)及び1%のペンスト レップ(ギブコ社製)を含んだ2X MEM(ギブコ社製)溶液とが1:1の割 合の2mlを37℃で重塁した。5日後、この細胞に対してこの重塁溶液をさら に2ml重塁した。プレートを検査し、形成したプラークの数に応じてタイタを 計算した。無作為な相同性の組換えから生じた可能性のある、需要能力のある組 換え体であるAd.CMVβガルによる汚染がないことを確認するために、この 手続を、E1A領域を欠いたヒーラ細胞(ATCC CCL2)を用いても行っ た。 (ii)ヒーラ細胞の試験管内感染 ウィルス感染に先立って、ヒーラ細胞を6枚のウォールプレートに1プレート 当り1.5×106細胞の密度で24時間置いた。この24時間の培養後、冷P BSでこの細胞を3回洗浄し、30分間予冷した。この細胞を、10%のウシ胎 児血清を含んだ冷(4℃)DMEM中に懸架したAd.CMVβガル(OD260 =ウィルス株の1:25希釈溶液の0.159)を100μ含んだ、2mlの冷 (4℃)媒体に感染させ、それぞれ15、30、45、60、75及び90分間 、培養した。各培養時間後、細胞をPBSで3回洗浄し、10%のウシ胎児血清 を含んだDMEMを補充した。 (iii)β−ガラクトシダーゼ移植遺伝子組織化学分析 冷PBSで感染細胞を3回洗浄してから14時間後、4℃で20分間、PBS 中の4%パラホルムアルデヒドで固定した。各溜りに、0.4mg/mlの5− ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシダーゼ(シグマ社製 )、4mMのK3Fe(CN)6、4mMのK4Fe(CN)6及び2mMのMgC l 2を含んだ調製したばかりの基質を1ml加えた。2時間の培養後、細胞を、 β−ガラクトシダーゼの発現について顕微鏡検査した。 (iv)腎動脈を通じた注入 250から300グラムのオスのウィスタラット(チャールズリバー研究所、 マサチューセッツ州、ウィルミントン)に麻酔を施し、左腎、大動脈及び左腎血 管を露出させる外科的手術を行った。左腎血液循環は、上腸間膜動脈直下の大動 脈及び大動脈の尾方端部の0.5cm上方をクランプすることで遮断した。翼付 注入器具(テルムメディカルコーポレーション社製)の23ゲージ針を大動脈に 挿入し、左腎動脈の分岐部まで滑らせ、縫合リングで固定した。100単位のへ パリンを含んだ、1.5mlの氷温のPBSで1分間以内で左腎を洗流した。血 管拡張剤のある、又はない600μlのオートプラズマに100μlのAd.C MVβガル(ウィルス株の1:25希釈溶液の0.159−0.325のOD 2 60 範囲)を加えた。培養前の30分間及び培養時間中45分間、及び培養後20 分を通じて、大腿静脈に0.75μg/kg/min.でドーパミンを静脈を介 して与えた。加えて、ドーパミンはウィルスにも0.3μg/mlで加えた。全 ウィルス注入量である700μlのうち(100μlがウィルス株、600μl がオートプラズマ)、パパベリンを全体で7.5μg、ウィルスに加えた。上記 の注入器具を用いて0.3mlのウィルス懸架液をゆっくり左腎に注入した後、 左腎静脈をクランプし、静脈クランプ直後、残りを注入した。注入された腎臓は PBSの氷でパッキングし、45分間培養した。大動脈の針の孔は8−0縫合糸 で閉じた。培養終了時に腎血流を回復させた。 ウィルス感染後、1日から3日の様々な間隔で動物は犠牲となった。動脈注入 のための反対側の右腎は内的否定的対照として役立てた。転移した遺伝子の発現 は、β−ガラクトシダーゼ酵素細胞化学的変色により判定した。加えて、肝臓及 び脾臓を検査して注入ウィルスの分布を調べた。 (vi)酵素細胞化学反応 β−ガラクトシダーゼ酵素細胞化学法を用いて、転移した遺伝子の発現を検出 した。両方の腎臓を取り出した後、肝臓及び脾臓を2から4mmの厚さの組織片 にスライスし、次にこれらを2時間、氷上でPBS中4%のパラホルムアルデヒ ド内に固定した。全体を染色するために、この組織片を2時間、氷上のPBS中 で3回変えて洗浄した後、0.4mg/mlの5−ブロモ−4クロロ−3−イン ドリルβ−D−ガラクトピラノシド(X−ガル、シグマ社製B4252)、4m Mのフェロシアン化カリウム、4mMのフェロシアン化カリウム及び2mMの塩 化マグネシウムを含んだβ−ガラクトシダーゼ基質で24時間、4℃で培養した 。凍結部分の染色には、組織片を30%のスクロース−PBS溶液で一度すすぎ 、同じ溶液中で4℃で一晩培養し、OCT化合物に包埋し、液体窒素で凍結させ た。6つの、12及び18μmの厚さの断片を準備し、5から10分間、4℃の PBS中で洗浄した。上記の基質溶液を施して4℃で一晩、断片と共に培養した 後、核ヘマトキシリン対比染色を行った。 結果 最初の研究では、アデノウィルス感染の効率に関していくつかの異なるパラメ ータをテストした。すぐに分かったのは、クランプを何らしない動脈注入だけで は腎臓にβ−ガルの活動が生じなかったことである。実際のところ、活動の大半 は肝臓で明らかとなり、より小さな程度では脾臓でも見られ、その他から研究を 裏付けた。従って、腎静脈をクランプする一連の研究を開始した。まず、食塩水 を用いて腎臓を腎動脈を通じて潅流し、次に腎静脈をクランプしてさらにアデノ ウィルス溶液を注入した。10分間を越える高温の虚血時間があると著しい形態 学的変化が腎臓に起こることがすぐさま認識されたが、これは、壊死及び標準的 な虚血再潅流損傷が生じたことを示すものである。残念ながら、これより前の細 胞培養実験の結果、10分間未満の培養時間ではアデノウィルスのトランスフェ クション感染が大変低い効率でしか生じないことが分かっていた。この損傷の程 度を改善すると共に培養時間を延長しようとする試みとして、アデノウィルスは 低温の腎細胞にも感染するだろうかという疑問が上がった。従って、まず細胞培 養で一連の実験を開始した。ヒーラ細胞を、低温のアデノウィルスと共に、これ らを予冷した低温の媒体で洗浄した後に培養した。 最初の一連の実験では、時間を変えてアデノウィルスをヒーラ細胞上に置いた 。次のこの細胞をアデノウィルスを除いた状態で37度に移し、この媒体を、1 0%のウシ胎児血清を含んだDMEMと取り替えた。この媒体中で14時間培養 した 後、βガル染色を行った。これらの実験で、時間に応じてアデノウィルス感染の 効率がS字形の曲線を見せ、またこの曲線の変曲が概ね15分から45分の範囲 内で起きていたことが大変明らかとなった(図1)。ウィルスをヒーラ細胞と共 に15分間低温で培養すると、45分間の培養後に観察した結果と比較したとき の約2分の1の細胞がラベル付けされていた。45分間の場合の結果は、60、 75及び90分の結果と同様であったが、これらはすべて、約30から50%の 感染効率を呈していた。従って、同じことを腎臓において生体内で行うことがで きたとすると、アデノウィルスを腎臓の脈管構造により効率的に送り込む方法で あると考えるのは妥当であろう。しかしながらこれらの研究の前に、二番目のパ ラメータ、つまり、低温中で感染後、どれだけの時間で青色の染色が生じるかと いうテストを行った。この時点に関しては、6から10時間でアデノウィルスの 媒介したβ−ガル染色を検出することができることが注目された。 低温での生体内の実験の一番目の組には、低温の食塩水を用いた洗い流しを含 めた。詳細は方法論の項で述べるが、低温の腎臓と共にアデノウィルスを45分 間培養した結果、いくつかの事柄が達成された。一番目、そして最も重要なこと は、形態学的な腎臓の損傷の証左は全く又は最小限しか(尿細管細胞の5%未満 の壊死)見られなかったことである。感染後3日目に虚血性の再潅流の損傷の際 立ったごく典型的な反応があると予測されたのだが、これは起こらなかった。従 って、低温であることで腎臓が虚血性の再潅流の損傷から守られたということで ある。 免疫組織化学技術を用いて腎臓における青色の染色(β−ガルの発現)を判別 した。皮質のより大型の血管並びに糸球体毛細血管周辺がはっきりと青色に染色 していた。これは肉眼(図2)及び顕微鏡断面の両方で見られた。興味深いこと に、糸球体及び糸球体毛細血管のループは染色していなかったが、明らかに、ウ ィルスは毛細血管周辺域に到達するにはこれらを通過したはずであることである 。このプロトコルにおいて数匹のラットを用いた。時折、腎臓の領域の中には他 のものより青みがかっている領域があったため、幾分まだらな分布が観察された が、一般的には、最初に腎臓を確実にブランチングしてあれば、均一な染色が得 られた。大変稀ではあるが、例えば100の糸球体のうち一つの糸球体中の二つ の細 胞においてなど、尿細管細胞、間質細胞又は、何らかの糸球体の細胞、上皮細胞 又はメサンギウム細胞で、青色の発現があった。 次のステップは、血管拡張剤を用いることでより深い腎臓の脈管構造までレポ ータ遺伝子を送り込めるかを調べることであった。これらの研究のために、動物 にまずドーパミンを静脈を通じて与え、次にドーパミンとウィルスの混合物自体 とを用いた。やはり皮質域では染色はある程度起きたが、今度は外側髄質で際立 った染色があり、特に肉眼及び免疫組織化学断面(図3)の両方で見ることので きるような、外側髄質の内及び外側線条の両方で染色が起きていた。青く染色さ れた内皮細胞の数を計数することにより、これらの領域にトランスフェクトした 内皮細胞のパーセンテージは約10%であると推算された。 次に二番目の血管拡張剤であるパパベリンについて、同様な発現分布を生じる ことができるかをテストした。実際に、ウィルスと共に用いた場合にパパベリン のもたらしたデータはドーパミンのデータと類似していた。一般的には、パパベ リンは、ドーパミンよりもより相同の分布を腎臓において生じたが、その理由は 不明のままである(図4)。 遺伝子転移についても、PKD(カスパレイト−リッティングハウゼン他著(1 991)米国病理学ジャーナル139(3):(693))のモデルであるHAN :SPRDラットでテストした。方法論の項で述べた通りにアデノウィルス感染 の手続を約10週の異型接合動物で行った。45分間の低温培養をオートプラズ マと共に用いた。血管拡張剤は使用しなかった。図5に示すβ−ガラクトシダー ゼ活性の発現は皮質の脈管構造、並びにいくつかの間質細胞、そして時には嚢胞 で見られた。これらのデータは、遺伝子転移を、与えられたこの方法により、脈 管構造に加えて、間質に対して、そして多嚢胞腎の上皮に対して行うことができ ることを提示している。 内皮細胞のうち5から15%の発現では際立った数字ではないと当初は考えら れるかもしれない。しかしながら、問題となる用途に応じて、この数字は実際に は大変大きな数字となることがある。例えば最近、ロソード他によって(循環8 9:785−792、1994)、ウサギの頸動脈の脈管構造にβ−ガルレポー タ遺伝子を導入すると細胞の約0.1%が形質導入することが発見されている。 この場合、裸にしたDNA又はDNAリポソーム混合物が用いられていた。しか しながら、重要にも、別のレポータ遺伝子、この場合はヒト成長ホルモン遺伝子 を駆動するサイトメガロウィルスの早期プロモータを含んだプラスミドを用いた とき、動脈の廃水時に、約1ng/mlの濃度のホルモンが得られたことが注意 を引いている。検出可能な血清レベルのhGHは得られなかった。従って、これ らの研究は、0.1%に過ぎないトランスフェクション効率でも、大変大きなレ ベルのサイトカインを局部的に生じさせることが可能であることがあることを示 すものである。従って、5から15%の効率でも、50から150ng/mlの 範囲の濃度のサイトカインが腎臓で得られたとしても驚くべきことではない。得 ることのできる濃度は、明らかにたんぱく質及び作られるRNA等々の半減期に よって左右されるが、この種の送り込みシステムを、ng/mlの範囲のオート クライン又はパラクライン作用が要される生物学的系統に利用可能であるという 点を強調するものである。 同等物 当業者であれば、通常の実験を越えない範囲の実験を用いることにより、ここ に述べる発明の特定の実施例の数多くの同等物を、認識又は確認することができ よう。このような同等物は以下の請求の範囲の包含するところとして意図されて いる。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1997年7月21日 【補正内容】 請求の範囲(翻訳文) 1. 腎臓を感染させる方法であって、対象となる遺伝物質を運ぶウィルスベク タを前記腎臓の脈管構造に導入するステップと、虚血性の損傷から前記腎臓を保 護する条件下で、前記腎臓を効果的な量の前記ウィルスベクタに感染させるべく 少なくとも約30分間、前記ウィルスベクタを前記脈管構造内に維持するステッ プとを含む方法。 2. 腎内皮細胞を感染させる方法であって、虚血性の損傷から腎臓を保護する 条件下で、対象となる遺伝物質を運ぶウィルスベクタを、前記腎内皮細胞が効果 的な量の前記ウィルスベクタに感染するのに充分な時間、前記腎臓の脈管構造内 に導入するステップを含む方法。 3. 前記腎臓が、腎温度を下げることで虚血性の損傷から保護される、請求項 2に記載の方法。 4. 前記腎温度が、前記腎臓を氷上で培養することで下げられる、請求項3に 記載の方法。 5. 前記ウィルスベクタが、酸素供給物質と組み合わせて導入される、請求項 2に記載の方法。 6. 前記ウィルスベクタが、感染の程度及び位置を調節する血管拡張剤と組み 合わせて前記腎臓の脈管構造内に導入される、請求項2に記載の方法。 7. 前記腎臓が罹病腎臓である、請求項2に記載の方法。 8. 前記罹病腎臓が、腎嚢胞(PKD)に冒されている、請求項7に記載の方 法。 9. 腎細胞を、対象となる遺伝物質に感染させる方法であって、 (i)腎臓への及び腎臓からの血流を制限するステップと、 (ii)前記腎臓の脈管構造に、前記対象となる遺伝物質を運ぶウィルスベクタ を導入するステップと、 (iii)前記腎臓が虚血性の損傷から保護されるように腎温度をある温度に下 げつつ、前記腎細胞が前記ウィルスベクタに感染できる充分な時間、前記腎臓の 脈管構造と前記ウィルスベクタとを接触した状態に維持するステップと を含む方法。 10. 前記ウィルスベクタが動脈内又は静脈内を通じて導入される、請求項9 に記載の方法。 11. 腎臓への前記血流が、大動脈をクランプすることで制限される、請求項 9に記載の方法。 12. 前記大動脈が上腸間膜動脈下方でクランプされる、請求項11に記載の 方法。 13. 腎臓からの前記血流が、腎静脈をクランプすることで制限される、請求 項9に記載の方法。 14. 前記ウィルスベクタが、非分割性の細胞を感染させることができる、請 求項9に記載の方法。 15. 前記ウィルスベクタが、アデノ関連ウィルス(AAV)、アデノウィル ス及びヘルペスウィルスのいずれかから選択される、請求項14に記載の方法。 16. 前記アデノウィルスが複製欠陥型アデノウィルスである、請求項15に 記載の方法。 17. 前記複製欠陥型アデノウィルスが、アデノウィルスのAd−2、Ad− 3、Ad−5及びAd−7の菌種のいずれかから選択される、請求項16に記載 の方法。 18. 前記複製欠陥型アデノウィルスが、E1A、E1B又はE3のうち一つ 又はそれ以上を欠く、請求項16に記載の方法。 19. 前記複製欠陥型アデノウィルスが、約1010pfu/mlから約1011 pfu/mlの範囲の量で導入される、請求項15に記載の方法。 20. 前記対象となる遺伝物質が、サイトカイン、成長因子、キメラトキシン 、接着分子及び細胞表面分子のいずれかから選択される、請求項9に記載の方法 。 21. 対象となる前記腎細胞が腎皮質又は髄質の内皮細胞である、請求項9に 記載の方法。 22. 前記腎臓の温度が、少なくとも約0℃から少なくとも約25℃までの間 に下げられる、請求項9に記載の方法。 23. 前記腎臓の温度が約4℃まで下げられる、請求項9に記載の方法。 24. 前記腎臓の温度が、腎臓を低温の試薬に接触させることで下げられる、 請求項9に記載の方法。 25. 前記低温の試薬が氷である、請求項24に記載の方法。 26. 前記腎臓が、下げられた温度で少なくとも約30分間から少なくとも約 1時間の間、培養される、請求項9に記載の方法。 27. 前記腎臓が、下げられた温度で約45分間培養される、請求項9に記載 の方法。 28. 前記ウィルスベクタが、感染の程度及び位置を調節する血管拡張剤と組 み合わせて腎臓の脈管構造内に導入される、請求項9に記載の方法。 29. 前記血管拡張剤がドーパミン及びパパベリンのいずれかから選択される 、請求項28に記載の方法。 30. 前記ウィルスベクタが酸素供給物質と組み合わせて導入される、請求項 9に記載の方法。 31. 対象となる遺伝物質に腎細胞を感染させる方法であって、 (i)腎臓への及び腎臓からの血流を制限するステップと、 (ii)前記腎臓の脈管構造に、前記対象となる遺伝物質を運ぶウィルスベクタ を導入するステップと、 (iii)前記ウィルスベクタが前記脈管構造と接触した状態に維持される時間 の間概ね、前記腎臓を氷上で培養するステップと を含む方法。 32. 腎細胞を自然位で感染させる方法であって、 (i)腎臓への血流を大動脈をクランプすることで制限するステップと、 (ii)前記腎臓を低温の食塩水で洗い流すステップと、 (iii)前記腎臓内に、対象となる遺伝物質を運ぶアデノウィルスを腎動 脈を介して導入するステップと、 (iv)前記アデノウィルスが前記腎臓の脈管構造に接触した状態で維持される よう、腎静脈をクランプすることで前記腎臓からの血流を制限するステップと、 (v)前記腎細胞が前記アデノウィルスに感染するよう充分な時間、前記腎臓が 虚血性の損傷から保護されるように腎温度をある温度まで下げるステップと、 (vi)前記腎臓への血流を回復させるステップと を含む方法。 33. 前記腎細胞が腎皮質又は髄質の内皮細胞である、請求項32に記載の方 法。 34. 前記対象となる遺伝物質が、サイトカイン、成長因子、キメラトキシン 、接着分子及び細胞表面分子のいずれかから選択される、請求項32に記載の方 法。 35. 前記アデノウィルスが、感染の程度及び位置を調節する血管拡張剤と組 み合わせて前記腎臓の脈管構造内に投与される、請求項32に記載の方法。 36. 前記血管拡張剤がドーパミン及びパパベリンのいずれかから選択される 、請求項35に記載の方法。 37. 前記アデノウィルスが酸素供給物質と組み合わせて導入される、請求項 32に記載の方法。 38. 前記腎温度が腎臓を低温の試薬に接触させることで下げられる、請求項 32に記載の方法。 39. 前記低温の試薬が氷である、請求項38に記載の方法。 40. 前記腎臓の温度が、少なくとも約0℃から少なくとも約25℃までの間 に下げられる、請求項32に記載の方法。 41. 前記腎臓の温度が約4℃まで下げられる、請求項32に記載の方法。 42. 前記腎臓が、下げられた温度で少なくとも約30分間から少なくとも約 1時間の間、培養される、請求項32に記載の方法。 43. 前記腎臓が、下げられた温度で約45分間培養される、請求項32に記 載の方法。 44. 前記腎臓が罹病腎臓である、請求項32に記載の方法。 45. 前記罹病腎臓が、腎嚢胞(PKD)に冒されている、請求項44に記載 の方法。 46. 対象となる遺伝物質を運ぶ組換えウィルスに感染した内皮細胞を有する 、移植に適した、生体外腎臓。 47. 前記内皮細胞のうち少なくとも約1%から少なくとも約15%が前記組 換えウィルスに感染した、請求項46に記載の腎臓。 48. 前記内皮細胞のうち少なくとも約10%が前記組換えウィルスに感染し た、請求項46に記載の腎臓。 49. 前記組換えウィルスが、非分割性の細胞に感染可能である、請求項 46に記載の腎臓。 50. 前記ウィルスが、アデノ関連ウィルス(AAV)、アデノウィルス及び ヘルペスウィルスのいずれかから選択される、請求項49に記載の腎臓。 51. 前記アデノウィルスが複製欠陥型アデノウィルスである、請求項50に 記載の腎臓。 52. 前記対象となる遺伝物質が、サイトカイン、成長因子、キメラトキシン 、接着分子及び細胞表面分子のいずれかから選択される、請求項46に記載の腎 臓。 53. 前記腎内皮細胞が皮質の腎内皮細胞である、請求項2に記載の方法。 54. 前記腎内皮細胞が外側髄質の腎内皮細胞である、請求項2に記載の方法 。 55. 前記腎内皮細胞が、外側髄質の内及び外側線条の腎内皮細胞である、請 求項54に記載の方法。 56. 腎臓を感染させる方法であって、対象となる遺伝物質を運ぶウィルスベ クタを前記腎臓の脈管構造に導入するステップと、虚血性の損傷から前記腎臓を 保護する低温下で、前記腎臓を効果的な量の前記ウィルスベクタに感染させる充 分な時間、前記ウィルスベクタを前記脈管構造内に維持するステップとを含む方 法。 57. 前記腎臓の温度が、前記腎臓を氷に接触させることで下げられる、請求 項56に記載の方法。 58. 腎臓を感染させる方法であって、対象となる遺伝物質を運ぶウィルスベ クタ、及び、感染の程度及び位置を調節する血管拡張剤を、前記腎臓の脈管構造 内に導入するステップと、虚血性の損傷から前記腎臓を保護する条件下で、前記 腎臓を効果的な量の前記ウィルスベクタに感染させるのに充分な時間、前記ウィ ルスベクタを該脈管構造内に維持するステップとを含む方法。 59. 腎臓を感染させる方法であって、対象となる遺伝物質を運ぶウィルスベ クタ、及び、感染の程度及び位置を調節する血管拡張剤を、前記腎臓の脈管構造 内に導入するステップと、虚血性の損傷から前記腎臓を保護する低温下で、前記 腎臓を効果的な量の前記ウィルスベクタに感染させるのに充分な時間、前記ウィ ルスベクタを前記脈管構造内に維持するステップとを含む方法。 60. 前記腎臓の温度が、前記腎臓を氷に接触させることで下げられる、請求 項59に記載の方法。 61. 腎臓を感染させる方法であって、対象となる遺伝物質を運ぶウィルスベ クタを前記腎臓の脈管構造内に導入するステップと、虚血性の損傷から前記腎臓 を保護する低温下で、前記腎臓を効果的な量の前記ウィルスベクタに感染させる べく少なくとも30分間、前記ウィルスベクタを前記脈管構造内に維持するステ ップとを含む方法。 62. 前記腎臓の温度が、前記腎臓を氷に接触させることで下げられる、請求 項60に記載の方法。 63. 腎臓を感染させる方法であって、対象となる遺伝物質を運ぶウィルスベ クタ、及び、感染の程度及び位置を調節する血管拡張剤を、前記腎臓の脈管構造 内に導入するステップと、虚血性の損傷から前記腎臓を保護する低 温下で、前記腎臓を効果的な量の前記ウィルスベクタに感染させるべく少なくと も30分間、前記ウィルスベクタを前記脈管構造内に維持するステップとを含む 方法。 64. 前記腎臓の温度が、前記腎臓を氷に接触させることで下げられる、請求 項63に記載の方法。 65. 腎皮質又は髄質の腎内皮細胞を感染させる方法であって、虚血性の損傷 から腎臓を保護する条件下で、前記腎内皮細胞を効果的な量のウィルスベクタに 感染させる充分な時間、対象となる遺伝物質を運ぶ前記ウィルスベクタを前記腎 臓の脈管構造内に導入するステップを含む方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12N 15/09 C12N 5/00 B // A61K 38/00 A61K 37/02 38/22 37/24 (C12N 15/09 C12R 1:92)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 肝臓以外の臓器又は組織を感染させる方法であって、対象となる遺伝物質 を運ぶベクタを前記臓器又は組織の脈管構造に、効果的な量の前記ベクタに前記 臓器又は組織が感染するのに充分な時間、かつ、前記臓器又は組織が虚血性の損 傷から保護される条件下で導入するステップを含む方法。 2. 前記臓器又は組織が、心臓、四肢、血管、肺臓及び腎臓のいずれかから選 択される、請求項1に記載の方法。 3. 腎細胞を感染させる方法であって、対象となる遺伝物質を運ぶベクタを腎 臓の脈管構造に、効果的な量の前記ベクタに前記腎細胞が感染するのに充分な時 間、かつ、前記腎臓が虚血性の損傷から保護される条件下で導入するステップを 含む方法。 4. 前記腎臓が、腎温度を下げることで虚血性の損傷から保護される、請求項 3に記載の方法。 5. 前記腎温度が、前記腎臓を氷上で培養することで下げられる、請求項4に 記載の方法。 6. 前記ベクタが、酸素供給物質と組み合わせて導入される、請求項3に記載 の方法。 7. 前記ベクタが、血管拡張剤と組み合わせて導入される、請求項3に記載の 方法。 8. 前記腎臓が罹病腎臓である、請求項3に記載の方法。 9. 前記罹病腎臓が、腎嚢胞(PKD)に冒されている、請求項8に記載の方 法。 10. 腎細胞を、対象となる遺伝物質に感染させる方法であって、 (i)腎臓への及び腎臓からの血流を制限するステップと、 (ii)前記腎臓の脈管構造に、前記対象となる遺伝物質を運ぶベクタを導入す るステップと、 (iii)前記腎臓が虚血性の損傷から保護されるように腎温度をある温度に下 げつつ、前記腎細胞が前記ベクタに感染できる充分な時間、前記腎臓の脈管構造 と前記ベクタとを接触した状態に維持するステップと を含む方法。 11. 前記ベクタが動脈内又は静脈内を通じて導入される、請求項10に記載 の方法。 12. 腎臓への前記血流が、大動脈をクランプすることで制限される、請求項 10に記載の方法。 13. 前記大動脈が上腸間膜動脈下方でクランプされる、請求項12に記載の 方法。 14. 腎臓からの前記血流が、腎静脈をクランプすることで制限される、請求 項10に記載の方法。 15. 前記ベクタは、非分割性の細胞を感染させることのできるウィルスであ る、請求項10に記載の方法。 16. 前記ウィルスが、アデノ関連ウィルス(AAV)、アデノウィルス及び ヘルペスウィルスのいずれかから選択される、請求項15に記載の方法。 17. 前記アデノウィルスが複製欠陥型アデノウィルスである、請求項16に 記載の方法。 18. 前記複製欠陥型アデノウィルスが、アデノウィルスのAd−2、Ad− 3、Ad−5及びAd−7の菌種のいずれかから選択される、請求項17に記載 の方法。 19. 前記複製欠陥型アデノウィルスが、E1A、E1B又はE3のうち一つ 又はそれ以上を欠く、請求項17に記載の方法。 20. 前記複製欠陥型アデノウィルスが、約1010pfu/mlから約1011 pfu/mlの範囲の量で導入される、請求項16に記載の方法。 21. 前記対象となる遺伝物質が、サイトカイン、成長因子、キメラトキシン 、接着分子及び細胞表面分子のいずれかから選択される、請求項10に記載の方 法。 22. 対象となる前記腎細胞が腎皮質又は髄質の内皮細胞である、請求項10 に記載の方法。 23. 前記腎臓の温度が、少なくとも約0℃から少なくとも約25℃までの間 に下げられる、請求項10に記載の方法。 24. 前記腎臓の温度が約4℃まで下げられる、請求項10に記載の方法。 25. 前記腎臓の温度が、腎臓を低温の試薬に接触させることで下げられる、 請求項10に記載の方法。 26. 前記低温の試薬が氷である、請求項25に記載の方法。 27. 前記腎臓が、下げられた温度で少なくとも約30分間から少なくとも約 1時間の間、培養される、請求項10に記載の方法。 28. 前記腎臓が、下げられた温度で約45分間培養される、請求項10に記 載の方法。 29. 前記ベクタが血管拡張剤と組み合わせて導入される、請求項10に記載 の方法。 30. 前記血管拡張剤がドーパミン及びパパベリンのいずれかから選択される 、請求項29に記載の方法。 31. 前記ベクタが酸素供給物質と組み合わせて導入される、請求項10に記 載の方法。 32. 対象となる遺伝物質に腎細胞を感染させる方法であって、 (i)腎臓への及び腎臓からの血流を制限するステップと、 (ii)前記腎臓の脈管構造に、前記対象となる遺伝物質を運ぶベクタを導入す るステップと、 (iii)前記ベクタが前記脈管構造と接触した状態に維持される時間の間概ね 、前記腎臓を氷上で培養するステップと を含む方法。 33. 腎細胞を自然位で感染させる方法であって、 (i)腎臓への血流を大動脈をクランプすることで制限するステップと、 (ii)前記腎臓を低温の食塩水で洗い流すステップと、 (iii)前記腎臓内に、対象となる遺伝物質を運ぶアデノウィルスを腎動脈を 介して導入するステップと、 (iv)前記ベクタが前記腎臓の脈管構造に接触した状態で維持されるよう、腎 静脈をクランプすることで前記腎臓からの血流を制限するステップと、 (v)前記腎細胞が前記ベクタに感染するのに充分な時間、前記腎臓が虚血性の 損傷から保護されるように腎温度をある温度まで下げるステップと、 (vi)腎臓への血流を回復させるステップと を含む方法。 34. 前記腎細胞が腎皮質又は髄質の内皮細胞である、請求項33に記載の方 法。 35. 前記対象となる遺伝物質が、サイトカイン、成長因子、キメラトキシン 、接着分子及び細胞表面分子のいずれかから選択される、請求項33に記載の方 法。 36. 前記ベクタが血管拡張剤と組み合わせて投与される、請求項33に記載 の方法。 37. 前記血管拡張剤がドーパミン及びパパベリンのいずれかから選択される 、請求項33に記載の方法。 38. 前記ベクタが酸素供給物質と組み合わせて導入される、請求項33に記 載の方法。 39. 前記腎温度が腎臓を低温の試薬に接触させることで下げられる、請求項 33に記載の方法。 40. 前記低温の試薬が氷である、請求項39に記載の方法。 41. 前記腎臓の温度が、少なくとも約0℃から少なくとも約25℃までの間 に下げられる、請求項33に記載の方法。 42. 前記腎臓の温度が約4℃まで下げられる、請求項33に記載の方法。 43. 前記腎臓が、下げられた温度で少なくとも約30分間から少なくとも約 1時間の間、培養される、請求項33に記載の方法。 44. 前記腎臓が、下げられた温度で約45分間培養される、請求項33に記 載の方法。 45. 前記腎臓が罹病腎臓である、請求項33に記載の方法。 46. 前記罹病腎臓が、腎嚢胞(PKD)に冒されている、請求項45に記載 の方法。 47. 対象となる遺伝物質を運ぶ組換えウィルスに感染した内皮細胞を有する 腎臓。 48. 前記内皮細胞のうち少なくとも約1%から少なくとも約15%が前記組 換えウィルスに感染している、請求項47に記載の腎臓。 49. 前記内皮細胞のうち少なくとも約10%が前記組換えウィルスに感染し ている、請求項47に記載の腎臓。 50. 前記組換えウィルスが、非分割性の細胞に感染可能である、請求項47 に記載の腎臓。 51. 前記ウィルスが、アデノ関連ウィルス(AAV)、アデノウィルス及び ヘルペスウィルスのいずれかから選択される、請求項50に記載の腎臓。 52. 前記アデノウィルスが複製欠陥型アデノウィルスである、請求項51に 記載の腎臓。 53. 前記対象となる遺伝物質が、サイトカイン、成長因子、キメラトキシン 、接着分子及び細胞表面分子のいずれかから選択される、請求項47に記載の腎 臓。
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