【発明の詳細な説明】
殺菌性化合物
本発明は農薬活性、特に殺菌活性、殺虫活性および殺ダニ活性を有する化合物
に関する。
EP 267734号には式
〔式中、XおよびYは同じかまたは異なっていて、水素、ハロゲン、場合により
置換されたアルキル、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換さ
れたシクロアルキルアルキル、場合により置換されたアルケニル、場合により置
換されたアルキニル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘ
テロアリール、場合により置換されたアルコキシ、場合により置換されたアリー
ルオキシ、場合により置換されたヘテロアリールオキシ、場合により置換された
アリールアルコキシ、場合により置換されたヘテロアリールアルコキシ、場合に
より置換されたアシルオキシ、場合により置換されたアミノ、アシルアミノ、ニ
トロ、シアノ、-CO2R3、-CONR4R5、または-COR6であるが、ただしXおよびYは
ともに水素であることはなく;R1およびR2は同じかまたは異なっていて、アルキ
ルまたはフルオロアルキルであり;そしてR3、R4、R5およびR6は同じかまたは異
なっていて、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、場合により置換された
アリール、場合により置換されたアラルキルまたはシクロアルキルアルキルであ
る〕の化合物が記載されている。
この明細書にはXおよびYが酸素原子を介してナフチル基に結合された基であ
るような化合物は開示されていない。我々は今回、この請求の範囲に属するこの
ような化合物の特定の群が、特に価値ある農薬活性、特に、殺菌活性、殺虫活性
、および殺ダニ活性を有することを見出した。
本発明は、式I
〔式中、Rは場合により置換されたアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シ
クロアルケニル、アルキニル、フェニルまたはヘテロサイクリルであるか、また
は水素である〕の化合物、および塩基性であるいずれかの化合物の酸付加塩、お
よび酸性であるいずれかの化合物の塩基付加塩を提供する。
R-O-基は好ましくは6または7位、より好ましくは7位でナフチルに結合して
いる。
いずれかのフェニルまたはヘテロサイクリル基上に存在する置換基には、例え
ばハロゲン、シアノまたはニトロ、または基D-(L)m-、ただしmは0または1で
あり、LはO、S、SO、SO2、CO、O-COまたはCO-Oであり、そしてDはRと同様
の意味(ただしmが0である場合は水素を除く)を有するか、または場合により
置換されたアミノであるものが包含され;また、環上の隣接する2つの基はそれ
らが結合されている原子とともにフェニルの場合と同様に置換されていてよい炭
素環またはヘテロ環を形成することができる。
ヘテロサイクリルという用語は芳香族および非芳香族のヘテロサイクリル基の
両方を包含する。ヘテロサイクリル基は一般的には、窒素、酸素およびイオウか
ら選択されるヘテロ原子4個までを有する5、6または7員の環である。ヘテロ
サイクリル基の例は、フリル、チエニル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル
、イミダゾリル、ジオキソラニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、
イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニ
ル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チア
ジアゾリル、ピラニル、ピリジル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリノ、
ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、トリアジニル、チア
ゾリニル、ベンズイミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾ
ピリジニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾチアジニル、オキサゾロピリジニル、
ベンゾフラニル、キノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、スルホラニル、
ジヒドロキナゾリニル、ベンゾチアゾリル、フタルイミド、ベンゾフラニル、ア
ゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、ジアゼピニルおよびベンゾジアゼピ
ニルである。ヘテロサイクリル基はそれ自体例えばフェニルの場合のように置換
されていてよい。
アルキル基は好ましくは1〜8個、例えば1〜6個の炭素原子を有するもので
ある。アルケニルおよびアルキニル基は一般的に炭素原子3〜6個を有するもの
である。シクロアルキルまたはシクロアルケニル基は好ましくは炭素原子3〜8
個を有するものである。
いずれかのアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルケニルまたは
アルキニル部分に存在する置換基は、ハロゲン、シアノ、場合により置換された
アルコキシ、場合により置換されたアルキルチオ、ヒ
ドロキシ、ニトロ、場合により置換されたアミノ、アシル、アシルオキシ、場合
により置換されたフェニル、場合により置換されたヘテロサイクリル、場合によ
り置換されたフェノキシおよび場合により置換されたヘテロサイクリルオキシを
包含する。
シクロアルキルまたはシクロアルケニル基はアルキルにより置換されていても
よい。
アミノ基は例えば場合により置換されたアルキルまたはアシル基1個または2
個により置換されていてよく、あるいは、2個の置換基が環、好ましくは5〜7
員の環を形成することができ、その環は置換されていてもよく、そして他のヘテ
ロ原子を含んでいてもよく、例えば、モルホリン、チオモルホリン、またはピペ
リジンであってもよい。
アシルという用語は、イオウおよびリンを含む酸並びにカルボン酸の残基を含
む。即ちアシル基の例は、-COR5、-COOR5、-CXNR5R6、-CON(R5)OR6、-COONR5R6
、-CON(R5)NR6R7、-COSR5、-CSSR5、-S(O)pR5、-S(O)2OR5、-S(O)pNR5R6、-P(=X
)(OR5)(OR6)、-CO-COOR5、であり、ここでR5、R6およびR7は同じかまたは異なっ
ており、水素、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたシクロア
ルキル、場合により置換されたシクロアルケニル、場合により置換されたアルケ
ニル、場合により置換されたアルキニル、場合により置換されたフェニルまたは
場合により置換されたヘテロサイクリルであるか、またはR6とR7はそれらが結合
している原子と一緒になって、環を形成することができ、pは1または2であり
、そしてXはOまたはSである。
本発明の化合物はEおよびZ型の異性体として存在し、本発明は個々の異性体
並びにこれらの混合物を包含するが、E型異性体が好ましい。
化合物の好ましい群は、Rが、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロ
アリールオキシまたはヘテロサイクリルオキシ基(これらは全て場合により置換
されていてよい)1つまたはそれ以上で置換されたアルキルであるような化合物
である。この種の特に好ましい群はY-O-(CH2)n-、ここでYは場合により置換さ
れたアリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクリルおよびヘテロアリールであり
、そしてn=1〜4、特に2であるようなものである。
別の好ましい化合物群は、Rが場合により置換されたヘテロアリール、例えば
ピリミジニル、1,2,4−チアジアゾリル、キナゾリニルまたはピリジルであるよ
うな化合物である。
特に好ましい化合物の群は、Rが場合により置換されたC1-C6の直鎖または分
枝鎖のアルキル基、好ましくは1つまたはそれ以上のハロゲン原子、特にフッ素
および/または塩素および/または臭素原子で置換されたものであるような化合
物である。このような好ましい基の例は、CF2H、CF2Br、CF2CF2Cl、CFClCF2Cl、
CF2CF2HまたはCF2CHCl2を包含する。
本発明はいずれの式Iの化合物も、そして特に列挙するものも包含する。
本発明の化合物は殺菌剤としての活性を有し、特に植物の真菌病、例えばウド
ンコ病、特にオオムギウドンコ病(Erysiphe graminis)、ブドウベト病(Plasmopa
ra viticola)、コメ枯れ病(Pyricularia oryzae)、穀物の斑点病(Pseudocercosp
orella herpotrichoides)、コメ鞘胴枯れ病(Pellicularia sasakii)、灰色カビ
病(Botrytis cinerea)、立ち枯れ病(Rhizoctonia solani)、コムギ茶色サビ病(P
uccinia recondita)、後期トマトまたはバレイショの胴枯れ病(Phytophthora in
festans)、リンゴ赤カビ病(Venturia inaequalis)、頴シミ病(Leptosphaeria
nodorum)に対する活性を有する。化合物が活性を示すその他の菌類には、他のウ
ドンコ病、他のサビ病、および一般的な不完全菌、子嚢菌、藻菌類、および担子
菌類由来の病原菌が包含される。
本発明の化合物はまた、殺虫活性、殺ダニ活性および殺線虫活性を有し、種々
の収益上問題となる昆虫類、ダニおよび植物線虫、例えば、動物外部寄生生物、
特に双翅類、例えばヒツジクロバエ、Lucilia sericataおよびイエバエ、Musca
domestica;鱗翅類、例えばPlutella xylostella、Spodoptera littoralis、Hel
iothis armigeraおよびPieris brassicae; 同翅類、例えばアリマキ類、例えばM
egoura viciaeおよびAphis craccivora; 鞘翅類、例えばハムシモドキ(Diabroti
ca種、例えばDiabrotica undecimpunctata); およびハダニ、例えばTetranychus
種の駆除において有用である。
即ち、本発明はまた、式Iの化合物を害虫の発生した、または発生し易い場所
に適用することからなる、有害生物(即ち、菌類、昆虫、線虫、ダニおよび雑草
)を防除するための方法を提供する。式Iの新しい化合物の一部は弱い農薬活性
を有するが、なお中間体としての有用性を有するものであり、このような化合物
も本発明の特徴の1つを構成するものである。
本発明はまた農業上許容される希釈剤または担体と混合して式Iの化合物を含
有する農薬組成物を提供する。
本発明の組成物は当然ながら1種より多い本発明の化合物を含んでよい。
更に、組成物は1種またはそれ以上の別の活性成分、例えば植物生育調節活性
、除草活性、殺菌活性、殺虫活性または殺ダニ活性を有することが解っている化
合物を含有することができる。あるいは、本発明の化
合物は他の活性成分と連続して順次使用することができる。
本発明の組成物中の希釈剤または担体は、固体または液体であることができ、
場合により界面活性剤、例えば分散剤、乳化剤または湿潤剤と組合わせことがで
きる。適する界面活性剤には、カルボキシレートのようなアニオン型化合物、例
えば長鎖脂肪酸の金属カルボキシレート;N−アシルサルコシネート;脂肪族ア
ルコールエトキシレートとのリン酸のモノまたはジエステルまたはこのようなエ
ステルの塩;脂肪族アルコールスルフェート、例えばドデシル硫酸ナトリウム、
オクタデシル硫酸ナトリウムまたは硫酸セチルナトリウム;エトキシル化脂肪族
アルコールスルフェート;エトキシル化アルキルフェノールスルフェート;リグ
ニンスルホネート;石油スルホネート;アルキルアリールスルホネート例えばア
ルキルベンゼンスルホネートまたは低級アルキルナフタレンスルホネート、例え
ばブチルナフタレンスルホネート;スルホン化ナフタレンホルムアルデヒド縮合
物の塩;スルホン化フェノールホルムアルデヒド縮合物の塩;またはより複雑な
スルホネート類;例えば、アミドスルホネート、例えばオレイン酸とN−メチル
タウリンのスルホン化縮合生成物、またはジアルキルスルホスクシネート、例え
ばジオクチルスクシネートのナトリウムスルホネートが包含される。非イオン型
活性剤には、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、脂肪酸アミドまたは脂肪族ア
ルキル−またはアルケニル−置換フェノールとエチレンオキシドとの縮合生成物
、多価アルコールエーテルの脂肪族エステル、例えばソルビタン脂肪酸エステル
、このようなエステル類とエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシ
エチレンソルビタン脂肪酸エステル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドと
のブロック共重合体、アセチレン性グリコール類、例えば2,4,7,9−テトラメチ
ル−5−デシン−4,7−ジオ
ールまたはエトキシル化アセチレン性グリコールが包含される。
カチオン型界面活性剤の例には、例えば、脂肪族モノ−、ジ−またはポリアミ
ンの酢酸塩、ナフテン酸塩またはオレイン酸塩の形態;酸素含有アミン、例えば
、アミンオキシドまたはポリオキシエチレンアルキルアミン;カルボン酸とジ−
またはポリアミンとの縮合により製造されるアミド結合アミン;または第4アン
モニウム塩が包含される。
本発明の組成物は農薬製剤分野で知られた任意の形態をとることもでき、例え
ば、溶液、分散液、水性乳液、粉剤、種子ドレッシング剤、燻蒸剤、燻煙剤、分
散性粉末、乳剤または細粒剤であることができる。更に、直接施用に適する形態
、または施用前に適量の水または他の希釈剤で希釈することの必要な濃縮物また
は一次組成物であることができる。
乳剤は、乳化剤の存在下水を用いて乳液となるような水非混和性溶媒中に溶解
した本発明の化合物を含有する。
粉剤は固体粉砕用希釈剤、例えば、カオリンとともに緊密に混合し粉砕した本
発明の化合物を含有する。
顆粒固体は、粉剤で用いられるものと同様の希釈剤と組合わせて本発明の化合
物を含有するが、混合物を知られた方法で顆粒化する。あるいは、前顆粒化希釈
剤、例えば、Fuller土、アタプルガイトまたは石灰岩グリット上に吸収または吸
着させて活性成分を含有する。
湿潤性粉末、顆粒または粒状物は、通常は、適当な界面活性剤、および不活性
粉末希釈剤、例えば陶土との混合物中に活性成分を含有する。
他の適する濃縮物は、水または他の液体、湿潤剤および懸濁剤とともに化合物
を粉砕することにより形成される流動性懸濁濃縮物である。
本発明の組成物中の活性成分の濃度は、植物に適用する場合、好ましくは0.00
01〜1.0重量%、特に0.0001〜0.01重量%の範囲である。一次
組成物の場合は、活性成分の量は広範に変動し、例えば、組成物の重量を基にし
て5〜95重量%であることができる。
本発明の方法においては、化合物は一般的に、種子、植物本体またはその生息
地に適用する。即ち、土壌中に活性化合物を存在させることにより種子を攻撃す
る菌類の生育を抑制することができるように、条播前、条播中または条播後に化
合物を直接土壌に適用することができる。土壌に直接投与する場合は、噴霧、顆
粒の固体形態の散布、または種子と同じ条に投入することにより条播時に同時に
活性成分を適用するなど、土壌との緊密な混合を可能にするようないずれかの方
法により活性化合物を適用できる。適当な投与率は5〜1000g/ヘクタール、よ
り好ましくは10〜500g/ヘクタールの範囲である。
あるいは、活性化合物は菌類が作物上に発生し始める時期に、または、保護手
段として菌類が発生する前に、例えば、噴霧または散粉により作物に直接適用で
きる。双方の場合とも、好ましい適用様式は葉面噴霧である。作物の生育の早い
段階は最も重度の損傷を受けやすい時期であるため、この時期に菌類を良好に抑
制することが一般的に重要である。噴霧剤または粉剤は、必要に応じて発芽前ま
たは発芽後の除草剤を含有することが好都合である、栽培前または栽培中に例え
ば作物の根を適当な液体または固体の組成物に浸漬することにより根を処理する
ことが実用的である場合がある。活性化合物を直接植物に適用する場合は、適当
な投与率は0.001〜1kg/ヘクタール、より好ましくは0.05〜0.5kg/ヘクタール
である。
本発明の化合物は例えば以下に示すような知られた方法、種々の経路で製造し
てよい。
a)式II
〔式中、Qは脱離基、好ましくはハロゲン、特に臭素である〕の化合物を式III
R−O−M (III)
〔式中、Mは有機金属基または水素である〕の化合物と反応させる。
Mが水素である場合は、反応は塩基性条件下、例えば、アルカリ金属の炭酸塩
または水酸化物の存在下、そして更に、ヨウ化銅のような金属塩触媒の存在下に
行なう。
式IIの化合物は例えばEP 538097号に記載の知られたものであるか、または知
られた方法で合成できるものである。
b)式IV
の化合物を、塩基性条件下、例えば式
Ph3P+CH2OMe Hal-
のホスホニウム塩から誘導したリンイリドと反応させる。
式IVの化合物は、式
〔式中、Qは脱離基、例えばハライドまたはスルホネートであり、THFはテトラ
ヒドロフランであり、DMFはジメチルホルムアミドである〕の反応工程により製
造できる。
c)式IX
の化合物を塩基性条件下ギ酸メチルと反応させ、次いで形成したヒドロキシプロ
ペノエートをメチル化する。
式IXの化合物は塩基、例えばアルカリ金属アルコキシドの存在下例えばヒドラ
ジンを用いて、Wolff-Kischner還元において、式IVの化合物を還元することによ
り得ることができる。
d)式X
の化合物を、塩基性条件下、式R-Q(ただしQは脱離基、例えばハロゲン、スルホ
ネートまたはスルホン)の化合物と反応させる。式Xの化合物は以下の反応工程
に従って、式VIIの化合物から製造できる。
反応工程(a)−ベンジル保護経由
反応工程(b)−直接変換
反応工程(c)−アセチレン前駆体出発
アセチレン化合物(XIII)はEP 566,455(Roussel Uclaf)に記載されているも
のであり、以下:
の反応工程に従って化合物(X)に変換してよい。
反応工程(d)−ハライド前駆体出発
ハロ化合物(XVI)はEP 566,455(Roussel Uclaf)に記載されているものであり
、以下:
の反応工程に従って化合物(X)に変換してよい。
e)式:
〔式中、R1、R2およびR3は水素またはアルキルであり、R4はアルキルである〕の
反応工程により、式Xの化合物を例えばハロゲン化溶媒、例えばジクロロメタン
(DCM)中、プロトン酸またはルイス酸、例えばトリフルオロ酢酸(TFA)の存在下
、式XVIIIのビニルエーテルと反応させる。
その他の方法は出発物質および中間体を製造するための方法と同様化学分野の
技術者の知るとおりである。実施例によってもまた本発明の化合物並びに出発物
質および中間体の種々の製造方法が明らかにされる。
本発明を以下の実施例により説明する。単離した新規化合物の構造は元素分析
および/または他の適切な分析により確認した。温度は℃で示した。DMF=ジメ
チルホルムアミド;THF=テトラヒドロフラン
実施例 1
メチル(Z)および(E)−2−〔7−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルオキ
シ)−1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレート
カリウムt−ブトキシド(1.0g)を窒素下乾燥エーテル(25ml)中のメトキシ
メチルトリフェニルホスホニウムクロリド(3.34g)の懸濁液に添加した。混合
物を室温で30分間撹拌した。上澄み液を傾瀉により滴下漏斗に移し、5分間かけ
て、撹拌しながら、乾燥テトラヒドロフラン(25ml)中のメチル2−〔7−(4,6
−ジメトキシピリミジン−2−イルオキシ)−1−ナフチル〕−2−オキソアセ
テート(1.63g)の溶液に添加した。混合物を室温で24時間撹拌し、水を添加し
、有機層を除去し、硫酸マグネシウム上に乾燥し、後処理してZ型とE型の異性
体の混合物として粗生成物を得た。生成物を溶離剤としてヘキサン:酢酸エチル
(3:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。純粋な極性
の低い成分を含有する画分を合わせ、蒸発させて黄色の油状物を得た。これをジ
イソプロピルエーテルとヘキサンの混合物中に溶解したところ、白色固体が晶出
した。白色固体としてメチル(E)−2−〔7−(4,6−ジメトキシピリミジン−2
−イルオキシ)−1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレートを単離した。融点1
45℃(化合物1a)。純粋な極性の高い成分を含有する画分を同様に後処理し、白
色固体としてメチル(Z)−2−〔7−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルオ
キシ)−1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレートを得た。融点129〜131℃(
化合物1b)。
出発物質の製造
a)2−(7−ヒドロキシ−1−ナフチル)−2−オキソ酢酸
乾燥ジクロロメタン(800ml)中の2−(7−メトキシ−1−ナフチル)−2−オ
キソ酢酸(25.63g)(Cottlieb,KellnerおよびLoewenthalの方法に従って製造
;Synth,Comm.(1989)2987-2997)を30分かけて乾燥ジクロロメタン(500ml)中
の三塩化アルミニウム(59.5g)の撹拌懸濁
液に添加した。撹拌しながら1回でヨウ化ナトリウム(67g)を添加し、混合物
を18時間室温で撹拌した。これを濃塩酸(300ml)を含有する水(2L)に注加
し、固体を粉砕した。最終的にオレンジ色の固体が沈積した。これを濾過し、水
で洗浄してオレンジ色の粉末として所望の生成物を得た。融点220〜3℃(分解
)。
b)メチル2−(7−ヒドロキシ−1−ナフチル)−2−オキソアセテート
2−(7−ヒドロキシ−1−ナフチル)−2−オキソ酢酸(2.40g)および濃
硫酸(5滴)を含有するメタノール(50ml)を1時間還流下に加熱した。溶媒を
真空下に除去し、残留物を酢酸エチルに溶解した。溶液を重炭酸ナトリウム水溶
液で洗浄し、硫酸マグネシウム上に乾燥し、後処理して茶色の固体を得た。溶離
剤としてヘキサン:酢酸エチル(1:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィ
ーにより精製し、黄色の固体として標題生成物を得た。融点126〜8℃。
c)メチル2−(7−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルオキシ)−1−ナ
フチル〕−2−オキソアセテート
水素化ナトリウム(鉱物油中60%;0.35g)を乾燥ジメチルホルムアミド(20
ml)中のメチル2−(7−ヒドロキシ−1−ナフチル)−2−オキソアセテート
(20g)の溶液に撹拌しながら少しずつ添加した。室温で10分間撹拌した後、乾
燥ジメチルホルムアミド(5ml)中に4,6−ジメトキシ−2−メチルスルホニルピ
リミジン(1.88g)を含有する溶液を添加し、混合物を60時間室温で撹拌した。
反応混合物を水に注加し、酢酸エチルで抽出し、抽出液を塩水で洗浄し、硫酸マ
グネシウム上に乾燥し、後処理して茶色の油状物を得た。溶離剤としてヘキサン
:酢酸エチル(2:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、
得られた茶色の油状物をジイソプロピルエーテルで摩砕して、白色固体として標
題化合物を得た。融点99〜100℃。
実施例 2
メチル(E)−2−〔7−(3,4−ジクロロフェノキシ)−1−ナフチル〕−3−
メトキシアクリレート
メチル(E)−2−〔7−ブロモ−1−ナフチル)−3−メトキシアクリレート
(3g)、3,4−ジクロロフェノール(3g)、炭酸カリウム(2.4g)およびヨウ化
第一銅(100mg)の混合物を窒素下5時間170℃で加熱した。混合物を冷却し、水
およびジクロロメタンを添加した。有機抽出液を後処理し、標題生成物を得た。
融点128℃(化合物2)。
実施例 3
メチル(E)−2−〔7−プロポキシ−1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレー
ト
乾燥DMF(10ml)中のメチル(E)−2−〔7−ヒドロキシ−1−ナフチル〕−
3−メトキシアクリレート(1g)を窒素下室温で撹拌し、その間水素化ナトリ
ウム(鉱物油中60%を0.2g)を少しずつ添加した。15分間撹拌した後、ヨウ化プ
ロピル(0.85g)を1回で添加し、反応混合物を室温で更に1時間撹拌した。反
応混合物を水に注加し、酢酸エチルで抽出し、粗生成物を茶色の油状物として得
た。油状物をジイソプロピルエーテル(5ml)およびヘキサン(12ml)に溶解し、
少量のタール状物質から傾瀉により分離した。冷水により白色固体が析出した。
メチル(E)−2−〔7−プロポキシ−1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレー
トを単離した。融点74〜75.5℃(化合物65−後に記載する表も参照)。
出発物質の製造
(i)ベンジル保護経由
a)メチル2−(7−ベンジルオキシ−1−ナフチル)−2−オキソアセテート
乾燥DMF(100ml)中のメチル2−(ヒドロキシ−1−ナフチル)−2−オキソ
アセテート(10.35g)に粉末炭酸カリウム(7g)を少しずつ添加し、10分間撹
拌し、ベンジルブロミド(6ml)を滴加した。室温で4.5時間撹拌した後、DMFを
真空下に除去した。残留物に水を添加してクエンチングした。酢酸エチルで抽出
して得られた黄色油状物の生成物をエーテルおよびヘキサンから結晶化させた。
標題生成物を単離した。融点82〜83.5℃。
b)メチル(E)−2−〔7−ベンジルオキシ−1−ナフチル〕−3−メトキシア
クリレート
乾燥THF(40ml)中のメチル2−〔7−ベンジルオキシ−1−ナフチル〕−2−
オキソアセテート(1.6g)に、窒素下、乾燥エーテル中の(メトキシメチル)
トリフェニルホスホニウムクロリド(4.1g)およびヘキサン中2.5Mブチルリチウ
ム(4.8ml)から形成したWittig試薬過剰量をゆっくり添加した。深赤色が持続
するようになった時点で添加を終了し、反応混合物を室温で24時間撹拌した。反
応混合物を希塩酸でクエンチングし、酢酸エチルで抽出した。単離によりE型お
よびZ型の異性体の混合物として得られた生成物を、勾配溶離条件下ヘキサン中
20〜35%酢酸エチルを用いたシリカゲル上のクロマトグラフィーにより分離した
。単離により、主に大量生成物としてメチル(E)−2−〔7−ベンジルオキシ−
1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレート、融点122〜125℃(化合物36(後に
記載する表も参照))、そして、少量生成物としてメチル(Z)−2−〔7−ベン
ジルオキシ−1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレート、融点122℃(化合物3
6a)が得られた。
c)メチル(E)−2−〔7−ヒドロキシ−1−ナフチル〕−3−メトキシアクリ
レート
酢酸エチル(100ml)中のメチル(E)−2−〔7−ベンジルオキシ−1−ナフチ
ル〕−3−メトキシアクリレート(5.2g)に、20%水酸化パラジウム/C(300
mg)を添加した。TLC分析により出発物質全てが反応したことが示されるまで、
1気圧下室温で混合物を水素化した。濾過して触媒を除去し、溶媒を蒸発させ、
ヘキサン中20%酢酸エチルで摩砕し、メチル(E)−2−〔7−ヒドロキシ−1−
ナフチル〕−3−メトキシアクリレートを得た。融点198〜199.5℃。
(ii)直接反応
メチル(EおよびZ)−2−〔7−ヒドロキシ−1−ナフチル〕−3−メトキシ
アクリレート
(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド49.5g(0.144モル)を
乾燥エーテル400ml中に懸濁した。反応混合物を0℃に冷却し、n−ブチルリチ
ウム(ヘキサン中2.5M)57.6ml(0.144モル)をシリンジを用いて5分間かけて
添加した。明赤色の懸濁液を室温に戻し、次に30分間撹拌した。形成した固体を
沈降させた。溶液をカニューレを用いて別のフラスコに移した。残留物を乾燥エ
ーテル100mlで洗浄した。エーテル相を合わせた。乾燥アセトニトリル100ml中の
メチル2−(7−ヒドロキシナフチル)−2−オキソアセテート11.08g(0.048モ
ル)の溶液を添加して暗赤色の溶液を得た。2時間撹拌した後、水150mlを添加
した。水層を塩酸で酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機層を炭酸水素ナトリ
ウム水溶液、次いで水で洗浄し、硫酸マグネシウム上に乾燥し、活性炭を少量添
加し、懸濁液を濾過し、溶媒を蒸発させて茶色油状物37.8gを得た。酢酸エチル
:軽質油(1:10から1:1に移行)を用い
たシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーに付した。1:1混合物としてEお
よびZ型の異性体8.7g(70%)を得た。
(iii)アセチレン前駆体出発
メチル(E)−2−〔7−アセチル−1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレート
メチル(E)−2−〔7−エチニル−1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレー
トをアセトン(500ml)に溶解し、5分間かけて、冷却しながら、濃硫酸(24ml)、
水(216ml)および硫酸水銀(II)(20g)を有する溶液に添加した。添加終了時
に更にアセトン(500ml)およびTHF(15ml)を添加した。混合物を2時間55℃に
加熱し、冷却し、水に注加した。エーテルで抽出し、次に単離して、黄茶色固体
として得られた生成物を更にカラムクロマトグラフィーで精製した。標題生成物
を単離した。融点141〜142.5℃。
メチル(E)−2−〔7−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1−ナフチル
〕−3−メトキシアクリレート
メチル(E)−2−〔7−アセチル−1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレー
ト(1.0g)を乾燥エーテル(10ml)および乾燥ジクロロメタン(10ml)に溶解し
、窒素雰囲気下−78℃に冷却した。臭化マグネシウムメチル(エーテル中3M溶
液2.4ml)を直接添加し、反応混合物を−78℃で2時間撹拌した後、室温まで加温
し、次に、水(100ml)およびジクロロメタン(100ml)上に注加した。単離により黄
色固体として得られた生成物を、更に精製することなく使用した。
メチル(E)−2−〔7−ヒドロキシ−1−メナフチル〕−3−メトキシアクリレ
ート
乾燥THF(12.4ml)中の過硼酸ナトリウム4水塩(308mg)を撹拌し、
その間、3フッ化ホウ素エーテル化物(1.72ml)を0℃で添加し、混合物を30分
間撹拌し、次に、ジクロロメタン(7.5ml)中のメチル(E)−2−〔7−(1−ヒ
ドロキシ−1−メチルエチル)−1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレート(3
00mg)を添加した。次に反応混合物を18時間50℃に加熱し、その後、水に注加し
、生成物を抽出した。単離により得られたメチル(E)−2−〔7−ヒドロキシ−
1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレートは前記した方法により製造された試
料と同一であった。
実施例 4
メチル(E)−2−〔7−(2−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)−1
−ナフチル〕−3−メトキシアクリレート
メチル(E)−2−〔7−ヒドロキシ−1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレ
ート(12.28g)を乾燥N−メチルピロリジノン(NMP)(200ml)に溶解した。水素
化ナトリウム(鉱物油中60%;3.8g)を少しずつ添加し、溶液を室温で30分間撹
拌した。1,2−ジクロロテトラフルオロエタン(35ml)を−78℃でフラスコ中に
縮合させ、1回で反応混合物に添加した。TLCにより全出発物質が反応したこと
が示された時点(3時間)で、反応混合物を慎重に氷水上に注加し、塩酸で酸性化
した。酢酸エチルで抽出することにより暗色油状物として得られた生成物を、溶
離剤として5:2のヘキサン:酢酸エチルを用いたシリカゲル上のフラッシュカ
ラムクロマトグラフィーにより更に精製した。単離し、ヘキサンから結晶化する
ことにより標題生成物を得た。融点76.5〜77℃(化合物112−後に記載する表も参
照)。
前記実施例と同様の方法により、以下の式Iの化合物を得た。
上記表中明確な融点を有さない化合物は以下の特徴的なNMRデータを示した。
化合物40 1H NMR(CDCl3)
3.68(3H,s,OMe),3.82(3H,s,OMe),3.86(3H,s,OMe).
5.06(2H,s,CH2),6.95(2H,d,9Hz,アリール),7.08-
7.44(6H,m,アリール),7.78(3H,m,アリール+-OCH=C)
化合物41 1H NMR(CDCl3)
3.64(3H,s,OMe),3.85(3H,s,OMe),3.98(3H,s,OMe),
5.09(2H,s,CH2),6.68(1H,s,-OCH=C),6.96(2H,d,
9Hz,アリール),7.20-7.47(6H,m,アリール),7.80(2H,
m,アリール)
化合物47 1H NMR(CDCl3)
1.38(9H,s,t-Bu),3.66(3H,s,OMe),3.80(3H,s,OMe),
7.18(dd,1H,9Hz,2Hz,アリール),7.31(2H,m,アリー
ル),7.42(1H,tr,7Hz,アリール),7.78(3H,m,アリー
ル+-OCH=C)
化合物52 1H NMR(CDCl3)
3.68(3H,s,OMe),3.83(3H,s,OMe),6.97-7.60(9H,m,
アリール),7.79(1H,m,アリール),7.80(1H,s,-OCH=C),
7.87(1H,d(ブロード),9Hz,アリール),7.98(1H,d,9Hz,
アリール)
化合物79 1H NMR(CDCl3)
1.65(2H,M),1.9(6H,M),3.7(3H,s,OCH3),3.85(3H,s,
OCH3),4.85(1H m,CH),7.0-7.8(7H,m,芳香族+CH)
化合物80 1H NMR(CDCl3)
0.9(3H,t,CH3),1.3(3H,d,CH3),1.6(6H,m,CH2 1?),
3.7(3H,s,CH3O),3.8(3H,s,CH3O),4.45(1H,MCHO),
7.05-7.8(7H,m,芳香族+CH)
化合物88 1H NMR(CDCl3)
1.22(3H,t,CH3 CH2),1.56(3H,d,CH3 CH),3.56(2H,dq,
CH3 CH2 ),3.70(3H,s,CH3O),3.82(3H,s,CH3O),5.52
(1H,g,CHCH3),7.2-7.9(6H,m,芳香族),7.82(1H,s,
CH)
化合物90 1H NMR(CDCl3)
3.68(3H,s,CH3O),3.82(3H,s,CH3O),6.4(1H,s,ピリ
ミジンCH),7.14-7.58(8H,芳香族),7.75(1H,s,CH),
7.88(1H,d,芳香族),7.95(1H,d,芳香族),8.55(1H,s,
ピリミジンCH),8.76(1H,s,ピリミジンCH)
化合物99 1H NMR(CDCl3)
1.74(3H,d,CH3),3.5-3.82(6H,br-制限回路,2×CH3O),
5.64(H,s,CHCH3),7.75(1H,s,CH),6.92-8.12(11H,m,
芳香族)
化合物100 1H NMR(CDCl3)
3.72-3.96(9H,br-m,3×CH3 O-制限回路),7.02-7.90(7H,
m,芳香族8 CH)
化合物101 1H NMR(CDCl3)
3.64(3H,s,CH3O),3.90(3H,s,CHO3),7.25-76(7H,m,
芳香族),7.72(1H,s,CH=),7.84(1H,d,芳香族),7.95
(1H,d,芳香族),8.55(1H,s,ピリミジンCH),8.76(1H,
s,ピリミジンCH)
化合物104 1H NMR(CDCl3)
1.26(3H,t,CH3 CH2),3.65(2H,CH3 CH2 ),3.66(3H,s,
CH3O),3.84(3H,s,CH3O),3.86(2H,t,CH2),4.20(2H,
t,CH2),7.0-7.9(6H,m,芳香族),7.82(1H,s,CH)
化合物114 1H NMR(CDCl3)
3.7(3H,s,CH3O),3.84(3H,s,CH3O),5.98(1H,t,
CHCl2),7.82(1H,s,CH=),7.34-7.90(6H,m,芳香族)
19F NMR(CDCl3)
80.09(2F,d,CH-CF2Cl)
試験例
1 殺菌活性
以下に挙げる病気の1種またはそれ以上に対する活性について化合物を評価し
た。
Phytophthora infestans:後期トマトの胴枯れ病(PI)
Plasmopara viticola:ブドウベト病(PV)
Erysiphe graminis:オオムギウドンコ病(EG)
Pyricularia oryzae;コメ枯れ病(PO)
Pellicularia sasakii:コメ鞘胴枯れ病(PS)
Botrytis cinerea:灰色カビ病(BC)
Venturia inaequalis:リンゴ赤カビ病(VI)
Leptosphaeria nodorum:穎シミ病(LN)
湿潤剤を含有する所望の濃度の化合物の水溶液または分散液を、適宜、噴霧ま
たは被験植物の幹基部を浸漬することにより適用した。植物またはその一部に各
病原性物を接種し、植物の生育の維持と病気の発生に適する制御環境条件下に置
いた。適切な時間の後、植物の罹患部位の感染度を目視により測定した。500ppm
(w/v)以下の濃度で病気を50%より大きく抑制できた場合に化合物を活性と見な
した。
以下の表に活性を示す(+=当生物種に対して活性)。
2 殺虫/殺ダニ活性
* Aphis craccivora
葉を活性成分の水性アセトン溶液(50%アセトン、50%水)に浸漬することに
よりマメ科植物を処理し、換気フード下で乾燥した。次に1葉当たり20体のAphi
s craccivora(雌成虫)を用いて葉に寄生させ、強力照明条件下22℃に維持した
。48時間後に死亡率を調べた。300ppm(w/v)以下の濃度で病害虫の死亡率が75
%より高い場合に化合物を活性とみなした。活性は以下の表に示した。
* Tetranychus urtioae
1葉当たり30体のTetranychus urticae雌成虫の寄生した2葉よりな
るインゲンマメを用い、一定照明の採光天井下の換気フード下に置いた。植物1
体当たり活性成分水性アセトン溶液4mlを用いて植物を処理した。葉を30分間乾
燥させた。72時間後に死亡率を調べた。300ppm(w/v)以下の濃度で病害虫の死亡
率が75%より高い場合に化合物を活性とみなした。
活性は以下の表に示した。
* Spodotera littoralis
Spodotera littoralisのL1期幼虫を、活性成分の水性アセトン溶液(50%アセ
トン、50%水)を含浸した濾紙に添加し、次にペトリ皿中乾燥状態に維持した。
皿は相対湿度50%、22℃に置いた。死亡した幼虫を7日後に計数した。300ppm(w
/v)以下の濃度で病害虫の死亡率が75%より高い場合に化合物を活性とみなした
。活性は以下の表に示した。
+は該当する種に対して活性であることを示す。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年5月16日
【補正内容】
明細書
殺菌性化合物
本発明は農薬活性、特に殺菌活性、殺虫活性および殺ダニ活性を有する化合物
に関する。
EP-A-0 178826号、WO 95/30639号、WO 94/23576号およびEP-A-0566455号に
は、RyおよびRZが特に場合により置換されている環を形成し、RaおよびRbが特に
アルキルであるような以下の構造部分を有する化合物が記載されている。
EP 267734号には式
〔式中、XおよびYは同じかまたは異なっていて、水素、ハロゲン、場合により
置換されたアルキル、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換さ
れたシクロアルキルアルキル、場合により置換されたアルケニル、場合により置
換されたアルキニル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘ
テロアリール、場合により置換されたアルコキシ、場合により置換されたアリー
ルオキシ、場合により置換されたヘテロアリールオキシ、場合により置換された
アリールアルコキシ、場合により置換されたヘテロアリールアルコキシ、場合に
より置換
されたアシルオキシ、場合により置換されたアミノ、アシルアミノ、ニトロ、シ
アノ、-CO2R3、-CONR4R5、または-COR6であるが、ただしXおよびYはともに水
素であることはなく;R1およびR2は同じかまたは異なっていて、アルキルまたは
フルオロアルキルであり;そしてR3、R4、R5およびR6は同じかまたは異なってい
て、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、場合により置換されたアリール
、場合により置換されたアラルキルまたはシクロアルキルアルキルである〕を有
する化合物が記載されている。
この明細書にはXおよびYが酸素原子を介してナフチル基に結合された基であ
るような化合物は開示されていない。我々は今回、この請求の範囲に属するこの
ような化合物の特定の群が、特に価値ある農薬活性、特に、殺菌活性、殺虫活性
、および殺ダニ活性を有することを見出した。
本発明は、式I
〔式中、Rは1つまたはそれ以上のハロゲン原子で置換されたC1-C6の直鎖また
は分枝鎖のアルキル基である〕を有する化合物を提供する。
R-O-基は好ましくは6または7位、より好ましくは7位でナフチルに結合して
いる。
本発明の化合物はEおよびZ型の異性体として存在し、本発明は個々の異性体
並びにこれらの混合物を包含するが、E型異性体が好ましい。
特に好ましい化合物の群は、ハロゲン原子がフッ素および/または塩
素および/または臭素原子であるような化合物である。このような好ましい群の
例は、RがF2CH-、BrCF2-、ClCF2-CF2-、ClCF2-CF(Cl)-、F2CH-CF2-またはCl2CH
-CF2-包含する。
本発明の化合物は殺菌剤としての活性を有し、特に植物の真菌病、例えばウド
ンコ病、特にオオムギウドンコ病(Erysiphe graminis)、ブドウベト病(Plasmopa
ra viticola)、コメ枯れ病(Pyricularia oryzae)、穀物の斑点病(Pseudocercosp
orella herpotrichoides)、コメ鞘胴枯れ病(Pellicularia sasakii)、灰色カビ
病(Botrytis cinerea)、立ち枯れ病(Rhizoctonia solani)、コムギ茶色サビ病(P
uccinia recondita)、後期トマトまたはバレイショの胴枯れ病(Phytophthora i
nfestans)、リンゴ赤カビ病(Venturia inaequalis)、頴シミ病(Leptosphaeri
a nodorum)に対する活性を有する。化合物が活性を示すその他のカビには、他の
ウドンコ病、他のサビ病、および一般的な不完全菌、子嚢菌、藻菌類、および担
子菌類由来の病原菌が包含される。
本発明の化合物はまた、殺虫活性、殺ダニ活性および殺線虫活性を有し、種々
の収益上問題となる昆虫類、ダニおよび植物線虫、例えば、動物外部寄生生物、
特に双翅類、例えばヒツジクロバエ、Lucilia sericataおよびイエバエ、Musca
domestica;鱗翅類、例えばPlutella xylostella、Spodoptera littoralis、Hel
iothis armigeraおよびPieris brassicae; 同翅類、例えばアリマキ類、例えばM
egoura viciaeおよびAphis craccivora; 鞘翅類、例えばハムシモドキ(Diabrot
ica種、例えばDiabrotica undecimpunctata);およびハダニ、例えばTetranych
us種の駆除において有用である。
即ち、本発明はまた、式Iの化合物を害虫の発生した、または発生し易い場所
に適用することからなる、有害生物(即ち、菌類、昆虫、線虫、
ダニおよび雑草)を防除するための方法を提供する。式Iの新しい化合物の一部
は弱い農薬活性を有するが、なお中間体としての有用性を有するものであり、こ
のような化合物も本発明の特徴の1つを構成するものである。
本発明はまた農業上許容される希釈剤または担体と混合して式Iの化合物を含
有する農薬組成物を提供する。
本発明の組成物は当然ながら1種より多い本発明の化合物を含んでよい。
更に、組成物は1種またはそれ以上の別の活性成分、例えば、植物生育調節活
性、除草活性、殺菌活性、殺虫活性または殺ダニ活性を有することが解っている
化合物を含有することができる。あるいは、本発明の化合物は他の活性成分と連
続して順次使用することができる。
本発明の組成物中の希釈剤または担体は、個体または液体であることができ、
場合により界面活性剤、例えば分散剤、乳化剤または湿潤剤と組合わせることが
できる。適する界面活性剤には、カルボキシレートのようなアニオン型化合物、
例えば長鎖脂肪酸の金属カルボキシレート;N−アシルサルコシネート;脂肪族
アルコールエトキシレートとのリン酸のモノまたはジエステルまたはこのような
エステルの塩;脂肪族アルコールスルフェート、例えばドデシル硫酸ナトリウム
、オクタデシル硫酸ナトリウムまたは硫酸セチルナトリウム;エトキシル化脂肪
族アルコールスルフェート;エトキシル化アルキルフェノールスルフェート;リ
グニンスルホネート;石油スルホネート;アルキルアリールスルホネート例えば
アルキルベンゼンスルホネートまたは低級アルキルナフタレンスルホネート、例
えばブチルナフタレンスルホネート;スルホン化ナフタレンホルムアルデヒド縮
合物の塩;スルホン化フェノールホルムアル
デヒド縮合物の塩;またはより複雑なスルホネート類;例えば、アミドスルホネ
ート、例えばオレイン酸とN−メチルタウリンのスルホン化縮合生成物、または
ジアルキルスルホスクシネート、例えばジオクチルスクシネートのナトリウムス
ルホネートが包含される。非イオン型活性剤には、脂肪酸エステル、脂肪族アル
コール、脂肪酸アミドまたは脂肪族アルキル−またはアルケニル−置換フェノー
ルとエチレンオキシドとの縮合生成物、多価アルコールエーテルの脂肪族エステ
ル、例えばソルビタン脂肪酸エステル、このようなエステル類とエチレンオキシ
ドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、エチ
レンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック共重合体、アセチレン性グリコ
ール類、例えば2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールまたはエト
キシル化アセチレン性グリコールが包含される。
カチオン型界面活性剤の例には、例えば、脂肪族モノ−、ジ−またはポリアミ
ンの酢酸塩、ナフテン酸塩またはオレイン酸塩の形態;酸素含有アミン、例えば
、アミンオキシドまたはポリオキシエチレンアルキルアミン;カルボン酸とジ−
またはポリアミンとの縮合により製造されるアミド結合アミン;または第4アン
モニウム塩が包含される。
本発明の組成物は農薬製剤分野で知られた任意の形態をとることもでき、例え
ば、溶液、分散液、水性乳液、粉剤、種子ドレッシング剤、燻蒸剤、燻煙剤、分
散性粉末、乳剤または細粒剤であることができる。更に、直接施用に適する形態
、または施用前に適量の水または他の希釈剤で希釈することの必要な濃縮物また
は一次組成物であることができる。
乳剤は、乳化剤の存在下水を用いて乳液となるような水非混和性溶媒中に溶解
した本発明の化合物を含有する。
粉剤は固体粉砕用希釈剤、例えば、カオリンとともに緊密に混合し粉
砕した本発明の化合物を含有する。
顆粒固体は、粉剤で用いられるものと同様の希釈剤と組合わせて本発明の化合
物を含有するが、混合物を知られた方法で顆粒化する。あるいは、前顆粒化希釈
剤、例えば、Fuller土、アタプルガイドまたは石灰岩グリット上に吸収または吸
着させて活性成分を含有する。
湿潤性粉末、顆粒または粒状物は、通常は、適当な界面活性剤、および不活性
粉末希釈剤、例えば陶土との混合物中に活性成分を含有する。
他の適する濃縮物は、水または他の液体、湿潤剤および懸濁剤とともに化合物
を粉砕することにより形成される流動性懸濁濃縮物である。
本発明の組成物中の活性成分の濃度は、植物に適用する場合、好ましくは0.00
01〜1.0重量%、特に0.0001〜0.01重量%の範囲である。一次組成物の場合は、
活性成分の量は広範に変動し、例えば、組成物の重量を基にして5〜95重量%で
あることができる。
本発明の方法においては、化合物は一般的に、種子、植物本体またはその生息
地に適用する。即ち、土壌中に活性化合物を存在させることにより種子を攻撃す
る菌類の生育を抑制することができるように、条播前、条播中または条播後に化
合物を直接土壌に適用することができる。土壌に直接投与する場合は、噴霧、顆
粒の固体形態の散布、または種子と同じ条に投入することにより条播時に同時に
活性成分を適用するなど、土壌との緊密な混合を可能にするようないずれかの方
法により活性化合物を適用できる。適当な投与率は5〜1000g/ヘクタール、よ
り好ましくは10〜500g/ヘクタールの範囲である。
あるいは、活性化合物は菌類が作物上に発生し始める時期に、または、保護手
段として菌類が発生する前に、例えば、噴霧または散粉により作物に直接適用で
きる。双方の場合とも、好ましい適用様式は葉面噴霧で
ある。作物の生育の早い段階は最も重度の損傷を受けやすい時期であるため、こ
の時期に菌類を良好に抑制することが一般的に重要である。噴霧剤または粉剤は
、必要に応じて発芽前または発芽後の除草剤を含有することが好都合である。栽
培前または栽培中に例えば作物の根を適当な液体または固体の組成物に浸漬する
ことにより根を処理することが実用的である場合がある。活性化合物を直接植物
に適用する場合は、適当な投与率は0.001〜1kg/ヘクタール、より好ましくは0
.05〜0.5kg/ヘクタールである。
本発明の化合物は例えば以下に示すような知られた方法、種々の経路で製造し
てよい。
a)式II
〔式中、Qは脱離基、好ましくはハロゲン、特に臭素である〕の化合物を式III
R−O−M (III)
〔式中、Mは有機金属基または水素である〕の化合物と反応させる。
Mが水素である場合は、反応は塩基性条件下、例えば、アルカリ金属の炭酸塩
または水酸化物の存在下、そして更に、ヨウ化銅のような金属塩触媒の存在下に
行なう。
式IIの化合物は例えばEP 538097号に記載の知られたものであるか、または知
られた方法で合成できるものである。
b)式IV
の化合物を、塩基性条件下、例えば式
Ph3P+CH2OMe Hal-
のホスホニウム塩から誘導したリンイリドと反応させる。
式IVの化合物は、式
〔式中、Qは脱離基、例えばハライドまたはスルホネートであり、THFはテトラ
ヒドロフランであり、DMFはジメチルホルムアミドである〕の反応工程により製
造できる。
c)式IXの化合物を塩基性条件下ギ酸メチルと反応させ、次いで形成したヒド
ロキシプロペノエートをメチル化する。
式IXの化合物は塩基、例えばアルカリ金属アルコキシドの存在下例えばヒドラ
ジンを用いて、Wolff-Kischner還元において、式IVの化合物を還元することによ
り得ることができる。
d)式X
の化合物を、塩基性条件下、式R-Q(ただしQは脱離基、例えばハロゲン、スルホ
ネートまたはスルホン)の化合物と反応させる。式Xの化合物は以下の反応工程
に従って、式VIIの化合物から製造できる。
反応工程(a)−ベンジル保護経由
反応工程(b)−直接変換
反応工程(c)−アセチレン前駆体出発
アセチレン化合物(XIII)はEP 566,455(Roussel Uclaf)に記載されているも
のであり、以下
の反応工程に従って化合物(X)に変換してよい。
反応工程(d)−ハライド前駆体出発
ハロ化合物(XVI)はEP 566,455(Roussel Uclaf)に記載されているものであ
り、以下
の反応工程に従って化合物(X)に変換してよい。
その他の方法は出発物質および中間体を製造するための方法と同様化学分野の
技術者の知るとおりである。実施例によってもまた本発明の化合物並びに出発物
質および中間体の種々の製造方法が明らかにされる。
本発明を以下の実施例により説明する。単離した新規化合物の構造は元素分析
および/または他の適切な分析により確認した。温度は℃で示した。DMF=ジメ
チルホルムアミド;THF=テトラヒドロフラン
実施例 1
メチル(E)−2−〔7−(2−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)−
1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレート(化合物1)
メチル(E)−2−〔7−ヒドロキシ−1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレ
ート(12.28g)を乾燥N−メチルピロリジノン(NMP)(200ml)に溶解した。水
素化ナトリウム(鉱物油中60%;3.8g)を少しずつ添加し、溶液を室温で30分間
撹拌した。1,2−ジクロロテトラフルオロエタン(35ml)を−78℃でフラスコ中
に縮合させ、1回で反応混合物に添加
した。TLCにより全出発物質が反応したことが示された時点(3時間)で、反応混
合物を慎重に氷水上に注加し、塩酸で酸性化した。酢酸エチルで抽出することに
より暗色油状物として得られた生成物を、溶離剤として5:2のヘキサン:酢酸
エチルを用いたシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより更に
精製した。単離し、ヘキサンから結晶化することにより標題生成物を得た。融点
76.5〜77℃。
出発物質の製造
(i)ベンジル保護経由
a)メチル2−(7−ベンジルオキシ−1−ナフチル)−2−オキソアセテート
乾燥DMF(100ml)中のメチル2−(ヒドロキシ−1−ナフチル)−2−オキソ
アセテート(10.35g)に粉末炭酸カリウム(7g)を少しずつ添加し、10分間撹
拌し、ベンジルブロミド(6ml)を滴加した。室温で4.5時間撹拌した後、DMFを
真空下に除去した。残留物に水を添加してクエンチングした。酢酸エチルで抽出
して得られた黄色油状物の生成物をエーテルおよびヘキサンから結晶化させた。
標題生成物を単離した。融点82〜83.5℃。
b)メチル(E)−2−〔7−ベンジルオキシ−1−ナフチル〕−3−メトキシア
クリレート
乾燥THF(40ml)中のメチル2−〔7−ベンジルオキシ−1−ナフチル〕−2−
オキソアセテート(1.6g)に、窒素下、乾燥エーテル中の(メトキシメチル)ト
リフェニルホスホニウムクロリド(4.1g)およびヘキサン中2.5Mブチルリチウム
(4.8ml)から形成したWittig試薬過剰量をゆっくり添加した。深赤色が持続す
るようになった時点で添加を終了し、反応混合物を室温で24時間撹拌した。反応
混合物を希塩酸でクエンチン
グし、酢酸エチルで抽出した。単離によりE型およびZ型の異性体の混合物とし
て得られた生成物を、勾配溶離条件下ヘキサン中20〜35%酢酸エチルを用いたシ
リカゲル上のクロマトグラフィーにより分離した。単離により、主に大量生成物
としてメチル(E)−2−〔7−ベンジルオキシ−1−ナフチル〕−3−メトキシ
アクリレート、融点122〜125℃、そして、少量生成物としてメチル(Z)−2−〔
7−ベンジルオキシ−1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレート、融点122℃
が得られた。
c)メチル(E)−2−〔7−ヒドロキシ−1−ナフチル〕−3−メトキシアクリ
レート
酢酸エチル(100ml)中のメチル(E)−2−〔7−ベンジルオキシ−1−ナフチ
ル〕−3−メトキシアクリレート(5.2g)に、20%水酸化パラジウム/C(300
mg)を添加した。TLC分析により出発物質全てが反応したことが示されるまで、
1気圧下室温で混合物を水素化した。濾過して触媒を除去し、溶媒を蒸発させ、
ヘキサン中20%酢酸エチルで摩砕し、メチル(E)−2−〔7−ヒドロキシ−1−
ナフチル〕−3−メトキシアクリレートを得た。融点198〜199.5℃。
(ii)直接反応
メチル(EおよびZ)−2−〔7−ヒドロキシ−1−ナフチル〕−3−メトキシ
アクリレート
(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド49.5g(0.144モル)を
乾燥エーテル400ml中に懸濁した。反応混合物を0℃に冷却し、n−ブチルリチ
ウム(ヘキサン中2.5M)57.6ml(0.144モル)をシリンジを用いて5分間かけて
添加した。明赤色の懸濁液を室温に戻し、次に30分間撹拌した。形成した固体を
沈降させた。溶液をカニューレを用いて別のフラスコに移した。残留物を乾燥エ
ーテル100mlで洗浄した。エ
ーテル相を合わせた。乾燥アセトニトリル100ml中のメチル2−(7−ヒドロキ
シナフチル)−2−オキソアセテート11.08g(0.048モル)の溶液を添加して暗
赤色の溶液を得た。2時間撹拌した後、水150mlを添加した。水層を塩酸で酸性
化し、酢酸エチルで抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで水で
洗浄し、硫酸マグネシウム上に乾燥し、活性炭を少量添加し、懸濁液を濾過し、
溶媒を蒸発させて茶色油状物37.8gを得た。酢酸エチル:軽質油(1:10から1
:1に移行)を用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーに付した。1:
1混合物としてEおよびZ型の異性体8.7g(70%)を得た。
(iii)アセチレン前駆体出発
メチル(E)−2−〔7−アセチル−1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレート
メチル(E)−2−〔7−エチニル−1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレー
トをアセトン(500ml)に溶解し、5分間かけて、冷却しながら、濃硫酸(24ml)、
水(216ml)および硫酸水銀(II)(20g)を含有する溶液に添加した。添加終了
時に更にアセトン(500ml)およびTHF(15ml)を添加した。混合物を2時間55℃
に加熱し、冷却し、水に注加した。エーテルで抽出し、次に単離して、黄茶色固
体として得られた生成物を更にカラムクロマトグラフィーで精製した。標題生成
物を単離した。融点141〜142.5℃。
メチル(E)−2−〔7−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1−ナフチル
〕−3−メトキシアクリレート
メチル(E)−2−〔7−アセチル−1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレー
ト(1.0g)を乾燥エーテル(10ml)および乾燥ジクロロメタン(10ml)に溶解し
、窒素雰囲気下−78℃に冷却した。臭化マグネシウム
メチル(エーテル中3M溶液2.4ml)を直接添加し、反応混合物を−78℃で2時間
撹拌した後、室温まで加温し、次に、水(100ml)およびジクロロメタン(100ml)上
に注加した。単離により黄色固体として得られた生成物を、更に精製することな
く使用した。
メチル(E)−2−〔7−ヒドロキシ−1−メナフチル〕−3−メトキシアクリレ
ート
乾燥THF(12.4ml)中の過硼酸ナトリウム4水塩(308mg)を撹拌し、その間、
3フッ化ホウ素エーテル化物(1.72ml)を0℃で添加し、混合物を30分間撹拌し
、次に、ジクロロメタン(7.5ml)中のメチル(E)−2−〔7−(1−ヒドロキシ
−1−メチルエチル)−1−ナフチル〕−3−メトキシアクリレート(300mg)を
添加した。次に反応混合物を18時間50℃に加熱し、その後、水に注加し、生成物
を抽出した。単離により得られたメチル(E)−2−〔7−ヒドロキシ−1−ナフ
チル〕−3−メトキシアクリレートは前記した方法により調製された試料と同一
であった。
実施例1と同様の方法により、以下の式Iの化合物を得た。全化合物をE型立
体異性体として得た。
化合物7 1H NMR(CDCl3)3.7(3H,s,CH3O),3.84(3H,s,CH3O),
5.98(1H,t,CHCl2),7.82(1H,s,CH=),7.34-7.90(6H,
m,芳香族)
19F NMR(CDCl3)80.09(2F,d,CH-CF2Cl)
試験例
1 殺カビ活性
以下の複数の生物に対する活性について化合物を評価した。
Phytophthora infestans:後期トマトの胴枯れ病(PI)
Plasmopara viticola:ブドウベト病(PV)
Erysiphe graminis:オオムギウドンコ病(EG)
Pyricularia oryzae;コメ枯れ病(PO)
Pellicularia sasakii:コメ鞘胴枯れ病(PS)
Botrytis cinerea:灰色カビ病(BC)
Venturia inaequalis:リンゴ赤カビ病(VI)
Leptosphaeria nodorum:穎シミ病(LN)
湿潤剤を含有する所望の濃度の化合物の水溶液または分散液を、適宜、噴霧ま
たは被験植物の幹基部を浸漬することにより適用した。植物またはその一部に各
病原性物を接種し、植物の生育の維持と病気の発生に適する制御環境条件下に置
いた。適切な時間の後、植物の罹患部位の感染度を目視により測定した。500ppm
(w/v)以下の濃度で病気を50%より大きく抑制できた場合に化合物を活性と見な
した。
以下に示す表に活性を示す(+=当生物種に対して活性)。
2 殺虫/殺ダニ活性
* Aphis craccivora
葉を活性成分の水性アセトン溶液(50%アセトン、50%水)に浸漬することに
よりマメ科植物を処理し、換気フード下で乾燥した。次に1葉当たり20体のAphi
s craccivora(雌成虫)を用いて葉に寄生させ、強力照明条件下22℃に維持した
。48時間後に死亡率を調べた。300ppm(w/v)以下の濃度で病害虫の死亡率が75
%より高い場合に化合物を活性とみなした。活性は以下の表に示した。
* Tetranychus urtioae
1葉当たり30体のTetranychus urticae雌成虫の寄生した2葉よりなるインゲ
ンマメを用い、一定照明の採光天井下の換気フード下に置いた。植物1体当たり
活性成分水性アセトン溶液4mlを用いて植物を処理した。葉を30分間乾燥させた
。72時間後に死亡率を調べた。300ppm(w/v)以下の濃度で病害虫の死亡率が75%
より高い場合に化合物を活性とみなした。
活性は以下の表に示した。
* Spodotera littoralis
Spodotera littoralisのL1期幼虫を、活性成分の水性アセトン溶液(50%アセ
トン、50%水)を含浸した濾紙に添加し、次にペトリ皿中乾燥状態に維持した。
皿は相対湿度50%、22℃に置いた。死亡した幼虫を7日後に計数した。300ppm(w
/v)以下の濃度で病害虫の死亡率が75%より高い場合に化合物を活性とみなした
。活性は以下の表に示した。
+は該当する種に対して活性であることを示す。
請求の範囲
1.式I
〔式中、Rは1つ以上のハロゲン原子で置換されたC1-C6の直鎖または分枝鎖
のアルキル基である〕を有する化合物。
2.請求項1記載の化合物のE型異性体。
3.R-O-基が7位のナフタレン環に結合している請求項1または2に記載の化合
物。
4.Rが場合によりフッ素および/または塩素および/または臭素の原子1個以
上で置換された前記請求項のいずれかに記載の化合物。
5.RがF2CH-、BrCF2-、ClCF2-CF2-、ClCF2-CF(Cl)-、F2CH-CF2-またはCl2CH-C
F2-である前記請求項のいずれか1項記載の化合物。
6.前記請求項のいずれか1項に記載の化合物を農業上許容できる希釈剤または
担体と混合して含有する農薬組成物、特に殺菌組成物。
7.請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物を有害生物特に植物病原性の菌
類が発生した、あるいは発生しやすい場所に適用することからなる、有害生物を
防除する方法。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AU,BG,BR,CA,CN
,CZ,HU,JP,KR,KZ,MX,NO,NZ,
PL,RO,RU,SG,SI,SK,TR,UA,U
S
(72)発明者 リチヤーズ,イーアン・クリストフアー
イギリス国 エセツクス州 シー・ビー10
1エツクス・エル.サフランウオールデ
ン.チエスターフオードパーク(番地な
し)
(72)発明者 ブリツグズ,ジエフリー・ガウアー
イギリス国 エセツクス州 シー・ビー10
1エツクス・エル.サフランウオールデ
ン.チエスターフオードパーク(番地な
し)
(72)発明者 ブレイエ,ジヤン−ルイ
フランス国 93235 ロマンヴイルセデク
ス.ルトドウヌワジ 102
(72)発明者 デムト,ジヤン−ピエール
フランス国 93235 ロマンヴイルセデク
ス.ルトドウヌワジ 102