JP4310108B2 - 脈管系又は尿管を介して遺伝子を導入する方法 - Google Patents
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Description
本発明は、脈管系又は尿管を介して遺伝子を導入する方法に関する。また本発明は、該方法を用いて移植臓器の拒絶反応を抑制する方法、および移植臓器の長期生着を促進する方法に関する。
背景技術
HGF(hepatocyte growth factor;肝細胞増殖因子)は成熟肝細胞に対する強力な増殖因子として発見され、既にその遺伝子もクローニングされ、アミノ酸配列も明らかになっている(Biochem.Biophys.Res.Com.,122,1450(1984),Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83,6489,(1986),FEBS Letter,224,311(1987),Nature,342,440(1989),Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87,3200(1990))。さまざまな研究により、HGFは、肝再生因子として肝障害の修復再生に働くだけでなく、種々の薬理作用のあることが明らかとなっており、肝障害治療剤の他に、腎疾患治療剤としても期待されている。実際、ネフローゼ自然発症マウスに対して、HGFの腹腔内投与が強力な線維化因子であるTGF−β(transforming growth factor−β;トランスフォーミング成長因子−β)の抑制を介して、腎の線維化の治療薬として薬効を示すことが明らかとなっている(Kidney Int.,57,937,(2000))。
現在の腎移植における最大の問題は慢性拒絶反応による腎機能廃絶(腎死)である。この慢性拒絶反応は阻血など移植時のダメージによって引き起こされることが既に明らかになっている(Transplantation 64:190,1997)。一方、わが国の死体腎移植では心停止後に腎を摘出するため、結果的に長時間の阻血となり、その結果慢性拒絶反応を引き起こし、腎機能の長期予後が不良となっている。また生体腎移植においても、提供者の半数以上は60才以上であり、このような高齢の腎臓は当然予備力も少なく、やはり慢性拒絶反応に繋がっている。慢性拒絶反応による腎機能廃絶を阻止し、移植腎生着率の改善を目的とした新たな治療薬としてHGFが期待されている。移植腎の慢性拒絶モデルであるFisherラットの腎を移植したLewisラットは、32週後には約半数の移植腎が廃絶するが、このモデルラットに対してHGFを、移植後4週間連日静脈内投与を行うことにより、その後、HGFを投与せずとも32週まで全例移植腎が保たれており、HGFが移植腎保護作用を有することが明らかとなっている(Transplant Proc.31:854,(1999))。この報告は、移植時の初期ダメージをHGFにより抑制すれば、その後無治療でも移植腎の生着率を改善させるという点で意義深い。
一般的に蛋白質の投与には、静脈内投与など全身投与が行われている。しかしながら、HGFは血中半減期の短い蛋白質であり、しかも、全身投与ではHGFの持つ多彩な薬理作用が他臓器に及ぼす影響は少なくないと考えられる。したがって、HGFを腎臓に最も効果的に作用させる方策としては、腎臓局所にしかも持続的に作用させる方法が望ましいと考えられる。この問題を解決する方法として、腎臓のみにHGF遺伝子を導入し、HGFを腎臓局所のみで持続的に作用させる方法が考えられる。HGFは肝において速やかに代謝されることから、この方法は筋肉などの他臓器にHGF遺伝子を導入し、産生されたHGF蛋白を腎臓に作用させるという方法に比べて、(1)必要とされる導入遺伝子が少量でよい、(2)他臓器への影響を軽減できるという点で優れていると考えられる。また、遺伝子導入は、蛋白製剤に必要とされる多段階の精製工程を必要としないというメリットがある。蛋白製剤の持続注入は、一定の血中濃度を維持できるという長所はあるが、長期間のカテーテル留置が必要であり、煩雑な手技や感染の危険性を伴うこと、患者の行動を抑制しなければならないという短所がある。
腎臓をターゲットとした遺伝子導入法は、これまでに、本発明者らが報告したHVJリポソーム法を用いて腎動脈から注入する方法(J.Clin.Invest.92:2597(1993);Kidney Int.50:148,(1996))やアデノウイルスベクターを用いて腎臓を還流する方法(GeneTherapy 3:21,(1996))が報告されているが、いずれも遺伝子導入法としてウイルスを用いることから、安全性の面での問題が残されている。一方、エレクトロポレーション(electroporation)法はこれまでin vitroにおける遺伝子導入法として用いられてきたが、最近になり、エレクトロポレーション法をin vivo遺伝子導入に用いることが報告され、有効な遺伝子導入法であることが明らかにされつつある(Nature Biotechnol.16,867,(1998))。しかしながら、これまでの報告では、筋肉や腫瘍などの局所に遺伝子を注入し、その近傍に針型の電極を用いて電気刺激を与えるものであり、組織障害がみられるなどの欠点がある。また、遺伝子発現部位が遺伝子を注入した局所に限局するため、移植腎全体に所望の遺伝子を発現させることはできない。一方、HGFを用いた遺伝子治療方法としては、肝硬変モデルラットにHVJリポソームを用いて筋肉に遺伝子を導入し、肝硬変に治療効果があったとする報告(Nat.Med.5:226,(1999))があり、またbaloon injuryモデルに治療効果があったことが報告(Gene Ther.7:1664,(2000))されているが、移植腎に対して、HGF遺伝子を導入し、移植腎の生着率を検討した報告はない。また、エレクトロポレーション法を用いてex vivo遺伝子導入を行い、効果を検討したものもない。
発明の開示
本発明は、ex vivoにおいて脈管系又は尿管を介して遺伝子を導入する方法に関する。特に好ましい態様として、本発明は、臓器移植に際し、エレクトロポレーション法を用いて所望の遺伝子を臓器全体に導入し、発現させる方法を提供する。特に、移植腎の保護作用を目的として、エレクトロポレーション法を用いるHGFのex vivo遺伝子治療法を提供する。本発明の移植腎に対するエレクトロポレーション法を用いたHGFのex vivo遺伝子治療法は、遺伝子が移植腎のみに導入され、目的とする腎臓局所に持続的にHGFを作用させることが可能であるため、静脈投与などの全身投与に比べて副作用が軽減できるという効果を有する。また、本発明ではウイルスベクターを用いる必要がないことから安全性であり、蛋白製剤の投与に比べて、コスト面でも有利である。
上記の問題を解決するため鋭意研究を行った結果、本発明者らは、摘出した腎臓の動脈および/または静脈内あるいは尿管内に所望の遺伝子を含む溶液を満たして該遺伝子を導入することに成功した。特に摘出した腎臓の動脈および/または静脈内あるいは尿管内に所望の遺伝子を含む溶液を満たし、摘出腎全体にエレクトロポレーションを行うと、所望の遺伝子がすべての糸球体ならびに間質細胞に高率に導入されることを明らかとした。本方法は、糸球体ならびに間質細胞に均一に所望の遺伝子を導入する方法として安全かつ有効な方法である。
本方法を用いてHGF遺伝子等の臓器障害抑制作用を有する蛋白をコードする遺伝子を摘出腎に導入した後、遺伝子導入を行った腎臓を移植すれば、腎移植における拒絶反応の抑制に有効である。本ex vivo遺伝子導入方法は、腎臓に直接遺伝子を導入するin vivo遺伝子導入方法に比べていくつかの長所がある。第1に、移植時に腎臓を摘出した後ex vivoで遺伝子を導入することが可能であるために、他の臓器へ遺伝子導入が回避可能である。第2に、エレクトロポレーションによる導入を行った場合に、エレクトロポレーションのパルス波により生じる電気ショックのヒトへの影響(熱傷や筋攣縮など)が回避可能である。第3に移植手術時等の操作が可能であるため、腎動脈への穿刺およびカニューレの挿入など煩雑な手技は不要である。また、本発明の方法を用いる移植法は、ブタ腎のヒトへの異種移植へも十分応用可能である。
また、本発明を用いた遺伝子導入方法は、対象臓器において望ましくない蛋白、例えば臓器の細胞増殖抑制による線維化等を引き起こす蛋白に対するDNA enzymeの導入にも使用することができる。
すなわち、本発明は、脈管系又は尿管を介して遺伝子を導入する方法に関し、より具体的には、
(1)所望の臓器の脈管系又は尿管を介した注入領域に所望の遺伝子を導入する方法であって、該所望の遺伝子を含む発現ベクターを含む水溶液を目的とする臓器の脈管系又は尿管に注入し、該注入領域に該発現ベクターを導入する工程を含む方法、
(2)注入領域への該発現ベクターの導入をエレクトロポレーションにより行う、(1)に記載の方法、
(3)脈管系又は尿管を介した注入領域が、血管近傍、間質領域、上皮細胞周囲である、(1)又は(2)に記載の方法、
(4)脈管系又は尿管を介した注入領域が、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、間質系細胞を含む領域である、(1)又は(2)に記載の方法、
(5)所望の臓器が腎臓である、(1)から(4)のいずれか一項に記載の方法、
(6)臓器移植時の拒絶反応を抑制する方法であって、
(a)臓器障害抑制作用を有する蛋白をコードする遺伝子を含む発現ベクターを含む水溶液を、ドナーの移植臓器の脈管系又は尿管に注入し、該注入領域に該発現ベクターを導入する工程、および
(b)該移植臓器をレシピエントに移植する工程、を含む方法、
(7)臓器移植時の移植臓器を長期に生着させる方法であって、
(a)臓器障害抑制作用を有する蛋白をコードする遺伝子を含む発現ベクターを含む水溶液を、ドナーの移植臓器の脈管系又は尿管に注入し、該注入領域に該発現ベクターを導入する工程、および
(b)該移植臓器をレシピエントに移植する工程、を含む方法、
(8)工程(a)における注入領域への該発現ベクターの導入をエレクトロポレーションにより行う、(6)又は(7)に記載の方法、
(9)移植臓器が腎臓である、(6)から(8)のいずれか一項に記載の方法、
(10)臓器障害抑制作用を有する蛋白がHGFである、(6)から(9)のいずれか一項に記載の方法、
(11)HGFをコードする遺伝子を含むベクターを有効成分として含有する、(6)に記載の方法により臓器移植時の拒絶反応を抑制するための医薬組成物、
(12)HGFをコードする遺伝子を含むベクターを有効成分として含有する、(7)に記載の方法により臓器移植時の移植臓器を長期に生着させるための医薬組成物、
(13)(6)又は(7)の工程(a)における注入領域への該発現ベクターの導入をエレクトロポレーションにより行う、(11)又は(12)に記載の医薬組成物、
(14)臓器が腎臓である、(11)から(13)のいずれか一項に記載の医薬組成物、
(15)(11)から(14)のいずれか一項に記載の医薬組成物を含むキット、
(16)さらに、HGFをコードする遺伝子を含むベクターを移植腎に導入する方法を記載した指示書とを含む、(15)に記載のキット、を提供するものである。
導入する遺伝子は、摘出臓器を構成する細胞内で発現させ得る限り特に制限はなく所望の遺伝子であってよいが、摘出する臓器を構成する細胞内で作用するプロモーターおよび/またはエンハンサーと機能的にリンクしていることが好ましい。特にアクチンプロモーターを組み込んだpACTベクター、サイトメガロウィルスエンハンサーおよびアクチンプロモーターを組み込んだpCAGGSベクターが特に好ましいが、pBluescriptベクターに適当な細胞特異的に発現するプロモーターを組み込んで使用してもよい。遺伝子発現期間の延長を目的としてEpstein−BarrウィルスのEBNA−1遺伝子、またはoriP配列を組み込んだベクターを使用してもよい。また、所望の蛋白をコードするcDNAでもよいし、ゲノムDNAであってもよい。また、ribozymeをコードする核酸や、DNA enzyme、またはantisense核酸などであってもよい。好適には、導入遺伝子はウィルスの潜伏感染装置を組み込んだベクターに組み込んで用いられる。特にEBNA−1遺伝子とoriPを組み合わせることにより、単独で用いるよりも有意に高い遺伝子発現を達成することができることが判明した。臓器移植に伴う導入遺伝子としては、臓器移植による組織障害を抑制あるいは修復する分子、たとえば、線維化抑制、アポトーシス抑制、または免疫抑制などに関わる分子をコードする遺伝子を用いることができる。臓器移植による組織障害を抑制あるいは修復する作用を有する蛋白を、本発明において「臓器障害抑制作用を有する蛋白」と称す。特に、腎移植においてはHGFを好適に使用することができる。
所望の遺伝子を含む溶液は、滅菌された水系溶液であれば使用することができる。好ましくは、浸透圧が生理的条件に調整された水系溶液であり、例えば生理食塩水を用いることができる。また、種々の緩衝液も用いることができ、リン酸緩衝液、またはクエン酸緩衝液を用いることができる。例えば、所望の遺伝子を滅菌された生理的食塩水に溶解した後、フィルター等で濾過して再度滅菌し、次いで無菌的な容器に充填することにより調製することができる。
遺伝子は所望の臓器の脈管系又は尿管を介して注入される。脈管系としては、動脈および静脈等が含まれる。目的の臓器を支配する動脈、静脈、および/または尿管等に所望の遺伝子を含む溶液を注入し、好ましくは下記のようにエレクトロポレーションを行うことにより、該遺伝子を注入領域全体に導入することができる。注入領域としては、血管近傍、間質領域、および/または上皮細胞周囲等が挙げられる。これらの領域には、例えば血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、および/または間質系細胞等が含まれうる。本発明の方法により、このような細胞に所望の遺伝子を導入することができる。
特に本発明により、腎動脈から注入された核酸は、腎のメサンギウム細胞に特異的に導入されることが判明した。本発明は、メサンギウム細胞に所望の遺伝子を導入する方法であって、該所望の遺伝子を含む発現ベクターを含む水溶液を腎動脈に注入し、該注入領域に該発現ベクターを導入する工程を含む方法を提供する。特にエレクトロポレーションにより発現ベクターを効率的に導入することができる。
本発明の方法は、異種臓器の移植であっても、同種臓器の移植であっても用いることができる。また、本発明の方法が使用できる臓器は、臓器を支配する動脈、静脈、または尿管等が明らかである限り特に制限はなく、腎臓、肝臓、膵臓、心臓、および肺等に使用することができる。好適には腎臓を用いることができる。臓器は、摘出する前に遺伝子を導入し、その後摘出することもできるが、摘出した後にex vivoで所望の遺伝子を導入することが好ましい。摘出前に遺伝子を導入する場合には、動脈、静脈、および/または尿管等から所望の遺伝子を含む溶液を注入することにより当該臓器に所望の遺伝子を満たし、次いで、当該臓器をピンセット型電極で固定し、エレクトロポレーションをすればよい。また、摘出後に遺伝子を注入する場合には、摘出した臓器の動脈、静脈、および/または尿管等にカテーテル等を留置した後、所望の遺伝子を含む溶液を満たし、体外で臓器を電極間にはさみ、エレクトロポレーションをすればよい。その際、適当な溶液で満たしたバスタブ型電極に浸した状態でエレクトロポレーションを行ってもよい。
遺伝子導入法としては、「エレクトロポレーション法」を用いることができる。エレクトロポレーション法用の装置は既に市販されており、これらの装置を適宜用いることができる。好ましくは、トキワサイエンス社スクエアーエレクトロポレーターCUY21あるいはBTX社エレクトロスクエアーポレーターT820および同等品を用いることができる。
本発明の方法は、生体内(インビボ)または生体外(インビトロ)で実施することができ、例えばヒトおよびその他の哺乳動物の生体外、あるいは非ヒト哺乳動物の生体内において用いられる。
ピンセット型電極を用いてエレクトロポレーションを行う場合、電圧は25Vから100Vまで電圧が高くなるほど導入遺伝子発現の上昇が認められた。高電圧による熱傷を避けるために、電圧は好ましくは20〜100V、より好ましくは40〜90V、さらに好ましくは60〜75Vで行う。電圧は好ましくはスクエア型で100m秒程度とし、例えば900m秒程度の休止をおいて複数回行うことができる。バスタブ型電極を用いてエレクトロポレーションを行うことにより、臓器全体に遺伝子を導入することができる。本発明は、所望の臓器の脈管系又は尿管を介して臓器全体に所望の遺伝子を導入する方法であって、該所望の遺伝子を含む発現ベクターを含む水溶液を目的とする臓器の脈管系又は尿管に注入し、エレクトロポレーションにより臓器全体に電気刺激を与えて該発現ベクターを導入する工程を含む方法を提供する。バスタブ型電極を用いる場合には、電圧は30〜50Vにすることが好適である。
本発明の遺伝子導入法は、特に遺伝子を臓器に導入後、導入遺伝子を長期間持続的に発現させるすぐれた効果を有する。本発明は、所望の遺伝子を臓器で長期間発現させる方法であって、該遺伝子を含む発現ベクターを含む水溶液を目的とする臓器の脈管系又は尿管に注入し、該注入領域に該発現ベクターを導入する工程を含む方法を提供する。この方法により該遺伝子は、注入された脈管系又は尿管を介して、例えば血管近傍、間質領域、および/または上皮細胞周囲に導入される。注入領域への該発現ベクターの導入は、特にエレクトロポレーションにより行うことが好ましい。エレクトロポレーションは、例えばピンセット型電極あるいはバスタブ型電極等を用いることができる。本方法は特に生体外(ex vivo)での遺伝子導入に適しており、この場合はバスタブ型電極を用いてエレクトロポレーションによりベクターを臓器に導入することが好適である。エレクトロポレーションは、具体的には上記に記載した条件にて実施することができる。導入対象となる臓器としては、上記と同様特に制限はなく腎臓、肝臓、膵臓、心臓、および肺等が挙げられるが、特に腎臓が好ましい。臓器は例えば所望の哺乳動物の臓器であってよいが、ヒトへの移植目的の非ヒト臓器としては例えばブタの臓器が好ましい。本発明に使用されるブタ臓器は、例えばヒト移植時に免疫反応を抑制するために遺伝子改変されたブタの臓器も含まれる。この長期間発現させる方法により、導入遺伝子を例えば3日以上、好ましくは1週間(7日)以上、より好ましくは2週間(14日)以上、より好ましくは1ヶ月(30日)以上、より好ましくは2ヶ月(60日)以上、より好ましくは3ヶ月(90日)以上にわたって発現させることができる。発現ベクターとしては、特にウィルスの潜伏感染装置を組み込んだベクターあるいは強力な発現ベクターが適している。ウィルスの潜伏感染装置としては、具体的にはEBウイルスの潜伏感染装置であるEBNA−1遺伝子またはoriP遺伝子、あるいはそれらの組み合わせが好ましい。強力な発現ベクターとしては、cytomegaro virusエンハンサーおよびchicken beta−actinプロモーターを有する発現ベクターが好ましい。導入する遺伝子に特に制限はないが、臓器障害抑制作用を有する蛋白をコードする遺伝子を導入することにより、臓器の組織障害を長期にわたって抑制することが可能となる。これにより、臓器移植において移植臓器を細胞障害から保護し、長期に生着させることが可能となる。
本発明の遺伝子導入法は、特に臓器移植時の拒絶反応の抑制および/または臓器移植時の移植臓器の長期生着のために有用である。ドナーの移植臓器の脈管系又は尿管を介した注入領域に臓器障害抑制作用を有する蛋白をコードする遺伝子を導入することにより、移植時の拒絶反応が抑制され、長期生着が可能な臓器を調製することができる。得られた臓器をレシピエントに移植することによって、臓器移植時の拒絶反応を抑制し、また臓器移植時の移植臓器を長期に生着させることが可能になる。本拒絶反応抑制および長期生着の方法は、特に腎移植において好適に用いられる。臓器障害抑制作用を有する蛋白をコードする遺伝子としては特にHGF遺伝子が挙げられる。「HGF遺伝子」とは、HGFを発現しうる遺伝子を指し、当該遺伝子には、発現される蛋白がHGFと実質的に同等の効果をもつ限り、その遺伝子配列の一部が欠失または他の塩基により置換されていたり、他の塩基配列が一部挿入されていたり、5’末端及び3’末端に他の塩基が結合したような遺伝子も含まれる。かかる「HGF遺伝子」としては、Nature,342,440(1989)、Biochem.Biophys.Res.Commun.163,967(1989)などに記載の「HGF遺伝子」が例示され、これらの遺伝子を本発明で使用することができる。
「HGF遺伝子」製剤の投与方法としては、移植腎摘出後、腎動脈から適当な還流液(例えば、緩衝液あるいは生理的食塩水)で還流後、腎動脈あるいは尿管から「HGF遺伝子」製剤を注入することができる。また、「HGF遺伝子」製剤注入時には、同時に腎静脈を結紮してもよい。還流液あるいは「HGF遺伝子」製剤の温度は、4℃から37℃の適当な温度とするが、37℃が好ましい。「HGF遺伝子」製剤を注入した移植腎は、好ましくはエレクトロポレーション法により遺伝子導入を行った後、レシピエントの患者に「HGF遺伝子」が導入された腎臓を移植することが行われる。「エレクトロポレーション法」は、患者の年齢、体重などにより、適宜調製することができる。「エレクトロポレーション法」に用いる電極としては、適切な溶剤(例えば滅菌された緩衝液あるいは生理的食塩水)で満たした「バスタブ型電極」あるいはピンセット型電極等を用いることができるが、「バスタブ型電極」が特に好ましい。また、「バスタブ型電極」を用いる場合には、腎臓を適当な保護材(例えば、滅菌したガーゼ等)によりカバーすることができる。「エレクトロポレーション法」に用いる電圧は、スクエアー型の電圧を用い、1Vから200V、とくに30Vから100Vの電圧を100m secondかけ、900m secondの休止期間をおいて、6回繰り返すことにより、遺伝子導入を行うことが好ましいが、これらの条件は、腎臓のサイズにより、適宜調節することができる。遺伝子導入を行った移植腎は、遺伝子導入後、速やかに4℃に冷却した適当な溶液(例えば、UW液)にて還流したのち、レシピエントに移植することが好ましい。
製剤中の「HGF遺伝子」の含量は、患者の年齢、体重などにより、適宜調製することができるが、通常「HGF遺伝子」として、0.1mgから100mg、好ましくは10mgから30mgであり、これを腎移植時に投与するのが適当である。
HGFをコードするベクターを有効成分とする上記HGF遺伝子製剤は、腎移植等の臓器移植時の拒絶反応の抑制および/または移植臓器の長期生着のために使用される医薬組成物となる。本発明はこれら医薬組成物、および該医薬組成物を含むキットを提供する。キットには、HGFをコードする遺伝子を含むベクター以外に、例えば他の臓器障害抑制作用を有する遺伝子、具体的には線維化抑制、アポトーシス抑制、または免疫抑制などに関わる分子をコードする遺伝子を含むベクターが含まれていてもよい。あるいは、臓器障害抑制作用を有する低分子化合物等が含まれていてもよい。また、キットには例えばHGFをコードする遺伝子を含むベクターを移植臓器に導入するための上記のような投与方法等の記載を含む指示書を添付することができる。
また、本発明を用いた遺伝子導入方法は、対象臓器において望ましくない蛋白、例えば臓器の細胞増殖抑制による線維化等を引き起こす蛋白に対するDNA enzymeの導入にも使用することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。なお、本明細書に記載された文献は、全て本明細書に組み込まれる。
[実施例1] ラット腎臓へのFITCラベルオリゴDNAの導入(1)
5’端をFITC蛍光でラベルした12塩基のオリゴDNA(5’−FITC−CGAGGGCGGCATGGG−3’/配列番号:1)を、50μg/500μlの濃度で緩衝液(137mM NaCl,5.4mM KCl,10mM Tris−HCl,pH7.6;以下BSSと称す)に融解し、遺伝子導入に供した。Sprague Dawley(以下SDと称す)ラット(雄性6週齢)を、pentobarbital(50mg/kg)腹腔内投与により、麻酔を行った。開腹後、腎を露出し、腎動脈に24Gカテーテル(テルモ社)を挿入し、生理的食塩水で腎臓を還流後、上記オリゴDNAを注入した。オリゴDNA注入直後に腎静脈をクリップにて結紮した。遺伝子を導入した腎臓をピンセット型電極で挟み、スクエアー型電圧(75V,100m second)を900m secondの休止をおいて、6回行い、エレクトロポレーションにより遺伝子導入を行った。遺伝子導入後、カテーテルを抜去し、刺入部は生体用アロンアルファにて止血した。遺伝子導入10分後に腎臓を摘出し、蛍光顕微鏡にて観察した。また、腎臓糸球体におけるオリゴDNAの局在を確認するために、ラットメサンジウム細胞のマーカーであるThy−1抗原に対する抗体を用いて検討した。図1に示されるように、FITCラベルしたオリゴDNAは、全ての糸球体と少数の間質細胞の核に導入されていた。尿細管細胞には、全く導入されなかった。また、図2に示したように遺伝子導入を行った腎臓をローダミンラベルした抗Thy−1抗体を用いて染色すると、メサンジウム領域は赤く染色されるが、導入されたFITCラベルしたオリゴDNAの蛍光が黄色に変わっていることから、オリゴDNAが導入された細胞はメサンジウム細胞であることが明らかとなった。
[実施例2] ラット腎臓へのFITCラベルオリゴDNAの導入(2)
5’端をFITC蛍光でラベルした12塩基のオリゴDNA(5’−FITC−CGAGGGCGGCATGGG−3’/配列番号:1)を、50μg/500μlの濃度のBSSに融解し、遺伝子導入に供した。SDラット(雄性6週齢)を、pentobarbital(50mg/kg)腹腔内投与により、麻酔を行った。開腹後、左腎および左尿管を露出し、尿管に30G針(テルモ社)を挿入し、腎動静脈をクリップでクランプした後、上記オリゴDNAを注入した。遺伝子を導入した腎臓をピンセット型電極で挟み、スクエアー型電圧(75V,100m second)を900m secondの休止をおいて、6回行い、エレクトロポレーションにより遺伝子導入を行った。遺伝子導入10分後に腎臓を摘出し、蛍光顕微鏡にて観察した。図3に示されるように、FITCラベルしたオリゴDNAは、間質細胞の核に導入されていた。
[実施例3] ラット腎臓へのルシフェラーゼ遺伝子の導入(1)
Epstein−Barr(EB)ウイルスの潜伏感染装置を組み込んだ発現ベクターにルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだ発現ベクターを作成し、200μg/500μlの濃度でBSSに融解し、遺伝子導入に供した。SDラット(雄性6週齢)を、pentobarbital(50mg/kg)腹腔内投与により、麻酔を行った。開腹後、腎を露出し、腎動脈に24Gカテーテルを挿入し、生理的食塩水で腎臓を還流後、上記発現ベクターを注入した。発現ベクター注入直後に腎静脈をクリップにて結紮した。遺伝子を導入した腎臓をピンセット型電極で挟み、スクエアー型電圧(25,50,75,100V,100m second)を900m secondの休止をおいて、6回行い、エレクトロポレーションにより遺伝子導入を行った。遺伝子導入後、カテーテルを抜去し、刺入部は生体用アロンアルファにて止血した。遺伝子導入4日後に腎臓を摘出し、シービング法にて腎糸球体を単離し、糸球体のルシフェラーゼ活性を測定した。また、同時に糸球体蛋白量を測定し、糸球体におけるルシフェラーゼ発現量を蛋白量にて補正し、遺伝子発現量に対する電圧および電流の影響を検討した。図4に示されるように、25Vから100Vまで電圧が高くなるほどルシフェラーゼ活性は上昇する傾向が見られたものの有意差は認められなかった。また、図5に示されるように電流と遺伝子発現量の間には相関関係は認められなかった。なお、腎糸球体及び尿細管細胞には組織学的な変化は認めなかったが、100Vの電圧では、腎被膜表面に熱傷をみとめたため、以下の検討は75Vの電圧で検討した。
[実施例4] ラット腎臓へのルシフェラーゼ遺伝子の導入(2)
Epstein−Barr(EB)ウイルスの潜伏感染装置を組み込んだ発現ベクターにルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだ発現ベクターを作成し、200μg/500μlの濃度でBSSに融解し、遺伝子導入に供した。SDラット(雄性6週齢)を、pentobarbital(50mg/kg)腹腔内投与により、麻酔を行った。開腹後、腎を露出し、腎動脈に24Gカテーテルを挿入し、生理的食塩水で腎臓を潅流後、上記発現ベクターを注入した。発現ベクター注入直後に腎静脈をクリップにて結紮した。遺伝子を導入した腎臓をピンセット型電極で挟み、スクエアー型電圧(75V,100m second)を900m secondの休止をおいて、6回行い、エレクトロポレーションにより遺伝子導入を行った。また、200μgの発現ベクターをHVJリポソームに封入したリポソーム溶液を作成し、同様に、リポソーム溶液を腎動脈から注入し、10分間遺伝子をインキュベートした。遺伝子導入後、カテーテルを抜去し、刺入部は生体用アロンアルファにて止血した。遺伝子導入4日後に腎臓を摘出し、シービング法にて腎糸球体を単離し、糸球体のルシフェラーゼ活性を測定した。また、同時に糸球体蛋白量を測定し、糸球体におけるルシフェラーゼ発現量を蛋白量にて補正し、エレクトロポレーション法とHVJリポソーム法で遺伝子導入効率について検討した。図6に示されるように、エレクトロポレーション法ではHVJリポソーム法に比べて、約6倍の遺伝子導入効率を認めることが明らかとなった。
[実施例5] ラット腎臓へのルシフェラーゼ遺伝子の導入(3)
エレクトロポレーションにおける遺伝子導入において、導入遺伝子のコンビネーションによる効果が得られるかを検討するために、EBウイルスの潜伏感染装置の1つであるoriP配列の下流にルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだ発現ベクター(poriP−cLuc)、およびもう一つの潜伏感染装置であるEBNA−1遺伝子を発現する発現ベクター(pcEBNA)を作成し、poriP−cLuc 163μgとpcEBNA 121μgを500μlのBSSに融解したDNA溶液あるいは、poriP−cLuc 163μgを500μlのBSSに融解したDNA溶液を遺伝子導入に供した。SDラット(雄性6週齢)を、pentobarbital(50mg/kg)腹腔内投与により、麻酔を行った。開腹後、腎を露出し、腎動脈に24Gカテーテルを挿入し、生理的食塩水で腎臓を還流後、上記発現ベクターを注入した。発現ベクター注入直後に腎静脈をクリップにて結紮した。遺伝子を導入した腎臓をピンセット型電極で挟み、スクエアー型電圧(75V,100m second)を900m secondの休止をおいて、6回行い、エレクトロポレーションにより遺伝子導入を行った。遺伝子導入後、カテーテルを抜去し、刺入部は生体用アロンアルファにて止血した。遺伝子導入4日後に腎臓を摘出し、シービング法にて腎糸球体を単離し、糸球体のルシフェラーゼ活性を測定した。また、同時に糸球体蛋白量を測定し、糸球体におけるルシフェラーゼ発現量を蛋白量にて補正し、注入遺伝子のコンビネーションによる効果を検討した。図7に示されるように、poriP−cLuc遺伝子単独に比べて、poriP−cLuc遺伝子とpcEBNA遺伝子のコンビネーションにより、約7倍の遺伝子発現量が認められることが明らかとなった。
[実施例6] ラット腎臓へのルシフェラーゼ遺伝子の導入(4)
EBウイルスの潜伏感染装置を組み込んだ発現ベクターにルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだ発現ベクター、あるいは潜伏感染装置を組み込んでいないルシフェラーゼ発現ベクターを作成し、200μg/500μlの濃度でBSSに融解し、遺伝子導入に供した。SDラット(雄性6週齢)をSLCより購入し、上記方法にて遺伝子導入を行った。遺伝子導入後、カテーテルを抜去し、刺入部は生体用アロンアルファにて止血した。遺伝子導入4,7,14,21,28,42,56,63,70,および84日後に腎臓を摘出し、シービング法にて腎糸球体を単離し、糸球体のルシフェラーゼ活性を測定した。また、同時に糸球体蛋白量を測定し、糸球体におけるルシフェラーゼ発現量を蛋白量にて補正し、遺伝子発現期間を検討した。図8に示されるように、遺伝子導入4日後におけるルシフェラーゼ遺伝子発現量は、EBウイルスの潜伏感染装置の有無に関わらず、同程度であったが、EBウイルスの潜伏感染装置を組み込んでいない発現ベクターでは1週間後から発現レベルが減少し、4週目にはほとんど発現を認めないのに対し、EBウイルスの潜伏感染装置を組み込んだ発現ベクターでは、8週目まで4日後と同程度の遺伝子発現量が保たれ、10週目まで発現量が保たれた。
[実施例7] ブタ腎臓へのFITCラベルオリゴDNAの導入
5’端をFITC蛍光でラベルした12塩基のオリゴDNA(5’−FITC−CGAGGGCGGCATGGG−3’/配列番号:1)を、3mg/50mlの濃度でBSSに融解し、遺伝子導入に供した。ミニブタを、麻酔下で開腹後、腎を摘出し、生理的食塩水で腎臓を還流後、上記オリゴDNAを注入した。オリゴDNAを25ml注入した後、腎静脈をクリップにて結紮し、さらに25ml注入した。遺伝子を導入したブタ腎臓を生理的食塩水で満たしたバスタブ型電極(図10)に浸し、スクエアー型電圧(30V,100m second)を900m secondの休止をおいて、6回行い、エレクトロポレーションにより遺伝子導入を行った(図11)。遺伝子導入後、腎臓を生理的食塩水で潅流し、蛍光顕微鏡にて観察した。図9に示されるように、FITCラベルしたオリゴDNAは、糸球体と間質細胞の核に導入されていた。
[実施例8] ブタ腎臓への尿管からのFITCラベルオリゴDNAの導入
5’端をFITC蛍光でラベルした12塩基のオリゴDNA(5’−FITC−CGAGGGCGGCATGGG−3’/配列番号:1)を、3mg/50mlの濃度でBSSに融解し、遺伝子導入に供した。ミニブタを、麻酔下で開腹後、腎を摘出し、生理的食塩水で腎臓を還流後、上記オリゴDNAを尿管から注入した。オリゴDNAを25ml注入した後、腎静脈をクリップにて結紮し、さらに25ml注入した。遺伝子を導入したブタ腎臓を生理的食塩水で満たしたバスタブ型電極(図10)に浸し、スクエアー型電圧(30V,100m second)を900m secondの休止をおいて、6回行い、エレクトロポレーションにより遺伝子導入を行った(図11)。遺伝子導入後、腎臓を生理的食塩水で潅流し、蛍光顕微鏡にて観察した。図12に示されるように、FITCラベルしたオリゴDNAは、間質細胞の核に導入されていた。
[実施例9] ブタ腎臓へのルシフェラーゼ遺伝子の導入
Epstein−Barr(EB)ウイルスの潜伏感染装置を組み込んだ発現ベクターにルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだ発現ベクターを作成し、24mg/50mlの濃度でBSSに融解し、遺伝子導入に供した。ミニブタを、麻酔下で開腹後、腎を摘出し、生理的食塩水で腎臓を還流後、上記発現ベクターを注入した。発現ベクターを25ml注入した後、腎静脈をクリップにて結紮し、さらに25ml注入した。遺伝子を導入したブタ腎臓を生理的食塩水で満たしたバスタブ型電極に浸し、スクエアー型電圧(30V,100m second)を900m secondの休止をおいて、6回行い、エレクトロポレーションにより遺伝子導入を行った。遺伝子導入を行ったブタ腎臓を移植し、遺伝子導入4日後に腎臓を摘出し、腎皮質のルシフェラーゼ活性を測定した。また、同時に皮質蛋白量を測定し、腎皮質におけるルシフェラーゼ発現量を蛋白量にて補正し、遺伝子発現量の有無を検討した。図13に示されるように、ブタ腎皮質において遺伝子発現が明らかとなった。
[実施例10] Egr−1 DNA enzyme導入による腎間質障害進展の抑制
Early growth response factor−1(Egr−1)は細胞増殖などに関わる多くのサイトカインの転写を制御し、腎間質線維化の進展に関与する。Electroporation法(EP)を用いた間質細胞へのEgr−1に対するDNA enzyme導入が、腎間質障害進展を抑制し得るか検討した。
ラットEgr−1 mRNAに対するDNA enzyme(ED5)を作成し、ED5がEgr−1の発現を抑制し得るかをNRK細胞を用いて検討した。ラット一側尿管結紮(UUO)モデルにおいて、ED5及びscrambled DNA(SCR)を経尿管的にEPを用いて腎間質細胞に導入し、Egr−1、αSMAのmRNA発現及び組織学的検討を行った。
その結果、NRK細胞において、ED5は血清刺激によるEgr−1発現を抑制した。蛍光ラベルしたオリゴDNAを尿管よりEPにて導入し、間質線維芽細胞へのオリゴDNA導入が確認された。ラットUUOモデルにおいて、disease control(DC)及びSCR導入群では間質のEgr−1及びαSMA mRNAの強い発現を認めたが、ED5導入により抑制された。Masson’s tricrome染色において、DC及びSCR導入群に認められた間質の線維化がED5導入により抑制された。したがって、EPを用いた腎間質細胞へのED5等のDNA enzyme導入による腎間質障害進展抑制の可能性が示唆された。
[実施例11] ブタ腎臓へのHGF遺伝子の導入
強力な発現ベクターであるcytomegaro virusエンハンサーおよびchicken beta−actinプロモーターにHGF遺伝子を組み込んだ発現ベクターを作成し、24mg/50mlの濃度でBSSに融解し、遺伝子導入に供した。ミニブタを、麻酔下で開腹後、腎を摘出し、生理的食塩水で腎臓を還流後、上記発現ベクターを注入した。発現ベクターを25ml注入した後、腎静脈をクリップにて結紮し、さらに25ml注入した。遺伝子を導入したブタ腎臓を生理的食塩水で満たしたバスタブ型電極に浸し、スクエアー型電圧(30V,100m second)を900m secondの休止をおいて、6回行い、エレクトロポレーションにより遺伝子導入を行った。遺伝子導入を行ったブタ腎臓を移植し、反対側の腎臓を摘出した。まず、遺伝子導入7日後に腎臓を摘出し、HGF遺伝子発現の有無を検討した。図14に示されるように、ブタ腎皮質において腎糸球体に遺伝子発現が確認された。そこで、HGF遺伝子導入による移植腎保護効果の検討を行うために、移植後、1,3,および6ヶ月後に、腎臓を摘出し、組織学的な検討を加えた。図15に示されるように、β−ガラクトシダーゼ遺伝子を導入したコントロール群では、間質の線維化を認めたが、HGF遺伝子を導入した群では、間質の線維化が抑制されていた。さらに、間質の形質転換のマーカーであるαsmooth muscle actin(αSMA)にて染色を行ったところ、図16に示されるように、β−ガラクトシダーゼ遺伝子を導入したコントロール群では、間質のαSMA発現を認めたが、HGF遺伝子を導入した群では、間質の間質のαSMA発現が抑制されていた。また、移植後、1日後および3,6ヵ月後に腎臓、肝臓、肺、脾臓を回収し、各臓器でのHGF遺伝子をPCR法により確認したところ、HGF遺伝子を導入したブタの腎臓のみにHGF遺伝子が6ヶ月目まで確認されたが、他の臓器、肝臓、肺、脾臓にはHGF遺伝子は確認されなかった(図17)。また、コントロール群では、HGF遺伝子は確認されていない。以上の点から、エレクトロポレーション法によるHGF遺伝子導入により、HGF遺伝子は移植した腎臓のみに発現し、他の臓器での発現を認めなかった。また、HGF遺伝子導入により、移植腎保護効果を持つことが示唆された。
産業上の利用の可能性
本発明におけるエレクトロポレーション法を用いた移植腎に対する遺伝子導入法はHGF蛋白の投与に比べて、治療効果が持続的であり、また、移植腎のみに作用させることが可能となり、全身投与から生じるHGFによる副作用を軽減させることが可能となり、より安全である。また、本発明を用いた遺伝子導入方法は、対象臓器において望ましくない蛋白、例えば臓器の細胞増殖抑制による線維化等を引き起こす蛋白に対するDNA enzymeの導入にも使用することができる。本発明の方法は、将来的にブタからヒトへの異種移植を考える上でも有効な手段となりうる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例1におけるFITCラベルしたオリゴDNAをラット腎動脈から注入し、electroporationにより遺伝子導入を行い、導入されたオリゴDNAの腎臓における局在を蛍光顕微鏡で観察した写真である。(a;×100,b;×400)
図2は、糸球体に導入されたオリゴDNAの局在を、ローダミンラベルしたラットメサンギウム細胞に対する抗体である抗Thy−1抗体を用いて検討した写真である。
図3は、実施例2におけるFITCラベルしたオリゴDNAをラット尿管から注入し、electroporationにより遺伝子導入を行い、導入されたオリゴDNAの腎臓における局在を蛍光顕微鏡で観察した写真である。(a;×100,b;×400)
図4は、実施例3におけるルシフェラーゼ遺伝子を腎動脈から注入しelectroporationにより遺伝子導入を行った後、4日後の腎糸球体におけるルシフェラーゼ発現と電圧の関係を示す図である。培養細胞へのelectroporationを用いた遺伝子導入では、200−1000Vの電圧が用いられるが、腎臓への遺伝子導入では100Vを越えると臓器障害が見られ、75V以下が望ましいことが明らかとなった。
図5は、実施例3におけるルシフェラーゼ遺伝子を腎動脈から注入しelectroporationにより遺伝子導入を行った後、4日後の腎糸球体におけるルシフェラーゼ発現と電流の関係を示す図である。
図6は、実施例4におけるルシフェラーゼ遺伝子をelectroporationあるいはHVJリポソーム法により腎動脈から注入し遺伝子導入を行った後、4日後の腎糸球体におけるルシフェラーゼ発現と遺伝子導入法の関係を示す図である。
図7は、実施例5におけるルシフェラーゼ遺伝子とEBNA−1遺伝子のコンビネーションによる遺伝子導入の効果を検討した図である。
図8は、実施例6におけるEpstein−Barr(EB)ウイルスの潜伏感染装置であるoriPとEBNA−1を組み込んだ発現ベクターを用いて遺伝子発現期間を検討した図である。
図9は、実施例7におけるFITCラベルしたオリゴDNAをブタ腎動脈から注入し、electroporationにより遺伝子導入を行い、導入されたオリゴDNAの腎臓における局在を蛍光顕微鏡で観察した写真である。バスタブ電極を用いた遺伝子導入では30−50Vの電圧が適当であった。(a,c;×100,b,d;×400,a,b;糸球体を中心とした像,c,d;間質を中心とした像)
図10は、ブタ腎臓に対し、electroporationを行った際の電極の写真である。バスタブの両側にステンレス電極を装着してある。
図11は、ブタ腎臓に対し、electroporationを行った際の電圧の矩形波の一例を示す図である。
図12は、実施例8におけるFITCラベルしたオリゴDNAをブタ尿管から注入し、electroporationにより遺伝子導入を行い、導入されたオリゴDNAの腎臓における局在を蛍光顕微鏡で観察した写真である。(a;×100,b;×400)
図13は、実施例9におけるルシフェラーゼ遺伝子をブタ腎動脈から注入しelectroporationにより遺伝子導入を行った後、移植し、4日後に摘出した腎皮質におけるルシフェラーゼ発現を検討した図である。ルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだ発現ベクターを導入した試料(CAG−Luc)とβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を組み込んだ発現ベクターを導入した試料(対照)を示す。
図14は、HGF遺伝子導入後、1週間後のHGFの発現を酵素抗体法により確認した写真である。糸球体にHGFの発現を認めた。
図15は、HGFあるいはコントロールとしてβ−ガラクトシダーゼ遺伝子導入後、6ヵ月後のマッソントリクロム染色による腎臓の組織の写真である。コントロール群では間質の線維化を認めるが、HGF遺伝子導入群では、間質の線維化は抑制されていた。
図16は、HGFあるいはコントロールとしてβ−ガラクトシダーゼ遺伝子導入後、6ヵ月後のαSMA発現を酵素抗体法を用いて染色した腎臓の組織の写真である。コントロール群では間質のαSMA発現を認めるが、HGF遺伝子導入群では、間質のαSMA発現は抑制されていた。
図17は、移植後、1日後(1d)、並びに3および6ヵ月後(それぞれ3Mおよび6M)に腎臓、肝臓、肺、脾臓を回収し、各臓器でのHGF遺伝子をPCR法により確認した写真である。HGF遺伝子を導入したブタの腎臓のみにHGF遺伝子が6ヶ月目まで確認されたが、他の臓器、肝臓、肺、脾臓にはHGF遺伝子は確認されなかった。(K;腎臓、Li;肝臓、Lu;肺、S;脾臓)
Claims (14)
- 摘出された所望の臓器の脈管系又は尿管を介した注入領域に所望の遺伝子を導入する方法であって、該所望の遺伝子を含む発現ベクターを含む水溶液を目的とする臓器の脈管系又は尿管に注入し、該臓器全体にエレクトロポレーションを行なうことにより該注入領域に該発現ベクターをex vivoで導入する工程を含む方法。
- 該臓器全体にエレクトロポレーションを行なう工程が、両側に電極を装備したタブに臓器全体を溶液で浸した状態でエレクトロポレーションを行なう工程である、請求項1に記載の方法。
- 脈管系又は尿管を介した注入領域が、血管近傍、間質領域、上皮細胞周囲である、請求項1又は2に記載の方法。
- 脈管系又は尿管を介した注入領域が、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、間質系細胞を含む領域である、請求項1又は2に記載の方法。
- 所望の臓器が腎臓である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 臓器移植時の拒絶反応を抑制することができる移植臓器を準備する方法であって、臓器障害抑制作用を有する蛋白をコードする遺伝子を含む発現ベクターを含む水溶液を、摘出されたドナーの移植臓器の脈管系又は尿管に注入し、該臓器全体にエレクトロポレーションを行なうことにより該注入領域に該発現ベクターをex vivoで導入する工程を含む方法。
- 臓器移植時の移植臓器を長期に生着させることができる移植臓器を準備する方法であって、臓器障害抑制作用を有する蛋白をコードする遺伝子を含む発現ベクターを含む水溶液を、摘出されたドナーの移植臓器の脈管系又は尿管に注入し、該臓器全体にエレクトロポレーションを行なうことにより該注入領域に該発現ベクターをex vivoで導入する工程を含む方法。
- 該臓器全体にエレクトロポレーションを行なう工程が、両側に電極を装備したタブに臓器全体を溶液で浸した状態でエレクトロポレーションを行なう工程である、請求項6又は7に記載の方法。
- 移植臓器が腎臓である、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
- 臓器障害抑制作用を有する蛋白がHGFである、請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項6から10のいずれか一項に記載の方法により準備された、移植用臓器。
- 摘出された所望の臓器の脈管系又は尿管に所望の遺伝子を含む発現ベクターを含む水溶液を注入し、該臓器全体にエレクトロポレーションを行なうことにより、該注入した領域に該発現ベクターをex vivoで導入する工程を含む、該遺伝子が導入された臓器の製造方法。
- 該臓器全体にエレクトロポレーションを行なう工程が、両側に電極を装備したタブに臓器全体を溶液で浸した状態でエレクトロポレーションを行なう工程である、請求項12に記載の方法。
- 所望の臓器が腎臓である、請求項12または13に記載の方法。
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