JPH1149568A - 非鉄溶融金属用黒鉛炭化珪素質坩堝及びその製造方法 - Google Patents

非鉄溶融金属用黒鉛炭化珪素質坩堝及びその製造方法

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JPH1149568A
JPH1149568A JP9207779A JP20777997A JPH1149568A JP H1149568 A JPH1149568 A JP H1149568A JP 9207779 A JP9207779 A JP 9207779A JP 20777997 A JP20777997 A JP 20777997A JP H1149568 A JPH1149568 A JP H1149568A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐久性が良好であって、エネルギー消費量の少
ない黒鉛坩堝を提供する。 【解決手段】鱗状黒鉛原料100重量部、炭化珪素原料
350〜600重量部、並びに炭化ホウ素微粉原料及び
ホウ化チタン微粉原料の少なくとも一種と金属珪素微粉
原料とからなる微粉原料を合計量として50〜100重
量部含有する耐火材配合物に、ピッチタールを加えて加
熱混練し、該混練物を高圧下に成形した後、還元焼成す
ることを特徴とする非鉄溶融金属用黒鉛炭化珪素質坩堝
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム、
銅、亜鉛、これらの合金等の非鉄溶融金属の溶解、保持
等の目的に使用される坩堝に関するものである。
【0002】
【従来の技術】黒鉛坩堝の材質については、JISにお
いて黒鉛30%以上と定められており、30%以上の黒
鉛原料と炭化珪素原料を主成分とし、これに金属珪素粉
末、酸化防止材原料及び有機質結合材剤を混練、成形
し、還元焼成してなる黒鉛坩堝が広く使用されている。
【0003】これらの原料の内で、金属珪素粉末は、焼
成中又は使用中に炭素と結合して炭化珪素を生成し、坩
堝の強度を増加させる働きをするものであり、金属珪素
粉末に代えて、珪素合金粉末を用いることもある。又、
酸化防止材原料は、皮膜又は表層が欠落摩損した場合
に、直ちにあらたな酸化皮膜が形成されるように添加さ
れており、ほう酸塩、珪酸塩、リン酸塩、フッ化物等の
低融性ガラス成分や酸化物原料が用いられ、融点の異な
る原料を使用して低温から高温まで流下せずに使用でき
るように、その配合が調整されている。有機結合剤とし
ては、通常、ピッチタール、フェノールレジン等が使用
されている。また、ムライト、コランダム、ジルコン、
ジルコニア等のその他の耐火性酸化物、窒化珪素等を耐
熱衝撃性、耐食性向上等の使用目的に応じて混合使用す
ることもしばしば行われている。
【0004】一般に、黒鉛坩堝は、さまざまな部分に熱
衝撃を受けながら使用されており、オイル、ガスバーナ
ーなどで加熱する場合には、坩堝の上下面及び内外面に
温度差を生じ、大型サイズの坩堝ほど大きな熱衝撃を受
けて、破損に至る場合がある。例えば、黒鉛坩堝をバー
ナーで加熱する際には、坩堝の外側は1400℃以上の
高温に加熱され、内側は、冷材もしくは溶湯温度(アル
ミニウムで700〜750℃、銅合金で1100〜12
50℃)で保持されるので、坩堝内外の温度差により大
きな熱衝撃を受ける。
【0005】黒鉛坩堝は、黒鉛を多く配合することによ
って、耐熱衝撃性、高熱伝導性、溶融金属に濡れない非
反応性などが付与されており、特に、耐熱衝撃性の向上
には、黒鉛量を増加させることが有効である。この様な
理由から、従来は、主要原料である黒鉛と炭化珪素の配
合量については、ほぼ、黒鉛45〜65%、炭化珪素5
〜45%の範囲とされている。
【0006】しかしながら、黒鉛坩堝を長期間使用する
と、坩堝中の黒鉛及びピッチタールがコークス化した結
合炭素の酸化が進行し、熱衝撃性が低下して破損するこ
とがある。特に、上記した様な黒鉛配合量が多い坩堝
は、酸化による影響が大きく、黒鉛、結合炭素などの酸
化を防止する目的で、酸化防止材として低融性ガラス成
分を配合しているが、低融性ガラスは耐食性低下の原因
となり、又、熱膨張率が大きく、熱伝導性が低いため
に、坩堝の耐熱衝撃性を低下させるという問題点もあ
る。
【0007】また、黒鉛は、表面が滑りやすいために結
合剤との結合力が弱く、黒鉛含有量が多いと坩堝の機械
的強度が低くなり、従来の黒鉛坩堝において、黒鉛を3
0%以上含有し、熱伝導率を20〜25kcal/mh
r℃としたものは、1200℃での熱間曲げ強さは、6
0〜100kg/cm2程度であり、この様な強度では
強度向上による耐熱衝撃性の改善もできない。
【0008】以上の様に、従来の黒鉛坩堝には種々の問
題点があり、品質の改善、機械的強度の保持のために
は、肉厚を厚く維持する必要があり、このため加熱の際
のエネルギー消費量が多く、省エネルギー化が望まれて
いる。
【0009】更に、黒鉛坩堝には、容量、形状などの異
なるものが多種あり、特に大型サイズの坩堝では、成型
密度のばらつきが生じ易いなどの製造上困難な問題もあ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主な目的は、
耐久性が良好であって、エネルギー消費量の少ない黒鉛
坩堝を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した如
き従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、坩
堝の成形方法として、冷間静水圧成形法(CIP成形
法)などの高圧成形方法を採用する場合には、成形上の
ばらつきが少なく緻密な成形体を得ることができること
から、従来と比べて鱗状黒鉛の配合量が少ない場合に
も、耐熱衝撃性、熱伝導性などの良好な坩堝を得ること
が可能となり、この様な黒鉛含有量が少ない材料を用い
ることによって、従来必須成分とみなされてきた低融性
ガラス成分を配合することなく耐酸化性に優れた坩堝を
製造でき、これにより、低融性ガラスの使用に伴う耐熱
衝撃性や耐食性の低下の問題を解消できることを見出し
た。更に、黒鉛含有量が少なく相対的に炭化珪素分が多
いことによって機械的強度が高くなり、肉厚が薄く、エ
ネルギー消費量の少ない坩堝が得られることを見出し、
ここに本発明を完成するに至った。
【0012】即ち、本発明は、下記の非鉄溶融金属用黒
鉛炭化珪素質坩堝の製造方法及び非鉄溶融金属用黒鉛炭
化珪素質坩堝を提供するものである。
【0013】1.鱗状黒鉛原料100重量部、炭化珪素
原料350〜600重量部、並びに炭化ホウ素微粉原料
及びホウ化チタン微粉原料の少なくとも一種と金属珪素
微粉原料とからなる微粉原料を合計量として50〜10
0重量部含有する耐火材配合物に、ピッチタールを加え
て加熱混練し、該混練物を高圧下に成形した後、還元焼
成することを特徴とする非鉄溶融金属用黒鉛炭化珪素質
坩堝の製造方法。
【0014】2.微粉原料が、微粉原料の合計量を基準
として炭化ホウ素微粉原料及びホウ化チタン微粉原料の
少なくとも一種10〜30重量%と金属珪素微粉原料7
0〜90重量%とからなるものである上記1項に記載の
黒鉛炭化珪素質坩堝の製造方法。
【0015】3.混練物の成形方法が、冷間静水圧成形
法によって600kg/cm2以上の圧力で成形する方
法である上記1項又は2項に記載の黒鉛炭化珪素質坩堝
の製造方法。
【0016】4.鱗状黒鉛を約10〜20重量%含有
し、1200℃における曲げ強さが140kg/cm2
以上、熱伝導率が20kcal/mhr℃以上である非
鉄溶融金属用黒鉛炭化珪素質坩堝。
【0017】5.上記1〜3項のいずれかの方法で製造
されたものである上記4項に記載の非鉄溶融金属用黒鉛
炭化珪素質坩堝。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0019】本発明の黒鉛炭化珪素質坩堝の製造方法で
は、耐火材配合物としては、骨材成分として、鱗状黒鉛
原料と炭化珪素原料を用い、マトリックスを構成する成
分として、炭化ホウ素微粉原料及びホウ化物微粉原料の
少なくとも一種と、金属珪素微粉原料とからなる微粉原
料を用いる。
【0020】これらの成分の内で、鱗状黒鉛原料と炭化
珪素原料は、坩堝内部で骨材として分布するものであ
り、通常の黒鉛炭化珪素質坩堝で用いられているものと
同様の原料を用いることができる。鱗状黒鉛原料及び炭
化珪素原料の粒度については、特に限定的ではないが、
通常、鱗状黒鉛は20〜100メッシュ程度(840〜
149μm程度)、炭化珪素原料は60メッシュ(25
0μm)程度以下のものを用いることが好ましい。これ
らの成分の配合量は、鱗状黒鉛原料100重量部に対し
て、炭化珪素原料350〜600重量部程度とし、好ま
しくは450〜550重量部程度とする。炭化珪素の配
合量が350重量部を下回ると、相対的に鱗状黒鉛の量
が増えて坩堝の強度が不足するために、薄肉坩堝の製造
が困難になり、又、酸化が急激に進行し易くなって、耐
久性が不足するので好ましくない。一方、600重量部
を上回ると、耐熱衝撃性が低下し、また熱伝導率が低く
溶解時間が長くなって金属溶湯の浸透が生じやすくなる
ので好ましくない。尚、鱗状黒鉛については、常法に従
って、耐熱衝撃性の向上等の使用目的に応じて、一部を
膨張黒鉛に代えてもよい。
【0021】炭化ホウ素微粉原料及びホウ化チタン微粉
原料の少なくとも一種と金属珪素微粉原料とからなる微
粉原料は、骨材をとりまくマトリックスとして分布する
ものである。これらの微粉原料の粒度は、特に限定的で
はないが、通常、325メッシュ(44μm)程度以下
とすればよい。
【0022】これらの微粉原料は、酸化雰囲気に触れる
ことによって、炭化ホウ素はB23、ホウ化チタンはB
23とTiO2となり、又、金属珪素微粉は、焼成中又
は使用中に炭素と結合してβ型SiCとなり、未反応物
は使用中に酸化されてSiO2となり、炭化珪素も酸化
されてSiO2となる。坩堝中の結合炭素は370℃、
鱗状黒鉛は520℃で酸化が始まるが、炭化ホウ素は4
50℃、ホウ化チタンは493℃、炭化珪素は800℃
で酸化が始まるため、生成した酸化物などの皮膜によっ
て、炭素及び鱗状黒鉛の酸化防止が図られる。特に、炭
化珪素は800℃で酸化してSiO2となるが、β型S
iCは、超微粉であるために一層低温で酸化されてSi
2の低融性成分となって坩堝の表面を濡らして釉をつ
くり、酸素の坩堝内部への進入を一層良く防止すること
ができる。
【0023】また、炭化ホウ素、ホウ化チタン及びβ型
SiCは、坩堝内部にあっては、極めて高融点であり、
熱伝導率も高く、化学的にも安定で、低融性ガラス成分
や酸化物成分の様に坩堝の性質を劣化させることがな
い。また、β型SiCは、坩堝の強度を増加させる働き
もする。
【0024】本発明では、鱗状黒鉛の配合量が従来の黒
鉛坩堝の半分程度以下と少量であることから、低温度域
における黒鉛の酸化の影響が小さく、従来、酸化防止材
として必須の原料とされていた低融性ガラス成分を全く
使用しない場合にも、上記した微粉原料の使用によっ
て、低温から高温まで酸化防止ができ、低融性ガラスの
使用に起因する耐食性や耐熱衝撃性の低下等を防止でき
る。
【0025】炭化ホウ素微粉原料及びホウ化チタン微粉
原料の少なくとも一種と金属珪素微粉原料とからなる微
粉原料の使用量は、これらの成分の合計量として、鱗状
黒鉛100重量部に対して50〜100重量部程度と
し、好ましくは、80〜90重量部程度とする。これら
の成分の合計量が50重量部を下回ると、耐酸化性が不
足し、一方、100重量部を上回ると、相対的に鱗状黒
鉛と炭化珪素が減少して耐熱衝撃性が低下するので好ま
しくない。
【0026】微粉原料における各成分の使用割合につい
ては特に限定はされず、坩堝の用途の応じて適宜決定す
れば良く、強度を重視する場合には金属珪素を増量し、
低温酸化防止性を重視する場合には炭化ホウ素を増量
し、高温酸化防止を重視する場合には、ホウ化チタンを
増量すればよい。但し、坩堝に十分な強度を付与するた
めに金属珪素は必須の成分であり、微粉原料は、微粉原
料の合計量を基準として炭化ホウ素微粉原料及びホウ化
チタン微粉原料の少なくとも一種10〜30重量%程度
と金属珪素微粉70〜90重量%程度とからなることが
好ましい。
【0027】本発明では、更に、必要に応じて、耐酸化
性の向上などの使用目的に応じて、少量であれば低融性
ガラスを混合使用できる。この場合には、低融性ガラス
の使用量は、微粉原料の20重量%程度以下とする。
【0028】本発明で用いる耐火材配合物は、上記した
配合の原料からなるものであり、鱗状黒鉛は、得られる
坩堝中に10〜20重量%含まれるように配合する。
【0029】本発明の坩堝製造方法では、常法に従っ
て、上記した耐火材配合物に、バインダー成分としてピ
ッチタールを加えて加熱混練して混練物を得る。加熱温
度は、通常120〜150℃程度とすればよい。ピッチ
タールの配合量は特に限定的ではないが、一般に、焼成
後の残留分として坩堝中に3〜6重量%程度含まれる範
囲の量とすればよい。
【0030】次いで、該混練物を高圧下に成形する。本
発明では高圧成形方法を採用することによって、緻密な
成形体を得ることが可能となり、従来と比べて鱗状黒鉛
の配合量が少ない場合にも、耐熱衝撃性及び熱伝導性が
良好な坩堝が得られる。高圧成形方法としては、特に限
定的ではないが、600kg/cm2程度以上の圧力下
に成形する方法が適当であり、例えば、冷間静水圧成形
法(CIP成形法)、静圧プレス成形法、フリクション
プレス成形法などの方法を採用できる。これらの方法の
内で、CIP成形法は、高圧容器内においた金型の上に
ゴム型を被せ、金型とゴム型で形成される空間に混練物
を入れた後、その高圧容器内に水を入れ、加圧装置によ
り容器内の水を高圧で加圧する方法であり、圧力は60
0kg/cm2程度以上の高圧とすることが好ましい。
この様な方法によれば、製造上からくる破損原因のひと
つである歪みを除去して、成形体は均一で高密度のもの
となる。
【0031】その後、常法に従って、成形体を1100
〜1400℃程度の温度で還元焼成することによって、
目的とする坩堝が得られる。
【0032】その後、必要に応じて、常法に従って坩堝
表面に使用目的に応じた適当な酸化防止用コーティング
材を塗布して、加熱融着させることによって、使用目的
に応じた坩堝が得られる。
【0033】本発明の坩堝は、上記した製造方法によっ
て得ることができる黒鉛炭化珪素質坩堝であり、坩堝中
に鱗状黒鉛を約10〜20重量%、好ましくは13〜1
7重量%含有し、1200℃における曲げ強さは140
kg/cm2以上、好ましくは150〜160kg/c
2であり、熱伝導率は20kcal/mhr℃以上、
好ましくは25kcal/mhr℃以上である。
【0034】この様な坩堝は、従来の黒鉛炭化珪素質坩
堝と比べると黒鉛含有量が非常に少なく炭化珪素が多い
組成であり、これを高圧成形することによって、高強度
を有する緻密な成形体となり、従来よりも少ない黒鉛量
で十分な熱伝導率を有するものとなる。また、黒鉛含有
量が少ないために、黒鉛の酸化による悪影響が少なく、
従来、酸化防止剤として用いられている低融性ガラスを
配合することなく十分な耐酸化性を付与でき、低融性ガ
ラスの使用に伴う弊害である耐食性や耐熱衝撃性の低下
を防止できる。
【0035】本発明の坩堝において、鱗状黒鉛の含有量
を上記範囲に限定した理由は、鱗状黒鉛の含有量が10
重量%を下回ると耐熱衝撃性が低下し、熱伝導率が低く
溶解時間が長くなって金属溶湯の浸透が生じやすくな
り、一方、20重量%を上回ると、坩堝の強度が不足す
るので、薄肉坩堝の製造が困難となり、酸化が急激に進
行し易くなって、耐久性が向上しないからである。
【0036】又、坩堝の強度を140kg/cm2以上
とした理由は、この範囲とすることによって、坩堝の肉
薄化が可能となるが、機械的強度がこれを下回ると、強
度不足によって肉薄坩堝の製造が困難となり、従来と同
様の肉厚とした場合には、黒鉛含有量が少ないことによ
り、熱伝導性が不足するためである。又、坩堝の熱伝導
率を20kcal/mhr℃以上としたのは、これを下
回ると熱伝導性が不足し、耐熱衝撃性も低下するからで
ある。
【0037】
【発明の効果】本発明によって得られる黒鉛炭化珪素質
坩堝は、酸化防止材として低融性ガラス成分を用いてい
ないために、低融性ガラスの使用の伴う耐食性や耐熱衝
撃性の低下などの弊害が無く、従来の坩堝と比べて飛躍
的に性能が向上し、耐久性に優れたものである。
【0038】又、坩堝の強度が高いので薄肉の坩堝とす
ることができ、このため加熱に要するエネルギー量を低
減することができる。
【0039】本発明によって得られる坩堝は、上記した
ような優れた特性を有するものであり、アルミニウム、
銅、亜鉛、これらの合金等の非鉄溶融金属の溶解、保持
等の目的等に有効に用いることができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に
説明する。
【0041】実施例1 下記表1に示す配合割合の原料を用い、以下の方法でφ
150mm×200mmHの焼成体を製造した。尚、表
1の各成分の配合量については、括弧内の数値は重量%
である。
【0042】試料の作成方法 混練:130±5℃で30分混練 成形:800kg/cm2の圧力でCIP成形 焼成:コークスブリーズ中に埋設させ、トンネル型焼成
炉で平均14℃/時間の速度で1250℃まで昇温し、
同温度で12時間保持
【0043】
【表1】
【0044】以上の方法で得られた焼成体について、下
記の方法で特性試験を行った。各特性試験で用いた試料
については、各試験項目に示した試料形状となる様に上
記焼成体を湿式で切断し、110℃で3時間乾燥して供
試体とした。尚、各焼成体では、ピッチタールの残留量
はほぼ40重量%である。焼成後の各試料における各成
分の組成比を表2に示す。また、特性試験の結果を下記
表3に示す。
【0045】
【表2】
【0046】試験方法 熱間曲げ:1200℃にて測定(3点曲げ)。試料形
状:20×15×120mm、スパン100mm 熱伝導率:CIP加圧方向で測定。試料形状:50×5
0×50mm 電気比抵抗:CIP加圧方向と垂直方向で測定しその平
均値を算出。試料形状:25×15×120mm 耐熱衝撃性試験:1200℃に加熱してある炉に入れて
急加熱し10分間保持後、炉外に取り出して常温の水中
に投入して急冷し、この急加熱と急冷を5回繰り返し行
なって、試験表面の亀裂の有無により、耐熱衝撃性を評
価。試料形状:50×50×50mm 耐酸化性試験:900℃に加熱された空気雰囲気の炉の
中で100時間保持したのち取り出し、酸化前の重量と
酸化後の重量との差を求め、酸化前サンプル重量に対す
る%を時間当りで算出。また、本サンプルの中心より切
断し脱炭層の有無を肉眼観察して耐酸化性を評価。試料
形状:40×40×40mm 耐浸透性試験:70×70×65mmの試料にφ30m
m×35mmHの穴を開け、その中に、マグネシウム含
有アルミニウム合金(JIS5320、AC7B)を入
れ、非酸化雰囲気で800℃まで昇温して500時間保
持して浸食試験を行い、サンプルを中心より切断して拡
大鏡でアルミニウム合金の浸透深さを計測して、アルミ
ニウム溶湯に対する耐浸透性を評価 耐浸食性試験:(51−80)25×120mmの台形
柱を6個用いて容器状に組み、高周波炉にセットし、B
C−6銅合金を投入し、1300〜1400℃で10時
間保持した後、サンプルを取り出し中央より縦に切断し
金属浸食を受けた部位の最大浸食量(深さ)を測定 耐熱衝撃性試験〜耐浸食性試験の各試験結果について
は、○:良好、△:やや良好、×:不良、の各基準で評
価した結果も併記する。
【0047】
【表3】
【0048】以上の結果から明らかなように、本発明の
坩堝は、鱗状黒鉛の使用量が少なく、低融性ガラスは全
く使用しないか或いは少量だけ使用したものであり、強
度及び熱伝導率が高く、耐熱衝撃性が良好で耐酸化性及
び耐食性に優れたものである。これに対して、鱗状黒鉛
の使用量が多く、酸化防止材として低融性ガラスを多量
に含む従来品は、強度が低く耐酸化性に劣り、又、銅溶
湯に対する耐食性も不十分であった。
【0049】実施例2 表1の本発明品No.3の配合物を使用し、実施例1と
同様の製造方法で外径590mm高さ700mm容量1
14リットルの坩堝を2本製造し、従来品と同様に内外
面にアルミ溶解用の酸化防止用コーティング材を塗布し
焼付けた。
【0050】これらの坩堝の内で、1本は口部、胴部、
及び底部の肉厚を従来品と同等(口部で35mm)と
し、他の1本は肉厚を口部以下25%(口部で28m
m)薄肉とした。更に、表1の比較品2の配合物を使用
して、同様の方法によって、口部肉厚が35mmの坩堝
を製造し、比較テストに供した。
【0051】これらの坩堝を、常法に従ってガスバーナ
ー坩堝炉にセットし、アルミ合金(ADC12)冷材2
00kgを投入し、ガスの燃焼量等は同じ条件下で溶湯
が700℃に達するまでの時間を比較した。
【0052】比較品No.2の配合物を用いた坩堝で
は、700℃に達するまでに265分を要したのに対し
て、本発明品No.3の配合物を用いた坩堝の内で、口
部肉厚35mmのものは230分で700℃に達し、加
熱時間に約13%の改善が認められ、口部肉厚28mm
のものは185分で700℃に達し、加熱時間に約30
%の改善が認められた。これから、本発明の坩堝によ
り、初期溶解で13〜30%の省力化、省エネルギー化
が達成できたことが判る。また、溶解後の保持エネルギ
ーについても同様の改善を得ることができた。
【0053】更に、本発明品No.3の配合物を用いた
坩堝の内で、口部肉厚が35mmの坩堝について、AD
C12アルミニウム保持炉中でアルミニウム合金(AD
C12)溶湯を入れて、680〜710℃で60日間使
用した後、切断し、同様の条件で使用した比較品No.
2の坩堝と比較した。比較品No.2の坩堝は坩堝外表
面から1mm程度の脱炭層がみられたのに対して、本発
明品ではまったく脱炭層はなかった。
【0054】実施例3 表1の本発明品No.3の配合物を使用し、実施例1と
同様の製造方法で外径640mm、高さ1240mm、
容量276リットルの誘導炉用坩堝を製造し、従来品と
同様に内外面に銅合金溶解用の酸化防止用コーティング
材を塗布し焼付けた。この坩堝の肉厚は、口部45m
m、胴部50mmとし、従来品と同程度とした。更に、
表1の比較品3の配合物を使用して、同様の方法によっ
て、同一形状の坩堝を製造し、比較テストに供した。
【0055】BC−6銅合金170kg溶解炉中で12
50〜1300℃で120チャージ使用し、その後、坩
堝を切断して、比較品No.3の坩堝と残存厚さを比較
したところ、比較品No.3の坩堝は残存厚さが15m
m程度であるのに対して、本発明品は、30mm程度残
存しており、耐食性に優れていることが認められた。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鱗状黒鉛原料100重量部、炭化珪素原料
    350〜600重量部、並びに炭化ホウ素微粉原料及び
    ホウ化チタン微粉原料の少なくとも一種と金属珪素微粉
    原料とからなる微粉原料を合計量として50〜100重
    量部含有する耐火材配合物に、ピッチタールを加えて加
    熱混練し、該混練物を高圧下に成形した後、還元焼成す
    ることを特徴とする非鉄溶融金属用黒鉛炭化珪素質坩堝
    の製造方法。
  2. 【請求項2】微粉原料が、微粉原料の合計量を基準とし
    て炭化ホウ素微粉原料及びホウ化チタン微粉原料の少な
    くとも一種10〜30重量%と金属珪素微粉原料70〜
    90重量%とからなるものである請求項1に記載の黒鉛
    炭化珪素質坩堝の製造方法。
  3. 【請求項3】混練物の成形方法が、冷間静水圧成形法に
    よって600kg/cm2以上の圧力で成形する方法で
    ある請求項1又は2に記載の黒鉛炭化珪素質坩堝の製造
    方法。
  4. 【請求項4】鱗状黒鉛を約10〜20重量%含有し、1
    200℃における曲げ強さが140kg/cm2以上、
    熱伝導率が20kcal/mhr℃以上である非鉄溶融
    金属用黒鉛炭化珪素質坩堝。
  5. 【請求項5】請求項1〜3のいずれかの方法で製造され
    たものである請求項4に記載の非鉄溶融金属用黒鉛炭化
    珪素質坩堝。
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