JPH1148951A - 制動液圧制御装置 - Google Patents

制動液圧制御装置

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Publication number
JPH1148951A
JPH1148951A JP9215015A JP21501597A JPH1148951A JP H1148951 A JPH1148951 A JP H1148951A JP 9215015 A JP9215015 A JP 9215015A JP 21501597 A JP21501597 A JP 21501597A JP H1148951 A JPH1148951 A JP H1148951A
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JP
Japan
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brake operation
brake
max
driver
fluid pressure
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Application number
JP9215015A
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English (en)
Inventor
Kazuhiko Kubota
和彦 窪田
Yoshikazu Hashimoto
欣和 橋本
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は緊急ブレーキ操作が実行された際に
大きな制動液圧を発生させる装置に関し、個々の運転者
のブレーキ操作の特性に応じて制御開始しきい値を変更
することを目的とする。 【解決手段】 緊急ブレーキ操作が検出されたらMC弁
28を閉弁状態とし、吸入弁78を開弁状態とし、か
つ、ポンプ76をオン状態としてブレーキアシスト制御
(BA制御)を開始する。通常のブレーキ操作中に車輪
速に生ずる減速傾向を学習する。その学習の結果に基づ
いて制御開始しきい値を決定する。制御開始しきい値と
ブレーキ操作の状態量とを比較することで緊急ブレーキ
操作を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制動液圧制御装置
に係り、特に、運転者によって緊急ブレーキ操作が実行
された際に、通常時に比して大きな制動液圧を発生させ
る制動液圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平7−15687
6号に開示される如く、運転者によって緊急ブレーキ操
作が実行された際に、通常時に比して大きな制動液圧を
発生させる装置が知られている。運転者は、制動力を速
やかに立ち上げることを意図する場合に緊急ブレーキ操
作を実行する。上記従来の装置によれば、運転者が緊急
ブレーキ操作が実行した際に、運転者の要求に応じて制
動力を速やかに立ち上げることができる。
【0003】運転者は、制動力を速やかに立ち上げるこ
とを意図する場合は、ブレーキペダルを高速で操作す
る。従って、ブレーキペダルが高速で操作される場合
は、運転者が、制動力の速やかな立ち上がりを要求して
いると判断できる。上記従来の装置は、ブレーキペダル
の操作速度が所定のしきい値を超える場合に運転者によ
って緊急ブレーキ操作が実行されたと判断する。かかる
手法によれば、運転者による緊急ブレーキ操作を正確に
検出することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、運転者が緊急
ブレーキ操作を意図する際に発生するブレーキ操作量お
よびブレーキ操作速度には個人差が存在する。すなわ
ち、通常のブレーキ操作において比較的急激に、かつ、
大きくブレーキペダルを踏み込む運転者は、緊急ブレー
キ操作を意図する場合には、十分に大きなブレーキ操作
量およびブレーキ操作速度を発生する。一方、通常のブ
レーキ操作において比較的緩やかに、かつ、小さくブレ
ーキペダルを踏み込む運転者は、緊急ブレーキ操作を意
図する場合にも、さほど大きなブレーキ操作量およびブ
レーキ操作速度を発生しない。
【0005】従って、緊急ブレーキ操作を正確に検出す
るためには、通常のブレーキ操作と緊急ブレーキ操作と
を区別するためのしきい値に、個々の運転者のブレーキ
操作の特性を反映させることが適切である。かかる機能
を実現するためには、個々の運転者のブレーキ操作の特
性を、正確に把握することが必要である。個々の運転者
のブレーキ操作の特性は、例えば、通常のブレーキ操作
に伴って発生するブレーキ操作量およびブレーキ操作速
度の分布を学習し、頻繁に発生するブレーキ操作量およ
びブレーキ操作速度を検出することで把握できる。
【0006】すなわち、上記の処理により、比較的大き
なブレーキ操作量および比較的高速のブレーキ操作速度
が頻繁に生じていると認識される場合は、その運転者が
大きくブレーキ操作を行う特性を有していると判断でき
る。一方、上記の処理により、比較的小さなブレーキ操
作量および比較的低速のブレーキ操作速度が生じている
と認識される場合は、その運転者が小さくブレーキ操作
を行う特性を有していると判断できる。
【0007】しかしながら、ブレーキ操作量と制動力と
の関係は経時的に変化する。そして、上記の関係が変化
すると、運転者は、所望の制動力が得られるように上記
の変化を相殺し得るブレーキ操作を行う。従って、ブレ
ーキ操作量およびブレーキ操作速度には、個々の運転者
のブレーキ操作の特性が反映される他、個々の装置の個
体差および経時変化が反映される。このため、個々の運
転者のブレーキ操作の特性は、上述した手法、すなわ
ち、頻繁に発生するブレーキ操作量およびブレーキ操作
速度を検出する手法によっては、正確に把握することが
できない。
【0008】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、通常のブレーキ操作と緊急ブレーキ操作とを区
別するためのしきい値に、個々の運転者のブレーキ操作
の特性を正確に反映させることのできる制動液圧制御装
置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、運転者によって緊急ブレーキ操作が実
行された際に、通常時に比して高圧の制動液圧を発生す
る制動液圧制御装置において、ブレーキ操作の状態量と
制御開始しきい値とを比較することにより緊急ブレーキ
操作を検出する緊急ブレーキ操作検出手段と、ブレーキ
操作に伴って車輪速に生ずる変化傾向を学習する車輪速
変化学習手段と、前記車輪速変化学習手段の学習結果に
基づいて前記制御開始しきい値を決定するしきい値決定
手段と、を備える制動液圧制御装置により達成される。
【0010】本発明において、制御開始しきい値を超え
る状態量を伴うブレーキ操作は、緊急ブレーキ操作と判
断される。制御開始しきい値は、ブレーキ操作に伴って
車輪速に生ずる変化の傾向に基づいて決定される。運転
者は、通常のブレーキ操作において、所望の制動力が得
られるように、すなわち、車輪速に所望の変化が生ずる
ようにブレーキ操作を行う。従って、ブレーキ操作に伴
って車輪速に生ずる変化傾向には、通常のブレーキ操作
における運転者のブレーキ操作の特性が正確に反映され
る。
【0011】本発明において、制御開始しきい値は、上
記の変化傾向に基づいて決定される。この場合、制御開
始しきい値には、運転者のブレーキ操作の特性が正確に
反映される。制御開始しきい値が上記の如く決定される
と、運転者の個人差に関わらず、通常のブレーキ操作と
緊急ブレーキ操作とが正確に区別される。上記の目的
は、請求項2に記載する如く、上記請求項1記載の制動
液圧制御装置において、前記車輪速変化学習手段が、ブ
レーキ操作中に車輪に生ずる最大減速度の傾向を学習す
る最大減速度傾向学習手段を備えると共に、前記しきい
値決定手段が、前記最大減速度傾向学習手段の学習結果
に基づいて前記制御開始しきい値を決定する制動液圧制
御装置により達成される。
【0012】本発明において、制御開始しきい値は、ブ
レーキ操作中に生ずる最大減速度の傾向に基づいて決定
される。ブレーキ操作中に生ずる最大減速度には、運転
者のブレーキ操作の特性が顕著に現れる。このため、上
記の手法によれば、個々の運転者のブレーキ操作の特性
が、制御開始しきい値に正確に反映される。また、上記
の目的は、請求項3に記載する如く、請求項2記載の制
動液圧制御装置において、前記車輪速変化学習手段が、
ブレーキ操作中に車輪に生ずる最大減速度勾配の傾向を
学習する最大勾配傾向学習手段を備えると共に、前記し
きい値決定手段が、前記最大減速度傾向学習手段の学習
結果、および、前記最大勾配傾向学習手段の学習結果に
基づいて前記制御開始しきい値を決定する制動液圧制御
装置によっても達成される。
【0013】本発明において、制御開始しきい値は、ブ
レーキ操作中に生ずる最大減速度の傾向、および、ブレ
ーキ操作中に生ずる最大減速度勾配に基づいて決定され
る。ブレーキ操作中に生ずる最大減速度勾配には、その
際に生ずる最大減速度と同様に、運転者のブレーキ操作
の特性が顕著に現れる。このため、上記の手法によれ
ば、個々の運転者のブレーキ操作の特性が、制御開始し
きい値に正確に反映される。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である
制動液圧制御装置の一部のシステム構成図を示す。本実
施例の制動液圧制御装置は、右前輪FRおよび左後輪R
Lを含む第1系統と、左前輪FLおよび右後輪RRを含
む第2系統とを備えている。これら2つの系統は、構成
において実質的に同一である。このため、以下の記載に
おいては、第1系統の構成および動作のみを説明する。
【0015】本実施例の制動液圧制御装置は、ダイアゴ
ナル配管(X配管)の制動液圧制御装置である。制動液
圧制御装置は、電子制御ユニット10(以下、ECU1
0と称す)により制御される。制動液圧制御装置は、ブ
レーキペダル12を備えている。ブレーキペダル12の
近傍には、ブレーキスイッチ14が配設されている。ブ
レーキスイッチ14は、ブレーキペダル12が踏み込ま
れることによりオン信号を出力する。ECU10は、ブ
レーキスイッチ14の出力信号に基づいてブレーキペダ
ル12が踏み込まれているか否かを判別する。
【0016】ブレーキペダル12は、バキュームブース
タ16に連結されている。バキュームブースタ16は、
ブレーキペダル12が踏み込まれた場合に、ブレーキ踏
力Fに対して所定の倍力比を有するアシスト力Faを発
生する。バキュームブースタ16には、マスタシリンダ
18が固定されている。マスタシリンダ18の内部には
第1液圧室および第2液圧室が形成されている。これら
の液圧室には、共にブレーキ踏力Fとアシスト力Faと
の合力に応じたマスタシリンダ圧PM/C が発生する。
【0017】マスタシリンダ18の上部にはリザーバタ
ンク20が配設されている。マスタシリンダ18とリザ
ーバタンク20とは、ブレーキペダル12の踏み込みが
解除されている場合にのみ導通状態となる。マスタシリ
ンダ18の第1液圧室および第2液圧室には、それぞれ
第1液圧通路22、および、第2液圧通路24が連通し
ている。第1液圧通路22は、第1系統の液圧回路に連
通している。一方、第2液圧通路22は、第2系統の液
圧回路(図示せず)に連通している。
【0018】第1液圧通路22には、液圧センサ26が
配設されている。液圧センサ26は、第1液圧通路22
の内圧、すなわち、マスタシリンダ18が発生するマス
タシリンダ圧PM/C に応じた電気信号pMCを出力す
る。液圧センサ26の出力信号pMCはECU10に供
給されている。ECU10は、出力信号pMCに基づい
てマスタシリンダ圧PM/C を検出する。
【0019】第1液圧通路22には、マスタカット弁2
8(以下、MC弁28と称す)を介して高圧通路30が
連通している。MC弁28は、常態で開弁状態を維持
し、ECU10から駆動信号が供給されることにより閉
弁状態となる2位置の電磁弁である。MC弁28には、
逆止弁32およびリリーフ弁34が並列に配設されてい
る。逆止弁32は、液圧通路22側から高圧通路30側
へ向かうブレーキフルードの流れのみを許容する一方向
弁である。また、リリーフ弁34は、高圧通路30側の
液圧が、液圧通路22側の液圧に比して所定圧を超えて
高圧である場合にのみ、高圧通路30側から液圧通路2
2側へ向かうブレーキフルードの流れを許容する定圧開
放弁である。
【0020】高圧通路30は、保持弁36,38を介し
て制御液圧通路40,42に連通している。保持弁3
6,38は、常態で開弁状態を維持し、ECU10から
駆動信号が供給されることにより閉弁状態となる2位置
の電磁弁である。保持弁36,38には、それぞれ逆止
弁44,46が並列に配設されている。逆止弁44,4
6は、制御液圧通路40,42側から高圧通路30側へ
向かうブレーキフルードの流れのみを許容する一方向弁
である。
【0021】制御液圧通路40は、プロポーショニング
バルブ48(以下、PV48と称す)を介して左後輪R
Lのホイルシリンダ50に連通している。一方、制御液
圧通路42は、右前輪FRのホイルシリンダ52に連通
している。PV48は、制御液圧通路40に供給される
制動液圧PB が所定値に満たない場合は、その制動液圧
B をそのままホイルシリンダ50に供給し、一方、制
御液圧通路40に供給される制動液圧PB が所定値を超
える場合は、その制動液圧PB を所定の比率で減衰させ
てホイルシリンダ50に供給する弁機構である。
【0022】本実施例のシステムにおいて、左後輪RL
の近傍、および、右前輪FRの近傍には車輪速センサ5
4,56が配設されている。車輪速センサ54は、左後
輪RLの車輪速Vwに応じた周期でパルス信号を出力す
る。一方、車輪速センサ56は、右前輪FRの車輪速V
wに応じた周期でパルス信号を出力する。車輪速センサ
54,56の出力信号はECU10に供給されている。
ECU10は、これらの出力信号に基づいて左後輪RL
の車輪速Vwおよび右前輪FRの車輪速Vwを検出す
る。
【0023】制御液圧通路40,42は、それぞれ、減
圧弁58,60を介して低圧通路62に連通している。
減圧弁58,60は、常態で閉弁状態を維持し、ECU
10から駆動信号が供給されることにより開弁状態とな
る2位置の電磁弁である。低圧通路62は、補助リザー
バ64に連通している。補助リザーバ64は、その内部
にピストン66およびスプリング68を備えている。補
助リザーバ64は、スプリング68を弾性変形させるこ
とにより、その内部に所定量のブレーキフルードを貯留
することができる。
【0024】補助リザーバ64には、逆止弁70を介し
て吸入通路72が連通している。吸入通路72は、逆止
弁74を介してポンプ76の吸入側に連通していると共
に、吸入弁78を介して液圧通路22に連通している。
吸入弁78は、常態で閉弁状態を維持し、EUC10か
ら駆動信号が供給されることにより開弁状態となる2位
置の電磁弁である。ポンプ76の吐出側は、高圧通路3
0に連通している。ポンプ30は、リザーバタンク64
または吸入通路72からブレーキフルードを吸入し、吸
入したブレーキフルードを所定の吐出圧で高圧通路30
に吐出することができる。
【0025】次に、図2乃至図8を参照して、本実施例
の制動液圧制御装置の動作について説明する。図2は、
本実施例の制動液圧制御装置において、ECU10が実
行するメインルーチンの一例のフローチャートを示す。
図2に示すルーチンは、その処理が終了する毎に繰り返
し起動される。図2に示すルーチンにおいては、先ずス
テップ100の処理が実行される。
【0026】ステップ100では、出力信号pMCの変
化率ΔpMCが第1の制御開始しきい値ΔpMCK以上
であるか否かが判別される。変化率ΔpMCは、所定時
間の間に出力信号pMCに生じて変化量である。本実施
例のシステムにおいて、変化率ΔpMCはブレーキペダ
ル12の踏み込み速度に相当している。本ステップ10
0でΔpMC≧ΔpMCKが成立すると判別される場合
は、ブレーキペダル12が高速で踏み込まれたと判断で
きる。この場合、次にステップ102の処理が実行され
る。一方、ΔpMC≧ΔpMCKが成立しないと判別さ
れる場合は、ブレーキペダル12が高速で踏み込まれて
いないと判断できる。この場合、以後、何ら処理が進め
られることなく今回のルーチンが終了される。
【0027】ステップ102では、出力信号pMCが第
2の制御開始しきい値pMCK以上であるか否かが判別
される。その結果、pMC≧pMCKが成立しないと判
別される場合は、未だマスタシリンダ圧PM/C が、今回
のブレーキ操作を緊急ブレーキ操作と判断する程度に昇
圧されていないと判断できる。この場合、次にステップ
104の処理が実行される。
【0028】ステップ104では、ブレーキスイッチ1
4の出力信号がオフ状態であるか否かが判別される。そ
の結果、上記の出力信号がオフ状態であると判別される
場合は、既にブレーキ操作が終了されたと判断できる。
この場合、速やかに今回の処理が終了される。一方、未
だブレーキスイッチ14の出力信号がオフ状態でないと
判別される場合は、再び上記ステップ102の処理が実
行される。
【0029】以後、上記ステップ102の条件(pMC
≧pMCK)または上記ステップ104の条件(ブレー
キSWオフ)が成立するまで、繰り返しステップ10
2,104の処理が実行される。上記ステップ100で
ΔpMC≧ΔpMCKが成立しないと判別される間、お
よび、上記ステップ102および104の処理が繰り返
し実行される間は、制動液圧制御装置が備える全ての電
磁弁がオフ状態とされる。この場合、制動液圧制御装置
は、図1に示す状態に維持される。
【0030】図1に示す状態によれば、マスタシリンダ
18は、高圧通路30および制御液圧通路40,42を
介して、ホイルシリンダ50,52に連通する。この場
合、左後輪RLおよび右前輪FRのホイルシリンダ圧P
W/C は、マスタシリンダ18を液圧源として制御され
る。従って、図1に示す状態によれば、通常のブレーキ
装置と同様に、ホイルシリンダ50,52に、ブレーキ
操作量に対応するホイルシリンダ圧PW/C を発生させる
ことができる。このように、本実施例の制動液圧制御装
置によれば、運転者によって緊急ブレーキ操作が実行さ
れない場合は、すなわち、運転者が通常のブレーキ操作
を実行する場合は、通常のブレーキ装置としての機能を
実現することができる。
【0031】図2に示すルーチン中、上記ステップ10
2でpMC≧pMCKが成立すると判別される場合は、
運転者によって緊急ブレーキ操作が実行されたと判断さ
れる。この場合、次にステップ106の処理が実行され
る。ステップ106では、ブレーキアシスト制御(以
下、BA制御と称す)を開始するための処理が実行され
る。BA制御は、高圧通路30の内部にマスタシリンダ
圧PM/C に比して高圧のブレーキ液圧PB を発生させる
制御である。本ステップ106では、具体的には、MC
弁28をオン状態(閉弁状態)とし、吸入弁78をオン
状態(開弁状態)とし、かつ、ポンプ76をオン状態と
する処理が実行される。
【0032】MC弁28が閉弁状態とされると、リリー
フ弁34が開弁しない限り、高圧通路30側から液圧通
路22側へ向かうブレーキフルードの流れが阻止され
る。この場合、高圧通路30の液圧は、液圧通路22の
液圧、すなわち、マスタシリンダ圧PM/C に比して高圧
となることができる。また、吸入弁78が開弁状態であ
る場合は、液圧通路22側のブレーキフルードがポンプ
74の吸入側に到達する。この状態でポンプ76がオン
状態とされると、ポンプ76は、液圧通路22からブレ
ーキフルードを吸入し、吸入したブレーキフルードを高
圧通路30に吐出する。従って、上記ステップ82の処
理が実行されると、その後、高圧通路30の内部には、
マスタシリンダ圧PM/C に比して高いブレーキ液圧PB
が発生する。
【0033】高圧通路30に発生するブレーキ液圧PB
は、保持弁36およびPV48を介してホイルシリンダ
50に、また、保持弁38を介してホイルシリンダ52
に供給される。従って、上記ステップ106の処理が実
行されることによりBA制御が開始されると、ホイルシ
リンダ50,52に、マスタシリンダ圧PM/C に比して
高いホイルシリンダ圧PW/C が発生する。
【0034】ステップ108では、BA制御の終了条件
が成立しているか否かが判別される。BA制御の終了条
件は、車速Vが十分に低下した場合、または、運転者に
よってブレーキ操作が解除された場合等に成立する。本
ステップ108の処理は、BA制御の終了条件が成立す
ると判別されるまで繰り返し実行される。本ステップ1
08の処理が繰り返し実行される間、制動液圧制御装置
では継続的にBA制御が実行される。その結果、BA制
御の終了条件が成立すると判別されると、次にステップ
110の処理が実行される。
【0035】ステップ110では、BA制御を終了させ
るための処理、具体的には、MC弁28をオフ状態(開
弁状態)とし、吸入弁78をオフ状態(閉弁状態)と
し、かつ、ポンプ76をオフ状態とする処理が実行され
る。本ステップ110の処理が実行されると、制動液圧
制御装置は、図1に示す状態(通常のブレーキ装置とし
て機能する状態)に復帰する。本ステップ110の処理
が実行されると、今回のルーチンが終了される。
【0036】上述の如く、本実施例の制動液圧制御装置
によれば、運転者が通常のブレーキ操作を実行する場合
に、ホイルシリンダ50,56にマスタシリンダ圧P
M/C に対応するホイルシリンダ圧PW/C を発生させるこ
とができる。また、運転者が緊急ブレーキ操作を実行す
る場合に、ホイルシリンダ50,56にマスタシリンダ
圧PM/C に対応する液圧に比して高圧のホイルシリンダ
圧PW/C を発生させることができる。
【0037】ところで、緊急ブレーキ操作を意図する際
に運転者が発生させるブレーキ操作量およびブレーキ操
作速度には個人差が存在する。すなわち、通常のブレー
キ操作において比較的急激に、かつ、大きくブレーキペ
ダル12を踏み込む運転者は、緊急ブレーキ操作を意図
する場合に、十分に大きなブレーキ操作量およびブレー
キ操作速度を発生させる。一方、通常のブレーキ操作に
おいて比較的緩やかに、かつ、小さくブレーキペダルを
踏み込む運転者は、緊急ブレーキ操作を意図する場合に
も、さほど大きなブレーキ操作量およびブレーキ操作速
度を発生させない。
【0038】従って、緊急ブレーキ操作を正確に検出し
て、BA制御を適正な状況下で実行するためには、上記
ステップ100で用いられる第1の制御開始しきい値Δ
pMCK、および、上記ステップ102で用いられる第
2の制御開始しきい値pMCに個々の運転者の特性を反
映させることが適切である。上記の機能は、個々の運転
者のブレーキ操作の特性を正確に把握して、その特性が
適正に反映されるように第1の制御開始しきい値ΔpM
CKおよび第2の制御開始しきい値pMCを補正するこ
とで実現することができる。
【0039】個々の運転者のブレーキ操作の特性は、例
えば、通常のブレーキ操作に伴って発生する出力信号p
MCおよびその変化率ΔpMCの分布を学習し、頻繁に
発生する出力信号pMC(ブレーキ操作量に相当)およ
び変化率ΔpMC(ブレーキ操作速度に相当)を検出す
ることで把握できる。しかしながら、各車輪において発
生する制動力とマスタシリンダ圧PM/C との関係は、ブ
レーキパッドの状態やタイヤの状態が変化することによ
り経時的な変化を示す。一方、運転者は、所望の制動力
が得られるようにブレーキ操作を行う。このため、通常
のブレーキ操作に伴って発生するマスタシリンダ圧P
M/C の分布およびマスタシリンダ圧PM/C の増減勾配の
分布は、すなわち、通常のブレーキ操作に伴って発生す
る出力信号pMCおよび変化率ΔpMCの分布は、運転
者の特性に影響される他、システムの経時変化にも影響
される。
【0040】このため、出力信号pMCおよび変化率Δ
pMCの分布を基礎とする手法では、個々の運転者のブ
レーキ操作の特性を正確に把握することはできない。本
実施例の制動液圧制御装置は、個々の運転者のブレーキ
操作の特性を正確に把握して、第1の制御開始しきい値
ΔpMCKおよび第2の制御開始しきい値pMCKに、
その特性を適正に反映させる点に特徴を有している。以
下、上述した本実施例の特徴部について説明する。
【0041】図3は、個々の運転者のブレーキ操作の特
性を検出すべくECU10が実行する制御ルーチンの一
例のフローチャートを示す。図3に示すルーチンは、所
定時間毎に起動される定時割り込みルーチンである。図
3に示すルーチンが起動されると、先ずステップ111
の処理が実行される。ステップ111では、ブレーキス
イッチ14の出力信号がオン状態であるか否かが判別さ
れる。その結果、上記の出力信号がオン状態でないと判
別される場合は、以後、何ら処理が進められることなく
今回のルーチンが終了される。一方、上記の出力信号が
オン状態であると判別される場合は、次にステップ11
2の処理が実行される。
【0042】ステップ112では、車体速Vが演算され
る。車体速Vは、各車輪に配設された車輪速センサ(車
輪速センサ56,58を含む)の出力信号に基づいて演
算される。ステップ114では、車体減速度Gが演算さ
れる。車体減速度Gは、車体速Vの変化率に基づいて演
算される。
【0043】ステップ116では、減速度勾配Sが演算
される。減速度勾配Sは、車体減速度Gの変化率に基づ
いて演算される。図4(A)は、所望の制動力を発生さ
せるべくブレーキ操作が実行された際に出力信号pMC
に現れた変化を示す。図4(A)中に実線で示す曲線
は、制動液圧制御装置が制動力を発生させ易い状態にあ
る場合(例えば、ブレーキパッドが大きな摺動摩擦を発
生する場合等)に実現される。一方、図4(A)中に破
線で示す曲線は、制動液圧制御装置が制動力を発生させ
難い状態にある場合(例えば、ブレーキパッドが小さな
摺動摩擦を発生する場合等)に実現される。これら2本
の曲線に表されるように、出力信号pMCの値は、目標
とする制動力が同一であっても、制動液圧制御装置の状
態によっては異なる値となる。
【0044】図4(B)は、制動力に所望の立ち上がり
勾配を付与すべくブレーキ操作が実行された際に変化率
ΔpMCに現れた変化を示す。図4(B)中に実線で示
す曲線は、制動液圧制御装置が制動力を発生させ易い状
態にある場合に実現される。一方、図4(B)中に破線
で示す曲線は、制動液圧制御装置が制動力を発生させ難
い状態にある場合に実現される。これら2本の曲線に表
されるように、変化率ΔpMCの値は、目標とする立ち
上がり勾配が同一であっても、制動液圧制御装置の状態
によっては異なる値となる。
【0045】図4(C)は、所望の制動力を発生させる
べくブレーキ操作が実行された際に車体減速度Gに現れ
た変化を示す。ブレーキ操作に伴う車体減速度Gは、制
動液圧制御装置の経時変化等に影響されることなく、目
標とする制動力が同一である場合は常に同一の値とな
る。図4(D)は、制動力に所望の立ち上がり勾配を付
与すべくブレーキ操作が実行された際に減速度勾配Sに
現れた変化を示す。ブレーキ操作に伴う減速度勾配S
は、制動液圧制御装置の経時変化等に影響されることな
く、目標とする立ち上がり勾配が同一である場合は常に
同一の値となる。
【0046】このように、上記ステップ114で検出さ
れる車体減速度Gは、出力信号pMCと異なり、ブレー
キ操作の実行中に運転者が目標としている制動力の大き
さに精度良く対応している。また、上記ステップ116
で検出される減速度勾配Sは、変化率ΔpMCと異な
り、ブレーキ操作の実行中に運転者が目標としている制
動力の立ち上がり勾配に精度良く対応している。
【0047】ステップ118では、所定値GTHを超える
車体減速度Gが生じているか否かが判別される。その結
果、G>GTHが成立すると判別される場合は、次にステ
ップ120の処理が実行される。ステップ120では、
今回の処理サイクルで検出された車体減速度Gが最大減
速度GMAX を超えているか否かが判別される。その結
果、G>GMAX が成立すると判別される場合は次にステ
ップ122の処理が実行される。一方、上記の条件が成
立しないと判別される場合は、ステップ122がジャン
プされ、次にステップ130の処理が実行される。
【0048】ステップ122では、今回の処理サイクル
で検出された車体減速度Gを、最大減速度GMAX として
記憶する処理が実行される。上記の処理によれば、所定
値G THを超える車体減速度Gを発生させるブレーキ操作
の実行中に発生した最も大きな車体減速度Gが最大減速
度GMAX として記憶される(図4(C)参照)。本ルー
チン中、上記ステップ118でG>GTHが成立しないと
判別される場合は、次にステップ124の処理が実行さ
れる。
【0049】ステップ124では、最大減速度GMAX
“0”でない値が記憶されているか否かが判別される。
その結果、GMAX ≠0が成立する場合は、次にステップ
126の処理が実行される。一方、GMAX ≠0が成立し
ない場合は、すなわち、GMA X が“0”である場合は、
ステップ126,128がジャンプされ、次にステップ
130の処理が実行される。
【0050】ステップ126では、GMAX マップを更新
する処理が実行される。GMAX マップは、ブレーキ操作
の実行中に発生する最大減速度GMAX の分布を記憶する
ためのマップである。図5は、GMAX マップの概念図を
示す。図5に示す如く、GMAX マップは複数のカウンタ
1 〜Cnにより構成されている。複数のカウンタC1
〜Cnは、それぞれ所定範囲に含まれる最大減速度G
MAX に対応している。上記ステップ126では、今回の
ブレーキ操作で検出された最大減速度GMAX に対応する
カウンタCiがインクリメントされる。
【0051】ステップ128では、最大減速度GMAX
“0”にクリアする処理が実行される。上記の処理によ
れば、所定値GTHを超える車体減速度Gを伴うブレーキ
操作が実行される毎に、そのブレーキ操作の実行中に生
じた最大減速度GMAX に対応するカウンタCiをインク
リメントすることができる。図6は、上述したステップ
118〜128の処理が繰り返し実行されることにより
MAX マップに計数された値をグラフ化した図を示す。
尚、図6中に示すMGMAX は、最も頻繁に検出される最
大減速度GMAX の値である。以下、その値を頻出最大減
速度MGMAX と称す。
【0052】ブレーキ操作の実行中に発生する最大減速
度GMAX は、そのブレーキ操作によって運転者が発生さ
せようとした車体減速度Gである。運転者は、通常のブ
レーキ操作では、制動液圧制御装置の経時変化等に影響
されることなく自らのブレーキ操作の特性に適合した車
体減速度Gを発生させようとする。従って、最大減速度
MAX の分布には、運転者のブレーキ操作の特性が正確
に反映されている。
【0053】本実施例のシステムでは、通常のブレーキ
操作で大きな車体減速度Gを発生させる運転者について
は、大きな最大減速度GMAX に高い頻度が認められる分
布、すなわち、頻出最大減速度GMMAX が通常の値に比
して大きい側に偏った分布が学習される。また、通常の
ブレーキ操作で小さな車体減速度Gを発生させる運転者
がについては、小さな最大減速度GMAX に高い頻度が認
められる分布、すなわち、上記図5に示す頻出最大減速
度GMMAX が通常値に比して小さい側に偏った分布が学
習される。従って、本実施例のシステムでは、頻出最大
減速度GMMAXの値に基づいて、制動液圧制御装置の状
態に関わらず、運転者のブレーキ操作の特性を正確に把
握することができる。
【0054】図3に示すルーチンにおいて、ステップ1
30では、所定値STHを超える減速度勾配Sが生じてい
るか否かが判別される。その結果、S>STHが成立する
と判別される場合は、次にステップ132の処理が実行
される。ステップ132では、今回の処理サイクルで検
出された減速度勾配Sが最大勾配SMAX を超えているか
否かが判別される。その結果、S>SMAX が成立すると
判別される場合は次にステップ134の処理が実行され
る。一方、上記の条件が成立しないと判別される場合
は、ステップ134がジャンプされ、速やかに今回の処
理が終了される。
【0055】ステップ134では、今回検出された減速
度勾配Sを最大勾配SMAX として記憶する処理が実行さ
れる。上記の処理によれば、所定値STHを超える減速度
勾配Sを発生させるブレーキ操作の実行中に発生した最
も大きな減速度勾配Sが最大勾配SMAX として記憶され
る(図4(D)参照)。本ステップ134の処理が終了
すると、今回のルーチンが終了される。
【0056】本ルーチン中、上記ステップ130でS>
THが成立しないと判別される場合は、次にステップ1
36の処理が実行される。ステップ136では、最大勾
配SMAX に“0”でない値が記憶されているか否かが判
別される。その結果、SMAX ≠0が成立する場合は、次
にステップ138の処理が実行される。一方、SMAX
0が成立しない場合は、すなわち、SMAXが“0”であ
る場合は、ステップ138,140がジャンプされ、速
やかに今回の処理が終了される。
【0057】ステップ138では、SMAX マップを更新
する処理が実行される。SMAX マップは、ブレーキ操作
の実行中に発生する最大勾配SMAX の分布を記憶するた
めのマップである。SMAX マップは、上記図5に示すG
MAX マップと同様に、所定範囲に含まれる最大勾配S
MAX に対応付けられた複数のカウンタにより構成され
る。本ステップ138では、SMAX マップを構成するカ
ウンタのうち、今回のブレーキ操作で検出された最大勾
配SMAX に対応するカウンタがインクリメントされる。
【0058】ステップ140では、最大勾配SMAX
“0”にクリアする処理が実行される。本ステップ14
0の処理が終了すると、今回のルーチンが終了される。
上記の処理によれば、所定値STHを超える減速度勾配S
を伴うブレーキ操作が実行される毎に、SMAX マップを
構成するカウンタのうち最大勾配SMAX に対応するカウ
ンタをインクリメントすることができる。
【0059】ブレーキ操作の実行中に発生する最大勾配
MAX は、そのブレーキ操作の実行中に運転者が要求す
る制動力の立ち上がり勾配に対応する。すなわち、最大
勾配SMAX は、運転者が急激な制動力の立ち上がりを要
求するほど大きな値となり、また、運転者が制動力の緩
やかな立ち上がりを要求するほど小さな値となる。運転
者は、通常のブレーキ操作の実行中は、制動液圧制御装
置の経時変化等に影響されることなく、自らのブレーキ
操作の特性に適合した勾配で制動力を立ち上げようとす
る。従って、最大勾配SMAX の分布には、運転者のブレ
ーキ操作の特性が正確に反映されている。
【0060】SMAX マップに学習される最大勾配SMAX
の分布を用いると、上述した最大減速度GMAX の場合と
同様に、最も頻繁に現れる最大勾配SMAX の値、すなわ
ち、頻出最大勾配MSMAX を求めることができる。頻出
最大勾配MSMAX は、制動液圧制御装置の状態に影響さ
れることなく、運転者が制動力を急激に立ち上げる特性
を有している場合は通常値に比して大きな値となり、ま
た、運転者が制動力を緩やかに立ち上げる特性を有して
いる場合は通常値に比して小さな値となる。従って、本
実施例のシステムでは、頻出最大勾配MSMAX の値に基
づいて、制動液圧制御装置の状態に関わらず、運転者の
ブレーキ操作の特性を正確に把握することができる。
【0061】図7は、第1の制御開始しきい値ΔpMC
Kおよび第2の制御開始しきい値pMCKの補正を行う
べくECU10が実行する制御ルーチンの一例のフロー
チャートを示す。図7に示すルーチンは、所定時間毎に
起動される定時割り込みルーチンである。図7に示すル
ーチンが起動されると、先ずステップ142の処理が実
行される。
【0062】ステップ142では、頻出最大勾配MS
MAX が演算される。本ステップ142では、上記図3に
示す制御ルーチンによって学習されたSMAX マップに基
づいて、最も頻繁に発生する最大勾配SMAX が頻出最大
勾配MSMAX として演算される。ステップ144では、
補正係数f1 が演算される。補正係数f1 は、制動力の
立ち上がり勾配に関する運転者の特性を、第1の制御開
始しきい値ΔpMCKに反映させるための係数である。
【0063】図8は、頻出最大勾配MSMAX と補正係数
1 との関係を定めたマップの一例を示す。図8におい
て、補正係数f1 は、頻出最大勾配MSMAX が基準値
MS 0 と一致する場合に“1.0”となるように、頻
出最大勾配MSMAX が基準値MS0 に比して大きい場合
に“1.0”に比して大きな値となるように、かつ、
頻出最大勾配MSMAX が基準値MS0 に比して小さい場
合に“1.0”に比して小さな値となるように定められ
ている。
【0064】ECU10は、上記ステップ144におい
て、図8に示すマップを参照して、今回の処理サイクル
で求められた頻出最大勾配MSMAX に対応する補正係数
1を演算する。上記の処理によれば、制動液圧制御装
置の状態に影響されることなく、補正係数f1 に、制動
力の立ち上がり勾配に関する運転者のブレーキ操作の特
性を、正確に反映させることができる。
【0065】ステップ146では、次式に従って第1の
制御開始しきい値ΔpMCKが演算される。尚、次式に
おいて“ΔpMC0 ”は、ブレーキ操作速度の観点より
緊急ブレーキ操作と通常ブレーキ操作とを区別するため
に定められた基準の値である。 ΔpMCK=ΔpMC0 *f1 ・・・(1) 上記の処理によれば、頻出最大勾配MSMAX が基準値
MS0 と一致する場合は、第1の制御開始しきい値Δp
MCKが基準値ΔpMC0 と一致する値に演算される。
MSMAX =MS0 が成立する場合は、上記ステップ10
0において、変化率ΔpMCが基準値ΔpMC0 を超え
ているか否かに基づいて緊急ブレーキ操作と通常ブレー
キ操作とを区別することが適切である。従って、上記の
処理が実行されると、以後、MSMAX =MS0 が成立す
る状況下で、適切に緊急ブレーキ操作を検出することが
可能となる。
【0066】上記の処理によれば、頻出最大勾配MS
MAX が基準値MS0 に比して大きい場合は、第1の制御
開始しきい値ΔpMCKが基準値ΔpMC0 に比して大
きな値に演算される。MSMAX >MS0 が成立する場合
は、運転者が通常のブレーキ操作で比較的急激に制動力
を立ち上げると判断できる。この場合は、緊急ブレーキ
と通常ブレーキとを区別するための第1の制御開始しき
い値ΔpMCKを、基準値ΔpMC0 に比して大きな値
とすることが適切である。従って、上記の処理が実行さ
れると、以後、MSMAX >MS0 が成立する状況下で適
切に緊急ブレーキ操作を検出することが可能となる。
【0067】上記の処理によれば、頻出最大勾配MS
MAX が基準値MS0 に比して小さい場合は、第1の制御
開始しきい値ΔpMCKが基準値ΔpMC0 に比して小
さな値に演算される。MSMAX <MS0 が成立する場合
は、運転者が通常のブレーキ操作で比較的緩やかに制動
力を立ち上げると判断できる。この場合は、緊急ブレー
キと通常ブレーキとを区別するための第1の制御開始し
きい値ΔpMCKを、基準値ΔpMC0 に比して小さな
値とすることが適切である。従って、上記の処理が実行
されると、以後、MSMAX <MS0 が成立する状況下
で、適切に緊急ブレーキ操作を検出することが可能とな
る。
【0068】ステップ148では、頻出最大減速度MG
MAX が演算される。本ステップ148では、上記図3に
示す制御ルーチンによって学習されたGMAX マップに基
づいて、最も頻繁に発生する最大減速度GMAX が頻出最
大減速度MGMAX として演算される。ステップ150で
は、補正係数f2 が演算される。補正係数f2 は、制動
力の大きさに関する運転者の特性を、第2の制御開始し
きい値pMCKに反映させるための係数である。
【0069】ECU10は、頻出最大減速度MGMAX
補正係数f2 との関係を定めたマップを記憶している。
このマップにおいて、補正係数f2 は、上記図8に示す
マップと同様に、頻出最大減速度GMAX が基準値MG0
に比して大きい場合に“1.0”に比して大きな値に、
また、頻出最大減速度GMAX が基準値MG0 に比して小
さい場合に“1.0”に比して小さな値に設定されてい
る。
【0070】ECU10は、上記ステップ150におい
て、上記のマップを参照して、今回の処理サイクルで求
められた頻出最大減速度MGMAX に対応する補正係数f
2 を演算する。上記の処理によれば、制動液圧制御装置
の状態に影響されることなく、補正係数f2 に、制動力
の大きさに関する運転者のブレーキ操作の特性を、正確
に反映させることができる。
【0071】ステップ152では、次式に従って第2の
制御開始しきい値pMCKが演算される。尚、次式にお
いて“pMC0 ”は、ブレーキ操作量に基づいて緊急ブ
レーキ操作と通常ブレーキ操作とを区別するために定め
られた基準の値である。 pMCK=pMC0 *f2 ・・・(2) 上記の処理によれば、頻出最大減速度MGMAX が基準
値MG0 である場合は、第2の制御開始しきい値pMC
Kが基準値pMC0 と一致する値に演算される。MG
MAX =MG0 が成立する場合は、上記ステップ102に
おいて、出力信号pMCが基準値pMC0 を超えている
か否かに基づいて緊急ブレーキ操作と通常ブレーキ操作
とを区別することが適切である。従って、上記の処理が
実行されると、以後、MGMAX =MG0 が成立する状況
下で、適切に緊急ブレーキ操作を検出することが可能と
なる。
【0072】上記の処理によれば、頻出最大減速度M
MAX が基準値MG0 に比して大きい場合は、第2の制
御開始しきい値pMCKが基準値pMC0 に比して大き
な値に演算される。MGMAX >MG0 が成立する場合
は、運転者が通常のブレーキ操作で比較的大きな制動力
を発生させていると判断できる。この場合は、緊急ブレ
ーキと通常ブレーキとを区別するための第2の制御開始
しきい値pMCKを、基準値pMC0 に比して大きな値
とすることが適切である。従って、上記の処理が実行さ
れると、以後、MGMAX >MG0 が成立する状況下で、
適切に緊急ブレーキ操作を検出することが可能となる。
【0073】上記の処理によれば、頻出最大減速度M
MAX が基準値MG0 に比して小さい場合は、第2の基
準値pMCKが基準値pMC0 に比して小さな値に演算
される。MGMAX <MG0 が成立する場合は、運転者が
通常のブレーキ操作で比較的小さな制動力を発生させて
いると判断できる。この場合は、緊急ブレーキと通常ブ
レーキとを区別するための第2の制御開始しきい値pM
CKを、基準値pMC 0 に比して小さな値とすることが
適切である。従って、上記の処理が実行されると、以
後、MGMAX <MG0 が成立する状況下で、適切に緊急
ブレーキ操作を検出することが可能となる。
【0074】上述の如く、本実施例の制動液圧制御装置
によれば、装置の状態に影響されることなく、車体減速
度Gおよび減速度勾配Sに基づいて運転者のブレーキ操
作の特性を正確に把握することができる。また、本実施
例の制動液圧制御装置によれば、正確に把握したブレー
キ操作の特性に基づいて、第1の制御開始しきい値Δp
MCKおよび第2の制御開始しきい値pMCKを個々の
運転者に対応した値に補正することができる。このた
め、本実施例の制動液圧制御装置によれば、装置の状態
に影響されることなく、かつ、運転者の個人差に関わら
ず、運転者が緊急ブレーキ操作を意図する場合に適正に
BA制御を開始させることができる。
【0075】尚、上記の実施例においては、出力信号p
MCおよび変化率ΔpMCが前記請求項1記載の「ブレ
ーキ操作の状態量」に、第1の制御開始しきい値ΔpM
CKおよび第2の制御開始しきい値pMCKが前記請求
項1記載の「制御開始しきい値」に、ブレーキ操作に伴
う最大減速度GMAX の分布および最大勾配SMAX の分布
が前記請求項1記載の「車輪速に生ずる変化傾向」にそ
れぞれ相当している。
【0076】また、上記の実施例においては、ECU1
0が、上記ステップ100および102の処理を実行す
ることにより前記請求項1記載の「緊急ブレーキ操作検
出手段」が、上記ステップ111〜140の処理を実行
することにより前記請求項1記載の「車輪速変化学習手
段」が、上記ステップ142〜152の処理を実行する
ことにより前記請求項1記載の「しきい値決定手段」
が、それぞれ実現されている。
【0077】更に、上記の実施例においては、ECU1
0が、上記ステップ118〜128の処理を実行するこ
とにより前記請求項2記載の「最大減速度傾向学習手
段」が、上記ステップ130〜140の処理を実行する
ことにより前記請求項3記載の「最大勾配傾向学習手
段」が、それぞれ実現されている。
【0078】
【発明の効果】上述の如く、請求項1乃至3記載の発明
によれば、運転者のブレーキ操作の特性を制御開始しき
い値に正確に反映させることができる。このため、本発
明によれば、運転者の個人差に関わらず、通常のブレー
キ操作と緊急ブレーキ操作とを正確に区別することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である制動液圧制御装置のシ
ステム構成図である。
【図2】本実施例の制動液圧制御装置において実行され
るメインルーチンの一例のフローチャートである。
【図3】本実施例の制動液圧制御装置において運転者の
ブレーキ操作の特性を学習するために実行される制御ル
ーチンの一例のフローチャートである。
【図4】本実施例の制動液圧制御装置の動作を説明する
ためのタイムチャートである。
【図5】図3に示すルーチン中で用いられるGMAX マッ
プの構造を表す図である。
【図6】GMAX マップに学習されるデータをグラフ化し
た図である。
【図7】本実施例の制動液圧制御装置において第1の制
御開始しきい値ΔpMCKおよび第2の制御開始しきい
値pMCKを補正するために実行される制御ルーチンの
一例のフローチャートである。
【図8】図7に示すルーチン中で参照されるマップの一
例である。
【符号の説明】
10 電子制御ユニット(ECU) 18 マスタシリンダ 28 マスタカット弁(MC弁) 50,52 ホイルシリンダ 54,56 車輪速センサ 78 吸入弁 76 ポンプ pMC 出力信号 ΔpMC 変化率 pMCK 第2の制御開始しきい値 ΔpMCK 第1の制御開始しきい値 pMC0 ,ΔpMC0 ,MG0 ,MS0 基準値 G 車体減速度 GMAX 最大減速度 MGMAX 頻出最大減速度 S 減速度勾配 SMAX 最大勾配 MSMAX 頻出最大勾配 GTH,STH 所定値 f1 ,f2 補正係数

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 運転者によって緊急ブレーキ操作が実行
    された際に、通常時に比して高圧の制動液圧を発生する
    制動液圧制御装置において、 ブレーキ操作の状態量と制御開始しきい値とを比較する
    ことにより緊急ブレーキ操作を検出する緊急ブレーキ操
    作検出手段と、 ブレーキ操作に伴って車輪速に生ずる変化傾向を学習す
    る車輪速変化学習手段と、 前記車輪速変化学習手段の学習結果に基づいて前記制御
    開始しきい値を決定するしきい値決定手段と、 を備えることを特徴とする制動液圧制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の制動液圧制御装置におい
    て、 前記車輪速変化学習手段が、ブレーキ操作中に車輪に生
    ずる最大減速度の傾向を学習する最大減速度傾向学習手
    段を備えると共に、 前記しきい値決定手段が、前記最大減速度傾向学習手段
    の学習結果に基づいて前記制御開始しきい値を決定する
    ことを特徴とする制動液圧制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の制動液圧制御装置におい
    て、 前記車輪速変化学習手段が、ブレーキ操作中に車輪に生
    ずる最大減速度勾配の傾向を学習する最大勾配傾向学習
    手段を備えると共に、 前記しきい値決定手段が、前記最大減速度傾向学習手段
    の学習結果、および、前記最大勾配傾向学習手段の学習
    結果に基づいて前記制御開始しきい値を決定することを
    特徴とする制動液圧制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002037041A (ja) * 2000-06-30 2002-02-06 Robert Bosch Gmbh パニック・ブレーキングの検出方法および装置
JP2007106331A (ja) * 2005-10-14 2007-04-26 Toyota Motor Corp 制動力制御装置
JP2009126356A (ja) * 2007-11-22 2009-06-11 Honda Motor Co Ltd ブレーキアシスト制御装置

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