JPH1149502A - 酸化物粉末の製造方法 - Google Patents

酸化物粉末の製造方法

Info

Publication number
JPH1149502A
JPH1149502A JP9220987A JP22098797A JPH1149502A JP H1149502 A JPH1149502 A JP H1149502A JP 9220987 A JP9220987 A JP 9220987A JP 22098797 A JP22098797 A JP 22098797A JP H1149502 A JPH1149502 A JP H1149502A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flame
oxide powder
oxygen
emulsion
gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9220987A
Other languages
English (en)
Inventor
Itsuki Sasaki
厳 佐々木
Kazumasa Takatori
一雅 鷹取
Naoyoshi Watanabe
直義 渡辺
Tatsuo Noritake
達夫 則竹
Jun Sugiyama
純 杉山
Tatsuya Hatanaka
達也 畑中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP9220987A priority Critical patent/JPH1149502A/ja
Publication of JPH1149502A publication Critical patent/JPH1149502A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Oxygen, Ozone, And Oxides In General (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
  • Spray-Type Burners (AREA)
  • Glanulating (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 均質性,結晶性,粒径の均一性に優れ,かつ
粒子形状に優れ,凝集体の少ない酸化物粉末の製造方法
を提供すること。 【解決手段】 酸化物粉末の原料イオンを含有する原料
水溶液を用い,該原料水溶液を可燃性液体中に乳濁させ
てエマルジョン110となし,エマルジョン110を液
滴状に噴霧し,液滴中の可燃性液体を燃焼させて,粒子
状の酸化物粉末を合成する方法。液滴の燃焼時には,反
応用の酸素含有ガス66を供給すると共に,その外周側
から燃焼中の火炎を拡大するための火炎拡大用ガス77
を供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,例えばリチウムマンガン複合酸
化物等の酸化物粉末の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】金属酸化物,金属複合酸化物等の酸化物
は,種々の分野で利用されており,例えば最近注目され
ているリチウム2次電池の正極材料としても用いられて
いる。従来のリチウム2次電池用正極材料としては,規
則配列層状岩塩構造のLiCoO2 が用いられてきた。
しかし,このものは,資源量,価格の点から,その地位
をスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物(LiM
2 4 )に置き換わられつつある。
【0003】このLiMn2 4 はLiCoO2 に比ベ
てリチウムの拡散速度が遅い,導電率が低い,という欠
点を持っている。そのため,高電流密度で充放電を行っ
た場合,大きな放電容量を得にくく容量劣化も大きい。
この欠点を解決するための方法として,粒径を小さくす
る,あるいは比表面積を大きくする等の改良が試みられ
ている。
【0004】ところで,上記LiMn2 4 等の酸化物
粒子を固相反応によって製造する場合には,通常の固相
反応法では試料の均質性,結晶性を高めるために,高
温,長時間での熱処理が必要である。しかし,そのため
に粒子が,粒成長し比表面積が低いものしか得られな
い。また,この固相反応法によれば,得られる酸化物粒
子が互いに集まって凝集体を形成しやすいという問題も
発生する。
【0005】このような均質性,結晶性の低下,凝集体
の形成は,例えばリチウムマンガン複合酸化物の場合に
はリチウム2次電池における放電容量の低下につなが
る。そのため,均質性,結晶性を落とすことなく,粒径
を小さくする,あるいは比表面積を大きくし,かつ凝集
体の形成を抑制することが望まれている。
【0006】かかる見地から,リチウムマンガン複合酸
化物,その他の酸化物の製造方法として,例えば特開平
7−81905号公報に示されているごとく,噴霧燃焼
合成法を用いることが提案されている。即ち,酸化物粉
末の原料物質を含有する水溶液を可燃性液体中に乳濁さ
せたエマルジョンとし,これを噴霧して熱分解させる方
法が提案されている。この方法によれば,固相反応法の
場合よりも,均質性,結晶性に優れ,凝集体の少ない酸
化物粉末を製造することができる。
【0007】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の酸
化物粉末の製造方法においては次の問題がある。即ち,
上記従来の噴霧燃焼合成法により得られた酸化物粉末
は,必ずしも形状が整うとは限らず,中空状粒子,破裂
した形状の粒子,パフ状粒子等のいびつな形状の粒子が
多く含まれることがある。
【0008】これらのいびつな粒子は,圧粉体,焼結体
等を作製する場合に,その充填率(嵩密度)を低下させ
てしまう。この充填率の低下は,例えばリチウムマンガ
ン複合酸化物の場合には,これを正極材料として電極に
作製したとき,その充填性が低く,電極として密度が上
がらないという問題も発生させる。しかし,従来の技術
では,(1)均質性,結晶性を落とさず,(2)粒径を
小さく,あるいは比表面積を大きくし,(3)粒子形状
が球形で,いびつな凝集粒子がない,という要件をすべ
て満たす粒子を得ることはできなかった。
【0009】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,均質性,結晶性,粒径の均一性に優れ,
かつ粒子形状に優れ,凝集体の少ない酸化物粉末の製造
方法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,酸化物粉末の原
料イオンを含有する原料水溶液を用い,該原料水溶液を
可燃性液体中に乳濁させてエマルジョンとなし,該エマ
ルジョンを液滴状に噴霧し,該液滴中の可燃性液体を燃
焼させて,粒子状の酸化物粉末を合成する方法であっ
て,上記液滴の燃焼時には,反応用の酸素含有ガスを供
給すると共に,その外周側から燃焼中の火炎を拡大する
ための火炎拡大用ガスを供給することを特徴とする酸化
物粉末の製造方法にある。
【0011】本発明において最も注目すべきことは,上
記酸素含有ガスの供給とは別に,燃焼中の火炎を拡大す
るための火炎拡大用ガスを供給することである。該火炎
拡大用ガスは,上記酸化物粉末を合成するための反応に
直接用いられるものではなく,上記火炎に強制的に供給
することにより火炎を略均一な分布状態に拡大させるた
めのものである。
【0012】また,火炎拡大用ガスとしては,酸化物粉
末の合成反応を阻害しない成分のガスを用いる。例え
ば,空気,窒素ガス等である。また,上記酸素含有ガス
は,上記液滴の燃焼,即ち酸化物粉末の合成反応に直接
寄与する酸素(O2 )を含有するガスである。具体的に
は,酸素ガス,空気等がある。
【0013】また,上記火炎拡大用ガスの供給量は,上
記酸素含有ガスの供給量の0.5〜10倍とすることが
好ましい。0.5倍未満の場合には,火炎拡大の効果が
ないという問題があり,一方,10倍を超える場合に
は,燃焼が不安定になるという問題がある。また,上記
原料水溶液としては,酸化物粉末の原料イオン,即ち,
得ようとする酸化物粉末の原料元素をイオン状態で含む
ものである。例えばリチウムマンガン複合酸化物粉末を
製造する場合には,上記原料水溶液にはリチウムイオン
とマンガンイオンとを含有させる。
【0014】また,上記原料水溶液は,可燃性液体中に
乳濁させてエマルジョンとなす。このとき用いる可燃性
液体としては,ケロシン,軽油,重油,ガソリンなど
を,またエマルジョン形成用の乳化剤としては金属イオ
ンを含まないもの,特にノニオン系界面活性剤が望まし
く,グリセリン脂肪酸エステルなどを用いる。
【0015】また,上記エマルジョンの噴霧燃焼合成時
における反応塔内の,エマルジョンの燃焼火炎温度は合
成する酸化物粉末の種類に応じて設定する。例えば,リ
チウムマンガン複合酸化物を合成する場合には,600
〜950℃とすることが好ましい。600℃未満では燃
焼の安定性に問題がある。一方,950℃を超えるとL
iMn2 4 が分解してしまうという問題がある。
【0016】次に,本発明の作用につき説明する。本製
造方法においては,まず,上記原料水溶液を可燃性液体
中に略均一に乳濁させたエマルジョンを液滴状に噴霧す
る。噴霧された液滴は,原料水溶液を可燃性液体が包み
込んだ状態で飛散し,その外層部の可燃性液体が酸素含
有ガスと共に燃焼する。これにより,各液滴の可燃性液
体中に包まれている原料水溶液は,個々に,脱溶媒,熱
分解,結晶成長のプロセスを進行させて酸化物粉末を合
成する。
【0017】合成される酸化物粉末の形状は,このとき
の反応温度,即ち上記燃焼の温度に大きく左右される。
具体的には,必要以上に急激な温度上昇が起こった場合
には,中心部が未反応で外周部のみが合成された中空状
の粒子や,その内部が膨張破裂した形状の粒子などの,
いびつな形状の粒子が発生しやすくなる。
【0018】一方,本発明においては,燃焼中の火炎に
上記火炎拡大用ガスを供給する。これにより,従来なら
ば液滴の噴霧範囲内において液滴の空間濃度分布に従っ
た形状の火炎は,液滴の噴霧範囲を超えて大きく略均一
に広がる。また,これにより,火炎の燃焼温度のばらつ
きや必要以上の昇温は抑制され,燃焼温度の均一化が図
られる。そのため,火炎内において反応を進めて合成さ
れる各粒子は,中空化しにくく,中まで詰まった球形状
となる。また,本発明は噴霧燃焼合成法であるので,従
来より得られる噴霧燃焼合成法による効果,即ち,組成
や粒径の均一性も同時に得ることができる。
【0019】このように,本発明においては,上記火炎
拡大用ガスを供給して火炎を拡大させることにより,従
来の噴霧燃焼合成法の利点を生かしつつ,さらに優れた
形状を有する質の高い酸化物粉末を得ることができる。
したがって,本発明によれば,均質性,結晶性,粒径の
均一性に優れ,かつ粒子形状に優れ,凝集体の少ない酸
化物粉末の製造方法を提供することができる。
【0020】次に,上記優れた製造方法を実施する装置
について説明する。即ち,酸化物粉末の原料イオンを含
有する原料水溶液を用い,該原料水溶液を可燃性液体中
に乳濁させてエマルジョンとなし,該エマルジョンを液
滴状に噴霧し,該液滴中の可燃性液体を燃焼させて,粒
子状の酸化物粉末を合成するための装置であって,上記
液滴を燃焼させるための燃焼反応塔と,該燃焼反応塔内
に上記エマルジョンを供給するノズルと,該ノズルの周
囲に設けられ酸素含有ガスを供給し,かつエマルジョン
を液滴状に噴霧させるための酸素含有ガス供給口と,該
酸素含有ガス供給口よりも外周側に設けられ燃焼中の火
炎を拡大するための火炎拡大用ガスを供給する拡大化ガ
ス供給口とを有していることを特徴とする酸化物粉末の
製造装置がある。
【0021】本装置において最も注目すべきことは,上
記酸素含有ガス供給口よりも外周側には,燃焼中の火炎
を拡大するための火炎拡大用ガスを供給する拡大化ガス
供給口を設けてあることである。
【0022】上記拡大化ガス供給口は,上記酸素含有ガ
ス供給口の外周側に設ける。つまり,上記ノズルの周囲
にはこれを囲むように酸素含有ガス供給口を設け,さら
にその外周側に,これらを囲むように拡大化ガス供給口
を設ける。また,この拡大化ガス供給口は上記ノズルを
中心とした円周上に整然と配置することが好ましい。こ
れにより,火炎に向けて均一に火炎拡大用ガスを噴出す
ることができ,より均一に火炎を拡大させることができ
る。
【0023】次に,本製造装置の作用につき説明する。
本製造装置においては,上記ノズルの周囲に上記酸素含
有ガス供給口を設けている。そのため,上記ノズルから
供給されたエマルジョンは,上記酸素含有ガス供給口か
ら供給される酸素含有ガスによって,液滴状に噴霧さ
れ,かつ燃焼に必要な酸素と接触しながら広がり,燃焼
して火炎を発生させる。
【0024】ここで,本製造装置においては,上記酸素
含有ガス供給口の外周側に上記拡大化ガス供給口を設け
ている。そのため,該拡大化ガス供給口から火炎拡大用
ガスを噴出することにより,容易に上記火炎を略均一に
拡大させることができる。即ち,上記拡大化ガス供給口
から供給される火炎拡大用ガスは,上記火炎の進行方向
に沿って火炎に衝突する。そのため,火炎は,大きな乱
流を引き起こすことなく,火炎の進行方向及び外周方向
へスムーズに拡大する。
【0025】これにより,上記火炎は,上記液滴の噴霧
範囲におさまることなく,広域な範囲まで略均一に広が
る。それ故,燃焼温度のばらつきや必要以上の昇温は抑
制され,火炎の燃焼温度の均一化が図られる。そして,
酸化物粉末の合成反応は,均一な温度条件の下に進めら
れ,上記のごとく優れた形状等を有する酸化物粉末を,
容易に製造することができる。
【0026】このように,本製造装置を用いることによ
り,上記優れた製造方法を容易かつ確実に実施すること
ができる。したがって,本発明によれば,均質性,結晶
性,粒径の均一性に優れ,かつ粒子形状に優れ,凝集体
の少ない酸化物粉末の製造装置を提供することができ
る。
【0027】
【発明の実施の形態】
実施形態例1 本発明の酸化物粉末の製造方法及び製造装置にかかる実
施形態例につき,図1〜図4を用いて説明する。本例の
酸化物粉末の製造装置100は,図1に示すごとく,液
滴を燃焼させるための燃焼反応塔4と,燃焼反応塔4内
にエマルジョンを供給するノズル2とを有している。ま
た,図1,図2に示すごとく,ノズル2の周囲には,酸
素含有ガス66を供給するための酸素含有ガス供給口6
を設けてあり,さらに酸素含有ガス供給口6よりも外周
側には燃焼中の火炎を拡大するための火炎拡大用ガス7
7を供給する拡大化ガス供給口7を設けてある。
【0028】上記酸素含有ガス供給口6は,図1に示す
ごとく,酸素含有ガス供給源60に連結されており,ノ
ズル2と同期して酸素含有ガスを噴出するよう構成され
ている。また,酸素含有ガス供給口6は,図2に示すご
とく,開口部はドーナツ状の形状を有しているが,その
内部にスパイラル状のフィンを設けてあり(図示略),
酸素含有ガスを螺旋状に噴出されるよう構成してある。
【0029】上記拡大化ガス供給口7は,図1,図2に
示すごとく,ノズル2の噴霧口20を中心とした円上に
複数設けてある。また,拡大化ガス供給口7は,空気供
給源70に連結されており,空気を噴出するよう構成さ
れている。また,本例における火炎拡大用ガス77は上
記構成からも知られるように空気であり,約20%の酸
素を含有している。また,酸素含有ガス66と火炎拡大
用ガス77との供給量は,いずれも図示しない流量調整
機構により任意に調整できるようにしてある。本例にお
いては,後述するごとく,火炎拡大用ガスの供給量を酸
素含有ガスの供給量の5倍に調整した。
【0030】また,上記ノズル2には,エマルジョン1
10を入れた混合タンク11に定量ポンプ1を介して接
続してある。定量ポンプ1はエマルジョン110をノズ
ル2に供給するためのものである。また,上記燃焼反応
塔4内には,着火のためのパイロットバーナ3を配設し
てある。また,燃焼反応塔4の下部には,合成された酸
化物粉末を回収するための捕集器5を配設してある。
【0031】次に,上記構成の製造装置100を用い,
次のような手順でLi1.03Mn1.974 の組成よりなる
リチウムマンガン複合酸化物粉末を製造した。まず,リ
チウムイオン源としての硝酸リチウム(LiNO3
と,マンガンイオン源としての硝酸マンガン6水和物
(Mn(NO3 2 ・6H2 O)をモル比でLi:Mn
が1.03:1.97の割合になるように溶かした水溶
液を,マンガンイオン濃度で1.97モル/リットルに
なるように調整し,原料水溶液とした。
【0032】次いで,この原料水溶液を,乳化剤として
のグリセリン脂肪酸エステルを溶かした,可燃性液体と
してのケロシン中に懸濁させて,混合タンク11中にお
いてエマルジョン110を作製した。
【0033】次いで,このエマルジョン110を,定量
ポンプ1でノズル2の噴霧口20から供給すると共に,
その周囲の酸素含有ガス供給口6から酸素含有ガス66
を螺旋状に吹き付ける。これによりエマルジョン110
は,図1に示すごとく,液滴状に広がり,パイロットバ
ーナ3からの着火によって噴霧範囲81の領域で燃焼
し,火炎を発生させる。
【0034】次いで,上記火炎発生直後に,拡大化ガス
供給口7からの火炎拡大用ガス77の供給を開始した。
本例においては,火炎拡大用ガス77の供給量を酸素含
有ガス66の供給量の5倍である93.2リットル/分
(標準換算)に設定した。これにより,エマルジョン1
10の噴霧範囲81の領域内に存在していた火炎は,火
炎拡大領域82の範囲まで拡大された。なお,火炎の温
度は約900℃であった。そして,この拡大された火炎
内における燃焼反応によって合成された酸化物粉末は,
捕集器5において回収した。これを試料E1とする。
【0035】次に,上記手順により得られた酸化物粉末
(試料E1)の特性を評価した。評価を明確とするた
め,比較試料として,従来の噴霧燃焼合成法及び固相反
応法によりそれぞれ上記と同じ組成のリチウムマンガン
複合酸化物粉末(試料C1,C2)を製造した。
【0036】(試料C1の製造)試料C1は,火炎拡大
用ガス77の供給をやめたこと以外は上記試料E1の製
造方法と同様の方法により製造した。したがって,この
場合の火炎の燃焼範囲は,図1における噴霧範囲81内
において行われた。そしてこの燃焼反応により合成され
た酸化物粉末を試料C1とした。
【0037】(試料C2の製造)試料C2は,従来の固
相反応法により製造した。原料として炭酸リチウム(L
i2 CO3 ),二酸化マンガン(MnO2 )の粒子を用
い,モル比でLi:Mnが1.03:1.97になるよ
うに混合した。混合は,エタノールを溶媒として,遊星
ボールミルで行った。この混合粒子を乾燥後,ペレット
状にプレス成形して800℃,8時間,酸素中で熱処理
した。このペレットを充分に粉砕して,上記と同じ組成
のLi1.03Mn1.974 のリチウムマンガン複合酸化物
の粒子を得た。これを試料C2とした。
【0038】次に,本例においては,上記3つの試料E
1,C1,C2の粒子形状について,SEM観察を行い
評価した。また,合成粒子の充填性を定量的に評価する
ため,試料10g,ダイス内径φ30mm,加圧1to
nの条件で,加圧嵩密度を測定した。
【0039】上記SEM観察の結果を図3,図4に示
す。図3は本発明の例による試料E1のSEM写真であ
る。また,図4は従来の比較例による試料C1のSEM
写真である。いずれも5000倍の写真である。これら
の図から知られるように,試料E1の粒子は,非常に均
一な粒径であり,その形状も真球形に近く,破裂粒子等
のいびつな形状の粒子はあまり見られない。なお,平均
的な粒径は約1μmであった。
【0040】これに対し,試料C1は粒径は試料E1と
ほぼ同等であるが,その形状が非常にばらついており,
破裂粒子等のいびつな形状の粒子が多数見られた。この
ことから,上記火炎拡大用ガス77の供給により火炎を
拡大することにより,粒子形状の大幅な改善を図ること
ができるということが分かる。なお,試料C2の粒子に
ついてはSEM写真を示していないが,これは従来より
知られているように,試料E1,C1に比べて大きい,
約5μmの粒径を有するものである。
【0041】次に,上記加圧嵩密度の測定結果を表1に
示す。表1より知られるごとく,試料E1が最も高い嵩
密度を示し,粒子形状の改善が直接的に嵩密度の向上に
寄与していることが分かる。また,試料C1の嵩密度が
低いのは,中空粒子等のいびつな形状の粒子が多いため
と考えられる。
【0042】
【表1】
【0043】実施形態例2 本例においては,実施形態例1において製造した3つの
試料(E1,C1,C2)を正極材料として用いてそれ
ぞれリチウム2次電池を組み立て,その特性を評価し
た。
【0044】まず,上記リチウム2次電池の構成につき
説明する。上記リチウム2次電池の正極を作るに当って
は,まず上記試料E1,C1,C2のリチウムマンガン
複合酸化物粉末を85wt%,導電剤であるカーボンを
7wt%,結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVd
F)を8wt%用い,これらを溶剤であるN−メチル・
2・ピロリドン(NMP)と湿式混合して正極合剤ペー
ストとした。次に,この正極合剤ペーストを,0.2m
mの厚さでアルミ箔に塗布し,乾燥後2.7ton/c
2 で加圧して正極を作製した。
【0045】一方,負極には厚さ0.4mmの金属Li
箔を1枚用いた。上記正極と負極との間には,セパレー
ターとしてポリプロピレン不織布を介設した。さらに,
上記リチウム2次電池における電解液は,1規定のLi
PF6 溶液を用いた。この電解液の溶媒はエチレンカー
ボネートとジエチルカーボネートの1:1混合液であ
る。
【0046】次に,上記リチウム2次電池の特性の評価
は,サイクル特性と高放電容量性とを同時に評価するた
め次のように充放電試験を行った。まず,各リチウム2
次電池の充電条件は,4.3Vになるまで1mA/cm
2の定電流により充電し,その後電圧が4.3Vに到達
した後は,この電圧で定電圧充電を行うという条件とし
た。なお以上の充電時間の合計は4時間とした。
【0047】また,各リチウム2次電池の放電条件は,
定電流放電を行い,3.5Vに到達したとき放電を終了
した。そして,定電流放電の放電電流密度は3サイクル
毎に変えた。具体的には,1〜3サイクルは0.5mA
/cm2 ,4〜6サイクルは1mA/cm2 ,7〜9サ
イクルは2mA/cm2 ,10〜12サイクルは4mA
/cm2 ,13〜15サイクルは再び0.5mA/cm
2 とした。
【0048】上記の充放電試験結果を図5に示す。同図
は,横軸に充放電サイクル数を,縦軸には活物質放電容
量(mAh/g)をとった。また,プロットした各デー
タの上には,各放電電流密度を示した。同図より,1〜
3サイクルのデータ群から10〜12サイクルのデータ
群までを比較することにより,各リチウム2次電池の高
放電容量性を評価することができる。また,1〜3サイ
クルのデータ群と13〜15サイクルのデータ群とを比
較することにより,サイクル特性(耐久性)を評価する
ことができる。
【0049】その結果,本発明及び従来の噴霧燃焼合成
法による試料E1,C1は,いずれも固相反応法の試料
C2よりも優れた高放電容量性及びサイクル特性を示し
た。また,4mA/cm2 における高放電容量性につい
ては,本発明の試料E1が試料C1よりも格段に優れた
性能を示した。
【0050】試料E1,C1が固相反応法による試料C
2よりも優れた性能を発揮した理由は,リチウムマンガ
ン複合酸化物粒子の均質性が良い,粒径が小さい,比表
面積が大きいという特性によると考えられる。また,本
発明の例である試料E1が試料C1よりもすぐれた電極
性能を発揮した理由は,いびつな形状の粒子が減少して
真球形に近い形状の粒子が増加し,上記のごとく嵩密度
を向上させることができたためであると考えられる。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば,均質性,結晶性,粒径
の均一性に優れ,かつ粒子形状に優れ,凝集体の少ない
酸化物粉末を製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,噴霧燃焼合成装置の概
要説明図。
【図2】図1のA−A線矢視断面図。
【図3】実施形態例1における,試料E1の粒子形状を
示す図面代用のSEM写真(倍率5000倍)。
【図4】実施形態例1における,試料C1の粒子形状を
示す図面代用のSEM写真(倍率5000倍)。
【図5】実施形態例2における,リチウム二次電池の充
放電試験結果を示す説明図。
【符号の説明】
1...定量ポンプ, 11...混合タンク, 110...エマルジョン, 2...ノズル, 3...パイロットバーナ, 4...燃焼反応塔, 5...補集器, 6...酸素含有ガス供給口, 66...酸素含有ガス, 7...拡大化ガス供給口, 77...火炎拡大用ガス, 81...噴霧範囲, 82...火炎拡大領域,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01M 4/02 H01M 4/02 C 4/58 4/58 (72)発明者 渡辺 直義 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 則竹 達夫 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 杉山 純 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 畑中 達也 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物粉末の原料イオンを含有する原料
    水溶液を用い,該原料水溶液を可燃性液体中に乳濁させ
    てエマルジョンとなし,該エマルジョンを液滴状に噴霧
    し,該液滴中の可燃性液体を燃焼させて,粒子状の酸化
    物粉末を合成する方法であって,上記液滴の燃焼時に
    は,反応用の酸素含有ガスを供給すると共に,その外周
    側から燃焼中の火炎を拡大するための火炎拡大用ガスを
    供給することを特徴とする酸化物粉末の製造方法。
JP9220987A 1997-08-01 1997-08-01 酸化物粉末の製造方法 Pending JPH1149502A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9220987A JPH1149502A (ja) 1997-08-01 1997-08-01 酸化物粉末の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9220987A JPH1149502A (ja) 1997-08-01 1997-08-01 酸化物粉末の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1149502A true JPH1149502A (ja) 1999-02-23

Family

ID=16759703

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9220987A Pending JPH1149502A (ja) 1997-08-01 1997-08-01 酸化物粉末の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1149502A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11349303A (ja) * 1998-06-05 1999-12-21 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 粉体合成装置
JP2007084355A (ja) * 2005-09-20 2007-04-05 Chugai Ro Co Ltd 粉体製造装置
JP2012505075A (ja) * 2008-10-13 2012-03-01 イノブナノ−マテリアイス アバンサドス,ソシエダッド アノニマ ナノ粒子層で被覆されたセラミック粉末及びその調製方法
KR20180022845A (ko) * 2015-06-29 2018-03-06 에보니크 데구사 게엠베하 화염 분무 열분해에 의한 금속 산화물 분말의 제조 방법
WO2018061714A1 (ja) * 2016-09-29 2018-04-05 住友金属鉱山株式会社 反応容器、及びその反応容器を用いた金属原料の浸出処理方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11349303A (ja) * 1998-06-05 1999-12-21 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 粉体合成装置
JP2007084355A (ja) * 2005-09-20 2007-04-05 Chugai Ro Co Ltd 粉体製造装置
JP4555199B2 (ja) * 2005-09-20 2010-09-29 中外炉工業株式会社 粉体製造装置
JP2012505075A (ja) * 2008-10-13 2012-03-01 イノブナノ−マテリアイス アバンサドス,ソシエダッド アノニマ ナノ粒子層で被覆されたセラミック粉末及びその調製方法
KR20180022845A (ko) * 2015-06-29 2018-03-06 에보니크 데구사 게엠베하 화염 분무 열분해에 의한 금속 산화물 분말의 제조 방법
JP2018526309A (ja) * 2015-06-29 2018-09-13 エボニック デグサ ゲーエムベーハーEvonik Degussa GmbH 火炎溶射熱分解を用いて金属酸化物粉末を製造する方法
WO2018061714A1 (ja) * 2016-09-29 2018-04-05 住友金属鉱山株式会社 反応容器、及びその反応容器を用いた金属原料の浸出処理方法
JP2018053321A (ja) * 2016-09-29 2018-04-05 住友金属鉱山株式会社 反応容器、及びその反応容器を用いた金属原料の浸出処理方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7094248B2 (ja) リチウム二次電池用ニッケル系活物質前駆体、その製造方法、そこから形成されたリチウム二次電池用ニッケル系活物質、及びそれを含む正極を含んだリチウム二次電池
KR100653170B1 (ko) 정극활물질, 그 제조방법 및 2차전지
JP6932168B2 (ja) リチウム二次電池用ニッケル系活物質前駆体、その製造方法、そこから形成されたリチウム二次電池用ニッケル系活物質、及びそれを含む正極を含んだリチウム二次電池
CN103534846B (zh) 锂离子电池用正极活性物质及其制造方法
JP5888418B2 (ja) 負極活物質、負極活物質の製造方法、負極および二次電池
JP6424984B2 (ja) リチウムイオン二次電池用正極活物質及びそれを使用したリチウムイオン二次電池
JP2005347134A (ja) リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法
JP2010086693A (ja) リチウム二次電池用正極材料及びそれを用いたリチウム二次電池
JP4735617B2 (ja) リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法
KR20110044936A (ko) 리튬 이온 전지용 리튬 망간 복합 산화물의 제조 방법, 그 제조 방법에 의하여 제조된 리튬 이온 전지용 리튬 망간 복합 산화물, 및 이를 포함하는 리튬 이온 이차 전지
JPH09320603A (ja) リチウム二次電池用粉末状活物質の製造方法
JP2003173777A (ja) 非水系リチウム二次電池用正極活物質と導電助材の複合方法およびその複合材料、それを用いた正極および非水系リチウム二次電池
JP4868271B2 (ja) 非水系リチウム二次電池用正極活物質の製造方法およびこの活物質を用いた正極、並びに非水系リチウム二次電池
JP4329434B2 (ja) リチウム二次電池用正極及びそれを用いたリチウム二次電池
JP4144317B2 (ja) リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法
JP4032624B2 (ja) リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法
TWI460906B (zh) Production method of positive electrode active material for lithium ion battery
JP2001015108A (ja) リチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法、並びにリチウム二次電池
JP5087789B2 (ja) 板状リチウムニッケル複合酸化物の製造方法及びそれを用いた板状リチウムニッケル複合酸化物
JPH11121006A (ja) リチウム二次電池用正極活物質
JPH1149502A (ja) 酸化物粉末の製造方法
JP2005038629A (ja) リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びそれを用いたリチウム二次電池
JP4032784B2 (ja) リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法
JPH0950811A (ja) リチウム電池活物質の製造方法
JPH1192119A (ja) 酸化物粉末